JP2005041415A - 衝撃吸収装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 効率のよい衝撃吸収が可能な衝撃吸収装置を得る。
【解決手段】 衝撃吸収プレート(EAプレート)72等の変形抵抗に起因した抗力を発生させる装置を備え、その抗力を受けた状態においてステアリングコラムを移動させることによって、そのコラムに加わる衝撃を吸収する移動衝撃吸収装置において、衝撃エネルギの吸収量をコラムの移動速度に依拠して変更する機構を付加する。コラムの移動速度は、コラムに加わる衝撃の大きさを示す適当なパラメータであり、当該パラメータに基づいて変更することにより、実際の衝撃の大きさに即した効率よりエネルギ吸収が可能となる。エネルギ吸収量の変更は、例えば、EAプレート72と係合するローラ74の係合状態を変更する。具体的には、速度が大きい場合にローラ74が回転するようにし、ローラ74の外周にある突起98を、EAプレート72の表面の溝に食い込ませる。
【選択図】 図6

Description

本発明は、車両に装備されたステアリングコラムの衝撃吸収装置に関し、詳しくは、例えばステアリングホイールへの二次衝突時等において、その衝突のエネルギを効果的に吸収するための衝撃吸収装置に関する。
車両の衝突時における運転者の保護を目的として、ステアリングコラムやそれの取付部に衝撃吸収装置を設けることが行われている。衝撃吸収装置は、抗力を受けた状態のコラムあるいはそれの一部(以下、それらを「コラム移動部」と呼ぶ場合がある)を移動させることによって、ステアリングホイール等に加わる衝撃のエネルギを吸収するという機能を有しており、上記目的から、衝撃吸収装置には、衝撃吸収を効果的に行い得る機能を有することが望まれている。効果的な衝撃エネルギの吸収を目的とする技術として、例えば、下記特許文献1に記載されているような技術が存在する。特許文献1に記載の衝撃吸収装置は、ステアリングホイールへの運転者の二次衝突を想定し、運転者がシートベルトを着用しているか否かによって、衝撃吸収量を変更する機能を有している。シートベルトの着用の有無によって運転者がステアリングホイールに衝突した場合に受ける衝撃が変わり得ることを前提とし、シートベルトを着用していない場合には衝撃が大きくなるものと推定し、衝撃エネルギの吸収量を、コラム移動部の移動ストロークの全域にわたって変更するものである。
特開2002−3612381号公報
上記特許文献1に記載の技術では、実際にステアリングコラムに加わった衝撃に基づいて、エネルギ吸収量を変更するものではないため、実際に効率のよい衝撃吸収が行われるか否かは定かではない。つまり、運転者の二次衝突を想定すれば、シートベルトの着用の有無のみでなく、車両の衝突の衝撃の大きさ、運転者の体格(体重)等、種々の要素によってステアリングコラムに加わる衝撃の大きさは変化し得るため、実際の衝撃の大きさに関連するパラメータに基づいてエネルギ吸収量を変更し得ない衝撃吸収装置は、効率のよい衝撃吸収という観点からは、不十分であると考える。そこで、本発明は、上記実情に鑑み、ステアリングコラムに加わる実際の衝撃の大きさに関連するパラメータに基づいて動作することにより、効率のよい衝撃吸収が可能な衝撃吸収装置を得ることを課題とする。
本発明の衝撃吸収装置は、ステアリングコラムとそれの一部分とのいずれかであるコラム移動部が抗力を受けた状態で移動することを許容することにより、ステアリングコラムに加わる衝撃エネルギを吸収する衝撃吸収装置であって、コラム移動部の移動速度に依拠して衝撃エネルギの吸収量を変更する衝撃エネルギ吸収量変更機構を備えたことを特徴とする。
本衝撃吸収装置にように、コラム移動部の移動を許容して衝撃を吸収するものであれば、ステアリングコラムに加わる衝撃が大きいほど、コラム移動部の移動速度が大きくなる。そのため、コラム移動部の移動速度はステアリングコラムの受ける衝撃の大きさを示す適当なパラメータとなる。本衝撃吸収装置では、この適当なパラメータであるコラム移動部の移動速度に依拠して衝撃エネルギの吸収量を変更できるため、実際の衝撃の大きさに応じた衝撃吸収が可能となる。なお、詳しい説明は、後の〔発明の態様〕の(1)項等において行う。
本発明の衝撃吸収装置によれば、実際の衝撃の大きさに応じた衝撃エネルギの吸収が可能となるため、効率のよい衝撃吸収が可能となる。したがって、例えば、ステアリングホイールへの運転者の二次衝突等の際には、運転者が受ける衝撃を効果的に緩和でき、車両衝突の際に運転者の適切な保護が図れることになる。
発明の態様
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある。本願発明を含む概念である。)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも上記発明の理解を容易にするためであり、上記発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載,図面等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。
なお、以下の各項において、(1)項が請求項1に相当し、(2)項が請求項2に、(5)項が請求項3に、(6)項が請求項4に、(7)項が請求項5に、それぞれ相当する。
(1)ステアリングコラムとそれの一部分とのいずれかであるコラム移動部が抗力を受けた状態で移動することを許容することにより、前記ステアリングコラムに加わる衝撃エネルギを吸収する衝撃吸収装置であって、
前記コラム移動部の移動速度に依拠して衝撃エネルギの吸収量を変更する衝撃エネルギ吸収量変更機構を備えたことを特徴とする衝撃吸収装置。
本項に記載の衝撃吸収装置は、コラム移動部の移動を許容してステアリングホイールに加わる衝撃を吸収するものである。例えば、ステアリングホイールへの運転者の衝突を考えた場合、運転者の持つ運動エネルギが大きいときに運転者の受ける衝撃が大きく、ステアリングコラムに加わる衝撃が大きくなる。このとき、運転者の持つ運動エネルギによってコラム移動部が移動させられるため、運転者の持つ運動エネルギが大きい場合に、コラム移動部の移動速度が大きくなる。そのため、コラム移動部の移動速度はステアリングコラムの受ける衝撃の大きさを示す適当なパラメータとなる。本衝撃吸収装置では、この適正なパラメータであるコラム移動部の移動速度に依拠して衝撃エネルギの吸収量を変更できるため、実際の衝撃の大きさに応じた衝撃吸収が可能となる。例えば、車両の衝突によって、運転者がステアリングホイール,ステアリングコラム等へ二次的衝突するような場合を想定すれば、その際の衝撃の大きさに応じた衝突エネルギの吸収が可能となり、運転者が受ける衝撃を効果的に緩和できる。これにより、車両衝突の際、運転者の保護を効果的に行うことが可能となる。
本項に記載の衝撃吸収装置の衝撃エネルギ吸収量変更機構を除く基本的構成は、特に限定されるものではなく、既に一般的に用いられている衝撃吸収装置の構成に従えばよい。一般に、ステアリングコラムは、車体に、詳しくは、例えばインストゥルメントパネル(計器板)のリンフォースメント(補強部材)等に支持されて固定されており、衝撃が加わった場合に、その固定が解除される構造となっている。固定が解除された際に、ステアリングコラムの移動が許容されるのであるが、その移動に関して、例えば2つの方式が存在する。その1つは、ステアリングコラムの一部分がコラム移動部として機能し、その一部分の移動が許容される方式、例えば、ステアリングコラムが2つの部分から構成されておりステアリングホイールが取付られる側の部分のみが固定を解除されて移動が許容されるといった方式であり、また、もう1つは、ステアリングコラム全体がコラム移動部とされ、その全体の固定が解除されて移動する方式である。本態様の衝撃吸収装置は、これらのいずれの方式においても採用可能である。なお、いずれの方式であるかを問わず、衝撃吸収装置は、ステアリングコラム自体の構成要素とされてもよく、また、その一部分であるコラム移動部と車体との取付機構の構成要素とされてもよい。
本項における「コラム移動部の移動速度」は、詳しくは、例えば、車体との相対速度,ステアリングコラムの一部分がコラム移動部となる場合においては他の固定された部分との相対速度等を意味する。エネルギ吸収量を変更するために依拠する移動速度は、コラム移動部が移動する移動可能範囲、つまり、移動ストロークの全域における移動速度であってもよく、また、移動ストロークのある特定位置における移動速度であってもよい。例えば、ステアリングホイールへの二次衝突を考えた場合には、移動開始後比較的早い時期の移動速度、つまり、移動ストロークにおける移動開始端に比較的近い位置の移動速度が、ステアリングコラムに加わる衝撃の大きさに依存する傾向があることから、その点を考慮すれば、移動の初期の位置における移動速度に依拠してエネルギ吸収量を変更させる態様が有効な態様となる。
本項における「抗力」は、コラム移動部の移動を阻止、抑制等する力を意味し、荷重、詳しくはエネルギ吸収荷重と表現することも可能である。摺動する2つの部材において発生する摩擦力,ある部材を弾性変形,塑性変形等させるための力,慣性力,磁力,電磁力等、種々の力あるいはそれらのうちのいくつかのものが複合した力に起因して発生させ得るものであり、本項にいう抗力は、それらのいずれに起因するものであってもよい。変更する「衝撃エネルギ吸収量」は、コラム移動部の移動に伴って吸収する衝撃エネルギの総量であってもよい。例えば、移動速度に応じて移動ストロークを可変とする態様等とすることも可能である。ところが、コラム移動部の移動ストロークは、車両の構造等からの制約により、十二分には長くできないことから、本項に記載の衝撃吸収装置は、コラム移動部の単位移動距離あたりのエネルギ吸収量が変更されるものであることが望ましい。
本項に記載の衝撃吸収装置の特徴部分である「衝撃エネルギ吸収量変更機構」は、具体的な手段が特に限定されるものではない。例えば、コラム移動部の移動速度を検知し、その検知した速度に関する信号に基づいて、電子制御によって何らかのアクチュエータを起動させてエネルギ吸収量を変更するといった電気的手段による態様とすることもでき、また、純粋な機械的な手段、言葉を換えれば、力学的な原理のみに基づく手段による態様とする等、種々の態様のものとすることができる。当該変更機構の簡素化,低コスト化等が図れるという利点を考慮すれば、後に例示する態様のように、メカニカルな手段のみを採用する態様が望ましい。
(2)前記衝撃エネルギ吸収量変更機構が、前記コラム移動部の移動速度が大きい場合に、小さい場合に比較して前記衝撃エネルギの吸収量を大きくするものである(1)項に記載の衝撃吸収装置。
ステアリングコラムに加わる衝撃が大きい場合に、コラム移動部の移動速度は大きくなる。一方、コラム移動部が衝撃吸収のために移動可能な範囲、つまり、移動ストロークは、車両の構造,ステアリングコラムの取付け構造等の制約を受ける等して、一定の長さとされることが多い。この場合、その移動ストローク内で効果的に衝撃を吸収するためには、移動速度が大きい場合において、コラム移動部の単位移動距離あたりのエネルギ吸収量を大きくすることが望ましい。本項に記載の態様によれば、その要望に応えることが可能な衝撃吸収装置が実現する。運転者のステアリングホイール等への二次衝突を例にとってより具体的に言えば、加わる衝撃の大きな場合に、移動ストローク内において充分な衝撃エネルギを吸収できずに移動ストロークの終端において運転車に与えてしまう衝撃(いわゆる底付きによる衝撃)を効果的に防止、緩和でき、また、加わる衝撃の小さい場合は、移動ストロークの長い領域にわたって緩やかな衝撃吸収が可能となるのである。
(3)前記衝撃エネルギ吸収量変更機構が、前記コラム移動部の移動速度が設定された閾速度を挟んで大きい場合と小さい場合とで、前記衝撃エネルギの吸収量を変更するものである(1)項または(2)項に記載の衝撃吸収装置。
コラム移動部の移動速度に応じてエネルギ吸収量を変更する場合に、その移動速度に応じて連続的にその吸収量を変化させることが可能であり、また、離散的な値となるように、つまり、段階的に変更することが可能である。本項に記載の態様は、コラム移動部の移動速度に応じて、エネルギ吸収量を段階的に変更する態様である。本態様には、具体的には例えば、移動速度がある閾値より大きい場合は、比較的大きなあるエネルギ吸収量とされ、その値以下の場合に、比較的小さなあるエネルギ吸収量とされるような衝撃エネルギ吸収量変更機構を有する態様が含まれる。本態様は、平たく言えば、おおまかな変更を行い得るものであり、構成が比較的簡素化された実用的な衝撃吸収装置が実現する。
(4)前記衝撃エネルギ吸収量変更機構が、電気的な手段によらずに前記衝撃エネルギの吸収量が変更されるように構成された(1)項ないし(3)項のいずれかに記載の衝撃吸収装置。
例えば、速度センサ等を用いて、コラム移動部の移動速度を検出し、その速度を信号としてコンピュータを主体とする制御装置に送信し、制御装置がその信号に基づいて何らかのアクチュエータを制御駆動させるといった手段により、エネルギ吸収量を変更することも可能である。ところが、このような電気的な手段による場合、車両の衝突の衝撃等が原因して、衝撃エネルギ吸収量変更機構が誤作動するあるいは作動しないといった可能性を否定できない。また、変更機構の中に制御装置,アクチュエータ等を必要とすることから、構成が複雑であり、また衝撃吸収装置自体のコストが高くなる。本項に記載の態様によれば、電気的手段を採用する場合における上記問題が解決でき、構成面において比較的シンプルである,コスト面において安価であるといった利点を有する衝撃吸収装置が実現する。
(5)前記衝撃エネルギ吸収量変更機構が、前記コラム移動部の移動速度に依存して変化するところの自身に作用する作用力によって、前記衝撃エネルギの吸収量が変更されるように構成された(1)項ないし(4)項のいずれかに記載の衝撃吸収装置。
本項に記載の態様は、電気的手段を採用しない一態様として位置付けることもできる。言い換えれば、力学的原理を利用する狭い意味での機械的手段を利用した、いわゆる純粋にメカニカルな衝撃エネルギ吸収量変更機構を採用する態様である。さらに言い換えれば、例えば、当該機構内において作用する力の大きさ,その力の伝達状態等を、コラム移動部の移動速度の変化によって変化させて、衝撃エネルギの吸収量を変化させる態様である。本項に記載の態様によれば、メカニカルな機構であるため信頼性が高く、電気的手段を採用しない場合には、前述の利点を享受することができる。
(6)当該衝撃吸収装置が、前記コラム移動部の移動に伴って前記抗力を発生させる抗力発生装置を備え、その抗力発生装置が、前記衝撃エネルギ吸収量変更機構として、前記コラム移動部の移動速度に依拠して前記抗力の大きさを変更する移動速度依拠抗力変更機構を有する(1)項ないし(5)項のいずれかに記載の衝撃吸収装置。
抗力を受けた状態でコラム移動部を移動させて衝撃エネルギを吸収する場合、例えば、ステアリングホイール等に二次衝突する運転者へ与える衝撃を小さくすべく、その衝撃のエネルギの吸収量を変更するときには、コラム移動部の移動可能な長さを変更することによって行うことも可能であり、また、その抗力の大きさを変更することによって行うことも可能である。しかし、コラム移動部の移動可能長さ、つまり移動ストロークは、車両の構造等から十二分な長さとすることができないことが多く、その場合には、発生する抗力の大きさを変更して、当該衝撃吸収装置のエネルギ吸収荷重の大きさを変更することが望ましい。本項に記載の態様は、その要望に応えるものである。本項に記載の態様は、例えば、コラム移動部の移動速度が大きい場合には、発生する抗力を大きくし、移動速度が小さい場合には、発生する抗力を小さくするような態様が含まれる。
(7)前記抗力発生装置が、前記コラム移動部の移動に伴って変形する変形部材を有し、その変形部材の変形抵抗に起因する前記抗力を発生させるものである(6)項に記載の衝撃吸収装置。
コラム移動部の移動に伴う抗力を発生させる手段としては、例えば、何らかの部材の変形に要する力を利用する手段,摩擦力を利用する手段,磁力や電磁力を利用する手段,慣性力を利用する手段等、種々のものを採用することが可能である。本項に記載の態様は、これらのうち、部材の変形に要する力を利用する手段を採用するものであり、例えば、その変形に要する力の反力、つまり、変形に伴う抵抗力あるいはそれの一部を、発生する効力の少なくとも一部とするものが含まれる。変形には弾性変形と塑性変形とがあり、弾性変形を主として利用するものとして、例えば、バネとダンパとを組み合わせた構成のものを採用できる。ところがそのようなものは構造が比較的複雑であることから、塑性変形を利用するものであることが望ましい。塑性変形を利用する具体的な態様は特に限定されるものではないが、例えば、帯状,板状の部材(例えば、エネルギ吸収プレートと呼ばれるもの)を曲げ変形させる力を利用することが可能であり、またそのようなものは、比較的簡単な構造の抗力発生装置となる。なお、本項にいう「変形抵抗」は、変形の困難さといった広い意味であり、変形応力のみに留まらず、変形に伴って摩擦力等の他の力が働くに場合は、その力に起因する抵抗をも含むものであることを意味する。
(8)前記移動速度依拠抗力変更機構が、前記変形抵抗の大きさを変更することにより前記抗力の大きさを変更するものである(7)項に記載の衝撃吸収装置。
本項に記載の態様は、変形部材の変形抵抗を利用した抗力発生装置を備える態様において、コラム移動部の移動速度に応じてその変形抵抗を変更することにより、抗力の大きさを変更する態様である。変形抵抗を変更する具体的な手段は特に限定されないが、例えば、変形の程度,変形量等を変化させたり、変形に伴って摩擦力等の他の力が発生する場合にその力を変化させたりする態様とすることができる。本態様によれば、簡便にエネルギ吸収量を変化させることができる。
(9)前記抗力発生装置が、前記変形部材と係合しつつ前記コラム移動部の移動に伴ってその変形部材の変形を強要する変形強要部材を備え、その変形の強要により前記変形抵抗に起因する抗力を発生させるものである(7)項または(8)項に記載の衝撃吸収装置。
本項にいう「変形強要部材」は、例えば、変形部材に押付けられる若しくは押付く等して、それの変形を強制する部材である。本項における抗力発生装置は、例えば、変形強要部材が変形部材と接触することによって係合する場合、コラム移動部と車体との一方に変形部材を設け、それらの他方に変形強要部材を設けた場合に、両者の係合部において両者の相互間に働く作用・反作用力に起因して上記抗力が発生する態様のものとすることができる。なお、1つの変形部材に対して変形強要部材が1つであるとは限らず、複数の変形強要部材が係合する態様であってもよい。その場合、いずれかのものを主たる変形強要部材とし、他のものを補助的な変形強要部材として扱うことも可能である。
(10)前記移動速度依拠抗力変更機構が、前記変形部材と前記変形強要部材との係合関係を変更することによって、前記抗力の大きさを変更するものである(9)項に記載の衝撃吸収装置。
本項にいう「係合関係を変更する」とは、変形部材と変形強要部材との係合位置、係合面積、係合の強さ、係合箇所の数、係合の有無等の係合に関する種々の状態のいずれか1以上のものを変更することを意味する。コラム移動部の移動速度に応じて係合関係を変更させることによって、発生する抗力の大きさを変更する態様が、本項に記載の態様に含まれる。
(11)前記変形部材と前記変形強要部材とが、前記コラム移動部の移動速度に応じた速度で相対移動しつつ係合するものであり、前記移動速度依拠抗力変更機構が、前記変形部材と前記変形強要部材との相対移動速度に応じて、前記変形部材と前記変形強要部材との係合関係を変更するものである(10)項に記載の衝撃吸収装置。
コラム移動部の移動に応じて変形部材と変形強要部材との両者が相対移動する場合は、本項に記載の態様のように、コラム移動部の移動速度ではなく、上記両者の相対移動速度に依拠して、それら両者の係合関係を変更させるようしても、コラム移動部の移動速度に依拠した衝撃エネルギの吸収量の変更が可能となる。なお、本項にいう「相対移動速度」は、変形部材の全体と変形強要部材の全体との相対移動速度のみを意味するものではなく、変形強要部材と変形部材のその変形強要部材が係合する部分との相対移動速度、変形部材と変形強要部材との互いに係合する部分どうしの相対移動速度をも含む概念である。
(12)前記移動速度依拠抗力変更機構が、前記変形部材と前記変形強要部材との相対移動速度に依存して変化するところの自身に作用する作用力によって、前記変形部材と前記変形強要部材との係合関係が変更されるように構成された(11)項に記載の衝撃吸収装置。
本項に記載の態様は、前述した態様の下位概念の態様、すなわち、コラム移動部の移動速度に依存して変化して自身に作用する作用力によって衝撃エネルギの吸収量が変更される態様の、下位概念の態様と考えることができる。本項に記載の態様には、例えば、電気的な手段によらず機械的な手段によって、変形部材と変形強要部材との相対移動速度に応じて、それらの係合関係を変更するような態様が含まれる。
(13)前記変形部材が、帯状の部材を概してU字状に屈曲した形状のものであり、かつ、前記コラム移動部の移動方向に概ね平行な方向に沿って、一方の端部が前記コラム移動部と車体との一方に位置が固定され、他方の端部が位置が固定されない自由な状態で配置されたものであり、
前記抗力発生装置が、前記変形強要部材として、前記コラム移動部と前記車体との他方に位置が固定された押圧部材を有し、その押圧部材が外周面を前記変形部材のU字状の屈曲部の内面に係合した状態で前記コラム移動部の移動に伴って前記変形部材を押圧して変形させることで、前記抗力を発生させるものである(9)項ないし(12)項のいずれかに記載の衝撃吸収装置。
本項に記載の態様は、変形部材と変形強要部材との組み合わせに関する具体的な限定を加えた態様である。本項に記載された態様の抗力発生装置は、いわゆる衝撃吸収プレートと呼ばれる変形部材を利用するもので、広く実用化されている衝撃吸収装置において、現に採用されている抗力発生装置である。その抗力発生装置の説明は、後の〔実施例〕において詳しく行うが、本項に記載の態様は、実用化された衝撃吸収装置を効率のよい衝撃吸収を行い得るように改良した態様であり、本態様によれば、実用的な衝撃吸収装置が実現する。
以下、本発明の実施例を、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、本発明は、下記実施例の他、前記〔発明の態様〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。
<第1実施例>
図1に、本発明の第1実施例としての衝撃吸収装置が適用されたステアリングコラムの側面図を、図2に、そのステアリングコラムの平面図を、図3に、そのステアリングコラムの側面断面図を、それぞれ示す。これらの図において、右側の端部がステアリングホイール側、左側が車輪側であり、このステアリングコラムは、傾斜した状態で車両に取付けられるため、実際は、ステアリングコラムの図における右側の端部は車両後方斜め上方に位置し、ステアリングコラムの図における左側の端部は車両前方斜め下方に位置する。本実施例では、説明を簡略化するため、特に断りのない限り、図における右側を上部,右側方向を上方とし、図における左側を下部,左側方向を下方として説明を行う(後の他の実施例も同様とする)。
ステアリングコラム5は、大きくは、シャフト部と、そのシャフト部を挿通させた状態で支持するチューブ部とに区分することができるシャフト部は、ステアリングホイール側に位置する上部シャフト10と車輪側に位置する下部シャフト12とを含んで構成されている。上部シャフト10はパイプ状に、下部シャフト12はロッド状に形成され、上部シャフト10の下部に下部シャフト12の上部が挿入されている。上部シャフト10の下部内周面14,下部シャフトの上部外周面16には、それぞれ互いに噛合するスプラインが形成され、上部シャフト10と下部シャフト12は、軸方向に相対移動が可能かつ相対回転が不能な状態で接続されている。また、チューブ部は、ステアリングホイール側に位置する上部チューブ18と、下部チューブ20とを含んで構成されている。上部チューブ18および下部チューブ20は、ともにパイプ状のものであり、上部チューブ18の下部に下部チューブ20の上部が挿入されている。上部チューブ18の下部内面には、パイプ状をなすライナ22が設けられており、このライナ22を介することによって、下部チューブ20は上部チューブ18にがたつきなく挿入される。下部チューブ20の外周面と接触するライナ22の内周面は減摩処理が施されており、上部チューブ18と下部チューブ20との軸方向の相対移動を容易ならしめている。また、上部チューブ18の上端部および下部チューブ20の下端部には、それぞれラジアルベアリング24,26が設けられ、上部チューブ18および下部チューブ20は、それぞれ、ラジアルベアリング24,26を介して、上部シャフト10および下部シャフト12の各々を、それらの中間部において回転可能に支持している。このような構造とされていることで、ステアリングコラム5は、伸縮可能とされているのである。
本ステアリングコラム5は、上部チューブ18,下部チューブ20のそれぞれにおいて車体に取り付けられる。詳しく説明すれば、下部チューブ20の下端部には被支持部材30が固定的に設けられており、この被支持部材30の有する軸挿通穴32に車体に固定的に設けられた支持軸(図示省略)が挿通されることによって、下部チューブ20、すなわち、ステアリングコラム5が、その支持軸を中心に揺動可能に取り付けられる。上部チューブ18は、被支持部材34を介して、車体、詳しくはインストゥルメントパネルのリンフォースメントに取り付けられる。上部チューブ18には、被保持部材36が固定的に設けられており、この被保持部材36が、被支持部材34の構成部分であるチャンネル形状(コの字形状)をなす保持部材38によって保持されるとともに、被支持部材34のもう1つの構成部材である被支持プレート40が車体に固定されることで、上部チューブ18が車体に取り付けられるのである。図4を参照しつつ、さらに詳しく説明すれば、リンフォースメントには支持部材42が設けられており、被支持プレート40は、自身に設けられた切込44の端部に形成された2つの取付穴部46(他の部分より幅広とされて、概ね円形の穴として形成されている)に、それぞれ、取付ピン48を挿通させるとともに、その取付ピン48の頭部と支持部材42とによっては挟みつけられることによって、固定される。被支持プレート40と、支持部材42との間には、介在プレート50が挟みこまれている。介在プレート50は、取付ピン48が挿通する挿通穴52を有するとともに、その挿通穴52を延長するように図の下方に向かって突出する環状突部54を有している。取付ピン48の外径は、切込44の幅より小さくされているが、環状突部54が取付穴部46に嵌り込んでおり、そのことによって、取付ピン48が切込44に沿って移動することによる上部チューブ18の軸方向の移動が制限されている。
また、ステアリングコラム5は、チルト機構およびテレスコピック機構を有している。詳しい説明は省略するが、保持部材38および被保持部材36は、ぞれぞれが、互いに交差する長穴56,58を有しており、これらの長穴56,58に軸部材60が挿入されている。それにより、ステアリングコラム5は、保持部材38に設けられた長穴56の分だけ前記支持軸を中心として揺動可能とされ、また、被保持部材36に設けられた長穴58の分だけ、伸縮可能とされているのである。図1には、チルト機構およびテレスコピック機構のロックレバー62が示されており、このロックレバー62を押し上げることにより(図における実線の位置)、被保持部材36が保持部材38によって強く挟持され、ステアリングコラム5の揺動位置,伸縮位置が固定されるようになっている。位置の調整は、ロックレバー62を押し下げる(図における2点鎖線の位置)ことによって、固定を解除して行われる。
運転者が二次衝突する等によって、ステアリングコラム5に取り付けられているステアリングホイール(図示を省略)に衝撃が加わった場合、上述した上部チューブ18の車体に対する固定が解除される。介在プレート50は、樹脂等の比較的脆弱かつ発生する摩擦力が小さくなるような材料からなるものであり、衝撃が加わることによって、上記環状突部54が破断し、支持部材42と被支持部材34との相対移動、詳しくは、取付ピン48が切込44にガイドされる方向の相対移動が可能とされる。これにより、上部チューブ18および上部シャフト10が一体となった状態での移動が許容されるのである。つまり、本ステアリングコラム5では、ステアリングコラム5の上部に位置する一部分がコラム移動部とされており、衝撃が加わった場合に、上部チューブ18および上部シャフト10(以下、本実施例において、「コラム移動部」という場合がある)が、ステアリングコラム5の軸方向の移動を許容されるのである。なお、コラム移動部の移動範囲の終点は、下部シャフト12の上端が上部シャフト10の内径が小さくなっている内面の部分に当接することによって規定されるが、テレスコピック機構によって、コラム移動部がいずれの伸縮位置にあるときでも、衝撃吸収のための充分な移動ストロークが確保されるようになっている。
また、ステアリングコラム5は、抗力発生装置70を備え、上部チューブ18および上部シャフト10の移動に伴って、その移動を阻止する方向の抗力が発生させられるようになっている。抗力発生装置70は、主に、変形部材の変形抵抗に起因する抗力を発生させる装置である。本実施例の衝撃吸収装置71は、抗力発生装置70と、上記コラム移動部の軸方向の移動を許容する機構とを含んで構成されている。図5には、図1における抗力発生装置70の部分の拡大図を、図6には、図3におけるその部分の拡大図を、また、図4には、その部分の斜視図をそれぞれ示す。
抗力発生装置70は、変形部材としての、衝撃吸収プレート72(以下、「EAプレート72」と省略する場合がある)と、そのEAプレート72の変形を強要する変形強要部材としての、押付ローラ74(主たる変形強要部材である)とを含んで構成されている。押付ローラ74は、肉厚管状のローラ部76と、ローラ部76を挿通する軸部78とを含んで構成された押圧部材であり、ローラ部76と軸部78とは互いに相対回転不能かつ軸方向に相対移動不能とされている。押付ローラ74は、被支持部材34の下端部(図1等における左方部分)に設けられた1対の軸支承部材80,82により、軸部78の両端部が、滑り軸受用ブシュ84を介して回転可能に支承されている。EAプレート72は、U字状に屈曲させられた帯状の金属製のものであり、一方の端部が略直角に折り曲げげられて、支持部材42に固定され、他方の端部は自由な状態とされている。EAプレート72の屈曲部で繋がれた2つの真直ぐな部分は、互いに平行であり、それらの部分が延びる方向がコラム移動方向と平行になるようにEAプレート72が配設されている。押付ローラ74は、それの外周がEAプレート72のU字屈曲部の内側に係合するようにされている。また、被支持部材34には、角穴86が設けられ、この角穴86の両側の各々には、コの字状に屈曲して形成された規制部材88が設けられており、この規制部材88によって、EAプレート72は、U字形状が拡がることを阻止されている。つまり、規制部材88は、補助的な変形強要部材として機能する。
また、押付ローラ74の軸部78の一方の端部には、破断ピン90と被係止部材92とが固定的に設けられている。破断ピン90は、押付ローラ74の回転力が弱い状態においては、軸受部材80に設けられたピン当接部材94と当接し、押付けローラの74の回転を阻止する。押付ローラ74の回転力がある閾値を超えて大きくなる場合、破断ピン90は破断(屈曲するようにされてもよい)する。破断ピン90が破断した場合、押付ローラ74は、軸受部材80に設けられた係止部材96に被係止部材92が当接する位置(図6の破線で示す位置)までの回転、つまり、概ね45゜の角度の回転が許容される。
コラム移動部の固定が解除されて、コラム移動部が下方(図1における左方、図6における白抜矢印の方向)に移動する場合、押付ローラ74がEAプレート72を押し下げようとする。それに伴って、EAプレート72は、U字部分の形状を概ね維持したまま、自由端部が移動しつつ変形する。ステアリングコラム5が受ける衝撃が比較的小さい場合は、コラム移動部は比較的遅い速度で移動する。この場合、上記破断ピン90が破断せず、押付ローラ74は回転を阻止された状態であり、EAプレート72がローラ部76の外周面を滑りながら変形する。なお、押付ローラ74のローラ部76は硬質樹脂等により形成され、EAプレート72との間に発生する摩擦は比較的小さくされているため、EAプレート72の曲げ,展ばしに必要な力が、概ね、EAプレート72の変形抵抗に匹敵する。そしてその変形抵抗に応じた抗力を、本抗力発生装置70が発生させることになる。この発生する抗力は、言い方を換えれば、コラム移動部が移動することによる反力であり、エネルギ吸収荷重である。このような機構による抗力、つまり、EAプレート72の変形抵抗に起因する抗力は、原則的には、コラム移動部の移動速度には依存せず一定のものとなる。すなわち、EAプレート72の変形抵抗が変化しない限り、発生する抗力は、原則的には一定である。
ところが、ステアリングコラム5が受ける衝撃が大きい場合は、コラム移動部の移動速度は速くなる。この場合、EAプレート72の急激な変形が瞬時に強いられることになる。その場合、当該抗力発生装置の有するイナーシャ,変形速度が追従しない現象等が原因し、短い時間ではあるが、押付ローラ74のEAプレート72の押し下げに伴う反力も強くなる。それに応じて、ローラ部76とEAプレート72との間に発生する摩擦力等に起因するところの押付ローラ74を回転させる力も、短い時間ではあるが増加する。すると、破断ピン90が破断して、押付ローラ74が回転する。図7に示すように、押付ローラ74のローラ部76は、概ね短い円柱形状をなす2つの突起98を有しており、また、EAプレート72の一方の面には、それらの突起98の各々に対応して、2本の溝100が形成されている。これらの突起98は金属等の比較的硬いものとされ、また、溝100の幅は、突起98の外径より若干狭い幅とされており、押付ローラ74が回転すると、2つの突起98の各々が、2つの溝100の各々に食い込む。その状態では、EAプレート72の変形抵抗は、曲げ,展ばしに必要な力に加え、突起98が溝100を押し広げる力、突起98と溝100との接触面間に発生する摩擦力等を加えた力に匹敵するものとなり、押付ローラ74が回転させられなかった場合に比較して大きくなる。つまり、変形部材であるEAプレート72と変形強要部材である押付ローラ74との係合関係が変更させられることで変形抵抗の大きさが変更させられ、それによって、本抗力発生装置70が発生させる抗力も大きくなる方向に変更されるのである。なお、一旦、押付ローラ74が回転した以後は、その大きくされた抗力は維持される。
コラム移動部の移動速度v、詳しくは、衝撃が加わった後の比較的短い時間における最大移動速度に対しての、発生する抗力σ大きさを、模式的なグラフとして示せば、図8のようになる。このグラフから判るように、押付ローラ74が回転を開始し始める速度を閾速度v0として、その閾速度v0を境にして、移動速度vが大きいときは大きい抗力σHが発生し、移動速度vが小さいときには小さい抗力σLが発生する。つまり、本抗力発生装置70は、コラム移動部の移動速度に依拠して抗力の大きさを変更する移動速度依拠抗力変更機構を有するものとされているのである。また、衝撃エネルギの吸収量は、コラム移動距離と抗力との積であるため、本抗力発生装置70を含んで構成される衝撃吸収装置71は、コラム移動部の移動速度に依拠して衝撃エネルギの吸収量を変更する衝撃エネルギ吸収量変更機構を備えているのである。また、見方を変えれば、変形部材であるEAプレート72は、それの屈曲部が、変形強要部材である押付ローラ74に対して移動するようにされている。つまり、コラム移動部の移動速度に応じた速度で、両者は相対移動しつつ係合するものであるため、本抗力発生装置70が有する移動速度依拠抗力変更機構は、それらの相対移動速度に応じて、変形部材と変形強要部材との係合関係を変更するものとされているのである。また、その係合関係は、押付ローラ74に作用する回転力、すなわち相対移動速度に依存して変化して作用する力によって変更されるものであり、本衝突エネルギ吸収量変更機構は、電気的な手段によらず、自身に作用する作用力によって、衝撃エネルギの吸収量が変更されるような構造とされているのである。
<第2実施例>
本実施例は、上記実施例における抗力発生装置を、それとは異なる抗力発生装置に置き換えたものである。ステアリングコラムにおける他の部分は、上記実施例と同様であるため説明を省略し、抗力発生装置に関する部分のみの説明に留める。図9に、本実施例の衝撃吸収装置を構成する抗力発生装置を示す。図9(a)は、図6と同様の断面図であり、図9(b)は、抗力発生装置を構成する遠心力クラッチを、図9(a)における背面側から見た図である。この図を参照しつつ以下の説明を行う。
本抗力発生装置110では、被支持部材34の下方端部に設けられた1対の軸受部材112(一方のものは図示を省略)に回転可能に支承された押付ローラ114(押圧部材である)を、主たる変形強要部材とするものである。押付ローラ114は、先の実施例のものと同様、ローラ部116と軸部118とが一体化されたものでであり、軸部118において、1対の軸受部材112に支承されている。本実施例においてローラ部116は、金属製であり、EAプレート72(本実施例のものは表面に溝は形成されていない)との間で、比較的大きな摩擦力を発生するものとされている。軸部118の両端は、それぞれ、軸受部材112より突出しており、その一方の端部には、遠心力クラッチ120が設けられいる。遠心力クラッチ120は、外周部にラチェッド歯122が形成されたラチェッド板124と、ラチェッド歯の内側に位置する回転円板126とを含んで構成されている。ラチェッド板124の中心には、軸部118が挿通する軸穴が設けられ、その軸穴に軸部118の突出部を滑り軸受用ブシュを介して挿通させることで、ラチェッド板124は、軸部118に相対回転可能に支持されている。回転円板126は、ラチェッド板124の軸方向の外側において、軸部118に固定して設けられ、押付ローラ114と一体的に回転可能とされている。軸部118の両端の遠心力クラッチ120が設けられていない側の突出部には、ラチェッド板124と同様の外形をなしてラチェッド歯が形成されていない回動板(図示を省略)が、ラチェッド板124と同様に軸部118と相対回転可能に支承されている。ラチェッド板124および回動板は、外周の一部が径方向に突出する部分を有しており、それらの突出部は、連結ロッド128によって連結されている。
1対の軸受部材112の間のそれぞれの軸受部材112の内側の近傍には、湾曲した1対の揺動レバー130(一方のものは図示を省略)が設けられている。詳しくは、軸受部材112のそれぞれに両端を支持された揺動軸132に、1対の揺動レバー130が回動可能に支持されている。1対の揺動レバー130の各々の中間部は、揺動軸132と平行なローラ軸134によって連結されており、1対の揺動レバー130は、同じ相対位置関係を保ちながら、揺動軸132のまわりに揺動するようにされている。ローラ軸134には、押付ローラ114より小さな外径を有する補助ローラ136が回転可能に支持されている。補助ローラ136は、EAプレート72と上部チューブ18との間に位置し、揺動レバー130が揺動することにより、U字屈曲部に近い位置においてEAプレート72の外側表面に当接可能とされている。1対の揺動レバー130の各々の、揺動軸132に支持された端部とは反対の端部は、前述の連結ロッド128に係合するようにされている。なお、揺動レバー130の湾曲は、EAプレート72,押付ローラ114との干渉を避けるための手段である。また、1対の軸受部材112の間には、それらの各々に両端の各々を支持された規制ロッド138が設けられており、この規制ロッド138は、EAプレート72の内側表面に当接するようにされている。補助ローラ136は、揺動レバー130が揺動することにより、押付ローラ114と規制ロッド138との間でそれらの反対側からEAプレート72に当接し、それらとによってEAプレート72を挟みつけるのである。つまり、押付ローラ114,規制ロッド138も、補助的な変形強要部材としての機能を有している。
遠心力クラッチ120は、回転円板126の外周部に揺動可能に設けられた係合爪140を有しており、回転円板126の回転つまり押付ローラ114の回転速度がある値より大きい場合に、係合爪140は、発生する遠心力が付勢部材である引張バネ142の付勢力に打ち勝つことで揺動し、その先端が径方向の外側に移動してラチェッド板124のラチェッド歯122と係合する状態となる。これにより、回転円板126とラチェッド板124とは一体的に回転し、揺動レバー130は揺動し、補助ローラ136は、EAプレート72に当接して、上記のようにEAプレート72を挟みつける状態とされ、EAプレート72は、挟みつけられた状態において、図の二点鎖線のように湾曲する。この状態においては、EAプレート72が押付ローラ114を緊縛する状態となるとともに、押付ローラ114の回転は規制される状態となり、EAプレート72は、押付ローラ114のローラ部116の外周面との間に発生する摩擦力を受けながら変形させられることになる。すなわち、遠心力クラッチ120が働く場合は、押付ローラ114等とEAプレート72との係合状態が変更されて、EAプレート72の変形抵抗は大きくなり、それに起因して発生する抗力も大きくなるのである。なお、遠心力クラッチ120が働く場合の各部材の動きは、図では、白抜矢印で示されている。
ステアリングホイール等への運転者の二次衝突等により、コラム移動部が、それの固定が解除されて移動すれば、EAプレート72が変形し、本抗力発生装置110は、抗力を発生させる。本実施例では、EAプレート72の移動に伴って押付ローラ114が回転するようにされている。ステアリングコラム5が受ける衝撃が小さい場合、コラム移動部の移動速度は遅く、それに伴う押付ローラ114の回転も遅く、遠心力クラッチ120は働かない。その場合は、押付ローラ114の回転を伴ってEAプレート72が変形するため、比較的小さな抗力しか発生しない。ところが、ステアリングコラム5が受ける衝撃が大きい場合、コラム移動部の移動速度が大きく、それに伴う押付ローラ114の回転速度も大きくなるため、先に説明したように、遠心力クラッチ120が働いて、大きな抗力が発生する。先の実施例のものと同様、図8に示すように、コラム移動部の移動速度がある閾速度v0を超えた場合に、発生する抗力が大きくなるのである。つまり、本抗力発生装置110も、先の実施例のものと同様に、コラム移動部の移動速度に依拠して抗力の大きさを変更する移動速度依拠抗力変更機構を有するものとされており、本抗力発生装置110を含んで構成される本実施例の衝撃吸収装置150は、コラム移動部の移動速度に依拠して衝撃エネルギの吸収量を変更する衝撃エネルギ吸収量変更機構を備えるものとされているのである。
また、本実施例においても、変形部材であるEAプレート72は、それのU字屈曲部が、変形強要部材である押付ローラ114に対して移動するようにされている。つまり、コラム移動部の移動速度に応じた速度で、両者は相対移動しつつ係合するものであるため、本抗力発生装置110が有する移動速度依拠抗力変更機構は、それらの相対移動速度に応じて、変形部材と変形強要部材との係合関係を変更するものとされているのである。また、その係合関係は、押付ローラ114と一体的に回転する遠心クラッチ120の回転円板126に作用する遠心力に依存して変更されるものであり、すなわち変形部材と変形強要部材との相対移動速度に依存して変化して作用する力によって変更されるものであり、本衝突エネルギ吸収量変更機構も、先の実施例と同様、電気的な手段によらず、自身に作用する作用力によって、衝撃エネルギの吸収量が変更されるような構造とされているのである。
<第2実施例の変形例>
上記第2実施例の衝撃吸収装置の変形例について説明する。本変形例は、第2実施例における抗力発生装置を、それとは異なる抗力発生装置に置き換えたものである。図10に、本変形例の衝撃吸収装置を構成する抗力発生装置を示す。図10(a)は、図6と同様の断面図であり、図10(b)は、抗力発生装置を構成する遠心力ストッパを、図10(a)における背面側から見た図である。これらの図を参照しつつ以下の説明を行う。
本抗力発生装置230は、第2実施例のものと類似し、被支持部材34の下方端部に設けられた2つの軸受部材である第1軸受部材232,第2軸受部材(図示を省略)に回転可能に支承された押付ローラ234(押圧部材である)を、主たる変形強要部材とするものである。押付ローラ232は、第2実施例のものと同様に、ローラ部236と軸部238とが一体化されたものでであり、軸部238の両端の各々が、第1軸受部材232,第2軸受部材の各々に回転可能に支承されている。ローラ部236は、金属製であり、外周面には全周にわたって複数の小さな突起240が形成されている。押付ローラ234は、この突起24が接する状態でEAプレート72と係合される。
図10(b)から解るように、第1軸受部材232に支承されている軸部238の端部には、第2実施例のものと同様の回転円板126が、軸部238と相対回転不能に取付けられており、回転円板126と押付ローラ234とは一体的に回転する。第1軸受部材232には、第2実施例におけるラチェッド板124と同様のラチェッド歯122が形成されている。つまり、第1軸受部材232は、第2実施例のラチェッド板124と軸受部材112とが一体化されたようなものである。回転円板126には、第2実施例と同様の係合爪140,引張バネ142が設けられている。押付ローラ234の回転速度がある値より大きい場合に、係合爪140は、発生する遠心力が付勢部材である引張バネ142の付勢力に打ち勝つことで揺動し、その先端が径方向の外側に移動して、ラチェッド歯122と係合する状態となる。ラチェッド歯122に係合する場合に、押付ローラ234の回転は禁止される。この第1軸受部材232,回転円板126,係合爪140,引張バネ142を含んで、遠心力を利用して押付ローラ234の回転を止める遠心力ストッパ242が構成されているのである。言い方を換えれば、遠心力ストッパ242は、押付ローラ234をロックさせるための機能を有するのである。なお、図10(a)において、第1軸受部材232の一部分は、被支持部材34の下方端部より上方(図の右方向)に位置するように描かれているが、これは、被支持部材34に切込が存在し、その切込に第1軸受部材232が嵌り込むようにして被支持部材34に取り付けられているためである。また、図示を省略する第2軸受部材には遠心力ストッパは設けられておらず、第2軸受部材は、単に、押付ローラ234の軸部238を回転可能に支承する機能しか有していない。
ステアリングホイール等への運転者の二次衝突等により、コラム移動部が、それの固定が解除されて移動すれば、上記第2実施例の場合と同様に、EAプレート72が変形し、本抗力発生装置230は抗力を発生させる。本変形例でも、EAプレート72と移動に伴って押付ローラ234が回転するようにされている。ステアリングコラム5が受ける衝撃が小さい場合、コラム移動部の移動速度は遅く、それに伴う押付ローラ234の回転も遅く、遠心力ストッパ242は働かない。その場合は、押付ローラ234の回転を伴ってEAプレート72が変形するため、比較的小さな抗力しか発生しない。ところが、ステアリングコラム5が受ける衝撃が大きい場合、コラム移動部の移動速度が大きく、それに伴う押付ローラ234の回転速度も大きくなるため、遠心力ストッパ242が働いて、押付ローラ234の回転が止められる。その場合、EAプレート72には押付ローラ234の突起240が係合しているため、EAプレート72が押付ローラ234の表面を擦れ動くためには大きな力が必要とされる。したがって、EAプレート72の変形抵抗は大きくなり、効力発生装置230は大きな抗力を発生させることになる。
つまり、本変形例においても、コラム移動部の移動速度に応じて、すなわち、変形部材であるEAプレート72と変形強要部材である押付ローラ234との相対移動速度に応じて、両者の係合状態が変更され、発生する抗力が大きくなるのである。コラム移動速度と発生する抗力の大きさの関係は、第2実施例の場合と同様、図8に示すような関係とされている。すなわち、本抗力発生装置230も、コラム移動部の移動速度に依拠して抗力の大きさを変更する移動速度依拠抗力変更機構を有するものとされており、本抗力発生装置230を含んで構成される本変形例の衝撃吸収装置250は、コラム移動部の移動速度に依拠して衝撃エネルギの吸収量を変更する衝撃エネルギ吸収量変更機構を備えるものとされているのである。
<第3実施例>
本実施例の衝撃吸収装置が適用されるステアリングコラムを図11に示す。本図に示すステアリングコラム155は、ステアリングシャフト160(以下、単に「シャフト160」と略す場合がある)と、シャフト160を回転可能かつ軸方向に移動不能に保持するステアリングチューブ162(以下、単に「チューブ162」と略す場合がある)とを含んで構成されている。本ステアリングコラム155は、先の実施例の場合と異なり、ステアリングコラム155の一部分が他の部分に対して移動可能とされたものではなく、ステアリングコラム155の全体がコラム移動部とされ、衝撃を受けた場合にその全体が移動可能とされている。ステアリングコラム155の図における右側が上部であり、シャフト160の上端部にステアリングホイール(図示を省略)が取付られ、シャフト160の下端部が、車輪側の部材に接続される。
チューブ162は、下端部と軸方向における中間部において車体に取り付けられる。車体、詳しくはインストゥルパネルのリンフォースメントには、取付ブラケット164が設けられており、中間部は、この取付ブラケット164に取付られる。チューブ162には、被取付部材166(図には二点差線で示されている)が固定的に設けられており、この被取付部材166に設けられた穴には、取付軸168が挿通させられ、その取付軸168が、取付ブラケット164に掛止されることで、中間部が、車体に固定されるのである。運転者の二次衝突等によりステアリングコラム155に衝撃が加わった場合に、この中間部の掛止は容易に解除されるようにされている。なお、本ステアリングコラム155では、チルト機構が被取付部材166に組み込まれているが、本発明とは関係が薄いため、その説明は省略する。
ステアリングコラム155の下部は、衝撃吸収装置170を介して車体に取り付けられる。図12に衝撃吸収装置170を拡大して示す。衝撃吸収装置は、概ねコの字形状のチャンネル型部材172を基材として構成されるものである。チャンネル型部材172は、2つのフランジ174(チューブ162に立設する互いに平行な部分)の先端において、チューブ162に固着されている。2つのフランジ174の各々には、概ね扁平楕円形状をなす長穴176が形成されたおり、それらの長穴176に車体に固定的に設けられた支持軸178を挿通させることによって、ステアリングコラム155の下部が車体に支持される。支持軸178の外周には、樹脂等の比較的柔らかでありかつ摺動特性の良好な材料からなり、外径が長穴の幅と略等しくされたカラー180が嵌められており、そのカラー180を介して長穴と係合している。長穴176は、長穴176を区画するフランジ174の一部分が突出する突出部182が形成されていることによって、幅の狭い部分を有してくびれた形状とされている。ステアリングコラム155の下部は、支持軸178が突出部182の下方(図における左方)に位置する位置に取付けられ、通常の状態では、支持軸178は、長穴176内において移動しないようにされている。ステアリングコラム155に衝撃が加わった際には、カラー180の一部分が変形し、支持軸178は突出部182を乗り越えて長穴176内を移動する。これにより、ステアリングコラム155は、長穴176の延びる方向(ステアリングコラム155の軸方向に対して若干傾斜した方向)にガイドされつつ、車体に対して相対移動する。この相対移動のストロークは、長穴176の長さによって決まり、移動ストロークの終端は、支持軸178(詳しくは、カラー180の外周)が長穴の上方端に当接する位置である。
チャンネル型部材172には、変形部材としてのEAプレート190が設けられている。EAプレート190は、一方の直線部分が長く延びたU字状に屈曲させられるとともに、他方の短い直線部分がさらに内側に向かって折り曲げられた形状をなす金属製の帯状部材である。チャンネル型部材172の2つのフランジ174の間には、各種のロッド形状をなす部材が、それら2つのフランジ174を繋ぐような状態で固定的に配設されている。EAプレート190は、これらロッド形状の部材のうち長穴176の図における左方に位置する2つの固定ロッド192に一方の端部が固定されるとともに、長く延びるほうの端部は自由端とされた状態で配設されている。なお、支持軸178は、EAプレート190に囲まれた空間内を通るようにされている。他のロッド形状の部材は、EAプレート190に当接し、EAプレート190が自由に変形することを規制する規制ロッド194,196,198,200として機能する。
さらに、2つのフランジ174の間には、各フランジ174に両端を回転可能に軸支されたローラ軸202が設けられており、ローラ軸202には、軸直断面形状において偏心した形状をなす偏心ローラ204が、そのローラ軸202と相対回転不能な状態で支持されている。ローラ軸202の手前側の一端部は、フランジ174から外側へ吐出しており、その突出した部分に、カラー206が固定的に設けられている。カラー206は、軸方向に直角な方向に突出する破断ピン208と被係止部材210とを有している。破断ピン208は、フランジ174の外面に固定して設けられたピン当接部材212に当接しており、ローラ軸202の回転を阻止している。ローラ軸202が大きな力で回転させられる場合には、破断ピン208が破断し、被係止部材210がフランジ174の外面に固定して設けられた係止部材214に係止されるまで、ローラ軸202の回転が許容される(図12(b)の白抜矢印)。なお、破断ピン208がピン当接部材212に当接する状態では、偏心ローラ204の偏心凸部216はEAプレート190と係合しない状態(図12(a)における実線で示す状態)とされており、破断ピン208が破断してローラ軸202の回転が許容された場合に、ローラ軸202は概ね90゜回転し(図12(a)の白抜き矢印)、偏心ローラ204の偏心凸部216がEAプレート190と係合する状態(二点鎖線で示す状態)となる。
ステアリングコラム155に衝撃が加わって、ステアリングコラム155が移動する場合、支持軸178は、押圧部材として機能し、カラー180の外周面をEAプレート190のU字屈曲部の内側に当接させ、当接後、EAプレート190を変形させつつ移動する。このEAプレート190の変形に伴う変形抵抗に起因して抗力が発生する。変形抵抗は、支持軸178が係合するEAプレート190のU字屈曲部おいて、EAプレートが190が曲げ,展ばしされることによって生じる。また、本衝撃吸収装置170では、規制ロッド196,198と偏心ローラ204とによって、EAプレート190がそれらに係合する部分において変形させられることによる変形抵抗も生じる。詳しくは、ステアリングコラム155の移動に伴って、EAプレートの上記部分は規制ロッド196,198、偏心ローラ204に対して相対移動し、その相対移動に伴って、EAプレート190のその部分が曲げ,展ばしされることによって生じるのである。
前述したように、ステアリングコラム155の受ける衝撃の小さい場合は、ステアリングコラム155の移動速度は小さく、EAプレート190の上記相対移動速度も小さい。この場合は、偏心ローラ204を回転させようとする力は小さく、ローラ軸202は回転せず、偏心凸部216がEAプレートに係合しない状態が維持される。ところが、ステアリングコラム155が受ける衝撃が大きい場合は、ステアリングコラム155の移動速度は速くなり、EAプレート190の相対移動速度も大きくなる。この場合、先の実施例の場合と同様に、EAプレート190が急激な変形を瞬時に強いられることになり、変形速度が追従しないこと等が原因してローラ軸202の回転力が短い時間ではあるが増大する。そのことにより、破断ピン208が破断し、偏心ローラ204が回転させられることになる。偏心ローラ204が回転した状態では、偏心ローラ204が係合する部分におけるEAプレート190の変形量が増大し、変形抵抗も増大することになる。したがって、変形抵抗変更に応じて変更される抗力の大きさは、先の実施例と同様、図8に示すように、ステアリングコラム155の移動速度がある閾速度v0を超えた場合に、発生する抗力が大きくなるように変更されることになる。
上記のような構造から、衝撃吸収装置170は、抗力発生装置218を有し、その抗力発生装置218は、変形部材としてEAプレート190と、EAプレート190の変形を強要する主たる変形強要部材としての支持軸178,補助的な変形強要部材としての偏心ローラ204,規制ロッド196,198,200,とを含んで構成されているのである。そして、その抗力発生装置218は、ステアリングコラム155の移動速度に依拠して抗力の大きさを変更する移動速度依拠抗力変更機構を有するものとされており、そのことにより、本衝撃吸収装置170は、ステアリングコラム155の移動速度に依拠して衝撃エネルギの吸収量を変更する衝撃エネルギ吸収量変更機構を備えるものとされているのである。
また、本実施例においても、変形部材であるEAプレート190と、変形強要部材の1つである偏心ローラ204とは、相対移動しつつ係合し、その相対移動速度は、ステアリングコラム155の移動速度に応じた速度とされている。そして、本抗力発生装置218が有する移動速度依拠抗力変更機構は、それらの相対移動速度に応じて偏心ローラ204が回転することにより、変形部材と変形強要部材との係合関係を変更するものとされているのである。また、その係合関係は、ローラ軸202に作用してローラ軸202を回転させる力に依存して変更されるものであり、すなわち変形部材と変形強要部材との相対移動速度に依存して変化するところの作用力によって変更されるものであることから、本衝突エネルギ吸収量変更機構も、先の実施例と同様、電気的な手段によらず、自身に作用する作用力によって、衝撃エネルギの吸収量が変更されるような構造とされているのである。
第1実施例の衝撃吸収装置が適用されたステアリングコラムを示す側面図である。 図1に示すステアリングコラムの平面図である。 図1に示すステアリングコラムの側面断面図である。 図1に示すステアリングコラムにおいて、上部チューブの取付構造および衝撃吸収装置を示す斜視図である。 図1において抗力発生装置が示されている部分の拡大図である。 図3におけて抗力発生装置が示されている部分の拡大図である。 抗力発生装置が有する衝撃吸収プレートに設けられた溝と、衝撃吸収プレートを変形させる押付けローラに設けられてその溝に噛み込む突起との関係を示す斜視図である。 第1実施例の衝撃吸収装置が備える抗力発生装置の発生する抗力の大きさと、コラム移動部の移動速度との関係を模式的に示す図である。 第2実施例の衝撃吸収装置が備える効力発生装置を示す図である。 第2実施例の変形例の衝撃吸収装置が備える効力発生装置を示す図である。 第3実施例の衝撃吸収装置が適用されたステアリングコラムを示す側面一部断面図である。 第3実施例の衝撃吸収装置を拡大して示す図である。
符号の説明
5:ステアリングコラム 10:上部シャフト 12:下部シャフト 18:上部チューブ 20:下部チューブ 34:被支持部材 42:支持部材 70:抗力発生装置 71:衝撃吸収装置 72:衝撃吸収プレート(EAプレート)(変形部材) 74:押付ローラ(変形強要部材) 88:規制部材 90:破断ピン 98:突起 100:溝 110:抗力発生装置 114:押付ローラ(変形強要部材) 120:遠心力クラッチ 130:揺動レバー 136:補助ローラ 138:規制ロッド 150:衝撃吸収装置 155:ステアリングコラム 160:ステアリングシャフト 162:ステアリングチューブ 170:衝撃吸収装置 172:チャンネル型部材 176:長穴 178:支持軸 190:衝撃吸収プレート(EAプレート)(変形部材) 194,196,198,200:規制ロッド 202:ローラ軸 204:偏心ローラ(変形強要部材) 208:破断ピン 216:偏心凸部 218:抗力発生装置 230:抗力発生装置 234:押付ローラ(変形強要部材) 240:突起 242:遠心力ストッパ 250:衝撃吸収装置

Claims (5)

  1. ステアリングコラムとそれの一部分とのいずれかであるコラム移動部が抗力を受けた状態で移動することを許容することにより、前記ステアリングコラムに加わる衝撃エネルギを吸収する衝撃吸収装置であって、
    前記コラム移動部の移動速度に依拠して衝撃エネルギの吸収量を変更する衝撃エネルギ吸収量変更機構を備えたことを特徴とする衝撃吸収装置。
  2. 前記衝撃エネルギ吸収量変更機構が、前記コラム移動部の移動速度が大きい場合に、小さい場合に比較して前記衝撃エネルギの吸収量を大きくするものである請求項1に記載の衝撃吸収装置。
  3. 前記衝撃エネルギ吸収量変更機構が、前記コラム移動部の移動速度に依存して変化するところの自身に作用する作用力によって、前記衝撃エネルギの吸収量が変更されるように構成された請求項1または請求項2に記載の衝撃吸収装置。
  4. 当該衝撃吸収装置が、前記コラム移動部の移動に伴って前記抗力を発生させる抗力発生装置を備え、その抗力発生装置が、前記衝撃エネルギ吸収量変更機構として、前記コラム移動部の移動速度に依拠して前記抗力の大きさを変更する移動速度依拠抗力変更機構を有する請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の衝撃吸収装置。
  5. 前記抗力発生装置が、前記コラム移動部の移動に伴って変形する変形部材を有し、その変形部材の変形抵抗に起因する前記抗力を発生させるものである請求項4に記載の衝撃吸収装置。
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