JP2005044711A - 制御弁式鉛蓄電池 - Google Patents

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晃一 尾上
Hisaaki Takabayashi
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Abstract

【課題】 蓋とブッシングとの境界部分から、漏液しにくい構造の制御弁式鉛蓄電池を提供する。
【解決手段】 正極板、負極板及びセパレータによって構成されており、ストラップと極柱とを有する極板群を製造する。製造した極板群を合成樹脂製の電槽に挿入し、極柱に筒状冶具を嵌合させた後にOリングを挿入する。そして、筒状冶具に上方からエポキシ系接着剤を充填した状態で、蓋を熱溶着した後に、加熱して、エポキシ系接着剤を固化させて、極柱と蓋の環状部とが接着されている制御弁式鉛蓄電池を製造する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、制御弁式鉛蓄電池に関するものである。
図2、図4は、従来から使用されている一般的な制御弁式鉛蓄電池の概略図である。すなわち、正極板1や負極板2などの発電素子がセパレータ3を介して積層されており、正極板1や負極板2の耳部8が極柱9を有するストラップ6に溶接されて極板群を形成する。
次に、極板群を電槽4に収納した後に、ブッシング10が埋め込まれている蓋5を被せる。すなわち、極板群の上部の極柱9を、略円筒形状をしたブッシング10の中央の穴部を貫通するように嵌合させ、電槽4と蓋5との対向部分を接合、例えば、熱溶着をして一体化する。
蓋5のブッシング10と極柱9との嵌合部を加熱溶接、例えば、バーナ溶接をして溶接部14を形成する(図2)。そして、上方からエポキシ系接着剤16aを流し込んで固化させて密封するとともに、極柱9を蓋5にしっかりと固定する。
ここで、極柱9の上方には、外部負荷に接続するための端子7が埋め込まれており、その中央にはネジ部15が切られている(図2)。そして、端子7の部分に図示されていない圧着端子などの付いたリード線を、ボルトなどを用いて締め付けることによって、端子部1に固定する。
なお、長期間にわたる制御弁式鉛蓄電池の使用によって、ブッシング10の外側面部分と樹脂製の蓋5との境界部分を通って、電解液として使用をしている希硫酸が外部へ濾液する場合が認められた(図2参考)。
そこで、従来のブッシング10の外側面部分には、凹凸をした環状突部11が設けられており、希硫酸電解液が外部へ濾液するまでの距離を稼ぐための工夫がされていた。この部分の形状についても、各種の検討がされている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2001−93509号公報
しかしながら、制御弁式鉛蓄電池が長期間にわたって使用されると、内部の希硫酸電解液によって、鉛合金製の極柱9の表面やブッシング10の内側面部分で硫酸鉛化(主に、負極部で発生)したり、酸化鉛化(主に、正極部で発生)することが知られている。
そして、硫酸鉛や酸化鉛が、ブッシング10の内側面部分と極柱9との間の隙間部分に蓄積すると、略円筒形状をしたブッシング10に外側方向に力がかかる。ここで、鉛合金製のブッシング10と樹脂製の蓋5とは、物理的な結合力でしか接合していない。その結果、蓋5からブッシング10が剥がれて、内部の希硫酸電解液が外部に漏れるという問題点が認められていた。
本発明の目的は、長期間の使用をした場合においても、希硫酸電解液が外部に漏れにくい構造の制御弁式鉛蓄電池を提供することである。
上記した課題を解決するために、本発明に係わる制御弁式鉛蓄電池は、極柱9と蓋5の環状部20とを、接着剤で接着することによって、電解液の這い上がりを防止したものである。
すなわち、請求項1の発明は、正極板、負極板及びセパレータによって構成されており、ストラップと極柱とを有する極板群を合成樹脂製の電槽に挿入し、蓋を付けて製造する制御弁式鉛蓄電池において、前記極柱と前記蓋の環状部とが接着されていることを特徴とするものである。
請求項2の発明は、正極板、負極板及びセパレータによって構成されており、ストラップと極柱とを有する極板群を合成樹脂製の電槽に挿入し、蓋を付けて製造する制御弁式鉛蓄電池において、前記極柱には筒状冶具が嵌合されており、該筒状冶具に接着剤を充填することによって、前記極柱と前記蓋の環状部とが接着されていることを特徴とするものである。
本発明の効果として、希硫酸電解液が外部に濾液しにくい制御弁式鉛蓄電池を提供できるために工業上有用なものである。
以下において、本発明の実施をするための最良の形態を図1、図3及び図4を用いて詳細に説明する。
1.蓋の作製
ブッシング10が、ポリプロピレン樹脂を材料としてインサート成形されている従来から使用されている蓋5を用いて検討をした。これらのブッシング10は鉛合金製であり、略円筒形状をしており、その側面部分には多数の環状突部11を有している(図1)。なお、これらのブッシング10は、鋳造によって作製されている。
2.制御弁式鉛蓄電池の作製
図4は、従来から使用されている一般的な制御弁式鉛蓄電池の概略図である。すなわち、正極板1や負極板2などの発電素子がセパレータ3を介して積層されており、正極板1や負極板2の耳部18が極柱9を有するストラップ6に溶接されて極板群を形成する。
次に、図3(a)に示すように、極柱9を有する極板群を電槽4に収納した後に、極柱9の部分に筒状冶具21を嵌合させ、その底部にOリング22を挿入し、筒状冶具21の部分に上方からエポキシ系接着剤16bを充填する。ここで、極柱9の部分にOリング22を被せて挿入しているのは、エポキシ系接着剤16bが下方へ漏れるのを防ぐためである(図1参照)。
そして、図3(b)に示すように、ブッシング10がインサート成形されている蓋5を極柱9の上方から被せる。すなわち、極板群の極柱9は、略円筒形状をしたブッシング10の中央の穴部を貫通するように嵌合させ、電槽4と蓋5との対向部分を接合、例えば、熱溶着をして一体化する(図3(c))。
蓋5のブッシング10と極柱9の嵌合部を加熱溶接、例えば、バーナ溶接をして、溶接部14を形成する(図1)。そして、上方からエポキシ系接着剤16aを流し込んで、約70℃の熱硬化炉に1時間投入してエポキシ系接着剤16bとともに固化させて密封するとともに、極柱9を蓋5にしっかりと固定する(図1)。すなわち、本発明に係わる制御弁式鉛蓄電池は、筒状冶具21を有し、極柱9と蓋5の環状部20とがエポキシ系接着剤16bによって接着されているものである。
ここで、極柱9の上方には、外部の負荷に接続するための端子7が埋め込まれており、その中央にはネジ部15を有し、雌ネジが切られている。そして、端子7に、図示されていない圧着端子などの付いたリード線をボルトなどを用いて締め付けることによって固定する。
そして、従来の手法で、希硫酸電解液を注液した後に電槽化成をし、安全弁を取り付けて密閉して、2V−200Ah(ただし、20時間率放電容量)の制御弁式制御弁式鉛蓄電池を作製した。
比較例として、図2に示されるような従来から使用されている構造の2V−200Ahの制御弁式鉛蓄電池を作製した。すなわち、従来から使用されている制御弁式鉛蓄電池は、筒状冶具21を有さないものであり、極柱9と蓋5の環状部20がエポキシ系接着剤16bによって接着されていないものである。その他の製造方法は、上述した本発明に係わる制御弁式鉛蓄電池と同様である。
3.制御弁式鉛蓄電池の濾液試験
上記した手法で作製した2種類の制御弁式鉛蓄電池をそれぞれ10個ずつ漏液試験をした。ここで、濾液試験の加速試験方法として、71℃、2.23Vの定電圧充電を連続的に行ない、150日後に蓋5の端子7付近の漏液状況を調査した。
濾液試験をした結果を表1に示す。表1により、本発明に係わる制御弁式鉛蓄電池では漏液は認められなかったが、比較例の制御弁式鉛蓄電池では5個の漏液が認められた。
本発明に係わる制御弁式鉛蓄電池は、蓋5と極柱9との間がエポキシ系接着剤16bで接着されており、この部分からの電解液の這い上がりが抑制されているためと考えられる。
なお、極柱の周囲に設けた筒状冶具21やOリング22の代わりに、この形状を極柱9の鋳造時に一体化した状態で鋳造して形成することもできる。
Figure 2005044711
本発明を用いると、蓋とブッシングとの境界部分から、濾液しにくい制御弁式鉛蓄電池を提供することができる。
本発明に係わる制御弁式鉛蓄電池の端子付近の断面概略図である。 従来から使用されている制御弁式鉛蓄電池の端子付近の断面概略図である。 本発明に係わる制御弁式鉛蓄電池の製造方法の概略図である。 制御弁式鉛蓄電池の切欠き断面斜視図である。
符号の説明
1:正極板、2:負極板、3:セパレータ、4:電槽、5:蓋、6:ストラップ、
7:端子、8:安全弁部、9:極柱、10:ブッシング、11:環状突部、
14:溶接部、15:ネジ部、16a,b:エポキシ系接着剤、18:耳部、
20:環状部、21:筒型冶具、22:Oリング

Claims (2)

  1. 正極板、負極板及びセパレータによって構成されており、ストラップと極柱とを有する極板群を合成樹脂製の電槽に挿入し、蓋を付けて製造する制御弁式鉛蓄電池において、前記極柱と前記蓋の環状部とが接着されていることを特徴とする制御弁式鉛蓄電池。
  2. 正極板、負極板及びセパレータによって構成されており、ストラップと極柱とを有する極板群を合成樹脂製の電槽に挿入し、蓋を付けて製造する制御弁式鉛蓄電池において、前記極柱には筒状冶具が嵌合されており、該筒状冶具に接着剤を充填することによって、前記極柱と前記蓋の環状部とが接着されていることを特徴とする制御弁式鉛蓄電池。
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Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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