JP2005032668A - 固体高分子形燃料電池用電極触媒層、固体高分子形燃料電池用電極、固体高分子形燃料電池 - Google Patents

固体高分子形燃料電池用電極触媒層、固体高分子形燃料電池用電極、固体高分子形燃料電池 Download PDF

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Abstract

【課題】PEFC用電極の触媒層として、白金担持カーボンブラックの形成する広い範囲内の細孔にプロトン伝導体を侵入させることにより高い触媒効率を実現できる固体高分子形燃料電池用電極触媒層、それを用いた固体高分子形燃料電池用電極、それを用いた固体高分子形燃料電池の提供。
【解決手段】白金触媒、カーボンブラックからなる電子伝導体、及びプロトン伝導体からなる固体高分子形燃料電池用電極触媒層であって、触媒層中のプロトン伝導体は該カーボンブラックの形成するアグロメレート内およびアグロメレート間の細孔に形成させたものであることを特徴とする固体高分子形燃料電池用電極触媒層、それを用いた固体高分子形燃料電池用電極、それを用いた固体高分子形燃料電池。
【選択図】図2

Description

本発明は、固体高分子形燃料電池用電極触媒層、固体高分子形燃料電池用電極及び固体高分子形燃料電池に関し、さらに詳しくは、触媒を担持したカーボンブラックのアグロメレート内にプロトン伝導体を導入して、白金触媒の利用率を高めた固体高分子形燃料電池用電極触媒層、固体高分子形燃料電池用電極及び固体高分子形燃料電池に関する。
固体高分子形燃料電池(以下、PEFCと略称することがある。)は、イオン伝導体すなわち電解質が固体で、かつ高分子である点に特徴を有する燃料電池であるが、その固体高分子電解質としては、具体的にイオン交換樹脂が使用され、この電解質を挟んで負極および正極の両電極を配置し、例えば、負極側に燃料の水素を、また正極側に酸素または空気を供給することにより電気化学反応を起こさせ、電気を発生させるものである。
すなわち、水素を燃料とした場合、負極では次式の反応が起こり、
→2H+2e
また、酸素を酸化剤とした場合、正極では次式の反応が起こり、水が生成される。
1/2O+2H+2e→H
この燃料電池の性能を最大限に発生させるためには、触媒層の性能の高機能化が重要である。例えば、固体高分子電解質としてスルホン化フッ素樹脂の一種であるナフィオン−117(登録商標:Du Pont社製)を用い、その内表面に白金等を担持した貴金属触媒を用い、さらに、触媒層の反応サイトを三次元化して作用面積を向上させる手法が開示されている(例えば、非特許文献1参照。)。この手法によると、電解質と膜の接触面のみならず、触媒層内部の触媒も利用できるようになり、この触媒層により白金の利用率を向上させることができる。
さらに、PEFCは、常温・常圧で1A/cm以上の高出力が得られる高性能な燃料電池であることが望まれ、この高出力密度を実現するには、電極触媒である白金粒子と固体高分子電解質との接触面積、すなわち反応面積の増加と、反応ガスを配給するガスチャネルの形成を考慮した電極設計が重要となる。
また、より高機能な電極設計の基礎として、PEFC用電極の細孔分布について検討がなされ、触媒層は、直径0.04〜1.0μmの細孔部を有し、細孔部の比容積は0.06cm/g以上であり、前記細孔部にプロトン伝導性固体高分子電解質(プロトン伝導体)を分布させることが有効であることが記載されている(例えば、特許文献1参照。)。
さらに、これらの触媒層は、直径0.04μmを境に細孔が変化しており、直径0.02μm〜0.04μmの細孔を1次孔、直径0.04μm〜1μmの細孔を2次孔とされている(例えば、非特許文献2参照。)。そうすると、Nafionのようなフッ素系高分子は、その分子量の大きさから直径0.04μm以下のような細孔に進入できず、反応場にならないことを示している。
したがって、PEFC用電極触媒層でフッ素系樹脂を使用する場合では、分子レベルで嵩の高い高分子を電解質に用いているために、白金担持カーボンブラック(CB−Pt)の形成する孔径の小さい(例えば、直径0.04μm以下)細孔には、プロトン伝導性固体高分子電解質(プロトン伝導体)が進入しにくく、これらの細孔内の触媒が利用されないという問題点がでてくる。白金触媒と固体高分子電解質との接触面積が大きく、かつ反応ガスの供給能が高いPEFC用電極の最適な細孔構造を得ることが必要であった。
また、このようなことから、Nafionのようなフッ素系高分子を用いる場合のカーボンブラックは、例えば、直径0.04μm以下というようなアグロメレートサイズ(1次孔)の小さいカーボン担体を使わねばならないなど、カーボンブラックの自由度が制限されるという問題点もあった。
特許第3275652号公報 「電気化学」第53巻第10号(1985)、第812〜817頁 J.Electochimical Society 第142巻 第2号 第463頁
本発明は、上記問題点に鑑み、PEFC用電極の触媒層として、白金担持カーボンブラック(CB−Pt)の形成する孔径の小さい細孔内に進入しやすいプロトン伝導体を有する固体高分子形燃料電池用電極触媒層、それを用いた固体高分子形燃料電池用電極、それを用いた固体高分子形燃料電池を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために、種々の燃料電池用電極、特に、電極触媒層を構成する細孔分布について鋭意研究を重ねた結果、固体高分子形燃料電池用電極触媒層のプロトン伝導体、好ましくはsol−gel反応で得られるプロトン伝導体を白金担持カーボンブラック(CB−Pt)の形成する孔径の小さいアグロメレート内の細孔内にも形成させることにより、白金触媒の利用率を高め、高性能なPEFC用電極触媒層が得られることを見出し本発明を完成した。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、白金触媒、カーボンブラックからなる電子伝導体、及びプロトン伝導体からなる固体高分子形燃料電池用電極触媒層であって、触媒層中のプロトン伝導体は、該カーボンブラックの形成するアグロメレート内およびアグロメレート間の細孔に形成させたものであることを特徴とする固体高分子形燃料電池用電極触媒層が提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、カーボンブラックの形成するアグロメレート内の細孔直径は、0.08μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の固体高分子形燃料電池用電極触媒層が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明において、カーボンブラックの形成するアグロメレート内およびアグロメレート間の細孔は、それぞれ直径0.01〜0.08μmおよび直径0.08〜100μmであり、プロトン伝導体がこれらの両方の細孔内に形成されていることを特徴とする固体高分子形燃料電池用電極触媒層が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明において、プロトン伝導体は、sol−gel反応による金属酸素結合からなる架橋構造体(a)と該架橋構造体と共有結合で結合した酸基を有している酸基含有構造体(b)とからなることを特徴とする固体高分子形燃料電池用電極触媒層が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第4の発明において、sol−gel反応は、白金担持カーボンブラックと酸基含有化合物とを混合した後に、硬化性材料とを反応させることを特徴とする固体高分子形燃料電池用電極触媒層が提供される。
また、本発明の第6の発明によれば、第4又は5の発明において、sol−gel反応により形成されるプロトン伝導体の積分細孔体積は、直径0.01〜0.08μmの細孔部で0.2cm/g以上であり、0.08〜100μmの細孔部で1.8cm/g以上であることを特徴とする固体高分子形燃料電池用電極触媒層が提供される。
また、本発明の第7の発明によれば、第1〜6のいずれかの発明の固体高分子形燃料電池用電極触媒層が多孔質体の片面に形成されてなることを特徴とする固体高分子形燃料電池用電極が提供される。
また、本発明の第8の発明によれば、第7の発明の固体高分子形燃料電池用電極を用いた固体高分子形燃料電池が提供される。
本発明の固体高分子形燃料電池用電極触媒層を用いた固体高分子形燃料電池は、従来にはない触媒と固体高分子形電解質との接触面積が大きく、かつ反応ガスの供給能が高い、より高性能なPEFC電極およびそれを用いたPEFCを実現することができる。
以下、本発明の固体高分子形燃料電池用電極触媒層、それを用いた固体高分子形燃料電池用電極、製造方法について項目毎に詳細に説明する。
1.固体高分子形燃料電池
本発明において、固体高分子形燃料電池とは、電解質として、プロトン伝導性固体高分子膜(以下、電解質膜と呼称することがある。)を用いることを特徴とした電池であって、プロトン伝導性固体高分子膜の両側に、触媒が担持された電極を配置し、更にその両外側に燃料を供給するための構造を有する一対のセパレーターが配置され、これを単位セルとして、隣り合う複数セルを相互に連結することで、所望の電力を取り出せるよう構成された電池である。
上記プロトン伝導性固体高分子膜は、特に限定されないが、本発明の電極の特徴を活かすためには、耐熱性のある電解質膜を用いることが好ましい。耐熱性のある電解質膜としては、例えば、芳香族環を主鎖中に有するいわゆるエンジニアリングプラスチック(代表例:ポリベンズイミダゾール)にスルホン酸やホスホン酸を導入したものや、酸をドープしたシリカガラス、酸をドープした有機無機複合体等が使用可能である。また、膜中に金属−酸素結合を含むもの、例えば、膜中にシリカ、アルミナ、酸化チタン等の金属酸化物を何らかの形で含むものが使用可能である。このようなものの例としては、ナフィオン(登録商標)などのスルホン化フッ素樹脂にシリカなどを添加した系が知られている。さらに、膜自体が金属−酸素結合、特にケイ素−酸素結合で架橋されたものも使用可能である。
2.燃料電池用電極
上記プロトン伝導性固体高分子膜の両側に配置される触媒が担持された本発明の燃料電池用電極は、燃料電池の反応である水素の酸化反応および酸素の還元反応を行う場所であり、(A)多孔質導電体と(B)触媒層からなり、好ましくは多孔質導電体と触媒層の間に(C)ガス拡散層を設けた3層からなる。各層を以下に詳しく説明する。
(A)多孔質導電体
本発明の燃料電池電極において、電極を構成する多孔質導電体(A)は、電極の1構成層であり、集電体として、また、ガスの拡散をするための役割を担うものである。多孔質導電体(A)の材料としては、電導性を付与したポリイミドペーパーおよびポリエステルペーパー、カーボンペーパー等の多孔質体を挙げることができ、特に炭素繊維からなるカーボンペーパー等を好ましく用いることができる。
また、燃料電池の反応は、アノード側では、水素が酸化され、プロトンと電子が生成される一方、カソード側では酸素は還元され、水が生成される。これらのように、電極、特にカソード側の電極では、生成された水の影響を受け、電極の形成する細かい微細な細孔に水が浸入してしまい、フラッディング(生成水の目詰まり)を起こしてしまう。そのため、こうした生成水を排除する目的で、多孔質導電体(A)は撥水化されていることが好ましい。
本発明の燃料電池電極においては、多孔質導電体(A)と触媒層(B)の間にガス拡散層(C)を設けることが好ましい。ガス拡散層(C)は、ガスの拡散性能を向上させ、かつ適度な電子伝導性と水分管理等を可能にすることができる。撥水性材料であるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)と電子伝導体であるカーボンブラックとの混合体から形成するのが好ましい。
(B)触媒層
燃料電池電極において、電極を構成する触媒層(B)は、(i)燃料側の反応である水素をプロトン(水素イオン)と電子に分解する反応、及び(ii)酸素側での反応であるプロトン、電子及び酸素を結合させて水を形成する反応を行う層である。
アノード(燃料極)触媒層では、燃料として水素を供給すると、白金系触媒によりH→2H+2eの反応が起こり、プロトンと電子が生じ、プロトンは、電極に接触しているプロトン伝導性膜を通して反対極触媒層のカソード(酸素極)側に供給される。また、電子は、燃料極側の電極で集電され、電気として使用された後、酸素極側に供給される。一方、酸素極側触媒層では、供給された酸素、プロトン伝導膜を通過してきたプロトン、電気として使用された電子を受け取り、1/2O+2H+2e→HOの反応が起こることとなる。触媒層(B)において、白金触媒は、1/2O+2H+2e→HOの反応を促進させる機能を果たすことになる。
本発明の触媒層における、白金触媒としては、主として白金、あるいは白金を有する貴金属合金を用いることができる。合金としては、白金−ルテニウム合金、白金−鉄合金等が挙げられ、直接メタノール形燃料電池においては、白金:ルテニウムの比率が1:1の白金−ルテニウム合金を用いるのが特に好ましい。
高性能電極を得るためには触媒担持量を多くし、さらに担体に高分散担持させる必要があるので、白金触媒の担持量は、担体のカーボンブラックに対し、30重量%以上が好ましく、特に50重量%以上が好ましい。
本発明において白金触媒を担持するカーボンブラックは、白金触媒により発生した電子(電気)を外部の導体に伝導するための導電体でもあるので、白金触媒と接している必要があり、両方が一体となっていることが好ましい。
カーボンブラックは、一般に粒子同士が融着した状態で存在している。この粒子は、1次粒子またはアグリゲート(凝集体)と呼ばれ、このアグリゲートが集合したものはアグロメレート(集合体)と呼ばれ、アグロメレート間の隙間は、反応ガスや水蒸気の拡散通路、あるいは生成水の排水通路として働く(例えば、J.Electrochem.Soc 第142巻、第2号、463頁参照。)。触媒層上のカーボンブラックのアグロメレートの一部は、ホットプレス等により電解質膜内に埋没し、強固に接合している。
また、前述のように燃料電池カソードにおける反応は、触媒部分で酸素、プロトン、電子を反応させ、水を形成する反応である。したがって、触媒は、燃料ガスあるいは酸素ガス、プロトン伝導性材料、電子伝導材料のいずれとも接している必要があり、それぞれの界面が形成されている必要がある。ここで、前述のように、カーボンブラックは、粒子同士が融着し、アグロメレートを形成しているので、このアグロメレート内にプロトン伝導体を進入させて、触媒と接触させるようにすることにより、プロトン伝導性材料、電子伝導性材料、触媒のそれぞれが接するようにしたのが本発明の特徴である。
本発明の触媒層における、プロトン伝導体とは、上記した触媒層(B)の1成分であり、白金触媒により生成したプロトンをプロトン伝導性膜に伝導する役目を担う。
すなわち、触媒層においては、前述のように、燃料極において、白金触媒は、燃料(水素ガス)と直接に接している必要がある。燃料と直接に接していないと、水素をプロトンと電子に分解する作用を及ぼすことはできない。また、白金触媒は、電子(電気)伝導可能な導電性材料(カーボンブラック)と接している必要がある。白金触媒表面で生じた電子は、白金触媒そのものを通して白金触媒と接している導電材料(カーボンブラック)、あるいは電極へと電子を伝え、外部へと誘導される。更に、白金触媒は、触媒層中のプロトン伝導体とも接している必要がある。すなわち、白金触媒表面で生じたプロトンを触媒層中のプロトン伝導体に伝え、更にプロトン伝導性電解質膜を通じてプロトンを酸素極側に伝える必要がある。
一方、酸素極側においても、白金触媒は、電子伝導材料(カーボンブラック)と接しており、その接する部分より外部から導入される電子(電流)を得て、更にプロトン伝導性電解質膜あるいはそれと接合された触媒層中のプロトン伝導体と接した部分よりプロトンを受け取り、更に酸素と直接接した部分で酸素、プロトン、電子を反応させ、水を形成する。
このように、白金触媒は、燃料ガスあるいは酸素ガス、触媒層中のプロトン伝導体、電子伝導材料(カーボンブラック)のいずれとも接している必要があり、それぞれの界面が形成されている必要がある。このような界面は、三相界面と呼ばれ、プロトン伝導体−白金触媒からなる混合体においては、単にプロトン伝導性材料と白金触媒を接合するだけではなく、接合界面に含まれる白金触媒の三相界面が制御されている必要があり、極めて微妙なバランスを保って形成されている必要がある。
ここで、この三相界面は、電極の細孔構造と密接な関係があり、細孔構造は、細孔直径と積分細孔体積で表すことができる。
すなわち、先にも述べた、J.Electrochem.Soc 第142巻、第2号、463頁には、従来のNafionを用いたPEFC用電極では固体高分子電解質は、直径0.04〜1.0μmの細孔部に分布しているといえる。つまり、この細孔部が反応場として機能するものと考えられる。このため、孔径の小さい、例えば、直径0.04μm以下の細孔にはプロトン伝導性固体高分子電解質(プロトン伝導体)が進入しにくく、三相界面が発現できない。
本発明においては、プロトン伝導体として、sol−gel反応による金属−酸素結合からなる架橋構造(a)と該架橋構造と共有結合で結合した酸基を有している酸基含有構造体(b)との架橋構成体がプロトン伝導体を用いると、電極作製中にプロトン伝導体のsol−gel架橋が起きるため、孔径の小さい細孔、例えば、直径0.04μm以下の細孔にも容易に電解質成分が進入し、より白金触媒と固体高分子電解質との接触面積、すなわち反応面積が大きく、かつ反応ガスの供給能が高くなるようなことが実現でき、より高性能なPEFC用電極およびPEFCを提供することができる。
本発明の触媒層の状態を図で説明する。図1は、多孔質導電体(A)の上にガス拡散層(C)、触媒層(B)が積層された3層構造からなる触媒層の模式的断面図である。図2は、触媒層において、プロトン伝導体がカーボンブラックの形成するアグロメレート内及びアグロメレート間に形成される細孔に存在する状態を説明する模式図である。図2において、1はカーボンブラックの形成するアグロメレートであり、2はカーボンブラックであり、3は白金触媒であり、4はプロトン伝導体である。本発明の触媒層においては、カーボンブラックの形成するアグロメレート内、又はアグロメレート間にプロトン伝導体が存在し、白金触媒、カーボンブラック、プロトン伝導体の3相界面が多数形成されている。このように3相界面が多数形成されていることにより、白金触媒が有効に利用され、その結果として燃料電池の発電効率が向上するようになる。なお、従来のカーボンブラックの形成するアグロメレート間のみにプロトン伝導体が存在し、その場で、白金触媒、カーボンブラック、プロトン伝導体の3相の界面が形成されている状態の模式図を図9に示す。
このようにプロトン伝導体がアグロメレート内、又はアグロメレート間に存在することに伴い担体であるカーボンブラックの自由度も向上する。従来ではアグロメレート体積(1次孔に相当)が小さいカーボンブラック、例えば、アセチレンブラック等しか使用できず、カーボンブラックの選択の自由度が制限されていたが、本技術を使用することによりアグロメレート体積が大きいカーボンブラックも使用できる。
本発明において、カーボンブラックの形成するアグロメレート内およびアグロメレート間の細孔は、直径0.01〜100μmの範囲に分布していることが好ましく、また、カーボンブラックの形成するアグロメレート内の細孔直径は、0.08μm以下であることが好ましい。
さらに、カーボンブラックの形成するアグロメレート内およびアグロメレート間の細孔は、それぞれ直径0.01〜0.08μmおよび0.08〜100μmであり、プロトン伝導体は、これらの両方の細孔部の中に存在していることが好ましい。2種類の細孔部を有することによりプロトン伝導体は、カーボンブラックに担持された白金と接触する面積が大きくなり、反応に寄与できる三層界面の面積が増大し、触媒利用率が向上する。
本発明においては、プロトン伝導体として、現状のフッ素系高分子を用いると、分子量が大きく上記カーボンブラックのアグロメレート内に進入できないので、低分子量の状態でアグロメレート内に進入させ、その後高分子量化させることのできるプロトン伝導体を用いる必要がある。このようなプロトン伝導体としては、エンジニアリングプラスチック系のプロトン伝導体等は困難であり、有機−無機複合系プロトン伝導体が好ましい。
本発明においては、sol−gel反応による金属−酸素結合を有する有機−無機複合系プロトン伝導体を用いると、直径の小さい、例えば、直径0.04μm以下の細孔にも容易に進入させることができ、より白金触媒と固体高分子電解質との接触面積、すなわち反応面積が大きく、かつ反応ガスの供給能が高くなるようなことが実現できる。
さらに、上記2種類の細孔部内に形成されるプロトン伝導体の積分体積は、直径0.01〜0.08μmの細孔部で、0.2cm/g以上が好ましく、より好ましくは0.25〜0.4cm/gであり、直径0.08〜100μmの細孔部で、1.8cm/g以上が好ましく、より好ましくは1.85〜2.0cm/gである。各積分細孔体積が下限未満では、プロトン伝導体連続層が構築できず、性能が低下する。
ここで、sol−gel反応とは、アルコキシシリル基などの金属アルコキシドやハロゲン化金属の加水分解、酸触媒による縮合反応によって金属−酸素結合による3次元架橋構造体を形成する反応のことをいい、代表的には、ケイ素、チタン、ジルコニウム、アルミニウム等の金属元素と酸素とからなる金属−酸素結合からなる3次元架橋構造体を形成する反応を意味する。
sol−gel反応は、アルコキシ基やハロゲンを有する金属化合物(プレカーサー)の加水分解、縮合反応であり、ここで使用される金属化合物としては、金属−酸素結合による3次元架橋構造体を加水分解、縮合反応にて形成する化合物であれば特に制限はないが、例えば、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−t−ブトキシシラン等のアルコキシシラン類、テトラクロロシランなどのハロゲン化シラン類、テトラ−n−イソプロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン及びその重合体などのアルコキシチタン類、ジルコニア、あるいはアルミニウムの錯体、及び、アルコキシ金属、ハロゲン化金属などのアルキル化物などが挙げられる。これらの化合物の中でも、ケイ素−酸素結合による3次元架橋構造体を形成する化合物が、反応制御が容易で、また、安価に大量に入手が可能であり、好ましい。
sol−gel反応によりケイ素−酸素結合からなる3次元架橋構造体を形成する好ましいプレカーサーとしては、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン等のアルコキシシランが大量且つ安価に入手可能であり、反応制御が容易で好ましい。また、上記アルコキシシラン化合物においては、一部をアルキル基で置換していても良く、構造式(1)、(2)で表される硬化性材料が挙げられる。
Figure 2005032668
(式中、Rは炭素数4以下のアルキル基を表し、Rは炭素数が1以上の任意の有機基を表し、pは1〜3の整数、qは1〜3の整数を表し、p+q=4であり、qが2又は3のとき、Rは異なる有機基の混合体であっても良い。)
上記の構造式(1)で表わされる硬化性材料の具体例としては、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、及びこれらのメトキシ体、プロポキシ体、ブトキシ体等が挙げられる。また、アルキル基の部分に、水酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基等の置換基を有していてもよい。これらの硬化性材料は市販されており、容易に入手可能である。
Figure 2005032668
(式中、Rは炭素数1〜50のポリメチレン鎖を表し、Rはメチル、エチル、プロピル、ブチルまたはフェニルのいずれかを表し、Rは炭素数4以下のアルキル基表し、nは0、1または2の何れかである。)
上記の構造式(2)で表わされる硬化性材料としては、種々のビス(加水分解性シリル)ポリメチレンが知られており、例えば、ポリメチレンがエチレン、ヘキサメチレン、オクタメチレン、ノナメチレンのものは、Gelest社より市販されている。これ以外のものも、両末端が不飽和結合となっている、例えば、1,3−ブタジエンや1,9−デカジエン、1,13−テトラデカジエンなどにヒドロシリル化反応を行うことにより、Rがテトラメチレン、デカメチレン、テトラデカメチレンに対応する原料が容易に合成でき、炭素数が20までのポリメチレン鎖であればいずれも合成可能である。
硬化性材料の具体例としては、ビス(トリエトキシシリル)エタン、ビス(トリエトキシシリル)ブタン、ビス(トリエトキシシリル)ヘキサン、1,8−ビス(トリエトキシシリル)オクタン、ビス(トリエトキシシリル)ノナン、ビス(トリエトキシシリル)デカン、ビス(トリエトキシシリル)ドデカン、ビス(トリエトキシシリル)テトラデカン、ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン、及びこれらのメトキシ体、プロポキシ体、ブトキシ体等が挙げられる。これらの硬化性材料は、Gelest社より市販されており、容易に入手でき、また、相当する骨格を有し、両末端に不飽和結合を有する有機原料から、塩化白金酸触媒等を使用したヒドロシリル化反応を用いることにより、得ることができる。
本発明の触媒層におけるプロトン伝導体を構成する金属−酸素結合からなる架橋構造体(a)は、前述のように金属化合物(プレカーサー)の加水分解、縮合反応のsol−gel反応により得られる3次元架橋構造体であるが、有機ケイ素化合物中にアルコキシシリル基を2以上有するプレカーサーを用いた反応により形成される構造式(3)で表される有機無機複合架橋構造体が好ましく、これは適度の可とう性と、適度なガスやイオンの透過性を有する。
Figure 2005032668
(式中、Xは架橋に関与する−O−結合又はOH基であり、Rは炭素数1〜50のポリメチレン鎖を表し、Rはメチル、エチル、プロピル、ブチル又はフェニル基のいずれかの基を表し、nは0、1又は2のいずれかである。)
構造式(3)において、Xは、架橋に関与する結合あるいは関与可能なシラノール基を示すが、これは、3、2又は1のいずれかの数で、特に3または2(すなわち、nが0または1)が特に好ましい。
は、炭素数1〜50、好ましくは1〜20、より好ましくは10前後、特に好ましくは8連鎖の直鎖のポリメチレン鎖であり、耐熱性、柔軟性、燃料ガスバリア性等の膜物性を制御する分子鎖であって、炭素原子がない場合には不安定であり、一方、炭素数が50を超えると架橋不十分であり、耐熱性が見込めなくなる。
また、Rが直鎖状のポリメチレン鎖であるので、酸による攻撃、ラジカル等による攻撃に対して安定である。直鎖状ポリメチレン鎖は、屈曲可能な構造であるために、プロトン伝導層に適度な柔軟性を付与することが可能であり、主としてポリメチレン鎖の分子長により緻密性などの調整も可能である。
一方、Rが直鎖でなく分岐がある場合には、その部分のメチン水素が、例えば、燃料電池作動時に生じる活性ラジカル等による引き抜きを受け、その結果、架橋間を結ぶ結合が切断される可能性がある。また、芳香族化合物を有している場合には、主としてベンジル位が活性点となり、分解や反応などが生じ、膜としての安定性が劣る可能性がある。芳香環を有する炭化水素材料がRに含まれている場合は、ヘテロ原子を有する場合よりは安定性は高いが、長時間の使用時には分解の可能性は否定できない。
これらのポリメチレン鎖の両末端にSi−O架橋構造を有する構造体は、燃料電池用電極における触媒層のプロトン伝導体の基本架橋構造体として極めて安定かつ有用である。
本発明の触媒層におけるプロトン伝導体を構成する酸基含有構造体(b)は、主に白金触媒で発生したプロトンをプロトン伝導性膜に伝達する機能を果たす構造体である。
一般に、電解質膜は数10ミクロン程度の厚みのものが使用されるが、膜抵抗は小さいほうが良く、伝導率は10−2S/cm以上であることが望ましい。一方、触媒層中のプロトン伝導体は、電解質膜と白金触媒の間のごく短距離をプロトン伝導するため、10−4S/cm以上のプロトン伝導性があれば極端な抵抗増大は避けることができ、さらに10−3S/cm以上のプロトン伝導性があれば、伝導性は十分に確保できる。
本発明においては、触媒層に含まれるプロトン伝導体に高いプロトン伝導性を付与させるために、酸基を有している酸基含有構造体(b)と架橋構造体(a)を三次元架橋構造体の一部として用いる。
ここで、酸基は、燃料電池に供給される水、あるいは燃料電池作動時に生じる水等により、触媒層中から抽出され、散逸してしまうと、触媒層中のプロトン濃度が減少し、その結果、プロトン伝導性が低下する。したがって、酸は、イオン相互作用等で触媒層中に保持させるのではなく、長期でも安定的に触媒層中に存在させるため、共有結合で酸を固定させることが必要である。
本発明において使用する酸基を有している酸基含有構造体(b)は、金属−酸素結合からなる架橋構造体(a)と同種の金属−酸素結合からなる架橋構造を有していることが好ましく、酸基を有し、かつ、金属−酸素結合によりプロトン伝導体の架橋構造と結合していれば特に構造的な制約はないが、構造式(4)で示される構造であることが好ましい。
Figure 2005032668
(式中、Xは架橋に関与する−O−結合又はOH基であり、Rは炭素数1〜50の酸基を含んだ有機基を表し、Rはメチル、エチル、プロピル、ブチル又はフェニル基のいずれかの基を表し、mは0、1又は2のいずれかである。)
ここでRは、少なくとも1以上の酸基を有しており、共有結合により架橋基へと結合している。酸基としては、スルホン酸、ホスホン酸、カルボン酸、ボロン酸など、種々の酸を用いることができるが、特にpKaが低く、触媒層中のプロトン濃度を十分に確保可能で熱的にも安定なスルホン酸が好ましく用いられる。スルホン酸を共有結合により固定化すると、スルホン酸基自体は長期においても安定的に存在する。
また、スルホン酸は、Si−O架橋と結合している構造を有していれば、特に限定されないが、アルキレン基、例えばメチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基等を介してケイ素原子と結合していることが好ましい。
好ましい酸基含有構造体(b)としては、構造式(5)で示される構造体が挙げられる。
Figure 2005032668
(式中、Xは架橋に関与する−O−結合またはOH基であり、Rはメチル、エチル、プロピル、ブチル又はフェニル基のいずれかの基を表し、ZはSOHを表し、mは0、1または2のいずれかであり、nは1〜20の整数である。)
ケイ素原子に直接スルホン基が結合したものは、加水分解されやすいため好ましくない。また、メチレン基の数は、1〜20が好ましく、より好ましくは1〜12であり、特に好ましくは3である。メチレン基が20を超えるのものは、プロトン伝導体の架橋密度を低下させるため好ましくない。
したがって、特に好ましい酸基含有構造体(b)としては、構造式(6)で示される構造体が挙げられる。
Figure 2005032668
(式中、Xは架橋に関与する−O−結合又はOH基であり、Rはメチル、エチル、プロピル、ブチル又はフェニル基のいずれかの基を表し、ZはSOHを表し、mは0、1または2のいずれかである。)
上記のような構造式(4)〜(6)で表される酸基含有構造体(b)の製造に用いる金属化合物(プレカーサー)である硬化性材料としては、構造式(7)で表す酸基含有化合物が好ましい。
Figure 2005032668
(式中、RはHまたは炭素数4以下のアルキル基を表し、RはHまたは炭素数4以下のアルキル基を表し、ZはSOHまたはPOを表し、mは1〜20の整数であり、nは1〜3の整数である。)
構造式(7)において、メチレン基が3の構造体の原料となるトリヒロドキシシリルプロピルスルホン酸は、Gelest社より市販されており、入手が容易で特に好ましく用いることができる。また、臭化アリルを原料とした合成法も確立されており、入手が容易である。
なお、硬化性材料を用いる架橋反応においては、混合時に本発明の目的を損なわない範囲内で、補強剤、柔軟化剤、界面活性剤、分散剤、反応促進剤、安定剤、着色剤、酸化防止剤、無機又は有機充填剤などの他の任意成分を添加することができる。
本発明のプロトン伝導体における架橋構造体(a)と酸基含有構造体(b)との比率は、触媒層が耐熱性、柔軟性、プロトン伝導性を満足する範囲であれば特に限定されず、それぞれの構造や製造方法によっても異なるが、1:9〜9:1の範囲が好ましい。架橋構造体(a)が少なすぎると、柔軟性、耐熱性を達成できない。一方、酸基含有構造体(b)が少なすぎると、プロトン伝導性が極めて低くなってしまう。
本発明の触媒層は、sol−gel反応による金属−酸素結合からなる架橋構造体(a)と該架橋構造と共有結合で結合した酸基を有している酸基含有構造体(b)とから構成されるプロトン伝導体が触媒を担持するカーボンブラックが形成する孔径の小さな細孔の中に形成されるような形をとり、耐熱性、耐薬品性が高く、しかも高温でも安定的に機能する電極を構成することができるようになる。
また、触媒層中のプロトン伝導体の比率分布は、使用時に接合する固体高分子膜面側から多孔質導電体側に向かって、5μmの範囲に全体のプロトン伝導体の30%以上が存在することが好ましい。
3.燃料電池用電極の製造
本発明の燃料電池用電極は、多孔質導電体(A)、好ましくは撥水処理した多孔質導電体に、必要に応じてガス拡散層(C)を設け、次いで触媒層(B)を積層して得られる。すなわち、好ましくは、予め製造したガス拡散層を設けた撥水処理した多孔質導電体上に触媒層を塗工して得られる。
予め製造する撥水処理した多孔質導電体の具体的製造方法としては、例えば、導電性を付与したポリイミドペーパーおよびポリエステルペーパー、カーボンペーパー等の多孔質導電体をポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体等のフッ素系樹脂のディスパージョンに浸漬し、多孔質導電体の重量に対して、30〜40重量%のフッ素系樹脂を添加させるようにし、その後、高温で焼成することによって撥水処理多孔質導電体を製造することができる。
次に、カーボンブラックとポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系樹脂ディスパージョンを配合、混合して得られるガス拡散層のカーボンペーストを撥水処理した多孔質導電体上に塗工し、乾燥し、乾燥後、冷間プレスしてガス拡散層を積層した多孔質導電体が得られる。
触媒層は、前述のように、プロトン伝導体をカーボンブラックのアグロメレート内に形成させるので、反応材料を低分子量の状態でアグロメレート内に進入させ、その後高分子量化させることのできるsol−gel反応により製造する。sol−gel反応は、極めて速い反応であり、前述の構造式(1)〜(2)等で表される硬化性材料と構造式(7)で表される酸基含有化合物とのゲル化は、急激に起こることは良く知られている。
したがって、触媒層の製造を白金担持カーボンブラック、硬化性材料、酸基含有化合物を同時に混合すると、徐々に粘度が上昇し、急激にゲル化するので、次のような第一〜第四の工程を経て製造する方法が好ましい。
第一の工程は、白金をカーボンブラックに担持してなる触媒と酸基含有化合物とを混合してスラリーを形成し、担体であるカーボンブラックの表面に酸基含有化合物を修飾する工程である。
すなわち、カーボンブラックは、前述のように凝集性が強く、1次粒子では無く、1次粒子が連続した状態(凝集体)の集合体として存在している。したがって、第一の工程では、この凝集した触媒担持カーボンブラックを粉砕し、アグロメレートサイズを小さくし(サイズの大きい集合体と呼ばれる形態からサイズの小さい凝集体と呼ばれる形態にし)、かつ、触媒担持カーボンブラックの表面にプロトン伝導体の原材料となる酸基含有化合物を吸着させる工程である。
カーボンブラックを粉砕する手法としては、ボールミル法や超音波分散法などを適用することができるが、特に、粉砕能力の強いボールミル法が望ましい。
ボールミル法は、硬い容器の中にボール及び被粉砕材料を入れ、ボールの入った容器を高速で回転させることにより、容器内のボール同士が衝突し、そこで発生する衝突エネルギーで容器内の被粉砕材料を粉砕する方法である。ここで、ボール及び容器の材質としては、硬度の高いものが好ましく、ジルコニアが特に好ましい。硬度が低いと、粉砕能力が劣る。
粉砕の程度は、触媒担持カーボンブラックの状態を集合体の状態から凝集体の状態にまで変化するように粉砕することが好ましく、具体的には、触媒担持カーボンブラックを1μm以下のサイズの凝集体にするまで粉砕することが好ましい。このように粉砕することにより、カーボンブラックのアグロメレート内にプロトン伝導体を進入させることができる。
なお、白金触媒担持カーボンブラックと酸基含有化合物との粉砕工程では、適当な溶媒を用いてもよい。溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノールまたはイソプロピルアルコール、n−ブタノール、t−ブタノール等のアルコール類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールアルキルエーテル類、及び水などが使用されるが、これらに限定されるものではなく、有機物質や金属アルコキシド等の溶解、混合に使用可能であればよい。溶媒の比率については、特に限定はないが、通常、固形分濃度が80〜10重量%程度の濃度が好ましく用いることができる。
第二の工程は、第一の工程で得たスラリーに硬化性材料を混合させ、カーボンブラックの表面に吸着させた酸基含有化合物と硬化性材料とのsol−gel反応を起こさせ、ペーストを生成させる工程である。
第二の工程では、ボールミル粉砕によりsol−gel反応をボールミル容器内で起こさせる。この工程では、粉砕してカーボンブラックの集合体のサイズを変更させてはならないため、柔らかい材料からなるボールを用いての混合が好ましい。柔らかい材料としては、パラメータとして引張強度で表すことができ、引張強度が400〜600kg/cmの材料からなるボールが好ましい。このような材料としては、ナイロン(PA)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)等が挙げられる。これらの中で、効果およびコスト等を勘案するとナイロンが好ましい。
なお、第一の工程及び第二の工程は、sol−gel反応の進行により反応混合物の粘度は、急激に上昇する恐れがあり、第三の工程における塗工工程を考えると、触媒ペーストの粘度は、塗工できる粘度に維持することが好ましい。ここで、塗工にふさわしい粘度は、諸条件を勘案すると、第二の工程で得られるペースト混合物は、その粘度が500〜10000cpであることが好ましい。粘度が上記範囲外であると次の工程における塗工をスムースに行うことができない。
したがって、粘度を上記範囲内に維持するためには、第一の工程と第二の工程の間に、混合物を0〜40℃に維持する手段をとることが好ましく、さらに、第二の工程と第三の工程の間においても、混合物を0〜40℃とする工程を含むことが好ましい。具体的には、例えば、室温状態に温度を調整する方法、恒温恒湿槽に保持する方法等が挙げられる。
第三の工程は、第二の工程で生成したペーストを多孔質導電体上に塗工する工程である。
塗工する方法としては、例えば、スクリーン印刷法、グラビアコート法、ドクターブレード法等が挙げられる。これらの中では、ドクターブレード法が好ましく、ドクターブレード法で塗工を行なった場合は、ロールで厚みを調整する必要がある。ドクターブレード法だけであると、電極表面に凹凸が出来てしまう可能性があり、塗工後にロールでプレスする冷間プレスを行うことにより、厚みの差が0.05μm以下に均一に塗工することが実現できる。
ドクタブレード法は、バーコーター又はナイフコーターを用いて行い、塗工面は、第二の工程で述べたように、0〜40℃に温度制御しておくことが好ましい。
第四の工程は、第三の工程で得たペーストを多孔質導電体上に塗工したシート状物を乾燥及びプレスを行う工程である。第四工程の乾燥及びプレスは、具体的には、溶媒を乾燥する溶媒乾燥工程、及び温度をかけて金属−酸素結合からなる架橋反応を促進、完結させるホットプレス工程とからなり、さらに厚み調整を目的とする冷間プレス工程を溶媒関そう工程とホットプレス工程の間に介在させてもよい。
冷間プレス工程では、上下から力を加えることにより、表面粗さの改善および多孔質導電体中に含有されている溶媒を除去するために行う。したがって、プレスは、第三工程で塗工したペーストの上に、溶媒を吸収するような多孔材料(例えば、濾紙、PTFEメンブレンフィルター)等を載せプレスを行うことが好ましい。また、多孔材料は、表面が撥水化されていた方が、形成された電極触媒層の触媒ペーストが多孔材料に付着することなく均一な電極シートが形成できる。
なお、冷間プレス工程では、溶媒除去及び厚み調整を目的として行うため、積極的な温度上昇をさせないように、温度は0〜50℃、圧力は5〜20kg/cm、時間は10〜60秒間の範囲内で行うことが好ましい。
ホットプレス工程では、高温にすることにより、ペースト中の混合状態にある酸基含有化合物と硬化材料の積極的な架橋反応を進行させる工程である。
ホットプレス工程では、温度は130〜200℃、圧力は10〜30kg/cm、時間は3秒〜10分間の範囲で行うのが好ましい。ホットプレス工程では、あまり高い圧力および長時間で行うと電極自体が粉々になる可能性があり、適度な時間および圧力で行うことが必要である。
なお、ホットプレス工程は、電極触媒層の上下に多孔質板を挟み込みプレスする方法によるのが好ましい。ホットプレス工程では、溶媒が急激に気化する可能性があり、プレス中に溶媒が急激に気化すると、溶媒の気化による圧力膨張により、電極表面のヒビや割れの原因になるが、多孔質板を挟み込んでプレスすることにより、気化した溶媒の逃避経路が確保され、溶媒の気化による圧力膨張により、電極表面のヒビや割れが防止出来る。
以上の方法によって得られる本発明の触媒層は、sol−gel反応による金属−酸素結合からなる架橋構造体(a)と該架橋構造と共有結合で結合した酸基を有している酸基含有構造体(b)とから構成されるプロトン伝導体が触媒を担持するカーボンブラックが形成する細孔の中に形成されるような形をとり、耐熱性、耐薬品性が高く、しかも高温でも安定的に機能する電極を構成することができるようになる。
以下、本発明を実施例に基づき説明するが、本発明は、これにより何ら限定されるものではない。なお、実施例で用いた発電性能の評価方法は以下の通りであり、プロトン伝導性電解質膜として、ナフィオン112(登録商標:Du Pont社製)を用いた。
(発電性能の評価)
プロトン伝導性電解質膜の両側に電極を配置し、さらにその両側にセパレータを配し、集電板で挟み込み、ボルトにより締め付け評価用燃料電池用単セルを作製し、電子負荷装置及びガス供給装置を用いて図5に示す要領で評価した。評価セルをアノード13とカソード14に挟み、それぞれの極に水素ガス10、酸素ガス11を希釈用の窒素ガス12と共に流量計、バブラー9を経て供給し、セルから排出されるガスは、加湿トラップ16を経て放出される。セル温度を室温から160℃まで変化させ、それぞれの温度で、電池の出力を評価した。評価の際には、セルに電子負荷装置15を接続し、徐々に抵抗をかけ、電池自体の出力(I−V特性)を測定し、最大出力、電流密度を計測した。評価温度は0〜120℃とし、100℃以上の場合は、飽和水蒸気圧になるように装置内を加圧した。また、ガス流量は水素、酸素ともに200ml/minとした。
(実施例1)
(1)撥水カーボンペーパーの作製
撥水カーボンペーパーを図3に示す手順にしたがい作製した。図3において、予め重量測定したカーボンペーパー(東レ(株)製、TGP−H−120)をテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP樹脂)水溶液(ダイキン工業(株)製、ネオフロン(登録商標)ND−1)に浸漬し、溶媒を蒸発乾燥した。この操作を3回繰り返した後、イソプロピルアルコール(以下、IPAと略称する。)中で超音波洗浄することで、中に含まれている界面活性剤を除去し、その後300℃で30分間焼成を行い撥水カーボンペーパーを作製した。
(2)ガス拡散層付き撥水カーボンペーパーの製造
ガス拡散層付き撥水カーボンペーパーを図4に示す手順にしたがい作製した。図4において、カーボンブラック(電気化学工業(株)製、デンカブラックAB12(登録商標))に35重量%のトライトン(登録商標)溶液(ローム アンド ハース社、Triton(登録商標)X−100)を加え、遊星ボールミルを用いて、充分混合し、カーボンペーストを作製した。次いで、このカーボンペーストと撥水材料であるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ディスパージョン(三井・デュポンフロロケミカル(株)製、30−J)をカーボンブラック:PTFE比で6:4になるように添加し、遊星ボールミルを用いて、充分混合してガス拡散層ペーストを得た。
得られたガス拡散層ペーストを(1)で得られた撥水カーボンペーパー上に塗工し、60℃の乾燥機で約1時間乾燥した。乾燥後、冷間プレスを行い、拡散層/撥水カーボンペーパーからなる2層体を製造した。次いで、2層体に含まれるトライトン(登録商標)を除去するためにIPA中に2層体を浸漬し、充分洗浄した。その後、ホットプレス(360℃、2.5KN、3秒)を行い、水中で急冷することによって拡散層付撥水カーボンペーパーを製造した。
(3)触媒層及び電極の製造
(i)第一の工程
比表面積が800m/gで、DBP吸油量が365ml/100gのケッチェンブラックEC(ケッチェンブラックインターナショナル製)を担体とした白金触媒担持カーボンブラック(田中貴金属(株)製、TEC10E50E)2.0g、3−(トリヒドロキシシリル)−1−プロパンスルホン酸水溶液(濃度18.5wt%:アヅマック社製)1.351g(THS(pro)SOH/CB)=0.25)と水18.7gをジルコニアポットに入れ、ボールミルを用いて、カーボンペースト(cp−1)を作製した。
(ii)第二の工程
得られたカーボンペースト(cp−1)を室温(25℃)に温度調整し、これに1,8−ビス(トリエトキシシリル)オクタン0.55gをIPAに0.55gに溶解した溶液を加え、、ボールミルを用いて、カーボンペースト(cp−2)を作製した。
(iii)第三の工程
カーボンペースト(cp−2)を10℃に調温した恒温恒湿槽で30分間保持した後、(2)で得られた拡散層付撥水カーボンペーパー上に厚み50μmになるようにナイフコーター(松尾産業社製)で塗工し、さらにロールプレスを行った。その際、塗工板の温度は、25℃になるようにした。
(iv)第四の工程
塗工後、オーブンで60℃1時間乾燥した。その後、20℃での冷間プレス(10kgf/cm)を30秒間行い、続いて、150℃でのホットプレス(20kgf/cm)を5分間行って、触媒層を形成した。なお、電極は、図1に示す層構成であり、触媒層(B)の厚みは80μm、多孔質導電体(A)+拡散層(C)の厚みは、0.36mmであった。
得られた電極触媒層の細孔分布を水銀圧入法で測定し、その結果を、横軸に細孔直径、縦軸に積分細孔体積をとって表した図6に示す。また、直径0.01〜0.08μmおよび0.08μm〜100μmにある細孔容積量を図7に示す。
さらに、電極を、燃料電池用単セル(Electoro Chem社製)を用いて、電極−膜−電極の順に挟み込みボルトによりトルク4KN−cmで締め付けて、単セルを作製し、固体高分子形燃料電池の性能を評価した。流量は酸素、水素とも200cc/min、加湿温度は水素90℃、酸素は無加湿で行った。その結果を図8及び表1に示す。
なお、図8のmass activity(A/g)は、電池の性能を示すものである。測定値は、電流密度を徐々に増加させる「行き」と、電流密度を徐々に減少させる「帰り」で測定し、この「行き」と「帰り」が測定できれば、安定的に性能が発現できるものとすることができる。
(実施例2)
実施例1(3)(i)において、3−(トリヒドロキシシリル)−1−プロパンスルホン酸水溶液(濃度18.5wt%:アヅマック社製)2.703gを用い、3−(トリヒドロキシシリル)−1−プロパンスルホン酸と白金触媒担持カーボンブラックとの量比(THS(pro)SOH/CB)を0.5にする以外は実施例1と同様にして電極を得、その細孔分布を測定した。その結果を図6に示す。さらに、細孔容積量を図7に、900mVでのMass Activityの値を図8に示す。
(実施例3)
実施例1(3)(i)において、3−(トリヒドロキシシリル)−1−プロパンスルホン酸水溶液(濃度18.5wt%:アヅマック社製)5.405gを用い、3−(トリヒドロキシシリル)−1−プロパンスルホン酸と白金触媒担持カーボンブラックとの量比(THS(pro)SOH/CB)を1にする以外は実施例1と同様にして電極を得、その細孔分布を測定した。その結果を図6に示す。さらに、細孔容積量を図7に、900mVでのMass Activityの値を図8に示す。
(実施例4)
実施例1(3)(i)において、3−(トリヒドロキシシリル)−1−プロパンスルホン酸水溶液(濃度18.5wt%:アヅマック社製)8.103gを用い、3−(トリヒドロキシシリル)−1−プロパンスルホン酸と白金触媒担持カーボンブラックとの量比(THS(pro)SOH/CB)を1.5にする以外は実施例1と同様にして電極を得、その細孔分布を測定した。その結果を図6に示す。さらに、細孔容積量を図7に、900mVでのMass Activityの値を図8に示す。
図6より、直径0.08μmを境にして、細孔体積分布のカーブの傾きが変化していることが解る。また、図7より固体高分子電解質量の増加量に伴い、細孔が直径0.01〜0.08μmおよび0.08μm〜100μmに分布していることが解る。よってこの両方の細孔部が反応場として最適であることが解る。さらに、図8において、900mVでのMass Activityは、固体高分子量添加と共に、数値の上昇が見られることから、固体高分子電解質の添加と共に反応面積が増加したことがわかる。したがって、本発明の電極を用いた燃料電池は、優れた値を示していることがわかる。
(比較例1)
固体高分子電解質のアルコール溶液としてアルドリッチ・ケミカル社製の5%Nafion溶液を固体高分子電解質量が0.1〜1.4g/cmとなるようにn−酢酸ブチルと混合撹拌して4種類の高分子電解質のコロイド状分散液を生成した。このコロイド状分散液にPt触媒を20〜30重量%担持させた炭素粉末を添加し、Pt触媒を担持させた炭素粉末の表面にコロイドを吸着させた。この分散液を超音波分散器を用いてペースト状とした。このペーストをあらかじめ実施例1で得られた拡散層つき多孔質導電体に塗布し、電極を作製した。評価結果を表1に示す。最大出力、900mvでのMass Activityともに本発明の電極を用いた場合より劣った。
Figure 2005032668
本発明の固体高分子形燃料電池用電極触媒層を用いた固体高分子形燃料電池は、従来にはない触媒と固体高分子形電解質との接触面積が大きく、かつ反応ガスの供給能が高い、より高性能なPEFC電極およびそれを用いたPEFCを実現することができる。
本発明の電極構成を説明する図である。 本発明の電極触媒層におけるカーボンブラック、触媒、プロトン伝導体が形成する状態を示す図である。 実施例で用いた撥水カーボンペーパーの製造工程を示す図である。 実施例で用いた拡散層の製造工程を示す図である。 実施例で用いた燃料電池の出力を測定する装置を説明する図である。 実施例の細孔径と積分細孔体積の結果を示す図である。 実施例の細孔径の分布を示す図である。 実施例のmass activityの結果を示す図である。 従来の電極触媒層におけるカーボンブラック、触媒、プロトン伝導体が形成する状態を示す図である。
符号の説明
A 多孔質導電体
B 触媒層
C ガス拡散層
1 カーボンブラックが形成するアグロメレート
2 カーボンブラック
3 白金
4 プロトン伝導体
9 バブラー
10 水素入口
11 酸素入口
12 窒素入口
13 アノード
14 カソード
15 電子負荷装置
16 加湿トラップ
17 排出口

Claims (8)

  1. 白金触媒、カーボンブラックからなる電子伝導体、及びプロトン伝導体からなる固体高分子形燃料電池用電極触媒層であって、触媒層中のプロトン伝導体は、該カーボンブラックの形成するアグロメレート内およびアグロメレート間の細孔に形成させたものであることを特徴とする固体高分子形燃料電池用電極触媒層。
  2. カーボンブラックの形成するアグロメレート内の細孔直径は、0.08μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の固体高分子形燃料電池用電極触媒層。
  3. カーボンブラックの形成するアグロメレート内およびアグロメレート間の細孔は、それぞれ直径0.01〜0.08μmおよび直径0.08〜100μmであり、プロトン伝導体がこれらの両方の細孔内に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の固体高分子形燃料電池用電極触媒層。
  4. プロトン伝導体は、sol−gel反応による金属酸素結合からなる架橋構造体(a)と該架橋構造体と共有結合で結合した酸基を有している酸基含有構造体(b)とからなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の固体高分子形燃料電池用電極触媒層。
  5. sol−gel反応は、白金担持カーボンブラックと酸基含有化合物とを混合した後に、硬化性材料とを反応させることを特徴とする請求項4に記載の固体高分子形燃料電池用電極触媒層。
  6. sol−gel反応により形成されるプロトン伝導体の積分細孔体積は、直径0.01〜0.08μmの細孔部で0.2cm/g以上であり、直径0.08〜100μmの細孔部で1.8cm/g以上であることを特徴とする請求項4又は5に記載の固体高分子形燃料電池用電極触媒層。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の固体高分子形燃料電池用電極触媒層が多孔質体の片面に形成されてなることを特徴とする固体高分子形燃料電池用電極。
  8. 請求項7に記載の固体高分子形燃料電池用電極を用いた固体高分子形燃料電池。
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