JP2005034938A - 微小駆動装置及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 駆動対象物を直接的に動作させることが可能であって駆動力低下の恐れがなく、しかも、基板の表面と平行な方向に沿っても駆動対象物を動作させることができる微小駆動装置と、その製造方法とを提供する。
【解決手段】 本発明にかかる微小駆動装置1は、導電性ポリマー層2,4で絶縁性ポリマー層3を一体的に挟持してなるポリマー構造体を基板5上に設けており、前記導電性ポリマー層2,4への電圧印加に伴って前記ポリマー構造体が伸長動作する構成であることを特徴としている。そして、このとき、前記導電性ポリマー層2の少なくとも一部は前記基板5上の所定位置に固定されており、前記ポリマー構造体が前記基板5の表面と平行な方向に沿って伸長動作する構成であることが好ましい。
【選択図】 図1
【解決手段】 本発明にかかる微小駆動装置1は、導電性ポリマー層2,4で絶縁性ポリマー層3を一体的に挟持してなるポリマー構造体を基板5上に設けており、前記導電性ポリマー層2,4への電圧印加に伴って前記ポリマー構造体が伸長動作する構成であることを特徴としている。そして、このとき、前記導電性ポリマー層2の少なくとも一部は前記基板5上の所定位置に固定されており、前記ポリマー構造体が前記基板5の表面と平行な方向に沿って伸長動作する構成であることが好ましい。
【選択図】 図1
Description
本発明は微小駆動装置及びその製造方法にかかり、特には、半導体プロセス技術を利用して基板上に形成される微小駆動装置に関するものである。
近年、超小型サイズのアクチュエータやリレー等を実現するため、半導体プロセス技術を利用してなるMEMS(マイクロ電気機械構造)技術が採用されるようになっており、MEMS技術を採用して作製された微小駆動装置の一例としては、特許文献1で開示されたようなデバイスがある。この微小駆動装置51は、図4で簡略化して示すように、空中保持された被作動要素である揺動部材52と、この揺動部材52を揺動可能に支持する基板53とを備えており、基板53の表面上には第1〜第3の電極54,55,56が並列に形成されている。
このとき、第1及び第2の電極54,55それぞれは共に揺動部材52の傾斜領域内、つまり、揺動動作した揺動部材52の平面形状が投影されて対面する基板53の所定領域内に設けられる一方、第3の電極56は揺動部材52の傾斜領域外に設けられている。そして、第1の電極54には電圧源(図示省略)が接続されており、電圧源から第1の電極54に対しては所定の電圧、すなわち、揺動部材52を揺動動作させるのに必要な電圧が印加される。
また、第2の電極55は揺動部材52に対する電気的な状態が中性となるように維持されており、互いの電位差が零とされた揺動部材52及び第2の電極55のそれぞれは、共通電圧あるいはグランドに接続されている。そこで、第1の電極54に対して所定の電圧を印加すると、第1の電極54と揺動部材52との間には静電気力が生成されることとなり、静電気力が作用する結果として揺動部材52は基板53から遠ざかる方向(図中、矢印Aで示す)へと揺動動作する。
すなわち、この微小駆動装置51では、揺動部材52を揺動動作させる駆動力として静電気力が利用されている。さらに、微小駆動装置51が備える基板53上に形成された第3の電極56は、第1の電極54と同様、電圧源(図示省略)から電圧を受ける構成であり、この第3の電極56によっては、傾斜角度が小さいときの揺動部材52が引き付けられ、かつ、傾斜角度が大きいときの揺動部材52がより一層大きく傾斜させられる。
特開2002−254399号公報
ところで、MEMS技術を採用して作製される微小駆動装置では、前述した微小駆動装置51のように、被作動要素である揺動部材52等やこれに取り付けられた駆動対象物を動作させるための駆動力として静電気力が利用される。しかしながら、空気を介して作用する静電気力は駆動対象物との物理的な離間距離が大きくなるほど、これを動作させる駆動力が低下することが避けられない。
そのため、静電気力を利用している限りは、駆動対象物に大きな作用力を及ぼすことが困難なのが実情であった。また、従来の構成とされた微小駆動装置51においては、基板53の表面に対する垂直方向にしか、揺動部材52を動作させることができないという不都合もあった。
本発明はこのような不都合に鑑みて創案されたものであり、駆動対象物を直接的に動作させることが可能であって駆動力低下の恐れがなく、しかも、基板の表面と平行な方向に沿っても駆動対象物を動作させることができる微小駆動装置と、その製造方法との提供を目的としている。
本発明の請求項1にかかる微小駆動装置は、導電性ポリマー層で絶縁性ポリマー層を一体的に挟持してなるポリマー構造体を基板上に設けており、前記導電性ポリマー層への電圧印加に伴って前記ポリマー構造体が伸長動作する構成であることを特徴としている。
本発明の請求項2にかかる微小駆動装置は請求項1に記載したものであって、前記導電性ポリマー層の少なくとも一部は前記基板上の所定位置に固定されており、前記ポリマー構造体が前記基板の表面と平行な方向に沿って伸長動作する構成であることを特徴としている。
本発明の請求項3にかかる微小駆動装置は請求項1に記載したものであって、前記導電性ポリマー層の少なくとも一部は前記基板上の所定位置に固定されており、前記ポリマー構造体が前記基板の表面と平行な方向以外の方向に沿って伸長動作する構成であることを特徴としている。
本発明の請求項4にかかる微小駆動装置は請求項1または請求項2に記載したものであり、基板の表面を覆う絶縁層の表面上に、第1の導電性ポリマー層と、絶縁性ポリマー層と、第2の導電性ポリマー層とを順次に積層してポリマー構造体を構成していることを特徴とする。
本発明の請求項5にかかる微小駆動装置の製造方法は、基板の表面を覆って形成された絶縁膜の表面上に第1の導電性ポリマー膜を形成し、この導電性ポリマー膜をパターン化して第1の導電性ポリマー層とする工程と、第1の導電性ポリマー層の表面上に絶縁性ポリマー膜を形成し、この絶縁性ポリマー膜をパターン化して絶縁性ポリマー層とする工程と、絶縁性ポリマー層の表面上に第2の導電性ポリマー膜を形成し、この導電性ポリマー膜をパターン化して第2の導電性ポリマー層とする工程と、前記基板の表面を覆っている前記絶縁膜の不要部分を除去する工程とを含んでいることを特徴とする。
本発明の請求項1にかかる微小駆動装置では、基板上に設けられたポリマー構造体自体が導電性ポリマー層への電圧印加に伴って伸長動作するので、空気を介して作用する静電気力が駆動力である場合に比較し、駆動対象物に対して大きな作用力を及ぼすことが可能になるという効果が得られる。
本発明の請求項2にかかる微小駆動装置は、導電性ポリマー層の少なくとも一部が基板上に固定され、かつ、ポリマー構造体が基板の表面と平行な方向に沿って伸長動作する構成であるため、駆動力低下の恐れなしに駆動対象物を直接的に動作させることが可能であり、しかも、基板の表面と平行な方向に沿って駆動対象物を動作させることができるという効果が得られる。
本発明の請求項3にかかる微小駆動装置では、ポリマー構造体が基板の表面と平行な方向以外の方向に沿って伸長動作する構成を採用しているので、駆動力低下の恐れがないままに駆動対象物を直接的に動作させることが可能であり、さらには、駆動対象物を任意の方向に沿って動作させることができるという効果が得られる。
本発明の請求項4にかかる微小駆動装置であれば、ポリマー構造体の構成が簡単であって上記した微小駆動装置を容易に構成できるという効果が得られる。また、本発明の請求項5にかかる微小駆動装置の製造方法を採用すれば、上記した微小駆動装置を極めて容易かつ安価に製造できることになり、コストの低減と製造効率の向上を図ることができるという効果が得られる。
駆動対象物を直接的に動作させることが可能であり、かつ、駆動力低下の恐れがなく、しかも、基板の表面と平行な方向に沿っても駆動対象物を動作させることができる微小駆動装置と、その製造方法とを実現した。
図1は本実施の形態にかかる微小駆動装置の基本的な構造を簡略化して示す側断面図であり、図2及び図3の各々は本実施の形態にかかる微小駆動装置の製造方法を簡略化して示す側断面図である。そして、図2は製造方法の前段工程を手順に従って示す図であり、また、図3は製造方法の後段工程を手順に従って示す図である。
本実施の形態にかかる微小駆動装置1は、図1で示すように、第1の導電性ポリマー層2と、絶縁性ポリマー層3と、第2の導電性ポリマー層4とが順次に積層して一体化されたポリマー構造体を備えており、このポリマー構造体はシリコン等からなるウェハ基板5の表面を覆って形成された酸化膜等である絶縁膜6の表面上に設けられている。そして、ここでのポリマー構造体は、共に所定の形状を有するようパターン化された上下一対の導電性ポリマー層2,4でもって絶縁性ポリマー層3が挟持されたものであり、このポリマー構造体は、絶縁膜6を介して基板5の表面と平行な方向に沿って延出されている。
また、この際、第1の導電性ポリマー層2の一部は絶縁膜6を介して基板5上の所定位置に固定されており、第1及び第2の導電性ポリマー層2,4それぞれの表面上における固定端部近くには、第1及び第2の電極7,8が各別に位置決めして形成されている。さらに、これら第1及び第2の電極7,8のうちの一方側、例えば、第1の電極7はグランドに接続されており、その他方側、つまり、第2の電極8に対しては電圧源(図示省略)が接続されている。なお、ここでは、第1の導電性ポリマー層2の一部が基板5上に固定されるとしているが、少なくとも一部が固定されていればよいのである。
そこで、第2の電極8が形成された第2の導電性ポリマー層4と、グランドに接続された第1の電極7が形成された第1の導電性ポリマー層2とは、第2の電極8に対する電圧の印加に伴って相互に引き寄せあうこととなり、これらによって両側から押圧される絶縁性ポリマー層3はその表裏方向の厚みが薄くなるよう変形する。このようになると、絶縁性ポリマー層3と一体化されている第1及び第2の導電性ポリマー層2,4も表裏方向の厚みが薄くなるよう変形することになり、ポリマー構造体は全体として基板5の表面と平行な方向に沿って伸長動作する。
その結果、ポリマー構造体の自由端部、例えば、第1及び第2の導電性ポリマー層2,4で挟持された絶縁性ポリマー層3の自由端部に対して駆動対象物(図示省略)を取り付けておけば、この駆動対象物は絶縁性ポリマー層3、つまり、基板5の表面と平行な方向に沿って伸長動作するポリマー構造体によって直接的に駆動される。そして、このような構成である場合には、静電気力を利用した構成を採用している場合とは異なり、駆動対象物に対して直接的に大きな作用力を及ぼすことが可能となる。
さらに、第2の電極8への電圧印加に伴ってポリマー構造体が伸長動作しているにも拘わらず、第2の電極8に対する電圧の印加を停止すれば、第1及び第2の導電性ポリマー層2,4同士の引き寄せあう状態が解除されるため、絶縁性ポリマー層3は勿論のこと、この絶縁性ポリマー層3を挟持している第1及び第2の導電性ポリマー層2,4それぞれも元の厚みに戻ることとなる。そこで、伸長動作していたポリマー構造体は全体として縮退動作することになり、駆動対象物は元通りの位置まで駆動される。なお、図1中の矢印Bは、ポリマー構造体の伸縮方向を示している。
次に、図2及び図3を参照しながら、本実施の形態にかかる微小駆動装置1の製造方法を説明する。
まず最初には、図2(a)で示すように、シリコン等からなるウェハ基板5の表面上に対し、これを全面的に覆う酸化膜等のような所定厚みの絶縁膜11を形成する。そして、図2(b)で示すように、絶縁膜11の表面上に対し、第1の導電性ポリマー膜12をスピンコート等の手法を採用して形成し、かつ、プラズマエッチング等の手法を採用して導電性ポリマー膜12をパターン化することにより第1の導電性ポリマー層2を形成する。
その後、図2(c)で示すように、第1の導電性ポリマー層2の表面上に絶縁性ポリマー膜13を形成し、かつ、この絶縁性ポリマー膜13をパターン化することにより絶縁性ポリマー層3を形成する。なお、この絶縁性ポリマー膜13もスピンコート等の手法を採用して形成され、また、絶縁性ポリマー膜13をパターン化するに際してはプラズマエッチング等の手法が採用される。
引き続き、図3(a)で示すように、絶縁性ポリマー層3の表面上に第2の導電性ポリマー膜14を形成し、この導電性ポリマー膜14をパターン化することにより第2の導電性ポリマー層4を形成する。さらに、図3(b)で示すように、第1及び第2の導電性ポリマー層2,4それぞれの表面上における固定端部近くに対し、第1及び第2の電極7,8を各別に位置決めして形成する。
その後、図3(c)で示すように、ウェハ基板5の表面上を覆って形成された絶縁膜11の不要部分15、つまり、第1及び第2の導電性ポリマー層2,4と絶縁性ポリマー層3とからなるポリマー構造体における固定端部を除いた自由端部と対応する不要部分15を除去する。すると、ポリマー構造体を構成している第1の導電性ポリマー層2の一部が絶縁膜6を介して基板5上の所定位置に固定された構造となり、図1で示したのと同構造の微小駆動装置1が完成する。なお、絶縁膜11の不要部分15を除去するには、フッ化水素等を用いたエッチングが行われる。
ところで、本実施の形態においては、第1及び第2の導電性ポリマー層2,4でもって絶縁性ポリマー層3を挟持してなるポリマー構造体が絶縁膜6を介して基板5の表面と平行な方向に沿って延出させるように設けている。しかし、このような構成に限定されることはなく、図示省略しているが、ポリマー構造体を基板5の表面とは垂直な方向に沿って延出させたり、また、このポリマー構造体を基板5の表面とは平行でない傾斜方向に沿って延出させたりすることも可能である。但し、これらの場合には、基板5に対する第1の導電性ポリマー層2の固定方法を工夫することが必要となる。
1 微小駆動装置
2 導電性ポリマー層
3 絶縁性ポリマー層
4 導電性ポリマー層
5 基板
6 絶縁層
2 導電性ポリマー層
3 絶縁性ポリマー層
4 導電性ポリマー層
5 基板
6 絶縁層
Claims (5)
- 導電性ポリマー層で絶縁性ポリマー層を一体的に挟持してなるポリマー構造体を基板上に設けており、前記導電性ポリマー層への電圧印加に伴って前記ポリマー構造体が伸長動作する構成であることを特徴とする微小駆動装置。
- 前記導電性ポリマー層の少なくとも一部は前記基板上の所定位置に固定されており、前記ポリマー構造体が前記基板の表面と平行な方向に沿って伸長動作する構成であることを特徴とする請求項1に記載の微小駆動装置。
- 前記導電性ポリマー層の少なくとも一部は前記基板上の所定位置に固定されており、前記ポリマー構造体が前記基板の表面と平行な方向以外の方向に沿って伸長動作する構成であることを特徴とする請求項1に記載の微小駆動装置。
- 基板の表面を覆う絶縁層の表面上に、第1の導電性ポリマー層と、絶縁性ポリマー層と、第2の導電性ポリマー層とを順次に積層してポリマー構造体を構成していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の微小駆動装置。
- 基板の表面を覆って形成された絶縁膜の表面上に第1の導電性ポリマー膜を形成し、この導電性ポリマー膜をパターン化して第1の導電性ポリマー層とする工程と、第1の導電性ポリマー層の表面上に絶縁性ポリマー膜を形成し、この絶縁性ポリマー膜をパターン化して絶縁性ポリマー層とする工程と、絶縁性ポリマー層の表面上に第2の導電性ポリマー膜を形成し、この導電性ポリマー膜をパターン化して第2の導電性ポリマー層とする工程と、前記基板の表面を覆っている前記絶縁膜の不要部分を除去する工程とを含んでいることを特徴とする微小駆動装置の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003273826A JP2005034938A (ja) | 2003-07-14 | 2003-07-14 | 微小駆動装置及びその製造方法 |
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JP2003273826A JP2005034938A (ja) | 2003-07-14 | 2003-07-14 | 微小駆動装置及びその製造方法 |
Publications (1)
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ID=34210952
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JP2003273826A Pending JP2005034938A (ja) | 2003-07-14 | 2003-07-14 | 微小駆動装置及びその製造方法 |
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JP (1) | JP2005034938A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN108584864A (zh) * | 2018-04-16 | 2018-09-28 | 大连理工大学 | 一种基于聚酰亚胺的柔性静电驱动mems继电器的制造方法 |
-
2003
- 2003-07-14 JP JP2003273826A patent/JP2005034938A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN108584864A (zh) * | 2018-04-16 | 2018-09-28 | 大连理工大学 | 一种基于聚酰亚胺的柔性静电驱动mems继电器的制造方法 |
CN108584864B (zh) * | 2018-04-16 | 2019-08-09 | 大连理工大学 | 一种基于聚酰亚胺的柔性静电驱动mems继电器的制造方法 |
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