JP2005037608A - グレーテッドインデックス型マルチモードファイバ - Google Patents
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Abstract
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、グレーテッドインデックス型マルチモードファイバに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
マルチモードファイバのうち、グレーテッドインデックス(Graded Index)型マルチモードファイバ(以下、「GIマルチモードファイバ」と略す。)は、コアにゲルマニウム(Ge)などのドーパントを添加し、屈折率を純粋石英よりも上昇させて、屈折率(Index)がコアの中心において最も高く、コアとクラッドとの境界に向かって、コアの中心からの距離の増加に伴って連続的に減少するように形成されたものである。
【0003】
これにより、GIマルチモードファイバでは、その中心を移動する光よりも、外側を移動する光を速く移動させることができるため、マルチモードにおける伝送速度の差が極力抑えられ、モード分散が小さく、伝送帯域幅が大きくなる。
【0004】
このようなGIマルチモードファイバは、高い開口数を有し、光LANの伝送線路として広く用いられている。光LANの高速化の要求に伴って、GIマルチモードファイバの屈折率プロファイルの制御における精度を向上させてきた。
【0005】
現在、GIマルチモードファイバは、ほぼ性能限界に達しており、GIマルチモードファイバの伝送帯域幅をこれ以上に大きくするためには、波長分割多重(Wavelength Division Multiplexing、WDM)しなければならない。
【0006】
従来のコアにゲルマニウムを含むGIマルチモードファイバでは、最適な屈折率プロファイルが、ファイバ内を伝搬する信号光の波長に大きく依存する。そのため、特定の波長において最適化された屈折率プロファイルを有するファイバは、異なる波長においては伝送帯域幅が非常に小さくなるから、波長分割多重には適用できないという問題がある(例えば、非特許文献1参照。)。
また、0.85μm帯のような零分散波長から大きく外れた波長領域では、ゲルマニウムによる波長分散が大きいため、伝送帯域幅は非常に小さくなる。
【0007】
【非特許文献1】
大越、岡本、保位、“光ファイバ”、第7章、オーム社、1984年
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたもので、ファイバ内を伝搬する信号光の波長に依存することなく、その波長における最大の伝送帯域幅が得られるグレーテッドインデックス型マルチモードファイバを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために、フッ素を含むコアと、該コアの外周に設けられたクラッドとを備え、以下の式(1)を満足する屈折率プロファイルを有するグレーテッドインデックス型マルチモードファイバを提供する。
【0010】
【数2】
【0011】
ただし、n(r)は光ファイバのコア中心からの距離rにおける屈折率、n1はコア中心における屈折率、Δはクラッドに対するコア中心の比屈折率差、aはコア半径、αは屈折率分布次数を表す。
【0012】
上記構成のグレーテッドインデックス型マルチモードファイバにおいて、0.005≦Δ≦0.025、10μm≦a≦35μmであることが好ましい。
【0013】
上記構成のグレーテッドインデックス型マルチモードファイバにおいて、波長0.8〜0.9μmにおける伝送帯域幅が3GHz・kmを超えることが好ましい。
【0014】
上記構成のグレーテッドインデックス型マルチモードファイバにおいて、波長1.3μm帯における伝送帯域幅が1.5GHz・kmを超えることが好ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明のGIマルチモードファイバは、中心に設けられ、フッ素(F)を含む石英系ガラスからなるコアと、このコアの周囲にコアと同心円状に設けられたクラッドとを備え、以下の式(1)を満足する屈折率プロファイルを有する光ファイバである。
【0016】
【数3】
【0017】
ただし、上記の式(1)において、n(r)は光ファイバのコア中心からの距離rにおける屈折率、n1はコア中心における屈折率、Δはクラッドに対するコア中心の比屈折率差、aはコア半径、αは屈折率分布次数を表している。
また、屈折率分布次数αは、所望の波長における伝送帯域幅が最大になるように制御されるが、その最適値αoptは、石英ガラスに添加されるドーパントの種類によって異なる。
【0018】
上記の式(1)で表される本発明のGIマルチモードファイバの屈折率プロファイルは、コアの中心において最大屈折率を有し、半径が大きくなるにつれて屈折率が徐々に低下するような形状である。そのため、このGIマルチモードファイバ内を低次モードで伝搬する信号光は、伝搬経路は短いが、低い速度で伝搬することになる。これに対して、高次モードで伝搬する信号光は、伝搬経路は長いが、コアとクラッドとの境界付近では屈折率が小さく、高い速度で伝搬することになる。
【0019】
したがって、形状を決めるα値を適宜調節することによって、各伝搬モードでGIマルチモードファイバ内を伝搬した信号光の出力端における到達時間を揃えることができる。このとき、モード分散は理論上最小となり、信号光の波長における最大の伝送帯域幅を実現できる。
一方、αの最適値αoptは使用する波長によって変化する。また、その変化はコアに添加するドーパントの種類や濃度によって異なる。ドーパントが1種類のみの場合、最適値αoptが概ね波長が長くなるに伴い小さくなる物質Aと、逆に波長が長くなるに伴い大きくなる物質Bとに分けられる。
【0020】
コアにおけるフッ素の濃度分布は、コアの中心から半径方向外方に向かって濃度が徐々に増加し、屈折率が低下するようになっている。フッ素濃度の増加は、ほぼ線形的に屈折率の低下をもたらす。
【0021】
また、クラッドは、濃度が最も大きい(コアに含まれるフッ素の最大濃度と等しい濃度の)フッ素が一定濃度で添加された石英系ガラスで形成されている。
クラッドに含まれるフッ素の量は、2〜10アトム%程度であることが望ましく、2〜4アトム%程度であることがより望ましい。
【0022】
本発明のGIマルチモードファイバでは、その屈折率プロファイルを表す上記の式(1)における屈折率分布次数αが、所望の波長における伝送帯域幅が最大となるように、WKB法(Wentzel−Kramers−Brillouin method、R.Olshansky and D.B.Keck,“Pulse broadening in graded−index optical fibers” ,Appl.Opt.,vol.15,pp.483−491,1976.参照。)を用いて算出され、最適な値(最適値αopt)に制御されている。本発明のGIマルチモードファイバでは、この最適値αoptは、波長依存性がほとんどなく、全波長領域における変化の幅が非常に小さい。
【0023】
また、本発明のGIマルチモードファイバでは、上記の式(1)における屈折率分布次数αが、2.0≦α≦2.1であることが好ましく、2.01≦α≦2.05であることがより好ましい。上述の屈折率分布次数αの最適値αoptは、この範囲内の値である。
屈折率分布次数αの値が2.0未満では、最適値αoptより小さくなり、高次モードが低次モードよりも速く伝送される。一方、αの値が2.1を超えると、最適値αoptより大きくなり、高次モードが低次モードより遅く伝送されるため、伝送帯域幅が低下する。
【0024】
さらに、本発明のGIマルチモードファイバでは、上記の式(1)におけるコア半径aが、10μm≦a≦35μmであることが好ましく、20μm≦a≦30μmであることがより好ましい。
コア半径aが10μm未満では、ファイバ同士や、ファイバと光源との接続が難しくなる。一方、aが35μmを超えると、モードの数が増えすぎて、モード間分散が大きくなり、伝送帯域幅が小さくなる。
【0025】
本発明のGIマルチモードファイバは、その屈折率プロファイルを表す上記の式(1)における屈折率分布次数αが最適な値に制御されており、この最適値αoptは波長依存性がほとんどない。したがって、ある特定の波長におけるαを最適化し、伝送帯域幅が最大となるように作製されたGIマルチモードファイバであっても、ほぼ全波長領域において、伝送帯域幅が大きいものとなる。
例えば、短波長側におけるαを最適化し、伝送帯域幅が最大となるように作製された、フッ素を含むGIマルチモードファイバは、従来のゲルマニウム添加型のGIマルチモードファイバと比較すると、長波長側において格段に大きい伝送帯域幅を有するものとなる。
【0026】
また、本発明のGIマルチモードファイバは、波長0.8〜0.9μmにおける伝送帯域幅が3GHz・kmを超えるものである。伝送帯域幅は、伝送可能な伝送レートと光ファイバの距離の積で表され、光ファイバの伝送容量を示している。
したがって、本発明のGIマルチモードファイバは、波長0.8〜0.9μmの波長領域において、伝送速度が高く、波長分割多重伝送を可能とする光ファイバである。
【0027】
さらに、本発明のGIマルチモードファイバは、波長1.3μm帯における伝送帯域幅が1.5GHz・kmを超えるものである。
したがって、本発明のGIマルチモードファイバは、光LANの高速化に対応できる大容量波長領域域の1.3μm帯においても、高速通信および波長分割多重伝送を可能とする光ファイバである。
【0028】
また、本発明のGIマルチモードファイバは、ドーパントのフッ素が、ゲルマニウムよりも波長分散が小さいことから、従来のコアにゲルマニウムを含むGIマルチモードファイバより大きい伝送帯域幅が得られる。
また、本発明のGIマルチモードファイバは、従来のコアにゲルマニウムを含むGIマルチモードファイバよりも伝送損失が少ない光ファイバである。
【0029】
次に、本発明に係るGIマルチモードファイバの製造方法について説明する。
本発明に係るGIマルチモードファイバの製造方法は、PCVD(プラズマ化学気相溶着法)あるいはMCVD(内付け化学気相溶着法)を用いて、中心から外側に向かって、フッ素の添加量を徐々に増やし、所望の屈折率プロファイル形状になるように正確に制御し、母材を作製する。その母材に高温を加え、細長く線引きすることにより、GIマルチモードファイバを作製する。
【0030】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0031】
(実施例1)
フッ素を0〜2.8アトム%含む石英系ガラスからなるコアと、このコアの周囲にコアと同心円状に設けられた2.8アトム%のフッ素を含む石英系ガラスからなるクラッドとを有するGIマルチモードファイバを作製した。
得られたGIマルチモードファイバについて、GIマルチモードファイバの屈折率プロファイルを表す上記の式(1)において、WKB法によって計算された屈折率分布次数αの最適値αoptの波長依存性を調べた。結果を図1に示す。
【0032】
(比較例1)
ゲルマニウムを13.2モル%含む石英系ガラスからなるコアと、このコアの周囲にコアと同心円状に設けられた石英系ガラスからなるクラッドとを有するGIマルチモードファイバを作製した。
得られたGIマルチモードファイバについて、GIマルチモードファイバの屈折率プロファイルを表す上記の式(1)において、WKB法によって計算された屈折率分布次数αの最適値αoptの波長依存性を調べた。結果を図1に示す。
【0033】
図1の結果から、実施例1のGIマルチモードファイバでは、屈折率分布次数αの最適値αoptは波長1.1μm付近で極小となるが、波長の変化によるαoptの変化の幅が小さく、波長依存性がほとんどないことが確認された。したがって、実施例1のGIマルチモードファイバは、ある特定の波長におけるαを最適化して作製されたものであっても、ほぼ全波長領域において、伝送帯域幅が大きくなる。
【0034】
一方、比較例1のGIマルチモードファイバでは、最適値αoptは、波長が長くなるに従って単調減少することが確認された。
特に、このGIマルチモードファイバは、10GbE(IEC 60793−2−10 Ed2.0)で規定される短波長領域(0.85μm)において、αoptの変化率が大きく、この波長領域における波長分割多重には特に不利である。また、長波長側(1.30μm)においては、αoptの変化率が短波長側よりも小さくなるものの、短波長側と長波長側ではαoptが大きく異なっている。したがって、このGIマルチモードファイバを短波長側で最適化した場合、長波長側では大きな伝送帯域幅が得られない。
【0035】
(実施例2)
フッ素を0〜2.8アトム%含む石英系ガラスからなるコアと、このコアの周囲にコアと同心円状に設けられた2.8アトム%のフッ素を添加した石英系ガラスからなるクラッドとを有するGIマルチモードファイバを作製した。
また、このGIマルチモードファイバのクラッドに対するコア中心の比屈折率差Δを0.01、コア半径aを25μmとした。
波長0.81〜0.89μmにおける入射光のパルス半値全幅(FWHM)を1ns、RMSスペクトルを0.35nm、入射光FWHMビームサイズを50μmとし、波長1.30における入射光のパルス半値全幅(FWHM)を1ns、RMSスペクトルを1.3nm、入射光FWHMビームサイズを50μmとして、GIマルチモードファイバの伝送帯域幅と、GIマルチモードファイバの屈折率プロファイルを表す上記の式(1)において、WKB法によって計算された屈折率分布次数αの最適値αoptとの関係を調べた。結果を図2に示す。
【0036】
(比較例2)
ゲルマニウムを0〜13.2モル%含む石英系ガラスからなるコアと、このコアの周囲にコアと同心円状に設けられた石英系ガラスからなるクラッドとを有するGIマルチモードファイバを作製した。
また、このGIマルチモードファイバのクラッドに対するコア中心の比屈折率差Δを0.01、コア半径aを25μmとした。
波長0.81〜0.89μmにおける入射光のパルス半値全幅(FWHM)を1ns、RMSスペクトルを0.35nm、入射光FWHMビームサイズを50μmとし、波長1.30における入射光のパルス半値全幅(FWHM)を1ns、RMSスペクトルを1.3nm、入射光FWHMビームサイズを50μmとして、GIマルチモードファイバの伝送帯域幅と、GIマルチモードファイバの屈折率プロファイルを表す上記の式(1)において、WKB法によって計算された屈折率分布次数αの最適値αoptとの関係を調べた。結果を図3に示す。
【0037】
図2の結果から、実施例2のGIマルチモードファイバでは、屈折率分布次数αの最適値αoptは、波長の変化による変動が小さくなることが確認された。したがって、このGIマルチモードファイバには、波長0.81〜0.89μmの帯域におけるどの波長においても大きな伝送帯域幅の得られる最適値αoptが存在する。
一方、図3の結果から、比較例2のGIマルチモードファイバでは、屈折率分布次数αの最適値αoptは波長が長くなるに従って小さくなることが確認された。したがって、このGIマルチモードファイバでは、波長0.81〜0.89μmの波長領域で波長分割多重を行うためには、最低伝送帯域幅を実施例2のGIマルチモードファイバよりも大幅に小さくしなければならない。
【0038】
また、図2および図3において、例えば、αopt=2.04とした場合、実施例2のGIマルチモードファイバの波長1.30μmにおける伝送帯域幅は、比較例2のGIマルチモードファイバと比較すると、2倍以上になっていることが分かった。これは、フッ素が添加されたGIマルチモードファイバの最適値αoptの変動が小さいことに加え、フッ素の波長分散が、僅かながらゲルマニウムよりも小さいことにも起因している。
【0039】
(実施例3)
フッ素を0〜2.8アトム%含む石英系ガラスからなるコアと、このコアの周囲にコアと同心円状に設けられた2.8アトム%のフッ素を添加した石英系ガラスからなるクラッドとを有するGIマルチモードファイバを作製した。
また、このGIマルチモードファイバのクラッドに対するコア中心の比屈折率差Δを0.01、コア半径aを25μmとした。また、このGIマルチモードファイバを波長0.85μmにおいて最適化し、GIマルチモードファイバの屈折率プロファイルを表す上記の式(1)における屈折率分布次数αを2.038とした。
得られたGIマルチモードファイバの伝送帯域幅の波長依存性を調べた。結果を図4に示す。
【0040】
(比較例3)
ゲルマニウムを0〜13.2モル%含む石英系ガラスからなるコアと、このコアの周囲にコアと同心円状に設けられた石英系ガラスからなるクラッドとを有するGIマルチモードファイバを作製した。
また、このGIマルチモードファイバのクラッドに対するコア中心の比屈折率差Δを0.01、コア半径aを25μmとした。また、このGIマルチモードファイバを波長0.85μmにおいて最適化し、GIマルチモードファイバの屈折率プロファイルを表す上記の式(1)における屈折率分布次数αを2.040とした。
得られたGIマルチモードファイバの伝送帯域幅の波長依存性を調べた。結果を図4に示す。
【0041】
図4の結果から、実施例3のGIマルチモードファイバでは、波長が長くなるに従ってより大きな伝送帯域幅が得られることが確認された。これは、このGIマルチモードファイバは、長波長側では波長分散が小さいことに起因している。
一方、比較例3のGIマルチモードファイバでは、波長0.85μmにおいてのみ大きな伝送帯域幅が得られた。
【0042】
(実施例4)
フッ素を0〜2.8アトム%含む石英系ガラスからなるコアと、このコアの周囲にコアと同心円状に設けられた2.8アトム%のフッ素を添加した石英系ガラスからなるクラッドとを有するGIマルチモードファイバを作製した。
また、このGIマルチモードファイバのクラッドに対するコア中心の比屈折率差Δを0.01、コア半径aを25μmとした。また、このGIマルチモードファイバを波長0.85μmにおいて最適化し、GIマルチモードファイバの屈折率プロファイルを表す上記の式(1)における屈折率分布次数αを2.038とした。
【0043】
このGIマルチモードファイバの波長0.81、0.83、0.85、0.87、0.89、1.30μmにおけるDMD(Differential Mode Delay)特性を、シミュレーションにより算出した。このシミュレーションでは、GIマルチモードファイバの屈折率プロファイルから、文献A(K.Okamoto,“Comparison of calculated and measured impulse responses of optical fibers”,Applied Optics,vol.18,pp.2199−2206,1979.)により、全てのモードの伝搬速度を計算し、また、光源の仕様から各モードの励振パワーを文献B(L.Raddatz,I.H.White,D.G.Cunningham,and M.C.Nowell,“An experimental and theoretical study of the offset launch technique for the enhancement of the bandwidth of multimode fiber links”,J.Lightwave Technol.vol.16,pp.324−331,1998.)により計算して、最終的にDMDを得る。算出において、波長0.81〜0.89μmにおける入射光のパルス半値全幅(FWHM)を0.078ns、RMSスペクトルを0.068nm、入射光FWHMビームサイズを3.0μmとし、波長1.30における入射光のパルス半値全幅(FWHM)を0.05ns、RMSスペクトルを1.0nm、入射光FWHMビームサイズを3.0μmとした。算出結果を図5〜図10に示す。図5は波長0.81μmにおけるDMD特性、図6は波長0.83μmにおけるDMD特性、図7は波長0.85μmにおけるDMD特性、図8は波長0.87μmにおけるDMD特性、図9は波長0.89μmにおけるDMD特性、図10は波長1.30μmにおけるDMD特性を示す。
【0044】
DMD特性は、コアの中心からずらして光ファイバに信号光を入射した際に、出射端へ伝搬した信号光の波形をシミュレーションにより算出したものである。光ファイバに入射する信号光の中心がコアの中心から離れるほど、信号光はより高次モードで伝搬することになる。このため、このDMD特性は、各伝搬モードで伝搬した信号光の光強度を到達時間の相対差でプロットしたものとなる。オフセットが0の波形が低次モードを伝搬した信号光であり、オフセットが大きいほどより高次モードで伝搬した信号光の波形を示している。
【0045】
(比較例4)
ゲルマニウムを0〜13.2モル%含む石英系ガラスからなるコアと、このコアの周囲にコアと同心円状に設けられた石英系ガラスからなるクラッドとを有するGIマルチモードファイバを作製した。
また、このGIマルチモードファイバのクラッドに対するコア中心の比屈折率差Δを0.01、コア半径aを25μmとした。また、このGIマルチモードファイバを波長0.85μmにおいて最適化し、GIマルチモードファイバの屈折率プロファイルを表す上記の式(1)における屈折率分布次数αを2.040とした。
【0046】
このGIマルチモードファイバの波長0.81、0.83、0.85、0.87、0.89、1.30μmにおけるDMD特性を、実施例4と同様にしてシミュレーションにより算出した。算出結果を図11〜図16に示す。図11は波長0.81μmにおけるDMD特性、図12は波長0.83μmにおけるDMD特性、図13は波長0.85μmにおけるDMD特性、図14は波長0.87μmにおけるDMD特性、図15は波長0.89μmにおけるDMD特性、図16は波長1.30μmにおけるDMD特性を示す。
【0047】
図5〜図10の結果から、実施例4のGIマルチモードファイバでは、波長0.81〜0.89μmにおいて各伝搬モード間で信号光の到達時間が揃っていることが分かった。したがって、この波長領域において低密度波長分割多重(Coarse Wavelength Division Multiplexing、CWDM)を実施する場合、どの波長においても十分に大きな伝送帯域幅を確保できることが分かった。
一方、図11〜図16の結果から、比較例4のGIマルチモードファイバでは、波長0.85μmを境にして波長が短くなるに従って高次モード化が進み、波長が長くなるに従って高次モード化が遅れ、パルス幅も顕著に大きくなることが分かった。
また、波長1.30μmでは、実施例4および比較例4のGIマルチモードファイバは、共にパルス幅が不揃いになるが、実施例4のGIマルチモードファイバの方がより小さなDMD値を有することが分かった。
【0048】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のGIマルチモードファイバは、フッ素添加で、上記の式(1)を満足する屈折率プロファイルを有するものであるから、広波長領域において伝送帯域幅が大きくなり、波長分割多重に適した光ファイバとなる。また、ドーパントのフッ素は、ゲルマニウムよりも波長分散が小さいから、本発明のGIマルチモードファイバは、より大きい伝送帯域幅が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ゲルマニウム(GeO2)またはフッ素(F)を添加した場合に、GIマルチモードファイバの屈折率プロファイルを表す上記の式(1)において、WKB法によって計算された屈折率分布次数αの最適値αoptの波長依存性を示すグラフである。
【図2】実施例のGIマルチモードファイバの伝送帯域幅と、GIマルチモードファイバの屈折率プロファイルを表す上記の式(1)における屈折率分布次数αの最適値αoptとの関係とを示すグラフである。
【図3】比較例のGIマルチモードファイバの伝送帯域幅と、GIマルチモードファイバの屈折率プロファイルを表す上記の式(1)における屈折率分布次数αの最適値αoptとの関係とを示すグラフである。
【図4】実施例および比較例のGIマルチモードファイバの伝送帯域幅と、波長との関係を示すグラフである。
【図5】実施例のGIマルチモードファイバの波長0.81μmにおけるDMD特性を示すグラフである。
【図6】実施例のGIマルチモードファイバの波長0.83μmにおけるDMD特性を示すグラフである。
【図7】実施例のGIマルチモードファイバの波長0.85μmにおけるDMD特性を示すグラフである。
【図8】実施例のGIマルチモードファイバの波長0.87μmにおけるDMD特性を示すグラフである。
【図9】実施例のGIマルチモードファイバの波長0.89μmにおけるDMD特性を示すグラフである。
【図10】実施例のGIマルチモードファイバの波長1.30μmにおけるDMD特性を示すグラフである。
【図11】比較例のGIマルチモードファイバの波長0.81μmにおけるDMD特性を示すグラフである。
【図12】比較例のGIマルチモードファイバの波長0.83μmにおけるDMD特性を示すグラフである。
【図13】比較例のGIマルチモードファイバの波長0.85μmにおけるDMD特性を示すグラフである。
【図14】比較例のGIマルチモードファイバの波長0.87μmにおけるDMD特性を示すグラフである。
【図15】比較例のGIマルチモードファイバの波長0.89μmにおけるDMD特性を示すグラフである。
【図16】比較例のGIマルチモードファイバの波長1.30μmにおけるDMD特性を示すグラフである。
Claims (4)
- 0.005≦Δ≦0.025、10μm≦a≦35μmであることを特徴とする請求項1に記載のグレーテッドインデックス型マルチモードファイバ。
- 波長0.8〜0.9μmにおける伝送帯域幅が3GHz・kmを超えることを特徴とする請求項1または2に記載のグレーテッドインデックス型マルチモードファイバ。
- 波長1.3μm帯における伝送帯域幅が1.5GHz・kmを超えることを特徴とする請求項1または2に記載のグレーテッドインデックス型マルチモードファイバ。
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