JP2005029897A - 真空成膜装置用部品とそれを用いた真空成膜装置およびターゲット装置 - Google Patents

真空成膜装置用部品とそれを用いた真空成膜装置およびターゲット装置 Download PDF

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Abstract

【課題】真空成膜装置用部品やターゲット装置において、成膜工程中に付着する成膜材料からのダストの発生を大幅に抑制すると共に、付着した膜自体および溶射膜の剥離を安定かつ有効に防止する。
【解決手段】真空成膜装置用部品1は、部品本体2と、この部品本体2の表面に形成された溶射膜3とを具備する。溶射膜3は、局部山頂の平均間隔Sが50〜150μmの範囲、最大谷深さRvおよび最大山高さRpがそれぞれ20〜70μmの範囲の表面粗さを有する。ターゲット装置は同様な溶射膜を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、スパッタリング装置やCVD装置等の真空成膜装置に用いられる真空成膜装置用部品とそれを用いた真空成膜装置、およびスパッタリング装置等に用いられるターゲット装置に関する。
半導体部品や液晶部品等においては、スパッタリング法やCVD法等の成膜方法を利用して各種の配線や電極等を形成している。具体的には、半導体基板やガラス基板等の被成膜基板上に、スパッタリング法やCVD法等を適用して、Al、Ti、Mo、W、Mo−W合金等の導電性金属薄膜、あるいはMoSi2、WSi2、TiSi2等の導電性を有する金属化合物薄膜、TiNやTaN等の金属化合物薄膜を形成している。これら各薄膜は配線層、電極層、バリア層、下地層(ライナー材)等として利用される。
ところで、上述したような薄膜の形成に使用されるスパッタリング装置やCVD装置等の真空成膜装置においては、成膜工程中に成膜装置内に配置されている各種部品にも成膜材料が付着、堆積することが避けられない。このような部品上に付着、堆積した成膜材料(付着膜)は、成膜工程中に部品から剥離することによって、ダストの発生原因となっている。このようなダストが成膜基板上の膜中に混入すると、配線形成後にショートやオープン等の配線不良を引き起こし、製品歩留りの低下を招くことになる。
このようなことから、従来の真空成膜装置においては、防着板やターゲットの固定部品等の装置構成部品を、ターゲット材もしくはそれと熱膨張率が近い材料で形成したり、あるいは装置構成部品の表面にターゲット材もしくはそれと熱膨張率が近い材料の被膜を形成することが実施されている(例えば特許文献1〜3参照)。このような構成に基づいて、装置構成部品と成膜材料との熱膨張率の差に基づく付着膜の剥がれを防止している。
しかしながら、真空成膜装置の装置構成部品自体をターゲット材等で形成した場合、部品強度の低下等を招くおそれがある。さらに、部品上に付着した成膜材料(付着膜)自体の応力で付着膜が剥がれるおそれがある。一方、部品表面にターゲット材の被膜を形成した場合、その形成方法によっては被膜自体が剥がれやすいというような問題がある。
さらに、特許文献4には部品表面にAlやMoの溶射膜を形成すると共に、溶射膜の表面粗さを200μm以上とすることが記載されている。ここでは、溶射膜の表面粗さに基づいて、部品上に付着した成膜材料の剥離を防止している。溶射膜を利用した成膜装置用部品は、例えば特許文献5にも記載されている。ここでは、装置構成部品の表面に形成された溶射膜のガス残存量を10Torr・cc/g以下としている。
特開昭60-26659号公報 特開昭63-161163号公報 特開昭63-243269号公報 特開昭61-56277号公報 特開平9-272965号公報
従来の溶射膜を使用した成膜装置の構成部品は、主として溶射膜表面の大きな表面粗さに基づいて、部品表面に付着した成膜材料(付着膜)の剥離を防止しようとするものである。このような付着膜の剥離防止対策はある程度の効果が得られているものの、溶射膜の表面粗さに起因して付着膜表面に大きな凹凸が生じ、この付着膜表面の大きな凹凸が逆に微細なダスト(パーティクル)の発生原因となっている。さらに、部品表面に付着した成膜材料の内部応力に基づく付着膜の剥離もダストの発生原因となっている。
特に、最近の半導体素子においては、64M、256M、1Gというような高集積度を達成するために、配線幅を0.3μm、0.18μm、さらには0.1μm以下というように、極めて狭小化することが求められている。このように狭小化された配線およびそれを有する素子においては、例えば直径0.2μm程度の極微小粒子(微小パーティクル)が混入しても、配線不良や素子不良等を引起こすことになる。
このような極めて過酷な条件に対して、上述したような従来のダスト防止対策(パーティクル防止対策)では、高集積化された半導体素子等の製造歩留りを高めることが困難とされている。そこで、高密度配線を有する半導体素子等の製造歩留りを高めるために、装置構成部品に起因する微細なダスト(パーティクル)の発生を抑制することが強く望まれている。また、ダストの問題は成膜装置の構成部品に限らず、スパッタリングターゲット、あるいはスパッタリングターゲットを冷却保持するバッキングプレートにおいても同様な問題が発生している。
さらに、装置構成部品等の表面に単に溶射膜を形成しただけでは、溶射膜の内部に残留する応力によって、溶射膜自体が剥がれやすいという問題がある。溶射膜やその上に付着した成膜材料(付着膜)の剥離が発生すると急激にダストの発生量が増加するため、通常は装置のクリーニングを実施したり、あるいは部品の交換が必要となる。クリーニングや部品の交換は、装置稼働率の低下原因となるため、結果的に成膜コストの上昇を招くことになる。そこで、例えば溶射膜の剥離を抑制することによって、装置構成部品の長寿命化を図ることが強く望まれている。
本発明はこのような課題に対処するためになされたもので、成膜工程中に付着する成膜材料からのダストの発生を大幅に抑制すると共に、付着した膜自体の剥離を安定かつ有効に防止することを可能にした真空成膜装置用部品およびターゲット装置を提供することを目的としている。本発明の他の目的は、成膜工程中に付着した膜や溶射膜の剥離を安定かつ有効に防止し、装置クリーニングや部品の交換等に伴う成膜コストの増加を抑えると共に、ダストの発生を抑制することを可能にした真空成膜装置用部品およびターゲット装置を提供することにある。さらに、ダストの混入を防止し、高集積化された半導体素子等への対応を図ると共に、稼働率の改善により成膜コストの低減を図ることを可能にした真空成膜装置を提供することを目的としている。
本発明の真空成膜装置用構成部品は、部品本体と、前記部品本体の表面に形成され、JIS B 0601-1994で規定する局部山頂の平均間隔Sが50〜150μmの範囲、最大谷深さRvおよび最大山高さRpがそれぞれ20〜70μmの範囲である表面粗さを有する溶射膜とを具備することを特徴としている。
本発明において、溶射膜は成膜材料との熱膨張率の差が15×10-6/K以下の金属材料からなる被膜、また部品本体との熱膨張率の差が20×10-6/K以下の金属材料からなる被膜を有することが好ましい。さらに、本発明による溶射膜は異なる材料からなる2層以上の被膜を有していてもよい。このような溶射膜の構成としては、部品本体上に形成された軟金属材料からなる応力緩和層と、応力緩和層上に形成され、成膜材料との熱膨張率の差が15×10-6/K以下の金属材料からなる熱膨張緩和層とを有する構造が挙げられる。
本発明の真空成膜装置は、真空容器と、前記真空容器内に配置される被成膜試料保持部と、前記真空容器内に前記被成膜試料保持部と対向して配置される成膜源と、前記成膜源を保持する成膜源保持部と、前記被成膜試料保持部または成膜源保持部の周囲に配置された防着部品とを具備する。このような真空成膜装置において、被成膜試料保持部、成膜源保持部および防着部品から選ばれる少なくとも1つは、上記した本発明の真空成膜装置用部品からなることを特徴としている。
本発明における第1のターゲット装置は、ターゲット本体と、前記ターゲット本体の非エロージョン領域に形成された溶射膜とを具備する。第2のターゲット装置は、ターゲットと、前記ターゲットを保持するバッキングプレート本体、および前記バッキングプレート本体の表面に形成された溶射膜を備えるパッキングプレートとを具備する。これらのターゲット装置において、JIS B 0601-1994で規定する局部山頂の平均間隔Sが50〜150μmの範囲、最大谷深さRvおよび最大山高さRpがそれぞれ20〜70μmの範囲である表面粗さを有する溶射膜を具備することを特徴としている。
本発明においては、真空成膜装置用部品の部品本体上、もしくはターゲット装置のターゲットやバッキングプレート上に形成する溶射膜の表面粗さを、JIS B 0601-1994で規定する局部山頂の平均間隔Sで50〜150μmの範囲、最大谷深さRvおよび最大山高さRpでそれぞれ20〜70μmの範囲としている。
従来の真空成膜装置用部品の表面に適用されていた溶射膜は、付着した成膜材料(付着膜)の剥離を防ぐために、その表面粗さを大きくしている。これは溶射膜表面の大きな表面粗さによって、成膜材料の密着力を高めようとするものである。しかし、表面粗さが大きい溶射膜上に付着膜が堆積すると、付着膜表面が凹凸の大きな形態となる。すなわち、付着膜は剥離、脱落が起こりやすい粒子が堆積した状態で成長していく。このため、従来の溶射膜を用いた装置構成部品では、その表面に堆積した付着膜から粒子が脱落してダスト(パーティクル)となったり、また場合によって付着膜自体の剥離が発生していた。
これに対して、本発明では溶射膜上に堆積する付着物が安定成長するように、部品表面に形成する溶射膜の表面粗さを、局部山頂の平均間隔S、最大谷深さRvおよび最大山高さRpで規定している。溶射膜上に堆積する付着膜を安定成長させることによって、付着膜からの粒子の脱落や付着膜の剥離を大幅に抑制することが可能となる。
上述したように、粒子の脱落防止や付着膜の剥離抑制に基づいて、パーティクルの発生量を低減することによって、真空成膜装置で形成する各種の膜、さらにはそれを用いた素子や部品の製造歩留りを大幅に向上させることが可能となる。さらに、付着膜の安定化(付着膜の剥離抑制)は装置のクリーニング回数の低減に繋がる。これによって、装置稼働率の向上、ひいては成膜コストの削減を図ることができる。
本発明の真空成膜装置用部品およびターゲット装置によれば、成膜工程中に付着する成膜材料の剥離を安定かつ有効に防止できると共に、クリーニングや部品の交換回数を削減することができる。従って、このような真空成膜装置用部品やターゲット装置を有する本発明の真空成膜装置によれば、配線膜や素子の不良発生原因となる膜中へのパーティクルの混入を抑制することが可能となると共に、装置稼働率の向上により成膜コストの低減を図ることができる。
以下、本発明を実施するための形態について説明する。図1は、本発明の真空成膜装置用部品の一実施形態の要部構成を示す断面図である。同図に示す真空成膜装置用部品1は、部品本体(基材)2の表面に設けられた溶射膜3を有している。なお、部品本体2の構成材料は特に限定されるものではないが、例えば装置部品の構成材料として一般的なステンレス材等を用いることができる。部品本体2の溶射膜形成面2aは、アンカー効果が得られるように、予めブラスト処理等で荒らしておくことが好ましい。
上記した溶射膜3はパーティクルの発生を低減するために、溶射膜3の表面形態が制御可能な溶射法を適用して形成することが好ましい。具体的には、部品本体2の構成材料や形状、使用される環境条件、溶射材料等に応じて、プラズマ溶射法、超高速フレーム溶射法等を適宜選択して使用する。溶射膜3は部品本体2に対する密着力に優れる。さらに、成膜工程中の温度上昇に基づく部品本体2と溶射膜3との界面からの剥離等を防止する上で、溶射膜3は部品本体2との熱膨張率の差が20×10-6/K以下の金属材料で形成することが好ましい。より好ましい熱膨張率の差は15×10-6/K以下であり、望ましくは10×10-6/K以下である。
溶射膜3は、その上に付着する成膜材料(付着膜)との熱膨張差による剥離を防止する上で、成膜材料との熱膨張率の差が15×10-6/K以下の材料で形成することが好ましい。より好ましい熱膨張率の差は10×10-6/K以下であり、望ましくは5×10-6/K以下である。成膜材料との関係のみを考えた場合、溶射膜3は成膜材料と同一材料で形成することが好ましい。成膜する膜が合金膜や化合物膜等の場合には、溶射膜3は成膜材料(成膜源)を構成する少なくとも1種の金属元素を含む材料で形成することが好ましい。このような条件を満足させることによって、溶射膜3上に付着した成膜材料の熱膨張差に基づく剥離を抑制することができる。
溶射膜3は単一材料による被膜に限らず、例えば異なる材料からなる2層以上の被膜で構成してもよい。2層以上の被膜を有する溶射膜3としては、例えば部品本体2上に形成された応力緩和層(第1の被膜)と、この応力緩和層上に形成された熱膨張緩和層(第2の被膜)とを有する構造が挙げられる。
応力緩和層には、例えばAl、Cu、Ni、もしくはそれらの合金等の軟金属材料を用いる。熱膨張緩和層には付着膜との熱膨張差が小さい金属材料を用いる。これら各層の部品本体2や成膜材料との具体的な熱膨張率の差は上記した通りである。なお、表面側に耐食性に優れた溶射膜を形成する構造、部品本体2と成膜材料との熱膨張差を緩和するように、熱膨張率が異なる2層以上の溶射膜を順に形成した構造等を採用してもよい。
溶射膜3は成膜工程中に付着、堆積した成膜材料(付着膜)の剥離防止膜として機能する。ここで、真空成膜装置用部品1の表面がある程度の凹凸状態を有していれば、ある程度の厚さまでは付着膜の剥離を抑制することができる。しかし、付着膜の厚さが厚くなると容易に剥離する傾向にある。これは付着膜の厚さが増加するに伴って内部応力が大きくなり、これに基づいて付着膜の剥離が発生するためである。
溶射膜3は気孔を多数含む内部構造等により付着膜の内部応力を吸収する作用を有し、付着膜の剥離防止に対して有効に機能する。ただし、単に溶射しただけでは溶射膜の表面粗さが大きくなる。このために、付着膜からの粒子の脱落や付着膜自体の剥離が生じやすくなる。さらに、単に溶射しただけでは溶射膜の内部に応力が残存し、この内部応力により溶射膜自体の剥離が生じやすくなる。
本発明では、溶射膜の表面粗さに基づく粒子の脱落や付着膜自体の剥離を抑制するために、溶射膜3の表面粗さをJIS B 0601-1994で規定する局部山頂の平均間隔Sで50〜150μmの範囲、最大谷深さRvおよび最大山高さRpでそれぞれ20〜70μmの範囲としている。このような適度な表面粗さを有する溶射膜3によれば、その上に堆積した付着膜からの粒子の段落、さらには付着膜自体の剥離を安定的に抑制することが可能となる。
表面粗さの1つのパラメータである局部山頂の平均間隔Sは、図2に示すように、表面粗さ測定機で求めた粗さ曲線から、その平均線の方向に基準長さLだけ抜き取り、隣り合う局部山頂間に対応する平均線の長さ(S1、S2、…Sn)を求め、これら測定値の平均値(mm)を示すものである。最大谷深さRvおよび最大山高さRpは図3に示すように、表面粗さ測定機で求めた粗さ曲線を基準長さLに区切り、各基準長さ毎に平均線から最も深い谷底までの深さRviおよび平均線から最も高い山頂までの高さRpiを求め、これら谷深さRviおよび山高さRpiの最大値(RvおよびRp)を示すものである。
従来の装置構成部品の表面に適用されていた溶射膜のように、溶射膜表面の表面粗さが大きいと、その上に堆積する付着膜も凹凸状態となり、付着粒子が脱落しやすい形態で堆積することになる。さらに、付着膜が厚くなると内部応力が増大し、凹凸に起因して付着膜中に生じる段差部分に亀裂が発生しやすくなる。これは付着膜の剥がれを助長する。このような溶射膜の大きな表面粗さに基づく粒子の脱落や付着膜の剥離を防ぐために、本発明では上記した局部山頂の平均間隔S、最大谷深さRvおよび最大山高さRpにより規定される表面粗さを有する溶射膜3を適用している。
表面の局部山頂の平均間隔Sが50〜150μmの範囲の溶射膜3によれば、その上に堆積する付着膜が安定な柱状構造で成長し、粒子の脱落や付着膜の剥離を防ぐことができる。局部山頂の平均間隔Sが50μm未満であると、その上に堆積する付着膜が不安定な粒子構造で成長し、付着膜の剥離や粒子の脱落が生じやすくなる。一方、局部山頂の平均間隔Sが150μmを超えると付着膜の密着力が低下しすぎるため、逆に付着膜の剥離が生じやすくなる。付着膜の剥離をより有効に防止する上で溶射膜3表面の局部山頂の平均間隔Sは70〜100μmの範囲とすることがより好ましく、望ましくは75〜90μmの範囲である。
さらに、表面の最大谷深さRvおよび最大山高さRpがそれぞれ20〜70μmの範囲の溶射膜3によれば、付着粒子を溶射膜面上により均一に堆積させることが可能となるため、粒子の脱落、言い換えるとパーティクルの発生を防ぐことができる。
すなわち、最大谷深さRvおよび最大山高さRpがそれぞれ70μmを超えると、付着粒子の堆積が不均一になる。具体的には、谷部に部分的に空孔が生じたり、また山部の斜影効果で付着粒子の堆積が不均一になる。このような付着粒子の堆積状態は非常に不安定であるため、付着膜から粒子の脱落が生じる。さらに、付着膜の堆積形状に高さの差が生じ、高い部分に堆積する粒子の付着力が低下することによって、粒子の脱落が生じる。
一方、最大谷深さRvおよび最大山高さRpがそれぞれ20μm未満であると、付着膜の密着力が低下して、付着膜の剥離が生じやすくなる。粒子の脱落(パーティクルの発生)をより効果的に防ぐと共に、付着膜の耐久性を高めるために、溶射膜3の最大谷深さRvおよび最大山高さRpはそれぞれ30〜60μmの範囲とすることがより好ましく、望ましくはそれぞれ30〜40μmの範囲である。
溶射膜3はその形成過程に基づいて複雑な表面形態を有することから、付着膜に対して良好な密着性を示す。ただし、その表面粗さが大きくなりすぎると、上述したように粒子の脱落や付着膜の剥離が発生する。このようなことから、溶射膜3の表面粗さをJIS B 0601-1994で規定する算術平均粗さRaで表した場合、算術平均粗さRaは5〜15μmの範囲であることが好ましい。
溶射膜3表面の算術平均粗さRaが15μmを超えると、溶射膜3表面の凹凸が大きくなりすぎて付着膜がパーティクルの発生しやすい付着形態となる。さらに、付着膜が溶射膜3全体に付着せずに空孔が残るため、そこを起点として付着膜の剥離が起こるおそれがある。ただし、溶射膜3表面の算術平均粗さRaが5μm未満であると付着膜の保持力が低下して、付着膜が容易に剥離するおそれがある。溶射膜3表面の算術平均粗さRaは8〜12μmの範囲とすることがより好ましく、さらに好ましくは10〜12μmの範囲である。
上述したような表面粗さを有する溶射膜3は、例えば粉末原料を用いる粉末式フレーム溶射やプラズマ溶射を適用すると共に、粉末原料の粒径を制御することにより得ることができる。粉末式フレーム溶射においては、特に超高速フレーム溶射を適用することが好ましい。超高速フレーム溶射やプラズマ溶射を実施する際の具体的な条件は、原料粉末の材質等に応じて適宜設定する。例えば、粒径が揃った原料粉末を用いて、超高速フレーム溶射やプラズマ溶射を実施することによって、上述したような適度な表面粗さを有する溶射膜3が得られる。さらに、溶射後に表面クリーニング等を施すことによっても、溶射膜3の表面粗さを調整することができる。溶射膜3の表面粗さを制御するためのさらに具体的な条件としては、電流、電圧、ガス流量、溶射距離、原料粉末の供給量等の溶射条件を適宜変更すること等が挙げられる。
溶射膜3による付着膜の剥離防止効果を得る上で、溶射膜3の膜厚は適度に調整することが好ましい。このような点から溶射膜3の膜厚は50〜500μmの範囲とすることが好ましい。溶射膜3は前述したように付着膜の内部応力を低減する効果を有しているが、この応力低減効果は厚さにより異なる。溶射膜3の厚さが50μm未満であると、応力低減効果が低下して付着膜が剥がれやすくなる。一方、500μmを超えると溶射膜3自体に大きな内部応力が発生し、これにより溶射膜3自体の剥離が発生しやすくなる。溶射膜3の膜厚は、上記した効果がより良好に得られる100〜300μmの範囲とすることがより好ましく、さらに好ましくは200〜250μmの範囲である。
上述した装置構成部品に基づく溶射膜3は、その表面粗さを局部山頂の平均間隔Sで50〜150μmの範囲、最大谷深さRvおよび最大山高さRpでそれぞれ20〜70μmの範囲としているため、付着膜からの粒子の脱落、すなわちパーティクルの発生を有効に抑制することが可能となる。さらに、溶射膜3の表面粗さに基づいて、付着膜の剥離を防ぐことができる。
このように、付着膜からの粒子の脱落や付着膜の剥離に基づくパーティクルの発生を大幅に抑制することによって、真空成膜装置で形成する各種の膜、さらにはそれを用いた素子や部品等の製造歩留りを大幅に高めることが可能となる。さらに、付着膜の剥離を抑制することによって、装置のクリーニング回数を減らすことができる。装置のクリーニング回数の低減は、成膜装置の稼働率の向上、ひいては成膜コストの削減に大きく寄与する。
また、溶射膜3の内部応力に基づく溶射膜自体の剥離を抑制するために、ビッカース硬さがHv30以下のAl系溶射膜、ビッカース硬さがHv100以下のCu系溶射膜、ビッカース硬さがHv200以下のNi系溶射膜、ビッカース硬さがHv300以下のTi系溶射膜、ビッカース硬さがHv300以下のMo系溶射膜およびビッカース硬さがHv500以下のW系溶射膜から選ばれる少なくとも1つの低硬度被膜を溶射膜3に適用することが好ましい。
これら溶射膜の好ましい硬度は、Al系溶射膜はHv25以下、Cu系溶射膜はHv80以下、Ni系溶射膜はHv150以下、Ti系溶射膜はHv250以下の、Mo系溶射膜はHv250以下、W系溶射膜はHv400以下である。さらに好ましい硬度は、Al系溶射膜はHv20以下、Cu系溶射膜はHv70以下、Ni系溶射膜はHv100以下、Ti系溶射膜はHv200以下の、Mo系溶射膜はHv200以下、W系溶射膜はHv350以下である。
ここで、本発明で規定する溶射膜のビッカース硬さは、以下のようにして測定した値を示すものとする。すなわち、まず溶射膜3の表面を研磨して平坦化する。次いで、平坦化した面に荷重200gでダイヤモンド圧子を30秒間押し付ける。これにより生じた圧痕の長さをXおよびY方向に測定し、その平均長さからビッカース硬さ値に変換する。このような測定を5回行い、その平均値を本発明のビッカース硬さとする。
溶射膜3は、上記した低硬度の金属溶射膜のうちの1つの低硬度被膜のみで構成してもよいし、また各金属溶射膜のうちの2つ以上の低硬度被膜の積層膜で構成してもよい。さらに、2層以上の被膜で溶射膜3を構成する場合には、そのうちの少なくとも1層が低硬度被膜であればよい。
上述したような硬度を有する溶射膜(低硬度被膜)3は、例えば溶射後にアニーリング処理を施して軟化させることにより得ることができる。溶射膜3を低硬度化して内部応力を十分に緩和することによって、成膜工程時に外部応力(例えば熱応力)が負荷された際に、溶射膜3の内部からの破壊の進行を有効に抑制することができる。これによって、溶射膜3自体の剥離を防ぐことが可能となる。上記した各金属溶射膜の硬度がそれぞれ上述した値を超えているということは、内部応力が十分に緩和されていないことを意味する。そのような溶射膜3では内部破壊やそれに基づく剥離の進行を抑制することができない。
ここで、上述した各金属溶射膜はそれぞれ単体金属膜に必ずしも限られるものではなく、各金属を主体とする合金膜も含むものである。ただし、溶射膜3の低硬度化等の観点からはそれぞれ単体金属膜、すなわちAl溶射膜、Cu溶射膜、Ni溶射膜、Ti溶射膜、Mo溶射膜、W溶射膜であることが好ましい。これら各金属溶射膜のより好ましいビッカース硬さは、Al溶射膜ではHv25以下、Cu溶射膜ではHv75以下、Ni溶射膜ではHv150以下、Ti溶射膜ではHv250以下、Mo溶射膜ではHv250以下、W溶射膜ではHv450以下である。
なお、合金膜としては、Al−Cu合金膜、Al−Ti合金膜、Cu−Al合金膜、Cu−Zn合金膜、Ni−Al合金膜、Ni−Cr合金膜、Ti−Al合金膜、Mo−Ta合金膜、Mo−W合金膜等を適用することができる。
溶射膜3の低硬度化のためのアニーリング処理は、溶射膜3の形成材料にもよるが、例えば真空雰囲気、不活性雰囲気、還元性雰囲気等の各種雰囲気中にて、Al単層の場合には200〜450℃、Cu単層の場合には300〜900℃、Ni単層の場合には300〜900℃、Ti単層の場合には300〜900℃、Mo単層およびW単層の場合には300〜1200℃の温度で実施することが好ましい。
処理温度があまり低いと溶射膜3の内部応力を十分に緩和することができず、上記したような低硬度を達成することができないおそれがある。一方、処理温度があまり高いと部品本体2に熱変形が生じたり、また溶射膜3に剥がれが生じるおそれがある。金属溶射膜のより好ましいアニーリング温度は、Al単層の場合には250〜350℃、Cu単層の場合には600〜800℃、Ni単層の場合には450〜750℃、Ti単層の場合には350〜650℃、Mo単層およびW単層の場合には600〜900℃の範囲である。
溶射膜3を2層以上の被膜の積層膜で構成する場合には、融点が低い材料の温度を基準にしてアニーリング処理を実施することが好ましい。積層構造の溶射膜3の好ましいアニーリング温度は、使用した材料により異なる。表1は積層構造の溶射膜3の好ましいアニーリング温度の代表例を示している。
Figure 2005029897
上述した溶射膜3は、内部応力を緩和した低硬度被膜(低硬度の金属溶射膜)を適用しているため、溶射膜3自体の剥離を有効に抑制することが可能となる。さらに、溶射膜3を低硬度化することによって、その上に付着した成膜材料(付着膜)の内部応力も緩和することができる。従って、溶射膜3上の付着膜自体の剥離も抑制することが可能となる。
これらによって、溶射膜3やその上に堆積した付着膜の剥離に起因する装置クリーニングや部品交換の回数を大幅に減らすことが可能となる。言い換えると、装置構成部品1の寿命を大幅に延ばすことができる。装置構成部品1を長寿命化することによって、成膜装置の稼働率の向上、ひいては成膜コストの削減を達成することが可能となる。さらに、溶射膜3やその上の付着膜の剥離に起因するダストの発生も抑えられるため、真空成膜装置で形成する各種の膜、それを用いた素子や部品等の歩留りを高めることができる。
本発明の真空成膜装置用部品1において、溶射膜3の具体的な構成としては例えば図4や図5に示す構造が挙げられる。図4は成膜材料との熱膨張率の差が15×10-6/K以下の金属材料からなる熱膨張緩和層4のみで構成した溶射膜3を示している。図5は軟金属材料からなる応力緩和層5と、成膜材料との熱膨張率の差が15×10-6/K以下の金属材料からなる熱膨張緩和層4との積層膜で構成した溶射膜3を示している。図5に示す積層型の溶射膜3において、応力緩和層5は熱膨張緩和層4の下地層として設けられており、部品本体2と熱膨張緩和層4との間に介在されている。
溶射膜3を応力緩和層5と熱膨張緩和層4との積層膜で構成する場合、熱膨張緩和層4の厚さは50〜150μmの範囲とすることが好ましく、応力緩和層5の厚さは100〜300μmの範囲とすることが好ましい。溶射膜3の全体の厚さは前述した通りである。熱膨張緩和層4の厚さが50μm未満であると、その機能が十分に得られないおそれがある。また、応力緩和層5の厚さが100μm未満であると、その機能が十分に得られないおそれがある。ただし、熱膨張緩和層4および応力緩和層5の一方を厚くしすぎると、相対的に他方の厚さが薄くなるため、熱膨張緩和層4の厚さは150μm以下とすることが好ましく、応力緩和層5の厚さは300μm以下とすることが好ましい。
溶射膜3を構成する金属材料の種類は、その用途に応じて適宜選択される。例えば、図4もしくは図5に示した熱膨張緩和層4に低硬度被膜を適用する場合には、成膜材料(付着膜)の種類に応じて、Al系溶射膜、Cu系溶射膜、Ti系溶射膜、Ni系溶射膜、Mo系溶射膜、W系溶射膜の中から適宜に選択して使用される。このように、熱膨張緩和層4は上述した低硬度被膜で構成することが好ましいが、これら以外の材料や硬度を適用することも可能である。
低硬度被膜からなる熱膨張緩和層4によれば、それ自体の内部応力の緩和による剥離の抑制効果に加えて、その上に付着した成膜材料(付着膜)の内部応力の緩和効果も期待できる。すなわち、成膜材料が溶射膜3上に付着して堆積していく際に、その内部には応力が生じる。この成膜材料の付着堆積時に生じる内部応力は、溶射膜3を低硬度化することで緩和することができる。従って、溶射膜3上の付着膜自体の剥離も抑制することが可能となる。
さらに、軟金属材料からなる応力緩和層5についても、本発明の低硬度被膜を適用することが好ましい。応力緩和層5に適用される低硬度被膜としては、ビッカース硬さがHv30以下のAl系溶射膜、ビッカース硬さがHv100以下のCu系溶射膜、およびビッカース硬さがHv200以下のNi系溶射膜が挙げられる。これらの低硬度被膜を応力緩和層5に適用することによって、軟金属材料による応力緩和効果をより一層高めることが可能となる。
なお、溶射膜3を構成する金属膜は、上述した低硬度被膜に限られるものではなく、例えばTa系溶射膜やFe基合金(例えばステンレス)系の溶射膜等を使用することもできる。また、熱膨張緩和層4や応力緩和層5以外の機能層に溶射膜3を使用する場合には、その用途に応じて適宜金属材料を選択して使用する。
上述した本発明の装置構成部品1は、スパッタリング装置やCVD装置等の真空成膜装置の構成部品として用いられるものである。装置構成部品1は、成膜工程中に成膜材料が付着する部品であれば種々の部品に対して適用可能である。さらに、装置構成部品1の溶射膜3を構成する金属材料は、適用する成膜装置や成膜工程等に応じて適宜選択して使用されるものである。
例えば、半導体素子の製造工程において、Ti系のバリア膜をスパッタ成膜する場合には、Al系溶射膜5/Ti系溶射膜4の積層膜、Ti系溶射膜4の単層膜等が使用される。Ta系の下地膜をスパッタ成膜する場合には、Cu系溶射膜4の単層膜等が使用される。WSix電極をスパッタ成膜する場合には、Al系溶射膜5/W系溶射膜4の積層膜等が使用される。Al配線をスパッタ成膜する場合には、Al系溶射膜5の単層膜等が使用される。同様に、液晶表示素子の製造工程において、各種の電極膜や配線膜等をスパッタ成膜する場合には、Al系溶射膜5の単層膜等が使用される。
なお、本発明の真空成膜装置用部品を適用し得る成膜工程は、半導体素子や液晶表示素子の製造工程に限られるものではなく、各種記録媒体や記録再生用ヘッドの製造工程、薄膜コンデンサや抵抗器等の電子部品の製造工程、ガラス部品の製造工程等に対しても適用可能である。
さらに、本発明の装置構成部品1はCVD装置に適用することも可能である。CVD装置に本発明の装置構成部品1を適用した具体例としては、表面に溶射膜を形成したCVD用電極等が挙げられる。例えば、アモルファスSi膜の成膜に用いるCVD用電極は、その表面にAl系溶射膜等を形成して使用される。このようなAl系溶射膜に本発明の構成を適用することができる。
前述した実施形態では、本発明を真空成膜装置用部品に適用した例について説明したが、本発明による溶射膜はターゲット装置に対しても適用することが可能である。すなわち、ターゲット本体の非エロージョン領域に溶射膜を形成する場合、あるいはターゲットを保持するためのバッキングプレート本体の表面に溶射膜を形成する場合においても、前述した構成を有する溶射膜を適用することができる。
図6は本発明の一実施形態によるターゲット装置の概略構成を示す図である。同図に示すターゲット装置は、ターゲット本体11と、このターゲット本体11を保持するバッキングプレート12とを有している。ターゲット本体11の中心部分や外周部分は、実質的にはスパッタされず、非エロージョン領域Aとなる。なお、領域Bはエロージョン領域を示している。
上述したターゲット本体11の非エロージョン領域Aには、スパッタされた粒子が再付着する。このような非エロージョン領域Aの付着物が剥離した場合においても、他の部品からの付着物の剥離と同様に配線膜等の不良原因となる。従って、ターゲット本体11の非エロージョン領域Aには、前述した真空成膜装置用部品の実施形態で説明した構成、材質、硬度、表面粗さ、膜厚等を有する溶射膜3が形成されている。ターゲット本体11の非エロージョン領域Aに、前述した本発明による溶射膜3を予め形成しておくことによって、付着物の剥離に伴う配線不良や素子不良等を防止することができる。
また、バッキングプレート12の露出表面にもスパッタされた粒子が再付着する。このようなバッキングプレート12の露出表面に対して、前述した本発明による溶射膜3を予め形成しておくことによっても、付着物の剥離に伴う配線不良や素子不良等を防止することができる。このバッキングプレートは、バッキングプレート本体12と、その露出表面に形成された溶射膜3とにより構成されたものである。
次に、本発明の真空成膜装置の実施形態について説明する。図7は本発明の真空成膜装置をスパッタリング装置に適用した一実施形態の要部構成を示す図である。同図において、11はバッキングプレート12に固定されたスパッタリングターゲットである。成膜源としてのスパッタリングターゲット11の外周部下方には、アースシールド13が設けられている。アースシールド13の下方には、さらに上部防着板14および下部防着板15が配置されている。
被成膜試料である基板16は、スパッタリングターゲット11と対向配置するように、被成膜試料保持部であるプラテンリング17により保持されている。これらは図示を省略した真空容器内に配置されている。真空容器には、スパッタガスを導入するためのガス供給系(図示せず)と真空容器内を所定の真空状態まで排気する排気系(図示せず)とが接続されている。
この実施形態のスパッタリング装置においては、アースシールド13、上部防着板14、下部防着板15およびプラテンリング17を、上述した本発明の真空成膜装置用部品1で構成している。真空成膜装置用部品1の具体的な構成は前述した通りである。さらに、この実施形態において、スパッタリングターゲット11の非エロージョン領域には同様な溶射膜3が設けられている。バッキングプレート12の露出表面にも同様な溶射膜3が設けられている。なお、溶射膜3はいずれもスパッタリングターゲット11からスパッタされた粒子が付着する面に形成されている。
上述したスパッタリング装置においては、成膜工程中にアースシールド13、上部防着板14、下部防着板15、プラテンリング17、スパッタリングターゲット11、バッキングプレート12等の表面にスパッタされた成膜材料(ターゲット11の構成材料)が付着するが、この付着物の剥離は部品表面の溶射膜3により安定かつ有効に防止される。また、溶射膜3自体も安定で長寿命である。
これらによって、ダストおよびパーティクルの発生量、さらには基板16に形成される膜中への混入量を大幅に抑制することができる。従って、64M、256M、1Gというような高集積度の半導体素子や液晶表示素子等の製造歩留りを大幅に高めることが可能となる。すなわち、配線幅が0.2μm以下というように狭小でかつ高密度の配線網を形成する配線膜であっても、微小パーティクル(例えば直径0.2μm以上)の混入を大幅に抑制できることから、配線不良を大幅に低減することが可能となる。これにより、素子歩留りが向上する。
さらに、付着物や溶射膜3自体の剥離を安定かつ有効に抑制することが可能であることから、装置クリーニングや部品交換の回数を大幅に減らすことができる。この装置クリーニングや部品交換回数の低減に基づいて、スパッタリング装置の稼働率の向上を図ることができる。すなわち、スパッタリング装置のランニングコストを低減することができ、ひいては各種薄膜の成膜コストを削減することが可能となる。
なお、上記実施形態においては、アースシールド13、上部防着板14、下部防着板15、プラテンリング17、スパッタリングターゲット11、バッキングプレート12を本発明の部品で構成した例について説明したが、これら以外にターゲット外周押え(図示せず)、シャッタ(図示せず)等を本発明の真空成膜装置用部品で構成することも有効である。さらに、これら以外の部品についても、成膜工程中に成膜材料の付着が避けられない部品であれば、本発明の真空成膜装置用部品は有効に機能する。
このように、本発明の真空成膜装置は被成膜試料保持部、成膜源保持部、防着部品等から選ばれる少なくとも1つを、本発明の真空成膜装置用部品で構成することによって、上述したような優れた効果を示すものである。さらに、ターゲットやバッキングプレートに本発明を適用した場合においても同様な効果を得ることができる。
なお、上記実施形態では本発明の真空成膜装置をスパッタリング装置に適用した例について説明したが、これ以外に真空蒸着装置(イオンプレーティングやレーザーアブレーション等を含む)、CVD装置等に対しても本発明の真空成膜装置は適用可能であり、上述したスパッタリング装置と同様な効果を得ることができる。
次に、本発明の具体的な実施例について述べる。
実施例1、比較例1
まず、図7に示したスパッタリング装置のアースシールド13、上部防着板14、下部防着板15およびプラテンリング17を、SUS 304製基材の表面にプラズマ溶射法で厚さ250μmのAl溶射膜と厚さ100μmのTi溶射膜を順に形成した作製した。これら各部品を使用して、マグネトロンスパッタリング装置を構成した。
Al溶射は、粉末の平均粒径が52μmのAl溶射原料を用いて、電流500A、電圧80Vの条件で実施した。Ti溶射は、粉末の平均粒径が65μmのTi溶射原料を用いて、電流500A、電圧65Vで実施した。溶射時の雰囲気はそれぞれArとH2の混合雰囲気とし、Arを73L/minで供給すると共に、H2を8L/minで供給した。各部品にはTi溶射面をクリーニング処理した後、アニーリング処理および脱ガス処理として真空中にて350℃×3hrの条件で熱処理を施した。
Ti溶射膜の表面粗さは、局部山頂の平均間隔Sが83μm、最大谷深さRvが36μm、最大山高さRpが42μmであった。これら表面粗さはテーラーホブリン社製の表面粗さ測定機S4Cを用いて測定した値である。さらに、各溶射膜の硬度はアニーリング処理後において、Al溶射膜がHv20、Ti溶射膜がHv230であった。
このようなマグネトロンスパッタリング装置に高純度Tiターゲット11をセットし、マグネトロンスパッタリングを行って、まず8インチウェーハ上にTi薄膜を形成した。さらに、その上にN2ガスを導入しながらマグネトロンスパッタリングを行って、TiN薄膜を形成した。得られたTi/TiN薄膜の表面形態を電子顕微鏡で拡大して観察したところ、良好な形態を有していた。さらに、Ti/TiN薄膜上の直径0.2μm以上のパーティクル数を測定した。このような操作を連続して行い、パーティクル数の変化を調査した。その結果を図8に示す。
一方、本発明との比較例1として、上記実施例1と同様な各部品を以下のようにして作製した。まず、SUS 304製基材の表面にアーク溶射法で厚さ100μmのAl溶射膜を形成し、さらにプラズマ溶射法で厚さ250μmのTi溶射膜を形成した。これら各部品を使用して、マグネトロンスパッタリング装置を構成した。各部品はTi溶射面のクリーニング処理を行った後、マグネトロンスパッタリング装置に組込んだ。Ti溶射膜の表面粗さは、局部山頂の平均間隔Sが126μm、最大谷深さRvが75μm、最大山高さRpが85μmであった。各溶射膜の硬度は、Al溶射膜がHv35、Ti溶射膜がHv380であった。
上記した比較例1によるマグネトロンスパッタリング装置を用いて、実施例1と同様にして8インチウェーハ上にTi/TiN薄膜を形成し、パーティクル数の変化を調べた。その結果を図8に併せて示す。また、比較例1のTi/TiN膜の表面形態を電子顕微鏡で拡大して観察したところ、実施例1に比べて劣るものであった。
図8から明らかなように、実施例1によるマグネトロンスパッタリング装置はパーティクル発生量が150ロットまで安定して少ないのに対して、比較例1によるマグネトロンスパッタリング装置では突発的にパーティクルが発生していると共に、全体的なパーティクル発生量も多いことが分かる。これらから、実施例1の溶射膜によりパーティクルの発生を有効にかつ安定して防止できることが確認された。
実施例2、比較例2
上記した実施例1と同様にして、表2に示すAl溶射膜とTi溶射膜の積層膜を形成した各部品を用いて、それぞれマグネトロンスパッタリング装置を構成した。溶射膜の最表面の表面粗さおよび各溶射膜の硬度は表2に示す通りである。溶射膜の表面粗さは粉末粒径により調整した。溶射膜の硬度はアニール条件により調整した。
これら各マグネトロンスパッタリング装置を用いて、実施例1と同様にして8インチウェーハ上にTi/TiN薄膜を形成し、このTi/TiN薄膜上の直径0.2μm以上のパーティクル数を測定した。この薄膜形成を連続して行い、パーティクルが増加するまでのロット数で、剥離が発生するまでの寿命を調べた。また、150ロットによるパーティクル数の平均値を調べた。それらの結果を表2に示す。
Figure 2005029897
実施例3、比較例3
まず、溶射原料として粉末粒径が40〜150μmの範囲で粒径分布が異なるTi溶射原料を複数用意した。これらTi溶射原料を用いて、図7に示したスパッタリング装置のアースシールド13、上部防着板14、下部防着板15およびプラテンリング17の各部品(SUS304製基材)に対して、プラズマ溶射法で厚さ200μmのTi溶射膜をそれぞれ形成した。次いで、Ti溶射面をクリーニング処理した後、真空中にて300〜500℃×3hrの条件で熱処理を施した。各Ti溶射膜の表面粗さは表3に示す通りである。
次に、これら各部品をマグネトロンスパッタリング装置に組込み、それぞれ実施例1と同様にして8インチウェーハ上にTi/TiN薄膜を形成した。このTi/TiN薄膜上の直径0.2μm以上のパーティクル数を測定した。この薄膜形成を連続して行い、150ロットによるパーティクル数の平均値を調べた。その結果を表3に示す。なお、表3中の比較例3は、アーク溶射法でTi溶射膜を形成する以外は同様な部品を用いた場合の結果である。
Figure 2005029897
表3から明らかなように、実施例3によるマグネトロンスパッタリング装置では、パーティクルの発生量が比較例3に比べて非常に少ないことが分かる。従って、膜(Ti/TiN薄膜)の歩留りを大幅に高めることが可能となる。
実施例4、比較例4
溶射原料として粉末粒径が40〜120μmの範囲で粒径分布が異なるAl溶射原料を複数用意した。これらAl溶射原料を用いて、図7に示したスパッタリング装置のアースシールド13、上部防着板14、下部防着板15およびプラテンリング17の各部品(SUS 304製基材)に対して、プラズマ溶射法で厚さ200μmのAl溶射膜をそれぞれ形成した。次いで、Al溶射面をクリーニング処理した後、真空中にて300〜500℃×3hrの条件で熱処理を施した。各Al溶射膜の表面粗さは表4に示す通りである。
次に、上記した各部品を高純度タングステンシリサイド(WSi2.8)ターゲットを有するマグネトロンスパッタリング装置に組込み、それぞれ8インチウェーハ上にWSix薄膜を形成し、このWSix薄膜上の直径0.2μm以上のパーティクル数を測定した。この薄膜形成を連続して行い、200ロットによるパーティクル数の平均値を調べた。その結果を表4に示す。なお、表4中の比較例4は、アーク溶射法でAl溶射膜を形成する以外は同様な部品を用いた場合の結果である。
Figure 2005029897
表4から明らかなように、実施例4によるマグネトロンスパッタリング装置では、パーティクルの発生量が比較例4に比べて非常に少ないことが分かる。従って、膜(WSix薄膜)の歩留りを大幅に高めることが可能となる。
実施例5、比較例5
溶射原料として粉末粒径が40〜150μmの範囲で粒径分布が異なるTi溶射原料を複数用意した。これらTi溶射原料を用いて、図7に示したスパッタリング装置のアースシールド13、上部防着板14、下部防着板15およびプラテンリング17の各部品(SUS 304製基材)に対して、プラズマ溶射法で厚さ200μmのAl溶射膜を形成し、さらにプラズマ溶射法で厚さ80μmのTi溶射膜を形成した。次いで、Ti溶射面をクリーニング処理した後、真空中にて300〜500℃×3hrの条件でアニーリング処理を施した。これら各溶射膜の硬度を表5に示す。
次に、これら各部品をマグネトロンスパッタリング装置に組込み、それぞれ実施例1と同様にして8インチウェーハ上にTi/TiN薄膜を形成した。この薄膜形成を連続して行い、パーティクル数が増加するまでのロット数で、剥離が発生するまでの寿命を調べた。その結果を表5に示す。なお、表5中の比較例5は、アニーリング処理を施さない以外は同様な溶射膜を形成した部品を用いた場合の結果である。
Figure 2005029897
表5から明らかなように、実施例5によるマグネトロンスパッタリング装置はパーティクル発生量が急激に増加するまでのロット数、すなわち剥離寿命が長く、長期間にわたって安定して使用することができる。このことはスパッタリング装置の稼働率を高めることが可能であることを意味し、装置のランニングコストの低減、ひいては成膜コストの削減に大きく貢献する。
実施例6、比較例6
溶射原料として粉末粒径が40〜120μmの範囲で粒径分布が異なるAl溶射原料を複数用意した。Al溶射原料を用いて、図7に示したスパッタリング装置のアースシールド13、上部防着板14、下部防着板15およびプラテンリング17の各部品(SUS 304製基材)に対して、プラズマ溶射法で厚さ200μmのAl溶射膜を形成し、さらにその上にプラズマ溶射法で厚さ100μmのW溶射膜を形成した。次いで、W溶射面をクリーニング処理した後、真空中にて300〜500℃×3hrの条件でアニーリング処理を施した。これら各溶射膜の硬度を表6に示す。
次に、上記した各部品を高純度タングステンシリサイド(WSi2.8)ターゲットを有するマグネトロンスパッタリング装置に組込み、それぞれ8インチウェーハ上にWSix薄膜を形成した。このWSix薄膜の形成を、直径0.2μm以上のパーティクル数を測定しながら連続して行い、パーティクル数が増加するまでのロット数で、剥離が発生するまでの寿命を調べた。その結果を表6に示す。なお、表6中の比較例6は、アニーリング処理を施さない以外は同様な溶射膜を形成した部品を用いた場合の結果である。
Figure 2005029897
表6から明らかなように、実施例6によるマグネトロンスパッタリング装置はパーティクル発生量が急激に増加するまでのロット数、すなわち剥離寿命が長く、長期間にわたって安定して使用することができる。このことはスパッタリング装置の稼働率を高めることが可能であることを意味し、装置のランニングコストの低減、ひいては成膜コストの削減に大きく貢献する。
実施例7
図7に示したスパッタリング装置のアースシールド13、上部防着板14、下部防着板15およびプラテンリング17の各部品(SUS 304製基材)に対して、表7に示す各溶射膜をプラズマ溶射法でそれぞれ形成した。次いで、各溶射面をクリーニング処理した後、表7に示す条件でアニーリング処理を施した。これら各溶射膜の表面粗さおよび硬度は表7に示す通りである。
なお、各溶射膜の形成条件(プラズマ溶射条件)は、Alについては粉末原料の粒径45〜90μm、電流500A、電圧75V、Ar流量73L/min、H2流量8L/minとした。Cuは粉末原料の粒径30〜90μm、電流500A、電圧65V、Ar流量73L/min、H2流量5L/minとした。Wは粉末原料の粒径45μm以下、電流500A、電圧65V、Ar流量39L/min、H2流量10L/minとした。Moは粉末原料の粒径45μm以下、電流500A、電圧67V、Ar流量39L/min、H2流量12/minとした。Niは粉末原料の粒径45〜75μm、電流500A、電圧60V、Ar流量39L/min、H2流量6.5L/minとした。Taは粉末原料の粒径30〜80μm、電流550A、電圧68V、Ar流量39L/min、H2流量12L/minとした。SUS 304は粉末原料の粒径40〜90μm、電流500A、電圧65V、Ar流量39L/min、H2流量10L/minとした。
次に、これら各部品をマグネトロンスパッタリング装置に組込み、それぞれ8インチウェーハ上に表7に示す薄膜を形成した。これら各薄膜上の直径0.2μm以上のパーティクル数を測定した。この薄膜形成を連続して行い、パーティクルが増加するまでのロット数で、剥離が発生するまでの寿命を調べた。また、150ロットによるパーティクル数の平均値を調べた。それらの結果を表7に示す。
Figure 2005029897
実施例8
図7に示したスパッタリング装置のアースシールド13、上部防着板14、下部防着板15およびプラテンリング17の各部品に対して、表8に示す2層積層構造の各溶射膜(下層はAl溶射膜)をそれぞれ形成した。次いで、各溶射面をクリーニング処理した後、表8に示す条件でアニーリング処理を施した。これら各溶射膜の表面粗さおよび硬度は表8に示す通りである。
なお、各部品の基材は、表8中の試料No5についてはAl合金を使用し、それ以外についてはSUS 304を使用した。また、各溶射膜の形成条件は、基本的には実施例7と同一とした。ただし、表8中の試料No3のAl溶射膜は、直径1.6mmのAl線材を溶射原料として用いて、電流200A、電圧30Vの条件でアーク溶射して形成した。
次に、これら各部品をマグネトロンスパッタリング装置に組込み、それぞれ8インチウェーハ上に表8に示す薄膜を形成した。これら各薄膜上の直径0.2μm以上のパーティクル数を測定した。この薄膜形成を連続して行い、パーティクルが増加するまでのロット数で、剥離が発生するまでの寿命を調べた。また、150ロットによるパーティクル数の平均値を調べた。それらの結果を表8に示す。
Figure 2005029897
実施例9
図7に示したスパッタリング装置のアースシールド13、上部防着板14、下部防着板15およびプラテンリング17の各部品に対して、表9に示す2層積層構造の各溶射膜(下層はCu溶射膜)をそれぞれ形成した。次いで、各溶射面をクリーニング処理した後、表9に示す条件でアニーリング処理を施した。これら各溶射膜の表面粗さおよび硬度は表9に示す通りである。
なお、各部品の基材は、表9中の試料No3と試料No4についてはTi合金を使用し、それ以外についてはSUS 304を使用した。また、各溶射膜の形成条件は、基本的には実施例7と同一とした。ただし、表9中の試料No1、No2、No3、No4、No5、No6による各Cu溶射膜は、直径1.6mmのCu線材を溶射原料として用いて、電流200A、電圧30Vの条件でアーク溶射して形成した。
次に、これら各部品をマグネトロンスパッタリング装置に組込み、それぞれ8インチウェーハ上に表9に示す薄膜を形成した。これら各薄膜上の直径0.2μm以上のパーティクル数を測定した。この薄膜形成を連続して行い、パーティクルが増加するまでのロット数で、剥離が発生するまでの寿命を調べた。また、150ロットによるパーティクル数の平均値を調べた。それらの結果を表9に示す。
Figure 2005029897
実施例10
図7に示したスパッタリング装置のアースシールド13、上部防着板14、下部防着板15およびプラテンリング17の各部品(SUS 304製基材)に対して、表10に示す2層積層構造の各溶射膜(下層はNi溶射膜)をプラズマ溶射法でそれぞれ形成した。次いで、各溶射面をクリーニング処理した後、表10に示す条件でアニーリング処理を施した。これら各溶射膜の表面粗さおよび硬度は表10に示す通りである。なお、各溶射膜の形成条件は実施例7と同一とした。
次に、これら各部品をマグネトロンスパッタリング装置に組込み、それぞれ8インチウェーハ上に表10に示す薄膜を形成した。これら各薄膜上の直径0.2μm以上のパーティクル数を測定した。この薄膜形成を連続して行い、パーティクルが増加するまでのロット数で、剥離が発生するまでの寿命を調べた。また、150ロットによるパーティクル数の平均値を調べた。それらの結果を表10に示す。
Figure 2005029897
実施例11
図7に示したスパッタリング装置のアースシールド13、上部防着板14、下部防着板15およびプラテンリング17の各部品(SUS 304製基材)に対して、プラズマ溶射法で厚さ約200μmのTi溶射膜をそれぞれ形成した。また、ターゲット11としては高純度Tiを使用し、またバッキングプレート12にはAlを使用した。ターゲット11の外周部の非エロージョン領域、およびバッキングプレート12の表面にも、同様にプラズマ溶射法で厚さ約200μmのTi溶射膜を形成した。
次に、これらTi溶射膜を形成した各部品、ターゲットおよびバッキングプレートのTi溶射面をクリーニング処理した後、真空中にて350℃×3hrの条件で熱処理を施した。各Ti溶射膜の表面粗さは、局部山頂の平均間隔Sが72μm、最大谷深さRvが45μm、最大山高さRpが42μmであった。また、Ti溶射膜の硬度はHv205であった。
上述した各部品、ターゲットおよびバッキングプレートをマグネトロンスパッタリング装置に組込んで、実施例1と同様にして、8インチウェーハ上にTi/TiN薄膜を形成した。このTi/TiN薄膜上の直径0.2μm以上のパーティクル数を測定した。この薄膜形成を連続して行い、パーティクルが増加するまでのロット数で剥離寿命を調べた。また、150ロットによるパーティクル数の平均値を調べた。剥離寿命は144ロット、パーティクル数の平均値は14個であった。
この実施例11においては、ターゲットおよびバッキングプレートに溶射しない場合と比較して、突発的に発生するパーティクルがなくなり、また全体のパーティクル数は半減した。これらのことから、パーティクルの発生を有効かつ安定して防止できることが確認された。
本発明の一実施形態による真空成膜装置用部品の要部構成を示す断面図である。 本発明で適用した表面粗さのうち局部山頂の平均間隔Sを説明するための図である。 本発明で適用した表面粗さのうち最大谷深さRvおよび最大山高さRpを説明するための図である。 図1に示す真空成膜装置用部品における溶射膜の第1の具体例の構成を模式的に示す断面図である。 図1に示す真空成膜装置用部品における溶射膜の第2の具体例の構成を模式的に示す断面図である。 本発明のターゲット装置を適用したスパッタリングターゲットの一実施形態の概略構成を示す断面図である。 本発明の真空成膜装置を適用したスパッタリング装置の一実施形態の要部構成を示す図である。 本発明の実施例1によるスパッタリング装置を使用した際のパーティクル数の変化を比較例1のスパッタリング装置と比較して示す図である。
符号の説明
1…真空成膜装置用部品、2…部品本体(基材)、3…溶射膜、11…スパッタリングターゲット、12…バッキングプレート、13…アースシールド、14,15…防着板、16…被成膜基板、17…プラテンリング。

Claims (13)

  1. 真空成膜装置の構成部品であって、
    部品本体と、
    前記部品本体の表面に形成され、JIS B 0601-1994で規定する局部山頂の平均間隔Sが50〜150μmの範囲、最大谷深さRvおよび最大山高さRpがそれぞれ20〜70μmの範囲である表面粗さを有する溶射膜と
    を具備することを特徴とする真空成膜装置用部品。
  2. 請求項1記載の真空成膜装置用部品において、
    前記溶射膜は成膜材料との熱膨張率の差が15×10-6/K以下の金属材料からなる被膜を有することを特徴とする真空成膜装置用部品。
  3. 請求項1または請求項2記載の真空成膜装置用部品において、
    前記溶射膜は前記部品本体との熱膨張率の差が20×10-6/K以下の金属材料からなる被膜を有することを特徴とする真空成膜装置用部品。
  4. 請求項1記載の真空成膜装置用部品において、
    前記溶射膜は異なる材料からなる2層以上の被膜を有することを特徴とする真空成膜装置用部品。
  5. 請求項4記載の真空成膜装置用部品において、
    前記溶射膜は、前記部品本体上に形成され、軟金属材料からなる応力緩和層と、前記応力緩和層上に形成され、成膜材料との熱膨張率差が15×10-6/K以下の金属材料からなる熱膨張緩和層とを有することを特徴とする真空成膜装置用部品。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれか1項記載の真空成膜装置用部品において、
    前記溶射膜は、ビッカース硬さがHv30以下のAl系溶射膜、ビッカース硬さがHv100以下のCu系溶射膜、ビッカース硬さがHv200以下のNi系溶射膜、ビッカース硬さがHv300以下のTi系溶射膜、ビッカース硬さがHv300以下のMo系溶射膜、およびビッカース硬さがHv500以下のW系溶射膜から選ばれる少なくとも1つの被膜を有することを特徴とする真空成膜装置用部品。
  7. 請求項1ないし請求項6のいずれか1項記載の真空成膜装置用部品において、
    前記溶射膜は50〜500μmの範囲の厚さを有することを特徴とする真空成膜装置用部品。
  8. 請求項5記載の真空成膜装置用部品において、
    前記応力緩和層は100〜300μmの範囲の厚さを有し、かつ前記熱膨張緩和層は50〜150μmの範囲の厚さを有することを特徴とする真空成膜装置用部品。
  9. 真空容器と、
    前記真空容器内に配置される被成膜試料保持部と、
    前記真空容器内に前記被成膜試料保持部と対向して配置される成膜源と、
    前記成膜源を保持する成膜源保持部と、
    前記被成膜試料保持部または前記成膜源保持部の周囲に配置された防着部品とを具備し、
    前記被成膜試料保持部、前記成膜源保持部および前記防着部品から選ばれる少なくとも1つが、請求項1ないし請求項8のいずれか1項記載の真空成膜装置用部品からなることを特徴とする真空成膜装置。
  10. 請求項9記載の真空成膜装置において、
    前記真空成膜装置用部品の表面に形成された前記溶射膜は、前記成膜源を構成する少なくとも1種の金属材料を含む被膜を有することを特徴とする真空成膜装置。
  11. 請求項9または請求項10記載の真空成膜装置において、
    前記成膜装置はスパッタリング装置であることを特徴とする真空成膜装置。
  12. ターゲット本体と、
    前記ターゲット本体の非エロージョン領域に形成され、JIS B 0601-1994で規定する局部山頂の平均間隔Sが50〜150μmの範囲、最大谷深さRvおよび最大山高さRpがそれぞれ20〜70μmの範囲である表面粗さを有する溶射膜と
    を具備することを特徴とするターゲット装置。
  13. ターゲットと、
    前記ターゲットを保持するバッキングプレート本体と、前記バッキングプレート本体の表面に形成され、JIS B 0601-1994で規定する局部山頂の平均間隔Sが50〜150μmの範囲、最大谷深さRvおよび最大山高さRpがそれぞれ20〜70μmの範囲である表面粗さを有する溶射膜とを備えるパッキングプレートと
    を具備することを特徴とするターゲット装置。
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