JP2005036223A - 重合性組成物およびその硬化物 - Google Patents

重合性組成物およびその硬化物 Download PDF

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JP2005036223A JP2004196461A JP2004196461A JP2005036223A JP 2005036223 A JP2005036223 A JP 2005036223A JP 2004196461 A JP2004196461 A JP 2004196461A JP 2004196461 A JP2004196461 A JP 2004196461A JP 2005036223 A JP2005036223 A JP 2005036223A
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Keisuke Ota
啓介 太田
Kazufumi Kai
和史 甲斐
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Abstract

【課題】 広い用途(例えば、電子デバイス用部材、各種ポリマーの架橋剤、塗料、コーティング、接着剤、シーリング材等)に利用可能であり、且つ、重合開始剤を使用することなく熱で硬化させることが可能な重合性組成物およびその硬化物を提供する。
【解決手段】 一般式(1)で表される重合性化合物(a)を、重合性組成物に含有させる。
一般式(1)
【化1】
Figure 2005036223

(一般式(1)において、R1〜R5のうち少なくとも一つは一般式(2)で表される基であり、それ以外のR1〜R5は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルケニルオキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アラルキル基、またはアラルキルオキシ基を表す。)
一般式(2)
【化2】
Figure 2005036223

(一般式(2)において、R6〜R8はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜炭素数4のアルキル基を表す。)
【選択図】 なし

Description

本発明は、各種ポリマーの架橋剤、塗料、コーティング、接着剤、シーリング材等に利用可能な、ラジカル重合性に優れ、光や熱で硬化させることができる重合性化合物、重合性組成物およびその硬化物に関する。
(メタ)アクリレート化合物、フマレート化合物、マレート化合物等の重合性化合物は、幅広い分野(例えば、電子材料、塗料、接着剤、コーティング材等)で利用されている。
近年、重合性化合物の用途が更に拡大され、従来よりも更に厳しい品質が重合性化合物ないし重合性組成物に対して要求される場合が生じて来るようになった。例えば、重合性化合物ないし重合性組成物が使用される材料の精密化に伴い、電子デバイス関連分野等において、低硬化温度、硬化塗膜からの溶出物を極力低減することが課題となってきている。このような硬化物からの溶出物レベルの低減化に寄与することが可能な手法の一つとして、熱をかけることなく硬化させる方法たるUV(紫外線)やEB(電子ビーム)等の光を用いた光硬化がある。
この光硬化の分野においては、ビニルエーテル化合物と、マレイミド化合物を組み合わせることにより、重合開始剤を使用することなしに硬化させることが開示されている(特許文献1参照)。この方法によれば、重合開始剤を使用することなく硬化させることができるため、硬化塗膜からの溶出物を少なくすることができる。
他方、熱硬化の分野においては、重合開始剤を使用することなく、低い硬化温度で優れた硬化膜を得ることが、従来は困難であった。
最近、スチリル基を有する化合物が、ビニルエーテル化合物と同様にフマル酸エステルやマレイン酸エステル、またはマレイミドと優れた共重合性を示し、接着剤組成物として使用できることが知られている(特許文献2参照)。しかしながら、この方法を用いたとしても、重合開始剤を使用することなしに硬化膜を得ることは困難であった。
特開2002−80509号公報 特開2002−60364号公報
本発明の目的は、上記した従来技術の欠点を解消することができる重合性組成物およびその硬化物を提供することにある。
本発明の目的は、広い用途(例えば、電子デバイス用部材、各種ポリマーの架橋剤、塗料、コーティング、接着剤、シーリング材等)に利用可能であり、且つ、重合開始剤を使用することなく熱で硬化させることが可能な重合性組成物およびその硬化物を提供することにある。
本発明者らは鋭意研究の結果、特定の構造を有する重合性化合物を重合性組成物に含有させることが、上記課題の解決に極めて効果的なことを見出した。
すなわち、本発明(I)は、一般式(1)で表される部分構造を有する重合性化合物(a)を含む重合性組成物である。
一般式(1)
Figure 2005036223
(一般式(1)において、R1〜R5のうち少なくとも一つは下記一般式(2)で表される基であり、それ以外のR1〜R5はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルケニルオキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アラルキル基、またはアラルキルオキシ基を表す。)
一般式(2)
Figure 2005036223
(一般式(2)において、R6〜R8はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜炭素数4のアルキル基を表す。)
また、本発明(II)は、本発明(I)の重合性組成物を硬化してなる硬化物である。
更に、本発明は、例えば以下の事項を含む。
〔1〕一般式(1)で表される部分構造を有する重合性化合物(a)を含む重合性組成物。
一般式(1)
Figure 2005036223
(一般式(1)において、R1〜R5のうち少なくとも一つは一般式(2)で表される基であり、それ以外のR1〜R5は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルケニルオキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アラルキル基、またはアラルキルオキシ基を表す。)
一般式(2)
Figure 2005036223
(一般式(2)において、R6〜R8はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜炭素数4のアルキル基を表す。)
〔2〕成分(a)を1質量%〜50質量%含む〔1〕に記載の重合性組成物。
〔3〕請求項1または請求項2に記載の重合性組成物において、他の重合性化合物が(b)〜(e)の少なくとも一種類である〔1〕または〔2〕のいずれかに記載の重合性組成物。
(b)不飽和多塩基酸、不飽和多塩基酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも一種類と、多価アルコールとを反応して得られる不飽和ポリエステル。
(c)(メタ)アクリロリル基を一分子内に2個以上有する(メタ)アクリレート化合物。
(d)フマル酸エステル構造、および/又はマレイン酸エステル構造を有する重合性化合物。
(e)エチレン性重合性単量体。
〔4〕成分(a)において、一般式(1)で表される構造が一分子内に3個以上有する〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の重合性組成物。
〔5〕成分(a)が一般式(3)である〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の重合性組成物。
一般式(3)
Figure 2005036223
(一般式(3)において、R9〜R23のうち少なくとも一つは一般式(2)で表される基であり、それ以外のR9〜R23はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルケニルオキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アラルキル基、またはアラルキルオキシ基を表す。)
一般式(2)
Figure 2005036223
(一般式(2)において、R6〜R8はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜炭素数4のアルキル基を表す。)
〔6〕成分(a)が一般式(4)である〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の重合性組成物。
一般式(4)
Figure 2005036223
(一般式(4)において、R24〜R53のうち少なくとも一つは一般式(2)で表される基であり、それ以外のR24〜R53はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルケニルオキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アラルキル基、またはアラルキルオキシ基を表す。)
一般式(2)
Figure 2005036223
(一般式(2)において、R6〜R8はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜炭素数4のアルキル基を表す。)
〔7〕成分(a)が一般式(5)である〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の重合性組成物。
一般式(5)
Figure 2005036223
(一般式(5)において、R54〜R73のうち少なくとも一つは一般式(2)で表される基であり、それ以外のR54〜R73はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルケニルオキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アラルキル基、またはアラルキルオキシ基を表す)。
一般式(2)
Figure 2005036223
(一般式(2)において、R6〜R8はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜炭素数4のアルキル基を表す。)
〔8〕(c)が、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、およびトリメチロールプロパン(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる一種類以上の化合物である〔3〕〜〔7〕のいずれかに記載の重合性組成物。
〔9〕(d)が、一分子内にフマル酸エステル構造、および/又はマレイン酸エステル構造とアルケニルオキシ基を有する〔3〕〜〔8〕のいずれかに記載の重合性組成物。
〔10〕(d)が、下記一般式(6)で表される構造を有する化合物である〔3〕〜〔9〕のいずれかに記載の重合性組成物。
一般式(6)
Figure 2005036223
(一般式(6)において、R74はそれぞれ独立に、一般式(7)または一般式(8)を表し、X1はそれぞれ独立に2個〜6個の水酸基を有する炭素数2〜炭素数30の多価アルコールから誘導された有機残基を表す。Y1はそれぞれ独立に構造式(1)または構造式(2)を表す。X2はそれぞれ独立に炭素数1〜炭素数4のアルキレン鎖を表す。n2は1〜10の整数を表し、n3は0〜1の整数を表す。)
一般式(7)
Figure 2005036223
(一般式(7)において、R75、R76はそれぞれ独立に水素原子または炭素数1〜炭素数5のアルキル基を表す。)
一般式(8)
Figure 2005036223
(一般式(8)において、R77は水素原子または炭素数1〜炭素数6のアルキル基を表す。)
構造式(1)
Figure 2005036223
構造式(2)
Figure 2005036223
〔11〕一般式(6)で表される基を有する化合物におけるX1がそれぞれ独立に、アルキレンジオールの残基、脂環式ジオールの残基、芳香族ジオールの残基、または一般式(9)で表される〔10〕に記載の重合性組成物。
一般式(9)
Figure 2005036223
(R78、R79はそれぞれ独立に水素原子、または一般式(10)を表し、少なくとも一方は一般式(10)である。)
一般式(10)
Figure 2005036223
(一般式(10)において、R80は塩素原子、臭素原子、フッ素原子、水素原子または炭素数1〜炭素数3のアルキル基を表す。)
〔12〕〔1〕〜〔11〕のいずれかに記載の重合性組成物を100質量部、およびラジカル重合開始剤を0.01質量部〜15質量部含有することを特徴とする重合性組成物。
〔13〕〔1〕〜〔12〕のいずれかに記載の重合性組成物を硬化してなる硬化物。
上述したように、本発明の重合性組成物は、比較的低温度で優れた重合性を有しており、特に重合開始剤を使用することなく重合させることが可能である。これにより、硬化塗膜からの溶出物を嫌う電子デバイス等への応用が期待できる。
以下、必要に応じて図面を参照しつつ本発明を更に具体的に説明する。以下の記載において量比を表す「部」および「%」は、特に断らない限り質量基準とする。
(本発明(I))
まず、本発明(I)について説明する。本発明(I)は一般式(1)で表される基を有する重合性化合物を含む重合性組成物である。
一般式(1)
Figure 2005036223
(一般式(1)において、R1〜R5のうち少なくとも一つは下記一般式(2)で表される基であり、それ以外のR1〜R5はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルケニルオキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アラルキル基、またはアラルキルオキシ基を表す。)
一般式(2)
Figure 2005036223
(一般式(2)において、R6〜R8はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜炭素数4のアルキル基を表す。)
1〜R5のうち少なくとも一つは下記一般式(2)で表される基であり、それ以外のR1〜R5はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルケニルオキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アラルキル基、またはアラルキルオキシ基を表す。具体例としては、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基、プロピル基、iso−プロピル基等のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基等のアルケニル基;ビニルオキシ基、アリルオキシ基、1−プロペニルオキシ基等のアルケニルオキシ基;フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、フルオレン基等のアリール基;フェノキシ基等のアリールオキシ基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基等のアラルキルオキシ基;等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
一般式(2)におけるR6〜R8は、重合性の点で、R6〜R8のうち一つがメチル基で残りは水素原子が好ましく、全て水素原子が最も好ましい。
一般式(1)で表される基を有する重合性化合物において、一般式(1)で表される基の分子内における個数は、特に制限されない。硬化物の物性という点では、好ましくは2つ以上であり、更に好ましくは3つ以上である。
(具体的な例)
一般式(1)で表される基を有する化合物の具体的な例としては、構造式(3)〜構造式(10)に示す化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
構造式(3)
Figure 2005036223
構造式(4)
Figure 2005036223
構造式(5)
Figure 2005036223
構造式(6)
Figure 2005036223
構造式(7)
Figure 2005036223
構造式(8)
Figure 2005036223
構造式(9)
Figure 2005036223
構造式(10)
Figure 2005036223
(製造方法)
一般式(1)で表される基を有する化合物の製造方法は特に制限されないが、以下の方法を用いることが好ましい。
一般式(1)で表される基を有する化合物の好適な一製造方法は、以下に示すA)、B)の二つの工程に分けることができる。即ち、
A)一般式(1)で表されるアリールアミン構造を形成する工程;
B)アリールアミン構造のアリール基にビニル基を導入する工程;の二工程である。
この二つの工程は、任意の順序で行っても良い。すなわち、A)の工程によりアリールアミン構造を形成した後にB)の工程によりビニル基を導入しても良く、または、B)の工程によりアリール化合物にビニル基を導入した後に、A)の工程によりアリールアミン構造を形成しても良い。反応中において、ビニル基重合の副反応を抑制しつつ、目的化合物の合成が容易であるという点からは、A工程の後にB工程を行う方が好ましい。
((A)の工程)
まず、A)の工程について説明する。
一般式(1)で示される構造を有する化合物の合成は、例えば相当するアミン化合物と相当するハロゲン化化合物との縮合反応により合成することができる。例えば、構造式(11)で示される化合物であれば、構造式(12)で表されるアミン化合物と、一般式(11)で表されるハロゲン化化合物との縮合により合成することができる。
構造式(11)
Figure 2005036223
構造式(12)
Figure 2005036223
一般式(11)
Figure 2005036223
(一般式(11)において、Halは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子から選ばれる原子を表す。)
同様に、一般式(12)で表される化合物であれば、構造式(13)で表されるアミン化合物と一般式(13)で表されるハロゲン化化合物から合成することができる。また、構造式(14)で表される化合物であれば、構造式(13)で表されるアミン化合物と一般式(14)で表されるハロゲン化化合物から合成することができる。
一般式(12)
Figure 2005036223
(一般式(12)において、n2は1〜3の整数を表す。)
構造式(13)
Figure 2005036223
一般式(13)
Figure 2005036223
(一般式(13)において、n3は1〜3の整数を表す。Halは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子から選ばれる原子を表す。)
構造式(14)
Figure 2005036223
構造式(13)
Figure 2005036223
一般式(14)
Figure 2005036223
(Halは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子から選ばれる原子を表す)。
(分子内に一つの一級アミン構造を有する化合物)
工業的に入手が容易なアミン化合物のうち、分子内に一つの一級アミン構造を有する化合物としては、アニリン、o−アニシジン、m−アニシジン、p−アニシジン、o−アミノアセトアニリド、m−アミノアセトアニリド、p−アミノアセトアニリド、o−アミノ安息香酸、m−アミノ安息香酸、p−アミノ安息香酸、o−アミノ安息香酸エチルエステル、m−アミノ安息香酸エチルエステル、p−アミノ安息香酸エチルエステル、2−アミノ−4−クロロフェノール、2−アミノチオフェノール、3−アミノチオフェノール、4−アミノチオフェノール、2−アミノ−5−ニトロベンゾニトリル、o−アミノフェノール、m−アミノフェノール、p−アミノフェノール、o−アミノベンズアルデヒド、m−アミノベンズアルデヒド、p−アミノベンズアルデヒド、2−アミノベンゾニトリル、3−アミノベンゾニトリル、4−アミノベンゾニトリル、アントラニル酸、3−イソプロポキシアミリン、2,4−キシリジン、3,4−キシリジン、p−クレシジン、スルファニル酸、トビアス酸、2,4,5−トリクロロアニリン、o−トルイジン、m−トルイジン、p−トルイジン、o−ニトロアニリン、m−ニトロアニリン、p−ニトロアニリン、o−ニトロ−p−クロロアニリン、m−ニトロ−p−トルイジン、o−フェネチジン、m−フェネチジン、p−フェネチジン、フェネチルアミン、ベンジルアミン、m−アミノベンゾトリフルオライド、メシジン、メタニル酸、2−メチル−4−ニトロアニリン等が挙げられる。
(分子内に二つの一級アミン構造を有する化合物)
分子内に二つの一級アミン構造を有する化合物としては、m−キシリレンジアミン、ジアニシジン、4,4’−ジアミノスチルベン−2,2’−ジスルホン酸、1,4−ジアミノアントラキノン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、o−トリジン、m−トルイレンジアミン、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン等が挙げられる。更に、分子内に2級アミン構造を一つ有する化合物としては、2−メチル−4−メトキシジフェニルアミン、ジフェニルアミン、ジベンジルアミン等が挙げられる。
(複素環構造を有する一級アミン)
同様に、工業的に入手が容易な複素環構造を有するアミン化合物のうち、分子内に一つの一級アミン構造を有する化合物としては、2−アミノチアゾール、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、2−アミノピリジン、3−アミノピリジン、4−アミノピリジン、1−(2−アミノエチル)ピペラジン、N−(3−アミノプロピル)モルホリン等が挙げられる。また、分子内に二つ以上の一級アミン構造を有する化合物としては、アセトグアナミン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、ベンゾグアナミン、メラミン等が挙げられる。
(ハロゲン置換基を有する一級アミン)
また、工業的に入手が容易なアミン化合物のうち、塩素や臭素、沃素、フッ素置換基を有し、分子内に一つの一級アミン構造を有する化合物としては、o−クロロアニリン、m−クロロアニリン、p−クロロアニリン、2,5−ジクロロアニリン、3,4−ジクロロアニリン、3,5−ジクロロアニリン、2−アミノ−4−クロロ安息香酸、o−クロロ−p−ニトロアニリン、5−クロロ−2−ニトロアニリン、2,6−ジクロロ−4−ニトロアニリン、2−(2−クロロフェニル)エチルアミン、2,4−ジフルオロアニリン、o−フルオロアニリン、m−フルオロアニリン、p−フルオロアニリン等が挙げられる。
また、工業的に入手が容易なアミン化合物のうち、塩素や臭素、沃素、フッ素置換基を有し、分子内に二つの一級アミン構造を有する化合物としては、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル等が挙げられる。
(ハロゲン化化合物)
一方、工業的に入手が容易なハロゲン化化合物としては(アミン構造を有する化合物は除く)、o−クロロアセトフェノン、p−クロロアセトフェノン、o−クロロ安息香酸、p−クロロ安息香酸、2,4−ジクロロ安息香酸、4−クロロ−3−ニトロ安息香酸、1−クロロ−2,4−ジニトロベンゼン、o−クロロトルエン、p−クロロトルエン、2,3−ジクロロトルエン、2,4−ジクロロトルエン、2,6−ジクロロトルエン、3,4−ジクロロトルエン、2−クロロ−4−ニトロフェノール、o−クロロニトロベンゼン、p−クロロニトロベンゼン、1,4−ジクロロ−2−ニトロベンゼン、2,4−ジクロロ−1−ニトロベンゼン、2−クロロフェニル酢酸、4−クロロフェニル酢酸、o−クロロフェノール、p−クロロフェノール、o−クロロベンジルクロライド、p−クロロベンジルクロライド、2,6−ジクロロベンジルクロライド、3,4−ジクロロベンジルクロライド、p−クロロベンジルシアナイド、o−クロロベンズアルデヒド、2,3−ジクロロベンズアルデヒド、2,4−ジクロロベンズアルデヒド、2,6−ジクロロベンズアルデヒド、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、p−ジクロロベンゼン、p−クロロベンゾトリクロライド、2,6−ジクロロベンザルクロライド、2,6−ジクロロベンゾニトリル、4−メチルベンジルクロライド、ブロモベンゼン、1,4−ジブロモベンゼン、1,3,5−トリブロモベンゼン、2−ブロモ−6−メトキシナフタレン、ヘキサブロモベンゼン等が挙げられる。
(縮合反応)
一般式(1)の化合物を合成するための縮合反応としては、銅粉を用いて反応させるUllmann反応や、有機金属錯体を用いる反応等が知られている。有機金属錯体としては、酢酸パラジウムやトリス(ベンジリデンアセトン)ジパラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム等が知られている。合成例としては、J. Org. Chem.,670(1999)や、Angew. Chem. Int. Ed.,2046(1998)、それらの引用文献、または特公表2002−520328号公報等を参照することができる。
(有機金属錯体)
特に有機金属錯体である、トリス(ベンジリデンアセトン)ジパラジウムや酢酸パラジウム、またはテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム等を用いた場合、4−アミノスチレンや4−ブロモスチレン、4−クロロスチレン等の、スチレン誘導体を原料として用いることが可能であり、1段で一般式(1)で表される基を有する化合物を製造することが可能である。
トリス(ベンジリデンアセトン)ジパラジウムや酢酸パラジウム、またはテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムの使用量は、相当するアミン化合物に対して1mol%〜30mol%、好ましくは5mol%〜20mol%であることが好ましい。この使用量が1mol%未満であると、反応が延滞する傾向がある。他方、この使用量が30mol%を越えると、経済的に好ましくない。
(他の試薬)
反応時に塩基を同時に存在させると、より反応が進行しやすくなることがある。このような塩基としては、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、t−ブトキシドカリウム、t−ブトキシドナトリウム等が挙げられる。
また、塩基と同様に、反応時にホスフィンを同時に存在させると、より反応が進行しやすくなることがある。このようなホスフィンとしては、トリフェニルホスフィン、トリ(o−トルイル)ホスフィン、トリ(t−ブチル)ホスフィン、1,1’−ビス(ジフェニルホスファニル)フェロセン(略称:DPPF)、トリ(2−フリル)ホスフィン、2,2’−ビス(ヂフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル(略称:BINAP)、ジベンジリデンアセトン(略称:DBA)、(o−メトキシフェニル)ジフェニルホスフィン、トリ(o−メトキシフェニル)ホスフィン、(o−メトキシメチルフェニル)ジフェニルホスフィン、トリ(o−メトキシメチルフェニル)ホスフィン、2−(ジ−t−ブチルホスフィノ)−o−ビフェニル、2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)−2’−メチルビフェニル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(溶媒)
本発明において反応を行う際には、必要に応じて、溶媒を用いるてもよい。このような溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、ジ(メトキシエチル)エーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類等が挙げられる。
(反応温度)
収率の点からは、反応温度は好ましくは0℃〜150℃、より好ましくは10℃〜100℃、更に好ましくは20℃〜80℃で行う。反応温度が0℃未満では、反応の進行が遅く必要以上に時間を要する恐れがある。また、反応温度が150℃を越えると有機金属触媒が失活しやすくなる傾向がある。
(精製)
反応終了後は、不純物や未反応物を除くために、必要に応じて精製を行ってもよい。精製法としては、例えば、ベンゼン、トルエン、シクロヘキサン、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、酢酸メチル、酢酸エチル等の有機溶媒に生成物を溶解させ、水で分液を行うことにより、使用したアルカリ等を除去することができる。また、ヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素等の有機溶媒で生成物をデカンテーションや再沈殿する方法、シリカゲル等を用いてカラム精製を行う方法、薄層クロマトグラフィー等による精製を行うことで純度を増大させることができる。
((B)の工程)
次にB)の工程について説明する。
ビニル基の形成方法としては、前駆体となるホルミル基を有するアリール化合物のホルミル基に、Wittig反応をすることにより合成することができる。このような合成例としては、Angew. Chem. Int. Ed.,517(2000)等に記載されている。
また、アリール基にホルミル基を導入する方法としては、Gattermann-Koch反応や、Vilsmeier反応が知られている。更に、シアノ基置換アリール基の場合には、ジイソブチルアルミニウムヒドリドと反応させることにより、シアノ基をホルミル基に変換することができる。このような合成例としては、Angew. Chem. Int. Ed.,517(2000)等に記載されたものが挙げられる。また、ハロゲン化アリール化合物とトリブチル(ビニル)錫をPd錯体触媒の存在下でクロスカップリングさせる方法も知られている。このような合成例としては、Angew. Chem. Int. Ed.,2411(1999)に記載されたものが挙げられる。
(重合性組成物の他の成分)
上述したように、本発明の重合性組成物は、一般式(1)で表される重合性化合物(a)を少なくとも含む。これに加えて、本発明の重合性組成物は、必要に応じて下記に示す他の重合性化合物(b)〜(e)を含むことが可能である。
(b)不飽和多塩基酸、不飽和多塩基酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも一種類と、多価アルコールとを反応して得られる不飽和ポリエステル。
(c)(メタ)アクリロリル基を一分子内に2個以上有する(メタ)アクリレート化合物。
(d)フマル酸エステル構造、および/又はマレイン酸エステル構造を有する重合性化合物。
(e)エチレン性重合性単量体。
以下、上述した成分(b)〜(e)について詳細を説明する。
(成分(b))
本発明で使用可能な成分(b)は、不飽和多塩基酸、不飽和多塩基酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも一種類と、多価アルコールとを反応して得られる不飽和ポリエステルである。多塩基酸成分として、飽和多塩基酸、飽和多塩基酸無水物を併用しても構わない。
不飽和多塩基酸、不飽和多塩基酸無水物としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸等である。また、酸成分として併用することができる飽和多塩基酸、飽和多塩基酸無水物としては、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸等の飽和脂肪族ジカルボン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、無水ピロメリット酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ポリカルボン酸、無水エンディック酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸が挙げられる。
多価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,6−ノナンジオール、1,9−ノナンジオール等の脂肪族ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、水添ビスフェノールA等の脂環式ジオール、ビスフェノールAのエチレンオキシド、プロピレンオキシド付加体等の芳香族ジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ジペンタエリスリトール等の三価以上のアルコール等が挙げられる。
また、前記の不飽和多塩基酸のジアルキルエステルと多価アルコールのエステル交換反応で得られるものがある。この場合、アルキル基としては、通常メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等である。多塩基酸のジアルキルエステルとして、飽和多塩基酸のジアルキルエステルを併用することも可能である。
(成分(c))
本発明に使用可能な成分(c)とは、構造中に(メタ)アクリロイル基を二個以上有するものであり、具体的には、ウレタン(メタ)アクリレート、多価アルコールと、多塩基酸またはその無水物と、(メタ)アクリル酸の反応によって得られるポリエステル(メタ)アクリレート、水酸基含有化合物にエチレンオキシドまたはプロピレンオキシドを付加した多価アルコールと(メタ)アクリル酸を反応することで得られるポリエーテル(メタ)アクリレート、エポキシ化合物と(メタ)アクリル酸またはカルボキシル基を有する(メタ)アクリレートを反応することで得られるエポキシ(メタ)アクリレート、およびエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート、シロキサン基と(メタ)アクリロイル基を有するシリコン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
本発明に使用可能な成分ウレタン(メタ)アクリレートとは、多価アルコールとポリイソシアネートと、ヒドロキエチル(メタ)アクリレートまたはヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートとを反応することで得られる。多価アルコールは、例えば、前記不飽和ポリエステルの多価アルコールに記載したものと同様なもの、またポリイソシアネートとしては、トルエンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等が挙げられる。
本発明のポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレートの原料として使用可能な多塩基酸と多価アルコ−ルは、例えば、前記不飽和ポリエステルで記したものと同様なものが挙げられる。
本発明のエポキシ(メタ)アクリレートの原料に使用可能なエポキシ化合物とは、ビスフェノールA型、ビスフェノールS型、ビスフェノールF型のビスフェノール類のグリシジルエーテル、ノボラック型グリシジルエーテル等のエポキシ樹脂系の化合物等が知られている。
(成分(d))
本発明で使用可能な成分(d)とは、マレイン酸ジアリル、フマル酸ジアリル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、または下記一般式(6)で表される基を有する化合物が挙げられる。
一般式(6)
Figure 2005036223
(一般式(6)において、R74はそれぞれ独立に、一般式(7)または一般式(8)を表し、X1はそれぞれ独立に2個〜6個の水酸基を有する炭素数2〜炭素数30の多価アルコールから誘導された有機残基を表す。Y1はそれぞれ独立に構造式(1)または構造式(2)を表す。X2はそれぞれ独立に炭素数1〜炭素数4のアルキレン鎖を表す。n2は1〜10の整数を表し、n3は0〜1の整数を表す。)
一般式(7)
Figure 2005036223
(一般式(7)において、R75、R76はそれぞれ独立に水素原子または炭素数1〜炭素数5のアルキル基を表す。)
一般式(8)
Figure 2005036223
(一般式(8)において、R77は水素原子または炭素数1〜炭素数6のアルキル基を表す。)
構造式(1)
Figure 2005036223
構造式(2)
Figure 2005036223
本発明に関わる一般式(6)のR74は一般式(7)もしくは一般式(8)のいずれかを表す。
一般式(7)のR75、R76はそれぞれ独立に水素原子または炭素数1〜炭素数5のアルキル基を表す。一般式(6)において重合性の点で好ましくはR75、R76の少なくとも一方が水素原子またはメチル基で他方が水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基およびiso−プロピル基の少なくとも一種である。より好ましくはR75、R76の少なくとも一方が水素原子で他方が水素原子またはメチル基であり、最も好ましくはR75、R76のいずれもが水素原子である。炭素数のいずれもが水素原子である。炭素数4以上のアルキル基では重合性が低下する傾向がある。
また、一般式(8)のR77は水素原子または炭素数1〜炭素数6のアルキル基を表す。一般式(8)において重合性の点で好ましくはR77が水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基およびiso−プロピル基の少なくとも一種である。より好ましくはR77が水素原子またはメチル基である。炭素数4以上のアルキル基では重合性が低下する傾向がある。
また、X1は2個〜6個の水酸基を有する炭素数2〜炭素数30の多価アルコールから誘導された有機残基を表す。
具体的な上記多価アルコールとしては、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール等のアルキレンジオール、また置換したアルキレングリコールとしては、1−フェニルエチレングリコール、1,2−ジフェニルエチレングリコール、またこれらのポリアルキレンジオール、1,1−シクロヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,1−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール等の脂環式ジオール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ベンゼンジメタノール等の芳香族ジオール、およびこれらの多価アルコールのエチレンオキシド付加体、プロピレンオキシド付加体、シクロヘキセンオキシド付加体、スチレンオキシドの付加体等が挙げられる。
また、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン等の三価のアルコール、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、ジトリメチロールプロパン等の四価のアルコール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール等の六価のアルコール等、またこれらの多価アルコールのエチレンオキシド付加体、プロピレンオキシド付加体、シクロヘキセンオキシド付加体、スチレンオキシド付加体等もゲル化しない程度に加えることができる。
また、多価アルコールの種類によっては、立体異性体、幾何異性体が存在する場合がある。例えば一般式(6)においてn2=2でX1が1,2−シクロヘキサンジオールから誘導される有機残基の場合、2つのシクロヘキシル環に結合するそれぞれの置換位置関係は、cis−cis、cis−trans、trans−transの3つが考えられ、分子全体としては光学異性体となることがある。このような場合、光学活性カラム等で特定の光学異性体の存在比を高めて使用することも可能であるし、このような処理をせず使用しても構わない。
これらの中では、X1は、エチレン基(−(CH22−)、1,3−プロピレン基(−(CH23−)、1,2−プロピレン基(−CH2−CH(CH3)−)等の炭素数2〜炭素数4のアルキレン基、1,1−シクロヘキシレン基、1,2−シクロヘキシレン基、1,3−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキシレン基、
式(−CH2−C610−CH2−)で表される1,1−シクロヘキサンジメタノールから誘導された有機残基、1,2−シクロヘキサンジメタノールから誘導された有機残基、1,3−シクロヘキサンジメタノールから誘導された有機残基、または1,4−シクロヘキサンジメタノールから誘導された有機残基等の炭素数6〜炭素数8のシクロアルキレンが重合後の硬化物の硬さの点で優れている。
更に、硬化物の屈折率を向上させるには、ビスフェノールAおよびビスフェノールAのエチレンオキシド付加体、1−フェニル−エチレングリコール、1,2−ジフェニレングリコール等のフェニル基またはフェニレン基を有したアルキレンジオールが好ましい。
また、一般式(6)のn2は1〜10の整数であるが、好ましくは1〜5である。n2が6以上では粘度が高くなり、製造しにくくなるため好ましくない。
1が三価以上の多価アルコール有機残基の場合は、下記一般式(15)等の分岐構造をとることも可能である。
一般式(15)
Figure 2005036223
(一般式(15)中、n4は0〜4の整数を表す)
一般式(7)におけるR75、R76は重合性の点で、水素原子、またはメチル基であることが好ましく、双方が水素原子であることが更に好ましい。
また、一般式(8)におけるR77はメチル基(一般式(8)全体としてはプロペニル基)であることが重合性の点で好ましい。
一般式(6)中のY1はそれぞれ独立に構造式(1)、構造式(2)を表す。従って、構造式(1)の構造と構造式(2)の構造は一般式(6)で表される基を有する化合物中に併存することができる。一般式(6)におけるR74との共重合性の点、また一般式(1)で表される基を有する化合物中のスチリル基との共重合性の点から、構造式(2)の比率が50%以上であることが好ましく、より好ましくは80%以上である。
一般式(6)中のX2は炭素数1〜炭素数4のアルキレン基を表す。具体的なアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基が挙げられる。
一般式(6)で表される基を有する化合物は、更に同一分子内に一般式(6)以外の重合性官能基を有していても構わない。このような重合性官能基の具体的な例としては、以下のものが挙げられる。
構造式(15)
Figure 2005036223
構造式(16)
Figure 2005036223
構造式(17)
Figure 2005036223
構造式(18)
Figure 2005036223
構造式(19)
Figure 2005036223
構造式(20)
Figure 2005036223
構造式(21)
Figure 2005036223
一般式(6)で表される基を有する化合物としては、再公表99−508454号公報に開示されている構造式(22)で表される化合物や、国際公開第02/06206号パンフレットに開示されている、構造式(23)で表される化合物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
構造式(22)
Figure 2005036223
構造式(23)
Figure 2005036223
(成分(e))
本発明で使用可能な成分(e)とは、二重結合の重合性基を有するものである。より具体的には、成分(e)として、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の単官能(メタ)アクリル酸エステル;スチレン、α−スチレン、メトキシスチレン、ジビニルベンゼン等の芳香族ビニル化合物;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、カプロン酸ビニル等の脂肪族カルボン酸のビニルエステル;シクロヘキサンカルボン酸ビニルエステル等の脂環式ビニルエステル;安息香酸ビニルエステル、t-ブチル安息香酸ビニルエステル等の芳香族ビニルエステル;ヒドロキシエチルビニルエステル、ヒドロキシプロピルビニルエステル、ヒドロキシブチルビニルエステル等のヒドロキシアルキルビニルエステル;フタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル、テレフタル酸ジアリル、イタコン酸ジアリル、トリメリット酸トリアリル、シアヌル酸トリアリル、イソシアヌル酸トリアリル、ジアリルカーボネート、ジエチレングリコールビスアリルカボネート、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル等のアリル化合物;N−メチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−2―メチルフェニルマレイミド、N−2−クロルフェニルマレイミド、N−2−メトキシフェニルマレイミド、N,N−4,4’―ジフェニルメタンビスマレイミド等のマレイミド類;マレイン酸、フマル酸、無水マレイン酸、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル等の不飽和二塩基酸で表されるエステル類が挙げられる。
これらのエチレン性重合性単量体は、単独もしくは複数以上の使用が可能である。
(組成)
本発明(I)の重合性組成物における一般式(1)で表される重合性化合物(a)の使用量は、重合性組成物中、(全体を100質量%として)好ましくは1質量%〜50質量%、より好ましくは1質量%〜30質量%である。
この使用量が1質量未満であると、重合性の改善効果が顕著に現れ難くなる傾向がある。他方、使用量が50質量%を越えると、硬化膜が脆くなりやすい傾向がある。
上記した成分(a)は特にフマル酸エステル骨格やマレイン酸エステル骨格等の不飽和多塩基酸骨格の二重結合との共重合性に優れている。よって、重合性組成物中、前述した成分(b)や成分(d)を10質量%〜95質量%含む組成物は、優れた硬化膜を与える。成分(b)や成分(d)の使用量は、より好ましくは30質量%〜70質量%である。
また、成分(c)の(メタ)アクリレート化合物は、フマル酸エステル構造、および/又はマレイン酸エステル構造を有する重合性化合物より硬化速度が速い。よって重合組成物中、成分(c)を10質量%〜90質量%含む組成物は、硬化速度の優れた重合性組成物である。成分(c)の使用量は、更に好ましくは30質量%〜70質量%である。
硬化速度と硬化物物性の両立を図るためには成分(a)と、成分(b)もしくは成分(d)から選ばれる少なくとも一種と、成分(c)を含む組成物が好ましい。この場合、より好ましい量比は、以下の通りである。
より好ましくは成分(a)が1質量%〜50質量%、成分(b)もしくは成分(d)から選ばれる少なくとも一種が1質量%〜95質量%、成分(c)が1質量%〜90質量%で、組成物全量として100質量%;、
特に好ましくは、成分(a)が1質量%〜30質量%、成分(b)もしくは成分(d)から選ばれる少なくとも一種が40質量%〜90質量%、成分(c)が10質量%〜50質量%であり、組成物全量として100質量%である。
また成分(c)として、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートやペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の、多官能(メタ)アクリレート化合物を用いた場合には、表面硬度に優れた硬化膜を得ることができる。
ところで、成分(c)は空気による硬化阻害を受けやすいことが知られている。それを低減する方法としては、アリルエーテル基等のアルケニルオキシ基を有する化合物を用いることが知られている。前述した構造式(22)や構造式(23)の化合物は成分(a)のスチリル基と共重合性の良い、フマル酸エステル骨格やマレイン酸エステル骨格等の不飽和多塩基酸骨格の二重結合を有し、且つアルケニルオキシ基を有していることから、本発明の組成物中の成分(d)として好ましい。
(開始剤)
本発明(I)の重合性組成物はラジカル開始剤を使用することなく硬化させることが可能であるが、必要に応じて、ラジカル重合開始剤を用いても構わない。
本発明(I)の重合性組成物に用いることができるラジカル重合開始剤とは、例えば熱、紫外線、電子線、放射線によってラジカルを生成するものであればいずれのラジカル重合開始剤の使用も可能である。
熱によるラジカル重合に関して使用できるラジカル重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビスイソバレロニトリル等のアゾ系化合物、メチルエチルケトンパーオキシド、メチルイソブチルケトンパーオキシド、シクロヘキサノンパーオキシド等のケトンパーオキシド類;ベンゾイルパーオキシド、デカノイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド等のジアシルパーオキシド類;ジクミルパーオキシド、t−ブチルクミルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド等のジアルキルパーオキシド類;1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキサン、2,2−ジ(t−ブチルパーオキシ)ブタン等のパーオキシケタール類;t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート、ジ−t−ブチルパーオキシアゼレート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシトリメチルアジペート、t−ブチルパーオキシ 2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ 2−エチルヘキサノエート等のアルキルパーオキシエステル類;ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ-sec-ブチルパーオキシジカーボネート、t-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート等のパーカーボネート類等が挙げられる。
また、特に熱によるコーティング等の膜成形においては、ラジカル重合開始剤を使用せず、自己架橋をさせることも可能である。
(紫外線、電子線の場合の開始剤)
紫外線、電子線による重合に際して使用できるラジカル重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モンフォリノプロパノン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン等のアセトフェノン誘導体;ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4−トリメチルシリルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルスルフィド等のベンゾフェノン誘導体;ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾイン誘導体;メチルフェニルグリオキシレート、ベンゾインジメチルケタール、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド等が挙げられる。
これらの重合開始剤の使用量は、本発明(I)の重合性組成物の重量に対して、0.01質量%〜15質量%、好ましくは0.1質量%〜10質量%の範囲である。
(添加剤)
本発明の重合性組成物を重合する場合、使用目的によって、種々のものを加えることができる。例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色剤、滑剤、帯電防止剤、シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム等の無機フィラー等を併用しても構わない。
(溶媒)
本発明の重合性組成物は硬化の方法により、粘度を低下させる必要があれば、溶媒を使用しても構わない。使用可能な溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類;エチルアルコール、(イソ)プロピルアルコール、ブチルアルコール等のアルコール類等が挙げられる。
(本発明(II))
次に、本発明(II)について説明する。
本発明(II)は、本発明(I)の重合性組成物を硬化してなる硬化物である。
本発明(I)の重合性組成物の硬化物が適用可能な分野は、特に制限されない。例えば、本発明(I)の重合性組成物の硬化物は、木工コーティング、フィルムコーティング、金属コーティング、プラスチックコーティング、無機コーティング、ハードコーティング、光ファイバーコーティング、ゲルコート剤等のコーティング材料、塗装や印刷インキ等のペイント材料、光造形材料、光ディスク、眼鏡レンズ、プリズム等の光学材料、接着剤、フォトレジスト、封止剤、成型材料等幅広く硬化性樹脂の分野に利用することができる。コーティングする基材としては特に制限はない。具体的には例えば金属、ガラス、プラスチック等を挙げることができる。
本発明(I)の重合性組成物は、紫外線、電子線や熱を用いて、ロールコーター、スピンコーター等のコーティング、注型成型法、光造形法等の硬化方法により硬化させることができる。
本発明(I)の重合性組成物は、従来の重合性組成物に比べ低い温度で硬化させることが可能である。より具体的には、例えば、本発明(I)の重合性組成物は、150℃以下、更には120〜80℃の温度で重合させることができる。本発明(I)の重合性組成物はこのような特徴を有するため、熱的に弱い基材、電子デバイス材料等に特に有用である。
以下実施例により、更に詳しく説明するが、本発明の主旨を逸脱しない限り、本発明は、実施例に限定されるものではない。
尚、各種データの測定には以下の機器を用いた。
(使用機器)
1 H−NMR 使用機種:JEOL EX−400(400MHz)
重水素化クロロホルムに溶解し、内部標準物質にテトラメチルシランを使用して測定し、化学シフトを計算した。
FT−IR 使用機種:パーキンエルマー社製 Spectrum GX KBr板を用いて、液膜法で測定した。
(製造例1)
攪拌装置付きフラスコに、4−アミノスチレン(20g、167.8mmol)、4−ブロモスチレン(70.2g、383.5mmol)を加え、フラスコ内を窒素置換した後、t−ブトキシドナトリウム(26.6g、276.8mmol)、トリス(ベンジリデンアセトン)ジパラジウム・クロロホルム付加体(以下[Pd2(dba)3]・CHCl3と略す)(864.4mg、0.84mmol)、トルエン(500g)、トリtブチルホスフィン(138.7mg、0.69mmol)を加え、室温下36時間攪拌した。得られた反応溶液をセライトにて濾過し、その濾液からエバポレーターにて低沸点物を減圧留去したところ、淡黄色固体を得た。得られた淡黄色固体をカラム精製した。
すなわち、シリカゲル(MERCK社製 silica gel 60)1kgをヘキサンにてスラリーにし、直径15cmのカラムクロマト管に詰めた。先に得られた粗生成物をカラムクロマト管上部に乗せ、トルエン/ヘキサン=1/30から1/10にグラジエントをかけながら粗生成物を溶出させ、TLC(MERCK社製 Pre-coated TLC Plates SILICA GEL 60 F−254)でRf値が0.55(展開液 トルエン/ヘキサン=1/10)を示すフラクションを集め、それをエバポレーターにて減圧濃縮したところ、白色固体として31.4g得た。この生成物の1H−NMR、FT−IR測定し、トリス(4−ビニルフェニル)アミンであることを確認した。
この化合物を「化合物A」とする。
(製造例2)
攪拌装置付きフラスコに、4−アミノスチレン(10g、83.9mmol)、4−ブロモスチレン(15.4g、83.9mmol)を加え、フラスコ内を窒素置換した後、t−ブトキシドナトリウム(12.1g、125.9mmol)、トリス(ベンジリデンアセトン)ジパラジウム・クロロホルム付加体(以下[Pd2(dba)3]・CHCl3と略す)(434.2mg、0.42mmol)、トルエン(100g)、トリtブチルホスフィン(347.4mg、171.7mmol)を加え、内温10℃以下で18時間攪拌した。更に、t−ブトキシドナトリウム(12.1g、125.9mmol)、[Pd2(dba)3]・CHCl3(434.2mg、0.42mmol)、トリtブチルホスフィン(347.4mg、171.7mmol)、1,4−ジブロモベンゼン(9.4g、39.8mmol)を加え、18時間室温にて攪拌した。得られた反応溶液をセライトにて濾過し、その濾液からエバポレーターにて低沸点物を減圧留去したところ、淡黄色固体を得た。得られた淡黄色固体をカラム精製した。
シリカゲル(MERCK社製 silica gel 60)1kgをヘキサンにてスラリーにし、直径15cmのカラムクロマト管に詰めた。先に得られた粗生成物をカラムクロマト管上部に乗せ、トルエン/ヘキサン=1/30から1/10にグラジエントをかけながら粗生成物を溶出させ、TLC(MERCK社製 Pre-coated TLC Plates SILICA GEL 60 F−254)でRf値が0.50(展開液 トルエン/ヘキサン=1/10)を示すフラクションを集め、それをエバポレーターにて減圧濃縮したところ、白色固体として10.3g得た。この生成物の1H−NMR、FT−IR測定し、1,4−ビス(ジ(4−ビニルフェニル)アミノ)ベンゼンであることを確認した。
この化合物を「化合物B」とする。
(製造例3)
攪拌装置、温度計、コンデンサー、水分定量器を備えた1Lフラスコに、無水マレイン酸(98g、1mol)、エチレングリコールモノアリルエーテル(245g、2.4mol)、ベンゼン(200mL)、濃硫酸(0.5g)を仕込んだ。オイルバス中で加熱攪拌を行い、反応温度を80℃まで上げ、反応進行に伴い副生する水を留去しながら反応を続けた。留去した水の量が理論量に達したところで、反応を終え冷却した。この反応液を分液漏斗に移し、ベンゼンを300mL加えて、10質量%の炭酸ナトリウム水溶液、水による分液洗浄を行った。
その後、反応液を減圧蒸留により精製した。蒸留温度150℃〜155℃/133Paで行い、241gの生成物が得られた。この生成物の1H−NMRおよびFT−IRを測定し、ビス(2−アリルオキシエチルマレート)であることを確認した。
上記により得られたビス(2−アリルオキシエチルマレート)(28g)と、ジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム(0.1g)、重合禁止剤であるテトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(日本チバガイギー社製、商品名IRGANOX1010)を50mLのフラスコに仕込み、反応容器内を脱気、窒素置換した後、窒素雰囲気下、150℃、7時間反応させた。その後反応液を減圧蒸留により精製し、蒸留温度150℃〜155℃/133Paで行い、18gの生成物が得られた。得られた生成物の1H−NMRおよびFT−IRを測定したところ、ビス[2−(1−プロペニルオキシ)エチル]フマレートであることを確認した。
この化合物を「化合物C」とする。
(製造例4)
3Lガラスフラスコに、実施例3で得られたフマル酸 モノ2−アリルオキシエチル500.7g、THF1.8kgを仕込み、反応系内を窒素置換した後炭酸カリウム345.5gを加えた。発熱が終わった後1時間攪拌し、反応液を氷水で冷却した。一方、p−トルエンスルホニルクロリド524.3gをTHF200gに溶かしたTHF溶液を調製した。反応液の温度が10℃以下になったところで、調整したp−トルエンスルホニルクロリド/THF溶液を加え、30分攪拌した。その後ペンタエリスリトール70.9g、炭酸カリウム691.1gを加え攪拌した。発熱が終わったところで氷水をはずし、反応液を室温に戻し更に2時間攪拌した。次に反応液を濃縮しその濃縮液を分液漏斗に移し、酢酸エチル2kgを加え、10%の炭酸ナトリウム水溶液、水による分液洗浄を行った。その後、減圧濃縮したところ、淡黄色粘稠液体を240g得た。
得られた淡黄色粘稠液体をカラム精製した。
すなわち、シリカゲル(MERCK社製 silica gel 60)1kgをヘキサンにてスラリーにし、直径15cmのカラムクロマト管に詰めた。先に得られた淡黄色粘稠液体をカラムクロマト管上部に100g乗せ、酢酸エチル/ヘキサン=1/10から1/5にグラジエントをかけながら粗生成物を溶出させ、TLC(MERCK社製 Pre-coated TLC Plates SILICA GEL 60 F−254)でRf値が0.50(展開液 酢酸エチル/ヘキサン=1/5)を示すフラクションを集め、それをエバポレーターにて減圧濃縮したところ、無色粘稠液体として30.2g得た。この生成物の1H−NMR、FT−IR測定し、構造式(24)で表される化合物であることを確認した。
次に100mLのガラスフラスコに、上記により得られた無色粘稠液体(30g)、トルエン(30g)、ヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ、10mg)、5%Pd−Al23(9g)を加え、反応系内を窒素置換した後140℃で3時間加熱攪拌した。冷却後反応液よりPd−Al23を濾過により除去し、濾過液よりトルエンを減圧留去することにより、淡黄色粘調液体を28g得た。1H−NMRを測定し、アリル基および1−プロペニル基のピークを比較することにより、98%がプロペニル基へ異性化していることを確認した。
この化合物を「化合物D」とする。
構造式(24)
Figure 2005036223
(実施例1〜20)
上記製造例で得られた化合物A〜化合物D、またはそれを含む組成物をガラス基盤上に塗布して熱硬化を行い、硬化膜の表面硬度を調べた。尚、表面硬度はJIS K5400の鉛筆引っかき試験に準じた。
また硬化表面のベタツキがないタックフリーのものを、タック性○、ベタツキがあるものを×とした。
上記テストにより得られた結果を表1に示す。
Figure 2005036223

Claims (13)

  1. 一般式(1)で表される部分構造を有する重合性化合物(a)を含む重合性組成物。
    一般式(1)
    Figure 2005036223
    (一般式(1)において、R1〜R5のうち少なくとも一つは一般式(2)で表される基であり、それ以外のR1〜R5は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルケニルオキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アラルキル基、またはアラルキルオキシ基を表す。)
    一般式(2)
    Figure 2005036223
    (一般式(2)において、R6〜R8はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜炭素数4のアルキル基を表す。)
  2. 成分(a)を1質量%〜50質量%含む請求項1に記載の重合性組成物。
  3. 請求項1または請求項2に記載の重合性組成物において、他の重合性化合物が(b)〜(e)の少なくとも一種類である請求項1または請求項2のいずれかに記載の重合性組成物。
    (b)不飽和多塩基酸、不飽和多塩基酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも一種類と、多価アルコールとを反応して得られる不飽和ポリエステル。
    (c)(メタ)アクリロリル基を一分子内に2個以上有する(メタ)アクリレート化合物。
    (d)フマル酸エステル構造、および/又はマレイン酸エステル構造を有する重合性化合物。
    (e)エチレン性重合性単量体。
  4. 成分(a)において、一般式(1)で表される構造が一分子内に3個以上有する請求項1〜請求項3のいずれかに記載の重合性組成物。
  5. 成分(a)が一般式(3)である請求項1〜請求項4のいずれかに記載の重合性組成物。
    一般式(3)
    Figure 2005036223
    (一般式(3)において、R9〜R23のうち少なくとも一つは一般式(2)で表される基であり、それ以外のR9〜R23はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルケニルオキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アラルキル基、またはアラルキルオキシ基を表す。)
    一般式(2)
    Figure 2005036223
    (一般式(2)において、R6〜R8はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜炭素数4のアルキル基を表す。)
  6. 成分(a)が一般式(4)である請求項1〜請求項5のいずれかに記載の重合性組成物。
    一般式(4)
    Figure 2005036223
    (一般式(4)において、R24〜R53のうち少なくとも一つは一般式(2)で表される基であり、それ以外のR24〜R53はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルケニルオキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アラルキル基、またはアラルキルオキシ基を表す。)
    一般式(2)
    Figure 2005036223
    (一般式(2)において、R6〜R8はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜炭素数4のアルキル基を表す。)
  7. 成分(a)が一般式(5)である請求項1〜請求項6のいずれかに記載の重合性組成物。
    一般式(5)
    Figure 2005036223
    (一般式(5)において、R54〜R73のうち少なくとも一つは一般式(2)で表される基であり、それ以外のR54〜R73はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルケニルオキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アラルキル基、またはアラルキルオキシ基を表す)。
    一般式(2)
    Figure 2005036223
    (一般式(2)において、R6〜R8はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜炭素数4のアルキル基を表す。)
  8. (c)が、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、およびトリメチロールプロパン(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる一種類以上の化合物である請求項3〜請求項7のいずれかに記載の重合性組成物。
  9. (d)が、一分子内にフマル酸エステル構造、および/又はマレイン酸エステル構造とアルケニルオキシ基を有する請求項3〜請求項8のいずれかに記載の重合性組成物。
  10. (d)が、下記一般式(6)で表される構造を有する化合物である請求項3〜請求項9のいずれかに記載の重合性組成物。
    一般式(6)
    Figure 2005036223
    (一般式(6)において、R74はそれぞれ独立に、一般式(7)または一般式(8)を表し、X1はそれぞれ独立に2個〜6個の水酸基を有する炭素数2〜炭素数30の多価アルコールから誘導された有機残基を表す。Y1はそれぞれ独立に構造式(1)または構造式(2)を表す。X2はそれぞれ独立に炭素数1〜炭素数4のアルキレン鎖を表す。n2は1〜10の整数を表し、n3は0〜1の整数を表す。)
    一般式(7)
    Figure 2005036223
    (一般式(7)において、R75、R76はそれぞれ独立に水素原子または炭素数1〜炭素数5のアルキル基を表す。)
    一般式(8)
    Figure 2005036223
    (一般式(8)において、R77は水素原子または炭素数1〜炭素数6のアルキル基を表す。)
    構造式(1)
    Figure 2005036223
    構造式(2)
    Figure 2005036223
  11. 一般式(6)で表される基を有する化合物におけるX1がそれぞれ独立に、アルキレンジオールの残基、脂環式ジオールの残基、芳香族ジオールの残基、または一般式(9)で表される請求項10に記載の重合性組成物。
    一般式(9)
    Figure 2005036223
    (R78、R79はそれぞれ独立に水素原子、または一般式(10)を表し、少なくとも一方は一般式(10)である。)
    一般式(10)
    Figure 2005036223
    (一般式(10)において、R80は塩素原子、臭素原子、フッ素原子、水素原子または炭素数1〜炭素数3のアルキル基を表す。)
  12. 請求項1〜請求項11のいずれかに記載の重合性組成物を100質量部、およびラジカル重合開始剤を0.01質量部〜15質量部含有することを特徴とする重合性組成物。
  13. 請求項1〜請求項12のいずれかに記載の重合性組成物を硬化してなる硬化物。
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