JP2005041913A - 発泡体用オレフィン系エラストマー組成物及びその用途 - Google Patents
発泡体用オレフィン系エラストマー組成物及びその用途 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2005041913A JP2005041913A JP2003200164A JP2003200164A JP2005041913A JP 2005041913 A JP2005041913 A JP 2005041913A JP 2003200164 A JP2003200164 A JP 2003200164A JP 2003200164 A JP2003200164 A JP 2003200164A JP 2005041913 A JP2005041913 A JP 2005041913A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- ethylene
- olefin
- foam
- copolymer
- foaming agent
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Abstract
【課題を解決する手段】エチレン・α−オレフィン共重合体(A)、シリコーン樹脂(B)および発泡剤(C)とを含有してなり、
エチレン・α−オレフィン共重合体(A)70〜99.9重量%、シリコーン樹脂(B)30〜0.1重量%(ここで、(A)および(B)の合計量は合わせて100重量%となる)からなることを特徴とする発泡体用オレフィン系エラストマー組成物である。
Description
【発明の技術分野】
本発明は、発泡体用オレフィン系エラストマー組成物及びその用途に関し、さらに詳しくは、低比重でしかも引張強度特性、引裂強度特性、反撥弾性および耐磨耗性に優れた発泡体(非架橋および架橋発泡体)を提供し得る組成物、およびその発泡体に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
低比重すなわち軽量、かつ、柔軟で、機械強度の高い樹脂を得るために、架橋発泡体を用いる技術は、建築内外装材、内装材やドアグラスラン等の自動車部品、包装材料、日用品等に広く用いられている。これは、軽量化のために樹脂を発泡させただけでは、機械強度の低下を招くため、樹脂の架橋反応により分子鎖を結合させることで、機械強度の低下を抑制しつつ、発泡による軽量化を達成することが可能であることによる。
【0003】
また、スポーツシューズ等の靴底(主にミッドソール)にも、樹脂の架橋発泡体が使用されているが、これは軽量で、かつ長期間の使用による変形を抑え、過酷な使用条件に耐え得る機械強度を有する材料が求められているためである。従来、靴底用には、エチレン・酢酸ビニル共重合体の架橋発泡体が使用され、広く知られているが、このエチレン・酢酸ビニル共重合体組成物を用いて成形される架橋発泡体は、比重が高く、かつ低圧縮永久歪み性に劣るため、たとえば靴底に用いた場合、重く、かつ長期の使用により靴底が圧縮され反撥弾性等の機械強度が失われていくという問題がある。
【0004】
特表平9−501447号公報、特開平11−206406号公報には、エチレン・α− オレフィン共重合体を用いた架橋発泡体、エチレン・酢酸ビニル共重合体とエチレン・α− オレフィン共重合体との混合物を用いた架橋発泡体に係る発明がそれぞれ記載されているが、これらの発明では、低比重性、低永久圧縮歪み性が改良されるものの、耐磨耗性の点においてまだ充分な性能が得られていない。(特許文献1、2)
したがって、低比重で圧縮永久歪み(CS)が小さく、引裂強度特性および反撥弾性に優れ、しかも耐磨耗性に優れたオレフィン系エラストマー発泡体を提供し得る発泡体用オレフィン系エラストマー組成物、およびその発泡体の出現が望まれている。
【0005】
【特許文献1】特表平9−501447号公報
【0006】
【特許文献2】特開平11−206406号公報
【0007】
【発明の目的】
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題を解決しようとするものであって、低比重で圧縮永久歪み(CS)が小さく、引裂強度特性および反撥弾性に優れ、しかも耐磨耗性に優れたオレフィン系エラストマー発泡体を提供し得る発泡体用オレフィン系エラストマー組成物、およびその発泡体を提供することを目的としている。
【0008】
また、本発明は、上記オレフィン系エラストマー発泡体からなる履き物用部品たとえば靴底、靴のミッドソール、靴のインナーソール、サンダルを提供することを目的としている。
【0009】
【発明の概要】
本発明に係る発泡体用オレフィン系エラストマー組成物及びその用途は、エチレン・α−オレフィン共重合体(A)、シリコーン樹脂(B)および発泡剤(C)とを含有してなり、
エチレン・α−オレフィン共重合体(A)70〜99.9重量%、シリコーン樹脂(B)30〜0.1重量%(ここで、(A)および(B)の合計量は合わせて100重量%となる)からなることを特徴とする発泡体用オレフィン系エラストマー組成物である。
【0010】
また、前記エチレン・α−オレフィン共重合体(A)が以下の性質を有することを特徴とする発泡体用オレフィン系エラストマー組成物である。
(i)密度(ASTM D1505,23℃)が0.857〜0.915g/cm3の範囲
にあり、
(ii)190℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレート(MFR2)
(ASTM D1238、荷重2.16kg、190℃)が0.1〜20g/10分の範囲にあり、
(iii)GPC法により評価される分子量分布の指数:Mw/Mnが1.5〜4
の範囲にある。
また、前記エチレン・α−オレフィン共重合体(A)が以下の性質を有することを特徴とする発泡体用オレフィン系エラストマー組成物である。
(iv) 190℃、10kg荷重におけるメルトフローレート(MFR10)と
190℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレート(MFR2)との比:MFR10/MFR2が次の式を満たし、
MFR10/MFR2≧6.0
Mw/Mn+5.0≦MFR10/MFR2
(v) 13C−NMRスペクトルにおけるTααに対するTαβの強度比(Tαβ/Tαα)が0.5以下であり、
(vi)13C−NMRスペクトルおよび下記一般式(1)から求められるB値が0.9〜1.5である。
B値=[POE]/(2・[PE][PO]) …(1)
(式中、[PE]は共重合体中のエチレンから誘導される構成単位の含有モル分率であり、[PO]は共重合体中のα−オレフィンから誘導される構成単位の含有モル分率であり、[POE]は共重合体中の全ダイアド(dyad)連鎖に対するエチレン・α−オレフィン連鎖数の割合である。)
また、前記エチレン・α−オレフィン共重合体(A)が、エチレン・1−ブテン共重合体であることを特徴とする発泡体用オレフィン系エラストマー組成物である。
また、前記発泡剤(C)が有機系熱分解型発泡剤、無機系熱分解型発泡剤、有機系物理発泡剤および無機系物理発泡剤から選ばれることを特徴とする発泡体用オレフィン系エラストマー組成物である。
【0011】
また、発泡体用オレフィン系エラストマー組成物を熱処理して得られることを特徴とする発泡体である。
【0012】
また、前記発泡体を二次圧縮して得られることを特徴とする発泡体である。
【0013】
また、前記発泡体からなる層と、ポリオレフィン、ポリウレタン、ゴム、皮革および人工皮革からなる群から選ばれる少なくとも一種の素材からなる層を有することを特徴とする積層体である。
【0014】
また、前記発泡体または前記積層体からなることを特徴とする履き物である。
【0015】
【発明の具体的説明】
以下、本発明に係る発泡体用オレフィン系エラストマー組成物およびその用途ついて具体的に説明する。本発明に係る発泡体用オレフィン系エラストマー組成物は、エチレン・α−オレフィン共重合体(A)、シリコーン樹脂(B)および発泡剤(C)と、必要に応じ有機ペルオキシド(D)、架橋助剤(E)とを含有している。
【0016】
本発明に係る発泡体は、この組成物を発泡または架橋発泡させて得られる。この架橋方法の種類としては、熱架橋と、電離性放射線架橋が挙げられる。熱架橋の場合には、この組成物中に、有機ペルオキシド(D)および必要に応じて架橋助剤(E)を配合する必要がある。また、電離性放射線架橋の場合には、架橋助剤を配合する場合がある。
エチレン・α−オレフィン共重合体(A)
本発明で用いられるエチレン・α− オレフィン共重合体(A)は、エチレンと炭素原子数3〜20のα− オレフィンとからなる非晶性ないし低結晶性のランダムあるいはブロック共重合体であり、密度(ASTM D 1505)が0.857g/cm3以上0.915g/cm3 以下、好ましくは0.860〜0.905g/cm3、さらに好ましくは0.880〜0.905g/cm3であって、メルトフローレート(MFR;ASTM D 1238,190℃、荷重2.16kg)が0.1〜20g/10分、好ましくは0.5〜20g/10分、さらに好ましくは0.5〜5g/10分である軟質エチレン・α− オレフィン共重合体が望ましい。
【0017】
エチレンと共重合させるα− オレフィンは、炭素原子数3〜20のα− オレフィンであり、具体的には、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン、4−メチル−1− ペンテンなどが挙げられる。これらのうちでも、炭素原子数3〜10のα− オレフィンが好ましく、特にプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンが好ましい。これらのα− オレフィンは、単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いられる。
【0018】
また、エチレン・α− オレフィン共重合体(A)は、エチレンから導かれる単位を75〜95モル%の量、好ましくは79〜94モル%の量で、さらに好ましくは88〜94モル%の量で、炭素原子数3〜20のα− オレフィンから導かれる単位を5〜25モル%の量、好ましくは6〜21モル%の量で、さらに好ましくは6〜12モル%の量で含有していることが望ましい。
【0019】
また、エチレン・α− オレフィン共重合体(A)は、これらの単位の他に、本発明の目的を損なわない範囲で、他の重合性モノマーから導かれる単位を含有していてもよい。
【0020】
エチレン・α− オレフィン共重合体(A)としては、具体的には、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・プロピレン・1−ブテン共重合体、エチレン・プロピレン・エチリデンノルボルネン共重合体、エチレン・1−ヘキセン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体などが挙げられる。これらの内でも、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−ヘキセン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体などが好ましく用いられ、特にエチレン・1−ブテン共重合体が好ましく用いられる。これらの共重合体は、ランダムあるいはブロック共重合体であるが、特にランダム共重合体であることが好ましい。
【0021】
エチレン・α− オレフィン共重合体(A)は、X線回折法により測定される結晶化度が通常40%以下、好ましくは30%以下である。
【0022】
また、このエチレン・α− オレフィン共重合体(A)は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により求めた分子量分布(Mw/Mn)が1.5〜4、好ましくは1.5〜3.0、より好ましくは1.7〜2.5の範囲内にあることが好ましい。分子量分布(Mw/Mn)が上記範囲内にあるエチレン・α− オレフィン共重合体(A)を用いると、圧縮永久歪み性および賦形性に優れる発泡体を調製することができる組成物が得られる。上記のようなエチレン・α− オレフィン共重合体(A)は、通常エラストマーとしての性質を示す。
【0023】
エチレン・α− オレフィン共重合体(A)が、ASTM D 1238に準拠して190℃、荷重10kgの条件で測定したメルトフローレート(MFR10)と荷重2.16kgの条件で測定したメルトフローレート(MFR2.16)との比(MFR10/MFR2.16)が、下式
MFR10/MFR2.16 ≧ 6.0
好ましくは7≦MFR10/MFR2.16≦15
の関係を満たし、かつ、分子量分布(Mw/Mn)と前記メルトフローレート比とが、下式
Mw/Mn +5.0< MFR10/MFR2.16
の関係を満たしていると、高発泡倍率すなわち低比重で、かつ、高弾性で圧縮永久歪み性および賦形性に優れる発泡体(非架橋発泡体、架橋発泡体)を調製することができる組成物が得られる。
【0024】
本発明のエチレン・α− オレフィン共重合体(A)は13C−NMRスペクトルにおけるTααに対するTαβの強度比(Tαβ/Tαα)が0.5以下、好ましくは0.4以下であるのが好ましい。
【0025】
ここで13C−NMRスペクトルにおけるTααおよびTαβは、炭素数3以上のα−オレフィンから誘導される構成単位中のCH2のピーク強度であり、下記に示すように第3級炭素に対する位置が異なる2種類のCH2を意味している。
【0026】
【化1】
【0027】
このようなTαβ/Tαα強度比は、下記のようにして求めることができる。エチレン・α−オレフィン共重合体[B]の13C−NMRスペクトルを、たとえば日本電子(株)製JEOL−GX270 NMR測定装置を用いて測定する。測定は、試料濃度5重量%になるように調整されたヘキサクロロブタジエン/d6−ベンゼン=2/1(体積比)の混合溶液を用いて、67.8MHz、25℃、d6−ベンゼン(128ppm)基準で行う。測定された13C−NMRスペクトルを、リンデマンアダムスの提案(Analysis Chemistry43, p1245(1971))、J.C.Randall (Review Macromolecular Chemistry Physics, C29, 201(1989)) に従って解析してTαβ/Tαα強度比を求める。
【0028】
また本発明のエチレン・α− オレフィン共重合体(A)は13C−NMRスペクトルおよび下記一般式(1)から求められるB値が0.9〜1.5であるのが好ましい。
B値=[POE]/(2・[PE][PO]) …(1)
(式中、[PE]は共重合体中のエチレンから誘導される構成単位の含有モル分率であり、[PO]は共重合体中のα−オレフィンから誘導される構成単位の含有モル分率であり、[POE]は共重合体中の全ダイアド(dyad)連鎖に対するエチレン・α−オレフィン連鎖数の割合である。)このB値は、エチレン・α−オレフィン共重合体中のエチレンと炭素数3〜10のα−オレフィンとの分布状態を表す指標であり、J.C.Randall (Macromolecules, 15, 353(1982)) 、J.Ray (Macromolecules, 10, 773(1977)) らの報告に基づいて求めることができる。上記B値が大きいほど、エチレンまたはα−オレフィン共重合体のブロック的連鎖が短くなり、エチレンおよびα−オレフィンの分布が一様であり、共重合ゴムの組成分布が狭いことを示している。なおB値が1.0よりも小さくなるほどエチレン・α−オレフィン共重合体の組成分布は広くなり、取扱性が悪化するなどの悪い点がある。
【0029】
上記のようなエチレン・α− オレフィン共重合体(A)は、バナジウム系触媒、チタン系触媒またはメタロセン系触媒などを用いる従来公知の方法により製造することができる。
シリコーン樹脂(B)
本発明に係わるシリコーン樹脂(B)は、構造式中に一般式(1)
−(R1 2SiO)a− ・・・・・・・・・・(1)
(ここにR1 はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などのアルキル基、フェニル基、トリル基などのアリール基、ビニル基、アリル基などのアルケニル基、β−フェニルエチル基、β−フェニルプロピル基などのアラルキル基、クロロメチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基などの1価ハロゲン化炭化水素基、さらにはエポキシ基、アミノ基、メルカプト基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基などの反応性基含有の有機基から選択される1種または2種以上の炭素数1〜20の1価の有機基から選択される基である。)で示される線状オルガノポリシロキサンブロックを有するシリコーン硬化物からなるものである。
【0030】
また、このシリコーン樹脂(B)は、その粒子中にシリコーンオイル、オルガノシラン、無機系粉末、有機系粉末などを含有してもよい。
【0031】
また、その平均粒径が 0.1μm未満では粒子の流動性の低下および凝集性し易くなり、 100μm以上では耐磨耗性の効果が低下する恐れがあるので、0.1〜100μmの平均粒子系が必要とされる。
【0032】
また、このシリコーン樹脂(B)の製造は、メトキシシリル基(≡SiOCH3)とヒドロキシシリル基(≡SiOH)などとの縮合反応、メルカプトシリル基(≡SiSH)とビニルシリル基(≡SiCH=CH2)とのラジカル反応、ビニルシリル基(≡SiCH=CH2)と≡SiH 基との付加反応によるものなどが例示されるが、これら製造例により何ら限定されるものではない。
【0033】
また、このシリコーン樹脂(B)は、重量平均分子量が103 〜108 の範囲であるのが好ましい。重量平均分子量が103 未満のものではブリードアウトを防止することが困難であり、または重量平均分子量が108 を超えるものでは加工性が悪化する。
【0034】
また、このシリコーン樹脂(B)は、樹脂への分散性を向上させるために他の熱可塑性樹脂とのブレンド物(MB:マスターバッチ)であっても良い。他の熱可塑性樹脂とのブレンド物の場合、他の熱可塑性樹脂としてはLLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)、LDPE(低密度ポリエチレン)、エチレン・α−オレフィン共重合体またはEVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体)が好ましく、ブレンドの割合はシリコーン(100%シリコン樹脂)90〜10重量部/熱可塑性樹脂10〜90重量部、好ましくはシリコーン(100%シリコン樹脂)70〜30重量部/熱可塑性樹脂30〜70重量部である。
【0035】
また、このシリコーン樹脂(B)を他の樹脂にグラフトさせて使用しても良く、他の樹脂にグラフトさせたシリコーン樹脂と他の熱可塑性樹脂とのブレンド物(MB:マスターバッチ)であっても良い。シリコーン樹脂を他の樹脂にグラフトさせる場合には上記の熱可塑性樹脂にグラフトさせるのが好ましい。シリコーン樹脂を他の樹脂にグラフトさせる場合またはグラフトさせた後、他の樹脂とのブレンド物(MB:マスターバッチ)とする場合、シリコーン(100%シリコン樹脂)90〜10重量部/熱可塑性樹脂10〜90重量部、好ましくはシリコーン(100%シリコン樹脂)70〜30重量部/熱可塑性樹脂30〜70重量部である。
【0036】
このようなシリコーン樹脂(B)の具体例として、たとえばシリコーンコンセントレートBY27シリーズ(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製)を挙げる事が出来る。
【0037】
発泡剤(C)
本発明で用いられる発泡剤(C)としては、化学発泡剤、具体的には、アゾジカルボンアミド(ADCA)、1,1’−アゾビス(1−アセトキシ−1− フェニルエタン)、ジメチル−2,2’−アゾビスブチレート、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、2,2’− アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチル−プロピオンアミジン]等のアゾ化合物;N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)等のニトロソ化合物;4,4’− オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホニルヒドラジド等のヒドラジン誘導体;p−トルエンスルホニルセミカルバジド等のセミカルバジド化合物;トリヒドラジノトリアジンなどの有機系熱分解型発泡剤、さらには、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム等の重炭酸塩、炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム等の炭酸塩;亜硝酸アンモニウム等の亜硝酸塩、水素化合物などの無機系熱分解型発泡剤が挙げられる。中でも、アゾジカルボンアミド(ADCA)、炭酸水素ナトリウムが特に好ましい。
【0038】
また、本発明においては、物理発泡剤(発泡時に化学反応を必ずしも伴わない発泡剤)、たとえばメタノール、エタノール、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン等の各種脂肪族炭化水素類;ジクロルエタン、ジクロルメタン、四塩化炭素等の各種塩化炭化水素類;フロン等の各種フッ化塩化炭化水素類などの有機系物理発泡剤、さらに空気、二酸化炭素、窒素、アルゴン、水などの無機系物理発泡剤も発泡剤(C)として用いることができる。これらの中で、蒸気にする必要が無く、安価で、環境汚染、発火の可能性が極めて少ない二酸化炭素、窒素、アルゴンが最も優れている。
【0039】
本発明で発泡剤(C)として使用される上記物理発泡剤は、発泡剤の分解残さがないため、組成物の架橋発泡時における金型汚れを防止することができる。しかも、物理発泡剤は、粉状ではないので、混練性に優れている。また、この物理発泡剤を用いると、得られる架橋発泡体の異臭(ADCA分解時に生成するアンモニア臭など)を防止することができる。
【0040】
また、本発明においては、臭気、金型汚れ等の悪影響を生じない範囲で、蒸気のような化学発泡剤を併用することができる。
【0041】
物理発泡剤の貯蔵方法としては、小規模な生産であれば、二酸化炭素、窒素などをボンベに入った状態で使用し、射出成形機および押出成形機等に減圧弁を通して供給することができるし、またポンプ等により昇圧し、射出成形機および押出成形機等に供給する場合もある。
【0042】
また、大規模に発泡製品を製造する設備であれば、液化二酸化炭素、液化窒素などの貯蔵タンクを設置し、熱交換機を通し、気化し、配管により、減圧弁により射出成形機および押出成形機等に供給する。
【0043】
また、液状の物理発泡剤の場合、貯蔵圧力としては、0.13〜100MPaの範囲が好ましく、圧力が低すぎると減圧して射出成形機および押出成形機等に注入できず、また、圧力が高すぎると、貯蔵設備の耐圧強度を高くする必要から、設備が大型化、複雑化し好ましくない。なお、ここで定義する貯蔵圧力とは、気化し減圧弁に供給する圧力を言う。
【0044】
発泡体用オレフィン系エラストマー組成物
本発明にかかわる発泡体用オレフィン系エラストマー組成物はエチレン・α−オレフィン共重合体(A)、シリコーン樹脂(B)および発泡剤(C)とを含有してなり、エチレン・α−オレフィン共重合体(A)70〜99.9重量%、好ましくは80〜99・5重量%、より好ましくは90〜99重量%、シリコーン樹脂(B)30〜0.1重量%、好ましくは20〜0.5重量%、より好ましくは10 〜1重量%(ここで、(A)および(B)の合計量は合わせて100重量%となる)からなる。
【0045】
上記発泡剤(C)として化学発泡剤を用いる場合、化学発泡剤は、エチレン・α− オレフィン共重合体(A)+シリコーン樹脂(B)100重量部に対して、通常3〜20重量部、好ましくは4〜15重量部の割合で用いられる。ただし、化学発泡剤の使用量は、使用する発泡剤の種類・グレードにより発生ガス量が異なるため、目的の発泡倍率により、適宜増減され得る。
【0046】
また、発泡剤(C)として物理発泡剤を用いる場合、物理発泡剤の添加量は、所望の発泡倍率に応じて、適宜決定される。
【0047】
本発明においては、必要に応じて、発泡剤(C)とともに発泡助剤を使用してもよい。発泡助剤は、発泡剤(C)の分解温度の低下、分解促進、気泡の均一化などの作用をする。このような発泡助剤としては、酸化亜鉛(ZnO)、ステアリン酸亜鉛、サリチル酸、フタル酸、ステアリン酸、しゅう酸等の有機酸、尿素またはその誘導体などが挙げられる。
【0048】
有機ペルオキシド(D)
本発明で必要に応じて架橋剤として用いられる有機ペルオキシド(D)としては、具体的には、ジクミルペルオキシド、ジ−t− ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5− ジ−(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5− ジ−(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5− トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4− ビス(t−ブチルペルオキシ)バレレート、ベンゾイルペルオキシド、p−クロロベンゾイルペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、t−ブチルペルオキシベンゾエート、t−ブチルペルベンゾエート、t−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシドなどが挙げられる。
【0049】
本発明においては、有機ペルオキシド(D)は、エチレン・α− オレフィン共重合体(A)+シリコーン樹脂(B)100重量部に対して、通常0.1〜1.5重量部、好ましくは0.2〜1.0重量部の割合で用いられる。有機ペルオキシド(D)を上記のような割合で用いると、適度な架橋構造を有する架橋発泡体を得ることができる。また、有機ペルオキシド(D)を架橋助剤(E)とともに、上記のような割合で用いると、より適度な架橋構造を有する架橋発泡体を得ることができる。
【0050】
架橋助剤(E)
本発明で必要に応じて用いられる架橋助剤(E)としては、具体的には、硫黄、p−キノンジオキシム、p,p’− ジベンゾイルキノンジオキシム、N−メチル−N−4− ジニトロソアニリン、ニトロソベンゼン、ジフェニルグアニジン、トリメチロールプロパン−N,N’−m−フェニレンジマレイミドのようなペルオキシ架橋用助剤;あるいはジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート(TAC)、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)が好ましい。また、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、アリルメタクリレート等の多官能性メタクリレートモノマー、ビニルブチラート、ビニルステアレートのような多官能性ビニルモノマーなどが挙げられる。中でも、トリアリルシアヌレート(TAC)、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)が好ましい。
【0051】
本発明においては、上記のような架橋助剤(E)は、架橋助剤(E)と有機ペルオキシド(D)との重量比[(E)/(D)]が1/30〜5/1、好ましくは1/20〜3/1、さらに好ましくは1/15〜2/1になる量で用いることが望ましい。
【0052】
発泡体用オレフィン系エラストマー組成物の調製
本発明に係る発泡体用オレフィン系エラストマー樹脂組成物は、未架橋かつ未発泡状態の組成物であり、溶融状態であってもよいし、また、冷却固化したペレットまたはシートであってもよい。
【0053】
本発明に係る発泡体用オレフィン系エラストマー樹脂組成物のペレットは、たとえば上記のようなエチレン・α− オレフィン共重合体(A)、シリコーン樹脂(B)、発泡剤(C)、および必要に応じて有機ペルオキシド(D)、架橋助剤(E)、発泡助剤を上述した割合でヘンシェルミキサ−等で混合し、バンバリ−ミキサー、ロール、押出機等の混練機で発泡剤(C)および/または有機ペルオキシド(D)が分解しない温度にて溶融可塑化し、均一に混合分散させて造粒機により調製することができる。
【0054】
この組成物中に、上記諸成分の他に、必要に応じて、フィラー、耐熱安定剤、耐候安定剤、難燃剤、塩酸吸収剤、顔料などの各種添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲で配合することができる。
【0055】
また、本発明に係る組成物のシートは、たとえば上記のようにして得られた組成物のペレットを押出機あるいはカレンダー成形機を用いて調製することができる。あるいは組成物の諸成分をブラベンダーなどで混練した後、カレンダーロールでシート状に成形する方法、プレス成形機でシート化する方法、または押出機を用いて混練した後Tダイまたは環状ダイを通してシート化する方法などにより、未架橋かつ未発泡状態の発泡性シートを調製することができる。
【0056】
発泡体
本発明に係る発泡体は、上記のような、本発明に係る樹脂組成物を発泡または架橋発泡、通常は130〜200℃、30〜300kgf/cm2、10〜90分の条件下で発泡または架橋発泡することにより得られる。ただし、(架橋)発泡時間については、金型の厚さに依存するため、この範囲を超えて、適宜増減され得る。
【0057】
また、本発明に係る発泡体は、上記条件下で発泡または架橋発泡された成型体を、130〜200℃、30〜300kgf/cm2、5〜60分、圧縮比1.1〜3、好ましくは1.3〜2の条件下で圧縮成形して得られる発泡体であってもよい。
【0058】
これらの発泡体は、比重(JIS K7222)が0.05〜0.25であり、表面硬度(アスカーC硬度)が20〜80の範囲にある。架橋発泡体としては、ゲル分率が70%以上であることが望ましく、通常は70〜90%である。
【0059】
このような物性を有する、本発明に係る発泡体、特に架橋発泡体は、圧縮永久歪みが小さく、引裂強度が高く、反撥弾性が高い特性を持つ。
【0060】
なお、上記ゲル分率(ゲル含量;キシレン不溶解分)は、次のようにして測定される。 架橋発泡体の試料を秤量して細かく裁断し、次いで得られた細片を、密閉容器中にキシレンと共に入れ、3時間還流させた。 次に、この試料をろ紙上に取出し、絶乾させた。この乾燥残渣の重量からポリマー成分以外のキシレン不溶性成分(たとえばフィラー、充填剤、顔料等)の重量を減じた値を、「補正された最終重量(Y)」とする。
【0061】
一方、試料の重量からポリマー成分以外のキシレン可溶性成分(たとえば安定剤等)の重量およびポリマー成分以外のキシレン不溶性成分(たとえばフィラー、充填剤、顔料等)の重量を減じた値を、「補正された初期重量(X)」とする。
【0062】
ここに、ゲル含量(キシレン不溶解分)は、次式により求められる。
【0063】
ゲル含量[重量%]=[補正された最終重量(Y)]÷[補正された初期重量(X)]×100
発泡体の調製
本発明に係る発泡体(非架橋または架橋発泡体)は、たとえば以下のような方法により調製することができる。
【0064】
本発明に係る組成物のシートは、たとえば組成物の調製の項で述べた混合物を、カレンダー成形機、プレス成形機、Tダイ押出機を用いて得ることができる。このシート成形時においては、発泡剤(C)および有機ペルオキシド(D)の分解温度以下でシート成形する必要があり、具体的には、組成物の溶融状態での温度が100〜130℃となる条件に設定してシート成形する必要がある。
【0065】
上記方法によってシート化された組成物は、130〜200℃に保持された金型に、金型の容積に対して1.0〜1.2の範囲に裁断して、金型内に挿入する。金型の型締め圧力は30〜300kgf/cm2、保持時間10〜90分の条件下で、一次発泡体(非架橋または架橋発泡体)を作製する。ただし、(架橋)時間については、金型の厚さに依存するため、この範囲を超えて、適宜増減され得る。
【0066】
上記(架橋)発泡用金型は、その形状は特に制限はされないが、通常シートが得られるような形状を有している金型が用いられる。この金型は、溶融樹脂および発泡剤分解時に発生するガスが抜けないように、完全に密閉された構造とする必要がある。また、型枠としては、内面にテーパーが付いている型枠が樹脂の離型性の面から好ましい。
【0067】
上記方法により得られた一次発泡体を、圧縮成形により所定の形状の付与を行なう。このときの圧縮成形条件は、金型温度が130〜200℃、型締め圧力が30〜300kgf/cm2、圧縮時間が5〜60分、圧縮比が1.1〜3.0の範囲である。
【0068】
また、電離性放射線照射による架橋方法により架橋発泡体を得るには、まず、エチレン・α− オレフィン共重合体(A)、シリコーン樹脂(B)と、発泡剤(C)として有機系熱分解型発泡剤と、他の添加剤とを、有機系熱分解型発泡剤の分解温度未満の温度で溶融混練し、得られた混練物をたとえばシート状に成形し、発泡性シートを得る。
【0069】
次いで、得られた発泡性シートに電離性放射線を所定量照射してエチレン・α− オレフィン共重合体(A)とシリコーン樹脂(B)とを架橋させた後、得られた発泡性の架橋シートを有機系熱分解型発泡剤の分解温度以上に加熱して発泡させることによって、架橋発泡シートを得ることができる。
【0070】
電離性放射線としては、α線、β線、γ線、電子線、中性子線、X線などが用いられる。このうちコバルト−60のγ線、電子線が好ましく用いられる。
【0071】
発泡体の製品形状としては、たとえばシート状、厚物ボード状、ネット状、型物などが挙げられる。
【0072】
上記のようにして得られた架橋発泡体から、上述した二次発泡体の製造方法と同様にして、上記物性を有する二次架橋発泡体を調製することができる。
【0073】
積層体
本発明に係る積層体は、上記した、本発明に係る発泡体(非架橋または架橋発泡体)からなる層と、ポリオレフィン、ポリウレタン、ゴム、皮革および人工皮革からなる群から選ばれる少なくとも一種の素材からなる層とを有する積層体である。
【0074】
上記のポリオレフィン、ポリウレタン、ゴム、皮革および人工皮革は、特に制限はなく、従来公知のポリオレフィン、ポリウレタン、ゴム、皮革、人工皮革を用いることができる。このような積層体は、特に履き物ないし履き物用部品の用途に好適である。
【0075】
履き物ないし履き物用部品
本発明に係る履き物ないし履き物用部品は、上記した、本発明に係る発泡体(非架橋または架橋発泡体)または積層体からなる。 履き物用部品としては、たとえば靴底、靴のミッドソール、インナーソール、ソール、サンダルなどが挙げられる。
【0076】
【発明の効果】
本発明によれば、低比重で圧縮永久歪み(CS)が小さく、引裂強度特性および反撥弾性に優れしかも耐磨耗性に優れたオレフィン系エラストマー発泡体を提供し得る発泡体用オレフィン系エラストマー組成物、およびその発泡体を提供することができる。
【0077】
また、本発明によれば、上記オレフィン系エラストマー発泡体からなる履き物用部品たとえば靴底、靴のミッドソール、靴のインナーソール、サンダルを提供することができる。
【0078】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は、これら実施例により何ら限定されるものではない。
【0079】
なお、実施例および比較例で用いたエチレン・1−ブテン共重合体の密度、MFR、B値、Tαβ強度比、分子量分布(Mw/Mn)また、実施例および比較例で得られた架橋発泡体について、比重、圧縮永久歪み、引裂強度、アスカーC硬度(表面硬度)および反発弾性を下記の方法に従って測定した。
【0080】
エチレン・1−ブテン共重合体の物性評価
(1)密度
密度は、ASTM D1505に従い、23℃にて求めた。
(2)MFR
MFRは、ASTM D1238に従い、190℃にて求めた。2.16kg荷重での測定値をMFR2、10kg荷重での測定値をMFR10とした。
(3)B値、Tαβ強度比
13C−NMRにより求めた。
(4)分子量分布(Mw/Mn)
ゲルパーミエーションクロマトグラフにより、オルトジクロロベンゼン溶媒、140℃にて求めた。
【0081】
架橋発泡体の物性評価
(1)比重
比重は、JIS K7222に従って測定した。
(2)圧縮永久歪み
JIS K6301に従って、50℃×6時間、圧縮量50%の条件で圧縮永久歪み試験を行い、圧縮永久歪み(CS)を求めた。
(3)引裂強度
BS5131−2.6に従って、引張速度10mm/分の条件で引裂強度試験を行い、引裂強度を求めた。
(4)アスカーC硬度
アスカーC硬度は、JIS K7312−1996付属書2記載の「スプリング硬さ試験タイプC試験方法」に従って求めた。
(5)反発弾性
反発弾性は、JIS K6255に従って測定した。
(6)アクロン磨耗
アクロン磨耗は、JIS K6264に従って、荷重6lb,角度15℃,回転数3000(300)の条件でアクロン磨耗試験を行い、試験片の重量変化を求めた。
【0082】
実施例で用いたシリコーン樹脂は次の通りである。
(1)シリコーン樹脂MB−1(B−1)
BY27−202(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社)
LLDPEグラフトMB
シリコーン含有量:40重量%
(2)シリコーン樹脂MB−2(B−2)
BY27−002(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社)
LDPEブレンドMB
シリコーン含有量:50重量%
【0083】
【製造例1】
[触媒溶液の調製]
トリフェニルカルベニウム(テトラキスペンタフルオロフェニル)ボレートを18.4mgとり、トルエンを5ml加えて溶解させ、濃度が0.004mM/mlのトルエン溶液を調製した。[ジメチル(t−ブチルアミド)(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)シラン]チタンジクロライドを1.8mgとり、トルエンを5ml加えて溶解させ、濃度が0.001mM/mlのトルエン溶液を調製した。重合開始時においてはトリフェニルカルベニウム(テトラキスペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液を0.38ml、[ジメチル(t−ブチルアミド)(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)シラン]チタンジクロライドのトルエン溶液を0.38mlとり、さらに希釈用のトルエンを4.24ml加えて、トリフェニルカルベニウム(テトラキスペンタフルオロフェニル)ボレートがB換算で0.002mM/Lに、[ジメチル(t−ブチルアミド)(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)シラン]チタンジクロリドがTi換算で0.0005mM/Lとなるトルエン溶液を5ml調製した。
【0084】
[エチレン・1−ブテン共重合体(A−1)の調製]
充分窒素置換した容量1.5リットルの攪拌翼付SUS製オートクレーブに、23℃でヘプタン750mlを挿入した。このオートクレーブに、攪拌翼を回し、かつ氷冷しながら1−ブテン10g、水素120mlを挿入した。次にオートクレーブを100℃まで加熱し、更に、全圧が6KGとなるようにエチレンで加圧した。オートクレーブの内圧が6KGになった所で、トリイソブチルアルミニウム(TIBA)の1.0mM/mlヘキサン溶液1.0mlを窒素で圧入した。続いて、上記の如く調製した触媒溶液5mlを、窒素でオートクレーブに圧入し重合を開始した。その後、5分間、オートクレーブを内温100℃になるように温度調製し、かつ圧力が6kgとなるように直接的にエチレンの供給を行った。重合開始5分後、オートクレーブにポンプでメタノール5mlを挿入し重合を停止し、オートクレーブを大気圧まで脱圧した。反応溶液に3リットルのメタノールを攪拌しながら注いだ。得られた溶媒を含む重合体を130℃、13時間、600torrで乾燥して10gのエチレン・ブテン共重合体A−1を得た。得られたエチレン・1−ブテン共重合体の性状を表1に示す。
【0085】
【表1】
【0086】
【実施例1】
エチレン・1−ブテン共重合体(A−1)92.5重量部、シリコーン樹脂MB−1(B−1)7.5重量部(シリコーン含有量3.0重量部)、酸化亜鉛3.0重量部、ジクミルペルオキシド(DCP)0.6重量部、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)[商品名 M−60(TAIC含有量60%)、日本化成(株)製]0.09重量部(TAIC含量として)、アゾジカルボンアミド4.0重量部、チタンホワイト3.0重量部、ステアリン酸1.0重量部からなる混合物を、ロールにより、ロール表面温度120℃で10分間混練した後、シート状に成形した。
【0087】
得られたシートは、プレス金型に充填し、150kg/cm2、155℃、30分の条件で、加圧、加熱し、一次架橋発泡体を得た。このプレス金型のサイズは、厚み15mm、縦150mm、横200mmであった。
【0088】
次いで、この一次架橋発泡体を、150kg/cm2、155℃の条件で10分間圧縮成形を行い、二次架橋発泡体を得た。得られた二次架橋発泡体のサイズは、厚み15mm、縦160mm、250mmであった。
【0089】
次いで、この二次架橋発泡体の比重、圧縮永久歪み、引裂強度、アスカーC硬度、反発弾性、アクロン磨耗を上記方法に従って測定した。その結果を表2に示す。
【0090】
【実施例2】
実施例1において、シリコーン樹脂MB−1(B−1)7.5重量部からシリコーン樹脂MB−2(B−2)7.5重量部(シリコーン含有量3.8重量部)に変更した以外は、実施例1と同様にして二次架橋発泡体を調製し、物性測定を行った。その結果を表2に示す。
【0091】
【比較例1】
実施例1において、エチレン・1−ブテン共重合体(A−1)92.5重量部から100重量部に、シリコーン樹脂MB−1(B−1)7.5重量部(シリコーン含有量3.0重量部)から0重量部に変更した以外は、実施例1と同様にして二次架橋発泡体を調製し、物性測定を行った。その結果を表2に示す。
【0092】
【表2】
Claims (9)
- エチレン・α−オレフィン共重合体(A)、シリコーン樹脂(B)および発泡剤(C)とを含有してなり、
エチレン・α−オレフィン共重合体(A)70〜99.9重量%、シリコーン樹脂(B)30〜0.1重量%(ここで、(A)および(B)の合計量は合わせて100重量%となる)からなることを特徴とする発泡体用オレフィン系エラストマー組成物。 - 前記エチレン・α−オレフィン共重合体(A)が以下の性質を有することを特徴とする請求項1に記載の発泡体用オレフィン系エラストマー組成物。
(i)密度(ASTM D1505,23℃)が0.857〜0.915g/cm3の範囲
にあり、
(ii)190℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレート(MFR2)
(ASTM D1238、荷重2.16kg、190℃)が0.1〜20g/10分の範囲にあり、
(iii)GPC法により評価される分子量分布の指数:Mw/Mnが1.5〜4
の範囲にある。 - エチレン・α−オレフィン共重合体(A)が以下の性質を有することを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の発泡体用オレフィン系エラストマー組成物。
(iv) 190℃、10kg荷重におけるメルトフローレート(MFR10)と
190℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレート(MFR2)との比:MFR10/MFR2が次の式を満たし、
MFR10/MFR2≧6.0
Mw/Mn+5.0≦MFR10/MFR2
(v) 13C−NMRスペクトルにおけるTααに対するTαβの強度比(Tαβ/Tαα)が0.5以下であり、
(vi)13C−NMRスペクトルおよび下記一般式(1)から求められるB値が
0.9〜1.5である。
B値=[POE]/(2・[PE][PO]) …(1)
(式中、[PE]は共重合体中のエチレンから誘導される構成単位の含有モル分率であり、[PO]は共重合体中のα−オレフィンから誘導される構成単位の含有モル分率であり、[POE]は共重合体中の全ダイアド(dyad)連鎖に対するエチレン・α−オレフィン連鎖数の割合である。) - エチレン・α−オレフィン共重合体(A)が、エチレン・1−ブテン共重合体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の発泡体用オレフィン系エラストマー組成物。
- 発泡剤(C)が有機系熱分解型発泡剤、無機系熱分解型発泡剤、有機系物理発泡剤および無機系物理発泡剤から選ばれることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の発泡体用オレフィン系エラストマー組成物。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂組成物を熱処理して得られることを特徴とする発泡体。
- 請求項6に記載の発泡体を二次圧縮して得られることを特徴とする発泡体。
- 請求項6ないし7に記載の発泡体からなる層と、ポリオレフィン、ポリウレタン、ゴム、皮革および人工皮革からなる群から選ばれる少なくとも一種の素材からなる層を有することを特徴とする積層体。
- 請求項6ないし7に記載の発泡体または請求項8に記載の積層体からなることを特徴とする履き物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003200164A JP4087304B2 (ja) | 2003-07-23 | 2003-07-23 | 発泡体用オレフィン系エラストマー組成物及びその用途 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003200164A JP4087304B2 (ja) | 2003-07-23 | 2003-07-23 | 発泡体用オレフィン系エラストマー組成物及びその用途 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005041913A true JP2005041913A (ja) | 2005-02-17 |
JP4087304B2 JP4087304B2 (ja) | 2008-05-21 |
Family
ID=34260669
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003200164A Expired - Lifetime JP4087304B2 (ja) | 2003-07-23 | 2003-07-23 | 発泡体用オレフィン系エラストマー組成物及びその用途 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4087304B2 (ja) |
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN107997296A (zh) * | 2017-12-22 | 2018-05-08 | 中央军委后勤保障部军需装备研究所 | 一种多密度耐用弹性减震发泡中底及配方 |
CN111205520A (zh) * | 2020-03-18 | 2020-05-29 | 江苏多肯新材料有限公司 | 一种微发泡宠物用球及其制作方法 |
CN112092328A (zh) * | 2020-05-02 | 2020-12-18 | 山东华致林医药科技有限公司 | 一种吹膜包容方法 |
JP2021508745A (ja) * | 2017-12-28 | 2021-03-11 | ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー | オレフィンマルチブロックコポリマー/シリコーンゴム/粘着付与剤組成物および発泡体 |
CN114350050A (zh) * | 2022-01-22 | 2022-04-15 | 杭州恒峰塑料制品有限公司 | 一种抗油剂渗透的农药瓶及其制备方法 |
JP2022105032A (ja) * | 2016-12-10 | 2022-07-12 | クーパー-スタンダード・オートモーティブ・インコーポレーテッド | 靴底、組成物、およびそれらを作製する方法 |
US11661488B2 (en) | 2012-06-27 | 2023-05-30 | Dow Global Technologies Llc | Article comprising a flame retardant polymeric foam |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101913812B1 (ko) | 2017-07-25 | 2018-11-02 | 코오롱글로텍주식회사 | 폴리올레핀계 인조가죽 및 이의 제조방법 |
-
2003
- 2003-07-23 JP JP2003200164A patent/JP4087304B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US11661488B2 (en) | 2012-06-27 | 2023-05-30 | Dow Global Technologies Llc | Article comprising a flame retardant polymeric foam |
JP2022105032A (ja) * | 2016-12-10 | 2022-07-12 | クーパー-スタンダード・オートモーティブ・インコーポレーテッド | 靴底、組成物、およびそれらを作製する方法 |
JP7316408B2 (ja) | 2016-12-10 | 2023-07-27 | クーパー-スタンダード・オートモーティブ・インコーポレーテッド | 靴底、組成物、およびそれらを作製する方法 |
CN107997296A (zh) * | 2017-12-22 | 2018-05-08 | 中央军委后勤保障部军需装备研究所 | 一种多密度耐用弹性减震发泡中底及配方 |
JP2021508745A (ja) * | 2017-12-28 | 2021-03-11 | ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー | オレフィンマルチブロックコポリマー/シリコーンゴム/粘着付与剤組成物および発泡体 |
JP7324205B2 (ja) | 2017-12-28 | 2023-08-09 | ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー | オレフィンマルチブロックコポリマー/シリコーンゴム/粘着付与剤組成物および発泡体 |
CN111205520A (zh) * | 2020-03-18 | 2020-05-29 | 江苏多肯新材料有限公司 | 一种微发泡宠物用球及其制作方法 |
CN112092328A (zh) * | 2020-05-02 | 2020-12-18 | 山东华致林医药科技有限公司 | 一种吹膜包容方法 |
CN114350050A (zh) * | 2022-01-22 | 2022-04-15 | 杭州恒峰塑料制品有限公司 | 一种抗油剂渗透的农药瓶及其制备方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP4087304B2 (ja) | 2008-05-21 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
KR100456392B1 (ko) | 올레핀계 엘라스토머 가교발포체용 엘라스토머 조성물 및그의 용도 | |
JP6702854B2 (ja) | 架橋体とその製造方法および用途、ならびにエチレン系共重合体 | |
WO2005111125A2 (en) | Cross-linked polypropylene resins, method of making same and articles formed therefrom | |
JP5405822B2 (ja) | 発泡体、発泡体用組成物およびその用途 | |
JP4050520B2 (ja) | オレフィン系エラストマー架橋発泡体用エラストマー組成物およびその用途 | |
JP4137320B2 (ja) | オレフィン系エラストマー架橋発泡体 | |
JP4087304B2 (ja) | 発泡体用オレフィン系エラストマー組成物及びその用途 | |
US20020183408A1 (en) | Composition and uses thereof | |
JP4615181B2 (ja) | 組成物およびその用途 | |
US6841583B2 (en) | Composition and uses thereof | |
JP4166640B2 (ja) | 組成物及びその用途 | |
JP3944668B2 (ja) | オレフィン系エラストマー架橋発泡体およびその架橋発泡体用エラストマー組成物 | |
CN116600673A (zh) | 鞋中底 | |
JP4739308B2 (ja) | 積層体およびその用途 | |
JP2005194400A (ja) | 発泡体、その発泡体用組成物およびその用途 | |
JPH0347849A (ja) | 部分架橋熱可塑性エラストマー発泡体およびその製造方法 | |
KR100520278B1 (ko) | 조성물 및 그 용도 | |
JP2006008777A (ja) | 発泡体およびその用途 | |
WO2005049706A1 (ja) | 発泡成形用樹脂組成物、発泡体、および発泡体の製造方法 | |
EP1391293B1 (en) | Polyethylene alpha olefin copolymer composition and uses thereof | |
JP7458747B2 (ja) | 発泡体およびその用途 | |
JPH02255738A (ja) | 部分架橋熱可塑性エラストマー発泡体およびその製造方法 | |
JP2023509346A (ja) | 高機能性発泡用樹脂組成物及びその製造方法 | |
CN114364733A (zh) | 乙烯系共聚物组合物及其用途 | |
JP2021070720A (ja) | エチレン系共重合体組成物およびその用途 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050715 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20070820 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20070828 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20071026 |
|
RD02 | Notification of acceptance of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422 Effective date: 20071026 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20071120 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20080117 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20080212 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20080220 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110228 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Ref document number: 4087304 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120229 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120229 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130228 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130228 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140228 Year of fee payment: 6 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
EXPY | Cancellation because of completion of term |