JP2005046264A - 管用滅菌装置および滅菌方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】滅菌対象である管の形状に関わらず、この管内部の滅菌処理を有効かつ確実に行なう。
【解決手段】滅菌ガス発生装置3により、母ガス中の雰囲気中において放電プラズマを発生させて、滅菌作用を有する化学的活性種を生成する。この生成した化学的活性種を含んだガスを微細管2に注入して、管内部の滅菌処理を行なう。これにより、滅菌対象の管の形状に関係なく、内部の滅菌処理を均一に行なうことができる。
【選択図】 図1
【解決手段】滅菌ガス発生装置3により、母ガス中の雰囲気中において放電プラズマを発生させて、滅菌作用を有する化学的活性種を生成する。この生成した化学的活性種を含んだガスを微細管2に注入して、管内部の滅菌処理を行なう。これにより、滅菌対象の管の形状に関係なく、内部の滅菌処理を均一に行なうことができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、放電プラズマを用いて管の内部を滅菌する管用滅菌装置および滅菌方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
容器や管などの滅菌対象の器具の内側に存在する菌や有害物質、例えばNOXやSOXを除去する手段の1つとして、プラズマを用いた滅菌処理が挙げられる。
【0003】
ガスの雰囲気中にプラズマを発生させると、電子の非弾性衝突により、ガスに励起、解離および電離などの反応が起こり、その結果、化学的活性種が豊富に生成される。この性質を利用して、これらの化学的活性種を滅菌対象の器具の内側に導入して、当該器具の内側で起こる化学反応により内部の有害物質を分解する。これにより、器具内を滅菌する。
【0004】
これを実行する装置として、例えば特許文献1に開示される装置が知られている。この装置は、装置内の減圧室内のパレット上に滅菌対象の容器を据え置き、この容器の中にガスノズルと放電電極の一方を挿入し、この容器内において母ガスを注入した上で、滅菌用のプラズマを発生させて化学的活性種を生成する。これにより該容器内の滅菌処理をする。
【0005】
【特許文献1】
特開平6−263120号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の滅菌装置を用いて、例えば管の内部を滅菌する場合、放電電極の外径に対して滅菌対象の管の内径が小さい場合には、この管に放電電極を挿入することができない。また、滅菌対象の管が、その内径と放電電極の外径との差が殆ど無い管である場合には、放電電極の周辺に発生した放電プラズマが管の内壁に作用して当該内壁に損傷を与える恐れがある。また、放電電極の先端部分とそれ以外の部分では、放電プラズマの密度が異なるので、管の長さが一定以上の長さである場合には、放電電極と、接地されている管の内壁との距離に部分的に大小ができる。つまり、化学的活性種を生成するために必要な密度をもつ放電プラズマは、滅菌対象の管内において、放電電極と内壁との距離が近い領域のみで作用する。このような理由により、管内の全体にわたり均一な滅菌処理が有効になされないという問題があった。
【0007】
本発明は、前記の課題に鑑みなされたもので、滅菌対象の管の形状に関わらず、当該管内の滅菌処理を有効かつ確実に行なうことが可能になる管用滅菌装置および滅菌方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明に係わる管用滅菌装置は、母ガスに放電プラズマを作用させて、滅菌作用を有する物質を含むガスを生成する生成手段と、この生成手段により生成されたガスを管内に注入する注入手段とを備えたことを特徴とする。
【0009】
このような構成によれば、滅菌対象である管の外部において、母ガスに放電プラズマを作用させて、滅菌作用を有する物質を生成し、これを含んだガスを管内に注入して流通させるので、滅菌対象の管の形状に関わらず、放電プラズマにより当該管に損傷を与えることなく、内部の滅菌処理を有効かつ確実に行なうことができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下図面により本発明の実施形態について説明する。
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態にしたがった管用滅菌装置および滅菌対象器具の外観を示す図である。
本実施形態における管用滅菌装置は、図1中の滅菌ガス発生装置3およびガス濃度測定装置5を備えて構成される。また、本実施形態における滅菌対象器具とは、図1中の内視鏡1内の微細管2である。この微細管2は、直径数ミリメートル程度の管である。
【0011】
滅菌ガス発生装置3は、図1に示したように、ガス管4aを介して微細管2の入口部21に接続される。滅菌ガス発生装置3は、滅菌作用を有するガスの元となる母ガスの雰囲気中に放電プラズマを発生させて、このガスを、ガス管4aを介して微細管2に注入する。母ガスの雰囲気中に放電プラズマを発生させると、その中に、滅菌作用を有する化学的に活性な原子や分子やイオンなどの化学的活性種を含むことになる。以後、こうした滅菌作用をもつ化学的活性種を含んだガスを、滅菌ガスと呼称する。
【0012】
ガス濃度測定装置5は、図1に示したように、ガス管4bを介して微細管2の出口部22に接続される。このガス濃度測定装置5は、滅菌ガス発生装置3により微細管2に注入された滅菌ガスに含まれる化学的活性種の濃度を測定する。
【0013】
滅菌ガスにより微細管2の内側の滅菌処理を完全に行なわせるためには、当該微細管2の内側を、所定の濃度以上の化学的活性種が含まれる雰囲気に所定の時間以上曝さなければならない。そこで、微細管2内を流れる滅菌ガスに含まれる化学的活性種の濃度をガス濃度測定装置5により測定し、この測定結果に基づいて、化学的活性種の濃度が適正かどうかを判断する。
【0014】
ガス濃度測定装置5により測定した濃度が所定以上の値である場合には、滅菌ガスに曝された微細管2内部が滅菌状態に至らしめられたと判断できる。母ガスの気圧は、負圧あるいは陽圧でも差し支えなく、滅菌作用を持つ化学的活性種が発生しやすい圧力条件を自由に選択してよい。
【0015】
ガス濃度測定装置5としては、例えばガス検知管が用いられる。測定した化学的活性種の濃度の情報を他に利用する場合には、ガス濃度測定装置5として例えば紫外線吸収式の濃度計を用いる。このガス濃度測定装置5は、必ずしも微細管2の出口部22に接続する必要はなく、測定する濃度と微細管2内を流れる滅菌ガスにおける化学的活性種の濃度との対応関係が明らかなら、微細管2の入口部21に接続してもよい。また、ガス濃度測定装置5は、微細管2の入口部21と出口部22の両側に接続してもよい。
【0016】
図2は、本発明の第1の実施形態にしたがった滅菌ガス発生装置3の内部構成を示す図である。
図2に示すように、滅菌ガス発生装置3には、放電プラズマ発生装置30、ガスボンベ31および希釈器33が設けられる。
放電プラズマ発生装置30は、その一方でガスホース32aを介してガスボンベ31と接続される。放電プラズマ発生装置30は、その他方でガスホース32bおよびガス管4aを介して内視鏡1内の微細管2の入口部21と接続され、ガスホース32bの途中に希釈器33が分岐接続される。
【0017】
ガスボンベ31には、滅菌ガスの元となる母ガスが封入される。滅菌ガスの化学的活性種として例えばオゾンを使用する場合には、母ガスとして例えば純酸素ガスまたは乾燥空気を使用する。
このガスボンベ31は、圧力調整機能および流量調整機能を有する。管用滅菌装置の使用者は、ガスボンベ31の圧力調整機能により、母ガスの圧力を室内圧力よりやや高めに設定する。また、使用者は、ガスボンベ31の流量調整機能により、母ガスの流量を所定の流量に設定し、これを維持させる。
【0018】
放電プラズマ発生装置30は、ガスボンベ31により供給された母ガスに対してコロナ放電や誘電体バリア放電等の放電プラズマ処理を行って、化学的活性種を含んだガスを生成する。なお、放電に必要な放電電極その他の構成についてはここでは図示しない。
【0019】
希釈器33は、例えば送風機から構成され、ガスホース32b内の滅菌ガスを希釈する。すなわち、希釈器33により送出される気体例えば空気は、前記ガスホース32b内において、放電プラズマ発生装置30によって生成された化学的活性種と混合される。これにより、滅菌ガスに含まれる化学的活性種の濃度が滅菌に必要十分な濃度以下になるよう変化させる。
【0020】
次に、前記構成による管用滅菌装置の動作について説明する。
まず、滅菌ガス発生装置3内のガスボンベ31から純酸素ガス(母ガス)が、ガスホース32aを介して放電プラズマ発生装置30に送出される。放電プラズマ発生装置30は、プラズマを発生させて、オゾン(化学的活性種)を生成する。放電プラズマ発生装置30は、滅菌ガス、つまり、オゾンと純酸素ガスとの混合ガスを、ガス管4aを介して微細管2の内部に供給する。この際、微細管2内に供給される滅菌ガスは、希釈器33によって送り込まれる空気により希釈されて、微細管2へ注入される。これにより、微細管2内部の全般にわたり化学的活性種が注入,流通されて、該微細管2の内側全体に対する滅菌処理がなされる。
【0021】
そして、微細管2内に注入された滅菌ガスは、微細管2の出口部22からガス管4bを介して、ガス濃度測定装置5に排出される。
そして、この排出された滅菌ガスに含まれる化学的活性種の濃度をガス濃度測定装置5により測定する。使用者は、この測定された濃度の値に基づいて、微細管2内の滅菌が確実に行われているか否かを判断する。
【0022】
このような構成とすれば、滅菌ガスを生成するための放電プラズマ処理を、滅菌対象である管の外部において行なうので、管に対して放電プラズマが直接作用することがなくなり、当該管を損傷させずことなく内部の滅菌を行なうことができる。また、外部で予め生成した滅菌ガスを滅菌対象の管に注入するので、この管の形状に関係なく、また、この管を損傷させることなく管内部全体における滅菌処理を確実に行なうことができる。そして、滅菌対象の管に注入された滅菌ガスに含まれる化学的活性種の濃度を測定する手段を設けたので、滅菌処理に必要十分の化学的活性種が含まれたガスに対して微細管2の内部が曝されているか否かを判断することができる。
【0023】
図3は、図2に示した滅菌ガス発生装置3の別の構成例を示す図である。
図3に示した滅菌ガス発生装置3は、図2に示した構成と異なり、放電プラズマ発生装置30と送風機34とが備えられる。放電プラズマ発生装置30は、その一方に送風機34が、ガスホース32aを介して接続される。また、放電プラズマ発生装置30には、その他方に、ガスホース32bおよびガス管4aを介して内視鏡1内の微細管2が接続される。
この構成例における滅菌ガス発生装置3では、母ガスとして空気を用いる。まず、送風機34は、外部の空気を吸引し、これを、ガスホース32aを介して放電プラズマ発生装置30に送出する。そして、放電プラズマ発生装置30による放電プラズマ処理によって化学的活性種が発生すると、この化学的活性種を含んだガスがガスホース32bおよびガス管4aを介して微細管2に注入され、この微細管2内の滅菌処理が確実になされる。
【0024】
図4は、図2に示した滅菌ガス発生装置3の別の構成例を示す図である。
この構成例は、母ガスが、常温で液体、または固体である場合の構成例である。
図4に示した滅菌ガス発生装置3では、図2に示した構成と異なり、放電プラズマ発生装置30、ガス供給装置35,36が備えられる。ガス供給装置35,36は、それぞれガスホース32aを介して放電プラズマ発生装置30の一方と接続される。そして、放電プラズマ発生装置30は、その他方に、ガスホース32bおよびガス管4aを介して内視鏡1内の微細管2が接続される。
この構成例では、滅菌ガスとしてアルゴンと過酸化水素蒸気との混合気体を用いる。この場合、ガス供給装置35にはアルゴンが封入される。ガス供給装置36には、過酸化水素水溶液が封入される。ガス供給装置36は、この過酸化水素水溶液を気化して過酸化水素蒸気を生成する。
【0025】
放電プラズマ発生装置30には、ガス供給装置35により供給されたアルゴンと、ガス供給装置36により供給された過酸化水素蒸気との混合気体が注入される。以下、放電プラズマ発生装置30により発生した、化学的活性種を含むガスによる微細管2内の滅菌処理は前記同様に行なわれる。
【0026】
(第2の実施形態)
次に本発明の第2の実施形態について説明する。
なお、この実施形態に係る構成において、前述した第1の実施形態のそれと同一の部分については同一の符号を用いてその説明は省略する。
図5は、本発明の第2の実施形態にしたがった管用滅菌装置および滅菌対象器具の構成を示す図である。
図5に示すように、本実施形態にしたがった管用滅菌装置では、前述した第1の実施形態と異なり、内視鏡1内に、微細管2が複数本(ここでは2a,2bの2本)設けられている場合に、これら2a,2bの内部をそれぞれ滅菌する。また、複数本の微細管2a,2bに注入された滅菌ガスにおける化学的活性種の濃度をそれぞれ測定する。
【0027】
各微細管2a,2bの入口部2a1、2b1には、微細管2a,2bの数に応じて分岐したガス管4aを介して滅菌ガス発生装置3が接続される。また、各微細管2a,2bの出口部2a2、2b2には、ガス濃度測定装置5a,5bがそれぞれ接続される。
【0028】
この滅菌ガス発生装置3により生成した滅菌ガスが各微細管2a,2bに注入され、内部の滅菌処理がなされる。ガス濃度測定装置5a,5bは、それぞれの微細管2a,2bの出口部2a2,2b2に到達した滅菌ガス内の化学的活性種の濃度を測定する。この場合には、測定された各微細管2a,2b内の化学的活性種の濃度のうち最も低い値を滅菌作業の動作状態を示す指標とみなせばよい。
【0029】
このような構成とすれば、複数本の微細管を有する管においても、前述した第1の実施形態と同様の作用を得ることができる。
【0030】
(第3の実施形態)
次に本発明の第3の実施形態について説明する。
なお、この実施形態に係る構成において、前述した第1の実施形態のそれと同一の部分については同一の符号を用いてその説明は省略する。
例えば、滅菌用の化学的活性種としてオゾンを利用する場合には、滅菌に必要なオゾンの量は既に知られている。そこで、微細管2の出口部22に接続されたガス濃度測定装置5により測定した濃度の値に基づいて、滅菌ガス発生装置3の運転条件を自動的に変更して、微細管2内の滅菌処理に最適な条件による滅菌処理を行なうのが本実施形態の趣旨である。
【0031】
図6は、本発明の第3の実施形態にしたがった管用滅菌装置および滅菌対象器具の構成を示す図である。
図6に示すように、本実施形態にしたがった管用滅菌装置では、前述した第1の実施形態にしたがった構成に加え、制御装置6が新たに設けられる。制御装置6は、滅菌ガス発生装置3およびガス濃度測定装置5との間に接続される。
【0032】
図7は、本発明の第3の実施形態にしたがった滅菌ガス発生装置3の内部構成を示す図である。
図7に示すように、制御装置6からの制御信号線は、滅菌ガス発生装置3内のガスボンベ31と印加電圧調整器37に接続される。印加電圧調整器37は、放電プラズマ発生装置30に接続され、この放電プラズマ発生装置30によるプラズマ発生に係る印加電圧を調整する機能を有する。なお、印加電圧調整器37は、放電プラズマ発生装置30に内蔵した形態であってもよい。
【0033】
制御装置6は、ガス濃度測定装置5により測定された、滅菌ガス内の化学的活性種の濃度に基づいて、ガスボンベ31によるガス流量、ならびに印加電圧調整器37による印加電圧を制御する。これにより、放電プラズマ発生装置30において発生する化学的活性種の発生量を制御することができる。
【0034】
また、微細管2に注入される滅菌ガスの流量は、放電プラズマ発生器30に注入されるガスの量であるから、滅菌ガスの流量を調整するには、制御装置6により、ガスボンベ31の流量調整機能を用いて母ガスの流量を調整すればよい。
【0035】
このような構成とすれば、微細管2の出口部22に到達した滅菌ガス内の化学的活性種の濃度に応じて、滅菌ガス発生装置3による滅菌ガス発生の運転条件を制御するので、微細管2内の滅菌処理に最適な条件における滅菌処理ができる。
【0036】
すなわち、滅菌対象の管に注入された滅菌ガスに含まれる化学的活性種の濃度を測定する手段を設けたので、滅菌処理に必要十分の化学的活性種が含まれたガスに対して管内全体が曝されているか否かを判断することができ、確実に管内滅菌処理を行なうことができる。
【0037】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。
なお、この実施形態に係る構成において、前述した第1の実施形態のそれと同一の部分については同一の符号を用いてその説明は省略する。
前述した第1の実施形態にしたがった管用滅菌装置の滅菌ガス発生装置3により微細管2に滅菌ガスを注入しても、微細管2内の滅菌対象物である菌や有害物質が残存してしまう場合がある。この場合には、滅菌ガスを再度注入することになるが、経済的に効率が悪いばかりでなく、ガスボンベ31内のガスの残り容量が不十分である場合にはガスボンベ31を交換する必要が生じる。これを解消するのが本実施形態の趣旨である。
【0038】
図8は、本発明の第4の実施形態にしたがった管用滅菌装置および滅菌対象器具の構成を示す図である。
図8に示すように、本実施形態にしたがった管用滅菌装置では、図1に示した構成に加え、還流機構7が設けられる。還流機構7は、ガス濃度測定装置5と滅菌ガス発生装置3との間に設けられ、微細管2の出口部22に到達した滅菌ガスを、滅菌ガス発生装置3に還流させる。この場合、ガスボンベ31による母ガスの供給は停止させる。還流機構7によって還流された滅菌ガスは、微細管2の内部を通過する段階で起きる自然解離などにより、微細管2への注入前と比較して、その内部に含まれる化学的活性種の濃度が低下している。この還流された滅菌ガスは、滅菌ガス発生装置3の放電プラズマ発生装置30に戻る。そして、この還流したガスは、放電プラズマ発生装置30によるプラズマ処理により、化学的活性種を多く含むようになり、微細管2に注入され、当該微細管2内を再び滅菌する。
【0039】
このような構成とすれば、滅菌対象である微細管2内を一度通った滅菌ガスを還流させ、再び放電プラズマを作用させることで、滅菌作用を有する化学的活性種を生成するので、ガスボンベ31によって母ガスを再度供給する必要が無くなり、滅菌処理に係るガスの生成効率を向上することができる。
【0040】
なお、還流機構7は、ガス濃度測定装置5を介さずに、微細管2の出口部22に到達した滅菌ガスを滅菌ガス発生装置3に直接還流させる構成としてもよい。
【0041】
(第5の実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。
なお、この実施形態に係る構成において、前述した第1の実施形態のそれと同一の部分については同一の符号を用いてその説明は省略する。
前述した第1の実施形態にしたがった管用滅菌装置により微細管2に注入した滅菌ガスは、ガス濃度測定装置5による濃度測定が終了すると、そのまま外部へ放出される。しかし、滅菌ガスに含まれる化学的活性種が、例えばオゾンのように、外部に放出するのに必ずしも適さない物質である場合にはそのまま放出するのは望ましくない。これを解決するのが本実施形態の趣旨である。
【0042】
図9は、本発明の第5の実施形態にしたがった管用滅菌装置および滅菌対象器具の構成を示す図である。
図9に示すように、本実施形態にしたがった管用滅菌装置では、図1に示した構成に加え、滅菌ガス回収装置8が設けられる。滅菌ガス回収装置8は、ガス濃度測定装置5に接続される。
【0043】
滅菌ガス回収装置8は、ガス濃度測定装置5に導入された滅菌ガスを回収する容器を有する。滅菌ガス回収装置8内の容器には、その内部に、例えば吸着剤が装填される。滅菌ガス回収装置8に導入された滅菌ガスは、吸着剤の作用により、容器内に残留する。これにより滅菌ガスを回収することができる。
【0044】
このような構成とすれば、微細管2内を通過した滅菌ガスを回収する機構を備えたので、滅菌作用を有する化学的活性種が、外部に放出するのに適さない物質である場合でも、運用上の安全性を確保することができる。
【0045】
なお、滅菌ガス回収装置8は、ガス濃度測定装置5を介さずに、微細管2の出口部22に到達した滅菌ガスを直接回収する構成としてもよい。
また、前述した滅菌ガス回収装置8では、吸着剤により滅菌ガスを容器内に残留させる構成としたが、これに代えて、容器内に分解触媒を装填して、内部に導入した滅菌ガスに含まれる化学的活性種を、無害の物質に分解する構成としてもよい。
【0046】
以上説明した各実施形態を適宣組み合わせて管用滅菌装置を構成するようにしてもよい。また、滅菌対象である管は、入口部と出口部を有しガスが流通可能なものであれば形状は特に限定されない。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、滅菌対象である管の外部において、母ガスに放電プラズマを作用させて、滅菌作用を有するガスを生成し、これを管内に注入するので、滅菌対象の管の形状に関わらず、当該管に放電プラズマによる損傷を与えることなく、管内部の滅菌処理を有効かつ確実に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態にしたがった管用滅菌装置および滅菌対象器具の構成を示す図。
【図2】図1に示した滅菌ガス発生装置の内部構成を示す図。
【図3】図2に示した滅菌ガス発生装置の変形例を示す図。
【図4】図2に示した滅菌ガス発生装置の変形例を示す図。
【図5】本発明の第2の実施形態にしたがった管用滅菌装置および滅菌対象器具の構成を示す図。
【図6】本発明の第3の実施形態にしたがった管用滅菌装置および滅菌対象器具の構成を示す図。
【図7】図6に示した滅菌ガス発生装置の内部構成を示す図。
【図8】本発明の第4の実施形態にしたがった管用滅菌装置および滅菌対象器具の構成を示す図。
【図9】本発明の第5の実施形態にしたがった管用滅菌装置および滅菌対象器具の構成を示す図。
【符号の説明】
1…内視鏡、2、2a、2b…微細管、3…滅菌ガス発生装置、4a,4b…ガス管、5、5a、5b…ガス濃度測定装置、6…制御装置、7…還流機構、8…ガス回収装置、30…放電プラズマ発生装置、31…ガスボンベ、32a,32b…ガスホース、33…希釈器、34…送風機、35,36…ガス供給装置、37…印加電圧調整器。
【発明の属する技術分野】
本発明は、放電プラズマを用いて管の内部を滅菌する管用滅菌装置および滅菌方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
容器や管などの滅菌対象の器具の内側に存在する菌や有害物質、例えばNOXやSOXを除去する手段の1つとして、プラズマを用いた滅菌処理が挙げられる。
【0003】
ガスの雰囲気中にプラズマを発生させると、電子の非弾性衝突により、ガスに励起、解離および電離などの反応が起こり、その結果、化学的活性種が豊富に生成される。この性質を利用して、これらの化学的活性種を滅菌対象の器具の内側に導入して、当該器具の内側で起こる化学反応により内部の有害物質を分解する。これにより、器具内を滅菌する。
【0004】
これを実行する装置として、例えば特許文献1に開示される装置が知られている。この装置は、装置内の減圧室内のパレット上に滅菌対象の容器を据え置き、この容器の中にガスノズルと放電電極の一方を挿入し、この容器内において母ガスを注入した上で、滅菌用のプラズマを発生させて化学的活性種を生成する。これにより該容器内の滅菌処理をする。
【0005】
【特許文献1】
特開平6−263120号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の滅菌装置を用いて、例えば管の内部を滅菌する場合、放電電極の外径に対して滅菌対象の管の内径が小さい場合には、この管に放電電極を挿入することができない。また、滅菌対象の管が、その内径と放電電極の外径との差が殆ど無い管である場合には、放電電極の周辺に発生した放電プラズマが管の内壁に作用して当該内壁に損傷を与える恐れがある。また、放電電極の先端部分とそれ以外の部分では、放電プラズマの密度が異なるので、管の長さが一定以上の長さである場合には、放電電極と、接地されている管の内壁との距離に部分的に大小ができる。つまり、化学的活性種を生成するために必要な密度をもつ放電プラズマは、滅菌対象の管内において、放電電極と内壁との距離が近い領域のみで作用する。このような理由により、管内の全体にわたり均一な滅菌処理が有効になされないという問題があった。
【0007】
本発明は、前記の課題に鑑みなされたもので、滅菌対象の管の形状に関わらず、当該管内の滅菌処理を有効かつ確実に行なうことが可能になる管用滅菌装置および滅菌方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明に係わる管用滅菌装置は、母ガスに放電プラズマを作用させて、滅菌作用を有する物質を含むガスを生成する生成手段と、この生成手段により生成されたガスを管内に注入する注入手段とを備えたことを特徴とする。
【0009】
このような構成によれば、滅菌対象である管の外部において、母ガスに放電プラズマを作用させて、滅菌作用を有する物質を生成し、これを含んだガスを管内に注入して流通させるので、滅菌対象の管の形状に関わらず、放電プラズマにより当該管に損傷を与えることなく、内部の滅菌処理を有効かつ確実に行なうことができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下図面により本発明の実施形態について説明する。
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態にしたがった管用滅菌装置および滅菌対象器具の外観を示す図である。
本実施形態における管用滅菌装置は、図1中の滅菌ガス発生装置3およびガス濃度測定装置5を備えて構成される。また、本実施形態における滅菌対象器具とは、図1中の内視鏡1内の微細管2である。この微細管2は、直径数ミリメートル程度の管である。
【0011】
滅菌ガス発生装置3は、図1に示したように、ガス管4aを介して微細管2の入口部21に接続される。滅菌ガス発生装置3は、滅菌作用を有するガスの元となる母ガスの雰囲気中に放電プラズマを発生させて、このガスを、ガス管4aを介して微細管2に注入する。母ガスの雰囲気中に放電プラズマを発生させると、その中に、滅菌作用を有する化学的に活性な原子や分子やイオンなどの化学的活性種を含むことになる。以後、こうした滅菌作用をもつ化学的活性種を含んだガスを、滅菌ガスと呼称する。
【0012】
ガス濃度測定装置5は、図1に示したように、ガス管4bを介して微細管2の出口部22に接続される。このガス濃度測定装置5は、滅菌ガス発生装置3により微細管2に注入された滅菌ガスに含まれる化学的活性種の濃度を測定する。
【0013】
滅菌ガスにより微細管2の内側の滅菌処理を完全に行なわせるためには、当該微細管2の内側を、所定の濃度以上の化学的活性種が含まれる雰囲気に所定の時間以上曝さなければならない。そこで、微細管2内を流れる滅菌ガスに含まれる化学的活性種の濃度をガス濃度測定装置5により測定し、この測定結果に基づいて、化学的活性種の濃度が適正かどうかを判断する。
【0014】
ガス濃度測定装置5により測定した濃度が所定以上の値である場合には、滅菌ガスに曝された微細管2内部が滅菌状態に至らしめられたと判断できる。母ガスの気圧は、負圧あるいは陽圧でも差し支えなく、滅菌作用を持つ化学的活性種が発生しやすい圧力条件を自由に選択してよい。
【0015】
ガス濃度測定装置5としては、例えばガス検知管が用いられる。測定した化学的活性種の濃度の情報を他に利用する場合には、ガス濃度測定装置5として例えば紫外線吸収式の濃度計を用いる。このガス濃度測定装置5は、必ずしも微細管2の出口部22に接続する必要はなく、測定する濃度と微細管2内を流れる滅菌ガスにおける化学的活性種の濃度との対応関係が明らかなら、微細管2の入口部21に接続してもよい。また、ガス濃度測定装置5は、微細管2の入口部21と出口部22の両側に接続してもよい。
【0016】
図2は、本発明の第1の実施形態にしたがった滅菌ガス発生装置3の内部構成を示す図である。
図2に示すように、滅菌ガス発生装置3には、放電プラズマ発生装置30、ガスボンベ31および希釈器33が設けられる。
放電プラズマ発生装置30は、その一方でガスホース32aを介してガスボンベ31と接続される。放電プラズマ発生装置30は、その他方でガスホース32bおよびガス管4aを介して内視鏡1内の微細管2の入口部21と接続され、ガスホース32bの途中に希釈器33が分岐接続される。
【0017】
ガスボンベ31には、滅菌ガスの元となる母ガスが封入される。滅菌ガスの化学的活性種として例えばオゾンを使用する場合には、母ガスとして例えば純酸素ガスまたは乾燥空気を使用する。
このガスボンベ31は、圧力調整機能および流量調整機能を有する。管用滅菌装置の使用者は、ガスボンベ31の圧力調整機能により、母ガスの圧力を室内圧力よりやや高めに設定する。また、使用者は、ガスボンベ31の流量調整機能により、母ガスの流量を所定の流量に設定し、これを維持させる。
【0018】
放電プラズマ発生装置30は、ガスボンベ31により供給された母ガスに対してコロナ放電や誘電体バリア放電等の放電プラズマ処理を行って、化学的活性種を含んだガスを生成する。なお、放電に必要な放電電極その他の構成についてはここでは図示しない。
【0019】
希釈器33は、例えば送風機から構成され、ガスホース32b内の滅菌ガスを希釈する。すなわち、希釈器33により送出される気体例えば空気は、前記ガスホース32b内において、放電プラズマ発生装置30によって生成された化学的活性種と混合される。これにより、滅菌ガスに含まれる化学的活性種の濃度が滅菌に必要十分な濃度以下になるよう変化させる。
【0020】
次に、前記構成による管用滅菌装置の動作について説明する。
まず、滅菌ガス発生装置3内のガスボンベ31から純酸素ガス(母ガス)が、ガスホース32aを介して放電プラズマ発生装置30に送出される。放電プラズマ発生装置30は、プラズマを発生させて、オゾン(化学的活性種)を生成する。放電プラズマ発生装置30は、滅菌ガス、つまり、オゾンと純酸素ガスとの混合ガスを、ガス管4aを介して微細管2の内部に供給する。この際、微細管2内に供給される滅菌ガスは、希釈器33によって送り込まれる空気により希釈されて、微細管2へ注入される。これにより、微細管2内部の全般にわたり化学的活性種が注入,流通されて、該微細管2の内側全体に対する滅菌処理がなされる。
【0021】
そして、微細管2内に注入された滅菌ガスは、微細管2の出口部22からガス管4bを介して、ガス濃度測定装置5に排出される。
そして、この排出された滅菌ガスに含まれる化学的活性種の濃度をガス濃度測定装置5により測定する。使用者は、この測定された濃度の値に基づいて、微細管2内の滅菌が確実に行われているか否かを判断する。
【0022】
このような構成とすれば、滅菌ガスを生成するための放電プラズマ処理を、滅菌対象である管の外部において行なうので、管に対して放電プラズマが直接作用することがなくなり、当該管を損傷させずことなく内部の滅菌を行なうことができる。また、外部で予め生成した滅菌ガスを滅菌対象の管に注入するので、この管の形状に関係なく、また、この管を損傷させることなく管内部全体における滅菌処理を確実に行なうことができる。そして、滅菌対象の管に注入された滅菌ガスに含まれる化学的活性種の濃度を測定する手段を設けたので、滅菌処理に必要十分の化学的活性種が含まれたガスに対して微細管2の内部が曝されているか否かを判断することができる。
【0023】
図3は、図2に示した滅菌ガス発生装置3の別の構成例を示す図である。
図3に示した滅菌ガス発生装置3は、図2に示した構成と異なり、放電プラズマ発生装置30と送風機34とが備えられる。放電プラズマ発生装置30は、その一方に送風機34が、ガスホース32aを介して接続される。また、放電プラズマ発生装置30には、その他方に、ガスホース32bおよびガス管4aを介して内視鏡1内の微細管2が接続される。
この構成例における滅菌ガス発生装置3では、母ガスとして空気を用いる。まず、送風機34は、外部の空気を吸引し、これを、ガスホース32aを介して放電プラズマ発生装置30に送出する。そして、放電プラズマ発生装置30による放電プラズマ処理によって化学的活性種が発生すると、この化学的活性種を含んだガスがガスホース32bおよびガス管4aを介して微細管2に注入され、この微細管2内の滅菌処理が確実になされる。
【0024】
図4は、図2に示した滅菌ガス発生装置3の別の構成例を示す図である。
この構成例は、母ガスが、常温で液体、または固体である場合の構成例である。
図4に示した滅菌ガス発生装置3では、図2に示した構成と異なり、放電プラズマ発生装置30、ガス供給装置35,36が備えられる。ガス供給装置35,36は、それぞれガスホース32aを介して放電プラズマ発生装置30の一方と接続される。そして、放電プラズマ発生装置30は、その他方に、ガスホース32bおよびガス管4aを介して内視鏡1内の微細管2が接続される。
この構成例では、滅菌ガスとしてアルゴンと過酸化水素蒸気との混合気体を用いる。この場合、ガス供給装置35にはアルゴンが封入される。ガス供給装置36には、過酸化水素水溶液が封入される。ガス供給装置36は、この過酸化水素水溶液を気化して過酸化水素蒸気を生成する。
【0025】
放電プラズマ発生装置30には、ガス供給装置35により供給されたアルゴンと、ガス供給装置36により供給された過酸化水素蒸気との混合気体が注入される。以下、放電プラズマ発生装置30により発生した、化学的活性種を含むガスによる微細管2内の滅菌処理は前記同様に行なわれる。
【0026】
(第2の実施形態)
次に本発明の第2の実施形態について説明する。
なお、この実施形態に係る構成において、前述した第1の実施形態のそれと同一の部分については同一の符号を用いてその説明は省略する。
図5は、本発明の第2の実施形態にしたがった管用滅菌装置および滅菌対象器具の構成を示す図である。
図5に示すように、本実施形態にしたがった管用滅菌装置では、前述した第1の実施形態と異なり、内視鏡1内に、微細管2が複数本(ここでは2a,2bの2本)設けられている場合に、これら2a,2bの内部をそれぞれ滅菌する。また、複数本の微細管2a,2bに注入された滅菌ガスにおける化学的活性種の濃度をそれぞれ測定する。
【0027】
各微細管2a,2bの入口部2a1、2b1には、微細管2a,2bの数に応じて分岐したガス管4aを介して滅菌ガス発生装置3が接続される。また、各微細管2a,2bの出口部2a2、2b2には、ガス濃度測定装置5a,5bがそれぞれ接続される。
【0028】
この滅菌ガス発生装置3により生成した滅菌ガスが各微細管2a,2bに注入され、内部の滅菌処理がなされる。ガス濃度測定装置5a,5bは、それぞれの微細管2a,2bの出口部2a2,2b2に到達した滅菌ガス内の化学的活性種の濃度を測定する。この場合には、測定された各微細管2a,2b内の化学的活性種の濃度のうち最も低い値を滅菌作業の動作状態を示す指標とみなせばよい。
【0029】
このような構成とすれば、複数本の微細管を有する管においても、前述した第1の実施形態と同様の作用を得ることができる。
【0030】
(第3の実施形態)
次に本発明の第3の実施形態について説明する。
なお、この実施形態に係る構成において、前述した第1の実施形態のそれと同一の部分については同一の符号を用いてその説明は省略する。
例えば、滅菌用の化学的活性種としてオゾンを利用する場合には、滅菌に必要なオゾンの量は既に知られている。そこで、微細管2の出口部22に接続されたガス濃度測定装置5により測定した濃度の値に基づいて、滅菌ガス発生装置3の運転条件を自動的に変更して、微細管2内の滅菌処理に最適な条件による滅菌処理を行なうのが本実施形態の趣旨である。
【0031】
図6は、本発明の第3の実施形態にしたがった管用滅菌装置および滅菌対象器具の構成を示す図である。
図6に示すように、本実施形態にしたがった管用滅菌装置では、前述した第1の実施形態にしたがった構成に加え、制御装置6が新たに設けられる。制御装置6は、滅菌ガス発生装置3およびガス濃度測定装置5との間に接続される。
【0032】
図7は、本発明の第3の実施形態にしたがった滅菌ガス発生装置3の内部構成を示す図である。
図7に示すように、制御装置6からの制御信号線は、滅菌ガス発生装置3内のガスボンベ31と印加電圧調整器37に接続される。印加電圧調整器37は、放電プラズマ発生装置30に接続され、この放電プラズマ発生装置30によるプラズマ発生に係る印加電圧を調整する機能を有する。なお、印加電圧調整器37は、放電プラズマ発生装置30に内蔵した形態であってもよい。
【0033】
制御装置6は、ガス濃度測定装置5により測定された、滅菌ガス内の化学的活性種の濃度に基づいて、ガスボンベ31によるガス流量、ならびに印加電圧調整器37による印加電圧を制御する。これにより、放電プラズマ発生装置30において発生する化学的活性種の発生量を制御することができる。
【0034】
また、微細管2に注入される滅菌ガスの流量は、放電プラズマ発生器30に注入されるガスの量であるから、滅菌ガスの流量を調整するには、制御装置6により、ガスボンベ31の流量調整機能を用いて母ガスの流量を調整すればよい。
【0035】
このような構成とすれば、微細管2の出口部22に到達した滅菌ガス内の化学的活性種の濃度に応じて、滅菌ガス発生装置3による滅菌ガス発生の運転条件を制御するので、微細管2内の滅菌処理に最適な条件における滅菌処理ができる。
【0036】
すなわち、滅菌対象の管に注入された滅菌ガスに含まれる化学的活性種の濃度を測定する手段を設けたので、滅菌処理に必要十分の化学的活性種が含まれたガスに対して管内全体が曝されているか否かを判断することができ、確実に管内滅菌処理を行なうことができる。
【0037】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。
なお、この実施形態に係る構成において、前述した第1の実施形態のそれと同一の部分については同一の符号を用いてその説明は省略する。
前述した第1の実施形態にしたがった管用滅菌装置の滅菌ガス発生装置3により微細管2に滅菌ガスを注入しても、微細管2内の滅菌対象物である菌や有害物質が残存してしまう場合がある。この場合には、滅菌ガスを再度注入することになるが、経済的に効率が悪いばかりでなく、ガスボンベ31内のガスの残り容量が不十分である場合にはガスボンベ31を交換する必要が生じる。これを解消するのが本実施形態の趣旨である。
【0038】
図8は、本発明の第4の実施形態にしたがった管用滅菌装置および滅菌対象器具の構成を示す図である。
図8に示すように、本実施形態にしたがった管用滅菌装置では、図1に示した構成に加え、還流機構7が設けられる。還流機構7は、ガス濃度測定装置5と滅菌ガス発生装置3との間に設けられ、微細管2の出口部22に到達した滅菌ガスを、滅菌ガス発生装置3に還流させる。この場合、ガスボンベ31による母ガスの供給は停止させる。還流機構7によって還流された滅菌ガスは、微細管2の内部を通過する段階で起きる自然解離などにより、微細管2への注入前と比較して、その内部に含まれる化学的活性種の濃度が低下している。この還流された滅菌ガスは、滅菌ガス発生装置3の放電プラズマ発生装置30に戻る。そして、この還流したガスは、放電プラズマ発生装置30によるプラズマ処理により、化学的活性種を多く含むようになり、微細管2に注入され、当該微細管2内を再び滅菌する。
【0039】
このような構成とすれば、滅菌対象である微細管2内を一度通った滅菌ガスを還流させ、再び放電プラズマを作用させることで、滅菌作用を有する化学的活性種を生成するので、ガスボンベ31によって母ガスを再度供給する必要が無くなり、滅菌処理に係るガスの生成効率を向上することができる。
【0040】
なお、還流機構7は、ガス濃度測定装置5を介さずに、微細管2の出口部22に到達した滅菌ガスを滅菌ガス発生装置3に直接還流させる構成としてもよい。
【0041】
(第5の実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。
なお、この実施形態に係る構成において、前述した第1の実施形態のそれと同一の部分については同一の符号を用いてその説明は省略する。
前述した第1の実施形態にしたがった管用滅菌装置により微細管2に注入した滅菌ガスは、ガス濃度測定装置5による濃度測定が終了すると、そのまま外部へ放出される。しかし、滅菌ガスに含まれる化学的活性種が、例えばオゾンのように、外部に放出するのに必ずしも適さない物質である場合にはそのまま放出するのは望ましくない。これを解決するのが本実施形態の趣旨である。
【0042】
図9は、本発明の第5の実施形態にしたがった管用滅菌装置および滅菌対象器具の構成を示す図である。
図9に示すように、本実施形態にしたがった管用滅菌装置では、図1に示した構成に加え、滅菌ガス回収装置8が設けられる。滅菌ガス回収装置8は、ガス濃度測定装置5に接続される。
【0043】
滅菌ガス回収装置8は、ガス濃度測定装置5に導入された滅菌ガスを回収する容器を有する。滅菌ガス回収装置8内の容器には、その内部に、例えば吸着剤が装填される。滅菌ガス回収装置8に導入された滅菌ガスは、吸着剤の作用により、容器内に残留する。これにより滅菌ガスを回収することができる。
【0044】
このような構成とすれば、微細管2内を通過した滅菌ガスを回収する機構を備えたので、滅菌作用を有する化学的活性種が、外部に放出するのに適さない物質である場合でも、運用上の安全性を確保することができる。
【0045】
なお、滅菌ガス回収装置8は、ガス濃度測定装置5を介さずに、微細管2の出口部22に到達した滅菌ガスを直接回収する構成としてもよい。
また、前述した滅菌ガス回収装置8では、吸着剤により滅菌ガスを容器内に残留させる構成としたが、これに代えて、容器内に分解触媒を装填して、内部に導入した滅菌ガスに含まれる化学的活性種を、無害の物質に分解する構成としてもよい。
【0046】
以上説明した各実施形態を適宣組み合わせて管用滅菌装置を構成するようにしてもよい。また、滅菌対象である管は、入口部と出口部を有しガスが流通可能なものであれば形状は特に限定されない。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、滅菌対象である管の外部において、母ガスに放電プラズマを作用させて、滅菌作用を有するガスを生成し、これを管内に注入するので、滅菌対象の管の形状に関わらず、当該管に放電プラズマによる損傷を与えることなく、管内部の滅菌処理を有効かつ確実に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態にしたがった管用滅菌装置および滅菌対象器具の構成を示す図。
【図2】図1に示した滅菌ガス発生装置の内部構成を示す図。
【図3】図2に示した滅菌ガス発生装置の変形例を示す図。
【図4】図2に示した滅菌ガス発生装置の変形例を示す図。
【図5】本発明の第2の実施形態にしたがった管用滅菌装置および滅菌対象器具の構成を示す図。
【図6】本発明の第3の実施形態にしたがった管用滅菌装置および滅菌対象器具の構成を示す図。
【図7】図6に示した滅菌ガス発生装置の内部構成を示す図。
【図8】本発明の第4の実施形態にしたがった管用滅菌装置および滅菌対象器具の構成を示す図。
【図9】本発明の第5の実施形態にしたがった管用滅菌装置および滅菌対象器具の構成を示す図。
【符号の説明】
1…内視鏡、2、2a、2b…微細管、3…滅菌ガス発生装置、4a,4b…ガス管、5、5a、5b…ガス濃度測定装置、6…制御装置、7…還流機構、8…ガス回収装置、30…放電プラズマ発生装置、31…ガスボンベ、32a,32b…ガスホース、33…希釈器、34…送風機、35,36…ガス供給装置、37…印加電圧調整器。
Claims (10)
- 母ガスに放電プラズマを作用させて、滅菌作用を有する物質を含むガスを生成する生成手段と、
この生成手段により生成されたガスを滅菌対象の管内に注入する注入手段と
を備えたことを特徴とする管用滅菌装置。 - 前記注入手段は、前記生成手段により生成したガスを滅菌対象の複数の管内にそれぞれ注入することを特徴とする請求項1に記載の管用滅菌装置。
- 前記注入手段により前記管内に注入されたガスにおける滅菌作用を有する物質の濃度を測定する測定手段を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の管用滅菌装置。
- 前記測定手段により測定された濃度に基づいて、前記管内を通るガスを制御する制御手段を備えたことを特徴とする請求項3に記載の管用滅菌装置。
- 前記制御手段は、前記測定手段により測定された濃度に基づいて、前記生成手段により生成するガスの量を制御することを特徴とする請求項4に記載の管用滅菌装置。
- 前記制御手段は、前記測定手段により測定された濃度に基づいて、前記生成手段により母ガスに作用させる放電プラズマの強度を制御することを特徴とする請求項4に記載の管用滅菌装置。
- 前記注入手段は、前記生成手段により生成したガスを、前記管の一方の開口部を介して管内に注入し、
前記注入手段により前記管内に注入されたガスを前記管の他方の開口部を介して取得するガス取得手段を備え、
前記生成手段は、前記ガス取得手段により取得したガスに前記放電プラズマを作用させ、滅菌作用を有する物質を含むガスを生成する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載の管用滅菌装置。 - 前記注入手段により前記管内に注入され、当該管内から排出されたガスに含まれる、滅菌作用を有する物質を所定の容器内に吸着させるガス回収手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載の管用滅菌装置。
- 前記注入手段により前記管内に注入され、当該管内から排出されたガスに含まれる、滅菌作用を有する物質を、無害な物質に分解するガス分解手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載の管用滅菌装置。
- 母ガスの雰囲気中に放電プラズマを発生させて化学的活性種を含む滅菌ガスとする工程と、
入口部と出口部とを有する滅菌対象物の入口部から前記滅菌ガスを送り込みこの滅菌対象物内に前記滅菌ガスを流通させる工程と、
流通させた滅菌ガスの濃度を測定する工程と
を有する滅菌方法。
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