JP2005044696A - 光電変換素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】 高性能な光電変換素子、特に固体電解質を用いた耐久性が高い光電変換素子を提供する。
【解決手段】 少なくとも一方が透明の二枚の導電性基板と、少なくともその間に設けられた可逆な電気化学的酸化還元特性を示す物質を含有した電解質層からなる光電変換素子であって、前記二枚の導電性基板間の距離をL(cm)、前記電解質層内の可逆な電気化学的酸化還元特性を示す物質の拡散係数をD(cm2/s)とした場合に、下記関係式を満たすことを特徴とする。
D/L≧0.0003cm/s
【選択図】 図1
【解決手段】 少なくとも一方が透明の二枚の導電性基板と、少なくともその間に設けられた可逆な電気化学的酸化還元特性を示す物質を含有した電解質層からなる光電変換素子であって、前記二枚の導電性基板間の距離をL(cm)、前記電解質層内の可逆な電気化学的酸化還元特性を示す物質の拡散係数をD(cm2/s)とした場合に、下記関係式を満たすことを特徴とする。
D/L≧0.0003cm/s
【選択図】 図1
Description
本発明は新規な光電変換素子に関する。
色素増感型太陽電池に代表される、いわゆる湿式太陽電池などの光電変換素子は、一般に二つ以上の電極を有し、その電極間に電解質を蓄えた構造を有する。このような光電変換素子においては、電解質は電荷の伝達媒体として素子機能に不可欠な役割を果たし、その電気化学的特性、特に電荷の伝達媒体として一般的に用いられる、可逆な電気化学的酸化還元特性を示す物質の拡散係数は、太陽電池特性に大きく影響を与える(例えば、非特許文献1参照。)。また、電極間の距離も太陽電池特性に大きな影響を与える(例えば、非特許文献2参照。)。しかしながら、これらの要素は、独立して議論されることが多く、これまで、相互に関係付けて最適化されることはあまり行われなかった。特に、従来から用いられている液体電解質では、素子の破損による電解液漏れ、長期使用時における電解液の蒸散等の問題があることから、固体電解質を用いた太陽電池の研究が近年盛んに行われているが(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)、固体電解質の物性のみが着目されるのみで、系全体としての最適化がこれまでほとんど行われていないのが実状である。
本発明はこのような実状に鑑み成されたものであり、電解質層の電気化学的特性と電極間の距離を相互に関連付けて最適化することで、高性能な光電変換素子を提供することを目的とする。また、本発明は、さらに、上記関連付けを固体電解質にも応用することで、耐久性が高い光電変換素子を簡便な作製方法によって提供することを目的とする。
すなわち、本発明は、少なくとも一方が透明の二枚の導電性基板と、少なくともその間に設けられた可逆な電気化学的酸化還元特性を示す物質を含有した電解質層からなる光電変換素子であって、前記二枚の導電性基板間の距離をL(cm)、前記電解質層内の可逆な電気化学的酸化還元特性を示す物質の拡散係数をD(cm2/s)とした場合に、下記関係式を満たすことを特徴とする光電変換素子に関する。
D/L≧0.0003cm/s
また、本発明は、前記電解質層が、固体電解質であることを特徴とする光電変換素子に関する。
また、本発明は、前記固体電解質が、少なくとも高分子マトリックスおよび可逆な電気化学的酸化還元特性を示す物質を構成成分として含むイオン伝導性フィルムであることを特徴とする光電変換素子に関する。
また、本発明は、前記高分子マトリックスがポリフッ化ビニリデン系高分子化合物であることを特徴とする光電変換素子に関する。
また、本発明は、前記ポリフッ化ビニリデン系高分子化合物がカルボキシル基を含有することを特徴とする光電変換素子に関する。
さらに、本発明は、前記可逆な電気化学的酸化還元特性を示す物質が常温溶融塩類であることを特徴とする光電変換素子に関する。
D/L≧0.0003cm/s
また、本発明は、前記電解質層が、固体電解質であることを特徴とする光電変換素子に関する。
また、本発明は、前記固体電解質が、少なくとも高分子マトリックスおよび可逆な電気化学的酸化還元特性を示す物質を構成成分として含むイオン伝導性フィルムであることを特徴とする光電変換素子に関する。
また、本発明は、前記高分子マトリックスがポリフッ化ビニリデン系高分子化合物であることを特徴とする光電変換素子に関する。
また、本発明は、前記ポリフッ化ビニリデン系高分子化合物がカルボキシル基を含有することを特徴とする光電変換素子に関する。
さらに、本発明は、前記可逆な電気化学的酸化還元特性を示す物質が常温溶融塩類であることを特徴とする光電変換素子に関する。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の光電変換素子は、可逆な電気化学的酸化還元特性を示す物質を含有する電解質層を必須に有するものである。電解質層は、通常、一組の電極基板の間に挿入されることで用いられ、電解質層中に含まれる可逆な電気化学的酸化還元特性を示す物質によって、電子を輸送する作用を具備する。例えば、電気化学的酸化還元特性を示す物質の酸化体が、片方の電極で還元され電子を受け取り還元体となり、もう一方の電極まで拡散し、電極へ電子を受け渡すことで酸化体へ戻る。酸化体は再び元の電極へ拡散し、電子を受け取る。この過程は、実質的に電解質層中を電子が流れる事と等価であって、電解質層が電子輸送媒体として機能している。
本発明の光電変換素子は、可逆な電気化学的酸化還元特性を示す物質を含有する電解質層を必須に有するものである。電解質層は、通常、一組の電極基板の間に挿入されることで用いられ、電解質層中に含まれる可逆な電気化学的酸化還元特性を示す物質によって、電子を輸送する作用を具備する。例えば、電気化学的酸化還元特性を示す物質の酸化体が、片方の電極で還元され電子を受け取り還元体となり、もう一方の電極まで拡散し、電極へ電子を受け渡すことで酸化体へ戻る。酸化体は再び元の電極へ拡散し、電子を受け取る。この過程は、実質的に電解質層中を電子が流れる事と等価であって、電解質層が電子輸送媒体として機能している。
本発明に用いられる電解質層としては、可逆な電気化学的酸化還元特性を示す物質を含有することが必須である。ここで、可逆な電気化学的酸化還元特性を示すということは、光電変換素子の作用する電位領域において、可逆的な電気化学的に酸化還元反応を起こし得ることをいう。典型的には、通常、水素基準電極(NHE)に対して−1〜+2Vの電位領域で可逆的であることが望ましい。
可逆な電気化学的酸化還元特性を示す物質は、通常、いわゆるレドックス材と称されるものであるが、特にその種類を制限するものではない。かかる物質としては、例えば、フェロセン、p−ベンゾキノン、7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン、N,N,N’,N’−テトラメチル−p−フェニレンジアミン、テトラチアフルバレン、チアントラセン、p−トルイルアミン等を挙げることができる。また、LiI、NaI、KI、CsI、CaI2、4級イミダゾリウムのヨウ素塩、テトラアルキルアンモニウムのヨウ素塩、Br2とLiBr、NaBr、KBr、CsBr、CaBr2などの金属臭化物などが挙げられ、また、Br2とテトラアルキルアンモニウムブロマイド、ビピリジニウムブロマイド、臭素塩、フェロシアン酸―フェリシアン酸塩などの錯塩、ポリ硫化ナトリウム、アルキルチオール−アルキルジスルフィド、ヒドロキノン−キノン、ビオロゲン色素などを挙げることができる。
可逆な電気化学的酸化還元特性を示す物質は、通常、いわゆるレドックス材と称されるものであるが、特にその種類を制限するものではない。かかる物質としては、例えば、フェロセン、p−ベンゾキノン、7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン、N,N,N’,N’−テトラメチル−p−フェニレンジアミン、テトラチアフルバレン、チアントラセン、p−トルイルアミン等を挙げることができる。また、LiI、NaI、KI、CsI、CaI2、4級イミダゾリウムのヨウ素塩、テトラアルキルアンモニウムのヨウ素塩、Br2とLiBr、NaBr、KBr、CsBr、CaBr2などの金属臭化物などが挙げられ、また、Br2とテトラアルキルアンモニウムブロマイド、ビピリジニウムブロマイド、臭素塩、フェロシアン酸―フェリシアン酸塩などの錯塩、ポリ硫化ナトリウム、アルキルチオール−アルキルジスルフィド、ヒドロキノン−キノン、ビオロゲン色素などを挙げることができる。
レドックス材は、酸化体、還元体のどちらか一方のみを用いてもよいし、酸化体と還元体を適当なモル比で混合し、添加することもできる。また、電気化学的応答性を示すように、これら酸化還元対を添加するなどしても良い。そのような性質を示す材料としては、ハロゲンイオン、SCN-、ClO4 -、BF4 -、CF3SO3 -、(CF3SO2)2N-、(C2F5SO2)2N-、PF6 -、AsF6 -、CH3COO-、CH3(C6H4)SO3 -、および(C2F5SO2)3C-から選ばれる対アニオンを有するフェロセニウムなどのメタロセニウム塩などのほか、ヨウ素、臭素、塩素などのハロゲン類を用いることもできる。
また、他の可逆な電気化学的酸化還元特性を示す物質としては、ハロゲンイオン、SCN-から選ばれる対アニオン(X-)を有する塩があげられる。カチオンとしては、4級アンモニウム塩として、具体的には、(CH3)4NX-、(C2H5)4NX-、(n−C4H9)4NX-、さらには、
等が挙げられる。対アニオン(X-)を有するホスホニウム塩、具体的には、(CH3)4PX-、(C2H5)4PX-、(C3H7)4PX-、(C4H9)4PX-等が挙げられる。
もちろん、これらの混合物も好適に用いることができる。
もちろん、これらの混合物も好適に用いることができる。
また、可逆な電気化学的酸化還元特性を示す物質として、レドックス性常温溶融塩類も用いることができる。ここで、レドックス性常温溶融塩とは、溶媒成分が含まれないイオン対のみからなる常温において溶融している(即ち液状の)イオン対からなる塩であり、通常、融点が20℃以下であり、20℃を越える温度で液状であるイオン対からなる塩を示すものであって、かつ可逆的な電気化学的酸化還元反応を行うことができるものである。可逆な電気化学的酸化還元特性を示す物質として、レドックス性常温溶融塩類を用いる場合、前記溶媒は用いても、用いなくてもどちらの形態でもよい。
レドックス性常温溶融塩はその1種を単独で使用することができ、また2種以上を混合しても使用することもできる。
レドックス性常温溶融塩の例としては、例えば、以下のものが挙げられる。
レドックス性常温溶融塩はその1種を単独で使用することができ、また2種以上を混合しても使用することもできる。
レドックス性常温溶融塩の例としては、例えば、以下のものが挙げられる。
(ここで、Rは炭素数2〜20、好ましくは2〜10のアルキル基を示し、X-はハロゲンイオンまたはSCN-を示す。)
(ここで、R1およびR2は各々炭素数1〜10のアルキル基(好ましくはメチル基またはエチル基)、または炭素数7〜20、好ましくは7〜13のアラルキル基(好ましくはベンジル基)を示しており、互いに同一でも異なっても良い。また、X-はハロゲンイオンまたはSCN-を示す。)
(ここで、R1、R2、R3、R4は、各々炭素数1以上、好ましくは炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基(フェニル基など)、またはメトキシメチル基などを示し、互いに同一でも異なってもよい。また、X-はハロゲンイオンまたはSCN-を示す。)
本発明の電解質層としては、前記の可逆な電気化学的酸化還元特性を示す物質を含み、その物質の拡散係数が前記式で示した関係を満たすものであれば、液体系でも固体系でもいずれでもよく、特に限定されない。拡散係数の測定方法としては、例えば、コットレルプロット等が用いられる。具体的には、測定対象の可逆な電気化学的酸化還元特性を示す物質を含有する電解質を2枚の白金電極間に挟み込み、可逆な電気化学的酸化還元特性を示す物質が拡散律速となるような電位を両電極間に印加し、その時の電流の時間変化を測定する。得られた測定データを、
に対して電流値(I)をプロットすると、その時の傾きは、下式で表され、この傾きから拡散係数を求めることができる。
(n:酸化還元反応に関与する電子数、F:ファラデー定数、Co:可逆な電気化学的酸化還元特性を示す物質の初期濃度、A:電極面積、D:拡散係数)
本発明においては、上記のようにして求めた拡散係数D(cm2/s)と光電変換素子を構成する2枚の導電性基板間の距離L(cm)が以下の関係を満たす場合に、性能の良好な光電変換素子が作製できる。
D/L≧0.0003cm/s
D/L≧0.0003cm/s
D/Lは0.0003cm/s以上であれば特に制限されないが、好ましくは0.0005cm/s以上、さらに好ましくは、0.0008cm/s以上、よりさらに好ましくは0.001cm/s以上が望ましい。また、拡散係数Dおよび2枚の導電性基板間の距離Lは上記関係を満たす限りにおいては特に制限されないが、拡散係数Dは1×10-9cm2/s以上、好ましくは1×10-8cm2/s以上、さらに好ましくは1×10-7cm2/s以上、よりさらに好ましくは、1×10-6cm2/sが望ましく、2枚の導電性基板間の距離Lは通常1μm以上、好ましくは5μm以上、さらに好ましくは10μm以上、よりさらに好ましくは20μm以上であり、通常1mm以下、好ましくは500μm以下、さらに好ましくは200μm以下、よりさらに好ましくは100μm以下が望ましい。
液体系の電解質としては特に限定されるものではなく、通常、溶媒、上述した可逆な電気化学的酸化還元特性を示す物質(溶媒に可溶なもの)およびさらに必要に応じて支持電解質を基本的成分として構成される。
溶媒としては、一般に電気化学セルや電池に用いられる溶媒であればいずれも使用することができる。具体的には、無水酢酸、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、プロピレンカーボネート、ニトロメタン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホアミド、エチレンカーボネート、ジメトキシエタン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、スルホラン、ジメトキシエタン、プロピオンニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、ジメチルアセトアミド、メチルピロリジノン、ジメチルスルホキシド、ジオキソラン、スルホラン、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリプロピル、リン酸エチルジメチル、リン酸トリブチル、リン酸トリペンチル、リン酸トリへキシル、リン酸トリヘプチル、リン酸トリオクチル、リン酸トリノニル、リン酸トリデシル、リン酸トリス(トリフフロロメチル)、リン酸トリス(ペンタフロロエチル)、リン酸トリフェニルポリエチレングリコール、及びポリエチレングリコール等が使用可能である。特に、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルスルホキシド、ジメトキシエタン、アセトニトリル、γ−ブチロラクトン、スルホラン、ジオキソラン、ジメチルホルムアミド、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、メトキシプロピオニトリル、ジメチルアセトアミド、メチルピロリジノン、ジメチルスルホキシド、ジオキソラン、スルホラン、リン酸トリメチル、リン酸トリエチルが好ましい。また、常温溶融塩類も用いることができる。ここで、常温溶融塩とは、溶媒成分が含まれないイオン対のみからなる常温において溶融している(即ち液状の)イオン対からなる塩であり、通常、融点が20℃以下であり、20℃を越える温度で液状であるイオン対からなる塩を示すものである。
常温溶融塩の例としては、例えば、以下のものが挙げられる。
常温溶融塩の例としては、例えば、以下のものが挙げられる。
(ここで、Rは炭素数2〜20、好ましくは2〜10のアルキル基を示し、X-はハロゲンイオンまたはSCN-を示す。)
(ここで、R1およびR2は各々炭素数1〜10のアルキル基(好ましくはメチル基またはエチル基)、または炭素数7〜20、好ましくは7〜13のアラルキル基(好ましくはベンジル基)を示しており、互いに同一でも異なっても良い。また、X-はハロゲンイオンまたはSCN-を示す。)
(ここで、R1、R2、R3、R4は、各々炭素数1以上、好ましくは炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基(フェニル基など)、またはメトキシメチル基などを示し、互いに同一でも異なってもよい。また、X-はハロゲンイオンまたはSCN-を示す。)
溶媒はその1種を単独で使用しても良いし、また2種以上を混合して使用しても良い。
溶媒はその1種を単独で使用しても良いし、また2種以上を混合して使用しても良い。
また、必要に応じて加えられる支持電解質としては、電気化学の分野又は電池の分野で通常使用される塩類、酸類、アルカリ類、常温溶融塩類が使用できる。
塩類としては、特に制限はなく、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等の無機イオン塩;4級アンモニウム塩;環状4級アンモニウム塩;4級ホスホニウム塩などが使用でき、特にLi塩が好ましい。
塩類の具体例としては、ClO4 -、BF4 -、CF3SO3 -、(CF3SO2)2N-、(C2F5SO2)2N-、PF6 -、AsF6 -、CH3COO-、CH3(C6H4)SO3 -、および(C2F5SO2)3C-から選ばれる対アニオンを有するLi塩、Na塩、あるいはK塩が挙げられる。
塩類としては、特に制限はなく、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等の無機イオン塩;4級アンモニウム塩;環状4級アンモニウム塩;4級ホスホニウム塩などが使用でき、特にLi塩が好ましい。
塩類の具体例としては、ClO4 -、BF4 -、CF3SO3 -、(CF3SO2)2N-、(C2F5SO2)2N-、PF6 -、AsF6 -、CH3COO-、CH3(C6H4)SO3 -、および(C2F5SO2)3C-から選ばれる対アニオンを有するLi塩、Na塩、あるいはK塩が挙げられる。
また、ClO4 -、BF4 -、CF3SO3 -、(CF3SO2)2N-、(C2F5SO2)2N-、PF6 -、AsF6 -、CH3COO-、CH3(C6H4)SO3 -、および(C2F5SO2)3C-から選ばれる対アニオンを有する4級アンモニウム塩、具体的には、(CH3)4NBF4、(C2H5)4NBF4、(n−C4H9)4NBF4、(C2H5)4NBr、(C2H5)4NClO4、(n−C4H9)4NClO4、CH3(C2H5)3NBF4、(CH3)2(C2H5)2NBF4、(CH3)4NSO3CF3、(C2H5)4NSO3CF3、(n−C4H9)4NSO3CF3、さらには、
等が挙げられる。またClO4 -、BF4 -、CF3SO3 -、(CF3SO2)2N-、(C2F5SO2)2N-、PF6 -、AsF6 -、CH3COO-、CH3(C6H4)SO3 -、および(C2F5SO2)3C-から選ばれる対アニオンを有するホスホニウム塩、具体的には、(CH3)4PBF4、(C2H5)4PBF4、(C3H7)4PBF4、(C4H9)4PBF4等が挙げられる。
また、これらの混合物も好適に用いることができる。
また、これらの混合物も好適に用いることができる。
酸類も特に限定されず、無機酸、有機酸などが使用でき、具体的には硫酸、塩酸、リン酸類、スルホン酸類、カルボン酸類などが使用できる。
アルカリ類も特に限定されず、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどがいずれも使用可能である。
アルカリ類も特に限定されず、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどがいずれも使用可能である。
常温溶融塩類も特に限定されることは無いが、本発明における常温溶融塩とは、溶媒成分が含まれないイオン対のみからなる常温において溶融している(即ち液状の)イオン対からなる塩であり、通常、融点が20℃以下であり、20℃を越える温度で液状であるイオン対からなる塩を示す。
常温溶融塩はその1種を単独で使用することができ、また2種以上を混合しても使用することもできる。
常温溶融塩の例としては、例えば、以下のものが挙げられる。
常温溶融塩はその1種を単独で使用することができ、また2種以上を混合しても使用することもできる。
常温溶融塩の例としては、例えば、以下のものが挙げられる。
(ここで、Rは炭素数2〜20、好ましくは2〜10のアルキル基を示す。X-はClO4 -、BF4 -、(CF3SO2)2N-、(C2F5SO2)2N-、PF6 -、AsF6 -、CH3COO-、CH3(C6H4)SO3 -、および(C2F5SO2)3C-から選ばれる対アニオンを表す。)
(ここで、R1およびR2は各々炭素数1〜10のアルキル基(好ましくはメチル基またはエチル基)、または炭素数7〜20、好ましくは7〜13のアラルキル基(好ましくはベンジル基)を示しており、互いに同一でも異なっても良い。また、X-はClO4 -、BF4 -、(CF3SO2)2N-、(C2F5SO2)2N-、PF6 -、AsF6 -、CH3COO-、CH3(C6H4)SO3 -、および(C2F5SO2)3C-から選ばれる対アニオンを表す。)
(ここで、R1、R2、R3、R4は、各々炭素数1以上、好ましくは炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基(フェニル基など)、またはメトキシメチル基などを示し、互いに同一でも異なってもよい。また、X-はClO4 -、BF4 -、(CF3SO2)2N-、(C2F5SO2)2N-、PF6 -、AsF6 -、CH3COO-、CH3(C6H4)SO3 -、および(C2F5SO2)3C-から選ばれる対アニオンを表す。)
支持電解質の使用量については特に制限はなく、任意であるが、通常、電解質中の濃度として、0.01〜10mol/L、好ましくは0.05〜1mol/L程度を含有させることができる。
また、本発明において用いる電解質としては、前記のような液体系でもよいが、固体化が可能であるとの観点から、高分子固体電解質(イオン伝導性フィルム)が特に好ましい。高分子固体電解質としては、特に好ましいものとして、(a)高分子マトリックス(成分(a))に、少なくとも(c)可逆な電気化学的酸化還元特性を示す物質(成分(c))を含有し、所望により(b)可塑剤(成分(b))をさらに含有するものが挙げられる。また、これらに加え、所望によりさらに(d)前記した支持電解質や(e)常温溶融塩などの他の任意成分を含有させてもよい。イオン伝導性フィルムとしては、前記成分(b)または、成分(b)と成分(c)、あるいはさらなる任意成分が、高分子マトリックス中に保持されることによって固体状態またはゲル状態が形成される。
本発明において高分子マトリックスとして使用できる材料としては、高分子マトリックス単体で、あるいは可塑剤の添加や、支持電解質の添加、または可塑剤と支持電解質の添加によって固体状態またはゲル状態が形成されれば特に制限は無く、一般的に用いられるいわゆる高分子化合物を用いることができる。
上記高分子マトリックスとしての特性を示す高分子化合物としては、ヘキサフロロプロピレン、テトラフロロエチレン、トリフロロエチレン、エチレン、プロピレン、アクリロニトリル、塩化ビニリデン、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、スチレン、フッ化ビニリデンなどのモノマーを重合または共重合して得られる高分子化合物を挙げることができる。またこれらの高分子化合物は単独で用いても良く、また混合して用いても良い。これらの中でも、特にポリフッ化ビニリデン系高分子化合物が好ましい。さらにはカルボキシル基を含有するポリフッ化ビニリデン系高分子化合物が好ましい。
上記高分子マトリックスとしての特性を示す高分子化合物としては、ヘキサフロロプロピレン、テトラフロロエチレン、トリフロロエチレン、エチレン、プロピレン、アクリロニトリル、塩化ビニリデン、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、スチレン、フッ化ビニリデンなどのモノマーを重合または共重合して得られる高分子化合物を挙げることができる。またこれらの高分子化合物は単独で用いても良く、また混合して用いても良い。これらの中でも、特にポリフッ化ビニリデン系高分子化合物が好ましい。さらにはカルボキシル基を含有するポリフッ化ビニリデン系高分子化合物が好ましい。
ポリフッ化ビニリデン系高分子化合物としては、フッ化ビニリデンの単独重合体、あるいはフッ化ビニリデンと他の重合性モノマー、好適にはラジカル重合性モノマーとの共重合体を挙げることができる。フッ化ビニリデンと共重合させる他の重合性モノマー(以下、共重合性モノマーという。)としては、具体的には、ヘキサフロロプロピレン、テトラフロロエチレン、トリフロロエチレン、エチレン、プロピレン、アクリロニトリル、塩化ビニリデン、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、スチレンなどを例示することができる。これらの中でも、特にカルボキシル基を有するモノマーとの共重合体が好ましい。
これらの共重合性モノマーは、モノマー全量に対して0.1〜50mol%、好ましくは1〜25mol%の範囲で使用することができる。
共重合性モノマーとしては、好適にはヘキサフロロプロピレンが用いられる。本発明においては、特にフッ化ビニリデンにヘキサフロロプロピレンを1〜25mol%共重合させたフッ化ビニリデン−ヘキサフロロプロピレン共重合体を高分子マトリックスとするイオン伝導性フィルムとして好ましく用いることができる。また共重合比の異なる2種類以上のフッ化ビニリデン−ヘキサフロロプロピレン共重合体を混合して使用しても良い。
また、これらの共重合性モノマーを2種類以上用いてフッ化ビニリデンと共重合させることもできる。例えば、フッ化ビニリデン+ヘキサフロロプロピレン+テトラフロロエチレン、フッ化ビニリデン+ヘキサフロロプロピレン+アクリル酸、フッ化ビニリデン+テトラフロロエチレン+エチレン、フッ化ビニリデン+テトラフロロエチレン+プロピレンなどの組み合わせで共重合させて得られる共重合体を使用することもできる。
さらに、本発明においては高分子マトリックスとしてポリフッ化ビニリデン系高分子化合物に、ポリアクリル酸系高分子化合物、ポリアクリレート系高分子化合物、ポリメタクリル酸系高分子化合物、ポリメタクリレート系高分子化合物、ポリアクリロニトリル系高分子化合物およびポリエーテル系高分子化合物から選ばれる高分子化合物を1種類以上混合して使用することもできる。あるいはポリフッ化ビニリデン系高分子化合物に、上記した高分子化合物のモノマーを2種以上共重合させて得られる共重合体を1種類以上混合して使用することもできる。このときの単独重合体あるいは共重合体の配合割合は、ポリフッ化ビニリデン系高分子化合物100質量部に対して、通常200質量部以下とすることが好ましい。
本発明において用いられるポリフッ化ビニリデン系高分子化合物の重量平均分子量は、通常10,000〜2,000,000であり、好ましくは100,000〜1,000,000の範囲のものが好適に使用することができる。
可塑剤(成分(b))は、可逆な電気化学的酸化還元特性を示す物質に対する溶媒として作用する。かかる可塑剤としては、一般に電気化学セルや電池において電解質溶媒として使用され得るものであればいずれも使用することができ、具体的には液体系電解質において例示した各種溶媒を挙げることができる。特に、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルスルホキシド、ジメトキシエタン、アセトニトリル、γ−ブチロラクトン、スルホラン、ジオキソラン、ジメチルホルムアミド、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、ジメチルアセトアミド、メチルピロリジノン、ジメチルスルホキシド、ジオキソラン、スルホラン、リン酸トリメチル、リン酸トリエチルが好ましい。また、常温溶融塩類も用いることができる。ここで、常温溶融塩とは、溶媒成分が含まれないイオン対のみからなる常温において溶融している(即ち液状の)イオン対からなる塩であり、通常、融点が20℃以下であり、20℃を越える温度で液状であるイオン対からなる塩を示すものである。
常温溶融塩の例としては、例えば、以下のものが挙げられる。
常温溶融塩の例としては、例えば、以下のものが挙げられる。
(ここで、Rは炭素数2〜20、好ましくは2〜10のアルキル基を示し、X-はハロゲンイオンまたはSCN-を示す。)
(ここで、R1およびR2は各々炭素数1〜10のアルキル基(好ましくはメチル基またはエチル基)、または炭素数7〜20、好ましくは7〜13のアラルキル基(好ましくはベンジル基)を示しており、互いに同一でも異なっても良い。また、X-はハロゲンイオンまたはSCN-を示す。)
(ここで、R1、R2、R3、R4は、各々炭素数1以上、好ましくは炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基(フェニル基など)、またはメトキシメチル基などを示し、互いに同一でも異なってもよい。また、X-はハロゲンイオンまたはSCN-を示す。)
溶媒はその1種を単独で使用しても良いし、また2種以上を混合して使用しても良い。
溶媒はその1種を単独で使用しても良いし、また2種以上を混合して使用しても良い。
可塑剤(成分(b))の使用量は特に制限はないが、通常、イオン伝導性材料中に20質量%以上、好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上であり、かつ98質量%以下、好ましくは95質量%以下、さらに好ましくは90質量%以下の量で含有させることができる。
次に、本発明において用いる成分(c)の可逆な電気化学的酸化還元特性を示す物質について説明する。
成分(c)は、前述のような可逆な電気化学的酸化還元反応を行うことができる化合物であって、通常レドックス性材料と称されるものである。
係る化合物としては、特にその種類を制限するものではないが、たとえば、フェロセン、p−ベンゾキノン、7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン、N,N,N’,N’−テトラメチル−p−フェニレンジアミン、テトラチアフルバレン、アントラセン、p−トルイルアミン等を用いることができる。また、LiI、NaI、KI、CsI、CaI2、4級イミダゾリウムのヨウ素塩、テトラアルキルアンモニウムのヨウ素塩、Br2とLiBr、NaBr、KBr、CsBr、CaBr2などの金属臭化物などが挙げられる。
成分(c)は、前述のような可逆な電気化学的酸化還元反応を行うことができる化合物であって、通常レドックス性材料と称されるものである。
係る化合物としては、特にその種類を制限するものではないが、たとえば、フェロセン、p−ベンゾキノン、7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン、N,N,N’,N’−テトラメチル−p−フェニレンジアミン、テトラチアフルバレン、アントラセン、p−トルイルアミン等を用いることができる。また、LiI、NaI、KI、CsI、CaI2、4級イミダゾリウムのヨウ素塩、テトラアルキルアンモニウムのヨウ素塩、Br2とLiBr、NaBr、KBr、CsBr、CaBr2などの金属臭化物などが挙げられる。
また、Br2とテトラアルキルアンモニウムブロマイド、ビピリジニウムブロマイド、臭素塩、フェロシアン酸―フェリシアン酸塩などの錯塩、ポリ硫化ナトリウム、アルキルチオール−アルキルジスルフィド、ヒドロキノン−キノン、ビオロゲンなどを用いることができる。レドックス材は、酸化体、還元体のどちらか一方のみを用いてもよいし、酸化体と還元体を適当なモル比で混合し、添加することもできる。
また、成分(c)としては、ハロゲンイオン、SCN-から選ばれる対アニオン(X-)を有する塩が挙げられる。カチオンとしては、4級アンモニウム塩として、具体的には、(CH3)4NX-、(C2H5)4NX-、(n−C4H9)4NX-、さらには、
等が挙げられる。対アニオン(X-)を有するホスホニウム塩、具体的には、(CH3)4PX-、(C2H5)4PX-、(C3H7)4PX-、(C4H9)4PX-等が挙げられる。
もちろん、これらの混合物も好適に用いることができる。
なお、これらの化合物の場合は、通常成分(b)と併用することが好ましい。
もちろん、これらの混合物も好適に用いることができる。
なお、これらの化合物の場合は、通常成分(b)と併用することが好ましい。
また、成分(c)として、レドックス性常温溶融塩類も用いることができる。ここで、レドックス性常温溶融塩とは、溶媒成分が含まれないイオン対のみからなる常温において溶融している(即ち液状の)イオン対からなる塩であり、通常、融点が20℃以下であり、20℃を越える温度で液状であるイオン対からなる塩を示すものであって、かつ可逆的な電気化学的酸化還元反応を行うことができるものである。成分(c)としてレドックス性常温溶融塩類を用いる場合、成分(b)を併用しなくても、併用してもどちらの形態でもよい。
レドックス性常温溶融塩はその1種を単独で使用することができ、また2種以上を混合しても使用することもできる。
レドックス性常温溶融塩の例としては、例えば、以下のものが挙げられる。
レドックス性常温溶融塩はその1種を単独で使用することができ、また2種以上を混合しても使用することもできる。
レドックス性常温溶融塩の例としては、例えば、以下のものが挙げられる。
(ここで、Rは炭素数2〜20、好ましくは2〜10のアルキル基を示し、X-はハロゲンイオンまたはSCN-を示す。)
(ここで、R1およびR2は各々炭素数1〜10のアルキル基(好ましくはメチル基またはエチル基)、または炭素数7〜20、好ましくは7〜13のアラルキル基(好ましくはベンジル基)を示しており、互いに同一でも異なっても良い。また、X-はハロゲンイオンまたはSCN-を示す。)
(ここで、R1、R2、R3、R4は、各々炭素数1以上、好ましくは炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基(フェニル基など)、またはメトキシメチル基などを示し、互いに同一でも異なってもよい。また、X-はハロゲンイオンまたはSCN-を示す。)
また、可逆な電気化学的酸化還元特性を示す物質(成分(c))の使用量についても特に制限はなく、通常、高分子固体電解質中に0.1質量%以上、好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上であり、かつ70質量%以下、好ましくは60質量%以下、さらに好ましくは50質量%以下の量で含有させることができる。
成分(c)を成分(b)と併用する場合、成分(c)は、成分(b)に溶解しかつ高分子固体電解質とした際にも析出等が起こらない混合比とすることが望ましく、好ましくは成分(c)/成分(b)が質量比で0.01〜0.5、さらに好ましくは0.03〜0.3の範囲である。
また、成分(a)に対しては、好ましくは成分(a)/(成分(b)+成分(c))質量比が1/20〜1/1、さらに好ましくは1/10〜1/2の範囲であることが望ましい。
また、成分(a)に対しては、好ましくは成分(a)/(成分(b)+成分(c))質量比が1/20〜1/1、さらに好ましくは1/10〜1/2の範囲であることが望ましい。
高分子固体電解質における支持電解質(成分(d))の使用量については特に制限はなく、任意であるが、通常、高分子固体電解質中に0.1質量%以上、好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上であり、かつ70質量%以下、好ましくは60質量%以下、さらに好ましくは50質量%以下の量で含有させることができる。
高分子固体電解質には、更に他の成分を含有させることができる。他の成分としては、紫外線吸収剤、アミン化合物などを挙げることができる。用いることができる紫外線吸収剤としては、特に限定されないが、ベンゾトリアゾール骨格を有する化合物、ベンゾフェノン骨格を有する化合物等の有機紫外線吸収剤が代表的な物として挙げられる。
ベンゾトリアゾール骨格を有する化合物としては、例えば、下記の一般式(1)で表される化合物が好適に挙げられる。
ベンゾトリアゾール骨格を有する化合物としては、例えば、下記の一般式(1)で表される化合物が好適に挙げられる。
一般式(1)において、R81は、水素原子、ハロゲン原子または炭素数1〜10、好ましくは1〜6のアルキル基を示す。ハロゲン原子としてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素を挙げることができる。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基、ブチル基、t−ブチル基、シクロヘキシル基等を挙げることができる。R81の置換位置は、ベンゾトリアゾール骨格の4位または5位であるが、ハロゲン原子およびアルキル基は通常4位に位置する。R82は、水素原子または炭素数1〜10、好ましくは1〜6のアルキル基を示す。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基、ブチル基、t−ブチル基、シクロヘキシル基等を挙げることができる。R83は、炭素数1〜10、好ましくは1〜3のアルキレン基またはアルキリデン基を示す。アルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基等を挙げることができ、またアルキリデン基としては、例えば、エチリデン基、プロピリデン基等が挙げられる。
一般式(1)で示される化合物の具体例としては、3−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ−ベンゼンプロパン酸、3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ−ベンゼンエタン酸、3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシベンゼンエタン酸、3−(5−メチル−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(1−メチルエチル)−4−ヒドロキシベンゼンプロパン酸、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、3−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ−ベンゼンプロパン酸オクチルエステル等が挙げられる。
ベンゾフェノン骨格を有する化合物としては、例えば、下記の一般式(2)〜(4)で示される化合物が好適に挙げられる。
上記一般式(2)〜(4)において、R92、R93、R95、R96、R98、及びR99は、互いに同一もしくは異なる基であって、ヒドロキシル基、炭素数1〜10、好ましくは1〜6のアルキル基またはアルコキシ基を示す。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基、ブチル基、t−ブチル基、及びシクロヘキシル基を挙げることができる。またアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、i−プロポキシ基、及びブトキシ基を挙げることができる。
R91、R94、及びR97は、炭素数1〜10、好ましくは1〜3のアルキレン基またはアルキリデン基を示す。アルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、及びプロピレン基を挙げることができる。アルキリデン基としては、例えば、エチリデン基、及びプロピリデン基が挙げられる。
p1、p2、p3、q1、q2、及びq3は、それぞれ別個に0乃至3の整数を表す。
p1、p2、p3、q1、q2、及びq3は、それぞれ別個に0乃至3の整数を表す。
上記一般式(2)〜(4)で表されるベンゾフェノン骨格を有する化合物の好ましい例としては、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−カルボン酸、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−カルボン酸、4−(2−ヒドロキシベンゾイル)−3−ヒドロキシベンゼンプロパン酸、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン等が挙げられる。
もちろん、これらを二種以上組み合わせて使用することができる。
もちろん、これらを二種以上組み合わせて使用することができる。
紫外線吸収剤の使用は任意であり、また使用する場合の使用量も特に制限されるものではないが、使用する場合はイオン伝導性フィルム中に0.1質量%以上、好ましくは1質量%以上であり、20質量%以下、好ましくは10質量%以下の範囲の量で含有させることが望ましい。
イオン伝導性フィルムに含有させることができるアミン化合物としては、特に限定されず、各種脂肪族アミン、芳香族アミンが用いられるが、例えば、ピリジン誘導体、ビピリジン誘導体、キノリン誘導体などが代表的な物として挙げられる。これらのアミン化合物を添加することで、開放電圧の向上が見込まれる。これらの化合物の具体例としては、4−t−ブチル−ピリジン、キノリン、イソキノリンなどが挙げられる。
イオン伝導性フィルムは、前記成分(a)〜(c)および所望により配合される任意成分からなる混合物を、公知の方法によりフィルムに成形することにより得ることが出来る。この場合の成形方法としては特に限定されず、押出し成型、キャスト法によるフィルム状態で得る方法、スピンコート法、ディップコート法や、注入法、含浸法などを挙げることができる。
押出し成型については常法により行うことができ、前記混合物を過熱溶融した後、フィルム成型することが行われる。
キャスト法については、前記混合物をさらに適当な希釈剤にて粘度調整を行い、キャスト法に用いられる通常のコータにて塗布し、乾燥することで成膜することができる。コータとしては、ドクタコータ、ブレードコータ、ロッドコータ、ナイフコータ、リバースロールコータ、グラビアコータ、スプレイコータ、カーテンコータを用いることができ、粘度および膜厚により使い分けることができる。
スピンコート法については、前記混合物をさらに適当な希釈剤にて粘度調整を行い、市販のスピンコーターにて塗布し、乾燥することで成膜することができる。
ディップコート法については、前記混合物をさらに適当な希釈剤にて粘度調整を行って混合物溶液を作製し、適当な基盤を混合物溶液より引き上げた後、乾燥することで成膜することができる。
キャスト法については、前記混合物をさらに適当な希釈剤にて粘度調整を行い、キャスト法に用いられる通常のコータにて塗布し、乾燥することで成膜することができる。コータとしては、ドクタコータ、ブレードコータ、ロッドコータ、ナイフコータ、リバースロールコータ、グラビアコータ、スプレイコータ、カーテンコータを用いることができ、粘度および膜厚により使い分けることができる。
スピンコート法については、前記混合物をさらに適当な希釈剤にて粘度調整を行い、市販のスピンコーターにて塗布し、乾燥することで成膜することができる。
ディップコート法については、前記混合物をさらに適当な希釈剤にて粘度調整を行って混合物溶液を作製し、適当な基盤を混合物溶液より引き上げた後、乾燥することで成膜することができる。
本発明におけるイオン伝導性フィルムは、イオン伝導度が、通常室温で1×10-7S/cm以上、好ましくは1×10-6S/cm以上、さらに好ましくは1×10-5S/cm以上を示す。イオン伝導度は、複素インピーダンス法などの一般的な手法で求めることができる。
また、本発明におけるイオン伝導性フィルムは、酸化体の拡散係数が1×10-9cm2/s以上、好ましくは1×10-8cm2/s以上、さらに好ましくは1×10-7cm2/s以上を示す。なお、拡散係数は、イオン伝導性を示す一指標であり、定電位電流特性測定、サイクリックボルタモグラム測定などの一般的な手法で求めることができる。
また、本発明におけるイオン伝導性フィルムは、酸化体の拡散係数が1×10-9cm2/s以上、好ましくは1×10-8cm2/s以上、さらに好ましくは1×10-7cm2/s以上を示す。なお、拡散係数は、イオン伝導性を示す一指標であり、定電位電流特性測定、サイクリックボルタモグラム測定などの一般的な手法で求めることができる。
イオン伝導性フィルムの厚さは、特に限定されないが、通常1μm以上、好ましくは10μm以上であり、通常3mm以下、好ましくは1mm以下である。
また、イオン伝導性フィルムは、自立性を有していることが望ましい。その場合、通常、25℃におけるその引張弾性率が5×104N/m2以上、好ましくは1×105N/m2以上、最も好ましくは5×105N/m2以上である特性を有することが望ましい。なお、この引張弾性率は、通常用いられる引張り試験機で、2cm×5cmの短冊状サンプルによって測定を行った場合の値である。
また、イオン伝導性フィルムは、自立性を有していることが望ましい。その場合、通常、25℃におけるその引張弾性率が5×104N/m2以上、好ましくは1×105N/m2以上、最も好ましくは5×105N/m2以上である特性を有することが望ましい。なお、この引張弾性率は、通常用いられる引張り試験機で、2cm×5cmの短冊状サンプルによって測定を行った場合の値である。
本発明における光電変換素子としては、例えば、図1に示すような構造に代表される層構造をもっており、少なくとも2枚の導電性基板を用い、そのうち少なくとも一方の基板は実質的に透明の、いわゆる透明導電性基板である。また、透明導電基板上に、図1に示されるように、通常、半導体層(感光層)が形成される。
透明導電性基板は、通常、透明基板上に透明電極層を有する。
透明基板としては、特に限定されず、材質、厚さ、寸法、形状等は目的に応じて適宜選択することができ、例えば無色あるいは有色ガラス、網入りガラス、ガラスブロック等が用いられる他、無色あるいは有色の透明性を有する樹脂でも良い。具体的には、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリアミド、ポリスルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、トリ酢酸セルロース、ポリメチルペンテンなどが挙げられる。なお、本発明における透明とは、10〜100%の透過率、好ましくは50%以上の透過率を有することであり、また、本発明における基板とは、常温において平滑な面を有するものであり、その面は平面あるいは曲面であってもよく、また応力によって変形するものであってもよい。
透明基板としては、特に限定されず、材質、厚さ、寸法、形状等は目的に応じて適宜選択することができ、例えば無色あるいは有色ガラス、網入りガラス、ガラスブロック等が用いられる他、無色あるいは有色の透明性を有する樹脂でも良い。具体的には、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリアミド、ポリスルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、トリ酢酸セルロース、ポリメチルペンテンなどが挙げられる。なお、本発明における透明とは、10〜100%の透過率、好ましくは50%以上の透過率を有することであり、また、本発明における基板とは、常温において平滑な面を有するものであり、その面は平面あるいは曲面であってもよく、また応力によって変形するものであってもよい。
また、電極として作用する透明電極層としては、本発明の目的を果たすものである限り特に限定されないが、例えば金、銀、クロム、銅、タングステンなどの金属薄膜、金属酸化物からなる導電膜などが挙げられる。金属酸化物としては、例えば、錫や亜鉛などの金属酸化物に、他の金属元素を微量ドープしたIndium Tin Oxide(ITO(In2O3:Sn))、Fluorine doped Tin Oxide(FTO(SnO2:F))、Aluminum doped Zinc Oxide(AZO(ZnO:Al))などが好適なものとして用いられる。
膜厚は通常、100〜5000μm、好ましくは500〜3000μmである。また、表面抵抗(抵抗率)は、本発明の基板の用途により適宜選択されるところであるが、通常、0.5〜500Ω/sq、好ましくは2〜50Ω/sqである。
膜厚は通常、100〜5000μm、好ましくは500〜3000μmである。また、表面抵抗(抵抗率)は、本発明の基板の用途により適宜選択されるところであるが、通常、0.5〜500Ω/sq、好ましくは2〜50Ω/sqである。
透明電極層の形成法としては、特に限定されなく、電極層として用いる前述の金属や金属酸化物の種類により適宜公知の方法が選択使用されるところであるが、通常、真空蒸着法、イオンプレーティング法、CVDあるいはスパッタリング法などが用いられる。いずれの場合も基板温度20〜700℃の範囲内で形成されるのが望ましい。
もう一方の基板、即ち、対向基板は、基板自身が導電性あるいは少なくとも一方の面が導電性であればよく、前述の透明な透明導電性基板でも、また不透明な導電性基板でも良い。不透明な導電性基板としては、種々の金属製電極のほか、例えばガラス基板上に成膜されたAu、Pt、Crなどを挙げることができる。
本発明の光電変換素子において、用いられる半導体層としては、特に限定されないが、例えば、Bi2S3、CdS、CdSe、CdTe、CuInS2、CuInSe2、Fe2O3、GaP、GaAs、InP、Nb2O5、PbS、Si、SnO2、TiO2、WO3、ZnO、ZnS等が挙げられ、好ましくはCdS、CdSe、CuInS2、CuInSe2、Fe2O3、GaAs、InP、Nb2O5、PbS、SnO2、TiO2、WO3、ZnOであり、複数の組み合わせであってもよい。特に好ましくはTiO2、ZnO、SnO2、Nb2O5であり、最も好ましくはTiO2、ZnOである。
本発明に用いる半導体は単結晶でも多結晶でも良い。結晶系としては、アナターゼ型、ルチル型、ブルッカイト型などが主に用いられるが、好ましくはアナターゼ型である。半導体層の形成には公知の方法を用いることができる。
半導体層の形成方法としては、上記半導体のナノ粒子分散液、ゾル溶液等を、公知の方法により基板上に塗布することで得ることが出来る。この場合の塗布方法としては特に限定されずキャスト法による薄膜状態で得る方法、スピンコート法、ディップコート法、バーコート法のほか、スクリーン印刷法を初めとした各種の印刷方法を挙げることができる。
半導体層の厚みは任意であるが0.5μm以上、50μm以下、好ましくは1μm以上20μm以下である。
半導体層の形成方法としては、上記半導体のナノ粒子分散液、ゾル溶液等を、公知の方法により基板上に塗布することで得ることが出来る。この場合の塗布方法としては特に限定されずキャスト法による薄膜状態で得る方法、スピンコート法、ディップコート法、バーコート法のほか、スクリーン印刷法を初めとした各種の印刷方法を挙げることができる。
半導体層の厚みは任意であるが0.5μm以上、50μm以下、好ましくは1μm以上20μm以下である。
半導体層の光吸収効率を向上すること等を目的として、種々の色素を半導体層に吸着や含有させることが出来る。
本発明において用いることができる色素としては、半導体層の光吸収効率を向上させる色素であれば、特に制限されるものではなく、通常、各種の金属錯体色素や有機色素の一種または二種以上を用いることができる。また、半導体層への吸着性を付与するために、色素の分子中にカルボキシル基、ヒドロキシル基、スルホニル基、ホスホニル基、カルボキシルアルキル基、ヒドロキシアルキル基、スルホニルアルキル基、ホスホニルアルキル基などの官能基を有するものが好適に用いられる。
金属錯体色素としては、ルテニウム、オスミウム、鉄、コバルト、亜鉛の錯体や金属フタロシアニン、クロロフィル等を用いることができる。
本発明において用いる金属錯体色素としては、以下のようなものが例示される。
本発明において用いることができる色素としては、半導体層の光吸収効率を向上させる色素であれば、特に制限されるものではなく、通常、各種の金属錯体色素や有機色素の一種または二種以上を用いることができる。また、半導体層への吸着性を付与するために、色素の分子中にカルボキシル基、ヒドロキシル基、スルホニル基、ホスホニル基、カルボキシルアルキル基、ヒドロキシアルキル基、スルホニルアルキル基、ホスホニルアルキル基などの官能基を有するものが好適に用いられる。
金属錯体色素としては、ルテニウム、オスミウム、鉄、コバルト、亜鉛の錯体や金属フタロシアニン、クロロフィル等を用いることができる。
本発明において用いる金属錯体色素としては、以下のようなものが例示される。
Yとしては、一価アニオンであって、ハロゲンイオン、SCN-、ClO4 -、BF4 -、CF3SO3 -、(CF3SO2)2N-、(C2F5SO2)2N-、PF6 -、AsF6 -、CH3COO-、CH3(C6H4)SO3 -、および(C2F5SO2)3C-等を挙げることができる。
ここでZは、非共有電子対を有する原子団であって、2つのZは独立でも、架橋されていていても良い。例えば、次のようなものが例示される。
Yとしては、一価アニオンであって、ハロゲンイオン、SCN-、ClO4 -、BF4 -、CF3SO3 -、(CF3SO2)2N-、(C2F5SO2)2N-、PF6 -、AsF6 -、CH3COO-、CH3(C6H4)SO3 -、および(C2F5SO2)3C-等を挙げることができる。
また、有機色素としては、シアニン系色素、ヘミシアニン系色素、メロシアニン系色素、キサンテン系色素、トリフェニルメタン系色素、金属フリーフタロシアニン系色素を用いることができる。本発明において用いることができる有機色素としては、以下のようなものが例示される。
色素を半導体層に吸着させる方法としては、溶媒に色素を溶解させた溶液を、半導体層上にスプレーコートやスピンコートなどにより塗布した後、乾燥する方法により形成することができる。この場合、適当な温度に基板を加熱しても良い。または半導体層を溶液に浸漬して吸着させる方法を用いることも出来る。浸漬する時間は色素が十分に吸着すれば特に制限されることはないが、好ましくは1〜30時間、特に好ましくは5〜20時間である。また、必要に応じて浸漬する際に溶媒や基板を加熱しても良い。好ましくは溶液にする場合の色素の濃度としては、1〜1000mM/L、好ましくは10〜500mM/L程度である。
用いる溶媒としては、色素を溶解しかつ半導体層を溶解しなければ特に制限されるとはないが、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノールなどのアルコール、アセトニトリル、プロピオニトリル、メトキシプロピオニトリル、グルタロニトリル、などのニトリル系溶媒、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、ペンタン、ヘプタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、2−ブタノンなどのケトン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ニトロメタン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホアミド、ジメトキシエタン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、スルホラン、ジメトキシエタン、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、ジメチルアセトアミド、メチルピロリジノン、ジメチルスルホキシド、ジオキソラン、スルホラン、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリプロピル、リン酸エチルジメチル、リン酸トリブチル、リン酸トリペンチル、リン酸トリへキシル、リン酸トリヘプチル、リン酸トリオクチル、リン酸トリノニル、リン酸トリデシル、リン酸トリス(トリフフロロメチル)、リン酸トリス(ペンタフロロエチル)、リン酸トリフェニルポリエチレングリコール、及びポリエチレングリコール等が使用可能である。
本発明の光電変換素子の例としては、例えば、図1に示す断面を有する素子を挙げることができる。この素子は、透明導電性基板1(基板A)上に色素を吸着した半導体層3、対向電極基板2(基板B)を有しており、そして、半導体層3と対向電極基板2の間にイオン伝導性フィルム4が配置され、周辺がシール部材5で密封されている。なお、リード線は基板Aと基板Bの導電部分に接続され、電力を取り出すことが出来る。
本発明の光電変換素子を用いて太陽電池を製造する方法は、特に限定されないが、通常、色素を吸着した半導体層を有する基板Aとイオン伝導性フィルムと基板Bを積層し、公知の方法により、周辺部を適宜シールすることにより容易に製造することができる。周辺部をシールする方法としては、どちらかの基板にイオン伝導性フィルムを配した後、その外側にシール材を配し、もう片方の基板を合わせる方法、シールとイオン伝導性フィルムを同じ基板に配する方法等を利用することができる。
本発明の光電変換素子は、電解質層の拡散係数と素子の電極間距離をある関係式を満たすように最適化することで、高い変換効率を有する。特に、電解質層として固体電解質を用いた場合に、液体電解質並みの高性能な素子が作製可能である。
以下に実施例を挙げ、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらになんら制限されるものではない。
[実施例1]
《拡散係数の測定》
Ptをスパッタ処理した2枚のフィルム抵抗値が10Ω/sqのSnO2:Fガラス(ガラス基板上にSnO2:F膜を形成した透明導電性ガラス)(電極)を白金側を向かい合わせにスペーサーとして400μmのエチレン酢酸ビニル共重合体シートで接着して、その間に、0.1mol/Lのヨウ化リチウム、0.5mol/Lのヨウ化1−プロピル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、0.5mol/Lの4−t−ブチルピリジン、0.05mol/Lのヨウ素を含むγ−ブチロラクトン溶液を毛管現象により浸み込ませた素子の電極間に0.6Vの電圧を印加し、その際の電流の時間変化を測定した。得られたデータから下記に示すコットレルの式を用いて拡散係数Dを求めると、3.9×10-6cm2/sであった。
《拡散係数の測定》
Ptをスパッタ処理した2枚のフィルム抵抗値が10Ω/sqのSnO2:Fガラス(ガラス基板上にSnO2:F膜を形成した透明導電性ガラス)(電極)を白金側を向かい合わせにスペーサーとして400μmのエチレン酢酸ビニル共重合体シートで接着して、その間に、0.1mol/Lのヨウ化リチウム、0.5mol/Lのヨウ化1−プロピル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、0.5mol/Lの4−t−ブチルピリジン、0.05mol/Lのヨウ素を含むγ−ブチロラクトン溶液を毛管現象により浸み込ませた素子の電極間に0.6Vの電圧を印加し、その際の電流の時間変化を測定した。得られたデータから下記に示すコットレルの式を用いて拡散係数Dを求めると、3.9×10-6cm2/sであった。
《光電変換素子の作製》
フィルム抵抗値10Ω/sqのSnO2:Fガラス(ガラス基板上にSnO2:F膜を形成した透明導電性ガラス)上にSOLARONIX社製Ti−Nanoxide T をバーコートして乾燥させた。バーコートの際には、膜厚が均一になるよう、透明導電性ガラスのサイドにスコッチテープを貼り付けた。塗布した基板を、450℃で1時間焼成し半導体層を形成した。これをルテニウム色素(SOLARONIX社製Rutenium535−bisTBA)/エタノール溶液(5.0×10-4mol/L)に15時間浸し、色素を吸着させた。
次に、色素を吸着した半導体層とPt薄膜のついたガラスのPt面を、ポリエチレンテレフタレートフィルムをスペーサとして周辺に配置して向かい合わせて、その隙間に上述した電解液を毛管現象により注入し、周辺を紫外線硬化型シール材でシールし、光電変換素子とした。作製した光電変換素子の電極間距離LおよびD/Lを表1に示した。この素子は本発明の要件である、D/L≧0.0003cm/s以上を満たしており、このようにして得たセルに疑似太陽光を照射し電流電圧特性を測定すると、表1に示すように、良好な変換効率(η)が得られた。
フィルム抵抗値10Ω/sqのSnO2:Fガラス(ガラス基板上にSnO2:F膜を形成した透明導電性ガラス)上にSOLARONIX社製Ti−Nanoxide T をバーコートして乾燥させた。バーコートの際には、膜厚が均一になるよう、透明導電性ガラスのサイドにスコッチテープを貼り付けた。塗布した基板を、450℃で1時間焼成し半導体層を形成した。これをルテニウム色素(SOLARONIX社製Rutenium535−bisTBA)/エタノール溶液(5.0×10-4mol/L)に15時間浸し、色素を吸着させた。
次に、色素を吸着した半導体層とPt薄膜のついたガラスのPt面を、ポリエチレンテレフタレートフィルムをスペーサとして周辺に配置して向かい合わせて、その隙間に上述した電解液を毛管現象により注入し、周辺を紫外線硬化型シール材でシールし、光電変換素子とした。作製した光電変換素子の電極間距離LおよびD/Lを表1に示した。この素子は本発明の要件である、D/L≧0.0003cm/s以上を満たしており、このようにして得たセルに疑似太陽光を照射し電流電圧特性を測定すると、表1に示すように、良好な変換効率(η)が得られた。
[実施例2]
L以外は実施例1と同様な条件で実験を行なったところ、この素子は本発明の要件であるD/L≧0.0003cm/s以上を満たしており、このようにして得たセルに疑似太陽光を照射し電流電圧特性を測定すると、表2に示すように、良好な変換効率(η)が得られた。
L以外は実施例1と同様な条件で実験を行なったところ、この素子は本発明の要件であるD/L≧0.0003cm/s以上を満たしており、このようにして得たセルに疑似太陽光を照射し電流電圧特性を測定すると、表2に示すように、良好な変換効率(η)が得られた。
[比較例1]
L以外は実施例1と同様な条件で実験を行なったところ、表3で示すように、この素子は本発明の要件であるD/L≧0.0003cm/s以上を満たしておらず、実施例1および実施例2の変換効率(η)に及ばないことが分かった。
L以外は実施例1と同様な条件で実験を行なったところ、表3で示すように、この素子は本発明の要件であるD/L≧0.0003cm/s以上を満たしておらず、実施例1および実施例2の変換効率(η)に及ばないことが分かった。
[実施例3]
《イオン伝導性フィルムの作製》
カルボキシル基を含有するポリフッ化ビニリデン系ポリマー(KF9300、呉羽化学社製)1gと0.1mol/Lのヨウ化リチウム、0.5mol/Lのヨウ化1−プロピル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、0.5mol/Lの4−t−ブチルピリジン、0.05mol/Lのヨウ素を含むγ−ブチロラクトン溶液を2g添加し、アセトンにて希釈し加熱し均一溶液を得た。この溶液をポリエチレンテレフタレートフィルム基板上にドクターブレード法で塗布し、加熱乾燥をし、112μm厚の均一なイオン伝導性フィルムを得た。
同様の方法で、ドクターブレードのギャップを変えることで、組成は同じで、厚みの異なる計4種類のイオン伝導性フィルム(112μm、54μm、26μm、15μm)を得た。
《イオン伝導性フィルムの作製》
カルボキシル基を含有するポリフッ化ビニリデン系ポリマー(KF9300、呉羽化学社製)1gと0.1mol/Lのヨウ化リチウム、0.5mol/Lのヨウ化1−プロピル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、0.5mol/Lの4−t−ブチルピリジン、0.05mol/Lのヨウ素を含むγ−ブチロラクトン溶液を2g添加し、アセトンにて希釈し加熱し均一溶液を得た。この溶液をポリエチレンテレフタレートフィルム基板上にドクターブレード法で塗布し、加熱乾燥をし、112μm厚の均一なイオン伝導性フィルムを得た。
同様の方法で、ドクターブレードのギャップを変えることで、組成は同じで、厚みの異なる計4種類のイオン伝導性フィルム(112μm、54μm、26μm、15μm)を得た。
《拡散係数の測定》
上記4種類のイオン伝導性フィルムは組成は同じであるため、拡散係数も同じ値を示す。従って、112μmのフィルムを用いて拡散係数を測定した。イオン伝導性フィルムをPtをスパッタ処理した2枚のフィルム抵抗値10Ω/sqのSnO2:Fガラス(ガラス基板上にSnO2:F膜を形成した透明導電性ガラス)(電極)に挟み、電極間に0.6Vの電圧を印加し、その際の電流の時間変化を測定した。得られたデータから前記したコットレルの式を用いて拡散係数Dを求めると、1.1×10-6cm2/sであった。
上記4種類のイオン伝導性フィルムは組成は同じであるため、拡散係数も同じ値を示す。従って、112μmのフィルムを用いて拡散係数を測定した。イオン伝導性フィルムをPtをスパッタ処理した2枚のフィルム抵抗値10Ω/sqのSnO2:Fガラス(ガラス基板上にSnO2:F膜を形成した透明導電性ガラス)(電極)に挟み、電極間に0.6Vの電圧を印加し、その際の電流の時間変化を測定した。得られたデータから前記したコットレルの式を用いて拡散係数Dを求めると、1.1×10-6cm2/sであった。
《光電変換素子の作製》
フィルム抵抗値10Ω/sqのSnO2:Fガラス(ガラス基板上にSnO2:F膜を形成した透明導電性ガラス)上にSOLARONIX社製Ti−Nanoxide T をバーコートして乾燥させた。バーコートの際には、膜厚が均一になるよう、透明導電性ガラスのサイドにスコッチテープを貼り付けた。塗布した基板を、450℃で1時間焼成し半導体層を形成した。これをルテニウム色素(SOLARONIX社製Rutenium535−bisTBA)/エタノール溶液(5.0×10-4mol/L)に15時間浸し、色素を吸着させた。
次に、色素を吸着した半導体層の上側に、先に得られた厚さ15μmのイオン伝導性フィルムを載せ、さらにその上にPt薄膜のついたガラスのPt面をイオン伝導フィルム側にして挟み、周辺を紫外線硬化型シール材でシールし、光電変換素子とした。このとき光電変換素子の電極間距離は9μmであった。
作製した光電変換素子の電極間距離LおよびD/Lを表4に示した。この素子は本発明の要件である、D/L≧0.0003cm/s以上を満たしており、このようにして得たセルに疑似太陽光を照射し電流電圧特性を測定すると、表4に示すように、良好な変換効率(η)が得られた。
フィルム抵抗値10Ω/sqのSnO2:Fガラス(ガラス基板上にSnO2:F膜を形成した透明導電性ガラス)上にSOLARONIX社製Ti−Nanoxide T をバーコートして乾燥させた。バーコートの際には、膜厚が均一になるよう、透明導電性ガラスのサイドにスコッチテープを貼り付けた。塗布した基板を、450℃で1時間焼成し半導体層を形成した。これをルテニウム色素(SOLARONIX社製Rutenium535−bisTBA)/エタノール溶液(5.0×10-4mol/L)に15時間浸し、色素を吸着させた。
次に、色素を吸着した半導体層の上側に、先に得られた厚さ15μmのイオン伝導性フィルムを載せ、さらにその上にPt薄膜のついたガラスのPt面をイオン伝導フィルム側にして挟み、周辺を紫外線硬化型シール材でシールし、光電変換素子とした。このとき光電変換素子の電極間距離は9μmであった。
作製した光電変換素子の電極間距離LおよびD/Lを表4に示した。この素子は本発明の要件である、D/L≧0.0003cm/s以上を満たしており、このようにして得たセルに疑似太陽光を照射し電流電圧特性を測定すると、表4に示すように、良好な変換効率(η)が得られた。
[実施例4]
光電変換素子の電極間距離Lが24μm(厚みが26μmのイオン伝導性フィルムを使用)以外は実施例3と同様な条件で実験を行なったところ、この素子は本発明の要件であるD/L≧0.0003cm/s以上を満たしており、このようにして得たセルに疑似太陽光を照射し電流電圧特性を測定すると、表5に示すように、良好な変換効率(η)が得られた。
光電変換素子の電極間距離Lが24μm(厚みが26μmのイオン伝導性フィルムを使用)以外は実施例3と同様な条件で実験を行なったところ、この素子は本発明の要件であるD/L≧0.0003cm/s以上を満たしており、このようにして得たセルに疑似太陽光を照射し電流電圧特性を測定すると、表5に示すように、良好な変換効率(η)が得られた。
[比較例2]
光電変換素子の電極間距離Lが50μm(厚みが54μmのイオン伝導性フィルムを使用)以外は実施例3と同様な条件で実験を行なったところ、表6で示すように、この素子は本発明の要件であるD/L≧0.0003cm/s以上を満たしておらず、実施例3および実施例4の変換効率(η)に及ばないことが分かった。
光電変換素子の電極間距離Lが50μm(厚みが54μmのイオン伝導性フィルムを使用)以外は実施例3と同様な条件で実験を行なったところ、表6で示すように、この素子は本発明の要件であるD/L≧0.0003cm/s以上を満たしておらず、実施例3および実施例4の変換効率(η)に及ばないことが分かった。
[比較例3]
光電変換素子の電極間距離Lが107μm(厚みが112μmのイオン伝導性フィルムを使用)以外は実施例3と同様な条件で実験を行なったところ、表7で示すように、この素子は本発明の要件であるD/L≧0.0003cm/s以上を満たしておらず、実施例3および実施例4の変換効率(η)に及ばないことが分かった。
光電変換素子の電極間距離Lが107μm(厚みが112μmのイオン伝導性フィルムを使用)以外は実施例3と同様な条件で実験を行なったところ、表7で示すように、この素子は本発明の要件であるD/L≧0.0003cm/s以上を満たしておらず、実施例3および実施例4の変換効率(η)に及ばないことが分かった。
[実施例5]
《イオン伝導性フィルムの作製》
カルボキシル基を含有するポリフッ化ビニリデン系ポリマー(KF9300、呉羽化学社製)1gと0.3mol/Lのヨウ化リチウム、0.5mol/Lの4−t−ブチルピリジン、0.1mol/Lのヨウ素および0.5質量%の水を含む常温溶融塩(ヨウ化1−メチル−3−プロピルイミダゾリウム)溶液を4g添加し、アセトンにて希釈し加熱し均一溶液を得た。この溶液をポリエチレンテレフタレートフィルム基板上にドクターブレード法で塗布し、加熱乾燥をし、115μm厚の均一なイオン伝導性フィルムを得た。
同様の方法で、ドクターブレードのギャップを変えることで、組成は同じで、厚みの異なる計4種類のイオン伝導性フィルム(115μm、60μm、30μm、16μm)を得た。
《イオン伝導性フィルムの作製》
カルボキシル基を含有するポリフッ化ビニリデン系ポリマー(KF9300、呉羽化学社製)1gと0.3mol/Lのヨウ化リチウム、0.5mol/Lの4−t−ブチルピリジン、0.1mol/Lのヨウ素および0.5質量%の水を含む常温溶融塩(ヨウ化1−メチル−3−プロピルイミダゾリウム)溶液を4g添加し、アセトンにて希釈し加熱し均一溶液を得た。この溶液をポリエチレンテレフタレートフィルム基板上にドクターブレード法で塗布し、加熱乾燥をし、115μm厚の均一なイオン伝導性フィルムを得た。
同様の方法で、ドクターブレードのギャップを変えることで、組成は同じで、厚みの異なる計4種類のイオン伝導性フィルム(115μm、60μm、30μm、16μm)を得た。
《拡散係数の測定》
上記4種類のイオン伝導性フィルムは組成は同じであるため、拡散係数も同じ値を示す。従って、115μmのフィルムを用いて拡散係数を測定した。イオン伝導性フィルムをPtをスパッタ処理した2枚のフィルム抵抗値10Ω/sqのSnO2:Fガラス(ガラス基板上にSnO2:F膜を形成した透明導電性ガラス)(電極)に挟み、電極間に0.6Vの電圧を印加し、その際の電流の時間変化を測定した。得られたデータから前記コットレルの式を用いて拡散係数Dを求めると、3.1×10-7cm2/sであった。
上記4種類のイオン伝導性フィルムは組成は同じであるため、拡散係数も同じ値を示す。従って、115μmのフィルムを用いて拡散係数を測定した。イオン伝導性フィルムをPtをスパッタ処理した2枚のフィルム抵抗値10Ω/sqのSnO2:Fガラス(ガラス基板上にSnO2:F膜を形成した透明導電性ガラス)(電極)に挟み、電極間に0.6Vの電圧を印加し、その際の電流の時間変化を測定した。得られたデータから前記コットレルの式を用いて拡散係数Dを求めると、3.1×10-7cm2/sであった。
《光電変換素子の作製》
フィルム抵抗値10Ω/sqのSnO2:Fガラス(ガラス基板上にSnO2:F膜を形成した透明導電性ガラス)上にSOLARONIX社製Ti−Nanoxide T をバーコートして乾燥させた。バーコートの際には、膜厚が均一になるよう、透明導電性ガラスのサイドにスコッチテープを貼り付けた。塗布した基板を、450℃で1時間焼成し半導体層を形成した。これをルテニウム色素(SOLARONIX社製Ruthenium620−1H3TBA)/エタノール溶液(5.0×10-4mol/L)に15時間浸し、色素を吸着させた。
次に、色素を吸着した半導体層の上側に、先に得られた厚さ16μmのイオン伝導性フィルムを載せ、さらにその上にPt薄膜のついたガラスのPt面をイオン伝導フィルム側にして挟み、周辺を紫外線硬化型シール材でシールし、光電変換素子とした。このとき光電変換素子の電極間距離は10μmであった。作製した光電変換素子の電極間距離LおよびD/Lを表8に示した。この素子は本発明の要件である、D/L≧0.0003cm/s以上を満たしており、このようにして得たセルに疑似太陽光を照射し電流電圧特性を測定すると、表8に示すように、良好な変換効率(η)が得られた。
フィルム抵抗値10Ω/sqのSnO2:Fガラス(ガラス基板上にSnO2:F膜を形成した透明導電性ガラス)上にSOLARONIX社製Ti−Nanoxide T をバーコートして乾燥させた。バーコートの際には、膜厚が均一になるよう、透明導電性ガラスのサイドにスコッチテープを貼り付けた。塗布した基板を、450℃で1時間焼成し半導体層を形成した。これをルテニウム色素(SOLARONIX社製Ruthenium620−1H3TBA)/エタノール溶液(5.0×10-4mol/L)に15時間浸し、色素を吸着させた。
次に、色素を吸着した半導体層の上側に、先に得られた厚さ16μmのイオン伝導性フィルムを載せ、さらにその上にPt薄膜のついたガラスのPt面をイオン伝導フィルム側にして挟み、周辺を紫外線硬化型シール材でシールし、光電変換素子とした。このとき光電変換素子の電極間距離は10μmであった。作製した光電変換素子の電極間距離LおよびD/Lを表8に示した。この素子は本発明の要件である、D/L≧0.0003cm/s以上を満たしており、このようにして得たセルに疑似太陽光を照射し電流電圧特性を測定すると、表8に示すように、良好な変換効率(η)が得られた。
[比較例4]
光電変換素子の電極間距離Lが25μm(厚みが30μmのイオン伝導性フィルムを使用)以外は実施例5と同様な条件で実験を行なったところ、表9で示すように、この素子は本発明の要件であるD/L≧0.0003cm/s以上を満たしておらず、実施例5の変換効率(η)に及ばないことが分かった。
光電変換素子の電極間距離Lが25μm(厚みが30μmのイオン伝導性フィルムを使用)以外は実施例5と同様な条件で実験を行なったところ、表9で示すように、この素子は本発明の要件であるD/L≧0.0003cm/s以上を満たしておらず、実施例5の変換効率(η)に及ばないことが分かった。
[比較例5]
光電変換素子の電極間距離Lが55μm(厚みが60μmのイオン伝導性フィルムを使用)以外は実施例5と同様な条件で実験を行なったところ、表10で示すように、この素子は本発明の要件であるD/L≧0.0003cm/s以上を満たしておらず、実施例5の変換効率(η)に及ばないことが分かった。
光電変換素子の電極間距離Lが55μm(厚みが60μmのイオン伝導性フィルムを使用)以外は実施例5と同様な条件で実験を行なったところ、表10で示すように、この素子は本発明の要件であるD/L≧0.0003cm/s以上を満たしておらず、実施例5の変換効率(η)に及ばないことが分かった。
[比較例6]
光電変換素子の電極間距離Lが110μm(厚みが115μmのイオン伝導性フィルムを使用)以外は実施例5と同様な条件で実験を行なったところ、表11で示すように、この素子は本発明の要件であるD/L≧0.0003cm/s以上を満たしておらず、実施例5の変換効率(η)に及ばないことが分かった。
光電変換素子の電極間距離Lが110μm(厚みが115μmのイオン伝導性フィルムを使用)以外は実施例5と同様な条件で実験を行なったところ、表11で示すように、この素子は本発明の要件であるD/L≧0.0003cm/s以上を満たしておらず、実施例5の変換効率(η)に及ばないことが分かった。
1 透明導電性基板
2 対向電極基板
3 半導体層
4 イオン伝導性フィルム
5 シール部材
2 対向電極基板
3 半導体層
4 イオン伝導性フィルム
5 シール部材
Claims (6)
- 少なくとも一方が透明の二枚の導電性基板と、少なくともその間に設けられた、可逆な電気化学的酸化還元特性を示す物質を含有した電解質層からなる光電変換素子であって、前記二枚の導電性基板間の距離をL(cm)、前記電解質層内の可逆な電気化学的酸化還元特性を示す物質の拡散係数をD(cm2/s)とした場合に、下記関係式を満たすことを特徴とする光電変換素子。
D/L≧0.0003cm/s - 前記電解質層が、固体電解質であることを特徴とする請求項1記載の光電変換素子。
- 前記固体電解質が、少なくとも高分子マトリックスおよび可逆な電気化学的酸化還元特性を示す物質を構成成分として含むイオン伝導性フィルムであることを特徴とする請求項2記載の光電変換素子。
- 前記高分子マトリックスがポリフッ化ビニリデン系高分子化合物であることを特徴とする請求項3記載の光電変換素子。
- 前記ポリフッ化ビニリデン系高分子化合物がカルボキシル基を含有することを特徴とする請求項4記載の光電変換素子。
- 前記可逆な電気化学的酸化還元特性を示す物質が常温溶融塩類であることを特徴とする請求項1記載の光電変換素子。
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JP2014056805A (ja) * | 2012-08-10 | 2014-03-27 | Pgs Home Co Ltd | 色素増感太陽電池 |
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JP2000090990A (ja) * | 1998-09-16 | 2000-03-31 | Toshiba Corp | 光化学電池およびその製造方法 |
JP2003203520A (ja) * | 2001-12-28 | 2003-07-18 | Toshiba Corp | 電解質組成物用原料キット、電解質組成物、光増感型太陽電池及び光増感型太陽電池の製造方法 |
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2003
- 2003-07-24 JP JP2003279406A patent/JP2005044696A/ja active Pending
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