JP2005042546A - 分岐式推進型掘進機 - Google Patents

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Abstract

【課題】推進型掘進機から分岐シールド掘進機を分岐発進可能にし、分岐用発進口の周辺の構造を簡単化し製作費を低減し、立坑の施工が困難な道路下や河川下に広幅トンネルを掘削可能な分岐式推進型掘進機を提供する。
【解決手段】 推進手段で推進されてトンネルを掘削可能な推進型掘進機1と、この推進型掘進機1からその掘進方向と交差する方向向きに分岐発進可能な複数の分岐シールド掘進機を有し、推進型掘進機1の胴部材12は矩形断面をなし、この胴部材12の側部の平板状胴部分に分岐シールド掘進機を夫々分岐発進可能な複数の発進用開口部80を隣接状に設け、胴部材の内側に各発進用開口部を囲繞するエントランスリング81を設け、複数の発進用開口部80を水密状に塞ぎ且つ分岐シールド掘進機の分岐発進時に推進型掘進機の掘進方向と反対方向へスライドさせて開放可能なゲート7を設けた。
【選択図】 図1

Description

本発明は、分岐式推進型掘進機に関し、特に、立坑の施工が困難な道路下や河川下に、電車の車庫、地下駐車場等を構築する為の幅広トンネルを掘進する際、施工可能な立坑から推進型掘進機で所定距離掘進後、1又は複数の分岐シールド掘進機を左方または右方へ交差状に分岐発進する分岐式推進型掘進機に関する。
上下水道や通信ケーブル用の種々のシールド孔(トンネル)をシールド掘進機で掘進する際に、トンネルの途中から小径の分岐トンネルを分岐発進することも多い。分岐発進する場合、通常本線のシールド掘進機で本線トンネルを掘進していき、分岐地点に到着した時に本線用シールド掘進機から分岐線シールド掘進機を左方または右方へ直角状に分岐発進させ、その分岐後には本線トンネルを本線シールド掘進機で分岐トンネルを分岐線シールド掘進機で夫々独立に掘進する。
例えば、特許第2728641号公報には、分岐掘進可能なシールド掘進機として、大径シールド掘進機の胴部材に形成された小径シールド掘進機用の分岐発進口であって、小径シールド掘進機のカッターディスクで切削可能なコンクリート(閉塞部材)によって閉塞された分岐発進口が形成された分岐掘進可能なシールド掘進機が記載されている。
特許第2975568号公報の分岐掘進可能なシールド掘進機では、分岐掘進前、複数のシールドジャッキを前胴内へ移設し、セグメント組立機構を前胴内へ移設する。次に、分岐シールド掘進機を内胴内に搬入して分岐シールド掘進機を分岐用窓孔に対向する所定部位にセットする。その後、第1連結機構の連結を分離してから、本線トンネルの掘進を再開し、前胴内の複数のシールドジャッキにより、後胴と中胴の内胴とを停止させたまま、前胴と中胴の外胴とを前進させて、内胴の分岐用窓孔を地山に望ませ、分岐シールド掘進機により分岐掘進を開始する。
他方、特開2001−323774号公報には、本願出願人の片方が提案したシールド機の発進工法が記載されている。この発進工法では、立坑から矩形断面の推進機を推進手段からの推進力で発進させ、立坑内で推進機に分岐シールド掘進機を横向き姿勢にて連結し、推進機を更に前進させてから次の分岐シールド掘進機を連結し、これを順次繰り返し、推進機と、この推進機に後続する4台の分岐シールド掘進機を直列的に立坑外へ前進させ、4台の分岐シールド掘進機を横方向へ水平に分岐発進させ、その掘削した広幅トンネルの鋼製セグメントで覆工していく。
特許第2728641号公報 特許第2975568号公報 特開2001−323774号公報
前記特許第2728641号公報に記載のものでは、基本的に円形断面の大径シールド掘進機から円形断面の小径シールド掘進機を分岐発進させる構造であるから、小径シールド掘進機の直径は大径シールド掘進機の直径よりもかなり小径化してしまう。従って、大径シールド掘進機に無駄なスペースが生じるだけでなく、分岐発進口の断面形状が複雑化し、分岐発進の為のエントランスリングの分岐発進口への取付部分も複雑形状となる。
更に、大径シールド掘進機の胴部材に前記コンクリートを取付ける際、土水圧を保持するために大量のコンクリートが必要になり製作費が高くなる。大量のコンクリートが必要になるつまりコンクリートが大形化するにも関わらず、このコンクリートを分割して取付けることはできないので、コンクリートの取付け作業自体も困難となる。
前記特許2975568号公報に記載のものでは、基本的に円形断面の本線シールド掘進機から円形断面の分岐シールド掘進機を分岐発進させる構造であるから、前記公報のものと同様に、本線シールド掘進機に無駄なスペースが生じ、分岐発進口の断面形状が複雑化し、エントランスリングの取付部分も複雑形状となる。また、中胴の前部が内胴と外胴内筒部と前胴テール部との3重構造となり、中胴の後部が内胴と外胴本体との2重構造となるから、分岐部の構造が複雑化し、製作費が高くなる。
ところで、前記各公報に記載のもので、本線(大径)シールド掘進機から複数の分岐(小径)シールド掘進機を分岐発進させるには、分岐させる分岐シールド掘進機の数に応じて、胴部材つまり機長を長くしなければならない。しかし、この状態で本線トンネルを掘進していくには、シールドジャッキの容量を大きくしなければならないし、非現実的である。特に特許第2728641号公報に記載のものでは、隣接する閉塞部材つまりコンクリート同士を接続しなければならず、その接続作業が困難となる。
前記特開2001−323774号公報には、推進機の具体的な構造、分岐シールド掘進機の具体的な構造、分岐シールド掘進機を分岐発進させるまで止水する止水構造物などについて何ら提案されていないので、その発進工法を実現するのは簡単ではない。
本発明の目的は、推進型掘進機から分岐式シールド掘進機を分岐発進可能にすること、分岐部の構造を簡単化し製作費を低減すること、立坑の施工が困難な道路下や河川下に幅広トンネルを掘削可能な分岐式推進型掘進機を提供すること、である。
請求項1の分岐式推進型掘進機は、後方の推進手段により推進されつつトンネルを掘削可能な推進型掘進機と、この推進型掘進機からその掘進方向と交差する方向向きに分岐発進可能な複数の分岐シールド掘進機を備えた分岐式推進型掘進機であって、前記推進型掘進機の胴部材は矩形断面をなし、この胴部材の側部の平板状胴部分に分岐シールド掘進機を夫々分岐発進可能な複数の発進用開口部を隣接状に設け、前記胴部材の内側に各発進用開口部を囲繞するエントランスリングを設け、前記複数の発進用開口部を水密状に塞ぎ且つ分岐シールド掘進機の分岐発進時に推進型掘進機の掘進方向と反対方向へスライドさせて開放可能なゲートを設けたことを特徴とするものである。
大断面トンネルを掘削する際には、発進用開口部をゲートで水密状に塞いだ状態で所定長さ掘進した後、複数の発進用開口部のうちの最前端側の発進用開口部に分岐シールド掘進機をセットする。次に、ゲートを推進型掘進機の掘進方向と反対方向へスライドさせて、ゲートを分岐シールド掘進機1機分開放し、この分岐シールド掘進機を前記の発進用開口部から分岐発進する。以下同様に次の発進用開口部に分岐シールド掘進機をセットし、ゲートを分岐シールド掘進機1機分をさらに開放した後この発進用開口部から分岐発進する。以下同様に繰り返して複数の分岐シールド掘進機を発進させる。
前記胴部材は矩形断面をなし、その側部の平板状胴部分に複数の発進用開口部を隣接状に形成するため、広幅の発進用開口部をスペース効率よく形成できる。各発進用開口部を囲繞するエントランスリングを設けるため、各発進用開口部から分岐シールド掘進機を順次発進させることが可能となる。
請求項2の分岐式推進型掘進機は、請求項1の発明において、前記エントランスリングにエントランスリング内周面と分岐シールド掘進機間をシールする止水シール機構を設けたことを特徴とするものである。各分岐シールド掘進機を分岐発進する際、止水シール機構を作動させてエントランスリング内周面と分岐シールド掘進機間をシールし、推進型掘進機内に水や土砂が流入するのを防止することができる。
請求項1の発明によれば、矩形断面状の胴部材の側部の平板状胴部分に、複数の発進用開口部を隣接状に設け、各発進用開口部を囲繞するエントランスリングを設け、複数の発進用開口部を水密状に塞ぐゲートであって、推進型掘進機の掘進方向と反対方向へスライドさせて開放可能なゲートを設けたので、複数の分岐シールド掘進機を分岐発進させるための構造が簡単化し、製作費を低減することができる。
例えば、立坑の施行が困難な道路下や河川下など立坑を形成できない場所に、電車の車庫、地下駐車場等を作るための広幅のトンネルを掘削するような場合には、近隣の立坑を形成可能な場所に立坑を形成し、その立坑から推進型掘進機を発進させ、所定位置において複数の発進用開口部から分岐シールド掘進機を順次発進させて広幅トンネルを掘削することができる。
前記胴部材は矩形断面をなし、その側部の平板状胴部分に複数の発進用開口部を隣接状に形成するため、複数の発進用開口部をスペース効率よく形成できる。各発進用開口部を囲繞するエントランスリングを設けるため、各発進用開口部から分岐シールド掘進機を順次発進させることが可能となる。
請求項2の発明によれば、前記エントランスリングにエントランスリング内周面と分岐シールド掘進機間をシールする止水シール機構を設けたので、各分岐シールド掘進機を分岐発進する際、止水シール機構を作動させてエントランスリング内周面と分岐シールド掘進機間をシールし、推進型掘進機内に水や土砂が流入するのを防止することができる。
本発明に係る分岐式推進型掘進機は、後方の推進手段により推進されつつトンネルを掘削可能な推進型掘進機と、この推進型掘進機からその掘進方向と交差する方向向きに分岐発進可能な複数の分岐シールド掘進機を備えた分岐式推進型掘進機であって、前記推進型掘進機の胴部材は矩形断面をなし、この胴部材の側部の平板状胴部分に分岐シールド掘進機を夫々分岐発進可能な複数の発進用開口部を隣接状に設け、前記胴部材の内側に各発進用開口部を囲繞するエントランスリングを設け、前記複数の発進用開口部を水密状に塞ぎ且つ分岐シールド掘進機の分岐発進時に推進型掘進機の掘進方向と反対方向へスライドさせて開放可能なゲートを設けたことを特徴とするものである。
本実施例は、電車の車庫や地下駐車場や地下鉄の駅等を構築する為の幅広トンネルを掘進する分岐式推進型掘進機に本発明を適用した場合の例である。この分岐式推進型掘進機は、後方の推進手段により推進されつつ矩形断面トンネルを掘削可能な推進型掘進機1と、この矩形推進型掘進機からその掘進方向と直交する方向向きに分岐発進可能な複数の分岐シールド掘進機5(図6参照)を備えている。
最初に、推進型掘進機1の構造について説明する。尚、掘進方向に向かって前後左右を前後左右として説明する。図1〜図4に示すように、推進型掘進機1は、カッターヘッド2と、掘進機本体3と、掘進方向に直列的に順次接続される複数の胴分割体4と、例えば4つの分岐シールド掘進機5(図6参照)を夫々分岐発進させる為の4つの発進用開口部80と、この発進用開口部80を水密状に塞ぎ且つ分岐シールド掘進機5の分岐発進時に開放可能に設けられたゲート7と、複数の推力伝達管8等を備え、掘進機本体3には、カッターヘッド2の揺動駆動機構9や排土設備10等が設けられている。
カッターヘッド2について説明する。図1、図2に示すように、カッターヘッド2は、センターフレーム11と、センターフレーム11から外周フレーム13まで十字状に延びる4本のカッタースポーク14と、カッタースポーク14の半径方向途中部分に連結されたリングフレーム15とを有する。各カッタースポーク14には、径方向外方に突出するオーバカッター16と、このオーバカッター16を出退駆動する図示外の油圧シリンダが設けられている。尚、カッタースポーク14には多数のカッタービット17が付設されている。
推進型掘進機1における胴部材12は、掘進機本体3の胴部材3aと、これに直列的に接合された複数の胴分割体4とで構成される。図1に示すように、胴部材3a内部の前端部には隔壁18が形成され、この隔壁18とカッターヘッド2との間には、掘削された土砂が流入するチャンバー19が形成されている。
次に、揺動駆動機構9について説明する。
図1、図3に示すように、揺動駆動機構9は、4本の揺動ジャッキ20と、揺動支軸21とを有する。即ち、隔壁18の後側で且つ胴部材12内の4隅付近部には、4つの支持ブラケット22が設けられ、各支持ブラケット22に揺動ジャッキ20のジャッキ本体が枢支されている。隔壁18の直ぐ後側には、図3の対角状にある左上と右下の揺動ジャッキ20が夫々ブラケット25,26を介して揺動支軸21に連結され、これら揺動ジャッキ20の直ぐ後側に右上と左下の揺動ジャッキ20が夫々ブラケット23,24を介して揺動支軸21に連結されている。
揺動支軸21は、隔壁18に図示外の軸受を介して回動可能に支持されている。図1〜図3に示すように、前側の1対の揺動ジャッキ20を同期駆動し、これら揺動ジャッキ20の駆動に同期して後側の1対の揺動ジャッキ20を同期駆動して、揺動支軸21を正面視±約45度の角度で揺動することにより、カッターヘッド2を揺動するようになっている。
この揺動支軸21を介してスイベルジョイント27が連結され、これら揺動支軸21とスイベルジョイント27の内部には、機内の油圧供給源からオーバカッター16用の油圧シリンダに通ずる油路(図示略)と、機内の加泥剤供給ユニットから加泥剤ノズル28(図2参照)に加泥剤を供給する通路(図示略)等が形成されている。
次に、排土設備10について説明する。
図1に示すように、隔壁18の下端部から後方上り傾斜状に、スクリューコンベヤ29が設けられている。スクリューコンベヤ29は、隔壁18の下端部に形成された連通穴18aを介してチャンバー19に連通し、チャンバー19内の土砂をこのスクリューコンベヤ29から図示外の搬送コンベヤ等により地上に搬送する。尚、ロータリポンプ30も設けられている。
次に、胴分割体4、発進用開口部80、ゲート7等について説明する。
図1、図4、図5、図10、図11に示すように、胴部材12は矩形断面をなし、胴部材3aと胴分割体4の境界部および胴分割体4と胴分割体4との境界部は溶接接合される。掘進機本体3の胴部材3aの後端に胴分割体4が順次溶接接合され、胴部材12のの側部のうちの複数の分岐シールド掘進機5を発進させる側の側部の平板状胴部分には、4つの発進用開口部80が隣接状に並べて形成され、これら4つの発進用開口部80から4機の分岐シールド掘進機5を順々に分岐発進可能になっている。
前記胴部材3aと複数の胴分割体4の内面側には、各発進用開口部80を囲繞するエントランスリング81が設けられている。各エントランスリング81には、そのエントランスリング81内周面と分岐シールド掘進機5間をシールする止水機構36(図5参照)が設けられている。
4つの発進用開口部80を開閉可能に塞ぐゲート7は、最も前側の1つのゲート分割体7aと、ゲート分割体7aに順次直列状に溶接接合される4つのゲート分割体7bとから構成されている。ゲート分割体7aは胴部材3aに、またゲート分割体7bは分割胴部材4に予め装着した状態で立坑から押し込まれ、このときゲート分割体7a,7bが立坑内で順々に溶接接合される。尚、胴部材3aと複数の胴分割体4の内側には、前記溶接接合状態において掘進方向に直列状に連なる複数の推力伝達管8が周方向適当間隔おきに配設されている。これら複数の推力伝達管8の大部分はウェブ材31(図4参照)に支持され、一部分がエントランスリング81に貫通状に支持されている。
図1、図4、図5に示すように、4つの発進用開口部80の開口部外面に沿ってガイド支持部材34が固着され、このガイド支持部材34にゲート7がスライド可能に支持されている。最も後側の胴分割体4におけるガイド支持部材34の鉛直方向部分は設けられず、ゲート7をゲートガイド機構33により掘進方向と反対方向へスライドさせて4つの発進用開口部80を開放するように構成されている。このゲートガイド機構33は、ガイド支持部材34と、ゲート7の外周側部分をシールする1対のシール部材35などから構成されている。1対のシール部材35は、ガイド支持部材34と、胴部材3aおよび胴分割体4に配設され、4つの発進用開口部80を水密状に塞ぐようになっている。
図5に示すように、止水シール機構36は、エントランスリング81の内面に凹設された環状凹部37と、環状弾性膜部材38と、環状シール部材39と、図示外の加圧水注入手段等で構成されている。環状凹部37には可撓性の環状弾性膜部材38が配設され、環状弾性膜部材38の前端部は環状の止め金具40とボルトによりエントランスリング81に固定され、環状弾性膜部材38の後端部は環状の止め金具41とボルトによりエントランスリング81に固定されている。
環状弾性膜部材38の内側には環状シール部材39が設けられ、環状シール部材39の後端部が止め金具41で固定されている。この環状シール部材39は、周方向に所定小幅の多数の薄手の弾性変形可能な弾性金属板であって周方向に部分的にラップさせつつ配列した多数の弾性金属板を弾力性に優れる合成ゴム材又は合成樹脂材で包み込んだ構造のものである。エントランスリング81に複数の分岐シールド掘進機5を挿通状に装着し、止水シール機構36を図5に示すように作動させた状態でゲート7を開放するように構成されている。
次に、分岐シールド掘進機5について説明する。
図6、図7に示すように、分岐シールド掘進機5は、カッターヘッド42と、矩形枠状に形成された胴部材43と、カッターヘッド42の揺動駆動機構44と、掘進推力を発生させる為のシールドジャッキ46と、セグメントSを組付ける為のエレクタ47と、排土設備48等を有する。これらのうち揺動駆動機構44と排土設備48については、推進型掘進機1のものと略同一構造であるから、説明を適宜省略する。
図6、図7に示すように、4機の分岐シールド掘進機5は順次分岐発進する関係上、4機の分岐シールド掘進機5は、1機分の、複数のシールドジャッキ46、揺動ジャッキ62、揺動支軸63を回動可能に支持する軸受83、エレクタ47及び支柱71、スクリューコンベヤ72等を順次転用するように構成されている。
カッターヘッド42について説明すると、図6、図7に示すように、カッターヘッド42は、センターフレーム49と、センターフレーム49から外周側に十字状に延びる4本のカッタースポーク51と、カッタースポーク51の半径方向略中間部分に連結されたサブフレームとを有する。各カッタースポーク51には、径方向外方に突出するオーバカッター53と、このオーバカッター53を出退駆動する図示外の油圧シリンダが設けられている。尚、カッタースポーク51には多数のカッタービットが付設されている。
次に、胴部材43について説明する。
胴部材43の後端部分にはテールプレート58が設けられており、テールプレート58の内周後端部には2列のテールグラウトシール59が取付けられている。胴部材43の内部には隔壁60が形成され、この隔壁60とカッターヘッド42との間には、掘削された土砂が流入するチャンバー61が形成されている。
図6、図10に示すように、揺動駆動機構44は4本の揺動ジャッキ62と揺動支軸63とを有し、揺動支軸63は、隔壁に軸受を介して回動可能に支持されている。4本の揺動ジャッキ62を推進型掘進機1の揺動ジャッキと同様に駆動して、揺動支軸63を揺動することにより、カッターヘッド42を揺動するようになっている。
シールドジャッキ46について説明すると、胴部材43の内周側には、複数のシールドジャッキ46が周方向適当間隔おきに後方向きに配設されている。各シールドジャッキ46のジャッキ本体は、胴部材43の内周に接合された環状ウェブ材64に固定され、各ジャッキ本体の前端は、胴部材43の内周に接合されたフランジ65で受止められている。各シールドジャッキ46のロッドの先端部には偏心金具66を介してスプレッダ67が連結され、シールドジャッキ46のロッドを伸長させ、スプレッダ67をトンネルの内面に覆工したセグメントSの前端に押圧させることで掘進推力を発生させて掘進する。
次に、エレクタ47について説明する。
図6に示すように、エレクタ47は、ガイドフレーム68と、本体支持フレーム69と、エレクタ本体70等からなる。環状ウェブ材64の前端部には、上下方向に延びる1対の支柱71が左右に適当間隔あけて支持されている。複数の支柱71の後端部には、左右方向に延びる1対のガイドフレーム68が上下に所定間隔あけて連結されている。
上下方向向きの本体支持フレーム69が、1対のガイドフレーム68にわたって架設され、左右方向に摺動可能に支持されている。エレクタ本体70は、この本体支持フレーム69に沿って上下動可能に支持され、掘進方向に平行な軸心回りに回転可能に支持されている。
次に排土設備48について説明する。
図6に示すように、スクリューコンベヤ72は、隔壁60の下端部の連通穴60aを介してチャンバー61に連通し、チャンバー61内の土砂をこのスクリューコンベヤ72からロータリポンプ(図示略)を介して接続されたパイプにより地上に搬送する。
次に、以上説明した分岐式推進型シールド掘進機の作用について説明する。
矩形大断面トンネルを掘削する際には、先ず、図8に示すように、施工可能な仮の立坑74の発進架台(図示略)に推進型掘進機1の掘進機本体3を載置し、複数の推力伝達管8の後方位置に複数の元押ジャッキ75をセットする。尚、複数の元押ジャッキ75が推進手段に相当するものである。
次に、図9に示すように、元押しジャッキ75を伸長させると共に揺動駆動機構9によりカッターヘッド2を揺動させて胴分割体4の長さ分掘進する。その後、退入させた元押しジャッキ75と掘進機本体3との間に胴分割体4を嵌め込み、この胴分割体4を掘進機本体3の胴部材3aの後端に溶接接合する。
これと略並行してこの胴分割体4のゲート分割体7bを胴部材3aのゲート分割体7aの後端に溶接接合し、胴分割体4のエントランスリング81の分割体を、掘進機本体3のエントランスリング81の分割体に溶接接合する。以下、この推進型掘進機1により矩形断面トンネルを掘進しつつ、4つの胴分割体4を掘進方向に直列的に順次接続し、元押しジャッキ75に押し輪を介して所定長さ分掘進した状態で停止し、その後、エントランスリング81に止水シール機構36を装備する。
次に、図11(a)に示すように、分岐発進に際してテールプレート58を取外した1番目の分岐シールド掘進機5を、発進架台77を兼ねる搬送台車に載置して推進型掘進機1内の最も前側の発進用開口部80付近に搬入する。次に、図11(b)に示すように、仮セグメント78を構築しこの仮セグメント78に反力をとって分岐シールド掘進機5をエントランスリング81に挿通状に装着する。
次に、止水シール機構36を作動させてエントランスリング81の内周面と分岐シールド掘進機5間をシールした後、カッターヘッド42とゲート7との間に高濃度泥水を注入する。その後、図11(c)に示すように、ゲート7を、推進型掘進機1の掘進方向と反対方向へ(立坑74側へ)スライドさせて最も前側の発進用開口部80を開放する。このゲート7をスライドさせるとき、最も後方のゲート分割体7bを1枚分立孔74側へスライドさせた段階で切断する。
前記の分岐シールド掘進機5を所定距離分岐発進させた後、反力受け部材79をエントランスリング81に溶接接合する。次に、図11(d)に示すように、一部の仮セグメント78を撤去し、テールプレート58を胴部材43の後端に溶接接合し、その後再び仮セグメント78を復旧してから、分岐シールド掘進機5により目標地点まで掘進を行う。
その後、2機目の分岐シールド掘進機5を2番目の発進用開口部80にセットし、1番目の分岐シールド掘進機5から解体した内部機器を2機目の分岐シールド掘進機5に装備してから、2機目の分岐シールド掘進機5による目標地点までの掘進を行う。以下、同様に、3番目、4番目の分岐シールド掘進機5による目標地点までの掘進を順次行う。
以上説明した分岐式推進型掘進機によれば、推進型掘進機1の胴部材12の側部の平板状胴部分に4つの矩形状の発進用開口部80が形成されるので、その開口部形状が簡単化するし、各発進用開口部80を囲繞するエントランスリング81の取付け部分も平坦な断面形状となる。更に、推進型掘進機1により矩形断面トンネルを掘削している際には、4つの発進用開口部80をゲート7で水密状に塞ぎ、分岐シールド掘進機5の分岐発進時にはこのゲート7をスライドさせて発進用開口部80を開放するようにしたから、従来のものと比べて分岐シールド掘進機5の為の分岐部の構造が簡単化し、製作費を低減することができる。
4つの分岐シールド掘進機5を、推進型掘進機1に形成された矩形状の4つの発進用開口部6から順次分岐発進させて、矩形大断面トンネルを掘削することができ、工期を大幅に短縮することができる。立坑の施工が困難な道路下や河川下に、電車の車庫、地下駐車場等を構築する為の幅広大断面トンネルを掘進する際、施工可能な立坑74から推進型掘進機1で所定距離掘進後、複数の分岐シールド掘進機5を左方または右方へ直角状に分岐発進させて大断面トンネルを掘削できる。
特に、分岐シールド掘進機5を発進用開口部80から順々に分岐発進させるから、分岐シールド掘進機5の機内の主要部材(複数のシールドジャッキ46、揺動ジャッキ62、軸受83、エレクタ47及び支柱71、スクリューコンベヤ72等)を転用することが可能となり、その分、製作費、工事費を低減することができる。
4つの胴分割体4を掘進方向に直列的に順次接続することで、4つの発進用開口部80が形成され、これと並行的に複数のゲート分割体7a,7bを接合することによりゲート7が構成される。各発進用開口部80を囲繞するエントランスリング81内周面と分岐シールド掘進機5間をシールする止水シール機構36を設けたので、各分岐シールド掘進機5の分岐発進時に推進型掘進機1内に水や土砂が流入するのを防止することができる。
ゲート7をスライドさせて各発進用開口部6を順に開放させ、分岐シールド掘進機5を分岐発進させることができるから、分岐発進の為の準備作業が軽減する。
前記実施例を部分的に変更する例について説明する。
1)前記実施例では、発進用開口部6から1機ずつ分岐シールド掘進機5を分岐発進させるが、2機以上の分岐シールド掘進機5を同時に分岐発進する構造にしてもよい。
2)前記の実施形態では、分岐シールド掘進機5を推進型掘進機1の掘進方向に対して直交方向へ分岐させる場合を例として説明したが、直交方向とは限らず、エントランスリング等に必要に応じて適宜変更を加えて、直交方向以外の種々の方向へ交差状に分岐させることも可能である。
3)前記実施例では4つの発進用開口部80を形成し、4機の分岐シールド掘進機5を分岐発進させる場合について説明したが、発進用開口部80の数は4つに限定されるものではない。その他、本願発明の趣旨を逸脱しない範囲において前記実施形態に種々の変更を付加した形態で実施可能である。
本発明の実施例に係る分岐式推進型掘進機の縦断面図である。 カッターヘッドの正面図である。 カッターヘッドの揺動駆動機構等の縦断面図である。 図1のIV−IV線端面図である。 止水シール機構の要部拡大断面図である。 分岐シールド掘進機の縦断面図である。 分岐シールド掘進機の機内の主要部材を撤去した状態の縦断面図である。 推進型掘進機を立坑から発進させる準備段階を説明する説明図である。 推進型掘進機を立坑から発進させた段階を説明する説明図である。 推進型掘進機を立坑から所定長さ掘進させた状態を説明する説明図である。 分岐シールド掘進機の分岐要領の説明図であり、(a)は分岐前の準備段階の説明図、(b)は分岐直前の準備段階の説明図、(c)はゲートを開放して分岐掘進した段階の説明図、(d)はテールプレートを取り付けた状態の準備段階の説明図である。
符号の説明
1 推進型掘進機
3 掘進機本体
4 胴分割体
5 分岐シールド掘進機
7 ゲート
12 胴部材
36 止水シール機構
80 発進用開口部
81 エントランスリング

Claims (2)

  1. 後方の推進手段により推進されつつトンネルを掘削可能な推進型掘進機と、この推進型掘進機からその掘進方向と交差する方向向きに分岐発進可能な複数の分岐シールド掘進機を備えた分岐式推進型掘進機であって、
    前記推進型掘進機の胴部材は矩形断面をなし、この胴部材の側部の平板状胴部分に分岐シールド掘進機を夫々分岐発進可能な複数の発進用開口部を隣接状に設け、
    前記胴部材の内側に各発進用開口部を囲繞するエントランスリングを設け、
    前記複数の発進用開口部を水密状に塞ぎ且つ分岐シールド掘進機の分岐発進時に推進型掘進機の掘進方向と反対方向へスライドさせて開放可能なゲートを設けた、
    ことを特徴とする分岐式推進型掘進機。
  2. 前記エントランスリングにエントランスリング内周面と分岐シールド掘進機間をシールする止水シール機構を設けたことを特徴とする請求項1に記載の分岐式推進型掘進機。
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CN108952733A (zh) * 2017-05-17 2018-12-07 沈阳市政集团有限公司 分体始发盾构技术在城市排水工程中应用施工方法

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