JP2005042157A - イオンプレーティング装置およびその方法 - Google Patents

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JP2005042157A JP2003202472A JP2003202472A JP2005042157A JP 2005042157 A JP2005042157 A JP 2005042157A JP 2003202472 A JP2003202472 A JP 2003202472A JP 2003202472 A JP2003202472 A JP 2003202472A JP 2005042157 A JP2005042157 A JP 2005042157A
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Akira Miyoshi
陽 三好
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Abstract

【課題】本発明は、イオンプレーティング装置およびその方法に関し、成膜材料を成膜過程において略均一に減少させ、かつ被処理物の成膜面積を拡大すると共に、均一な膜を成膜することを目的とする。
【解決手段】駆動機構38とクランク機構40とにより構成された揺動手段を設けて、揺動手段により補助陽極16bを揺動して、真空容器内に形成されるプラズマ形成領域を変化させ、被処理物に成膜を行う。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、イオンプレーティング装置およびその方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
イオンプレーティング装置では、例えばDC(直流)放電によりプラズマを発生させ、プラズマ源に応じて配設される電極にプラズマを入射させる。そして、電極を構成するハースに装填された成膜材料が蒸発し、プラズマ形成領域を通過することによってイオン化されて、飛翔し、ハースと対向する位置に設けた基板等の被成膜物に付着し、成膜される(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
このとき、被成膜物に均一の厚みをもつ膜を均質に成膜するためには、成膜材料の蒸発面から均一に成膜材料が蒸発し、蒸発物質が均一にイオン化され、飛翔軌跡も均一であることが望まれる。
【0004】
【特許文献1】
特開平8−100254号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、発生するプラズマは、通常、略円柱状のプラズマ(以下、円柱プラズマという。)であり、生成した円柱プラズマは例えば円柱状に形成した電極に入射される。このような円柱プラズマを用いた場合、プラズマ形成領域が、例えば最大で400〜600mm程度の径を有する円柱状のビームの範囲に限られるため、蒸発した成膜材料粒子がプラズマに曝されて活性化される領域が制限され、大面積の基板等の被処理物に対して均一に成膜することが難しい。すなわち、チャンバ(真空容器)内空間のプラズマ濃度に分布があり、プラズマ濃度の大きな領域と小さな領域を通過する成膜材料粒子はイオン化の挙動さらにはイオン化した粒子の飛翔軌跡等が異なるため、成膜材料粒子が被成膜物に付着して形成される膜が均質ではなく、被成膜物の面内ばらつきを生じるという問題がある。
【0006】
また、従来のイオンプレーティング装置では、成膜条件上、必要に応じてプラズマを生成する放電電流を下げると、成膜材料の蒸発挙動が変化してしまい、成膜操作に不具合を来たすおそれがある。また、プラズマ形成領域が狭いことによっても、同様の不具合を生じ得る。この不具合は、特に、プラズマ源としていわゆる圧力勾配型プラズマガンを用いたイオンプレーティング装置の場合顕著に生じうる。
【0007】
上記の不具合について、具体的に説明する。ハースに配置された成膜材料を蒸発させるとき、成膜材料の揮発性の違いや所望の成膜特性等に対応するために放電電流を下げていくと、成膜材料に入射されるプラズマ密度(電流密度)の分布の偏りが大きくなり、入射されるプラズマの電流密度の疎密が顕著となる。そして、プラズマの電流密度の高い成膜材料の蒸発面の部分、具体的には、プラズマガンに近い方の蒸発面の部分から先に蒸発が進行する。このため、蒸発面が均一に減少せずに、極端な場合には、成膜材料の片側だけが削れてしまう。そして、この状態を続けると、蒸発が進まずに残った蒸発面の部分が例えば角柱状の突出部に成長してしまう。このような角柱状の突出部が出現すると、入射されるプラズマを成膜材料に集中させるためにハースに磁界あるいは電界を形成する場合には、さらに、形成される磁界等の強さや分布までもが変化してしまう。
【0008】
上記説明したような成膜材料の蒸発面が片減りする現象を生じると、蒸発した成膜材料の粒子の飛行軌跡が変化し、被成膜物に粒子が付着して形成される膜の厚みが不均一となり、また、成膜された膜の品質も低下するおそれがある。また、実用的な成膜面積の大きさを縮小させることにも繋がる。また、プラズマ源を複数配列することも考えられるが、この場合、装置構成が複雑となり装置費用も増大するとともに、均一なプラズマ濃度分布を得ることは必ずしも容易ではないと考えられる。
【0009】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、成膜材料を成膜過程において略均一に減少させ、かつ被処理物の成膜面積を拡大すると共に、均一な膜を成膜することができるイオンプレーティング装置およびその方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明では、次に述べる各手段を講じたことを特徴とするものである。
【0011】
請求項1記載の発明では、真空容器と、該真空容器に接続されたプラズマを生成するプラズマ源と、該真空容器内に配設され、成膜材料が配設されると共に、前記プラズマが入射される電極部と、該電極部の外周に同心に配置される環状の磁場制御部材とを備え、該電極部と対向配置される被処理物に前記成膜材料を成膜するプラズマ処理装置において、前記電極部又は前記磁場制御部材の少なくとも一方を揺動可能とする揺動手段を備えたことを特徴とするイオンプレーティング装置により、解決できる。
【0012】
上記発明によれば、電極部又は磁場制御部材の少なくとも一方を揺動可能とする揺動手段を設けることにより、電極部を揺動させた場合には、蒸発する成膜材料の蒸発方向を変えて、蒸発する成膜材料がプラズマ形成領域を通過するようにすることができ、かつ均一に成膜材料を減少させることができる。また、磁場制御部材を揺動させた場合には、プラズマ形成領域を変化させて、均一なプラズマ形成領域を形成することができる。よって、蒸発する成膜材料が均一なプラズマ形成領域を通過することができ被処理物の成膜面積を拡大すると共に、均一な膜を成膜することができる。
【0013】
請求項2記載の発明では、前記磁場制御部材は、前記電極部と一体的に配設されており、前記揺動手段は、前記電極部と前記磁場制御部材との両方を揺動させるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のイオンプレーティング装置により、解決できる。
【0014】
上記発明によれば、1つの揺動手段により、磁場制御部材と電極部とを揺動させることができるので、磁場制御部材と電極部とのそれぞれに対して揺動手段を設ける場合と比較して装置の構成を簡略化することができる。
【0015】
請求項3記載の発明では、前記電極部は、前記プラズマガンのプラズマ出射中心軸方向と直交する方向に配設され、前記被処理物は前記電極部に対向する位置に配置されており、かつ前記プラズマが前記プラズマ出射中心軸方向から曲げられて前記電極部に入射して、前記被処理物に成膜されるように構成されたことを特徴とする請求項1または2に記載のプラズマ処理装置により、解決できる。
【0016】
上記発明によれば、上記構成のプラズマ処理装置に電極部又は磁場制御部材の少なくとも一方を揺動可能とする揺動手段を設けることができる。
【0017】
請求項4記載の発明では、真空容器内に配置される被処理物の表面に成膜するイオンプレーティング方法において、成膜材料が装填された電極部を揺動させて、前記電極部から蒸発する前記成膜材料がプラズマ形成領域を通過するように、前記蒸発する成膜材料の蒸発方向を変更しながら成膜することを特徴とするイオンプレーティング方法により、解決できる。
【0018】
上記発明によれば、成膜材料が装填された電極部を揺動させて、電極部から蒸発する成膜材料がプラズマ形成領域を通過するように、蒸発する成膜材料の蒸発方向を変更しながら成膜することで、電極部に装填された成膜材料を均一に減少させることができ、かつ被処理物に均一な膜を成膜することができる。
【0019】
請求項5記載の発明では、真空容器内に配置される被処理物の表面に成膜するイオンプレーティング方法において、電極部の外周に同心に配置される環状の磁場制御部材を揺動させて、前記真空容器内に形成されるプラズマ形成領域を変化させながら成膜することを特徴とするイオンプレーティング方法により、解決できる。
【0020】
上記発明によれば、環状の磁場制御部材を揺動させることにより、真空容器内に形成されるプラズマ形成領域を変化させることができる。これにより、均一なプラズマ形成領域を形成することができ、被処理物の成膜面積を拡大させることができ、かつ均一な膜を成膜することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明に係るイオンプレーティング装置およびその方法の好適な実施例について、図を参照して、以下に説明する。
【0022】
まず、本実施例に係るイオンプレーティング装置の概略構成について図1を参照して説明する。図1は、本発明の本実施例に係るイオンプレーティング装置の概略構成を示す図である。イオンプレーティング装置10は、大略すると成膜室である真空容器12と、真空容器12中にプラズマビーム(プラズマ)PBを供給するプラズマ源であるプラズマガン14と、真空容器12内の底部に配置されてプラズマビームPBが入射する陽極部材16と、成膜の対象である基板(被処理物)Wを保持する基板保持部材WHを陽極部材16の上方で適宜移動させる搬送機構18とを備える。真空容器12は、アースされている。なお、参照符号20b、20cは酸素等の雰囲気ガスを供給するための供給路を示し、また、参照符号20dはAr等の不活性ガスを後述するハース16aに供給するための供給路を示し、また、参照符号20eは排気系を示す。
【0023】
プラズマガン14は、圧力勾配型であり、その本体部分は真空容器12の側壁に備えられる。プラズマビームPBは、プラズマガン14の陰極14a、中間電極14b、14cおよび電磁石コイル14dによって強度や分布状態が制御され、収束される。収束したプラズマビームPBは、ステアリングコイル15によって出射方向が制御され、真空容器12中に導入される。ステアリングコイル15については、詳細を後述する。なお、参照符号20aは、プラズマビームPBのもととなる、Ar等の不活性ガスからなるキャリアガスの導入路を示す。
【0024】
陽極部材16は、プラズマビームPBを下方に導く電極部であるハース16aと、その周囲に配置された環状の磁場制御部材である補助陽極16bとからなる。
【0025】
ハース16aは、正電位を持ち、プラズマガン14から出射したプラズマビームPBを下方に吸引する。ハース16aは、プラズマビームPBが入射する中央部に貫通孔THが形成されており、貫通孔THに成膜材料22が装填される。成膜材料22は、柱状若しくは棒状に成形されたタブレットであり、プラズマビームPBからの電流によって加熱されて昇華し、蒸発物質が生成される。ハース16aは成膜材料22を徐々に上昇させる構造を有しており、成膜材料22の上端は常に一定量だけハース16aの貫通孔THから突出している。
【0026】
補助陽極16bは、ハース16aの周囲に同心に配置された環状の容器で構成され、容器内には、永久磁石24aとコイル24bとが収容されている。これにより、ハース16aに入射するプラズマビームPBの向きが制御され、ハース16aに収束される。補助陽極16bは、図1では図示しない揺動手段によって揺動可能に構成されているが、これについては、さらに後述する。
【0027】
搬送機構18は、搬送路18a内に水平方向に等間隔で配列されて基板保持部材WHを支持する多数のコロ18bと、コロ18bを回転させて基板保持部材WHを所定の速度で水平方向に移動させる図示しない駆動装置とを備える。基板保持部材WHに基板Wが保持される。この場合、基板Wを搬送する搬送機構18を設けることなく、真空容器12の内部の上方に基板Wを真空チャックで固定して配置してもよい。
【0028】
ここで、補助陽極16bおよび補助陽極16bを揺動させる揺動手段についてさらに、図2および図3を参照して説明する。図2は、図1と同じ方向から陽極部材16を見た図であり、図1では省略した揺動手段を表示している。図3は、図1中、矢印S3方向から陽極部材16を見た図である。
【0029】
揺動手段は、大略すると駆動機構38とクランク機構40とにより構成されており、補助陽極16bが固設された支持台34を駆動機構38のシリンダ38aにクランク機構40によって係合した構造を有する。そしてシリンダ38aの往復動によって支持台34を垂直方向(図2中X1−X2方向)に揺動、回動させることで、補助陽極16bが対向する二側に設けられた水平支持軸42a、42を中心に補助陽極16bを上下方向に揺動、回動させることができる。
【0030】
上記補助陽極16bが揺動又は回動することにより、真空容器12内に形成されたプラズマ形成領域を変化させることができる。これにより、プラズマ形成領域のプラズマ密度を均一にすることができ、プラズマ形成領域を拡張することが可能となる。これにより、被処理物の成膜面積を拡大させ、かつ蒸発した成膜材料22を均一にイオン化することができ、基板Wに成膜材料22を広範囲に、均一な厚み、かつ均質に成膜することができる。
【0031】
本実施例においては、補助陽極16bのみを揺動又は回動したが、補助陽極16bとハース16aとを一体的に配設して、揺動手段により補助陽極16bとハース16aとを揺動又は回動しても良い。このように、ハース16aを揺動又は回動することにより、ハース16aに入射するプラズマビームPBの入射方向が変化するため、成膜材料22の蒸発面の偏りが軽減され、蒸発面の全面から成膜材料22が均一に蒸発させることができる。よって、揺動手段により補助陽極16bとハース16aとを揺動又は回動させることにより、助陽極16bのみを揺動又は回動させた場合よりも、蒸発する成膜材料22をさらに均一にイオン化することができ、基板Wに成膜材料22を広範囲に、均一な厚み、かつ均質に成膜することができる。さらにまた、例えば補助陽極16bを有しないイオンプレーティング装置を用いる場合において、ハース16aを揺動させる構成としてもよい。
【0032】
なお、補助陽極16bあるいはハース16aを揺動、回動させるときの補助陽極16bあるいはハース16aの変位角度や周期は、特に限定するものではないが、例えば、成膜材料22の蒸発面から基板Wまでの距離が500mm程度の装置において、変位角度を20°程度、周期の逆数である変位の繰り返し回数を30回/min程度とすることにより、成膜材料22の蒸発面から均一に蒸発物質を蒸発させ、蒸発物質を均一にイオン化するとともに均一な飛翔軌跡および飛翔エネルギを与えて基板Wに均一に蒸発物質を付着させることができる。また、これにより、幅600mm程度の基板Wに対して均一な膜質の成膜を行うことができる。
【0033】
次に、ステアリングコイル15の詳細およびステアリングコイル15によって制御されるプラズマの出射方向を変更する手段、すなわち、出射方向制御部について説明する。プラズマの出射方向を変更する手段は、機械的な方式や電気的な方式等の適宜の方式を用いることができる。例えば、プラズマの出射方向を変更する手段として機械的な方式を用いる場合について、図4〜図7を参照して説明する。
【0034】
図4は図1のステアリングコイル15に対応するステアリングコイル15aの平面図(図1中、S1方向から見た図。)であり、図5はステアリングコイル15aの正面図(図1中、S2方向から見た図。)であり、図6はステアリングコイル15aの側面図(図1中、紙面を貫通する方向から見た図。)である。なお、図4および図5では、プラズマガン14の図示は省いている。
【0035】
通常の装置では、ステアリングコイル15aに相当する制御部材として、電磁コイル、あるいは永久磁石がプラズマビームPBの外周に環状に固設される。そして、制御部材によって制御されたプラズマビームPBは、真空容器12内に導入されて、放出方向の延長線上に照射される。真空容器12内に照射されたプラズマビームPBは、前記のように陽極部材16の作用によって、進路をハース16aの方向に曲げられ、ハース16aに向けて収束される。
【0036】
このとき、図4に示すように、ハース16aを上から見た状態、言いかえれば、陽極部材16と基板Wとを結ぶ直線(この場合、鉛直線)に対して直交する平面(図1中、紙面を貫通する方向の平面)で見たとき、例えば制御部材の中心からの水平距離Lが500mmの箇所に位置するハース16aに入射されるプラズマビームPBはハース16aの中心(図1、図5中、矢印Cで示す。)から一定の幅(図1中、紙面貫通方向。図5中、左右方向)に放射、拡散された後、ハース16aに収束される。このプラズマビームPBが平面(この場合、水平面)上に広がる幅は例えばW1=400mm〜W2=600mm程度である。
【0037】
ハース16aの中心CからW1=400mmの幅内ではプラズマビームPBは均一、すなわち、ほぼ一定のプラズマ密度となるが、これに対して、その周辺にあたる両端それぞれ100mm程度の幅のプラズマビームPBは不均一となり、プラズマ密度が低くなり、あるいはプラズマ密度が変化し易い領域となっている。このため、ハース16aに配置された成膜材料22から蒸発する成膜材料粒子は、ハース16aの直上付近を上昇するときは、プラズマビームPBによって良好に活性化されて、イオン化し、基板Wに向けて飛翔するが、これに対して、ハース16aの周辺を上昇するときは、プラズマビームPBの周辺部分によっては活性化が十分に行われず、イオン化状態や、基板Wに向けた飛翔状態が不安定となる。したがって、基板Wにおける実用的な成膜範囲は、W1=400mmの幅に対応する幅に制限されることになる。
【0038】
これに対して、本実施例では、通常のものと同様の環状のコアに一定方向に巻き線した電磁コイルをステアリングコイル15aとして用い、このステアリングコイル15aの垂直支持軸25を駆動機構26のシリンダ26aにクランク機構28によって係合した構造を有する。そしてシリンダ26aの往復動によって垂直支持軸25を水平方向(図5中X1−X2方向)に回動させることで、ステアリングコイル15aを所定の周期で幅方向(図5中、左右方向)に変位させる構造を有する。
【0039】
このときのステアリングコイル15aの水平面上での振り角θ1、言いかえれば、プラズマビームPBの出射方向を変更する所定の角度は、特に限定するものではなく、成膜方式、装置の構造、装置の大きさ、あるいは、求められる成膜品質の程度等に応じて適宜の角度に設定することができるが、例えば、ハース16aの中心Cに向けた方向を挟んで、±10°程度とする。また、ステアリングコイル15aを上記の振り角θ1に振る単位次間当たりの繰り返し回数(単位:回/min、周期の逆数)についても、所定の角度と同様に、特に限定するものではないが、例えば、30回/min程度とする。
【0040】
これにより、プラズマビームPBのプラズマ密度が均一な幅を、例えば、W1=400mmから、W1の両側にそれぞれ例えば50mm程度拡張することができ、これに応じて基板Wの実用的な成膜範囲を、基板Wの搬送方向に直交する幅方向に拡張することができる。このとき、上記のステアリングコイル15aの出射方向の変更では、カバーできない範囲、すなわち、上記幅方向に直交する方向、言いかえれば、基板Wの搬送方向のプラズマビームPBの不均一を軽減することはできないが、基板Wをこの方向に搬送しながら成膜するため、成膜品質の均一化を図ることができる。
【0041】
次に、プラズマの出射方向を変更する手段として電気的な方式を用いる場合について、図7および図8を参照して説明する。ステアリングコイル15bは、プラズマの外周を囲う環状の巻き線である2つコイル部32a、32bが設けられている。このコイル部32a、32bは、巻き線方向を、例えば30°違えた構成とされている。電気的な方式を用いたプラズマ領域拡張手段には、図示していない制御手段が設けられており、この制御手段により2つコイル部32a、32bに対して交互に通電することで、プラズマビームPBが通過する空間(図7及び図8中、S)に生成する磁場の向きを変えることができ、その結果、プラズマビームPBのプラズマ出射方向を変更することができる。これにより、上記機械的な方式を用いた場合と同様の作用効果を得ることができる。
【0042】
このとき、ステアリングコイル15bの振り角や振り角θ1に振る単位次間当たりの繰り返し回数は、上記機械的な方式を用いた場合と同様に特に限定うるものではないが、例えば、振り角を±10°および繰り返し回数を10〜50回/sec程度とする。なお、上記の電気的な方式と機械的な方式とを併用してもよく、このとき、例えば、振り角を±20°および繰り返し回数を10〜50回/sec程度とすることで、プラズマ形成領域をさらに広げることができる。
【0043】
以上のように構成したイオンプレーティング装置を用いた本実施の形態例に係るイオンプレーティング方法について説明する。まず、真空容器(成膜室)12の下部に配置されたハース16aの貫通孔THに成膜材料22を装着する。一方、ハース16aの上方の対向する位置に、例えばガラス製の基板Wを配置する。
【0044】
そして、アース電位にある真空容器12を挟んで、負電圧をプラズマガン14の陰極14aに、正電圧をハース16aに印加して放電を生じさせ、これにより、プラズマビームPBを生成する。放電が安定した状態でのハース16aの電圧は、真空容器12(真空容器12の壁)を基準として例えば+30〜+60Vの範囲内とする。このハース16aの電圧は、磁場、真空容器12の圧力、放電電流等の条件を変更することで調整することができる。
【0045】
プラズマビームPBは、ステアリングコイル15(15a、15b)と補助陽極16b内の永久磁石24a等とによって決定される磁界に案内されてハース16aに到達する。この際、成膜材料22の周囲にアルゴンガスが供給されるので、容易にプラズマビームPBがハース16aに引き寄せられる。
【0046】
このとき、前記のようにステアリングコイル15(15a、15b)の向きを変位させてプラズマビームPBの出射方向を変えることにより、ハース16aの上方のプラズマビームPBが形成されたプラズマ形成領域(プラズマ雰囲気の範囲)が拡張される。プラズマビームPBに曝された成膜材料22は、徐々に加熱される。成膜材料22が十分に加熱されると、成膜材料22が昇華し、蒸発物質が蒸発(出射)する。蒸発物質は、ハース16a直上の高密度のプラズマビームPB中でイオン化される。このとき、補助陽極16bの揺動手段を動作させることで、成膜材料22の蒸発面の不均一が是正され、蒸発面全体から蒸発物質が均一に蒸発する。
【0047】
プラズマビームPB内におけるハース16a直上での電位はハース16aの電位と略同程度であるため、正にイオン化された蒸発物質(成膜材料の元素)は、ハース16aの電位と略等しい電位、すなわち、ポテンシャルエネルギを持つ。さらに、本実施例では、プラズマビームPBの幅がハース16a直上を中心として広がっているため、蒸発物質がハース16aの電位と略等しい電位、すなわち、ポテンシャルエネルギを持つ領域もハース16a直上を中心として拡張する。これにより、基板W上の広い範囲にわたって均一なポテンシャルエネルギを持つ蒸発物質が堆積し、均質な薄膜が形成される。
【0048】
なお、本実施例に係るイオンプレーティグ装置において、プラズマガンおよびハースを2組備えると、例えば幅が1000mm程度の基板Wに対して均一な膜質の成膜を行うことができる。
【0049】
以上、本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0050】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、電極部又は磁場制御部材の少なくとも一方を揺動可能とする揺動手段を設けることにより、電極部を揺動させた場合には、蒸発する成膜材料の蒸発方向を変えて、蒸発する成膜材料がプラズマ形成領域を通過するようにすることができ、かつ均一に成膜材料を減少させることができる。また、磁場制御部材を揺動させた場合には、プラズマ形成領域を変化させて、均一なプラズマ形成領域を形成することができる。よって、蒸発する成膜材料が均一なプラズマ形成領域を通過することができ被処理物の成膜面積を拡大すると共に、均一な膜を成膜することができる。
【0051】
請求項2記載の発明によれば、1つの揺動手段により、磁場制御部材と電極部とを揺動させることができるので、磁場制御部材と電極部とのそれぞれに対して揺動手段を設ける場合と比較して装置の構成を簡略化することができる。
【0052】
請求項3記載の発明によれば、上記構成のプラズマ処理装置に電極部又は磁場制御部材の少なくとも一方を揺動可能とする揺動手段を設けることができる。
【0053】
請求項4記載の発明によれば、成膜材料が装填された電極部を揺動させて、電極部から蒸発する成膜材料がプラズマ形成領域を通過するように、蒸発する成膜材料の蒸発方向を変更しながら成膜することで、電極部に装填された成膜材料を均一に減少させることができ、かつ被処理物に均一な膜を成膜することができる。
【0054】
請求項5記載の発明によれば、環状の磁場制御部材を揺動させることにより、真空容器内に形成されるプラズマ形成領域を変化させることができる。これにより、均一なプラズマ形成領域を形成することができ、被処理物の成膜面積を拡大させることができ、かつ均一な膜を成膜することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の本実施例に係るイオンプレーティング装置の概略構成を示す図である。
【図2】図1中、揺動手段を備えた陽極部材部分を取り出して示した図である。
【図3】揺動手段を備えた陽極部材部分を図2と直交する方向から見た図である。
【図4】図1中、機械的な出射方向制御手段を備えたステアリングコイル部分を取り出して示した平面図である。
【図5】図1中、機械的な出射方向制御手段を備えたステアリングコイル部分を取り出して示した正面図である。
【図6】図1中、機械的な出射方向制御手段を備えたステアリングコイル部分を取り出して示した側面図である。
【図7】図1中、電気的な出射方向制御手段を備えたステアリングコイル部分を取り出して示した平面図である。
【図8】図1中、電気的な出射方向制御手段を備えたステアリングコイル部分を取り出して示した正面図である。
【符号の説明】
10 イオンプレーティング装置
12 真空容器
14 プラズマガン
15、15a、15b ステアリングコイル
16 陽極部材
16a ハース
16b 補助陽極
18 搬送機構
22 成膜材料
24a 永久磁石
24b コイル
25 垂直支持軸
26、38 駆動機構
26a、38a シリンダ
28、40 クランク機構
29a、29b 水平支持軸
32a、32b コイル部

Claims (5)

  1. 真空容器と、
    該真空容器に接続されたプラズマを生成するプラズマ源と、
    該真空容器内に配設され、成膜材料が配設されると共に、前記プラズマが入射される電極部と、
    該電極部の外周に同心に配置される環状の磁場制御部材とを備え、
    該電極部と対向配置される被処理物に前記成膜材料を成膜するプラズマ処理装置において、
    前記電極部又は前記磁場制御部材の少なくとも一方を揺動可能とする揺動手段を備えたことを特徴とするイオンプレーティング装置。
  2. 前記磁場制御部材は、前記電極部と一体的に配設されており、
    前記揺動手段は、前記電極部と前記磁場制御部材との両方を揺動させるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のイオンプレーティング装置。
  3. 前記電極部は、前記プラズマガンのプラズマ出射中心軸方向と直交する方向に配設され、
    前記被処理物は前記電極部に対向する位置に配置されており、
    かつ前記プラズマが前記プラズマ出射中心軸方向から曲げられて前記電極部に入射して、前記被処理物に成膜されるように構成されたことを特徴とする請求項1または2に記載のプラズマ処理装置。
  4. 真空容器内に配置される被処理物の表面に成膜するイオンプレーティング方法において、
    成膜材料が装填された電極部を揺動させて、前記電極部から蒸発する前記成膜材料がプラズマ形成領域を通過するように、前記蒸発する成膜材料の蒸発方向を変更しながら成膜することを特徴とするイオンプレーティング方法。
  5. 真空容器内に配置される被処理物の表面に成膜するイオンプレーティング方法において、
    電極部の外周に同心に配置される環状の磁場制御部材を揺動させて、
    前記真空容器内に形成されるプラズマ形成領域を変化させながら成膜することを特徴とするイオンプレーティング方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014227597A (ja) * 2013-05-27 2014-12-08 住友重機械工業株式会社 成膜装置
CN110218985A (zh) * 2019-07-19 2019-09-10 贵州商学院 一种曲柄摇杆式磁控溅射设备阴极挡板

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