JP2005043400A - 反射防止フィルム、偏光板および表示装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】リン酸エステル系可塑剤の含有量が1質量%未満であるセルロースエステルフィルム基材上に、金属酸化物微粒子を含有し、かつ該セルロースエステルフィルムよりも屈折率の高いハードコート層、また該ハードコート層上にハードコート層よりも屈折率の低い低屈折率層を積層したことを特徴とする反射防止フィルム。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、生産性に優れ、安価であり、かつ保存耐久性に優れた大画面表示装置用として好適な、セルロースエステルフィルムを基材として用いた反射防止フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
CRTや液晶表示装置の高画質化に伴って、視認性を改善するため反射防止層を設けた表示装置が求められており、反射防止層が形成された光学フィルム等を表示装置前面に張り付けることが行われている。テレビのような大画面の表示装置では、直接、物が接触することがあり傷が付きやすい。そこで、通常は傷つき防止のためにハードコート層を支持体上に形成し、その上に反射防止層が形成されたハードコート層付き反射防止フィルムが用いられる。
【0003】
例えば、特開2002−243906号公報に見られるように、支持体にはセルロースエステル等の樹脂フィルムが使用され、その上にハードコート層、反射防止層、防汚層を形成した反射防止フィルムが知られている。
【0004】
反射防止フィルムとしては、特に最近、大型の表示装置に用いられる大面積の、例えば、1000mm以上、更には1400mm以上の幅広フィルムが必要となってきている。
【0005】
反射防止フィルムは、通常は屈折率の異なった層、例えば、支持体側から高屈折率層、低屈折率層を順に積層した光学干渉層の積層体(後述のように他の層を追加することもある)からなり、各光学干渉層の光学膜厚は、波長λの光に対して一定の関係に設定して作製される。
【0006】
例えば、基材上にハードコート層、更に、反射防止層として、基材よりも屈折率の高い高屈折率層(更に必要に応じて中屈折率層(基材またはハードコート層よりも屈折率が高く、高屈折率層よりも屈折率の低い層))、また基材よりも屈折率の低い低屈折率層を組み合わせてなる構成が普通の構成であり、光学性能上の観点から、さらに多くの反射防止層を積層するものも提案されている。
【0007】
しかし、上記のように大サイズ化のため幅広となった場合、または薄膜化のため基材の厚さを薄くした場合には、これら多くの光学干渉層を複数形成することによる工数の増大により生産性が上がらないこと、また、工程数が多い場合、各工程の歩留まり向上に限界があること、更に、基材のセルロースエステルフィルム自身裂けやすく、特にハードコート層を設けた幅広のセルロースエステルフィルムでは破断が起こりやすく、ハードコート層を設けたフィルム上に薄膜を塗布する場合に破断しやすい。また、反射防止層を形成した後、または仕上がった反射防止フィルムを巻きとる段階で、蛇行やしわ、ひどいときには折れ込みや破断を起こしてしまう。
【0008】
これらのことから、大型TV等の大画面表示装置用として大きい面積の反射防止フィルムを得ようとすると反射防止フィルムのコストがどうしてもあがってしまう。
【0009】
これらを改善するものとして、より少ない工程で光学的性能に優れた反射防止フィルムを得ることのできる生産効率の高い、少ない層構成で優れた性能を有する反射防止フィルムが提案されている。
【0010】
例えば、前記基材上に設けられたハードコート層に酸化チタン等の屈折率の高い金属酸化物微粒子を含有させ高屈折率層としても機能するようにし、更に、低屈折率層を形成して、反射防止フィルムとした構成が開示されており、これらは工数の少ないことから歩留まりが高く、より安価な反射防止フィルムが得られるという特徴がある。このような構成の反射防止フィルムについて、検討がされている(例えば、特許文献1、特許文献2または特許文献3)。
【0011】
しかしながら、ハードコート層に、特に屈折率を高くする為に酸化チタン等の金属酸化物微粒子を添加するため、反射防止フィルムとしての使用中、UV光、太陽光等に晒されるときに、反射防止フィルムの耐傷性が低下したり、フィルム基材が着色したり、また、甚だしい場合には、膜ハガレを起こしてしまうという問題点があり、反射防止フィルムを使用する際、また、反射防止フィルムの保存耐久性が悪化してしまうという問題点が生じていた。
【0012】
【特許文献1】
特開平9−222504号公報
【0013】
【特許文献2】
特開平9−220791号公報
【0014】
【特許文献3】
特開平9−226062号公報
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、生産性に優れ、かつ安価であり、大画面TV表示装置用として好適なセルロースエステルフィルムを基材とした反射防止フィルムであって、保存耐久性に優れた反射防止フィルムを得ることにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は以下の手段によって達成される。
【0017】
1.リン酸エステル系可塑剤の含有量が1質量%未満であるセルロースエステルフィルム基材上に、金属酸化物微粒子を含有し、かつ該セルロースエステルフィルムよりも屈折率の高いハードコート層、また該ハードコート層上にハードコート層よりも屈折率の低い低屈折率層を積層したことを特徴とする反射防止フィルム。
【0018】
2.前記金属酸化物微粒子が表面処理剤により処理されていることを特徴とする前記1に記載の反射防止フィルム。
【0019】
3.セルロースエステルフィルム基材のハードコート層を塗布した面の反対側の面に易接着層を有することを特徴とする前記1または2に記載の反射防止フィルム。
【0020】
4.低屈折率層の塗設前に、ハードコート層表面に鹸化処理、コロナ放電処理、プラズマ放電処理による処理から選ばれる処理を行うことを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の反射防止フィルム。
【0021】
5.低屈折率層がフッ素原子を含むポリマーまたは珪素原子を含有する化合物から形成された高分子化合物を含有し、セルロースエステルフィルム基材の低屈折率層と反対の面にマット剤を含有する層が設けられたことを特徴とする前記1〜4のいずれか1項に記載の反射防止フィルム。
【0022】
6.前記1〜5のいずれか1項に記載の反射防止フィルムを用いたことを特徴とする偏光板。
【0023】
7.前記6に記載の偏光板を用いたことを特徴とする表示装置。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0025】
本発明に係わる反射防止フィルムは、セルロースエステルフィルム基材上に、金属酸化物微粒子を含有し、かつ該セルロースエステルフィルムよりも屈折率の高いハードコート層、また該ハードコート層上にハードコート層よりも屈折率の低い低屈折率層を積層した構成からなっている。
【0026】
通常、反射防止フィルムの表面は手で触れる機会も多く、傷が付かないことが求められており、ハードコート層が設けられている。ハードコート層は、熱硬化樹脂または活性線硬化樹脂からなる層が形成されたものであり、特に紫外線硬化樹脂からなるハードコート層を設けることが好ましい。
【0027】
本発明において、これらのハードコート層中には、該ハードコート層をセルロースエステルフィルム基材よりも高屈折率とするために、酸化チタン等の金属酸化物微粒子が含有されている。高屈折率層として、屈折率は1.55〜2.30程度の屈折率とする。該高屈折率のハードコート層上に更に、該ハードコート層よりも屈折率の低い、低屈折率層(屈折率1.3〜1.5)を設けることで、本発明に係わる反射防止フィルムは構成されている。
【0028】
屈折率の高低はそこに含まれる金属または化合物によってほぼ決まり、金属酸化物を用いる場合、例えばTiは高く、Siは低く、またFを含有する化合物は低い屈折率を有する。このような組み合わせによって各層の屈折率が設定される。前記屈折率と膜厚との関係は、分光反射率の測定により計算して算出し得る。
【0029】
これらの構成を有するフィルムにおいて、前記保存性、耐久性の低下をもたらすものとして、本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、基材となるセルロースエステルフィルムには、安価で、かつ可塑剤として優れた特性を有するために、通常、リン酸エステル系可塑剤(リン酸エステル(TPP)等)が、多く含まれていること、および、反射防止フィルムの前記構成、即ち、CHC(クリアハードコート)が高屈折率層を兼ねていて、これを高屈折率とするために、CHC層に金属酸化物(特に高屈折率にしたいので酸化チタンが好ましい)が添加・含有されていることに起因することを見いだした。
【0030】
即ち、これらの金属酸化物は微粒子は光触媒としての性質を有することから、保存時、また使用時にフィルムが光(UV光、また太陽光等)に晒された際に、これら金属酸化物粒子が、隣接層である基材フィルムから浸透してきた前記可塑剤の光分解の触媒となるため、可塑剤が分解・酸化されて着色の原因となり、保存耐久性(着色、膜ハガレ、耐傷性低下)が悪化するものと考えられる。何故に、リン酸エステル系可塑剤を用いると、保存耐久性が劣化するのかは、完全に明確ではないが、リン酸エステル系可塑剤は、多層に溶出しやすいことから、分解が大きいこと、またリン酸エステル系可塑剤が含有すると、それ自身が溶出しやすいというだけでなく、他の可塑剤も溶出しやすくなり、更に劣化を大きくする原因となりやすいことが考えられる。また、リン酸エステル系可塑剤の別の欠点としてセルロースエステルから溶出しやすいことでフィルムの平面性も劣化しやすいことがあげられる。
【0031】
従って、リン酸エステル系可塑剤を実質的に含有しない(1質量%未満)セルロースエステルフィルム基材を用いることで、前記金属酸化物微粒子を含有する該セルロースエステルフィルムよりも屈折率の高いハードコート層、及び該ハードコート層上にハードコート層よりも屈折率の低い低屈折率層を積層した反射防止フィルムの前記保存性、耐久性の低下は大きく改善される。
【0032】
ここで、本発明において好ましくない、リン酸エステル系可塑剤の例としては、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート等があげられる。従って、本発明においては、これらのリン酸エステル系可塑剤は本発明を構成するセルロースエステルフィルム中には実質的に含有しない、即ち、実質的に含有しないとは、含有量が、1質量%未満であり、好ましくは0.1質量%未満であり、まったく含有しないことが特に好ましい。
【0033】
従って、本発明に係わるセルロースエステルフィルムおいては、多価アルコールエステル系可塑剤、また前記多価アルコールエステル系可塑剤と異なる種類の多価アルコールエステル、フタル酸エステル、クエン酸エステル、脂肪酸エステル、グリコレート系可塑剤等が用いられる。
【0034】
多価アルコールエステル系可塑剤は2価以上の脂肪族多価アルコールとモノカルボン酸のエステルよりなる可塑剤であり、分子内に芳香環またはシクロアルキル環を有することが好ましい。好ましくは2〜20価の脂肪族多価アルコールエステルである。
【0035】
本発明に用いられる多価アルコールは次の一般式(1)で表される。
一般式(1) R1−(OH)n
ただし、R1はn価の有機基、nは2以上の正の整数、OH基はアルコール性、及び/またはフェノール性水酸基を表す。
【0036】
好ましい多価アルコールの例としては、例えば以下のようなものをあげることが出来るが、本発明はこれらに限定されるものではない。アドニトール、アラビトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ジブチレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ヘキサントリオール、ガラクチトール、マンニトール、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、ピナコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、キシリトール等を挙げることが出来る。特に、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、キシリトールが好ましい。
【0037】
本発明の多価アルコールエステルに用いられるモノカルボン酸としては、特に制限はなく、公知の脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸等を用いることが出来る。脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸を用いると透湿性、保留性を向上させる点で好ましい。
【0038】
好ましいモノカルボン酸の例としては以下のようなものを挙げることが出来るが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0039】
脂肪族モノカルボン酸としては、炭素数1〜32の直鎖または側鎖を有する脂肪酸を好ましく用いることが出来る。炭素数は1〜20であることが更に好ましく、1〜10であることが特に好ましい。酢酸を含有させるとセルロースエステルとの相溶性が増すため好ましく、酢酸と他のモノカルボン酸を混合して用いることも好ましい。
【0040】
好ましい脂肪族モノカルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸等の飽和脂肪酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等の不飽和脂肪酸等を挙げることが出来る。
【0041】
好ましい脂環族モノカルボン酸の例としては、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることが出来る。
【0042】
好ましい芳香族モノカルボン酸の例としては、安息香酸、トルイル酸等の安息香酸のベンゼン環にアルキル基を導入したもの、ビフェニルカルボン酸、ナフタレンカルボン酸、テトラリンカルボン酸等のベンゼン環を2個以上有する芳香族モノカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることが出来る。特に安息香酸が好ましい。
【0043】
多価アルコールエステルの分子量は特に制限はないが、300〜1500であることが好ましく、350〜750であることが更に好ましい。分子量が大きい方が揮発し難くなるため好ましく、透湿性、セルロースエステルとの相溶性の点では小さい方が好ましい。
【0044】
多価アルコールエステルに用いられるカルボン酸は1種類でもよいし、2種以上の混合であってもよい。また、多価アルコール中のOH基は、全てエステル化してもよいし、一部をOH基のままで残してもよい。
【0045】
以下に、多価アルコールエステルの具体的化合物を例示する。
【0046】
【化1】
【0047】
【化2】
【0048】
【化3】
【0049】
【化4】
【0050】
グリコレート系可塑剤は特に限定されないが、アルキルフタリルアルキルグリコレート類が好ましく用いることが出来る。アルキルフタリルアルキルグリコレート類としては、例えばメチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルプロピルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、オクチルフタリルオクチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、エチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルメチルグリコレート、ブチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルオクチルグリコレート、エチルフタリルオクチルグリコレート、オクチルフタリルメチルグリコレート、オクチルフタリルエチルグリコレート等が挙げられる。
【0051】
フタル酸エステル系可塑剤としては、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジオクチルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジシクロヘキシルテレフタレート等が挙げられる。
【0052】
クエン酸エステル系可塑剤としては、クエン酸アセチルトリメチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル等が挙げられる。
【0053】
脂肪酸エステル系可塑剤として、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル等が挙げられる。
【0054】
セルロースエステルフィルム中の可塑剤の総含有量は、固形分総量に対し、5〜20質量%が好ましく、6〜16質量%が更に好ましく、特に好ましくは8〜13質量%である。
【0055】
本発明に係わるセルロースエステルフィルムにおいては、上記の可塑剤のうち少なくとも2種類の可塑剤を含有し、少なくとも1種は多価アルコールエステル系可塑剤であることが好ましい。他の可塑剤はリン酸エステル系可塑剤を実質的に含有しないという以外、特に限定されない。
【0056】
多価アルコールエステル系可塑剤は1〜12質量%含有することが好ましく、特に3〜11質量%含有することが好ましい。少ないと平面性の劣化が認められ、多すぎるとブリードアウトがしやすい。多価アルコールエステル系可塑剤とその他の可塑剤との比率は1:4〜4:1の範囲であることが好ましく、1:3〜3:1であることがさらに好ましい。可塑剤の添加量が多すぎても、また少なすぎてもフィルムが変形しやすく好ましくない。
【0057】
本発明に係わるセルロースエステルフィルム基材上に塗設される、ハードコート層として用いられる、活性線硬化樹脂層の製造方法について述べる。
【0058】
本発明の反射防止フィルムにおいては、ハードコート層として活性線硬化樹脂層が好ましく用いられる。活性線硬化樹脂層とは紫外線や電子線のような活性線照射により架橋反応等を経て硬化する樹脂を主たる成分とする層をいう。活性線硬化樹脂としては、エチレン性不飽和二重結合を有するモノマーを含む成分が好ましく用いられ、紫外線や電子線のような活性線を照射することによって硬化させてハードコート層が形成される。活性線硬化樹脂としては紫外線硬化性樹脂や電子線硬化性樹脂等が代表的なものとして挙げられるが、紫外線照射によって硬化する樹脂が好ましい。
【0059】
紫外線硬化性樹脂としては、例えば、紫外線硬化型ウレタンアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂、紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂、または紫外線硬化型エポキシ樹脂等が好ましく用いられる。
【0060】
紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂は、一般にポリエステルポリオールにイソシアネートモノマー、またはプレポリマーを反応させて得られた生成物に更に2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(以下アクリレートにはメタクリレートを包含するものとしてアクリレートのみを表示する)、2−ヒドロキシプロピルアクリレート等の水酸基を有するアクリレート系のモノマーを反応させることによって容易に得ることができる。例えば、特開昭59−151110号に記載のものを用いることが出来る。
【0061】
例えば、ユニディック17−806(大日本インキ(株)製)100部とコロネートL(日本ポリウレタン(株)製)1部との混合物等が好ましく用いられる。
【0062】
紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂としては、一般にポリエステルポリオールに2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシアクリレート系のモノマーを反応させると容易に形成されるものを挙げることが出来、特開昭59−151112号に記載のものを用いることが出来る。
【0063】
紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂の具体例としては、エポキシアクリレートをオリゴマーとし、これに反応性希釈剤、光反応開始剤を添加し、反応させて生成するものを挙げることが出来、特開平1−105738号に記載のものを用いることが出来る。
【0064】
紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂の具体例としては、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等を挙げることが出来る。
【0065】
これら紫外線硬化性樹脂の光反応開始剤としては、具体的には、ベンゾイン及びその誘導体、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、α−アミロキシムエステル、チオキサントン等及びこれらの誘導体を挙げることが出来る。光増感剤と共に使用してもよい。上記光反応開始剤も光増感剤として使用出来る。また、エポキシアクリレート系の光反応開始剤の使用の際、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン等の増感剤を用いることが出来る。紫外線硬化樹脂組成物に用いられる光反応開始剤又光増感剤は該組成物100質量部に対して0.1〜15質量部であり、好ましくは1〜10質量部である。
【0066】
紫外線硬化樹脂モノマーとしては、例えば、不飽和二重結合が一つのモノマーとして、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、酢酸ビニル、スチレン等の一般的なモノマーを挙げることが出来る。また不飽和二重結合を二つ以上もつモノマーとして、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ジビニルベンゼン、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、1,4−シクロヘキシルジメチルアジアクリレート、前出のトリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリルエステル等を挙げることが出来る。
【0067】
本発明において使用し得る紫外線硬化樹脂の市販品としては、アデカオプトマーKR・BYシリーズ:KR−400、KR−410、KR−550、KR−566、KR−567、BY−320B(旭電化(株)製);コーエイハードA−101−KK、A−101−WS、C−302、C−401−N、C−501、M−101、M−102、T−102、D−102、NS−101、FT−102Q8、MAG−1−P20、AG−106、M−101−C(広栄化学(株)製);セイカビームPHC2210(S)、PHC X−9(K−3)、PHC2213、DP−10、DP−20、DP−30、P1000、P1100、P1200、P1300、P1400、P1500、P1600、SCR900(大日精化工業(株)製);KRM7033、KRM7039、KRM7130、KRM7131、UVECRYL29201、UVECRYL29202(ダイセル・ユーシービー(株)製);RC−5015、RC−5016、RC−5020、RC−5031、RC−5100、RC−5102、RC−5120、RC−5122、RC−5152、RC−5171、RC−5180、RC−5181(大日本インキ化学工業(株)製);オーレックスNo.340クリヤ(中国塗料(株)製);サンラッドH−601、RC−750、RC−700、RC−600、RC−500、RC−611、RC−612(三洋化成工業(株)製);SP−1509、SP−1507(昭和高分子(株)製);RCC−15C(グレース・ジャパン(株)製)、アロニックスM−6100、M−8030、M−8060(東亞合成(株)製)等を適宜選択して利用出来る。
【0068】
また、具体的化合物例としては、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等を挙げることが出来る。
【0069】
これらの活性線硬化樹脂層はグラビアコーター、ディップコーター、リバースコーター、ワイヤーバーコーター、ダイコーター、インクジェット法等公知の方法で塗設することが出来る。
【0070】
紫外線硬化性樹脂を光硬化反応により硬化させ、硬化皮膜層を形成するための光源としては、紫外線を発生する光源であれば制限なく使用出来る。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることが出来る。照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、活性線の照射量は好ましくは、10〜400mJ/cm2であり、特に好ましくは50〜150mJ/cm2である。
【0071】
従来のハードコートフィルムではこのような低い照射量では4H以上の鉛筆硬度でかつ平面性に優れるハードコートフィルムは得られなかった。硬度がそれほど要求されないハードコートフィルムの場合は、照射量を更に少なくできるため、紫外線照射部の能力によって制限されていた塗布速度をはるかに上回る速度でハードコートフィルムを製造することができ、生産性が著しく改善される。
【0072】
紫外線硬化樹脂層組成物塗布液の有機溶媒としては、例えば、炭化水素類、アルコール類、ケトン類、エステル類、グリコールエーテル類、その他の有機溶媒の中から適宜選択し、あるいはこれらを混合し利用出来る。プロピレングリコールモノアルキルエーテル(アルキル基の炭素原子数として1〜4)またはプロピレングリコールモノアルキルエーテル酢酸エステル(アルキル基の炭素原子数として1〜4)等を5質量%以上、より好ましくは5〜80質量%以上含有する上記有機溶媒を用いるのが好ましい。
【0073】
こうして得た硬化樹脂層には、屈折率を調整するために金属酸化物微粒子が添加される。
【0074】
本発明に係わる反射防止フィルムにおいては、ハードコート層をセルロースエステルフィルム基材よりも高屈折率の層とするために、特に屈折率の高い金属酸化物微粒子が用いられ、ハードコート層中に使用される金属酸化物微粒子としては、屈折率が1.80〜2.80であることが好ましく、1.90〜2.80であることがさらに好ましい。金属酸化物微粒子の一次粒子の重量平均径は、1〜150nmであることが好ましく、1〜100nmであることがさらに好ましく、1〜80nmであることが最も好ましい。層中での金属酸化物微粒子の重量平均径は、1〜200nmであることが好ましく、5〜150nmであることがより好ましく、10〜100nmであることがさらに好ましく、10〜80nmであることが最も好ましい。金属酸化物微粒子の平均粒径は、20〜30nm以上であれば光散乱法により、20〜30nm以下であれば電子顕微鏡写真により測定される。金属酸化物微粒子の比表面積は、BET法で測定された値として、10〜400m2/gであることが好ましく、20〜200m2/gであることがさらに好ましく、30乃至150m2/gであることが最も好ましい。
【0075】
金属酸化物の例として、二酸化チタン(例、ルチル、ルチル/アナターゼの混晶、アナターゼ、アモルファス構造)、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム等が挙げられる。なかでも、二酸化チタン、酸化錫および酸化インジウム、酸化ジルコニウムが特に好ましい。金属酸化物微粒子は、これらの金属の酸化物を主成分とし、さらに他の元素を含むことができる。主成分とは、粒子を構成する成分の中で最も含有量(質量%)が多い成分を意味する。他の元素の例としては、Ti、Zr、Sn、Sb、Cu、Fe、Mn、Pb、Cd、As、Cr、Hg、Zn、Al、Mg、Si、PおよびSが挙げられる。
【0076】
金属酸化物微粒子は表面処理剤により、処理されていてもよい。表面処理剤としては、無機化合物または有機化合物を用いることができる。該表面処理により金属酸化物の分散性を向上させ、凝集を抑制する。また、バインダーとの親和性を上げることにより膜物性の改良、金属酸化物微粒子特に酸化チタンのような光活性な化合物表面を、被覆して、該金属酸化物微粒子表面での光による前記可塑剤等の有機添加剤の光分解を促進させる活性を低下させるものである。
【0077】
表面処理に用いる無機化合物の例としては、アルミナ、シリカ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、および酸化鉄が挙げられる。なかでもアルミナおよびシリカが好ましい。
【0078】
好ましい、表面処理として例えば、特開2001−166104に記載のコアとなる金属酸化物を別の無機微粒子を表面処理剤として用いて、これにより処理することによって、コア/シェル構造を有する金属酸化物微粒子とする方法がある。
【0079】
表面処理剤としてシェルに用いる無機微粒子としては、光活性の少ない他の金属酸化物微粒子が好ましく、例えば、酸化チタン以外の無機酸化物或いは硫化物等から選ばれる。これらの例として、二酸化珪素(シリカ)、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化鉄等などを主成分とした無機化合物がある。二酸化珪素(シリカ)、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化亜鉛、酸化ジルコニウムが好ましい。
【0080】
コアに対するシェルの被覆量は、平均の被覆量で2乃至50質量%である。好ましくは3乃至40質量%、特に好ましくは4乃至25質量%である。
【0081】
酸化チタンのような屈折率の高い金属酸化物を用いて(これをコアとして)、コアの周りにシェルを形成させる手法としては、まずコアとなる二酸化チタン微粒子を形成させ、その後シェルをコアの周りに形成させる手法が最も好ましい。コアとなる二酸化チタンは一般に塩素法、または硫酸法で作製される。例えば、酸化チタン−物性と応用(清野学著、第2章)に記載されている。
【0082】
また、これら高屈折率のハードコート層に用いる金属酸化物微粒子としては市販されているものも好ましく用いることができる。
【0083】
また、シェルをコアの周りに形成させる手法は、例えば、シェルとして酸化アルミニウム(アルミナ)を形成させる手法が英国特許1,134,249号に、シェルとして低密度で多孔質な二酸化珪素(シリカ)を形成させる手法が米国特許3,410,708号、FATIPEC Congr.XIV(p.697(1978);H.Weber)に、また高密度で緻密な二酸化珪素(シリカ)を形成させる手法が特公昭58−47061号公報、米国特許2,885,366号、同3,437,502号に記載されている。このほか、シェルとして酸化ジルコニウムを形成させる手法が米国特許3,383,231号、英国特許2,629,953号に、酸化錫を形成させる手法が英国特許1,365,999号に、酸化アンチモンを形成させる手法がオランダ148,354号に記載されている。
【0084】
また、前記ハードコート層中に含有される金属酸化物微粒子は、その表面を表面処理剤として、シランカップリング剤により処理されていてもよく、これにより前記フィルムの耐久性を更に向上させることができる。
【0085】
本発明に好ましく用いられるシランカップリング剤としては、下記一般式で表される化合物が好ましい。
【0086】
【化5】
【0087】
式中、Rは脂肪族或いは芳香族の炭化水素基を表し、不飽和基(例えばビニル基)を介在していてもよいし、R′OR″−、R′COOR″−、R′NHR″−(R′はアルキル基、アリール基、R″はアルキレン基、アリーレン基)その他の置換基で置換されていてもよい。
【0088】
また、X1、X2、X3は脂肪族或いは芳香族の炭化水素、アシル基、アミド基、アルコキシ基、アルキルカルボニル基、エポキシ基、メルカプト基或いはハロゲン原子を表し、X1、X2、X3は同じであっても互いに異なってもよい。ただし、少なくとも1つは炭化水素基以外の基である。なお、X1、X2、X3は加水分解を受ける基であることが好ましい。
【0089】
これらシランカップリング剤の具体例としてはメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジクロロシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、N−β−(N−(ビニルベンジルアミノエチル))−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン・塩酸塩及びアミノシラン配合物などが挙げられる。なかでもビニル系、メルカプト系、グリシド系、メタクリロキシ系が好ましく、特にメルカプト系が好ましい。
【0090】
特に好ましいシランカップリングとしては、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランγ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシランが好ましい。
【0091】
金属酸化物粒子で被覆した金属酸化物微粒子に上記シランカップリング剤を付着するにあたっては、公知の方法を使用することができる。
【0092】
例えばヘンシェルミキサーを用い、酸化チタン等の金属酸化物微粒子を撹拌混合しながらシランカップリング剤を滴下又は噴霧する乾式法、スラリー状の金属酸化物微粒子にシランカップリング剤を滴下しながら撹拌し、滴下終了後に金属酸化物微粒子を沈殿させ濾過してから乾燥させ残留溶媒を除去するスラリー法、金属酸化物微粒子を溶媒に分散させ、ここにシランカップリング剤を添加して撹拌した後、溶媒を蒸発して付着層を形成する方法又はシランカップリング剤を金属酸化物微粒子含有ハードコート層用塗布分散液に添加しておく方法などである。
【0093】
また、シランカップリング剤と金属酸化物微粒子との反応を確実なものにするため60〜130℃で10分〜200分程度の乾燥を行うことが望ましい。
【0094】
また、表面処理剤として、アニオン性の極性基を有する分散剤を用いて、表面処理することも好ましく、アニオン性の極性基を有する分散剤は、金属酸化物微粒子、特に、酸化チタン微粒子に対して親和性の高いアニオン性の極性基を有しているため、本発明のコーティング組成物における金属酸化物微粒子に対して分散性を付与するためにも好ましい。アニオン性の極性基としては、例えば、カルボキシル基、リン酸基、水酸基などが該当する。
【0095】
アニオン性の極性基を有する分散剤としては、具体的には、ビックケミー・ジャパン社がディスパービックの商品名で供給する製品群、すなわち、Disperbyk−111,Disperbyk−110,Disperbyk−116,Disperbyk−140,Disperbyk−161,Disperbyk−162,Disperbyk−163,Disperbyk−164,Disperbyk−170,Disperbyk−171,Disperbyk−174,Disperbyk−180,Disperbyk−182等を例示することができる。
【0096】
これらのうちでも、エチレンオキサイド鎖の骨格を有する主鎖に、上記のようなアニオン性の極性基からなる側鎖又はアニオン性の極性基を有する側鎖が結合した分子構造を有し、数平均分子量が2,000から20,000の化合物を用いると、特に良好な分散性が得られ好ましい。数平均分子量は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)法により測定することができる。このような条件に合うものとして、上記ディスパービックシリーズの中ではディスパービック163(Disperbyk−163)が挙げられる。
【0097】
このような表面の処理によって、酸化チタンのような前記金属酸化物粒子表面の光活性が低下することで、実質的にリン酸エステル系可塑剤を含有しないセルロースエステルを基材フィルムとして用いた本発明に係わる反射防止フィルムのUV光、太陽光等に対する耐久性は更に向上する。
【0098】
無機微粒子の形状は、米粒状、球形状、立方体状、紡錘形状あるいは不定形状であることが好ましい。無機微粒子は、また、ポリオール、アルカノールアミン、ステアリン酸等の有機化合物により表面処理してもよい。また、これらの有機化合物による処理を含め、二種類以上の表面処理を組み合わせて実施してもよい。また、二種類以上の金属酸化物微粒子を併用してもよい。ハードコート層中の金属酸化物微粒子のハードコート層の固形分量全体に対する割合は、5乃至65体積%である。10乃至60体積%であることが好ましく、20乃至55体積%であることがさらに好ましい。
【0099】
金属酸化物微粒子は、分散物の状態でハードコート層の形成に使用する。
高屈折のハードコート層の無機微粒子の分散媒体は、前記の、例えば、炭化水素類(例、ヘキサン、シクロヘキサン)、ハロゲン化炭化水素類(例、メチレンクロライド、クロロホルム、四塩化炭素)、芳香族炭化水素類(例、ベンゼン、トルエン、キシレン)、アルコール類(例、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール)、ケトン類(例、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン)、エステル類(例、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル)、グリコールエーテル類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ)、その他の有機溶媒の中から適宜選択し、あるいはこれらを混合した有機溶媒中に分散し用いることができる。プロピレングリコールモノアルキルエーテル(アルキル基の炭素原子数として1〜4)またはプロピレングリコールモノアルキルエーテル酢酸エステル(アルキル基の炭素原子数として1〜4)等を5質量%以上、より好ましくは5〜80質量%以上含有する上記有機溶媒を用いるのが好ましい。
【0100】
金属酸化物微粒子は、分散機を用いてこれらの媒体中に分散できる。分散機の例には、サンドグラインダーミル(例、ピン付きビーズミル)、高速インペラーミル、ペッブルミル、ローラーミル、アトライターおよびコロイドミルが含まれる。サンドグラインダーミルおよび高速インペラーミルが特に好ましい。また、予備分散処理を実施してもよい。予備分散処理に用いる分散機の例には、ボールミル、三本ロールミル、ニーダーおよびエクストルーダーが含まれる。
【0101】
又、紫外線硬化樹脂層組成物塗布液には、特にシリコン化合物を添加することが好ましい。例えば、ポリエーテル変性シリコーンオイルなどが好ましく添加される。ポリエーテル変性シリコーンオイルの数平均分子量は、例えば、1000〜100000、好ましくは、2000〜50000が適当であり、数平均分子量が1000未満では、塗膜の乾燥性が低下し、逆に、数平均分子量が100000を越えると、塗膜表面にブリードアウトしにくくなる傾向にある。
シリコン化合物の市販品としては、DKQ8−779(ダウコーニング社製商品名)、SF3771、SF8410、SF8411、SF8419、SF8421、SF8428、SH200、SH510、SH1107、SH3749、SH3771、BX16−034、SH3746、SH3749、SH8400、SH3771M、SH3772M、SH3773M、SH3775M、BY−16−837、BY−16−839、BY−16−869、BY−16−870、BY−16−004、BY−16−891、BY−16−872、BY−16−874、BY22−008M、BY22−012M、FS−1265(以上、東レ・ダウコーニングシリコーン社製商品名)、KF−101、KF−100T、KF351、KF352、KF353、KF354、KF355、KF615、KF618、KF945、KF6004、シリコーンX−22−945、X22−160AS(以上、信越化学工業社製商品名)、XF3940、XF3949(以上、東芝シリコーン社製商品名)、ディスパロンLS−009(楠本化成社製)、グラノール410(共栄社油脂化学工業(株)製)、TSF4440、TSF4441、TSF4445、TSF4446、TSF4452、TSF4460(GE東芝シリコーン製)、BYK−306、BYK−330、BYK−307、BYK−341、BYK−344、BYK−361(ビックケミ−ジャパン社製)日本ユニカー(株)製のLシリーズ(例えばL7001、L−7006、L−7604、L−9000)、Yシリーズ、FZシリーズ(FZ−2203、FZ−2206、FZ−2207)等が挙げられ、好ましく用いられる。
【0102】
これらの成分は基材や下層への塗布性を高める。積層体最表面層に添加した場合には、塗膜の撥水、撥油性、防汚性を高めるばかりでなく、表面の耐擦り傷性にも効果を発揮する。これらの成分は、塗布液中の固形分成分に対し、0.01〜3質量%の範囲で添加することが好ましい。
【0103】
紫外線硬化性樹脂組成物塗布液の塗布方法としては、前述のものを用いることが出来る。塗布量はウェット膜厚として0.1〜30μmが適当で、好ましくは、0.5〜15μmである。また、ドライ膜厚としては0.1〜10μm、好ましくは1〜10μmである。
【0104】
より好ましくは、セルロースエステルフィルムの膜厚が10〜70μmであり、層の膜厚(H)とセルロースエステルフィルムの膜厚(d)の比率(d/H)が4〜10であるとき、平面性と同時に硬度、耐傷性にも優れる。これはセルロースエステルの膜厚に比べハードコート層が薄い場合、硬度、耐傷性に劣り、セルロースエステルの膜厚に比べ、ハードコート層が厚い場合、平面性が劣化することによる。
【0105】
紫外線硬化性樹脂組成物は塗布乾燥中または後に、紫外線を照射するのがよく、前記の50〜150mJ/cm2という活性線の照射量を得るための照射時間としては、0.1秒〜5分程度がよく、紫外線硬化性樹脂の硬化効率または作業効率の観点から0.1〜10秒がより好ましい。
【0106】
また、これら活性線照射部の照度は50〜250mW/m2であることが好ましい。
【0107】
こうして得た硬化樹脂層に、ブロッキングを防止するため、また対擦り傷性等を高めるため、あるいは防眩性をもたせるために前記高屈折率の金属酸化物微粒子とは別にハードコート層に無機化合物あるいは有機化合物の微粒子を加えることも出来る。
【0108】
ハードコート層に使用される無機微粒子としては、酸化珪素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウムを挙げることができる。特に、酸化珪素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウムなどが好ましく用いられる。
【0109】
また有機粒子としては、ポリメタアクリル酸メチルアクリレート樹脂粉末、アクリルスチレン系樹脂粉末、ポリメチルメタクリレート樹脂粉末、シリコン系樹脂粉末、ポリスチレン系樹脂粉末、ポリカーボネート樹脂粉末、ベンゾグアナミン系樹脂粉末、メラミン系樹脂粉末、ポリオレフィン系樹脂粉末、ポリエステル系樹脂粉末、ポリアミド系樹脂粉末、ポリイミド系樹脂粉末、あるいはポリ弗化エチレン系樹脂粉末等紫外線硬化性樹脂組成物に加えることが出来る。
【0110】
これらの微粒子粉末の平均粒径としては、0.005〜5μmが好ましく0.01〜1μmであることが特に好ましい。紫外線硬化樹脂組成物と微粒子粉末との割合は、樹脂組成物100質量部に対して、0.1〜30質量部となるように配合することが望ましい。
【0111】
これら、高屈折率のハードコート層の上に、更に低反射層を形成することで本発明の反射防止フィルムを得ることが出来る。
【0112】
ハードコート層の表面には、鹸化処理、コロナ放電処理またプラズマ放電処理等の表面処理を行うことが好ましい。特に、鹸化処理、コロナ放電処理、プラズマ放電処理等は好ましい。ハードコート層の表面にこれらの表面処理を行うことにより、ハードコート層を構成する前記活性光線硬化性樹脂表面に、ヒドロキシル基、カルボキシル基等の親水性基が形成されることで、セルロースエステルフィルムからハードコート層に浸潤、移行し、とけ込んだ可塑剤等が分解、反射防止フィルム使用時或いは保存時に染み出す等の原因で、低屈折率層との密着性を阻害することを防止できる。
【0113】
(鹸化処理)
鹸化処理は、ハードコート層表面の濡れを良くし、接着性を向上させるために、ハードコート層塗設後に、例えばフィルムをアルカリ液中に浸ける処理のことをいう。
【0114】
アルカリとしては、例えば、2mol/L程度の例えば水酸化ナトリウム溶液に30〜80℃の温度(例えば50℃)で10秒〜5分間(例えば90秒間)浸漬し、次いで水洗、乾燥させることで表面処理が可能である。これらの処理によりハードコート層組成物が例えばアクリレート系の場合、表面の樹脂は一部加水分解をおこし、カルボン酸等の親水性基となり、ハードコート層表面の接着性を向上させる。
【0115】
(コロナ放電処理)
また、コロナ放電処理とは、空気中で絶縁された電極と接地された誘電体ロールとの間に高周波数の高電圧をかけ、空気を絶縁破壊して、電極と誘電体ロールとの間の空間にコロナ放電を発生させ、コロナ放電が発生している空間に本発明に係るハードコート層が設けられたセルロースエステル支持体を通す処理である。コロナ放電処理によりその表面が酸化されて、カルボニル基や水酸基の如き極性基が生成し、水、アルコール、有機溶剤などに対する親和性が大きくなる。
【0116】
コロナ放電処理は、大気下で放電処理を行うことができ、作業性が良好であること、短時間の処理で表面改質効果が得られるため生産性に優れること、設備が安価であること、材料に対する熱的影響が殆どないことなどの特徴を有している。
【0117】
コロナ放電処理装置としては、例えば、特開平10−296856号公報を参考にすることができる。コロナ放電処理の程度は、1mW/m2・分〜1kW/m2・分が好ましく、特に好ましくは、1W/m2・分から100W/m2・分である。1mW/m2・分未満であると塗れ性が不充分であり、1kW/m2・分より大きいと、保存性が劣化するので好ましくない。
【0118】
(プラズマ放電処理)
プラズマ放電処理には、低圧プラズマ法による場合と、大気圧プラズマ法による場合とがあるが、低圧プラズマ法は、数百Pa以下の高真空下で行われるために大型の真空装置が必要であり、また、耐圧性の処理容器も必要であり、しかも真空とするために排気時間もかかるため作業性が悪く、ランニングコストがかかる欠点があり、大気圧プラズマ法によるのが好ましい。
【0119】
大気圧プラズマ法は不活性ガス中に平行な電極を配置し、高周波電圧を印加し(10kHzから100MHzの高周波電圧を印加、高周波の周波数は10kHz以上の高周波なら問題はないが、最も好ましいものは通常許可されている13.56MHzであり、冷却した電極を使用すると極めて温度の低いプラズマとなりカツプリングだけを十分注意して行えば13.56MHz以上の周波数で更に強力かつ良好なプラズマが励起される。)、グロー放電を発生させ、プラズマを励起し、その中に位置せしめたフィルム等の被処理物の表面を改質する方法であり、大気圧下でグロー放電によりプラズマ処理を行う方法である。
【0120】
この方法によれば、被処理物であるプラスチックフイルムや繊維製品等の表面を改質し、接着力や付着力を大きく改善することが可能である。
【0121】
本発明で用いるプラズマ処理装置の例としては、特開2001−255625に記載の処理装置を用いることができる(図1に示す)。電極間に流入される不活性ガスは、ヘリウム、アルゴン、窒素またはその混合物であり、また不活性ガスがアルゴンの場合、13.56MHzで単独または反応性ガスを添加してプラズマ処理を行う。不活性ガスの50圧力%以上をアルゴンガスとすることが好ましく、残りの50圧力%未満に他の不活性ガスを混合して使用してもよい。その場合、その他の不活性ガスとしては、ヘリウムが好ましく、不活性ガスの40圧力%未満をヘリウムガスとすることが好ましい。
【0122】
本発明のガス中放電プラズマ処理は、支持体表面を親水化するために、上記不活性ガスと共に、反応性ガスとして酸素、水素、炭酸ガス、シランのような無機性の元素または化合物ガスとメタン、エチレン、またフッ化炭化水素ガス、例えば、CH3Fガス、C2H5Fガス、C3H7Fガス、C4H9Fガス、C5H11Fガス、C6H13Fガス等の有機性ガスを用いてもよい。反応性ガスの不活性ガスに対する圧力割合は0.01〜0.30圧力%とするのがよく、好ましくは0.02〜0.2圧力%である。
【0123】
このようなプラズマ放電による処理によって、基材となる有機樹脂被膜表面の酸化、還元等が加速され親水化する。
【0124】
本発明に係わるハードコート層上に塗設される低屈折率層の屈折率としては1.46以下が好ましく、特に1.3〜1.45であることが望ましい。
【0125】
低屈折率層としては、フッ素原子を含むポリマーを用いたもの、また、珪素原子を含有する化合物から形成された高分子化合物を含有するものが好ましく、次に、これについて説明する。
【0126】
先ず、珪素原子を含有する化合物から形成された高分子化合物を用いた低屈折率層について説明する。
【0127】
本発明において珪素原子を含有する化合物としては、珪素アルコキシドが好ましく、本発明においては、珪素アルコキシドを用いてゾルゲル法によって形成された酸化珪素等の珪素含有高分子化合物を含有する低屈折率層が好ましい。
【0128】
低屈折率層用塗布組成物として用いる各種ゾルゲル素材として、珪素原子を含有する化合物としては、金属アルコキシド(珪素、チタン、アルミニウム、ジルコニウム等のアルコキシド)、オルガノアルコキシ金属化合物及びその加水分解物を用いることができるが、特に、アルコキシシラン、オルガノアルコキシシラン及びその加水分解物が好ましい。これらの例としては、テトラアルコキシシラン(テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等)、アルキルトリアルコキシシラン(メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン等)、アリールトリアルコキシシラン(フェニルトリメトキシシラン等)、ジアルキルジアルコキシシラン、ジアリールジアルコキシシラン等が挙げられる。また、各種の官能基を有するオルガノアルコキシシラン(ビニルトリアルコキシシラン、メチルビニルジアルコキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルトリアルコキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルメチルジアルコキシシラン、β−(3,4−エポキジシクロヘキシル)エチルトリアルコキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリアルコキシシラン、γ−アミノプロピルトリアルコキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリアルコキシシラン、γ−クロロプロピルトリアルコキシシラン等)、パーフルオロアルキル基含有シラン化合物(例えば、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラデシル)トリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン等)を用いることも好ましい。
【0129】
ゾルゲル法による金属酸化物膜の形成は、前記金属アルコキシドを、アルコール、水、酸などからなる、加水分解、重合反応によってゲルとなる液とし、これを用いてディップコーター、グラビアコーター、リバースロールコーター、押し出しコーターなどを用いてフィルム上に塗布し、ゲル膜を形成する方法である。
【0130】
金属アルコキシドを含む組成物の加水分解または硬化を促進するため、活性エネルギー線を照射することが好ましく、紫外線、電子線が好ましく、特に取り扱いが簡便で高エネルギーが容易に得られるという点で紫外線が好ましい。光源としては例えば、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることができる。また、ArFエキシマレーザ、KrFエキシマレーザ等も用いることができる。照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、照射光量は20mJ/cm2〜10,000mJ/cm2の範囲である。
【0131】
低屈折率層としては、水酸基、カルボニル基など、各種の官能基を有するオルガノアルコキシシランを用いて、水酸基、カルボニル基などの極性基を表面に有することが、本発明に係わる防汚層形成用組成物との膜付きを強化する上で望ましい。
【0132】
また、別の好ましい低屈折率層として、フッ素原子を含むポリマーを用いた低屈折率層とすることが出来る。特に、フッ素原子を含むポリマーとして、フッ素原子を含有する熱硬化性または電離放射線硬化性樹脂の硬化物をあげることができ、該硬化物と珪素酸化物微粒子から構成される低屈折率層であることが好ましい。
【0133】
該硬化物の動摩擦係数は、0.02〜0.2であることが好ましく、純水接触角は90〜130°であることが好ましい。該硬化性の含フッ素樹脂としては、パーフルオロアルキル基含有シラン化合物(例えば(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラデシル)トリエトキシシラン)や、含フッ素共重合体(架橋性基を有するモノマーと含フッ素モノマーを構成単位とする)が挙げられる。含フッ素モノマー単位の具体例としては、例えばヘキサフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン、フルオロオレフィン類(例えばビニリデンフルオライドパーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール、フルオロエチレン等)、(メタ)アクリル酸のフッ素化アルキルエステル誘導体(例えばビスコート6FM(大阪有機化学製)やM−2020(ダイキン製)等)、フッ素化ビニルエーテル類等である。架橋性基を有するモノマーとしてはグリシジルメタクリレートのように分子内にあらかじめ架橋性官能基を有する(メタ)アクリレートモノマーの他、カルボキシル基やアミノ基、ヒドロキシル基、スルホン酸基等を有する(メタ)アクリレートモノマー(例えば(メタ)アクリル酸、メチロール(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アリルアクリレート等)が挙げられる。これらは共重合の後から、架橋構造を導入出来ることが特開平10−25388号公報及び特開平10−147739号公報に記載されている。
【0134】
また、上記含フッ素モノマーを構成単位とするポリマーだけでなく、フッ素原子を含有しないモノマーとの共重合体を用いることが出来る。併用可能なモノマー単位には特に限定はなく、例えばアクリル酸エステル類(アクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル)、メタクリル酸エステル類(メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、エチレングリコールジメタクリレート等)、スチレン誘導体(スチレン、ジビニルベンゼン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等)、アクリルアミド類(N−tertブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド等)、メタクリルアミド類、アクリロニトリル誘導体等、オレフィン類(エチレン、プロピレン、イソプレン、塩化ビニリデン、塩化ビニル等)、ビニルエーテル類(メチルビニルエーテル等)、ビニルエステル類(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、桂皮酸ビニル等)を挙げることが出来る。
【0135】
低屈折率層の形成に用いる前記含フッ素樹脂には、耐傷性を改善するために酸化珪素微粒子を添加して用いるのが好ましい。添加量は、屈折率と耐傷性との兼ね合いで調整される。酸化珪素微粒子は、市販の有機溶剤に分散されたシリカゾルをそのまま塗布組成物に添加することが出来、或いは市販の各種シリカ紛体を有機溶剤に分散して使用することも出来る。
【0136】
本発明の反射防止フィルムの低屈折率層形成用の塗布組成物は、主に低沸点の溶媒を含むことが好ましい。具体的には、沸点が100℃以下の溶媒が全溶媒の50質量%以上であることが好ましい。これによって、防眩層のように凹凸を有する基材表面に塗布した場合でも、速やかに乾燥させることが出来、塗布液の流動による微細な膜厚むらが低減され、反射率の増加が抑制される。また、沸点が100℃以上の溶媒が含まれていると乾燥むらや白濁むらが抑制されるため好ましく、沸点が100℃以上の溶媒が0.1〜50質量%含有していることが好ましい。
【0137】
低屈折率層塗布組成物に用いられる低沸点の溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類、メチルセロソルブ等のエーテルアルコール類、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類等の中から、塗布組成物中に含まれる固形分の溶解性の高いものが好ましく用いられる。沸点が100℃を越える塗布溶媒としては、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチル−イソブチルケトン等のケトン類、ジアセトンアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテルアルコール類、1−ブタノール、2−ブタノール等のアルコール類等が用いられる。
【0138】
低屈折率層は、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法やエクストルージョンコート法により、塗布により形成することが出来る。
【0139】
低屈折率層の、フッ素原子を含有する電離放射線硬化型樹脂含有塗布組成物の硬化方法は通常の電離放射線硬化型樹脂組成物の硬化方法、即ち、電子線または紫外線の照射によって同様に硬化することができる。例えば、電子線硬化の場合にはコックロフトワルトン型、バンデグラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器から放出される50〜1000keV、好ましくは100〜300keVのエネルギーを有する電子線等が使用され、紫外線硬化の場合には超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプ等の光線から発する紫外線等が利用できる。
【0140】
(セルロースエステル)
本発明において、支持体(基材)として用いられるセルロースエステルの分子量は、数平均分子量(Mn)で80,000〜200,000のものが用いられる。100,000〜200,000のものが好ましく、150,000〜200,000が更に好ましい。
【0141】
本発明で用いられるセルロースエステルは、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比、Mw/Mnが、前記のように1.4〜3.0であるが、好ましくは1.7〜2.2の範囲である。
【0142】
セルロースエステルの平均分子量および分子量分布は、高速液体クロマトグラフィーを用いて公知の方法で測定することができる。これを用いて数平均分子量、重量平均分子量を算出し、その比(Mw/Mn)を計算することが出来る。
【0143】
測定条件は以下の通りである。
溶媒: メチレンクロライド
カラム: Shodex K806,K805,K803G(昭和電工(株)製を3本接続して使用した)
カラム温度:25℃
試料濃度: 0.1質量%
検出器: RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ: L6000(日立製作所(株)製)
流量: 1.0ml/min
校正曲線: 標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)Mw=1000000〜500迄の13サンプルによる校正曲線を使用した。13サンプルは、ほぼ等間隔に得ることが好ましい。
【0144】
本発明に用いられるセルロースエステルは、炭素数2〜22程度のカルボン酸エステルであり、特にセルロースの低級脂肪酸エステルであることが好ましい。セルロースの低級脂肪酸エステルにおける低級脂肪酸とは炭素原子数が6以下の脂肪酸を意味し、例えば、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートフタレート等や、特開平10−45804号、同8−231761号、米国特許第2,319,052号等に記載されているようなセルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート等の混合脂肪酸エステルを用いることが出来る。上記記載の中でも、特に好ましく用いられるセルロースの低級脂肪酸エステルは、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネートである。これらのセルロースエステルは混合して用いることも出来る。
【0145】
セルローストリアセテートの場合には、総アシル基置換度(アセチル基置換度)2.6から2.9のものが好ましく用いられる。
【0146】
セルローストリアセテート以外で好ましいセルロースエステルは、炭素原子数2〜4のアシル基を置換基として有し、アセチル基の置換度をXとし、プロピオニル基の置換度をYとした時、下記式(I)及び(II)を同時に満たすセルロースエステルである。
【0147】
式(I) 2.6≦X+Y≦2.9
式(II) 0≦X≦2.5
中でも1.9≦X≦2.5、0.1≦Y≦0.9のセルロースアセテートプロピオネート(総アシル基置換度=X+Y)が好ましい。アシル基で置換されていない部分は通常水酸基として存在している。これらは公知の方法で合成することが出来る。
【0148】
これらアシル基置換度は、ASTM−D817−96に規定の方法に準じて測定することができる。
【0149】
セルロースエステルは綿花リンター、木材パルプ、ケナフ等を原料として合成されたセルロースエステルを単独あるいは混合して用いることが出来る。特に綿花リンター(以下、単にリンターとすることがある)、木材パルプから合成されたセルロースエステルを単独あるいは混合して用いることが好ましい。
【0150】
また、これらから得られたセルロースエステルはそれぞれ任意の割合で混合使用することができる。これらのセルロースエステルは、セルロース原料をアシル化剤が酸無水物(無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸)である場合には、酢酸のような有機酸やメチレンクロライド等の有機溶媒を用い、硫酸のようなプロトン性触媒を用いて常法により反応させて得ることができる。
【0151】
アセチルセルロースの場合、酢化率をあげようとすれば、酢化反応の時間を延長する必要がある。但し、反応時間を余り長くとると分解が同時に進行し、ポリマー鎖の切断やアセチル基の分解などがおこり、好ましくない結果をもたらす。従って、酢化度をあげ、分解をある程度抑える為には反応時間はある範囲に設定することが必要である。反応時間で規定することは反応条件が様々であり、反応装置や設備その他の条件で大きく変わるので適切でない。ポリマーの分解は進むにつれ、分子量分布が広くなってゆくので、セルロースエステルの場合にも、分解の度合いは通常用いられる重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)の値で規定できる。すなわちセルローストリアセテートの酢化の過程で、余り長すぎて分解が進みすぎることがなく、かつ酢化には充分な時間酢化反応を行わせしめるための反応度合いのひとつの指標として用いられる重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)の値を用いることができる。
【0152】
セルロースエステルの製造法の一例を以下に示すと、セルロース原料として綿化リンター100質量部を解砕し、40質量部の酢酸を添加し、36℃で20分間前処理活性化をした。その後、硫酸8質量部、無水酢酸260質量部、酢酸350質量部を添加し、36℃で120分間エステル化を行った。24%酢酸マグネシウム水溶液11質量部で中和した後、63℃で35分間ケン化熟成し、アセチルセルロースを得た。これを10倍の酢酸水溶液(酢酸:水=1:1(質量比))を用いて、室温で160分間撹拌した後、濾過、乾燥させてアセチル置換度2.75の精製アセチルセルロースを得た。このアセチルセルロースはMnが92,000、Mwが156,000、Mw/Mnは1.7であった。同様にセルロースエステルのエステル化条件(温度、時間、撹拌)、加水分解条件を調整することによって置換度、Mw/Mn比の異なるセルロースエステルを合成することができる。
【0153】
尚、合成されたセルロースエステルは、精製して低分子量成分を除去したり、未酢化の成分を濾過で取り除くことも好ましく行われる。
【0154】
また、混酸セルロースエステルの場合には、特開平10−45804号公報に記載の方法で反応して得ることができる。アシル基の置換度の測定方法はASTM−D817−96の規定に準じて測定することができる。
【0155】
又、セルロースエステルは、セルロースエステル中の微量金属成分によっても影響を受ける。これらは製造工程で使われる水に関係していると考えられるが、不溶性の核となり得るような成分は少ない方が好ましく、鉄、カルシウム、マグネシウム等の金属イオンは、有機の酸性基を含んでいる可能性のあるポリマー分解物等と塩形成する事により不溶物を形成する場合があり、少ないことが好ましい。鉄(Fe)成分については、1ppm以下であることが好ましい。カルシウム(Ca)成分については、地下水や河川の水等に多く含まれ、これが多いと硬水となり、飲料水としても不適当であるが、カルボン酸や、スルホン酸等の酸性成分と、又多くの配位子と配位化合物すなわち、錯体を形成しやすく、多くの不溶なカルシウムに由来するスカム(不溶性の澱、濁り)を形成する。
【0156】
カルシウム(Ca)成分は60ppm以下、好ましくは0〜30ppmである。マグネシウム(Mg)成分については、やはり多すぎると不溶分を生ずるため、0〜70ppmであることが好ましく、特に0〜20ppmであることが好ましい。鉄(Fe)分の含量、カルシウム(Ca)分含量、マグネシウム(Mg)分含量等の金属成分は、絶乾したセルロースエステルをマイクロダイジェスト湿式分解装置(硫硝酸分解)、アルカリ溶融で前処理を行った後、ICP−AES(誘導結合プラズマ発光分光分析装置)を用いて分析を行うことによって求めることができる。
【0157】
(紫外線吸収剤)
本発明に係わるセルロースエステルフィルムは紫外線吸収剤を含有することができる。紫外線吸収剤は400nm以下の紫外線を吸収することで、耐久性を向上させることを目的としており、特に波長370nmでの透過率が10%以下であることが好ましく、より好ましくは5%以下、更に好ましくは2%以下である。
【0158】
本発明に用いられる紫外線吸収剤は特に限定されないが、例えばオキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、トリアジン系化合物、ニッケル錯塩系化合物、無機粉体等が挙げられる。
【0159】
好ましく用いられる紫外線吸収剤は、透明性が高く、偏光板や液晶素子の劣化を防ぐ効果に優れたベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤やベンゾフェノン系紫外線吸収剤であり、不要な着色がより少ないベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が特に好ましい。本発明に用いられる紫外線吸収剤の具体例として、例えば、5−クロロ−2−(3,5−ジ−sec−ブチル−2−ヒドロキシルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、(2−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール、2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン、2,4−ベンジルオキシベンゾフェノン等があり、また、チヌビン109、チヌビン171、チヌビン234、チヌビン326、チヌビン327、チヌビン328等のチヌビン類があり、これらは何れもチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製の市販品であり好ましく使用出来る。
【0160】
又、特開2001−235621の一般式(I)で示されているトリアジン系化合物も本発明に係わるセルロースエステルフィルムに好ましく用いられる。
【0161】
本発明に係わるセルロースエステルフィルムは紫外線吸収剤を2種以上を含有することが好ましい。
【0162】
また、紫外線吸収剤としては高分子紫外線吸収剤も好ましく用いることが出来、特に特開平6−148430号記載のポリマータイプの紫外線吸収剤が好ましく用いられる。
【0163】
紫外線吸収剤の添加方法は、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコールやメチレンクロライド、酢酸メチル、アセトン、ジオキソラン等の有機溶媒或いはこれらの混合溶媒に紫外線吸収剤を溶解してからドープに添加するか、または直接ドープ組成中に添加してもよい。無機粉体のように有機溶剤に溶解しないものは、有機溶剤とセルロースエステル中にデゾルバーやサンドミルを使用し、分散してからドープに添加する。
【0164】
紫外線吸収剤の使用量は、紫外線吸収剤の種類、使用条件等により一様ではないが、セルロースエステルフィルムの乾燥膜厚が30〜200μmの場合は、セルロースエステルフィルムに対して0.5〜4.0質量%が好ましく、0.6g〜2.0質量%が更に好ましい。
【0165】
(微粒子)
本発明に係わるセルロースエステルフィルムには、微粒子を含有することが好ましい。
【0166】
本発明に使用される微粒子としては、無機化合物の例として、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウムを挙げることができる。微粒子はケイ素を含むものが濁度が低くなる点で好ましく、特に二酸化ケイ素が好ましい。
【0167】
微粒子の一次粒子の平均径は5〜50nmが好ましく、更に好ましいのは7〜20nmである。これらは主に粒径0.05〜0.3μmの2次凝集体として含有されることが好ましい。セルロースエステルフィルム中のこれらの微粒子の含有量は0.05〜1質量%であることが好ましく、特に0.1〜0.5質量%が好ましい。共流延法による多層構成のセルロースエステルフィルムの場合は、表面にこの添加量の微粒子を含有することが好ましい。
【0168】
二酸化珪素の微粒子は、例えば、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。
【0169】
酸化ジルコニウムの微粒子は、例えば、アエロジルR976及びR811(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。
【0170】
ポリマーの例として、シリコーン樹脂、弗素樹脂及びアクリル樹脂を挙げることができる。シリコーン樹脂が好ましく、特に三次元の網状構造を有するものが好ましく、例えば、トスパール103、同105、同108、同120、同145、同3120及び同240(以上東芝シリコーン(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。
【0171】
これらの中でアエロジル200V、アエロジルR972Vがセルロースエステルフィルムの濁度を低く保ちながら、摩擦係数をさげる効果が大きいため特に好ましく用いられる。本発明で用いられるセルロースエステルフィルムにおいてはハードコート層の裏面側の動摩擦係数が1.0以下であることが好ましい。
【0172】
(染料)
本発明で用いられるセルロースエステルフィルムには、色味調整のため染料を添加することも出来る。例えば、フィルムの黄色味を抑えるために青色染料を添加してもよい。好ましい染料としてはアンスラキノン系染料が挙げられる。
【0173】
アンスラキノン系染料は、アンスラキノンの1位から8位迄の任意の位置に任意の置換基を有することが出来る。好ましい置換基としてはアニリノ基、ヒドロキシル基、アミノ基、ニトロ基、または水素原子が挙げられる。特に特開2001−154017記載の青色染料、特にアントラキノン系染料を含有することが好ましい。
【0174】
その他、セルロースエステルフィルム中には、上記以外の添加剤、酸化防止剤、染料、蛍光増白剤等も添加することができ、各種添加剤は製膜前のセルロースエステル含有溶液であるドープにバッチ添加してもよいし、添加剤溶解液を別途用意してインライン添加してもよい。特に微粒子は濾過材への負荷を減らすために、一部または全量をインライン添加することが好ましい。
【0175】
添加剤溶解液をインライン添加する場合は、ドープとの混合性をよくするため、少量のセルロースエステルを溶解するのが好ましい。好ましいセルロースエステルの量は、溶剤100質量部に対して1〜10質量部で、より好ましくは、3〜5質量部である。
【0176】
本発明においてインライン添加、混合を行うためには、例えば、スタチックミキサー(東レエンジニアリング製)、SWJ(東レ静止型管内混合器 Hi−Mixer)等のインラインミキサー等が好ましく用いられる。
【0177】
(セルロースエステルフィルムの製造方法)
次に、本発明に用いられるセルロースエステルフィルムの製造方法について説明する。
【0178】
セルロースエステルフィルムの製造は、セルロースエステル及び添加剤を溶剤に溶解させてドープを調製する工程、ドープを無限に移行する無端の金属支持体上に流延する工程、流延したドープをウェブとして乾燥する工程、金属支持体から剥離する工程、延伸または幅保持する工程、更に乾燥する工程、仕上がったフィルムを巻きとる工程により行われる。
【0179】
ドープを調製する工程について述べる。ドープ中のセルロースエステルの濃度は、濃い方が金属支持体に流延した後の乾燥負荷が低減出来て好ましいが、セルロースエステルの濃度が濃すぎると濾過時の負荷が増えて、濾過精度が悪くなる。これらを両立する濃度としては、10〜35質量%が好ましく、更に好ましくは、15〜25質量%である。
【0180】
ドープで用いられる溶剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよいが、セルロースエステルの良溶剤と貧溶剤を混合して使用することが生産効率の点で好ましく、良溶剤が多い方がセルロースエステルの溶解性の点で好ましい。良溶剤と貧溶剤の混合比率の好ましい範囲は、良溶剤が70〜98質量%であり、貧溶剤が2〜30質量%である。良溶剤、貧溶剤とは、使用するセルロースエステルを単独で溶解するものを良溶剤、単独で膨潤するかまたは溶解しないものを貧溶剤と定義している。そのため、セルロースエステルの平均酢化度(アセチル基置換度)によっては、良溶剤、貧溶剤が変わり、例えばアセトンを溶剤として用いるときには、セルロースエステルの酢酸エステル(アセチル基置換度2.4)、セルロースアセテートプロピオネートでは良溶剤になり、セルロースの酢酸エステル(アセチル基置換度2.8)では貧溶剤となる。
【0181】
良溶剤は特に限定されないが、メチレンクロライド等の有機ハロゲン化合物やジオキソラン類、アセトン、酢酸メチル、アセト酢酸メチル等が挙げられる。特に好ましくはメチレンクロライド又は酢酸メチルがあげられる。
【0182】
また、貧溶剤は特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、n−ブタノール、シクロヘキサン、シクロヘキサノン等が好ましく用いられる。また、ドープ中には水が0.01〜2質量%含有していることが好ましい。
【0183】
上記記載のドープを調製する時の、セルロースエステルの溶解方法としては、一般的な方法を用いることが出来る。加熱と加圧を組み合わせると常圧における沸点以上に加熱出来る。溶剤の常圧での沸点以上でかつ加圧下で溶剤が沸騰しない範囲の温度で加熱しながら攪拌溶解すると、ゲルやママコと呼ばれる塊状未溶解物の発生を防止するため好ましい。また、セルロースエステルを貧溶剤と混合して湿潤あるいは膨潤させた後、更に良溶剤を添加して溶解する方法も好ましく用いられる。
【0184】
加圧は窒素ガス等の不活性気体を圧入する方法や、加熱によって溶剤の蒸気圧を上昇させる方法によって行ってもよい。加熱は外部から行うことが好ましく、例えばジャケットタイプのものは温度コントロールが容易で好ましい。
【0185】
溶剤を添加しての加熱温度は、高い方がセルロースエステルの溶解性の観点から好ましいが、加熱温度が高すぎると必要とされる圧力が大きくなり生産性が悪くなる。好ましい加熱温度は45〜120℃であり、60〜110℃がより好ましく、70℃〜105℃が更に好ましい。また、圧力は設定温度で溶剤が沸騰しないように調整される。
【0186】
もしくは冷却溶解法も好ましく用いられ、これによって酢酸メチルなどの溶媒にセルロースエステルを溶解させることができる。
【0187】
次に、このセルロースエステル溶液を濾紙等の適当な濾過材を用いて濾過する。濾過材としては、不溶物等を除去するために絶対濾過精度が小さい方が好ましいが、絶対濾過精度が小さすぎると濾過材の目詰まりが発生しやすいという問題がある。このため絶対濾過精度0.008mm以下の濾材が好ましく、0.001〜0.008mmの濾材がより好ましく、0.003〜0.006mmの濾材が更に好ましい。
【0188】
濾材の材質は特に制限はなく、通常の濾材を使用することが出来るが、ポリプロピレン、テフロン(R)等のプラスチック製の濾材や、ステンレススティール等の金属製の濾材が繊維の脱落等がなく好ましい。濾過により、原料のセルロースエステルに含まれていた不純物、特に輝点異物を除去、低減することが好ましい。
【0189】
輝点異物とは、2枚の偏光板をクロスニコル状態にして配置し、その間にセルロースエステルフィルムをおき、一方の偏光板の側から光を当てて、他方の偏光板の側から観察したときに反対側からの光が漏れて見える点(異物)のことであり、径が0.01mm以上である輝点数が200個/cm2以下である事が好ましい。より好ましくは100個/cm2以下であり、更に好ましくは50個/m2以下であり、更に好ましくは0〜10個/cm2以下である。又、0.01mm以下の輝点も少ないほうが好ましい。
【0190】
ドープの濾過は通常の方法で行うことが出来るが、溶剤の常圧での沸点以上で、かつ加圧下で溶剤が沸騰しない範囲の温度で加熱しながら濾過する方法が、濾過前後の濾圧の差(差圧という)の上昇が小さく、好ましい。好ましい温度は45〜120℃であり、45〜70℃がより好ましく、45〜55℃であることが更に好ましい。
【0191】
濾圧は小さい方が好ましい。濾圧は1.6MPa以下であることが好ましく、1.2MPa以下であることがより好ましく、1.0MPa以下であることが更に好ましい。
【0192】
ここで、ドープの流延について説明する。
流延(キャスト)工程における金属支持体は、表面を鏡面仕上げしたものが好ましく、金属支持体としては、ステンレススティールベルトもしくは鋳物で表面をメッキ仕上げしたドラムが好ましく用いられる。キャストの幅は1〜4mとすることができる。流延工程の金属支持体の表面温度は−50℃〜溶剤の沸点未満の温度で、温度が高い方がウェブの乾燥速度が速く出来るので好ましいが、あまり高すぎるとウェブが発泡したり、平面性が劣化する場合がある。好ましい支持体温度は0〜40℃であり、5〜30℃が更に好ましい。或いは、冷却することによってウエブをゲル化させて残留溶媒を多く含んだ状態でドラムから剥離することも好ましい方法である。金属支持体の温度を制御する方法は特に制限されないが、温風または冷風を吹きかける方法や、温水を金属支持体の裏側に接触させる方法がある。温水を用いる方が熱の伝達が効率的に行われるため、金属支持体の温度が一定になるまでの時間が短く好ましい。温風を用いる場合は目的の温度よりも高い温度の風を使う場合がある。
【0193】
セルロースエステルフィルムが良好な平面性を示すためには、金属支持体からウェブを剥離する際の残留溶媒量は10〜150質量%が好ましく、更に好ましくは20〜40質量%または60〜130質量%であり、特に好ましくは、20〜30質量%または70〜120質量%である。
【0194】
本発明においては、残留溶媒量は下記式で定義される。
残留溶媒量(質量%)={(M−N)/N}×100
なお、Mはウェブまたはフィルムを製造中または製造後の任意の時点で採取した試料の質量で、NはMを115℃で1時間の加熱後の質量である。
【0195】
また、セルロースエステルフィルムの乾燥工程においては、ウェブを金属支持体より剥離し、更に乾燥し、残留溶媒量を1質量%以下にすることが好ましく、更に好ましくは0.1質量%以下であり、特に好ましくは0〜0.01質量%以下である。
【0196】
フィルム乾燥工程では一般にロール乾燥方式(上下に配置した多数のロールをウェブを交互に通し乾燥させる方式)やテンター方式でウェブを搬送させながら乾燥する方式が採られる。
【0197】
本発明のハードコートフィルム用のセルロースエステルフィルムを作製するためには、金属支持体より剥離した直後のウェブの残留溶剤量の多いところで搬送方向に延伸し、さらにウェブの両端をクリップ等で把持するテンター方式で幅方向に延伸を行うことが特に好ましい。縦方向、横方向ともに好ましい延伸倍率は1.05〜1.3倍であり、1.05〜1.15倍が更に好ましい。縦方向及び横方向延伸により面積が1.12倍〜1.44倍となっていることが好ましく、1.15倍〜1.32倍となっていることが好ましい。これは縦方向の延伸倍率×横方向の延伸倍率で求めることが出来る。縦方向と横方向の延伸倍率のいずれかが1.05倍未満ではハードコート層を形成する際の紫外線照射による平面性の劣化が大きく好ましくない。又、延伸倍率が1.3倍を超えても平面性が劣化し、ヘイズも増加するため好ましくない。
【0198】
剥離直後に縦方向に延伸するために、剥離張力を210N/m以上で剥離することが好ましく、特に好ましくは220〜300N/mである。
【0199】
ウェブを乾燥させる手段は特に制限なく、一般的に熱風、赤外線、加熱ロール、マイクロ波等で行うことが出来るが、簡便さの点で熱風で行うことが好ましい。
【0200】
ウェブの乾燥工程における乾燥温度は40〜150℃で段階的に高くしていくことが好ましく、50〜140℃の範囲で行うことが寸法安定性を良くするため更に好ましい。
【0201】
セルロースエステルフィルムの膜厚は、特に限定はされないが10〜200μmが好ましく用いられる。特に10〜70μmの薄膜フィルムでは平面性と硬度に優れたハードコートフィルムを得ることが困難であったが、本発明によれば、平面性と硬度に優れた薄膜のハードコートフィルムが得られ、又生産性にも優れているため、セルロースエステルフィルムの膜厚は10〜70μmであることが特に好ましい。さらに好ましくは20〜60μmである。最も好ましくは35〜60μmである。
【0202】
本発明に係わるセルロースエステルフィルムとしては、幅1〜4mのものが好ましく用いられる。特に幅1.4〜4mのものが好ましく用いられ、特に好ましくは1.4〜2mである。4mを超えると搬送が難しい。
【0203】
(ナーリング加工)
巻き取られたフィルム同士の裏面と表面が完全に面同士密着するのを防止するために、フィルム加工幅の端部に(エンボス加工により)微小の連続した凹凸からなる一定の幅に文様をつけるいわゆるナーリング加工を施してもよい。これにより巻き取ったフィルム同士が完全に接着して、或いは、部分的に接着してフィルムの表面の状態に影響を与え、故障を引き起こすのを防ぐ役割を果たす。
【0204】
エンボス加工は、凹凸の高さが1〜40μm、好ましくは2〜35μm、さらに好ましくは7〜30μmで、エンボス加工の幅は5〜40mmが好ましく、より好ましくは7〜15mmである。フィルム端部から0〜50mmの部分にエンボス加工が施されていることが好ましく、エンボスの形態は問わないが、一ヶ所に加工するエンボスの条数は、一条でも二条でもそれ以上であってもかまわない。両端部になされていることが特に好ましい。
【0205】
エンボス加工の各条の突起として観察される部分のエンボス加工部全体に対する面積の割合が、15〜50%程度が好ましく、これらの各条に含まれる突起が不連続なものである場合にはその数は1cm2あたり10〜30個程度であるのが好ましい。
【0206】
エンボス加工は、前記フィルムの製膜工程において乾燥終了後、巻き取りの前に設けることが好ましい。エンボス加工は、通常、金属やゴムなどのバックロール上でフィルムに刻印の刻まれたエンボスリングを押し当てることで、加工できる。加工は常温でも可能であるが、Tg+20℃以上、融点(Tm)+30℃以下で加工するのが好ましい。
【0207】
(物性)
本発明に用いられるセルロースエステルフィルムの透湿度は、40℃、90%RHで850g/m2・24h以下であり、好ましくは20〜800g/m2・24hであり、20〜750g/m2・24hであることが特に好ましい。透湿度はJIS Z 0208に記載の方法に従い測定することが出来る。
【0208】
本発明に用いられるセルロースエステルフィルムは破断伸度は10〜80%であることが好ましく20〜50%であることが更に好ましい。
【0209】
本発明に用いられるセルロースエステルフィルムの可視光透過率は90%以上であることが好ましく、93%以上であることが更に好ましい。
【0210】
本発明に用いられるセルロースエステルフィルムのヘイズは1%未満であることが好ましく0〜0.1%であることが特に好ましい。
【0211】
本発明に用いられるセルロースエステルフィルムの面内レターデーション値(Ro)が0〜70nm以下であることが好ましい。より好ましくは0〜30nm以下であリ、より好ましくは0〜10nm以下である。膜厚方向のレターデーション値(Rt)は、400nm以下であることが好ましく、10〜200nmであることが好ましく、更に30〜150nmであることが好ましい。
【0212】
レターデーション値(Ro)(Rt)は以下の式によって求めることができる。
【0213】
Ro=(nx−ny)×d
Rt=((nx+ny)/2−nz)×d
ここにおいて、dはフィルムの厚み(nm)、屈折率nx(フィルムの面内の最大の屈折率、遅相軸方向の屈折率ともいう)、ny(フィルム面内で遅相軸に直角な方向の屈折率)、nz(厚み方向におけるフィルムの屈折率)である。
【0214】
尚、レターデーション値(Ro)、(Rt)は自動複屈折率計を用いて測定することができる。例えば、KOBRA−21ADH(王子計測機器(株))を用いて、23℃、55%RHの環境下で、波長が590nmで求めることができる。
【0215】
又、遅相軸はフィルムの幅手方向±1°もしくは長尺方向±1°にあることが好ましい。
【0216】
(バックコート層)
本発明のハードコートフィルムのハードコート層を設けた側と反対側の面にはバックコート層を設けることが好ましい。バックコート層は、ハードコート層やその他の層を設けることで生じるカールを矯正するために設けられる。すなわち、バックコート層を設けた面を内側にして丸まろうとする性質をもたせることにより、カールの度合いをバランスさせることができる。なお、バックコート層は好ましくはブロッキング防止層を兼ねて塗設され、その場合、バックコート層塗布組成物には、ブロッキング防止機能をもたせるために微粒子が添加されることが好ましい。
【0217】
特に本発明に係わる低屈折率層は、微粒子(シリカ)含有タイプではなく、低屈折率の樹脂が主体となるものであるため、バックコート層としては微粒子(マット剤)を含有したものが好ましい。低屈折率層に微粒子を含有しない系では反射防止フィルム製造後、フィルム原反を巻き取ったロール状態で保存するとクッツキが大きいが、これら巻きのクッツキ性が微粒子の添加により大きく向上する。
【0218】
バックコート層に添加される微粒子としては無機化合物の例として、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成珪酸カルシウム、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛、ITO、水和珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム及びリン酸カルシウムを挙げることができる。微粒子は珪素を含むものがヘイズが低くなる点で好ましく、特に二酸化珪素が好ましい。
【0219】
これらの微粒子は、例えば、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。酸化ジルコニウムの微粒子は、例えば、アエロジルR976及びR811(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。ポリマーの例として、シリコーン樹脂、弗素樹脂及びアクリル樹脂を挙げることができる。シリコーン樹脂が好ましく、特に三次元の網状構造を有するものが好ましく、例えば、トスパール103、同105、同108、同120、同145、同3120及び同240(以上東芝シリコーン(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。
【0220】
これらの中でアエロジル200V、アエロジルR972Vがヘイズを低く保ちながら、ブロッキング防止効果が大きいため特に好ましく用いられる。本発明に係わる反射防止フィルムは、ハードコート層の裏面側の動摩擦係数が0.9以下、特に0.1〜0.9であることが好ましい。
【0221】
バックコート層に含まれる微粒子は、バインダーに対して0.1〜50質量%好ましくは0.1〜10質量%であることが好ましい。バックコート層を設けた場合のヘイズの増加は1%以下であることが好ましく0.5%以下であることが好ましく、特に0.0〜0.1%であることが好ましい。
【0222】
バックコート層は、具体的にはセルロースエステルフィルムを溶解させる溶媒又は膨潤させる溶媒を含む組成物を塗布することによって行われる。用いる溶媒としては、溶解させる溶媒及び/又は膨潤させる溶媒の混合物の他さらに溶解させない溶媒を含む場合もあり、これらを透明樹脂フィルムのカール度合や樹脂の種類によって適宜の割合で混合した組成物及び塗布量を用いて行う。
【0223】
カール防止機能を強めたい場合は、用いる溶媒組成を溶解させる溶媒及び/又は膨潤させる溶媒の混合比率を大きくし、溶解させない溶媒の比率を小さくするのが効果的である。この混合比率は好ましくは(溶解させる溶媒及び/又は膨潤させる溶媒):(溶解させない溶媒)=10:0〜1:9で用いられる。このような混合組成物に含まれる、透明樹脂フィルムを溶解又は膨潤させる溶媒としては、例えば、ジオキサン、アセトン、メチルエチルケトン、N,N−ジメチルホルムアミド、酢酸メチル、酢酸エチル、トリクロロエチレン、メチレンクロライド、エチレンクロライド、テトラクロロエタン、トリクロロエタン、クロロホルムなどがある。溶解させない溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブタノール或いは炭化水素類(トルエン、キシレン、シクロヘキサノール)などがある。
【0224】
これらの塗布組成物をグラビアコーター、ディップコーター、リバースコーター、ワイヤーバーコーター、ダイコーター等を用いて透明樹脂フィルムの表面にウェット膜厚1〜100μmで塗布するのが好ましいが、特に5〜30μmであることが好ましい。バックコート層のバインダーとして用いられる樹脂としては、例えば塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニルとビニルアルコールの共重合体、部分加水分解した塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、塩素化ポリ塩化ビニル、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体あるいは共重合体、ニトロセルロース、セルロースアセテートプロピオネート(好ましくはアセチル基置換度1.8〜2.3、プロピオニル基置換度0.1〜1.0)、ジアセチルセルロース、セルロースアセテートブチレート樹脂等のセルロース誘導体、マレイン酸および/またはアクリル酸の共重合体、アクリル酸エステル共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、塩素化ポリエチレン、アクリロニトリル−塩素化ポリエチレン−スチレン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステルポリウレタン樹脂、ポリエーテルポリウレタン樹脂、ポリカーボネートポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、アミノ樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、ブタジエン−アクリロニトリル樹脂等のゴム系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。例えば、アクリル樹脂としては、アクリペットMD、VH、MF、V(三菱レーヨン(株)製)、ハイパールM−4003、M−4005、M−4006、M−4202、M−5000、M−5001、M−4501(根上工業株式会社製)、ダイヤナールBR−50、BR−52、BR−53、BR−60、BR−64、BR−73、BR−75、BR−77、BR−79、BR−80、BR−82、BR−83、BR−85、BR−87、BR−88、BR−90、BR−93、BR−95、BR−100、BR−101、BR−102、BR−105、BR−106、BR−107、BR−108、BR−112、BR−113、BR−115、BR−116、BR−117、BR−118等(三菱レーヨン(株)製)のアクリル及びメタクリル系モノマーを原料として製造した各種ホモポリマー並びにコポリマーなどが市販されており、この中から好ましいモノを適宜選択することもできる。
【0225】
特に好ましくはジアセチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネートのようなセルロース系樹脂層である。
【0226】
バックコート層を塗設する順番はセルロースエステルフィルムの、バックコート層とは反対側の層(クリアハードコート層或いはその他の例えば帯電防止層等の層)を塗設する前でも後でも構わないが、バックコート層がブロッキング防止層を兼ねる場合は先に塗設することが望ましい。或いは2回以上に分けてバックコート層を塗布することもできる。
【0227】
(易接着層)
セルロースエステル裏面には易接着層が、塗設され用いられる。
【0228】
本発明に係わる反射防止フィルムを用いるとき、例えば、偏光板作製時等において、種々の材料(例えば、偏光子等)やその他の偏光板構成層と易接着する機能をもたせることが好ましいため、前記バックコート層に偏光子及び/または、その他の構成層などに対する易接着性機能を付与するためには、下記記載の一般式〔1〕または〔2〕で表される−COOM基含有高分子化合物、同じく下記載の親水性高分子化合物(a)またはゼラチンまたはゼラチン誘導体の少なくとも1種を含有させることが好ましい手段として挙げられる。
【0229】
【化6】
【0230】
式中、Aはビニル単量体が重合して生成する繰り返し単位、Bは水素原子、−CO−OMまたは−CO−Rを表し、Mは水素原子またはカチオンを表し、z=0のとき、Bは水素原子である。Rは−O−R′または−N(R′)(R″)を表し、ここでR′はアルキル基、アラルキル基、アリール基、複素環残基またはR″と共同して複素環を形成するに必要な非金属原子を表し、R″は水素原子、低級アルキル基またはR′と共同して複素環を形成するに必要な非金属原子を表し、R1及びR2は各々、水素原子または低級アルキル基を表し、Xは−CO−O−または−O−CO−を表し、R3はハロゲン置換アルキル基またはハロゲン置換アルキルオキシアルキル基を表し、m、p、q、r、x、y及びzは各々、各単量体のモル%を示す値であって、m及びxは各々、0〜60、p、q、r、x、y及びzは各々、0〜100であり、m+p+q+r=100、x+y+z=100である。
【0231】
Aで表される繰り返し単位を生成するビニル単量体としては、例えば、スチレン、ニトロ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、クロロメチル基、低級アルキル基(低級とは炭素原子数1〜5を表す)等で置換されたスチレン、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルクロロエチルエーテル、酢酸ビニル、クロロ酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸またはイタコン酸等の不飽和酸、アクリル酸若しくはメタクリル酸のアルキルエステル(該アルキル基は炭素数1〜5の、非置換アルキル基または塩素原子、フェニル基等で置換したアルキル基)、アクリル酸若しくはメタクリル酸のフェニルエステル(該フェニル基は非置換フェニル基または塩素原子、フェニル基等で置換したフェニル基)、アクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、エチレン、アクリルアミド、炭素数1〜5のアルキル基あるいは塩素、フェニル基等で置換したアクリルアミド、ビニルアルコール、クリシジルアクリレート、アクロレイン等があり、好ましくはスチレン、置換基を有するスチレン、酢酸ビニル、ビニルメチルエーテル、アルキルアクリレート、アクリロニトリル等が挙げられる。
【0232】
R′で表されるアルキル基としては、炭素数1〜24のものが好ましく、直鎖アルキル基、分岐アルキル基及びシクロアルキル基のいずれでもよく、また該アルキル基は置換基を有していてもよい。
【0233】
前記の置換基としてはヒドロキシル基、ヒドロキシカルボニル基、−COOM′(M′はカチオンを表す)基等で、特にフッ素原子のようなハロゲン原子で置換された炭素数2〜18のハロゲン置換アルキル基または炭素数2〜18のハロゲン置換アルキルオキシアルキル基が接着性向上の観点から好ましく用いられる。該ハロゲン置換アルキル基及び該ハロゲン置換アルキルオキシアルキル基に置換されたハロゲン原子数は望ましくは1〜37である。このハロゲン置換アルキル基及びハロゲン置換アルキルオキシアルキル基並びに一般式〔2〕中のR3が表すハロゲン置換アルキル基及びハロゲン置換アルキルオキシアルキル基は、好ましくは下記一般式〔A〕で示される。
【0234】
【化7】
【0235】
式中、R4、R5、R6、R7、R8、R9及びR10は各々、水素原子またはフッ素原子を表し、nは1〜12の整数を表し、n2は0または1であり、n2が0のときにはn1は0、n2が1のときにはn1は2または3であって、n3は1〜17の整数を表す。但し、n1+n3は1〜17である。なお、R4が一般式〔A〕中で2個以上ある場合には、各々が同一でもよく、異なっていても良い。同様にR5、R6及びR7がそれぞれ一般式〔A〕中に複数個あるときには、各々が同一でもよく、異なっていても良い。
【0236】
前記一般式〔1〕及び一般式〔2〕において、R′が前述のようなハロゲン置換アルキル基またはハロゲン置換アルキルオキシアルキル基のときには、好ましくは前記一般式〔1〕中のRは−O−R′である。
【0237】
R′が表す複素環またはR′とR″とで形成する複素環としては、酸素原子、イオウ原子または窒素原子を含む飽和または不飽和の複素環が好ましく、例えばアジリジン、ピロール、ピロリジン、ピラゾール、イミダゾール、イミダゾリン、トリアゾール、ピペリジン、ピペラジン、オキサジン、モルホリン、チアジン等の複素環から選択される複素環が挙げられる。
【0238】
Mが表すカチオンとしては、例えばアンモニウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン等が挙げられる。
【0239】
上記一般式〔1〕または〔2〕で示される−COOM基含有高分子化合物は、単独または2種以上併用して用いてもよく、また、本発明に係る上記一般式〔1〕または〔2〕で示される−COOM基含有高分子化合物の分子量としては、平均分子量約500〜500,000(重量平均分子量)程度のものが好ましく用いられる。
【0240】
以下、一般式〔1〕または〔2〕で示される−COOM基含有高分子化合物の具体例を挙げるが、これらに限定されない。
【0241】
【化8】
【0242】
【化9】
【0243】
【化10】
【0244】
【化11】
【0245】
【化12】
【0246】
また、親水性高分子化合物(a)としては好ましくは、親水性セルロース誘導体(例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシセルロース等)、ポリビニルアルコール誘導体(例えば、ポリビニルアルコール、酢酸ビニルービニルアルコール共重合体、ポリビニルアセタール、ポリビニルホルマール、ポリビニルベンザール等)、天然高分子化合物(例えば、ゼラチン、カゼイン、アラビアゴム等)、親水性ポリエステル誘導体(例えば、部分的にスルホン化されたポリエチレンテレフタレート等)、親水性ポリビニル誘導体(例えば、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリビニルインダゾール、ポリビニルピラゾール等)等が挙げられるが、中でも、親水性セルロース誘導体、ポリビニルアルコール誘導体、天然高分子化合物等が更に好ましく用いられる。上記の誘導体は、もちろん、単独あるいは2種以上併用して用いることができる。
【0247】
また、本発明において、易接着層を別に塗設する場合、好ましく用いられる易接着層の例としては、−COOM(Mは水素原子またはカチオンを表す)基を有する高分子化合物を含有する層を含むものであり、更に好ましい態様は反射防止フィルムのバックコート層が塗設されている側に、−COOM基を有する高分子化合物を含有する層を設け、それに隣接させて例えば偏光膜と接着する側に親水性高分子化合物を主たる成分として含む層を設けたものである。ここでいう−COOM基を有する高分子化合物としては例えば、上記記載の一般式〔1〕または〔2〕で表される−COOM基含有高分子化合物、−COOM基を有するスチレン−マレイン酸共重合体や−COOM基を有する酢酸ビニル−マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸−無水マレイン酸共重合体などであり、特に−COOM基を有する酢酸ビニル−マレイン酸共重合体が好ましい。
【0248】
このような高分子化合物を単独でまたは2種以上併用して用い、好ましい重量平均分子量としては500〜500,000程度のものであると良い。−COOM基を有する高分子化合物の特に好ましい例は特開平6−094915号、同7−333436号記載のものが好ましく用いられる。
【0249】
これらの易接着層には接着の際の密着性をよくし貼合後に欠陥が生じないようにするために粗面化するのが効果がある。この為に、平均粒径が1.0μm以下の微粒子が添加されていることが好ましい。用いられる微粒子としては前記バックコート層において挙げられた無機有機の微粒子が使用できる。このものの中より、1.0μm以下の粒子を選択して用いればよい。これらの微粒子としては、好ましくはシリカなどの酸化珪素、例えば富士シリシア化学(株)製のサイリシアや日本シリカ(株)製のNipsil Eなどがある。
【0250】
これらの易接着層の塗設においては、これを塗布したときのカールや、また、易接着層が白濁を起こす(リン酸エステル系可塑剤は滲出し易いためと考えられる)等の問題点があるが、これらについても基材となるセルロースエステルフィルムに、実質的にリン酸エステル系可塑剤を含有しないものを用いることで、改善がもたらされることも判った。
【0251】
従って、リン酸エステル系の可塑剤を実質的に含有しない基材フィルムを用いることで、上記の問題点が起こりにくく、また、偏光子との接着性についても向上するという効果が得られた。
【0252】
本発明に係わる反射防止フィルムは、種々の光学用途のフィルムに好ましく用いることができる。
【0253】
本発明に係わる反射防止フィルムは、これらに限定されるものではなく、層構成も前記の構成に限定されるものではない。例えば、最表面にフッ素含有有機化合物ガス存在下で大気圧もしくはその近傍の圧力下でのプラズマ放電処理を行う等によって防汚層を設けてもよい。
【0254】
また、前記の層のほか、電磁波遮蔽効果を有する層を設けてもよい。電磁波遮蔽効果を有する層の表面比抵抗は0.01〜500Ω/□、より好ましくは0.01〜10Ω/□である。透過率を低下させないため透明導電層を用いることが好ましい。
【0255】
透明導電層としては、金属層、酸化スズ、ITO等の金属酸化物層、導電性ポリマー層等を挙げるこができるが、前記等も上記の表面比抵抗とすれば、もちいることができる。
【0256】
また、前記導電層を帯電防止層として設けてもよい。
また、表面にアンチグレア機能(入射光を表面で散乱させて、膜周囲の景色が膜表面に移るのを防止する機能)、例えば、表面に微細な凹凸を形成し、そしてその表面に反射防止層を形成するか、あるいは反射防止層を形成後、エンボスロールにより表面に凹凸を形成することにより、アンチグレア機能を得ることができる。アンチグレア機能を有する反射防止層は、一般に3〜30%のヘイズを有する。
【0257】
また、本発明には、潤滑層等を設けることも好ましい。
(偏光板)
本発明に係わる偏光板について述べる。
【0258】
偏光板は一般的な方法で作製することが出来る。本発明の反射防止フィルムは、セルロースエステルフィルム裏面側をアルカリ鹸化処理し、処理した反射防止フィルムを、沃素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光膜の少なくとも一方の面に、完全鹸化型ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせることが好ましい。もう一方の面に、例えば、別の偏光板保護フィルムを同様に張り合わせる。本発明の反射防止フィルムに対して、もう一方の面に用いられる偏光板保護フィルムは面内リターデーションRoが590nmで、20〜70nm、Rtが100〜400nmの位相差を有していることが好ましい。これらは例えば、特開2002−71957、特願2002−155395記載の方法で作製することができる。あるいはさらにディスコチック液晶などの液晶化合物を配向させて形成した光学異方層を有している光学補償フィルムを兼ねる偏光板保護フィルムを用いることが好ましい。例えば、特開2003−98348記載の方法で光学異方性層を形成することができる。本発明の反射防止フィルムと組み合わせて使用することによって、平面性に優れ、安定した視野角拡大効果を有する偏光板を得ることができる。
【0259】
本発明の反射防止フィルムが、裏面側に易接着層、易接着バックコート層等の易接着のための処理をしている場合には、アルカリによる鹸化処理は必ずしも必要でなく、反射防止フィルム裏面側の偏光膜との接着性は大きく向上する。
【0260】
偏光板の主たる構成要素である偏光膜とは、一定方向の偏波面の光だけを通す素子であり、現在知られている代表的な偏光膜は、ポリビニルアルコール系偏光フィルムで、これはポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を染色させたものと二色性染料を染色させたものがある。偏光膜は、ポリビニルアルコール水溶液を製膜し、これを一軸延伸させて染色するか、染色した後一軸延伸してから、好ましくはホウ素化合物で耐久性処理を行ったものが用いられている。該偏光膜の面上に、本発明の反射防止フィルムの片面を貼り合わせて偏光板を形成する。好ましくは完全鹸化ポリビニルアルコール等を主成分とする水系の接着剤によって貼り合わせる。
【0261】
(表示装置)
本発明に係わる反射防止フィルムを用いた偏光板を表示装置に組み込むことによって、種々の視認性に優れた本発明の表示装置を作製することが出来る。本発明の反射防止フィルムは反射型、透過型、半透過型LCDあるいはTN型、STN型、OCB型、HAN型、VA型、IPS型等の各種駆動方式のLCDで好ましく用いらる。又、本発明の反射防止フィルムは反射防止層の反射光の色ムラが著しく少なく、又、平面性に優れ、プラズマディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ、有機ELディスプレイ、無機ELディスプレイ、電子ペーパー等の各種表示装置にも好ましく用いられる。安価なため、特に画面が30型以上の大画面の表示装置には、適しており、また、色ムラや波打ちむらによる、蛍光灯の反射像の歪みもなく、長時間の鑑賞でも目が疲れず、充分な光学性能を有している。
【0262】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれに限定されない。
【0263】
〔セルロースエステルフィルムの作製〕
以下に示すセルロースエステル、可塑剤、紫外線吸収剤、微粒子、溶剤を用い、密閉容器中で溶剤に、攪拌しながら、セルロースエステル、可塑剤、紫外線吸収剤、微粒子を順次投入し、加熱、攪拌しながら完全に溶解し、混合した。微粒子は溶剤の一部で分散して添加した。溶液を流延する温度まで下げて一晩放置し、脱泡操作を施した後、溶液を安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過し、セルロースエステル溶液を得た。
セルロースエステル 100kg
(アセチル置換度2.9、Mw/Mn 2.2 Mn=150000)
トリメチロールプロパントリベンゾエート 5kg
エチレンフタリルエチルグリコレート 5kg
チヌビン109(チバスペシャリティケミカルズ(株)製) 0.5kg
チヌビン171(チバスペシャリティケミカルズ(株)製) 0.5kg
アエロジル R972V(日本アエロジル(株)製) 0.3kg
次に、33℃に温度調整したセルロースエステル溶液を、ダイに送液して、ダイスリットからステンレスベルト上に均一に流延した。ステンレスベルトの流延部は裏面から37℃の温水で加熱した。流延後、金属支持体上のドープ膜(ステンレスベルトに流延以降はウェブと言う)に44℃の温風を当てて乾燥させ、剥離の際の残留溶媒量が120質量%で剥離し、剥離の際に張力をかけて1.1倍の延伸倍率となるように延伸し、次いで、テンターでウェブ端部を把持し、幅手方向に1.1倍の延伸倍率となるように延伸した。延伸後、その幅を維持したまま数秒間保持し、幅方向の張力を緩和させた後幅保持を解放し、更に125℃に設定された第3乾燥ゾーンで20分間搬送させて乾燥を行い、幅1.4〜2.0m、かつ端部に幅1.5cm、高さ8μmのナーリングを有する所定の膜厚のセルロースエステルフィルムNo.1を作製した。またトリメチロールプロパントリベンゾエート(5kg)、エチレンフタリルエチルグリコレート(5kg)をトリフェニルホスフェートに代えた以外は同様にセルロースエステルフィルムNo.2を作製した。
【0264】
《バックコート層》
上記で作製したセルロースエステルフィルムそれぞれのa面(流延製膜の際にステンレスバンド支持体に接していた側(b面)の反対側の面)に、下記バックコート層組成物をウェット膜厚14μmとなるように押し出しコーターで塗布し、85℃にて乾燥し巻き取り、バックコート層を設けた。
【0265】
バックコート層の表面の高さ0.1μm以上の突起数は480個/100μm2であった。
【0266】
〈バックコート層組成物〉
アセトン 30質量部
酢酸エチル 45質量部
イソプロピルアルコール 10質量部
ジアセチルセルロース 0.6質量部
超微粒子シリカ2%アセトン分散液
(日本アエロジル(株)製アエロジル200V) 0.2質量部
〔ARフィルムの作製〕
バックコート層を設けたセルロースエステルフィルムNo.1、2の表面(ステンレスバンド支持体に接していた側(b面))上に、下記のハードコート層用塗布液を孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過してハードコート用塗布液を調製し、これをマイクログラビアコーターを用いて塗布し、90℃で乾燥後、紫外線ランプを用い照射部の照度が150mW/cm2で照射量を150mJ/cm2として塗布層を硬化させ、厚さ3μmのハードコート層を形成した。ハードコート層には、下記の処方によって表1に示したように、酸化チタン分散物A〜Dそれぞれを添加した。用いた基材、ハードコート層に添加した酸化チタン分散物は表1に記した。
【0267】
〈ハードコート層用塗布液〉
ジペンタエリスリトールエキサアクリレート 100質量部
光反応開始剤 5質量部
(イルガキュア184(チバスペシャリティケミカルズ(株)製))
酢酸エチル 120質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 120質量部
シリコン化合物 0.1質量部
(BYK−307(ビックケミージャパン社製))
酸化チタン微粒子分散物 100質量部
(酸化チタン分散物の調製)
酸化チタン(一次粒子質量平均粒径:50nm、屈折率:2.70)30質量部、t−ブチルアルコール200質量部、ビニルトリエトキシシラン5質量部、塩酸0.001質量部を添加し、60℃、3時間攪拌後、乾燥しシランカップリング剤で処理した酸化チタン粒子を得た。続いて、アニオン性ジアクリレートモノマー(PM21、日本化薬(株)製)4.5質量部、カチオン性メタクリレートモノマー(DMAEA、興人(株)製)0.3質量部及びメチルエチルケトン65.2質量部を混合し、サンドグラインダーにより分散し、酸化チタン分散物Aを調製した。
【0268】
酸化チタン(一次粒子質量平均粒径:50nm、屈折率:2.70)30質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテル500質量部、テトラエトキシシラン70質量部の混合液に、塩酸0.1質量部と水10質量部の混合液を10分かけて滴下した。混合液を80℃で6時間攪拌し、溶剤を除去して乾固した。粉体を電気炉を用いて300℃で5時間焼成した。さらに、アニオン性ジアクリレートモノマー(PM21、日本化薬(株)製)4.5質量部、カチオン性メタクリレートモノマー(DMAEA、興人(株)製)0.3質量部及びメチルエチルケトン65.2質量部を混合し、サンドグラインダーにより分散し、酸化チタン分散物Bを調製した。
【0269】
酸化チタン(一次粒子質量平均粒径:50nm、屈折率:2.70)30質量部、アニオン性ポリマーDisperbyk−163(ビックケミー・ジャパン(株)製)4.5質量部、カチオン性メタクリレートモノマー(DMAEA、興人(株)製)0.3質量部及びメチルエチルケトン65.2質量部を、サンドグラインダーにより分散し、酸化チタン分散物Cを調製した。
【0270】
酸化チタン(一次粒子質量平均粒径:50nm、屈折率:2.70)30質量部、アニオン性ジアクリレートモノマー(PM21、日本化薬(株)製)4.5質量部、カチオン性メタクリレートモノマー(DMAEA、興人(株)製)0.3質量部及びメチルエチルケトン65.2質量部を、サンドグラインダーにより分散し、酸化チタン分散物Dを調製した。
【0271】
また、硬化させたハードコート層の表面に、以下の表面処理A〜Cから選ばれる処理をそれぞれ表1に示すように行った。
【0272】
《表面処理》
〈表面処理A(ケン化処理)〉
60℃の2mol/Lの水酸化溶液に基材を3分間浸し、水洗後乾燥した。
【0273】
〈表面処理B(コロナ放電処理)〉
春日電機(株)製コロナ放電処理装置(HFS−202)を用いて、12W・min/m2の条件で表面処理を施した。
【0274】
〈表面処理C(プラズマ処理)〉
以下の条件で、プラズマ処理を行った。
【0275】
電源出力:8000W/m2
処理ガス:窒素
処理時間:35秒
装置1:連続大気圧プラズマ放電処理装置(図1に概略図を示す)
電源:神鋼電機社製高周波電源SPG05−4500
電源周波数:5kHz(サイン波式)
ハードコート層上に、さらに下記の低屈折率層用塗布液AまたはBをマイクログラビアコーターを用いて塗布した(表1に記した)。
【0276】
〈シリカ微粒子分散物〉
平均粒径15nmのシリカ微粒子のメタノール分散液(メタノールシリカゾル、日産化学(株)製200質量部)にシランカップリング剤(KBM−503)信越シリコーン(株)製5質量部および0.1N硝酸3質量部を加え6時間攪拌した後、2日間放置した。
【0277】
〈テトラエトキシシラン加水分解物〉
テトラエトキシシラン250質量部とエタノール200質量部、これに酢酸の1.5質量%水溶液60gを添加した後に、室温にて3時間攪拌することでテトラエトキシシラン加水分解物を調製した。
【0278】
更に、ハードコート層、低屈折率層を形成した面とは反対の側、バックコート層上に易接着層を表1に記載の様に(表1中○)塗設した。
【0279】
《易接着層》
下記易接着層塗布液(1)をバックコート層上に20ml/m2となるように塗布し、80℃で5分乾燥し易接着層の下層を設けた。さらに易接着層塗布液(2)を易接着層の下層の上に20ml/m2となるように塗布し、80℃で5分乾燥し易接着層の上層を設けた。易接着層の膜厚はどちらも0.1μmであった。
【0280】
〈易接着塗布液(1)〉
例示化合物(14) 0.5g
アセトン 60ml
酢酸エチル 30ml
トルエン 10ml
〈易接着塗布液(2)〉
ポリビニルアルコール 0.5g
(日本合成化学工業(株)、ゴーセノールNH−26)
サポニン(メルク社製) 0.03g
H2O 50ml
メタノール 50ml
2%アセトン分散微粒子シリカ(超音波分散) 2ml
(商品名:アエロジル200、日本アエロジル(株)製)
以上の様にして表1に示すような反射防止フィルム1〜15を作製した。
【0281】
【表1】
【0282】
作製した各反射防止フィルム試料について、以下のような評価を行った。
〔動摩擦係数〕
100mm×200mmの大きさに裁断した試料フィルムの上に75mm×100mmの大きさに裁断した試料フィルムを載せる。試料フィルムはAR(反射防止層)面とバックコート層(或いは易接着層)面同士が接するようにし、これを固定した台の上に載せ、更にフィルム上にフォームラバーで覆われた200gのおもりを載せる。おもりを水平方向に引っ張り、動きだした時の力(F)を測定し、下記式より動摩擦係数(μ)を求めた。
【0283】
F=μ×W
ここで、Wはおもりの質量(kg)である。
【0284】
〔着色〕
各反射防止フィルムに、アイスーパーUVテスター(岩崎電気(株)製)を用いて、メタルハライドランプで1500mW/cm2の紫外線を144時間照射した。照射後のフィルムについて色味の変化を評価した。
◎・・・色味変化は認められない
○・・・わずかに着色が認められた
×・・・著しく着色が認められた。
【0285】
〔耐擦り傷性〕
1cm2当たり150gのおもりを載せた#0000のスチールウールを用い、試料表面を10回擦って、発生する傷を目視でカウントする。
【0286】
この耐擦り傷性試験を、各反射防止フィルムについて、前記メタルハライドランプ144時間照射前後に行った。
評価基準
A 5本未満
B 5本以上〜10本未満
C 10本以上〜20本未満
D 20本以上。
【0287】
〔密着性〕
JIS K 5400に準拠した碁盤目試験を行う。具体的には、塗布面上に1mm間隔で縦、横に11本の切れ目を入れ、1mm角の碁盤目を100個作り、この上にセロハンテープを貼り付け、90°で素早く剥がし、剥がれずに残った碁盤目の数で表す。
【0288】
密着性試験を各反射防止フィルムについて、作製後、また前記メタルハライドランプ144時間照射後に行った。また、別に、各反射防止フィルムを60℃、90%RHの高温、高湿条件で500時間保存した後の密着性について試験を行った。
【0289】
以上の結果を表2に示した。
【0290】
【表2】
【0291】
本発明に係わる反射防止フィルムは、光照射による着色が起こりにくく、耐擦り傷性、また密着性等(またその耐久性)に優れた性質を有することが判る。
【0292】
【発明の効果】
生産性に優れ、安価で、かつ保存耐久性に優れた大画面表示装置用として好適な、セルロースエステルフィルムを基材として用いた反射防止フィルムが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いるプラズマ処理装置の一例を示す図である。
【符号の説明】
1 プラズマ処理装置
2 処理室
3a,3b 予備室
5 基材
6,7 電極
8 ガイドロール
9 間仕切り手段
10 高周波電源
10E アース
Claims (7)
- リン酸エステル系可塑剤の含有量が1質量%未満であるセルロースエステルフィルム基材上に、金属酸化物微粒子を含有し、かつ該セルロースエステルフィルムよりも屈折率の高いハードコート層、また該ハードコート層上にハードコート層よりも屈折率の低い低屈折率層を積層したことを特徴とする反射防止フィルム。
- 前記金属酸化物微粒子が表面処理剤により処理されていることを特徴とする請求項1に記載の反射防止フィルム。
- セルロースエステルフィルム基材のハードコート層を塗布した面の反対側の面に易接着層を有することを特徴とする請求項1または2に記載の反射防止フィルム。
- 低屈折率層の塗設前に、ハードコート層表面に鹸化処理、コロナ放電処理、プラズマ放電処理による処理から選ばれる処理を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の反射防止フィルム。
- 低屈折率層がフッ素原子を含むポリマーまたは珪素原子を含有する化合物から形成された高分子化合物を含有し、セルロースエステルフィルム基材の低屈折率層と反対の面にマット剤を含有する層が設けられたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の反射防止フィルム。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の反射防止フィルムを用いたことを特徴とする偏光板。
- 請求項6に記載の偏光板を用いたことを特徴とする表示装置。
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