JP2005032636A - 光充電式二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課 題】 光充電された電力の漏洩を防止し、長期間保存した場合でも、電力の低下を最小限に抑えることができる光充電式二次電池を提供すること。
【解決手段】円筒形状の巻き芯部と、上記巻き芯部に対して捲回されて引き出し自在に配設された可とう性を有する光電変換素子を有する光電変換シートと充放電可能な蓄電池とを備え、上記巻き芯部に上記光電変換シートを捲回した状態で、全体円筒略形状を呈する光充電式二次電池において、上記巻き芯部には、その両端部に位置してそれぞれ略円形平板状に形成された上部フランジと下部フランジとが一体に設けられ、上記巻き芯部に巻き取る構成において、前記光電変換シートが前記巻き芯部から引き出された状態においては、前記光電変換シートと上記充電可能な蓄電池の電気的に接続され、前記光電変換シートが前記巻き芯部に巻き取られた状態においては、前記光電変換シートと上記充電可能な蓄電池の電気的な接続が機械的に遮断される手段を有する光充電式二次電池。
【選択図】なし

Description

本発明は、光電変換素子によって蓄電池を充電する構成とされた光充電式二次電池に関する。
光電変換素子は、太陽電池とも言われており、太陽光等の光エネルギーを電気エネルギーに変換する素子である。この光電変換素子は、光エネルギーから電気エネルギーを取り出す際に、従来から利用されてきた化石燃料等と異なり、二酸化炭素等の排出物を出さない。また、光電変換素子は、ほぼ無尽蔵といわれている太陽光等の光エネルギーから電気エネルギーを取り出すことができるために、半永久的に発電を行うことができる。そのため、光電変換素子は、地球環境問題に鑑みて、その利用用途や利用規模が今後も益々拡大してゆくものと考えられている。
しかしながら、光電変換素子は、太陽光等の光エネルギーに時間的な変動が大きい場合が多く、この光エネルギーを変換して発電した電気エネルギーにも時間的な変動が大きくなってしまうために、電気機器の直接の電源とすることには適さない場合が多い。また、光電変換素子は、太陽光等の光エネルギーが空間的に希薄な状態で存在していることから、利用に適した所定量の電力を得るためには大きな受光面積を必要とする。
したがって、光電変換素子は、電気器の補助的な電流として、又は変換した電気エネル
ギーを一度蓄電池に充電し、この蓄電池から放電させて利用するといった用途で用いられている。
一方、電気機器は、近年の各種加工技術の進展により、小型化が進んでおり、携帯型の機器とされることが多い。そのため、電気機器は、その電源として、通常、携帯に便利で手軽に利用することができる乾電池が用いられている。
そこで、上述したような光電変換素子の利点と、乾電池の利便性とをくみあわせた光充電式二次電池が、例えば特許文献1(電池)や特許文献2(円筒形充電式太陽電池)等に記載されているように、提案されている。このような従来の光充電式二次電池は、発電部としての光電変換素子と、充放電部としての蓄電池とを円筒形規格電池型に組み合わせて使用することによって、通常用いられている電気機器を、光エネルギーによって生産した電力により駆動させることを実現している。
しかしながら、従来の光充填式二次電池は、一方向から照射される太陽光等の光エネルギーを、蓄電池の外表面積のすべてを有効に活用して光電変換素子に受光させることが困難なばかりか、その構造上、蓄電池の外表面積を超えて光電変換素子の受光面積を備えることができない。そのため、従来の光充電式二次電池は、蓄電池を充電する際の充電時間が実用に耐えないほど長く、さらには光電変換素子が蓄電池を充電するために必要な電力すら発電できないことがあるといった問題があった。
そこで、本発明の発明者らは、鋭意検討を行った結果、可とう性を有する光電変換素子と蓄電池とを組み合わせた構成とすることによって、太陽光等の光エネルギーを通常用いられている電気機器の電源として利用することを可能とした光充電式二次電池を発明した(特許文献3)。この発明により、本発明者らは、実用的な充電性能を備えるとともに、通常用いられている電気機器の電源としての利用が容易である光充電式二次電池を実現している。
特開昭63−314780号公報 特開平2−73675号公報 特開2000−156516号公報
ところで、上述したような光充電式二次電池は、蓄電池を充電する際に、可とう性を有する光電変換素子を、引き延ばし、受光面積を大きくして使用する。そして、充電の完了した上記光充電式二次電池は、上記可とう性を有する光電変換素子を、巻き上げた状態で保持され、適宜、電源として使用する。この場合、上記蓄電池と上記光電変換素子との間には、逆流防止のダイオードを介在させて、上記蓄電池に充電された電力が、上記光電変換素子に沿って、無駄に放電しないようにすることがなされる。この放電を実質的に決定するのが、前記ダイオードの特性である。逆流抵抗は大きく、逆流電流は小さいが、零ではない。特に、長期保存した場合の前記放電は、無視できないものであることが、本光充電式二次電池の検討を通して、大きな課題として明確になった。
そこで、本発明は、上記課題を解決することにより、光電変換素子が形成された可とう性を有する光電変換シートと、蓄電池とを組み合わせてなる光充電式二次電池において、保存時の電力の保持性を高めた光充電式二次電池を提供することを目的とする。
本発明に係る光充電式二次電池は、円筒形状の巻き芯部と、上記巻き芯部に対して捲回されて引き出し自在に配設された可とう性を有する光電変換素子を有する光電変換シートと充放電可能な蓄電池とを備え、上記巻き芯部に上記光電変換シートを捲回した状態で、全体円筒略形状を呈する光充電式二次電池において、上記巻き芯部には、その両端部に位置してそれぞれ略円形平板状に形成された上部フランジと下部フランジとが一体に設けられ、上記巻き芯部に巻き取る構成において、前記光電変換シートが前記巻き芯部から引き出された状態においては、前記光電変換シートと上記充電可能な蓄電池の電気的に接続され、前記光電変換シートが前記巻き芯部に巻き取られた状態においては、前記光電変換シートと上記充電可能な蓄電池の電気的な接続が機械的に遮断される手段を有せしめた光充電式二次電池である。
さらには、本発明に係る光充電式二次電池は、上記巻き芯部に捲回された上記光電変換素子を覆い、上記巻き芯部の引き出し口となる引出し孔を有する円筒形状の外周壁が設けられ、上記上部フランジ及び下部フランジに、上記外周壁の側縁と回転自在に支持部が設けられ、引き出された上記光電変換素子が、上記外周壁を回転させることによって、上記巻き芯部と上記外周壁とにより構成された内部空間に巻き取られる光充電式二次電池である。そして、上記巻き芯部に上記光電変換素子を捲回した状態で、所定の円筒電池規格形状となる光充電式二次電池である。また、上記蓄電池は、放電電圧が0.6−1.9Vである光充電式二次電池である。そして、上記蓄電池は、上記巻き芯部に対して着脱自在である光充電式二次電池である。さらに、上記蓄電池は、所定の円筒電池規格の形状を有する光充電式二次電池である。
以上のように構成された光充電式二次電池は、充電の完了した上記可とう性を有する光電変換素子を、巻き上げた状態で保持され、適宜、電源として使用する。この場合、上記蓄電池に充電された電力が、上記光電変換素子に沿って、無駄に放電しないようにすることがなくなる。特に、長期保存した場合の前記放電を極力少ないものにすることができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。以下では、本発明を適用した光充電式二次電池として、図1および図2に示すような光充電式二次電池1について説明することとする。
本発明に係る光充電式二次電池1は、円筒状の巻き芯部2と、この巻き芯部2に対して捲回された引き延ばし自在に配設された可とう性を有する光電変換シート3と、巻き芯部2の内部に設けられた蓄電池4と、制御回路部5とを備える。光充電式二次電池1は、図1及び図2に示すように、光電変換シート3を巻き芯部2に捲回した状態で、全体円筒形状を呈する。また、光充電式二次電池1は、図1に示すように、光電変換シート3を巻き芯部2から引き延ばした状態で、光電変換シート3に受光させて蓄電池4を充電する。
巻き芯部2は、例えばABS樹脂等の樹脂材料によって円筒形状に形成されている。巻き芯部2は、光電変換シート3が捲回される幅よりも僅かに長く形成されている。したがって、光充電式二次電池1は、巻き芯部2が光電変換シート3の全幅に亘って巻き取ることができる。また、巻き芯部2には、その両端部にそれぞれ上部フランジ6と下部フランジ7とが設けられている。
上部フランジ6及び下部フランジ7は、巻き芯部2と同様な材料によって略円形平板状に形成されており、接着剤等の固定手段により、巻き芯部2の両端部にそれぞれ固定されている。なお、上部フランジ6及び下部フランジ7は、巻き芯部2と一体に形成されていてもよい。
上部フランジ6及び下部フランジ7は、その径が、巻き芯部2に捲回された状態での光電変換シート3の径と略同一、若しくはやや大となるように形成されている。これにより、上部フランジ6及び下部フランジ7は、光電変換シート3の側縁部を保護することができるとともに、引き延ばされた光電変換シート3を巻き芯部2に巻き取る際のガイドとなり、位置ずれせずに光電変換シート3を巻き芯部2に捲回させることができる。
巻き芯部2、上部フランジ6及び下部フランジ7は、電気絶縁性を示す材料によって形成されることが望ましい。これにより、光充電式二次電池1は、内部の配線等がこれら各部を介して短絡したり、これら各部が例えば電気機器の電池収納部の端子等に接触することによって電気的に短絡したりといったことを防止することができる。
また、巻き芯部2、上部フランジ6及び下部フランジ7は、断熱特性の優れた材料によって形成されることが望ましい。これにより、光充電式二次電池1は、例えば自動車のダッシュボードに放置される等して高温に晒された場合に、内部に収納した蓄電池4の温度が上昇して破損してしまうことを防止することができる。巻き芯部2、上部フランジ6及び下部フランジ7は、同様の理由から、例えば白色等のように、光や熱を吸収しにくい色に着色されていることが望ましい。
本発明においては、図中の機械的電気遮断手段21を有する。前記機械的電気遮断手段21は、制御回路部5と隣接して形成することができ、又、前記巻き芯部2の表面に形成することができる。前記機械的電気遮断手段21は、前記光電変換シート3を前記巻き芯部2に捲回されない状態に対しては、電気的な導通状態となり、前記光電変換シート3を前記巻き芯部2に捲回した状態に対しては、電気的な遮断状態となる。すなわち、前記光電変換シート3を前記巻き芯部2から引き延ばした状態で、光電変換シート3に受光させて前記蓄電池4を充電する。この充電状態では、前記機械的電気遮断手段21は、電気的な導通状態となる。一方、充電の完了した上記光充電式二次電池は、上記可とう性を有する前記光電変換シート3を、巻き上げた状態で保持され、適宜、電源として使用する。この場合、上記蓄電池4と上記前記光電変換シート3との間には、逆流防止のダイオードを介在させて、上記蓄電池4に充電された電力が、上記前記光電変換シート3の光電変換素子に沿って、無駄に放電しないようにすることがなされる。この放電を実質的に決定するのが、前記ダイオードの特性である。逆流抵抗は大きく、逆流電流は小さいが、零ではない。特に、長期保存した場合の前記放電は、無視できないものである。そこで、本発明では、前記光電変換シート3を前記巻き芯部2に捲回した状態に対しては、前記機械的電気遮断手段21は、電気的な遮断状態となる。この電気的遮断を機械的に行うことにより、逆流抵抗は無限と見なせる大きな値にでき、逆流電流は零に見なせる小さい値とすることができる。これにより、上記蓄電池4に充電された電力が、上記光電変換素子に沿って、無駄に放電することがなくなる。特に、長期保存した場合の前記放電を極力少ないものにすることができる。
さらに、本発明に係る光充電式二次電池は、図3及図4に示すように、外周壁51を備えて構成される。光充電式二次電池1は、図3及図4に示すように、上部フランジ6及び下部フランジ7と略同径の略円筒形状を呈する外周壁51を備えて構成される。光充電式二次電池1は、図5に示すように、上部フランジ6及び下部フランジ7にそれぞれ、外周壁51の側縁部が回動自在に嵌合する嵌合部6a及び嵌合部7aが設けられている。したがって、光充電式二次電池50に於いては、外周壁51が捲き芯部2、上部フランジ6及び下部フランジ7に対して自在に回動する。
また、外周壁51には、図6に示すように、スリット51aが穿孔されている。スリット51aは、光電変換シート3を引き出すに十分な幅と厚みとを有して外周壁51に穿孔されている。さらに、光充電式二次電池1においては、図6に示すように、光電変換シート3の最外周部に係止部3aが形成されている。この係止部3aは、光電変換シート3が巻き芯部2に捲回された際に、スリット51aに接合するに十分な厚みを有して形成されている。係止部3aは、光電変換シート3が外周壁51の内部に完全に巻き込まれてしまうことを防止する機能を有するとともに、光電変換シート3を引き出す際の取っ手としての機能を有している。
光充電式二次電池1は、図4に示すように、蓄電池4を充電する際に係止部3aが引き出されることにより、光電変換シート3が巻き芯部2から引き出される。また、光充電式二次電池1は、外周壁51を巻き芯部2に対して回転させることにより、光電変換シート3を巻き芯部2に巻き取ることができる。
したがって、光充電式二次電池1は、スリット51aを有する外周壁51が回動自在に備えられていることによって、光電変換シート3の引き出し及び巻き取りが容易となる。また、光充電式二次電池1は外周壁51を備えることによって、電気機器に収納された際に、光電変換シート3が巻きほぐれてしまうといったことがない。さらに、光充電式二次電池1は、外周壁51を備えることによって、光電変換シート3を保護し、光電変換シート3が外環境の塵埃や衝撃等によって損傷してしまうことを防止するとともに、蓄電池4が直射日光等によって加熱してしまうことを防止することができる。外周壁51は、蓄電池4の加熱防止効果をさらに向上するためには、例えば白色等のように光や熱を吸収しにくい色に着色されていることが望ましい。
上部フランジ6と下部フランジ7とには、それぞれ正極端子8と負極端子9とが設けられている。正極端子8と負極端子9とは、誘電性材料によって形成されており、それぞれ図示しない結線手段により、制御回路部5の所定の端子と電気的に接続されている。
光電変換シート3は、図7及び図8に示すように、可とう性を有して略矩形シート状に形成されたシート状基板10と、このシート状基板10上に配置された複数の光電変換素子11とによって構成されている。
シート状基板10は、例えばポリエステル等の絶縁性を有する材料によって形成され、可とう性を有するようにシート状に形成されている。
各光電変換素子11は、シート状基板10上に、第1の電極層12と、光電変換層13と、第2の電極層14とがそれぞれ薄膜状に順次積層して形成されてなる。光電変換素子11を構成する各層は、例えば、スパッタ法や蒸着法に代表される各種PVD法、又はプラズマCVD法やMOCVD法に代表される各種CVD法によってシート状基板10上に薄膜状に形成されている。光電変換素子11は、各層が薄膜状に形成されていることによって、シート上基板10と同様に十分な可とう性を有している。
さらに、上記光電変換シート3には可とう性を有する高分子積層シートを有することができる。この高分子積層シートは、上記光電変換素子の受光部上を覆うもので、この部分は少なくとも光透過性を有する。この高分子積層シートは、上記光電変換シートの全面を覆うことが好ましく、さらには、上記光電変換シートの端部より張り出し、上記光電変換シートの端部を保護するように形成することが好ましい。又、上記高分子積層シートは、上記光電変換シートの受光面側に設けることが、好ましいが、上記光電変換シートの受光面の裏側に設けることも、さらに、好ましい。これにより、可とう性を有する光電変換素子を繰り返し、引き延ばし、受光面積を大きくして使用するとき、光電変換素子の繰り返しの屈曲による、上記光電変換素子の損傷あるいは劣化を低減できる。さらに、上記光電変換素子の繰り返しの引き延ばしに伴う、表面の繰り返しの摺動に対し、上記光電変換素子が、損傷あるいは劣化することを防止でき、素子全体としての発電効率が低下、延いては充電性能が低下を防止できる。又、上記光電変換素子が長期に捲回状態にあると、上記光電変換シートは塑性変形(云ゆる、巻き癖が付く)し、上記光電変換素子の有効な受光を妨げることになるが、上記高分子積層シートの存在により、上記塑性変形を低減でき、有効な受光を得ることができる。上記高分子積層シートを、前記のように光電変換シートの表裏に用いる場合は、表裏同一のシート材料で構成することもできるし、適宜異種のシート材料で構成することもできる。材質としては、少なくとも光電変換素子の受光部上を覆うものは、光透過性の材料である。又、摩擦による耐磨耗性、光に対する耐候性を有することが望ましい。このような材料としては、ハロゲン化オレフィン、特に、フッ素化オレフィンの重合体、あるいは、これとオレフィンの共重合体が例示される。さらに、これらシートを光電変換シートに固着させるために、接着層を設けることができる。この接着層の材料としては、エチレンと酢酸ビニルの共重合体が例示される。
上記光電変換シート3においては、各光電変換素子11が互いに電気的に直列に接続されており、短手方向の両端部に位置する光電変換素子11の電極層にそれぞれ正極端子12aと負極端子14aとが形成されている。正極端子12aと負極端子14aとは、それぞれ、機械的電気遮断手段21あるいは制御回路部5の所定の端子と電気的に接続されている。
また、光電変換素子11は、シート状基板10とは反対側、すなわち外方に臨む側の主面11aから太陽光等の光が入射される構成とされている。第1の電極層12及び第2の電極層14は、誘電性材料によって形成されており、光電変換層13に対して一対の電極としての機能を果たしている。光電変換層13は、例えば、a−Siのpin接合構造に代表される非結晶半導体薄膜を備えて形成されて、太陽光等の光が入射されることによって起電力が生ずる構成とされ、いわゆる光電変換効果を有する膜構成で形成されている。
光電変換層13は、例えばペリレン等のp型有機半導体と、例えば銅フタロシアニン等のn型有機半導体とにより形成されるpn接合構造であってもよい。なお、光電変換層13は、上述した薄膜構造に限定されるものではなく、十分な可とう性を有して光電変換効果を有する膜構成で形成されていればよい。
なお、第1の電極層12は、例えば、Ag,Al,Cr,Ni,Cu等の金属材料によって形成されて、光電変換層13に受光させる光に対する反射率が高くなるように形成されていることが望ましい。これにより、光電変換層13を透過した光を反射して再び光電変換層13に入射させ、光電変換層13の光電変換効率を向上させることができる。また、第2の電極層14は、例えば、SnO或いはIn等の金属酸化物を主成分とする材料によって形成された、いわゆる透明電極として形成されていることが望ましい。これにより、光電変換層13に受光させる光を効率よく透過して、光電変換層13の光電変換効率を向上させることができる。
なお、図7及び図8においては、特定の光電変換素子11の第1の電極層12及び第2の電極層14が、それぞれ、この光電変換素子11と隣接する別の光電変換素子11の第2の電極層14及び第1の電極層12とされて、複数の光電変換素子11が各々の電極層を共有する構成とされた例を示す。これにより、光電変換シート3においては、隣接する光電変換素子11同士が電気的に直列接続された構成とされている。
この場合には、例えば、第1の電極層12及び第2の電極層14を、上述したようにSnO或いはIn等の金属酸化物を主成分とする材料によって形成し、第1の電極層12とシート状基板10との間に、例えば金属材料等によって形成された光反射層(図示せず)を備えて形成してもよい。これにより、各光電変換素子11は、第2の電極層14を介して十分な量の光を受光することができるとともに、光反射層によって光電変換効率を向上させることができる。
また、この場合には、各光電変換素子11同士が、その長手方向の長さと略同等の長さの電極によって(線)で接続されていることとなる。したがって、例えば、各光電変換素子11同士が、例えばリード線等によって(点)で接続された場合と比較して、断線等の結線不良が生じてしまう虞を低減することができる。
また、光電変換シート3においては、その長手方向に対して並行に各光電変換素子11が配置されている。すなわち、各光電変換素子11の一対の電極層は、光電変換シート3の長手方向と並行になるように配設されている。これにより、光充電式二次電池は、蓄電池を充電するために光電変換シート3を引き延ばした際に、この光電変換素子の一部に光が十分に照射されない場合であっても、光電変換シート全体での発電効率が低下してしまうことを防止することができる。
さらに、光電変換シート3は、巻き芯部2に対して捲回されて引き延ばし自在に配設されており、最内周側となる一側が巻き芯部2に接続固定されている。光電変換シート3は、上述した正極端子12a及び負極端子14aが、この最内周側の一側に電気的に接続されている。ここにおいて、光電変換シート3の光電変換素子部の端部が、引き延ばし状態で、光電変換シート3における光電変換素子の実効部の内端部が、引き出し状態において実質的に遮光されない位置の外部に存在するようにすることで、発電効率の低下を防ぐことができる。そのために、光電変換シート3の上記最内周側となる一側が巻き芯部2に接続固定位置より、引き出し状態において実質的に遮光されない位置まで、上記光電変換シート3に光電変換素子部を有せず、正極端子12aと負極端子14aを有するシート部31を介在させる。さらに、光電変換シート3の最外周端に係止部3aが形成されているが、光電変換シート3の光電変換素子部の端部が、引き延ばし状態で、光電変換シート3における光電変換素子の実効部の外端部が、引き出し状態において、前記係止部3aにより、実質的に遮光されない位置の内部に存在するようにすることで、発電効率の低下を防ぐことができる。そのために、光電変換シート3の上記最外周側となる一側が係止部3aの接続固定位置より、引き出し状態において実質的に遮光されない位置まで、上記光電変換シート3に光電変換素子部を有しないシート部を介在させる。又、図9乃至10における外周壁51を有する光充電式二次電池においては、外周壁51のスリット51aより十分に外部に存在できるように、巻き芯部2に接続固定されている上記光電変換シート3の最内周側となる一側から、上記光電変換シート3の光電変換素子部の内周側の端部までの上記光電変換シート3に光電変換素子部を有せず、正極端子12aと負極端子14aを有するシート部31を介在させる。これにより、充電操作において、引き出し不十分による光電変換素子部の上記外周壁51の光の遮蔽を防止できる。さらに、曲率の高い内周から光電変換素子部を、より曲率の低い外周側へ移動させることができ、光電変換素子部の屈曲による疲労劣化を低下できる。
本発明においては、前記光電変換シート3における光電変換素子の実効部の内端部から光電変換シート3の内端部に至るシート部31と、前記光電変換シート3における光電変換素子の実効部の外端部から光電変換シートの外端部に至るシート部が、光電変換素子の前記実効部と実質的に同一の曲げ弾性を有し、そのために、層構成を実質的に同一とするものである。これにより、前記シート部31乃至前記シート部と光電変換素子の前記実効部との継ぎ目での屈曲が生ずることがない。これにより、前記光電変換シート3の捲回が均一になされ、前記光電変換シート3の使用耐久性が向上する。又、前記の正極端子12aと負極端子14aを有するシート部31と前記光電変換素子の前記実効部との継ぎ目では、屈曲が生じ、前記の正極端子12aと負極端子14aが継ぎ目の屈曲部に屈曲が集中し、前記の端子材料の疲労が集中し、断線に到りやすくなる。又、前記光電変換シート3全体においても、前記シート部31乃至前記シート部と光電変換素子の前記実効部との継ぎ目で屈曲が生じ、この部分に材料の疲労が集中し、破断が生じやすい。このためには、前記光電変換シート3の全面にわたって、前記光電変換素子の実効部と同一の層構成とすることで達成できる。前記実効部と他部との電気的な接続と絶縁は、通常の半導体プロセスを駆使して行うことができる。
また、光電変換シート3は、巻き芯部2に対して捲回した状態で、その受光面が内側となるように配設される。これにより、光充電式二次電池は、光電変換シート3が巻き芯部2に捲回させて放電使用される際に、光電変換シート3の受光面が外方に露出する事がなく、受光面が傷つく等して破損してしまうことを防止することができる。
蓄電池4は、巻き芯部2の内部空間に収納されており、充放電が可能な二次電池である。蓄電池4は、具体的には例えば、ニッケル−水素二次電池、ニッケル−カドミウム二次電池、ニッケル−亜鉛二次電池、亜鉛−酸化銀二次電池、鉄−ニッケル二次電池等である。蓄電池4は、ニッケル−水素二次電池であることが望ましい。これにより、蓄電池4は、体積当たりのエネルギー密度を向上させることができるとともに、鉛やカドミウムといった重金属を使用せず、環境適合性に優れたものとなる。
蓄電池4は、所定の電池規格形状を有する規格乾電池であってもよい。蓄電池4は、具体的には、IECやJIS等により定められた、いわゆる単3型と呼ばれるR6型電池、単4型と呼ばれるR03型電池、単5型と呼ばれるR1型電池、あるいはボタン型と呼ばれるR44型電池、R1220型電池等であってもよい。これにより、光充電式二次電池1においては、開発・製造コストを抑えることができる。
ただし、蓄電池4は、蓄電容量の観点からみた場合には、規格蓄電池を使用せずに、巻き芯部2の内部空間に直接電解液等の蓄電池構成物を封入することも望ましい。これにより、蓄電池4は、規格蓄電池の外装部に相当する空間にまで蓄電池構成物を封入することができ、蓄電容量を増大させることができる。
また、蓄電池4は、巻き芯部2に対して着脱自在であるように構成してもよい。具体的には、例えば下部フランジ7の一部を開閉自在として、この開閉部から巻き芯部2に対して蓄電池4を挿脱するように構成してもよい。あるいは、例えば、光電変換シート3を引き延ばした状態で外方へと露出する巻き芯部2の一部を開閉自在として、この開閉部から巻き芯部2に対して蓄電池4を着脱するように構成してもよい。
これにより、光充電式二次電池1においては、蓄電池4が充放電を繰り返して寿命が尽きた場合でも、この蓄電池4のみを交換することができる。したがって、光充電式二次電池1は、蓄電池4に比べて長い寿命を有する他の各部を、寿命が尽きた蓄電池4とともに廃棄する必要がなくなり、資源の有効活用の観点から望ましいものとなる。
また、これにより、光充電式二次電池1は、蓄電池4を充電するための充電器として利用することができる。すなわち、光充電式二次電池1によって蓄電池4を充電し、充電が完了した蓄電池4を光充電式二次電池1から取り出して、この蓄電池4を電子機器の電源として利用することもできる。
さらに、蓄電池4は、上述したように規格蓄電池を利用すると共に、巻き芯部2に対して着脱自在としてもよい。このように、蓄電池4として規格蓄電池を着脱自在に使用することで、光充電式二次電池1は、蓄電池4を交換する際に、この交換作業を簡便且つ容易に行えるようになる。また、この場合にも、上述したように、蓄電池4を充電するための充電器として光充電式二次電池1を使用してもよい。これにより、規格蓄電池形状を有する蓄電池4は、光充電式二次電池1から着脱自在とされて、通常の規格電池を電源とする電気機器に対して用いることが容易となる。
また、蓄電池4は、その放電電圧が0、6−1、9Vであることが望ましい。これにより、光充電式二次電池1は、通常の筒型規格電池を電源として用いる電気機器に対して用いられた場合に、それら電気機器の動作電圧に満たずに動作させることができなかったり、許容電圧を超えてしまって機器を破損してしまったりといったことを防止することができる。
制御回路部5は、図1乃至図2に示すように、上部フランジ6に、図3乃至図4に示すように、巻き芯部2の内部空間に配設されている。制御回路部5は、光電変換シート3と蓄電池4との整流機能、光電変換シート3による蓄電池4の過充電防止機能、蓄電池4の過放電防止機能等からえらばれる機能を適宜備える。制御回路部5は、具体的には、ダイオードやオペアンプ等を用いた電気的な回路によって構成することができるが、電気/電子分野で通常用いられているような整流回路、過充電防止回路及び過放電防止回路によって構成することができるため、その回路構成についての詳細な説明を省略する。
また、制御回路部5は、少なくとも4つの端子を備えており、これら端子にそれぞれ、光電変換シート3の正極端子12a及び負極端子14aと、蓄電池4の正極端子及び負極端子とが電気的に接続される。そして、制御回路部5は、蓄電池4の光電変換シート3による充電と、蓄電池4からの放電とを効率よく行うことができるように機能する。
さらに、本発明では、前記機械的電気遮断手段21を、上記光電変換シート3と上記蓄電池4との間に介在させる。これにより、本発明の光充電式二次電池の電力の保持性を飛躍的に改善できる。この機械的電気遮断手段21によって、前記光電変換シートが前記巻き芯部から引き出された状態においては、前記光電変換シートと上記充電可能な蓄電池の電気的に接続され、前記光電変換シートが前記巻き芯部に巻き取られた状態においては、前記光電変換シートと上記充電可能な蓄電池の電気的な接続が機械的に遮断される。このような機械的電気遮断手段21の具体例としては、図11(a)、11(b)、図12(a)、12(b)、図13(a)、13(b)で示される手段が挙げられる。図11(a)、図12(a)及び図13(a)は、上記光電変換シート3が前記巻き芯部から引き出された状態において、前記光電変換シートと上記充電可能な蓄電池の電気的に接続された状態を表し、図11(b)、図12(b)及び図13(b)は、上記光電変換シート3が前記巻き芯部に巻き取られた状態において、前記光電変換シートと上記充電可能な蓄電池の電気的な接続が機械的に遮断された状態を表す。
光充電式二次電池1は、以上で説明したように構成され、光電変換シート3を巻き芯部2に捲回した状態で、図2に示すように、全体略円筒形状を呈する。この状態で、光充電式二次電池1は、電気機器の電源として、これら電気機器に対して着脱して用いることが容易となる。
また、光充電式二次電池1は、光電変換シート3を巻き芯部2に捲回した状態で、所定の筒型電池規格形状を有するように各部の寸法等を定められることが望ましい。光充電式二次電池1は、具体的には例えば、IECやJIS等により定められた、いわゆる単1型と呼ばれるR20型電池、単2型と呼ばれるR14型電池、あるいは単3型と呼ばれるR6型電池等であってもよい。
これにより、光充電式二次電池1は、通常の筒型規格電池を収納して使用するように設計された電気機器に対して用いることを容易とすることができる。したがって、この場合に、光充電式二次電池1は、太陽光の光エネルギーを電気エネルギーに変換して蓄え、通常用いられているような筒型規格電池を使用する電気機器の電源とすることができる。
また、光充電式二次電池1は、図1乃至図4乃至図9乃至図10に示すように、光電変換シート3を巻き芯部2から引き延ばした状態で、蓄電池4を充電する。このとき、光充電式二次電池1は、光電変換シート3の受光面積に全てを光の照射方向に向けることができるために、この光電変換シート3の発電力を向上させることができる。したがって、光充電式二次電池1は、蓄電池4を充電する際の充電時間を実用上十分に短くすることができる。
なお、本発明に係る光充電式二次電池は、蓄電池4の形状・個数・収納位置等に限定されるものではない。蓄電池4は、例えば、光充電式二次電池1の内部に複数設けられて、コイルスプリングや板バネ等の弾性体によって位置ずれしないように支持固定されてもよい。
また、本発明に係る光充電式二次電池は、上述したように、光電変換シート3の最内周側となる一側が巻き芯部2に対して接続固定された構成に限定されるものではなく、例えば、光電変換シート3を光充電式二次電池1に対して着脱自在としてもよい。これにより、光充電式二次電池1は、光電変換シート3に物理的あるいは電気的な破損が生じた場合等に、これを正常な光電変換シート3に交換して使用することができる。すなわち、本発明に係る光充電式二次電池は、光電変換シート3が少なくとも充電時には蓄電池4と電気的に接続される構成であればよい。
以上、説明したように、本発明に係る光充電式二次電池は、光充電された電力の漏洩を防止し、長期間保存した場合でも、電力の低下を最小限に抑えることができる。したがって、本発明に係る光充電式二次電池によれば、太陽光等の光エネルギーを電気機器の電源として利用することが実用的となり、有害な排出物の発生による環境汚染を防止することができるとともに、地球資源を有効に活用することができる。
光電変換素子を担持している光電変換シートを引き出された状態を示す光充電式二次電池の概略斜視図である。 本発明の光充電式二次電池の縦断面図である。 本発明の光充電式二次電池の縦断面図である。 光電変換素子を担持している光電変換シートが一部引き出された状態の光充電式二次電池の概略斜視図である。 外周壁の側縁部が回動自在に嵌合するように溝部が設けられている上部および下部フランジを有する光充電式二次電池の縦断面図である。 図4の横断面図である。
巻き芯部から引き延ばされた状態の光電変換シートの概略図である。 図7のA−A’断面図である。 光電変換素子を担持している光電変換シートが一部引き出された状態の光充電式二次電池の斜視図である。 図9の横断面図である。 本発明における機械的電気遮断手段21の具体例を模式的に示す図である。(a)は、光電変換シート3が前記巻き芯部2から引き出された状態において、前記光電変換シートと上記充電可能な蓄電池の電気的に接続された状態を表し、(b)は、上記光電変換シート3が前記巻き芯部2に巻き取られた状態において、前記光電変換シートと上記充電可能な蓄電池の電気的な接続が機械的に遮断された状態を表す。 本発明における機械的電気遮断手段21の具体例を模式的に示す図である。(a)は、光電変換シート3が前記巻き芯部2から引き出された状態において、前記光電変換シートと上記充電可能な蓄電池の電気的に接続された状態を表し、(b)は、上記光電変換シート3が前記巻き芯部2に巻き取られた状態において、前記光電変換シートと上記充電可能な蓄電池の電気的な接続が機械的に遮断された状態を表す。 本発明における機械的電気遮断手段21の具体例を模式的に示す図である。(a)は、光電変換シート3が前記巻き芯部2から引き出された状態において、前記光電変換シートと上記充電可能な蓄電池の電気的に接続された状態を表し、(b)は、上記光電変換シート3が前記巻き芯部2に巻き取られた状態において、前記光電変換シートと上記充電可能な蓄電池の電気的な接続が機械的に遮断された状態を表す。
符号の説明
1 光充電式二次電池
2 巻き芯部
3 光電変換シート
4 蓄電池
5 制御回路部
6 上部フランジ
6a 溝部
7 下部フランジ
7a 溝部
8 正極端子
9 負極端子
10 シート状基板
11 光電変換素子
11a 主面
12 電極層
12a 正極端子
13 光電変換層
14 電極層
14a 負極端子
21 機械的電気遮断手段
31 シート部
51 外周壁
51a スリット
211 通電部材
212 通電部材
213 通電部材
214 通電部材
215 押圧部
216 バネ

Claims (6)

  1. 円筒形状の巻き芯部と、上記巻き芯部に対して捲回されて引き出し自在に配設された可とう性を有する光電変換素子を有する光電変換シートと充放電可能な蓄電池とを備え、上記巻き芯部に上記光電変換シートを捲回した状態で、全体円筒略形状を呈する光充電式二次電池において、上記巻き芯部には、その両端部に位置してそれぞれ略円形平板状に形成された上部フランジと下部フランジとが一体に設けられ、上記巻き芯部に巻き取る構成において、前記光電変換シートが前記巻き芯部から引き出された状態においては、前記光電変換シートと上記充電可能な蓄電池の電気的に接続され、前記光電変換シートが前記巻き芯部に巻き取られた状態においては、前記光電変換シートと上記充電可能な蓄電池の電気的な接続が機械的に遮断される手段を有することを特徴とする光充電式二次電池。
  2. 上記巻き芯部に捲回された上記光電変換素子を覆い、上記巻き芯部の引き出し口となる引出し孔を有する円筒形状の外周壁が設けられ、上記上部フランジ及び下部フランジに、上記外周壁の側縁と回転自在に支持部が設けられ、引き出された上記光電変換素子が、上記外周壁を回転させることによって、上記巻き芯部と上記外周壁とにより構成された内部空間に巻き取られることを特徴とする請求項1記載の光充電式二次電池。
  3. 上記巻き芯部に上記光電変換素子を捲回した状態で、所定の円筒電池規格形状となることを特徴とする請求項1記載の光充電式二次電池。
  4. 上記蓄電池は、放電電圧が0.6−1.9Vであることを特徴とする請求項1記載の光充電式二次電池。
  5. 上記蓄電池は、上記巻き芯部に対して着脱自在であることを特徴とする請求項1記載の光充電式二次電池。
  6. 上記蓄電池は、所定の円筒電池規格の形状を有することを特徴とする請求項1記載の光充電式二次電池。

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