JP2005030778A - 建材塗工装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】目標色塗料再現を目指す調色手段を有する、建材塗料塗工装置を提供する。
【解決手段】各々の塗料調色装置と連結された複数の可動塗工部を有する建材塗工装置であって、該塗料調色装置が、透明基材の一方の面に循環する一定厚さの塗料面を形成する手段、目標色塗料及び近似色塗料を液体状態で測色する手段、目標色測色データと近似色測色データの色差を計算する手段、該色差に対応した基本色ベース塗料を添加する手段を有することを特徴とする建材塗工装置。
【選択図】 なし
【解決手段】各々の塗料調色装置と連結された複数の可動塗工部を有する建材塗工装置であって、該塗料調色装置が、透明基材の一方の面に循環する一定厚さの塗料面を形成する手段、目標色塗料及び近似色塗料を液体状態で測色する手段、目標色測色データと近似色測色データの色差を計算する手段、該色差に対応した基本色ベース塗料を添加する手段を有することを特徴とする建材塗工装置。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、目標色塗料再現を目指す調色手段を有する、建材塗料塗工装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、着色剤含有塗料の製造においては、顧客から提示される、基材に展色された目標色の再現から始まる。展色された色を、公知の測色手段で色分解し、再現に必要な各種の色材を混合することによって、近似色塗料の製造は容易に行われるが、顧客の要望に合わせる、最終段階での調色工程では、実際に基材上に展色し、目標色との差を熟練した目で判断して、ベース基本色の微妙な追加を行い、目標色に近づける工程を要している。又、目標色に充分近い塗料を実験室レベルでは比較的容易に達成できる場合でも、分野によっては、スケールアップ工程は単なる比例計算だけでは充分ではないことが知られている。一般に、CCMと呼ばれる方式で、調色を合理化しているが、膨大な基本データの蓄積及び展色工程を必要としている。特に、木質基材に対しては、必然的に基材の地色のバラツキがあるため、塗り板として、色目の再現が困難な場合が多い。
【0003】
又、木質材料を基材とする建材用途などでは、基材表面の色的な安定性に欠き、板上の塗装見本の再現は困難を極めており、熟練した人手による展色工程及び目視検査を余儀なくされている。そこで、熟練した人手を介さない、展色工程を不要とする調色工程が求められている。展色工程を省く調色の例として、メタリック塗料の調製で、塗料を液体の状態で測色する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。ここでは、塗料タンクの底面から測色を行っている。
【0004】
また、建材塗工に特有の現状として、少量多品種の塗工が望まれる場合が多い。通常の塗工装置では、色変えを行う場合に、塗料貯めから塗工ヘッドに至る部分の洗浄の必要とともに、塗工する量に依らず、必然的に塗料貯めから塗工ヘッドに至る部分にあった数十リットルの塗料を取り出さざるを得ず、次回直ぐに使用しない限り、廃棄せざるを得ないことになる。そこで、色変えにも、環境保護の観点からも、作業性の観点からも、前工程での残塗料を無駄なく使用する方法が求められている。
【0005】
【特許文献8】
特開2002−226735号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、このような従来技術の抱える問題に鑑みて為されたものであり、塗料の色変えを容易に行え、その際に生じる塗料のロスを減少させる簡易な建材塗工装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成する手段について種々研究した結果、塗工現場で塗料を液体状態で測色することにより、目標色を容易に再現でき、前工程の残塗料を活用することを見い出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、各々の塗料調色装置と連結された複数の可動塗工部を有する建材塗工装置であって、該塗料調色装置が、透明基材の一方の面に循環する一定厚さの塗料面を形成する手段、目標色塗料及び近似色塗料を液体状態で測色する手段、目標色測色データと近似色測色データの色差を計算する手段、該色差に対応した基本色ベース塗料を添加する手段を有することを特徴とする建材塗工装置を提供する。
【0009】
特に、前記した循環する一定厚さの塗料面を形成する手段が、透明基材および塗料を一定流量かつ一定圧力で循環させる循環ポンプを有し、透明基材の下面に塗料を吐出させる位置にポンプの吐出口を配置した建材塗工装置を提供する。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明は、複数の可動塗工部を有する建材塗工装置であって、各々の塗工部は各々の塗料調色装置と連結されている。塗料調色装置は、透明基材の一方の面に循環する一定厚さの塗料面を形成する手段、目標色塗料及び近似色塗料を液体状態で測色する手段、目標色測色データと近似色測色データの色差を計算する手段、該色差に対応した基本色ベース塗料を添加する手段を有するものである。
【0011】
前記した循環する一定厚さの塗料面を形成する手段は、透明基材および塗料を一定流量かつ一定圧力で循環させる循環ポンプを有し、透明基材の下面に塗料を吐出させる位置にポンプの吐出口を配置している。
【0012】
透明基材の上面に塗料を吐出させると、透明基材表面に塗料中の顔料成分が蓄積する傾向がある。透明基材の配置は垂直(角度90度)から水平(角度0度)まで任意の角度で配置させることが出来る。
【0013】
塗料調色装置の具体的な形態の例として、透明基材を底面とする円筒状の容器を、底面を上に配置し、ポンプの吐出口から塗料を所定流量、所定の圧力で噴出させ、底面の内側に定常的な塗料液面を形成させ、透明な底面を介して色差計と光学的に接続することが出来る。
【0014】
又、本発明は、複数の可動塗工部の何れか1の塗工部を塗工ライン上に配置し、他の塗工部をライン外に配置する機構を有する建材塗工装置である。塗工ラインの内、塗工ヘッド、建材の搬送、乾燥ラインは従来公知の方式を採用することが出来る。前記塗工ヘッドを可動として、該ヘッドに塗料を供給する部分に本発明の特徴を成す塗料調色装置を連結する。
【0015】
循環ポンプは、近似色塗料は勿論、目標色塗料を、透明基材表面に吐出させ、一定流量でかつ一定の塗料面厚さを得る必要がある。このようなポンプとしては、エア駆動式ダイヤグラムポンプが好ましく、市販品として、ランズバーグ社Infinityダイヤグラムポンプ等が入手できる。
【0016】
塗料の流量、吐出圧、塗料面の厚さは、塗料の粘度、顔料組成にも依存するが、例えば、塗料の粘度が40〜1000mPa・s程度の場合、流量としては、20〜800g/min、吐出圧は、0.01〜0.75MPa程度が測色容易である。
【0017】
透明基材としては、塗料中の溶剤成分に耐久性を有すれば、任意の基材が用いられる透明基材を保持する、筒状の部分は同種の透明ガラスであっても、透明であっても、不透明であっても良く、ガラス以外の素材でも良い。
【0018】
本発明の塗料調色装置を用いた調色工程について詳細に説明する。第一の工程は、目標色塗料の液体状態での測色データ(1)を得る工程である。目標色塗料とは、例えば、顧客から提示された基材上に展色されたサンプルから実験室レベルで調整した調色済の塗料を表す。別の場合として、既に製品として出荷した実績のある塗料についてリピートオーダーにより再生産が必要になった場合の前ロット保存サンプルである場合がある。それらの塗料について塗料状態で充分近似した色を有する塗料を得ることが求められる。また、少量多品種で色変えが頻繁にある塗工ラインで、前工程の残存塗料の活用も望まれ、次の色の塗料を目標色、残存塗料を近似色とする場合もある。
【0019】
ここで測定される測色データとしては、公知の色データが用い得るが、例えば、色差計で得られる、L、a、b、ΔE(デルタE)、ΔL、Δa、Δb値が好ましく用いられる。
【0020】
第二の工程は、近似色塗料の液体状態での測色データ(2)を得る工程である。近似色塗料とは、展色された色を、公知の測色手段で色分解し、再現に必要な各種の色材を混合することによって、又は、概ね既知の配合から比較的容易に得られる調色前の塗料である。この近似色塗料について、前記した目標色塗料の場合と同様に測色データを得る。ここで測定される測色データは、前記工程での目標色塗料と同項目のデータを得て、次工程でその差を求めることになる。目標色塗料の測色と同様に、近似色塗料を循環させながら測色することで、後述のベース塗料添加工程から測色データへの反映が迅速に行われる。
【0021】
第三の工程は、前記した目標色測色データ(1)と近似色測色データ(2)の色差を計算する工程である。
【0022】
第四の工程は、該色差に対応した基本色ベース塗料を添加する工程である。対応した基本色ベース塗料とは、例えば、建材用であれば、茶色系塗料が多く、ベース塗料としては、赤、黄、青、黒、白の各色のベース塗料を用意することが出来る。結着樹脂等、顔料以外の主成分を概ね共通の材料で各色のベース塗料を作製することが好ましい。
【0023】
予め、添加すべき塗料(色)の表色データ(L、a、b)は取り込んでおくことが出来る。塗料の添加判断は作業者の判断でも良いが、例えば、木材用途の場合、ΔL(デルタL)が大の場合白色の添加、ΔLが小の場合黒色の添加、Δaが小の場合赤色の添加、Δbが小の場合黄色の添加等のプログラムを用意することが出来る。
【0024】
ベース塗料の添加と測色を、色差が所定の許容範囲内に収束するまで繰り返す。測色工程が、ベース塗料添加工程と循環ポンプを介して連結されているため、近似色塗料の測色データ及び目標色塗料との色差を連続的に把握することが出来る。
【0025】
塗料調色装置の概略を図1に示す。それぞれ、1:透明基材部分、2:吐出口、3:測色機、4:循環ポンプ、5:撹拌タンク、6:攪拌機示す。2:吐出口から吐出される塗料は、1:透明基材の下面に一定厚さの塗料面を形成する。図示しないが、ベース塗料タンクが供給管を介して撹拌タンクに接続されている。
【0026】
木質建材用ベース塗料の一般的組成は、顔料20〜55質量%程度、樹脂(ビヒクル)3〜5質量%、溶剤40〜65質量%添加剤1〜2質量%である。
【0027】
これらのベース塗料を、ベース塗料タンクに充填しておき、目標色塗料と近似色塗料から得られる色差データに応じて、ベース塗料を添加していく。
【0028】
建材特有の事例として、次のような形態がある。例えば、第一色の工程で塗工を終了し、第二の色に色変えをする場合、第二の色塗料が目標色塗料となる。第二の色塗料の色データは事前に得ておくことが出来る。その後、第一色の塗料を塗料貯めから塗工ヘッドに至るまでの工程に残存させた状態で、ベース塗料を追加混合し、近似色塗料とする。ベース塗料の追加撹拌を連続的に行い、第二の色塗料との色差を計算し、許容範囲に収束した時点で、第二の色塗料の塗工を開始することが出来る。建材塗料は通常、茶色系統が多く、ベース塗料として、赤、黄、青、黒、白の各色の塗料を用意することで対応が容易となる。
【0029】
一ラインに複数の塗工部を有することで、例えば、第一の塗工部で第一の色塗料を塗工中に、第二の塗工部で第二の色塗料を準備し、色変えを容易に行うとともに、第二の塗工部で第二の色塗料を塗工中に、ライン外に移動した第一の塗工部で連結した塗料調色装置を用いて、残存する第一の色塗料にベース塗料を添加することにより、調色を行い第一の色塗料を廃棄せずに第三の色塗料の工程を準備することが出来る。
【0030】
すなわち、第一の塗工部での第一の色塗料を塗工中に、塗工ラインの外で第二の塗工部に第二の色塗料を用意する。第一の塗工が終了した時点で第一の塗工部をライン外に移動する。第二の塗工部をラインに組み込み、第二の色塗料の塗工を開始する。ラインの外に移動した第一の塗工部について、第三の色塗料を準備する。この時、第一の塗工部には第一の塗料が数十リットル残存している。別途容器に用意されている第三の色塗料を目標色塗料とし、残存している第一の色塗料を第一次近似色塗料として測色データを取り、目標色塗料の測色データとの差の応じて並行してベース塗料を追加し第三の色塗料の色と同等の色を得る。その後用意された第三の塗料容器に接続することで、残存した第一の塗料を有効に利用して第三の塗料の塗工の準備を完了する。
【0031】
詳しくは、この場合、まず、第三の色塗料を目標色塗料として、その液体状態での測色データを得る。その後、第一の色塗料を第一次近似色塗料として、その液体状態での測色データを得る。前記した目標色測色データと近似色測色データの色差を計算し、該色差に対応した基本色ベース塗料を添加する。色差が所定の許容範囲内に収束するまで繰り返すことにより、目標色塗料、すなわち、第三の色塗料を得る。これにより無駄のない色変えが現場で手軽に実施できる。
【0032】
【実施例】
次に、実施例により、本発明を具体的に説明する。すなわち、前記した例の第三の色塗料を目標色塗料として、その測色データを得て、第一の色塗料を第一次近似色塗料として、モデル的にそれぞれの測色データ、色差、ベース塗料追加での第二次以降の近似色の測色データを示し、容易に収束する過程を示す。
【0033】
(実施例1)
アクリル樹脂系ベース塗料として、白ベースは酸化チタン70質量%、アクリル樹脂28質量%、添加剤2質量%で、黒赤黄ベースについては、カーボンブラック、赤顔料及び黄顔料各40質量%、アクリル樹脂56質量%、添加剤4質量%の配合で4色を調製した。前記ベース塗料を、白:2部、黒:1部、黄:2部赤:2部、及び水:7部で配合して、目標色塗料を調製した。第一の工程として、ガラス製の透明基材下面に、塗料粘度300mPa・s、吐出量300g/minで、測色機(ミノルタ社製CR310)で目標色塗料の測色データを得た。前記ベース塗料を各色同量ずつ配合して、第一次近似色塗料を調製した。目標色塗料と同一の条件で測色し、第一次色差データを得た。以下に、白、黄、赤、黒及び水の順に追加して、その配合と、その際の色差の変化を示した。最終的な配合(六次仕込み)では一次仕込みと同じ配合になるよう調整した。
【0034】
【表1】
【0035】
【発明の効果】
通常、茶色系統の建材塗料の場合、色差の値が、ΔE=2程度以下に収束すれば、実用上十分使用が可能と判断される。本発明の装置により、塗料を循環させ、一定液厚さのフレッシュな状態で液体状態で測色することで、調色が容易となり、展色工程を省略することが可能になるとともに、現場で容易に色変えも実施でき塗料の有効活用が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の建材塗工装置の主要部である塗料調色装置を示す概念図である。
【図2】建材塗工装置の上方からの配置図である。
【符号の説明】
1 透明基材
2 吐出口
3 測色機
4 循環ポンプ
5 撹拌タンク
6 攪拌機
7 塗工ライン
8 第一の塗工部
9 第一の塗料調色装置
10 ライン外に待機中の第二の塗工部
11 第二の塗料調色装置
【発明の属する技術分野】
本発明は、目標色塗料再現を目指す調色手段を有する、建材塗料塗工装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、着色剤含有塗料の製造においては、顧客から提示される、基材に展色された目標色の再現から始まる。展色された色を、公知の測色手段で色分解し、再現に必要な各種の色材を混合することによって、近似色塗料の製造は容易に行われるが、顧客の要望に合わせる、最終段階での調色工程では、実際に基材上に展色し、目標色との差を熟練した目で判断して、ベース基本色の微妙な追加を行い、目標色に近づける工程を要している。又、目標色に充分近い塗料を実験室レベルでは比較的容易に達成できる場合でも、分野によっては、スケールアップ工程は単なる比例計算だけでは充分ではないことが知られている。一般に、CCMと呼ばれる方式で、調色を合理化しているが、膨大な基本データの蓄積及び展色工程を必要としている。特に、木質基材に対しては、必然的に基材の地色のバラツキがあるため、塗り板として、色目の再現が困難な場合が多い。
【0003】
又、木質材料を基材とする建材用途などでは、基材表面の色的な安定性に欠き、板上の塗装見本の再現は困難を極めており、熟練した人手による展色工程及び目視検査を余儀なくされている。そこで、熟練した人手を介さない、展色工程を不要とする調色工程が求められている。展色工程を省く調色の例として、メタリック塗料の調製で、塗料を液体の状態で測色する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。ここでは、塗料タンクの底面から測色を行っている。
【0004】
また、建材塗工に特有の現状として、少量多品種の塗工が望まれる場合が多い。通常の塗工装置では、色変えを行う場合に、塗料貯めから塗工ヘッドに至る部分の洗浄の必要とともに、塗工する量に依らず、必然的に塗料貯めから塗工ヘッドに至る部分にあった数十リットルの塗料を取り出さざるを得ず、次回直ぐに使用しない限り、廃棄せざるを得ないことになる。そこで、色変えにも、環境保護の観点からも、作業性の観点からも、前工程での残塗料を無駄なく使用する方法が求められている。
【0005】
【特許文献8】
特開2002−226735号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、このような従来技術の抱える問題に鑑みて為されたものであり、塗料の色変えを容易に行え、その際に生じる塗料のロスを減少させる簡易な建材塗工装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成する手段について種々研究した結果、塗工現場で塗料を液体状態で測色することにより、目標色を容易に再現でき、前工程の残塗料を活用することを見い出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、各々の塗料調色装置と連結された複数の可動塗工部を有する建材塗工装置であって、該塗料調色装置が、透明基材の一方の面に循環する一定厚さの塗料面を形成する手段、目標色塗料及び近似色塗料を液体状態で測色する手段、目標色測色データと近似色測色データの色差を計算する手段、該色差に対応した基本色ベース塗料を添加する手段を有することを特徴とする建材塗工装置を提供する。
【0009】
特に、前記した循環する一定厚さの塗料面を形成する手段が、透明基材および塗料を一定流量かつ一定圧力で循環させる循環ポンプを有し、透明基材の下面に塗料を吐出させる位置にポンプの吐出口を配置した建材塗工装置を提供する。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明は、複数の可動塗工部を有する建材塗工装置であって、各々の塗工部は各々の塗料調色装置と連結されている。塗料調色装置は、透明基材の一方の面に循環する一定厚さの塗料面を形成する手段、目標色塗料及び近似色塗料を液体状態で測色する手段、目標色測色データと近似色測色データの色差を計算する手段、該色差に対応した基本色ベース塗料を添加する手段を有するものである。
【0011】
前記した循環する一定厚さの塗料面を形成する手段は、透明基材および塗料を一定流量かつ一定圧力で循環させる循環ポンプを有し、透明基材の下面に塗料を吐出させる位置にポンプの吐出口を配置している。
【0012】
透明基材の上面に塗料を吐出させると、透明基材表面に塗料中の顔料成分が蓄積する傾向がある。透明基材の配置は垂直(角度90度)から水平(角度0度)まで任意の角度で配置させることが出来る。
【0013】
塗料調色装置の具体的な形態の例として、透明基材を底面とする円筒状の容器を、底面を上に配置し、ポンプの吐出口から塗料を所定流量、所定の圧力で噴出させ、底面の内側に定常的な塗料液面を形成させ、透明な底面を介して色差計と光学的に接続することが出来る。
【0014】
又、本発明は、複数の可動塗工部の何れか1の塗工部を塗工ライン上に配置し、他の塗工部をライン外に配置する機構を有する建材塗工装置である。塗工ラインの内、塗工ヘッド、建材の搬送、乾燥ラインは従来公知の方式を採用することが出来る。前記塗工ヘッドを可動として、該ヘッドに塗料を供給する部分に本発明の特徴を成す塗料調色装置を連結する。
【0015】
循環ポンプは、近似色塗料は勿論、目標色塗料を、透明基材表面に吐出させ、一定流量でかつ一定の塗料面厚さを得る必要がある。このようなポンプとしては、エア駆動式ダイヤグラムポンプが好ましく、市販品として、ランズバーグ社Infinityダイヤグラムポンプ等が入手できる。
【0016】
塗料の流量、吐出圧、塗料面の厚さは、塗料の粘度、顔料組成にも依存するが、例えば、塗料の粘度が40〜1000mPa・s程度の場合、流量としては、20〜800g/min、吐出圧は、0.01〜0.75MPa程度が測色容易である。
【0017】
透明基材としては、塗料中の溶剤成分に耐久性を有すれば、任意の基材が用いられる透明基材を保持する、筒状の部分は同種の透明ガラスであっても、透明であっても、不透明であっても良く、ガラス以外の素材でも良い。
【0018】
本発明の塗料調色装置を用いた調色工程について詳細に説明する。第一の工程は、目標色塗料の液体状態での測色データ(1)を得る工程である。目標色塗料とは、例えば、顧客から提示された基材上に展色されたサンプルから実験室レベルで調整した調色済の塗料を表す。別の場合として、既に製品として出荷した実績のある塗料についてリピートオーダーにより再生産が必要になった場合の前ロット保存サンプルである場合がある。それらの塗料について塗料状態で充分近似した色を有する塗料を得ることが求められる。また、少量多品種で色変えが頻繁にある塗工ラインで、前工程の残存塗料の活用も望まれ、次の色の塗料を目標色、残存塗料を近似色とする場合もある。
【0019】
ここで測定される測色データとしては、公知の色データが用い得るが、例えば、色差計で得られる、L、a、b、ΔE(デルタE)、ΔL、Δa、Δb値が好ましく用いられる。
【0020】
第二の工程は、近似色塗料の液体状態での測色データ(2)を得る工程である。近似色塗料とは、展色された色を、公知の測色手段で色分解し、再現に必要な各種の色材を混合することによって、又は、概ね既知の配合から比較的容易に得られる調色前の塗料である。この近似色塗料について、前記した目標色塗料の場合と同様に測色データを得る。ここで測定される測色データは、前記工程での目標色塗料と同項目のデータを得て、次工程でその差を求めることになる。目標色塗料の測色と同様に、近似色塗料を循環させながら測色することで、後述のベース塗料添加工程から測色データへの反映が迅速に行われる。
【0021】
第三の工程は、前記した目標色測色データ(1)と近似色測色データ(2)の色差を計算する工程である。
【0022】
第四の工程は、該色差に対応した基本色ベース塗料を添加する工程である。対応した基本色ベース塗料とは、例えば、建材用であれば、茶色系塗料が多く、ベース塗料としては、赤、黄、青、黒、白の各色のベース塗料を用意することが出来る。結着樹脂等、顔料以外の主成分を概ね共通の材料で各色のベース塗料を作製することが好ましい。
【0023】
予め、添加すべき塗料(色)の表色データ(L、a、b)は取り込んでおくことが出来る。塗料の添加判断は作業者の判断でも良いが、例えば、木材用途の場合、ΔL(デルタL)が大の場合白色の添加、ΔLが小の場合黒色の添加、Δaが小の場合赤色の添加、Δbが小の場合黄色の添加等のプログラムを用意することが出来る。
【0024】
ベース塗料の添加と測色を、色差が所定の許容範囲内に収束するまで繰り返す。測色工程が、ベース塗料添加工程と循環ポンプを介して連結されているため、近似色塗料の測色データ及び目標色塗料との色差を連続的に把握することが出来る。
【0025】
塗料調色装置の概略を図1に示す。それぞれ、1:透明基材部分、2:吐出口、3:測色機、4:循環ポンプ、5:撹拌タンク、6:攪拌機示す。2:吐出口から吐出される塗料は、1:透明基材の下面に一定厚さの塗料面を形成する。図示しないが、ベース塗料タンクが供給管を介して撹拌タンクに接続されている。
【0026】
木質建材用ベース塗料の一般的組成は、顔料20〜55質量%程度、樹脂(ビヒクル)3〜5質量%、溶剤40〜65質量%添加剤1〜2質量%である。
【0027】
これらのベース塗料を、ベース塗料タンクに充填しておき、目標色塗料と近似色塗料から得られる色差データに応じて、ベース塗料を添加していく。
【0028】
建材特有の事例として、次のような形態がある。例えば、第一色の工程で塗工を終了し、第二の色に色変えをする場合、第二の色塗料が目標色塗料となる。第二の色塗料の色データは事前に得ておくことが出来る。その後、第一色の塗料を塗料貯めから塗工ヘッドに至るまでの工程に残存させた状態で、ベース塗料を追加混合し、近似色塗料とする。ベース塗料の追加撹拌を連続的に行い、第二の色塗料との色差を計算し、許容範囲に収束した時点で、第二の色塗料の塗工を開始することが出来る。建材塗料は通常、茶色系統が多く、ベース塗料として、赤、黄、青、黒、白の各色の塗料を用意することで対応が容易となる。
【0029】
一ラインに複数の塗工部を有することで、例えば、第一の塗工部で第一の色塗料を塗工中に、第二の塗工部で第二の色塗料を準備し、色変えを容易に行うとともに、第二の塗工部で第二の色塗料を塗工中に、ライン外に移動した第一の塗工部で連結した塗料調色装置を用いて、残存する第一の色塗料にベース塗料を添加することにより、調色を行い第一の色塗料を廃棄せずに第三の色塗料の工程を準備することが出来る。
【0030】
すなわち、第一の塗工部での第一の色塗料を塗工中に、塗工ラインの外で第二の塗工部に第二の色塗料を用意する。第一の塗工が終了した時点で第一の塗工部をライン外に移動する。第二の塗工部をラインに組み込み、第二の色塗料の塗工を開始する。ラインの外に移動した第一の塗工部について、第三の色塗料を準備する。この時、第一の塗工部には第一の塗料が数十リットル残存している。別途容器に用意されている第三の色塗料を目標色塗料とし、残存している第一の色塗料を第一次近似色塗料として測色データを取り、目標色塗料の測色データとの差の応じて並行してベース塗料を追加し第三の色塗料の色と同等の色を得る。その後用意された第三の塗料容器に接続することで、残存した第一の塗料を有効に利用して第三の塗料の塗工の準備を完了する。
【0031】
詳しくは、この場合、まず、第三の色塗料を目標色塗料として、その液体状態での測色データを得る。その後、第一の色塗料を第一次近似色塗料として、その液体状態での測色データを得る。前記した目標色測色データと近似色測色データの色差を計算し、該色差に対応した基本色ベース塗料を添加する。色差が所定の許容範囲内に収束するまで繰り返すことにより、目標色塗料、すなわち、第三の色塗料を得る。これにより無駄のない色変えが現場で手軽に実施できる。
【0032】
【実施例】
次に、実施例により、本発明を具体的に説明する。すなわち、前記した例の第三の色塗料を目標色塗料として、その測色データを得て、第一の色塗料を第一次近似色塗料として、モデル的にそれぞれの測色データ、色差、ベース塗料追加での第二次以降の近似色の測色データを示し、容易に収束する過程を示す。
【0033】
(実施例1)
アクリル樹脂系ベース塗料として、白ベースは酸化チタン70質量%、アクリル樹脂28質量%、添加剤2質量%で、黒赤黄ベースについては、カーボンブラック、赤顔料及び黄顔料各40質量%、アクリル樹脂56質量%、添加剤4質量%の配合で4色を調製した。前記ベース塗料を、白:2部、黒:1部、黄:2部赤:2部、及び水:7部で配合して、目標色塗料を調製した。第一の工程として、ガラス製の透明基材下面に、塗料粘度300mPa・s、吐出量300g/minで、測色機(ミノルタ社製CR310)で目標色塗料の測色データを得た。前記ベース塗料を各色同量ずつ配合して、第一次近似色塗料を調製した。目標色塗料と同一の条件で測色し、第一次色差データを得た。以下に、白、黄、赤、黒及び水の順に追加して、その配合と、その際の色差の変化を示した。最終的な配合(六次仕込み)では一次仕込みと同じ配合になるよう調整した。
【0034】
【表1】
【0035】
【発明の効果】
通常、茶色系統の建材塗料の場合、色差の値が、ΔE=2程度以下に収束すれば、実用上十分使用が可能と判断される。本発明の装置により、塗料を循環させ、一定液厚さのフレッシュな状態で液体状態で測色することで、調色が容易となり、展色工程を省略することが可能になるとともに、現場で容易に色変えも実施でき塗料の有効活用が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の建材塗工装置の主要部である塗料調色装置を示す概念図である。
【図2】建材塗工装置の上方からの配置図である。
【符号の説明】
1 透明基材
2 吐出口
3 測色機
4 循環ポンプ
5 撹拌タンク
6 攪拌機
7 塗工ライン
8 第一の塗工部
9 第一の塗料調色装置
10 ライン外に待機中の第二の塗工部
11 第二の塗料調色装置
Claims (4)
- 各々の塗料調色装置と連結された複数の可動塗工部を有する建材塗工装置であって、該塗料調色装置が、透明基材の一方の面に循環する一定厚さの塗料面を形成する手段、目標色塗料及び近似色塗料を液体状態で測色する手段、目標色測色データと近似色測色データの色差を計算する手段、該色差に対応した基本色ベース塗料を添加する手段を有することを特徴とする建材塗工装置。
- 前記した循環する一定厚さの塗料面を形成する手段が、透明基材および塗料を一定流量かつ一定圧力で循環させる循環ポンプを有し、透明基材の下面に塗料を吐出させる位置にポンプの吐出口を配置した請求項1に記載の建材塗工装置。
- 測色データを得る手段が色差計であって、測色項目が、L、a、b、ΔE、ΔL、Δa、Δb値である請求項1に記載の建材塗工装置。
- 複数の可動塗工部の何れか1の塗工部を塗工ライン上に配置し、他の塗工部をライン外に配置する機構を有する請求項1に記載の建材塗工装置。
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JP2017025139A (ja) * | 2015-07-16 | 2017-02-02 | ゾンデックス株式会社 | 調色支援システム |
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- 2003-07-07 JP JP2003192839A patent/JP2005030778A/ja active Pending
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