JP2005030458A - シザーズギヤおよび電動パワーステアリング装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】比較的簡便な構成を採りながら、ギヤ打音の効果的な抑制等を実現したシザーズギヤやこのシザーズギヤを用いた電動パワーステアリング装置を提供する。
【解決手段】アイドラギヤ38は、第1ヘリカルギヤ71と、第2ヘリカルギヤ73と、両ヘリカルギヤ71,73の間に介装された弾性体である合成ゴム製のカップリング75とから構成されている。カップリング75のねじり剛性をkδとし、軸方向剛性をkaとし、第1,第2ヘリカルギヤ71,73のピッチ円半径をr、ねじれ角をβとしたとき、kδ/ka>(r/tanβ)2であるように設定されている。
【選択図】 図4
【解決手段】アイドラギヤ38は、第1ヘリカルギヤ71と、第2ヘリカルギヤ73と、両ヘリカルギヤ71,73の間に介装された弾性体である合成ゴム製のカップリング75とから構成されている。カップリング75のねじり剛性をkδとし、軸方向剛性をkaとし、第1,第2ヘリカルギヤ71,73のピッチ円半径をr、ねじれ角をβとしたとき、kδ/ka>(r/tanβ)2であるように設定されている。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シザーズギヤおよび電動パワーステアリング装置に係り、詳しくは、比較的簡便な構成を採りながら、ギヤ打音の効果的な抑制等を実現する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車の操舵系では、外部動力源を用いて操舵アシストを行わせる、いわゆるパワーステアリング装置が広く採用されている。従来、パワーステアリング装置用の動力源としては、ベーン方式の油圧ポンプが用いられており、この油圧ポンプをエンジンにより駆動するものが多かった。ところが、この種のパワーステアリング装置は、油圧ポンプを常時駆動することによるエンジンの駆動損失が大きい(最大負荷時において、数馬力〜十馬力程度)ため、小排気量の軽自動車等への採用が難しく、比較的大排気量の自動車でも走行燃費が無視できないほど低下することが避けられなかった。
【0003】
そこで、これらの問題を解決するものとして、電動モータを動力源とする電動パワーステアリング装置(Electric Power Steering、以下EPSと記す)が近年注目されている。EPSには、電動モータの電源に車載バッテリを用いるために直接的なエンジンの駆動損失(油圧ポンプに係るエンジンの駆動損失)が無く、電動モータが操舵アシスト時にのみに起動されるために走行燃費の低下も抑えられる他、電子制御が極めて容易に行える等の特長がある。
【0004】
一方、乗用車用のステアリングギヤとしては、高剛性かつ軽量であること等から、現在ではラックピニオン式が主流となっている。そして、ラック&ピニオン式ステアリングギヤ用のEPSとしては、ステアリングシャフトやピニオン自体を駆動するべくコラム側部に電動モータを配置したコラムアシスト型等の他、電動式のボールねじ機構によりラックシャフトを駆動するボールねじ式ラックアシスト型も用いられている。ボールねじ式ラックアシスト型のEPS(以下、単にラックアシスト型EPSと記す)では、アシスト力がピニオンとラックとの噛合面に作用しないため、摩耗や変形の要因となる両部材間の接触面圧が比較的小さくなる。
【0005】
ラックアシスト型EPSでは、ラックシャフトに形成されたボールねじ軸の雄ねじ溝とボールナットに形成された雌ねじ溝とが多数個の循環ボール(鋼球)を介して係合しており、電動モータによりボールナットを回転駆動することでラックシャフトが軸方向に移動する。電動モータとボールナットとの間の動力伝達方法としては、タイミングベルト式等もあるが、ギヤ式のもの(例えば、特許文献1,2参照)が一般的である。ギヤ式の動力伝達方法が採られたラックアシスト型EPSでは、電動モータ側のギヤとボールナット側のギヤとが大径となることを避けるべく、通常は両ギヤの間にアイドラギヤが介装される。
【0006】
【特許文献1】
特許第3062852号 (第3頁、図1)
【特許文献2】
実公平2−46455号公報 (第2頁、図2)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上述したラックアシスト型EPSでは、動力伝達用ギヤ列のギヤとして、ヘリカルギヤやスパーギヤが用いられる。周知のように、これらのギヤを円滑に作動させるには、噛み合うギヤ間には適正なバックラッシュを設ける必要がある。ところが、EPSの場合には操舵反転に伴ってギヤの回転方向が変動するため、直進走行時等に運転者により正逆方向に微少舵角があたえられた場合、ラトル音(ギヤの打音)が発生する問題があった。これは、ギヤが比較的短い間隔で正逆転を繰り返し、バックラッシュ分遊動したギヤの歯面が相手側ギヤの歯面に衝突することに起因する。
【0008】
従来より、スパーギヤの打音を抑制する技術として、シザーズギヤが公知となっている。シザーズギヤは、スパーギヤを軸方向で二分割すると共に、引張コイルばねあるいは圧縮コイルばねにより二分割されたスパーギヤを相対回転する方向に付勢するもので、相手側ギヤの歯を両スパーギヤの歯により挟圧・保持し、遊動による衝突を防ぐ構造となっている。しかしながら、この種のシザーズギヤでは、引張コイルばねや圧縮コイルばねが2本〜4本程度必要となる他、両スパーギヤに引張コイルばねや圧縮コイルばねの設置スペース(あるいは、収納スペース)や係止ピン等も必要となり、構成部品点数や組立工数が多くなり、構造やギヤ形状も複雑になることが避けられなかった。
【0009】
そこで、本出願人は、図11に示したように、一対のヘリカルギヤ71,73をスプライン81,85により軸方向に摺動自在に連結させると共に、これらヘリカルギヤ71,73を圧縮コイルばね75により軸方向に離反させるように構成したシザーズギア38を過去に提案した。このシザーズギア38は、比較的構成が簡素でありながら、遊動に起因する打音の抑制に大きな効果を発揮した。ところが、この形式のシザーズギア38で円滑な作動を実現するためには、スプライン81,85に高い寸法・形状精度と滑らかな表面とが要求され、製造工数の増大や製造コストの上昇が許容範囲を超える等の問題があった。
【0010】
本発明は、上記状況に鑑みなされたもので、簡易かつ製造容易でありながら、ギヤ打音の効果的な抑制等を実現したシザーズギヤやこのシザーズギヤを用いた電動パワーステアリング装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するべく、請求項1の発明では、ギヤ列の一部を構成し、ギヤ打音を抑制するべく、噛み合ったギヤの歯を挟圧・保持するシザーズギヤであって、第1のヘリカルギヤと、この第1のヘリカルギヤに少なくとも軸方向に摺動自在に係合する第2のヘリカルギヤと、前記第1のヘリカルギヤと前記第2のヘリカルギヤとを軸方向に離反させる弾性体とを備え、前記弾性体のねじり剛性をkδ、軸方向剛性をkaとし、前記第1および第2のヘリカルギヤのピッチ円半径をr、ねじれ角をβとしたとき、kδ/ka>(r/tanβ)2であるものを提案する。
【0012】
請求項1の発明によれば、第1のヘリカルギヤと第2のヘリカルギヤが軸方向に離反することにより、シザーズギヤに噛み合うヘリカルギヤの歯が挟圧・保持され、遊動に起因するギヤ打音の発生が防止される。
【0013】
また、請求項2の発明では、請求項1のシザーズギヤにおいて、前記弾性体が合成ゴムであるものを提案する。
【0014】
この発明によれば、例えば、第1のヘリカルギヤと第2のヘリカルギヤとの間の軸芯に打ち抜き加工や加硫成形された合成ゴム板を介装することにより、両ヘリカルギヤが軸方向に離反する。
【0015】
また、請求項3の発明では、電動モータの駆動力を、シザーズギヤを含むギヤ列を介して、ステアリング駆動要素に伝達させることにより操舵アシストを行わせる電動パワーステアリング装置であって、前記シザーズギヤが、第1のヘリカルギヤと、この第1のヘリカルギヤに少なくとも軸方向に摺動自在に係合する第2のヘリカルギヤと、前記第1のヘリカルギヤと前記第2のヘリカルギヤとを軸方向に離反させる弾性体とを備え、前記弾性体のねじり剛性をkδ、軸方向剛性をkaとし、前記第1および第2のヘリカルギヤのピッチ円半径をr、ねじれ角をβとしたとき、kδ/ka>(r/tanβ)2であるものを提案する。
【0016】
請求項3の発明によれば、第1のヘリカルギヤと第2のヘリカルギヤが軸方向に離反することにより、シザーズギヤに噛み合うヘリカルギヤの歯が挟圧・保持され、遊動に起因するギヤ打音の発生が防止される。
【0017】
また、請求項4の発明では、請求項3の電動パワーステアリング装置において、前記弾性体が合成ゴムであるものを提案する。
【0018】
この発明によれば、例えば、第1のヘリカルギヤと第2のヘリカルギヤとの間の軸芯に打ち抜き加工や加硫成形された合成ゴム板を介装することにより、両ヘリカルギヤが軸方向に離反する。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【0020】
図1は、第1実施形態に係る電動パワーステアリング装置(EPS)の概略構成を示した斜視図である。同図中に符号1で示した部材はステアリングコラムであり、アッパステアリングシャフト3を回動自在に支持している。アッパステアリングシャフト3には、その上端にステアリングホイール5が装着される一方、下端にユニバーサルジョイント7を介してロアステアリングシャフト9が連結されている。ロアステアリングシャフト9には、その下端に更にラック&ピニオン機構やパワーアシスト機構等からなるステアリングギヤ11が連結されている。図1中、符号15はステアリングギヤ11の左右端に連結されたタイロッドを示している。
【0021】
図2は第1実施形態に係るステアリングギヤ11の要部断面平面図であり、図3は図2中のA−A拡大断面図である。これらの図中で符号21で示した部材はステアリングギヤケースを構成するラック&ピニオンハウジングであり、ラック&ピニオン機構を構成するラックシャフト23やピニオン(図示せず)を保持している。ラックシャフト23は、ピニオンに噛み合うラック25を図中左側に有すると共に、その左右端にはタイロッド15を揺動自在に支持する球面継手27が固着されている。
【0022】
パワーアシスト機構は、ラック&ピニオンハウジング21の左端に形成された第2のハウジングたるギヤハウジング31と、ギヤハウジング31にボルト締めされてラック&ピニオンハウジング21と伴にステアリングギヤケースを構成する第1のハウジングたるボールねじハウジング33とを外郭としている。ギヤハウジング31には、その後方に電動モータ35がボルト締めされている。尚、図2においては、説明の便宜上、電動モータ35を下方に描いている。
【0023】
ギヤハウジング31とボールねじハウジング33との間には、電動モータ35のモータシャフト(図示せず)に固着されたドライブギヤ37と、シザーズギヤたるアイドラギヤ38を介してドライブギヤ37に噛み合うドリブンギヤ39が収納されている。本実施形態の場合、各ギヤ37,38,39はヘリカルギヤである。
【0024】
ボールねじハウジング33には、ドリブンギヤ39が端部に形成されたボールナット41が回動自在に保持されている。ボールナット41は、ボールナット本体43と、ボールナット本体43に外嵌された複列アンギュラ玉軸受45とからなっている。
【0025】
ラックシャフト23には雄ねじ溝61が形成される一方、ボールナット本体43には雌ねじ溝63が形成され、雄ねじ溝61と雌ねじ溝63との間には循環ボールたる多数個の鋼球65が介装されている。また、ボールナット本体43には、鋼球65を循環させるための循環こま(図示せず)が装着されている。
【0026】
図4はシザーズギヤたるアイドラギヤ38の平面図であり、図5は図4中のB−B断面図であり、図6はアイドラギヤ38の分解斜視図である。これらの図に示したように、アイドラギヤ38は、第1ヘリカルギヤ71と、第2ヘリカルギヤ73と、両ヘリカルギヤ71,73の間に介装された弾性体である合成ゴム製のカップリング75とから構成されている。図4中、符号77,79は転がり軸受(深溝玉軸受)であり、アイドラギヤ38を回転自在に支持している。
【0027】
第1ヘリカルギヤ71には、図4,図6中左端面に転がり軸受77に支持される第1シャフト81が突設される一方、図4,図6中右端面に第2ヘリカルギヤ73が回動自在に外嵌すると共に転がり軸受79に支持される第2シャフト83が突設されている。
【0028】
カップリング75には、その中央部85に第2シャフト83が貫通する貫通孔87が穿設されると共に、中央部85から6本の係合片89が放射状に延設されている。第1ヘリカルギヤ71と第2ヘリカルギヤ73との対向面には、カップリング75の各係合片89間の空隙に嵌入する各3個の係合突起91,93が120゜の角度間隔でそれぞれ形成されている。
【0029】
本実施形態の場合、カップリング75のねじり剛性をkδとし、軸方向剛性をkaとし、第1,第2ヘリカルギヤ71,73のピッチ円半径をr、ねじれ角をβとしたとき、kδ/ka>(r/tanβ)2であるように設定されている。
【0030】
本実施形態の場合、第1ヘリカルギヤ71と第2ヘリカルギヤ73とは、両ヘリカルギヤ71,73が図4の状態から所定量相対回動した時点で歯すじが一致するように形成されている。また、組立時においては、カップリング75を撓ませ(圧縮変形させ)て第1ヘリカルギヤ71と第2ヘリカルギヤ73とを接近させた状態で、アイドラギヤ38をドライブギヤ37およびドリブンギヤ39と噛み合わせる。
【0031】
以下、第1実施形態の作用を述べる。
【0032】
運転者がステアリングホイール5を左右いずれかの方向に操舵すると、図示しないトルクセンサが操舵トルクを検出することにより、EPS用ECU(図示せず)からの駆動電流を受けて電動モータ35が起動される。これにより、電動モータ35のモータシャフトに固着されたドライブギヤ37が回転し、図3に矢印で示したように、その回転力がアイドラギヤ38を介してドリブンギヤ39に伝達される。
【0033】
通常、ドライブギヤ37の歯とアイドラギヤ38の歯との間にはバックラッシュが存在するが、本実施形態ではアイドラギヤ38がシザーズギヤとなっているため、このバックラッシュに起因するラトル音(ギヤ打音)の発生が抑制される。すなわち、ドライブギヤ37と第1ヘリカルギヤ71との間にバックラッシュが存在していた場合、図5に示したように撓んだカップリング75の復元力により図7に示したように第1ヘリカルギヤ71と第2ヘリカルギヤ73とが軸方向に相離反し、図8に示したように両ヘリカルギヤ71,73の歯がドライブギヤ37の歯を挟圧・保持するのである。
【0034】
次に、カップリング75のねじりおよび軸方向剛性と、バックラッシュとの関係について述べる。
【0035】
図9,図10に示したように、ギヤの噛み合い部の接線方向変位をXuとし、軸方向変位をXaとした場合、ギヤが噛み合う相手の歯に倣って移動する一般条件は、Xu/Xa=tanβとなる。
【0036】
バックラッシュが解消されるには、この一般条件に加えて、更に軸方向変位が接線方向変位より大きくなることが必要であるから、
Xu/Xa<tanβ(=Xu/Xa)が必須条件となる。
【0037】
ここで、二つのギヤの間に介装された弾性体の接線方向のばね剛性をkuとし、軸方向のばね剛性をkaとすれば、接線方向の力Fuは、
Fu=−ku・Xuとなり、軸方向の力Faは、Fa=−ka・Xaとなる。
【0038】
本発明における力の釣り合いにより、Fa=Fu・tanβとなり、上式を代入することで、−ka・Xa=−ku・Xu・tanβ、すなわち、
Xu/Xa=(ka/ku)/tanβとなる。
【0039】
ここで、上述したバックラッシュが解消される必須条件から、
(ka/ku)/tanβ<tanβ、すなわち、ka/ku<tan2βとなる。
【0040】
更に、ギヤのピッチ円半径をr、ねじりトルクをT、ねじり剛性をkδ、ねじり量をδとすれば、Xu=r・δとなり、
T=Fr=−ku・rδ・r=−ku・r2・δとなる。
【0041】
ここで、ねじれ剛性kδをku・r2とおけば、
T=−kδ・δとなる。
【0042】
以上の式から、バックラッシュが解消される条件としては、
kδ/ka>(r/tanβ)2となることが判る。
【0043】
これにより、本実施形態では、操舵反転時等にドライブギヤ37がアイドラギヤ38に対して遊動することがなくなり、EPS作動時の静粛性が大幅に向上した。尚、以上の説明はドライブギヤ37とアイドラギヤ38とに関するものであるが、バックラッシュの量が同等であれば、アイドラギヤ38とドリブンギヤ39とについても同様の効果が得られる。
【0044】
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明の態様は上記実施形態に限られるものではない。例えば、上記実施形態は本発明をEPSの駆動力伝達用ギヤ列のアイドラギヤに適用したものであるが、内燃機関の動弁系や産業機械の動力伝達系等に用いられるシザーズギヤに適用してもよい。その他、ステアリングギヤの全体構成やパワーアシスト機構の構造等についても、本発明の主旨を逸脱しない範囲であれば、設計上あるいは仕様上の要求等により適宜変更可能である。
【0045】
【発明の効果】
以上述べたように、請求項1に係るシザーズギヤや請求項3に係る電動パワーステアリング装置によれば、第1のヘリカルギヤと、この第1のヘリカルギヤに少なくとも軸方向に摺動自在に係合する第2のヘリカルギヤと、前記第1のヘリカルギヤと前記第2のヘリカルギヤとを軸方向に離反させる弾性体とを備え、前記弾性体のねじり剛性をkδ、軸方向剛性をkaとし、前記第1および第2のヘリカルギヤのピッチ円半径をr、ねじれ角をβとしたとき、kδ/ka>(r/tanβ)2であるものとしたため、第1のヘリカルギヤと第2のヘリカルギヤが軸方向に離反することにより、比較的部品点数の少ない簡便な構成を採りながら、シザーズギヤに噛み合うヘリカルギヤの歯が挟圧・保持され、バックラッシュに起因するギヤ打音の発生が防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るステアリング装置の概略構成を示した斜視図である。
【図2】第1実施形態に係るステアリングギヤの平面図である。
【図3】図2中のA−A拡大断面図である。
【図4】第1実施形態に係るアイドラギヤの要部断面平面図である。
【図5】図4中のB−B断面図である。
【図6】アイドラギヤの分解斜視図である。
【図7】本発明の作用を示す説明図である。
【図8】本発明の作用を示す説明図である。
【図9】ギヤの剛性とバックラッシュとの関係を説明するための説明図である。
【図10】ギヤの剛性とバックラッシュとの関係を説明するための説明図である。
【図11】従来の装置に係るシザーズギヤの要部断面平面図である。
【符号の説明】
11‥‥ステアリングギヤ
35‥‥電動モータ
37‥‥ドライブギヤ
38‥‥アイドラギヤ(シザーズギヤ)
39‥‥ドリブンギヤ
71‥‥第1ヘリカルギヤ
73‥‥第2ヘリカルギヤ
75‥‥カップリング(弾性体)
77,79‥‥転がり軸受
81‥‥第1シャフト
83‥‥第2シャフト
87‥‥係合片
91,93‥‥係合突起
【発明の属する技術分野】
本発明は、シザーズギヤおよび電動パワーステアリング装置に係り、詳しくは、比較的簡便な構成を採りながら、ギヤ打音の効果的な抑制等を実現する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車の操舵系では、外部動力源を用いて操舵アシストを行わせる、いわゆるパワーステアリング装置が広く採用されている。従来、パワーステアリング装置用の動力源としては、ベーン方式の油圧ポンプが用いられており、この油圧ポンプをエンジンにより駆動するものが多かった。ところが、この種のパワーステアリング装置は、油圧ポンプを常時駆動することによるエンジンの駆動損失が大きい(最大負荷時において、数馬力〜十馬力程度)ため、小排気量の軽自動車等への採用が難しく、比較的大排気量の自動車でも走行燃費が無視できないほど低下することが避けられなかった。
【0003】
そこで、これらの問題を解決するものとして、電動モータを動力源とする電動パワーステアリング装置(Electric Power Steering、以下EPSと記す)が近年注目されている。EPSには、電動モータの電源に車載バッテリを用いるために直接的なエンジンの駆動損失(油圧ポンプに係るエンジンの駆動損失)が無く、電動モータが操舵アシスト時にのみに起動されるために走行燃費の低下も抑えられる他、電子制御が極めて容易に行える等の特長がある。
【0004】
一方、乗用車用のステアリングギヤとしては、高剛性かつ軽量であること等から、現在ではラックピニオン式が主流となっている。そして、ラック&ピニオン式ステアリングギヤ用のEPSとしては、ステアリングシャフトやピニオン自体を駆動するべくコラム側部に電動モータを配置したコラムアシスト型等の他、電動式のボールねじ機構によりラックシャフトを駆動するボールねじ式ラックアシスト型も用いられている。ボールねじ式ラックアシスト型のEPS(以下、単にラックアシスト型EPSと記す)では、アシスト力がピニオンとラックとの噛合面に作用しないため、摩耗や変形の要因となる両部材間の接触面圧が比較的小さくなる。
【0005】
ラックアシスト型EPSでは、ラックシャフトに形成されたボールねじ軸の雄ねじ溝とボールナットに形成された雌ねじ溝とが多数個の循環ボール(鋼球)を介して係合しており、電動モータによりボールナットを回転駆動することでラックシャフトが軸方向に移動する。電動モータとボールナットとの間の動力伝達方法としては、タイミングベルト式等もあるが、ギヤ式のもの(例えば、特許文献1,2参照)が一般的である。ギヤ式の動力伝達方法が採られたラックアシスト型EPSでは、電動モータ側のギヤとボールナット側のギヤとが大径となることを避けるべく、通常は両ギヤの間にアイドラギヤが介装される。
【0006】
【特許文献1】
特許第3062852号 (第3頁、図1)
【特許文献2】
実公平2−46455号公報 (第2頁、図2)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上述したラックアシスト型EPSでは、動力伝達用ギヤ列のギヤとして、ヘリカルギヤやスパーギヤが用いられる。周知のように、これらのギヤを円滑に作動させるには、噛み合うギヤ間には適正なバックラッシュを設ける必要がある。ところが、EPSの場合には操舵反転に伴ってギヤの回転方向が変動するため、直進走行時等に運転者により正逆方向に微少舵角があたえられた場合、ラトル音(ギヤの打音)が発生する問題があった。これは、ギヤが比較的短い間隔で正逆転を繰り返し、バックラッシュ分遊動したギヤの歯面が相手側ギヤの歯面に衝突することに起因する。
【0008】
従来より、スパーギヤの打音を抑制する技術として、シザーズギヤが公知となっている。シザーズギヤは、スパーギヤを軸方向で二分割すると共に、引張コイルばねあるいは圧縮コイルばねにより二分割されたスパーギヤを相対回転する方向に付勢するもので、相手側ギヤの歯を両スパーギヤの歯により挟圧・保持し、遊動による衝突を防ぐ構造となっている。しかしながら、この種のシザーズギヤでは、引張コイルばねや圧縮コイルばねが2本〜4本程度必要となる他、両スパーギヤに引張コイルばねや圧縮コイルばねの設置スペース(あるいは、収納スペース)や係止ピン等も必要となり、構成部品点数や組立工数が多くなり、構造やギヤ形状も複雑になることが避けられなかった。
【0009】
そこで、本出願人は、図11に示したように、一対のヘリカルギヤ71,73をスプライン81,85により軸方向に摺動自在に連結させると共に、これらヘリカルギヤ71,73を圧縮コイルばね75により軸方向に離反させるように構成したシザーズギア38を過去に提案した。このシザーズギア38は、比較的構成が簡素でありながら、遊動に起因する打音の抑制に大きな効果を発揮した。ところが、この形式のシザーズギア38で円滑な作動を実現するためには、スプライン81,85に高い寸法・形状精度と滑らかな表面とが要求され、製造工数の増大や製造コストの上昇が許容範囲を超える等の問題があった。
【0010】
本発明は、上記状況に鑑みなされたもので、簡易かつ製造容易でありながら、ギヤ打音の効果的な抑制等を実現したシザーズギヤやこのシザーズギヤを用いた電動パワーステアリング装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するべく、請求項1の発明では、ギヤ列の一部を構成し、ギヤ打音を抑制するべく、噛み合ったギヤの歯を挟圧・保持するシザーズギヤであって、第1のヘリカルギヤと、この第1のヘリカルギヤに少なくとも軸方向に摺動自在に係合する第2のヘリカルギヤと、前記第1のヘリカルギヤと前記第2のヘリカルギヤとを軸方向に離反させる弾性体とを備え、前記弾性体のねじり剛性をkδ、軸方向剛性をkaとし、前記第1および第2のヘリカルギヤのピッチ円半径をr、ねじれ角をβとしたとき、kδ/ka>(r/tanβ)2であるものを提案する。
【0012】
請求項1の発明によれば、第1のヘリカルギヤと第2のヘリカルギヤが軸方向に離反することにより、シザーズギヤに噛み合うヘリカルギヤの歯が挟圧・保持され、遊動に起因するギヤ打音の発生が防止される。
【0013】
また、請求項2の発明では、請求項1のシザーズギヤにおいて、前記弾性体が合成ゴムであるものを提案する。
【0014】
この発明によれば、例えば、第1のヘリカルギヤと第2のヘリカルギヤとの間の軸芯に打ち抜き加工や加硫成形された合成ゴム板を介装することにより、両ヘリカルギヤが軸方向に離反する。
【0015】
また、請求項3の発明では、電動モータの駆動力を、シザーズギヤを含むギヤ列を介して、ステアリング駆動要素に伝達させることにより操舵アシストを行わせる電動パワーステアリング装置であって、前記シザーズギヤが、第1のヘリカルギヤと、この第1のヘリカルギヤに少なくとも軸方向に摺動自在に係合する第2のヘリカルギヤと、前記第1のヘリカルギヤと前記第2のヘリカルギヤとを軸方向に離反させる弾性体とを備え、前記弾性体のねじり剛性をkδ、軸方向剛性をkaとし、前記第1および第2のヘリカルギヤのピッチ円半径をr、ねじれ角をβとしたとき、kδ/ka>(r/tanβ)2であるものを提案する。
【0016】
請求項3の発明によれば、第1のヘリカルギヤと第2のヘリカルギヤが軸方向に離反することにより、シザーズギヤに噛み合うヘリカルギヤの歯が挟圧・保持され、遊動に起因するギヤ打音の発生が防止される。
【0017】
また、請求項4の発明では、請求項3の電動パワーステアリング装置において、前記弾性体が合成ゴムであるものを提案する。
【0018】
この発明によれば、例えば、第1のヘリカルギヤと第2のヘリカルギヤとの間の軸芯に打ち抜き加工や加硫成形された合成ゴム板を介装することにより、両ヘリカルギヤが軸方向に離反する。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【0020】
図1は、第1実施形態に係る電動パワーステアリング装置(EPS)の概略構成を示した斜視図である。同図中に符号1で示した部材はステアリングコラムであり、アッパステアリングシャフト3を回動自在に支持している。アッパステアリングシャフト3には、その上端にステアリングホイール5が装着される一方、下端にユニバーサルジョイント7を介してロアステアリングシャフト9が連結されている。ロアステアリングシャフト9には、その下端に更にラック&ピニオン機構やパワーアシスト機構等からなるステアリングギヤ11が連結されている。図1中、符号15はステアリングギヤ11の左右端に連結されたタイロッドを示している。
【0021】
図2は第1実施形態に係るステアリングギヤ11の要部断面平面図であり、図3は図2中のA−A拡大断面図である。これらの図中で符号21で示した部材はステアリングギヤケースを構成するラック&ピニオンハウジングであり、ラック&ピニオン機構を構成するラックシャフト23やピニオン(図示せず)を保持している。ラックシャフト23は、ピニオンに噛み合うラック25を図中左側に有すると共に、その左右端にはタイロッド15を揺動自在に支持する球面継手27が固着されている。
【0022】
パワーアシスト機構は、ラック&ピニオンハウジング21の左端に形成された第2のハウジングたるギヤハウジング31と、ギヤハウジング31にボルト締めされてラック&ピニオンハウジング21と伴にステアリングギヤケースを構成する第1のハウジングたるボールねじハウジング33とを外郭としている。ギヤハウジング31には、その後方に電動モータ35がボルト締めされている。尚、図2においては、説明の便宜上、電動モータ35を下方に描いている。
【0023】
ギヤハウジング31とボールねじハウジング33との間には、電動モータ35のモータシャフト(図示せず)に固着されたドライブギヤ37と、シザーズギヤたるアイドラギヤ38を介してドライブギヤ37に噛み合うドリブンギヤ39が収納されている。本実施形態の場合、各ギヤ37,38,39はヘリカルギヤである。
【0024】
ボールねじハウジング33には、ドリブンギヤ39が端部に形成されたボールナット41が回動自在に保持されている。ボールナット41は、ボールナット本体43と、ボールナット本体43に外嵌された複列アンギュラ玉軸受45とからなっている。
【0025】
ラックシャフト23には雄ねじ溝61が形成される一方、ボールナット本体43には雌ねじ溝63が形成され、雄ねじ溝61と雌ねじ溝63との間には循環ボールたる多数個の鋼球65が介装されている。また、ボールナット本体43には、鋼球65を循環させるための循環こま(図示せず)が装着されている。
【0026】
図4はシザーズギヤたるアイドラギヤ38の平面図であり、図5は図4中のB−B断面図であり、図6はアイドラギヤ38の分解斜視図である。これらの図に示したように、アイドラギヤ38は、第1ヘリカルギヤ71と、第2ヘリカルギヤ73と、両ヘリカルギヤ71,73の間に介装された弾性体である合成ゴム製のカップリング75とから構成されている。図4中、符号77,79は転がり軸受(深溝玉軸受)であり、アイドラギヤ38を回転自在に支持している。
【0027】
第1ヘリカルギヤ71には、図4,図6中左端面に転がり軸受77に支持される第1シャフト81が突設される一方、図4,図6中右端面に第2ヘリカルギヤ73が回動自在に外嵌すると共に転がり軸受79に支持される第2シャフト83が突設されている。
【0028】
カップリング75には、その中央部85に第2シャフト83が貫通する貫通孔87が穿設されると共に、中央部85から6本の係合片89が放射状に延設されている。第1ヘリカルギヤ71と第2ヘリカルギヤ73との対向面には、カップリング75の各係合片89間の空隙に嵌入する各3個の係合突起91,93が120゜の角度間隔でそれぞれ形成されている。
【0029】
本実施形態の場合、カップリング75のねじり剛性をkδとし、軸方向剛性をkaとし、第1,第2ヘリカルギヤ71,73のピッチ円半径をr、ねじれ角をβとしたとき、kδ/ka>(r/tanβ)2であるように設定されている。
【0030】
本実施形態の場合、第1ヘリカルギヤ71と第2ヘリカルギヤ73とは、両ヘリカルギヤ71,73が図4の状態から所定量相対回動した時点で歯すじが一致するように形成されている。また、組立時においては、カップリング75を撓ませ(圧縮変形させ)て第1ヘリカルギヤ71と第2ヘリカルギヤ73とを接近させた状態で、アイドラギヤ38をドライブギヤ37およびドリブンギヤ39と噛み合わせる。
【0031】
以下、第1実施形態の作用を述べる。
【0032】
運転者がステアリングホイール5を左右いずれかの方向に操舵すると、図示しないトルクセンサが操舵トルクを検出することにより、EPS用ECU(図示せず)からの駆動電流を受けて電動モータ35が起動される。これにより、電動モータ35のモータシャフトに固着されたドライブギヤ37が回転し、図3に矢印で示したように、その回転力がアイドラギヤ38を介してドリブンギヤ39に伝達される。
【0033】
通常、ドライブギヤ37の歯とアイドラギヤ38の歯との間にはバックラッシュが存在するが、本実施形態ではアイドラギヤ38がシザーズギヤとなっているため、このバックラッシュに起因するラトル音(ギヤ打音)の発生が抑制される。すなわち、ドライブギヤ37と第1ヘリカルギヤ71との間にバックラッシュが存在していた場合、図5に示したように撓んだカップリング75の復元力により図7に示したように第1ヘリカルギヤ71と第2ヘリカルギヤ73とが軸方向に相離反し、図8に示したように両ヘリカルギヤ71,73の歯がドライブギヤ37の歯を挟圧・保持するのである。
【0034】
次に、カップリング75のねじりおよび軸方向剛性と、バックラッシュとの関係について述べる。
【0035】
図9,図10に示したように、ギヤの噛み合い部の接線方向変位をXuとし、軸方向変位をXaとした場合、ギヤが噛み合う相手の歯に倣って移動する一般条件は、Xu/Xa=tanβとなる。
【0036】
バックラッシュが解消されるには、この一般条件に加えて、更に軸方向変位が接線方向変位より大きくなることが必要であるから、
Xu/Xa<tanβ(=Xu/Xa)が必須条件となる。
【0037】
ここで、二つのギヤの間に介装された弾性体の接線方向のばね剛性をkuとし、軸方向のばね剛性をkaとすれば、接線方向の力Fuは、
Fu=−ku・Xuとなり、軸方向の力Faは、Fa=−ka・Xaとなる。
【0038】
本発明における力の釣り合いにより、Fa=Fu・tanβとなり、上式を代入することで、−ka・Xa=−ku・Xu・tanβ、すなわち、
Xu/Xa=(ka/ku)/tanβとなる。
【0039】
ここで、上述したバックラッシュが解消される必須条件から、
(ka/ku)/tanβ<tanβ、すなわち、ka/ku<tan2βとなる。
【0040】
更に、ギヤのピッチ円半径をr、ねじりトルクをT、ねじり剛性をkδ、ねじり量をδとすれば、Xu=r・δとなり、
T=Fr=−ku・rδ・r=−ku・r2・δとなる。
【0041】
ここで、ねじれ剛性kδをku・r2とおけば、
T=−kδ・δとなる。
【0042】
以上の式から、バックラッシュが解消される条件としては、
kδ/ka>(r/tanβ)2となることが判る。
【0043】
これにより、本実施形態では、操舵反転時等にドライブギヤ37がアイドラギヤ38に対して遊動することがなくなり、EPS作動時の静粛性が大幅に向上した。尚、以上の説明はドライブギヤ37とアイドラギヤ38とに関するものであるが、バックラッシュの量が同等であれば、アイドラギヤ38とドリブンギヤ39とについても同様の効果が得られる。
【0044】
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明の態様は上記実施形態に限られるものではない。例えば、上記実施形態は本発明をEPSの駆動力伝達用ギヤ列のアイドラギヤに適用したものであるが、内燃機関の動弁系や産業機械の動力伝達系等に用いられるシザーズギヤに適用してもよい。その他、ステアリングギヤの全体構成やパワーアシスト機構の構造等についても、本発明の主旨を逸脱しない範囲であれば、設計上あるいは仕様上の要求等により適宜変更可能である。
【0045】
【発明の効果】
以上述べたように、請求項1に係るシザーズギヤや請求項3に係る電動パワーステアリング装置によれば、第1のヘリカルギヤと、この第1のヘリカルギヤに少なくとも軸方向に摺動自在に係合する第2のヘリカルギヤと、前記第1のヘリカルギヤと前記第2のヘリカルギヤとを軸方向に離反させる弾性体とを備え、前記弾性体のねじり剛性をkδ、軸方向剛性をkaとし、前記第1および第2のヘリカルギヤのピッチ円半径をr、ねじれ角をβとしたとき、kδ/ka>(r/tanβ)2であるものとしたため、第1のヘリカルギヤと第2のヘリカルギヤが軸方向に離反することにより、比較的部品点数の少ない簡便な構成を採りながら、シザーズギヤに噛み合うヘリカルギヤの歯が挟圧・保持され、バックラッシュに起因するギヤ打音の発生が防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るステアリング装置の概略構成を示した斜視図である。
【図2】第1実施形態に係るステアリングギヤの平面図である。
【図3】図2中のA−A拡大断面図である。
【図4】第1実施形態に係るアイドラギヤの要部断面平面図である。
【図5】図4中のB−B断面図である。
【図6】アイドラギヤの分解斜視図である。
【図7】本発明の作用を示す説明図である。
【図8】本発明の作用を示す説明図である。
【図9】ギヤの剛性とバックラッシュとの関係を説明するための説明図である。
【図10】ギヤの剛性とバックラッシュとの関係を説明するための説明図である。
【図11】従来の装置に係るシザーズギヤの要部断面平面図である。
【符号の説明】
11‥‥ステアリングギヤ
35‥‥電動モータ
37‥‥ドライブギヤ
38‥‥アイドラギヤ(シザーズギヤ)
39‥‥ドリブンギヤ
71‥‥第1ヘリカルギヤ
73‥‥第2ヘリカルギヤ
75‥‥カップリング(弾性体)
77,79‥‥転がり軸受
81‥‥第1シャフト
83‥‥第2シャフト
87‥‥係合片
91,93‥‥係合突起
Claims (4)
- ギヤ列の一部を構成し、ギヤ打音を抑制するべく、噛み合ったギヤの歯を挟圧・保持するシザーズギヤであって、
第1のヘリカルギヤと、
この第1のヘリカルギヤに少なくとも軸方向に摺動自在に係合する第2のヘリカルギヤと、
前記第1のヘリカルギヤと前記第2のヘリカルギヤとを軸方向に離反させる弾性体とを備え、
前記弾性体のねじり剛性をkδ、軸方向剛性をkaとし、前記第1および第2のヘリカルギヤのピッチ円半径をr、ねじれ角をβとしたとき、
kδ/ka>(r/tanβ)2
であることを特徴とするシザーズギヤ。 - 前記弾性体が合成ゴムであることを特徴とする、請求項1記載のシザーズギヤ。
- 電動モータの駆動力を、シザーズギヤを含むギヤ列を介して、ステアリング駆動要素に伝達させることにより操舵アシストを行わせる電動パワーステアリング装置であって、
前記シザーズギヤが、
第1のヘリカルギヤと、
この第1のヘリカルギヤに少なくとも軸方向に摺動自在に係合する第2のヘリカルギヤと、
前記第1のヘリカルギヤと前記第2のヘリカルギヤとを軸方向に離反させる弾性体とを備え、
前記弾性体のねじり剛性をkδ、軸方向剛性をkaとし、前記第1および第2のヘリカルギヤのピッチ円半径をr、ねじれ角をβとしたとき、
kδ/ka>(r/tanβ)2
であることを特徴とする電動パワーステアリング装置。 - 前記弾性体が合成ゴムであることを特徴とする、請求項3記載の電動パワーステアリング装置。
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---|---|---|---|
JP2003194422A JP2005030458A (ja) | 2003-07-09 | 2003-07-09 | シザーズギヤおよび電動パワーステアリング装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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KR100646439B1 (ko) | 2005-08-11 | 2006-11-14 | 주식회사 만도 | 기어 비 변환 장치 및 이를 구비한 자동차의 능동 전륜조향장치 |
-
2003
- 2003-07-09 JP JP2003194422A patent/JP2005030458A/ja not_active Withdrawn
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