JP2005031163A - イエロートナー - Google Patents

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Abstract

【課題】長期に渡り安定した高画質画像が得られるトナーを開発すること。
【解決手段】少なくとも結着樹脂、着色剤、および離型剤を含有するイエロートナーにおいて、該イエロートナーがC.I.Pigment Yellow 74と、C.I.Pigment Yellow 155とを少なくとも含有することを特徴とするイエロートナー。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法、およびトナージェット法の如き画像形成方法に用いられるイエロートナー、特にオイルレス定着に適したイエロートナーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、複写機やレーザービームプリンターを始めとする電子写真方式の画像形成装置は、省スペース、省エネなどの要求から、小型、軽量、高速、高画質、高信頼性が厳しく追及されてきており、画像形成装置は種々の点でよりシンプルな要素で構成されるようになってきている。その結果、トナーに要求される性能はより高度になり、トナーの性能向上が達成できなければ、よりすぐれた画像形成装置が成り立たなくなってきている。また、近年多様なニーズに伴い、フルカラー画像出力に対する需要も急増しており、更に一層の高画質、高解像度等が望まれている。
【0003】
通常のフルカラー複写機に搭載されるトナーは、色再現性の向上やOHP画像の透明性が重要であり、シャープメルトで低分子量のポリエステル樹脂等を結着樹脂として使用し、定着工程で各色のカラートナーが充分混色するように設計されている。しかし、このようなシャープメルト性を有する樹脂は自己凝集力が弱く、定着ローラー等に溶融したトナーが付着する高温オフセット現象が生じるという問題がある。そこで従来より、高温オフセット現象の防止を目的として定着ローラーへシリコーンオイル等を均一塗布することが行われてきたが、この様な構成で得られた画像は、その表面に余分のシリコーンオイル等が付着しているため、特にOHP画像において、ユーザーが使用する際不快感を生じ好ましくない。
【0004】
市場で使用されている多くの黒トナーには、オフセット防止のために低融点のワックスが含有され、定着ローラーへのシリコーンオイルの塗布を不要としている。近年フルカラー用のトナーにおいても、低融点のワックスをトナーに含有させることが試みられているが、前述したようにフルカラー用のトナーは一般にポリエステル樹脂により構成されているためワックスとの相溶性が悪く、結果としてワックスの分散不良が生じ、トナーの現像性、耐久性、定着性、保存安定性等に種々の問題が生じる。
【0005】
また、近年フルカラー用転写材として、通常の紙やOHP以外に厚紙やカード、葉書等、多様なマテリアルへの適用性が求められており、中間転写体の採用が主流となりつつある。通常中間転写体を用いる系においては、トナーの顕色像を感光体から中間転写体に一旦転写後、さらに中間転写体から転写材上に再度転写することが必要であり、非常に転写効率が高いトナーを用いないと、転写不良が生じて文字やラインの中抜けなどの画像欠陥が生じる場合がある。
【0006】
ところで、トナーはポリエステル等の結着樹脂と顔料や染料などの着色剤を必須成分としており、イエロートナーとしては、様々な顔料、染料をイエロー着色剤として含有しているものが知られている。C.I.Pigment Yellow 74等を含む特定の構造のモノアゾ顔料を含有する、耐光性と初期の画像濃度、初期のカブリが改良されたイエロートナーは公知である(例えば、特許文献1参照)。また、C.I.Pigment Yellow 155を含有する、透明性に優れ、キャリアとの振とう時間を変えても帯電量変化の少ないトナーは公知である(例えば、特許文献2参照)。しかし、これらのトナーはワックスを含有しないため低温での定着が困難で、高温オフセットの防止のために定着ローラーへのシリコーンオイルの塗布も必要なトナーである。また、本発明者らが確認したところ、これらのトナーは着色力、色味、混色性、そして透明性といった項目の全てについて満足しているとは言い難く、さらなる改良が望まれていた。
【0007】
【特許文献1】
特開平2−136865号公報
【特許文献2】
特開平11−202558号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、高精彩性を満足した画像を安定的に形成できるイエロートナーを提供することを課題とする。より具体的には、高い着色力、鮮明な色味と良好な混色性、そして優れた透明性を兼ね備えたイエロートナーを提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意検討の結果、着色剤として特定のイエロー顔料二種類を併用することにより、上記課題を解決することができることを見出した。また同時に、着色剤として特定のイエロー顔料二種類を併用することにより、従来より知られているイエロートナーに比較して、優れた現像性、耐久性および環境安定性を有し、定着性、転写効率、階調性に優れることを見出した。
【0010】
すなわち本発明は、少なくとも結着樹脂、着色剤、およびワックスを含有するイエロートナーにおいて、該イエロートナーがC.I.Pigment Yellow 74と、C.I.Pigment Yellow 155とを少なくとも含有することを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0012】
本発明のイエロートナーは、少なくともC.I.Pigment Yellow 74と、C.I.Pigment Yellow 155とを含有する。
【0013】
従来より、C.I.Pigment Yellow 74を含有するイエロートナーやC.I.Pigment Yellow 155を含有するイエロートナーについてはそれぞれ知られているが、本発明のトナーにおいては両者を同時にトナーに含有させることが必須であり、このことにより高い着色力、鮮明な色味と良好な混色性、そして優れた透明性を兼ね備えたイエロートナーを得ることができる。
【0014】
C.I.Pigment Yellow 74とC.I.Pigment Yellow 155とをトナーに含有させると、C.I.Pigment Yellow 74を単独でトナーに含有させた場合と比較して、透明性が高く、より鮮明なイエロー色の画像を得ることができる。一方、C.I.PigmentYellow 155を単独でトナーに含有させた場合と比較すると、着色力が高く画像濃度が良好で、より鮮明なイエロー色の画像を得ることができ、混色性も良好なため色再現性の良いフルカラー画像を得ることができる。
【0015】
本発明のトナーにおいては、トナーに含有される結着樹脂100質量部あたり、C.I.Pigment Yellow 74の含有量をX質量部、C.I.Pigment Yellow 155の含有量をY質量部としたときに、Xが1〜10の範囲であり、Yが1〜10の範囲であり、XとYの和が2〜15の範囲であり、XとYとの比率が30:70〜95:5の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは、Xが2〜7の範囲であり、Yが1〜4の範囲であり、XとYの和が3〜10の範囲であり、XとYとの比率が50:50〜80:20の範囲である。Xが1未満、Yが1未満、またはXとYの和が2未満であると、着色力が不足するために充分な画像濃度が得られない場合があり、逆にXが10以上、Yが10以上、またはX+Yが15以上であると、画像濃度は充分であっても鮮明な色味と透明性に優れた画像が得られにくく、中間色の再現性に問題が生じる場合がある。また、XとYとの比率が30:70〜95:5の範囲をはずれると、画像濃度と透明性のバランスがとれた画像を得ることが困難となったり、色味にくすみが出たり、他色のトナーとの混色性が低下して色再現性が悪化することがある。
【0016】
C.I.Pigment Yellow 74とC.I.Pigment Yellow 155とを混合して使用した際に、高い着色力、鮮明な色味と良好な混色性、そして優れた透明性を兼ね備えたイエロートナーが得られる。C.I.Pigment Yellow 74やC.I.Pigment Yellow 155は本来トナー中に均一に微分散することが容易ではない。それは、混練時の加熱により容易に顔料の結晶成長が起こって、顔料粒子径が肥大化したり、凝集塊を形成しやすいことに起因している。本発明のトナーは、トナー材料中でC.I.Pigment Yellow 74とC.I.Pigment Yellow 155とが共存しているため、混練時に加熱してもこれらの顔料同士が互いの結晶成長を阻害し、顔料粒子の分散が高度に維持される。その結果、高い着色力、鮮明な色味と良好な混色性、そして優れた透明性を兼ね備えたイエロートナーを得ることができる。
【0017】
また、本発明のイエロートナーは、前述した顔料同士の相互作用の他に、顔料と結着樹脂との相互作用、顔料とワックスとの相互作用、およびワックスと結着樹脂との相互作用により、トナー中での顔料やワックスの分散が最適な状態となり、前述した種々の優れた効果の他に、以下のような効果が発現される。すなわち、トナー中での顔料やワックスの分散が最適な状態となることから、従来より知られているイエロートナーに比較して、トナーの帯電性が安定化することにより優れた現像性が発現し、帯電の不均一化によって生じやすい画像背景部へのカブリが非常に少なく、低温低湿環境下で多数枚の画像出力を行っても画像濃度が安定となる。また、転写効率も高くなって文字やラインの中抜けなどの画像不良が生じにくくなる。さらに、環境変動に対しても安定性が向上し、例えば低温低湿環境下や高温高湿環境下においても優れた階調性が発現される。加えて、定着性、特に耐高温オフセット性についても改善が見られるようになる。
【0018】
本発明のトナーは、C.I.Pigment Yellow 74やC.I.Pigment Yellow 155以外のイエロー着色剤を含有することができる。使用できるイエロー着色剤としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物に代表される化合物など、様々なものが挙げられる。具体的には、C.I.Pigment Yellow 12、C.I.Pigment Yellow 13、C.I.Pigment Yellow 14、C.I.Pigment Yellow 15、C.I.Pigment Yellow 17、C.I.Pigment Yellow 62、C.I.Pigment Yellow 83、C.I.Pigment Yellow 93、C.I.Pigment Yellow 94、C.I.Pigment Yellow 95、C.I.Pigment Yellow 97、C.I.Pigment Yellow 109、C.I.Pigment Yellow 110、C.I.Pigment Yellow 111、C.I.Pigment Yellow 120、C.I.Pigment Yellow 127、C.I.Pigment Yellow 128、C.I.Pigment Yellow 129、C.I.Pigment Yellow 147、C.I.Pigment Yellow 151、C.I.Pigment Yellow 154、C.I.Pigment Yellow 168、C.I.Pigment Yellow 174、C.I.Pigment Yellow 175、C.I.Pigment Yellow 176、C.I.Pigment Yellow 180、C.I.Pigment Yellow 181、C.I.Pigment Yellow 191、C.I.Pigment Yellow194、C.I.バットイエロー1,3,20、ミネラルファストイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、パーマネントイエローNCG、C.I.Solvent Yellow 9、C.I.Solvent Yellow 17、C.I.Solvent Yellow 24、C.I.Solvent Yellow 31、C.I.Solvent Yellow 35、C.I.Solvent Yellow 58、C.I.Solvent Yellow 93、C.I.Solvent Yellow 100、C.I.Solvent Yellow 102、C.I.Solvent Yellow 103、C.I.Solvent Yellow 105、C.I.Solvent Yellow 112、C.I.Solvent Yellow 162、C.I.Solvent Yellow 163等を好適に用いることができる。
【0019】
本発明のイエロートナーは結着樹脂を少なくとも含有する。
【0020】
本発明のトナーに含有される結着樹脂は、従来よりトナーに用いられる一般的なものが用いられ特に限定されないが、ポリエステルユニットとビニル系共重合体ユニットとを有するハイブリッド樹脂、またはポリエステル樹脂、またはビニル系共重合体とこれらの樹脂との混合物のいずれかであることがより好ましく、結着樹脂全体の50質量%以上がポリエステルユニットを有する樹脂であるとさらに好ましい。結着樹脂全体の50質量%以上をポリエステルユニットを有する樹脂とすることにより、高い着色力、鮮明な色味と良好な混色性、そして優れた透明性がより顕著に発現でき、さらに、良好な顔料分散性、ワックス分散性、低温定着性、さらに耐高温オフセット性の向上が期待できる。
【0021】
尚、本発明において「ポリエステルユニット」とはポリエステルに由来する部分を示し、「ビニル系共重合体ユニット」とはビニル系共重合体に由来する部分を示す。ポリエステルユニットを構成するポリエステル系モノマーは、多価カルボン酸成分と多価アルコール成分であり、ビニル系共重合体ユニットを構成するモノマーは、ビニル基を有するモノマー成分である。
【0022】
本発明において「ハイブリッド樹脂」とは、ビニル系共重合体ユニットとポリエステルユニットが化学的に結合された樹脂を意味する。具体的には、例えば(メタ)アクリル酸エステルなどのカルボン酸エステル基を有するモノマーを重合したビニル系共重合体ユニットとポリエステルユニットとがエステル交換反応によって形成されるものであり、好ましくはビニル系共重合体を幹重合体、ポリエステルユニットを枝重合体としたグラフト共重合体(あるいはブロック共重合体)を形成するものである。
【0023】
本発明のトナーに含有される結着樹脂として、ポリエステル樹脂やポリエステルユニットを有するハイブリッド樹脂を用いる場合、ポリエステル樹脂やハイブリッド樹脂のポリエステルユニットを生成するためのポリエステル系モノマーとして、多価のアルコールとカルボン酸、カルボン酸無水物、またはカルボン酸エステル等が原料モノマーとして使用できる。具体的には、例えば2価アルコール成分としては、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.0)−ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物や、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。
【0024】
3価以上のアルコール成分としては、例えばソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等が挙げられる。
【0025】
2価カルボン酸成分としては、例えばフタル酸、イソフタル酸およびテレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸類またはその無水物;コハク酸、ドデセニルコハク酸、アジピン酸、セバシン酸およびアゼライン酸などのアルキルジカルボン酸類またはその無水物;炭素数6〜12のアルキル基で置換されたコハク酸もしくはその無水物;フマル酸、マレイン酸およびシトラコン酸などの不飽和ジカルボン酸類またはその無水物;が挙げられる。
【0026】
また、3価以上のカルボン酸成分としては、例えば、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、
2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸および、これらの無水物やエステル化合物が挙げられる。3価以上の多価カルボン酸成分の使用量は、全モノマー基準で0.1〜1.9mol%が好ましい。
【0027】
なお、上記の中でも、特に、下記一般式(1)で代表されるビスフェノール誘導体をジオール成分とし、2価以上のカルボン酸またはその酸無水物、またはその低級アルキルエステルとからなるカルボン酸成分(例えば、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等)を酸成分として、これらを縮重合したポリエステル樹脂が特に好ましい。この組成としたポリエステル樹脂は、良好な帯電特性を有する。
【0028】
【式1】
Figure 2005031163
【0029】
本発明のトナーに含有される結着樹脂として、ビニル系共重合体やビニル系共重合体ユニットを有するハイブリッド樹脂を用いる場合、ビニル系共重合体やハイブリッド樹脂のビニル系共重合体ユニットを生成するためのビニル系モノマーとして、次のようなものを用いることができる。スチレン;o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、m−ニトロスチレン、o−ニトロスチレン、p−ニトロスチレンなどのスチレンおよびその誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンなどのスチレン不飽和モノオレフィン類;ブタジエン、イソプレンなどの不飽和ポリエン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニルなどのハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルなどのビニルエステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルなどのα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニルなどのアクリル酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルなどのビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンなどのビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンなどのN−ビニル化合物;ビニルナフタリン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドなどのアクリル酸もしくはメタクリル酸誘導体等が挙げられる。
【0030】
さらに、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸などの不飽和二塩基酸;マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物などの不飽和二塩基酸無水物;マレイン酸メチルハーフエステル、マレイン酸エチルハーフエステル、マレイン酸ブチルハーフエステル、シトラコン酸メチルハーフエステル、シトラコン酸エチルハーフエステル、シトラコン酸ブチルハーフエステル、イタコン酸メチルハーフエステル、アルケニルコハク酸メチルハーフエステル、フマル酸メチルハーフエステル、メサコン酸メチルハーフエステルなどの不飽和二塩基酸のハーフエステル;ジメチルマレイン酸、ジメチルフマル酸などの不飽和二塩基酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイヒ酸などのα,β−不飽和酸;クロトン酸無水物、ケイヒ酸無水物などのα,β−不飽和酸無水物、該α,β−不飽和酸と低級脂肪酸との無水物;アルケニルマロン酸、アルケニルグルタル酸、アルケニルアジピン酸、これらの酸無水物およびこれらのモノエステルなどのカルボキシル基を有するモノマーが挙げられる。さらに、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートなどのアクリル酸またはメタクリル酸エステル類;4−(1−ヒドロキシ−1−メチルブチル)スチレン、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルヘキシル)スチレンの如きヒドロキシ基を有するモノマーが挙げられる。
【0031】
本発明のトナーに含有させる結着樹脂として、ビニル系共重合体やビニル系共重合体ユニットを有するハイブリッド樹脂を用いる場合には、これらの樹脂はビニル基を2個以上有する架橋剤で架橋されたものであってもよい。この場合に用いられる架橋剤としては、以下のものが挙げられる。芳香族ジビニル化合物として例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンが挙げられ;アルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として例えば、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレートおよび以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられ;エーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類としては、例えば、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレートおよび以上の化合物のアクリレートをメタアクリレートに代えたものが挙げられ;芳香族基およびエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として例えば、ポリオキシエチレン(2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、ポリオキシエチレン(4)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレートおよび以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられる。その他、多官能の架橋剤としては、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレートおよび以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの;トリアリルシアヌレート、トリアリルトリメリテートが挙げられる。
【0032】
ビニル系共重合体ユニットやポリエステルユニットを含有する結着樹脂を本発明のトナーに含有させる場合、そのビニル系共重合体ユニットやポリエステルユニット中には、両樹脂成分と互いに反応し得るモノマー成分を含むことが好ましい。ポリエステルユニットを構成するモノマーのうちビニル系共重合体ユニットと反応し得るものとしては、例えば、フタル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸の如き不飽和ジカルボン酸またはその無水物などが挙げられる。ビニル系共重合体ユニットを構成するモノマーのうちポリエステルユニットと反応し得るものとしては、カルボキシル基またはヒドロキシ基を有するものや、アクリル酸もしくはメタクリル酸エステル類が挙げられる。
【0033】
ビニル系共重合体ユニットとポリエステルユニットとの反応生成物を得る方法としては、先にあげたビニル系共重合体ユニットおよびポリエステルユニットのそれぞれと反応し得るモノマー成分を含むポリマーが存在しているところで、どちらか一方もしくは両方の樹脂の重合反応をさせることにより得る方法が好ましい。
【0034】
ビニル系共重合体やビニル系共重合体ユニットを有するハイブリッド樹脂を製造する場合に用いられるラジカル重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(−2メチルブチロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2−(カーバモイルアゾ)−イソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチル−プロパン)、メチルエチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイドの如きケトンパーオキサイド類、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−クミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、イソブチルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、m−トリオイルパーオキサイド、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシカーボネート、ジ−メトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシカーボネート、アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエイト、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエイト、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシベンゾエイト、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、t−ブチルパーオキシアリルカーボネート、t−アミルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート,ジ−t−ブチルパーオキシアゼレートがあげられる。
【0035】
本発明のトナーに含有させることができるハイブリッド樹脂の製造方法としては、例えば、以下の(1)〜(6)に示す製造方法を挙げることができる。
【0036】
(1)ビニル系共重合体、ポリエステル樹脂およびハイブリッド樹脂成分をそれぞれ製造後にブレンドする方法であり、ブレンドは有機溶剤(例えば、キシレン)に溶解・膨潤した後に有機溶剤を留去して製造される。尚、ハイブリッド樹脂成分は、ビニル系共重合体とポリエステル樹脂を別々に製造後、少量の有機溶剤に溶解・膨潤させ、エステル化触媒およびアルコールを添加し、加熱することによりエステル交換反応を行なって合成されるエステル化合物を用いることができる。
【0037】
(2)ビニル系共重合体ユニット製造後に、これの存在下にポリエステルユニットおよびハイブリッド樹脂成分を製造する方法である。ハイブリッド樹脂成分はビニル系共重合体ユニット(必要に応じてビニル系モノマーも添加できる)とポリエステルモノマー(アルコール、カルボン酸)および/またはポリエステルとの反応により製造される。この場合も適宜、有機溶剤を使用することができる。
【0038】
(3)ポリエステルユニット製造後に、これの存在下にビニル系共重合体ユニットおよびハイブリッド樹脂成分を製造する方法である。ハイブリッド樹脂成分はポリエステルユニット(必要に応じてポリエステルモノマーも添加できる)とビニル系モノマーおよび/またはビニル系共重合体ユニットとの反応により製造される。
【0039】
(4)ビニル系共重合体ユニットおよびポリエステルユニット製造後に、これらの重合体ユニット存在下にビニル系モノマーおよび/またはポリエステルモノマー(アルコール、カルボン酸)を添加することによりハイブリッド樹脂成分が製造される。この場合も適宜、有機溶剤を使用することができる。
【0040】
(5)ハイブリッド樹脂成分を製造後、ビニル系モノマーおよび/またはポリエステルモノマー(アルコール、カルボン酸)を添加して付加重合および/または縮重合反応を行うことによりビニル系共重合体ユニットおよびポリエステルユニットが製造される。この場合、ハイブリッド樹脂成分は上記(2)乃至(4)の製造方法により製造されるものを使用することもでき、必要に応じて公知の製造方法により製造されたものを使用することもできる。さらに、適宜、有機溶剤を使用することができる。
【0041】
(6)ビニル系モノマーおよびポリエステルモノマー(アルコール、カルボン酸等)を混合して付加重合および縮重合反応を連続して行うことによりビニル系共重合体ユニット、ポリエステルユニットおよびハイブリッド樹脂成分が製造される。さらに、適宜、有機溶剤を使用することができる。
【0042】
上記(1)〜(5)の製造方法において、ビニル系共重合体ユニットおよび/またはポリエステルユニットは複数の異なる分子量、架橋度を有する重合体ユニットを使用することができる。
【0043】
本発明のトナーに含有される結着樹脂は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される分子量分布において、ピーク分子量(Mp)が2000〜20000であり、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が5以上であることが好ましい。該結着樹脂のピーク分子量(Mp)が2000未満の場合、トナーの保存安定性に問題が生じたり、耐高温オフセット性が不充分になるとともに、感光体への融着およびフィルミング等が発生しやすくなるという問題がある。一方、ピーク分子量(Mp)が20000を越える場合、低温定着性が不充分となるとともに、画像のグロスが低くなりすぎたり、混色性に問題が生じる場合がある。また、Mw/Mnが5.0未満である場合には耐高温オフセット性に問題が生じる場合がある。
【0044】
本発明のイエロートナーはワックスを少なくとも含有する。
【0045】
本発明のトナーに含有させることができるワックスとしては、例えば次のものが挙げられる。低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、低分子量オレフィン共重合体ワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス、パラフィンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックス、また酸化ポリエチレンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物、またはそれらのブロック共重合物;カルナバワックス、モンタン酸エステルワックスなどの脂肪酸エステルを主成分とするワックス類、ベヘン酸ベヘニルやステアリン酸ベヘニルなどの高級脂肪酸と高級アルコールとの合成反応物であるエステルワックス、および脱酸カルナバワックスなどの脂肪酸エステル類を一部または全部を脱酸化したものなどが挙げられる。
【0046】
さらに、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸などの飽和直鎖脂肪酸類;ブランジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸などの不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールなどの飽和アルコール類;ソルビトールなどの多価アルコール類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドなどの脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドなどの飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’ジオレイルセバシン酸アミドなどの不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’ジステアリルイソフタル酸アミドなどの芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪族金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸などのビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドなどの脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加などによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物などが挙げられる。本発明において、特に好ましく用いられるワックスとしては、脂肪族炭化水素系ワックス類が挙げられ、これらを用いるとトナー中での顔料(C.I.Pigment Yellow 74およびC.I.Pigment Yellow 155)やワックスの分散状態を最適とすることができ、高い着色力、鮮明な色味と混色性、および優れた透明性が発現されるだけでなく、現像性、転写性、耐久性、定着性等の各種特性のバランスの優れたトナーが得られやすい。
【0047】
また、高い着色力、鮮明な色味と混色性、および優れた透明性が発現されるとともに、優れた低温定着性を達成するために、前記ワックスの示差熱分析(DSC)測定における吸熱曲線において、最大吸熱ピークのピーク温度が65〜105℃の範囲にあることが好ましく、70〜90℃の範囲にあることがより好ましい。65℃未満であるとトナーの保存安定性が劣る場合があり、105℃を超えると省エネの観点から望まれる低温定着を行うことが困難となる場合がある。
【0048】
ワックスは結着樹脂100質量部あたり0.5〜20質量部、好ましくは1〜10質量部、特に好ましくは2〜5質量部使用するのが良い。0.5質量部よりも少ないと低温定着性に効果が無く、20質量部を超えるとトナーの保存安定性や現像性に問題が出る場合がある。
【0049】
ワックスは通常、結着樹脂を溶剤に溶解し樹脂溶液温度を上げ、撹拌しながら添加混合する方法や、混練時に混合する方法で結着樹脂に含有させる。
【0050】
本発明のイエロートナーは、示差熱分析(DSC)測定における吸熱曲線において、温度30〜200℃の範囲に1個または複数の吸熱ピークを有し、該吸熱ピーク中の最大吸熱ピークのピーク温度が65〜105℃の範囲にあることが好ましく、特に好ましくは70〜90℃の範囲である。最大吸熱ピークのピーク温度がこの範囲にあれば、優れた低温定着性と現像性とのバランスが良好となる。最大吸熱ピークのピーク温度が65℃未満であるとトナーの保存安定性が劣る場合があり、105℃を超えると省エネの観点から望まれる低温定着を行うことが困難となる場合がある。尚、最大吸熱ピークのピーク温度を65〜105℃とするには、前述した最大吸熱ピークのピーク温度が65〜105℃のワックスをトナーに含有させることにより達成可能である。
【0051】
また、本発明のイエロートナーには、さらに有機金属化合物を含有させてもよい。有機金属化合物を含有させると、帯電レベルを調整でき、帯電の立ち上がりを良くし、トナーの熱溶融特性を改良することが出来るなどの点で、より好ましい。本発明のトナーに含有させる有機金属化合物としては、芳香族オキシカルボン酸および芳香族アルコキシカルボン酸から選択される芳香族カルボン酸誘導体、該芳香族カルボン酸誘導体の金属化合物であることが好ましく、その金属としては、2価以上の金属原子が好ましい。芳香族カルボン酸の金属化合物は、例えば、芳香族カルボン酸を水酸化ナトリウム水溶液に溶解させ、2価以上の金属原子を溶融している水溶液を水酸化ナトリウム水溶液に滴下し、加熱撹拌し、次に水溶液のpHを調整し、室温まで冷却した後、ろ過水洗することにより芳香族カルボン酸の金属化合物を合成し得る。ただし、上記の合成方法だけに限定されるものではない。2価の金属としてMg2+、Ca2+、Sr2+、Pb2+、Fe2+、Co2+、Ni2+、Zn2+、Cu2+が挙げられる。これらのうち、Zn2+、Ca2+、Mg2+、Sr2+が好ましい。3価以上の金属としてはAl3+、Cr3+、Fe3+、Ni3+が挙げられる。これら3価以上の金属の中で好ましいのはAl3+、Cr3+であり、特に好ましいのはAl3+である。
【0052】
本発明のトナーに有機金属化合物を含有させる場合、その有機金属化合物は結着樹脂100質量部あたり0.1〜5質量部含有させることが好ましく、この含有量とするとトナーの帯電レベルを適度に調整できるため現像時に必要な絶対帯電量が得られやすくなり、トナーの熱溶融特性も改良することができる。
【0053】
本発明のトナーには、流動性向上剤が外部添加(以下、外添という)されていることが好ましい。ここで、流動性向上剤とは、トナー粒子に外添することにより、流動性が増加し得る機能を有するものであり、画質向上の観点から添加される。例えば、フッ化ビニリデン微粉末、ポリテトラフルオロエチレン微粉末などのフッ素系樹脂粉末;湿式製法によるシリカ微粉末、乾式製法によるシリカ微粉末などのシリカ微粉末、それらシリカ微粉末をシラン化合物、チタンカップリング剤、シリコーンオイルなどの処理剤により表面処理を施した処理シリカ微粉末;酸化チタン微粉末;アルミナ微粉末、処理酸化チタン微粉末、処理酸化アルミナ微粉末が用いられる。このような流動性向上剤は、BET法で測定した窒素吸着による比表面積が30m/g以上、好ましくは50m/g以上のものが良好な結果を与える。
【0054】
流動性向上剤は、トナー粒子100質量部に対して0.01〜5質量部、好ましくは0.05〜3質量部使用するのが良い。
【0055】
本発明のイエロートナーは、少なくとも結着樹脂、C.I.Pigment Yellow 74およびC.I.Pigment Yellow 155を必須成分とする着色剤、およびワックスを含有するトナー粒子と、必要に応じてトナー粒子に外添される流動性向上剤等の外添剤とから構成される。本発明におけるトナー粒子は、以下で述べる方法により得ることができる。すなわち、少なくとも結着樹脂、C.I.Pigment Yellow 74およびC.I.Pigment Yellow 155を必須成分とする着色剤、ワックス、および必要に応じて有機金属化合物などの他の任意成分をヘンシェルミキサー、ボールミルなどの混合機により充分混合し、ニーダー、エクストルーダーの如き熱混練機を用いて溶融、捏和および練肉し、溶融混練物を冷却固化後に固化物を粉砕し、粉砕物を分級することにより、所定の平均粒径のトナー粒子を得ることができる。また、C.I.Pigment Yellow 74やC.I.Pigment Yellow 155をペースト顔料として使用し、これを従来公知のフラッシング法によりマスターバッチ化してもよい。
【0056】
本発明のイエロートナーは、重量平均粒径が4〜9μmであることが好ましい。このようにトナーの重量平均粒径を小粒径化することにより画像の輪郭部分、特に文字画像やラインパターンの現像での再現性が良好なものとなる。重量平均粒径が4μm未満であると、例えば感光ドラムの表面への付着力が高くなり、転写不良に基づく画像の不均一ムラの原因となりやすい。また、トナーの単位質量あたりの帯電量が高くなり、例えば低温低湿環境下において画像濃度が低下してしまう場合がある。さらに、流動性の低下や部材への付着性の増加により、例えばキャリアとの摩擦帯電がスムーズに行われにくく、充分に帯電し得ないトナーが増大し、非画像部のカブリが目立つ様になる。また、重量平均粒径が9μmを超えると、高画質化に寄与し得る微粒子が少ないことを意味し、高い画像濃度が得られ易く、トナーの流動性に優れるというメリットがあるものの、感光ドラム上の微細な静電荷像上に忠実に付着しづらく、ハイライト部の再現性が低下し、さらに解像性も低下する場合がある。また、感光体ドラム表面等の部材への融着が起きやすい。
【0057】
さらに、4μm以下の粒径を有するトナーが3〜40個数%含有され、10μm以上の粒径を有するトナーが15体積%以下含有されていると、現像性、転写性のバランスの取れたトナーが得られやすく、特に好ましい。
【0058】
本発明のイエロートナーは、円相当径が3μm以上の粒子において、平均円形度が0.910〜0.995の範囲にあることが好ましく、さらに好ましくは0.915〜0.965であり、特に好ましくは0.920〜0.950である。トナーの平均円形度を上記範囲とすることにより、トナーの流動性、転写性、帯電性を好適なものとすることが出来る。平均円形度が0.910より小さいと転写性、特に転写効率に劣り、逆に、平均円形度が0.995より大きいと形状が球形となりすぎるため、感光ドラムのクリーニングの際に転写残トナーがクリーニングブレードをすり抜けるなど、クリーニング不良による画像欠陥が出る場合がある。
【0059】
しかしながら、トナー中にワックスを含有させたトナーにおいては、トナーの粒径や円形度を制御するのみでは転写性や帯電性等の性能特性が不充分となる場合がある。このようなワックスを含有するトナーにおいて優れた性能特性を発現させるには、さらにトナー表面におけるワックスの量を制御することが重要であることを本発明者等は見出した。さらに、45体積%のメタノール水溶液におけるトナーの透過率が、トナー表面近傍のワックスの量を把握するための簡易かつ精度の高い方法であること、およびこの透過率を特定の値とすることにより上記ワックスを含有するトナーにおいても優れた性能特性を発現できることを、本発明者等は見出した。
【0060】
本発明のイエロートナーは、45体積%のメタノール水溶液におけるトナーの透過率が5〜70%であることが好ましく、さらに好ましくは10〜50%である。
【0061】
この45体積%のメタノール水溶液におけるトナーの透過率は、トナーを水とメタノールの混合溶媒中で強制分散させ、さらに一定時間後の透過率を測定することにより得られる値であり、トナー表面近傍のワックスの存在量を再現性良く、かつ正確に把握できるものである。このような透過率の測定方法によれば、疎水性であるワックスがトナー表面に多く存在すると、溶媒に分散しにくく凝集し沈殿するため、上記透過率が70%のような高い値になる。逆にトナー表面のワックスが少ないと、親水性である結着樹脂のポリエステルユニットが多く存在するため、トナーが混合溶媒中に均一分散し、上記透過率が10%のような小さな値になる。
【0062】
45体積%のメタノール水溶液におけるトナーの透過率が70%より大きいと、トナー表面のワックスが過度に多く、例えばワックスが現像スリーブ表面に融着して現像スリーブが高抵抗化することで、現像にかかる実際の現像バイアスの効力が下がり、ひいては画像濃度の低下が生じる場合がある。一方、上記透過率が5%より少さいと、表面に露出しているワックスが少なすぎることから、定着時にワックスの効果が現れにくく、省エネルギーの低温定着を行うことが困難な場合がある。
【0063】
本発明のイエロートナーは、トナーの粒度分布、平均円形度、および前記透過率を上記のように調製することによって、帯電分布がさらにシャープなものとなり、それにより現像効率が向上するばかりでなく、カブリが激減するといった効果も得られる。さらなる効果として、感光体上に形成された潜像を忠実に再現することが可能であり、網点およびデジタルの様な微小なドット潜像の再現性にも優れ、特にハイライト部の階調性および解像性に優れたトナー画像を本発明のイエロートナーは与えることができる。さらに画像出力を続けた場合でも高画質を保持し、かつ、高濃度の画像の場合でも少ないトナー消費量で良好な現像を行うことが可能であり、長期に渡り鮮明な色味で色再現性が良好なフルカラー画像が得られる。
【0064】
本発明のイエロートナーは、中間転写体を設けた画像形成装置への適用も可能である。中間転写体を設けた画像形成装置は多種多様の転写材に対応可能であるため、近年急速に普及しつつある。中間転写体を設けた画像形成装置の場合、転写工程が実質2回行われるため、転写効率の低下はトナーの利用効率の低下を招き問題となる。しかし、本発明のトナーの粒度分布、平均円形度、および前記透過率を上記のように調製することによって、高い転写性が達成され、中間転写体を設けた画像形成装置にも好適に使用できる。このような高転写性を有する本発明のイエロートナーを用いれば、中間転写体を用いた系で起こりやすい転写抜けなどの転写不良がほとんど生じないため、2次色、3次色の色再現性や色味が極めて良好となり、多種多様の転写材を用いた場合でも、美しいフルカラー画像を得ることができる。
【0065】
本発明のトナーの平均円形度を調整する手段としては特に限定されないが、例えば、機械的衝撃法により粉砕トナー粒子を球形化する方法、ディスク又は多流体ノズルを用い溶融混合物を空気中に霧化し球状トナー粒子を得る方法、溶剤に溶解したトナー組成物を水中で懸濁し、その後溶剤を留去することにより球形化トナー粒子を得る方法、乳化重合により得られたエマルションに着色剤などの他の材料を添加し、エマルションを凝集、会合させ、球形トナー粒子を得る方法、懸濁重合法により直接球形のトナー粒子を得る方法など様々な方法が採用できる。
【0066】
上記のうち機械的衝撃法によりトナー粒子を得た場合には、トナー粒子表面のワックス量の調整が簡便であり、より好ましい。トナー粒子表面のワックス量の調整(すなわち45体積%のメタノール水溶液におけるトナーの透過率の調整)は原材料の物性、特に樹脂の粘弾性を制御したり、製造条件、特に溶融混練条件や重合条件を制御することによって行うことができるが所望の物性が得られれば特に限定されない。
【0067】
しかし、従来用いられていた多くの製造手段においては、これらの物性を同時に満足することは困難である。例えば、エアージェット式を用いた場合は45体積%のメタノール水溶液におけるトナーの透過率を5〜70%と所望の値とすることができるものの、平均円形度が所望の値には至らず0.910未満と不充分なものになってしまう。そこで球形化する手段として、例えば奈良機械製作所製のハイブリタイザーなどを行うこともできるが、トナー粒子に過度の熱履歴がかかるためトナー表面にワックスが遊離し、前記透過率が70%を超えるものとなってしまう。また粉砕と球形化を同時に行うものとして、川崎重工業社製のクリプトロンシステム、日清エンジニアリング社製のスーパーローター等があるが、これらも同様に過度の熱履歴がトナー粒子にかかるため、前記透過率が70%を超えてしまう。
【0068】
ここで従来のトナーの物性において、平均円形度が0.910未満の場合は前記透過率が5〜70%の範囲にあるものも存在するが、円形度が小さく転写性などに関して不充分であり、逆に平均円形度が0.910〜0.995となるようにトナーに球形化処理をすると、ワックスが表面に出やすくなり、前記透過率が70%を超えてしまい現像特性などに弊害を生じていた。
【0069】
そこで、本発明のトナーの平均円形度を0.910〜0.995とする有効なものとしては、図1および図2に記載の装置を用いることが好ましく、この装置を用いれば同時に前記透過率を5〜70%の範囲とすることが可能である。
【0070】
図1は本発明のトナーの製造に好ましく用いられる表面改質装置の構成の一例を示す模式的断面図であり、図2は図1の分散ローターの構成を示す模式的平面図である。これは、発生する微粉を系外に排出しながら、機械的衝撃力を与えることにより、所望の形状、性能を得るものである。通常、機械的に球形化処理する場合には、粉砕時に生じるかなり小さな微粉が再度凝集することで形状を凹凸にするため、発生する微粉を系外に排出しながら行わなければならず、所望の球形度にするには必要以上に機械的衝撃力が必要となる。その結果、余分な熱量を与えトナー表面のワックス量が多くなってしまう弊害が生じる。またごく小さな微粉はキャリアへのスペントを悪化させる大きな原因となる。これに対し、図1および図2の装置においては、機械的衝撃力を加えている同一気流を止めることなく分級するため、再凝集させることなく効率良く系外に排出することができる。
【0071】
さらに詳しく説明すると、図1に示す表面改質装置は、ケーシング、冷却水或いは不凍液を通水できるジャケット(図示しない)、ケーシング内において中心回転軸に取り付けられた、上面に角型のディスク或いは円筒型のピン40を複数個有し、高速で回転する円盤状の回転体である表面改質手段としての分散ローター36、分散ローター36の外周に一定間隔を保持して配置された、表面に多数の溝が設けられているライナー34(尚、ライナー表面上の溝はなくても構わない)、表面改質された原料を所定粒径に分級するための手段である分級ローター31、冷風を導入するための冷風導入口35、被処理原料を導入するための原料供給口33、表面改質時間を自在に調整可能となるように、開閉可能なように設置された排出弁38、処理後の粉体を排出するための粉体排出口37、分級ローター31と分散ローター36−ライナー34との間の空間を、分級ローター31へ導入される前の第一の空間41と、分級ローター31により微粉を分級除去された粒子を表面処理手段へ導入するための第二の空間42に仕切る案内手段である円筒形のガイドリング39、から構成されている。分散ローター36とライナー34との間隙部分が表面改質ゾーンであり、分級ローター31およびその周辺部分が分級ゾーンである。
【0072】
以上のように構成してなる表面改質装置では、排出弁38を閉じた状態で原料供給口33から微粉砕品を投入すると、投入された微粉砕品は、まずブロワー(図示しない)により吸引され、分級ローター31で分級される。その際、分級された所定粒径以下の微粉は装置外へ連続的に排出除去され、所定粒径以上の粗粉は遠心力によりガイドリング39の内周(第二の空間42)に沿いながら分散ローター36により発生する循環流にのり表面改質ゾーンへ導かれる。
【0073】
表面改質ゾーンに導かれた原料は分散ローター36とライナー34間で機械式衝撃力を受け、表面改質処理される。表面改質された表面改質粒子は、機内を通過する冷風にのって、ガイドリング39の外周(第一の空間41)に沿いながら分級ゾーンに導かれる。この時発生した微粉は、分級ローター31により再度機外へ排出され、粗粉は循環流に乗って再度表面改質ゾーンに戻され、繰り返し表面改質作用を受ける。一定時間経過後、排出弁38を開き、排出口37より表面改質粒子を回収する。
【0074】
本発明者らが検討した結果、上記表面改質装置を用いた表面改質処理の工程において、原料供給口33からの微粉砕品の投入から排出弁開放までの時間(サイクルタイム)と分散ローターの回転数が、トナーの平均円形度と前記透過率(即ち、トナー粒子表面のワックス量)をコントロールする上で重要なことが分かった。平均円形度を上げるには、サイクルタイムを長くするか、分散ローターの周速を上げるのが効果的である。またトナーの透過率を低く抑えようとするなら、逆にサイクルタイムを短くするか、周速を下げることが有効である。その中でも特に分散ローターの周速がある一定以上にならないとトナーを効率的に球形化できないため、サイクルタイムを長くして球形化しなければならず、必要以上にトナーの透過率を高くしてしまうことがある。前記透過率を所定以下に抑えつつトナーの円形度を向上させて、トナーの平均円形度および前記透過率を上記範囲とするためには、分散ローラーの周速とは1.2×10mm/sec以上であり、サイクルタイムは5〜60秒が有効である。
【0075】
また、本発明のイエロートナーの製造方法として、上記の機械的衝撃法以外に懸濁重合法を採用することもできる。懸濁重合法は、ビニル系単量体、着色剤およびワックス(更に必要に応じて、架橋剤、荷電制御剤、その他の添加剤)を均一に溶解または分散せしめて重合性単量体組成物とした後、この重合性単量体組成物を分散安定剤を含有する水系媒体(例えば水相)中に適当な撹拌機を用いて造粒し、同時に重合開始剤を用いて懸濁重合反応を行なわせ、所望の粒径を有する球形トナーを得るものである。
【0076】
本発明のイエロートナーは一成分系現像剤としても、二成分系現像剤としても使用可能であるが、二成分系現像剤として使用すると、長期に渡り鮮明なフルカラー画像がより得られやすく、好ましい。
【0077】
本発明のイエロートナーを二成分系現像剤として用いる場合、本発明のイエロートナーと磁性キャリアとを混合して二成分系現像剤とすればよい。キャリアとしては例えば表面酸化または未酸化の鉄、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、クロム、カルシウム、マグネシウム、希土類等の金属およびそれらの合金または酸化物および磁性フェライト等が使用出来る。
【0078】
また、上記キャリアの表面を樹脂等で被覆した樹脂コートキャリアは、本発明において好適に用いられる。樹脂コートキャリアの製造方法としては、従来公知の方法を採用することができ特に限定されないが、一例を挙げれば、キャリアを浮遊流動させながら樹脂溶液をスプレーしキャリア表面にコート膜を形成させる方法、スプレードライ法、樹脂等の被覆材を溶剤中に溶解もしくは懸濁せしめてキャリアと混合し、剪断応力を加えながら溶剤を徐々に揮発させる方法、単に粉体とキャリアを混合する方法などが挙げられる。
【0079】
キャリアの被覆材料としては、トナー融着等のキャリアへのスペント化を防ぐ為に有用と考えられる表面エネルギーの小さい樹脂、例えばシリコーン樹脂、フッ素樹脂などが挙げられ、その他にもポリエステル樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド、ポリビニルブチラール、アミノアクリレート樹脂等が例示され、これらは単独あるいは組み合わせて用いられる。
【0080】
また、キャリアに対する接着性を高めるために、種々の添加物を併用し被膜の強靭性を高めることが好ましい。特にシリコーン樹脂を被覆する際は使用する被覆樹脂希釈溶剤中に水を添加する事で、得られる被覆キャリアの耐久性および帯電特性が更に改良される。これは、硬化型シリコーン樹脂の架橋点およびシランカップリング剤の加水分解が促進され、硬化反応がより進行する事、および短時間ではあるがシリコーン樹脂の表面エネルギーが増加し、キャリアとの密着性が向上する事によるものである。
【0081】
被膜樹脂のキャリアに対する塗布量は、樹脂固形分が0.05重量%〜10重量%、好ましくは0.1重量%〜5重量%である。
【0082】
また、キャリアの体積平均粒径は25〜80μm、より好ましくは30〜65μmを有する事が好ましい。その測定はマイクロトラック粒度分析計(日機装株式会社)のSRAタイプを使用し、0.7〜125μmのレンジ設定で行うことができる。キャリアの体積平均粒径が25μmよりも小さい場合、トナーとの混合が難しくなる。また、体積平均粒径が80μmを超えると、キャリアの比表面積が小さいことから、トナー補給時の帯電能力が劣り、カブリやトナー飛散の原因となることがある。
【0083】
本発明のイエロートナーと上記形態のキャリアとを混合して二成分系現像剤を調製する場合、その混合比率は現像剤中のトナー濃度として、2〜15質量%、好ましくは4〜13質量%にすると通常良好な結果が得られる。トナー濃度が2質量%未満では画像濃度が低下しやすく、15質量%を超えるとカブリや機内飛散が発生しやすく、現像剤の耐用寿命が低下しやすい。
【0084】
次に本発明のイエロートナーが適用される画像形成方法を図面を参照しながら以下に説明する。
【0085】
図3は二成分系現像剤用の画像形成装置である。現像器4−1、4−2、4−3、4−4に、それぞれシアントナーを有する現像剤、マゼンタトナーを有する現像剤、イエロートナーを有する現像剤及びブラックトナーを有する現像剤が導入され、磁気ブラシ現像方式によって感光体ドラム1に形成された静電荷像を現像し、各色トナー像が感光体ドラム1上に形成される。
【0086】
本発明のトナーは、磁性キャリアと混合し、例えば図4に示すような現像手段を用い現像を行うことができる。具体的には交番電界を印加しつつ、磁気ブラシが感光体ドラム13に接触している状態で現像を行うことが好ましい。現像剤担持体(現像スリーブ)11と感光体ドラム13の距離Bは100〜1000μmである。
【0087】
交番電界のピーク間の電圧(Vpp)は500〜5000Vが好ましく、周波数(f)は500〜10000Hzであり、波形としては三角波、矩形波、正弦波、あるいはDuty比を変えた波形等種々選択して用いることができる。コントラスト電位としては、十分画像濃度がでるように200V〜500Vが好ましく用いられる。
【0088】
十分な画像濃度を出し、ドット再現性に優れ、かつキャリア付着のない現像を行うために現像スリーブ11上の磁気ブラシの感光体ドラム13との接触幅(現像ニップC)を好ましくは3〜8mmにする。
【0089】
本発明のトナーは、磁性キャリアと混合せずに、例えば図5に示すような現像手段を用いて現像を行うこともできる。図5は非磁性一成分ジャンプング現像用の画像形成装置の概略図である。図5において、25は静電荷像担持体(感光体ドラム)であり、潜像形成は電子写真プロセス手段により形成される。24はトナー担持体(現像スリーブ)であり、ステンレス,アルミニウム等から成る円筒が好ましく用いられる。また必要に応じ表面を金属類,カーボンブラック,帯電制御剤等の微粒子を分散した樹脂でコートしても良い。
【0090】
現像スリーブ24の略右半周面はトナー容器21内のトナー溜りに常時接触していて、その現像スリーブ面近傍のトナーが現像スリーブ面に静電気力により付着保持される。
【0091】
トナー担持体の表面粗度Ra(μm)を1.5以下とすることで、該トナー担持体上のトナー層を薄層化する。トナー担持体の表面移動速度を静電荷像担持体の表面移動速度に対し1.05〜3.0倍となるように設定する。
【0092】
トナーTはホッパー21に貯蔵されており、供給部材22によって現像スリーブ上へ供給される。供給部材として、多孔質弾性体、例えば軟質ポリウレタンフォーム等の発泡材より成る供給ローラーが好ましく用いられ、現像スリーブに対して順または逆方向に相対速度をもって回転させ、現像スリーブ上へのトナー供給と共に、スリーブ上の現像後のトナー(未現像トナー)のはぎ取りをも行う。
【0093】
現像スリーブ上に供給されたトナーは規制部材によって薄層かつ均一に塗布される。トナー薄層化規制部材は、現像スリーブと一定の間隙をおいて配置される金属ブレード、磁性ブレード等のドクターブレードである。また、トナー薄層化の規制部材としてトナーを圧接塗布する為の弾性ブレードや弾性ローラーの如き弾性体を用いても良い。
【0094】
例えば図5において、弾性ブレード23はその上辺部側である基部を現像剤容器21側に固定保持され、下辺部側をブレードの弾性に抗して現像スリーブ24の順方向或いは逆方向にたわめ状態にしてブレード内面側(逆方向の場合には外面側)をスリーブ24表面に適度の弾性押圧をもって当接させる。この様な装置によると、環境の変動に対しても安定で、緻密なトナー層が得られる。該弾性体には所望の極性にトナーを帯電させるのに適した摩擦帯電系列の材質を選択することが好ましく、シリコーンゴム,ウレタンゴム,NBRの如きゴム弾性体;ポリエチレンテレフタレートの如き合成樹脂弾性体;ステンレス,鋼,リン青銅の如き金属弾性体が使用できる。また、それらの複合体であっても良い。また、弾性体とトナー担持体に耐久性が要求される場合には、金属弾性体に樹脂やゴムをスリーブ当接部に当るように貼り合わせたり、コーティング塗布したものが好ましい。
【0095】
該弾性体とトナー担持体との当接圧力は、トナー担持体の母線方向の線圧として、0.3〜25N/mが有効である。
【0096】
静電荷像担持体とトナー担持体との間隙αは、50〜500μmに設定され、ドクターブレードとトナー担持体との間隙は、50〜400μmに設定されることが好ましい。
【0097】
トナー担持体上のトナー層の層厚は、静電荷像担持体とトナー担持体との間隙αよりも薄いことが最も好ましいが、場合によりトナー層を構成する多数のトナーの穂のうち、一部は静電荷像担持体に接する程度にトナー層の層厚を規制してもよい。
【0098】
一方、トナー担持体には、バイアス電源26により静電荷像担持体との間に交番電界を印加する。交番電界のVppは200〜3000V、fは500〜5000Hzであり、波形は、矩形波、サイン波、のこぎり波、三角波等の波形が適用できる。また、直流バイアスを重畳するのも好ましい。
【0099】
以下、本発明で用いられる各種物性の測定方法について説明する。
【0100】
〈トナーの重量平均粒径および粒度分布の測定〉
トナーの重量平均粒径および粒度分布はコールターカウンターTA−II型またはコールターマルチサイザー(コールター社製)等種々の方法で測定可能である。本発明においては、コールターマルチサイザー(コールター社製)を用い、個数分布、体積分布を出力するインターフェイス(日科機製)及びパーソナルコンピュータを接続し、電解液は1級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液を調整する。たとえば、ISOTON R−II(コールターサイエンティフィックジャパン社製)が使用できる。測定法としては、前記電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩を0.1〜5ml加え、さらに測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い前記コールターマルチサイザーによりアパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、2μm以上のトナー粒子の体積、個数を測定して体積分布と個数分布とを算出する。
【0101】
それから、本発明に係わるところの体積分布から求めた重量基準の重量平均粒径(D4:各チャンネルの中央値をチャンネルの代表値とする)を求めることができる。
【0102】
<トナーの平均円形度の測定>
トナーの円相当径、円形度とは、トナー粒子の形状を定量的に表現する簡便な方法として用いたものであり、本発明ではシスメックス社製フロー式粒子像分析装置「FPIA−2100」を用いて測定を行い、下式を用いて算出した。
【0103】
【数1】
Figure 2005031163
【0104】
ここで、「粒子投影面積」とは二値化されたトナー粒子像の面積であり、「粒子投影像の周囲長」とは512×512の画像処理解像度(0.3μm×0.3μmの画素)で画像処理した時の粒子像の周囲長と定義する。
【0105】
本発明における円形度はトナー粒子の凹凸の度合いを示す指標であり、トナー粒子が完全な球形の場合に1.000を示し、表面形状が複雑になる程、円形度は小さな値となる。
【0106】
また、円形度頻度分布の平均値を意味する平均円形度Cは、粒度分布の分割点iでの円形度(中心値)をci、頻度をfciとすると、次式から算出される。
【0107】
【数2】
Figure 2005031163
【0108】
なお、本発明で用いている測定装置である「FPIA−2100」は、各粒子の円形度を算出後、平均円形度及び円形度標準偏差の算出に当たって、得られた円形度によって、粒子を円形度0.4〜1.0を61分割したクラスに分け、分割点の中心値と頻度を用いて平均円形度及び円形度標準偏差の算出を行う算出法を用いている。しかしながら、この算出法で算出される平均円形度及び円形度標準偏差の各値と、上述した各粒子の円形度を直接用いる算出式によって算出される平均円形度及び円形度標準偏差の誤差は、非常に少なく、実質的には無視できる程度であり、本発明においては、算出時間の短縮化や算出演算式の簡略化の如きデータの取り扱い上の理由で、上述した各粒子の円形度を直接用いる算出式の概念を利用し、一部変更したこのような算出法を用いても良い。さらに本発明で用いている測定装置である「FPIA−2100」は、従来よりトナーの形状を算出するために用いられていた「FPIA−1000」と比較して、シースフローの薄層化(7μm→4μmに)及び処理粒子画像の倍率の向上、さらに取り込んだ画像の処理解像度を向上(256×256→512×512)によりトナーの形状測定の精度が上がっており、それにより微粒子のより確実な補足を達成している装置である。従って、本発明のように、より正確に形状を測定する必要がある場合には、より正確に形状に関する情報が得られるFPIA−2100の方が有用である。
【0109】
具体的な測定方法としては、容器中に予め不純固形物などを除去したイオン交換水10mlを用意し、その中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩を加えた後、更に測定試料を0.02g加え、均一に分散させる。分散させる手段としては、超音波分散機「Tetora150型」(日科機バイオス社製)を用い、2分間分散処理を行い、測定用の分散液とする。その際、該分散液の温度が40℃以上とならない様に適宜冷却する。
【0110】
トナー粒子の形状測定には、測定時のトナー粒子濃度が3000〜1万個/μlとなる様に該分散液濃度を再調整し、上記フロー式粒子像測定装置を用い、0.60μm以上159.21μm未満の円相当径を有するトナー粒子を1000個以上測定し、このデータを用いて、3μm以下のデータをカットして、トナー粒子の平均円形度を求める。
【0111】
測定の概略は、以下の通りである。
【0112】
試料分散液は、フラットで扁平なフローセル(厚み約200μm)の流路(流れ方向に沿って広がっている)を通過させる。フローセルの厚みに対して交差して通過する光路を形成するように、ストロボとCCDカメラが、フローセルに対して、相互に反対側に位置するように装着される。試料分散液が流れている間に、ストロボ光がフローセルを流れている粒子の画像を得るために1/30秒間隔で照射され、その結果、それぞれの粒子は、フローセルに平行な一定範囲を有する2次元画像として撮影される。それぞれの粒子の2次元画像の面積から、同一の面積を有する円の直径を円相当径として算出する。それぞれの粒子の2次元画像の投影面積及び投影像の周囲長から上記の円形度算出式を用いて各粒子の円形度を算出する。
【0113】
<45体積%メタノール水溶液におけるトナーの透過率の測定>
(i)トナー分散液の調整
メタノール:水の体積混合比が45:55の水溶液を作製する。この水溶液10mlを30mlのサンプルビン(日電理化硝子:SV−30)に入れ、トナー20mgを液面上に浸しビンのフタをする。その後、ヤヨイ式振とう器(モデル:YS−LD)により2.5s−1で5秒間振とうする。この時、振とうする角度は、振とう器の真上(垂直)を0度とすると、前方に15度、後方に20度、振とうする支柱が動くようにする。サンプルビンは支柱の先に取り付けた固定用ホルダー(サンプルビンの蓋が支柱中心の延長上に固定されたもの)に固定する。サンプルビンを取り出した後、30秒後の分散液を測定用分散液とする。
【0114】
(ii)透過率の測定
(i)で得た分散液を1cm角の石英セルに入れ、分光光度計MPS2000(島津製作所社製)を用いて10分後の分散液の波長600nmにおける透過率(%)を測定する。
【0115】
(数3)
透過率(%) = I/I×100
(上記式において、Iは入射光束、Iは透過光束を表す)
<示差熱分析測定>
示差走査熱量計(DSC測定装置)、DSC−7(パーキンエルマー社製)やDSC2920(TAインスツルメンツジャパン社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。測定試料は2〜10mg、好ましくは5mgを精密に秤量する。これをアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを用い、測定温度範囲30〜200℃の間で、昇温速度10℃/minで測定を行う。尚、測定においては、昇温、続いて降温をまず始めに一回行った後に再度昇温を行い、この昇温過程における温度30〜200℃の範囲のDSC曲線の吸熱ピークを、本発明における吸熱ピークとする。
【0116】
<分子量分布の測定>
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による樹脂成分の分子量分布の測定は、以下の様にして行えばよい。
【0117】
結着樹脂またはトナーをテトラヒドロフラン(THF)に室温で24時間静置して溶解した溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター(例えば、商品名「マエショリディスク」東ソー社製)で濾過してサンプル溶液とし、以下の条件で測定する。尚、サンプル調製は、THFに可溶な成分の濃度が0.4〜0.6質量%になるようにTHFの量を調整する。
【0118】
装置 :高速GPC HLC8120 GPC(東ソー社製)
カラム:Shodex KF−801、802、803、804、805、806、807の7連(昭和電工社製)
溶離液:テトラヒドロフラン
流速 :1.0ml/min
オーブン温度:40.0℃
試料注入量 :0.10ml
また、試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(東ソー社製TSK スタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500)により作成した分子量校正曲線を使用する。
【0119】
本発明の実施態様を以下に列挙する。
(1)本発明のトナーは、少なくとも結着樹脂、着色剤、およびワックスを含有するイエロートナーにおいて、該イエロートナーがC.I.Pigment Yellow 74と、C.I.Pigment Yellow 155とを少なくとも含有することを特徴とするイエロートナーである。
(2)本発明のトナーは、トナーに含有される結着樹脂100質量部あたり、C.I.Pigment Yellow 74の含有量をX質量部、C.I.Pigment Yellow 155の含有量をY質量部としたときに、Xが1〜10の範囲であり、Yが1〜10の範囲であり、XとYの和が2〜15の範囲であり、XとYとの比率が70:30〜95:5の範囲であることが好ましい。
(3)本発明のトナーは、前記Xが2〜7の範囲であり、前記Yが1〜4の範囲であり、XとYの和が3〜10の範囲であり、XとYとの比率が50:50〜80:20の範囲であることが好ましい。
(4)前記結着樹脂は、ポリエステルユニットを有する樹脂であることが好ましい。
(5)前記結着樹脂全体の50質量%以上がポリエステルユニットを有する樹脂であることが好ましい。
(6)前記結着樹脂全体の70質量%以上がポリエステルユニットを有する樹脂であることが好ましい。
(7)前記結着樹脂は、ハイブリッド樹脂であることが好ましい。
(8)前記結着樹脂は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される分子量分布において、ピーク分子量(Mp)が2000〜20000であり、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が5以上であることが好ましい。
(9)前記ワックスは炭化水素系ワックスであることが好ましい。
(10)前記ワックスの示差熱分析(DSC)測定における吸熱曲線において、最大吸熱ピークは65〜105℃の範囲にあることが好ましい。
(11)前記ワックスの最大吸熱ピークは70〜90℃の範囲にあることが好ましい。
(12)前記ワックスは結着樹脂100質量部あたり0.5〜20質量部含有されていることが好ましい。
(13)前記ワックスは結着樹脂100質量部あたり1〜10質量部含有されていることが好ましい。
(14)前記ワックスは結着樹脂100質量部あたり2〜5質量部含有されていることが好ましい。
(15)本発明のトナーには、有機金属化合物が含有されていることが好ましい。
(16)前記有機金属化合物は、芳香族カルボン酸の金属化合物であることが好ましい。
(17)前記芳香族カルボン酸の金属化合物の金属は、Al3+であることが好ましい。
(18)前記芳香族カルボン酸は、サリチル酸誘導体であることが好ましい。
(19)前記有機金属化合物は結着樹脂100質量部あたり0.1〜5質量%含有させることが好ましい。
(20)本発明のトナーは、示差熱分析(DSC)測定における吸熱曲線において、温度30〜200℃の範囲に1個または複数の吸熱ピークを有し、該吸熱ピーク中の最大吸熱ピークのピーク温度が65〜105℃の範囲にあることが好ましい。
(21)前記トナーの最大吸熱ピークのピーク温度が70〜90℃の範囲にあることが好ましい。
(22)(i)前記イエロートナーの重量平均粒径が4〜9μmであり、(ii)前記イエロートナーの円相当径3μm以上の粒子の平均円形度が0.910〜A〜0.995の範囲であることが好ましい。
(23)本発明のトナーは、4μm以下の粒径を有するトナーが3〜40個数%含有され、10μm以上の粒径を有するトナーが15体積%以下含有されていることが好ましい。
(24)前記平均円形度が0.915〜0.965の範囲であることが好ましい。
(25)前記平均円形度が0.920〜0.950の範囲であることが好ましい。
(26)前記イエロートナーのメタノール45体積%水溶液における透過率が5〜70%の範囲であることが好ましい。
(27)前記透過率が10〜50%の範囲であることが好ましい。
(28)本発明の二成分現像剤は、少なくともトナーとキャリアとを含有し、トナーは本発明のイエロートナーであり、キャリアは表面が樹脂によりコートされている磁性キャリアである。
(29)前記キャリアの被覆材料はシリコーン樹脂、またはフッ素樹脂であることが好ましい。
(30)前記被膜材料のキャリアに対する塗布量は、キャリア100質量部あたり樹脂固形分が0.05〜10重量部であることが好ましい。
(31)前記樹脂固形分は、0.1〜5重量部であることが好ましい。
(32)前記キャリアの重量平均粒径は25〜80μmであることが好ましい。
(33)前記キャリアの重量平均粒径は30〜65μmであることが好ましい。
(34)本発明の二成分系現像剤のトナー濃度は、2〜15質量%であることが好ましい。
【0120】
【実施例】
以下、本発明の具体的実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0121】
<ハイブリッド樹脂の製造例>
温度計、撹拌機、コンデンサーおよび窒素導入管を備えた反応容器に、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン47質量部、ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン28質量部、テレフタル酸13質量部、無水トリメリット酸11質量部、フマル酸1質量部および酸化ジブチル錫0.005質量部を入れ、反応容器内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、145℃の温度で撹拌した。一方、スチレン4.18質量部、2−エチルヘキシルアクリレート1.15質量部、フマル酸0.52質量部、α−メチルスチレンの2量体0.12質量部、ジクミルパーオキサイド0.20質量部を室温でよく混合し、これを先の反応容器に4時間かけて滴下した。その後、反応液を200℃まで昇温し、6時間反応させてハイブリッド樹脂を得た。GPCによる分子量測定の結果を表1に示す。
【0122】
<ポリエステル樹脂の製造例>
温度計、撹拌機、コンデンサーおよび窒素導入管を備えた反応容器に、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン47質量部、ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン28質量部、テレフタル酸13質量部、無水トリメリット酸11質量部、フマル酸1質量部および酸化ジブチル錫0.005質量部を入れ、反応容器内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、215℃で4時間縮合反応させ、ポリエステル樹脂を得た。GPCによる分子量測定の結果を表1に示す。
【0123】
<ビニル系共重合体の製造例>
温度計、撹拌機、コンデンサーおよび窒素導入管を備えた反応容器にキシレン200質量部を仕込み、撹拌しながら容器内を十分に窒素で置換して120℃に昇温させた。そこに、下記の各成分を室温でよく混合したものを5時間かけて滴下して、ラジカル重合を行った。さらに昇温を行い、キシレン還流下でラジカル重合を完了し、減圧下で溶媒を蒸留除去して、ビニル系共重合体を得た。GPCによる分子量測定の結果を表1に示す。
【0124】
・スチレン 77質量部
・2−エチルヘキシルアクリレート 18質量部
・マレイン酸モノブチル 5質量部
・ジーt−ブチルパーオキサイド 1質量部
【0125】
【表1】
Figure 2005031163
【0126】
<トナーの製造例1>
Figure 2005031163
上記の材料を十分にヘンシェルミキサーにより予備混合した。その後、二軸押出し混練機で溶融混練し、冷却後ハンマーミルを用いて約1〜2mm程度に粗粉砕し、次いでエアージェット方式による微粉砕機で20μm以下の粒径に微粉砕した。その後、風力分級装置(エルボージェット分級機)を用いて分級を行い、イエロートナー粒子Aを得た。
【0127】
このイエロートナー粒子A100質量部に対して、i−CSi(OCH 30質量部で処理した疎水性酸化チタン(BET法による比表面積200m/g)1.0質量部を添加してイエロートナーAとした。イエロートナーAの物性を表2に示す。
【0128】
<トナーの製造例2>
上記微粉砕物の風力分級装置による分級を行わず、図1および図2に示す、機械式衝撃力を用いる表面改質処理(球形化処理)と分級を同時に行う装置1にて微粉砕物を処理した以外はトナーの製造例1と同様にして、イエロートナー粒子BおよびイエロートナーBを得た。イエロートナーBの物性を表2に示す。
【0129】
<トナーの製造例3>
C.I.Pigment Yellow 74の添加量を6質量部、C.I.Pigment Yellow 155の添加量を2質量部とした以外はトナーの製造例2と同様にして、イエロートナー粒子CおよびイエロートナーCを得た。イエロートナーCの物性を表2に示す。
【0130】
<トナーの製造例4>
C.I.Pigment Yellow 74の添加量を4.4質量部、C.I.Pigment Yellow 155の添加量を3.6質量部とした以外はトナーの製造例2と同様にして、イエロートナー粒子DおよびイエロートナーDを得た。イエロートナーDの物性を表2に示す。
【0131】
<トナーの製造例5>
C.I.Pigment Yellow 74の添加量を7.2質量部、C.I.Pigment Yellow 155の添加量を0.8質量部とした以外はトナーの製造例2と同様にして、イエロートナー粒子EおよびイエロートナーEを得た。イエロートナーEの物性を表2に示す。
【0132】
<トナーの製造例6>
C.I.Pigment Yellow 74の添加量を3.2質量部、C.I.Pigment Yellow 155の添加量を4.8質量部とした以外はトナーの製造例2と同様にして、イエロートナー粒子FおよびイエロートナーFを得た。イエロートナーFの物性を表2に示す。
【0133】
<トナーの製造例7>
C.I.Pigment Yellow 74の添加量を7.2質量部、C.I.Pigment Yellow 155の添加量を4.8質量部とした以外はトナーの製造例2と同様にして、イエロートナー粒子GおよびイエロートナーGを得た。イエロートナーGの物性を表2に示す。
【0134】
<トナーの製造例8>
精製ノルマルパラフィンワックスの添加量を1質量部とした以外はトナーの製造例2と同様にして、イエロートナー粒子HおよびイエロートナーHを得た。イエロートナーHの物性を表2に示す。
【0135】
<トナーの製造例9>
精製ノルマルパラフィンワックスの添加量を7質量部とした以外はトナーの製造例2と同様にして、イエロートナー粒子IおよびイエロートナーIを得た。イエロートナーIの物性を表2に示す。
【0136】
<トナーの製造例10>
装置1の運転条件を変更した以外はトナーの製造例2と同様にして、イエロートナー粒子JおよびイエロートナーJを得た。イエロートナーJの物性を表2に示す。
【0137】
<トナーの製造例11>
イエロートナー粒子Aをハイブリタイザー(奈良機械製作所製)を用いて球形化処理し、イエロートナー粒子Kを得た。その後、トナーの製造例1と同様にしてイエロートナーKを得た。イエロートナーKの物性を表2に示す。
【0138】
<トナーの製造例12>
DSCにおける最大吸熱ピークのピーク温度が75℃の精製ノルマルパラフィンワックスの代わりに該ピーク温度が120℃の低分子量ポリプロピレンワックスを用いる以外はトナーの製造例2と同様にして、イエロートナー粒子LおよびイエロートナーLを得た。イエロートナーLの物性を表2に示す。
【0139】
<トナーの製造例13>
DSCにおける最大吸熱ピークのピーク温度が75℃の精製ノルマルパラフィンワックスの代わりに該ピーク温度が68℃のステアリン酸ステアリル(エステルワックス)を用いる以外はトナーの製造例2と同様にして、イエロートナー粒子MおよびイエロートナーMを得た。イエロートナーMの物性を表2に示す。
【0140】
<トナーの製造例14>
3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物を使用しない以外はトナーの製造例2と同様にして、イエロートナー粒子NおよびイエロートナーNを得た。イエロートナーNの物性を表2に示す。
【0141】
<トナーの製造例15>
ハイブリッド樹脂100質量部の代わりに、ハイブリッド樹脂70質量部と前記ビニル系共重合体30部を使用した以外はトナーの製造例2と同様にして、イエロートナー粒子OおよびイエロートナーOを得た。イエロートナーOの物性を表2に示す。
【0142】
<トナーの製造例16>
ハイブリッド樹脂100質量部の代わりに、前記ポリエステル樹脂100質量部を使用した以外はトナーの製造例2と同様にして、イエロートナー粒子PおよびイエロートナーPを得た。イエロートナーPの物性を表2に示す。
【0143】
<トナーの製造例17>
ハイブリッド樹脂100質量部の代わりに、前記ポリエステル樹脂70質量部と前記ビニル系共重合体30質量部を使用した以外はトナーの製造例2と同様にして、イエロートナー粒子QおよびイエロートナーQを得た。イエロートナーQの物性を表2に示す。
【0144】
<トナーの製造例18>
ハイブリッド樹脂100質量部の代わりに、前記ビニル系共重合体100質量部を使用した以外はトナーの製造例2と同様にして、イエロートナー粒子RおよびイエロートナーRを得た。イエロートナーRの物性を表2に示す。
【0145】
<トナーの製造例19>
エアージェット粉砕機による微粉砕条件と風力分級機の分級条件を変更した以外はトナーの製造例18と同様にして、イエロートナー粒子SおよびイエロートナーSを得た。イエロートナーSの物性を表2に示す。
【0146】
<トナーの製造例20>
4つ口フラスコ中に、イオン交換水700質量部と0.1mol/L−NaPO水溶液800質量部を投入して60℃に加温した。これをTK式ホモミキサー(特殊機化工業社製)にて170s−1で撹拌しつつ、1.0mol/L−CaCl水溶液70質量部を添加し、微小な難水溶性分散剤Ca(POを含む水系分散媒体を調製した。
【0147】
一方、下記からなる混合物をアトライター(三井金属社製)を用いて室温で4時間分散し、均一な重合性単量体組成物を調製した。
【0148】
Figure 2005031163
次に、前記水系分散媒体中に該重合性単量体組成物を投入し、内温60℃のN雰囲気下で、ホモミキサーで10分間撹拌して、造粒を行った。その後、撹拌装置をパドル撹拌羽根に換え、3.3s−1で撹拌しながら60℃で5時間保持した後、さらに80℃まで昇温して5時間保持し、トナー粒子の懸濁液を得た。
【0149】
その後懸濁液を冷却し、希塩酸を添加して2時間撹拌を行い、分散剤Ca(POを溶解した。さらに、この懸濁液をろ過し、トナー粒子の水洗を繰り返し行った。その後、得られた含水トナー粒子を40℃で3日間熱風乾燥して、イエロートナー粒子Tを得た。さらに、トナーの製造例1と同様にしてイエロートナーTを得た。
【0150】
<トナーの製造例21>
・前記ポリエステル樹脂 100質量部
・C.I.Pigment Yellow 74 8質量部
上記の材料のみを用いてトナーの製造例1と同様にして、比較用イエロートナー粒子Uおよび比較用イエロートナーUを得た。比較用イエロートナーUの物性を表2に示す。
【0151】
<トナーの製造例22>
・前記ポリエステル樹脂 100質量部
・C.I.Pigment Yellow 155 8質量部
・3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物 1質量部
上記の材料を用いてトナーの製造例1と同様にして、比較用イエロートナー粒子Vおよび比較用イエロートナーVを得た。比較用イエロートナーVの物性を表2に示す。
【0152】
<トナーの製造例23>
前記ポリエステル樹脂 100質量部
・C.I.Pigment Yellow 74 4.8質量部
・C.I.Pigment Yellow 155 3.2質量部
上記の材料を用いてトナーの製造例1と同様にして、比較用イエロートナー粒子Wおよび比較用イエロートナーWを得た。比較用イエロートナーWの物性を表2に示す。
【0153】
<トナーの製造例24>
着色剤をC.I.Pigment Blue 15:3 5質量部に変更した以外は前記トナーの製造例20と同様にして重合体粒子を得た後、シアントナーを調製した。
【0154】
<トナーの製造例25>
着色剤をC.I.Pigment Red 122 7質量部に変更した以外は、前記トナーの製造例20と同様にして重合体粒子を得た後、マゼンタトナーを調製した。
【0155】
<二成分現像剤の調製>
トナーの製造例1〜20で製造した本発明のイエロートナーA〜T、トナーの製造例21〜23で製造した比較用イエロートナーS〜W、およびトナーの製造例24、25で製造したシアントナー、マゼンタトナーの各トナーについて、シリコーン樹脂で表面被覆した磁性フェライトキャリア粒子(平均粒径50μm:Mn−Mgフェライト)と、トナー濃度が6質量%になるように均一に混合し、本発明の二成分系現像剤A〜T、比較用二成分系現像剤V〜W、およびシアン現像剤、マゼンタ現像剤を作製した。
【0156】
【表2】
Figure 2005031163
【0157】
※1 : 3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物
※2 : ワックスA:DSCにおける最大吸熱ピークのピーク温度が75℃の精製ノルマルパラフィンワックス
ワックスB:DSCにおける最大吸熱ピークのピーク温度が120℃の低分子量ポリプロピレンワックス
ワックスC:DSCにおける最大吸熱ピークのピーク温度が68℃のステアリン酸ステアリル
※3 : DSCにおけるトナーの最大吸熱ピークのピーク温度
※4 : トナーの円相当径3μm以上の粒子の平均円形度
※5 : トナーのメタノール45体積%水溶液における透過率
【0158】
<実施例1〜20、比較例1〜3>
本実施例に用いた画像形成装置について説明する。図3は本実施例に適用される画像形成装置の概略図であり、図4は画像形成装置の現像部の概略図である。
【0159】
感光体ドラム1は、基材1a上に有機光半導体を有する感光層1bを有し、矢印方向に回転し、対抗し接触回転する帯電ローラ2(導電性弾性層2a、芯金2b)により感光体ドラム1を一様に帯電させる。露光3は、ポリゴンミラーにより感光体上にデジタル画像情報に応じてオン−オフさせることで静電荷像が形成される。現像器4−1を用いてトナーを感光体1上に反転現像で現像する。感光ドラム上のトナー画像は、中間転写体5上に転写され、感光体1上の転写材トナーはクリーナー部材8により、残トナー容器9中に回収される。中間転写体5は、パイプ状の芯金5b上にカーボンブラックをニトリル−ブタジエンラバー(NBR)中に十分分散させた弾性層5aをコーティングしたものである。
【0160】
転写ローラ7の外径は20mmであり、該転写ローラ7は直径10mmの芯金7b上にカーボンブラックをエチレン−プロピレン−ジエン系三元共重合体(EPDM)の発泡体中に十分分散させたものをコーティングすることにより生成した弾性層7aを有する。
【0161】
加熱定着装置にはオイル塗布機能のない熱ロール方式の定着装置を用いた。この時上部ローラ、下部ローラ共にフッ素系樹脂の表面層を有するものを使用し、ローラの直径は50mmであった。定着温度は180℃、ニップ幅を5mmに設定した。
【0162】
前記した現像剤A〜T、比較用現像剤U〜W、およびシアン現像剤、マゼンタ現像剤の各々を現像器に入れ、常温常湿(23℃、50%RH)環境下で一晩放置した。その後、上記の画像形成装置に現像器をセットし、後述する着色力、透明性、および混色性の評価を行った。次に、トナー濃度が一定となるようにトナーを逐次補給しながら、転写材として複写機用厚紙(105g/m)を用い、画像面積比率10%の画像3000枚の出力を、単色モード、16枚(A4サイズ)/分の出力速度で行った。その後、この画像形成装置を常温低湿環境下(23℃、5%RH)に現像器とともに移動して3日間放置した後、画像面積比率3%の画像を5000枚出力した。さらに、高温高湿環境下(30℃、80%RH)に現像器とともに移動して一晩放置した後、画像面積比率20%の画像を2000枚出力した。
【0163】
次に、各評価項目について説明する。
(1)着色力
0.2mg/cmから0.8mg/cmの範囲で転写紙上にトナーの載り量の異なる数種類のベタ画像を作製し、それらの画像濃度をX−Riteカラー反射濃度計(color reflection densitometer X−Rite 404A)を用いて測定し、転写紙上のトナー量と画像濃度の関係をグラフ化する。そして、トナーの載り量が0.5mg/cmのときの画像濃度をグラフから読み取り、以下のようにして相対的に着色力を評価した。
A:非常に良好(1.40以上)
B:良好(1.35以上、1.40未満)
C:普通(1.20以上、1.35未満)
D:悪い(1.20未満)
【0164】
(2)透明性
OHPシート「CG3700」(3M社製)を転写材として、イエローの単色のベタ画像を出力する。次いで、透過型OHP「9550」(3M社製)にて、OHPシート上の画像を白色スクリーンに投影し、以下のように目視評価した。A:透明性が非常に優れ、色再現性も良好である。
B:色再現性は優れるが、透明性がやや劣る。
C:透明性はやや劣り、色再現性もやや劣る。
D:くすみがあり、色再現性も劣る。
【0165】
(3)混色性
複写機用普通紙(75g/m)を転写材とし、前記したシアン現像剤、マゼンタ現像剤、および各イエロー現像剤を用いてフルカラー画像を作製する。そして、得られた画像を以下のようにして目視評価した。
A:イエロー、2次色(赤色、緑色)いずれの色再現性も優れる。
B:イエローの色再現性は優れるが、2次色(赤色、緑色)はやや劣る。
C:イエロー、2次色(赤色、緑色)いずれの色再現性もやや劣る。
D:イエロー、2次色(赤色、緑色)いずれの色再現性も劣る。
【0166】
(4)画像濃度
常温常湿環境下における1000枚目の画像濃度により評価した。尚、画像濃度はX−Riteカラー反射濃度計で測定した。
A:非常に良好(1.40以上)
B:良好(1.35以上、1.40未満)
C:普通(1.20以上、1.35未満)
D:悪い(1.20未満)
【0167】
(5)環境安定性
常温低湿環境下および高温高湿環境下における1000枚目のベタ画像の画像濃度差を、トナーの環境安定性の指標とした。
A:非常に良好( 0.10未満)
B:良好( 0.10以上、0.15未満)
C:普通( 0.15以上、0.25未満)
D:悪い(0.25以上)
【0168】
(6)耐久安定性
常温低湿環境下における1枚目と5000枚目のベタ画像の画像濃度差を、トナーの耐久安定性の指標とした。
A:非常に良好( 0.10未満)
B:良好( 0.10以上、0.15未満)
C:普通( 0.15以上、0.25未満)
D:悪い(0.25以上)
【0169】
(7)カブリ
高温高湿環境下での画像出力が終了した後、ベタ白画像を出力し、ベタ白画像形成途中で画像形成装置を強制的に停止させ、感光ドラム上のベタ白画像部分を透明な粘着テープでテーピングし、白色紙に貼りつけた。同じ白色紙に未使用のテープのみを貼りつけてそれぞれの白色度を測定し、白色度の差からカブリを算出した。尚、白色度はブルーフィルターを搭載したリフレクトメーター(東京電色株式会社製の「REFLECTOMETER MODEL TC−6DS」)によって測定した。
A:非常に良好(1.0%未満)
B:良好(1.0以上2.0%未満)
C:普通(2.0以上3.0%未満)
D:悪い(3.0以上)
【0170】
(8)階調性
階調性の評価については、常温低湿環境下での画像出力が終了した後、図7に示すパターン形成方法の異なる8種類の画像を出力し、X−Riteカラー反射濃度計によりそれぞれの画像濃度を測定することにより判断した。
階調性再現性の点から、各パターン画像の濃度範囲は以下の範囲であることが好ましく、この観点から評価を行った。
パターン1:0.10〜0.15 パターン2:0.15〜0.20
パターン3:0.20〜0.30 パターン4:0.25〜0.40
パターン5:0.55〜0.70 パターン6:0.65〜0.80
パターン7:0.75〜0.90 パターン8:1.40以上。
【0171】
判断基準は、以下の通りである。
A:非常に良好(すべてのパターン画像が上記の濃度範囲を満足する)
B:良好(一つのパターン画像が上記の濃度範囲をはずれる)
C:普通(二つまたは三つのパターン画像が上記の濃度範囲をはずれる)
D:悪い(四つ以上のパターン画像が上記の濃度範囲をはずれる)
【0172】
(9)中抜け
高温高湿環境下での画像出力が終了した後、図6aに示した「驚」文字パターン画像を出力し、「驚」文字パターンの中抜け(図6bの状態)を目視で評価した。
A: 非常に良好(ほとんど発生せず)
B: 良好(軽微)
C: 普通(多少発生)
D: 悪い(かなり発生)
【0173】
(10)定着性
定着性は、常温低湿環境下における1枚目のプリントアウト画像に、50g/cmの荷重をかけつつ柔和な薄紙により定着画像を摺擦し、摺擦前後での画像濃度の低下率(%)で評価した。尚、画像濃度はX−Riteカラー反射濃度計で測定した。
A: 非常に良好(5%未満)
B: 良好(5%以上、10%未満)
C: 普通(10%以上、20%未満)
D: 悪い(20%以上)
【0174】
【表3】
Figure 2005031163
【0175】
<実施例21および比較例4>
本実施例では、カラーレーザービームプリンターLBP−2040(キヤノン社製)を改造し、再設定して用いた。この画像形成装置は、オイル塗布機構の無い定着ローラーを装備したものであり、現像方法は非磁性一成分ジャンピング現像法である。
【0176】
帯電ローラーとしてナイロン樹脂で被覆された導電性カーボンを分散したゴムローラー(直径12mm、当接圧50N/m)を使用し、静電潜像担持体にレーザー露光により暗部電位V=−700V、明部電位V=−200Vを形成した。トナー担持体として表面にカーボンブラックを分散した樹脂をコートした表面粗度Raが1.1を呈する現像スリーブを感光ドラム面の移動速度に対して1.1倍となるように設定し、次いで、感光ドラムと該現像スリーブとの間隔(S−D間)を270μmとし、トナー規制部材としてシリコーンゴム製ブレードを当接させて用いた。現像バイアスとして直流バイアス成分に交流バイアス成分を重畳して用いた。
【0177】
現像器内に本発明のイエロートナーB、比較用イエロートナーUをそれぞれ充填し、常温常湿(25℃、60%RH)環境下、高温高湿(30℃、80%RH)環境下、および低温低湿環境下において、画像面積比率5%、12枚/分(A4サイズ)のプリントアウト速度で、それぞれ1000枚のプリントアウトを行った。
【0178】
得られたプリントアウト画像について評価したところ、本発明のトナーBにより得られた画像は、環境変動や多数枚のプリントアウトによって画像濃度変化が少なく、カブリの少ない鮮明なイエロー画像であった。一方、比較用トナーUにより得られた画像は、環境変動や耐久による画像濃度変化が大きく、カブリもプリントアウトとともに悪化した。また、それだけでなく、定着器への転写材の巻きつきが頻繁に起こった。
【0179】
【発明の効果】
本発明によれば、着色力、透明性、混色性に優れ、現像性、耐久性および環境安定性も良好で、定着性、転写効率、階調性に優れ、高精彩性を満足した画像を安定的に形成できるイエロートナーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】表面改質工程において使用される一例の表面改質装置1の概略的断面図である。
【図2】図1に示す分散ローターの上面図の一例を示す概略図である。
【図3】本発明の実施例に用いた二成分現像剤用の画像形成装置の概略的説明図である。
【図4】本発明の実施例に用いた二成分現像剤用の現像装置の要部の拡大横断面図である。
【図5】本発明の実施例に用いた非磁性一成分ジャンピング現像剤用の画像形成装置の概略的説明図である。
【図6】文字画像の中抜けの状態を示す模式図である。
【図7】本発明の実施例における階調性の評価に用いた、8種類の画像パターンを示す図である。
【符号の説明】
1 感光体(静電潜像担持体)
2 帯電ローラ
3 露光手段
4 4色現像器(4−1、4−2、4−3、4−4)
5 中間転写体
6 転写材
7 転写ローラ
12 現像剤担持体
13 感光体ドラム
14 磁石
15 スクリュー
16 現像剤搬送ローラー
17 現像器
18 磁性ブレード
21 トナー容器21
22 供給部材
23 弾性ブレード
24 トナー担持体(現像スリーブ)
25 静電荷像担持体(感光体ドラム)
31 分級ローター
32 微粉回収
33 原料供給口
34 ライナー
35 冷風導入口
36 分散ローター
37 製品排出口
38 排出弁
39 ガイドリング
40 角型ディスク
41 第一の空間
42 第二の空間

Claims (10)

  1. 少なくとも結着樹脂、着色剤、およびワックスを含有するイエロートナーにおいて、該イエロートナーがC.I.Pigment Yellow 74と、C.I.Pigment Yellow 155とを少なくとも含有することを特徴とするイエロートナー。
  2. 前記結着樹脂100質量部に対するC.I.PigmentYellow 74の含有量をX質量部、C.I.Pigment Yellow 155の含有量をY質量部としたときに、Xが1〜10の範囲であり、Yが1〜10の範囲であり、XとYとの和が2〜15の範囲であり、XとYとの比率が30:70〜95:5の範囲であることを特徴とする請求項1に記載のトナー。
  3. 前記Xが2〜7の範囲であり、前記Yが1〜4の範囲であり、XとYとの和が3〜10の範囲であり、XとYとの比率が50:50〜80:20の範囲であることを特徴とする請求項1に記載のトナー。
  4. 前記結着樹脂は、少なくともポリエステルユニットを有している樹脂であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のイエロートナー。
  5. 前記ワックスが炭化水素系ワックスであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のイエロートナー。
  6. 芳香族カルボン酸の金属化合物を含有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のイエロートナー。
  7. 前記イエロートナーの示差熱分析(DSC)測定における吸熱曲線において、温度30〜200℃の範囲に1個または複数の吸熱ピークを有し、該吸熱ピーク中の最大吸熱ピークのピーク温度が65〜105℃の範囲にあることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のイエロートナー。
  8. (i)前記イエロートナーの重量平均粒径が4〜9μmであり、(ii) 前記イエロートナーの円相当径3μm以上の粒子の平均円形度が0.910〜0.995の範囲であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のイエロートナー。
  9. 前記イエロートナーのメタノール45体積%水溶液における透過率が5〜70%の範囲にあることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のイエロートナー。
  10. 少なくともトナーとキャリアとを含有する二成分系現像剤において、該トナーは請求項1乃至9のいずれかに記載のイエロートナーであり、キャリアは表面が樹脂によりコートされている磁性キャリアであることを特徴とする二成分系現像剤。
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