JP2018100395A - 芳香族ポリアミドフィルム - Google Patents

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敦司 沢本
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健太 西原
佃 明光
Akimitsu Tsukuda
佃  明光
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Abstract

【課題】剛性と靱性を併せ持ち、さらには高温での強度耐久性と分解安定性に優れる芳香族ポリアミドフィルムを提供すること。【解決手段】剛直性芳香族ポリアミドと柔軟性芳香族ポリアミドとがブロック共重合され、13C−NMR測定により得られるブロック指数が0.70〜0.90である芳香族ポリアミドフィルムとする。【選択図】なし

Description

本発明は芳香族ポリアミドフィルムに関するものである。
溶液製膜法により製造される芳香族ポリアミドフィルムは、高い耐熱性と剛性を備えたフィルムとして、磁気記録材料用途や回路基板用途などを中心に使用されている。
芳香族ポリアミドの中でも、ポリパラフェニレンテレフタルアミドに代表されるパラ配向性芳香族ポリアミドは、より高い耐熱性と剛性を有するが、一方でこのようなポリマーは一般にその分子構造の剛直性ゆえに、溶媒に対する溶解性やフィルムの靱性が低くなりやすく、プロセス特性とフィルム特性の両面で扱いが困難なことがある。そこで、パラ配向性を維持しつつ分子構造への屈曲鎖の導入などによりこれらの点を補う方法が知られており、例えば特許文献1に開示されている。しかしながら、従来の技術では屈曲鎖の導入により、ある程度の耐熱性や剛性の低下は避けられないのが現状である。
他方、芳香族ポリアミドフィルムのその他の用途展開として、多孔質構造を持たせることでリチウムイオン二次電池(LIB)などの非水電解質二次電池用セパレータとして用いることが提案されている(例えば特許文献2〜4)。特に車載用LIBにおいては、航続距離を延ばす目的で電池サイズ自体の大型化も相まって、ますます高容量・高密度化が進んでいる。そのため、正負極を隔離する部材であるセパレータには、より高温での耐久性と安定性が求められ、パラ配向性芳香族ポリアミドを用いることが好適である。
特許文献2は、芳香族ポリアミドからなる不織布や紙状シートのセパレータとしての用途を開示した例であるが、不織布や紙状シートでは50μm以下の薄い厚みで十分な強度を持ち、かつ繊維間の空隙がLIBでの使用に耐えるほど緻密なものを工業的に製造することは困難である。
一方、特許文献3では、ポリオレフィンからなるセパレータ上に芳香族ポリアミドとセラミック粉末の複合体を塗布することで耐熱性を向上させることが提案されている。この技術はセパレータの高温での寸法安定性を改善する上で一定の効果が認められるものの、ポリオレフィン樹脂が溶融する温度以上における絶縁保持性については満足な効果が得られない。
特許文献4は、パラ配向性芳香族ポリアミドを主成分とする多孔質膜を開示した例であるが、パラ配向性芳香族ポリアミドは先述のとおり剛直ゆえに分子間の凝集力が強く、相分離を利用して多孔質膜を得るには、相分離制御剤(例えば特許文献4ではポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー)の添加が必要となる。そのため、最終フィルムに残存する相分離制御剤により高温での安定性が低下することが課題である。
特開平9−31218号公報 特開平5−335005号公報 特開2000−30686号公報 特開2011−889785号公報
このように、芳香族ポリアミドの化学構造に柔軟な屈曲鎖を取り入れると、屈曲鎖の共重合比に応じて溶解性や靱性が向上するが、高温での強度耐久性や剛性が低下する。一方で屈曲鎖の少ない剛直な構造とすると、プロセス特性とフィルム特性の両面で扱いが困難となり、さらに多孔質構造を有するフィルムとして利用するには相分離制御剤が必要なため高温での分解安定性が低下するという二律背反が存在する。
本発明は、上記事情に鑑み、剛性と靱性を併せ持ち、さらには高温での強度耐久性と分解安定性に優れる芳香族ポリアミドフィルムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は以下の構成と特徴とする。
剛直性芳香族ポリアミドと柔軟性芳香族ポリアミドとがブロック共重合され、13C−NMR測定により得られるブロック指数が0.70〜0.90である芳香族ポリアミドフィルム。
本発明の芳香族ポリアミドフィルムは、剛直性芳香族ポリアミドと柔軟性芳香族ポリアミドとが特定の制御範囲でブロック共重合されているため、剛性と靱性を両立し、さらには高温での強度耐久性と分解安定性に優れる。そのため、磁気記録テープ基材や回路基板、二次電池用セパレータなどに好適に用いることができる。特に、本発明の芳香族ポリアミドフィルムを電池用セパレータとして用いた場合、何らかの原因で電池内部が高温に曝されても、電極間の絶縁膜としての機能を保持し続けることができる。
本発明において用いる芳香族ポリアミドとしては、次の化学式(1)で表される繰り返し単位を有する芳香族ポリアミド(以下、剛直性芳香族ポリアミドということがある)と化学式(2)で表される繰り返し単位を有する芳香族ポリアミド(以下、柔軟性芳香族ポリアミドということがある)とがブロック共重合された化学構造であることを特徴とする。
化学式(1):
Figure 2018100395
化学式(2):
Figure 2018100395
ここで、Arは化学式(3)または(4)に示される構造を有する。
化学式(3)、(4):
Figure 2018100395
また、Ar、Arは芳香環を有する基であり、Ar、Arのうち少なくともどちらか一方が、化学式(5)〜(8)のいずれかに示される構造を有する。
化学式(5)〜(8):
Figure 2018100395
ここで化学式(7)、(8)におけるX、Y、Zは、−O−、−CH−、−CO−、−S−、−SO−、−C(CH−のいずれかの基である。
また、化学式(1)および(2)の芳香環上の水素原子の一部が、フッ素、臭素、塩素などのハロゲン基、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基などの置換基で置換されていてもよい。
さらに、本発明において用いるポリマー(ブロック共重合された芳香族ポリアミド)は、13C−NMR測定により得られるブロック指数が0.70〜0.90であることを特徴とする。ブロック指数のより好ましい範囲は0.75〜0.88である。ブロック指数は13C−NMR測定により得られるアミドカルボニル炭素のピーク積分値を用いて、[{化学式(1)が連続する部位由来のピーク積分値}+{化学式(2)が連続する部位由来のピーク積分値}]/[ピーク積分値総和]で定義される。ここでピーク積分値総和は、化学式(1)が連続する部位由来のピーク積分値と化学式(2)が連続する部位由来のピーク積分値に化学式(1)と(2)が結合する部位由来のピーク積分値を加えた値である。つまり、ブロック指数は1−[化学式(1)と(2)が結合する部位由来のピーク積分値]/[ピーク積分値総和]と言い換えることもできる。化学式(1)または化学式(2)がそれぞれ連続する繰り返し数を持ってブロックを形成する化学構造の場合、その繰り返し数が大きくなるほど1.00に近づく。
なお、化学式(1)または(2)が連続する部位由来のピークのケミカルシフトは、化学式(1)または(2)それぞれのホモポリマーを測定することにより同定することができる。
ブロック指数を本発明の範囲内とすることで、剛直性芳香族ポリアミドの持つ高温での強度耐久性や剛性を損なうこと無く、柔軟性芳香族ポリアミドの持つ溶解性や靱性が特異的に発揮される。さらには後述のとおり、各ブロック間の相分離現象を利用することで、相分離制御剤を用いること無く均一かつ微細な多孔質構造を形成することが可能となる。これにより、特に高温において、貯蔵弾性率などの強度耐久性と質量減少率などの分解安定性に優れる芳香族ポリアミドフィルムが得られる。ブロック指数が0.70未満であると、それぞれのブロックの本来持つ特性が十分に得られないことがある。また、後述する方法で相分離制御剤を用いること無く多孔質構造を形成することができないことがある。一方、ブロック指数が0.90を超えると、いずれかのブロックが持つ特性が支配的となったり、特性がホモポリマー同士のブレンドポリマーに近づき、それぞれのブロックの本来持つ特性が十分に得られないことがある。さらに、本発明の重合法を用いてブロック指数が0.90を超えるポリマーを重合した場合、ポリマー中の未反応モノマーや低分子量物の含有率が高くなり、高温での質量減少率が本発明の範囲外となることがある。ブロック指数を上記範囲内とするために、後述する重合方法にてブロック共重合を形成させることが好ましい。特に、逐次法を用いる場合、第1段階の重合度を後述の範囲内に制御することが好ましい。
本発明において用いるポリマー(ブロック共重合された芳香族ポリアミド)は、ポリマー全体に対する化学式(1)で表される繰り返し単位の芳香族ポリアミドの割合が20〜80モル%であることが好ましい。より好ましくは30〜60モル%である。ポリマー全体に対する化学式(1)で表される繰り返し単位の芳香族ポリアミドの割合が20モル%未満であると、耐熱性や剛性が十分に得られず、貯蔵弾性率や質量減少率が本発明の範囲外となることがある。ポリマー全体に対する化学式(1)で表される繰り返し単位の芳香族ポリアミドの割合が80モル%を超えると、溶媒に対する溶解性が低く製造が困難になったり、硬く脆いフィルムとなることがある。また、後述する方法で相分離制御剤を用いること無く多孔質構造を形成することができなかったり、ガーレ透気度が本発明の範囲内とならないことがある。
本発明の芳香族ポリアミドフィルムは、例えば後述の方法で製膜することにより、単膜あるいはポリオレフィン多孔質膜の少なくとも一方の上に形成した積層状態にて、多孔質構造を有する芳香族ポリアミドフィルムとすることができる。多孔質構造を有する芳香族ポリアミドフィルムのガーレ透気度は0.1〜300秒/100mlであることが好ましく、1〜200秒/100mlであることがより好ましい。ガーレ透気度が0.1秒/100mlより小さいと強度が低下し、加工時にフィルムの破断が起きたり、電池用セパレータとして使用したときに電極間の短絡が起き易くなることがある。ガーレ透気度が300秒/100mlより大きいと、膜抵抗が高く、電池用セパレータとして使用したときに、出力特性の低下が起きたり、繰り返し使用した際に容量劣化が大きくなることがある。ガーレ透気度を上記範囲内とするため、芳香族ポリアミドの化学構造を上述のとおりとし、多孔質構造を後述の条件で形成させることが好ましい。特に芳香族ポリアミドのブロック指数を本発明の範囲内で高くするほど、相分離が促進されることで孔形成が均一に進行し、ガーレ透気度を小さくすることができる。
なお、ポリオレフィン多孔質膜の少なくとも一方の上に多孔質構造を有する芳香族ポリアミドフィルムを形成(積層)した積層多孔質膜から芳香族ポリアミドフィルムのみのガーレ透気度を計測する場合は、積層多孔質膜全体のガーレ透気度からポリオレフィン多孔質膜のみのガーレ透気度を減ずることで算出する。ポリオレフィン多孔質膜のガーレ透気度が不明の場合は、以下の方法でポリオレフィン多孔質膜を分離して測定を行うことができる。
[積層多孔質膜100質量部に対して100質量部の濃硫酸中に60℃加温下で24時間浸漬することで積層多孔質膜から芳香族ポリアミドフィルムを取り除く。その後、流水で洗浄し、減圧乾燥機にて80℃で12時間乾燥させることで、ポリオレフィン多孔質膜を分離する。]
本発明の芳香族ポリアミドフィルムは、300℃における貯蔵弾性率が50〜1,000MPaであることが好ましい。より好ましくは100〜1,000MPaである。300℃における貯蔵弾性率が50MPa未満であると、高温で使用した際の強度が低く、破れなどが生じることがある。また、多孔質構造を有する芳香族ポリアミドフィルムを電池用セパレータとして使用したときに、何らかの原因で電池内部が高温に曝された際、電極間の絶縁が保持できないことがある。300℃における貯蔵弾性率を上記範囲内とするため、芳香族ポリアミドの化学構造を上述のとおりとし、後述の製膜方法でフィルム化することが好ましい。剛直性芳香族ポリアミドの割合が本発明の範囲内で高いほど、また、ブロック指数が本発明の範囲内で高いほど、300℃における貯蔵弾性率を高くことができる。
本発明の芳香族ポリアミドフィルムは、400℃で1時間保持後の質量減少率が0〜12質量%であることが好ましい。より好ましくは0〜8質量%である。400℃で1時間保持後の質量減少率が12質量%を超えると、高温で使用した際に強度低下やガス発生が生じることがある。また、多孔質構造を有する芳香族ポリアミドフィルムを電池用セパレータとして使用したときに、何らかの原因で電池内部が高温に曝された際、ガス発生により電池内圧の上昇を招くことがある。400℃で1時間保持後の質量減少率を上記範囲内とするため、芳香族ポリアミドの化学構造を上述のとおりとし、後述の製膜方法でフィルム化することが好ましい。特に多孔質構造を有する芳香族ポリアミドフィルムとする場合、芳香族ポリアミドのブロック指数を本発明の範囲内として、高温での分解の原因となりうる相分離制御剤を用いること無く多孔質構造を形成させることが好ましい。
次に、本発明の芳香族ポリアミドフィルムの製造方法について説明する。
まず、芳香族ポリアミドを、例えばジアミンと酸ジクロライドを原料として重合する場合には、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホオキシドなどの非プロトン性有機極性溶媒中での重合や、水系媒体を使用する界面重合などで合成することができる。ポリマーの分子量やブロック指数を制御しやすいことから、非プロトン性有機極性溶媒中での重合が好ましい。以下、非プロトン性有機極性溶媒中での重合方法について記載する。分子量の高いポリマーを得るために、重合に使用する溶媒の水分率を500ppm以下(質量基準、以下同様)とすることが好ましく、200ppmとすることがより好ましい。使用するジアミンおよび酸ジクロライドは、吸湿に注意し、純度が高いものを用いることが好ましい。また、芳香族ポリアミドの重合反応は発熱を伴うが、重合系の温度が上がると、副反応が起きて重合度が十分に上がらないことがあるため、重合中の溶液の温度を40℃以下に冷却することが好ましい。重合中の溶液の温度は30℃以下にすることがより好ましい。さらに、酸ジクロライドとジアミンを原料とする場合、重合反応に伴って塩化水素が副生するため、これを中和する場合には炭酸リチウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウムなどの無機の中和剤、あるいは、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、アンモニア、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン等の有機の中和剤を使用するとよい。
本発明で用いるポリマー(ブロック共重合された芳香族ポリアミド)は、剛直性芳香族ポリアミドと柔軟性芳香族ポリアミドとがブロック共重合された化学構造であることを特徴とする。このとき、まず第1段階として剛直性芳香族ポリアミドあるいは柔軟性芳香族ポリアミドのいずれかを重合した後、第2段階として同一反応系にもう一方の原料モノマーを添加して重合を進める逐次法にてブロック共重合化してもよいし、剛直性芳香族ポリアミドと柔軟性芳香族ポリアミドとを別々の反応系でそれぞれ重合した後、両者を少量のモノマーと共に混合して重合するバッチ法にてブロック共重合化してもよい。生産性および得られるポリマーの分子量分布の均一性から、逐次法を用いることが好ましい。
逐次法を用いる場合、第1段階の重合度、すなわち繰り返し単位数を制御することが重要である。本発明では、第1段階の繰り返し単位数を制御することで、第2段階の繰り返し単位数、そして最終ポリマーのブロック指数を制御することが可能である。つまり、第1段階の繰り返し単位数が大きいほど、第2段階の繰り返し単位数および最終ポリマーのブロック指数が大きくなる。ここで第1段階の平均繰り返し単位数は20〜200であることが好ましく、40〜150であることがより好ましい。さらに好ましくは、60〜120である。第1段階の平均繰り返し単位数が20未満であると、ブロック指数が本発明の範囲外となり、ランダム共重合に近い特性となることがある。第1段階の平均繰り返し単位数が200を超えると、第1段階のブロックが持つ特性が支配的となったり、ホモポリマー同士のブレンドに近づき、それぞれのブロックが持つ特性の間の特性を発現することがある。また、第2段階の重合が十分に進行しないことで最終ポリマー中の未反応モノマーや低分子量物の含有率が高くなり、高温での質量減少率が本発明の範囲外となることがある。平均繰り返し単位数はゲル浸透クロマトグラフにて測定される数平均分子量を繰り返し単位あたりの分子量にて除することで算出することできる。第1段階の繰り返し単位数は、重合時に添加するジアミンと酸ジクロライドのモル比r(≦1)にて制御することができ、一般に重縮合反応における平均繰り返し単位数は(1+r)/(1−r)にてある程度の推定が可能である(例えば、改訂 高分子合成の化学 第2板 221頁、ISBN:4−7598−0137−5)。このことから、第1段階においてジアミンと酸ジクロライドどちらかの成分が過剰に存在すると十分な繰り返し単位数が得られないことがわかる。例えば、ジアミン2成分(A:B=1:1)と酸ジクロライド1成分(C)の3成分を逐次法にてブロック共重合する場合、第1段階でC全量に対してAを添加する方法では、その時点のr=0.5であり、理論上の繰り返し単位数は3に留まる。そのため、この場合はCを第1段階用と第2段階用に分割して反応させることが、本発明においては好ましい。
本発明で用いるポリマー(ブロック共重合された芳香族ポリアミド)の対数粘度(ηinh)は2.0〜5.0dl/gであることが好ましく、2.2〜3.5dl/gであることがより好ましい。対数粘度が2.0dl/g未満であると、フィルムの剛性、靱性、耐熱性などが本発明の範囲外となることがある。一方、対数粘度が5.0dl/gを超えると、溶液の粘度が高く、製膜性が低化することがある。
次に、本発明の芳香族ポリアミドフィルムを製造する際に用いる製膜原液について説明する。製膜原液にはブロック共重合後のポリマー溶液をそのまま使用してもよく、あるいは、ポリマー(ブロック共重合された芳香族ポリアミド)を一度単離してから上記の非プロトン性有機極性溶媒や硫酸などに再溶解して製膜原液を調製してもよい。ポリマー(ブロック共重合された芳香族ポリアミド)を単離する方法としては、特に限定しないが、ブロック共重合後のポリマー溶液を多量の水中に投入することで溶媒および中和塩を水中に抽出し、析出したポリマー(ブロック共重合された芳香族ポリアミド)のみを分離した後、乾燥させる方法などが挙げられる。また、再溶解時に溶解助剤として金属塩などを添加してもよい。金属塩としては、アルカリ金属またはアルカリ土類金属のハロゲン化物が好ましく、例えば、塩化リチウム、臭化リチウム、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、塩化カリウム、臭化カリウムなどが挙げられる。
また、製膜原液には、無機粒子や有機粒子を添加してもよい。無機粒子としては、例えば、湿式および乾式シリカ、コロイダルシリカ、珪酸アルミ、酸化チタン、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、酸化チタン、酸化亜鉛(亜鉛華)、酸化アンチモン、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化錫、酸化ランタン、酸化マグネシウム、炭酸バリウム、炭酸亜鉛、塩基性炭酸鉛(鉛白)、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸鉛、硫化亜鉛、マイカ、雲母チタン、タルク、クレー、カオリン、フッ化リチウム及びフッ化カルシウムなどが挙げられる。有機粒子としては、例えば、高分子化合物を架橋剤を用いて架橋した粒子が挙げられる。このような架橋粒子として、ポリメトキシシラン系化合物の架橋粒子、ポリスチレン系化合物の架橋粒子、アクリル系化合物の架橋粒子、ポリウレタン系化合物の架橋粒子、ポリエステル系化合物の架橋粒子、フッ素系化合物の架橋粒子、もしくはこれらの混合物などが挙げられる。
上記のように調製された製膜原液は、いわゆる溶液製膜法によりフィルム化される。溶液製膜法としては特に限定されないが、通常のフィルム化においては乾湿式法が好ましく、また、多孔質構造を有するフィルム化においては析出法が好ましい。
まず、乾湿式法での製膜方法を説明する。初めに製膜原液をガラス板やドラム、エンドレスベルトなどの支持体上にキャストして、支持体からの伝熱およびキャスト膜表面への熱風によりキャスト膜中の溶媒を蒸発させて乾燥を行う。この時、溶媒の乾燥速度は3〜30質量%/分であることが好ましい。また、乾燥温度は100〜200℃であることが好ましく、より好ましくは120〜180℃である。
乾式工程を終えたフィルムは支持体から剥離されて、湿式工程に導入され、脱溶媒が行なわれる。ここで、湿式工程の湿式浴は一般的に水系であるが、水の他に少量の無機や有機溶媒あるいは無機塩などを含んでいてもよい。このとき、浴温度は30〜90℃が好ましく、60〜80℃がより好ましい。浴温度が30℃未満では、脱溶媒が十分に行われず、最終フィルムの残存揮発分が目的の範囲を満たさないことがある。さらに、フィルムと溶媒間の境膜抵抗を減少させるため、浴内を撹拌することも効果的である。また、必要に応じて湿式工程中でフィルムを長手方向に延伸してもよい。
湿式工程を経たフィルムは水分を乾燥後、必要に応じて幅方向に延伸を行いながら熱処理が施されてフィルムとなる。幅方向の延伸温度は230〜350℃の温度範囲内で行うことがフィルムの機械特性向上に有効であり、この時の延伸倍率は0.9〜3.0倍の範囲内とすることが好ましい。また、フィルムの延伸中あるいは延伸後に熱処理が行なわれるが、熱処理温度は250〜400℃の範囲内にあることが好ましい。
次に、析出法による多孔質構造を有するフィルムの製膜方法を説明する。本発明の芳香族ポリアミドフィルムは剛直性芳香族ポリアミドと柔軟性芳香族ポリアミドとがブロック共重合されたポリマーを用いていることを特徴とする。そのため、各ブロック間の相分離現象を利用することで、相分離制御剤などの添加剤を用いること無く、以下の製膜方法により均一かつ微細な多孔質構造を形成することが可能である。
初めに製膜原液をガラス板やドラム、エンドレスベルトなどの支持体上、あるいはポリオレフィン多孔質膜の少なくとも一方の上に形成して積層多孔質膜とする場合はポリオレフィン多孔質膜上にキャストすることによって膜状とした後、貧溶媒である水を吸収させることにより、ポリマーを析出させる。この時、水を吸収させる方法としては、水や貧溶媒からなる凝固浴に導入する方法、調温調湿雰囲気下で徐々に吸湿させる方法、あるいはこれらの組み合わせで、調温調湿雰囲気下で吸湿後、凝固浴に導入する方法などが挙げられる。析出したフィルムは、次に支持体ごと、あるいは支持体から剥離して湿式工程に導入され、脱溶媒が行なわれる。また、このとき必要に応じてフィルムを長手方向に延伸してもよい。湿式工程の湿式浴は一般的に水系であるが、水の他に少量の無機や有機溶媒あるいは無機塩などを含んでいてもよい。湿式工程を経たフィルムは水分を乾燥後、必要に応じて幅方向に延伸を行いながら熱処理が施されて多孔質構造を有するフィルムとなる。熱処理温度は80〜350℃の範囲内であることが好ましい。
本発明の芳香族ポリアミドフィルムは、剛直性芳香族ポリアミドと柔軟性芳香族ポリアミドとが特定の制御範囲でブロック共重合されていることを特徴とする。そのため、本発明の芳香族ポリアミドフィルムは剛性と靱性を両立し、さらには高温での強度耐久性と分解安定性に優れる。これらの特性により、磁気記録テープ基材や回路基板、二次電池用セパレータなどに好適に用いることができる。特に、本発明の芳香族ポリアミドフィルムを電池用セパレータとして用いた場合、何らかの原因で電池内部が高温に曝されても、電極間の絶縁膜としての機能を保持し続けることができる。
[物性の測定方法ならびに効果の評価方法]
実施例における物性の測定方法は次の方法に従って行った。
(1)数平均分子量、平均繰り返し単位数
以下の条件でゲル浸透クロマトグラフ(GPC)法により数平均分子量(Mn)を測定した。また、数平均分子量(Mn)を繰り返し単位あたりの分子量で除することで、平均繰り返し単位数を算出した。
装置:ゲル浸透クロマトグラフ GPC、示差屈折率検出器RI−71型(昭和電工社製)
カラム:TSK gel α−M φ7.8mm×30cm×2本(東ソー社製)
溶媒:0.05M 臭化リチウム添加ジメチルアセトアミド(DMAc)
流速:0.8mL/min
カラム温度:23℃
注入量:0.2mL
標準試料:単分散ポリスチレン(東ソー社製)、トルエン(ナカライテスク社製)
データ処理:GPCデータ処理システム(東レリサーチセンター社製)
(2)対数粘度(ηinh
臭化リチウムを2.5質量%含有したN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に、ポリマーを0.5g/dlの濃度で溶解させ、ウベローデ粘度計を使用して、30℃にて流下時間を測定した。ポリマーを溶解させないブランク溶液の流下時間も同様に測定し、下式を用いて対数粘度(ηinh)を算出した。
ηinh(dl/g)=[ln(t/t)]/0.5
t:ポリマー溶液の流下時間(sec)
:ブランク溶液の流下時間(sec)
(3)ブロック指数
以下の条件で13C−NMR測定を実施した。
使用装置:ECZ−600R(JEOL RESONANCE社製)
プローブ:Super COOL 開放型プローブ
測定方法:single13C pulse
with inverse gated 1H decoupling
観測核:13
観測周波数:150.0MHz
パルス幅:5.25μs(45°pulse)
外管溶媒:DMSO−d(ロック溶媒)
内管溶媒:NMP
化学シフト基準:溶媒由来ピークのピークトップを39.5ppmとした。
観測幅:37900Hz(250ppm)
データポイント数:32768
待ち時間:2.1秒
積算回数:14000回
測定温度:100℃
試料回転数:15Hz
ブロック指数は、アミドカルボニル炭素に帰属するピーク積分値から、下記式により算出した。
ブロック指数=1−[化学式(1)と(2)が結合する部位由来のピーク積分値]/[ピーク積分値総和]
(4)芳香族ポリアミド含有量
ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)に、低角度レーザー光散乱光度計(LALLS)および示差屈折率計(RI)を組み入れ、GPC装置でサイズ分別された溶液の光散乱強度を、溶出時間を追って測定することにより、各溶質の含有量を定量した。なお、GPCにより分離した各溶質のうち、芳香族ポリアミドの同定は、(3)に記載の13C−NMR測定により行った。測定条件を以下に示す。
A.GPC
(1)と同一の条件である。
B.LALLS
装置:CMX−100型低角度レーザー光散乱光度計(Chromatix社製)
波長:633nm(He−Ne)
C.データ処理:GPC−LALLSデ−タ処理システム(東レリサーチセンター社製)
(5)厚み
定圧厚み測定器FFA−1(尾崎製作所社製)を用いて試料の厚み(μm)を測定した。測定子径は5mm、測定荷重は1.25Nである。試料の幅方向に10点測定し、平均値を求めた。
(6)貯蔵弾性率
JIS−K7244(1999)に従って、以下の条件で粘弾性特性の温度依存性を測定した。この測定結果から、300℃での貯蔵弾性率(E’)を求めた。
装置:動的粘弾性測定装置DMS6100(セイコーインスツルメンツ社製)
測定モード:引張モード
駆動周波数:1Hz
温度範囲:23〜350℃(昇温速度:5℃/min)
(7)質量減少率
試料を真空オーブンにて減圧下(−0.1MPaG)、120℃で24時間加熱し、試料の吸湿水分を除去した後、以下の条件で測定した。
装置:熱重量測定装置TGA−50H、解析装置TA−60WS(島津製作所社製)
試料量:18〜19mg
試料容器:アルミニウム製標準容器
測定雰囲気:窒素(20mL/min)
温度条件:23℃から400℃まで昇温(10℃/min)後、400℃で1時間保持
得られた測定結果から下式により、質量減少率を求めた。
質量減少率(質量%)=[(W−W)/W)]×100
:150℃における質量(mg)
:400℃で1時間保持後の質量(mg)
(8)ガーレ透気度
B型ガーレデンソメーター(安田精機製作所社製)を使用し、JIS−P8117(1998)に規定された方法に従って、試料のガーレ透気度(秒/100ml)の測定を行った。試料を直径28.6mm、面積642mmの円孔に締め付け、内筒により(内筒質量567g)、筒内の空気を試験円孔部から筒外へ通過させ、空気100mlが通過する時間を測定することでガーレ透気度とした。
(9)ヤング率
幅10mm、測定方向に長さ150mmに切断した試料を、ロボットテンシロンAMF/RTA−100(オリエンテック社製)を用いてチャック間距離50mm、引張速度300mm/分、温度23℃、相対湿度65%の条件下で引張試験を行い、得られた荷重−伸び曲線から求めた。
(実施例1)
脱水したN−メチル−2−ピロリドンにジアミン全量に対して50.0モル%に相当する4,4’−ジアミノジフェニルエーテルを溶解させた。その溶液にジアミン全量に対して48.6モル%に相当する2−クロロ−テレフタル酸クロライドを氷冷下で添加して1時間撹拌し、第1段階の芳香族ポリアミドを得た。この時点での平均繰り返し単位数は55であった。次に、この重合溶液中にジアミン全量に対して50.0モル%に相当する2−クロロ−1,4−フェニレンジアミンを添加し、溶解させた。その後、ジアミン全量に対して50.2モル%に相当する2−クロロ−テレフタル酸クロライドを氷冷下で添加して1時間撹拌することで、芳香族ポリアミドを重合した。得られた重合溶液を、酸ジクロライド全量に対して97モル%の炭酸リチウムおよび6モル%のジエタノールアミンにて中和し、芳香族ポリアミド濃度が11質量%である溶液を得た。得られた芳香族ポリアミドの対数粘度ηinhは2.6dl/gであった。
以上で得られた芳香族ポリアミド溶液を、支持体であるガラス板上に膜状にキャストして、120℃のオーブンにてフィルムが自己支持性を持つまで5分間乾燥させた。次に、フィルムを支持体から剥離し、金属枠に固定して、水温30℃の水槽内で10分間洗浄を行った。洗浄後、取り出したフィルム両面の水滴をガーゼで拭き取り、金枠に固定したまま、280℃のオーブンにて1分間熱処理することで、厚み10μmの芳香族ポリアミドフィルムを得た。
得られた芳香族ポリアミドおよび芳香族ポリアミドフィルムの物性を表1に示す。
なお、芳香族ポリアミドのブロック指数は、13C−NMR測定にて得られたスペクトルのうち、アミドカルボニル炭素に帰属するケミカルシフト162.0〜164.0ppmのピークを用いて、下記式から算出した。
ブロック指数=1−[(C)の一方に(A)、もう一方に(B)が結合する部位由来のピーク積分値]/[ピーク積分値総和]
ただし、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルを(A)、2−クロロ−1,4−フェニレンジアミンを(B)、2−クロロ−テレフタル酸クロライドを(C)とする。
ここで、(C)の一方に(A)、もう一方に(B)が結合する部位由来のピーク積分値は、162.6〜162.7ppmに発現する(A)側のアミドカルボニル炭素に帰属するピークと163.5〜163.6ppmに発現する(B)側のアミドカルボニル炭素に帰属するピークの積分値の和を、また、ピーク積分値総和には162.0〜164.0ppmに発現するピークの積分値総和を用いた。
(実施例2)
第1段階、第2段階の2−クロロ−テレフタル酸クロライドの添加量を、それぞれジアミン全量に対して49.2モル%、49.6モル%とすること以外は実施例1と同様にして芳香族ポリアミドフィルムを得た。得られた芳香族ポリアミドおよび芳香族ポリアミドフィルムの物性を表1に示す。
(実施例3)
第1段階のモノマーをジアミン全量に対して30.0モル%に相当する4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、ジアミン全量に対して29.5モル%に相当する2−クロロ−テレフタル酸クロライドとし、第2段階のモノマーをジアミン全量に対して70.0モル%に相当する2−クロロ−1,4−フェニレンジアミン、ジアミン全量に対して69.0モル%に相当する2−クロロ−テレフタル酸クロライドとすること以外は実施例1と同様にして芳香族ポリアミドフィルムを得た。得られた芳香族ポリアミドおよび芳香族ポリアミドフィルムの物性を表1に示す。
(実施例4)
実施例1と同様にして芳香族ポリアミド溶液を得た。得られた芳香族ポリアミド溶液を、支持体であるガラス板上に膜状にキャストして、温度50℃、相対湿度85%RHの調温調湿空気中で1分間、フィルムが失透するまで処理した。次に、フィルムを支持体から剥離し、金属枠に固定して、水温30℃の水槽内で10分間洗浄を行った。洗浄後、取り出したフィルム両面の水滴をガーゼで拭き取り、金枠に固定したまま、280℃のオーブンにて1分間熱処理することで、厚み15μmで多孔質構造を有する芳香族ポリアミドフィルムを得た。得られた芳香族ポリアミドおよび芳香族ポリアミドフィルムの物性を表1に示す。
(実施例5)
実施例2と同様にして芳香族ポリアミド溶液を得た。得られた芳香族ポリアミド溶液を用いて、実施例4と同様にして製膜することにより、多孔質構造を有する芳香族ポリアミドフィルムを得た。得られた芳香族ポリアミドおよび芳香族ポリアミドフィルムの物性を表1に示す。
(実施例6)
第1段階のモノマーをジアミン全量に対して70.0モル%に相当する4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、ジアミン全量に対して68.5モル%に相当する2−クロロ−テレフタル酸クロライドとし、第2段階のモノマーをジアミン全量に対して30.0モル%に相当する2−クロロ−1,4−フェニレンジアミン、ジアミン全量に対して30.9モル%に相当する2−クロロ−テレフタル酸クロライドとすること以外は実施例1と同様にして芳香族ポリアミド溶液を得た。得られた芳香族ポリアミド溶液を用いて、実施例4と同様にして製膜することにより、多孔質構造を有する芳香族ポリアミドフィルムを得た。得られた芳香族ポリアミドおよび芳香族ポリアミドフィルムの物性を表1に示す。
(実施例7)
第1段階、第2段階の2−クロロ−テレフタル酸クロライドの添加量を、それぞれジアミン全量に対して69.0モル%、30.4モル%とすること以外は実施例6と同様にして多孔質構造を有する芳香族ポリアミドフィルムを得た。得られた芳香族ポリアミドおよび芳香族ポリアミドフィルムの物性を表1に示す。
(実施例8)
第1段階、第2段階の2−クロロ−テレフタル酸クロライドの添加量を、それぞれジアミン全量に対して69.4モル%、30.0モル%とすること以外は実施例6と同様にして多孔質構造を有する芳香族ポリアミドフィルムを得た。得られた芳香族ポリアミドおよび芳香族ポリアミドフィルムの物性を表1に示す。
(実施例9)
脱水したN−メチル−2−ピロリドンにジアミンとして2,2’−ジトリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニルを溶解させた。その溶液にジアミン全量に対して50.0モル%に相当するイソフタロイルクロライドを氷冷下で添加して1時間撹拌し、第1段階の芳香族ポリアミドを得た。この時点での平均繰り返し単位数は34であった。次に、この重合溶液中にジアミン全量に対して48.5モル%に相当するテレフタロイルクロライドを氷冷下で添加して1時間撹拌することで、芳香族ポリアミドを重合した。
以降は、実施例1と同様にして芳香族ポリアミドフィルムを得た。得られた芳香族ポリアミドおよび芳香族ポリアミドフィルムの物性を表1に示す。
(比較例1)
脱水したN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に、ジアミン全量に対して50モル%に相当する2−クロロ−1,4−フェニレンジアミンと50モル%に相当する4,4’−ジアミノジフェニルエーテルを混合して溶解させた。その溶液に、ジアミン全量に対して98.8モル%に相当する2−クロロテレフタル酸クロライドを氷冷下で添加して1時間撹拌することで、芳香族ポリアミドを重合した。以降、実施例1と同様にして中和および製膜を行うことで芳香族ポリアミドフィルムを得た。得られた芳香族ポリアミドおよび芳香族ポリアミドフィルムの物性を表1に示す。なお、貯蔵弾性率は270℃を超えたところでフィルム形状を維持できず破断したため、測定不可であった。
(比較例2)
第1段階、第2段階の2−クロロ−テレフタル酸クロライドの添加量を、それぞれジアミン全量に対して25.0モル%、73.8モル%とすること以外は実施例1と同様にして芳香族ポリアミドフィルムを得た。得られた芳香族ポリアミドおよび芳香族ポリアミドフィルムの物性を表1に示す。
(比較例3)
第1段階、第2段階の2−クロロ−テレフタル酸クロライドの添加量を、それぞれジアミン全量に対して15.0モル%、83.5モル%とすること以外は実施例3と同様にして芳香族ポリアミドフィルムを得た。得られた芳香族ポリアミドおよび芳香族ポリアミドフィルムの物性を表1に示す。
(比較例4)
脱水したN−メチル−2−ピロリドン(NMP)にジアミン全量に対して100.0モル%に相当する2−クロロ−テレフタル酸クロライドを溶解させた。その溶液にジアミン全量に対して50.0モル%に相当する4,4’−ジアミノジフェニルエーテルを氷冷下で添加して1時間撹拌し第1段階の芳香族ポリアミドを得た。次に、この重合溶液中にジアミン全量に対して48.8モル%に相当する2−クロロ−1,4−フェニレンジアミンを氷冷下で添加して1時間撹拌することで、芳香族ポリアミドを重合した。以降、実施例1と同様にして中和および製膜を行うことで芳香族ポリアミドフィルムを得た。得られた芳香族ポリアミドおよび芳香族ポリアミドフィルムの物性を表1に示す。
(比較例5)
第1段階、第2段階の2−クロロ−テレフタル酸クロライドの添加量を、それぞれジアミン全量に対して64.0モル%、35.4モル%とすること以外は実施例6と同様にして多孔質構造を有する芳香族ポリアミドフィルムを得た。得られた芳香族ポリアミドおよび芳香族ポリアミドフィルムの物性を表1に示す。
(比較例6)
比較例5と同様にして芳香族ポリアミドを重合した。得られた芳香族ポリアミドに、ポリビニルピロリドン(PVP、K90)、純水、希釈用のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を以下の組成となるように添加し、60℃で2時間撹拌することで製膜原液を得た。製膜原液中のそれぞれの成分の含有量は製膜原液100質量%に対して、芳香族ポリアミド:10質量%、PVP:5質量%、純水:5質量%であり、残りの80質量%はNMPおよび重合原液に含まれる中和塩(塩化リチウム、ジエタノールアミン塩酸塩)である。以降は、実施例4と同様にして多孔質構造を有する芳香族ポリアミドフィルムを得た。得られた芳香族ポリアミドおよび芳香族ポリアミドフィルムの物性を表1に示す。
(比較例7)
第1段階、第2段階の2−クロロ−テレフタル酸クロライドの添加量を、それぞれジアミン全量に対して70.0モル%、29.4モル%とすること以外は実施例6と同様にして多孔質構造を有する芳香族ポリアミドフィルムを得た。得られた芳香族ポリアミドおよび芳香族ポリアミドフィルムの物性を表1に示す。
(比較例8)
脱水したN−メチル−2−ピロリドンにジアミンとして2,2’−ジトリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニルを溶解させた。その溶液にジアミン全量に対して50.0モル%に相当するイソフタロイルクロライドとジアミン全量に対して48.5モル%に相当するテレフタロイルクロライドの混合物を氷冷下で添加して1時間撹拌することで、芳香族ポリアミドを重合した。
以降は、実施例1と同様にして芳香族ポリアミドフィルムを得た。得られた芳香族ポリアミドおよび芳香族ポリアミドフィルムの物性を表1に示す。
Figure 2018100395

Claims (6)

  1. 化学式(1)で表される繰り返し単位を有する芳香族ポリアミドと化学式(2)で表される繰り返し単位を有する芳香族ポリアミドとがブロック共重合された構造を有し、13C−NMR測定により得られるブロック指数が0.70〜0.90である芳香族ポリアミドフィルム。
    化学式(1):
    Figure 2018100395
    化学式(2):
    Figure 2018100395
    ここで、Arは化学式(3)または(4)に示される構造を有する。
    化学式(3)、(4):
    Figure 2018100395
    また、Ar、Arは芳香環を有する基であり、Ar、Arのうち少なくともどちらか一方が、化学式(5)〜(8)のいずれかに示される構造を有する。
    化学式(5)〜(8):
    Figure 2018100395
    ここで化学式(7)、(8)におけるX、Y、Zは、−O−、−CH−、−CO−、−S−、−SO−、−C(CH−のいずれかの基である。
  2. 化学式(1)におけるArが化学式(3)に示される構造である、請求項1に記載の芳香族ポリアミドフィルム。
  3. 化学式(1)で表される繰り返し単位を有する芳香族ポリアミドの割合が20〜80モル%である、請求項1または2に記載の芳香族ポリアミドフィルム。
  4. 多孔質構造を有し、ガーレ透気度が0.1〜300秒/100mlである、請求項1〜3のいずれかに記載の芳香族ポリアミドフィルム。
  5. 300℃における貯蔵弾性率が50〜1,000MPaである、請求項1〜4のいずれかに記載の芳香族ポリアミドフィルム。
  6. 400℃で1時間保持後の質量減少率が0〜12質量%である、請求項1〜5のいずれかに記載の芳香族ポリアミドフィルム。
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