JP2005042588A - 可変容量型過給機のガスシール構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】可変容量型過給機1において、ベーンノズルを構成する円周方向に複数配置されたノズル11を環状のノズル支持リング12にそれぞれ回動可能に支持するとともに、これらノズル11を連動させて開度を調整する駆動機構13をベアリングハウジング2側のリンク室14に設け、このリンク室14へのガスの流入を、タービンインペラ4の背面に配置される遮熱板21のフランジ部21aに弾性部材22を介してノズ支持ルリング12とベアリングハウジング2とで挟んでシールするようにする。
これにより、遮熱板21で熱を遮蔽し、シール必要な弾性力を弾性部材22で得ることができ、それぞれの機能に必要な材質として、シール性を向上し、しかも熱応力などによる遮熱板の破損を防止するようにしている。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は可変容量型過給機のガスシール構造に関し、ガスのシールに必要な機能を分けることで、シール性の向上とコスト低減を図るようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車の排気ガスと環境の問題が世界的にクローズアップされているなか、乗用車クラスの小型ディーゼルエンジン市場をはじめとして、エミッション規制への対応と低燃費化、性能向上のため過給機の使用が必須となりつつあり、低速から高速域まで広い領域での性能向上を図ることができる可変容量型過給機が注目されている。
【0003】
このような可変容量型過給機の一つにマルチベーンノズル方式の可変容量型過給機があり、例えば図3および図4に示すように構成されている。
【0004】
この可変容量型過給機 1は、図3に示すように、ベアリングハウジング2内で回転可能に支持されたタービン軸3の両端部にそれぞれタービンインペラ4とコンプレッサインペラ5とが一体に連結されている。そして、図4に示すように、タービンインペラ4を囲むようにタービンハウジング6が設けられるとともに、コンプレッサインペラ5を囲むように図示しないコンプレッサハウジングが設けられてそれぞれベアリングハウジング2と連結されている。
【0005】
また、タービンハウジング6には、一端にガス入口を備えたスクロール通路7が設けられ、このスクロール通路7の内周部に環状ガス流路8が設けられてガスをタービンインペラ4に導入する一方、タービンインペラ4を駆動した後のガスを中心部に形成したガス出口9から排出するようになっている。
【0006】
そして、タービンハウジング6の環状ガス流路8には、ベーンノズルを構成する複数のノズルベーン11が環状のノズル支持リング12に回動可能に設けられ、スライドジョイント方式などのノズル駆動機構13によって外部からノズルベーン11の角度を調整制御することで開閉され、タービンインペラ4に導入されるガスの流量を変えることができるようになっている。
【0007】
このような可変容量型過給機 1では、タービンインペラ4に導入されるガスがノズルベーン11を通過した後、ノズル駆動機構13が設けられるリンク室14内に漏れ出ると、過給機としての性能低下を招くとともに、ノズル駆動機構13も高温になることからノズルの円滑な作動上の問題となる。
【0008】
そこで、特許文献1に開示されたターボチャージャでは、図4に示すように、ノズル支持リング12の内周部に突起15を形成し、この突起15の側面とベアリングハウジング2の側面との間に遮熱板16を設けてタービンインペラ4の背面からの熱影響がベアリングハウジング2に及ばないようにする熱遮蔽とリンク室14へのガスのシールを行うようにしている。
【0009】
【特許文献1】
特開昭62‐139931号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
このような可変容量型過給1では、遮熱板16をノズル支持リング12の突起15の側面とベアリングハウジング2の側面との間に設けてガスをシールするが、ノズル支持リング12やベアリングハウジング2の熱膨張などが生じても密着させてシール性を確保する必要があることから、遮熱板16をバネ材などで構成している。
【0011】
ところが、このような遮熱板6が高温に曝される状態が繰り返されると、熱応力などによってバネ力が減少したり、破損する恐れがあり、万一遮熱板6が破損すると、高速で回転しているタービンインペラ4と衝突してタービンインペラ4などが破損してしまうという問題がある。
【0012】
この発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたもので、ガスのシール性の向上と破損などの問題がなく、構造が簡素化でき、コストの低減も図ることができる可変容量型過給機のガスシール構造を提供しようとするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
これまでの可変容量型過給機では、ガスのシールと熱の遮蔽との2つの機能を遮熱板に持たせるようにしていたが、これらの機能を分離した構造とすることで、それぞれの機能に必要な材質にでき、これによってシール性を向上し、しかも熱応力などによる破損を防止できることを見出し、この発明を完成したものである。
【0014】
すなわち、上記従来技術が有する課題を解決するため、この発明の請求項1記載の可変容量型過給機のガスシール構造の具体的構成は、中間部がベアリングハウジングで支持されたタービン軸の端部にタービンインペラとコンプレッサインペラが設けられた過給機の前記タービンのガス入口側の環状ガス流路にガス流量を可変とするベーンノズルを備えた可変容量型過給機において、前記ベーンノズルを構成する円周方向に複数配置されたノズルを環状のノズル支持リングにそれぞれ回動可能に支持するとともに、これらノズルを連動させて開度を調整する駆動機構を前記ベアリングハウジング側のリンク室に設け、このリンク室へのガスの流入を、前記タービンインペラの背面に配置される遮熱板のフランジ部に弾性部材を介して前記ノズル支持リングと前記ベアリングハウジングとで挟んでシールすることを特徴とするものである。
【0015】
この可変容量型過給機のガスシール構造によれば、中間部がベアリングハウジングで支持されたタービン軸の端部にタービンインペラとコンプレッサインペラが設けられた過給機の前記タービンのガス入口側の環状ガス流路にガス流量を可変とするベーンノズルを備えた可変容量型過給機において、前記ベーンノズルを構成する円周方向に複数配置されたノズルを環状のノズル支持リングにそれぞれ回動可能に支持するとともに、これらノズルを連動させて開度を調整する駆動機構を前記ベアリングハウジング側のリンク室に設け、このリンク室へのガスの流入を、前記タービンインペラの背面に配置される遮熱板のフランジ部に弾性部材を介して前記ノズル支持リングと前記ベアリングハウジングとで挟んでシールするようにしており、遮熱板で熱を遮蔽し、シールに必要な弾性力を弾性部材で得るようにでき、これにより、それぞれの機能に必要な材質として、シール性を向上し、しかも熱応力などによる破損を防止できるようにしている。
【0016】
また、この発明の請求項2記載の可変容量型過給機のガスシール構造は、請求項1記載の構成に加え、 前記弾性部材を、環状で円周方向に沿って波状に成形された波ワッシャで構成してなることを特徴とするものである。
【0017】
この可変容量型過給機のガスシール構造によれば、前記弾性部材を、環状で円周方向に沿って波状に成形された波ワッシャで構成するようにしており、波ワッシャによってシールに必要な弾性力を簡単に得ることができるようにしている。
【0018】
さらに、この発明の請求項3記載の可変容量型過給機のガスシール構造は、請求項1または2記載の構成に加え、前記ノズル支持リングを前記ガス入口側の環状ガス流路の側壁部と兼用して配置してなることを特徴とするものである。
【0019】
この可変容量型過給機のガスシール構造によれば、前記ノズル支持リングを前記ガス入口側の環状ガス流路の側壁部と兼用して配置するようにしており、組立性の向上を図ることができるようになる。
【0020】
また、この発明の請求項4記載の可変容量型過給機のガスシール構造は、請求項1〜3のいずれかに記載の構成に加え、前記ノズル支持リングの外周側と前記リンク室のタービン側との間に、前記駆動機構のタービン側を遮蔽する環状リングを配置してシールすることを特徴とするものである。
【0021】
この可変容量型過給機のガスシール構造によれば、前記ノズル支持リングの外周側と前記リンク室のタービン側との間に、前記駆動機構のタービン側を遮蔽する環状リングを配置してシールするようにしており、ノズル支持リングの上流側もシールでき、リンク室のシール性を高めてガス漏れを防止できるようになる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の一実施の形態について図面に基づき詳細に説明する。
図1および図2はこの発明の可変容量型過給機のガスシール構造の一実施の形態にかかる部分拡大断面図および遮熱板と弾性部材の分解状態の概略斜視図である。
【0023】
この可変容量型過給機のガスシール構造20では、可変容量型過給機の基本構造は、既に図3および図4で説明したマルチベーンノズル方式の可変容量型過給機 1と同一であり、タービンハウジング6には、一端にガス入口が形成されたスクロール通路7が設けられ、このスクロール通路7の内周部に環状ガス流路8が設けられている。そして、この環状ガス流路8には、ベーンノズルを構成する複数のノズルベーン11が環状のノズル支持リング12に回動可能に設けられ、この環状流路8のベアリングハウジング2側の側壁部の一部をなすようにノズル支持リング12が配置されている。
【0024】
このノズル支持リング12に取り付けられたノズルベーン11は、スライドジョイント方式などのノズル駆動機構13によって外部からノズルベーン11の角度を調整制御することでタービンインペラ4に導入されるガスの流量を変えることができるようになっている。
【0025】
そして、このノズル駆動機構13がタービンハウジング6の背面側とベアリングハウジング2との間のリンク室14内に配置されている。
【0026】
このリンク室14へ環状ガス流路8からのガスの流入を防止するため、タービンインペラ4の背面に配置される遮熱板21のフランジ部21aに弾性部材22を介してノズル支持リング12とベアリングハウジング2とで挟んでシールするようにしてある。
【0027】
この遮熱板21は、図1および図2に示すように、略底付き円筒状の端部外周にフランジ部21aが一体に形成された形状とされ、底部分である円板部21bにベアリングハウジング2への装着孔21cが形成されて構成されており、タービンインペラ4に導入されるガスに対する耐熱性のある材料で形成してある。
【0028】
そして、この遮熱板21の円板部21bがタービンインペラ4の背面側のべアリングハウジング2の端面に沿ってノズル支持リング12との間に配置され、フランジ部21aの一方面がノズル支持リング12に当てられ、他方面に弾性部材22が当てられてベアリングハウジング2とノズル支持リング12とで挟むようにして取り付けられている。
【0029】
この弾性部材22としては、例えば図2に示すように、遮熱板21のフランジ部21aに対応した大きさのリング状のバネ材の円周方向に沿って繰り返し波状の凹凸を成形した波ワッシャで構成される。
【0030】
したがって、遮熱板21のフランジ部21aの一方の面をノズル支持リング12に当て、フランジ部21aの他方の面に波ワッシャ22を介してベアリングハウジング2で挟んで締め付けるようにすることで、ノズル支持リング12の内周側とベアリングハウジング2との間からリンク室14にガスが漏れ出ることを防止することができるとともに、遮熱板21の円板部21bでベアリングハウジング2側への熱を遮蔽することができる。
【0031】
なお、ノズル支持リング12の外周側のリンク室14のシールは、環状リング23が用いられ、内周側をノズル支持リング12に取り付け、外周側をタービンハウジング6とベアリングハウジング2とで挟むようにして取り付けることでシールするようにしてある。
【0032】
このように構成した可変容量型過給機のガスシール構造20によれば、遮熱板21で熱を遮蔽し、シールに必要な弾性力を弾性部材22としての波ワッシャで得るようにでき、これら遮熱板21と弾性部材22をそれぞれの機能に必要な材質とすることができ、繰り返し高温状態となっても弾性部材22によってシール性を確保でき、しかも遮熱板21が熱応力などによって破損することを防止できる。
【0033】
また、この可変容量型過給機のガスシール構造20によれば、遮熱板21と弾性部材22としての波ワッシャでリンク室14へのガスの流入を防止することができ、ノズル駆動機構13への影響を極力抑え、安定した状態で作動させることができる。
【0034】
なお、上記実施の形態では、ベーンノズルを構成する各ノズルベーンを駆動するノズル駆動機構についての説明を省略したが、例えばスライドジョイントと呼ばれる4角形のこまをフォーク状のリンク板で動かすスライドジョイント方式、あるいはリンクピンにより駆動力を伝達するマークII方式やユニソンリング方式など通常採用されているいずれの方式であっても良い。
【0035】
【発明の効果】
以上、一実施の形態とともに具体的に説明したようにこの発明の請求項1記載の可変容量型過給機のガスシール構造によれば、中間部がベアリングハウジングで支持されたタービン軸の端部にタービンインペラとコンプレッサインペラが設けられた過給機の前記タービンのガス入口側の環状ガス流路にガス流量を可変とするベーンノズルを備えた可変容量型過給機において、前記ベーンノズルを構成する円周方向に複数配置されたノズルを環状のノズル支持リングにそれぞれ回動可能に支持するとともに、これらノズルを連動させて開度を調整する駆動機構を前記ベアリングハウジング側のリンク室に設け、このリンク室へのガスの流入を、前記タービンインペラの背面に配置される遮熱板のフランジ部に弾性部材を介して前記ノズル支持リングと前記ベアリングハウジングとで挟んでシールするようにしたので、遮熱板で熱を遮蔽し、シールに必要な弾性力を弾性部材で得ることができ、これにより、それぞれの機能に必要な材質として、シール性を向上し、しかも熱応力などによる遮熱板の破損を防止することができる。
【0036】
また、この発明の請求項2記載の可変容量型過給機のガスシール構造によれば、前記弾性部材を、環状で円周方向に沿って波状に成形された波ワッシャで構成するようにしたので、波ワッシャによってシールに必要な弾性力を簡単に得ることができる。
【0037】
さらに、この発明の請求項3記載の可変容量型過給機のガスシール構造によれば、前記ノズル支持リングを前記ガス入口側の環状ガス流路の側壁部と兼用して配置するようにしたので、部品点数を削減することができるとともに、組立性の向上を図ることができる。
【0038】
また、この発明の請求項4記載の可変容量型過給機のガスシール構造によれば、前記ノズル支持リングの外周側と前記リンク室のタービン側との間に、前記駆動機構のタービン側を遮蔽する環状リングを配置してシールするようにしたので、ノズル支持リングの上流側もシールでき、リンク室のシール性を高めてガス漏れを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の可変容量型過給機のガスシール構造の一実施の形態にかかる部分拡大断面図である。
【図2】この発明の可変容量型過給機のガスシール構造の一実施の形態にかかる遮熱板と弾性部材の分解状態の概略斜視図である。
【図3】従来の可変容量型過給機の基本構造部分の概略縦断面図である。
【図4】従来の可変容量型過給機のベーンノズル部分の概略断面図および部分正面図である。
【符号の説明】
1 可変容量型過給機
2 ベアリングハウジング
3 タービン軸
4 タービンインペラ
5 コンプレッサインペラ
6 タービンハウジング
7 スクロール通路
8 環状ガス流路
9 ガス出口
11 ノズルベーン
12 ノズル支持リング
13 ノズル駆動機構
14 リンク室
20 可変容量型過給機のガスシール構造
21 遮熱板
21a フランジ部
21b 円板部
21c 装着部
22 弾性部材(波ワッシャ)
23 環状リング
Claims (4)
- 中間部がベアリングハウジングで支持されたタービン軸の端部にタービンインペラとコンプレッサインペラが設けられた過給機の前記タービンのガス入口側の環状ガス流路にガス流量を可変とするベーンノズルを備えた可変容量型過給機において、
前記ベーンノズルを構成する円周方向に複数配置されたノズルを環状のノズル支持リングにそれぞれ回動可能に支持するとともに、これらノズルを連動させて開度を調整する駆動機構を前記ベアリングハウジング側のリンク室に設け、このリンク室へのガスの流入を、前記タービンインペラの背面に配置される遮熱板のフランジ部に弾性部材を介して前記ノズル支持リングと前記ベアリングハウジングとで挟んでシールすることを特徴とする可変容量型過給機のガスシール構造。 - 前記弾性部材を、環状で円周方向に沿って波状に成形された波ワッシャで構成してなることを特徴とする請求項1記載の可変容量型過給機のガスシール構造。
- 前記ノズル支持リングを前記ガス入口側の環状ガス流路の側壁部と兼用して配置してなることを特徴とする請求項1または2記載の可変容量型過給機のガスシール構造。
- 前記ノズル支持リングの外周側と前記リンク室のタービン側との間に、前記駆動機構のタービン側を遮蔽する環状リングを配置してシールすることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の可変容量型過給機のガスシール構造。
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