JP2005037022A - 機器管理装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】不特定多数の機器の故障診断を可能にする機器管理装置を提供する。
【解決手段】被管理機器の運転状態を把握するための因子データを取得する因子データ取得手段(11,12,13)と、因子データ取得手段によって取得された因子データを蓄積するデータ記憶手段(14)と、データ記憶手段に蓄積された因子データの度数分布を求め、この度数分布の変域を統計諸量に従って複数のゾーンに区分けし、因子データ取得手段によって新たに取得された因子データがいずれのゾーンに属するかを判別する判別手段(15)と、判別手段によって判別された因子データが属するゾーンに応じて予め定められた判定条件に基づいて、被管理機器の不具合を判定する判定手段(16)とを備える。
【選択図】 図3
【解決手段】被管理機器の運転状態を把握するための因子データを取得する因子データ取得手段(11,12,13)と、因子データ取得手段によって取得された因子データを蓄積するデータ記憶手段(14)と、データ記憶手段に蓄積された因子データの度数分布を求め、この度数分布の変域を統計諸量に従って複数のゾーンに区分けし、因子データ取得手段によって新たに取得された因子データがいずれのゾーンに属するかを判別する判別手段(15)と、判別手段によって判別された因子データが属するゾーンに応じて予め定められた判定条件に基づいて、被管理機器の不具合を判定する判定手段(16)とを備える。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種機器の故障の診断や予知を行う機器管理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
店舗内に設置されているショーケース(冷凍機を含む)や空気調和機等の各種機器の故障を診断もしくは予知する方法として、故障判定の因子データがあるしきい値(例えば、予め定められた絶対値や、基準値からの相対値)を超えたか否かによって判定するやり方が提案されている。このうちの1つの方法は、設置時から数週間における故障判定の因子データの平均値の変化に基づいてしきい値を求め、最新の故障判定の因子データがこのしきい値を超えた場合に故障警報を発令するものである(例えば、特許文献1参照。)。もう一つの方法は、空気調和機を対象として、室内の温湿度から得られる負荷と機器の運転率のデータベースを1年間にわたって構築し、同一負荷に対する運転率が過去のものよりある値以上乖離していた場合に故障警報を発令するものである(例えば、特許文献2参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−343177号公報
【特許文献2】
特開平10−238920号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
通常、機器の設置当初は、故障は殆ど発生しないものと考えられるため、設置時から数週間のデータでしきい値を決める方法は妥当と考えられる。しかし、設置済みの機器から得られるデータは、観測者から見た場合にばらついたデータとなるため、この方法を有効とするには、少なくともその変動要因の1つである機器の特性を熟知している必要があり、この方法を不特定多数の機器に適用してその故障を把握することは困難であった。
【0005】
この観点からすると、もう1つの方法は1年という長期間のデータでしきい値を決めており、上述した方法の問題点は改善されているといえる。しかし、しきい値の基準となる値を数回の平均値で求めているため、データのばらつきが考慮されておらず、また、故障判定のしきい値が因子データに対して1つしかない点も問題であった。すなわち、データがばらつく原因をすべて把握できない現状においては、しきい値を厳しく設定せざるを得ない。なぜならば、しきい値を甘く設定すれば誤判定を招く回数が増えるためで、結局のところ、実際に機器が故障した場合にしか判定できず、故障の診断は可能ではあっても確度の高い故障予知は困難であった。
【0006】
本発明は上記事情を考慮してなされたもので、その目的は不特定の機器の故障診断を可能にする機器管理装置を提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的は、故障予知をも可能にする機器管理装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1に係る機器管理装置は、被管理機器の運転状態を把握するための因子データを取得する因子データ取得手段と、
因子データ取得手段によって取得された因子データを蓄積するデータ記憶手段と、
データ記憶手段に蓄積された因子データの度数分布を求め、この度数分布の変域を統計諸量に従って複数のゾーンに区分けし、因子データ取得手段によって新たに取得された因子データがいずれのゾーンに属するかを判別する判別手段と、
判別手段によって判別された因子データが属するゾーンに応じて予め定められた判定条件に基づいて、被管理機器の不具合を判定する判定手段と、を備える。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。図1は本発明に係る機器管理装置を適用する被管理機器の配置図である。同図において、店舗1内には2台のオープンショーケース2及び3と、2台の冷蔵リーチイン4及び5と、冷凍リーチイン6とが2箇所に分けて配置されている。そして、店舗1の外にはそれらを冷却するための冷凍機7が設置されている。オープンショーケース2及び3にはそれぞれ庫内温度センサ2s及び庫内温度センサ3sa,3sb,3scが設けられ、冷蔵リーチイン4及び5には庫内温度センサ4s及び5sが、冷凍リーチイン6には庫内温度センサ6sがそれぞれ設けられており、これらのセンサが庫内状態情報伝達ケーブル8によって制御器10に接続されている。一方、店舗1の外に設置された冷凍機7には外気温センサ7sa、吐出し温度センサ7sb及び高圧センサ7scがそれぞれ設けられ、これらのセンサが冷凍機状態情報伝送ケーブル9によって同じく制御器10に接続されている。
【0010】
制御器10はマイクロコンピュータ(CPU)でなり、各種センサからの情報を取得して分析する機能を有し、この制御器10がローカルサーバーとしてルータ20に接続されている。ルータ20は異なったネットワーク、例えば、インターネットやPHSを接続するための装置で、ここに届いたパケットをどのネットワークに流すかの制御をするものである。
【0011】
図2は店舗内の各機器と店舗外の冷凍機とを接続して熱交換を行う冷凍サイクル図である。ここで、冷凍機7は圧縮機(実際には冷蔵用と冷凍用の2台でなるがここでは1台に纏めて表している)71、熱源側熱交換器74及び送風機75を備えている。オープンショーケース2は利用側熱交換器72aを備え、その一端が圧縮機71の吸いこみ側に接続され、その他端が電磁弁73aを介して熱源側熱交換器74の一端に接続されている。熱源側熱交換器74の他端は圧縮機71の吐出側に接続されている。また、オープンショーケース3も利用側熱交換器72bを備え、その一端が利用側熱交換器72aの一端と圧縮機71とを接続する配管に接続され、その他端が電磁弁73bを介して、利用側熱交換器72aが熱源側熱交換器74に接続する配管に接続されている。
【0012】
なお、図2では図示を省略した冷蔵リーチイン4及び5、並びに冷凍リーチイン6も利用側熱交換器72a,72bと略同様に接続された利用側熱交換器を備えている。そして、制御器10には、前述した外気温センサ7sa、吐出し温度センサ7sb、高圧センサ7sc、庫内温度センサ2s及び庫内温度センサ3sa,3sb,3scの他に、利用側熱交換器72aの温度を検出する熱交温度センサ2t、利用側熱交換器72bの温度を検出する熱交温度センサ3tが接続され、さらに、電磁弁73a、73bの状態を送信する信号線が接続されている。
【0013】
図3は制御器10の機能に着目した機能ブロック図である。この制御器10は上述した各センサの信号及び電磁弁の状態信号を取り込んでディジタル信号処理に好適なデータに変換するデータ入力部11と、これらのデータをその入力時刻毎に記憶させるデータ記憶部12と、このデータ記憶部12に記憶されたデータを不具合判別に用いる因子データに加工(時間変化率や複数の温度の差)して出力するフィルタ手段13と、このフィルタ手段13によって加工された因子データをその種類毎に記憶(集積)する統計諸量データ記憶手段14と、統計諸量データ記憶手段14に記憶された因子データ毎に度数分布を求め、さらに、この度数分布を複数のゾーンに区分し、フィルタ手段13によって新たに加工された因子データがどのゾーンに属するかを判別する判別手段15と、因子データの属するゾーンに対応して予め定めた判定条件に基づき、被管理機器の不具合を判定する判定手段16と、この判定手段16により不具合の可能性があると判定された場合に不具合率を算出する不具合率算出手段17と、判定手段16によって被管理機器が不具合と判定されたときに警報信号を出力する警報出力部18と、前述したルータ20を介して管理センターと送受信する外部入出力部19とを備えている。なお、上述した構成要素のうち、データ入力部11、データ記憶部12及びフィルタ手段13が本発明の因子データ取得手段に対応している。
【0014】
上記のように構成された本実施形態の動作について以下に説明する。図1に示した被管理機器の不具合としては種々のものがあるが、ここでは、オープンショーケース2又は3の除霜不良の不具合を診断する場合について、図4のタイムチャートをも参照して説明することとする。先ず、圧縮機71は矢印A方向に冷媒を循環させ、熱源側熱交換器74を凝縮器として機能させ、利用側熱交換器72a,72b,・・・を蒸発器として機能させることによってオープンショーケース2,3,・・・を冷却運転する。
【0015】
図4(a)はオープンショーケース2の運転中の圧縮機吐出温度Td、庫内温度Taの各変化状態を外気温度Toと併せて示した図であり、図4(b)は圧縮機71の動作、停止の状態を、図4(c)は電磁弁73aの開、閉状態を、図4(d)は蒸発器として機能する利用側熱交換器72aの温度Teの変化状態例をそれぞれ示した図である。ここで、圧縮機71の運転中、庫内温度Taは次第に低下する。オープンショーケース2の温度設定はサーモスタットを用いてTsに設定される。周知の如く、サーモスタットは動作温度と復帰温度とに差があり、温度上昇傾向のときにオン状態(又はオフ状態)になる上限値Ts1と、温度下降傾向の時にオフ状態(又はオン状態)になる下限値Ts2とを有し、これらの温度差を庫内温度制御のデファレンシャルという。
【0016】
そこで、庫内温度Taが下限値Ts2に下降すると電磁弁73aが閉止される。この冷凍サイクルにつながるすべてのショーケースの電磁弁が閉止されると、これに応じて圧縮機71も停止する。その後、庫内温度Taが上限値Ts1まで上昇すると電磁弁73aは開放され、これに応じて圧縮機71も駆動される。これ以降、同様な動作が繰り返される。なお、ショーケースでは利用側熱交換器についた霜を取る(除霜)ため、所定の運転時間ごとに一定の除霜時間だけ電磁弁73aを閉止し、ヒータに通電する等の除霜が行われる。なお、圧縮機71の停止期間においてその吐出温度は低下し、再起動によって上昇する。また、利用側熱交換器(蒸発器)72aの温度Teは圧縮機71の停止期間において上昇し、再起動によって下降する。なお、ショーケース3も同様の個別に動作を行なう。
【0017】
オープンショーケース2又は3の除霜不良とは、冷却運転中に利用側熱交換器(蒸発器)72aや72bに付着した霜が除霜運転では取りきれずに残る、いわゆる、残霜現象をいう。残霜が生じると次の冷却運転でさらに霜が成長し、そのまま運転を継続すると最後には全く冷却できずに庫内温度が上昇してしまい、庫内に保存した商品が傷んでしまうという問題につながる。この除霜不良の原因としては、除霜時間の誤設定、除霜ヒータのあるものについてはヒータの故障、除霜終了センサの故障等がある。しかし、除霜不良の可能性があることが分かれば、サービスマンはある程度、修理箇所の目安がつくため、迅速に対応することができ、大事に至る前に修復することが可能になる。
【0018】
一般に、除霜不良が発生すると、図4(a)に示したように、庫内温度Taが下降してデファレンシャルの上限値ts1から下限値Ts2に到達する時間ti=t1,t2,t3,…が長くなる。また、圧縮機71の起動から所定時間tsを経過した時点の吐出温度Tdと外気温度Toとの温度差ΔTiが小さくなる。さらに、庫内温度Taがサーモスタットがオフ状態になる温度Ts2に到達した時刻における利用側熱交換器72a(蒸発器)の温度Teは高くなる。本実施形態においては、庫内温度がTs1からTs2に低下するまでの温度低下時間ti、圧縮機71の起動から所定時間tsを経過した時点の吐出温度Tdと外気温度Toとの温度差ΔTi、サーモスタットがオフ状態になった時刻における利用側熱交換器72a(蒸発器)の温度Teのいずれか1つ又はこれらを組み合わせた複数を不具合判定に用いる因子データとする。以下、除霜不良に対する具体的な診断例について以下に説明する。
【0019】
(a)除霜不良に関する第1の診断例
データ入力部11は各センサの信号及び電磁弁の状態信号を、例えば、1分毎に取り込んで、ディジタル信号処理に好適なデータに変換する。変換されたデータは入力時刻に対応させてデータ記憶部12に時刻データとして記憶される。この場合の因子データは、庫内温度制御のデファレンシャルである上限値Ts1から下限値Ts2に低下するまでの温度低下時間tiのみを用いるものとする。
【0020】
そこで、フィルタ手段13は庫内温度がTs1に到達した時刻から冷凍サイクル機器の動作により庫内温度がTs2に低下するまでの時間tiをデータ記憶部12の時刻データから算出し、これを因子データとして統計諸量データ記憶手段14及び判別手段15に送る。統計諸量データ記憶手段14は最初の1週間ないし1か月程度の期間は、まずはフィルタ手段13から送られてくるデータの蓄積を行う。ある程度データが蓄積されると判別手段15による判定動作の機能が開始される。判定動作を開始した後も統計諸量データ記憶手段14はデータの蓄積を継続し、因子データに関する統計諸量データを更新していく。
【0021】
図5は算出された因子データの度数分布を示しており、データ数の増加に応じて統計処理可能な分布に近づく。判別手段15はこの度数分布に対して、統計諸量としての、例えば、平均値と標準偏差に基づいて、その中央部のグリーンゾーンG、その両側のイエローゾーンY、さらにその外側に大きく外れたレッドゾーンRでなる合計5つのゾーンに区分する。具体的には、第1のしきい値TH1を標準偏差の3倍(平均値±(3×標準偏差))の位置に、第2のしきい値TH2を標準偏差の2倍(平均値±(2×標準偏差))の位置に設定する。そして、第1のしきい値TH1を超えた領域をレッドゾーンRとし、第1のしきい値TH1と第2のしきい値TH2で挟まれた領域をイエローゾーンYとし、これ以外の平均値を含む中心部の領域をグリーンゾーンGとしている。主として、レッドゾーンRは不具合の診断を、イエローゾーンYは不具合の予知を受け持つ。そして、判別手段15は、フィルタ手段13で算出された因子データがどのゾーンに属するかを判定する。
【0022】
一方、判定手段16はそれぞれのゾーンに対応した不具合の判定条件を保持しており、例えば、イエローゾーンYでは、このゾーンに属する回数が5回になると不具合になるものと判定して不具合予知信号を不具合率算出手段17に出力し、レッドゾーンRではこのゾーンに属する回数が2回になった場合に不具合と判定して不具合信号を警報出力部18に出力する。一方、グリーンゾーンGに属すると判定された場合には正常な運転状態であって、この場合に不具合予知信号や不具合信号を出力することはない。このような判定は、因子データがレッドゾーンRに入る確率は、ばらつきを考慮しても約0.5%であるのに対して、イエローゾーンYに入る確率は5%であるため、このイエローゾーンYにおいては誤判定の可能性があることを考慮して判定条件を5回としている。
【0023】
判定手段16から不具合予知信号が与えられた不具合率算出手段17はゾーン分けに用いた平均値及び標準偏差に基づいて不具合であることの確率、すなわち、不具合率を算出して外部入出力部19に出力する。一方、判定手段16から不具合信号が与えられた警報出力部18は店舗内にて警報表示すると共に、不具合信号を外部入出力部19に出力する。外部入出力部19は不具合の警報信号、不具合の可能性及び不具合率をルータ20に出力し、図示省略の管理センターに通報する。
【0024】
かくして、除霜不良に関する第1の診断例によれば、複数のしきい値を統計学の観点から設定し、それぞれの領域に適切な判定方法を用いることにより、従来の曖昧なしきい値を用いる方法に比べて、不具合診断及び予知をより精度よく行うことができる。
【0025】
(b)除霜不良に関する第2の診断例
この場合、取得する因子データは2つで、上記の温度低下時間tiを主因子データとし、圧縮機71の起動から所定時間tsを経過後の吐出温度Tdと外気温度Toとの温度差ΔTiを補助因子として使用する。従って、フィルタ手段13は上述した主因子データtiの抽出に加え、圧縮機71の起動から所定時間ts後の吐出温度Tdと外気温度Toとをデータ記憶部12から読出し、温度低下時間tiと温度差ΔTiを算出し、統計諸量データ記憶手段14と判別手段15とに加える。この場合、2つの因子データを用いるため、それぞれの統計諸量に基づく度数分布が判別手段15によって区分けされ、最新に取得された因子データがそれぞれの度数分布のどのゾーンに属するかが判別され、その判別結果が判定手段16に送られる。
【0026】
判定手段16における判定条件として、主因子データtiが2回連続してレッドゾーンRに入っていると判定された場合には、補助因子データΔTiの属するゾーンに拘わらず、判定手段16は不具合と判定して不具合信号を警報出力部18に出力する。さらに、主因子データtiがイエローゾーンYにある場合であっても、補助因子データΔTiがレッドゾーンRにある場合には不具合と判定して不具合信号を警報出力部18に出力する。主因子データがグリーンゾーンGにある場合には不具合信号は出力しない。なお、温度低下の時間tiのデータは、温度低下速度=温度時間変化率である。
【0027】
かくして、除霜不良に関する第2の不具合診断例によれば、2つの因子データを用いることによって不具合診断をより精度よく行うことができる。
【0028】
(c)除霜不良に関する第3の診断例
この診断では、図示を省略するが、上述した平均値や標準偏差を含む統計諸量に基づいて、主因子データである温度低下時間tiの度数分布上の変域を7つのゾーンに分ける。すなわち、平均値に近いところからグリーンゾーンG(平均値±(1.5×標準偏差)範囲内)、イエローゾーンY(平均値±(1.5×標準偏差)〜平均値±(2×標準偏差)範囲内)、オレンジゾーンO(平均値±(2×標準偏差)〜平均値±(3×標準偏差)範囲内)、レッドゾーンR(平均値±(3×標準偏差)範囲外)とする。そして、補助因子データとして2つの因子データを使用する。第1の補助因子データは上述した温度差ΔTiで、第2の補助因子データは、庫内温度Taがサーモスタットがオフ状態になる温度Ts2に到達した時刻における利用側熱交換器72a(蒸発器)の温度Teiである。これらの補助因子データの統計分布上の領域分けは5つで、平均値に近いところからグリーンゾーンG、イエローゾーンY、レッドゾーンRとする。
【0029】
この場合の判定手段16の判定条件は、主因子データtiがレッドゾーンRに属している場合、第1の補助因子データΔTiがイエローゾーンY以上、すなわち、イエローゾーンY又はレッドゾーンRであるとき不具合と判定する。主因子データtiがオレンジゾーン(O)に属している場合、第1の補助因子データΔTi及び第2の補助因子データTeiの両方がイエローゾーンY以上である場合に不具合と判定する。主因子データtiがイエローゾーンYに属している場合、第1の補助因子データΔTi及び第2の補助因子データ温度Teiのいずれか一方がレッドゾーンRである場合に不具合と判定する。
【0030】
かくして、除霜不良に関する第3の診断例によれば、3つの因子データを用いることによって、不具合の診断精度をより高めることができる。
【0031】
上述した第1ないし第3の診断例における故障判定条件をまとめると下表のとおりである。
【表1】
【0032】
一方、図3に示す、外部入出力部17は、インターネットを経由して監視センターの監視装置(図示せず)に接続され、監視センター側で判定条件の変更が必要になった場合には、新たな判定条件を監視装置からローカルサーバーとしての制御器10に送信し、判定手段16に対して判定条件の置き換えを行う。また、監視装置は必要に応じて統計諸量データ記憶手段14からその時点の統計諸量のデータの送信要求を出力し、制御器10はこの要求を受けて統計諸量データ記憶手段14からその時点の各因子データの統計諸量データを外部入出力部17に出力し、外部入出力部17はそのデータを監視センターに送信する。
【0033】
監視センターの監視装置は、多数のローカルサーバーとしての制御部を監視対象としているため、各統計諸量データを吸い上げることで、不具合予知に関するデータの積み上げが可能となる。この結果、各因子データに基づく判定条件をより最適な条件へと見直してゆくことができる。見直した判定条件は上述した手順にて判定手段16に送信され、その更新がなされる。さらに、不具合予知に関するデータの積み上げによって、不具合の可能性及び不具合率を用いて、実際に不具合に至る月日を予測することも可能となる。また、度数分布の変域をゾーン分けする基準値を遠隔操作によって決定することも可能である。
【0034】
なお、上述した第1の診断例では不具合と診断する条件と、不具合の可能性である条件を設定して不具合と診断されたとき警報信号を出力し、不具合の可能性があると診断されたときその可能性及び不具合率を出力しているのに対して、第2及び第3の診断例では不具合を診断する条件のみで診断をしているが、不具合の可能性を診断する条件を随時設定して、その可能性に対してそれぞれ不具合率を算出して出力することも可能である。
【0035】
なおまた、上記の実施形態ではインターネットを経由してつながる監視センター内の遠隔監視装置を外部の出力先としたが、さらに、遠隔監視装置からサービスマンの所有する携帯端末(携帯電話等)にこの不具合の可能性及び算出された不具合率を通知しても良い。この場合、監視センターでは複数の被管理装置とつながっているため、機器管理装置はその所在地、機器の種類等を遠隔監視装置に通知し、登録しておく必要がある。所在地を登録しておけば遠隔監視装置は、最寄りのサービスマンを特定して指定できるため、不具合発生の前に迅速な対応が可能になる。
【0036】
ところで、上記の実施形態に係る機器管理装置は店舗のオープンショーケース等の除霜不良を診断対象としており、これらの除霜不良は機器の本質的な故障とは言えない場合があるため、敢えて「故障」という用語を用いずに「不具合」という用語を用いたが上述した発明を被管理機器の故障判別及び故障予知にも適用し得ることは言うまでもない。
【0037】
【発明の効果】
以上の説明によって明らかなように、本発明によれば、被管理機器の運転状態を把握するための因子データの取得及びその蓄積を行って度数分布を求め、この度数分布の変域を統計諸量に従って複数のゾーンに区分けし、新たに取得された因子データがいずれのゾーンに属するかを判別し、属するゾーンに応じて予め定められた判定条件に基づいて被管理機器の不具合を判定するようにしたので、不特定多数の機器の故障診断が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る機器管理装置を適用する被管理機器の配置図。
【図2】被管理機器として店舗内の各機器と店舗外の冷凍機とを接続して熱交換を行う冷凍サイクル図。
【図3】本発明の一実施形態に係る制御器の機能に着目した機能ブロック図。
【図4】図3に示した制御器の具体的動作を説明するために、オープンショーケースの庫内温度に関連する圧縮機の駆動停止、電磁弁の開閉、蒸発器の温度等を時間と関連付けて示したタイムチヤート。
【図5】図3に示した制御器の具体的動作を説明するために、因子データの度数分布及びその変域をゾーン分けした図。
【符号の説明】
1 店舗
2,3 オープンショーケース
7 冷凍機
10 制御器
11 データ入力部
12 データ記憶部
13 フィルタ手段
14 統計諸量データ記憶手段
15 判別手段
16 判定手段
17 不具合率算出手段
18 警報出力部
19 外部入出力部
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種機器の故障の診断や予知を行う機器管理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
店舗内に設置されているショーケース(冷凍機を含む)や空気調和機等の各種機器の故障を診断もしくは予知する方法として、故障判定の因子データがあるしきい値(例えば、予め定められた絶対値や、基準値からの相対値)を超えたか否かによって判定するやり方が提案されている。このうちの1つの方法は、設置時から数週間における故障判定の因子データの平均値の変化に基づいてしきい値を求め、最新の故障判定の因子データがこのしきい値を超えた場合に故障警報を発令するものである(例えば、特許文献1参照。)。もう一つの方法は、空気調和機を対象として、室内の温湿度から得られる負荷と機器の運転率のデータベースを1年間にわたって構築し、同一負荷に対する運転率が過去のものよりある値以上乖離していた場合に故障警報を発令するものである(例えば、特許文献2参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−343177号公報
【特許文献2】
特開平10−238920号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
通常、機器の設置当初は、故障は殆ど発生しないものと考えられるため、設置時から数週間のデータでしきい値を決める方法は妥当と考えられる。しかし、設置済みの機器から得られるデータは、観測者から見た場合にばらついたデータとなるため、この方法を有効とするには、少なくともその変動要因の1つである機器の特性を熟知している必要があり、この方法を不特定多数の機器に適用してその故障を把握することは困難であった。
【0005】
この観点からすると、もう1つの方法は1年という長期間のデータでしきい値を決めており、上述した方法の問題点は改善されているといえる。しかし、しきい値の基準となる値を数回の平均値で求めているため、データのばらつきが考慮されておらず、また、故障判定のしきい値が因子データに対して1つしかない点も問題であった。すなわち、データがばらつく原因をすべて把握できない現状においては、しきい値を厳しく設定せざるを得ない。なぜならば、しきい値を甘く設定すれば誤判定を招く回数が増えるためで、結局のところ、実際に機器が故障した場合にしか判定できず、故障の診断は可能ではあっても確度の高い故障予知は困難であった。
【0006】
本発明は上記事情を考慮してなされたもので、その目的は不特定の機器の故障診断を可能にする機器管理装置を提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的は、故障予知をも可能にする機器管理装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1に係る機器管理装置は、被管理機器の運転状態を把握するための因子データを取得する因子データ取得手段と、
因子データ取得手段によって取得された因子データを蓄積するデータ記憶手段と、
データ記憶手段に蓄積された因子データの度数分布を求め、この度数分布の変域を統計諸量に従って複数のゾーンに区分けし、因子データ取得手段によって新たに取得された因子データがいずれのゾーンに属するかを判別する判別手段と、
判別手段によって判別された因子データが属するゾーンに応じて予め定められた判定条件に基づいて、被管理機器の不具合を判定する判定手段と、を備える。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。図1は本発明に係る機器管理装置を適用する被管理機器の配置図である。同図において、店舗1内には2台のオープンショーケース2及び3と、2台の冷蔵リーチイン4及び5と、冷凍リーチイン6とが2箇所に分けて配置されている。そして、店舗1の外にはそれらを冷却するための冷凍機7が設置されている。オープンショーケース2及び3にはそれぞれ庫内温度センサ2s及び庫内温度センサ3sa,3sb,3scが設けられ、冷蔵リーチイン4及び5には庫内温度センサ4s及び5sが、冷凍リーチイン6には庫内温度センサ6sがそれぞれ設けられており、これらのセンサが庫内状態情報伝達ケーブル8によって制御器10に接続されている。一方、店舗1の外に設置された冷凍機7には外気温センサ7sa、吐出し温度センサ7sb及び高圧センサ7scがそれぞれ設けられ、これらのセンサが冷凍機状態情報伝送ケーブル9によって同じく制御器10に接続されている。
【0010】
制御器10はマイクロコンピュータ(CPU)でなり、各種センサからの情報を取得して分析する機能を有し、この制御器10がローカルサーバーとしてルータ20に接続されている。ルータ20は異なったネットワーク、例えば、インターネットやPHSを接続するための装置で、ここに届いたパケットをどのネットワークに流すかの制御をするものである。
【0011】
図2は店舗内の各機器と店舗外の冷凍機とを接続して熱交換を行う冷凍サイクル図である。ここで、冷凍機7は圧縮機(実際には冷蔵用と冷凍用の2台でなるがここでは1台に纏めて表している)71、熱源側熱交換器74及び送風機75を備えている。オープンショーケース2は利用側熱交換器72aを備え、その一端が圧縮機71の吸いこみ側に接続され、その他端が電磁弁73aを介して熱源側熱交換器74の一端に接続されている。熱源側熱交換器74の他端は圧縮機71の吐出側に接続されている。また、オープンショーケース3も利用側熱交換器72bを備え、その一端が利用側熱交換器72aの一端と圧縮機71とを接続する配管に接続され、その他端が電磁弁73bを介して、利用側熱交換器72aが熱源側熱交換器74に接続する配管に接続されている。
【0012】
なお、図2では図示を省略した冷蔵リーチイン4及び5、並びに冷凍リーチイン6も利用側熱交換器72a,72bと略同様に接続された利用側熱交換器を備えている。そして、制御器10には、前述した外気温センサ7sa、吐出し温度センサ7sb、高圧センサ7sc、庫内温度センサ2s及び庫内温度センサ3sa,3sb,3scの他に、利用側熱交換器72aの温度を検出する熱交温度センサ2t、利用側熱交換器72bの温度を検出する熱交温度センサ3tが接続され、さらに、電磁弁73a、73bの状態を送信する信号線が接続されている。
【0013】
図3は制御器10の機能に着目した機能ブロック図である。この制御器10は上述した各センサの信号及び電磁弁の状態信号を取り込んでディジタル信号処理に好適なデータに変換するデータ入力部11と、これらのデータをその入力時刻毎に記憶させるデータ記憶部12と、このデータ記憶部12に記憶されたデータを不具合判別に用いる因子データに加工(時間変化率や複数の温度の差)して出力するフィルタ手段13と、このフィルタ手段13によって加工された因子データをその種類毎に記憶(集積)する統計諸量データ記憶手段14と、統計諸量データ記憶手段14に記憶された因子データ毎に度数分布を求め、さらに、この度数分布を複数のゾーンに区分し、フィルタ手段13によって新たに加工された因子データがどのゾーンに属するかを判別する判別手段15と、因子データの属するゾーンに対応して予め定めた判定条件に基づき、被管理機器の不具合を判定する判定手段16と、この判定手段16により不具合の可能性があると判定された場合に不具合率を算出する不具合率算出手段17と、判定手段16によって被管理機器が不具合と判定されたときに警報信号を出力する警報出力部18と、前述したルータ20を介して管理センターと送受信する外部入出力部19とを備えている。なお、上述した構成要素のうち、データ入力部11、データ記憶部12及びフィルタ手段13が本発明の因子データ取得手段に対応している。
【0014】
上記のように構成された本実施形態の動作について以下に説明する。図1に示した被管理機器の不具合としては種々のものがあるが、ここでは、オープンショーケース2又は3の除霜不良の不具合を診断する場合について、図4のタイムチャートをも参照して説明することとする。先ず、圧縮機71は矢印A方向に冷媒を循環させ、熱源側熱交換器74を凝縮器として機能させ、利用側熱交換器72a,72b,・・・を蒸発器として機能させることによってオープンショーケース2,3,・・・を冷却運転する。
【0015】
図4(a)はオープンショーケース2の運転中の圧縮機吐出温度Td、庫内温度Taの各変化状態を外気温度Toと併せて示した図であり、図4(b)は圧縮機71の動作、停止の状態を、図4(c)は電磁弁73aの開、閉状態を、図4(d)は蒸発器として機能する利用側熱交換器72aの温度Teの変化状態例をそれぞれ示した図である。ここで、圧縮機71の運転中、庫内温度Taは次第に低下する。オープンショーケース2の温度設定はサーモスタットを用いてTsに設定される。周知の如く、サーモスタットは動作温度と復帰温度とに差があり、温度上昇傾向のときにオン状態(又はオフ状態)になる上限値Ts1と、温度下降傾向の時にオフ状態(又はオン状態)になる下限値Ts2とを有し、これらの温度差を庫内温度制御のデファレンシャルという。
【0016】
そこで、庫内温度Taが下限値Ts2に下降すると電磁弁73aが閉止される。この冷凍サイクルにつながるすべてのショーケースの電磁弁が閉止されると、これに応じて圧縮機71も停止する。その後、庫内温度Taが上限値Ts1まで上昇すると電磁弁73aは開放され、これに応じて圧縮機71も駆動される。これ以降、同様な動作が繰り返される。なお、ショーケースでは利用側熱交換器についた霜を取る(除霜)ため、所定の運転時間ごとに一定の除霜時間だけ電磁弁73aを閉止し、ヒータに通電する等の除霜が行われる。なお、圧縮機71の停止期間においてその吐出温度は低下し、再起動によって上昇する。また、利用側熱交換器(蒸発器)72aの温度Teは圧縮機71の停止期間において上昇し、再起動によって下降する。なお、ショーケース3も同様の個別に動作を行なう。
【0017】
オープンショーケース2又は3の除霜不良とは、冷却運転中に利用側熱交換器(蒸発器)72aや72bに付着した霜が除霜運転では取りきれずに残る、いわゆる、残霜現象をいう。残霜が生じると次の冷却運転でさらに霜が成長し、そのまま運転を継続すると最後には全く冷却できずに庫内温度が上昇してしまい、庫内に保存した商品が傷んでしまうという問題につながる。この除霜不良の原因としては、除霜時間の誤設定、除霜ヒータのあるものについてはヒータの故障、除霜終了センサの故障等がある。しかし、除霜不良の可能性があることが分かれば、サービスマンはある程度、修理箇所の目安がつくため、迅速に対応することができ、大事に至る前に修復することが可能になる。
【0018】
一般に、除霜不良が発生すると、図4(a)に示したように、庫内温度Taが下降してデファレンシャルの上限値ts1から下限値Ts2に到達する時間ti=t1,t2,t3,…が長くなる。また、圧縮機71の起動から所定時間tsを経過した時点の吐出温度Tdと外気温度Toとの温度差ΔTiが小さくなる。さらに、庫内温度Taがサーモスタットがオフ状態になる温度Ts2に到達した時刻における利用側熱交換器72a(蒸発器)の温度Teは高くなる。本実施形態においては、庫内温度がTs1からTs2に低下するまでの温度低下時間ti、圧縮機71の起動から所定時間tsを経過した時点の吐出温度Tdと外気温度Toとの温度差ΔTi、サーモスタットがオフ状態になった時刻における利用側熱交換器72a(蒸発器)の温度Teのいずれか1つ又はこれらを組み合わせた複数を不具合判定に用いる因子データとする。以下、除霜不良に対する具体的な診断例について以下に説明する。
【0019】
(a)除霜不良に関する第1の診断例
データ入力部11は各センサの信号及び電磁弁の状態信号を、例えば、1分毎に取り込んで、ディジタル信号処理に好適なデータに変換する。変換されたデータは入力時刻に対応させてデータ記憶部12に時刻データとして記憶される。この場合の因子データは、庫内温度制御のデファレンシャルである上限値Ts1から下限値Ts2に低下するまでの温度低下時間tiのみを用いるものとする。
【0020】
そこで、フィルタ手段13は庫内温度がTs1に到達した時刻から冷凍サイクル機器の動作により庫内温度がTs2に低下するまでの時間tiをデータ記憶部12の時刻データから算出し、これを因子データとして統計諸量データ記憶手段14及び判別手段15に送る。統計諸量データ記憶手段14は最初の1週間ないし1か月程度の期間は、まずはフィルタ手段13から送られてくるデータの蓄積を行う。ある程度データが蓄積されると判別手段15による判定動作の機能が開始される。判定動作を開始した後も統計諸量データ記憶手段14はデータの蓄積を継続し、因子データに関する統計諸量データを更新していく。
【0021】
図5は算出された因子データの度数分布を示しており、データ数の増加に応じて統計処理可能な分布に近づく。判別手段15はこの度数分布に対して、統計諸量としての、例えば、平均値と標準偏差に基づいて、その中央部のグリーンゾーンG、その両側のイエローゾーンY、さらにその外側に大きく外れたレッドゾーンRでなる合計5つのゾーンに区分する。具体的には、第1のしきい値TH1を標準偏差の3倍(平均値±(3×標準偏差))の位置に、第2のしきい値TH2を標準偏差の2倍(平均値±(2×標準偏差))の位置に設定する。そして、第1のしきい値TH1を超えた領域をレッドゾーンRとし、第1のしきい値TH1と第2のしきい値TH2で挟まれた領域をイエローゾーンYとし、これ以外の平均値を含む中心部の領域をグリーンゾーンGとしている。主として、レッドゾーンRは不具合の診断を、イエローゾーンYは不具合の予知を受け持つ。そして、判別手段15は、フィルタ手段13で算出された因子データがどのゾーンに属するかを判定する。
【0022】
一方、判定手段16はそれぞれのゾーンに対応した不具合の判定条件を保持しており、例えば、イエローゾーンYでは、このゾーンに属する回数が5回になると不具合になるものと判定して不具合予知信号を不具合率算出手段17に出力し、レッドゾーンRではこのゾーンに属する回数が2回になった場合に不具合と判定して不具合信号を警報出力部18に出力する。一方、グリーンゾーンGに属すると判定された場合には正常な運転状態であって、この場合に不具合予知信号や不具合信号を出力することはない。このような判定は、因子データがレッドゾーンRに入る確率は、ばらつきを考慮しても約0.5%であるのに対して、イエローゾーンYに入る確率は5%であるため、このイエローゾーンYにおいては誤判定の可能性があることを考慮して判定条件を5回としている。
【0023】
判定手段16から不具合予知信号が与えられた不具合率算出手段17はゾーン分けに用いた平均値及び標準偏差に基づいて不具合であることの確率、すなわち、不具合率を算出して外部入出力部19に出力する。一方、判定手段16から不具合信号が与えられた警報出力部18は店舗内にて警報表示すると共に、不具合信号を外部入出力部19に出力する。外部入出力部19は不具合の警報信号、不具合の可能性及び不具合率をルータ20に出力し、図示省略の管理センターに通報する。
【0024】
かくして、除霜不良に関する第1の診断例によれば、複数のしきい値を統計学の観点から設定し、それぞれの領域に適切な判定方法を用いることにより、従来の曖昧なしきい値を用いる方法に比べて、不具合診断及び予知をより精度よく行うことができる。
【0025】
(b)除霜不良に関する第2の診断例
この場合、取得する因子データは2つで、上記の温度低下時間tiを主因子データとし、圧縮機71の起動から所定時間tsを経過後の吐出温度Tdと外気温度Toとの温度差ΔTiを補助因子として使用する。従って、フィルタ手段13は上述した主因子データtiの抽出に加え、圧縮機71の起動から所定時間ts後の吐出温度Tdと外気温度Toとをデータ記憶部12から読出し、温度低下時間tiと温度差ΔTiを算出し、統計諸量データ記憶手段14と判別手段15とに加える。この場合、2つの因子データを用いるため、それぞれの統計諸量に基づく度数分布が判別手段15によって区分けされ、最新に取得された因子データがそれぞれの度数分布のどのゾーンに属するかが判別され、その判別結果が判定手段16に送られる。
【0026】
判定手段16における判定条件として、主因子データtiが2回連続してレッドゾーンRに入っていると判定された場合には、補助因子データΔTiの属するゾーンに拘わらず、判定手段16は不具合と判定して不具合信号を警報出力部18に出力する。さらに、主因子データtiがイエローゾーンYにある場合であっても、補助因子データΔTiがレッドゾーンRにある場合には不具合と判定して不具合信号を警報出力部18に出力する。主因子データがグリーンゾーンGにある場合には不具合信号は出力しない。なお、温度低下の時間tiのデータは、温度低下速度=温度時間変化率である。
【0027】
かくして、除霜不良に関する第2の不具合診断例によれば、2つの因子データを用いることによって不具合診断をより精度よく行うことができる。
【0028】
(c)除霜不良に関する第3の診断例
この診断では、図示を省略するが、上述した平均値や標準偏差を含む統計諸量に基づいて、主因子データである温度低下時間tiの度数分布上の変域を7つのゾーンに分ける。すなわち、平均値に近いところからグリーンゾーンG(平均値±(1.5×標準偏差)範囲内)、イエローゾーンY(平均値±(1.5×標準偏差)〜平均値±(2×標準偏差)範囲内)、オレンジゾーンO(平均値±(2×標準偏差)〜平均値±(3×標準偏差)範囲内)、レッドゾーンR(平均値±(3×標準偏差)範囲外)とする。そして、補助因子データとして2つの因子データを使用する。第1の補助因子データは上述した温度差ΔTiで、第2の補助因子データは、庫内温度Taがサーモスタットがオフ状態になる温度Ts2に到達した時刻における利用側熱交換器72a(蒸発器)の温度Teiである。これらの補助因子データの統計分布上の領域分けは5つで、平均値に近いところからグリーンゾーンG、イエローゾーンY、レッドゾーンRとする。
【0029】
この場合の判定手段16の判定条件は、主因子データtiがレッドゾーンRに属している場合、第1の補助因子データΔTiがイエローゾーンY以上、すなわち、イエローゾーンY又はレッドゾーンRであるとき不具合と判定する。主因子データtiがオレンジゾーン(O)に属している場合、第1の補助因子データΔTi及び第2の補助因子データTeiの両方がイエローゾーンY以上である場合に不具合と判定する。主因子データtiがイエローゾーンYに属している場合、第1の補助因子データΔTi及び第2の補助因子データ温度Teiのいずれか一方がレッドゾーンRである場合に不具合と判定する。
【0030】
かくして、除霜不良に関する第3の診断例によれば、3つの因子データを用いることによって、不具合の診断精度をより高めることができる。
【0031】
上述した第1ないし第3の診断例における故障判定条件をまとめると下表のとおりである。
【表1】
【0032】
一方、図3に示す、外部入出力部17は、インターネットを経由して監視センターの監視装置(図示せず)に接続され、監視センター側で判定条件の変更が必要になった場合には、新たな判定条件を監視装置からローカルサーバーとしての制御器10に送信し、判定手段16に対して判定条件の置き換えを行う。また、監視装置は必要に応じて統計諸量データ記憶手段14からその時点の統計諸量のデータの送信要求を出力し、制御器10はこの要求を受けて統計諸量データ記憶手段14からその時点の各因子データの統計諸量データを外部入出力部17に出力し、外部入出力部17はそのデータを監視センターに送信する。
【0033】
監視センターの監視装置は、多数のローカルサーバーとしての制御部を監視対象としているため、各統計諸量データを吸い上げることで、不具合予知に関するデータの積み上げが可能となる。この結果、各因子データに基づく判定条件をより最適な条件へと見直してゆくことができる。見直した判定条件は上述した手順にて判定手段16に送信され、その更新がなされる。さらに、不具合予知に関するデータの積み上げによって、不具合の可能性及び不具合率を用いて、実際に不具合に至る月日を予測することも可能となる。また、度数分布の変域をゾーン分けする基準値を遠隔操作によって決定することも可能である。
【0034】
なお、上述した第1の診断例では不具合と診断する条件と、不具合の可能性である条件を設定して不具合と診断されたとき警報信号を出力し、不具合の可能性があると診断されたときその可能性及び不具合率を出力しているのに対して、第2及び第3の診断例では不具合を診断する条件のみで診断をしているが、不具合の可能性を診断する条件を随時設定して、その可能性に対してそれぞれ不具合率を算出して出力することも可能である。
【0035】
なおまた、上記の実施形態ではインターネットを経由してつながる監視センター内の遠隔監視装置を外部の出力先としたが、さらに、遠隔監視装置からサービスマンの所有する携帯端末(携帯電話等)にこの不具合の可能性及び算出された不具合率を通知しても良い。この場合、監視センターでは複数の被管理装置とつながっているため、機器管理装置はその所在地、機器の種類等を遠隔監視装置に通知し、登録しておく必要がある。所在地を登録しておけば遠隔監視装置は、最寄りのサービスマンを特定して指定できるため、不具合発生の前に迅速な対応が可能になる。
【0036】
ところで、上記の実施形態に係る機器管理装置は店舗のオープンショーケース等の除霜不良を診断対象としており、これらの除霜不良は機器の本質的な故障とは言えない場合があるため、敢えて「故障」という用語を用いずに「不具合」という用語を用いたが上述した発明を被管理機器の故障判別及び故障予知にも適用し得ることは言うまでもない。
【0037】
【発明の効果】
以上の説明によって明らかなように、本発明によれば、被管理機器の運転状態を把握するための因子データの取得及びその蓄積を行って度数分布を求め、この度数分布の変域を統計諸量に従って複数のゾーンに区分けし、新たに取得された因子データがいずれのゾーンに属するかを判別し、属するゾーンに応じて予め定められた判定条件に基づいて被管理機器の不具合を判定するようにしたので、不特定多数の機器の故障診断が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る機器管理装置を適用する被管理機器の配置図。
【図2】被管理機器として店舗内の各機器と店舗外の冷凍機とを接続して熱交換を行う冷凍サイクル図。
【図3】本発明の一実施形態に係る制御器の機能に着目した機能ブロック図。
【図4】図3に示した制御器の具体的動作を説明するために、オープンショーケースの庫内温度に関連する圧縮機の駆動停止、電磁弁の開閉、蒸発器の温度等を時間と関連付けて示したタイムチヤート。
【図5】図3に示した制御器の具体的動作を説明するために、因子データの度数分布及びその変域をゾーン分けした図。
【符号の説明】
1 店舗
2,3 オープンショーケース
7 冷凍機
10 制御器
11 データ入力部
12 データ記憶部
13 フィルタ手段
14 統計諸量データ記憶手段
15 判別手段
16 判定手段
17 不具合率算出手段
18 警報出力部
19 外部入出力部
Claims (3)
- 被管理機器の運転状態を把握するための因子データを取得する因子データ取得手段と、
前記因子データ取得手段によって取得された因子データを蓄積するデータ記憶手段と、
前記データ記憶手段に蓄積された因子データの度数分布を求め、この度数分布の変域を統計諸量に従って複数のゾーンに区分けし、前記因子データ取得手段によって新たに取得された因子データがいずれのゾーンに属するかを判別する判別手段と、
前記判別手段によって判別された因子データが属するゾーンに応じて予め定められた判定条件に基づいて、前記被管理機器の不具合を判定する判定手段と、
を備えた機器管理装置。 - 前記因子データ取得手段は複数種類の因子データを取得し、前記判別手段は因子データ毎に度数分布の変域を複数のゾーンに区分けし、新たに取得された因子データのそれぞれがいずれのゾーンに属するかを判別し、前記判定手段は特定の因子データに対するゾーン判別結果に対する不具合の判定条件に、他の因子データに対するゾーン判別結果を組み込んで判定する、請求項1に記載の機器管理装置。
- 前記判定手段による特定の因子データに対するゾーン判別結果に対する不具合の判定条件に、他の因子データに対するゾーン判別結果を組み込んで前記被管理機器の不具合を判定した結果、不具合の可能性があると判定された場合、それぞれの因子データの度数分布における発生確率を用いて不具合率を算出する不具合率算出手段と、
前記判定手段による不具合の可能性及び不具合率を外部に出力する出力手段と、
を備えた、請求項2に記載の機器管理装置。
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- 2003-07-18 JP JP2003198900A patent/JP2005037022A/ja active Pending
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