JP4674954B2 - 粒状プラスチック材料の乾燥装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はプラスチック材料、特に粒状プラスチック材料状または粒状のプラスチック材料の乾燥装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
プラスチックは吸湿性があるので、大気中に放置すると大気の温湿度により、0.数%から数%の水分を含有する。プラスチック成形機に供給されるプラスチック原料は通常ペレット状、すなわち粒状プッラスチック材料として供給されるが、このペレットに規定以上の水分が含有されていると、加水分解を起こし、樹脂が劣化し、成形品の強度および靭性が劣化する。また、溶融樹脂の流動性が過剰化し、そのため金型内で過剰充填が起こり、バリの発生や形状不良等の問題が発生する。
【0003】
そこで、プラスチック成形機に供給されるプラスチック原料は、ホッパドライヤと称される粒状プラスチック材料乾燥装置を用い、プラスチック原料の含有する水分を所定の含有量まで乾燥する必要がある。例えば、包装された状態のナイロン66の場合、開封時には0.1%程度であるが、開封して大気中に3〜4時間放置すると、通常大気中の水分を吸収し、水分量は0.3〜0.5%になってしまう。そのため、プラスチック成形機へ供給するためには、水分率を0.1%以下に乾燥しなければならない。
【0004】
従来用いられている粒状プラスチック材料の乾燥装置の基本的な構造は、粒状プラスチック材料を充填したホッパドライヤに乾熱空気を送風し、ホッパドライヤの上端に取り付けられた原料投入口から投入された粒状プラスチック材料が、ホッパドライヤの内部の空間をゆっくり降下してホッパドライヤ下端の原料排出口から排出される間に、所定の水分率まで乾燥するものである。
【0005】
このように、従来の粒状プラスチック材料の乾燥装置は、乾熱空気を循環させ、ホッパドライヤ内に充填された粒状プラスチック材料に含まれる水分を乾熱空気に吸収させるものであるため、乾燥剤の中を通して循環空気を乾燥する必要がある。しかし、循環する乾熱空気には次第に材料に含まれる水分が乾燥剤中を蓄積されるため、定期的に乾燥剤を加熱し含まれる水分を除去する必要がある。そのため、乾燥剤を含む循環経路を二系統にし、乾燥剤の吸湿と除湿を交互に行う複雑な回路を構成する必要がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来の粒状プラスチック材料の乾燥装置における問題点を解決するため、発明者は以前に特開2000−263549号公報に示す発明の名称「粒状プラスチック材料の乾燥方法およびその装置」の発明(以下先行発明と称する。)を提案した。
【0007】
図4は先行発明の一実施の形態の概略配置図である。未乾燥の粒状プラスチック材料80を収容するホッパドライヤ82の上部は円筒状で下部は円錐状に絞られており、上部には図示しないが粒状プラスチック材料の投入口があり、下端部は粒状プラスチック材料の排出口84が設けられている。また、ホッパドライヤ82の内部には上面から進入し、中心部で下方に垂下し、先端部が円錐状に拡大され、かつ全面に噴出口を設けた熱風注入管96が配置されている。
【0008】
送風機88の送風側は、循環空気加熱用ヒータ90を介して送風管86の一端に接続されており、この送風管86の先端は、熱風注入管96の上端に接続されている。この循環空気加熱用ヒータ90は、図示しない温度調節計により送風温度が制御されている。ホッパドライヤ82の上面には循環回路92aの一端が接続され他の一端は循環フィルタ94に接続されており、ホッパドライヤ82からの排出される循環ガスは循環フィルタ94に流入する。
【0009】
循環フィルタ94で浄化された循環ガスの大部分は出口95aから循環回路92bにより、送風機88の吸気側へ循環する。また、循環フィルタ94のもう一方の出口95bからは、窒素ガスの注入により過剰となったガスが排出される。なお、出口95bからの過剰ガスは、過剰ガス回路97により、ホッパドライヤ82の排出口84に送られ、必要に応じて粒状プラスチック材料80のキャリヤガスとして用いられる。窒素発生器100は圧縮空気入口102から空気を取り込み窒素(純度98%)を発生し、窒素供給回路104を介して送風機88の送気側に接続される。
【0010】
しかしながら、前記の先行発明においては、折角ホッパドライヤにおいて、乾燥された粒状プラスチック材料も、成形機へ移送される間に大気に晒されるため、吸湿すると共に酸化される可能性があり、また成形機により成形される際にも、大気中で成形されるため、これまた大気中の水分を吸湿したり酸化される可能性がある。
【0011】
本発明は先行発明の粒状プラスチック材料の乾燥装置の前記のごとき問題点を解決すべくなされたものであって、乾燥された粒状プラスチック材料が、成形機へ輸送される間、あるいは成形機により成形される際に、大気中の水分を吸収したり、酸化されたりすることがない粒状プラスチック材料の乾燥装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項に記載の粒状プラスチック材料の乾燥装置は、上部に粒状プラスチック材料の流入口を設け内部空間に粒状プラスチック材料を滞留させ下部に粒状プラスチック材料の排出口を設けたホッパドライヤと、送気側と前記ホッパドライヤとの間に送気を加熱するヒータを介在させ熱風を前記ホッパドライヤへ送風すると共に前記ホッパドライヤからの循環ガスを吸気する送風機と、圧縮空気を取入れ該空気中の酸素等を分離し窒素を生成し該窒素を前記送風機の送気側に注入する窒素発生器と、前記ホッパドライヤからの循環ガスを前記送風機の吸気側に循環する熱風循環回路と、前記ホッパドライヤまたは前記熱風循環回路に取付けられ前記窒素発生器からの窒素の混入により前記循環ガス中の余剰となった循環ガスを排気する循環ガス排気口とからなる粒状プラスチック材料の乾燥装置において、前記ホッパドライヤの前記排出口から排出される乾燥された粒状プラスチック材料を成形機に取り付けられた圧送ホッパへ圧送する材料輸送管を設け、前記窒素発生器で発生した窒素ガスを前記材料輸送管内にキャリヤガスとしてエゼクタを介して噴射することを特徴とする。
【0014】
本発明の請求項に記載の粒状プラスチック材料の乾燥装置は、上部に粒状プラスチック材料の流入口を設け内部空間に粒状プラスチック材料を滞留させ下部に粒状プラスチック材料の排出口を設けたホッパドライヤと、送気側と前記ホッパドライヤとの間に送気を加熱するヒータを介在させ熱風を前記ホッパドライヤへ送風すると共に前記ホッパドライヤからの循環ガスを吸気する送風機と、圧縮空気を取入れ該空気中の酸素等を分離し窒素を生成し該窒素を前記送風機の送気側に注入する窒素発生器と、前記ホッパドライヤからの循環ガスを前記送風機の吸気側に循環する熱風循環回路と、前記ホッパドライヤまたは前記熱風循環回路に取付けられ前記窒素発生器からの窒素の混入により前記循環ガス中の余剰となった循環ガスを排気する循環ガス排気口とからなる粒状プラスチック材料の乾燥装置において、前記窒素発生器で発生した窒素ガスを成形機内に送気すると共に、前記ホッパドライヤの前記排出口から排出される乾燥された粒状プラスチック材料を成形機に取り付けられた圧送ホッパへ圧送する材料輸送管を設け、前記窒素発生器で発生した窒素ガスを前記材料輸送管内にキャリヤガスとしてエゼクタを介して噴射することを特徴とする。
【0015】
【作用】
請求項1の発明は、ホッパドライヤの排出口から排出される乾燥された粒状プラスチック材料を成形機に取り付けられた圧送ホッパへ圧送する材料輸送管を設け、窒素発生器で発生した窒素ガスを材料輸送管内にキャリヤガスとしてエゼクタを介して噴射するので、乾燥された粒状プラスチック材料は、窒素ガスによりホッパドライヤから成形機まで輸送される途中で、大気中の水分を吸着したり、大気による酸化を受けることがない。
【0016】
請求項の発明は、窒素発生器で発生した窒素ガスを成形機内に送気すると共に、ホッパドライヤの排出口から排出される乾燥された粒状プラスチック材料を成形機に取り付けられた圧送ホッパへ圧送する材料輸送管を設け、窒素発生器で発生した窒素を材料輸送管内にキャリヤガスとしてエゼクタを介して噴射するので、乾燥された粒状プラスチック材料が成形機で成形される際、および窒素ガスによりホッパドライヤから成形機まで輸送される途中で、再び大気中の水分を吸着したり、大気による酸化を受けることがない。
【0017】
【発明の実施の態様】
本発明の好適な実施の態様を以下図面に従って説明する。図1は参考例の態様を示す概略構成図である。未乾燥の粒状プラスチック材料80を収容するホッパドライヤ82の上部は円筒状で下部は円錐状に絞られており、上部には図示しないが粒状プラスチック材料の投入口があり、下端部は粒状プラスチック材料の排出口84が設けられている。また、ホッパドライヤ82の内部には上面から進入し、中心部で下方に垂下し、先端部が円錐状に拡大され、かつ全面に噴出口を設けた熱風注入管96が配置されている。
【0018】
送風機88の送風側は、循環空気加熱用ヒータ90を介して送風管86の一端に接続されており、この送風管86の先端は、熱風注入管96の上端に接続されている。この循環空気加熱用ヒータ90は、温度調節計98および過熱防止器99により送風温度が制御されている。ホッパドライヤ82の上面には循環回路92aの一端が接続され他の一端は循環フィルタ94に接続されており、ホッパドライヤ82から排出される循環ガスは循環フィルタ94に流入する。
【0019】
循環フィルタ94で浄化された循環ガスの大部分は出口95aから循環回路92bにより、送風機88の吸気側へ循環する。一方、ホッパドライヤ82上面には過剰ガス排出口93を有する過剰ガス回路97が接続され、過剰ガス排出口93から窒素ガスの注入により過剰となったガスが排出される。なお、ホッパドライヤ82からの過剰ガスは、過剰ガス回路97により、ホッパドライヤ82の排出口84に送られ、必要に応じてペレット80のキャリヤガスとして用いることもできる。
【0020】
窒素発生器100は圧縮空気入口102から空気を取り込み窒素(純度98%)を発生し、第1の窒ガス素供給回路104を介して送風機88の送気側に接続される。また、第2の窒素ガス供給回路60は成形機62に接続され、成形機62へは窒素発生器100で生成した窒素ガスが送られる。
【0021】
図2は本発明の請求項の一実施の態様を示す概略構成図である。図1の参考例の態様と異なる点は、ホッパドライヤ82の排出口84から排出される乾燥された粒状プラスチック材料80を成形機62に取り付けられた圧送ホッパ64へ圧送する材料輸送管66を設けた点と、窒素発生器100に窒素ガスを供給する第3の窒素ガス供給回路68を設け、この第3の窒素ガス供給回路68は材料輸送管66内にキャリヤガスとして窒素ガスをエゼクタ70を介して噴射する点である。
【0022】
図3は本発明の請求項の一実施の態様を示す概略構成図である。この請求項の実施の態様では、第2の窒素ガス供給回路60は成形機62に接続され、成形機62へは窒素発生器100で生成した窒素ガスが送られる。また、ホッパドライヤ82の排出口84から排出される乾燥された粒状プラスチック材料80を成形機62に取り付けられた圧送ホッパ64へ圧送する材料輸送管66が設けられ、窒素発生器100には第3の窒素ガス供給回路68が設けられ、この第3の窒素ガス供給回路68は材料輸送管66内にキャリヤガスとして窒素ガスをエゼクタ70を介して噴射する。
【0023】
図1に示した参考例では、窒素発生器100で発生した窒素ガスが第2の窒素ガス供給管60により成形機60内に送気されるので、乾燥された粒状プラスチック材料80が成形機62で成形される際に、再び大気中の水分を吸収することがなく、かつ大気により酸化されることがない。
【0024】
図2に示した本発明の請求項の実施例では、ホッパドライヤ82の排出口84から排出される乾燥された粒状プラスチック材料80を成形機62に取り付けられた圧送ホッパ64へ圧送する材料輸送管66を設け、窒素発生器100で発生した窒素ガスを第3の窒素ガス供給回路68により、材料輸送管66内にキャリヤガスとして噴射するので、乾燥された粒状プラスチック材料80は、ホッパドライヤ82から成形機88まで輸送される途中で、大気中の水分を吸着したり、大気による酸化を受けることがない。
【0025】
図3に示した本発明の請求項の実施例では、窒素発生器100で発生した窒素ガスが第2の窒素ガス供給管60により成形機60内に送気されるので、乾燥された粒状プラスチック材料80が成形機62で成形される際に、再び大気中の水分を吸収することがない。また、ホッパドライヤ82の排出口84から排出される乾燥された粒状プラスチック材料80を成形機62に取り付けられた圧送ホッパ64へ圧送する材料輸送管66を設け、窒素発生器100で発生した窒素ガスを第3の窒素ガス供給回路68により、材料輸送管66内にキャリヤガスとして噴射するので、乾燥された粒状プラスチック材料80は、ホッパドライヤ82から成形機88まで輸送される途中で、大気中の水分を吸着したり、大気による酸化を受けることがない。
【0026】
【発明の効果】
本発明の粒状プラスチック材料の供給装置では、窒素発生器で発生した窒素ガスを成形機内に送気するので、乾燥された粒状プラスチック材料が成形機で成形される際に、再び大気中の水分を吸収することがなく、かつ大気中の酸素により酸化されることがない。また、ホッパドライヤの排出口から排出される乾燥された粒状プラスチック材料を成形機に取り付けられた圧送ホッパへ圧送する材料輸送管を設け、窒素発生器で発生した窒素ガスを材料輸送管内にキャリヤガスとして噴射するので、乾燥された粒状プラスチック材料は、窒素ガスによりホッパドライヤから成形機まで輸送される途中で、大気中の水分を吸着したり、大気による酸化を受けることがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1の一実施の態様を示す概略構成図である。
【図2】請求項2の一実施の態様を示す概略構成図である。
【図3】請求項3の一実施の態様を示す概略構成図である。
【図4】先行特許の一実施の態様を示す概略構成図である。
【符号の説明】
60・・・・・第2の窒素ガス供給管
62・・・・・成形機
64・・・・・圧送ホッパ
66・・・・・材料輸送管
68・・・・・第3の窒素ガス供給管
70・・・・・エゼクタ
80・・・・・粒状プラスチック材料
82・・・・・ホッパドライヤ
84・・・・・排出口
86・・・・・送風管
88・・・・・送風機
90・・・・・循環空気過熱ヒータ
92・・・・・循環回路
93・・・・・過剰ガス出口
94・・・・・循環フィルタ
95a・・・・循環ガス出口
95b・・・・過剰ガス出口
96・・・・・熱風注入管
97・・・・・過剰ガス排出回路
98・・・・・温度調節計
99・・・・・過熱防止器
100・・・・・窒素発生器
102・・・・・圧縮空気取り入れ口
104・・・・・第1の窒素供給回路

Claims (2)

  1. 上部に粒状プラスチック材料の流入口を設け内部空間に粒状プラスチック材料を滞留させ下部に粒状プラスチック材料の排出口を設けたホッパドライヤと、送気側と前記ホッパドライヤとの間に送気を加熱するヒータを介在させ熱風を前記ホッパドライヤへ送風すると共に前記ホッパドライヤからの循環ガスを吸気する送風機と、圧縮空気を取入れ該空気中の酸素等を分離し窒素を生成し該窒素を前記送風機の送気側に注入する窒素発生器と、前記ホッパドライヤからの循環ガスを前記送風機の吸気側に循環する熱風循環回路と、前記ホッパドライヤまたは前記熱風循環回路に取付けられ前記窒素発生器からの窒素の混入により前記循環ガス中の余剰となった循環ガスを排気する循環ガス排気口とからなる粒状プラスチック材料の乾燥装置において、
    前記ホッパドライヤの前記排出口から排出される乾燥された粒状プラスチック材料を成形機に取り付けられた圧送ホッパへ圧送する材料輸送管を設け、前記窒素発生器で発生した窒素ガスを前記材料輸送管内にキャリヤガスとしてエゼクタを介して噴射することを特徴とする粒状プラスチック材料の乾燥装置。
  2. 上部に粒状プラスチック材料の流入口を設け内部空間に粒状プラスチック材料を滞留させ下部に粒状プラスチック材料の排出口を設けたホッパドライヤと、送気側と前記ホッパドライヤとの間に送気を加熱するヒータを介在させ熱風を前記ホッパドライヤへ送風すると共に前記ホッパドライヤからの循環ガスを吸気する送風機と、圧縮空気を取入れ該空気中の酸素等を分離し窒素を生成し該窒素を前記送風機の送気側に注入する窒素発生器と、前記ホッパドライヤからの循環ガスを前記送風機の吸気側に循環する熱風循環回路と、前記ホッパドライヤまたは前記熱風循環回路に取付けられ前記窒素発生器からの窒素の混入により前記循環ガス中の余剰となった循環ガスを排気する循環ガス排気口とからなる粒状プラスチック材料の乾燥装置において、
    前記窒素発生器で発生した窒素ガスを成形機内に送気すると共に、前記ホッパドライヤの前記排出口から排出される乾燥された粒状プラスチック材料を成形機に取り付けられた圧送ホッパへ圧送する材料輸送管を設け、前記窒素発生器で発生した窒素ガスを前記材料輸送管内にキャリヤガスとしてエゼクタを介して噴射することを特徴とする粒状プラスチック材料の乾燥装置。
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