JP2005035841A - カーボンナノチューブを備えた金属ワイヤー又はキャピラリー及びカーボンナノチューブの形成方法 - Google Patents

カーボンナノチューブを備えた金属ワイヤー又はキャピラリー及びカーボンナノチューブの形成方法 Download PDF

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Abstract


【課題】 本発明は、本発明は、大掛かりな真空システムを必要とせず、またマイクロメーターオーダーの石英キャピラリー中で、ほぼ大気圧下でプラズマを発生させることができるマイクロプラズマを利用して、非平坦面である金属ワイヤー表面上又は石英キャピラリー内壁上などに、カーボンナノチューブを成長させる技術を提供することを目的とする。
【解決手段】 ガラス等のセラミックス材料、ポリマー等のプラスチックス材料等の誘電体物質からなるキャピラリー内部に、マイクロプラズマを発生させると共に、カーボンナノチューブの原料となる材料を導入して、キャピラリー内壁面にカーボンナノチューブを形成するカーボンナノチューブの形成方法及びこれによって得られたカーボンナノチューブを備えた金属ワイヤー又はキャピラリー
【選択図】 図2

Description

本発明は、金属ワイヤー表面又はガラス等のセラミックス材料、ポリマー等のプラスチックス材料等の誘電体物質からなるキャピラリー内壁面である非平坦面に、カーボンナノチューブを形成した金属ワイヤー又はキャピラリー及びカーボンナノチューブの形成方法に関し、特に外径が1mm以下、さらには内径約百ミクロンの金属ワイヤー表面、及び内径が5mm以下、さらには内径数百ミクロンの石英キャピラリー内壁上にカーボンナノチューブを形成する技術に関する。
近年、ナノテクノロジーの一貫としてカーボンナノチューブ(CNT)への関心が急速に高まり、一部は実用化の段階にまで達している。このCNTこれまでにCVD法、アーク放電法、レーザーアブレーション法などにより製造されている。
これらの製造方法では、通常大型の真空システムを装備した調製容器を必要とし、調製前に容器内を一旦(高度に)真空引きし、その後原料ガスや不活性ガスを充填するといった、ガスの置換を要する。
また、これらの方法で得られるCNTは、平坦な基板上に成長もしくは反応容器の内壁に粉末状で付着するのが一般的である。
例えば、マイクロ波によるECRプラズマを利用した気相反応によるカーボンナノチューブ薄膜形成CVD装置において、マイクロ波発生システムのマイクロ波導入管の先端部分が成膜室内に設けられ、この先端部分が円錐台形状で末広がりであるホーン形状になっているカーボンナノチューブ薄膜形成装置がある。(特許文献1参照)。これは文献の図で明らかなように平坦な基板が使用されている。
また、耐熱性絶縁基板の一方の平面上に形成された炭素の薄膜上に、Niを蒸着してNi超薄層を形成し、そのNi超薄層及び耐熱性絶縁基板をコロナ放電により帯電させた後、Ni超薄層を加熱溶融して、Ni超微粒子を互いに離間した状態とし、その後、耐熱性絶縁基板及び超微粒子の温度を下げて、Ni超微粒子を凝結させることで耐熱性絶縁基板に固着させ、さらに気相成長法により炭素を供給してNi超微粒子を先端に有するカーボンナノチューブを形成する技術が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
しかし、同文献の図に示されているように、この場合も平坦な基板上に、カーボンナノチューブを形成するものである。
また、真空槽内部に基板を搬入し、試料ステージとターゲットとの間に交流電圧を印加し、ターゲットをスパッタリングさせて基板の表面に、触媒材料からなる薄膜を形成し、その後真空槽内部を原料ガスと置換し、触媒材料の薄膜表面に、カーボンナノチューブの薄膜を大面積の基板上に形成する技術が開示されている。この場合も、平坦な基板上に、カーボンナノチューブを形成するものである(例えば、特許文献3参照)。
上記の従来技術は、いずれも大掛かりな真空システムを必要とするものであり、またその真空システム系内で、平坦な基板上にカーボンナノチューブを形成しようとするものであり、球面(凸面)又は凹面等の複雑な(立体)形状を有する基板へのカーボンナノチューブを形成することはできないという問題があった。
特開2001−192829号公報 特開2002−146534号公報 特開2003−137521号公報
本発明は、大掛かりな真空システムを必要とせず、またマイクロメーターオーダーの石英キャピラリー中で、ほぼ大気圧下でプラズマを発生させることができるマイクロプラズマを利用して、非平坦面である金属ワイヤー表面上又は石英キャピラリー内壁上などに、カーボンナノチューブを成長させる技術を提供することを目的とする。
本発明は、1)金属ワイヤー表面又はガラス等のセラミックス材料、ポリマー等のプラスチックス材料等の誘電体物質からなるキャピラリー内壁面に、1又は複数のカーボンナノチューブを備えている金属ワイヤー又はキャピラリー。2)金属ワイヤーの外径が1mm以下、キャピラリー内径が5mm以下である前記1)記載の金属ワイヤー又はキャピラリー。3)金属ワイヤーの外径が500μm以下、キャピラリー内径が1mm以下である前記1)記載の金属ワイヤー又はキャピラリー。4)金属ワイヤーの先端に1又は複数のカーボンナノチューブを備えている前記1〜3のいずれかに記載の金属ワイヤー又はキャピラリー。5)マイクロプラズマCVDによって形成されたカーボンナノチューブである前記1)〜4)のいずれかに記載の金属ワイヤー又はキャピラリーを提供する。
本発明は、また
6)ガラス等のセラミックス材料、ポリマー等のプラスチックス材料等の誘電体物質からなるキャピラリー内部に、マイクロプラズマを発生させると共に、カーボンナノチューブの原料となる材料を導入して、キャピラリー内壁面にカーボンナノチューブを形成するカーボンナノチューブの形成方法。7)ガラス等のセラミックス材料、ポリマー等のプラスチックス材料等の誘電体物質からなるキャピラリー内部に金属ワイヤーを配置し、マイクロプラズマを発生させると共に、カーボンナノチューブの原料となる材料を導入して、キャピラリー内壁又は金属ワイヤー表面にカーボンナノチューブを形成するカーボンナノチューブの形成方法。8)カーボンナノチューブ形成面が非平坦面である前記6又は7記載のカーボンナノチューブの形成方法。9)金属ワイヤーが高融点金属又は遷移金属である前記7)又は8)記載のカーボンナノチューブの形成方法。10)キャピラリー内部を、ほぼ大気圧に保持する前記6)〜9)のいずれかに記載のカーボンナノチューブの形成方法。11)キャピラリー内部にカーボンナノチューブの原料ガスと共にカーボンナノチューブ成長触媒ガスを導入し、金属ワイヤー又はキャピラリー内壁面にカーボンナノチューブを形成する前記6)〜10)のいずれかに記載のカーボンナノチューブの形成方法。12)キャピラリー内部に予めカーボンナノチューブ成長触媒ガスを導入し、次にこれを停止し、その後カーボンナノチューブの原料ガスを導入して、金属ワイヤー又はキャピラリー内壁面にカーボンナノチューブを形成する前記6)〜10)のいずれかに記載のカーボンナノチューブの形成方法。13)カーボンナノチューブ成長触媒ガスがメタロセンである前記11)又は12)記載のカーボンナノチューブの形成方法。14)金属ワイヤーがカーボンナノチューブ成長触媒能を備えている前記7)〜13)のいずれかに記載のカーボンナノチューブの形成方法。15)金属ワイヤーの先端にカーボンナノチューブを形成した前記7)〜14)のいずれかに記載のカーボンナノチューブの形成方法。16)前記1)〜5)の金属ワイヤー又はキャピラリーを形成した前記6)〜15)のそれぞれに記載のカーボンナノチューブの形成方法。
を提供するものである。
本発明によれば、大掛かりな真空システムを必要とせず、またマイクロメーターオーダーの石英キャピラリー中で、ほぼ大気圧下でプラズマを発生させることができるマイクロプラズマを利用して、非平坦面である金属ワイヤー表面上又は石英キャピラリー内壁上などの立体形状に、さらにはワイヤーの先端等に、カーボンナノチューブを形成できるという優れた効果を有する。
本発明は、大掛かりな真空システムを使用せずに、石英等のキャピラリー内を大気中で操作する。すなわち簡単な脱気とArガス等の不活性ガスへの置換等を行い、ほぼ大気圧、数十ワットの電力で、石英キャピラリー内部でマイクロプラズマを発生させる。通常使用する圧力は大気圧を使用することができる。
大気圧は周知のように、ほぼ1気圧(1013ヘクトパスカル)であるが、この使用するガス圧は状況に応じて任意に変更することができ、必ずしも大気圧程度に限定される必要はない。
発生させたマイクロプラズマ中にカーボンナノチューブ(CNT)の原料ガスであるメタンなどの炭化水素と、CNTの成長触媒ガスであるメタロセン(フェロセン、ニッケルセンなど)を供給すれば、発生マイクロプラズマ周囲の石英キャピラリー内壁上にCNTを効果的に成長させることができる。
また、予め金属ワイヤーを挿入した石英キャピラリー中でマイクロプラズマを発生させ、原料、触媒ガスを供給すれば、金属ワイヤー表面上にCNTを成長させることが可能である。
キャピラリーとしては、内径5mm以下、好ましくは内径1mm以下、さらに好ましくは内径500μm以下のキャピラリーを使用する。内径5mmを超えるとマイクロプラズマの発生が難しくなり、カーボンナノチューブの成長が不安定となる。キャピラリーの材料は誘電体物質であり、ガラス等のセラミックス材料、ポリマー等のプラスチックス材料等を使用する。
金属ワイヤーとしては、プラズマを発生させる条件下で溶融又は揮発しない金属であれば、いずれも使用でき、採用できる金属種類に制限はない。通常W、Mo等の高融点金属、Au,Pt等の貴金属、Fe、Ni、Co等の遷移金属又はインコネルやハステロイ等のこれらの金属を含む合金等が使用できる。
金属ワイヤーとしては、キャピラリー内に挿入が可能なものであり、外径が1mm以下、好ましくは500μm以下、さらには100μm以下のものを使用することができる。これらは、電界放出型電子源用電極、走査型プローブ顕微鏡や走査型電気化学顕微鏡の探針、スーパーキャパシタ用電極、バイオセンサやガスセンサ等の電極等の使用目的に応じてその寸法を任意に選択することができる。
図1の(1−1)に本発明に使用するマイクロプラズマ発生装置の概略図を示す。発生装置は主に、内径がマイクロメーターオーダーの石英キャピラリー1、金属管2、銅製コイル4(20巻)、金属ワイヤー3、高周波(450MHz,UHF)発生器5(5〜30W)、高圧直流電源6(15kV)から構成されている。
石英キャピラリー1中に、Ar等の不活性ガスを供給しながらコイル4に高周波を印加した状態でイグナイターから金属ワイヤー3へ高電圧を数秒印加し、金属ワイヤー3先端とコイル4間で放電を起こさせ、プラズマの発生を誘起させる。符号7はガス供給システムである。
図1の(1−2)に本発明で使用したガス供給システム7の概略図を示す。プラズマガス用のアルゴンガスボンベ9、17、アルゴンガス供給ライン8、カーボン源のメタンガスボンベ11、石英管12、フェロセン13、ヒーター14、石英管内圧力調整バルブ15、フェロセン供給用アルゴンガスライン16、フェロセンガス供給バルブ18、マイクロプラズマ発生器19、ロータリーポンプ20からなり、CNTの成長触媒であるフェロセンガスを供給できるシステムである。
フェロセンは、石英管12中(直径30 mm、長さ100 mm)に所定量セットし、石英管12内を脱気、Arガスで置換した後、ヒーター14で約150°Cに加熱、気化させ、石英管12後方から供給したアルゴンガス(フェロセン輸送用アルゴン)でプラズマ中に供給する。
フェロセンの蒸気圧は非常に高く、その加熱後の石英管12内の圧力は上昇するため、石英管12の後方には圧力コントロールバルブ(石英管内圧力調整バルブ)15を設置する。
使用に際しては、フェロセン供給前に、一旦圧力コントロールバルブ15を開放し、石英管12内の上昇した圧力を大気圧まで減圧した後に、フェロセン供給バルブ18を開放し、フェロセン輸送用アルゴンガスを供給することで、プラズマ中にフェロセンを供給することが望ましい。
上記条件で、マイクロプラズマを発生させると共に、カーボンナノチューブの原料となる材料を導入することにより、キャピラリー内壁面に1又は複数のカーボンナノチューブを形成することができる。
下記に示す顕微鏡写真では、無数のカーボンナノチューブの形成が見られるが、カーボンナノチューブの形成範囲や数量を制御することも可能である。
また、キャピラリー内部に金属ワイヤーを配置し、同様にしてマイクロプラズマを発生させると共に、カーボンナノチューブの原料となる材料を導入して、金属ワイヤー表面にカーボンナノチューブを形成することができる。この場合、同時にキャピラリー内壁にもカーボンナノチューブを形成することもできる。
このようにして形成されたカーボンナノチューブは、極めて特異な構造・形状下にある。すなわち、カーボンナノチューブの形成面は、凹面又は凸面、さらにはワイヤーの先端であり、非平坦面であることである。
微細な金属ワイヤー上又はキャピラリー内壁に形成された特異な構造を持つカーボンナノチューブは、電界放出型電子源用電極、走査型プローブ顕微鏡や走査型電気化学顕微鏡の探針、スーパーキャパシタ用電極、バイオセンサやガスセンサ等の電極等として使用することが可能である。
後述する実施例に示すように、キャピラリー内部に予めカーボンナノチューブ成長触媒ガスを導入し、次にこれを停止し、その後さらにカーボンナノチューブの原料ガスを導入して、金属ワイヤー又はキャピラリー内壁面にカーボンナノチューブを形成することもできる。この場合、2段階の処理となるが、カーボンナノチューブを極めて緻密に形成させることができる。
すなわち、このような被覆操作を用いることにより、極めて滑らかなカーボンナノチューブが形成されたワイヤーを得ることができる。
カーボンナノチューブ成長触媒ガスとしては、通常フェロセン、ニッケルセン等のメタロセンを使用するが、他の成長触媒ガスを使用しても良い。
また、ニッケル、鉄等はそれ自体がカーボンナノチューブ成長触媒能を備えているので、これらの金属を使用した場合には、成長触媒ガスは不要である。しかし、併用を妨げるものではない。
(実施例)
以下に、上記システムを利用した石英キャピラリー内壁上および金属ワイヤー表面上へCNTを成長させる技術の具体的実施例について述べる。なお、以下の実施例は好適な例を示すのみであり、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。すなわち、本発明の技術思想の範囲内での改変又は他の実施態様及び他の実施例及びこれらの変形は、全て本発明に含まれるものである。
(石英キャピラリー内壁上へのCNTの形成(蒸着))
石英管中に約3gの固体フェロセンをセットし、上記手順により予めフェロセンを気化させておいた。
直径100 μmのタングステンワイヤーを挿入した内径700 μmの石英キャピラリー中に、プラズマガスとしてアルゴンガスを500 ccm供給し、大気と同圧の条件下で、30Wの高周波電力でマイクロプラズマを発生させた。
発生させたマイクロプラズマ中に、メタンガスを5 ccmで、気化フェロセンを20 ccmの流量で供給した。
図2の2−1に、この条件で3分間マイクロプラズマを発生させた後の石英キャピラリーの外観写真を示した。石英管の内部が黒色に変化しているのがよく分かる。
図2の2−2及び2−3に、石英管内壁上の堆積物の低倍率および高倍率の透過型電子顕微鏡写真を示した。このように、直径約10 nmの多層CNTが大量に生成していることが分かる。この方法により、内径700 μmの石英キャピラリー内壁上にカーボンナノチューブを形成(蒸着)できることが明らかになった。
(金属ワイヤー表面上へのCNT蒸着)
本実施例2はタングステンワイヤー上へのCNT蒸着であり、さらにメタン、フェロセン同時供給した場合である。
石英管中に約0.1gの固体フェロセンをセットし、上記手順で予めフェロセンを気化させておいた。
直径100 μmのタングステンワイヤーを挿入した内径700 μmの石英キャピラリー中に、プラズマガスとしてアルゴンガスを200 ccm供給し、大気と同圧下で、15 Wの高周波電力でマイクロプラズマを発生させた。
発生させたマイクロプラズマ中に、メタンガスを4 ccm、気化フェロセンを20 ccmの流量で同時に供給した。
図3の3−1、3−2に、この条件で5分間マイクロプラズマを発生させた後のタングステンワイヤー表面の走査型電子顕微鏡写真を示した。このように、マイクロプラズマが発生した領域に対応しタングステンワイヤーの表面上に、直径10〜20 nmのCNTが密に成長しているのが分かる。
気化フェロセンの輸送ガス流量が25 ccmの場合にも、図3に示したものと同様の結果が得られた。図3の3−3に、これらの条件で得られたCNTの代表的な透過型電子顕微鏡写真を示した。
得られたCNTは、フェロセンガス起源の触媒粒子を起点として成長しているのが分かる。
(金属ワイヤー表面上へのCNT蒸着)
本実施例3はタングステンワイヤー上へのCNT蒸着であり、さらにメタン、フェロセン二段階供給法によるCNT蒸着を実施した場合である。
上記実施例2では、マイクロプラズマ中に、メタンとフェロセンを同時に供給する方法を述べたが、ここではメタンとフェロセンを別々に供給し、タングステンワイヤー上にCNTを蒸着した。
マイクロプラズマの発生までは、実施例2と同じである。発生させたマイクロプラズマ中に、気化させたフェロセンのみを50 ccmの流量で供給した。
1分後フェロセンの供給を停止した後、メタンのみを4 ccmの流量で4分間供給した。図4に、この条件でマイクロプラズマを発生させた後のタングステンワイヤー表面の走査型電子顕微鏡写真を示した。
図3の3−1のものと比較して、図4の4−1に見られるワイヤーの表面はスムースである。また、図4の4−2に示したような高倍率観察では、その表面にはCNTが密に成長しているのが分かる。
このように、メタン-フェロセン二段階供給法では、スムースな表面を有したCNT被覆タングステンワイヤーが得られることが明らかになった。
(金属ワイヤー表面上へのCNT蒸着)
本実施例4は鉄ワイヤー上へのCNT蒸着を示す。タングステンワイヤーなど、その材質がCNTの成長触媒能を有していない金属ワイヤー表面上へのカーボンナノチューブ蒸着では、マイクロプラズマ中へ、フェロセンなどのCNT成長触媒の供給が必要である。
これに対して、鉄ワイヤーやニッケルワイヤーなど、その材質自身がカーボンナノチューブの成長触媒能を有する。したがって、ワイヤー上には、メタンガスのみの供給でCNTを蒸着することが可能である。
ここではプラズマガス中へメタンのみを供給し、タングステンワイヤー上にCNTを蒸着した。
直径100 μmの鉄ワイヤーを挿入した内径700 μmの石英キャピラリー中に、アルゴンガスを200 ccm、メタンガスを2 ccm供給し、大気と同圧下、15〜20 Wの高周波電力でマイクロプラズマを10分間発生させた。
図5に、17.5 Wでマイクロプラズマを発生させた後の鉄ワイヤー表面の走査型電子顕微鏡写真を示した。
図5の5−2は、図5の5−1中Aの部分の高倍率観察写真である。鉄ワイヤー表面上にCNTが成長しているのがわかる。
図5の5−3は、図5の5−1中Bの部分の高倍率観察写真である。このように、鉄ワイヤー先端部にもCNTが成長していた。
ワイヤー先端部でのカーボンナノチューブ成長は、タングステンワイヤー上へのCNT蒸着実験では見られなかった結果である。
同様の結果は、マイクロプラズマを15W、20Wの高周波電力で発生させた時にも得られた。このように、鉄ワイヤー表面上へのCNT蒸着実験では、マイクロプラズマ中へメタンガスのみを供給するだけでCNTを蒸着でき、鉄ワイヤーの先端部にもCNTを蒸着できることが明らかになった。
本発明は、大気と同圧の条件下で、金属ワイヤーを挿入した内径マイクロメーターオーダーの石英キャピラリー中で発生させたマイクロプラズマ中に、メタンガスやCNT成長触媒ガスを供給することにより、石英キャピラリー内壁上および金属ワイヤー表面上にCNTを蒸着できるという優れた効果がある。
これによって、電界放出型電子源用電極、走査型プローブ顕微鏡や走査型電気化学顕微鏡の探針、スーパーキャパシタ用電極、バイオセンサやガスセンサ等の電極等に適用できる。
図1の1−1は、マイクロプラズマ発生器模式図であり、図1の1−2は、ガス供給システムの模式図である。 図2の2−1は、内壁にカーボンナノチューブを蒸着した石英キャピラリーを示す写真であり、図2の2−2は、石英キャピラリー内壁に成長したカーボンナノチューブの透過型電子顕微鏡写真であり、図2の2−3は同カーボンナノチューブの高分解透過型電子顕微鏡写真である。 図3の3−1は、メタン、フェロセン同時供給法で得られたタングステンワイヤーの走査型電子顕微鏡写真であり、図3の3−2は、同高分解走査型電子顕微鏡写真であり、図3の3−3は、タングステンワイヤー表面上に成長したカーボンナノチューブの透過型電子顕微鏡写真である。 図4の4−1は、メタン、フェロセン二段階供給法で得られたタングステンワイヤーの走査型電子顕微鏡写真であり、図4の4−2は、同高分解走査型電子顕微鏡写真である。 図5の5−1は、メタンのみを供給してえられた鉄ワイヤーの走査型電子顕微鏡写真であり、図5の5−2は、図5の5−1中のAの部分の高分解走査型電子顕微鏡写真であり、図5の5−3は、5−1の中のBの部分の高分解走査型電子顕微鏡写真である。
符号の説明
1.石英管
2.金属管
3.金属ワイヤー
4.銅製コイル
5.高周波発生器
6.高圧直流電源
7.ガス供給システム
8.アルゴンガス供給ライン
9.アルゴンガスボンベ
10.メタンガス供給ライン
11.メタンガスボンベ
12.石英管
13.フェロセン
14.ヒーター
15.石英管内圧力調整バルブ
16.フェロセン供給用アルゴンガスライン
17.アルゴンガスボンベ
18.フェロセンガス供給バルブ
19.マイクロプラズマ発生器
20.ロータリーポンプ

Claims (16)

  1. 金属ワイヤー表面又はガラス等のセラミックス材料、ポリマー等のプラスチックス材料等の誘電体物質からなるキャピラリー内壁面に、1又は複数のカーボンナノチューブを備えていることを特徴とする金属ワイヤー又はキャピラリー。
  2. 金属ワイヤーの外径が1mm以下、キャピラリー内径が5mm以下であることを特徴とする請求項1記載の金属ワイヤー又はキャピラリー。
  3. 金属ワイヤーの外径が500μm以下、キャピラリー内径が1mm以下であることを特徴とする請求項1記載の金属ワイヤー又はキャピラリー。
  4. 金属ワイヤーの先端に1又は複数のカーボンナノチューブを備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の金属ワイヤー又はキャピラリー。
  5. マイクロプラズマCVDによって形成されたカーボンナノチューブであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の金属ワイヤー又はキャピラリー。
  6. ガラス等のセラミックス材料、ポリマー等のプラスチックス材料等の誘電体物質からなるキャピラリー内部に、マイクロプラズマを発生させると共に、カーボンナノチューブの原料となる材料を導入して、キャピラリー内壁面にカーボンナノチューブを形成することを特徴とするカーボンナノチューブの形成方法。
  7. ガラス等のセラミックス材料、ポリマー等のプラスチックス材料等の誘電体物質からなるキャピラリー内部に金属ワイヤーを配置し、マイクロプラズマを発生させると共に、カーボンナノチューブの原料となる材料を導入して、キャピラリー内壁又は金属ワイヤー表面にカーボンナノチューブを形成することを特徴とするカーボンナノチューブの形成方法。
  8. カーボンナノチューブ形成面が非平坦面であることを特徴とする請求項6又は7記載のカーボンナノチューブの形成方法。
  9. 金属ワイヤーが高融点金属、貴金属、遷移金属又はこれらの金属を含む合金であることを特徴とする請求項7又は8記載のカーボンナノチューブの形成方法。
  10. キャピラリー内部を、ほぼ大気圧に保持することを特徴とする特徴とする請求項6〜9のいずれかに記載のカーボンナノチューブの形成方法。
  11. キャピラリー内部にカーボンナノチューブの原料ガスと共にカーボンナノチューブ成長触媒ガスを導入し、金属ワイヤー又はキャピラリー内壁面にカーボンナノチューブを形成することを特徴とする請求項6〜10のいずれかに記載のカーボンナノチューブの形成方法。
  12. キャピラリー内部に予めカーボンナノチューブ成長触媒ガスを導入し、次にこれを停止し、その後カーボンナノチューブの原料ガスを導入して、金属ワイヤー又はキャピラリー内壁面にカーボンナノチューブを形成することを特徴とする請求項6〜10のいずれかに記載のカーボンナノチューブの形成方法。
  13. カーボンナノチューブ成長触媒ガスがメタロセンであることを特徴とする請求項11又は12記載のカーボンナノチューブの形成方法。
  14. 金属ワイヤーがカーボンナノチューブ成長触媒能を備えていることを特徴とする請求項7〜13のいずれかに記載のカーボンナノチューブの形成方法。
  15. 金属ワイヤーの先端にカーボンナノチューブを形成したことを特徴とする請求項7〜14のいずれかに記載のカーボンナノチューブの形成方法。
  16. 請求項1〜5の金属ワイヤー又はキャピラリーを形成したことを特徴とする請求項6〜15のそれぞれに記載のカーボンナノチューブの形成方法。
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