JP2005031304A - 光学素子およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】樹脂を用いた光学素子は、樹脂部分からガスが発生し、他の光学部品や電子部品、半導体部品に付着して好ましくない影響を与える場合があった。本発明の課題は、樹脂を含む光学素子の樹脂部分からのガス発生を防止し、高温条件下、減圧条件下あるいはハーメチック封止条件下での使用に適用できるような光学素子を提供することである。
【解決手段】本発明の光学素子は基板10上に形成した所定の表面形状を有する樹脂層20から構成され、この樹脂層の基板に接する表面以外のすべての表面を1層以上の被覆膜30によって被覆する。この被覆膜は、基板と樹脂層の界面12近傍の露出した基板の一部まで覆うようにする。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は主として光通信分野で使用される樹脂を含む光学素子に関し、特に樹脂からのガス発生量の少ない光学素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
情報通信容量の増大に伴い、光通信分野では、表面に所定の微小凹凸構造を備えることにより光の回折あるいは屈折作用を利用する平板状光学素子が多量に使用されるようになっている。例えば微小レンズ列(マイクロレンズアレイ)などがよく知られている。
【0003】
これら表面の凹凸構造を形成させる方法は種々知られている。ガラス材料を用いる場合は、高温成形あるいはエッチングによって形成することができるが、これらのガラスレンズの製造方法は大量にかつ低コストで生産するのには適した方法とは言えなかった。
【0004】
これに対して大量にかつ低コストで生産するのに適した方法として、樹脂成形技術が知られている。紫外線硬化樹脂のモノマーを基板上に均一に展開し、凹凸構造を備えた成形型に接触させながら紫外線を照射して硬化させる方法で形成した成形樹脂を用いた光学素子が、特許文献1に開示されている。
【0005】
【特許文献1】
特開昭63−49702号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この成形樹脂を用いた光学素子は、常温・常圧条件下で使用する場合については問題ないが、高温条件下、減圧条件下あるいはハーメチック封止(真空封止)条件下において使用する場合においては、樹脂部分からガスが発生し、他の光学部品や電子部品、半導体部品に付着して好ましくない影響を与える場合があった。また樹脂を用いた光学素子を高真空下で用いる場合には、所定の真空度に到達しなかったり、非常に時間がかかるという問題があった。
【0007】
本発明はこのような従来技術に存在する課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、樹脂を用いた光学素子の樹脂部分からのガス発生がなく、高温条件下、減圧条件下あるいはハーメチック封止条件下での使用に適用できる光学素子を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の光学素子は基板上に形成した所定の表面形状を有する樹脂層から構成され、この樹脂層の基板に接する表面以外のすべての表面を被覆膜によって覆う。この被覆膜は、基板と樹脂層の界面近傍の露出した基板の一部まで覆っていることが望ましい。
【0009】
このような被覆膜を形成することによって、本発明の樹脂層を含む光学素子を加熱あるいは減圧下で用いた場合に、樹脂部分もしくは、樹脂と基板との界面からのガスの発生を抑制することができる。
【0010】
被覆膜は、SiO、TiO、Ta、ZrO、NbおよびMgFよりなる群から選ばれた誘電体材料を主成分とする少なくとも1層の膜であることが好ましい。そしてこれら誘電体材料を主成分とする膜各1層の厚さは、1〜600nmの範囲であることが望ましく、膜中に存在する粒塊または柱状構造物の直径は、好ましくは、30nm以下、より好ましくは20nm以下、もっとも好ましくは10nm以下とする。
このような誘電体膜であれば樹脂層から発生するガスに対する遮蔽層としての効果がより発揮される。
【0011】
上記の誘電体膜は、その屈折率と光学膜厚、膜層数を調整することにより、ガスを遮蔽する機能に加え、反射防止膜としての機能を併せもたせることができる。さらに波長選択反射膜、バンドパスフィルタ、ルゲートフィルタ等としての機能を付与することもできる。
【0012】
また、上記被覆膜は金属膜であってもよい。金属膜を用いることにより、光学的には反射膜として使用することができる。また光学的な目的以外に電極用等の導電膜、半田接合用のパッドとしての機能などを付与することもできる。金属膜としては、金、銀、白金、アルミニウム、ニッケルなどを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0013】
基板はガラス、セラミックス、金属および樹脂から選ばれた少なくとも1種であることが望ましい。基板を適切に選ぶことは、膜の成形過程において基板と膜が界面で剥離もしくは膜に亀裂を生じるのを防ぐのに効果がある。
【0014】
好ましい基板の材質の例として、珪酸塩系ガラス、ホウ酸系ガラス、リン酸系ガラス等の酸化物ガラス、石英ガラス、セラミックス、シリコン、アルミニウムその他の金属、エポキシ樹脂、ガラス繊維強化ポリスチレンなどを挙げることができる。金属はそのままでは樹脂層が接合しにくいが、予め金属の表面を酸化剤で処理しておけば基板として使用することができる。
【0015】
光学素子を形成する樹脂は、樹脂自体を加熱した場合のガス発生による重量減少が、好ましくは、3重量%以下、より好ましくは2重量%以下、さらに好ましくは、1.5重量%以下である。もっとも好ましくは、樹脂のガラス転移温度以下の温度で加熱した場合の重量減少が1.5重量%とすることである。このような樹脂は加熱時のガス発生量が少ないので、被覆膜を形成した光学素子からのガスの発生はより効果的に抑制される。
【0016】
本発明の樹脂層を形成する樹脂としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、メラニン樹脂、尿素樹脂、ポリイミド、ポリエーテルイミド、シリコン樹脂、ゾルゲル材料などの熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂を例示することができる。
【0017】
本発明の光学素子を製造する過程で、被覆膜を樹脂上に形成する前に、樹脂層を予め加熱処理するのが好ましい。被覆膜を樹脂上に形成する前に予め加熱することで、樹脂中に含まれる、未反応物、分解物、水分、ガスなどを蒸発させ、光学素子形成後の発生を抑制することができる。
【0018】
この予備加熱は、物理吸着水、あるいは、化学吸着水が除去できる温度、すなわち、120℃以上が好ましい。また、予備加熱の温度の上限は、用いる樹脂材料の耐熱温度以下が好ましい。エポキシ樹脂、アクリル樹脂では、250℃以下、ポリイミドでは、400℃以下が好ましい。エポキシ樹脂、アクリル樹脂における、予備加熱の好ましい温度の範囲は、120〜250℃である。
【0019】
この予備加熱は、常圧または減圧下で行うことができる。減圧下で行うことにより、より低い加熱温度で熱処理を行うことができ、過熱による樹脂の劣化を防ぐことができる。更に短時間で、樹脂中に含まれる、未反応物、分解物、水分、ガスなどを除去することができる。好ましい減圧の範囲は、1.5〜5Paである。常圧または2〜5Paの減圧下で、150〜250℃で5〜350分間加熱することが最も好ましい。
【0020】
この基板上に形成した樹脂層表面の形状を凸状レンズ形状とし、レンズアレイを形成することができる。レンズアレイのみならず、回折格子、フレネルレンズなどの光学素子へ適用することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施形態について詳細に説明する。
はじめに本発明の対象となる光学素子について、その構成を具体的に説明する。
【0022】
本発明の光学素子の実施例として、成形法によって形成される樹脂製の凸レンズアレイについて以下に説明するが、それのみならず例えば、回折格子(エシェレット回折格子、エシェロン回折格子、エシェル回折格子などを含む)、フレネルレンズなど表面に所定の凹凸形状をもつ光学素子にも本発明は適用できる。
【0023】
本発明の光学素子を構成する樹脂は、上記のように耐熱性があり、加熱してもガスの発生が少ないものが望ましい。エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、メラニン樹脂、尿素樹脂、ポリイミド、ポリエーテルイミド、シリコン樹脂、ゾルゲル材料などの熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂を例示することができる。
【0024】
上記の樹脂層を支持する基板は、ガラス、セラミックス、金属および樹脂など各種材料から選ぶことができる、ただし、光学素子が透過型光学素子の場合は、所定の波長の光を透過するような透明材料を選定しなければならない。また、基板を通して光を照射することが可能であるので、光重合により樹脂組成物を硬化させる成形方法を採用する場合には、製造上、透明材料が望ましい。
【0025】
また、基板の材料は、使用環境の温度変化が大きい場合や、温度変化によるレンズのピッチなど光学素子の特性変化の制限が厳しい場合には、線膨張係数が小さいものを用いることが好ましい。線膨張係数の小さい基板を用いることにより、温度上昇に伴う、光学素子の特性変化を小さく抑えることができる。例えば、石英ガラス(α=0.5ppm/K)、Zerodur(ショット社、α=−2ppm/K)、ネオセラム(日本電気硝子社、α=0.15ppm/K)などのような低膨張ガラスを例示することができる。
【0026】
基板の材質は、温度変化が小さい環境で用いられる場合や、温度変化による光学特性の変化に対する要求の程度によってはこれに限定されず、パイレックス(コーニング社、α=3.25ppm/K)、BK7(ショット社、α=7.1ppm/K)などを用いても構わない。
【0027】
本発明の被覆膜は、上記のように誘電体膜や金属膜が使用できる。本発明におけるこれらの膜を形成する目的は樹脂層から発生するガスを抑えることにある。したがって緻密であり、ピンホール等の欠陥が少なく均一であることが要求される。
【0028】
しかし光学素子上に形成される膜であるので、光学素子の機能の一部を兼ねる場合が多い。透過型の光学素子では透明な誘電体膜を用いて上記のように反射防止やフィルタの機能を兼ね備えることもできる。反射型の光学素子では金属膜または誘電体膜により反射膜を形成することもできる。
【0029】
本発明の被覆膜は、樹脂からのガスの発生を防止するだけでなく、外部環境から樹脂レンズへのガスの浸入、水分の浸入、イオンの透過などを防止することもできる。これにより樹脂の劣化、基板と樹脂の接着性の低下を抑制することができる。
以下に本発明の光学素子の実施例について説明する。
【0030】
[実施例1]
図1に示すような、ガラス基板10上に樹脂製凸レンズアレイ20を形成する。
【0031】
ガラス基板10としては、厚み0.7mmで50mm角の石英ガラスの基板を超音波アルカリ洗浄および純水洗浄して用いた。
成形樹脂としてはガラス転移温度230℃のエポキシ樹脂Aを用いた。エポキシ樹脂Aは厚さ約100μmとなるようにガラス基板の片側表面に塗布した。
【0032】
成形型として、曲率半径1.75mm、レンズ直径1.00mm、凹部の深さ73μmをもつ球面弧形状の凹部を縦方向に密接して50個、横方向に密接して50個、合計約2500個有するガラス製成形型(厚み5mm、寸法50mm×50mm)を用いた。この型には離型性を向上させるため、表面にフッ素樹脂をスピンコート法により成膜した。
【0033】
紫外線は基板側から強度120mW/cm、室温で3分間の条件で照射した。離型後の最終加熱条件は150℃、60分であった。
成形後の樹脂層22の最も薄い領域の膜厚は約20μm、球面状凸部頂上からの最大膜厚は91.5μmであった。膜は透明であり、屈折率は1.50であった。膜中にはエポキシ基重合部分[−(CHOCO(CHCOO(CH−]が含まれていた。
硬化させたこの樹脂層を85℃で1000時間保持した後の重量減少度をつぎのような手順で評価したところ、2.5重量%であった。
【0034】
重量減少の評価手順はつぎの通りである(以下の各測定においても同様である)。ガラス基材上にレンズ形成組成物を滴下、展開した後、紫外線照射または加熱により組成物を完全に硬化させ、その重量を室温で測定する。つぎにその組成物のガラス転移温度以下の処理温度(この場合、85℃とした)まで加熱し、一定時間(この場合、1000時間とした)大気中で保持し、その後、室温で再度重量を測定する。加熱処理前後の重量変化を固体組成物重量に対する質量損失比として重量減少度(重量%)を算出した。
【0035】
その後基板温度180℃昇温させた後、蒸着法により被覆膜30としてSiO(膜厚:100nm)を成膜した。蒸着の際、蒸発源を基板に対して斜め方向に置き、基板を回転させることにより、図1に示すように基板側面部分にもSiO膜を付着させることができる。基板側面に付着した部分の被覆膜32は基板と樹脂層の境界部分12を覆い、さらに基板が露出している部分まで及んでいることが望ましい。これによって樹脂層が露出する部分がなくなり、樹脂層からのガス発生を有効に抑えることができる。
【0036】
上記のように被覆膜を樹脂上に形成する前に予め180℃に加熱することで、樹脂中に含まれる、未反応物、分解物、水分、ガスなどを蒸発させ、光学素子形成後の発生を抑制することができる。この予備加熱の温度は、物理吸着水、あるいは、化学吸着水を除去するため少なくとも120℃以上とするのが好ましい。また、予備加熱の温度の上限は、エポキシ樹脂の耐熱温度であるおよそ250℃以下とする。
【0037】
この予備加熱は、常圧下で行ってもよいが、本実施例では真空蒸着を行う前にその真空槽を利用して減圧下で行った。減圧下で行うことにより、より低い加熱温度で熱処理を行うことができ、過熱による樹脂の劣化を防ぐことができる。更に短時間で、樹脂中に含まれる、未反応物、分解物、水分、ガスなどを除去することができる。好ましい減圧の範囲は、1.5〜5Paである。
【0038】
走査電子顕微鏡でのSiO膜の断面観察においても、膜中に10nm以上の粒塊や、柱状構造の無い緻密な膜の形成が確認された。また、このSiO膜にはピンホール、クラック等の異常は認められなかった。
【0039】
この微小凸レンズ(マイクロレンズ)50の焦点距離は、3.297〜3.300mmであった。
この凸レンズアレイ基板内からランダムに選んだ100点の球面凸部について測定したところ、平均高さ71.5μm、標準偏差0.12μmであった。このマイクロレンズ50のHe−Neレーザ(λ=633nm)により測定した球面収差のRSM値は0.05λ、標準偏差0.001λであった。
【0040】
この凸レンズアレイ基板を200℃に加熱し、発生する水分量をGC−MS法で分析したところ、検出感度以下の発生量であった。
この凸レンズアレイ基板の耐熱・耐湿性評価を行った結果、樹脂内部からのガスの発生、あるいは、外部環境から樹脂部への水分の吸着による膜の亀裂や剥離は生じず、すべての凸部の焦点距離は3.297〜3.300mmの範囲にあって試験前と変わらなかった。
【0041】
また膜の反対側から垂直に平行光を入射させて集光スポットの直径を測定したところ、すべての凸部レンズについて集光スポットの直径は3μm以内であり、耐熱・耐湿試験前の値と変わらなかった。
【0042】
さらに、レンズアレイを、中性洗剤を含む水溶液中で、70℃で30分、引き続き純水中で、70℃で30分洗浄したが、樹脂レンズ層の基板表面からの剥離は観察されなかった。
【0043】
[実施例2]
成型材料として、ガラス転移温度170℃のエポキシ樹脂Bを用いて、実施例1と同様に凸レンズアレイ基板を形成したところ、最も薄い領域の膜厚は約50μmであった。この樹脂は、85℃で1000時間保持による重量減少度は1.4重量%であった。また、樹脂レンズ層を形成したあと、基板温度を150℃に加熱して、被覆膜30として反射防止膜、すなわち、TiO(74.8nm)/SiO(64.8nm)/TiO(189.7nm)/SiO(266.5nm)を成膜した。この反射防止膜も実施例1と同様な方法で、基板側面にも付着させた。
【0044】
走査電子顕微鏡で反射防止膜の断面を観察し、膜中に10nm以上の粒塊や柱状構造が無く緻密な膜が形成されていることを確認した。またこの反射防止膜にはピンホール、クラック等の異常は認められなかった。
【0045】
凸レンズ(マイクロレンズ)の焦点距離は、3.297〜3.300mmであった。この凸レンズ基板の凸部の高さは、ランダムに選んだ100点の球面凸部について測定したところ、平均高さ71.5μm、標準偏差0.12μmであった。これから計算される樹脂の硬化による膜の収縮率は約2%であり、このマイクロレンズのHe−Neレーザ(λ=633nm)により測定した平均の球面収差のRMS値は0.05λ、標準偏差0.001λであった。
【0046】
この凸レンズアレイ基板を200℃に加熱し、発生する水分量をGC−MS法で分析したところ、検出感度以下の発生量であった。この凸レンズ基板の耐熱・耐湿性評価を行った結果、膜に亀裂や剥離は生じず、すべての凸部の焦点距離は3.297〜3.300mmの範囲にあって試験前と変わらず、また膜の反対側から垂直に平行光を入射させて集光スポットの直径を測定したところ、すべての凸部レンズについて集光スポットの直径は3μm以内であり、耐熱・耐湿試験前の値と変わらなかった。
【0047】
[実施例3]
成型材料として、ガラス転移温度128℃のアクリル樹脂Cを用いて、実施例1と同様に凸レンズアレイ基板を形成したところ、最も薄い領域の樹脂層の厚みは約50μmであった。この樹脂は、85℃で1000時間保持による重量減少度は0.1重量%であった。
【0048】
この成形樹脂層を減圧下で150℃に加熱したのち、表面に実施例2同様の構成で反射防止膜となる被覆膜34を形成した。ただし、この膜は蒸発源を基板直上に置いて基板表面の成形樹脂層上のみに成膜し、基板側面には形成していない。これによって膜質が変化することはなかった。
【0049】
この反射防止膜表面に、マイクロレンズ部分が露出するように、レンズ周辺部にマスクを施し、蒸着法により金(Au)膜50を成膜した。Au膜は蒸発源を基板に対して斜め方向に置き、図2に示すようにレンズ周辺部と基板側面に成膜した。
【0050】
凸レンズ(マイクロレンズ)の焦点距離は、3.300〜3.303mmであった。この凸レンズ基板の凸部の高さは、ランダムに選んだ100点の球面凸部について測定したところ、平均高さ72.3μm、標準偏差0.13であった。このマイクロレンズのHe−Neレーザ(λ=633nm)により測定した平均の球面収差のRMS値は0.05λ、標準偏差0.001λであった。
【0051】
この凸レンズアレイ基板を200℃に加熱し、発生する水分量をGC−MS法で分析したところ、検出感度以下の発生量であった。
【0052】
この凸レンズ基板の耐熱耐湿性評価を行った結果、膜に亀裂や剥離は生じず、すべての凸部の焦点距離は3.300〜3.303mmの範囲にあって試験前と変わらず、また膜の反対側から垂直に平行光を入射させて集光スポットの直径を測定したところ、すべての凸部レンズについて集光スポットの直径は3μm以内であり、耐湿試験前の値と変わらなかった。
【0053】
また本マイクロレンズを、レンズ周辺部に設けたAu膜を利用してステンレス製レセプタクルに半田により接着した。このレンズレセプタクルのハーメチック封止性をHeリーク試験で評価したところ、検出限界以下のリークであった。
【0054】
[比較例1]
被覆膜を成膜しないほかは、実施例1と同様に凸レンズアレイを作製した。この凸レンズアレイ基板を200℃に加熱し、発生する水分量をGC−MS法で分析したところ、樹脂前重量に対して、1重量%の発生量であった。
【0055】
上記実施例から誘電体膜または金属膜が樹脂レンズ表面および基板と樹脂層の界面を被覆することにより、樹脂層からのガス発生が抑制され、耐熱耐湿試験後も、膜に亀裂や剥離は生じず、光学特性が、耐湿試験前の値と変わらない、実用的に十分な特性が得られることがわかる。もちろん、所定の表面形状によって凸レンズだけでなく、耐候性が十分な透過型回折格子、フレネルレンズなどの光学素子も実現できる。
【0056】
【発明の効果】
本発明によれば、樹脂層が、被覆膜で被覆されるので、樹脂層から外部環境へのガスの発生がなくなり、高温、高真空、ハーメチック封止条件下で用いることができる。また、この被覆膜により樹脂層が保護されるため、外部環境から樹脂層への、水分、ガス、イオンなどの吸着や、樹脂層とガラス基板の界面へのこれらの浸入を防ぎ、樹脂層の剥離、接着性の劣化をふせぐことができる。さらにこの被覆膜は光学素子の機能の一部を兼ね備えるように構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の凸レンズアレイの実施例を示す断面模式図である。
【図2】本発明の凸レンズアレイの他の実施例を示す断面模式図である。
【符号の説明】
10 基板
12 基板と樹脂層の界面
20 凸レンズアレイ
22 樹脂層
30、32、34 被覆膜
50 金属膜

Claims (11)

  1. 基板上に形成した所定の表面形状を有する樹脂層から構成される光学素子において、該樹脂層の前記基板に接する表面以外のすべての表面が被覆膜によって覆われていることを特徴とする光学素子。
  2. 前記被覆膜は、前記基板と樹脂層の界面近傍の露出した基板の一部を覆っていることを特徴とする請求項1に記載の光学素子。
  3. 前記被覆膜は、SiO、TiO、Ta、ZrO、NbおよびMgFよりなる群から選ばれた材料を主成分とする少なくとも1層の誘電体膜である請求項1または2に記載の光学素子。
  4. 前記誘電体膜各1層の厚さが、1〜600nmの範囲である請求項3に記載の光学素子。
  5. 前記誘電体膜中に存在する粒塊または柱状構造物の直径が30nm未満である請求項4に記載の光学素子。
  6. 前記誘電体膜が反射防止膜であることを特徴とする請求項4に記載の光学素子。
  7. 上記被覆膜は金属膜であることを特徴とする請求項1または2に記載の光学素子。
  8. 前記基板はガラス、セラミックス、金属および樹脂から選ばれた少なくとも1種である請求項1または2に記載の光学素子。
  9. 前記樹脂層を形成する樹脂は、ガラス転移温度以下の温度で加熱したときの重量減少量が3重量%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の光学素子。
  10. 前記基板上に形成した樹脂層表面の形状が凸状レンズのアレイであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の光学素子。
  11. 請求項1または2に記載の所定の表面形状を有する樹脂層を基板上に形成したのち、前記被覆膜を樹脂層上に形成する前に、前記樹脂層を120〜250℃で5分以上加熱することを特徴とする光学素子の製造方法。
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