JP2005035081A - 記録装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】インク吐出口間の温度差を抑制し、温度むらによる濃度むらを既存の記録ヘッドを用いて抑制することができる記録装置を提供することを目的とする。
【解決手段】複数のノズル58が長尺状に配列し、ノズル58からインクを吐出する。各ノズル58は、印字ノズル制御回路80を介してコントローラ82を接続し、コントローラ82の指示により、印字ノズル制御回路80が各ノズル58からのインク吐出を制御する。また、印字ノズル制御回路80は、記録ヘッド40の両端付近のノズル58に設けられた発熱素子の発熱を制御して、ノズルの温度分布を補正する。この時、コントローラ82はノズルの温度分布を補正するためのデータを、画像を表す画像データの印字ライン間に加えて印字ノズル制御回路80へ出力することによってノズル58の発熱素子を制御する。
【選択図】 図1
【解決手段】複数のノズル58が長尺状に配列し、ノズル58からインクを吐出する。各ノズル58は、印字ノズル制御回路80を介してコントローラ82を接続し、コントローラ82の指示により、印字ノズル制御回路80が各ノズル58からのインク吐出を制御する。また、印字ノズル制御回路80は、記録ヘッド40の両端付近のノズル58に設けられた発熱素子の発熱を制御して、ノズルの温度分布を補正する。この時、コントローラ82はノズルの温度分布を補正するためのデータを、画像を表す画像データの印字ライン間に加えて印字ノズル制御回路80へ出力することによってノズル58の発熱素子を制御する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録ヘッドにかかり、特に、サーマルインクジェットプリンタ等の記録装置に適用可能な記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方式の記録濃度は、温度に依存しており、一般に環境温度や記録ヘッド温度が上昇すると記録濃度が上昇する傾向にある。
【0003】
従来の温度制御としては、特許文献1の技術では、環境温度、ヘッド温度、記録画像による記録密度をフィードバックして温度による濃度変化の補正を行うことが提案されている。
【0004】
また、環境温度やヘッド温度に対する制御としては、プレパルス制御(予備加熱)を行う方式が提案されている。すなわち、ノズルの温度を所定の範囲内に維持するように、噴射パルス(メインパルス)に先立ってインクが吐出されないエネルギーのパルス(プレパルス)を印加し、ノズルを加熱しておくことにより、環境温度やヘッド温度が低い場合でも安定した印字を可能にしている。
【0005】
このプレパルス制御を変形した、ノズル間の温度差を解消するための方式が特許文献2に記載されている。
【0006】
特許文献2に記載の技術では、プレパルスとメインパルス、非印字ノズルに対しては、プレパルスのみを印加することにより、印字−非印字ノズル間の温度補正を行うことが提案されている。
【0007】
【特許文献1】
特開平10−217512号公報(第1頁、第1図)
【特許文献2】
特開平6−328722号公報(第1頁、第1図)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、インクジェット記録装置の高画質化に伴ってヘッド内の記録ノズルと非記録ノズルの温度差やヘッド内でのノズル位置によって発生する温度差(例えば、ヘッド端部付近では低温となる等)による濃度むらが問題となってきている。
【0009】
また、特許文献2に記載の技術では、一般にヘッド温度の上昇に伴い、プレパルスのエネルギーを減少させ、ある温度以上に上昇するとプレパルスを印加しないなどの制御を行うため、ヘッド温度がある温度以上に上昇した場合、ノズル間の温度制御が十分に行えなくなってしまう、という問題がある。
【0010】
また、温度補正を行う場合、全ノズルに対してエネルギー(プレパルスまたはプレパルス+メインパルス)を印加するため、消費電力が増加してしまう、という問題がある。
【0011】
本発明は、上記問題を解決すべく成されたもので、インク吐出口間の温度差を抑制し、温度むらによる濃度むらを既存の記録ヘッドを用いて抑制することができる記録装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、インクを加熱する加熱手段の加熱によってインクを吐出するインク吐出口を長尺状に複数配列した記録ヘッドを有する記録装置であって、前記記録ヘッドの両端付近の前記加熱手段の加熱をインク吐出口の温度分布を補正するために制御する制御手段を有することを特徴としている。
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、記録ヘッドは、インク吐出口が長尺状に複数配列されており、加熱手段によってインクが加熱されることによってインクが吐出され、これによって記録が行われる。
【0014】
このような長尺状にインク吐出口が配列された記録ヘッドでは、両端付近のインク吐出口温度が低下する。そこで、制御手段が、記録ヘッドの両端付近の加熱手段の加熱してインク吐出口の温度分布を補正する。このように、インクを吐出するための加熱手段を制御してインク吐出口温度分布を補正することによって、記録ヘッドのインク吐出口温度を一様にすることができ、インク吐出口間の温度差を抑制することができ、温度むらによる濃度むらを抑制することができる。
【0015】
また、専用のヒータ等を設けることなく、インクを吐出するための加熱手段を制御するだけなので、既存の記録ヘッドに容易に適用することが可能である。
【0016】
従って、インク吐出口間の温度差を抑制し、温度むらによる濃度むらを既存の記録ヘッドを用いて抑制することができる。
【0017】
請求項2に記載の発明は、インクを加熱する加熱手段の加熱によってインクを吐出するインク吐出口を長尺状に複数配列した単位記録ヘッドを、隣接する前記単位記録ヘッドが重複するように千鳥配列して構成した記録ヘッドを有する記録装置であって、前記単位記録ヘッドの両端付近の前記加熱手段の加熱をインク吐出口の温度分布を補正するために制御する制御手段を備えることを特徴としている。
【0018】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の記録ヘッドを単位記録ヘッドとして、隣接する単位記録ヘッドが重複するように千鳥状に配列して1つの記録ヘッドとしている。
【0019】
すなわち、各記録ヘッドが、上述したように、インク吐出に用いる加熱手段の加熱を制御してインク吐出口温度分布を補正することによって一様なインク吐出口温度とすることができるので、上記と同様に、インク吐出口間の温度差を抑制し、温度むらによる濃度むらを既存の記録ヘッドを用いて抑制することができる。
【0020】
なお、請求項2に記載の制御手段は、請求項3に記載の発明のように、単位記録ヘッドが重複する部分の加熱手段の加熱を制御することによってインク吐出口の温度分布を補正するようにしてもよい。このように、単位記録ヘッドが重複する部分の加熱手段の加熱を制御してインク吐出口の温度分布を補正することによって、単位記録ヘッドの繋ぎ目の濃度むらを抑制することができる。
【0021】
また、上述の制御手段は、請求項4に記載の発明のように、インクが吐出しない範囲で加熱手段にエネルギーを印加することによってインク吐出口の温度分布を補正することが可能である。すなわち、このように加熱手段にエネルギーを印加することによって、インク吐出口の加熱手段を温度分布補正用のヒータとして機能させることができる。
【0022】
この時、制御手段は、請求項5に記載の発明のように、加熱手段に印加するパルス幅を制御することによって温度分布を補正するようにしてもよいし、請求項6に記載の発明のように、加熱手段に印加するパルス数を制御することによって温度分布を補正するようにしてもよいし、請求項7に記載の発明のように、加熱手段に印加する電圧を制御することによって温度分布を補正するようにしてもよい。
【0023】
また、制御手段は、請求項8に記載の発明のように、記録ヘッドによる記録タイミングと記録タイミング間で加熱手段の加熱を制御する、すなわち、記録を行っていない間にインク吐出口の温度分布を補正するために加熱手段を制御することによって、記録ヘッドの消費電力のピーク値を抑制することが可能となる。
【0024】
さらに、制御手段は、請求項9に記載の発明のように、記録ヘッドによる記録を行う時に用いる画像データと同等のデータを用いることによって加熱手段の加熱を制御することが可能となる。
【0025】
また、請求項1乃至請求項9の何れか1項に記載の記録装置は、請求項10に記載の発明のように、さらに検出手段を備えて、制御手段が検出手段の検出結果に基づいて加熱手段の加熱を制御するようにしてもよい。このように、検出手段を備えて加熱手段を制御することによって、検出手段によって検出した温度に応じて制御手段が温度分布に使用するインク吐出口の加熱手段を制御することが可能となり、インク吐出口毎のインク吐出口温度を一様にすることが可能となる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。
【0027】
まず、本発明の実施の形態に係わる記録装置における記録ヘッドの基本構成について説明する。図1は、本発明の実施の形態に係わる記録装置における記録ヘッドの構成を示す図である。
【0028】
図1に示すように、本発明の実施の形態に係わる記録ヘッド40は、複数のノズル58が長尺状に配列されており、ノズル58からインクが吐出されるようになっている。
【0029】
各ノズル58は、印字ノズル制御回路80を介してコントローラ82が接続されており、コントローラ82の指示により、印字ノズル制御回路80が各ノズル58からのインク吐出を制御する。これによって、記録媒体に画像が記録される。
【0030】
また、印字ノズル制御回路80は、記録ヘッド40の両端付近のノズル58(図1における斜線部分のノズル)に設けられた発熱素子の発熱を制御して、ノズルの温度分布を補正するようになっている。すなわち、コントローラ82はノズルの温度分布を補正するためのデータを画像を表す画像データに加えて印字ノズル制御回路80へ出力する。これによって、記録ヘッド40の両端付近のノズル58に設けられた発熱素子が、ノズルの温度を補正するためのヒータとして機能し、記録ヘッド40の両端部におけるノズル温度が補正される。
【0031】
図2は、本発明の実施の形態に係わる記録装置における記録ヘッドの駆動回路を表す図である。
【0032】
上述の印字ノズル制御回路80は、図2に示すように、噴射タイミング生成回路84、ラッチ回路86、及びシフトレジスタ88を含んで構成され、それぞれコントローラ82に接続されており、コントローラ82の制御によって各ノズル58からのインク吐出を制御する。
【0033】
記録ヘッド40の各ノズル58には、それぞれ発熱素子90及びスイッチング素子92が設けられており、スイッチング素子92のオンオフに応じて、ヒータ電源94から発熱素子90に電流が供給され、発熱素子90の発熱によってノズル58からインクが吐出されるようになっている。また、各ノズル58の発熱素子90及びスイッチング素子92は、アンド回路98を介して、噴射タイミング生成回路84、ラッチ回路86、及びシフトレジスタ88に接続されている。
【0034】
また、記録ヘッド40の各ノズル58には、ノズルの温度を検出するための温度センサ110が設けられており、温度センサ110の検出結果がコントローラ82に出力されるようになっている。そして、コントローラ82が温度センサ110の検出結果に応じて、温度を補正するために発熱素子90を駆動する温度分布補正用データを画像データに加算する。このように構成することによって、温度センサ110によって検出した温度に応じて記録ヘッド40の両端付近の発熱素子90を駆動することによって、各ノズルのノズル温度を一様にすることが可能となる。
【0035】
コントローラ82は、温度分布補正用データを生成する際に、例えば、各ノズル58へ印加するデータを間引く等を行ったデータを生成することによって発熱素子90の発熱量を制御することが可能である。また、温度分布の補正時には、発熱素子90へ電圧を印加する際のパルス幅を変化させることによって発熱素子90の発熱量を制御するようにしてもよいし、発熱素子90へ通電するパルス数を変化させることによって発熱素子90の発熱量を制御するようにしてもよいし、発熱素子90へ通電する時間を変換させることによって発熱素子90の発熱量を制御するようにしてもよい。
【0036】
なお、温度センサ110は、全ノズルに設けずに、両端付記及び中央付近のみに設けてもよいし、両端付近にのみ設けるようにしてもよい。
【0037】
次に、上述のように構成された記録ヘッドを有する記録装置の作用について説明する。図3は、コントローラで行われる処理の流れを示すフローチャートである。
【0038】
ステップ150では、コントローラ82から印字ノズル制御回路80へ印字画像データが転送される。コントローラ82は、ノズルの温度分布補正に用いるノズル58については“0”のデータを付加して印字ノズル制御回路80へ画像データへ転送することによって、ステップ152へ移行して1ライン分の印字が行われる。
【0039】
続いて、ステップ154では、記録ヘッドの温度分布が測定される。すなわち、温度センサ110によって各ノズル58の温度が測定されコントローラ82に入力され、ステップ156へ移行する。
【0040】
ステップ156では、温度センサ110の測定結果に基づいて、コントローラ110によって温度分布補正データが生成され、ステップ158へ移行して、生成した温度分布補正用データが印字ノズル制御回路80に転送される。温度分布補正用データは、印字ノズルデータは“0”として生成、すなわち、記録を行うためのノズル58からはインク吐出を行わない。
【0041】
そして、ステップ160では、温度分布補正パルスが発熱素子90に印加される。これによって、記録ヘッド40の各ノズルにおけるノズル温度が一様に補正され、濃度むらを抑制することができる。
【0042】
次にステップ162では、記録終了か否か判定される。該判定は全ライン分の画像データについて印字が終了したか否かを判定することによってなされ、該判定が否定された場合には、ステップ150に戻って、ステップ162の判定が肯定されるまで上述の処理が繰り返される。
【0043】
図4は、記録ヘッド40の駆動を説明するためのタイミングチャートである。
【0044】
本実施の形態では、画像記録が指示されると、コントローラ82から1ライン分(記録ヘッド40のノズル配列分)の画像データがシフトレジスタ88へ出力されると共に、印字指示が噴射タイミング生成回路84及びラッチ回路86に出力される。これによって、噴射タイミング生成回路84によって生成された噴射タイミングと、シフトレジスタ88に入力された画像データがラッチ回路86によってラッチされて各ノズル58のスイッチング素子92に通電が行われ、各ノズル58の発熱素子90が発熱することによって、各ノズル58からインクが吐出される。
【0045】
ここで、コントローラ82は、1ラインの印字が終了すると、温度センサ110による各ノズル58のノズル温度を測定し、印字ライン間で温度分布を補正するために発熱素子90を駆動するためのデータを生成する。すなわち、図4に示すように印字ライン間で発熱素子90を駆動するためのダミーデータ(ヒータ駆動パルス)を画像データに加えることによって、温度低下に対応するノズル(両端付近のノズル)の発熱素子90に通電が行われる。これによって、ノズルの温度が補正される。すなわち、記録ヘッド40の両端付近では、ノズルの温度が低下しやすいが、印字ライン間で発熱素子90を駆動することによって、記録ヘッド40の各ノズル間の温度差を解消することができ、ノズルの温度差に起因する濃度むらを解消することができる。なお、印字ライン間の発熱素子90への通電は、インクを吐出しないレベルの通電を行うことによって、インクを吐出せずに、温度分布を補正することができる。
【0046】
また、温度分布を補正するために発熱素子90を駆動するタイミングを印字タイミングとずらして駆動するので、記録ヘッド40による消費電力のピーク値を抑えることが可能となる。
【0047】
また、記録ヘッド40の両端付近のノズル温度低下を補正するために、記録ヘッド40に特別なヒータ等を設けることなく、既存のノズル58に設けられた発熱素子90を利用することによって、記録ヘッド40のノズル温度補正を簡易な方法で行うことができる。
【0048】
ところで、上述の記録ヘッド40は、単位記録ヘッドとして複数配列した記録ヘッドを構成することができる。図5は、単位記録ヘッド40を複数配列した記録ヘッドを示す図である。
【0049】
単位記録ヘッド40を複数配列した記録ヘッド44は、単位記録ヘッド40を千鳥状に複数配列して長尺状に構成され、それぞれ隣接する単位記録ヘッド40のノズル列の一部が重複するオーバーラップ領域OLを有するように配置される。
【0050】
オーバーラップ領域OLにおけるノズル列の一部は、図5に示すように、単位記録ヘッド40の温度分布補正用に用いるノズルのみが重複するように配置してもよいし、図6に示すように、温度分布補正用に用いるノズル及び印字に用いるノズルが共に重複するように配置してもよいし、図7に示すように、両端付近のノズルを印字及び温度補正用に共に使用し、印字及び温度補正用に共に使用するノズルを重複するように配置してもよい。図6及び図7の場合には、千鳥状に配列された単位記録ヘッド40を交互に記録する際に、分割印字することにより単位記録ヘッド40の接合部に発生する筋を解消することが可能となる。
【0051】
このように、複数の単位記録ヘッド40を複数配列して長尺状に構成した記録ヘッド44でも、上述したように、印字ライン間で発熱素子90にエネルギーを印加することによって単位記録ヘッド40の接続部の温度を上昇させることにより、ノズル配列の中心部との温度差を解消することができ、濃度むらを抑制することができる。また、上述したように、印字タイミングとずらして発熱素子90を発熱させて温度分布を補正することによって、消費電力のピーク値を抑えることができる。
【0052】
続いて、上述のように構成された単位記録ヘッド40を複数配列した記録ヘッド44を適用したサーマルインクジェット記録装置について説明する。
[インクジェット記録装置の全体構成]
まず、インクジェット記録装置の全体構成について簡単に説明する。図8は、本発明の実施の形態に係わるインクジェット記録装置の概略構成を示す図である。
【0053】
図8に示すように、インクジェット記録装置10は、用紙を送り出す用紙供給部12と、用紙の姿勢を制御するレジ調整部14と、インク滴を吐出して用紙に画像形成する記録ヘッド部16と、記録ヘッド部16のメンテナンスを行うメンテナンス部18とを備える記録部20と、記録部20で画像形成された用紙を排出する排出部22とから基本的に構成されている。
【0054】
用紙供給部12は、用紙が積層されてストックされているストッカ24と、ストッカ24から1枚ずつ枚葉してレジ調整部14に搬送する搬送装置26とから構成されている。
【0055】
レジ調整部14は、ループ形成部28と用紙の姿勢を制御するガイド部材30が備えられており、この部分を通過することによって用紙のコシを利用してスキューが矯正されると共に搬送タイミングが制御されて記録部20に進入する構成である。
【0056】
記録部20については、記録ヘッド部16とメンテナンス部18の間を用紙が搬送される用紙搬送路が構成されており、用紙搬送路を連続的に(停止することなく)搬送される用紙に対して、記録ヘッド部16からインク滴が吐出され当該用紙に画像が形成される構成である。記録ヘッド部16とメンテナンス部18は、それぞれユニット化されており、記録ヘッド部16がメンテナンス部18と用紙搬送路を挟んで分離可能に構成されている。したがって、用紙ジャムの場合に、容易にジャムした用紙を取り出すことができる。
【0057】
排紙部22は、記録部20で画像が形成された用紙を排紙ベルト31を介してトレイ32に収納するものである。
[記録ヘッド部の構成]
次に、記録ヘッド部16について、図9〜図12を参照して詳細に説明する。
図9は、記録ヘッド部16を上側から見た模式図である。
【0058】
記録ヘッド部16は、図9に示すように、用紙搬送方向(図9矢印X方向)に対して直交する用紙幅方向(図9矢印Y方向)に対して一定の間隔で配置された上述した単位記録ヘッド40が6個配置された記録ヘッドアレイ42A、42B(図11参照)が用紙搬送方向に一定間隔で8個配設されることによって基本的に構成されている。
【0059】
単位記録ヘッド40は、図10に示すように、ノズル面40Aにインク吐出するノズル58が一直線上に形成されたものであり、周知のサーマルインクジェット方式によりインク滴が吐出されるものである。例えば、単位記録ヘッド40はノズル配列密度が800dpiで800ノズルとし、噴射周波数が7.56kHzで、顔料インクを使用することが可能とされている。
【0060】
このような単位記録ヘッド40がノズル配列方向が幅方向と一致するように一直線上に共通基板46A、46Bにそれぞれ6個の単位記録ヘッド40が取り付けられることによって記録ヘッドアレイ42A、42Bが形成されている。
【0061】
記録ヘッドアレイ42A、42Bは、図11に示すように、それぞれ6個の単位記録ヘッド40が一定間隔をおいて配設されたものであり、記録ヘッドアレイ42A、42Bでは単位記録ヘッド40のノズル列の一部が記録ヘッドアレイ42A、42B間において重複するオーバーラップ領域OLを有するように配置されている。このようにオーバーラップ領域OLを設けることによって、印字領域内で印字できない領域が発生することを防止している。すなわち、記録ヘッドアレイ42A、42Bの単位記録ヘッド40のノズル58からインク滴を吐出することによって、用紙に対する一色分の印字を行うものである。なお、この一対の記録ヘッドアレイ42A、42Bの組み合わせを記録ヘッド44と称し、記録ヘッド44が上述した、単位記録ヘッド40を複数配列した記録ヘッド44に対応する。
【0062】
記録ヘッド44は、例えば、印字領域が12インチとして、最大用紙幅PWのA3短手幅(A4長手幅)の297mmよりも広く設定することが可能である。
【0063】
記録ヘッド44は、搬送方向上流側からイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の順に印字されてフルカラー印字可能な構成とされ、必要な場合には該当する記録ヘッド44の参照番号にY、M、C、Kの符号を付して(44Y、44M、44C、44Kとして)区別する(図9参照)。以下、他の部材についても同様である。
【0064】
また、図9において、記録ヘッド44Y〜44Kの構成は同一なので、記録ヘッド44Yの構成を代表して説明し、他の記録ヘッド44M〜44Kについては構成要素に対する参照符号のみを付して説明を省略する。
【0065】
記録ヘッド44を構成する記録ヘッドアレイ42Aは、図11に示すように、用紙幅方向に延在する共通基板46Aに6個の単位記録ヘッド40が所定間隔で取り付けられている。すなわち、単位記録ヘッド40は、共通基板46Aに取り付けられることによりこのノズル列が幅方向に並ぶことになる。
【0066】
また、記録ヘッド部16では、搬送方向に沿って記録ヘッドアレイ42間、最上流側の記録ヘッドアレイ42YAよりも上流側、及び最下流側の記録ヘッドアレイ42KBよりも下流側に3つのスターホイール群72A〜72Cが配設されている(図9参照)。スターホイール群72A〜72Cは、幅方向に連続して配置された3本のシャフト74A〜74Cに対し所定間隔をおいてそれぞれ6個のスターホイール70が軸支されている。この各シャフト74A〜74Cは、図13に示すように、両端でスプリング75によって搬送ロール100側に付勢されている。なお、スターホイール70の搬送ロール100側への変位量は、搬送ロール100の表面より僅かに食い込む位置で停止するように、規制部材77が配置されている(図12参照)。
【0067】
ここで、スターホイール70がスプリング75によって搬送ロールに押圧される力は、1個当たり10gfとされている。これは、押圧力が5gfよりも小さいと用紙を搬送ロール100に十分抑えることができず、30gfよりも大きいとスターホール70が用紙を傷つけるためである。
【0068】
また、記録ヘッドアレイ42Aは、各単位記録ヘッド40の隣にスターホール70が配置されている。スターホイール70は、共通基板46Aに嵌合されている支持部材71の先端に板バネ73を介して弾性的に軸支されている(図12参照)。
【0069】
記録ヘッド44は、各単位記録ヘッド40が、上述の記録ヘッドの基本構成で説明した印字ノズル制御回路80によって駆動される。詳細な構成については上述した通りであるため説明を省略する。
【0070】
また、各単位記録ヘッド40の対向する位置には、単位記録ヘッド40のノズル面40Aのクリーニング等を行うメンテナンス装置81が設けられている。
【0071】
次に、インクジェット記録装置10の駆動回路の構成について説明する。図13は、インクジェット記録装置の駆動回路の構成を示すブロック図である。なお、図13では、1色の記録ヘッド44の駆動回路を代表して示す。
【0072】
インクジェット記録装置10の駆動回路は、コントローラ82によって各単位記録ヘッド40が制御されるようになっており、コントローラ82には、単位記録ヘッド毎に接続された印字ノズル制御回路80が接続されている。なお、各色記録ヘッド44の記録ヘッドアレイ毎に設けられたそれぞれの単位記録ヘッド40は、印字ノズル制御回路80を介してコントローラ82に接続されている。
【0073】
それぞれの単位記録ヘッド40は、上記の基本構成で説明した構成とされている。すなわち、単位記録ヘッド40は、それぞれ発熱素子90及びスイッチング素子92を含んで構成されている。
【0074】
また、同様に、各印字ノズル制御回路80も上記の基本構成で説明した構成とされており、噴射タイミング生成回路84、ラッチ回路86、及びシフトレジスタ88を含んだ印字ノズル制御回路とされている。
【0075】
さらに、上述の基本構成で説明したように、各ノズルには温度センサ110が設けられており、各ノズル58におけるノズル温度が検出され、検出結果がコントローラ82に入力される。
【0076】
従って、コントローラ82から出力される情報に基づいて各印字ノズル制御回路80が単位記録ヘッド40の発熱素子90への通電を制御することによって、インクの吐出及び各単位記録ヘッド40の温度分布補正を行うようになっている。
【0077】
続いて、上述のように構成されたインクジェット記録装置10の印字動作について説明する。
【0078】
印字動作を行う場合には、用紙供給部12から用紙が供給され、レジ調整部14で用紙の姿勢やタイミングが制御されて記録部20に搬送され、記録部20による記録が行われる。
【0079】
ここで、記録ヘッド部16に対して装置の制御部(上述のコントローラ82)から印字信号が各単位記録ヘッド40に入力されると、印字信号に応じて該当するノズルの発熱素子90が発熱し、ノズル面40Aに対して一定距離とされつつ搬送される用紙に対して、当該ノズルからインク滴が吐出されていく。従って、記録ヘッドアレイ42Aで印字が行われ、続いて記録ヘッドアレイ42Bで印字が行われることにより、用紙の当該部分における一色分の印字が終了する。すなわち、記録部20で用紙が搬送されるにつれて、記録ヘッド44Y、44M、44C、44Kの順で印字が行われ、フルカラー印字される。
【0080】
また、本実施の形態に係わる記録ヘッド44における各単位記録ヘッド04は、上述の基本構成で説明したように、両端付近のノズル58の発熱素子90を温度分布補正用に使用するため、各単位記録ヘッド40における各ノズル列毎のノズル温度差を補正することができる。
【0081】
上述の基本構成で説明したように、画像記録が指示されると、コントローラ82によって、1ラインの画像データが分割されて各単位記録ヘッド40に対応する分割データが各単位記録ヘッド40の各印字ノズル制御回路80へ出力されると共に、印字指示が噴射タイミング生成回路84及びラッチ回路86に出力される。これによって、噴射タイミング生成回路84によって生成された噴射タイミングと、シフトレジスタ88に入力された画像データがラッチ回路86によってラッチされて各ノズル58のスイッチング素子92に通電が行われ、各ノズル58の発熱素子90が発熱することによって、各ノズル58からインクが吐出される。
【0082】
ここで、コントローラ82は、印字ライン間でヒータ56を駆動するためにヒータ56として機能するノズル位置に対応する画像データを生成してヒータ56を駆動する。すなわち、図6に示すように、印字ライン間でヒータ56を駆動するためのダミーデータ(ヒータ駆動パルス)を画像データに加えることによって、ヒータ56に対応する位置の発熱素子90に通電が行われる。これによって、ノズルの温度が補正される。すなわち、単位記録ヘッド40の両端部では、ノズルの温度が低下しやすいが、印字ライン間でヒータ56を駆動することによって、単位記録ヘッド40の各ノズル間の温度差を解消することができる。また、各単位記録ヘッド40が同様に動作するので、複数の単位記録ヘッド40におけるノズル温度が一様に保たれるので、ノズルの温度差に起因する濃度むらを解消することができる。
【0083】
上述のダミーデータは、例えば、温度センサ110の検出結果に基づいて、全発熱素子90を駆動する場合から温度センサ110の検出結果に応じてデータを間引く等を行ったデータを生成することによって、温度低下しやすい両端部の温度を他のノズルにおけるノズル温度と同様にすることができ、ノズル間の温度差を効率的に解消することができる。
【0084】
また、印字ライン間でヒータ56を駆動するようにしているので、消費電力のピーク値を抑えることができる。
【0085】
さらに、通常のインク吐出を行うノズル58に設けられた発熱素子90を用いてノズルの温度補正を行うため、既存の記録ヘッドに容易に適用することができる。
【0086】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、インクを加熱する加熱手段の加熱によってインクを吐出するインク吐出口が長尺状に複数配列された記録ヘッドの両端付近の加熱手段をインク吐出口の温度分布を補正するために制御することによって、記録ヘッド両端付近の温度低下を抑制することができるので、インク吐出口間の温度差を抑制し、温度むらによる濃度むらを既存の記録ヘッドを用いて抑制することができる、という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係わる記録装置における記録ヘッドの構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係わる記録装置における記録ヘッドの駆動回路を表すブロック図である。
【図3】コントローラで行われる処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】記録ヘッドの駆動を説明するためのタイミングチャートである。
【図5】単位記録ヘッドを複数配列した記録ヘッドの第1例を示す図である。
【図6】単位記録ヘッドを複数配列した記録ヘッドの第2例を示す図である。
【図7】単位記録ヘッドを複数配列した記録ヘッドの第3例を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態に係わるインクジェット記録装置の概略構成を示す図である。
【図9】インクジェット記録装置の記録ヘッド部を上から見た模式図である。
【図10】単位記録ヘッドを示す平面図である。
【図11】記録ヘッドアレイを示す構成図である。
【図12】インクジェット記録装置の記録部の要部側面図である。
【図13】インクジェット記録装置の駆動回路の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
10 インクジェット記録装置
40 記録ヘッド(単位記録ヘッド)
44 記録ヘッド
58 ノズル
80 印字ノズル制御回路
82 コントローラ
84 噴射タイミング生成回路
86 ラッチ回路
88 シフトレジスタ
90 発熱素子
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録ヘッドにかかり、特に、サーマルインクジェットプリンタ等の記録装置に適用可能な記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方式の記録濃度は、温度に依存しており、一般に環境温度や記録ヘッド温度が上昇すると記録濃度が上昇する傾向にある。
【0003】
従来の温度制御としては、特許文献1の技術では、環境温度、ヘッド温度、記録画像による記録密度をフィードバックして温度による濃度変化の補正を行うことが提案されている。
【0004】
また、環境温度やヘッド温度に対する制御としては、プレパルス制御(予備加熱)を行う方式が提案されている。すなわち、ノズルの温度を所定の範囲内に維持するように、噴射パルス(メインパルス)に先立ってインクが吐出されないエネルギーのパルス(プレパルス)を印加し、ノズルを加熱しておくことにより、環境温度やヘッド温度が低い場合でも安定した印字を可能にしている。
【0005】
このプレパルス制御を変形した、ノズル間の温度差を解消するための方式が特許文献2に記載されている。
【0006】
特許文献2に記載の技術では、プレパルスとメインパルス、非印字ノズルに対しては、プレパルスのみを印加することにより、印字−非印字ノズル間の温度補正を行うことが提案されている。
【0007】
【特許文献1】
特開平10−217512号公報(第1頁、第1図)
【特許文献2】
特開平6−328722号公報(第1頁、第1図)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、インクジェット記録装置の高画質化に伴ってヘッド内の記録ノズルと非記録ノズルの温度差やヘッド内でのノズル位置によって発生する温度差(例えば、ヘッド端部付近では低温となる等)による濃度むらが問題となってきている。
【0009】
また、特許文献2に記載の技術では、一般にヘッド温度の上昇に伴い、プレパルスのエネルギーを減少させ、ある温度以上に上昇するとプレパルスを印加しないなどの制御を行うため、ヘッド温度がある温度以上に上昇した場合、ノズル間の温度制御が十分に行えなくなってしまう、という問題がある。
【0010】
また、温度補正を行う場合、全ノズルに対してエネルギー(プレパルスまたはプレパルス+メインパルス)を印加するため、消費電力が増加してしまう、という問題がある。
【0011】
本発明は、上記問題を解決すべく成されたもので、インク吐出口間の温度差を抑制し、温度むらによる濃度むらを既存の記録ヘッドを用いて抑制することができる記録装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、インクを加熱する加熱手段の加熱によってインクを吐出するインク吐出口を長尺状に複数配列した記録ヘッドを有する記録装置であって、前記記録ヘッドの両端付近の前記加熱手段の加熱をインク吐出口の温度分布を補正するために制御する制御手段を有することを特徴としている。
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、記録ヘッドは、インク吐出口が長尺状に複数配列されており、加熱手段によってインクが加熱されることによってインクが吐出され、これによって記録が行われる。
【0014】
このような長尺状にインク吐出口が配列された記録ヘッドでは、両端付近のインク吐出口温度が低下する。そこで、制御手段が、記録ヘッドの両端付近の加熱手段の加熱してインク吐出口の温度分布を補正する。このように、インクを吐出するための加熱手段を制御してインク吐出口温度分布を補正することによって、記録ヘッドのインク吐出口温度を一様にすることができ、インク吐出口間の温度差を抑制することができ、温度むらによる濃度むらを抑制することができる。
【0015】
また、専用のヒータ等を設けることなく、インクを吐出するための加熱手段を制御するだけなので、既存の記録ヘッドに容易に適用することが可能である。
【0016】
従って、インク吐出口間の温度差を抑制し、温度むらによる濃度むらを既存の記録ヘッドを用いて抑制することができる。
【0017】
請求項2に記載の発明は、インクを加熱する加熱手段の加熱によってインクを吐出するインク吐出口を長尺状に複数配列した単位記録ヘッドを、隣接する前記単位記録ヘッドが重複するように千鳥配列して構成した記録ヘッドを有する記録装置であって、前記単位記録ヘッドの両端付近の前記加熱手段の加熱をインク吐出口の温度分布を補正するために制御する制御手段を備えることを特徴としている。
【0018】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の記録ヘッドを単位記録ヘッドとして、隣接する単位記録ヘッドが重複するように千鳥状に配列して1つの記録ヘッドとしている。
【0019】
すなわち、各記録ヘッドが、上述したように、インク吐出に用いる加熱手段の加熱を制御してインク吐出口温度分布を補正することによって一様なインク吐出口温度とすることができるので、上記と同様に、インク吐出口間の温度差を抑制し、温度むらによる濃度むらを既存の記録ヘッドを用いて抑制することができる。
【0020】
なお、請求項2に記載の制御手段は、請求項3に記載の発明のように、単位記録ヘッドが重複する部分の加熱手段の加熱を制御することによってインク吐出口の温度分布を補正するようにしてもよい。このように、単位記録ヘッドが重複する部分の加熱手段の加熱を制御してインク吐出口の温度分布を補正することによって、単位記録ヘッドの繋ぎ目の濃度むらを抑制することができる。
【0021】
また、上述の制御手段は、請求項4に記載の発明のように、インクが吐出しない範囲で加熱手段にエネルギーを印加することによってインク吐出口の温度分布を補正することが可能である。すなわち、このように加熱手段にエネルギーを印加することによって、インク吐出口の加熱手段を温度分布補正用のヒータとして機能させることができる。
【0022】
この時、制御手段は、請求項5に記載の発明のように、加熱手段に印加するパルス幅を制御することによって温度分布を補正するようにしてもよいし、請求項6に記載の発明のように、加熱手段に印加するパルス数を制御することによって温度分布を補正するようにしてもよいし、請求項7に記載の発明のように、加熱手段に印加する電圧を制御することによって温度分布を補正するようにしてもよい。
【0023】
また、制御手段は、請求項8に記載の発明のように、記録ヘッドによる記録タイミングと記録タイミング間で加熱手段の加熱を制御する、すなわち、記録を行っていない間にインク吐出口の温度分布を補正するために加熱手段を制御することによって、記録ヘッドの消費電力のピーク値を抑制することが可能となる。
【0024】
さらに、制御手段は、請求項9に記載の発明のように、記録ヘッドによる記録を行う時に用いる画像データと同等のデータを用いることによって加熱手段の加熱を制御することが可能となる。
【0025】
また、請求項1乃至請求項9の何れか1項に記載の記録装置は、請求項10に記載の発明のように、さらに検出手段を備えて、制御手段が検出手段の検出結果に基づいて加熱手段の加熱を制御するようにしてもよい。このように、検出手段を備えて加熱手段を制御することによって、検出手段によって検出した温度に応じて制御手段が温度分布に使用するインク吐出口の加熱手段を制御することが可能となり、インク吐出口毎のインク吐出口温度を一様にすることが可能となる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。
【0027】
まず、本発明の実施の形態に係わる記録装置における記録ヘッドの基本構成について説明する。図1は、本発明の実施の形態に係わる記録装置における記録ヘッドの構成を示す図である。
【0028】
図1に示すように、本発明の実施の形態に係わる記録ヘッド40は、複数のノズル58が長尺状に配列されており、ノズル58からインクが吐出されるようになっている。
【0029】
各ノズル58は、印字ノズル制御回路80を介してコントローラ82が接続されており、コントローラ82の指示により、印字ノズル制御回路80が各ノズル58からのインク吐出を制御する。これによって、記録媒体に画像が記録される。
【0030】
また、印字ノズル制御回路80は、記録ヘッド40の両端付近のノズル58(図1における斜線部分のノズル)に設けられた発熱素子の発熱を制御して、ノズルの温度分布を補正するようになっている。すなわち、コントローラ82はノズルの温度分布を補正するためのデータを画像を表す画像データに加えて印字ノズル制御回路80へ出力する。これによって、記録ヘッド40の両端付近のノズル58に設けられた発熱素子が、ノズルの温度を補正するためのヒータとして機能し、記録ヘッド40の両端部におけるノズル温度が補正される。
【0031】
図2は、本発明の実施の形態に係わる記録装置における記録ヘッドの駆動回路を表す図である。
【0032】
上述の印字ノズル制御回路80は、図2に示すように、噴射タイミング生成回路84、ラッチ回路86、及びシフトレジスタ88を含んで構成され、それぞれコントローラ82に接続されており、コントローラ82の制御によって各ノズル58からのインク吐出を制御する。
【0033】
記録ヘッド40の各ノズル58には、それぞれ発熱素子90及びスイッチング素子92が設けられており、スイッチング素子92のオンオフに応じて、ヒータ電源94から発熱素子90に電流が供給され、発熱素子90の発熱によってノズル58からインクが吐出されるようになっている。また、各ノズル58の発熱素子90及びスイッチング素子92は、アンド回路98を介して、噴射タイミング生成回路84、ラッチ回路86、及びシフトレジスタ88に接続されている。
【0034】
また、記録ヘッド40の各ノズル58には、ノズルの温度を検出するための温度センサ110が設けられており、温度センサ110の検出結果がコントローラ82に出力されるようになっている。そして、コントローラ82が温度センサ110の検出結果に応じて、温度を補正するために発熱素子90を駆動する温度分布補正用データを画像データに加算する。このように構成することによって、温度センサ110によって検出した温度に応じて記録ヘッド40の両端付近の発熱素子90を駆動することによって、各ノズルのノズル温度を一様にすることが可能となる。
【0035】
コントローラ82は、温度分布補正用データを生成する際に、例えば、各ノズル58へ印加するデータを間引く等を行ったデータを生成することによって発熱素子90の発熱量を制御することが可能である。また、温度分布の補正時には、発熱素子90へ電圧を印加する際のパルス幅を変化させることによって発熱素子90の発熱量を制御するようにしてもよいし、発熱素子90へ通電するパルス数を変化させることによって発熱素子90の発熱量を制御するようにしてもよいし、発熱素子90へ通電する時間を変換させることによって発熱素子90の発熱量を制御するようにしてもよい。
【0036】
なお、温度センサ110は、全ノズルに設けずに、両端付記及び中央付近のみに設けてもよいし、両端付近にのみ設けるようにしてもよい。
【0037】
次に、上述のように構成された記録ヘッドを有する記録装置の作用について説明する。図3は、コントローラで行われる処理の流れを示すフローチャートである。
【0038】
ステップ150では、コントローラ82から印字ノズル制御回路80へ印字画像データが転送される。コントローラ82は、ノズルの温度分布補正に用いるノズル58については“0”のデータを付加して印字ノズル制御回路80へ画像データへ転送することによって、ステップ152へ移行して1ライン分の印字が行われる。
【0039】
続いて、ステップ154では、記録ヘッドの温度分布が測定される。すなわち、温度センサ110によって各ノズル58の温度が測定されコントローラ82に入力され、ステップ156へ移行する。
【0040】
ステップ156では、温度センサ110の測定結果に基づいて、コントローラ110によって温度分布補正データが生成され、ステップ158へ移行して、生成した温度分布補正用データが印字ノズル制御回路80に転送される。温度分布補正用データは、印字ノズルデータは“0”として生成、すなわち、記録を行うためのノズル58からはインク吐出を行わない。
【0041】
そして、ステップ160では、温度分布補正パルスが発熱素子90に印加される。これによって、記録ヘッド40の各ノズルにおけるノズル温度が一様に補正され、濃度むらを抑制することができる。
【0042】
次にステップ162では、記録終了か否か判定される。該判定は全ライン分の画像データについて印字が終了したか否かを判定することによってなされ、該判定が否定された場合には、ステップ150に戻って、ステップ162の判定が肯定されるまで上述の処理が繰り返される。
【0043】
図4は、記録ヘッド40の駆動を説明するためのタイミングチャートである。
【0044】
本実施の形態では、画像記録が指示されると、コントローラ82から1ライン分(記録ヘッド40のノズル配列分)の画像データがシフトレジスタ88へ出力されると共に、印字指示が噴射タイミング生成回路84及びラッチ回路86に出力される。これによって、噴射タイミング生成回路84によって生成された噴射タイミングと、シフトレジスタ88に入力された画像データがラッチ回路86によってラッチされて各ノズル58のスイッチング素子92に通電が行われ、各ノズル58の発熱素子90が発熱することによって、各ノズル58からインクが吐出される。
【0045】
ここで、コントローラ82は、1ラインの印字が終了すると、温度センサ110による各ノズル58のノズル温度を測定し、印字ライン間で温度分布を補正するために発熱素子90を駆動するためのデータを生成する。すなわち、図4に示すように印字ライン間で発熱素子90を駆動するためのダミーデータ(ヒータ駆動パルス)を画像データに加えることによって、温度低下に対応するノズル(両端付近のノズル)の発熱素子90に通電が行われる。これによって、ノズルの温度が補正される。すなわち、記録ヘッド40の両端付近では、ノズルの温度が低下しやすいが、印字ライン間で発熱素子90を駆動することによって、記録ヘッド40の各ノズル間の温度差を解消することができ、ノズルの温度差に起因する濃度むらを解消することができる。なお、印字ライン間の発熱素子90への通電は、インクを吐出しないレベルの通電を行うことによって、インクを吐出せずに、温度分布を補正することができる。
【0046】
また、温度分布を補正するために発熱素子90を駆動するタイミングを印字タイミングとずらして駆動するので、記録ヘッド40による消費電力のピーク値を抑えることが可能となる。
【0047】
また、記録ヘッド40の両端付近のノズル温度低下を補正するために、記録ヘッド40に特別なヒータ等を設けることなく、既存のノズル58に設けられた発熱素子90を利用することによって、記録ヘッド40のノズル温度補正を簡易な方法で行うことができる。
【0048】
ところで、上述の記録ヘッド40は、単位記録ヘッドとして複数配列した記録ヘッドを構成することができる。図5は、単位記録ヘッド40を複数配列した記録ヘッドを示す図である。
【0049】
単位記録ヘッド40を複数配列した記録ヘッド44は、単位記録ヘッド40を千鳥状に複数配列して長尺状に構成され、それぞれ隣接する単位記録ヘッド40のノズル列の一部が重複するオーバーラップ領域OLを有するように配置される。
【0050】
オーバーラップ領域OLにおけるノズル列の一部は、図5に示すように、単位記録ヘッド40の温度分布補正用に用いるノズルのみが重複するように配置してもよいし、図6に示すように、温度分布補正用に用いるノズル及び印字に用いるノズルが共に重複するように配置してもよいし、図7に示すように、両端付近のノズルを印字及び温度補正用に共に使用し、印字及び温度補正用に共に使用するノズルを重複するように配置してもよい。図6及び図7の場合には、千鳥状に配列された単位記録ヘッド40を交互に記録する際に、分割印字することにより単位記録ヘッド40の接合部に発生する筋を解消することが可能となる。
【0051】
このように、複数の単位記録ヘッド40を複数配列して長尺状に構成した記録ヘッド44でも、上述したように、印字ライン間で発熱素子90にエネルギーを印加することによって単位記録ヘッド40の接続部の温度を上昇させることにより、ノズル配列の中心部との温度差を解消することができ、濃度むらを抑制することができる。また、上述したように、印字タイミングとずらして発熱素子90を発熱させて温度分布を補正することによって、消費電力のピーク値を抑えることができる。
【0052】
続いて、上述のように構成された単位記録ヘッド40を複数配列した記録ヘッド44を適用したサーマルインクジェット記録装置について説明する。
[インクジェット記録装置の全体構成]
まず、インクジェット記録装置の全体構成について簡単に説明する。図8は、本発明の実施の形態に係わるインクジェット記録装置の概略構成を示す図である。
【0053】
図8に示すように、インクジェット記録装置10は、用紙を送り出す用紙供給部12と、用紙の姿勢を制御するレジ調整部14と、インク滴を吐出して用紙に画像形成する記録ヘッド部16と、記録ヘッド部16のメンテナンスを行うメンテナンス部18とを備える記録部20と、記録部20で画像形成された用紙を排出する排出部22とから基本的に構成されている。
【0054】
用紙供給部12は、用紙が積層されてストックされているストッカ24と、ストッカ24から1枚ずつ枚葉してレジ調整部14に搬送する搬送装置26とから構成されている。
【0055】
レジ調整部14は、ループ形成部28と用紙の姿勢を制御するガイド部材30が備えられており、この部分を通過することによって用紙のコシを利用してスキューが矯正されると共に搬送タイミングが制御されて記録部20に進入する構成である。
【0056】
記録部20については、記録ヘッド部16とメンテナンス部18の間を用紙が搬送される用紙搬送路が構成されており、用紙搬送路を連続的に(停止することなく)搬送される用紙に対して、記録ヘッド部16からインク滴が吐出され当該用紙に画像が形成される構成である。記録ヘッド部16とメンテナンス部18は、それぞれユニット化されており、記録ヘッド部16がメンテナンス部18と用紙搬送路を挟んで分離可能に構成されている。したがって、用紙ジャムの場合に、容易にジャムした用紙を取り出すことができる。
【0057】
排紙部22は、記録部20で画像が形成された用紙を排紙ベルト31を介してトレイ32に収納するものである。
[記録ヘッド部の構成]
次に、記録ヘッド部16について、図9〜図12を参照して詳細に説明する。
図9は、記録ヘッド部16を上側から見た模式図である。
【0058】
記録ヘッド部16は、図9に示すように、用紙搬送方向(図9矢印X方向)に対して直交する用紙幅方向(図9矢印Y方向)に対して一定の間隔で配置された上述した単位記録ヘッド40が6個配置された記録ヘッドアレイ42A、42B(図11参照)が用紙搬送方向に一定間隔で8個配設されることによって基本的に構成されている。
【0059】
単位記録ヘッド40は、図10に示すように、ノズル面40Aにインク吐出するノズル58が一直線上に形成されたものであり、周知のサーマルインクジェット方式によりインク滴が吐出されるものである。例えば、単位記録ヘッド40はノズル配列密度が800dpiで800ノズルとし、噴射周波数が7.56kHzで、顔料インクを使用することが可能とされている。
【0060】
このような単位記録ヘッド40がノズル配列方向が幅方向と一致するように一直線上に共通基板46A、46Bにそれぞれ6個の単位記録ヘッド40が取り付けられることによって記録ヘッドアレイ42A、42Bが形成されている。
【0061】
記録ヘッドアレイ42A、42Bは、図11に示すように、それぞれ6個の単位記録ヘッド40が一定間隔をおいて配設されたものであり、記録ヘッドアレイ42A、42Bでは単位記録ヘッド40のノズル列の一部が記録ヘッドアレイ42A、42B間において重複するオーバーラップ領域OLを有するように配置されている。このようにオーバーラップ領域OLを設けることによって、印字領域内で印字できない領域が発生することを防止している。すなわち、記録ヘッドアレイ42A、42Bの単位記録ヘッド40のノズル58からインク滴を吐出することによって、用紙に対する一色分の印字を行うものである。なお、この一対の記録ヘッドアレイ42A、42Bの組み合わせを記録ヘッド44と称し、記録ヘッド44が上述した、単位記録ヘッド40を複数配列した記録ヘッド44に対応する。
【0062】
記録ヘッド44は、例えば、印字領域が12インチとして、最大用紙幅PWのA3短手幅(A4長手幅)の297mmよりも広く設定することが可能である。
【0063】
記録ヘッド44は、搬送方向上流側からイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の順に印字されてフルカラー印字可能な構成とされ、必要な場合には該当する記録ヘッド44の参照番号にY、M、C、Kの符号を付して(44Y、44M、44C、44Kとして)区別する(図9参照)。以下、他の部材についても同様である。
【0064】
また、図9において、記録ヘッド44Y〜44Kの構成は同一なので、記録ヘッド44Yの構成を代表して説明し、他の記録ヘッド44M〜44Kについては構成要素に対する参照符号のみを付して説明を省略する。
【0065】
記録ヘッド44を構成する記録ヘッドアレイ42Aは、図11に示すように、用紙幅方向に延在する共通基板46Aに6個の単位記録ヘッド40が所定間隔で取り付けられている。すなわち、単位記録ヘッド40は、共通基板46Aに取り付けられることによりこのノズル列が幅方向に並ぶことになる。
【0066】
また、記録ヘッド部16では、搬送方向に沿って記録ヘッドアレイ42間、最上流側の記録ヘッドアレイ42YAよりも上流側、及び最下流側の記録ヘッドアレイ42KBよりも下流側に3つのスターホイール群72A〜72Cが配設されている(図9参照)。スターホイール群72A〜72Cは、幅方向に連続して配置された3本のシャフト74A〜74Cに対し所定間隔をおいてそれぞれ6個のスターホイール70が軸支されている。この各シャフト74A〜74Cは、図13に示すように、両端でスプリング75によって搬送ロール100側に付勢されている。なお、スターホイール70の搬送ロール100側への変位量は、搬送ロール100の表面より僅かに食い込む位置で停止するように、規制部材77が配置されている(図12参照)。
【0067】
ここで、スターホイール70がスプリング75によって搬送ロールに押圧される力は、1個当たり10gfとされている。これは、押圧力が5gfよりも小さいと用紙を搬送ロール100に十分抑えることができず、30gfよりも大きいとスターホール70が用紙を傷つけるためである。
【0068】
また、記録ヘッドアレイ42Aは、各単位記録ヘッド40の隣にスターホール70が配置されている。スターホイール70は、共通基板46Aに嵌合されている支持部材71の先端に板バネ73を介して弾性的に軸支されている(図12参照)。
【0069】
記録ヘッド44は、各単位記録ヘッド40が、上述の記録ヘッドの基本構成で説明した印字ノズル制御回路80によって駆動される。詳細な構成については上述した通りであるため説明を省略する。
【0070】
また、各単位記録ヘッド40の対向する位置には、単位記録ヘッド40のノズル面40Aのクリーニング等を行うメンテナンス装置81が設けられている。
【0071】
次に、インクジェット記録装置10の駆動回路の構成について説明する。図13は、インクジェット記録装置の駆動回路の構成を示すブロック図である。なお、図13では、1色の記録ヘッド44の駆動回路を代表して示す。
【0072】
インクジェット記録装置10の駆動回路は、コントローラ82によって各単位記録ヘッド40が制御されるようになっており、コントローラ82には、単位記録ヘッド毎に接続された印字ノズル制御回路80が接続されている。なお、各色記録ヘッド44の記録ヘッドアレイ毎に設けられたそれぞれの単位記録ヘッド40は、印字ノズル制御回路80を介してコントローラ82に接続されている。
【0073】
それぞれの単位記録ヘッド40は、上記の基本構成で説明した構成とされている。すなわち、単位記録ヘッド40は、それぞれ発熱素子90及びスイッチング素子92を含んで構成されている。
【0074】
また、同様に、各印字ノズル制御回路80も上記の基本構成で説明した構成とされており、噴射タイミング生成回路84、ラッチ回路86、及びシフトレジスタ88を含んだ印字ノズル制御回路とされている。
【0075】
さらに、上述の基本構成で説明したように、各ノズルには温度センサ110が設けられており、各ノズル58におけるノズル温度が検出され、検出結果がコントローラ82に入力される。
【0076】
従って、コントローラ82から出力される情報に基づいて各印字ノズル制御回路80が単位記録ヘッド40の発熱素子90への通電を制御することによって、インクの吐出及び各単位記録ヘッド40の温度分布補正を行うようになっている。
【0077】
続いて、上述のように構成されたインクジェット記録装置10の印字動作について説明する。
【0078】
印字動作を行う場合には、用紙供給部12から用紙が供給され、レジ調整部14で用紙の姿勢やタイミングが制御されて記録部20に搬送され、記録部20による記録が行われる。
【0079】
ここで、記録ヘッド部16に対して装置の制御部(上述のコントローラ82)から印字信号が各単位記録ヘッド40に入力されると、印字信号に応じて該当するノズルの発熱素子90が発熱し、ノズル面40Aに対して一定距離とされつつ搬送される用紙に対して、当該ノズルからインク滴が吐出されていく。従って、記録ヘッドアレイ42Aで印字が行われ、続いて記録ヘッドアレイ42Bで印字が行われることにより、用紙の当該部分における一色分の印字が終了する。すなわち、記録部20で用紙が搬送されるにつれて、記録ヘッド44Y、44M、44C、44Kの順で印字が行われ、フルカラー印字される。
【0080】
また、本実施の形態に係わる記録ヘッド44における各単位記録ヘッド04は、上述の基本構成で説明したように、両端付近のノズル58の発熱素子90を温度分布補正用に使用するため、各単位記録ヘッド40における各ノズル列毎のノズル温度差を補正することができる。
【0081】
上述の基本構成で説明したように、画像記録が指示されると、コントローラ82によって、1ラインの画像データが分割されて各単位記録ヘッド40に対応する分割データが各単位記録ヘッド40の各印字ノズル制御回路80へ出力されると共に、印字指示が噴射タイミング生成回路84及びラッチ回路86に出力される。これによって、噴射タイミング生成回路84によって生成された噴射タイミングと、シフトレジスタ88に入力された画像データがラッチ回路86によってラッチされて各ノズル58のスイッチング素子92に通電が行われ、各ノズル58の発熱素子90が発熱することによって、各ノズル58からインクが吐出される。
【0082】
ここで、コントローラ82は、印字ライン間でヒータ56を駆動するためにヒータ56として機能するノズル位置に対応する画像データを生成してヒータ56を駆動する。すなわち、図6に示すように、印字ライン間でヒータ56を駆動するためのダミーデータ(ヒータ駆動パルス)を画像データに加えることによって、ヒータ56に対応する位置の発熱素子90に通電が行われる。これによって、ノズルの温度が補正される。すなわち、単位記録ヘッド40の両端部では、ノズルの温度が低下しやすいが、印字ライン間でヒータ56を駆動することによって、単位記録ヘッド40の各ノズル間の温度差を解消することができる。また、各単位記録ヘッド40が同様に動作するので、複数の単位記録ヘッド40におけるノズル温度が一様に保たれるので、ノズルの温度差に起因する濃度むらを解消することができる。
【0083】
上述のダミーデータは、例えば、温度センサ110の検出結果に基づいて、全発熱素子90を駆動する場合から温度センサ110の検出結果に応じてデータを間引く等を行ったデータを生成することによって、温度低下しやすい両端部の温度を他のノズルにおけるノズル温度と同様にすることができ、ノズル間の温度差を効率的に解消することができる。
【0084】
また、印字ライン間でヒータ56を駆動するようにしているので、消費電力のピーク値を抑えることができる。
【0085】
さらに、通常のインク吐出を行うノズル58に設けられた発熱素子90を用いてノズルの温度補正を行うため、既存の記録ヘッドに容易に適用することができる。
【0086】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、インクを加熱する加熱手段の加熱によってインクを吐出するインク吐出口が長尺状に複数配列された記録ヘッドの両端付近の加熱手段をインク吐出口の温度分布を補正するために制御することによって、記録ヘッド両端付近の温度低下を抑制することができるので、インク吐出口間の温度差を抑制し、温度むらによる濃度むらを既存の記録ヘッドを用いて抑制することができる、という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係わる記録装置における記録ヘッドの構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係わる記録装置における記録ヘッドの駆動回路を表すブロック図である。
【図3】コントローラで行われる処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】記録ヘッドの駆動を説明するためのタイミングチャートである。
【図5】単位記録ヘッドを複数配列した記録ヘッドの第1例を示す図である。
【図6】単位記録ヘッドを複数配列した記録ヘッドの第2例を示す図である。
【図7】単位記録ヘッドを複数配列した記録ヘッドの第3例を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態に係わるインクジェット記録装置の概略構成を示す図である。
【図9】インクジェット記録装置の記録ヘッド部を上から見た模式図である。
【図10】単位記録ヘッドを示す平面図である。
【図11】記録ヘッドアレイを示す構成図である。
【図12】インクジェット記録装置の記録部の要部側面図である。
【図13】インクジェット記録装置の駆動回路の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
10 インクジェット記録装置
40 記録ヘッド(単位記録ヘッド)
44 記録ヘッド
58 ノズル
80 印字ノズル制御回路
82 コントローラ
84 噴射タイミング生成回路
86 ラッチ回路
88 シフトレジスタ
90 発熱素子
Claims (10)
- インクを加熱する加熱手段の加熱によってインクを吐出するインク吐出口を長尺状に複数配列した記録ヘッドを有する記録装置であって、
前記記録ヘッドの両端付近の前記加熱手段の加熱をインク吐出口の温度分布を補正するために制御する制御手段を有することを特徴とする記録装置。 - インクを加熱する加熱手段の加熱によってインクを吐出するインク吐出口を長尺状に複数配列した単位記録ヘッドを、隣接する前記単位記録ヘッドが重複するように千鳥配列して構成した記録ヘッドを有する記録装置であって、
前記単位記録ヘッドの両端付近の前記加熱手段の加熱をインク吐出口の温度分布を補正するために制御する制御手段を備えることを特徴とする記録装置。 - 前記制御手段は、前記単位記録ヘッドが重複する部分の前記加熱手段の加熱を制御することによって前記温度分布を補正することを特徴とする請求項2に記載の記録装置。
- 前記制御手段は、インクが吐出しない範囲で前記加熱手段にエネルギーを印加することによって前記温度分布を補正することを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の記録装置。
- 前記制御手段は、前記加熱手段に印加するパルス幅を制御することによって前記温度分布を補正することを特徴とする請求項4に記載の記録装置。
- 前記制御手段は、前記加熱手段に印加するパルス数を制御することによって前記温度分布を補正することを特徴とする請求項4に記載の記録装置。
- 前記制御手段は、前記加熱手段に印加する電圧を制御することによって前記温度分布を補正することを特徴とする請求項4乃至請求項6の何れか1項に記載の記録装置。
- 前記制御手段は、前記記録ヘッドによる記録タイミングと記録タイミングの間で前記加熱手段の加熱を制御することを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載の記録装置。
- 前記制御手段は、前記記録ヘッドによる記録を行う時に用いる画像データと同等のデータを用いることによって前記加熱手段の加熱を制御することを特徴とする請求項1乃至請求項8の何れか1項に記載の記録装置。
- インクの温度を検出する検出手段を更に備え、前記制御手段が、前記検出手段の検出結果に基づいて前記加熱手段の加熱を制御することを特徴とする請求項1乃至請求項9の何れか1項に記載の記録装置。
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