JP2005041917A - プラスチックフィルムおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】フィルム厚みが厚くても透明性及び表面性に優れ、かつ、高い耐熱性を持つプラスチックフィルムを提供する。
【解決手段】波長550nmの光に対する光線透過率が80%以上であり、少なくとも片面の測定面積0.002mm2での3次元表面粗さSRaIが0.1nm以上50nm未満であり、SRaIと測定面積1.0mm2での3次元表面粗さSRaIIが下記式を満足し、かつTgが120℃以上であるプラスチックフィルムとする。
0.8≦SRaII/SRaI ≦2.5
【選択図】 なし
【解決手段】波長550nmの光に対する光線透過率が80%以上であり、少なくとも片面の測定面積0.002mm2での3次元表面粗さSRaIが0.1nm以上50nm未満であり、SRaIと測定面積1.0mm2での3次元表面粗さSRaIIが下記式を満足し、かつTgが120℃以上であるプラスチックフィルムとする。
0.8≦SRaII/SRaI ≦2.5
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は透明性と耐熱性を持つガラス代替用プラスチック基材とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、液晶表示素子や光エレクトロニクス素子、太陽電池用部材などの光学部材には、無機ガラスが多用されてきたが、近年、小型・軽量化の要求に伴い、ガラス部材に代えて軽く加工性に優れた透明プラスチック基材を使用することが多くなってきている。しかしながら、ガラス代替として透明プラスチック基材を用いる場合、その耐熱性の低さが問題となっており、例えば、蒸着工程など高温を経る製造プロセスにおいて使用できないなどの問題があった。さらに、透明プラスチック基材を溶液製膜法にて製膜する場合、発泡、表面性の低下、残存溶媒などの問題のため、膜厚の厚いフィルムを製造することが困難であった。高い耐熱性と機械強度を持ち、さらに優れた表面性を有するフィルムとしては、例えば、芳香族ポリアミドフィルムについての例が特許文献1に記載されているが、パラ配向性芳香族ポリアミドフィルムは、黄色に着色しており、無色透明を必要とする光学用途への展開は困難であった。また、膜厚の薄いフィルムはたわみ易く、従来のガラス基板を使用した液晶ディスプレーなどのプロセスでは製造できない場合があった。
【0003】
一方、高耐熱性を有するプラスチックとして、芳香族ポリアミドが挙げられる。特に、芳香族ポリアミドフィルムは高い耐熱性を有し、さらに、引張強度や表面硬度などの機械的物性にも優れることから、ガラス代替プラスチックとしては有望視されているが、透明度が劣るなどの問題がありガラス代替としての各種表示素子等に使用するには問題があった。
【0004】
【特許文献1】特開平9−76359号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した従来技術における問題点の解決を課題として検討した結果達成されたものである。すなわち、本発明の目的は、高い耐熱性を持ち、かつフィルム厚みが厚くても透明性及び表面性に優れるプラスチックフィルムを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するための本発明は、波長550nmの光に対する光線透過率が80%以上であり、少なくとも片面の測定面積0.002mm2における3次元表面粗さSRaIが0.1nm以上50nm未満であり、SRaIと測定面積1.0mm2における3次元表面粗さSRaIIとが下記式を満足し、かつガラス転移温度が120℃以上であるプラスチックフィルムを特徴とする。
【0007】
0.8≦SRaII/SRaI ≦2.5
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明のプラスチックフィルムは、波長550nmの光に対する光線透過率が80%以上である。光線透過率が80%未満であると、液晶表示素子用基板や光ディスク基板などの光学部材として利用できない場合がある。透明性がより向上することから光線透過率はより好ましくは85%以上であり、さらに好ましくは90%以上である。
【0009】
本発明のプラスチックフィルムは、少なくとも片面の測定面積0.002mm2での3次元表面粗さSRaIが0.1nm以上50nm未満である。SRaIが50nm以上であると、フィルム表面で光が拡散し、透明性が低下する場合がある。SRaIはより好ましくは10nm未満、更に好ましくは5nm未満、最も好ましくは1nm未満である。フィルム表面はできるだけ平滑な方が好ましいが、SRaIの下限は実質的には0.1nm程度である。
【0010】
本発明のプラスチックフィルムは、少なくとも片面の測定面積0.002mm2での3次元表面粗さSRaIと測定面積1.0mm2での3次元表面粗さSRaIIが下記式を満足している。
【0011】
0.8≦SRaII/SRaI ≦2.5
SRaII/SRaI >2.5であれば、フィルム表面は溶媒の乾燥に伴ううねりを生じている状態にある。このように表面性が悪化したフィルムは、光線透過率が80%以上であっても、光学部材として用いたとき、視認性が低下したり、品位が低下する場合がある。SRaII/SRaIの値の下限は実質的には0.8以上である。
【0012】
本発明のプラスチックフィルムの厚みは50μm以上200μm未満であることが好ましい。厚みが50μm未満では、フィルムがたわみ易く、従来のガラス製基板を使用した液晶ディスプレーなどの製造プロセスで使用できない場合がある。また、厚みが200μm以上では、フィルムの透明性が低下する場合がある。
【0013】
本発明のプラスチックフィルムは、ガラス転移温度(Tg)が120℃以上であることが好ましい。より好ましくは140℃以上、さらに好ましくは180℃以上である。120℃以下の場合、プロジェクターの様な高温になる機器や、自動車の車内で使用する表示機器のような、高温の環境下で使用できない場合がある。また、本発明のフィルム表面に、例えば蒸着処理やスパッタ処置を行う場合などにプロセスの制約から基板温度を高温条件下で使用する必要がある場合がある。この場合、Tgは250℃以上であることが好ましい。より好ましくは300℃以上、さらに好ましくは350℃以上、最も好ましくは400℃以上である。Tgは高い方が好ましいが、現実的には上限は600℃程度である。
【0014】
本発明のプラスチックフィルムは、以上のような物性を満足していればポリカーボネート、ポリブチレンテレフタラート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルアミド、ポリスルホン、ポリオレフィン、セルローストリアセテート、ポリフェニレンオキサイド、ポリビニルアルコール、セルロース系重合体、ポリスチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ポリアミド等のフィルムを用いることができるが、特に、以下に示す構造単位を持つ芳香族ポリアミドフィルムを用いると、フィルム厚みが厚くても透明性及び表面性に優れ、かつ高い耐熱性を持つフィルムとすることができるためガラス代替のプラスチックフィルムとして好適である。即ち、化学式(I)、(II)、(III)または(IV)で示される構造単位を含み(これらの全ての構造単位を含むこともあり、またその一部のみを含むこともある)、かつ、化学式(I)、(II)(III)および(IV)で示される構造単位のモル分率をそれぞれl、m、n、oとしたとき、次式(1)〜(3)を満足していることが好ましい。
【0015】
50<l+m+n≦100 ・・・ (1)
0≦l、m、n、o≦100・・・ (2)
0≦o≦50 ・・・ (3)
【0016】
【化9】
【0017】
R1:少なくとも一つの5員環、6員環または7員環を有する基
R2:任意の芳香族基
X:水素、ハロゲンまたは炭素数1〜3の炭化水素基
【0018】
【化10】
【0019】
R3:−CF3、−CCl3、−CBr3、−OH、−F、−Cl、−OCH3(ただし、分子内においてこれらの基を有する構造単位が混在していてもよい。)
R4:任意の芳香族基
【0020】
【化11】
【0021】
R5:−SO2−、−O−、−CH2−、−C(CF3)2−から選ばれる基、または−SO2−、−O−、−CH2−、−C(CF3)2−から選ばれる基を1つ以上含む芳香族基。
【0022】
R6:任意の芳香族基
X:水素、ハロゲンまたは炭素数1〜3の炭化水素基
【0023】
【化12】
【0024】
R7:任意の芳香族基
R8:任意の芳香族基
X:水素、ハロゲンまたは炭素数1〜3の炭化水素基
化学式(I)、(II)、(III)および(IV)はそれぞれ存在しても、または存在しなくても構わないが、化学式(I)、(II)および(III)で示される構造単位のモル分率をそれぞれl、m、nとした時、l+m+nが50を超えることが好ましい様態である。さらに好ましくはl+m+nは80以上であり、最も好ましくはl+m+nは100である。l+m+nが50以下の場合にはこれらの効果よりも着色に寄与する構造単位の寄与が大きくなり無色透明フィルムは得られない(光線透過率に劣る)ことがある。
【0025】
アラミドの着色は分子内および分子間の電荷移動錯体によると考えられているが、化学式(I)、(II)および(III)はいずれもアラミド分子内および分子間の電荷移動錯体の形成を阻害し、アラミドフィルムを無色透明化する(光線透過率を向上させる)と考えられる。
【0026】
化学式(I)においてR1は少なくとも一つの5員環、6員環または7員環を有する基などが好適に用いられるが、化学式(XI)で示される環状基であることがさらに好ましい。最も好ましくはフルオレン基である。
【0027】
【化13】
【0028】
化学式(II)においてR3は、−CF3、−CCl3、−CBr3、−OH、−F、−Cl、−OCH3(ただし、分子内においてこれらの基を有する構造単位が混在していてもよい。)などが好適に用いられる。最も好ましくは−CF3である。
【0029】
化学式(III)においてR5は、−SO2−、−O−、−CH2−、−C(CF3)2−から選ばれる基、または−SO2−、−O−、−CH2−、−C(CF3)2−から選ばれる基を1つ以上含む芳香族基などが好適に用いられるが、最も好ましくは−SO2−である。
【0030】
また、本発明のプラスチック基板は、化学式(V)、(VI)、(VII)または(VIII)で示される構造単位を含み、かつ、化学式(V)、(VI)、(VII)および(VIII)で示される構造単位のモル分率をそれぞれp、q、r、sとしたとき、次式(4)〜(6)を満足していることが好ましい。
【0031】
50<p+q+r≦100 ・・・ (4)
0≦p、q、r、s≦100 ・・・ (5)
0≦s≦50 ・・・ (6)
【0032】
【化14】
【0033】
X:水素、ハロゲンまたは炭素数1〜3の炭化水素基
【0034】
【化15】
【0035】
【化16】
【0036】
【化17】
【0037】
R9:任意の芳香族基
R10:任意の芳香族基
また、上記のような芳香族ポリアミドを用いる場合は、固有粘度(ポリマー0.5gを硫酸中で10mlの溶液として30℃で測定した値)が1dl/g以上であることが好ましい。固有粘度が1dl/g未満であると、乾燥工程で溶媒の蒸発に伴いフィルム表面が粗れることがある。表面性のよいフィルムを得るためには、固有粘度は高い方が好ましいが、10dl/g以上であるとポリマーの溶媒に対する溶解性が低下し、製膜が困難となることがある。固有粘度はより好ましくは1.5dl/g以上7dl/g未満である。
【0038】
本発明の芳香族ポリアミドフィルムは、JIS−C2318に準拠した測定において、少なくとも一方向のヤング率が4GPa以上20GPa未満であることが好ましい。より好ましくは、8GPa以上20GPa未満である。全ての方向のヤング率が4GPa未満であると、加工時に加えられた張力により、フィルムが変形することがある。ヤング率が20GPaを超えると、フィルムの靱性が低下し、製膜、加工が困難になることがある。
【0039】
本発明の芳香族ポリアミドフィルムは、JIS−C2318に準拠した測定において、少なくとも一方向の破断伸度が、7%以上250%未満であると成形、加工時の破断が少なくなるため好ましい。より好ましくは10%以上250%未満である。破断伸度の上限は特に限定されるものではないが、現実的には、250%程度である。
【0040】
次に、以下に本発明のプラスチックフィルムの製造方法について、芳香族ポリアミドを例にとって説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0041】
芳香族ポリアミド溶液、すなわち製膜原液を得る方法は種々の方法が利用可能であり、例えば、低温溶液重合法、界面重合法、溶融重合法、固相重合法などを用いることができる。低温溶液重合法によりカルボン酸ジクロライドとジアミンから得る場合には、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等の非プロトン性有機極性溶媒中で合成される。この時、低分子量物の生成を抑制し、固有粘度の高いポリマーを得るためには、反応を阻害するような水、その他の物質の混入は避けるべきであり、効率的な攪拌手段をとることが好ましい。また、ポリマーの溶解を促進する目的で溶媒には50重量%以下のアルカリ金属、またはアルカリ土類金属の塩を添加してもよい。
【0042】
カルボン酸ジクロライドとしてはテレフタル酸ジクロライド、2クロロ−テレフタル酸ジクロライド、イソフタル酸ジクロライド、ナフタレンジカルボニルクロライド、ビフェニルジカルボニルクロライド、ターフェニルジカルボニルクロライドなどが挙げられるが、最も好ましくはテレフタル酸ジクロライドが用いられる。
【0043】
芳香族ポリアミド溶液は、単量体として酸ジクロライドとジアミンを使用すると塩化水素が副生するが、これを中和する場合には水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸リチウムなどの無機の中和剤、またエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、アンモニア、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミンなどの有機の中和剤が使用される。また、イソシアネートとカルボン酸との反応は、非プロトン性有機極性溶媒中、触媒の存在下で行なわれる。
【0044】
2種類以上のジアミンを用いて重合を行う場合、ジアミンは1種類ずつ添加し、該ジアミンに対し10〜99モル%の酸ジクロライドを添加して反応させ、この後に他のジアミンを添加して、さらに酸ジクロライドを添加して反応させる段階的な反応方法、およびすべてのジアミンを混合して添加し、この後に酸ジクロライドを添加して反応させる方法などが利用可能である。また、2種類以上の酸ジクロライドを利用する場合も同様に段階的な方法、同時に添加する方法などが利用できる。いずれの場合においても全ジアミンと全酸ジクロライドのモル比は98〜102モル%対102〜98モル%が好ましく、この値を外れた場合、得られるポリマーの固有粘度が低くなり、厚み50μm以上のフィルムを製膜するとフィルム表面が粗れることがある。
【0045】
芳香族ポリアミドには、表面形成、加工性改善などを目的として10重量%以下の無機質または有機質の添加物を含有させてもよい。添加量が10重量%を超えるとフィルムの透明性が低下する場合がある。添加物は無色であっても有色であっても構わないが、本発明のプラスチックフィルムの特徴を損ねないためには無色透明であることが好ましい。表面形成を目的とした添加剤としては例えば、無機粒子ではSiO2、TiO2、Al2O3、CaSO4、BaSO4、CaCO3、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、フラーレン、ゼオライト、その他の金属微粉末等が挙げられる。また、好ましい有機粒子としては、例えば、架橋ポリビニルベンゼン、架橋アクリル、架橋ポリスチレン、ポリエステル粒子、ポリイミド粒子、ポリアミド粒子、フッ素樹脂粒子等の有機高分子からなる粒子、あるいは、表面に上記有機高分子で被覆等の処理を施した無機粒子が挙げられる。 この時の平均粒子径は380nm未満であることが好ましい。粒径が380nm以上であると、フィルムの表面平滑性が損なわれ透明性が低下する場合がある。ただし、粒子が凝集した状態でフィルム中に存在する場合は凝集粒子の径が380nm未満であることが好ましい。
【0046】
次にフィルム化について説明する。上記のように調製された製膜原液は、いわゆる溶液製膜法によりフィルム化が行なわれる。溶液製膜法には乾湿式法、乾式法、湿式法などがありいずれの方法で製膜されても差し支えないが、ここでは乾湿式法を例にとって説明する。
【0047】
製膜原液としては、中和後のポリマー溶液をそのまま用いてもよいし、一旦、ポリマーを単離後、溶媒に再溶解したものを用いてもよい。溶媒としては、取り扱いやすいことからN−メチル−2−ピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等の有機極性溶媒が好ましいが、濃硫酸、濃硝酸、ポリリン酸等の強酸性溶媒を用いてもかまわない。製膜原液中のポリマー濃度は2〜50重量%程度が好ましい。
【0048】
乾湿式法で製膜する場合は該原液を口金からドラム、エンドレスベルト等の支持体上に押し出して膜を形成し、次いでかかる膜層から溶媒を飛散させ膜が自己保持性をもつまで乾燥し、支持体から剥離可能な重合体シートを得る。ここで重合体シートとは、ポリマー以外に溶媒、溶解助剤等を含む自己支持性を持つフィルムまたはシートのことをいう。この時の乾燥温度は、まず50℃以上100℃未満で1次乾燥を行い、続いて100℃以上200℃未満で2次乾燥を行うと、表面性がよくさらに光線透過率が高いフィルムを得られるため好ましい。
【0049】
表面性のよいフィルムを得るためには、できるだけ低い乾燥温度で溶媒を除去することが好ましい。1次乾燥の温度100℃以上では溶媒の飛散速度が速く、フィルム表面が粗れ、SRaII/SRaIの値が2.5を超えることがある。特に製膜するフィルム厚みが厚い場合や、ポリマーの固有粘度や溶液粘度が低い場合は1次乾燥の温度を低く設定し、ゆっくりと溶媒を除去することが好ましい。2次乾燥の温度が200℃以上では、フィルムが着色したり、溶媒の蒸発に伴いフィルム表面が粗れる場合がある。
【0050】
表面性のよいフィルムを得るためには、乾燥温度を低くすることが好ましいが、一方、1次乾燥の温度が50℃未満または2次乾燥の温度が100℃未満では、乾燥に長時間を要し、フィルムが着色したり、生産性が低下したりする。光線透過率が高いフィルムを得るためには乾燥時間は1次乾燥と2次乾燥合わせて30分以内であることが好ましい。
【0051】
またこの乾燥工程で用いられるドラム、エンドレスベルトの表面はできるだけ平滑であれば表面の平滑なフィルムが得られる。
【0052】
上記の乾式工程を終えたフィルムは支持体から剥離されて湿式工程に導入され、脱塩、脱溶媒などが行なわれ、さらに延伸、乾燥、熱処理が行なわれてフィルムとなる。
【0053】
延伸は延伸倍率として面倍率で0.8〜8(面倍率とは延伸後のフィルム面積を延伸前のフィルムの面積で除した値で定義する。1以下はリラックスを意味する。)の範囲内にあることが好ましく、より好ましくは0.8〜4である。また、熱処理としては200℃〜500℃で数秒から数分間の熱処理が好ましく実施される。200℃以下では、熱処理が十分ではなく、フィルムの表面硬度やヤング率が低下することがある。500℃以上では、フィルムが着色することがある。熱処理温度は、さらに好ましくは250℃〜400℃である。さらに、延伸あるいは熱処理後のフィルムを徐冷することは有効であり、50℃/秒以下の速度で冷却することが有効である。本発明の芳香族ポリアミドから得られるフィルムは単層フィルムに限定されるものではなく、積層フィルムであっても良いし、ガスバリヤ性の付与、耐溶剤性の改良、表面硬度の改良などの目的で各種下塗りや表面処理を施した複合フィルムであってもよい。
【0054】
本発明のプラスチックフィルムは、高い耐熱性を持ち、かつフィルム厚みが厚くても透明性及び表面性に優れることから、高耐熱性が要求されるガラス代替の透明部材、特に、画像表示素子用基板や光ディスク基板に好適である。ここで、画像表示素子としては特に限定はされないが、液晶ディスプレー、有機ELディスプレー、無機ELディスプレー、フィールドエミッションディスプレー、プラズマディスプレーなどが挙げられる。また、本発明のプラスチックフィルムは、太陽電池用基板としても好ましく用いることができる。
【0055】
【実施例】
以下に実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。
【0056】
なお、物性の測定方法、効果の評価方法は次の方法に従って行った。
【0057】
(1)ガラス転移温度(Tg)
DMS6100(セイコー電子社製)を用い、JIS K−7244−4に準じて、フィルムの動的貯蔵弾性率E’を測定し、E’の変曲点からフィルムのTgを求めた。
【0058】
(2)光線透過率
UV測定器U−3410(日立計測社製)を用いて、波長550nmの光に対応する透過率を測定した。
【0059】
透過率(%)=T1/T0
ただしT1は試料を通過した光の強度、T0は試料を通過しない以外は同一の距離の空気中を通過した光の強度である。
【0060】
波長範囲:300nm〜800nm
測定速度:120nm/分
測定モード:透過
(3)表面粗さ(SRa)
小坂製作所製の微細形状測定器ET−30HKを用いて測定した。検出には光触針(HIPOSS、商品名)を用い、フィルム表面に減圧下でアルミ蒸着を施した後に測定した。なお下記の測定条件にてSRaI 、SRaIIを求めた。
【0061】
SRaI (測定面積0.002mm2)
・長手方向の測定長:0.02mm
・幅方向の測定長 :0.10mm
・カットオフ値 :0.08mm
SRaII(測定面積1.0mm2)
・長手方向の測定長:0.50mm
・幅方向の測定長 :2.00mm
・カットオフ値 :0.08mm
(4)フィルムの表面性評価
白黒で印刷された標準視力表の上に、50mm離してプラスチックフィルムを平行に設置し、フィルム越しに読みとることのできる最小のランドルト環の外径の大きさaを求め、以下の基準で評価した。なお、評価は視力1.5の観測者が視力表から30cm離れた場所から観察して行った。
【0062】
○:aが1mm未満
△:aが1mm以上2mm未満
×:aが2mm以上以上
(5)透明性評価
光線透過率が80%である実施例1のフィルムに比べ着色の有無を目視により確認し、透明性が高いものを○、低いものを×とした。
【0063】
(実施例1)
脱水したN−メチル−2−ピロリドンに、100モル%に相当する9,9ビス(4−アミノフェニル)フルオレンを溶解させ、これに100モル%に相当するテレフタル酸ジクロライドを添加し、2時間撹拌により重合後、炭酸リチウムで中和を行い、ポリマー濃度が10重量%の芳香族ポリアミド溶液(溶液A)を得た。ポリマーの固有粘度は2.5dl/gであった。
【0064】
上記芳香族ポリアミド溶液をバーコーターで支持体上に流延し、80℃のオーブンで1分間、続いて120℃のオーブンで7分間乾燥して溶媒を蒸発させ、自己支持性を発現した重合体シートを支持体から剥離した。続いて剥離したフィルムを水槽内へ5分間通し、残存溶媒と中和で生じた無機塩の水抽出を行なった。この後、温度400℃のオーブン中で幅を一定に保ったまま熱処理を行い、厚み20μmの芳香族ポリアミドフィルムを得た。熱処理温度が高いため、得たフィルムはやや着色し、波長550nmの光に対する光線透過率は80%であった。得られたフィルムの物性を測定し、表1に示した。
【0065】
(実施例2)
脱水したN−メチル−2−ピロリドンに、100モル%に相当する2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニルを溶解させ、これに100モル%に相当する2−クロルテレフタル酸クロライドを添加し、2時間撹拌により重合後、炭酸リチウムで中和を行い、ポリマー濃度が8重量%の芳香族ポリアミド溶液を得た。
【0066】
上記芳香族ポリアミド溶液をバーコーターで支持体上に流延し、80℃のオーブンで1分間、続いて120℃のオーブンで7分間乾燥して溶媒を蒸発させ、自己支持性を発現した重合体シートを支持体から剥離した。続いて剥離したフィルムを水槽内へ5分間通し、残存溶媒と中和で生じた無機塩の水抽出を行なった。この後、温度280℃のオーブン中で幅を一定に保ったまま熱処理を行い、厚み20μmの芳香族ポリアミドフィルムを得た。得られたフィルムの物性を測定し、表1に示した。
【0067】
(実施例3)
脱水したN−メチル−2−ピロリドンに、50モル%に相当する4,4’−ジアミノジフェニルスルフォンと、50モル%に相当する3,3’−ジアミノジフェニルスルフォンを溶解させ、これに100モル%に相当するテレフタル酸ジクロライドを添加し、2時間撹拌により重合後、炭酸リチウムで中和を行い、ポリマー濃度が10重量%の芳香族ポリアミド溶液を得た。
【0068】
上記芳香族ポリアミド溶液をバーコーターで支持体上に流延し、80℃のオーブンで1分間、続いて120℃のオーブンで7分間乾燥して溶媒を蒸発させ、自己支持性を発現した重合体シートを支持体から剥離した。続いて剥離したフィルムを水槽内へ5分間通し、残存溶媒と中和で生じた無機塩の水抽出を行なった。この後、温度280℃のオーブン中で幅を一定に保ったまま熱処理を行い、厚み20μmの芳香族ポリアミドフィルムを得た。得られたフィルムの物性を測定し、表1に示した。
【0069】
(実施例4)
参考例1で得た上記芳香族ポリアミド溶液Aをバーコーターで支持体上に流延し、80℃のオーブンで5分、続いて120℃のオーブンで10分間乾燥して溶媒を蒸発させ、自己支持性を発現した重合体シートを支持体から剥離した。続いて剥離したフィルムを水槽内へ5分間通し、残存溶媒と中和で生じた無機塩の水抽出を行なった。この後、温度280℃のオーブン中で幅を一定に保ったまま熱処理を行い、厚み65μmの芳香族ポリアミドフィルムを得た。得たフィルムのTgは412℃であり、表面性、透明性共に良好なフィルムであった。得られたフィルムの物性を測定し、表1に示した。
【0070】
(実施例5)
参考例1で得た上記芳香族ポリアミド溶液Aをバーコーターで支持体上に流延し、80℃のオーブンで7分、続いて120℃のオーブンで15分間乾燥して溶媒を蒸発させ、自己支持性を発現した重合体シートを支持体から剥離した。続いて剥離したフィルムを水槽内へ5分間通し、残存溶媒と中和で生じた無機塩の水抽出を行なった。この後、温度280℃のオーブン中で幅を一定に保ったまま熱処理を行い、厚み110μmの芳香族ポリアミドフィルムを得た。得たフィルムは表面性、透明性共に良好なフィルムであった。得られたフィルムの物性を測定し、表1に示した。
【0071】
(実施例6)
N−メチル−2−ピロリドンに、100モル%に相当する9,9ビス(4−アミノフェニル)フルオレンを溶解させ、これに96モル%に相当するテレフタル酸ジクロライドを添加し、2時間撹拌により重合後、炭酸リチウムで中和を行い、ポリマー濃度が15重量%の芳香族ポリアミド溶液(溶液B)を得た。ポリマーの固有粘度は0.8dl/gであった。
【0072】
上記芳香族ポリアミド溶液をバーコーターで支持体上に流延し、80℃のオーブンで3分、続いて120℃のオーブンで5分間乾燥して溶媒を蒸発させ、自己支持性を発現した重合体シートを支持体から剥離した。続いて剥離したフィルムを水槽内へ5分間通し、残存溶媒と中和で生じた無機塩の水抽出を行なった。この後、温度280℃のオーブン中で幅を一定に保ったまま熱処理を行い、厚み65μmの芳香族ポリアミドフィルムを得た。ポリマーの固有粘度が低いため乾燥に伴いフィルム表面が若干粗れた。得られたフィルムの物性を測定し、表1に示した。
【0073】
(実施例7)
脱水したN−メチル−2−ピロリドンに、100モル%に相当する9,9ビス(4−アミノフェニル)フルオレンを溶解させ、これに75モル%に相当するイソフタル酸ジクロライドと、25モル%に相当するテレフタル酸ジクロライドを添加し、2時間撹拌により重合後、炭酸リチウムで中和を行い、ポリマー濃度が10重量%の芳香族ポリアミド溶液を得た。ポリマーの固有粘度は1.1dl/gであった。
【0074】
上記芳香族ポリアミド溶液をバーコーターで支持体上に流延し、80℃のオーブンで5分、続いて120℃のオーブンで10分間乾燥して溶媒を蒸発させ、自己支持性を発現した重合体シートを支持体から剥離した。続いて剥離したフィルムを水槽内へ5分間通し、残存溶媒と中和で生じた無機塩の水抽出を行なった。この後、温度280℃のオーブン中で幅を一定に保ったまま熱処理を行い、厚み60μmの芳香族ポリアミドフィルムを得た。得たフィルムのTgは390℃であり、表面性、透明性共に良好なフィルムであった。得られたフィルムの物性を測定し、表1に示した。
【0075】
(実施例8)
参考例1で得た上記芳香族ポリアミド溶液Aをミキサーを備えた水浴に滴下し、撹拌、粉砕して、含有する溶媒およびLiClを水洗、除去した。得られた含水ポリマーを減圧乾燥機で乾燥し、高純度のポリマー粉体を得た。得られたポリマーをジメチルアセトアミドに溶解して20wt%の芳香族ポリアミド溶液を作成した。
【0076】
上記芳香族ポリアミド溶液をバーコーターで支持体上に流延し、80℃のオーブンで7分、続いて120℃のオーブンで15分間乾燥して溶媒を蒸発させ、自己支持性を発現した重合体シートを支持体から剥離した。続いて剥離したフィルムを水槽内へ5分間通し、残存溶媒と中和で生じた無機塩の水抽出を行なった。この後、温度280℃のオーブン中で幅を一定に保ったまま熱処理を行い、厚み60μmの芳香族ポリアミドフィルムを得た。得たフィルムは表面性、透明性共に良好なフィルムであった。得られたフィルムの物性を測定し、表1に示した。
【0077】
(比較例1)
N−メチル−2−ピロリドンに、100モル%に相当する9,9ビス(4−アミノフェニル)フルオレンを溶解させ、これに96モル%に相当するテレフタル酸ジクロライドを添加し、2時間撹拌により重合後、炭酸リチウムで中和を行い、ポリマー濃度が10重量%の芳香族ポリアミド溶液(溶液C)を得た。ポリマーの固有粘度は0.8dl/gであった。
【0078】
上記芳香族ポリアミド溶液をバーコーターで支持体上に流延し、120℃のオーブンで6分間乾燥して溶媒を蒸発させ、自己支持性を発現した重合体シートを支持体から剥離した。続いて剥離したフィルムを水槽内へ5分間通し、残存溶媒と中和で生じた無機塩の水抽出を行なった。この後、温度280℃のオーブン中で幅を一定に保ったまま熱処理を行い、厚み62μmの芳香族ポリアミドフィルムを得た。ポリマーの固有粘度が低く、初期乾燥温度が高いため、乾燥に伴いフィルムの表面性が悪化した。得られたフィルムの物性を測定し、表1に示した。
【0079】
(比較例2)
参考例1で得た上記芳香族ポリアミド溶液Aをバーコーターで支持体上に流延し、80℃のオーブンで5分、続いて120℃のオーブンで10分間乾燥して溶媒を蒸発させ、自己支持性を発現した重合体シートを支持体から剥離した。続いて剥離したフィルムを水槽内へ5分間通し、残存溶媒と中和で生じた無機塩の水抽出を行なった。この後、温度400℃のオーブン中で幅を一定に保ったまま熱処理を行い、厚み60μmの芳香族ポリアミドフィルムを得た。熱処理温度が高いためフィルムが着色し透明性評価が×となった。得られたフィルムの物性を測定し、表1に示した。
【0080】
(比較例3)
参考例1で得た上記芳香族ポリアミド溶液Aに粒径400nmの球状シリカをポリマー当たり1重量%添加し、この溶液をバーコーターで支持体上に流延し、80℃のオーブンで5分、続いて120℃のオーブンで10分間乾燥して溶媒を蒸発させ、自己支持性を発現した重合体シートを支持体から剥離した。続いて剥離したフィルムを水槽内へ5分間通し、残存溶媒と中和で生じた無機塩の水抽出を行なった。この後、温度280℃のオーブン中で幅を一定に保ったまま熱処理を行い、厚み60μmの芳香族ポリアミドフィルムを得た。表面粗さが大きいためフィルムが着色し透明性評価が×となった。得られたフィルムの物性を測定し、表1に示した。
【0081】
【表1】
【0082】
【発明の効果】
本発明のプラスチックフィルムは、フィルム厚みが厚くても透明性及び表面性に優れ、かつ、高い耐熱性を持つことから、ガラス代替の透明部材、特に、液晶表示素子用基板や光ディスク基板、太陽電池用基板に好適である。
【発明の属する技術分野】
本発明は透明性と耐熱性を持つガラス代替用プラスチック基材とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、液晶表示素子や光エレクトロニクス素子、太陽電池用部材などの光学部材には、無機ガラスが多用されてきたが、近年、小型・軽量化の要求に伴い、ガラス部材に代えて軽く加工性に優れた透明プラスチック基材を使用することが多くなってきている。しかしながら、ガラス代替として透明プラスチック基材を用いる場合、その耐熱性の低さが問題となっており、例えば、蒸着工程など高温を経る製造プロセスにおいて使用できないなどの問題があった。さらに、透明プラスチック基材を溶液製膜法にて製膜する場合、発泡、表面性の低下、残存溶媒などの問題のため、膜厚の厚いフィルムを製造することが困難であった。高い耐熱性と機械強度を持ち、さらに優れた表面性を有するフィルムとしては、例えば、芳香族ポリアミドフィルムについての例が特許文献1に記載されているが、パラ配向性芳香族ポリアミドフィルムは、黄色に着色しており、無色透明を必要とする光学用途への展開は困難であった。また、膜厚の薄いフィルムはたわみ易く、従来のガラス基板を使用した液晶ディスプレーなどのプロセスでは製造できない場合があった。
【0003】
一方、高耐熱性を有するプラスチックとして、芳香族ポリアミドが挙げられる。特に、芳香族ポリアミドフィルムは高い耐熱性を有し、さらに、引張強度や表面硬度などの機械的物性にも優れることから、ガラス代替プラスチックとしては有望視されているが、透明度が劣るなどの問題がありガラス代替としての各種表示素子等に使用するには問題があった。
【0004】
【特許文献1】特開平9−76359号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した従来技術における問題点の解決を課題として検討した結果達成されたものである。すなわち、本発明の目的は、高い耐熱性を持ち、かつフィルム厚みが厚くても透明性及び表面性に優れるプラスチックフィルムを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するための本発明は、波長550nmの光に対する光線透過率が80%以上であり、少なくとも片面の測定面積0.002mm2における3次元表面粗さSRaIが0.1nm以上50nm未満であり、SRaIと測定面積1.0mm2における3次元表面粗さSRaIIとが下記式を満足し、かつガラス転移温度が120℃以上であるプラスチックフィルムを特徴とする。
【0007】
0.8≦SRaII/SRaI ≦2.5
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明のプラスチックフィルムは、波長550nmの光に対する光線透過率が80%以上である。光線透過率が80%未満であると、液晶表示素子用基板や光ディスク基板などの光学部材として利用できない場合がある。透明性がより向上することから光線透過率はより好ましくは85%以上であり、さらに好ましくは90%以上である。
【0009】
本発明のプラスチックフィルムは、少なくとも片面の測定面積0.002mm2での3次元表面粗さSRaIが0.1nm以上50nm未満である。SRaIが50nm以上であると、フィルム表面で光が拡散し、透明性が低下する場合がある。SRaIはより好ましくは10nm未満、更に好ましくは5nm未満、最も好ましくは1nm未満である。フィルム表面はできるだけ平滑な方が好ましいが、SRaIの下限は実質的には0.1nm程度である。
【0010】
本発明のプラスチックフィルムは、少なくとも片面の測定面積0.002mm2での3次元表面粗さSRaIと測定面積1.0mm2での3次元表面粗さSRaIIが下記式を満足している。
【0011】
0.8≦SRaII/SRaI ≦2.5
SRaII/SRaI >2.5であれば、フィルム表面は溶媒の乾燥に伴ううねりを生じている状態にある。このように表面性が悪化したフィルムは、光線透過率が80%以上であっても、光学部材として用いたとき、視認性が低下したり、品位が低下する場合がある。SRaII/SRaIの値の下限は実質的には0.8以上である。
【0012】
本発明のプラスチックフィルムの厚みは50μm以上200μm未満であることが好ましい。厚みが50μm未満では、フィルムがたわみ易く、従来のガラス製基板を使用した液晶ディスプレーなどの製造プロセスで使用できない場合がある。また、厚みが200μm以上では、フィルムの透明性が低下する場合がある。
【0013】
本発明のプラスチックフィルムは、ガラス転移温度(Tg)が120℃以上であることが好ましい。より好ましくは140℃以上、さらに好ましくは180℃以上である。120℃以下の場合、プロジェクターの様な高温になる機器や、自動車の車内で使用する表示機器のような、高温の環境下で使用できない場合がある。また、本発明のフィルム表面に、例えば蒸着処理やスパッタ処置を行う場合などにプロセスの制約から基板温度を高温条件下で使用する必要がある場合がある。この場合、Tgは250℃以上であることが好ましい。より好ましくは300℃以上、さらに好ましくは350℃以上、最も好ましくは400℃以上である。Tgは高い方が好ましいが、現実的には上限は600℃程度である。
【0014】
本発明のプラスチックフィルムは、以上のような物性を満足していればポリカーボネート、ポリブチレンテレフタラート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルアミド、ポリスルホン、ポリオレフィン、セルローストリアセテート、ポリフェニレンオキサイド、ポリビニルアルコール、セルロース系重合体、ポリスチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ポリアミド等のフィルムを用いることができるが、特に、以下に示す構造単位を持つ芳香族ポリアミドフィルムを用いると、フィルム厚みが厚くても透明性及び表面性に優れ、かつ高い耐熱性を持つフィルムとすることができるためガラス代替のプラスチックフィルムとして好適である。即ち、化学式(I)、(II)、(III)または(IV)で示される構造単位を含み(これらの全ての構造単位を含むこともあり、またその一部のみを含むこともある)、かつ、化学式(I)、(II)(III)および(IV)で示される構造単位のモル分率をそれぞれl、m、n、oとしたとき、次式(1)〜(3)を満足していることが好ましい。
【0015】
50<l+m+n≦100 ・・・ (1)
0≦l、m、n、o≦100・・・ (2)
0≦o≦50 ・・・ (3)
【0016】
【化9】
【0017】
R1:少なくとも一つの5員環、6員環または7員環を有する基
R2:任意の芳香族基
X:水素、ハロゲンまたは炭素数1〜3の炭化水素基
【0018】
【化10】
【0019】
R3:−CF3、−CCl3、−CBr3、−OH、−F、−Cl、−OCH3(ただし、分子内においてこれらの基を有する構造単位が混在していてもよい。)
R4:任意の芳香族基
【0020】
【化11】
【0021】
R5:−SO2−、−O−、−CH2−、−C(CF3)2−から選ばれる基、または−SO2−、−O−、−CH2−、−C(CF3)2−から選ばれる基を1つ以上含む芳香族基。
【0022】
R6:任意の芳香族基
X:水素、ハロゲンまたは炭素数1〜3の炭化水素基
【0023】
【化12】
【0024】
R7:任意の芳香族基
R8:任意の芳香族基
X:水素、ハロゲンまたは炭素数1〜3の炭化水素基
化学式(I)、(II)、(III)および(IV)はそれぞれ存在しても、または存在しなくても構わないが、化学式(I)、(II)および(III)で示される構造単位のモル分率をそれぞれl、m、nとした時、l+m+nが50を超えることが好ましい様態である。さらに好ましくはl+m+nは80以上であり、最も好ましくはl+m+nは100である。l+m+nが50以下の場合にはこれらの効果よりも着色に寄与する構造単位の寄与が大きくなり無色透明フィルムは得られない(光線透過率に劣る)ことがある。
【0025】
アラミドの着色は分子内および分子間の電荷移動錯体によると考えられているが、化学式(I)、(II)および(III)はいずれもアラミド分子内および分子間の電荷移動錯体の形成を阻害し、アラミドフィルムを無色透明化する(光線透過率を向上させる)と考えられる。
【0026】
化学式(I)においてR1は少なくとも一つの5員環、6員環または7員環を有する基などが好適に用いられるが、化学式(XI)で示される環状基であることがさらに好ましい。最も好ましくはフルオレン基である。
【0027】
【化13】
【0028】
化学式(II)においてR3は、−CF3、−CCl3、−CBr3、−OH、−F、−Cl、−OCH3(ただし、分子内においてこれらの基を有する構造単位が混在していてもよい。)などが好適に用いられる。最も好ましくは−CF3である。
【0029】
化学式(III)においてR5は、−SO2−、−O−、−CH2−、−C(CF3)2−から選ばれる基、または−SO2−、−O−、−CH2−、−C(CF3)2−から選ばれる基を1つ以上含む芳香族基などが好適に用いられるが、最も好ましくは−SO2−である。
【0030】
また、本発明のプラスチック基板は、化学式(V)、(VI)、(VII)または(VIII)で示される構造単位を含み、かつ、化学式(V)、(VI)、(VII)および(VIII)で示される構造単位のモル分率をそれぞれp、q、r、sとしたとき、次式(4)〜(6)を満足していることが好ましい。
【0031】
50<p+q+r≦100 ・・・ (4)
0≦p、q、r、s≦100 ・・・ (5)
0≦s≦50 ・・・ (6)
【0032】
【化14】
【0033】
X:水素、ハロゲンまたは炭素数1〜3の炭化水素基
【0034】
【化15】
【0035】
【化16】
【0036】
【化17】
【0037】
R9:任意の芳香族基
R10:任意の芳香族基
また、上記のような芳香族ポリアミドを用いる場合は、固有粘度(ポリマー0.5gを硫酸中で10mlの溶液として30℃で測定した値)が1dl/g以上であることが好ましい。固有粘度が1dl/g未満であると、乾燥工程で溶媒の蒸発に伴いフィルム表面が粗れることがある。表面性のよいフィルムを得るためには、固有粘度は高い方が好ましいが、10dl/g以上であるとポリマーの溶媒に対する溶解性が低下し、製膜が困難となることがある。固有粘度はより好ましくは1.5dl/g以上7dl/g未満である。
【0038】
本発明の芳香族ポリアミドフィルムは、JIS−C2318に準拠した測定において、少なくとも一方向のヤング率が4GPa以上20GPa未満であることが好ましい。より好ましくは、8GPa以上20GPa未満である。全ての方向のヤング率が4GPa未満であると、加工時に加えられた張力により、フィルムが変形することがある。ヤング率が20GPaを超えると、フィルムの靱性が低下し、製膜、加工が困難になることがある。
【0039】
本発明の芳香族ポリアミドフィルムは、JIS−C2318に準拠した測定において、少なくとも一方向の破断伸度が、7%以上250%未満であると成形、加工時の破断が少なくなるため好ましい。より好ましくは10%以上250%未満である。破断伸度の上限は特に限定されるものではないが、現実的には、250%程度である。
【0040】
次に、以下に本発明のプラスチックフィルムの製造方法について、芳香族ポリアミドを例にとって説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0041】
芳香族ポリアミド溶液、すなわち製膜原液を得る方法は種々の方法が利用可能であり、例えば、低温溶液重合法、界面重合法、溶融重合法、固相重合法などを用いることができる。低温溶液重合法によりカルボン酸ジクロライドとジアミンから得る場合には、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等の非プロトン性有機極性溶媒中で合成される。この時、低分子量物の生成を抑制し、固有粘度の高いポリマーを得るためには、反応を阻害するような水、その他の物質の混入は避けるべきであり、効率的な攪拌手段をとることが好ましい。また、ポリマーの溶解を促進する目的で溶媒には50重量%以下のアルカリ金属、またはアルカリ土類金属の塩を添加してもよい。
【0042】
カルボン酸ジクロライドとしてはテレフタル酸ジクロライド、2クロロ−テレフタル酸ジクロライド、イソフタル酸ジクロライド、ナフタレンジカルボニルクロライド、ビフェニルジカルボニルクロライド、ターフェニルジカルボニルクロライドなどが挙げられるが、最も好ましくはテレフタル酸ジクロライドが用いられる。
【0043】
芳香族ポリアミド溶液は、単量体として酸ジクロライドとジアミンを使用すると塩化水素が副生するが、これを中和する場合には水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸リチウムなどの無機の中和剤、またエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、アンモニア、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミンなどの有機の中和剤が使用される。また、イソシアネートとカルボン酸との反応は、非プロトン性有機極性溶媒中、触媒の存在下で行なわれる。
【0044】
2種類以上のジアミンを用いて重合を行う場合、ジアミンは1種類ずつ添加し、該ジアミンに対し10〜99モル%の酸ジクロライドを添加して反応させ、この後に他のジアミンを添加して、さらに酸ジクロライドを添加して反応させる段階的な反応方法、およびすべてのジアミンを混合して添加し、この後に酸ジクロライドを添加して反応させる方法などが利用可能である。また、2種類以上の酸ジクロライドを利用する場合も同様に段階的な方法、同時に添加する方法などが利用できる。いずれの場合においても全ジアミンと全酸ジクロライドのモル比は98〜102モル%対102〜98モル%が好ましく、この値を外れた場合、得られるポリマーの固有粘度が低くなり、厚み50μm以上のフィルムを製膜するとフィルム表面が粗れることがある。
【0045】
芳香族ポリアミドには、表面形成、加工性改善などを目的として10重量%以下の無機質または有機質の添加物を含有させてもよい。添加量が10重量%を超えるとフィルムの透明性が低下する場合がある。添加物は無色であっても有色であっても構わないが、本発明のプラスチックフィルムの特徴を損ねないためには無色透明であることが好ましい。表面形成を目的とした添加剤としては例えば、無機粒子ではSiO2、TiO2、Al2O3、CaSO4、BaSO4、CaCO3、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、フラーレン、ゼオライト、その他の金属微粉末等が挙げられる。また、好ましい有機粒子としては、例えば、架橋ポリビニルベンゼン、架橋アクリル、架橋ポリスチレン、ポリエステル粒子、ポリイミド粒子、ポリアミド粒子、フッ素樹脂粒子等の有機高分子からなる粒子、あるいは、表面に上記有機高分子で被覆等の処理を施した無機粒子が挙げられる。 この時の平均粒子径は380nm未満であることが好ましい。粒径が380nm以上であると、フィルムの表面平滑性が損なわれ透明性が低下する場合がある。ただし、粒子が凝集した状態でフィルム中に存在する場合は凝集粒子の径が380nm未満であることが好ましい。
【0046】
次にフィルム化について説明する。上記のように調製された製膜原液は、いわゆる溶液製膜法によりフィルム化が行なわれる。溶液製膜法には乾湿式法、乾式法、湿式法などがありいずれの方法で製膜されても差し支えないが、ここでは乾湿式法を例にとって説明する。
【0047】
製膜原液としては、中和後のポリマー溶液をそのまま用いてもよいし、一旦、ポリマーを単離後、溶媒に再溶解したものを用いてもよい。溶媒としては、取り扱いやすいことからN−メチル−2−ピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等の有機極性溶媒が好ましいが、濃硫酸、濃硝酸、ポリリン酸等の強酸性溶媒を用いてもかまわない。製膜原液中のポリマー濃度は2〜50重量%程度が好ましい。
【0048】
乾湿式法で製膜する場合は該原液を口金からドラム、エンドレスベルト等の支持体上に押し出して膜を形成し、次いでかかる膜層から溶媒を飛散させ膜が自己保持性をもつまで乾燥し、支持体から剥離可能な重合体シートを得る。ここで重合体シートとは、ポリマー以外に溶媒、溶解助剤等を含む自己支持性を持つフィルムまたはシートのことをいう。この時の乾燥温度は、まず50℃以上100℃未満で1次乾燥を行い、続いて100℃以上200℃未満で2次乾燥を行うと、表面性がよくさらに光線透過率が高いフィルムを得られるため好ましい。
【0049】
表面性のよいフィルムを得るためには、できるだけ低い乾燥温度で溶媒を除去することが好ましい。1次乾燥の温度100℃以上では溶媒の飛散速度が速く、フィルム表面が粗れ、SRaII/SRaIの値が2.5を超えることがある。特に製膜するフィルム厚みが厚い場合や、ポリマーの固有粘度や溶液粘度が低い場合は1次乾燥の温度を低く設定し、ゆっくりと溶媒を除去することが好ましい。2次乾燥の温度が200℃以上では、フィルムが着色したり、溶媒の蒸発に伴いフィルム表面が粗れる場合がある。
【0050】
表面性のよいフィルムを得るためには、乾燥温度を低くすることが好ましいが、一方、1次乾燥の温度が50℃未満または2次乾燥の温度が100℃未満では、乾燥に長時間を要し、フィルムが着色したり、生産性が低下したりする。光線透過率が高いフィルムを得るためには乾燥時間は1次乾燥と2次乾燥合わせて30分以内であることが好ましい。
【0051】
またこの乾燥工程で用いられるドラム、エンドレスベルトの表面はできるだけ平滑であれば表面の平滑なフィルムが得られる。
【0052】
上記の乾式工程を終えたフィルムは支持体から剥離されて湿式工程に導入され、脱塩、脱溶媒などが行なわれ、さらに延伸、乾燥、熱処理が行なわれてフィルムとなる。
【0053】
延伸は延伸倍率として面倍率で0.8〜8(面倍率とは延伸後のフィルム面積を延伸前のフィルムの面積で除した値で定義する。1以下はリラックスを意味する。)の範囲内にあることが好ましく、より好ましくは0.8〜4である。また、熱処理としては200℃〜500℃で数秒から数分間の熱処理が好ましく実施される。200℃以下では、熱処理が十分ではなく、フィルムの表面硬度やヤング率が低下することがある。500℃以上では、フィルムが着色することがある。熱処理温度は、さらに好ましくは250℃〜400℃である。さらに、延伸あるいは熱処理後のフィルムを徐冷することは有効であり、50℃/秒以下の速度で冷却することが有効である。本発明の芳香族ポリアミドから得られるフィルムは単層フィルムに限定されるものではなく、積層フィルムであっても良いし、ガスバリヤ性の付与、耐溶剤性の改良、表面硬度の改良などの目的で各種下塗りや表面処理を施した複合フィルムであってもよい。
【0054】
本発明のプラスチックフィルムは、高い耐熱性を持ち、かつフィルム厚みが厚くても透明性及び表面性に優れることから、高耐熱性が要求されるガラス代替の透明部材、特に、画像表示素子用基板や光ディスク基板に好適である。ここで、画像表示素子としては特に限定はされないが、液晶ディスプレー、有機ELディスプレー、無機ELディスプレー、フィールドエミッションディスプレー、プラズマディスプレーなどが挙げられる。また、本発明のプラスチックフィルムは、太陽電池用基板としても好ましく用いることができる。
【0055】
【実施例】
以下に実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。
【0056】
なお、物性の測定方法、効果の評価方法は次の方法に従って行った。
【0057】
(1)ガラス転移温度(Tg)
DMS6100(セイコー電子社製)を用い、JIS K−7244−4に準じて、フィルムの動的貯蔵弾性率E’を測定し、E’の変曲点からフィルムのTgを求めた。
【0058】
(2)光線透過率
UV測定器U−3410(日立計測社製)を用いて、波長550nmの光に対応する透過率を測定した。
【0059】
透過率(%)=T1/T0
ただしT1は試料を通過した光の強度、T0は試料を通過しない以外は同一の距離の空気中を通過した光の強度である。
【0060】
波長範囲:300nm〜800nm
測定速度:120nm/分
測定モード:透過
(3)表面粗さ(SRa)
小坂製作所製の微細形状測定器ET−30HKを用いて測定した。検出には光触針(HIPOSS、商品名)を用い、フィルム表面に減圧下でアルミ蒸着を施した後に測定した。なお下記の測定条件にてSRaI 、SRaIIを求めた。
【0061】
SRaI (測定面積0.002mm2)
・長手方向の測定長:0.02mm
・幅方向の測定長 :0.10mm
・カットオフ値 :0.08mm
SRaII(測定面積1.0mm2)
・長手方向の測定長:0.50mm
・幅方向の測定長 :2.00mm
・カットオフ値 :0.08mm
(4)フィルムの表面性評価
白黒で印刷された標準視力表の上に、50mm離してプラスチックフィルムを平行に設置し、フィルム越しに読みとることのできる最小のランドルト環の外径の大きさaを求め、以下の基準で評価した。なお、評価は視力1.5の観測者が視力表から30cm離れた場所から観察して行った。
【0062】
○:aが1mm未満
△:aが1mm以上2mm未満
×:aが2mm以上以上
(5)透明性評価
光線透過率が80%である実施例1のフィルムに比べ着色の有無を目視により確認し、透明性が高いものを○、低いものを×とした。
【0063】
(実施例1)
脱水したN−メチル−2−ピロリドンに、100モル%に相当する9,9ビス(4−アミノフェニル)フルオレンを溶解させ、これに100モル%に相当するテレフタル酸ジクロライドを添加し、2時間撹拌により重合後、炭酸リチウムで中和を行い、ポリマー濃度が10重量%の芳香族ポリアミド溶液(溶液A)を得た。ポリマーの固有粘度は2.5dl/gであった。
【0064】
上記芳香族ポリアミド溶液をバーコーターで支持体上に流延し、80℃のオーブンで1分間、続いて120℃のオーブンで7分間乾燥して溶媒を蒸発させ、自己支持性を発現した重合体シートを支持体から剥離した。続いて剥離したフィルムを水槽内へ5分間通し、残存溶媒と中和で生じた無機塩の水抽出を行なった。この後、温度400℃のオーブン中で幅を一定に保ったまま熱処理を行い、厚み20μmの芳香族ポリアミドフィルムを得た。熱処理温度が高いため、得たフィルムはやや着色し、波長550nmの光に対する光線透過率は80%であった。得られたフィルムの物性を測定し、表1に示した。
【0065】
(実施例2)
脱水したN−メチル−2−ピロリドンに、100モル%に相当する2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニルを溶解させ、これに100モル%に相当する2−クロルテレフタル酸クロライドを添加し、2時間撹拌により重合後、炭酸リチウムで中和を行い、ポリマー濃度が8重量%の芳香族ポリアミド溶液を得た。
【0066】
上記芳香族ポリアミド溶液をバーコーターで支持体上に流延し、80℃のオーブンで1分間、続いて120℃のオーブンで7分間乾燥して溶媒を蒸発させ、自己支持性を発現した重合体シートを支持体から剥離した。続いて剥離したフィルムを水槽内へ5分間通し、残存溶媒と中和で生じた無機塩の水抽出を行なった。この後、温度280℃のオーブン中で幅を一定に保ったまま熱処理を行い、厚み20μmの芳香族ポリアミドフィルムを得た。得られたフィルムの物性を測定し、表1に示した。
【0067】
(実施例3)
脱水したN−メチル−2−ピロリドンに、50モル%に相当する4,4’−ジアミノジフェニルスルフォンと、50モル%に相当する3,3’−ジアミノジフェニルスルフォンを溶解させ、これに100モル%に相当するテレフタル酸ジクロライドを添加し、2時間撹拌により重合後、炭酸リチウムで中和を行い、ポリマー濃度が10重量%の芳香族ポリアミド溶液を得た。
【0068】
上記芳香族ポリアミド溶液をバーコーターで支持体上に流延し、80℃のオーブンで1分間、続いて120℃のオーブンで7分間乾燥して溶媒を蒸発させ、自己支持性を発現した重合体シートを支持体から剥離した。続いて剥離したフィルムを水槽内へ5分間通し、残存溶媒と中和で生じた無機塩の水抽出を行なった。この後、温度280℃のオーブン中で幅を一定に保ったまま熱処理を行い、厚み20μmの芳香族ポリアミドフィルムを得た。得られたフィルムの物性を測定し、表1に示した。
【0069】
(実施例4)
参考例1で得た上記芳香族ポリアミド溶液Aをバーコーターで支持体上に流延し、80℃のオーブンで5分、続いて120℃のオーブンで10分間乾燥して溶媒を蒸発させ、自己支持性を発現した重合体シートを支持体から剥離した。続いて剥離したフィルムを水槽内へ5分間通し、残存溶媒と中和で生じた無機塩の水抽出を行なった。この後、温度280℃のオーブン中で幅を一定に保ったまま熱処理を行い、厚み65μmの芳香族ポリアミドフィルムを得た。得たフィルムのTgは412℃であり、表面性、透明性共に良好なフィルムであった。得られたフィルムの物性を測定し、表1に示した。
【0070】
(実施例5)
参考例1で得た上記芳香族ポリアミド溶液Aをバーコーターで支持体上に流延し、80℃のオーブンで7分、続いて120℃のオーブンで15分間乾燥して溶媒を蒸発させ、自己支持性を発現した重合体シートを支持体から剥離した。続いて剥離したフィルムを水槽内へ5分間通し、残存溶媒と中和で生じた無機塩の水抽出を行なった。この後、温度280℃のオーブン中で幅を一定に保ったまま熱処理を行い、厚み110μmの芳香族ポリアミドフィルムを得た。得たフィルムは表面性、透明性共に良好なフィルムであった。得られたフィルムの物性を測定し、表1に示した。
【0071】
(実施例6)
N−メチル−2−ピロリドンに、100モル%に相当する9,9ビス(4−アミノフェニル)フルオレンを溶解させ、これに96モル%に相当するテレフタル酸ジクロライドを添加し、2時間撹拌により重合後、炭酸リチウムで中和を行い、ポリマー濃度が15重量%の芳香族ポリアミド溶液(溶液B)を得た。ポリマーの固有粘度は0.8dl/gであった。
【0072】
上記芳香族ポリアミド溶液をバーコーターで支持体上に流延し、80℃のオーブンで3分、続いて120℃のオーブンで5分間乾燥して溶媒を蒸発させ、自己支持性を発現した重合体シートを支持体から剥離した。続いて剥離したフィルムを水槽内へ5分間通し、残存溶媒と中和で生じた無機塩の水抽出を行なった。この後、温度280℃のオーブン中で幅を一定に保ったまま熱処理を行い、厚み65μmの芳香族ポリアミドフィルムを得た。ポリマーの固有粘度が低いため乾燥に伴いフィルム表面が若干粗れた。得られたフィルムの物性を測定し、表1に示した。
【0073】
(実施例7)
脱水したN−メチル−2−ピロリドンに、100モル%に相当する9,9ビス(4−アミノフェニル)フルオレンを溶解させ、これに75モル%に相当するイソフタル酸ジクロライドと、25モル%に相当するテレフタル酸ジクロライドを添加し、2時間撹拌により重合後、炭酸リチウムで中和を行い、ポリマー濃度が10重量%の芳香族ポリアミド溶液を得た。ポリマーの固有粘度は1.1dl/gであった。
【0074】
上記芳香族ポリアミド溶液をバーコーターで支持体上に流延し、80℃のオーブンで5分、続いて120℃のオーブンで10分間乾燥して溶媒を蒸発させ、自己支持性を発現した重合体シートを支持体から剥離した。続いて剥離したフィルムを水槽内へ5分間通し、残存溶媒と中和で生じた無機塩の水抽出を行なった。この後、温度280℃のオーブン中で幅を一定に保ったまま熱処理を行い、厚み60μmの芳香族ポリアミドフィルムを得た。得たフィルムのTgは390℃であり、表面性、透明性共に良好なフィルムであった。得られたフィルムの物性を測定し、表1に示した。
【0075】
(実施例8)
参考例1で得た上記芳香族ポリアミド溶液Aをミキサーを備えた水浴に滴下し、撹拌、粉砕して、含有する溶媒およびLiClを水洗、除去した。得られた含水ポリマーを減圧乾燥機で乾燥し、高純度のポリマー粉体を得た。得られたポリマーをジメチルアセトアミドに溶解して20wt%の芳香族ポリアミド溶液を作成した。
【0076】
上記芳香族ポリアミド溶液をバーコーターで支持体上に流延し、80℃のオーブンで7分、続いて120℃のオーブンで15分間乾燥して溶媒を蒸発させ、自己支持性を発現した重合体シートを支持体から剥離した。続いて剥離したフィルムを水槽内へ5分間通し、残存溶媒と中和で生じた無機塩の水抽出を行なった。この後、温度280℃のオーブン中で幅を一定に保ったまま熱処理を行い、厚み60μmの芳香族ポリアミドフィルムを得た。得たフィルムは表面性、透明性共に良好なフィルムであった。得られたフィルムの物性を測定し、表1に示した。
【0077】
(比較例1)
N−メチル−2−ピロリドンに、100モル%に相当する9,9ビス(4−アミノフェニル)フルオレンを溶解させ、これに96モル%に相当するテレフタル酸ジクロライドを添加し、2時間撹拌により重合後、炭酸リチウムで中和を行い、ポリマー濃度が10重量%の芳香族ポリアミド溶液(溶液C)を得た。ポリマーの固有粘度は0.8dl/gであった。
【0078】
上記芳香族ポリアミド溶液をバーコーターで支持体上に流延し、120℃のオーブンで6分間乾燥して溶媒を蒸発させ、自己支持性を発現した重合体シートを支持体から剥離した。続いて剥離したフィルムを水槽内へ5分間通し、残存溶媒と中和で生じた無機塩の水抽出を行なった。この後、温度280℃のオーブン中で幅を一定に保ったまま熱処理を行い、厚み62μmの芳香族ポリアミドフィルムを得た。ポリマーの固有粘度が低く、初期乾燥温度が高いため、乾燥に伴いフィルムの表面性が悪化した。得られたフィルムの物性を測定し、表1に示した。
【0079】
(比較例2)
参考例1で得た上記芳香族ポリアミド溶液Aをバーコーターで支持体上に流延し、80℃のオーブンで5分、続いて120℃のオーブンで10分間乾燥して溶媒を蒸発させ、自己支持性を発現した重合体シートを支持体から剥離した。続いて剥離したフィルムを水槽内へ5分間通し、残存溶媒と中和で生じた無機塩の水抽出を行なった。この後、温度400℃のオーブン中で幅を一定に保ったまま熱処理を行い、厚み60μmの芳香族ポリアミドフィルムを得た。熱処理温度が高いためフィルムが着色し透明性評価が×となった。得られたフィルムの物性を測定し、表1に示した。
【0080】
(比較例3)
参考例1で得た上記芳香族ポリアミド溶液Aに粒径400nmの球状シリカをポリマー当たり1重量%添加し、この溶液をバーコーターで支持体上に流延し、80℃のオーブンで5分、続いて120℃のオーブンで10分間乾燥して溶媒を蒸発させ、自己支持性を発現した重合体シートを支持体から剥離した。続いて剥離したフィルムを水槽内へ5分間通し、残存溶媒と中和で生じた無機塩の水抽出を行なった。この後、温度280℃のオーブン中で幅を一定に保ったまま熱処理を行い、厚み60μmの芳香族ポリアミドフィルムを得た。表面粗さが大きいためフィルムが着色し透明性評価が×となった。得られたフィルムの物性を測定し、表1に示した。
【0081】
【表1】
【0082】
【発明の効果】
本発明のプラスチックフィルムは、フィルム厚みが厚くても透明性及び表面性に優れ、かつ、高い耐熱性を持つことから、ガラス代替の透明部材、特に、液晶表示素子用基板や光ディスク基板、太陽電池用基板に好適である。
Claims (8)
- 波長550nmの光に対する光線透過率が80%以上であり、少なくとも片面の測定面積0.002mm2における3次元表面粗さSRaIが0.1nm以上50nm未満であり、SRaIと測定面積1.0mm2における3次元表面粗さSRaIIとが下記式を満足し、かつガラス転移温度が120℃以上であるプラスチックフィルム。
0.8≦SRaII/SRaI ≦2.5 - 厚みが50μm以上200μm以下である、請求項1に記載のプラスチックフィルム。
- プラスチックがポリカーボネート、ポリブチレンテレフタラート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルアミド、ポリスルホン、ポリオレフィン、セルローストリアセテート、ポリフェニレンオキサイド、ポリビニルアルコール、セルロース系重合体、ポリスチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミドおよびポリアミドからなる群から選ばれる少なくとも1種のポリマである、請求項1または2に記載のプラスチックフィルム。
- 固有粘度が1.0dl/g以上であり、化学式(I)、(II)、(III)または(IV)で示される構造単位を含み、かつ、化学式(I)、(II)、(III)および(IV)で示される構造単位のモル分率をそれぞれl、m、n、oとしたとき、次式(1)〜(3)を満足している、請求項1〜3のいずれかに記載のプラスチックフィルム。
50<l+m+n≦100 ・・・ (1)
0≦l、m、n、o≦100 ・・・ (2)
0≦o≦50 ・・・ (3)
R2:任意の芳香族基
X:水素、ハロゲンまたは炭素数1〜3の炭化水素基
R4:任意の芳香族基
R6:任意の芳香族基
X:水素、ハロゲンまたは炭素数1〜3の炭化水素基
R8:任意の芳香族基
X:水素、ハロゲンまたは炭素数1〜3の炭化水素基 - 請求項1〜5のいずれかに記載のプラスチックフィルムを用いてなる画像表示素子用基板。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のプラスチックフィルムを用いてなる光ディスク基板。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のプラスチックフィルムを用いてなる太陽電池用基板。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2008093885A1 (ja) * | 2007-02-01 | 2008-08-07 | Teijin Dupont Films Japan Limited | 電気絶縁用二軸配向フィルム、それからなるフィルムコンデンサー構成部材およびそれからなるフィルムコンデンサー |
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-
2003
- 2003-07-23 JP JP2003200354A patent/JP2005041917A/ja active Pending
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