JP2005098633A - 二段圧縮機搭載低温機器診断装置、低温機器遠隔監視システム - Google Patents

二段圧縮機搭載低温機器診断装置、低温機器遠隔監視システム Download PDF

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Abstract

【課題】初期設定作業の負荷軽減、また不具合の原因解析の自動化を図る。
【解決手段】二段圧縮機搭載の冷凍・空調機器1の内部の各箇所に各種センサ2を取り付ける。管理装置4には、高圧圧力上昇検知、油圧圧力低下検知、冷媒不足検知、液ライン詰り検知、圧縮機容量制御電磁弁不良検知及び圧縮機用電磁接触器接点寿命検知の各アルゴリズムが予め搭載されている。管理装置4の状態情報入力部41は、各種センサ2が測定した圧力、温度等のセンサデータと、冷凍・空調機器1の制御回路が管理するフラグ情報を状態情報として入力する。故障診断処理部42は、各アルゴリズムを実行することにより冷凍・空調機器1において発生する変調を検知すると共に故障と判定したときに状態情報の値に基づきその原因の解析を自動的に行う。
【選択図】図1

Description

本発明は低温機器診断装置、特に二段圧縮機搭載低温機器の診断に便宜を図る装置に関する。
図11は、冷熱遠隔監視システムの構成図である。図11には、ある施設に設置された監視対象の冷凍・空調機器1、冷凍・空調機器1における冷媒回路の温度・圧力等を検出する各種センサ2、センサ2からの出力に対してA/D変換を行うA/D変換機3、センサデータの集積・演算・加工を行う管理装置4、事業所に設置された事業所端末6、管理装置4と事業所端末6との間で公衆回線を介して通信を行うために施設および事業所それぞれに設置された通信装置5a,5bが示されている。
以下、図12に示したフローチャートを用いて管理装置4の内部処理について説明する。
センサ2により検出された監視対象の冷凍・空調機器(以下、「監視対象機器」ともいう)1の各種データは、A/D変換機3でA/D変換された後に管理装置4に取り込まれる。管理装置4は、A/D変換された各種検出データ(以下、「センサデータ」)が取り込まれると(ステップ11)、不具合検出処理を開始する。監視対象機器1の不具合検出は、異常が検出されたときに作動を開始する保護装置の作動開始と保護装置作動に至る前の予兆(変調)に大別される。このうち、後者の変調検知処理は、監視対象機器1が比較的単純な構造の冷媒回路である単段圧縮機搭載空調機の場合、予め生成した故障診断アルゴリズムによる変調検知を行い(ステップ12)、もし、検知した内容に基づき故障と判断したときには推定原因の出力を自動的に行う(ステップ13,14)。一方、監視対象機器1が比較的複雑な構造の冷媒回路である二段圧縮機搭載低温機器の場合、センサデータ毎に比較する基準値等任意の数値を設定し、その基準値とセンサデータの大小比較によって変調検知を行う。但し、変調の原因の推定、出力は行わない。
管理装置4は、監視対象機器1の異常・変調を検知したときに該当する号機・系統の発生前後のセンサデータを保存する(ステップ15)。そして、管理装置4は、故障発生の旨を事業所端末6へ通報し(ステップ16)、その事業所端末6からのポーリング要求に応じて該当する故障情報を送信する(ステップ17)。これにより、事業所では、異常・変調発生前後のセンサデータの閲覧を行うことができる。
なお、冷凍・空調機器を遠隔により監視する冷凍空調装置の遠隔監視システムが特許文献1に、冷凍装置の各部の圧力と温度を検知することで故障診断を行い、保全作業が必要であることを冷凍装置の管理者に促す冷凍装置の故障診断装置が特許文献2にそれぞれ開示されている。
特開2002−106929号公報 特開平8−219601号公報
しかしながら、従来の冷熱遠隔監視システムにおいては、二段圧縮機搭載低温機器を監視対象とした場合、センサデータと比較する基準値等をセンサデータ毎に設定する必要があった。このため、初期設定作業に多大な時間を要していた。
また、従来においては、基準値等の設定により変調の検知は行うことができても、推定原因の自動解析を行う手段が設けられていなかったために、事業所端末上で監視者が異常・変調発生時のセンサデータを閲覧し、その発生した異常・変調の原因の解析作業を人為的に行う必要があった。これにより、推定原因の解析作業に人的負荷がかかり、またMTTRの短縮の障害となっていた。
本発明は以上のような問題を解決するためになされたものであり、その目的は、二段圧縮機搭載の低温機器を監視対象とした場合の初期設定作業の負荷軽減を図る二段圧縮機搭載低温機器診断装置を提供することにある。
また、不具合の原因解析を自動的に行うことのできる改良された二段圧縮機搭載低温機器診断装置を提供することにある。
以上のような目的を達成するために、本発明に係る二段圧縮機搭載低温機器診断装置は、二段圧縮機搭載の低温機器の診断装置において、前記低温機器に組み込まれる冷媒回路を構成する要素の運転状態並びに要素又は要素間に取り付けられたセンサ手段により検知された高段吐出温度、低段吐出温度、高段吸入温度、低段吸入温度又は要素間の中間圧力のうち少なくとも1つのセンサデータを状態情報として入力する入力手段と、前記入力手段に入力された状態情報に基づいて前記低温機器の変調を検知する変調検知手段と、前記変調検知手段が検知した変調に基づいて前記低温機器の故障原因を解析する故障診断処理手段とを有し、前記変調検知手段及び前記故障診断処理手段は、搭載された診断アルゴリズムを実行することで実現されることを特徴とする。
また、前記診断アルゴリズムは、高圧圧力上昇検知アルゴリズム、油圧圧力低下検知アルゴリズム、冷媒不足検知アルゴリズム、液ライン詰り検知アルゴリズム、圧縮機容量制御電磁弁不良検知アルゴリズム又は圧縮機用電磁接触器接点寿命検知アルゴリズムの少なくとも1つを含むことを特徴とする。
本発明に係る低温機器遠隔監視システムは、上記発明に係る低温機器診断装置と、前記低温機器を遠隔監視する監視装置と、前記低温機器診断装置が収集した状態情報を、前記監視装置へ送信する送信手段とを有することを特徴とする。
本発明によれば、二段圧縮機搭載低温機器特有若しくは二段圧縮機搭載低温機器の機種特有のパラメータが予め設定されたアルゴリズムを予め搭載しておくことで、二段圧縮機搭載低温機器の故障診断の都度、診断に必要なパラメータを人手により設定するという初期設定作業が不要となる。これにより、初期設定作業の負荷軽減並びに作業時間の短縮を図ることができる。
また、二段圧縮機搭載低温機器の変調を自動的に検知することができると共に推定原因解析を自動的に行うことができるので、高度な専門知識を有した監視者による人為的な原因解析作業が不要となる。これにより、故障の解析作業の負荷削減並びに解析結果の高精度の平準化を図ることができる。
以下、図面に基づいて、本発明の好適な実施の形態について説明する。
図1は、本発明に係る二段圧縮機搭載低温機器診断装置の一実施の形態を含む冷熱遠隔監視システムの全体構成図である。なお、従来例と同じ構成要素には同じ符号を付け説明を省略する。本実施の形態においては、管理装置4が本発明に係る二段圧縮機搭載低温機器診断装置に相当する手段であり、従来からの単段圧縮搭載空調機の故障診断アルゴリズム(推定原因解析機能を含む)に加えて、後述する二段圧縮機搭載低温機器対応の故障診断アルゴリズムを管理装置4に搭載したことを特徴としている。本実施の形態では、監視対象とする複数台の冷凍・空調機器1として、単段圧縮機搭載空調機と二段圧縮機搭載空調機とを混在させて構成することができるが、単段圧縮機搭載空調機に関しては従来技術をそのまま利用することにし、以降の説明では、特に断らない限り二段圧縮機搭載空調機(二段圧縮機搭載低温機器)に着目して説明する。
図1において、本実施の形態における管理装置4は、状態情報入力部41と故障診断処理部42を有している。状態情報入力部41は、低温機器である冷凍・空調機器1の各要素の運転状態と所定箇所に取り付けられたセンサ2からの信号を入力する。故障診断処理部42は、単段圧縮搭載空調機及び二段圧縮機搭載低温機器対応の推定原因解析機能を含む故障診断アルゴリズムを実行することによって冷凍・空調機器1から得た状態情報に基づき変調を検知し、その変調を検知した際に参照したセンサデータの値と基準値との大小比較により故障原因(故障箇所)を特定する故障診断を行う。故障診断アルゴリズムは、管理装置4に予め組み込まれているが、故障診断アルゴリズムの書換えをできるような構成を付加してもよい。
図2は、図1に示した冷凍・空調機器1のうち二段圧縮機搭載低温機器に相当する機器の主要部の概略的な冷媒回路図である。図2には、圧縮機容量制御電磁弁12aが取り付けられた二段圧縮機12、凝縮器14、ドライヤ16、液ライン電磁弁18、中間膨張弁20、過冷却器22、主膨張弁24、蒸発器26及びアキュームレータ28が示されており、これらの各要素12〜28は、図示したように冷媒配管30により接続されている。また、制御回路32は、機器全体の動作制御を行う制御手段であり、運転、異常、除霜、圧縮機容量制御電磁弁等に対応した各フラグをオン/オフすることで各要素12〜28の動作を制御する。このフラグ情報が管理装置4に送られる状態情報に含まれることになる。前述した冷凍・空調機器1を構成する要素12〜32自体は、従来の機器をそのまま利用することができる。そして、本実施の形態では、冷凍・空調機器1の以下に説明する位置に図1に示した各種センサ2を取り付ける。
すなわち、二段圧縮機12からの冷媒吐出位置における高段吐出温度と高圧圧力とを計測するために温度センサ2aと圧力センサ2bを取り付ける。また、凝縮器14における液温度を計測するために温度センサ2cを取り付ける。また、アキュームレータ28における低段吸入温度と低圧圧力とを計測するために温度センサ2dと圧力センサ2eを取り付ける。また、二段圧縮機12の油圧圧力を計測するために二段圧縮機12に油圧センサ2fを取り付ける。更に、二段圧縮機12の内部における低段の吐出温度を計測するために温度センサ2gを取り付ける。一方、二段圧縮機12の内部における高段の吸入温度と中間圧力とを計測するために温度センサ2hと圧力センサ2iを取り付ける。また、制御回路32は、前述した各フラグを電気回路のリレー信号により実現しているので、このリレー信号のうち特に圧縮機12の運転制御用リレー信号の電流と電圧を計測するための電流センサ2jと電圧センサ2kとを制御回路32に取り付ける。なお、各センサ2の取付ポイントは、上記箇所に限定するものではなく、図4に示すように上記以外の箇所に必要に応じて取り付ける。
次に、本実施の形態における動作について説明する。
図3は、本実施の形態における管理装置4の内部処理を示すフローチャートである。なお、冷凍・空調機器1の変調を検知するため、管理装置4は、通常、センサデータを含む状態情報が取り込まれると、そのセンサデータに基づき変調を検知し故障診断を行うことになるが、本実施の形態では、各冷凍・空調機器1に対して行う故障診断の実行タイミングは、監視対象の各冷凍・空調機器1に対して順番にサイクリックに行うようにする。もちろん、この実行タイミングに限定する必要はない。どのタイミングでどの冷凍・空調機器1を故障診断とするかについては冷凍・空調機器1のやセンサ2の数、冷凍・空調機器1の優先度、あるいは管理装置4の性能等によって適宜決めればよい。
図3において、いずれかの冷凍・空調機器1からA/D変換機3を介してセンサデータ群が取り込まれると(ステップ21)、管理装置4は、そのデータ発信元となった冷凍・空調機器1が単段圧縮搭載空調機の場合は単段圧縮搭載空調機用の故障診断アルゴリズムに基づき変調を検知し、更に故障と判断したときにはその原因の解析処理を自動実行することで故障診断を行う(ステップ22,23)。なお、ステップ23における処理は、図12のステップ12〜14に相当する。一方、データ発信元となった冷凍・空調機器1が二段圧縮機搭載低温機器の場合は本実施の形態の特徴とする二段圧縮機搭載低温機器用の故障診断アルゴリズムに基づき変調を検知し、更に故障と判断したときにはその原因の解析処理を自動実行することで故障診断を行う(ステップ22,24)。なお、センサデータには、データ送信元となる冷凍・空調機器1の機種を特定できる識別情報が含まれていることから、管理装置4は、この識別情報に基づき単段圧縮機搭載若しくは二段圧縮機搭載の別、更には冷凍・空調機器1の機種を識別することができる。
そして、管理装置4は、診断アルゴリズムの実行により監視対象機器1に故障有りと判断したときには、その監視対象機器1の号機・系統の発生前後のセンサデータ並びに推定原因の解析結果を故障情報として保存する(ステップ25,26)。そして、管理装置4は、故障発生の旨を事業所端末6へ通報し(ステップ27)、その事業所端末6からのポーリング要求に応じて該当する故障情報を送信する(ステップ28)。これにより、事業所では、故障情報を参照することによって故障発生の有無のみならず、その故障発生箇所、診断アルゴリズムによる解析処理により得られた故障原因を閲覧することができる。
ここで、本実施の形態において用意した二段圧縮機搭載低温機器用の故障診断アルゴリズムについて説明する。
本実施の形態では、診断アルゴリズムのパラメータとして、二段圧縮機12にしかない中間圧力、高段吐出温度、低段吐出温度、高段吸入温度及び低段吸入温度等をセンサデータとして新たに取り込み、また、新たに取り込んだ中間圧力と高段吸入温度に基づいて中間過熱度を演算により求める仕様とした。そして、これらのセンサデータ(中間過熱度も便宜上、センサデータに含めて説明することにする)に基づいて二段圧縮機搭載の冷凍・空調機器1の故障診断を行うことになるが、本実施の形態における故障診断アルゴリズムは、二段圧縮機搭載冷凍・空調機器1の特性を基に専用に設計した高圧圧力上昇検知、油圧圧力低下検知、冷媒不足検知、液ライン詰り検知、圧縮機容量制御電磁弁不良検知及び圧縮機用電磁接触器接点不良検知の6種類の診断アルゴリズムで構成されており、前述した1乃至複数のセンサデータを用いて変調を検知して故障診断を行い、更には故障と判断したときにはその故障の原因を解析する。
後述する6種類の各診断アルゴリズムは、6種類の変調検知それぞれに特化しているため、診断アルゴリズムのパラメータとして入力されるセンサデータと比較する基準値(閾値)は、診断アルゴリズム内に予め組み込まれている。従って、本実施の形態では、従来と異なり二段圧縮機搭載低温機器の診断の際に各基準値を設定する必要がない。なお、基準値は、二段圧縮機搭載の冷凍・空調機器1に特化しているとは言っても性能、特性等によって機種により異なってくる場合もある。この場合、機種に依存する基準値は、組み込む機種に対応させて診断アルゴリズム内に設定しておく必要がある。
図4は、各診断アルゴリズムが参照するセンサデータを示したテーブルである。このテーブルには、更に選択項目、検出項目、判断基準が示されている。選択項目は、冷凍・空調機器1の機種により異なってくる仕様である。検出項目は、各診断アルゴリズムが検出する診断項目である。
以下、各診断アルゴリズムについて説明していくが、まず、最初に高圧圧力上昇検知アルゴリズムについて図5に示したフローチャートを用いて説明する。
管理装置4は、センサデータとして取り込まれた圧縮機フラグにより二段圧縮機12の運転状態が“運転”であり、かつ除霜フラグにより通常状態(未除霜)であると認識すると(ステップ101,102)、圧力センサ2bにより測定された高圧圧力が基準値より高いか否かを判定する。なお、監視対象機器の機種が空冷の場合の基準値は2.0MPa、水冷の場合の基準値は1.7MPaとする(ステップ103〜105)。ここで、空冷の場合において高圧圧力が基準値以上の場合を変調の検知とし、この場合の故障の原因を冷却中高圧上昇と判定する(ステップ106)。水冷の場合においても同様に高圧圧力が基準値以上の場合を変調の検知とするが、ここでは更に算術平均温度差(MTD)が15deg℃以上であれば故障の原因を熱交汚れ(冷却中)と判定し(ステップ107,108)、算術平均温度差が15deg℃より小さければ故障の原因をその他(冷却中)と判定する(ステップ109)。なお、空冷、水冷共に高圧圧力が基準値より低い場合は故障無しを判定する(ステップ112)。
また、二段圧縮機12の運転状態が“運転”であり、かつ除霜フラグにより除霜状態であると認識すると(ステップ101,102)、圧力センサ2bにより測定された高圧圧力が各冷凍・空調機器1の機種に依存する基準値以上の場合を変調の検知とし、この場合の故障の原因を除霜中高圧上昇と判定する(ステップ110,111)。高圧圧力が基準値より低い場合は故障無しを判定する(ステップ112)。
更に、二段圧縮機12の運転状態が“運転”でないとき、すなわち停止しているときには故障無しを判定する(ステップ112)。
なお、上記説明においては、本アルゴリズム実行時に瞬間的に基準値以上になったときには故障と判断してしまうことになり、このような瞬間的に発生した変調により故障とする診断結果が必ずしも適切でない場合もあり得る。上記説明した高圧圧力上昇検知アルゴリズムは、この場合に該当する。本実施の形態では、アルゴリズムを1分周期で行うことにし、上記いずれの事象も15分連続して基準値以上となってはじめて変調を検知したことにしている。この15分というのは、15分連続して同じ事象が継続したのだから一時的な現象ではないと判断するのに妥当な時間として設定した時間的条件である。従って、各冷凍・空調機器1の機種によって性能や耐久性等の諸条件が異なってくるであろうから、機種に応じて適切な時間的条件を設定すればよい。後述する各アルゴリズムにおいても特に断らない限り、本アルゴリズムと同様に1分周期でアルゴリズムを繰り返し実行し、それぞれに設定した時間的条件に該当してはじめて変調を検知したとする。
次に、油圧圧力低下検知アルゴリズムについて図6に示したフローチャートを用いて説明する。
管理装置4は、センサデータとして取り込まれた圧縮機フラグにより二段圧縮機12の運転状態が“運転”であると認識すると(ステップ201)、二段圧縮機12のクランク室の圧力が中間圧力である機種の場合(ステップ202)、油圧−中間圧が基準値である0.2MPa以下の場合を変調の検知とし、この場合の故障の原因を油圧低下と判定する(ステップ203,204)。油圧−中間圧が基準値より大きければ、故障無しと判定する(ステップ206)。
一方、二段圧縮機12のクランク室の圧力が低圧圧力である機種の場合(ステップ202)、油圧−低圧が基準値である0.2MPa以下の場合を変調の検知とし、この場合の故障の原因を油圧低下と判定する(ステップ205,204)。油圧−低圧が基準値より大きければ、故障無しと判定する(ステップ206)。
油圧圧力低下検知アルゴリズムにおける時間的条件としては、圧縮機運転開始から2分経過後より検知処理を開始し、10分連続して基準値以下となってはじめて変調を検知したとする。
次に、冷媒不足検知アルゴリズムについて図7に示したフローチャートを用いて説明する。
管理装置4は、センサデータとして取り込まれた圧縮機フラグにより二段圧縮機12の運転状態が“運転”であり、かつ除霜フラグにより通常状態(未除霜)であると認識すると(ステップ301,302)、演算により求めた中間過熱度(中間SH:高段吸入温度−中間圧力相当飽和温度)が機種に依存した基準値以上であるか否かを判定する(ステップ303)。中間過熱度が基準値以上の場合においてモーターフレーム温度が機種に依存した基準値以上である場合、冷媒不足(大)として変調を検知する(ステップ304,305)。一方、中間過熱度が基準値以上であるもののモーターフレーム温度が基準値に達していないときには冷媒不足(小)として変調を検知する(ステップ304,306)。また、中間過熱度が基準値より小さければ、故障無しと判定する(ステップ307)。また、二段圧縮機12の運転状態が“運転”であっても除霜フラグにより除霜状態である場合(ステップ302)、また、二段圧縮機12の運転状態が“運転”でない場合も(ステップ301)、故障無しと判定する(ステップ307)。
冷媒不足検知アルゴリズムにおける時間的条件としては、圧縮機運転開始から5分経過後より検知処理を開始し、いずれの事象も10分連続して基準値により達しなかったときにはじめて変調を検知したとする。
次に、液ライン詰り検知アルゴリズムについて図8に示したフローチャートを用いて説明する。
管理装置4は、センサデータとして取り込まれた圧縮機フラグにより二段圧縮機12の運転状態が“運転”であり、かつ除霜フラグにより通常状態(未除霜)であると認識すると(ステップ401,402)、演算により求めた中間過熱度が機種に依存した基準値以下であるか否かを判定する(ステップ403)。中間過熱度が基準値以下の場合において低圧圧力が機種に依存した基準値以下である場合、液ライン電磁弁、ドライや詰りあるいは膨張弁不良のいずれかとして変調を検知する(ステップ404,405)。また、低圧圧力が基準値より大きい場合(ステップ404)、中間過熱度が基準値より大きい場合(ステップ403)、二段圧縮機12の運転状態が“運転”であっても除霜フラグにより除霜状態である場合(ステップ402)、あるいは二段圧縮機12の運転状態が“運転”でない場合(ステップ401)は、それぞれ故障無しと判定する(ステップ406)。液ライン詰りアルゴリズムにおける時間的条件としては、瞬時検出とする。
次に、圧縮機容量制御電磁弁不良検知アルゴリズムについて図9に示したフローチャートを用いて説明する。
管理装置4は、センサデータとして取り込まれた圧縮機フラグにより二段圧縮機12の運転状態が“運転”であり、かつ除霜フラグにより通常状態(未除霜)であると認識すると(ステップ501,502)、高圧圧力が機種に依存した基準値以下であるか否かを判定する(ステップ503)。高圧圧力が基準値以下の場合において、電流センサ2jにより計測された圧縮機運転電流が機種に依存した基準値以下である場合、圧縮機容量制御電磁弁不良として変調を検知する(ステップ504,505)。また、圧縮機運転電流が基準値より大きい場合(ステップ504)、高圧圧力が基準値より大きい場合(ステップ503)、二段圧縮機12の運転状態が“運転”であっても除霜フラグにより除霜状態である場合(ステップ502)、あるいは二段圧縮機12の運転状態が“運転”でない場合(ステップ501)は、それぞれ故障無しと判定する(ステップ506)。圧縮機容量制御電磁弁不良検知アルゴリズムにおける時間的条件としては、15分連続して変調(ステップ505)を検知したとする。
次に、圧縮機用電磁接触器接点寿命検知アルゴリズムについて図10に示したフローチャートを用いて説明する。
冷凍・空調機器1の制御回路32は、二段圧縮機12の電磁接触器接点が電気的に接続されることによって電力が供給され電気モータが回転し始めたことを検知すると、圧縮機フラグをオンにする。一方、二段圧縮機12の電磁接触器接点が切り離されることにより電気モータの停止を検知すると、圧縮機フラグをオフにする。管理装置4は、センサデータとして取り込まれた圧縮機フラグがオフからオンに切り替えられた回数を積算しておくことで、二段圧縮機12の運転状態の運転/停止の運転開始回数を監視する。そして、その積算した回数が機種に依存した圧縮機発停回数に達した場合、二段圧縮機12の運転/停止の度に物理的に切り替えられる二段圧縮機12の電磁接触器の接点部分の使用限界に達したとみなして、圧縮機用電磁接触器接点寿命として変調を検知する(ステップ601,602)。もし、積算した回数が圧縮機発停回数に達していなければ、故障無しを判定する(ステップ603)。圧縮機用電磁接触器接点寿命検知アルゴリズムにおける時間的条件としては、瞬時検出とする。
本実施の形態によれば、二段圧縮機搭載低温機器特有若しくは二段圧縮機搭載低温機器の機種特有のパラメータが予め設定されたアルゴリズムを管理装置4に予め搭載しておくことで、二段圧縮機搭載低温機器の故障診断の都度、診断に必要なパラメータを人手により設定するという初期設定作業が不要となる。仮に、6種類のアルゴリズム全てを診断項目とせずにいくつかを選択するようなときでも、アルゴリズムの実行の是非を設定するだけでよく、パラメータの設定は不要であるため設定作業の負荷を軽減できる。特に、本実施の形態のように、冷凍・空調機器1を遠隔から監視する冷熱遠隔監視システムの場合、初期設定作業が不要となることは、冷凍・空調機器1の監視に先立ち的確なかつ迅速な準備を行うことができる。
本発明に係る二段圧縮機搭載低温機器診断装置の一実施の形態を含む冷熱遠隔監視システムの全体構成図である。 本実施の形態における二段圧縮機搭載低温機器の主要部の概略的な冷媒回路図である。 本実施の形態における管理装置の内部処理を示すフローチャートである。 本実施の形態において各診断アルゴリズムが参照する状態情報が設定されたテーブルを示した図である。 本実施の形態における高圧圧力上昇検知アルゴリズムを示したフローチャートである。 本実施の形態における油圧圧力低下検知アルゴリズムを示したフローチャートである。 本実施の形態における冷媒不足検知アルゴリズムを示したフローチャートである。 本実施の形態における液ライン詰り検知アルゴリズムを示したフローチャートである。 本実施の形態における圧縮機容量制御電磁弁不良検知アルゴリズムを示したフローチャートである。 本実施の形態における圧縮機用電磁接触器接点寿命検知アルゴリズムを示したフローチャートである。 従来の冷熱遠隔監視システムの構成図である。 従来の管理装置の内部処理を示すフローチャートである。
符号の説明
1 冷凍・空調機器(監視対象機器)、2,2a〜2k 電圧センサ、3 変換機、4 管理装置、5a,5b 通信装置、6 事業所端末、12 二段圧縮機、12a 圧縮機容量制御電磁弁、14 凝縮器、15 ステップ、16 ドライヤ、18 液ライン電磁弁、20 中間膨張弁、22 過冷却器、24 主膨張弁、26 蒸発器、28 アキュームレータ、30 冷媒配管、32 制御回路、41 状態情報入力部、42 故障診断処理部。

Claims (3)

  1. 二段圧縮機搭載の低温機器の診断装置において、
    前記低温機器に組み込まれる冷媒回路を構成する要素の運転状態並びに要素又は要素間に取り付けられたセンサ手段により検知された高段吐出温度、低段吐出温度、高段吸入温度、低段吸入温度又は要素間の中間圧力のうち少なくとも1つのセンサデータを状態情報として入力する入力手段と、
    前記入力手段に入力された状態情報に基づいて前記低温機器の変調を検知する変調検知手段と、
    前記変調検知手段が検知した変調に基づいて前記低温機器の故障原因を解析する故障診断処理手段と、
    を有し、
    前記変調検知手段及び前記故障診断処理手段は、搭載された診断アルゴリズムを実行することで実現されることを特徴とする低温機器診断装置。
  2. 請求項1に記載の低温機器診断装置において、
    前記診断アルゴリズムは、高圧圧力上昇検知アルゴリズム、油圧圧力低下検知アルゴリズム、冷媒不足検知アルゴリズム、液ライン詰り検知アルゴリズム、圧縮機容量制御電磁弁不良検知アルゴリズム又は圧縮機用電磁接触器接点寿命検知アルゴリズムの少なくとも1つを含むことを特徴とする低温機器診断装置。
  3. 請求項1又は2に記載の低温機器診断装置と、
    前記低温機器を遠隔監視する監視装置と、
    前記低温機器診断装置が収集した状態情報を、前記監視装置へ送信する送信手段と、
    を有することを特徴とする低温機器遠隔監視システム。
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