JP2005032532A - 鉛蓄電池、及びその製造方法 - Google Patents

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政則 酒井
Yasuo Kondo
保夫 近藤
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今吉 平沢
Masayuki Terada
正幸 寺田
Yasuhisa Aono
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Abstract

【課題】電極の耐食性を向上した鉛蓄電池を提供する。
【解決手段】正極と、負極と、電解液とを有し、少なくとも正極を形成する集電体5中に、炭素化物5及び酸化物7の少なくとも1方が分散した状態で含まれている構成とする。これにより、蓄電池の電極1、特に腐食が生じ易い正極を形成する集電体3の結晶粒径を、従来の鉛蓄電池における電極の集電体の結晶粒径よりも小さくできる。そして、結晶粒径を小径化できることにより、集電体3の単位重量、単位面積あたりの結晶粒界15の総延長が長くなり、腐食しろが長くなるため、鉛蓄電池の電極の耐食性を向上できる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、二次電池の技術に係り、特に、鉛蓄電池の技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
鉛蓄電池は、他の二次電池に比べて低温特性に優れ、電池特性とコスト面でバランスのとれた二次電池である。しかし、鉛蓄電池は、単位体積あたりの重量がリチウム二次電池等に比べて重いため、エネルギー密度に問題を有している。この原因は、鉛蓄電池の電極は、リチウム二次電池等の電極と比較して比重が大きいこと、さらに、リチウム二次電池等の電解液に比べて比重の大きい硫酸を電解液に使用することなどである。
【0003】
これに対して、鉛蓄電池の電極をできるだけ薄くして、単位重量あたりの電極面積を広くすることにより、従来よりも軽量で大面積の電極を有する鉛蓄電池とし、エネルギー密度を向上することが考えられている(例えば、特許文献1、2参照)。なお、特許文献1では、電極を極力薄くし、薄膜状にして捲回する捲回式鉛蓄電池を形成するとき、電極を損傷なく巻き取るための技術が提案されている。また、非特許文献1では、捲回式のシール鉛蓄電池に関する詳細が示されている。
【0004】
このように、集電体である鉛合金製の電極の厚さをできるだけ薄くすることで、同一重量に対して表面積が増えるため、鉛蓄電池のエネルギー密度を向上できる。ところが、鉛蓄電池で起こる鉛電池反応は、硫酸中で進行する反応であることから、電極の腐食による劣化も同時進行するため、電極を薄膜化するに連れ、電極の腐食による破断が発生し易くなるという問題が生じる。このような、電極の腐食による破断は、電池機能の劣化、さらには機能停止を招くため、電極の腐食を抑制できるよう、電極の耐食性を向上することが課題となっている。特に、鉛蓄電池では、正極の腐食速度が負極に比べて大きいため、正極の耐食性の向上が必要とされている。
【0005】
これに対して、鉛蓄電池の電極上にペロブスカイト構造をとるメタ鉛酸バリウム(BaPbO)皮膜を生成させ、鉛蓄電池の電極の耐食性を向上させる方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。さらに、鉛電池の集電体を鉛−カルシウム−スズ合金で形成したときの耐食性に関する報告などもある(例えば、非特許文献2)。
【0006】
【特許文献1】
特開平6−203870号公報(第2頁)
【特許文献2】
特開平7−272727号公報(第4頁)
【非特許文献1】
「円筒形高出力シール鉛電池の開発」、GS News Technical Report、第2号、第58巻、1999年12月、p.16−20
【非特許文献2】
「高温硫酸溶液中での充電/浸漬繰り返しによるPb−Ca−Sn合金の腐食挙動」、日本金属学会誌、第65巻、第8号、2001年、p.720−725
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、金属の耐食性の向上には、合金化による組織制御などが一般的である。しかし、電池の集電体の耐食性の向上には、水素過電圧、酸素過電圧などの電池特性そのものに関する制約があり、ステンレス鋼などの構造材料の耐食性を向上する場合とは異なる側面や制約を有する。したがって、鉛蓄電池では、耐食性を向上するため、合金化による組織制御などの方法を用いることは難しい。さらに、鉛蓄電池の集電体の腐食では、集電体を形成する鉛合金の結晶粒界で生じる粒界侵食が問題となるため、特許文献2に提案されているようなメタ鉛酸バリウム(BaPbO)皮膜を生成させることでは、耐食性を向上し難い。
【0008】
本発明の課題は、鉛蓄電池の電極の耐食性を向上することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の鉛蓄電池は、正極と、負極と、電解液とを有し、少なくとも正極を形成する集電体中に、炭素化物及び酸化物の少なくとも1方が分散した状態で含まれている構成とすることにより上記課題を解決する。
【0010】
このような構成とすれば、鉛蓄電池の電極、特に腐食が生じ易い正極を形成する集電体の結晶粒径を、従来の鉛蓄電池における電極の集電体の結晶粒径よりも小さくできる。そして、結晶粒径を小径化できることにより、集電体の単位重量、単位面積あたりの結晶総粒界長が長くなり、腐食しろが長くなるため、鉛蓄電池の電極の耐食性を向上できる。
【0011】
また、正極を形成する集電体だけでなく、負極を形成する集電体中にも炭素化物及び酸化物の少なくとも1方が分散した状態で含まれている構成であれば、負極でもさらに腐食を生じ難くできることから、鉛蓄電池の電極の耐食性をより向上できる。
【0012】
さらに、少なくとも正極を形成する集電体の結晶粒径が10μm以下である構成とすれば、より確実に鉛蓄電池の電極の耐食性を向上できる。
【0013】
また、正極を形成する集電体の積層された正極活物質の層中にも炭素化物及び酸化物の少なくとも1方が分散した状態で含まれている構成とする。さらに、酸化物が、酸化物二酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化第二スズ、メタ鉛酸バリウムのうちの少なくとも一種類である構成とする。
また、炭素化物を必ず含む構成とする。これにより、鉛蓄電池の電極の耐食性を向上できるのに加え、鉛蓄電池の使用により不動体膜が形成されても、不動態膜中に分散した状態で導電性の炭素化物が存在するため、不動態膜中に電子伝導のためのパスができ、充電放電機能の劣化を抑制できる。すなわち、鉛蓄電池の電極の耐食性を向上でき、かつ充電放電機能の劣化を抑制できる。
【0014】
さらに、炭素化物としてカーボンナノチューブを含む構成とすれば、炭素化物の安定性を向上できる。
【0015】
さらに、酸化物として導電性の酸化物を含む構成とすれば、炭素化物の場合と同様に、鉛蓄電池の電極の耐食性を向上でき、かつ充電放電機能の劣化を抑制できる。このとき、酸化物として、酸化第二スズ、メタ鉛酸バリウムのうちの少なくとも一種類を含む構成とする。
また、本発明の鉛蓄電池の製造方法は、鉛蓄電池の電極を構成する集電体を形成するとき、アトマイズ法によって得られた鉛を原料とし、粉末冶金技術により、原料と炭素化物及び酸化物の少なくとも1方とを混合して得た混合粉末から集電体を形成することにより上記課題を解決する。このような製造方法とすることにより、集電体中に粒状の炭素化物及び酸化物の少なくとも1方が分散した状態にできる。
【0016】
さらに、原料と炭素化物及び酸化物の少なくとも1方とを混合して得た混合粉末を得るため、粉末冶金技術としてメカニカルアロイングを用いる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用してなる鉛蓄電池の一実施形態について図1を参照して説明する。図1は、本発明を適用してなる鉛蓄電池の正極の概略構成を模式的に示す断面図である。
【0018】
本実施形態の鉛蓄電池は、図示していないが、例えば、正極活物質を有する正極、負極活物質を有する負極、これらの正極及び負極間に挟まれて電解液を含浸するセパレータ、そして、電解液を格納し、正極及び負極にそれぞれ接続された電極ターミナルを有する電池収納容器などを備えた一般的な構成の鉛蓄電池である。
【0019】
しかし、本実施形態の鉛蓄電池では、図1に示すように、正極となる電極1を構成する集電体3中に、炭素化物としてケッチェンブラックやカーボンナノチューブなどからなるカーボン粒子5、そして、酸化物として酸化アルミニウム7が分散した状態となっている。さらに、カーボン粒子5や酸化アルミニウム7は、集電体3中だけでなく、活物質層9中にも分散した状態となっている。
【0020】
また、図1では、使用した鉛蓄電池の電極の断面を示しているため、鉛蓄電池の使用により、集電体3と活物質層9との間に不動態皮膜層11が形成されている。そして、この不動態皮膜層11中にもカーボン粒子5や酸化アルミニウム7が分散した状態となっている。これは、集電体3を形成している鉛の溶出によって、集電体3に分散しているカーボン粒子5や酸化アルミニウム7が不動態皮膜層11領域に混入して行くことによるものである。
【0021】
集電体3は、鉛合金で形成されており、アトマイズ法により得られた平均粒径約30μmの鉛粒子を基にして、圧延、焼結することにより得られたものである。したがって、集電体3では、圧延焼結によって形成されたアトマイズ鉛粒子同士の接触接合部であるアトマイズ鉛接合部13を有している。ただし、実際には、図1に示すようにアトマイズ鉛接合部13が確認できない状態になっていることが望ましい。さらに、集電体3では、集電体を形成する際に、アトマイズ鉛粒子内部での再結晶化によって複数の結晶が生じており、これらの再結晶化によって生じた複数の結晶間の界面である結晶粒界15が見られる。一方、活物質層9は、二酸化鉛(PbO)、硫酸鉛(PbSO)を主体とする層で形成されている。また、不動態皮膜層11は、硫酸鉛(PbSO)、一酸化鉛(PbO)を主体とした層で形成される。
【0022】
集電体3の内部に分散するカーボン粒子5は、ケッチェンブラック及びカーボンナノチューブ(single wall carbon nanotube)として0.01重量%以上0.5重量%以下を、酸化アルミニウム2は、平均粒径1μmレベルの粉末0.1重量%以上3重量%以下を、粉末冶金技術であるメカニカルアロイングによってアトマイズ鉛粒子に分散させたものである。なお、ケッチェンブラック、カーボンナノチューブなどがメカニカルアロイングにより分散させられた状態にあるカーボン粒子5や酸化アルミニウム7は、比較的小さなものとなり図示し難いため、図1においては、カーボン粒子5や酸化アルミニウム7は拡大表現して描いてある。
【0023】
ここで、粉末冶金技術による集電体3の形成について説明する。複合材料作成の基になる鉛及び鉛紛末は、上記のように、アトマイズ法、例えばガスアトマイズ法によって得る。そして、このようにアトマイズ法で得たアトマイズ鉛粒子と、カーボン粒子5及び酸化アルミニウム7の粉末とをメカニカルアロイングにより冷間接合と破砕を繰り返し、磨砕することにより、均一化された複合粒子が形成される。メカニカルアロイングとしては、遊星ボールミル、アトライターミルなどを用いる方法がある。例えば、アトライターミルは、混ぜ合わせる材料を入れる固定容器、この固定容器内に設けられた磨砕ボール及び回転羽根、この回転羽根を駆動する駆動軸などを有するものであり、容器の中に挿入した材料同士に対して冷間接合と破砕を繰り返し行うことができるものである。このようなメカニカルアロイングで得られた混合粉は、通常の熱間固化により固体化され、圧延、焼結されることにより集電体3に成形される。
【0024】
このような方法で、0.1重量%のカーボン粒子5、そして、0.5重量%の酸化アルミニウム7を内部に分散させた集電体3を形成し、この集電体3単体に対して、20℃比重1.280硫酸溶液中で20時間過充電条件での腐食試験を実施した。なお、カーボン粒子5は、ケッチェンブラック及びカーボンナノチューブである。また、このときの集電体3におけるアトマイズ鉛粒子内部の再結晶粒の結晶粒径は、電池使用環境において5〜10μmレベルであった。
【0025】
この腐食試験は、定電流制御装置、すなわちガルバノスタットを用いて鉛蓄電池の集電体の腐食が顕著になる過充電環境を模擬して実施したものである。この腐食試験の条件は、電流密度20mA/cm、対極に鉛板を用い、本実施形態の鉛合金つまり集電体3と対極間との距離が1cm、温度30℃である。また、比較用の集電体として、鉛蓄電池において通常用いられるカルシウム入り鉛スズ合金を用いた。
【0026】
この腐食試験の結果、比較用の集電体では、試験後、粒界侵食が現われ、平均粒界侵食深さは、4μmであった。これに対して、本実施形態の鉛合金、つまり、メカニカルアロイングによって作成したカーボン酸化物コンポジットである集電体3では、粒界侵食は見られなかった。
【0027】
このように本実施形態の集電体3では、炭素化物であるカーボン粒子5や、酸化物である酸化アルミニウム7が内部に分散していることにより、耐食性が向上した。したがって、本願発明により、鉛蓄電池の電極の耐食性を向上できる。
【0028】
これは、常温領域ですでに再結晶化が進行する鉛において、炭素化物や酸化物が結晶粒成長を抑制するための、いわゆるピンニング効果を有しているため、集電体内に分散した炭素化物や酸化物によって結晶粒径を制御でき、結晶粒径を従来の集電体に比べて小径化できたことによるものである。つまり、定電位電池機能環境においては、腐食反応機構、腐食速度などに基本的悪影響がない場合、結晶粒径を小さくするに連れ、単位重量、単位面積あたりの結晶総粒界長が長くなり、腐食しろが長くなることにより、耐食性を向上できる。同様に、定電流電池環境においても、腐食反応機構、腐食速度に基本的悪影響がない場合、結晶総粒界長が長くなるに連れて、単位長さあたりの結晶粒界部で受け持つ腐食電流が小さくなるため、耐食性を向上できる。
【0029】
さらに、鉛蓄電池の電極の耐食性を向上できることから、破断寿命を延ばすこと、つまり鉛蓄電池の使用寿命を延ばすことができる。
【0030】
ところで、ピンニング効果を有する化合物または成分を鉛合金中に添加するには、鉛溶湯の中にこれらの炭素化物や酸化物といった化合物または成分を入れ、鉛合金を作成する方法が考えられる。しかし、炭素化物や酸化物などは、鉛溶湯に溶け込み難く、さらに、粒子が比較的軽く、また、鉛溶湯との濡れ性も悪いため、鉛溶湯表面に浮いてしまい、形成された集電体内に分散した状態にならない。
【0031】
これに対して、本実施形態では、アトマイズ法によって得たアトマイズ鉛粒子と、粒状の炭素化物や酸化物粉末などとを、粉末冶金技術の一種であるメカニカルアロイングを用いて冷間接合と破砕を繰り返し行うことで混合している。そして、この混合物を圧延、焼結して集電体を形成することで、炭素化物や酸化物を鉛合金中つまり集電体中に分散させることができる。そして、これにより、結晶粒径10μm以下の集電体を作成することができる。従来の鉛合金の結晶粒径が100μmを超える値であることを考えれば、10μm以下の結晶粒径は、結晶粒界の総粒界長を有意に延長、改善でき、鉛蓄電池の集電体つまり電極の耐食性を確実に向上できる。
【0032】
さらに、集電体中に炭素化物や酸化物が分散した状態となることで結晶粒径が小さくなると、集電体の材料強度も向上する。これは、式(1)で表されるホール−ペッチの法則によるものである。
σ=σ+AG−1/2 …(1)
ここに、σは降伏強度、σとAは材料定数、Gは結晶粒径である。
【0033】
このように、式(1)によれば、結晶粒径平方根の逆数に降伏強度が比例するため、結晶粒径が小さくなるに連れて、材料強度は増してゆくことになる。したがって、ピンニング効果により結晶粒径が小さくなることにより、集電体の材料強度も向上できる。
【0034】
実際に、従来の鉛蓄電池の集電体の材料降伏強度が20MPaレベルであるのに対して、本実施形態の0.1重量%のカーボン粒子5、そして、0.5重量%の酸化アルミニウム7を内部に分散させた集電体3では、材料降伏強度が約60MPaまで大きくなった。
【0035】
さらに、集電体の材料強度を向上できることにより、鉛蓄電池の電極をできるだけ薄くして、単位重量あたりの電極面積を広くすることが可能となり、従来よりも軽量で大面積の電極を有する鉛蓄電池とし、エネルギー密度を向上できる。、特に、エネルギー密度を一層向上できる捲回式鉛蓄電池において、数十μm程度に薄膜化した集電体を捲回する作業でも、集電体が作業途中で破断するといった問題が生じ難くなり、捲回作業性を向上できる。
【0036】
加えて、鉛蓄電池の集電体の耐食性を向上でき、集電体の材料強度も向上できることから、集電体を従来よりも薄く、軽く形成できるうえ、信頼性の向上や効率の向上なども可能となる。
【0037】
一方、鉛蓄電池では、金属としての鉛が基本的に有する腐食反応により、鉛蓄電池の使用によって集電体と活物質層との間に不動態皮膜層を生成し易い。従来の鉛蓄電池では、不動態皮膜層が硫酸鉛(PbSO)によって完全に集電体を密閉してしまう場合、集電体3と活物質層9との間の電子伝導のルートが遮断された状態となってしまうため、放電反応や充電反応が進行できなくなり、電池機能が停止する。
【0038】
これに対して、本実施形態では、集電体3内部の炭素化物成分であるカーボン粒子5が、集電体3を形成している鉛表面の自然腐食によって不動態皮膜層11内に取り込まれ、不動態皮膜層11にも、集電体3の溶出反応によって供給された電子導電性物質であるカーボン粒子5が存在している。そして、不動態皮膜層11中のカーボン粒子5は、その電気導電性の特性から、充放電の際に必要になる電気の流れるルートを提供する役割を担うことができる。すなわち、カーボン粒子5によって、不動態皮膜層11内部に電子伝導のためのパスが生成されている状態となる。したがって、不動態皮膜層が形成されても、炭素化物が電子伝導のルートが存在するという従来の鉛蓄電池にはない機能が現れ、従来の鉛蓄電池よりも安定した電池性能を得ることができる。
【0039】
また、本実施形態では、電気導電性能とピンニング効果を有する化合物または成分となる炭素化物として、ケッチェンブラック、カーボンナノチューブといったカーボン粒子5を示した。しかし、炭素化物としては、炭素化プロセスとしての気相反応によるもの、例えばセチレンブラックなど、液相反応によるもの、例えば人造黒鉛など、固相反応によるもの、例えば炭素繊維など、そして本実施形態のケッチェンブラックやカーボンナノチューブなど、様々な炭素化物の1種類または複数種類を組み合わせて用いることもできる。さらに、炭素化物は、粒状、繊維質、カーボンナノチューブなど様々な形態のものを用いることができる。
【0040】
ただし、鉛蓄電池の正極は、陰極に対して単極電極間で2ボルトレベルの酸化環境に置かれる。このため、正極に用いる炭素化物としては、炭素化物の中で耐酸化性の強いカーボンナノチューブなどを用いることが望ましい。さらに、炭素化物がカーボンナノチューブであれば、このような耐酸化性に強いといった化学的安定性に加え、他の炭素化物に比べて機械的強度も高いため、陽極を構成する集電体内での炭素化物の安定性が向上する。
【0041】
また、本実施形態では、ピンニング効果を有する化合物または成分となる酸化物として酸化アルミニウム7を示した。しかし、酸化物としては、本実施形態の酸化アルミニウム(Al)や、二酸化珪素(SiO)、酸化ジルコニウム(ZrO)などのセラミックや、酸化第二スズ(SnO)、ペロブスカイト構造系のメタ鉛酸バリウム(BaPbO)といった導電性酸化物など、様々な酸化物の1種類または複数種類を組み合わせて用いることもできる。ただし、酸化物として酸化第二スズ(SnO)、ペロブスカイト構造系のメタ鉛酸バリウム(BaPbO)などの導電性酸化物を用いれば、酸化物によっても電子伝導のためのパスを生成できるので好ましい。
【0042】
また、本実施形態では、炭素化物と酸化物とを一緒にアトマイズ鉛内に分散させている。しかし、結晶粒径を小さくするための再結晶の成長抑制効果を得るうえでは、炭素化物単独、または、酸化物単独でアトマイズ鉛粒子内に分散ることもできる。
【0043】
また、粉末冶金技術の一例としてメカニカルアロイングを用いているが、金属粉末を用いるその他の粉末冶金技術を用いて集電体を形成することもできる。 ただし、メカニカルアロイングは、複合粒子の非晶質化プロセスも可能である。このため、集電体の形成にメカニカルアロイングを用いることにより、非晶質化により粒界侵食を無くし、電極の耐食性を一層向上できる可能性がある。
【0044】
また、本発明は、様々な構成、そして様々な形状の鉛蓄電池に適用することができる。さらに、陽極となる電極の集電体のみに本発明を適用してなる集電体を用いた構成とすることもできるし、陽極と陰極の両方の集電体に本発明を適用してなる集電体を用いた構成とすることもできる。
【0045】
【発明の効果】
本発明によれば、鉛蓄電池の電極の耐食性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用してなる鉛蓄電池の一実施形態における正極の概略構成を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
1 電極
3 集電体
5 カーボン粒子
7 酸化アルミニウム
9 活物質層
11 不動態被膜層
13 アトマイズ鉛接合部
15 結晶粒界

Claims (5)

  1. 正極と、負極と、電解液とを有し、少なくとも前記正極を形成する集電体中に、炭素化物及び酸化物の少なくとも1方が分散した状態で含まれている鉛蓄電池。
  2. 前記炭素化物及び酸化物のうち、前記炭素化物を必ず含んでいることを特徴とする請求項1に記載の鉛蓄電池。
  3. 前記炭素化物としてカーボンナノチューブを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の鉛蓄電池。
  4. 前記酸化物として導電性酸化物を含むことを特徴とする請求項1または3に記載の鉛蓄電池。
  5. 鉛蓄電池の電極を構成する集電体を形成するとき、アトマイズ法によって得られた鉛を原料とし、粉末冶金技術により、前記原料と炭素化物及び酸化物の少なくとも1方とを混合して得た混合粉末から前記集電体を形成する鉛蓄電池の製造方法。
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