JP2005043805A - 電子写真感光体の製造方法、電子写真感光体及び画像形成装置 - Google Patents

電子写真感光体の製造方法、電子写真感光体及び画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 均一・高精度な感光層を形成する低コスト・高効率な電子写真感光体の製造方法、該製造方法によって得られた電子写真感光体、該電子写真感光体を備えた画像形成装置を提供すること。
【解決手段】 帯電手段、露光手段、現像手段及び転写手段を備えた電子写真式画像形成装置に用いられる電子写真感光体の製造方法において、該製造方法は少なくとも高周波誘導による加熱工程を有し、該加熱工程において用いられる加熱手段は少なくとも周回された導線が同一の面を形成する1個以上の高周波誘導加熱用のコイルからなり、かつ該コイルの形成する該面が感光体に対する対向面となり、かつ該対向面が該感光体の感光面と平行になるよう該コイルは該感光体の外側に配設されており、かつ加熱の際に該コイルと該感光体の距離が30mm以下である電子写真感光体の製造方法、該製造方法を用いて製造された電子写真感光体及び該電子写真感光体を備えた画像形成装置。
【選択図】 なし

Description

本発明は、帯電手段、露光手段、現像手段及び転写手段を備えた画像形成装置及び該画像形成装置において用いられる電子写真感光体部材に関する。具体的には、電子写真複写機、レーザービームプリンター、CRTプリンター、LEDプリンター、液晶プリンター、ファクシミリ及びレーザー製版等の電子写真応用技術に広く用いることができる。
画像形成装置において用いられる電子写真感光体として、無公害性と高生産性といった利点から、有機光導電物質が広く利用されている。これらの電子写真感光体は、電気的及び機械的特性の双方を満足するために電荷発生層と電荷輸送層を積層した機能分離型の電子写真感光体として利用される場合が多い。電子写真感光体に要求される特性としては、適用されるプロセスに応じた感度や電気的特性、光学的特性等が挙げられるが、これらの特性を発現するにあたり電子写真感光体材料が有する特性を有効に発現しうる電子写真感光体膜の精度、すなわち、均一性・平滑性・クリーン度等が必須条件となる。従って、電子写真感光体の前記要求特性を充たすための必要条件として、高精度な電子写真感光体膜が得られるような製造条件が重要な因子となる。電子写真感光体の製造方法としては、例えば支持体としてアルミニウム等の円筒形金属製シリンダーを用いる場合、該シリンダーの表面に有機溶剤等を媒体とした電子写真感光体塗料を浸漬・スプレー・ローラー等の塗布手段を用いてコーティングを行い、これを加熱することにより塗膜を乾燥、及び若しくは硬化させることで感光層のコーティング膜を有する電子写真感光体部材を得る方法が一般的である。
ここで加熱の方法としては、特許文献1、特許文献2に記載されているような温風加熱炉を用いるのが一般的である。温風加熱炉は、メンテナンスが比較的簡単で、バッチ式・連続生産のいずれにも適応性が良いという長所を有する反面、次のような弊害がある。
第一に塗膜の表面を先行して加温してしまうために、膜の乾燥・硬化状態にムラが発生してしまう。この現象は、例えば、塗膜の表面が先に硬化すると膜内部の溶剤が蒸発して膜から抜け出ることができず、気泡が発生する要因ともなる。また、表面だけが先に加温されるのを防ぐために乾燥・硬化の初期には熱供給をなるべく緩やかにする方法があるが、これは生産効率を著しく損ねる。
第二の弊害として、風が塗膜に直接当たることによる影響が挙げられる。例えば、風の塗膜面への吹付けにより膜表面の平滑性が損なわれる場合がある。更に、風が乾燥炉内に微量に存在する塵・ホコリ等を舞い上げ更には塗膜に吹付けてしまい、塗膜上のブツが発生してしまう可能性があるため、製造環境の要求はより厳しいものとなる。
第三の弊害としては、空気を媒介として熱を供給する方式に起因する点であり、乾燥炉内に電子写真感光体の数量が増えるほど温風の通り易い部分と通り難い部分ができ、温度ムラが発生し易く、また、空気を媒介とする加熱では対象物の昇温が遅いために加温効率は不利である。
一方、特許文献3には、電子写真感光体ドラムの内側より温風を通して支持体側から熱を供給しつつ塗膜を乾燥・硬化させる製造方法が記載されている。この方法によれば前記第一の弊害、すなわち塗膜表面が先に乾燥・硬化される現象は基本的に防げるものの、前記第二の弊害については風を使用する限り回避は困難である。更に、電子写真感光体ドラムの内側から温風を供給する機構は装置を複雑化・高コスト化するため好ましくない。
一方、特許文献4、特許文献5には赤外線ヒーターにより塗膜を乾燥・硬化する製造方法の記載がある。この方法では、塗膜全体をおおよそ均一に加熱することが可能であり、また、温風を使用しないために前述したような風による弊害も起こらない。しかし、該赤外線ヒーターの弊害として表面温度が300℃以上の高温になる点が挙げられる。電子写真感光体塗料は前述したように溶剤を媒体とするものが一般的であり、高温のヒーター表面においては溶剤蒸気が発火する危険性がある。更に、ヒーターに近いほど熱を与えられるために、ヒーター近傍の壁面・天井等には冷却機構が必要となる場合があり、装置の複雑化・高コスト化を助長する。
また、特許文献6には高周波誘導加熱用の円筒形コイルを用いて電子写真感光体ドラムの外周を囲む形で配設することによる感光層塗膜の乾燥・硬化の方法が記載されている。この方法によれば、塗膜は支持体側から加熱されるために蒸発した溶剤は表面から抜け易く、更に風による弊害も起こらない。しかし問題点として、コイルを電子写真感光体ドラムに装着する際にコイル若しくは電子写真感光体ドラムを軸方向にストロークさせる必要がある。すなわち、自動連続生産ラインを想定すると、電子写真感光体ドラムを軸方向に立てた状態で加熱ゾーンまで移動させた後、例えばコイルの最下端部を電子写真感光体ドラムの最上端部よりも更に上まで持ち上げてから電子写真感光体ドラムの外周に被せるという動作となる。これは、電子写真感光体ドラムを単に一方向に移動させる動作と比較すると別の動作機構が追加で必要となることを意味し、また、装置を上下方向に大型化させることになり、装置のコストアップ要因となる。特に近年、塗膜の乾燥・硬化を効率化・安定化させるための方法として、例えば不活性ガスの雰囲気内で加熱を行うケースもあるが、この場合、加熱ゾーンは極力密閉された狭いスペース内であることが望ましく、前述した加熱コイルを電子写真感光体ドラムの外周に配設する方法では、この要求を充たすことはできない。
特開平10−319611号公報 特開2001−117245号公報 特開平10−239868号公報 特公平5−50742号公報 特開平11−311871号公報 特開平9−114111号公報
本発明の目的は、画像形成装置において使用される電子写真感光体に関して、均一・高精度な感光層を形成する低コスト・高効率な電子写真感光体の製造方法を提供することにある。
本発明の別の目的は、上記電子写真感光体の製造方法によって得られた電子写真感光体、該電子写真感光体を備えた画像形成装置を提供することにある。
本発明に従って、帯電手段、露光手段、現像手段及び転写手段を備えた電子写真式画像形成装置に用いられる電子写真感光体の製造方法において、該製造方法は少なくとも高周波誘導による加熱工程を有し、該加熱工程において用いられる加熱手段は少なくとも周回された導線が同一の面を形成する1個以上の高周波誘導加熱用のコイルからなり、かつ該コイルの形成する該面が電子写真感光体に対する対向面となり、かつ該対向面が該電子写真感光体の感光面と平行になるよう該コイルは該電子写真感光体の外側に配設されており、かつ加熱の際に該コイルと該電子写真感光体の距離が30mm以下であることを特徴とする電子写真感光体の製造方法が提供される。
また本発明に従って、上記製造方法を用いて製造された電子写真感光体及び電子写真感光体を備えた画像形成装置が提供される。
本発明により、電子写真感光体の製造方法において、高効率、低コストで均一・高精度な加熱、乾燥、硬化工程が実現され、その結果、高品質な電子写真感光体を提供することが可能となった。
次に、本発明による電子写真感光体の製造方法について説明する。
本発明にかかる電子写真感光体の導電性支持体としては、円筒形状を有するシリンダー、ベルト、若しくはシート形状のフィルムが用いられる。適用する支持体の材質として、シリンダーについては鉄、銅、真ちゅう、ステンレス、アルミニウム、ニッケルが挙げられ、更に、これらの金属間又は他元素を添加した合金等いずれの場合にも適用でき、特に、加工性や寸法安定性等の面からアルミニウム合金が好ましい。また、ベルトの材質に関しては、電気鋳造したニッケル及びニッケル合金が多く用いられる。シート形状の支持体としては、表面にアルミやニッケル等の金属を蒸着・コーティングした樹脂フィルム等が多く用いられる。
次に、これらの基体の表面に電子写真感光体を形成する製造方法について述べる。電子写真感光体は基体上に少なくとも電荷発生層及び電荷輸送層からなる感光層を形成して得られる。感光層の積層順は、基体側から電荷発生層、電荷輸送層の順でもよいし、逆でもよい。
電荷発生材料としては、例えばアゾ系顔料(例えば、モノアゾ、ビスアゾ及びトリスアゾ等)、金属や無金属のフタロシアニン系顔料、インジゴ系顔料(例えば、インジゴやチオインジゴ等)、キノン系顔料(例えば、アントアントロンやピレンキノン等)、ペリレン系顔料(例えば、ペリレン酸無水物やペリレン酸イミド等)、スクワリウム系色素、ピリリウム、チアピリリウム塩類及びトリフェニルメタン系色素等が挙げられる。また、セレン、セレン−テルルあるいはアモルファスシリコン等の無機材料も、電荷発生材料として使用することができる。
電荷輸送材料としては、電子輸送材料と正孔輸送材料がある。電子輸送材料としては、例えば2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロフルオレノン、クロラニル及びテトラシアノキノジメタン等が挙げられる。正孔輸送材料としては、例えば多環芳香族化合物(例えば、ピレンやアントラセン等)、複素環化合物(例えば、カルバゾール、インドール、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、ピラゾール、ピラゾリン、チアジアゾール及びトリアゾール等)、ヒドラゾン系化合物(例えば、p−ジエチルアミノベンズアルデヒド−N,N−ジフェニルヒドラゾンやN,N−ジフェニルヒドラジノ−3−メチリデン−9−エチルカルバゾール等)、スチリル系化合物(例えば、α−フェニル−4’−N,N−ジアミノスチルベンや5−[4−(ジ−p−トリルアミノ)ベンジリデン]−5H−ジベンゾ[a,d]ジシクロヘプテン等)、ベンジジン系化合物及びトリアリールアミン系化合物等が挙げられる。
電荷発生層の厚みは0.001〜5μmが好ましく、更には0.05〜2μmが好ましく、電荷輸送層の厚みは1〜40μmが好ましく、更には10〜30μmが好ましい。電荷発生層には、電荷発生材料を好ましくは10〜100質量%、更には40〜100質量%含有するのが好ましい。感光層は、感光層に使用する材料を適当な結着樹脂と共に有機溶剤に溶解して電子写真感光体塗料を得た後、該電子写真感光体塗料を支持体上に成膜して得られる。
感光層の結着樹脂としては、例えばポリビニルアセタール、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエステル、ポリ酢酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、アクリル樹脂、セルロース系樹脂等が好ましく用いられる。
感光層の材料の種類によっては中間層から感光層にフリーキャリアが注入されることがあり、電子写真感光体の帯電能が低下し、画像特性に大きな影響を及ぼす。この様な場合には、必要に応じて中間層と感光層との間に電気的バリヤ性を有するバリヤ層(例えば適当な樹脂薄膜)を設けることによってこのフリーキャリアの注入を効果的に抑制することができる。
バリヤ層としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリアクリル酸類、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリグルタミン酸、カゼイン及びでんぷん等の水溶性樹脂や、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド酸、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン及びポリグルタミン酸エステル等の樹脂を用いることができる。特に、塗工性、密着性、耐溶剤性、電気的バリヤ性及び抵抗等の点でポリアミドがバリヤ層として好ましい。ポリアミドとしては、溶液状態で塗布できるような低結晶性若しくは非結晶性の共重合ナイロン等が適当である。バリヤ層の厚みは、0.1〜2μmが好ましい。
また、支持体の保護、支持体表面欠陥の被覆、支持体からの電荷注入性改良、電気的・機械的外力による感光層劣化の保護ためにバリヤ層の下に下引層を設けてもよく、更に感光層表面の保護及び耐久性能の向上のために電荷輸送層の上に表面層を設けてもよい。
次に、これら電荷発生層・電荷輸送層、バリヤ層、下引層及び表面層の感光層成膜方法について述べる。各層塗料の支持体への塗工方法としては、スプレー、浸漬、ロールコーター等が一般的である。シリンダーのように、支持体が塗工の際にすでに円筒形状を有している場合は、スプレーや浸漬塗布が対応し易く、金属蒸着フィルムのように支持体が塗工時にシート形状を有している場合は、ロールコーターが適している。塗工を終えた支持体は加熱ゾーンに移動される。加熱ゾーンには、高周波誘導加熱用のコイルが配設されている。ここで、高周波誘導加熱とは、導電性支持体に渦電流を発生させることによって、電流I及び電流の流れる部分の電気抵抗Rの積IRに比例するエネルギーをもつジュール熱を生じさせる加熱方法である。支持体自体が熱供給源となるため、塗膜の表面が先行的に乾燥・硬化されることがない。また、温風加熱炉や赤外線ヒーターのように熱供給源と電子写真感光体の間に空気を介在していないために加熱ムラを生じることが少ない。更に、近接した導電物質以外には基本的に熱が加わらないために、装置全体における熱疲労が少なく抑えられる。
連続生産装置における構成としては、例えば図1のような周回された導線が同一面を形成するコイルを図2のように該面を電子写真感光体に対向するように配設する構成が好適である。この構成では、装置における動作機構が電子写真感光体ドラムを一方向にコンベア等で移動させる機構だけで済むために装置が単純化される。コイルの形状としては、例えば図3、図4のような長円形・長方形として、電子写真感光体に適応した形状にすることにより加熱を効率化できる。ここでコイルにおける長辺の長さが、電子写真感光体の軸方向長さより長くなるようにしたり、図5のように電子写真感光体ドラムの外周面に合わせた曲率をコイルの対向面にもたせることで、加熱を一層効率化することができる。一方、電子写真感光体がシート形状の場合、加熱コイルは図6のように配設されることにより高効率な加熱が実現できる。加熱の際にコイルと電子写真感光体の距離は近いほど加熱効率が良くなる。コイルと電子写真感光体の距離は30mm以下であることが必須で、更には20mm以下であることが好ましい。また、コイルにおいて電子写真感光体に対する対向面が、電子写真感光体の感光面と平行になるように配設される。該対向面が該感光面と平行でない場合、電子写真感光体における加熱が不均一となり膜性におけるムラの要因となる。電子写真感光体がドラム形状の場合、ドラムの把持し易さ等のハンドリングや装置スペース上の理由から、電子写真感光体は立てた状態で搬送、加熱を施す装置構成が好ましい。また、加熱の際、電子写真感光体ドラムの周方向における温度ムラを抑止するために、電子写真感光体は自転させることが好ましい。一方、図7、図8のように加熱コイルは電子写真感光体に対して複数の方向に配設し、同時に加熱することにより効率を向上させることが可能である。電子写真感光体を加熱する際、例えば電子写真感光体を把持及び又は支持する部材における電子写真感光体との接触部分から熱が逃げるために、電子写真感光体において加熱ムラが発生する場合がある。これを抑止するために、部分的に磁束密度を増大させるように磁性材料からなるコアを配設してもよい。磁性材料としては、特にフェライトが好ましい。具体的には、例えば図9のようにコイルの下端部に適度な寸法のフェライトを配設することにより、電子写真感光体が支持部材と接触する下端部の温度低下を抑止できる。更に、加熱を促進させる目的で電子写真感光体をコイルに対向させて支持する支持用部材の材質にジュール熱を発生し易い鉄、ステンレス等を使用してもよい。
電子写真感光体において本発明の適用を以下に述べる。
(下引層用塗料の作製)
アンチモン含有の酸化スズの被覆層を有する酸化チタン微粒子からなる粉体150質量部、レゾール型フェノール樹脂70質量部、1−メトキシ−2−プロパノール100質量部からなる溶液を、ボールミルにて約20時間分散し、下引層用塗料を得た。
(バリヤ層用塗料の作製)
共重合ナイロン樹脂10質量部をメタノール60質量部/ブタノール40質量部の混合液に溶解してバリヤ層用塗料を得た。
(電荷発生層用塗料の作製)
オキシチタニウムフタロシアニン顔料4質量部、ポリビニルブチラール樹脂2質量部、シクロヘキサノン34質量部からなる溶液をサンドミルで8時間分散した後、テトラヒドロフラン60質量部を加えて、電荷発生層用の分散液を調合した。
(電荷輸送層用塗料の作製)
ポリカーボネート樹脂57質量部、トリアリールアミン化合物43質量部、をモノクロルベンゼン400質量部に溶解して電荷輸送層用塗料を得た。
(感光層塗工)
長さ360mm、厚み0.8mm、外径30mmのアルミニウム製ED管を基体として用い、該基体の表面上に浸漬塗布により前記下引層塗料を塗布した後、図2に示した誘導加熱を用いた加熱ゾーンにおいて電子写真感光体を縦置きし自転させながら乾燥硬化させた。更に、引き続き下引層の上にバリヤ層、電荷発生層、電荷輸送層の順で浸漬塗布、及び乾燥・硬化を同様に行った。
ここで加熱コイルは、直径2.0mmの導線が長辺370mm、短辺30mmの長方形形状に周回されており、巻き数は30周のものを用いた。また、コイルと電子写真感光体ドラムの最短距離は20mmであり、加熱時にはコイルに2.1KWの高周波電流を流した。各加熱工程においては、電子写真感光体ドラムの表面温度を軸方向20mm間隔で計17点測定した。この時、測定センサーとして非接触式の赤外線熱電対(CHINO製)を使用した。また、加熱時の温度が各層における最適硬化温度にて安定するよう、電子写真感光体中央部の温度を用いて誘導加熱の電力にPID制御をかけた。更に、電子写真感光体中央部の温度が最適硬化温度に到達した時点における電子写真感光体各個所の最高温度と最低温度の差を電子写真感光体の温度ムラとした。各層における目標温度への到達時間と温度ムラの値を表1に示す。
次に、同様に作製した100本の電子写真感光体ドラムの表面を目視観察し、電子写真感光体膜中に気泡発生の有無を確認したところ、気泡の発生は見られなかった。また、電子写真感光体をレーザープリンターLBT1510(キャノン製)に装着し、25℃/50%RHの環境下において、帯電・露光・現像・転写・クリーニングのプロセスを行い、電子写真感光体の電子写真特性の評価を行った。その結果、表2のように暗部電位VDと明部電位VLとの間に十分な差があり、十分なコントラストが得られることが確認された。
実施例1における加熱コイルに関して、該コイルの電子写真感光体への対向面を電子写真感光体の外周面に平行に沿うように湾曲させた以外は、全て実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。加熱時の電子写真感光体温度を表1に、電子写真感光体の電子写真特性、及び気泡発生率を表2に示す。ここでも気泡の発生は見られず、また、VDとVLとの間に十分な差が得られることが確認された。
電子写真感光体の支持体として厚み100μm、長さ100m、幅360mmのPETフィルム表面に100nm厚みのアルミ蒸着したシートを用い、ロールコーターにて実施例1に記載の下引層以外の電子写真感光体塗料をコーティングし、加熱には図8に示す誘導加熱装置を用いて加熱コイルの長辺をPETシートの幅方向に平行に配設することにより電子写真感光体シートを作製した。ここで電子写真感光体の温度測定は電子写真感光体シートの幅方向20mm間隔に実施例1と同様のセンサーを配設して測定した。気泡の観察は電子写真感光体シート10m2当たりにおける気泡の有無を目視確認した。また、電子写真特性は、実施例1にて使用したシリンダーに、該電子写真感光体シートを巻き付けたものを実施例1と同様に測定した。加熱時の電子写真感光体温度を表1に、電子写真感光体の電子写真特性、及び気泡発生率を表2に示す。ここでも気泡の発生は見られず、また、VDとVLとの間に十分な差が得られることが確認された。
実施例1で用いた加熱コイルにおける下端部、電子写真感光体対向面と反対側の面に図9のように、厚み3mm、幅8mm、長さ35mmの平板形状のフェライト製コアを接着した以外は、全て実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。加熱時の電子写真感光体温度を表1に、電子写真感光体の電子写真特性、及び気泡発生率を表2に示す。実施例1に比較して、電子写真感光体の加熱効率及び温度ムラはいずれも向上していた。また、ここでも気泡の発生は見られず、VDとVLとの間に十分な差が得られることが確認された。
(比較例1)
各感光層の加熱に送風加熱炉を用いた以外は全て実施例1と同様にして電子写真感光体ドラムを作製した。表1に示すように、加熱効率及び温度ムラは実施例1に比較して劣り、更に表2に示すように感光膜中の気泡発生率は上がっていた。
(比較例2)
各感光層の加熱に送風加熱炉を用いた以外は全て実施例3と同様にして電子写真感光体シートを作製した。表1に示すように、加熱効率及び温度ムラは実施例3に比較して劣り、更に表2に示すように感光膜中の気泡発生率は上がっていた。
(比較例3)
実施例1で用いた加熱コイルと電子写真感光体の最短距離を40mmにした以外は、全てすべて実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。表1に示すように、加熱効率は実施例1に比較して劣り、更に表2に示すように感光膜中の気泡発生率は上がっていた。
Figure 2005043805
Figure 2005043805
高周波誘導加熱用コイルの概略平面図の例である。 連続装置におけるコイルの配置例である。 長円形状の高周波誘導加熱用コイルの概略平面図の例である。 長方形状の高周波誘導加熱用コイルの概略平面図の例である。 高周波誘導加熱用コイルの配置例である。 電子写真感光体シートを加熱する際の加熱用コイル配置例である。 連続装置におけるコイルの配置例である。 連続装置におけるコイルの別の配置例である。 フェライトコアを有している高周波誘導加熱用コイルの概略平面図の例である。
符号の説明
1 高周波誘導加熱用コイル
2 電子写真感光体ドラム
3 搬送コンベア
4 電子写真感光体シート
5 シート巻取りロール
6 フェライトコア


Claims (10)

  1. 帯電手段、露光手段、現像手段及び転写手段を備えた電子写真式画像形成装置に用いられる電子写真感光体の製造方法において、該製造方法は少なくとも高周波誘導による加熱工程を有し、該加熱工程において用いられる加熱手段は少なくとも周回された導線が同一の面を形成する1個以上の高周波誘導加熱用のコイルからなり、かつ該コイルの形成する該面が電子写真感光体に対する対向面となり、かつ該対向面が該電子写真感光体の感光面と平行になるよう該コイルは該電子写真感光体の外側に配設されており、かつ加熱の際に該コイルと該電子写真感光体の距離が30mm以下であることを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
  2. 前記加熱手段が少なくとも平面形状を有している2個以上の高周波誘導加熱用のコイルからなり、かつ該電子写真感光体を該コイルに挟んだ状態で加熱を行っている請求項1に記載の電子写真感光体の製造方法。
  3. 前記加熱工程において、前記電子写真感光体は円筒形状を有し、かつ該電子写真感光体を周方向に自転させつつ加熱が行われている請求項1又は2に記載の電子写真感光体の製造方法。
  4. 前記加熱工程において、前記電子写真感光体の軸方向を垂直にして立てた状態で加熱が行われている請求項3に記載の電子写真感光体の製造方法。
  5. 前記コイルが長辺と該長辺に直交する短辺を有している長円形又は長方形の形状に巻いて形成された加熱コイルからなり、該コイルの長辺が該電子写真感光体の軸方向に対して平行になるように配設されている請求項3に記載の電子写真感光体の製造方法。
  6. 前記長辺の長さが前記電子写真感光体の軸方向長さ以上である請求項5に記載の電子写真感光体の製造方法。
  7. 前記加熱手段が少なくとも磁性材料からなるコアを有している請求項1に記載の電子写真感光体の製造方法。
  8. 前記加熱工程が前記電子写真感光体の外周面にコーティング層を形成する際の硬化・乾燥・定着の少なくとも一工程である請求項1に記載の電子写真感光体の製造方法。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の製造方法を用いて製造されたことを特徴とする電子写真感光体。
  10. 請求項1〜8のいずれかに記載の製造方法を用いて製造された電子写真感光体を備えたことを特徴とする画像形成装置。

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JP2014056113A (ja) * 2012-09-12 2014-03-27 Ricoh Co Ltd 電子写真感光体の製造方法

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