JP2005033579A - 人工誘電体及び誘電体共振器、並びに誘電体フィルター - Google Patents

人工誘電体及び誘電体共振器、並びに誘電体フィルター Download PDF

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Abstract

【課題】 安価に大量生産でき、且つ共振器の小型化及び低背化に好適な人工誘電体、及びそれを媒質として用いた誘電体共振器、並びにその誘電体共振器を用いた誘電体フィルターを提供することを目的とする。
【解決手段】 セラミクスのグリーンシートを積層し焼結して形成した誘電体であって、その内部に、励振の対象とする電磁界モードの電界に沿って、導電性金属部材からなる複数の金属ストリップを形成し等価誘電率を大きくした人工誘電体。
【選択図】 図1

Description

本発明は、電気・電子回路に広く使われている共振器に係わり、特に誘電体共振器に好適な人工誘電体及びそれを媒質として用いた誘電体共振器、並びにその誘電体共振器を用いた誘電体フィルターに関する。
共振器は、電気・電子回路に広く使われ、それらの回路が所定の機能を発揮するのを助ける電気・電子部品であり、一般的に共振器に要求される特性は、用途によって異なるが、共振モードが過度に密集せず希望するモードを選択的に励振できる(スプリアス特性が良い)、温度安定性が高い、低損失(高Q値)、非線形特性・歪特性が良好、形状・重量が小さい、安価、などである。特に、高周波回路に多く用いられる誘電体を媒質とした誘電体共振器に求められる特性は、スプリアス特性、温度安定性、低損失が共通的なものであり、用途によっては、小型化を図るために高誘電率性が要求され、大電力を扱うために低歪特性が要求されることもある。これらの要求を満たす優れた特性の誘電体共振器が種々開発されてきたが、どの特性を取ってみても、回路技術者からの要求は止まる所がないため、完全と言うには程遠い状態にある。
かかる状況に鑑み、本発明者は先に、温度特性やモード配置の制御などを自由に行うことができ、共振器特性の大幅な向上が期待できる共振器を提供することを目的として、対象とする電磁波の波長の概ね1/10以下の大きさの誘電体粒子等を単位粒子とし、この単位粒子を他の母体媒質の中に均質に又は非均質に並べた人工媒質を用いた共振器を提案した(特許文献1)。この発明は、対象とする電磁波の波長より十分小さい単位粒子を十分接近させて大量に配置することにより、マクロな構成関係式が適用できる人工媒質を用いた共振器を提供するものであり、多種多様な選択、組み合わせが可能という特徴を生かし、温度特性やモード配置の制御などを自由に行うことができる技術である。
然しながら、この従来技術で開示されている母体媒質は、プラスチックス又は発泡プラスチックスであり、その開示されている人工媒質の作製方法は、プラスチックスの重合過程で単位粒子を分散配置して作製する方法や、プラスチックスを再溶融し撹拌しながら単位粒子を分散配置させる方法、底部から微小な気泡を溶融プラスチックス中に吹き込みながら単位粒子を分散配置させる方法であって、工業的に、安価に大量生産できる人工媒質を提供するに至っていない。又、その人工媒質を用いた共振器を好適に小型化及び低背化(薄型化)する技術は開示されていない。
一方、近年、高誘電率かつ低損失の誘電体であり共振器に好適なセラミクスに関し、焼結温度が900℃程度で、損失が比較的小さく(tanδ < 0.001)、比誘電率が10前後から50程度の低温焼結セラミクスが開発され、セラミクスのグリーンシート上に銀(融点950℃)など低抵抗部材で形成された電極等との一体焼結が可能となった。既にこの低温焼結セラミクスを利用した携帯電話用の小形帯域通過フィルター(BPF)が商品化され、更に、スイッチング素子なども集積化した、より高機能のHIC(ハイブリッドIC)が開発されている。
即ち、従来のセラミクスは、焼結温度が1500〜1600℃程度と高いため、焼結前のグリーンシート上に電極等を形成する材料として低抵抗部材(例えば、銀、銅、それらの合金など)を用いることができず、例えば、特許文献2に開示されている如く、低抵抗部材の使用を可能とするためには、多層セラミクスパッケージを焼結・形成する工程と、位相整合回路用のパターン等を形成する工程とを分離する必要があった。なお、特許文献2は、分波器及びその製造方法の発明であって、詳細には、所定数のグリーンシートが形成される工程と、各グリーンシート上にそれぞれ層に応じた信号系、電源系、接地系等のパターンが形成されると共に、必要に応じて開口部が形成される工程と、各グリーンシートを積層して焼成させる工程と、焼成されたグリーンシートの上部に蒸着等によりパターン膜を生成する工程と、パターン膜をエッチングにより所定数の位相整合回路用のパターンを形成させる工程と、個別の多層パッケージに分離する工程と、外部接続のための端子の形成後にフィルターチップを搭載して電気的接続を行い蓋部により封止させる工程と、を含む弾性表面波帯域通過フィルターを用いた分波器の製造方法が開示されている。
低温焼結セラミクスを用いた従来技術としては、例えば、特許文献3には、850℃〜1000℃の温度で焼結可能な、例えば、酸化バリウム、酸化アルミニウム、シリカを主成分とする低温焼結セラミクスからなる複数の誘電体層を積層することによって形成される多層基板と、その複数の誘電体層上の伝送線路及びコンデンサを形成する電極とを一体焼結することにより、高周波スイッチとセラミクスを一体化し、小型化、軽量化した高周波デバイスが開示されている。又、特許文献4、特許文献5、特許文献6には、小型化及び低背化(薄型化)を目的に、1000℃以下で焼結できる低温焼結セラミクスのグリーンシートを誘電体として使用し、銀または銅を用いて平面状コンデンサや平面状スパイラルコイルを複数のグリーンシート上に印刷・形成し、そのグリーンシートを積層し焼結して作製した帯域通過フィルターが開示されている。
これらの従来技術はいずれも、それぞれのグリーンシート上にコイルやコンデンサ、電極など、それぞれ異なる機能を有するパターン等を形成し、それを積層・焼結することにより、個々の機能を合計して帯域通過フィルターなどの高周波デバイスを一体に形成しようとする技術であり、本発明の意図する、人工誘電体及びそれを媒質として用いた誘電体共振器を提供するものではない。なお、これらの従来技術にも示されている、グリーンシート上にパターン等を形成し、それを積層・焼結するという一般的な作製技術は、本発明においても好適に使用し得るものである。
誘電体共振器を小型化、低背化する技術として、導電性の鏡面を用いて鏡像効果を利用したイメージ型の誘電体共振器が知られている。即ち、イメージ型の誘電体共振器は、励振の対象とする電磁界モードの電界に直交する面に、誘電体と接触して導電性の鏡面を構成することにより、鏡面に形成されるイメージの誘電体を含め1個の誘電体共振器として機能するという鏡像効果を利用した誘電体共振器であって、例えば、同心円状の電界の場合、それを2分割又は4分割する面に鏡面を構成することにより、概ね1/2又は1/4に小型化、低背化した誘電体共振器を得ることができる。
かかる従来技術として、例えば、特許文献7には、低周波数側の不要なスプリアス応答を除去することを目的に、少なくとも1つの円柱形又は円筒形の誘電体共振器により構成される帯域通過フィルターにおいて、円柱形又は円筒形の誘電体共振器が導電性の板に対して垂直となるように、誘電体共振器の一方の平らな端部を平らな導電性の板に接触させてイメージ型のTM01δモードの共振器を形成するようにした、イメージ型TM01δモード誘電体フィルターが開示されており、この導電性の鏡面を用いて鏡像効果を利用したイメージ型の誘電体共振器の従来技術は、本発明においても好適に使用し得るものである。
特開2002−374107号公報 特開平09−051206号公報 特開平10−145270号公報 特開平07−122904号公報 特開平07−106896号公報 特開平06−244605号公報 特開平05−110304号公報
本発明は、上述した状況に鑑みなされたもので、安価に大量生産でき、且つ共振器の小型化及び低背化に好適な人工誘電体、及びそれを媒質として用いた誘電体共振器、並びにその誘電体共振器を用いた誘電体フィルターを提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、請求項1の発明は、セラミクスのグリーンシートを積層し焼結して形成した誘電体であって、その内部に、励振の対象とする電磁界モードの電界に沿って、導電性金属部材からなる複数の金属ストリップを形成し等価誘電率を大きくした誘電体であることを特徴とする人工誘電体としたものである。
請求項2の発明は、前記セラミクスの好ましい形態に係り、前記セラミクスを、1000℃以下の温度で焼結可能な低温焼結セラミクスとしたことを特徴とする。
請求項3の発明は、前記金属ストリップを形成する材料の好ましい形態に係り、前記金属ストリップは、1000℃以下の温度で焼結可能な導電性金属を材料として成形し、前記低温焼結セラミクスと一体焼結して形成した金属ストリップであることを特徴とする。
請求項4の発明は、前記金属ストリップの長手方向長さと幅方向長さの関係の好ましい形態に係り、前記金属ストリップは、その縦横比(縦方向長さ/横方向長さ)が2以上であることを特徴とする。
請求項5と請求項6の発明は、前記複数の金属ストリップの構成に係り、請求項5の発明は、前記複数の金属ストリップが、概ね均一な間隔の同心状に形成され且つそれが概ね均一な間隔で複数積層された金属ストリップ部、又は、概ね均一な間隔の平行直線状に形成された金属ストリップ部、を構成していることを特徴とし、請求項6の発明は、その金属ストリップ部が所定の間隔で複数形成されていることを特徴とする。
請求項7と請求項8の発明は、前記金属ストリップの好ましい形成法に係り、請求項7の発明は、前記概ね均一な間隔の同心状に形成され且つそれが概ね均一な間隔で複数積層された金属ストリップが、前記低温焼結セラミクスのグリーンシート上に印刷成形され、該セラミクスと一体焼結して形成された金属ストリップであることを特徴とし、請求項8の発明は、前記概ね均一な間隔の平行直線状の金属ストリップが、前記低温焼結セラミクスのバイアホールに成形され、該セラミクスと一体焼結して形成された金属ストリップであることを特徴とする。
請求項9の発明は、上下面及び/又は側面に前記セラミクスと一体焼結して形成された導電性の金属皮膜を更に有することを特徴とする。
請求項10から請求項14の発明は、本発明の誘電体共振器である。即ち、請求項10の発明は、媒質として前記本発明の人工誘電体を用いたことを特徴とする誘電体共振器であり、請求項11の発明は、前記誘電体共振器が、励振の対象とする電磁界モードの電界に直交する面に誘電体の鏡像が形成される導電性の鏡面を有し、鏡像効果を利用したイメージ型の共振器であることを特徴とする。
請求項12の発明は、前記鏡面が、前記人工誘電体の上面、下面、又は1つの側面に形成された導電性の金属皮膜であることを特徴とし、請求項13の発明は、前記鏡面が、前記人工誘電体のバイアホールに成形された概ね均一な間隔の平行直線状の金属ストリップ部であることを特徴とする。請求項14の発明は、前記人工誘電体が、その上下面及び/又は側面に形成された電磁界シールド用の導電性の金属皮膜を有することを特徴とする。
請求項15から請求項19の発明は、本発明の誘電体フィルターである。即ち、請求項15の発明は、前記本発明の誘電体共振器を用いたことを特徴とする誘電体フィルターであり、請求項16の発明は、少なくとも1つの誘電体共振器により構成される誘電体フィルターであって、該誘電体共振器は、1/2分割の概ね均一な間隔の同心状に形成され且つそれが概ね均一な間隔で複数積層された金属ストリップを有する人工誘電体と、その分割面に接触して、該誘電体の鏡像が形成される導電性の鏡面を有するイメージ型の共振器であることを特徴とする。
請求項17の発明は、少なくとも1つの誘電体共振器により構成される誘電体フィルターであって、該誘電体共振器は、1/4分割の概ね均一な間隔の同心状に形成され且つそれが概ね均一な間隔で複数積層された金属ストリップを有する人工誘電体と、それぞれの分割面に接触して、該誘電体の鏡像が形成される導電性の鏡面をそれぞれ有するイメージ型の共振器であることを特徴とし、請求項18の発明は、少なくとも1つの誘電体共振器により構成される誘電体フィルターであって、該誘電体共振器は、概ね均一な間隔の平行直線状の金属ストリップを有する人工誘電体と、該金属ストリップ方向に直交する該誘電体の2面に接触して、該金属ストリップ方向の電磁界をシールドする、導電性の金属皮膜をそれぞれ有する共振器であることを特徴とする。
請求項19の発明は、励振の対象とする電磁界モードの電界に沿って概ね均一な間隔の平行直線状に形成された金属ストリップ部が所定の間隔で複数形成され、上下面及び側面に前記セラミクスと一体焼結して形成された導電性の金属皮膜を更に有する人工誘電体を用い、導波管形の多段帯域通過フィルターを構成したことを特徴とする。
本発明は、以下、詳細に説明するように、安価に大量生産でき、且つ共振器の小型化及び低背化に好適な人工誘電体、及びそれを媒質として用いた誘電体共振器、並びにその誘電体共振器を用いた誘電体フィルターを提供することができる効果がある。かかる人工誘電体は、衛星通信、移動体通信などの分野で激増しつつある電波サービスに対する社会的な要求に有効に対応できる電気・電子部品を提供可能とするものでありその社会的意義は大きい。
以下、本発明の実施の形態について説明する。本発明の人工誘電体は、セラミクスのグリーンシートを積層し焼結して形成した誘電体であって、その内部に、励振の対象とする電磁界モードの電界に沿って、導電性金属部材からなる複数の金属ストリップを形成し等価誘電率を大きくした誘電体であり、巨大な異方性を実現することができ、誘電体共振器に好適に使用し得る人工誘電体である。
即ち、金属ストリップの分極が非常に大きく、金属ストリップ中の電子は束縛電子と等価であるため金属ストリップは誘電体分子のように振る舞うことを利用し、かかる複数の金属ストリップを誘電体の内部に形成することにより、等価誘電率を大幅に大きくした誘電体を実現できる。例えば、特に本発明を限定するものではないが、本発明者らの解析と実験によれば、等価誘電率を数倍から1000倍にした人工誘電体が実現可能である。特に、金属ストリップの縦横比(縦方向長さ/横方向長さ)を大きくとり、それを励振したいモードの電界に沿って並べることにより、巨大な異方性を実現することができ、そのように構成し巨大な異方性を実現する誘電体を用いた共振器は、そのモードの励振を効果的に行うことができ、極めて優れたモード選択性を発揮することができる。例えば、本発明者は、予備的な実験によって既に比誘電率が10000を越えるような人工誘電体を作製し、それを用いて超小形の誘電体共振器を実現している。
なお、本発明でいう金属ストリップとは、有限寸法を有する金属製の細い線であって、その縦方向(長手方向)長さが横方向長さより長く、且つ電気的に閉じるように並べられた金属製の細い線である。かかる金属ストリップ中の電子は、束縛電子として、電界に沿って周波数と共に方向を変えて動く。金属ストリップの横方向の断面形状は、矩形、円形、楕円形など種々の形態が可能であり、特に本発明を限定するものではないが、製作のし易さから、印刷等で成形できる矩形、若しくはバイアホールに成形できる円形が好ましい。金属ストリップの縦横比は、特に本発明を限定するものではないが、2以上とするのが好ましく、この比を大きくすることによって横方向との対比でその縦方向の分極を大きくでき、その縦横比を大きくした複数の金属ストリップをその縦方向が励振したいモードの電界に沿うように並べることにより、巨大な異方性を実現することができる。
本発明のグリーンシートは、セラミクス材料で形成される焼結前の可塑性シートであり、特に本発明を限定するものではないが、1000℃以下の温度で焼結可能な低温焼結セラミクスのグリーンシートを用いるのが好ましく、かかるグリーンシートとして、例えば、アルミナ・ガラス系のグリーンシート等を挙げることができる。このような低温焼結セラミクスのグリーンシートを用いることにより、金属ストリップを、1000℃以下の温度で焼結可能な導電性金属、例えば、銀や銅などを材料として成形し、低温焼結セラミクスと一体焼結して形成することができる。
複数の金属ストリップは、概ね均一な間隔の同心状に形成され且つそれが概ね均一な間隔で複数積層された金属ストリップ部(以下、「同心状の金属ストリップ部」と略称することがある。)、又は、概ね均一な間隔の平行直線状に形成された金属ストリップ部(以下、「平行直線状の金属ストリップ部」と略称することがある。)、を構成するようにして実施することができる。
この同心状又は平行直線状の金属ストリップ部の構成は、本発明の意図するところの、励振の対象とする電磁界モードの電界に沿って金属ストリップを形成する実施の形態の代表例である。即ち、周知の如く、例えば、円柱形の誘電体共振器では、最も周波数の小さい共振モード(最低次モード)は、電界がその円柱円周に沿い、磁界がその円柱断面に直交するTE01δモードであり、このTE01δモードを励振の対象とする場合、人工誘電体に同心状の金属ストリップ部を構成することが、本発明の意図するところの、励振の対象とする電磁界モードの電界に沿って導電性金属部材からなる複数の金属ストリップを形成し、等価誘電率を大きくする好ましい実施の形態となる。
一方、TE01δモードの場合とは異なり、ディスク共振器の上下に導体板を置いたときの主要共振モードである電気力線が上下方向に向いたTMモードのように、電界が円柱断面に直交するモードを励振の対象とする場合、人工誘電体に平行直線状の金属ストリップ部を構成することが、本発明の意図するところの、励振の対象とする電磁界モードの電界に沿って導電性金属部材からなる複数の金属ストリップを形成し、等価誘電率を大きくする好ましい実施の形態となる。
なお、金属ストリップの構成でいう「概ね均一な間隔」とは、機能上、均一な間隔を要件とするものではないが、設計や製作のし易さから、概ね均一な間隔とするのが好ましいという意味である。然しながら、例えば、モード制御性の向上のため等、むしろ不均一な間隔が望ましい場合もあり、当然ながら、その場合にはそのように配置するのが好ましい。
同心状の金属ストリップは、例えば、低温焼結セラミクスのグリーンシート上に印刷成形してそのグリーンシートを積層し、セラミクスと一体焼結して形成することができる。平行直線状の金属ストリップは、例えば、低温焼結セラミクスのバイアホールに成形してそのグリーンシートを積層し、セラミクスと一体焼結して形成することができる。或いは又、平行直線状の金属ストリップは、低温焼結セラミクスのグリーンシート上に印刷成形してそのグリーンシートを積層し、セラミクスと一体焼結して形成することもできる。
人工誘電体は、金属ストリップ部を1つ有する形態として実施することができ、又、金属ストリップ部が所定の間隔で複数形成されている形態として実施することもできる。例えば、矩形の人工誘電体において、その1つの側面が1/2分割の同心状金属ストリップの分割面となる如くして、1つの金属ストリップ部を有する形態として実施することができ、又、その四隅が1/4分割の同心状金属ストリップの中心線となる如くして、4つの金属ストリップ部を有する形態として実施することができる。或いは又、バイアホールに形成した平行直線状の金属ストリップ部を有する矩形の人工誘電体において、所定幅の金属ストリップ部を所定の間隔で複数形成した形態として実施することもできる。
人工誘電体に金属ストリップ部を複数形成することにより、例えば、多段の誘電体フィルターを構成する複数の共振器の誘電体を一体に構成した形態として実施することができる。即ち、1つの人工誘電体で多段の誘電体フィルターを構成することができる。又、金属ストリップ部を複数形成する人工誘電体を切断して、それぞれを個別の共振器の誘電体として用いることもできる。
人工誘電体は又、上下面及び/又は側面にセラミクスと一体焼結して形成された導電性の金属皮膜を更に有する形態として実施することができる。この金属皮膜は、例えば、イメージ型の共振器を構成するための、誘電体の鏡像が形成される導電性の鏡面として用いることができ、或いは又、導波管型共振器を構成するための、電磁波閉じ込め用の導体などとして用いることができる。
かかる本発明の人工誘電体は、具体的なその作製方法に関し、何らの限定、或いは制限を要するものではなく、公知の作製方法などが適用でき、更には、新たに開発される作製方法も適用可能であるが、例えば、所定数のグリーンシートを形成する工程と、少なくとも内部に積層されるグリーンシート上に、励振の対象とする電磁界モードの電界に沿って、導電性金属材料からなる複数の金属ストリップのパターンを成形する工程と、各グリーンシートを積層し一体焼結させる工程と、を含む工程によって本発明の人工誘電体を作製することができる。
金属ストリップのパターンは、金属ストリップを概ね均一な間隔の同心状に形成する場合、グリーンシート上に、例えば、導電性金属ペーストを材料とするスクリーン印刷、或いはプリント印刷等によって、それぞれ電気的に独立した複数の金属ストリップのパターンとして成形することができる。金属ストリップを概ね均一な間隔の平行直線状に形成する場合、同様に、グリーンシート上にそれぞれ電気的に独立した複数の金属ストリップのパターンとして成形することもできるが、例えば、グリーンシート上にバイアホールを形成しそのバイアホールに導電性金属材料を充填した部分パターンを先ず成形し、このグリーンシートを含み積層し一体焼結させることにより、その部分パターンを結合させて上下方向(即ち、積層方向)に平行直線状の金属ストリップを形成することができる。
本発明の人工誘電体は又、上述のように、上下面及び/又は側面にセラミクスと一体焼結して形成された導電性の金属皮膜を更に有する形態として実施することができ、かかる金属皮膜を有する人工誘電体は、金属皮膜を上下面に形成する場合、例えば、その上下面を構成するグリーンシート面に導電性金属材料をスクリーン印刷等により成膜し、それを含み積層し一体焼結させることにより作製することができる。金属皮膜を側面に形成する場合、例えば、積層したグリーンシートの側面に導電性金属材料をスクリーン印刷等により成膜し、それを一体焼結させることにより作製することができる。
以上のような実施の形態により、本発明の人工誘電体は、基材となるセラミクス、金属ストリップの材料となる銀など、汎用的な材料を用い、工業的に確立された製作プロセスによってそれを一体に製作することができると共に、等価誘電率を大きくした誘電体であり、巨大な異方性を実現することができ、極めて優れたモード選択性を発揮することができる。又、人工誘電体に金属ストリップ部を複数形成することにより、1つの人工誘電体で多段の誘電体フィルターを構成することができる。更に又、上下面及び/又は側面にセラミクスと一体焼結して導電性の金属皮膜を形成し、この金属皮膜を、イメージ型の共振器を構成するための鏡面、或いは、導波管型共振器を構成するための電磁波閉じ込め用の導体などとして用いることができる。
即ち、本発明は、安価に大量生産でき、且つ共振器の小型化及び低背化に好適な人工誘電体を提供することができる。
次に、本発明の誘電体共振器の実施の形態について説明する。本発明の誘電体共振器は、媒質として本発明の人工誘電体を用いたことが最大の特徴であり、人工誘電体をその内部に形成された金属ストリップが励振の対象とする電磁界モードの電界に沿うようにして用いるのが実施の形態である。即ち、本発明の誘電体共振器は、本発明の人工誘電体を媒質として、その内部に形成された金属ストリップが励振の対象とする電磁界モードの電界に沿うようにして用い、入出力端子、電極等を含み、従来の誘電体共振器の作製方法と同様に構成し、作製することができる。
かかる構成により、上述のように巨大な異方性を実現する誘電体を用いた本発明の誘電体共振器は、そのモードの励振を効果的に行うことができると共に、他のモードの共振周波数を大幅に遠ざけることができ、極めて優れたモード選択性を発揮することができる。
本発明の誘電体共振器は、励振の対象とする電磁界モードの電界に直交する面に誘電体の鏡像が形成される導電性の鏡面を構成し、鏡像効果を利用したイメージ型の共振器として実施するのが好ましい。イメージ型の共振器とすることによって、上述のように、大幅な小型化、低背化が可能となる。
イメージ型の誘電体共振器は、励振の対象とする電磁界モードの電界に直交する面に、誘電体と接触させて導電性の鏡面を構成することにより、その鏡面に形成されるイメージの誘電体を含め1個の誘電体共振器として機能するという鏡像効果を利用した誘電体共振器であり、例えば、2分割又は4分割の誘電体を用いその分割面に鏡面を構成することにより、概ね1/2又は1/4に小型化、低背化した誘電体共振器を得ることができる。
即ち、鏡像効果は、導電性の鏡面と平行な電界を持った共振モードを導電性の鏡面の境界条件により抑制する一方、導電性の鏡面に直交する電界を持った共振モードに影響を及ぼさないという原理を利用するものであり、その鏡面に形成されるイメージの誘電体と実際の誘電体が合わさって1個の誘電体共振器の如く機能するという効果である。なお、一般的に、イメージ型の誘電体共振器は、その鏡面に渦電流が生じ、共振器の損失特性が悪化するという欠点はあるが、もともと人工誘電体共振器は導体ストリップによる損失が大きいため、イメージ型とすることによる影響(性能低下)は少ない。
かかる鏡面は、例えば、本発明の人工誘電体の上下面又は側面に形成された導電性の金属皮膜として構成することができ、特には、それを人工誘電体と一体焼結して作製することもできる。又、鏡面を、本発明の人工誘電体のバイアホールに成形された概ね均一な間隔の平行直線状の金属ストリップ部として構成することもでき、特には、それを一体焼結して作製するのが好ましい。
本発明の共振器は又、上述のように、上下面及び/又は側面にセラミクスと一体焼結して形成された導電性の金属皮膜を更に有する人工誘電体を用い、その金属皮膜を電磁界シールド用の導体とする形態で実施することもできる。例えば、概ね均一な間隔の平行直線状の金属ストリップを有する人工誘電体と、その金属ストリップ方向に直交する誘電体の2面に接触して、一体焼結して形成された、金属ストリップ方向の電磁界をシールドする導電性の金属皮膜をそれぞれ有する誘電体共振器として実施することもできる。
次に、本発明の誘電体フィルターの実施の形態について説明する。本発明の誘電体フィルターは、本発明の誘電体共振器を用いたことが最大の特徴であり、人工誘電体の内部に形成された金属ストリップが励振の対象とする電磁界モードの電界に沿うようにして、その誘電体共振器を用いるのが実施の形態である。即ち、本発明の誘電体フィルターは、本発明の誘電体共振器をその人工誘電体の内部に形成された金属ストリップが励振の対象とする電磁界モードの電界に沿うようにして用い、ストリップ線路、マイクロストリップ線路、コプレーナ線路、或いはループ線路からなる伝送線路を付加するなどして、従来の誘電体共振器の作製方法と同様に構成し、作製することができる。
かかる構成により、上述のように対象モードの励振を効果的に行うことができると共に、他のモードの共振周波数を大幅に遠ざけることができ、極めて優れたモード選択性を発揮することができる誘電体共振器を用いた本発明の誘電体フィルターは、優秀なフィルタリング性能を発揮することができる。
本発明の誘電体フィルターは、少なくとも1つの誘電体共振器により構成される誘電体フィルターであって、特には、その誘電体共振器をイメージ型の共振器として実施するのが好ましく、かかる構成とすることによって、上述のように、大幅に小型化、低背化した誘電体フィルターを実現することができる。
例えば、その誘電体共振器を、1/2分割の同心状金属ストリップ部を有する人工誘電体と、その分割面に接触して、誘電体の鏡像が形成される導電性の鏡面を有するイメージ型の共振器とした形態で実施することができる。又、誘電体共振器を、1/4分割の同心状金属ストリップ部を有する人工誘電体と、それぞれの分割面に接触して、誘電体の鏡像が形成される導電性の鏡面をそれぞれ有するイメージ型の共振器とした形態で実施することもできる。更に又、誘電体共振器を、平行直線状金属ストリップ部を有する人工誘電体と、その金属ストリップ方向に直交する誘電体の上面、下面、又は側面のいずれかの1面に接触して、誘電体の鏡像が形成される導電性の鏡面を有するイメージ型の共振器とした形態で実施することもできる。
本発明の誘電体フィルターは又、複数の誘電体共振器を有する多段の帯域通過フィルターとして実施することもできる。例えば、上述のイメージ型の共振器を多段に構成し多段帯域通過フィルターとして実施することもでき、或いは又、励振の対象とする電磁界モードの電界に沿って概ね均一な間隔の平行直線状に形成された金属ストリップ部が所定の間隔で複数形成され、上下面及び側面に前記セラミクスと一体焼結して形成された導電性の金属皮膜を更に有する人工誘電体を用い、導波管形の多段帯域通過フィルターを構成した形態として実施することもできる。
本発明は又、本発明の人工誘電体を形成するグリーンシートと共に、コイルやコンデンサ、電極など、それぞれ異なる機能を有するパターン等をそれぞれのグリーンシート上に形成し、それを積層・焼結することにより、個々の機能を合計して高周波デバイスを一体に形成する形態として実施することもできる。
以上のような実施の形態により、本発明は、安価に大量生産でき、且つ共振器の小型化及び低背化に好適な人工誘電体、及びそれを媒質として用いた誘電体共振器、並びにその誘電体共振器を用いた誘電体フィルターを提供することができる。かかる人工誘電体は、衛星通信、移動体通信などの分野で激増しつつある電波サービスに対する社会的な要求に有効に対応できる電気・電子部品を提供可能とするものでありその社会的意義は大きい。
本発明の実施例を、以下、図により詳細に説明する。なお、誘電体フィルターは、当然ながら、ストリップ線路、マイクロストリップ線路、コプレーナ線路、或いはループ線路からなる伝送線路等を含み構成されるが、以下の実施例では、本発明の最大の特徴である金属ストリップを有する人工誘電体を中心に説明し、付属する伝送線路等はその図示或いは説明を省略する。
最初に、第一の実施例として、TE01δモードを励振の対象とし、1/2分割の同心状金属ストリップ部を有する人工誘電体を媒質とした1/2分割独立型共振器を多段に用い構成した、イメージ型の1/2分割独立型共振器BPFについて説明する。図1は、その実施例の構成を示す概念図であって、(a)は、1/2分割の同心状金属ストリップ部を有する人工誘電体の構成を示す概念図であり、(b)は、その人工誘電体を用い3段に構成したイメージ型の1/2分割独立型共振器BPFの構成を示す概念図である。なお、共振器をフィルターとして用いる場合、最も周波数の小さい共振モードであるTE01δモードを用いれば、不要なスプリアス共振モードはより周波数の大きい領域のみとなるため、一般的に、これを利用することが多い。
第一の実施例において、1/2分割の同心状金属ストリップ部を有する人工誘電体は、図1(a)に示す如く、所定数の矩形セラミクスグリーンシートを製作し、各グリーンシート上に、導電性金属材料からなる複数の金属ストリップのパターンを、導電性金属ペーストを材料とするスクリーン印刷、或いはプリント印刷等によって、グリーンシートの1つの側面が1/2分割の同心状金属ストリップの分割面となる如く、1/2分割の概ね均一な間隔の同心状パターンとして成形し、その各グリーンシートを積層して一体焼結させることによって作製することができる。なお、焼結は、積層方向に所定圧を印加しながら行っても良い。
これにより、セラミクスのグリーンシートを積層し焼結して形成した誘電体であり、その内部に、励振の対象とする電磁界モードの電界に沿って、導電性金属部材からなる複数の金属ストリップを形成して等価誘電率を大きくし、巨大な異方性を実現することができ、誘電体共振器の媒質として好適な人工誘電体を得ることができる。又、基材となるセラミクス、金属ストリップの材料となる銀など、汎用的な材料を用い、工業的に確立された製作プロセスによってそれを一体に製作することができる。なお、セラミクスグリーンシートとしては、1000℃以下で焼結できる低温焼結グリーンシートを用いるのが好ましく、これにより、金属ストリップのパターンを成形する金属材料として、損失の少ない材料である銀や銅を用いることができる。
この1/2分割の同心状金属ストリップ部を有する人工誘電体は、同心状金属ストリップの分割面となる1つの側面に接触させて導電性の鏡面を設けることにより、その鏡面に形成されるイメージの誘電体を含め1個の誘電体共振器として機能する、イメージ型の誘電体共振器を構成することができ、概ね1/2に小型化、低背化したTE01δモード誘電体共振器を得ることができる。
図1(b)は、この1/2分割の同心状金属ストリップ部を有する人工誘電体を、その同心状金属ストリップの分割面となる1つの側面を金属台に接触させて、3段に構成したイメージ型の1/2分割独立型共振器BPFであって、3個の誘電体共振器は電気的に互いに結合し、これにより所定の通過帯域特性を持つ帯域通過フィルターが構成されている。かかる構成により、TE01δモードを励振の対象として、優秀なフィルタリング性能を発揮することができると共に、大幅に小型化、低背化した誘電体フィルターを得ることができる。
次に、第二の実施例として、TE01δモードを励振の対象とし、1/4分割の同心状金属ストリップ部を4つ有する人工誘電体を媒質とした1/4分割一体型共振器を用い構成した、イメージ型の1/4分割一体型共振器BPFについて説明する。図2は、その実施例の構成を示す概念図であって、(a)は、1/4分割の同心状金属ストリップ部を4つ有する人工誘電体の構成を示す概念図であり、(b)は、その人工誘電体を用い4段に構成したイメージ型の1/4分割一体型共振器BPFの構成を示す概念図である。
第二の実施例において、1/4分割の同心状金属ストリップ部を4つ有する人工誘電体は、図2(a)に示す如く、その四隅が1/4分割の同心状金属ストリップの中心線となる如くして、4つの金属ストリップ部が形成されていることを除き、第一の実施例と同様に作製することができる。
この人工誘電体は、1/4分割の同心状金属ストリップ部を有する誘電体であり、それを切断分割して、概ね1/4に小型化、低背化したイメージ型の1/4分割誘電体共振器を構成することができ、又、1つの誘電体を用い多段に構成したイメージ型の1/4分割一体型共振器BPFを得ることもできる。
図2(b)は、そのようにして4段に構成した、イメージ型の1/4分割一体型共振器BPFであり、その4側面に鏡面となる金属皮膜が形成されている。この金属皮膜は、金属ストリップと同じ材料を用い、セラミクスグリーンシートと一体焼結して形成することができ、又、セラミクスグリーンシートを焼結した後、成膜プロセス等により形成することもできる。
次に、第三の実施例として、第二の実施例と同じ、TE01δモードを励振の対象とし、1/4分割の同心状金属ストリップ部を4つ有する人工誘電体を媒質とした1/4分割一体型共振器を用い構成した、イメージ型の1/4分割一体型共振器BPFについて、その別の形態を説明する。図3は、その実施例の構成を示す概念図であって、(a)は、1/4分割の同心状金属ストリップ部を4つ有する人工誘電体の構成を示す概念図であり、(b)は、その人工誘電体を用い4段に構成したイメージ型の1/4分割一体型共振器BPFの構成を示す概念図である。
第三の実施例は、図3と図2を比較して明らかなように、第二の実施例が鏡面を誘電体の側面に有するのに対し、鏡面を誘電体の内部に有する形態であって、第二の実施例の裏返し形と言えるものである。
第三の実施例において、鏡面は、図3(a)に示す如く、同心円を1/4分割する如くして、2つの一直線状の金属ストリップ部により形成されている。即ち、直交する2直線上のバイアホールを用い、そのバイアホール内に、概ね均一な間隔の平行直線状に導電性金属からなる複数の金属ストリップが形成されている。この第三の実施例によっても、第二の実施例と同様の作用、効果を得ることができる。
次に、第四の実施例として、TM11モードを励振の対象とし、平行直線状金属ストリップ部を有する人工誘電体を媒質としたディスク型共振器を多段に用い構成した、ディスクTM11型共振器BPFについて説明する。図4は、その実施例の構成を示す概念図であって、(a)は、平行直線状金属ストリップ部を有する人工誘電体の構成を示す概念図であり、(b)は、その人工誘電体を用い2段に構成したディスクTM11型共振器BPFの構成を示す概念図、図4(c)は、その人工誘電体を用い4段に構成したディスクTM11型共振器BPFの構成を示す概念図である。
第四の実施例において、平行直線状金属ストリップ部を有する人工誘電体は、図4(a)に示す如く、所定数の矩形セラミクスグリーンシートを製作し、各グリーンシート上に、導電性金属材料からなる複数の金属ストリップのパターンを、概ね均一な間隔でバイアホールを形成しそのバイアホールに導電性金属材料をスクリーン印刷等によって堆積・充填した部分パターンとして先ず成形し、更に、人工誘電体の上下面となる2つの面に、それぞれ金属皮膜をスクリーン印刷等により成形し、その各グリーンシートを積層して一体焼結させることによりその部分パターンを結合させて、上下方向の平行直線状金属ストリップ部を有し、その金属ストリップ方向に直交する電磁界シールド用の導電性金属皮膜を上下面に有する人工誘電体として作製することができる。
図4(b)は、この平行直線状金属ストリップ部を有し、その金属ストリップ方向に直交する電磁界シールド用の導電性金属皮膜を上下面に有する人工誘電体を、2段に構成したディスクTM11型共振器BPFであって、2個の誘電体共振器は電気的に互いに結合し、これにより所定の通過帯域特性を持つ帯域通過フィルターが構成されている。かかる構成により、TM11モードを励振の対象とし、優秀なフィルタリング性能を発揮することができると共に、大幅に小型化、低背化した誘電体フィルターを得ることができる。
図4(c)は、図4(b)の各共振器に摂動を入れることにより、縮退形の4段に構成したディスクTM11型共振器BPFである。即ち、TM11型共振器は縮退した2モードを持つため、各共振器に適当な摂動を入れることにより、1個の共振器があたかも結合した2個の共振器のような働きをするため、図4(c)の如く、相互の結合を上手く調整することにより、2つの共振器を用い縮退形の4段BPFを構成することができる。かかる構成によっても又、TM11モードを励振の対象とし、優秀なフィルタリング性能を発揮することができると共に、大幅に小型化、低背化した誘電体フィルターを得ることができる。
次に、第五の実施例として、TE10モードを励振の対象とし、平行直線状金属ストリップ部が所定の間隔で複数形成された人工誘電体を媒質として用い構成した、導波管TE10型共振器BPFについて説明する。図5は、その実施例の構成を示す概念図であって、(a)は、平行直線状金属ストリップ部が所定の間隔で複数形成された人工誘電体の構成を示す概念図であり、(b)は、その人工誘電体を用い4段に構成した導波管TE10型共振器BPFの構成を示す概念図である。
第五の実施例において、平行直線状金属ストリップ部が所定の間隔で複数形成された人工誘電体は、図5(a)に示す如く、バイアホールに形成された上下方向の平行直線状金属ストリップ部を4つ有するようにして、作製されている。これは、第四の実施例と同様の作製プロセスにより、作製することができる。
図5(b)は、この平行直線状金属ストリップ部が所定の間隔で複数形成された人工誘電体を用い構成した、4段の導波管TE10型共振器BPFであって、人工誘電体の上下面、及び左右の側面には金属皮膜が形成されて導波管を構成し、4個の誘電体共振器が電気的に互いに結合することにより、所定の通過帯域特性を持つ導波管帯域通過フィルターが構成されている。かかる構成により、TE10モードを励振の対象とし、優秀なフィルタリング性能を発揮することができると共に、大幅に小型化、低背化した誘電体フィルターを得ることができる。
以上、本発明の実施例を説明したが、請求の範囲で規定された本発明の精神と範囲から逸脱することなく、その形態や細部に種々の変更がなされても良いことは明らかである。
例えば、本発明は、上記の実施例に限らず、種々の形態で実施することが可能であり、第五の実施例として、電磁波の完全な閉じ込めのために上下面と左右の側面に導体が必要な、導波管TE10型共振器BPFについて説明したが、左右の側面に金属皮膜を付加しなければ、導波管ではなく、TEM(擬似)モードが伝播する、平行平板導波路を構成することができる。この構造は、簡便で調整が容易ではあるが、損失が若干大きいという欠点を持っている。
イメージ型の1/2分割独立型共振器BPFの実施例について説明するための概念図であって、(a)は、1/2分割の同心状金属ストリップ部を有する人工誘電体の構成を示す概念図であり、(b)は、イメージ型の1/2分割独立型共振器BPFの構成を示す概念図である。 イメージ型の1/4分割一体型共振器BPFの実施例について説明するための概念図であって、(a)は、1/4分割の同心状金属ストリップ部を4つ有する人工誘電体の構成を示す概念図であり、(b)は、イメージ型の1/4分割一体型共振器BPFの構成を示す概念図である。 イメージ型の1/4分割一体型共振器BPFの実施例について、その別の形態を説明するための概念図であって、(a)は、1/4分割の同心状金属ストリップ部を4つ有する人工誘電体の構成を示す概念図であり、(b)は、イメージ型の1/4分割一体型共振器BPFの構成を示す概念図である。 ディスクTM11型共振器BPFの実施例について説明するための概念図であって、(a)は、平行直線状金属ストリップ部を有する人工誘電体の構成を示す概念図であり、(b)は、ディスクTM11型共振器BPFの構成を示す概念図、(c)は、縮退形のディスクTM11型共振器BPFの構成を示す概念図である。 導波管TE10型共振器BPFの実施例について説明するための概念図であって、(a)は、平行直線状金属ストリップ部が所定の間隔で複数形成された人工誘電体の構成を示す概念図であり、(b)は、導波管TE10型共振器BPFの構成を示す概念図である。

Claims (19)

  1. セラミクスのグリーンシートを積層し焼結して形成した誘電体であって、その内部に、励振の対象とする電磁界モードの電界に沿って、導電性金属部材からなる複数の金属ストリップを形成し等価誘電率を大きくした誘電体であることを特徴とする人工誘電体。
  2. 前記セラミクスは、1000℃以下の温度で焼結可能な低温焼結セラミクスであることを特徴とする請求項1記載の人工誘電体。
  3. 前記金属ストリップは、1000℃以下の温度で焼結可能な導電性金属を材料として成形し、前記低温焼結セラミクスと一体焼結して形成した金属ストリップであることを特徴とする請求項2記載の人工誘電体。
  4. 前記金属ストリップは、その縦横比(縦方向長さ/横方向長さ)が2以上であることを特徴とする請求項1乃至請求項3記載の人工誘電体。
  5. 前記複数の金属ストリップは、概ね均一な間隔の同心状に形成され且つそれが概ね均一な間隔で複数積層された金属ストリップ部、又は、概ね均一な間隔の平行直線状に形成された金属ストリップ部、を構成していることを特徴とする請求項1乃至請求項4記載の人工誘電体。
  6. 前記金属ストリップ部が所定の間隔で複数形成されていることを特徴とする請求項5記載の人工誘電体。
  7. 前記概ね均一な間隔の同心状に形成され且つそれが概ね均一な間隔で複数積層された金属ストリップは、前記低温焼結セラミクスのグリーンシート上に印刷成形され、該セラミクスと一体焼結して形成された金属ストリップであることを特徴とする請求項5又は請求項6記載の人工誘電体。
  8. 前記概ね均一な間隔の平行直線状の金属ストリップは、前記低温焼結セラミクスのバイアホールに成形され、該セラミクスと一体焼結して形成された金属ストリップであることを特徴とする請求項5又は請求項6記載の人工誘電体。
  9. 上下面及び/又は側面に前記セラミクスと一体焼結して形成された導電性の金属皮膜を更に有することを特徴とする請求項1乃至請求項8記載の人工誘電体。
  10. 媒質として請求項1乃至請求項9記載の人工誘電体を用いたことを特徴とする誘電体共振器。
  11. 前記誘電体共振器は、励振の対象とする電磁界モードの電界に直交する面に誘電体の鏡像が形成される導電性の鏡面を有し、鏡像効果を利用したイメージ型の共振器であることを特徴とする請求項10記載の誘電体共振器。
  12. 前記鏡面は、前記人工誘電体の上面、下面、又は1つの側面に形成された導電性の金属皮膜であることを特徴とする請求項11記載の誘電体共振器。
  13. 前記鏡面は、前記人工誘電体のバイアホールに成形された概ね均一な間隔の平行直線状の金属ストリップ部であることを特徴とする請求項11記載の誘電体共振器。
  14. 前記人工誘電体は、その上下面及び/又は側面に形成された電磁界シールド用の導電性の金属皮膜を有することを特徴とする請求項10記載の誘電体共振器。
  15. 請求項10乃至請求項14記載の誘電体共振器を用いたことを特徴とする誘電体フィルター。
  16. 少なくとも1つの誘電体共振器により構成される誘電体フィルターであって、該誘電体共振器は、1/2分割の概ね均一な間隔の同心状に形成され且つそれが概ね均一な間隔で複数積層された金属ストリップを有する人工誘電体と、その分割面に接触して、該誘電体の鏡像が形成される導電性の鏡面を有するイメージ型の共振器であることを特徴とする請求項15記載の誘電体フィルター。
  17. 少なくとも1つの誘電体共振器により構成される誘電体フィルターであって、該誘電体共振器は、1/4分割の概ね均一な間隔の同心状に形成され且つそれが概ね均一な間隔で複数積層された金属ストリップを有する人工誘電体と、それぞれの分割面に接触して、該誘電体の鏡像が形成される導電性の鏡面をそれぞれ有するイメージ型の共振器であることを特徴とする請求項15記載の誘電体フィルター。
  18. 少なくとも1つの誘電体共振器により構成される誘電体フィルターであって、該誘電体共振器は、概ね均一な間隔の平行直線状の金属ストリップを有する人工誘電体と、該金属ストリップ方向に直交する該誘電体の2面に接触して、該金属ストリップ方向の電磁界をシールドする、導電性の金属皮膜をそれぞれ有する共振器であることを特徴とする請求項15記載の誘電体フィルター。
  19. 励振の対象とする電磁界モードの電界に沿って概ね均一な間隔の平行直線状に形成された金属ストリップ部が所定の間隔で複数形成され、上下面及び側面に前記セラミクスと一体焼結して形成された導電性の金属皮膜を更に有する人工誘電体を用い、導波管形の多段帯域通過フィルターを構成したことを特徴とする請求項15記載の誘電体フィルター。



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