JPH0762519A - シリンダブロックの製造方法 - Google Patents
シリンダブロックの製造方法Info
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- JPH0762519A JPH0762519A JP21312693A JP21312693A JPH0762519A JP H0762519 A JPH0762519 A JP H0762519A JP 21312693 A JP21312693 A JP 21312693A JP 21312693 A JP21312693 A JP 21312693A JP H0762519 A JPH0762519 A JP H0762519A
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- JP
- Japan
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- sprayed layer
- thermal spraying
- thermally sprayed
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- layer
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 シリンダボアの内壁に残留引張力を軽減した
溶射層を形成するシリンダブロックの製造方法。 【構成】 シリンダボアの内壁に合金溶射層を形成した
後、該溶射層に溶射層の融点未満の加熱を与えることを
特徴とするものであって、加熱手段に高密度エネルギ熱
源を用いても良く、また溶射材料として重量比でCを
0.2〜0.8%を含有する鉄系溶射材料含むものであ
っても良い。溶射後に溶射層を線状に再溶融または再加
熱するので、加熱された部分で歪が解消されると共に一
体となっている被膜層が分断されることにより残留する
引張力が軽減される。また溶射材料に重量比でCを0.
2〜0.8%を含有する鉄系溶射材料含むものでる場合
は、熱による効果とマルテンサイト変態による被膜の膨
張による効果が加わって、歪%の低減がさらに効果的で
あてる。
溶射層を形成するシリンダブロックの製造方法。 【構成】 シリンダボアの内壁に合金溶射層を形成した
後、該溶射層に溶射層の融点未満の加熱を与えることを
特徴とするものであって、加熱手段に高密度エネルギ熱
源を用いても良く、また溶射材料として重量比でCを
0.2〜0.8%を含有する鉄系溶射材料含むものであ
っても良い。溶射後に溶射層を線状に再溶融または再加
熱するので、加熱された部分で歪が解消されると共に一
体となっている被膜層が分断されることにより残留する
引張力が軽減される。また溶射材料に重量比でCを0.
2〜0.8%を含有する鉄系溶射材料含むものでる場合
は、熱による効果とマルテンサイト変態による被膜の膨
張による効果が加わって、歪%の低減がさらに効果的で
あてる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はシリンダボアの内壁に合
金溶射層を形成するシリンダブロックの製造方法に関す
る。
金溶射層を形成するシリンダブロックの製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】鋳鉄製のエンジンブロックと鋳鉄製のピ
ストンは耐久力があり耐摩耗性に優れているが、重量が
重いという欠点があり、アルミニウム製のエンジンブロ
ックおよびピストンが使用されるようになっている。し
かしアルミニウム製のエンジンブロックのシリンダボア
内面は耐摩耗性および耐スカッフィング性に劣るため種
々の処理が施されている。
ストンは耐久力があり耐摩耗性に優れているが、重量が
重いという欠点があり、アルミニウム製のエンジンブロ
ックおよびピストンが使用されるようになっている。し
かしアルミニウム製のエンジンブロックのシリンダボア
内面は耐摩耗性および耐スカッフィング性に劣るため種
々の処理が施されている。
【0003】例えば、アルミニウムシリンダブロックの
中に鋳鉄性のシリンダライナーを圧入したり、耐摩耗性
アルミニウム合金であるA390を用いてECM処理を
して実用化しているものがある。また、コーティングを
している例としては、Ni+SiC分散めっき、Ni−
P−BNめっき、Mo線爆溶射等がある。
中に鋳鉄性のシリンダライナーを圧入したり、耐摩耗性
アルミニウム合金であるA390を用いてECM処理を
して実用化しているものがある。また、コーティングを
している例としては、Ni+SiC分散めっき、Ni−
P−BNめっき、Mo線爆溶射等がある。
【0004】アルミニウム製エンジンボアにアルミニウ
ムブロンズを金属溶射する発明としては米国特許5,0
80,056号があり、アルミニウム製エンジンブロッ
クのシリンダ壁を多少大きめに鋳造し、このシリンダ壁
にアルミニウムブロンズを酸素炭水化水素燃料ガス(プ
ロピレンを使用)の高速流(High Volocit
y Stream of an Oxygen Hyd
rocarbon Fuel Gas、以下HVOFと
いう。)を用いて金属溶射しアルミニウムブロンズ層を
形成し、これを所望の内径に機械加工するものである。
ムブロンズを金属溶射する発明としては米国特許5,0
80,056号があり、アルミニウム製エンジンブロッ
クのシリンダ壁を多少大きめに鋳造し、このシリンダ壁
にアルミニウムブロンズを酸素炭水化水素燃料ガス(プ
ロピレンを使用)の高速流(High Volocit
y Stream of an Oxygen Hyd
rocarbon Fuel Gas、以下HVOFと
いう。)を用いて金属溶射しアルミニウムブロンズ層を
形成し、これを所望の内径に機械加工するものである。
【0005】また、セラミックスを溶射するものとして
は、特開昭60−26656号公報の内面溶射方法の発
明があり、この発明では円筒内面に断面形状が三角形又
は台系である突起を形成し、セラミックスの溶射被覆高
さが前記高さ以上になるように溶射するものである。
は、特開昭60−26656号公報の内面溶射方法の発
明があり、この発明では円筒内面に断面形状が三角形又
は台系である突起を形成し、セラミックスの溶射被覆高
さが前記高さ以上になるように溶射するものである。
【0006】
【発明が解決しようとす課題】本発明が対象としている
のは、フレーム溶射の中でも、前記のHVOF溶射(M
etco社製DJガン)と呼ばれる高速溶射技術で、高
速であることから密着性、皮膜特性に優れている。この
方法を用いてシリンダ内壁に溶射層を形成するには、図
5に示すようにシリンダの中心に溶射ガンを挿入する。
溶射金属は溶融されスプレイとなって溶射ガンのヘッド
から高速ガスによりシリンダ内壁に堆積する。この溶射
ガンは自動的に回転しシリンダの中心軸を何度か上下に
昇降するので、比較的厚膜(約0.2〜1.00mm)
がシリンダ内壁に形成される。
のは、フレーム溶射の中でも、前記のHVOF溶射(M
etco社製DJガン)と呼ばれる高速溶射技術で、高
速であることから密着性、皮膜特性に優れている。この
方法を用いてシリンダ内壁に溶射層を形成するには、図
5に示すようにシリンダの中心に溶射ガンを挿入する。
溶射金属は溶融されスプレイとなって溶射ガンのヘッド
から高速ガスによりシリンダ内壁に堆積する。この溶射
ガンは自動的に回転しシリンダの中心軸を何度か上下に
昇降するので、比較的厚膜(約0.2〜1.00mm)
がシリンダ内壁に形成される。
【0007】ところが、皮膜の材質としとは、必要性に
応じて種々のものが選択できるが、どんな材質を選んで
も、コーティング皮膜が熱収縮を生ずるのに対して、基
材のシリンダブロックはこれに対応して収縮しないた
め、溶射皮膜層に残留応力を生ずる。すなわち、図6
(a)(b)に示すように溶射皮膜に引張力が生じ溶射
皮膜剥離の原因となる。特に機械加工のときに剥離す
る。
応じて種々のものが選択できるが、どんな材質を選んで
も、コーティング皮膜が熱収縮を生ずるのに対して、基
材のシリンダブロックはこれに対応して収縮しないた
め、溶射皮膜層に残留応力を生ずる。すなわち、図6
(a)(b)に示すように溶射皮膜に引張力が生じ溶射
皮膜剥離の原因となる。特に機械加工のときに剥離す
る。
【0008】前記特開昭60−26656号公報の発明
はこの問題点を解決するために提案されたものである
が、この提案では溶射皮膜が凸部のシャドウ効果により
穴やポアが発生して劣化し易く、また円筒内周面に凸部
を形成と切削加工では困難であるという欠点がある。
はこの問題点を解決するために提案されたものである
が、この提案では溶射皮膜が凸部のシャドウ効果により
穴やポアが発生して劣化し易く、また円筒内周面に凸部
を形成と切削加工では困難であるという欠点がある。
【0009】本発明はシリンダボア内壁にフレーム溶射
により溶射皮膜を形成するに際して溶射皮膜に引張力が
残留し、機械加工に際して剥離し易いという問題点を解
決するためになされたものであって、シリンダボアの内
壁の溶射層に引張力が残留しないシリンダブロックの製
造方法を提供することを目的とする。
により溶射皮膜を形成するに際して溶射皮膜に引張力が
残留し、機械加工に際して剥離し易いという問題点を解
決するためになされたものであって、シリンダボアの内
壁の溶射層に引張力が残留しないシリンダブロックの製
造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】発明者はシリンダボアの
内壁の溶射層に引張力が残留する理由について検討をし
た。その結果、溶射被膜層は一体となって凝固するため
に引張力が残留することが判明した。そこで、溶射層を
その融点に近い温度で部分的にまたは全体的に加熱し、
溶射層の一体性を分断することにより、残留応力を軽減
できることを新たに知見して本発明を完成した。また、
さらに溶射材料についても検討を重ね、加熱により、変
態して膨張する材料を添加するとさらに効果的であるこ
とを見出して本発明を完成した。
内壁の溶射層に引張力が残留する理由について検討をし
た。その結果、溶射被膜層は一体となって凝固するため
に引張力が残留することが判明した。そこで、溶射層を
その融点に近い温度で部分的にまたは全体的に加熱し、
溶射層の一体性を分断することにより、残留応力を軽減
できることを新たに知見して本発明を完成した。また、
さらに溶射材料についても検討を重ね、加熱により、変
態して膨張する材料を添加するとさらに効果的であるこ
とを見出して本発明を完成した。
【0011】本発明の請求項1のシリンダブロックの製
造方法は、シリンダボアの内壁に合金溶射層を形成した
後、該溶射層に溶射層の融点未満の加熱を与えることを
要旨とする。請求項2の発明は、前記溶射層に加熱を与
える手段が高密度エネルギ熱源であることを要旨とす
る。また、請求項3の発明は、前記合金溶射層は、重量
比でCを0.2〜0.8%を含有し、かつマルテンサイ
ト変態する鉄系溶射材料を含む溶射材料であることを要
旨とする。
造方法は、シリンダボアの内壁に合金溶射層を形成した
後、該溶射層に溶射層の融点未満の加熱を与えることを
要旨とする。請求項2の発明は、前記溶射層に加熱を与
える手段が高密度エネルギ熱源であることを要旨とす
る。また、請求項3の発明は、前記合金溶射層は、重量
比でCを0.2〜0.8%を含有し、かつマルテンサイ
ト変態する鉄系溶射材料を含む溶射材料であることを要
旨とする。
【0012】使用する溶射機はガス溶線式でもアーク式
溶射機でも特に限定はされないが、ガス溶線式溶射機が
最も一般的である。これはアセチレンとプロパンと酸素
で高温炎をつくりこの中に線材を一定速度で送り込み溶
滴として高速で基材表面に吹きつけるものである。
溶射機でも特に限定はされないが、ガス溶線式溶射機が
最も一般的である。これはアセチレンとプロパンと酸素
で高温炎をつくりこの中に線材を一定速度で送り込み溶
滴として高速で基材表面に吹きつけるものである。
【0013】溶射層被膜の加熱は火炎による加熱、高周
波加熱、レーザ光の照射等その手段を問わないが、要す
るに溶射被膜を線状に出来るだけ溶融温度に近い温度に
再加熱して一体となっている被膜層を分断することによ
り残留応力が軽減されれば良い。
波加熱、レーザ光の照射等その手段を問わないが、要す
るに溶射被膜を線状に出来るだけ溶融温度に近い温度に
再加熱して一体となっている被膜層を分断することによ
り残留応力が軽減されれば良い。
【0014】加熱の熱源として、レーザ等の高エネルギ
熱源を用いればさらに効果的である。加熱する際の線状
の再加熱のパターンは縦縞状、らせん状等適宜に選択す
れば良い。
熱源を用いればさらに効果的である。加熱する際の線状
の再加熱のパターンは縦縞状、らせん状等適宜に選択す
れば良い。
【0015】
【作用】第1項の発明では、溶射後に溶射層を線状に再
溶融または再加熱するので、加熱された部分で歪が解消
されると共に一体となっている被膜層が分断されること
により残留する引張力が軽減される。
溶融または再加熱するので、加熱された部分で歪が解消
されると共に一体となっている被膜層が分断されること
により残留する引張力が軽減される。
【0016】また、請求項3の発明では、請求項1の発
明に対してさらにマルテンサイト変態による体積膨張が
利用される。マルテンサイト変態による体積膨張は 4.75−0.53×(%C)・・・・・(1) で表される(金属学会;構成材料とその処理、P8
7)。鉄系材料のC含有量を0.2〜0.8%としたの
は、0.2%未満では充分な体積膨張と耐摩耗性が得ら
れないからであり、0.8%を越えるとチル層が発生し
溶射層の被削性が損なわれるからである。その結果、
(1)式より体積膨張は4.33〜4.64%発生す
る。
明に対してさらにマルテンサイト変態による体積膨張が
利用される。マルテンサイト変態による体積膨張は 4.75−0.53×(%C)・・・・・(1) で表される(金属学会;構成材料とその処理、P8
7)。鉄系材料のC含有量を0.2〜0.8%としたの
は、0.2%未満では充分な体積膨張と耐摩耗性が得ら
れないからであり、0.8%を越えるとチル層が発生し
溶射層の被削性が損なわれるからである。その結果、
(1)式より体積膨張は4.33〜4.64%発生す
る。
【0017】この請求項3の発明で使用される溶射材料
としては、例えば炭素鋼(C含有量0.2〜0.8%)
またはマルテンサイトステンレス鋼等を含む材料を体積
比で20%以上含むことが望ましい。溶射材料の体積比
が20%未満ではマルテンサイト変態による体積膨張が
充分に利用されないからである。
としては、例えば炭素鋼(C含有量0.2〜0.8%)
またはマルテンサイトステンレス鋼等を含む材料を体積
比で20%以上含むことが望ましい。溶射材料の体積比
が20%未満ではマルテンサイト変態による体積膨張が
充分に利用されないからである。
【0018】本発明において、溶射層をその融点以下で
加熱する理由は、溶射層の融点以上に加熱してしまう
と、溶射層が溶融し再び凝固硬化する際に、溶融部が収
縮してしまい残留応力が再び発生するからである。ま
た、マルテンサイト変態で膨張させる効果を打ち消して
なお収縮してしまうからである。
加熱する理由は、溶射層の融点以上に加熱してしまう
と、溶射層が溶融し再び凝固硬化する際に、溶融部が収
縮してしまい残留応力が再び発生するからである。ま
た、マルテンサイト変態で膨張させる効果を打ち消して
なお収縮してしまうからである。
【0019】
【実施例】本発明の実施例を従来例と対比して説明し本
発明の効果を明らかにする。 (実施例1)図5に示すように、シリンダブロック10
のシリンダボア12の中心軸に沿って溶射ガン14を挿
入し、溶射材料としてAl−15wt%SiとFe−6
5wt%Cr−8wt%Cで表される鉄クロム炭化物が
それぞれ重量比(wt%)で50%ずつを占める材料を
用い、溶射ガン14のヘッドを回転させながら上下に昇
降して、冷却水用ジャケット16で冷却しながら、溶射
粒子18をシリンダ内壁に吹きつけ、膜厚0.6mmの
溶射層20を形成した。ただし、前記溶射材料はマルテ
ンサイト変態を生ずる材料ではない。
発明の効果を明らかにする。 (実施例1)図5に示すように、シリンダブロック10
のシリンダボア12の中心軸に沿って溶射ガン14を挿
入し、溶射材料としてAl−15wt%SiとFe−6
5wt%Cr−8wt%Cで表される鉄クロム炭化物が
それぞれ重量比(wt%)で50%ずつを占める材料を
用い、溶射ガン14のヘッドを回転させながら上下に昇
降して、冷却水用ジャケット16で冷却しながら、溶射
粒子18をシリンダ内壁に吹きつけ、膜厚0.6mmの
溶射層20を形成した。ただし、前記溶射材料はマルテ
ンサイト変態を生ずる材料ではない。
【0020】続いて、図1に示すようにレーザ発振機2
2で発生したレーザ光をシリンダボア12の上に設置し
た反射鏡24でシリンダボア12内に反射し、集光レン
ズ26により集光した後、シリンダボア12内に設置し
た反射鏡28をらせん状に回転しながら、溶射層にレー
ザ光を照射して加熱した。その結果、図2のシリンダボ
アの部分切断斜視図に示すように、溶射層20にらせん
状の加熱部30が形成された。加熱部30は溶射層20
が溶融する温度以下で、できるだけ高い温度でレーザに
より照射して加熱され、照射面積率は30%であった。
なお、照射面積率とは、溶射層の面積に対して、レーザ
を照射した面積の占める割合をいう。
2で発生したレーザ光をシリンダボア12の上に設置し
た反射鏡24でシリンダボア12内に反射し、集光レン
ズ26により集光した後、シリンダボア12内に設置し
た反射鏡28をらせん状に回転しながら、溶射層にレー
ザ光を照射して加熱した。その結果、図2のシリンダボ
アの部分切断斜視図に示すように、溶射層20にらせん
状の加熱部30が形成された。加熱部30は溶射層20
が溶融する温度以下で、できるだけ高い温度でレーザに
より照射して加熱され、照射面積率は30%であった。
なお、照射面積率とは、溶射層の面積に対して、レーザ
を照射した面積の占める割合をいう。
【0021】次いで、図3(b)に示すようにシリンダ
ブロック10の切断片32を切出し、溶射層20に歪ゲ
ージ34を貼りつけ、その後、図2(a)に示すよう
に、この溶射層20を切断片32から機械的に剥離した
後、歪を測定した。なお、比較のために溶射層20を加
熱しなかった従来のシリンダブロック10についても同
様に切断片を切り出して同様に歪ゲージ34を貼りつけ
て溶射層20を切断片32から機械的に剥離した後、歪
を測定した。
ブロック10の切断片32を切出し、溶射層20に歪ゲ
ージ34を貼りつけ、その後、図2(a)に示すよう
に、この溶射層20を切断片32から機械的に剥離した
後、歪を測定した。なお、比較のために溶射層20を加
熱しなかった従来のシリンダブロック10についても同
様に切断片を切り出して同様に歪ゲージ34を貼りつけ
て溶射層20を切断片32から機械的に剥離した後、歪
を測定した。
【0022】得られた結果は図4に示したが、本発明の
実施例歪量は従来法に比較しては約1/2に減少してお
り、本発明では溶射層に働く残留応力が軽減されている
ことが判明した。
実施例歪量は従来法に比較しては約1/2に減少してお
り、本発明では溶射層に働く残留応力が軽減されている
ことが判明した。
【0023】(実施例2)Al−15wt%SiとFe
−wt0.8%Cの混合重量比(wt%)がそれぞれ5
0%ずつである溶射材料を用いて、実施例1と同様のH
VOF溶射内周面処理用溶射ガンにより、実施例1と同
様に溶射ガン14のヘッドを回転させながら上下に昇降
して、冷却水用ジャケット16で冷却しながら、溶射粒
子18をシリンダ内壁に吹きつけ、膜厚0.6mmの溶
射層20を形成した。
−wt0.8%Cの混合重量比(wt%)がそれぞれ5
0%ずつである溶射材料を用いて、実施例1と同様のH
VOF溶射内周面処理用溶射ガンにより、実施例1と同
様に溶射ガン14のヘッドを回転させながら上下に昇降
して、冷却水用ジャケット16で冷却しながら、溶射粒
子18をシリンダ内壁に吹きつけ、膜厚0.6mmの溶
射層20を形成した。
【0024】次いで、レーザ出力2KW、ビーム移動速
度1000mm/min、硬化層深さ0.4〜0.6m
m、照射面積率10〜100%のレーザ照射条件で、溶
射層を加熱し、実施例1と同様に歪ゲージにより各照射
面積率における溶射層の歪%を測定し、得られた結果を
図7に示した。なお、レーザ照射の場合焼き境が生じる
ため、100%の場合は100KW─400KHzの高
周波を用いた。
度1000mm/min、硬化層深さ0.4〜0.6m
m、照射面積率10〜100%のレーザ照射条件で、溶
射層を加熱し、実施例1と同様に歪ゲージにより各照射
面積率における溶射層の歪%を測定し、得られた結果を
図7に示した。なお、レーザ照射の場合焼き境が生じる
ため、100%の場合は100KW─400KHzの高
周波を用いた。
【0025】図7に示したように、照射面積率すなわち
焼入面積率の増加と共に歪%は低減するが、実施例1と
較べて加熱による効果とマルテンサイト変態による被膜
の膨張による効果が加わって、歪%の低減効果が大きか
った。
焼入面積率の増加と共に歪%は低減するが、実施例1と
較べて加熱による効果とマルテンサイト変態による被膜
の膨張による効果が加わって、歪%の低減効果が大きか
った。
【0026】
【発明の効果】本発明のシリンダブロックの製造方法は
以上説明したように、シリンダボアの内壁に合金溶射層
を形成した後、該溶射層に溶射層の融点未満の加熱を与
えることを特徴とするものであって、加熱手段に高密度
エネルギ熱源を用いても良く、また溶射材料として重量
比でCを0.2〜0.8%を含有する鉄系溶射材料含む
ものであっても良い。溶射後に溶射層を線状に再溶融ま
たは再加熱するので、加熱された部分で歪が解消される
と共に一体となっている被膜層が分断されることにより
残留する引張力が軽減される。また溶射材料に重量比で
Cを0.2〜0.8%を含有し、かつマルテンサイト変
態する鉄系溶射材料含むものでる場合は、熱による効果
とマルテンサイト変態による被膜の膨張による効果が加
わって、歪%の低減がさらに効果的であてる。
以上説明したように、シリンダボアの内壁に合金溶射層
を形成した後、該溶射層に溶射層の融点未満の加熱を与
えることを特徴とするものであって、加熱手段に高密度
エネルギ熱源を用いても良く、また溶射材料として重量
比でCを0.2〜0.8%を含有する鉄系溶射材料含む
ものであっても良い。溶射後に溶射層を線状に再溶融ま
たは再加熱するので、加熱された部分で歪が解消される
と共に一体となっている被膜層が分断されることにより
残留する引張力が軽減される。また溶射材料に重量比で
Cを0.2〜0.8%を含有し、かつマルテンサイト変
態する鉄系溶射材料含むものでる場合は、熱による効果
とマルテンサイト変態による被膜の膨張による効果が加
わって、歪%の低減がさらに効果的であてる。
【図1】シリンダブロックの内壁の溶射層にレーザ光を
照射している状態の断面図である。
照射している状態の断面図である。
【図2】レーザ照射後のシリンダブロックの部分切断斜
視図である。
視図である。
【図3】溶射層の歪を測定する方法を説明するシリンダ
ブロック片の斜視図である。
ブロック片の斜視図である。
【図4】本発明の実施例と従来例との溶射層の歪を示す
図である。
図である。
【図5】シリンダブロック内壁への金属溶射を説明する
断面図である。
断面図である。
【図6】シリンダブロックに溶射された溶射層の残留引
張力を説明する平面図および断面図である。
張力を説明する平面図および断面図である。
【図7】本発明における溶射層の焼入面積率と歪との関
係を示す図である。
係を示す図である。
10 シリンダブロック 12 シリンダボ
ア 14 溶射ガン 18 溶射粒子 20 溶射層 22 レーザ発振
機 24、27 反射鏡 26 集光レンズ 30 加熱部 32 シリンダブ
ロック切断片 34 歪ゲージ
ア 14 溶射ガン 18 溶射粒子 20 溶射層 22 レーザ発振
機 24、27 反射鏡 26 集光レンズ 30 加熱部 32 シリンダブ
ロック切断片 34 歪ゲージ
Claims (3)
- 【請求項1】 シリンダボアの内壁に合金溶射層を形成
した後、該溶射層に溶射層の融点未満の加熱を与えるこ
とを特徴とするシリンダブロックの製造方法。 - 【請求項2】 前記溶射層に加熱を与える手段が高密度
エネルギ熱源であることを特徴とする請求項1に記載し
たシリンダブロックの製造方法。 - 【請求項3】 前記合金溶射層は、重量比でCを0.2
〜0.8%を含有し、かつマルテンサイト変態する鉄系
溶射材料を含む溶射材料であることを特徴とする請求項
1または請求項2に記載のシリンダブロックの製造方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21312693A JPH0762519A (ja) | 1993-08-27 | 1993-08-27 | シリンダブロックの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21312693A JPH0762519A (ja) | 1993-08-27 | 1993-08-27 | シリンダブロックの製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0762519A true JPH0762519A (ja) | 1995-03-07 |
Family
ID=16634012
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP21312693A Pending JPH0762519A (ja) | 1993-08-27 | 1993-08-27 | シリンダブロックの製造方法 |
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JP (1) | JPH0762519A (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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1993
- 1993-08-27 JP JP21312693A patent/JPH0762519A/ja active Pending
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