JP2005034730A - Ph維持材 - Google Patents
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Abstract
【課題】 無機質繊維板の廃材のリサイクル利用に有効な無機質繊維板廃材を利用したPH維持材を提供する。
【解決手段】 無機質繊維板の廃材とアルミナ成分とシリカ成分とを主原料とし、それらを粉砕した無機質繊維板の廃材が50質量%、アルミナ分が25〜35質量%、シリカ分が15〜25質量%の粉体にバインダーが配合されて成形され、該無機質繊維板の廃材中に含まれる繊維分の燃え抜け温度以上で焼成されて、微細な空隙を多数有する多孔質体とされた。
【選択図】 なし
【解決手段】 無機質繊維板の廃材とアルミナ成分とシリカ成分とを主原料とし、それらを粉砕した無機質繊維板の廃材が50質量%、アルミナ分が25〜35質量%、シリカ分が15〜25質量%の粉体にバインダーが配合されて成形され、該無機質繊維板の廃材中に含まれる繊維分の燃え抜け温度以上で焼成されて、微細な空隙を多数有する多孔質体とされた。
【選択図】 なし
Description
本発明は、PH維持材に関するものである。さらに詳しくは、産業廃棄物として排出される無機質繊維板の廃材のリサイクル利用に有効な淡水のPHを中性から弱アルカリ性に維持するPH維持材に関するものである。
建築物の外装材などに広く用いられている無機質繊維板は、繊維分の含有により強度を向上させたもので、近年、産業廃棄物として排出される量が急激に増加しつつある。そこで、無機質繊維板の廃材の有効利用、すなわち、様々なリサイクル利用が現在検討されている。たとえば、廃材を粉砕し、その粉体を新たな無機質繊維板の原材料として利用したり、あるいは無機質繊維板を製造する際の骨材として使用したり、透水性を付与するように焼成して透水ブロックとして利用することなどが提案されている。
しかしながら、産業廃棄物として排出される無機質繊維板の量は、現在実施されているリサイクル利用では捌ききれないほど多量であり、沢山の方策の案出が急務となっている。
従来より、セラミック多孔体は、特開平11−171663号公報(特許文献1)に開示されるようにフィルタ、断熱材、触媒担体などに広く用いられている。
さらに、セラミック多孔体からなるフィルタで、観賞魚用水槽の水を浄化できるセラミック多孔体フィルタとしては、例えば、特開平7−213836号公報(特許文献2)に開示されたものがある。
この観賞魚用水槽の水を浄化するセラミック多孔体フィルタは、フィルタ本体が微粉耐火物の混在する複数の多孔質セラミック焼結層の積層体であって、焼結層のそれぞれに焼結層を貫通する気孔が形成され、焼結層の間に微細な間隙が形成されている。
上記特許文献2には、さらにセラミック多孔体フィルタの製造方法として、セラミック微粉末とバインダとを均一に混合したスラリーを消失模型に付着させ、さらにこの表面に微粉耐火物をコーテイングして乾燥するという、付着工程とコーテイング工程と乾燥工程とを複数回繰り返した後、消失模型を除去した乾燥物を焼成する方法が開示されている。
上記従来のセラミック多孔体は、無機質繊維板を原料としていないため、廃棄物のリサイクルに少しも寄与しないうえ、原料が高価であると共に製造方法も複雑であり、高価になる。
また、観賞用生物を飼育する場合、餌の食べ残し等による水槽水の汚れやPHの上昇が経時で発生する。この水槽水の汚れやPH上昇を改善するため上記のような市販のろ過材や、PH降下剤等を使用するが、短時間しか効果がなく、実用上長期に使用できるものがなかった。
特開平11−171663号公報
特開平7−213836号公報
本願発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、産業廃棄物として排出される無機質繊維板の廃材のリサイクル利用に有効となり得るPH維持材を提供することを目的としている。
本願発明者らは、以上の課題を解決するために鋭意検討した結果、無機質繊維板の廃材を無機物焼成品の主原料としてリサイクル利用することが可能であることを見つけだした。
本願発明の無機質繊維板廃材を利用するPH維持材は、無機質繊維板の廃材とアルミナ成分とシリカ成分とを主原料とし、それらを粉砕した粉体にバインダーが配合されて成形され、該無機質繊維板の廃材中に含まれる繊維分の燃え抜け温度以上で焼成されて、微細な空隙を多数有する多孔質体であることを特徴とする。
本願発明の無機質繊維板廃材を利用するPH維持材は、産業廃棄物として排出される無機質繊維板の廃材をリサイクルすることができ、安価な原料から多孔質体に容易に安価に製造でき、廃材中に含まれる珪酸カルシウム等のアルカリ性物質を作用しやすくできる。成形した焼成品は、微細な空隙が形成されたPH維持材として、良好な強度と共に、良好な持続性を有する。長期にわたり水を中性から弱アルカリ性に維持できると共に、長期にわたり水質の維持ができることで、観賞魚用水槽の水のPH維持、中和に使用できる。
従って、本願発明のPH維持材を観賞用生物飼育水槽の底砂等に使用すると、水槽中の底砂等を洗浄する期間を長くできる。また、多孔質体によるろ過バクテリアの生育が容易で水質維持に寄与する効果が増進できる。
本願発明は、無機質繊維板の廃材とアルミナ分とシリカ分を主原料とし、それらの粉体とともにバインダーが配合された粉体混合物から焼成用材料が成形され、無機質繊維板の廃材中に含まれる繊維分の燃え抜け温度以上で焼成されて、微細な空隙を多数有する多孔体であるPH維持材を提供する。
以下、本願発明の実施の形態について詳細に説明する。
本願発明の無機質繊維板廃材を利用するPH維持材において、主原料の一つとされる無機質繊維板の廃材は、例えば、セメント、石灰質原料、けい酸質原料等の繊維強化セメント板、窯業系サイデイング材、火山性ガラス質積層板等各種の無機質のものが使用される。その他、粘土を主原料とし、これに各種バインダーを配合して成形性を付与し、成形・焼成されて作製されたもの、環境問題を改善するために、ガラス分や鋳物砂ダストなどの産業廃棄物を原料の一部として粘土に混合したもの、窯業系外装材・瓦の端材で繊維分が5〜20%含まれるものなども使用できる。窯業系外装材・瓦の端材とは、製造現場で発生する切屑や端切れ等と施工現場で発生する端材等と外装材や屋根瓦等に使用した建築物の取り壊し改修等の際に発生する廃材等である。
他の主原料であるアルミナ分としては、たとえば、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、ボーキサイトなどが例示される。さらにシリカ分も含む下記のシャモット、本節粘土、長石、カオリン、ムライトなどを用いてもよい。
もう一つの主原料であるシリカ分については、原料として、珪石、珪砂などが例示される。なお、シリカ分として、シャモット、本節粘土、長石、カオリン、ムライトなどを用いると、主原料の一つであるアルミナ分をも含有するので、配合作業の効率を高めることができる。
さらに、本願発明のPH維持材においては、焼成用材料には、以上の主原料及び成形性に応じて任意に配合することのできるシリカ分に加え、マグネシア、ジルコンなどの耐火物原料、遠赤外線セラミックス原料等を配合することもできる。
前記無機質繊維板の廃材中に含まれる繊維分が有機質繊維であることが焼成時に無機質原料の成形体中に空隙を形成して多孔質体を形成するうえで好ましい。必要であれば、パルプ、パルプ廃液等の天然の繊維質材料、ビニル繊維、ナイロン繊維等の化学繊維などの有機質繊維を加えてもよい。
繊維分の燃え抜け温度は、無機質繊維板の廃材中の成分により変わるが、1000〜1400℃で行われる。1000℃未満では、焼成品の焼成不足となりがちで、強度が弱く、多孔質体を形成が不十分になるおそれがある。また、1400℃を超えると、製造費が高くなると共に、空隙が埋まって多孔質の形成が悪くなるおそれがある。従って、焼成温度は1200〜1400℃程度であり、約1300℃が好ましい。
焼成時の雰囲気については、酸化雰囲気又は還元雰囲気のいずれであっても得られる焼成品の性能に特に影響はない。
無機質繊維板の廃材については、廃材のリサイクルのためには多い方がよいが、60質量%を超えると焼成品の強度が著しく低下し、40質量%未満では廃材のリサイクル利用の効率向上が望めなくなる。
アルミナ分とシリカ分については、アルミナ分25質量%未満、シリカ分25質量%超では酸性になって中性又はアルカリ性を保持できなく、アルミナ分35質量%超、シリカ分15質量%未満では焼成温度が著しく高くなると共に、アルカリ性が強くなり、弱アルカリ性を保持できなくなる。
一方、成形性を向上させるためのバインダーには、これまでの無機物焼成品と同様に、水を用いることができるが、主原料である無機質繊維板の廃材及びアルミナ分の粉体を成形可能とすることができる限り格別の限定はない。有機塩、無機塩などを含む水溶液や有機溶媒などもバインダーの対象となり得る。
無機質繊維板の廃材は、粉体とされるが、この粉体の粒径は、粒度分布にもよるが粒径を大きくとると、空隙が大きくなると共に強度が弱くなるおそれがあるので、最大で1〜2mm程度のものがあってもよいが、大部分は500μm程度以下が好ましい。最小粒径は、数μmでも使用できるが、製造のコスト、焼成品の品質からは約50μm以上が好ましい。
また、他の成分との混合を容易とし、また、焼成後におよそ150μm以下の微細な空隙が多数形成された多孔体とするために、50〜500μmの範囲内にあるのが好ましい。この50〜500μmの範囲は、無機質繊維板の廃材を鋸引きした時に生ずる粉体がほぼその範囲内に分布する。したがって、上記粉体は、産業廃棄物として排出された無機質繊維板の廃材を鋸引きすることにより容易に得られる。もちろん、粉砕機により粉砕して得てもよい。
次に、無機質繊維板廃材からPH維持材を製造する方法について説明する。
まず、無機質繊維板廃材粉末50質量%、アルミナ分20〜40質量%、シリカ分10〜30質量%になるように水酸化アルミニウムの粉末とシリカ分とアルミナ分としてタイル原料の粘土、珪石、長石等の粉末を配合すると共に、バインダーとして湿潤させるために水を配合して焼成用材料を調製した。配合割合については、表1にPHが7〜8を外れる比較例についても示している。また、表1には、下記のようにして試験した1ヶ月後のPHを合わせて示している。
なお、無機質繊維板廃材としては、珪酸カルシウムを主成分とする窯業系外装材・瓦端材を50質量%用い、ダイヤモンドソーにより切断して粉末を得、この粉末を篩い分けして50〜500μmの無機質繊維板廃材の粉末とした。これにより、瓦端材に含まれる繊維分が無機質繊維板の繊維分として働く。
次いで、上記焼成用材料を塊状に成形し、酸化(大気)雰囲気下で約1300℃で焼成した。
上記塊状の成形体の焼成により、PH維持材としての多孔質体が得られた。
次いで、この多孔質体を用いて淡水のPH調整PH維持材としての性能試験を以下のように行った。
配合を変えて製造した多孔質体を、小型熱帯魚を数匹入れた50リットルの水槽の上部式フィルタのろ過材として使用すると共に、底砂として使用した。使用した水道水のPHは6.4であった。
そして、経時での淡水の水質変化をアンモニア態窒素と亜硝酸態窒素の蓄積量を以って調査すると共に、経時でのPHを測定した。
上記のように行った試験の結果、1)3ヶ月後のアンモニア態窒素の蓄積量は5mgN/lで亜硝酸態窒素は殆ど検出されなかった。また、2)PHは1日後7.2に上昇し、2〜3日後に7.8に上昇し、その後はほぼ一定で安定し、3ヶ月後でもPHは7.8で一定であった。
PH測定の経時変化の結果を図1に示す。図1には比較のために、市販のPH維持材を使用してPHを測定した結果を合わせて示した。
Claims (6)
- 無機質繊維板の廃材とアルミナ成分とシリカ成分とを主原料とし、それらを粉砕した粉体にバインダーが配合されて成形され、該無機質繊維板の廃材中に含まれる繊維分の燃え抜け温度以上で焼成されてなる、微細な空隙を多数有する多孔質体であることを特徴とするPH維持材。
- 前記主原料を無機質繊維板の廃材が50質量%、アルミナ分が25〜35質量%、シリカ分が15〜25質量%とした請求項1に記載のPH維持材。
- 前記無機質繊維板が窯業系外装材・瓦の端材でありアルミナ成分とシリカ成分がタイル原料である請求項1又は2に記載のPH維持材。
- 前記無機質繊維板に含まれる繊維分が有機質繊維である請求項1乃至3のいずれかに記載のPH維持材。
- 前記無機質繊維板の廃材を粒径が50〜500μmの範囲内に粉砕した請求項1乃至4のいずれかに記載のPH維持材。
- 前記主原料から成形した成形体を約1300℃で焼成した請求項1乃至5のいずれかに記載のPH維持材。
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JP2003274064A JP2005034730A (ja) | 2003-07-14 | 2003-07-14 | Ph維持材 |
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