JP2005037619A - オルゴールなどの発音機構 - Google Patents
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Abstract
【課題】電動オルゴールなどの発音機構の装置構造の簡素化、小型化及び軽量化を実現する。延いては、比較的価格低廉なオルゴールを提供する。
【解決手段】オルゴール1は、機械的に振動することで発音する複数のリード3b(発音体)と、複数のリード3bの各々に対応して配置されたリード駆動機構4(駆動手段)を備える。リード駆動機構4は、対応するリード3bに接触することで該リードを機械的に駆動して振動させる複数のピック爪を具えたピック部5と、このピック部5を駆動するピック駆動板6と、ピック駆動板6を駆動するための形状記憶合金(ワイヤー12)を含むワイヤー式駆動手段7から構成される。ワイヤー12への通電によりそれ自身が発熱することで加熱され、ワイヤー12が物理的に変形することで、対応するピック部5が駆動され、これに応じて対応するリードが弾奏される。
【選択図】 図1
【解決手段】オルゴール1は、機械的に振動することで発音する複数のリード3b(発音体)と、複数のリード3bの各々に対応して配置されたリード駆動機構4(駆動手段)を備える。リード駆動機構4は、対応するリード3bに接触することで該リードを機械的に駆動して振動させる複数のピック爪を具えたピック部5と、このピック部5を駆動するピック駆動板6と、ピック駆動板6を駆動するための形状記憶合金(ワイヤー12)を含むワイヤー式駆動手段7から構成される。ワイヤー12への通電によりそれ自身が発熱することで加熱され、ワイヤー12が物理的に変形することで、対応するピック部5が駆動され、これに応じて対応するリードが弾奏される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は電動オルゴールなどの発音機構に関し、詳しくは、機械的振動により発音する発音体を機械的に駆動するための駆動機構の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】特開2003−150152
従来からのオルゴールとしては、複数の振動弁(リード)からなる音階板(コーム)を、ゼンマイ等の駆動源を用いてバレル形状の回転シリンダや、各振動弁に対応して配設された星形ホイール等を駆動して選択的に弾くことで、楽曲を演奏するタイプが一般的に広く知られている。
一方、上記特許文献1には、自動演奏データに基づき電磁ソレノイドを選択的に駆動させることでリードの弾奏動作を制御し、任意の曲のオルゴール演奏を行うことができるタイプのオルゴール、すなわち電気的に駆動されるオルゴールが開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1に代表される電気的に駆動されるオルゴールは、自動演奏データさえ用意すれば当該曲をオルゴールに演奏させることができるので、ユーザにとってオルゴール演奏曲の選択幅が広くなったという利点がある。しかし、リードを弾奏(撥奏)するための駆動源として電磁ソレノイドやモータ等を適用すると、駆動機構の構造が大型化してしまう、また、その構成が複雑化してしまう、という問題があった。このことは電動オルゴールを高価なものとする要因でもあった。例えば、オルゴールの小型化を図るために幅の狭いリードを有効に活用することが望まれているが、電磁ソレノイド等からなる駆動機構は個々のリード幅に対して比較的幅広なものとならざるをえないため、複数の駆動機構を配列するには、リードの配列領域に比較して広範な配列領域が要請される。このように、従来から知られる電気的駆動オルゴールなどの発音機構は、発音体を機械的に駆動する駆動機構の構造を小型化することが困難であった。
【0004】
この発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、電動オルゴールなどの発音機構において、装置構造の簡素化、小型化及び軽量化を実現し、延いては、比較的に価格低廉なオルゴールを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明は、機械的に振動することで発音する発音体と、前記発音体を機械的に駆動するための駆動手段であって、形状記憶機能を備えた形状記憶部材を含み、該部材を選択的に加熱又は冷却することにより該部材を変形させ、この変形に応じて前記発音体を駆動するものとを備えたことを特徴とするオルゴールである。
【0006】
この発明に係るオルゴールは、前記形状記憶機能を備えた部材を、前記発音体を機械的に駆動するための駆動源として使用することを要点とする。すなわち、発音体を機械的に駆動するための駆動手段は、形状記憶部材、いわゆる形状記憶合金を含み、これを加熱又は冷却することによって物理的に変形さることで発音体を駆動する。前記形状記憶部材は、例えば、電気信号の通電によりそれ自身が発熱することで加熱される。
発音体を駆動するための駆動源として形状記憶部材を使用することで、発音体を駆動するための機構を、比較的簡素、小型且つ軽量なものとすることができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下添付図面を参照して、この発明の一実施例について説明する。
図1はこの発明の一実施例に係るオルゴールの概略を示す側面断面図であり、図2は図1のオルゴールの平面図である。オルゴール1は、当該オルゴールの発音体として機能する複数のリードが具備されたコーム3と、複数のリードの各々に対応して配置されたリード駆動機構4とを含む。
図1及び図2において、コーム3は、その基部3aにおいてオルゴール1のベース部2上面に固定されており、複数のリード3bが該基部3aの縁部からベース部2の上面に対して略々平行に延びている。リード駆動機構4は、大別して、対応して設けられたリード3bに接触することで該リードを機械的に駆動して振動させる(弾く/撥く)ための複数の爪(ピック爪)を具えたピック部5と、このピック部5に回転力を加えるべきピック駆動板6と、ピック駆動板6を駆動するための形状記憶合金を含むワイヤー式駆動手段7とから構成される。
【0008】
ピック部5は、後述する複数の爪のうちの1つがリード3bの自由端に接触可能な位置に配置される。ピック部5は、複数のリード3bの配列方向(図2参照)に沿って平行に延びた回転軸8に対して回動自在に取り付けられており、ピック駆動板6の駆動に応じて、回転方向(図1では時計回りの向き)に沿って一方向に回転される。ピック部5は、後述する回転動作規定手段9によって動作規定されることでリードを弾奏するための回転動作を的確に実行できるものとされる。ピック部5の外周には、対応するリード3bの自由端を弾くための複数(この例では4つ)の爪5aが具備されている。各爪5aは、ピック部5の外周において略々90°の角度の相互間隔をもって等間隔に配設されており、リード打撃面(すなわち弾奏時にリードに接触する面)がピック部5の回転方向に沿ったテーパ面に形成されることで、リードを円滑に弾くことができるようになっている。
【0009】
ピック駆動板6は、ベース部2上に設置されたピック駆動機構収納ケース20内においてピック部5に対応して設けられた、比較的厚みの薄い板状部材によって構成されるもので、ケース20において上下動可能に支持される。ピック駆動板6は、ワイヤー式駆動手段7に含まれる形状記憶合金の物理的変形を、対応するピック部5の回転運動に変換する要素として機能する。
ピック駆動板6には、対応するピック部5に係合する側を前面側とすると、そこにおいて、ピック部5の爪5aの嵌入を許す係合溝6bを有するピック係合部6aが突出されている。図1に示すように、通常時(ピック部5の非駆動時)には、爪5aのうちの1つが係合溝6a内に入り込み、爪の先端部を該溝6aの下縁に当接した状態で係止されている。この係合溝6aの上部は、ピック部5に対して回転力を与えるべく、溝6a内に嵌入された爪5aを押下げるための爪押下げ部6cとして機能する。駆動板6の後面側(図1では駆動板6の右側)の略中央付近からは、バネ連結部6dが突出しており、この連結部6dに対してスプリング(ねじりコイルバネ)10の一端部が連結される。スプリング10は、前記ピック部5を支持する回転軸8と同様に、リードの配列方向に沿って平行に延びた支持軸11に支持され、別の端部においてベース部2に固定される。スプリング10は、その付勢力によってピック駆動板6を上方に付勢するものである。なお、スプリング10の付勢力は後述するワイヤー式駆動手段7の駆動力よりも小さいものである。
【0010】
ワイヤー式駆動手段7は、紐状に延びた形状記憶合金で構成されるワイヤー12を含む。このワイヤー12の物理的変形が、ピック駆動板6を介して対応するピック部5を回転変位させる駆動源である。ワイヤー12は、ベース部2内において、支持面13上に回動自在に配置された第1のプーリ14a及び第2のプーリ14bを介して、張設される。ワイヤー12の一端は、ピック駆動板6の下端部に設けられたワイヤー連結部15を介して、ピック駆動板6に連結されている。なお、第2のプーリ14bは、該プーリー14bを経てワイヤー連結部15に到るワイヤー12が鉛直になるような箇所に配置されるものとする。すなわち、ワイヤー12はピック駆動板6の下端部から下方に鉛直に延びる。これにより、ワイヤー12によって駆動されたピック駆動板6は、下方に垂直に移動されることになる。ワイヤー12の他方の端部は、ベース部2側に固定された接続部16に係止されており、ここにおいて後述する制御系におけるドライバと電気的に接続される。
【0011】
ワイヤー12を構成する形状記憶合金は、周知の通り温度変化に伴い予め記憶させた元の形状に伸縮する機能を備えるものであって、この実施例においては、加熱すると収縮する特性を有するものとする。ワイヤー12は、常温環境下では、図1に示すように、駆動板6の下端部に設けられたワイヤー連結部15と接続部16の間において、第1のプーリ14a及び第2のプーリ14bを介して、やや張力を与えられた状態で、架設されている。この状態(常温環境下)でワイヤー12はマルテンサイト的に、すなわち可塑的に変形可能だが弾性的回復力はない。前記ドライバの制御によってワイヤー12に対して電気的駆動(通電オン)が行われると、ワイヤー12に対して接続部15側の端部から直接に通電が行われる。ワイヤー12への通電によって、当該ワイヤー12が発熱して加熱される。ワイヤー12の温度が、加熱に伴い所定の境界温度を越えると、当該ワイヤー12は、オーステナイトの弾性的な状態に変態し、このとき形状記憶効果が生じて、元の形状に戻ろうとして収縮する。このワイヤー12は一端部において接続部15に固定されており、他方の端部においては上下動可能なピック駆動板6に連結されているので、ワイヤー12の収縮は、駆動板6をスプリング10の上方付勢に抗して下方に引き下げられる駆動力として該駆動板6に対して作用する。
【0012】
一方、ワイヤー12に対する通電がオフされて、ワイヤー12の温度が前記所定の境界温度未満に冷却される(常温に戻る)ことによって、ワイヤー12はマルテンサイト的な、可塑的に変形可能だが非弾性的な状態に変態する。この状態において、ピック振動板6がスプリング10によって上方へ常時付勢されていることから、温度の冷めたワイヤー12がスプリング10の付勢に従って引き伸ばされつつ、ピック振動板6は上方に変位して、図1に示す位置に復帰する。このように、ワイヤー式駆動手段7は、記憶形状機能を備えるワイヤー12に対する通電オン/オフに応じて、ワイヤー12の温度を変化せしめ、ワイヤー12を物理的に変形させることで、ピック駆動板6を上下に往復駆動させる。
【0013】
ここで、回転動作規定手段9の一例について説明する。図1に示すように、この実施例において、回転動作規定手段9は、ピック部5の側面において接着または一体形成によって、ピック部5から突出して設けられた、該ピック部5と同軸なバネ受け部90と、該ばね受け部90に対応して具備され、ベース部2の上面から略垂直に立ち上がる押さえバネ(板バネ部材)91から構成される。バネ受け部90は、側面から見て正方形状をなし、その外周の一辺において対応する押さえバネ91を受ける。押さえバネ91は、対応するバネ受け部90の外周面に当接することで、ピック部5の回転位置を規定するものである。バネ受け部90と押さえバネ91は、対応するピック部5の回転動作を段階的に規定することで、ピック駆動板6の一回の直線的な往復駆動によってピック部5の1/4回転を一段階とする段階的な回転運動を実現させる役割を果たす。
【0014】
次に、ピック駆動板6の駆動によって機械的に駆動されるピック部5の動作態様を説明する。図1に示すようなピック駆動板6の非駆動状態においては、ピック駆動板6は、スプリング10の付勢力によって上死点位置に位置される。駆動板6が上死点に位置しているとき、ピック部5の爪5aのうちの1つが、ピック係合部6aの係合溝6bに入り込み、係止されている。この状態でリード3bの下側に位置された爪5aは、ピック部が駆動された時にリード打撃用の爪として機能するものである(この位置を爪の打撃開始位置とする)。このとき、押さえバネ91は、バネ受け部90の1頂点(角)に当接してピック部5を押圧付勢している。ピック部5は、この押圧を受けて時計回りに回転しようとするものの、前記の通り、爪5aの1つがピック係合部6aにて係止されているので、回転せずに、図示の位置に留まるのである。
【0015】
駆動手段7のワイヤー12に通電が行われると、ワイヤー12が加熱されて収縮し、ピック駆動板6が駆動される。ワイヤー12に駆動されたピック駆動板6は、スプリング10の付勢力に抗して上死点位置から下死点位置までの下降を開始する。ピック駆動板6の下降し始めると、ピック部5は、先ず、ピック係合部6aにおける爪5aの係止が解除されることで、押さえバネ91による押圧によって時計回りに回転し始める。押さえバネ91は、ピック部5を、該押さえバネ90とバネ受け部90の外周面の1つとが平行に当接される回転位置まで変位させる。それから、駆動板6の更なる下降に伴い、係合溝6bの上面の爪押下げ部6cが、先刻まで該溝6b内にて係止されていたところの前記爪5aに当接し、該爪5aを下方に押動する。ピック部5は、該爪5aの下方への押動に応じて、軸8を中心として時計回りに回転駆動される。このピック部5の回転に応じて、打撃開始位置にあった爪5aは、対応するリード3bに接触(打撃)して、これを振動させる。リード3bが振動することで、当該リードが担当する音高のオルゴール音が発音される。
【0016】
ピック駆動板6が下死点位置(図において二点鎖線で示す)に到達したとき、リードを打撃した爪5aは、リードの打撃位置を通過してその上方に到達している。このとき、ピック部5の回転位置は、既に押さえバネ91とバネ受け部90とが安定して当接される位置から変位しているため、ピック部5はバネ受け部90の1頂点に当接した押さえバネ91によって再び押圧付勢されている。ピック部5は、この押圧を受けて、次にピック係合部6aの溝6bに入り込むべき爪5aがピック係合部6aの先端面に当接する位置まで回転する。一方、先に係合溝6bにて係止されていた爪5aは、該溝6bから脱出している。
【0017】
ワイヤー12への通電がオフされて、これの温度が下がると、下死点位置にあったピック駆動板6はスプリング10の付勢力によって、上死点位置に向かって上昇する。ピック部5は、押さえバネ91の押圧によって更に回転しようとしているものの、当初は、次に係合溝6bに入り込むべき爪5aがピック係合部6aの先端面に当接しているので回転せず、当該回転位置に留まる。ピック駆動板6が上死点位置に到達すると、係合溝6bが、前記先端面に当接された爪5aの先端の高さ位置に到り、該爪5aの嵌入を許す。この状態で、ピック部5は、押さえバネ91の押圧に従って、該爪5aが溝6b内に入り込み、図1に示すようにピック係合部6aにて係止される位置まで回転することによって、再び元の非駆動状態に復帰する。このとき、次にリード打撃用として機能する爪(前回ピック係合部6aにて係止されていた爪)は、打撃開始位置に位置される。かくして、ピック駆動板6の一回の直線的な往復駆動によって、ピック部5が1/4回転されることでリードの弾奏が行われる。
【0018】
なお、ベース部2は、図示しない共鳴箱の蓋(響板)上に載置されるものである。リード3bが打撃されることでコーム3から発生された振動は、該振動が伝達されるべくコーム3と連結されたベース部2を経由して、ベース部2の脚部から響板に伝達される。該響板や共鳴箱が振動・共鳴することで、コーム3で発生した音が豊かな音色で共鳴箱から発音される。
【0019】
ここで、図2を参照して駆動機構4の配置態様について説明する。周知の通りコーム3の複数のリード3bは、各々の長さに応じて音高が段階的に変化されるように形成されており、基部3aから櫛歯状に延びている。この発明に従うリード駆動機構4によれば、従来の電気的駆動オルゴールに比べて、各リード3bの相互的配列間隔が比較的狭いコーム3を適用することが可能となる。図2に示すように、各リード3bに対応して配設された駆動機構4は、リード3bの配列方向に沿って平行に横並びに配列されている。この実施例に係る駆動機構4は、前述の通り、形状記憶合金からなる紐状のワイヤー12を、ピック駆動板6を駆動するための動力源としている。駆動源としてワイヤー12を使用することは、例えば従来の電磁ソレノイドを駆動源として使用するものと比較して、駆動機構4の横幅(リード配列方向に関する厚み)を極めて薄くすることを可能とする。このような比較的幅薄な駆動機構4は、横並びに配列したときに効率的な配置が可能になるため、各リード3bの相互的配列間隔の狭い比較的小型なコーム(狭ピッチコーム)に対応して使用するのに好適である。
【0020】
次に当該オルゴール1の駆動制御システムの構成について図3を参照して簡単に説明する。図3に示すように、当該オルゴール1の制御システムは、制御系として、CPU及びメモリを含み動作制御を行う制御部100と、入出力インターフェース(I/O)101と、ドライバ102と、電力供給部(P/S)103とを含む。ドライバ102は、ワイヤー駆動手段7の駆動制御(つまり通電ON/OFF)を行うものである。制御系が実行する電気的制御に基づき、アクチュエータ104(駆動機構4)が駆動されることで、発音体105(リード3b)が機械的に駆動される。
【0021】
オルゴール1には、入出力インターフェース101を介して、演奏すべき自動演奏データが供給される。自動演奏データの供給源としては、例えば、1乃至複数の楽曲の自動演奏データが記憶された適宜の着脱式記憶媒体(例えばメモリスティック等)を適用して差し支えない。自動演奏データはデータ再生(オルゴール演奏)時に適宜のメモリ(例えばRAM)に転送されて、CPUの制御のもと、該演奏データに基づく楽曲の自動演奏が行われる。この自動演奏データとしては、例えばSMF(スタンダードMIDIファイル)フォーマットのような任意のフォーマットの自動演奏データを用いてよい。また、入出力インターフェース101に外部のMIDI楽器を接続して、MIDI楽器の演奏者によるマニュアル演奏操作によってリアルタイムで入力されるMIDI演奏データを取り込むこともできる。取り込まれたMIDI演奏データに基づくオルゴール演奏を行わせることにより、当該オルゴール1を音源としたマニュアル演奏が可能となる。また、前記リアルタイム入力されたMIDI演奏データを、適宜の書き込み可能なメモリに記録して、当該データを演奏すべきときに読み出せるようにすることもできる。更に、インターネット等の通信回線に接続するためのインターフェースを具備すれば、該通信回線を介して供給される演奏データに基づき本装置でオルゴール演奏を行わせうるよう構成することも可能である。
【0022】
制御部100は、演奏すべき自動演奏データ若しくはMIDI演奏データといった演奏データに基づく駆動信号(パルス信号)を生成して、この駆動信号をドライバ102に入力する。ドライバ102は、入力された駆動信号に基づき、複数のリードの各々に対応する駆動機構4、より具体的には駆動手段7の駆動源たるワイヤー12を選択的に通電オン/オフ制御する。前述のようにワイヤー12は、通電オンで加熱されて収縮しピック駆動板6を駆動する。複数のワイヤー12が選択的に駆動されることで、自動演奏データ若しくはMIDI演奏データ等の演奏データに基づき現時点で作動すべきピック駆動板6が機械的に駆動され、駆動されたピック駆動板6に対応するピック部5が回転駆動される。回転駆動されたピック部5が対応するリード3bを弾奏することで、前記演奏データに基づき現時点で発音すべき音高でオルゴール音が発音される。従って、オルゴール1において、前記演奏データに基づくオルゴール演奏音の発音制御を行うことができる。
【0023】
図1に示すように、この実施例に係るオルゴール1には、ベース部2内において、ピック駆動板6の変位を検出するタイミング検出スイッチ20がピック駆動板6の下方変位の経路近傍に具備されている。図4は、タイミング検出スイッチ30を抽出して示す図であって(a)は駆動板6の非駆動状態、(b)は駆動板6が下方変位して検出出力が出力される状態を表す。タイミング検出スイッチ30は、センサ基板31に配設されたセンサチップ32を含む。センサチップ32は、例えば小型な反射型の光学センサで構成される。ピック駆動板6の後面下端側からは、センサチップ32と協働するエッジ部33がセンサチップ32に面して延びている。エッジ部33は、ピック部5の非駆動状態(駆動板6が上死点位置にある状態)ではセンサチップ32に全面的に対向しており(図4(a)参照)、駆動板6が下降してリードが打撃されたときに、センサチップ32の対向面からエッジ部33が抜ける(同図(b)参照)よう形成されている。センサチップ32は、ワイヤー12が収縮して、駆動板6が機械的に変位されたときに、エッジ部33が対向面から外れるタイミングを検知することで、ピック駆動板6の動作タイミング(リード打撃タイミング)を表す検出信号を出力しうる。タイミング検出スイッチ30は、例えば、ワイヤー12の収縮特性を考慮した発音タイミングの事前学習、発音タイミングの補正、ワイヤー12の温度補償や、動作タイミングの監視等を行うことを可能とし、適切な発音タイミングの維持、動作不良の予防等に有益である。更に、その検出信号をトリガーとして、例えば適宜の音源装置と同期制御しうるよう構成すれば、コーム3から発生するアコースティックな演奏音と、予め用意したオルゴールリードの音色のサンプル音とを同期して発音させることで、ダブルリード/トリプルリードでの発音を実現し、発音音響に「幅」や「深み」を与えて、豊かな音色で演奏音を発音させることができる。また、他の音源装置とのアンサンブル演奏等も可能となる。
図4(c)に示すように、1枚のセンサ基板31上には、複数のリード駆動機構4の各々に対応して、複数のセンサチップ32が配置される。これらのセンサチップ32は、互いに隣接するもの同士が、高さ方向(駆動板6の上下移動方向に沿う向き)に関する相対的配置位置を二列分散的(千鳥状)に違えて配列されている。図示しないが、エッジ部33の互いに隣接するもの同士もまた、対応するセンサチップ32の配置に倣って、高さ位置を違えるようにして、駆動板6の下端から延びている。このように隣接して配置されたセンサチップ32の相互的配置位置をずらすことは、隣接するセンサによる干渉を防止する点で好ましい。なお、このようなタイミング検出スイッチを具備しなくとも、本発明に係る駆動源として形状記憶合金を使用した電気的に駆動されるオルゴールは実現可能である。
【0024】
前記図1及び図2に示したオルゴールでは、ワイヤー式駆動手段7の一例として、ワイヤー12の一端がピック駆動板6に直接連結される構成例について述べた。図5は駆動手段7の第2の実施形態であって、ピック駆動板6の駆動がリンク機構を介して行われる例を示す。なお、以下の説明において、既述と同様な構成要素については同じ符号を付与し、その詳細な説明を適宜省略する。図5において、駆動手段7は、記憶形状合金からなるワイヤー12とリンク機構50を含んで構成され、このリンク機構50は、支持面13上において軸52によって揺動自在に支持されたリンク部材51を含む。リンク部材51は、軸52の下側に配置された連結部53において、ワイヤー12に連結されており、また、端部においてピック駆動板6と係合する係合突起54を有する。ピック駆動板6の下端部には、係合突起54に係合する嵌合溝55が設けられている。リンク部材51は、ワイヤー12が収縮すると、軸52を中心に下向きに揺動変位する。リンク部材51が下向きに揺動変位すると、嵌合溝55に係合された係合突起54が、駆動板6をスプリング10の付勢力に抗して下方に引き下げることになる。従って、このリンク機構50を含む構成例によれば、ワイヤー12に対する通電オンに応じてワイヤーが収縮することでリンク機構50が下方に揺動駆動されて、ピック駆動板6が下向きに駆動される。また、ワイヤー12に対する通電がオフされて、ワイヤー12の温度が下がれば、ピック駆動板6はスプリング10の付勢力によって、上方に変位して元の位置に復帰する。
このようなリンク機構50を含むワイヤー式駆動手段7は、図1に示すようなワイヤー12を直接ピック駆動板6に連結する構成と比べて、相対的にワイヤー12の長さを短くすることができる。よって、ワイヤー12のコストを削減することができるという点で有利である。なお、図示しなかったが、このタイプの駆動手段においても前述したタイミング検出スイッチ30を具備してもよい。
【0025】
上述した図1乃至図4に示す例では、ピック部5の回転動作を規定する手段として板バネ部材(押さえバネ91)を用いた動作規定手段9を例示した。図6は、その変更例であって、回転付勢モータを用いてピック部5の回転動作を規定する構成例を示す。図に示すように、ピック部5を回動自在に支持する軸8の一端には、ギヤ60が連結されており、このギヤ60を回転駆動するモータ61がコーム3、駆動機構4を含むオルゴール本体に対して併設されている。モータ61は、当該オルゴールの使用時には常時回転するものである。軸8は、モータ61の駆動によって、ギヤ60を介して、ピック部5の回転方向と同じ向きに回転付勢される。各ピック部5は、リング状の嵌合穴を軸8にはめ込むことで軸8に回動自在に取り付けられている。より詳しくは、軸8がモータ61によって回転されている最中には、前記嵌合穴の内周面と軸8の外周面との接触面間に所定の摺動抵抗が生じるような嵌合形態で取り付けられており、ピック部5の爪5aがピック駆動板6の一部に接触している状態では、軸8は空転して、ピック部5に回転を生じさせない。一方、ピック部5の爪5aが他の部材に接触していなければ(フリーな状態ならば)、ピック部5は軸8の回転を受けて回転される。
【0026】
このモータ61を用いたピック部5の動作規定態様について説明する。なおピック部5の駆動及びそれによるリード弾奏の動作そのものは、既述の例と概ね同様なので、その詳細な説明は適宜省略する。図1(あるいは図5)に示すようなピック駆動板6の非駆動状態(ピック駆動板6が上死点位置にある状態)において、ピック部5の爪5aの1つがピック係合部6aにて係止されているので、ピック部5は、モータ61による軸8の回転によって時計回りに回転するよう付勢されているものの、軸8による回転付勢を空転させて、当該回転位置に留まる。ワイヤー12に対する通電オンに応じて、駆動板6の下降変位が開始されると、前記爪5aのピック係合部6aでの係止が解除されるので、ピック部5は軸8の回転を受けて回転される。その下降過程において、前述したとおり、駆動板6がピック部5を回転駆動することで、対応するリード3bが弾奏される。ピック駆動板6が下死点位置に到達したとき、ピック係合部6aで係止されていた爪5aは既に係合溝6bから脱出しており、ピック部5はフリーな状態になっているので軸8の回転に従って回転される。これにより、ピック部5は、次に係合溝6bに入り込むべき爪5aがピック係合部6aの先端面に当接されるまで回転する。
【0027】
ピック駆動板6が下死点位置から上死点位置に向かって上昇し始めると、ピック部5は軸8の回転に従って更に回転しようとするものの、当初は、爪5aのうちの1つがピック係合部6aの先端面に当接しているので回転せず、当該回転位置に留まる。ピック駆動板6が上死点位置に到達すると、係合溝6bが前記先端面に当接された爪5aの先端の高さ位置に到り、該爪5aの溝6b内への嵌入を許すので、ピック部5は、軸8の回転に従って、図1(あるいは図5)に示すように前記爪5aがピック係合部6aにて係止される位置まで回転することによって再び元の非駆動状態に復帰する。こうして、モータによって軸8を回転付勢することによっても、ピック駆動板6の直線的な往復運動によって駆動されるピック部5の回転運動を、ピック部5の1/4回転を一段階とする段階的な回転運動に規定することができる。このように、モータを用いた回転動作規定手段によれば、板バネ部材並びにバネ受け部を具備する必要がない分、より一層リードの相互的配列間隔の狭いコームに対応できるようになる。
【0028】
上述の実施例においては、リードを弾奏する手段として、回転するピック部5に設けられた複数の爪を使用する例について説明した。図7は、その変更例として、1つのピック爪を具えた往復動可能な移動体によりリードを弾奏する例を示す。
図7において、リード70は、その自由端が駆動板80を指向するよう配置されており、自由端(先端)には、上下両面にテーパ面71a、71bが形成されている。駆動板80は、前面(リードに対向する面)の中心付近にピック81が突設された板状部材であって、該ピック81がリード70の自由端に接触可能な位置において、上下往復動可能に取り付けされる。ピック81の先端部は、上下両面にテーパ面が形成され、駆動板80の往復動の両工程においてリード70を効果的に弾奏できるようになっている。駆動板80の上下両端には、形状記憶合金からなるワイヤー82aとワイヤー82bとが夫々連結されている。各ワイヤー82a、82bは、ドライバ(図3で符号104)に対して電気的に接続され、個別に通電オン/オフ制御される。駆動板80の上下端にそれぞれ連結されたワイヤー82a及び82bを交互に通電・加熱することで、各ワイヤー82a、82bの物理的変形(収縮)が、駆動板80の往路運動及び復路運動に変換される。駆動板80の後面には突起83が設けられている。ケース部84における前記突起83との対応面には、該突起83と係合することで駆動板80の上下往復動作を規定する係合部材85が具備される。なお、ワイヤー82a、82bを構成する形状記憶合金の特性は、上述のものと同様とする。
【0029】
上記構成からなる駆動板80は、往路運動、復路運動の各工程毎にリード70を弾奏駆動する。図7に示す状態を駆動板80の非駆動状態(上死点位置)とすると、まず、駆動板80の下端に連結されたワイヤー82aに対して通電オンすることで、ワイヤー82aが加熱されて収縮する。振動板80は、ワイヤー82aの収縮に従って、現時点ではマルテンサイト的に可塑的に変形可能な、上端側のワイヤー82bを引き伸ばしつつ、下方に引き下げられる。駆動板80の下降過程において、ピック81はリード70の自由端を上方から打撃する。リード70の上面にはテーパ面71aが形成されているので、上方からの打撃は円滑に行われる。なお、駆動板80の下方変位は所定の下死点位置で停止されるもので、ワイヤー82aに対する通電オフは適宜のタイミングで実施されるものとする。要するに、駆動板80は、下端に連結されたワイヤー82aに対して通電オンされることで下方へ駆動される。
【0030】
一方、駆動板80が下死点位置に位置しているとき、上端に連結されたワイヤー82bは引き伸ばされている。ここから、駆動板80を上方へ駆動するには、このワイヤー82bに対して通電オンすればよい。すなわち、引き伸ばされているワイヤー82bに対して通電オンすることで、ワイヤー82bが加熱されて収縮する。振動板80は、ワイヤー82bの収縮に従って、現時点ではマルテンサイト的に可塑的に変形可能な、下端側のワイヤー82aを引き伸ばしつつ、上方に引き上げられる。駆動板80の上昇過程において、ピック81はリード70の自由端を下方から打撃する。リード70の下面にはテーパ面71bが形成されているので、下方からの打撃も円滑に行われる。このように、駆動板80は、上端に連結されたワイヤー82bに対して通電オンされることで上方へ駆動される。
このように、ワイヤー82a、82bを交互に通電オンすることで、いずれか一方のワイヤーが通電される都度、駆動板80を往路運動又は復路運動せしめ、リード70は上下双方向から弾奏駆動される。これによれば、一方のワイヤーが十分に冷却される(常温に戻る)のを待つことなく、新規にリード弾奏駆動を実行できるという利点がある。また、このように駆動板80の上下往復動の片工程毎にリード70を弾奏する構成において、リード70の上下両面にテーパ面を設けることは、上下双方向からのリード弾奏動作を円滑ならしめることができ好ましい。
【0031】
なお、上述した何れの実施例に示すオルゴールおいても、加熱されたワイヤーを冷却する(常温に戻す)ための冷却手段を更に具備してもよい。前記冷却手段としては、例えば適宜の送風若しくは通風装置等を適用して差し支えない。
また、上述の例では、ワイヤー12に対して直接に通電することで当該ワイヤー12自身を発熱させて加熱する例を示したが、これに限らず、ワイヤー12の形状記憶機能による物理的変形が発揮されるよう当該ワイヤーの温度を選択的に加熱又は冷却させる構成であれば、その他適宜の加熱手段又は冷却手段を用いてもよい。
また、上述の実施例では、発音体として複数のリード(振動弁)からなるコームを使用する例について説明したが、ワイヤーを駆動源として駆動される発音体はリードに限らず、例えばハープタイプの自動演奏装置における弦など、その他各種の発音体に対して適用可能である。
更に、発音体を機械的に駆動するための駆動手段として、形状記憶部材と機械的な駆動付勢手段とを組み合わせて構成してもよい。
【発明の効果】
以上の通り、この発明によれば、オルゴールなどの発音機構において、発音体を機械的に駆動するための駆動手段として、形状記憶機能を備えた形状記憶部材を含み、該部材を選択的に加熱又は冷却することにより該部材を変形させ、この変形に応じて前記発音体を駆動するものを備えることで、発音機構の構造を簡素、小型且つ軽量なものとすることができ、延いては、価格の比較的安価な電動オルゴールを提供することが可能になるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例に係る電気的駆動オルゴールの一例を示す側面断面図。
【図2】図1に示すオルゴールを上面から見た平面図であり、一部、リード駆動機構を露呈せしめたもの。
【図3】同実施例に係るオルゴールの制御システムの構成の概略を示すブロック図。
【図4】タイミング検出スイッチを抽出して示す図であって、(a)はピック駆動板が上死点位置にある状態、(b)はピック駆動板が下死点位置にある状態、(c)はセンサ基板上におけるセンサ配列の一例を示す概略図。
【図5】この発明の他の実施例に係る電気的駆動オルゴールであって、ワイヤー式駆動手段の構成の変更例を示す。
【図6】この発明の別の実施例に係る電気的駆動オルゴールであって、ピック部の回転動作規定手段の構成の変更例を示す。
【図7】この発明の更に別の実施例に係る電気的駆動オルゴールであって、ピック駆動機構の他の構成例を示す概略図。
【符号の説明】
1 オルゴール、2 ベース部、3 コーム(発音体)、3b リード、4 リード駆動機構、5 ピック部、5a 爪、6 ピック駆動板、7 ワイヤー式駆動手段、9 回転動作規定手段、12 ワイヤー(形状記憶合金)、30 タイミング検出スイッチ、50 リンク機構、70 リード、80 駆動板
【発明の属する技術分野】
この発明は電動オルゴールなどの発音機構に関し、詳しくは、機械的振動により発音する発音体を機械的に駆動するための駆動機構の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】特開2003−150152
従来からのオルゴールとしては、複数の振動弁(リード)からなる音階板(コーム)を、ゼンマイ等の駆動源を用いてバレル形状の回転シリンダや、各振動弁に対応して配設された星形ホイール等を駆動して選択的に弾くことで、楽曲を演奏するタイプが一般的に広く知られている。
一方、上記特許文献1には、自動演奏データに基づき電磁ソレノイドを選択的に駆動させることでリードの弾奏動作を制御し、任意の曲のオルゴール演奏を行うことができるタイプのオルゴール、すなわち電気的に駆動されるオルゴールが開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1に代表される電気的に駆動されるオルゴールは、自動演奏データさえ用意すれば当該曲をオルゴールに演奏させることができるので、ユーザにとってオルゴール演奏曲の選択幅が広くなったという利点がある。しかし、リードを弾奏(撥奏)するための駆動源として電磁ソレノイドやモータ等を適用すると、駆動機構の構造が大型化してしまう、また、その構成が複雑化してしまう、という問題があった。このことは電動オルゴールを高価なものとする要因でもあった。例えば、オルゴールの小型化を図るために幅の狭いリードを有効に活用することが望まれているが、電磁ソレノイド等からなる駆動機構は個々のリード幅に対して比較的幅広なものとならざるをえないため、複数の駆動機構を配列するには、リードの配列領域に比較して広範な配列領域が要請される。このように、従来から知られる電気的駆動オルゴールなどの発音機構は、発音体を機械的に駆動する駆動機構の構造を小型化することが困難であった。
【0004】
この発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、電動オルゴールなどの発音機構において、装置構造の簡素化、小型化及び軽量化を実現し、延いては、比較的に価格低廉なオルゴールを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明は、機械的に振動することで発音する発音体と、前記発音体を機械的に駆動するための駆動手段であって、形状記憶機能を備えた形状記憶部材を含み、該部材を選択的に加熱又は冷却することにより該部材を変形させ、この変形に応じて前記発音体を駆動するものとを備えたことを特徴とするオルゴールである。
【0006】
この発明に係るオルゴールは、前記形状記憶機能を備えた部材を、前記発音体を機械的に駆動するための駆動源として使用することを要点とする。すなわち、発音体を機械的に駆動するための駆動手段は、形状記憶部材、いわゆる形状記憶合金を含み、これを加熱又は冷却することによって物理的に変形さることで発音体を駆動する。前記形状記憶部材は、例えば、電気信号の通電によりそれ自身が発熱することで加熱される。
発音体を駆動するための駆動源として形状記憶部材を使用することで、発音体を駆動するための機構を、比較的簡素、小型且つ軽量なものとすることができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下添付図面を参照して、この発明の一実施例について説明する。
図1はこの発明の一実施例に係るオルゴールの概略を示す側面断面図であり、図2は図1のオルゴールの平面図である。オルゴール1は、当該オルゴールの発音体として機能する複数のリードが具備されたコーム3と、複数のリードの各々に対応して配置されたリード駆動機構4とを含む。
図1及び図2において、コーム3は、その基部3aにおいてオルゴール1のベース部2上面に固定されており、複数のリード3bが該基部3aの縁部からベース部2の上面に対して略々平行に延びている。リード駆動機構4は、大別して、対応して設けられたリード3bに接触することで該リードを機械的に駆動して振動させる(弾く/撥く)ための複数の爪(ピック爪)を具えたピック部5と、このピック部5に回転力を加えるべきピック駆動板6と、ピック駆動板6を駆動するための形状記憶合金を含むワイヤー式駆動手段7とから構成される。
【0008】
ピック部5は、後述する複数の爪のうちの1つがリード3bの自由端に接触可能な位置に配置される。ピック部5は、複数のリード3bの配列方向(図2参照)に沿って平行に延びた回転軸8に対して回動自在に取り付けられており、ピック駆動板6の駆動に応じて、回転方向(図1では時計回りの向き)に沿って一方向に回転される。ピック部5は、後述する回転動作規定手段9によって動作規定されることでリードを弾奏するための回転動作を的確に実行できるものとされる。ピック部5の外周には、対応するリード3bの自由端を弾くための複数(この例では4つ)の爪5aが具備されている。各爪5aは、ピック部5の外周において略々90°の角度の相互間隔をもって等間隔に配設されており、リード打撃面(すなわち弾奏時にリードに接触する面)がピック部5の回転方向に沿ったテーパ面に形成されることで、リードを円滑に弾くことができるようになっている。
【0009】
ピック駆動板6は、ベース部2上に設置されたピック駆動機構収納ケース20内においてピック部5に対応して設けられた、比較的厚みの薄い板状部材によって構成されるもので、ケース20において上下動可能に支持される。ピック駆動板6は、ワイヤー式駆動手段7に含まれる形状記憶合金の物理的変形を、対応するピック部5の回転運動に変換する要素として機能する。
ピック駆動板6には、対応するピック部5に係合する側を前面側とすると、そこにおいて、ピック部5の爪5aの嵌入を許す係合溝6bを有するピック係合部6aが突出されている。図1に示すように、通常時(ピック部5の非駆動時)には、爪5aのうちの1つが係合溝6a内に入り込み、爪の先端部を該溝6aの下縁に当接した状態で係止されている。この係合溝6aの上部は、ピック部5に対して回転力を与えるべく、溝6a内に嵌入された爪5aを押下げるための爪押下げ部6cとして機能する。駆動板6の後面側(図1では駆動板6の右側)の略中央付近からは、バネ連結部6dが突出しており、この連結部6dに対してスプリング(ねじりコイルバネ)10の一端部が連結される。スプリング10は、前記ピック部5を支持する回転軸8と同様に、リードの配列方向に沿って平行に延びた支持軸11に支持され、別の端部においてベース部2に固定される。スプリング10は、その付勢力によってピック駆動板6を上方に付勢するものである。なお、スプリング10の付勢力は後述するワイヤー式駆動手段7の駆動力よりも小さいものである。
【0010】
ワイヤー式駆動手段7は、紐状に延びた形状記憶合金で構成されるワイヤー12を含む。このワイヤー12の物理的変形が、ピック駆動板6を介して対応するピック部5を回転変位させる駆動源である。ワイヤー12は、ベース部2内において、支持面13上に回動自在に配置された第1のプーリ14a及び第2のプーリ14bを介して、張設される。ワイヤー12の一端は、ピック駆動板6の下端部に設けられたワイヤー連結部15を介して、ピック駆動板6に連結されている。なお、第2のプーリ14bは、該プーリー14bを経てワイヤー連結部15に到るワイヤー12が鉛直になるような箇所に配置されるものとする。すなわち、ワイヤー12はピック駆動板6の下端部から下方に鉛直に延びる。これにより、ワイヤー12によって駆動されたピック駆動板6は、下方に垂直に移動されることになる。ワイヤー12の他方の端部は、ベース部2側に固定された接続部16に係止されており、ここにおいて後述する制御系におけるドライバと電気的に接続される。
【0011】
ワイヤー12を構成する形状記憶合金は、周知の通り温度変化に伴い予め記憶させた元の形状に伸縮する機能を備えるものであって、この実施例においては、加熱すると収縮する特性を有するものとする。ワイヤー12は、常温環境下では、図1に示すように、駆動板6の下端部に設けられたワイヤー連結部15と接続部16の間において、第1のプーリ14a及び第2のプーリ14bを介して、やや張力を与えられた状態で、架設されている。この状態(常温環境下)でワイヤー12はマルテンサイト的に、すなわち可塑的に変形可能だが弾性的回復力はない。前記ドライバの制御によってワイヤー12に対して電気的駆動(通電オン)が行われると、ワイヤー12に対して接続部15側の端部から直接に通電が行われる。ワイヤー12への通電によって、当該ワイヤー12が発熱して加熱される。ワイヤー12の温度が、加熱に伴い所定の境界温度を越えると、当該ワイヤー12は、オーステナイトの弾性的な状態に変態し、このとき形状記憶効果が生じて、元の形状に戻ろうとして収縮する。このワイヤー12は一端部において接続部15に固定されており、他方の端部においては上下動可能なピック駆動板6に連結されているので、ワイヤー12の収縮は、駆動板6をスプリング10の上方付勢に抗して下方に引き下げられる駆動力として該駆動板6に対して作用する。
【0012】
一方、ワイヤー12に対する通電がオフされて、ワイヤー12の温度が前記所定の境界温度未満に冷却される(常温に戻る)ことによって、ワイヤー12はマルテンサイト的な、可塑的に変形可能だが非弾性的な状態に変態する。この状態において、ピック振動板6がスプリング10によって上方へ常時付勢されていることから、温度の冷めたワイヤー12がスプリング10の付勢に従って引き伸ばされつつ、ピック振動板6は上方に変位して、図1に示す位置に復帰する。このように、ワイヤー式駆動手段7は、記憶形状機能を備えるワイヤー12に対する通電オン/オフに応じて、ワイヤー12の温度を変化せしめ、ワイヤー12を物理的に変形させることで、ピック駆動板6を上下に往復駆動させる。
【0013】
ここで、回転動作規定手段9の一例について説明する。図1に示すように、この実施例において、回転動作規定手段9は、ピック部5の側面において接着または一体形成によって、ピック部5から突出して設けられた、該ピック部5と同軸なバネ受け部90と、該ばね受け部90に対応して具備され、ベース部2の上面から略垂直に立ち上がる押さえバネ(板バネ部材)91から構成される。バネ受け部90は、側面から見て正方形状をなし、その外周の一辺において対応する押さえバネ91を受ける。押さえバネ91は、対応するバネ受け部90の外周面に当接することで、ピック部5の回転位置を規定するものである。バネ受け部90と押さえバネ91は、対応するピック部5の回転動作を段階的に規定することで、ピック駆動板6の一回の直線的な往復駆動によってピック部5の1/4回転を一段階とする段階的な回転運動を実現させる役割を果たす。
【0014】
次に、ピック駆動板6の駆動によって機械的に駆動されるピック部5の動作態様を説明する。図1に示すようなピック駆動板6の非駆動状態においては、ピック駆動板6は、スプリング10の付勢力によって上死点位置に位置される。駆動板6が上死点に位置しているとき、ピック部5の爪5aのうちの1つが、ピック係合部6aの係合溝6bに入り込み、係止されている。この状態でリード3bの下側に位置された爪5aは、ピック部が駆動された時にリード打撃用の爪として機能するものである(この位置を爪の打撃開始位置とする)。このとき、押さえバネ91は、バネ受け部90の1頂点(角)に当接してピック部5を押圧付勢している。ピック部5は、この押圧を受けて時計回りに回転しようとするものの、前記の通り、爪5aの1つがピック係合部6aにて係止されているので、回転せずに、図示の位置に留まるのである。
【0015】
駆動手段7のワイヤー12に通電が行われると、ワイヤー12が加熱されて収縮し、ピック駆動板6が駆動される。ワイヤー12に駆動されたピック駆動板6は、スプリング10の付勢力に抗して上死点位置から下死点位置までの下降を開始する。ピック駆動板6の下降し始めると、ピック部5は、先ず、ピック係合部6aにおける爪5aの係止が解除されることで、押さえバネ91による押圧によって時計回りに回転し始める。押さえバネ91は、ピック部5を、該押さえバネ90とバネ受け部90の外周面の1つとが平行に当接される回転位置まで変位させる。それから、駆動板6の更なる下降に伴い、係合溝6bの上面の爪押下げ部6cが、先刻まで該溝6b内にて係止されていたところの前記爪5aに当接し、該爪5aを下方に押動する。ピック部5は、該爪5aの下方への押動に応じて、軸8を中心として時計回りに回転駆動される。このピック部5の回転に応じて、打撃開始位置にあった爪5aは、対応するリード3bに接触(打撃)して、これを振動させる。リード3bが振動することで、当該リードが担当する音高のオルゴール音が発音される。
【0016】
ピック駆動板6が下死点位置(図において二点鎖線で示す)に到達したとき、リードを打撃した爪5aは、リードの打撃位置を通過してその上方に到達している。このとき、ピック部5の回転位置は、既に押さえバネ91とバネ受け部90とが安定して当接される位置から変位しているため、ピック部5はバネ受け部90の1頂点に当接した押さえバネ91によって再び押圧付勢されている。ピック部5は、この押圧を受けて、次にピック係合部6aの溝6bに入り込むべき爪5aがピック係合部6aの先端面に当接する位置まで回転する。一方、先に係合溝6bにて係止されていた爪5aは、該溝6bから脱出している。
【0017】
ワイヤー12への通電がオフされて、これの温度が下がると、下死点位置にあったピック駆動板6はスプリング10の付勢力によって、上死点位置に向かって上昇する。ピック部5は、押さえバネ91の押圧によって更に回転しようとしているものの、当初は、次に係合溝6bに入り込むべき爪5aがピック係合部6aの先端面に当接しているので回転せず、当該回転位置に留まる。ピック駆動板6が上死点位置に到達すると、係合溝6bが、前記先端面に当接された爪5aの先端の高さ位置に到り、該爪5aの嵌入を許す。この状態で、ピック部5は、押さえバネ91の押圧に従って、該爪5aが溝6b内に入り込み、図1に示すようにピック係合部6aにて係止される位置まで回転することによって、再び元の非駆動状態に復帰する。このとき、次にリード打撃用として機能する爪(前回ピック係合部6aにて係止されていた爪)は、打撃開始位置に位置される。かくして、ピック駆動板6の一回の直線的な往復駆動によって、ピック部5が1/4回転されることでリードの弾奏が行われる。
【0018】
なお、ベース部2は、図示しない共鳴箱の蓋(響板)上に載置されるものである。リード3bが打撃されることでコーム3から発生された振動は、該振動が伝達されるべくコーム3と連結されたベース部2を経由して、ベース部2の脚部から響板に伝達される。該響板や共鳴箱が振動・共鳴することで、コーム3で発生した音が豊かな音色で共鳴箱から発音される。
【0019】
ここで、図2を参照して駆動機構4の配置態様について説明する。周知の通りコーム3の複数のリード3bは、各々の長さに応じて音高が段階的に変化されるように形成されており、基部3aから櫛歯状に延びている。この発明に従うリード駆動機構4によれば、従来の電気的駆動オルゴールに比べて、各リード3bの相互的配列間隔が比較的狭いコーム3を適用することが可能となる。図2に示すように、各リード3bに対応して配設された駆動機構4は、リード3bの配列方向に沿って平行に横並びに配列されている。この実施例に係る駆動機構4は、前述の通り、形状記憶合金からなる紐状のワイヤー12を、ピック駆動板6を駆動するための動力源としている。駆動源としてワイヤー12を使用することは、例えば従来の電磁ソレノイドを駆動源として使用するものと比較して、駆動機構4の横幅(リード配列方向に関する厚み)を極めて薄くすることを可能とする。このような比較的幅薄な駆動機構4は、横並びに配列したときに効率的な配置が可能になるため、各リード3bの相互的配列間隔の狭い比較的小型なコーム(狭ピッチコーム)に対応して使用するのに好適である。
【0020】
次に当該オルゴール1の駆動制御システムの構成について図3を参照して簡単に説明する。図3に示すように、当該オルゴール1の制御システムは、制御系として、CPU及びメモリを含み動作制御を行う制御部100と、入出力インターフェース(I/O)101と、ドライバ102と、電力供給部(P/S)103とを含む。ドライバ102は、ワイヤー駆動手段7の駆動制御(つまり通電ON/OFF)を行うものである。制御系が実行する電気的制御に基づき、アクチュエータ104(駆動機構4)が駆動されることで、発音体105(リード3b)が機械的に駆動される。
【0021】
オルゴール1には、入出力インターフェース101を介して、演奏すべき自動演奏データが供給される。自動演奏データの供給源としては、例えば、1乃至複数の楽曲の自動演奏データが記憶された適宜の着脱式記憶媒体(例えばメモリスティック等)を適用して差し支えない。自動演奏データはデータ再生(オルゴール演奏)時に適宜のメモリ(例えばRAM)に転送されて、CPUの制御のもと、該演奏データに基づく楽曲の自動演奏が行われる。この自動演奏データとしては、例えばSMF(スタンダードMIDIファイル)フォーマットのような任意のフォーマットの自動演奏データを用いてよい。また、入出力インターフェース101に外部のMIDI楽器を接続して、MIDI楽器の演奏者によるマニュアル演奏操作によってリアルタイムで入力されるMIDI演奏データを取り込むこともできる。取り込まれたMIDI演奏データに基づくオルゴール演奏を行わせることにより、当該オルゴール1を音源としたマニュアル演奏が可能となる。また、前記リアルタイム入力されたMIDI演奏データを、適宜の書き込み可能なメモリに記録して、当該データを演奏すべきときに読み出せるようにすることもできる。更に、インターネット等の通信回線に接続するためのインターフェースを具備すれば、該通信回線を介して供給される演奏データに基づき本装置でオルゴール演奏を行わせうるよう構成することも可能である。
【0022】
制御部100は、演奏すべき自動演奏データ若しくはMIDI演奏データといった演奏データに基づく駆動信号(パルス信号)を生成して、この駆動信号をドライバ102に入力する。ドライバ102は、入力された駆動信号に基づき、複数のリードの各々に対応する駆動機構4、より具体的には駆動手段7の駆動源たるワイヤー12を選択的に通電オン/オフ制御する。前述のようにワイヤー12は、通電オンで加熱されて収縮しピック駆動板6を駆動する。複数のワイヤー12が選択的に駆動されることで、自動演奏データ若しくはMIDI演奏データ等の演奏データに基づき現時点で作動すべきピック駆動板6が機械的に駆動され、駆動されたピック駆動板6に対応するピック部5が回転駆動される。回転駆動されたピック部5が対応するリード3bを弾奏することで、前記演奏データに基づき現時点で発音すべき音高でオルゴール音が発音される。従って、オルゴール1において、前記演奏データに基づくオルゴール演奏音の発音制御を行うことができる。
【0023】
図1に示すように、この実施例に係るオルゴール1には、ベース部2内において、ピック駆動板6の変位を検出するタイミング検出スイッチ20がピック駆動板6の下方変位の経路近傍に具備されている。図4は、タイミング検出スイッチ30を抽出して示す図であって(a)は駆動板6の非駆動状態、(b)は駆動板6が下方変位して検出出力が出力される状態を表す。タイミング検出スイッチ30は、センサ基板31に配設されたセンサチップ32を含む。センサチップ32は、例えば小型な反射型の光学センサで構成される。ピック駆動板6の後面下端側からは、センサチップ32と協働するエッジ部33がセンサチップ32に面して延びている。エッジ部33は、ピック部5の非駆動状態(駆動板6が上死点位置にある状態)ではセンサチップ32に全面的に対向しており(図4(a)参照)、駆動板6が下降してリードが打撃されたときに、センサチップ32の対向面からエッジ部33が抜ける(同図(b)参照)よう形成されている。センサチップ32は、ワイヤー12が収縮して、駆動板6が機械的に変位されたときに、エッジ部33が対向面から外れるタイミングを検知することで、ピック駆動板6の動作タイミング(リード打撃タイミング)を表す検出信号を出力しうる。タイミング検出スイッチ30は、例えば、ワイヤー12の収縮特性を考慮した発音タイミングの事前学習、発音タイミングの補正、ワイヤー12の温度補償や、動作タイミングの監視等を行うことを可能とし、適切な発音タイミングの維持、動作不良の予防等に有益である。更に、その検出信号をトリガーとして、例えば適宜の音源装置と同期制御しうるよう構成すれば、コーム3から発生するアコースティックな演奏音と、予め用意したオルゴールリードの音色のサンプル音とを同期して発音させることで、ダブルリード/トリプルリードでの発音を実現し、発音音響に「幅」や「深み」を与えて、豊かな音色で演奏音を発音させることができる。また、他の音源装置とのアンサンブル演奏等も可能となる。
図4(c)に示すように、1枚のセンサ基板31上には、複数のリード駆動機構4の各々に対応して、複数のセンサチップ32が配置される。これらのセンサチップ32は、互いに隣接するもの同士が、高さ方向(駆動板6の上下移動方向に沿う向き)に関する相対的配置位置を二列分散的(千鳥状)に違えて配列されている。図示しないが、エッジ部33の互いに隣接するもの同士もまた、対応するセンサチップ32の配置に倣って、高さ位置を違えるようにして、駆動板6の下端から延びている。このように隣接して配置されたセンサチップ32の相互的配置位置をずらすことは、隣接するセンサによる干渉を防止する点で好ましい。なお、このようなタイミング検出スイッチを具備しなくとも、本発明に係る駆動源として形状記憶合金を使用した電気的に駆動されるオルゴールは実現可能である。
【0024】
前記図1及び図2に示したオルゴールでは、ワイヤー式駆動手段7の一例として、ワイヤー12の一端がピック駆動板6に直接連結される構成例について述べた。図5は駆動手段7の第2の実施形態であって、ピック駆動板6の駆動がリンク機構を介して行われる例を示す。なお、以下の説明において、既述と同様な構成要素については同じ符号を付与し、その詳細な説明を適宜省略する。図5において、駆動手段7は、記憶形状合金からなるワイヤー12とリンク機構50を含んで構成され、このリンク機構50は、支持面13上において軸52によって揺動自在に支持されたリンク部材51を含む。リンク部材51は、軸52の下側に配置された連結部53において、ワイヤー12に連結されており、また、端部においてピック駆動板6と係合する係合突起54を有する。ピック駆動板6の下端部には、係合突起54に係合する嵌合溝55が設けられている。リンク部材51は、ワイヤー12が収縮すると、軸52を中心に下向きに揺動変位する。リンク部材51が下向きに揺動変位すると、嵌合溝55に係合された係合突起54が、駆動板6をスプリング10の付勢力に抗して下方に引き下げることになる。従って、このリンク機構50を含む構成例によれば、ワイヤー12に対する通電オンに応じてワイヤーが収縮することでリンク機構50が下方に揺動駆動されて、ピック駆動板6が下向きに駆動される。また、ワイヤー12に対する通電がオフされて、ワイヤー12の温度が下がれば、ピック駆動板6はスプリング10の付勢力によって、上方に変位して元の位置に復帰する。
このようなリンク機構50を含むワイヤー式駆動手段7は、図1に示すようなワイヤー12を直接ピック駆動板6に連結する構成と比べて、相対的にワイヤー12の長さを短くすることができる。よって、ワイヤー12のコストを削減することができるという点で有利である。なお、図示しなかったが、このタイプの駆動手段においても前述したタイミング検出スイッチ30を具備してもよい。
【0025】
上述した図1乃至図4に示す例では、ピック部5の回転動作を規定する手段として板バネ部材(押さえバネ91)を用いた動作規定手段9を例示した。図6は、その変更例であって、回転付勢モータを用いてピック部5の回転動作を規定する構成例を示す。図に示すように、ピック部5を回動自在に支持する軸8の一端には、ギヤ60が連結されており、このギヤ60を回転駆動するモータ61がコーム3、駆動機構4を含むオルゴール本体に対して併設されている。モータ61は、当該オルゴールの使用時には常時回転するものである。軸8は、モータ61の駆動によって、ギヤ60を介して、ピック部5の回転方向と同じ向きに回転付勢される。各ピック部5は、リング状の嵌合穴を軸8にはめ込むことで軸8に回動自在に取り付けられている。より詳しくは、軸8がモータ61によって回転されている最中には、前記嵌合穴の内周面と軸8の外周面との接触面間に所定の摺動抵抗が生じるような嵌合形態で取り付けられており、ピック部5の爪5aがピック駆動板6の一部に接触している状態では、軸8は空転して、ピック部5に回転を生じさせない。一方、ピック部5の爪5aが他の部材に接触していなければ(フリーな状態ならば)、ピック部5は軸8の回転を受けて回転される。
【0026】
このモータ61を用いたピック部5の動作規定態様について説明する。なおピック部5の駆動及びそれによるリード弾奏の動作そのものは、既述の例と概ね同様なので、その詳細な説明は適宜省略する。図1(あるいは図5)に示すようなピック駆動板6の非駆動状態(ピック駆動板6が上死点位置にある状態)において、ピック部5の爪5aの1つがピック係合部6aにて係止されているので、ピック部5は、モータ61による軸8の回転によって時計回りに回転するよう付勢されているものの、軸8による回転付勢を空転させて、当該回転位置に留まる。ワイヤー12に対する通電オンに応じて、駆動板6の下降変位が開始されると、前記爪5aのピック係合部6aでの係止が解除されるので、ピック部5は軸8の回転を受けて回転される。その下降過程において、前述したとおり、駆動板6がピック部5を回転駆動することで、対応するリード3bが弾奏される。ピック駆動板6が下死点位置に到達したとき、ピック係合部6aで係止されていた爪5aは既に係合溝6bから脱出しており、ピック部5はフリーな状態になっているので軸8の回転に従って回転される。これにより、ピック部5は、次に係合溝6bに入り込むべき爪5aがピック係合部6aの先端面に当接されるまで回転する。
【0027】
ピック駆動板6が下死点位置から上死点位置に向かって上昇し始めると、ピック部5は軸8の回転に従って更に回転しようとするものの、当初は、爪5aのうちの1つがピック係合部6aの先端面に当接しているので回転せず、当該回転位置に留まる。ピック駆動板6が上死点位置に到達すると、係合溝6bが前記先端面に当接された爪5aの先端の高さ位置に到り、該爪5aの溝6b内への嵌入を許すので、ピック部5は、軸8の回転に従って、図1(あるいは図5)に示すように前記爪5aがピック係合部6aにて係止される位置まで回転することによって再び元の非駆動状態に復帰する。こうして、モータによって軸8を回転付勢することによっても、ピック駆動板6の直線的な往復運動によって駆動されるピック部5の回転運動を、ピック部5の1/4回転を一段階とする段階的な回転運動に規定することができる。このように、モータを用いた回転動作規定手段によれば、板バネ部材並びにバネ受け部を具備する必要がない分、より一層リードの相互的配列間隔の狭いコームに対応できるようになる。
【0028】
上述の実施例においては、リードを弾奏する手段として、回転するピック部5に設けられた複数の爪を使用する例について説明した。図7は、その変更例として、1つのピック爪を具えた往復動可能な移動体によりリードを弾奏する例を示す。
図7において、リード70は、その自由端が駆動板80を指向するよう配置されており、自由端(先端)には、上下両面にテーパ面71a、71bが形成されている。駆動板80は、前面(リードに対向する面)の中心付近にピック81が突設された板状部材であって、該ピック81がリード70の自由端に接触可能な位置において、上下往復動可能に取り付けされる。ピック81の先端部は、上下両面にテーパ面が形成され、駆動板80の往復動の両工程においてリード70を効果的に弾奏できるようになっている。駆動板80の上下両端には、形状記憶合金からなるワイヤー82aとワイヤー82bとが夫々連結されている。各ワイヤー82a、82bは、ドライバ(図3で符号104)に対して電気的に接続され、個別に通電オン/オフ制御される。駆動板80の上下端にそれぞれ連結されたワイヤー82a及び82bを交互に通電・加熱することで、各ワイヤー82a、82bの物理的変形(収縮)が、駆動板80の往路運動及び復路運動に変換される。駆動板80の後面には突起83が設けられている。ケース部84における前記突起83との対応面には、該突起83と係合することで駆動板80の上下往復動作を規定する係合部材85が具備される。なお、ワイヤー82a、82bを構成する形状記憶合金の特性は、上述のものと同様とする。
【0029】
上記構成からなる駆動板80は、往路運動、復路運動の各工程毎にリード70を弾奏駆動する。図7に示す状態を駆動板80の非駆動状態(上死点位置)とすると、まず、駆動板80の下端に連結されたワイヤー82aに対して通電オンすることで、ワイヤー82aが加熱されて収縮する。振動板80は、ワイヤー82aの収縮に従って、現時点ではマルテンサイト的に可塑的に変形可能な、上端側のワイヤー82bを引き伸ばしつつ、下方に引き下げられる。駆動板80の下降過程において、ピック81はリード70の自由端を上方から打撃する。リード70の上面にはテーパ面71aが形成されているので、上方からの打撃は円滑に行われる。なお、駆動板80の下方変位は所定の下死点位置で停止されるもので、ワイヤー82aに対する通電オフは適宜のタイミングで実施されるものとする。要するに、駆動板80は、下端に連結されたワイヤー82aに対して通電オンされることで下方へ駆動される。
【0030】
一方、駆動板80が下死点位置に位置しているとき、上端に連結されたワイヤー82bは引き伸ばされている。ここから、駆動板80を上方へ駆動するには、このワイヤー82bに対して通電オンすればよい。すなわち、引き伸ばされているワイヤー82bに対して通電オンすることで、ワイヤー82bが加熱されて収縮する。振動板80は、ワイヤー82bの収縮に従って、現時点ではマルテンサイト的に可塑的に変形可能な、下端側のワイヤー82aを引き伸ばしつつ、上方に引き上げられる。駆動板80の上昇過程において、ピック81はリード70の自由端を下方から打撃する。リード70の下面にはテーパ面71bが形成されているので、下方からの打撃も円滑に行われる。このように、駆動板80は、上端に連結されたワイヤー82bに対して通電オンされることで上方へ駆動される。
このように、ワイヤー82a、82bを交互に通電オンすることで、いずれか一方のワイヤーが通電される都度、駆動板80を往路運動又は復路運動せしめ、リード70は上下双方向から弾奏駆動される。これによれば、一方のワイヤーが十分に冷却される(常温に戻る)のを待つことなく、新規にリード弾奏駆動を実行できるという利点がある。また、このように駆動板80の上下往復動の片工程毎にリード70を弾奏する構成において、リード70の上下両面にテーパ面を設けることは、上下双方向からのリード弾奏動作を円滑ならしめることができ好ましい。
【0031】
なお、上述した何れの実施例に示すオルゴールおいても、加熱されたワイヤーを冷却する(常温に戻す)ための冷却手段を更に具備してもよい。前記冷却手段としては、例えば適宜の送風若しくは通風装置等を適用して差し支えない。
また、上述の例では、ワイヤー12に対して直接に通電することで当該ワイヤー12自身を発熱させて加熱する例を示したが、これに限らず、ワイヤー12の形状記憶機能による物理的変形が発揮されるよう当該ワイヤーの温度を選択的に加熱又は冷却させる構成であれば、その他適宜の加熱手段又は冷却手段を用いてもよい。
また、上述の実施例では、発音体として複数のリード(振動弁)からなるコームを使用する例について説明したが、ワイヤーを駆動源として駆動される発音体はリードに限らず、例えばハープタイプの自動演奏装置における弦など、その他各種の発音体に対して適用可能である。
更に、発音体を機械的に駆動するための駆動手段として、形状記憶部材と機械的な駆動付勢手段とを組み合わせて構成してもよい。
【発明の効果】
以上の通り、この発明によれば、オルゴールなどの発音機構において、発音体を機械的に駆動するための駆動手段として、形状記憶機能を備えた形状記憶部材を含み、該部材を選択的に加熱又は冷却することにより該部材を変形させ、この変形に応じて前記発音体を駆動するものを備えることで、発音機構の構造を簡素、小型且つ軽量なものとすることができ、延いては、価格の比較的安価な電動オルゴールを提供することが可能になるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例に係る電気的駆動オルゴールの一例を示す側面断面図。
【図2】図1に示すオルゴールを上面から見た平面図であり、一部、リード駆動機構を露呈せしめたもの。
【図3】同実施例に係るオルゴールの制御システムの構成の概略を示すブロック図。
【図4】タイミング検出スイッチを抽出して示す図であって、(a)はピック駆動板が上死点位置にある状態、(b)はピック駆動板が下死点位置にある状態、(c)はセンサ基板上におけるセンサ配列の一例を示す概略図。
【図5】この発明の他の実施例に係る電気的駆動オルゴールであって、ワイヤー式駆動手段の構成の変更例を示す。
【図6】この発明の別の実施例に係る電気的駆動オルゴールであって、ピック部の回転動作規定手段の構成の変更例を示す。
【図7】この発明の更に別の実施例に係る電気的駆動オルゴールであって、ピック駆動機構の他の構成例を示す概略図。
【符号の説明】
1 オルゴール、2 ベース部、3 コーム(発音体)、3b リード、4 リード駆動機構、5 ピック部、5a 爪、6 ピック駆動板、7 ワイヤー式駆動手段、9 回転動作規定手段、12 ワイヤー(形状記憶合金)、30 タイミング検出スイッチ、50 リンク機構、70 リード、80 駆動板
Claims (6)
- 機械的に振動することで発音する発音体と、
前記発音体を機械的に駆動するための駆動手段であって、形状記憶機能を備えた形状記憶部材を含み、該部材を選択的に加熱又は冷却することにより該部材を変形させ、この変形に応じて前記発音体を駆動するものと
を備えたことを特徴とする発音機構。 - 前記発音体は、種々の楽音ピッチに対応した複数の振動弁を含み、
前記駆動手段は、前記各振動弁に夫々対応して設けられ、対応する振動弁の自由端を駆動するピックと、各ピックに夫々対応して設けられた前記形状記憶部材とを含み、対応する該形状記憶部材の物理的変形に応じて対応する該ピックが変位し、このピックの変位に応じて対応する前記振動弁が駆動されることを特徴とする請求項1に記載の発音機構。 - 前記各ピックは、回転方向に所定間隔で複数のピック爪を具えた回転体で構成され、
前記駆動手段は、前記対応する形状記憶部材の物理的変形をそれに対応する前記回転体の回転運動に変換する機構を含み、該回転体の回転に応じて前記複数のピック爪の1つにより前記対応する振動弁が駆動されることを特徴とする請求項2に記載の発音機構。 - 前記各ピックは、少なくとも1つのピック爪を具えた往復動可能な移動体で構成され、
前記駆動手段は、前記対応する形状記憶部材の物理的変形をそれに対応する前記移動体の往路運動又は復路運動に変換する機構を含み、該移動体の往路運動又は復路運動に応じて前記ピック爪により前記対応する振動弁が駆動され、前記ピック爪の先端部が前記移動体の往路運動、復路運動の両進行方向に面して夫々テーパ面状に形成されることを特徴とする請求項2に記載の発音機構。 - 前記形状記憶部材は、電気信号の通電によりそれ自身が発熱することで加熱されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の発音機構。
- 前記形状記憶部材の変形時に生じる前記駆動手段における機械的な変位を検出するためのセンサを更に具備する請求項1乃至5のいずれかに記載の発音機構。
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KR101064676B1 (ko) * | 2009-09-24 | 2011-09-14 | 강릉원주대학교산학협력단 | 자동 연주 장치 |
JP5457598B1 (ja) * | 2013-09-06 | 2014-04-02 | シーシーエージャパン株式会社 | オルゴール装置 |
JP2015011240A (ja) * | 2013-06-28 | 2015-01-19 | ブラザー工業株式会社 | オルゴール |
JP2015011242A (ja) * | 2013-06-28 | 2015-01-19 | 日本電産サンキョー株式会社 | オルゴール |
-
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- 2003-07-18 JP JP2003199448A patent/JP2005037619A/ja active Pending
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