JP2005036061A - エポキシ樹脂組成物及び半導体装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】成形後の反り、及び実装時のリフロー処理後のパッケージ反り量が小さく、半導体素子のサイズが小さい薄型LOC構造型の半導体装置の封止に適したエポキシ樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】エポキシ樹脂、フェノール樹脂、硬化促進剤及び無機充填材を必須成分とするエポキシ樹脂組成物であって、硬化促進剤が2−アリール4,5−ジフェニルイミダゾールであり、無機充填材の配合量が全エポキシ樹脂組成物に対し85〜91重量%であり、且つ樹脂組成物の硬化物の収縮率とリードフレーム及び半導体素子との収縮率の差がいずれも0.28%以下であることを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
【解決手段】エポキシ樹脂、フェノール樹脂、硬化促進剤及び無機充填材を必須成分とするエポキシ樹脂組成物であって、硬化促進剤が2−アリール4,5−ジフェニルイミダゾールであり、無機充填材の配合量が全エポキシ樹脂組成物に対し85〜91重量%であり、且つ樹脂組成物の硬化物の収縮率とリードフレーム及び半導体素子との収縮率の差がいずれも0.28%以下であることを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、メモリー用のLOC(リードオンチップ)構造の各種薄型半導体装置に適した半導体封止用エポキシ樹脂組成物、及びこれを用いた半導体装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子機器の小型化、軽量化、高性能化の市場動向において、半導体パッケージについても小型化、軽量化、高性能化が求められてきた。メモリパッケージについては容量の増大と小型化といった相反する要求が求められ、パッケージサイズレベルの半導体素子の搭載が可能なLOC(リードオンチップ)構造が開発、導入された。LOC構造とは、ダイパッドレスのリードフレームのインナーリードに半導体素子をポリイミドの両面テープを介して接着し、エポキシ樹脂組成物で封止したものである。LOC構造は従来構造より表面実装時の耐クラック性が優れているという特徴がある。半導体パッケージの表面実装化が一般的になってきている現状では、吸湿した半導体パッケージが半田リフロー処理時に高温にさらされ、リードフレームや半導体素子とエポキシ樹脂組成物の硬化物との界面に剥離が発生し、硬化物にクラックを生じる等、半導体パッケージの信頼性を大きく損なう不良が生じる恐れがあるが、LOC構造では接着界面が従来構造より少ないため、耐半田クラック性の向上にもつながった。
【0003】
近年、半導体素子の高集積化技術の進歩により、半導体素子のサイズを小さくすることが可能となり、LOC構造でも従来のようなパッケージサイズレベルでなく、パッケージ面積の半分以下の半導体素子が搭載されるようになった。接着界面のさらなる低減により耐半田クラック性も向上したが、半導体パッケージに反りが生じ、表面実装に問題が生じるようになった。半導体パッケージの反りの原因は構成部材の成形温度、室温間での収縮率の差である。成形温度、室温間の収縮率はリードフレーム、半導体素子は0.1%未満、エポキシ樹脂組成物は0.2〜0.5%程度であり、エポキシ樹脂組成物の収縮率とリードフレーム、半導体素子の収縮率の差が反りの原因である。
【0004】
パッケージサイズの半導体素子を搭載したLOCパッケージの場合は、封止樹脂の上下厚みがほぼ同じになるように設計すれば半導体パッケージの反りを低減できたが、半導体素子のサイズによっては、設計の変更による反り量の低減は困難である。先に述べたようにLOC構造では、ダイパッドレスのリードフレームのインナーリードが半導体素子上に配置され、半導体素子はポリイミドの両面テープを介してインナーリードの下側に配置されている。このため、半導体素子が存在しない半導体パッケージの端部では厚み方向で上部寄りに配置されているリードフレームと封止樹脂の収縮率の差により凸の反りが生じ、半導体素子搭載部分では、半導体素子がパッケージの厚み方向で下部寄りに配置されているため、封止樹脂とシリコンチップの収縮率の差により凹の反りを生じる。つまり、同一パッケージの端部と中央部で方向の違う反りが生じることになる。LOCパッケージではLOCパッケージの面積のおおよそ20%〜80%の半導体素子が搭載されるが、半導体素子がLOCパッケージの35%以下、或いは70%以上になると、周辺部、内部の方向の異なる反りでパッケージ全体の反りを相殺できなくなり、パッケージ全体の反りが大きくなる。LOCの構造上、パッケージ全体でインナーリード、半導体素子の配置に対し、封止樹脂の上下厚みをほぼ同じように合わせることは不可能であるため、あらゆるチップサイズのLOC構造パッケージに適用可能な低収縮で反り量が小さなエポキシ樹脂組成物が求められている。
【0005】
樹脂組成物の硬化物の収縮率はリードフレーム及び半導体素子との収縮率に比べ大きいため、樹脂組成物の硬化物の収縮率とリードフレーム及び半導体素子との収縮率の差を小さくするには樹脂組成物の硬化物の収縮率を低減することが必要である。樹脂組成物の硬化物の収縮率を低減する方法としては多官能エポキシ樹脂、多官能フェノール樹脂を使用し、無機充填剤の配合量を高くする方法が知られているが(例えば、特許文献1,2参照。)、多官能エポキシ、多官能フェノールの併用では樹脂組成物の粘度が高くなり流動性が低下するため薄型LOCパッケージへの適用は困難であった。また特に多官能エポキシ、多官能フェノールを併用し無機充填剤の配合量を高くした場合はさらに流動性が低下し、収縮率は低くても成型性の点から薄型LOCパッケージへ適用出来なかった。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−63487号公報(第2〜7頁)
【特許文献2】
特開2000−63488号公報(第2〜7頁)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、LOC構造の薄型半導体パッケージで成形後、及び実装時におけるリフロー後のパッケージの反り量が小さい半導体封止用エポキシ樹脂組成物、及びこれを用いた半導体装置を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、
[1](A)エポキシ樹脂、(B)フェノール樹脂、(C)硬化促進剤及び(D)無機充填材を必須成分とするエポキシ樹脂組成物であって、(C)硬化促進剤が2−アリール4,5−ジフェニルイミダゾールであり、(D)無機充填材の配合量が全エポキシ樹脂組成物に対し85〜91重量%であり、且つ樹脂組成物の硬化物の収縮率とリードフレーム及び半導体素子との収縮率の差がいずれも0.28%以下であることを特徴とするエポキシ樹脂組成物、
[2]第[1]項記載のエポキシ樹脂組成物を用いて半導体素子を封止してなることを特徴とするリードオンチップ構造型半導体装置、
である。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、ダイパッドレスのリードフレームのインナーリードに半導体素子をポリイミドの両面テープを介して接着し、エポキシ樹脂組成物で封止した半導体装置、いわゆるリードオンチップ(LOC)構造の半導体装置で、あらゆるサイズの半導体素子に対し有効である。
本発明は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、硬化促進剤及び無機充填材を必須成分とするエポキシ樹脂組成物であって、硬化促進剤が2−アリール4,5−ジフェニルイミダゾールであり、(D)無機充填材の配合量が全エポキシ樹脂組成物に対し85〜91重量%であり、且つ樹脂組成物の硬化物の収縮率とリードフレーム及び半導体素子との収縮率の差がいずれも0.28%以下であることにより、LOC構造の薄型半導体パッケージで成形後、及び実装時におけるリフロー後のパッケージの反り量が小さい半導体封止用エポキシ樹脂組成物、及びこれを用いた半導体装置が得られるものである。
以下、本発明について詳細に説明する。
【0010】
本発明者らは、その硬化物の収縮率が異なるエポキシ樹脂組成物を用いて、LOCパッケージを作製し、半導体パッケージの反り量を測定した結果、エポキシ樹脂組成物の硬化物の収縮率とリードフレーム及び半導体素子の収縮率の差がいずれも0.28%以下であれば、半導体素子の占有率が35%以下と小さいものに対しても70%以上と大きいものに対しても、表面実装に悪影響が生じないことを見出した。ここで本発明者らは、エポキシ樹脂組成物の硬化物の収縮率を〔(成形温度における金型寸法−室温におけるエポキシ樹脂組成物の硬化物の寸法)/成形温度における金型寸法〕×100で定義し、リードフレームの収縮率を〔{リードフレームの線膨張係数×(成形温度−室温)}/{1+リードフレームの線膨張係数×(成形温度−室温)}〕×100で定義し、半導体素子の収縮率を〔{半導体素子の線膨張係数×(成形温度−室温)}/{1+半導体素子の線膨張係数×(成形温度−室温)}〕×100で定義した。また、式中の成形温度とは、エポキシ樹脂組成物を加熱硬化する時の金型温度を指し、通常は160〜190℃の範囲であるが、この温度範囲に限定されるものではない。
【0011】
エポキシ樹脂組成物の硬化物の線膨張係数はガラス領域で0.7×10−5〜1.5×10−5/℃、ゴム領域で2.5×10−5〜6×10−5/℃程度であり、さらに熱硬化樹脂であるエポキシ樹脂組成物は硬化反応の際、新たな化学結合の生成があるので反応収縮が見られる。エポキシ樹脂組成物の硬化物の収縮率は、成形温度と室温の温度差での熱収縮と反応収縮の和であり、エポキシ樹脂組成物の組成によって変わるが一般的に0.2〜0.5%の範囲にある。これに対し、42アロイ材であるリードフレームの線膨張係数とシリコンから成る半導体素子の線膨張係数は、ほぼ同じ値でそれぞれ4.5×10−6/℃、4.2×10−6/℃と、エポキシ樹脂組成物の硬化物の線膨張係数と比較して小さい。成形温度と室温の温度差によって生じるリードフレーム及び半導体素子の収縮率は0.1%未満である。室温を25℃とした場合、リードフレームの収縮率は〔{リードフレームの線膨張係数×(成形温度−25℃)}/{1+リードフレームの線膨張係数×(成形温度−25℃)}〕×100で、半導体素子の収縮率は〔{半導体素子の線膨張係数×(成形温度−25℃)}/{1+半導体素子の線膨張係数×(成形温度−25℃)}〕×100でそれぞれ算出できる。リードフレームの収縮率は成形温度が160℃で0.061%、175℃で0.067%、190℃で0.074%である。半導体素子の収縮率は成形温度が160℃で0.057%、175℃で0.063%、190℃で0.069%である。このエポキシ樹脂組成物の収縮率とリードフレーム、半導体素子の収縮率の差によってLOCパッケージの反りが生じる。
【0012】
LOC構造では、ダイパッドレスのリードフレームのインナーリードが半導体素子の上に配置され、半導体素子はポリイミドの両面テープを介してインナーリードの下側に配置されている。このため、パッケージの半導体素子が存在しない端部では厚み方向で上部寄りに配置されているリードフレームと封止樹脂の収縮率の差により凸の反りが生じ、半導体素子搭載部分では、半導体素子がパッケージの厚み方向で下部寄りに配置されているため、封止樹脂とシリコンチップの収縮率の差により凹の反りを生じ、同一パッケージの端部と中央部で方向の違う反りが生じる。LOCパッケージではLOCパッケージの面積のおおよそ20%〜80%の半導体素子が搭載されるが、半導体素子がLOCパッケージの35%以下、或いは70%以上になると、周辺部、内部の方向の異なる反りでパッケージ全体の反りを相殺できなくなり、パッケージ全体の反りが大きくなる。
【0013】
エポキシ樹脂組成物の硬化物の収縮率とリードフレーム及び半導体素子の収縮率の差がいずれも0.28%以下であれば、反り量が小さく、表面実装時に半導体パッケージの全てのリードを回路基板に接合することが可能になる。エポキシ樹脂組成物の成形収縮率とリードフレーム及び半導体素子の収縮率の差が上限値を超えると、半導体パッケージの反り量が大きくなり、表面実装時に半導体パッケージの凸部にあるリードを回路基板に接合することが出来なくなる。
【0014】
本発明で用いられるエポキシ樹脂としては、エポキシ基を有するモノマー、オリゴマー、ポリマー全般であり、その分子量、分子構造は特に限定するものではないが、例えば、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、アルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、トリアジン核含有エポキシ樹脂、ナフタレン骨格を含むエポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂等が挙げられ、これらは単独でも混合して用いてもよい。
特にエポキシ樹脂組成物の硬化収縮を抑えるため、1分子中に2個以上のエポキシ基を有し、全エポキシ樹脂の平均エポキシ当量が150〜300の硬化収縮の小さいエポキシ樹脂が望ましい。
【0015】
本発明で用いられるフェノール樹脂としては、上記のエポキシ樹脂と硬化反応して架橋構造を形成することができるフェノール性水酸基を有するモノマー、オリゴマー、ポリマー全般であり、その分子量、分子構造は特に限定するものではないが、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、パラキシリレン変性フェノール樹脂、メタキシリレン・パラキシリレン変性フェノール樹脂等のフェノールアラルキル樹脂、ナフタレン骨格を含む樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂、トリフェノールメタン樹脂等が挙げられ、これらは単独でも混合して用いてもよい。
特にエポキシ樹脂組成物の硬化収縮を抑えるため、1分子中に2個以上のフェノール性水酸基を有し、全フェノール樹脂の平均水酸基当量が70〜250の硬化収縮の小さいフェノール樹脂が望ましい。
【0016】
全エポキシ樹脂のエポキシ基と全フェノール樹脂のフェノール性水酸基の当量比については、エポキシ基数/フェノール性水酸基数=0.5〜1.8の範囲が好ましく、さらに好ましくはエポキシ基数/フェノール性水酸基数=0.8〜1.2である。この範囲を外れると、樹脂組成物の硬化性の低下、或いは硬化物のガラス転移温度の低下、耐湿信頼性の低下等が生じるので好ましくない。
【0017】
本発明で用いられる硬化促進剤は、2−アリール4,5−ジフェニルイミダゾールである。イミダゾール化合物はエポキシ基の開環重合反応も促進する。この場合、エポキシ基が2官能性として作用するので架橋密度が高く、収縮率の小さい硬化物が得られる。一般に、エポキシ樹脂とフェノール樹脂との架橋反応の硬化促進剤となり得るものとしては、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、トリブチルアミン等のアミン化合物、トリフェニルホスフィン、テトラフェニルホスフォニウム・テトラフェニルボレート塩等の有機リン系化合物があるが、エポキシ樹脂とフェノール化合物の付加反応のみ促進する、即ちエポキシ基が1官能性として作用するので収縮率の小さなエポキシ樹脂を得ることが難しい。
また、従来のイミダゾール化合物は、エポキシ樹脂に含まれるハロゲンを引き抜く効果があるのでイオン性不純物は多く、信頼性が低下するので半導体封止樹脂には補助的にごく少量しか用いることができなかったが、2−アリール4,5−ジフェニルイミダゾールはエポキシ樹脂中のハロゲンを引き抜く効果が小さいため、半導体封止樹脂に適している。2−アリール4,5−ジフェニルイミダゾールの配合量としては、全エポキシ樹脂中に0.05重量%以上、0.15重量%以下が望ましい。下限値を下回ると実用的な硬化促進効果が得られない可能性がある。上限値を越えると硬化速度が速くなり、実用的な流動性が得られない可能性がある。
【0018】
本発明で用いられる無機充填材の種類については特に制限はなく、一般に封止材料に用いられているものを使用することができる。例えば、溶融シリカ、結晶シリカ、2次凝集シリカ、アルミナ、チタンホワイト、水酸化アルミニウム、タルク、クレー、ガラス繊維等が挙げられ、特に溶融シリカが好ましい。溶融シリカは、破砕状、球状のいずれでも使用可能であるが、配合量を高め、且つエポキシ樹脂組成物の溶融粘度の上昇を抑えるためには、球状シリカを主に用いる方がより好ましい。更に球状シリカの配合量を高めるためには、球状シリカの粒度分布をより広くとるよう調整することが望ましい。また、無機充填材は、予めカップリング剤等で表面処理されているものを用いてもよい。
また、本発明で用いられる無機充填材の配合量については、エポキシ樹脂組成物の収縮率を抑えるため、及びエポキシ樹脂組成物の成形時の流動性を損なわないために、全エポキシ樹脂組成物に対し85〜91重量%とすることが必須である。
【0019】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、(A)〜(D)を必須成分とするが、これ以外に必要に応じてシランカップリング剤、燐系難燃剤、ブロム化エポキシ樹脂、酸化アンチモン、無機水酸化物等の難燃剤、カーボンブラック、ベンガラ等の着色剤及びシリコーンオイル、ゴム等の低応力添加剤、離型剤等の種々の添加剤を適宜配合しても差し支えない。
また本発明の封止用エポキシ樹脂組成物を成形材料として製造するには、(A)〜(D)成分、その他の添加剤をミキサー等により十分に均一混合した後、更に熱ロール又はニーダー等で溶融混合し、冷却後粉砕して成形材料とすることができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物を用いて、半導体等の電子部品を封止し、半導体装置を製造するには、トランスファーモールド、コンプレッションモールド、インジェクションモールド等の従来からの成形方法で硬化成形すれば良い。
【0020】
【実施例】
以下に本発明を実施例で示すが、これら実施例に本発明が限定されるものではない。各成分の配合割合は重量部とする。
実施例1〜4、比較例1〜4
使用した成分は下記のとおりである。
エポキシ樹脂A:ビフェニル型エポキシ樹脂
(ジャパンエポキシレジン(株)製、YX−4000、エポキシ当量190、融点105℃)
エポキシ樹脂B:オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂
(日本化薬(株)製、EOCN1020、軟化点55℃、エポキシ当量196)
エポキシ樹脂C:ブロモ化エポキシ樹脂
(大日本インキ化学工業(株)製、エピクロン−152S、エポキシ当量359)
フェノール樹脂A:フェノールアラルキル樹脂
(三井化学(株)製、XLC、軟化点71℃、水酸基当量174)
溶融シリカ :平均粒径20μm
2−フェニル4,5−ジフェニルイミダゾール
2−メチルイミダゾール
1,8−ジアザビシクロ(5、4、0)ウンデセン−7(以下、DBUという)
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
カルナバワックス
カーボンブラック
表1に従って配合し、室温でミキサーを用いて混合し、50〜130℃で2軸ロールにより混練し、冷却後粉砕し成形材料とし、これをタブレット化して半導体封止用エポキシ樹脂組成物を得た。得られたエポキシ樹脂組成物を以下の方法で評価した。結果を表1に示す。
【0021】
《評価方法》
スパイラルフロー:EMMI−1−66に準じたスパイラルフロー測定用の金型を用いて、金型温度175℃、注入圧力6.9MPa、硬化時間2分で測定した。スパイラルフローは流動性のパラメーターであり、数値が大きい方が流動性良好である。単位はcm。
エポキシ樹脂組成物の硬化物の臭素イオン量:金型温度175℃、注入圧力7.5MPa、硬化時間2分でトランスファー成型機を用いて50mmφ×3mmの試験片を成形した。175℃、8時間の後硬化の後に微粉砕し、5gの粉砕品に50mlの蒸留水を加え、テフロン(R)ライニングした容器に入れ、125℃20時間の処理を行い、処理後の上澄み液をイオンクロマトグラフ分析により臭素イオンの定量を行った。
【0022】
エポキシ樹脂組成物の硬化物の収縮率:JIS K 6911を参考にして、一部変更を加えておこなった。JIS K 6911では成形収縮率が室温における金型寸法に対する室温における成形品寸法の関係で定義されているが、本発明においては成形温度における金型寸法を基準にして硬化物の収縮率を求めた。JIS K 6911の成形収縮率試験片を、金型温度175℃、注入圧力7.5MPa、硬化時間2分で、トランスファー成型機を用いて成形し、175℃、8時間の後硬化の後に室温まで冷却してからノギスにより寸法の測定を行い、下記式により算出した。単位は%。
エポキシ樹脂組成物の硬化物の収縮率=〔(175℃における金型寸法−25℃におけるエポキシ樹脂組成物の硬化物の寸法)/175℃における金型寸法〕×100
エポキシ樹脂組成物の硬化物の収縮率とリードフレームの収縮率の差:TMA法で求めたリードフレームの線膨張係数4.5×10−6/℃と成形温度175℃から次式よりリードフレームの収縮率を求めた。
リードフレームの収縮率=〔{リードフレームの線膨張係数×(成形温度−25℃)}/{1+リードフレームの線膨張係数×(成形温度−25℃)}〕×100=〔{4.5×10−6×(175−25)}/{1+4.5×10−6×(175−25)}〕×100≒0.067
さらにエポキシ樹脂組成物の硬化物の収縮率とリードフレームの収縮率の差は次式により算出した。
エポキシ樹脂組成物の硬化物の収縮率とリードフレームの収縮率の差=エポキシ樹脂組成物の硬化物の収縮率−リードフレームの収縮率
エポキシ樹脂組成物の硬化物の収縮率と半導体素子の収縮率の差:TMA法で求めた半導体素子の線膨張係数4.2×10−6/℃と成形温度175℃から次式より半導体素子の収縮率を求めた。
半導体素子の収縮率=〔{半導体素子の線膨張係数×(成形温度−25℃)}/{1+半導体素子の線膨張係数×(成形温度−25℃)}〕×100=〔{4.2×10−6×(175−25)}/{1+4.2×10−6×(175−25)}〕×100≒0.063
さらにエポキシ樹脂組成物の硬化物の収縮率と半導体素子の収縮率の差は次式により算出した。
エポキシ樹脂組成物の硬化物の収縮率と半導体素子の収縮率の差=エポキシ樹脂組成物の硬化物の収縮率−半導体素子の収縮率
【0023】
パッケージ反り量:使用したパッケージは50pTSOP(LOC構造、パッケージサイズ:21×10×1.0mm、42アロイリードフレーム、チップサイズ:8.5×5.0×0.32mm、11.0×6.0×0.32mm、18.8×8.8×0.32mm)。表面にポリイミド樹脂皮膜を有する半導体素子をTSOP型リードフレーム(42アロイ材、インナーリード先端を銀メッキで被覆)に載置した後、前記樹脂組成物を用いて175℃、9.8MPa、1分で硬化し各材料毎に5個のパッケージを得、175℃、8時間の後硬化を行った後、パッケージ反り量を測定した。さらに260℃のIRリフロー処理(ピーク温度260℃以上5秒〜10秒)を行った後パッケージ反り量を測定した。反り量の測定は、(株)東京精密製の表面粗さ計surfcom 1500Aを使用し、パッケージの長手方向の中心線上19.0mmを走査速度0.6mm/sでスキャンして行った。得られたパッケージの高低差を反り量とし、5個の平均値を求めた。
【0024】
【表1】
【0025】
【発明の効果】
本発明に従うと、成形性に優れ、あらゆるサイズの半導体素子を搭載した薄型LOC構造型の半導体装置の封止に適したエポキシ樹脂組成物が得られ、これを用いた半導体装置は、成形後のパッケージ反り量が小さく、且つ実装時のリフロー処理後の反りが非常に小さい。
【発明の属する技術分野】
本発明は、メモリー用のLOC(リードオンチップ)構造の各種薄型半導体装置に適した半導体封止用エポキシ樹脂組成物、及びこれを用いた半導体装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子機器の小型化、軽量化、高性能化の市場動向において、半導体パッケージについても小型化、軽量化、高性能化が求められてきた。メモリパッケージについては容量の増大と小型化といった相反する要求が求められ、パッケージサイズレベルの半導体素子の搭載が可能なLOC(リードオンチップ)構造が開発、導入された。LOC構造とは、ダイパッドレスのリードフレームのインナーリードに半導体素子をポリイミドの両面テープを介して接着し、エポキシ樹脂組成物で封止したものである。LOC構造は従来構造より表面実装時の耐クラック性が優れているという特徴がある。半導体パッケージの表面実装化が一般的になってきている現状では、吸湿した半導体パッケージが半田リフロー処理時に高温にさらされ、リードフレームや半導体素子とエポキシ樹脂組成物の硬化物との界面に剥離が発生し、硬化物にクラックを生じる等、半導体パッケージの信頼性を大きく損なう不良が生じる恐れがあるが、LOC構造では接着界面が従来構造より少ないため、耐半田クラック性の向上にもつながった。
【0003】
近年、半導体素子の高集積化技術の進歩により、半導体素子のサイズを小さくすることが可能となり、LOC構造でも従来のようなパッケージサイズレベルでなく、パッケージ面積の半分以下の半導体素子が搭載されるようになった。接着界面のさらなる低減により耐半田クラック性も向上したが、半導体パッケージに反りが生じ、表面実装に問題が生じるようになった。半導体パッケージの反りの原因は構成部材の成形温度、室温間での収縮率の差である。成形温度、室温間の収縮率はリードフレーム、半導体素子は0.1%未満、エポキシ樹脂組成物は0.2〜0.5%程度であり、エポキシ樹脂組成物の収縮率とリードフレーム、半導体素子の収縮率の差が反りの原因である。
【0004】
パッケージサイズの半導体素子を搭載したLOCパッケージの場合は、封止樹脂の上下厚みがほぼ同じになるように設計すれば半導体パッケージの反りを低減できたが、半導体素子のサイズによっては、設計の変更による反り量の低減は困難である。先に述べたようにLOC構造では、ダイパッドレスのリードフレームのインナーリードが半導体素子上に配置され、半導体素子はポリイミドの両面テープを介してインナーリードの下側に配置されている。このため、半導体素子が存在しない半導体パッケージの端部では厚み方向で上部寄りに配置されているリードフレームと封止樹脂の収縮率の差により凸の反りが生じ、半導体素子搭載部分では、半導体素子がパッケージの厚み方向で下部寄りに配置されているため、封止樹脂とシリコンチップの収縮率の差により凹の反りを生じる。つまり、同一パッケージの端部と中央部で方向の違う反りが生じることになる。LOCパッケージではLOCパッケージの面積のおおよそ20%〜80%の半導体素子が搭載されるが、半導体素子がLOCパッケージの35%以下、或いは70%以上になると、周辺部、内部の方向の異なる反りでパッケージ全体の反りを相殺できなくなり、パッケージ全体の反りが大きくなる。LOCの構造上、パッケージ全体でインナーリード、半導体素子の配置に対し、封止樹脂の上下厚みをほぼ同じように合わせることは不可能であるため、あらゆるチップサイズのLOC構造パッケージに適用可能な低収縮で反り量が小さなエポキシ樹脂組成物が求められている。
【0005】
樹脂組成物の硬化物の収縮率はリードフレーム及び半導体素子との収縮率に比べ大きいため、樹脂組成物の硬化物の収縮率とリードフレーム及び半導体素子との収縮率の差を小さくするには樹脂組成物の硬化物の収縮率を低減することが必要である。樹脂組成物の硬化物の収縮率を低減する方法としては多官能エポキシ樹脂、多官能フェノール樹脂を使用し、無機充填剤の配合量を高くする方法が知られているが(例えば、特許文献1,2参照。)、多官能エポキシ、多官能フェノールの併用では樹脂組成物の粘度が高くなり流動性が低下するため薄型LOCパッケージへの適用は困難であった。また特に多官能エポキシ、多官能フェノールを併用し無機充填剤の配合量を高くした場合はさらに流動性が低下し、収縮率は低くても成型性の点から薄型LOCパッケージへ適用出来なかった。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−63487号公報(第2〜7頁)
【特許文献2】
特開2000−63488号公報(第2〜7頁)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、LOC構造の薄型半導体パッケージで成形後、及び実装時におけるリフロー後のパッケージの反り量が小さい半導体封止用エポキシ樹脂組成物、及びこれを用いた半導体装置を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、
[1](A)エポキシ樹脂、(B)フェノール樹脂、(C)硬化促進剤及び(D)無機充填材を必須成分とするエポキシ樹脂組成物であって、(C)硬化促進剤が2−アリール4,5−ジフェニルイミダゾールであり、(D)無機充填材の配合量が全エポキシ樹脂組成物に対し85〜91重量%であり、且つ樹脂組成物の硬化物の収縮率とリードフレーム及び半導体素子との収縮率の差がいずれも0.28%以下であることを特徴とするエポキシ樹脂組成物、
[2]第[1]項記載のエポキシ樹脂組成物を用いて半導体素子を封止してなることを特徴とするリードオンチップ構造型半導体装置、
である。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、ダイパッドレスのリードフレームのインナーリードに半導体素子をポリイミドの両面テープを介して接着し、エポキシ樹脂組成物で封止した半導体装置、いわゆるリードオンチップ(LOC)構造の半導体装置で、あらゆるサイズの半導体素子に対し有効である。
本発明は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、硬化促進剤及び無機充填材を必須成分とするエポキシ樹脂組成物であって、硬化促進剤が2−アリール4,5−ジフェニルイミダゾールであり、(D)無機充填材の配合量が全エポキシ樹脂組成物に対し85〜91重量%であり、且つ樹脂組成物の硬化物の収縮率とリードフレーム及び半導体素子との収縮率の差がいずれも0.28%以下であることにより、LOC構造の薄型半導体パッケージで成形後、及び実装時におけるリフロー後のパッケージの反り量が小さい半導体封止用エポキシ樹脂組成物、及びこれを用いた半導体装置が得られるものである。
以下、本発明について詳細に説明する。
【0010】
本発明者らは、その硬化物の収縮率が異なるエポキシ樹脂組成物を用いて、LOCパッケージを作製し、半導体パッケージの反り量を測定した結果、エポキシ樹脂組成物の硬化物の収縮率とリードフレーム及び半導体素子の収縮率の差がいずれも0.28%以下であれば、半導体素子の占有率が35%以下と小さいものに対しても70%以上と大きいものに対しても、表面実装に悪影響が生じないことを見出した。ここで本発明者らは、エポキシ樹脂組成物の硬化物の収縮率を〔(成形温度における金型寸法−室温におけるエポキシ樹脂組成物の硬化物の寸法)/成形温度における金型寸法〕×100で定義し、リードフレームの収縮率を〔{リードフレームの線膨張係数×(成形温度−室温)}/{1+リードフレームの線膨張係数×(成形温度−室温)}〕×100で定義し、半導体素子の収縮率を〔{半導体素子の線膨張係数×(成形温度−室温)}/{1+半導体素子の線膨張係数×(成形温度−室温)}〕×100で定義した。また、式中の成形温度とは、エポキシ樹脂組成物を加熱硬化する時の金型温度を指し、通常は160〜190℃の範囲であるが、この温度範囲に限定されるものではない。
【0011】
エポキシ樹脂組成物の硬化物の線膨張係数はガラス領域で0.7×10−5〜1.5×10−5/℃、ゴム領域で2.5×10−5〜6×10−5/℃程度であり、さらに熱硬化樹脂であるエポキシ樹脂組成物は硬化反応の際、新たな化学結合の生成があるので反応収縮が見られる。エポキシ樹脂組成物の硬化物の収縮率は、成形温度と室温の温度差での熱収縮と反応収縮の和であり、エポキシ樹脂組成物の組成によって変わるが一般的に0.2〜0.5%の範囲にある。これに対し、42アロイ材であるリードフレームの線膨張係数とシリコンから成る半導体素子の線膨張係数は、ほぼ同じ値でそれぞれ4.5×10−6/℃、4.2×10−6/℃と、エポキシ樹脂組成物の硬化物の線膨張係数と比較して小さい。成形温度と室温の温度差によって生じるリードフレーム及び半導体素子の収縮率は0.1%未満である。室温を25℃とした場合、リードフレームの収縮率は〔{リードフレームの線膨張係数×(成形温度−25℃)}/{1+リードフレームの線膨張係数×(成形温度−25℃)}〕×100で、半導体素子の収縮率は〔{半導体素子の線膨張係数×(成形温度−25℃)}/{1+半導体素子の線膨張係数×(成形温度−25℃)}〕×100でそれぞれ算出できる。リードフレームの収縮率は成形温度が160℃で0.061%、175℃で0.067%、190℃で0.074%である。半導体素子の収縮率は成形温度が160℃で0.057%、175℃で0.063%、190℃で0.069%である。このエポキシ樹脂組成物の収縮率とリードフレーム、半導体素子の収縮率の差によってLOCパッケージの反りが生じる。
【0012】
LOC構造では、ダイパッドレスのリードフレームのインナーリードが半導体素子の上に配置され、半導体素子はポリイミドの両面テープを介してインナーリードの下側に配置されている。このため、パッケージの半導体素子が存在しない端部では厚み方向で上部寄りに配置されているリードフレームと封止樹脂の収縮率の差により凸の反りが生じ、半導体素子搭載部分では、半導体素子がパッケージの厚み方向で下部寄りに配置されているため、封止樹脂とシリコンチップの収縮率の差により凹の反りを生じ、同一パッケージの端部と中央部で方向の違う反りが生じる。LOCパッケージではLOCパッケージの面積のおおよそ20%〜80%の半導体素子が搭載されるが、半導体素子がLOCパッケージの35%以下、或いは70%以上になると、周辺部、内部の方向の異なる反りでパッケージ全体の反りを相殺できなくなり、パッケージ全体の反りが大きくなる。
【0013】
エポキシ樹脂組成物の硬化物の収縮率とリードフレーム及び半導体素子の収縮率の差がいずれも0.28%以下であれば、反り量が小さく、表面実装時に半導体パッケージの全てのリードを回路基板に接合することが可能になる。エポキシ樹脂組成物の成形収縮率とリードフレーム及び半導体素子の収縮率の差が上限値を超えると、半導体パッケージの反り量が大きくなり、表面実装時に半導体パッケージの凸部にあるリードを回路基板に接合することが出来なくなる。
【0014】
本発明で用いられるエポキシ樹脂としては、エポキシ基を有するモノマー、オリゴマー、ポリマー全般であり、その分子量、分子構造は特に限定するものではないが、例えば、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、アルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、トリアジン核含有エポキシ樹脂、ナフタレン骨格を含むエポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂等が挙げられ、これらは単独でも混合して用いてもよい。
特にエポキシ樹脂組成物の硬化収縮を抑えるため、1分子中に2個以上のエポキシ基を有し、全エポキシ樹脂の平均エポキシ当量が150〜300の硬化収縮の小さいエポキシ樹脂が望ましい。
【0015】
本発明で用いられるフェノール樹脂としては、上記のエポキシ樹脂と硬化反応して架橋構造を形成することができるフェノール性水酸基を有するモノマー、オリゴマー、ポリマー全般であり、その分子量、分子構造は特に限定するものではないが、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、パラキシリレン変性フェノール樹脂、メタキシリレン・パラキシリレン変性フェノール樹脂等のフェノールアラルキル樹脂、ナフタレン骨格を含む樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂、トリフェノールメタン樹脂等が挙げられ、これらは単独でも混合して用いてもよい。
特にエポキシ樹脂組成物の硬化収縮を抑えるため、1分子中に2個以上のフェノール性水酸基を有し、全フェノール樹脂の平均水酸基当量が70〜250の硬化収縮の小さいフェノール樹脂が望ましい。
【0016】
全エポキシ樹脂のエポキシ基と全フェノール樹脂のフェノール性水酸基の当量比については、エポキシ基数/フェノール性水酸基数=0.5〜1.8の範囲が好ましく、さらに好ましくはエポキシ基数/フェノール性水酸基数=0.8〜1.2である。この範囲を外れると、樹脂組成物の硬化性の低下、或いは硬化物のガラス転移温度の低下、耐湿信頼性の低下等が生じるので好ましくない。
【0017】
本発明で用いられる硬化促進剤は、2−アリール4,5−ジフェニルイミダゾールである。イミダゾール化合物はエポキシ基の開環重合反応も促進する。この場合、エポキシ基が2官能性として作用するので架橋密度が高く、収縮率の小さい硬化物が得られる。一般に、エポキシ樹脂とフェノール樹脂との架橋反応の硬化促進剤となり得るものとしては、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、トリブチルアミン等のアミン化合物、トリフェニルホスフィン、テトラフェニルホスフォニウム・テトラフェニルボレート塩等の有機リン系化合物があるが、エポキシ樹脂とフェノール化合物の付加反応のみ促進する、即ちエポキシ基が1官能性として作用するので収縮率の小さなエポキシ樹脂を得ることが難しい。
また、従来のイミダゾール化合物は、エポキシ樹脂に含まれるハロゲンを引き抜く効果があるのでイオン性不純物は多く、信頼性が低下するので半導体封止樹脂には補助的にごく少量しか用いることができなかったが、2−アリール4,5−ジフェニルイミダゾールはエポキシ樹脂中のハロゲンを引き抜く効果が小さいため、半導体封止樹脂に適している。2−アリール4,5−ジフェニルイミダゾールの配合量としては、全エポキシ樹脂中に0.05重量%以上、0.15重量%以下が望ましい。下限値を下回ると実用的な硬化促進効果が得られない可能性がある。上限値を越えると硬化速度が速くなり、実用的な流動性が得られない可能性がある。
【0018】
本発明で用いられる無機充填材の種類については特に制限はなく、一般に封止材料に用いられているものを使用することができる。例えば、溶融シリカ、結晶シリカ、2次凝集シリカ、アルミナ、チタンホワイト、水酸化アルミニウム、タルク、クレー、ガラス繊維等が挙げられ、特に溶融シリカが好ましい。溶融シリカは、破砕状、球状のいずれでも使用可能であるが、配合量を高め、且つエポキシ樹脂組成物の溶融粘度の上昇を抑えるためには、球状シリカを主に用いる方がより好ましい。更に球状シリカの配合量を高めるためには、球状シリカの粒度分布をより広くとるよう調整することが望ましい。また、無機充填材は、予めカップリング剤等で表面処理されているものを用いてもよい。
また、本発明で用いられる無機充填材の配合量については、エポキシ樹脂組成物の収縮率を抑えるため、及びエポキシ樹脂組成物の成形時の流動性を損なわないために、全エポキシ樹脂組成物に対し85〜91重量%とすることが必須である。
【0019】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、(A)〜(D)を必須成分とするが、これ以外に必要に応じてシランカップリング剤、燐系難燃剤、ブロム化エポキシ樹脂、酸化アンチモン、無機水酸化物等の難燃剤、カーボンブラック、ベンガラ等の着色剤及びシリコーンオイル、ゴム等の低応力添加剤、離型剤等の種々の添加剤を適宜配合しても差し支えない。
また本発明の封止用エポキシ樹脂組成物を成形材料として製造するには、(A)〜(D)成分、その他の添加剤をミキサー等により十分に均一混合した後、更に熱ロール又はニーダー等で溶融混合し、冷却後粉砕して成形材料とすることができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物を用いて、半導体等の電子部品を封止し、半導体装置を製造するには、トランスファーモールド、コンプレッションモールド、インジェクションモールド等の従来からの成形方法で硬化成形すれば良い。
【0020】
【実施例】
以下に本発明を実施例で示すが、これら実施例に本発明が限定されるものではない。各成分の配合割合は重量部とする。
実施例1〜4、比較例1〜4
使用した成分は下記のとおりである。
エポキシ樹脂A:ビフェニル型エポキシ樹脂
(ジャパンエポキシレジン(株)製、YX−4000、エポキシ当量190、融点105℃)
エポキシ樹脂B:オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂
(日本化薬(株)製、EOCN1020、軟化点55℃、エポキシ当量196)
エポキシ樹脂C:ブロモ化エポキシ樹脂
(大日本インキ化学工業(株)製、エピクロン−152S、エポキシ当量359)
フェノール樹脂A:フェノールアラルキル樹脂
(三井化学(株)製、XLC、軟化点71℃、水酸基当量174)
溶融シリカ :平均粒径20μm
2−フェニル4,5−ジフェニルイミダゾール
2−メチルイミダゾール
1,8−ジアザビシクロ(5、4、0)ウンデセン−7(以下、DBUという)
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
カルナバワックス
カーボンブラック
表1に従って配合し、室温でミキサーを用いて混合し、50〜130℃で2軸ロールにより混練し、冷却後粉砕し成形材料とし、これをタブレット化して半導体封止用エポキシ樹脂組成物を得た。得られたエポキシ樹脂組成物を以下の方法で評価した。結果を表1に示す。
【0021】
《評価方法》
スパイラルフロー:EMMI−1−66に準じたスパイラルフロー測定用の金型を用いて、金型温度175℃、注入圧力6.9MPa、硬化時間2分で測定した。スパイラルフローは流動性のパラメーターであり、数値が大きい方が流動性良好である。単位はcm。
エポキシ樹脂組成物の硬化物の臭素イオン量:金型温度175℃、注入圧力7.5MPa、硬化時間2分でトランスファー成型機を用いて50mmφ×3mmの試験片を成形した。175℃、8時間の後硬化の後に微粉砕し、5gの粉砕品に50mlの蒸留水を加え、テフロン(R)ライニングした容器に入れ、125℃20時間の処理を行い、処理後の上澄み液をイオンクロマトグラフ分析により臭素イオンの定量を行った。
【0022】
エポキシ樹脂組成物の硬化物の収縮率:JIS K 6911を参考にして、一部変更を加えておこなった。JIS K 6911では成形収縮率が室温における金型寸法に対する室温における成形品寸法の関係で定義されているが、本発明においては成形温度における金型寸法を基準にして硬化物の収縮率を求めた。JIS K 6911の成形収縮率試験片を、金型温度175℃、注入圧力7.5MPa、硬化時間2分で、トランスファー成型機を用いて成形し、175℃、8時間の後硬化の後に室温まで冷却してからノギスにより寸法の測定を行い、下記式により算出した。単位は%。
エポキシ樹脂組成物の硬化物の収縮率=〔(175℃における金型寸法−25℃におけるエポキシ樹脂組成物の硬化物の寸法)/175℃における金型寸法〕×100
エポキシ樹脂組成物の硬化物の収縮率とリードフレームの収縮率の差:TMA法で求めたリードフレームの線膨張係数4.5×10−6/℃と成形温度175℃から次式よりリードフレームの収縮率を求めた。
リードフレームの収縮率=〔{リードフレームの線膨張係数×(成形温度−25℃)}/{1+リードフレームの線膨張係数×(成形温度−25℃)}〕×100=〔{4.5×10−6×(175−25)}/{1+4.5×10−6×(175−25)}〕×100≒0.067
さらにエポキシ樹脂組成物の硬化物の収縮率とリードフレームの収縮率の差は次式により算出した。
エポキシ樹脂組成物の硬化物の収縮率とリードフレームの収縮率の差=エポキシ樹脂組成物の硬化物の収縮率−リードフレームの収縮率
エポキシ樹脂組成物の硬化物の収縮率と半導体素子の収縮率の差:TMA法で求めた半導体素子の線膨張係数4.2×10−6/℃と成形温度175℃から次式より半導体素子の収縮率を求めた。
半導体素子の収縮率=〔{半導体素子の線膨張係数×(成形温度−25℃)}/{1+半導体素子の線膨張係数×(成形温度−25℃)}〕×100=〔{4.2×10−6×(175−25)}/{1+4.2×10−6×(175−25)}〕×100≒0.063
さらにエポキシ樹脂組成物の硬化物の収縮率と半導体素子の収縮率の差は次式により算出した。
エポキシ樹脂組成物の硬化物の収縮率と半導体素子の収縮率の差=エポキシ樹脂組成物の硬化物の収縮率−半導体素子の収縮率
【0023】
パッケージ反り量:使用したパッケージは50pTSOP(LOC構造、パッケージサイズ:21×10×1.0mm、42アロイリードフレーム、チップサイズ:8.5×5.0×0.32mm、11.0×6.0×0.32mm、18.8×8.8×0.32mm)。表面にポリイミド樹脂皮膜を有する半導体素子をTSOP型リードフレーム(42アロイ材、インナーリード先端を銀メッキで被覆)に載置した後、前記樹脂組成物を用いて175℃、9.8MPa、1分で硬化し各材料毎に5個のパッケージを得、175℃、8時間の後硬化を行った後、パッケージ反り量を測定した。さらに260℃のIRリフロー処理(ピーク温度260℃以上5秒〜10秒)を行った後パッケージ反り量を測定した。反り量の測定は、(株)東京精密製の表面粗さ計surfcom 1500Aを使用し、パッケージの長手方向の中心線上19.0mmを走査速度0.6mm/sでスキャンして行った。得られたパッケージの高低差を反り量とし、5個の平均値を求めた。
【0024】
【表1】
【0025】
【発明の効果】
本発明に従うと、成形性に優れ、あらゆるサイズの半導体素子を搭載した薄型LOC構造型の半導体装置の封止に適したエポキシ樹脂組成物が得られ、これを用いた半導体装置は、成形後のパッケージ反り量が小さく、且つ実装時のリフロー処理後の反りが非常に小さい。
Claims (2)
- (A)エポキシ樹脂、(B)フェノール樹脂、(C)硬化促進剤及び(D)無機充填材を必須成分とするエポキシ樹脂組成物であって、(C)硬化促進剤が2−アリール4,5−ジフェニルイミダゾールであり、(D)無機充填材の配合量が全エポキシ樹脂組成物に対し85〜91重量%であり、且つ樹脂組成物の硬化物の収縮率とリードフレーム及び半導体素子との収縮率の差がいずれも0.28%以下であることを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
- 請求項1記載のエポキシ樹脂組成物を用いて半導体素子を封止してなることを特徴とするリードオンチップ構造型半導体装置。
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