JPS62167846A - 鋳鉄製内燃機関用ピストンおよびその製造方法 - Google Patents
鋳鉄製内燃機関用ピストンおよびその製造方法Info
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- JPS62167846A JPS62167846A JP61008554A JP855486A JPS62167846A JP S62167846 A JPS62167846 A JP S62167846A JP 61008554 A JP61008554 A JP 61008554A JP 855486 A JP855486 A JP 855486A JP S62167846 A JPS62167846 A JP S62167846A
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Abstract
(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。
め要約のデータは記録されません。
Description
【発明の詳細な説明】
産業上の利用分野
この発明は大型ディーゼルエンジン等の内燃骸関に使用
される鋳鉄製ピストンおよびその製造方法に関するもの
でおり、特に高温に曝されるピストンヘッド部の少なく
とも一部の表面層を局部的に強化した鋳鉄製ピストンお
よびその製造方法に関するものである。
される鋳鉄製ピストンおよびその製造方法に関するもの
でおり、特に高温に曝されるピストンヘッド部の少なく
とも一部の表面層を局部的に強化した鋳鉄製ピストンお
よびその製造方法に関するものである。
従来の技術
鋳鉄製の内燃機関用ピストンは、アルミニウム合金製ピ
ストンと比較して重量は大ぎいものの、一段に高温強度
に涜れているため、大型ディーゼルエンジン等に使用さ
れている。
ストンと比較して重量は大ぎいものの、一段に高温強度
に涜れているため、大型ディーゼルエンジン等に使用さ
れている。
ところでディーゼルエンジン、将に直噴型ディーピルエ
ンジンにおいては、ピストンのヘッド部は燃料噴射を受
けて高温に曝される。将にビス1〜ンヘッド部のうち、
噴射燃料が直接吹き付けられる噴口部のホットスポット
部は著しく高温となるから、耐熱衝撃性、耐熱疲労性が
優れていることが要求される。最近のディーゼルエンジ
ンの高出力化に伴なって、燃料至のより一層の高温化が
望まれるようになり、そのため前述のようなピストンヘ
ッド部、特にホットスポット部の耐熱衝撃性、耐熱疲労
性の向上に対する要請はますます強まっている。
ンジンにおいては、ピストンのヘッド部は燃料噴射を受
けて高温に曝される。将にビス1〜ンヘッド部のうち、
噴射燃料が直接吹き付けられる噴口部のホットスポット
部は著しく高温となるから、耐熱衝撃性、耐熱疲労性が
優れていることが要求される。最近のディーゼルエンジ
ンの高出力化に伴なって、燃料至のより一層の高温化が
望まれるようになり、そのため前述のようなピストンヘ
ッド部、特にホットスポット部の耐熱衝撃性、耐熱疲労
性の向上に対する要請はますます強まっている。
しかるに従来の通常の鋳鉄製ピストンは普通鋳鉄で作ら
れているものが多く、このような何通鋳鉄製ピストンで
は上述のような要請に充分に応えることは困難であり、
熱応力等によってホットスポット部に亀裂が生じてしま
うことを避は得ず、したがってピストンの耐用寿命も短
くならざるを得なかった。そこで最近では耐熱衝撃性、
耐熱疲労性に優れた合金鋳鉄等の高級鋳鉄でピストンを
作成することも行なわれている。
れているものが多く、このような何通鋳鉄製ピストンで
は上述のような要請に充分に応えることは困難であり、
熱応力等によってホットスポット部に亀裂が生じてしま
うことを避は得ず、したがってピストンの耐用寿命も短
くならざるを得なかった。そこで最近では耐熱衝撃性、
耐熱疲労性に優れた合金鋳鉄等の高級鋳鉄でピストンを
作成することも行なわれている。
発明が解決すべき問題点
前述のように合金鋳鉄等の高級鋳鉄を用いてピストンを
作成した場合には、いたずらにピストン原材料コストの
上昇を招く問題がある。すなわち優れた耐熱性が要求さ
れるのは、ピストン全体のうちでも特にピストンヘッド
部、とりわけホットスポット部であって、その他の部分
には合金鋳鉄等の高級鋳鉄が必要とされるほどの耐熱性
は要求されず、したがってピストン全体を高価な合金鋳
鉄等で構成することは無駄なコスト増大を招くことにな
る。また合金鋳鉄等の高級鋳鉄では、鋳造性が普通鋳鉄
より劣ることが多く、そのため歩留りの低下を招く問題
もある。ざらに合金鋳鉄の場合機械加工性が劣って鋳造
後の機械加工に困難を伴なうこともある。このような問
題を解決するためには、普通鋳鉄等の安価でしかも鋳造
性、加工性も良好な鋳鉄でピストンを作り、その一部す
なわちピストンヘッド部のホットスポット部などを部分
的に強化する方法を適用することが望ましい。
作成した場合には、いたずらにピストン原材料コストの
上昇を招く問題がある。すなわち優れた耐熱性が要求さ
れるのは、ピストン全体のうちでも特にピストンヘッド
部、とりわけホットスポット部であって、その他の部分
には合金鋳鉄等の高級鋳鉄が必要とされるほどの耐熱性
は要求されず、したがってピストン全体を高価な合金鋳
鉄等で構成することは無駄なコスト増大を招くことにな
る。また合金鋳鉄等の高級鋳鉄では、鋳造性が普通鋳鉄
より劣ることが多く、そのため歩留りの低下を招く問題
もある。ざらに合金鋳鉄の場合機械加工性が劣って鋳造
後の機械加工に困難を伴なうこともある。このような問
題を解決するためには、普通鋳鉄等の安価でしかも鋳造
性、加工性も良好な鋳鉄でピストンを作り、その一部す
なわちピストンヘッド部のホットスポット部などを部分
的に強化する方法を適用することが望ましい。
しかしながら従来はこのような手法は確立されていなか
ったのが実情である。
ったのが実情である。
この発明は以上の事情を背景としてなされたもので、鋳
鉄を基材としてそのピストンヘッド部のうち耐熱衝撃性
、耐熱疲労性が特に要求される部位、例えばホットスポ
ット部を部分的に強化して、その部位の耐熱衝撃性、耐
熱疲労性を向上させた鋳鉄製内燃機関用ピストンおよび
その製造方法を提供することを目的とするものである。
鉄を基材としてそのピストンヘッド部のうち耐熱衝撃性
、耐熱疲労性が特に要求される部位、例えばホットスポ
ット部を部分的に強化して、その部位の耐熱衝撃性、耐
熱疲労性を向上させた鋳鉄製内燃機関用ピストンおよび
その製造方法を提供することを目的とするものである。
問題点を解決するための手段
第1発明の鋳鉄製内燃機関用ピストンは、鋳鉄製ピスト
ンのピストンヘッド部にあける耐熱衝撃・耐熱疲労性が
要求される部位に、フェライト相をマトリックスとしか
つそのフェライトマトリックス中に平均粒径20pm以
下の微細塊状黒鉛が分散晶出している徴細黒鉛分散層が
、表面から少なくとも0.2mM以上の深さにわたって
形成され一層いることを特徴とするものである。
ンのピストンヘッド部にあける耐熱衝撃・耐熱疲労性が
要求される部位に、フェライト相をマトリックスとしか
つそのフェライトマトリックス中に平均粒径20pm以
下の微細塊状黒鉛が分散晶出している徴細黒鉛分散層が
、表面から少なくとも0.2mM以上の深さにわたって
形成され一層いることを特徴とするものである。
第2発明の製造方法は、鋳鉄を原料としてピストン粗形
(Aを鋳造した後、そのピストン粗形材のピストンヘッ
ド部における耐熱衝撃・耐熱疲労性が要求される部位の
表面に高密度エネルギを照射して急速溶融−急速再凝固
させることによりチル化層を形成し、次いでこのチル化
層を800〜iio。
(Aを鋳造した後、そのピストン粗形材のピストンヘッ
ド部における耐熱衝撃・耐熱疲労性が要求される部位の
表面に高密度エネルギを照射して急速溶融−急速再凝固
させることによりチル化層を形成し、次いでこのチル化
層を800〜iio。
℃で1分間〜3時間加熱した後、50℃/分以下の冷却
速度で冷却して、フェライト相をマトリックスとしかつ
平均粒径20JJm以下の微細塊状黒鉛が分散晶出して
いる徴細黒鉛分散層を前記部位に表面から0.2ay以
上の深さにわたって形成することを特徴とするものであ
る。
速度で冷却して、フェライト相をマトリックスとしかつ
平均粒径20JJm以下の微細塊状黒鉛が分散晶出して
いる徴細黒鉛分散層を前記部位に表面から0.2ay以
上の深さにわたって形成することを特徴とするものであ
る。
作 用
ピストンの母材となる鋳鉄材料としては、コストおよび
鋳造性などの点からJIS Fe12. Fe12.
Fe12などの普通鋳鉄が最も好ましいが、低合金鋳鉄
なども用いることができる。
鋳造性などの点からJIS Fe12. Fe12.
Fe12などの普通鋳鉄が最も好ましいが、低合金鋳鉄
なども用いることができる。
この発明では、上述のような普通鋳鉄等からなるピスト
ンのヘッド部のうち、特に耐熱衝撃性、耐熱疲労性が要
求される部位、例えばホットスポット部のみ、後述する
ようなフェライトを71〜ワツクスとした徴細黒鉛分散
層が形成される。
ンのヘッド部のうち、特に耐熱衝撃性、耐熱疲労性が要
求される部位、例えばホットスポット部のみ、後述する
ようなフェライトを71〜ワツクスとした徴細黒鉛分散
層が形成される。
このホットスポット部について説明すると、第1図は直
接噴射型ディーゼル機関用ピストンの一例を示すもので
あり、ピストン本体1は砂型鋳造等により鋳造された鋳
鉄製のものであって、そのピストンヘッド部2の頂面に
形成された凹状の噴口部3の内壁面上部からエツジ部へ
かけてのクロス斜線を施した部分が燃料噴射を直接受け
て最も高温となるホットスポット部4に相当する。また
第2図には、直接噴射型ディーゼル教関用ピストンの他
の例のピストンヘッド部2のホットスポット部4を示す
。ざらに第3図には通常のディーゼル機関用ピストンの
ピストンヘッド部2のホットスポット部4を示す。
接噴射型ディーゼル機関用ピストンの一例を示すもので
あり、ピストン本体1は砂型鋳造等により鋳造された鋳
鉄製のものであって、そのピストンヘッド部2の頂面に
形成された凹状の噴口部3の内壁面上部からエツジ部へ
かけてのクロス斜線を施した部分が燃料噴射を直接受け
て最も高温となるホットスポット部4に相当する。また
第2図には、直接噴射型ディーゼル教関用ピストンの他
の例のピストンヘッド部2のホットスポット部4を示す
。ざらに第3図には通常のディーゼル機関用ピストンの
ピストンヘッド部2のホットスポット部4を示す。
上述のホットスポット部4の如く特に耐熱衝撃性、耐熱
疲労性が要求される部位に、平均粒径が205.1m以
下と微細な塊状黒鉛がフェライトマトリックス中に均一
に分散晶出した徴細黒鉛分散層が形成される。
疲労性が要求される部位に、平均粒径が205.1m以
下と微細な塊状黒鉛がフェライトマトリックス中に均一
に分散晶出した徴細黒鉛分散層が形成される。
従来からピストンに使用されている普通鋳鉄の場合、黒
鉛が片状でしかもその寸法が大きいため、熱応力等によ
ってその片状黒鉛を起点として亀裂が発生し易く、また
その黒鉛部分で亀裂が伝播され易かった。また基地がパ
ーライトの場合にはピストンのホットスポット部等が高
温となることにより徐々にセメンタイトが黒鉛とフェラ
イトに分解し、この際体積膨張が生じてこの膨張がホッ
トスポット部等の熱応力を大きくして亀裂発生を招いて
いたと考えられる。しかるにこの発明のピストンにおけ
る徴細黒鉛分散層は、黒鉛が20pm以下と微細でかつ
塊状でおるため亀裂発生の起点や亀裂の伝播部となりに
くく、また基地が安定なフェライトでありしかもフェラ
イト相は靭性が高いため、亀裂発生を招くおそれが少な
く、かつ亀裂の成長も緩やかとなるのである。すなわち
その徴細黒鉛分散層を形成したホットスポット部等の部
位は、部分的に耐熱衝撃性、耐熱疲労性が著しく改善さ
れるのである。
鉛が片状でしかもその寸法が大きいため、熱応力等によ
ってその片状黒鉛を起点として亀裂が発生し易く、また
その黒鉛部分で亀裂が伝播され易かった。また基地がパ
ーライトの場合にはピストンのホットスポット部等が高
温となることにより徐々にセメンタイトが黒鉛とフェラ
イトに分解し、この際体積膨張が生じてこの膨張がホッ
トスポット部等の熱応力を大きくして亀裂発生を招いて
いたと考えられる。しかるにこの発明のピストンにおけ
る徴細黒鉛分散層は、黒鉛が20pm以下と微細でかつ
塊状でおるため亀裂発生の起点や亀裂の伝播部となりに
くく、また基地が安定なフェライトでありしかもフェラ
イト相は靭性が高いため、亀裂発生を招くおそれが少な
く、かつ亀裂の成長も緩やかとなるのである。すなわち
その徴細黒鉛分散層を形成したホットスポット部等の部
位は、部分的に耐熱衝撃性、耐熱疲労性が著しく改善さ
れるのである。
ここで、徴細黒鉛分散層の塊状の平均粒径が20pmを
越える大径となれば亀裂を防止する効果が少なくなって
しまうから、20pm以下の範囲内とする必要がある。
越える大径となれば亀裂を防止する効果が少なくなって
しまうから、20pm以下の範囲内とする必要がある。
またこのようにフェライト相中に微細な黒鉛が均一に分
散晶出した徴細黒鉛分散層は、ホットスポット部等にあ
ける表面から少なくとも0.2m以上の深さにわたって
形成されている必要がある。0.2s未満の深さでは、
上述の効果が充分に得られない。
散晶出した徴細黒鉛分散層は、ホットスポット部等にあ
ける表面から少なくとも0.2m以上の深さにわたって
形成されている必要がある。0.2s未満の深さでは、
上述の効果が充分に得られない。
なおここでフェライトマトリックス中に塊状の黒鉛が分
布している点は、一般的な黒心可@鋳鉄(例えば「鋳物
便覧」第3版、日本鋳物協会編、Pi039〜1098
)と同じであるが、この焦心可鍛鋳鉄の黒鉛の径が30
pff1以上であるのに対し、この発明では20JJm
以下と著しく微細化されている点が一般的な黒心可@鋳
鉄と異なる。
布している点は、一般的な黒心可@鋳鉄(例えば「鋳物
便覧」第3版、日本鋳物協会編、Pi039〜1098
)と同じであるが、この焦心可鍛鋳鉄の黒鉛の径が30
pff1以上であるのに対し、この発明では20JJm
以下と著しく微細化されている点が一般的な黒心可@鋳
鉄と異なる。
次に前述のような徴細黒鉛分散層を有するピストンの製
造方法、すなわち第2発明について説明する。
造方法、すなわち第2発明について説明する。
先ずピストン粗形材の製造法としては、前述のような普
通鋳鉄等の鋳鉄材料を原材料として、砂型鋳造等の通常
の鋳造法により鋳造すれば良い。
通鋳鉄等の鋳鉄材料を原材料として、砂型鋳造等の通常
の鋳造法により鋳造すれば良い。
jqられたピストン粗形材に対しては、徴細黒鉛分散層
を形成するための前処理として、先ず高密度エネルギ源
を用いて、急速溶融−急速再凝固によるデル化処理を行
なう。すなわち、ピストン粗形材のピストンヘッド部の
うち、特に耐熱衝撃性、耐熱疲労性が要求されるホット
スポラ1一部等の部位に、レーザ、電子ビーム、プラズ
マアーク、TIGアーク等の高密度エネルギを照射する
ことによりその部位の表面層を瞬時に急速溶融ざぜ、続
いてそのエネルギ照射位置の移動もしくは照射停止によ
りその溶融した表面層を瞬時に急速凝固させて、その部
位をチル化させる。ここで、高密度エネルギの照射によ
り溶融した部分はピストン全体の質量に比べれば格段に
小さい質量であるから、高密度エネルギ照射位置の移動
もしくは照射停止によってピストン母材側への熱移動に
より溶融層は瞬時に凝固し、チル化層となる。
を形成するための前処理として、先ず高密度エネルギ源
を用いて、急速溶融−急速再凝固によるデル化処理を行
なう。すなわち、ピストン粗形材のピストンヘッド部の
うち、特に耐熱衝撃性、耐熱疲労性が要求されるホット
スポラ1一部等の部位に、レーザ、電子ビーム、プラズ
マアーク、TIGアーク等の高密度エネルギを照射する
ことによりその部位の表面層を瞬時に急速溶融ざぜ、続
いてそのエネルギ照射位置の移動もしくは照射停止によ
りその溶融した表面層を瞬時に急速凝固させて、その部
位をチル化させる。ここで、高密度エネルギの照射によ
り溶融した部分はピストン全体の質量に比べれば格段に
小さい質量であるから、高密度エネルギ照射位置の移動
もしくは照射停止によってピストン母材側への熱移動に
より溶融層は瞬時に凝固し、チル化層となる。
次いでそのチル化層を、800〜1ioo’cの範囲内
の温度に1分間〜3時間再加熱した後、50℃,/分以
下の冷却速度で空冷、放冷あるいは徐冷する。
の温度に1分間〜3時間再加熱した後、50℃,/分以
下の冷却速度で空冷、放冷あるいは徐冷する。
このような再加熱処理を加えることによって、チル化層
から微細な塊状黒鉛が晶出するとともに基地組織がフェ
ライト相となる。すなわち前述のようにフェライトをマ
トリックスとした徴細黒鉛分散層が19られる。
から微細な塊状黒鉛が晶出するとともに基地組織がフェ
ライト相となる。すなわち前述のようにフェライトをマ
トリックスとした徴細黒鉛分散層が19られる。
ここで、チル化層に対する再加熱処理の加熱温度がa
o o ’c未満では均一かつ充分な黒鉛の晶出が得ら
れず、一方1100’Cを越えれば部分的に共晶溶融が
生じるおそれがあるとともに、@鉛が粗大に晶出するあ
それがめる。したがって加熱温度は800〜1100℃
の範囲内とした。また加熱時間が1分間未満では110
0℃に近い高温でも充分に黒鉛が晶出せず、一方3時間
を越える長時間の加熱を施しても黒鉛の晶出は飽和し、
経済的にコスト上昇を招くだけであり、したがって加熱
時間は1分間〜3時間とした。なお加熱温度が800℃
近辺と低い場合には加熱時間は3時間近い長時間とし、
1100℃近辺と高い場合には加熱時間は1分間程度の
短時間とすることが好ましい。また上記の加熱温度、時
間の範囲内でも、特に950〜1050℃で1〜10分
間加熱することがより望ましい。一方、加熱後の冷却は
、基地組織を均一なフェライトとするために50℃/分
以下の冷f1i]速度とすることが必要である。50℃
/分を越える冷却速度ではセメンタイトが充分に分解せ
ず、均一なフェライトマトリックスが得られないおそれ
がある。なお以上の加熱処理においては、チル化層の部
分のみを加熱する局部加熱を適用することが好ましいが
、場合によってはピストン全体を加熱しても良い。局部
加熱の具体的加熱手段としては、高周波誘導加熱や火炎
加熱(バーナ加熱)等を用いることができ、またピスト
ン全体を加熱する場合は炉中加熱を用いることができる
。
o o ’c未満では均一かつ充分な黒鉛の晶出が得ら
れず、一方1100’Cを越えれば部分的に共晶溶融が
生じるおそれがあるとともに、@鉛が粗大に晶出するあ
それがめる。したがって加熱温度は800〜1100℃
の範囲内とした。また加熱時間が1分間未満では110
0℃に近い高温でも充分に黒鉛が晶出せず、一方3時間
を越える長時間の加熱を施しても黒鉛の晶出は飽和し、
経済的にコスト上昇を招くだけであり、したがって加熱
時間は1分間〜3時間とした。なお加熱温度が800℃
近辺と低い場合には加熱時間は3時間近い長時間とし、
1100℃近辺と高い場合には加熱時間は1分間程度の
短時間とすることが好ましい。また上記の加熱温度、時
間の範囲内でも、特に950〜1050℃で1〜10分
間加熱することがより望ましい。一方、加熱後の冷却は
、基地組織を均一なフェライトとするために50℃/分
以下の冷f1i]速度とすることが必要である。50℃
/分を越える冷却速度ではセメンタイトが充分に分解せ
ず、均一なフェライトマトリックスが得られないおそれ
がある。なお以上の加熱処理においては、チル化層の部
分のみを加熱する局部加熱を適用することが好ましいが
、場合によってはピストン全体を加熱しても良い。局部
加熱の具体的加熱手段としては、高周波誘導加熱や火炎
加熱(バーナ加熱)等を用いることができ、またピスト
ン全体を加熱する場合は炉中加熱を用いることができる
。
以上のように、高密度エネルギを用いた急速溶融−急速
再凝固により表面層を−Hチル化した後、再加熱処理を
施すことによって20JJm以下の微細な塊状黒鉛がフ
ェライトマトリックス中に均一に分散晶出したlR,細
黒鉛分散層をホットスポット部等の所要の箇所に形成す
ることができる。
再凝固により表面層を−Hチル化した後、再加熱処理を
施すことによって20JJm以下の微細な塊状黒鉛がフ
ェライトマトリックス中に均一に分散晶出したlR,細
黒鉛分散層をホットスポット部等の所要の箇所に形成す
ることができる。
なお前述の再加熱処理後は、適宜研削加工、研磨加工等
の機械加工を行なって最終的に製品ピストン形状に仕上
げれば良い。
の機械加工を行なって最終的に製品ピストン形状に仕上
げれば良い。
実施例
実施例 1
JIS FC20鋳鉄を溶解し、砂型鋳造によって外径
120M、厚さ50mの実験用鋳鉄円板を作成した。
120M、厚さ50mの実験用鋳鉄円板を作成した。
これを外径100m、厚さ5mの円板状に機械加工し、
その板面の中心部の直径20mの範囲内に、交流TIG
電源を用いたTIGアーク法により急速溶融−急速再凝
固によるチル化処理を行なった。
その板面の中心部の直径20mの範囲内に、交流TIG
電源を用いたTIGアーク法により急速溶融−急速再凝
固によるチル化処理を行なった。
なおTIGアーク電流は180Aとした。次いで電気炉
を用いて1050’CX10分間加熱後、10℃/分の
冷却速度で徐冷する再加熱処理を施した。その後機械加
工により第4図(A>、(B)に示すように中心部に小
孔(内径517117J)5を有する熱衝撃試験片に加
工した。
を用いて1050’CX10分間加熱後、10℃/分の
冷却速度で徐冷する再加熱処理を施した。その後機械加
工により第4図(A>、(B)に示すように中心部に小
孔(内径517117J)5を有する熱衝撃試験片に加
工した。
前述の再加熱処理後の中心部直径20#の範囲内の金属
組織を観祭したところ、第5図(倍率400侶)に示す
ように、平均粒径5pmの微細な塊状黒鉛か均一に分イ
5した徴細黒鉛分散層か得られていることか判明した。
組織を観祭したところ、第5図(倍率400侶)に示す
ように、平均粒径5pmの微細な塊状黒鉛か均一に分イ
5した徴細黒鉛分散層か得られていることか判明した。
比較のため、上述のようなTIGアークによるチル化お
よび再加熱処理を11なわないFC20鋳鉄の組織を第
6図(倍率400倍)に示す。この場合には大きな片状
黒鉛が晶出していることが判る。
よび再加熱処理を11なわないFC20鋳鉄の組織を第
6図(倍率400倍)に示す。この場合には大きな片状
黒鉛が晶出していることが判る。
前述のようにして得られた熱衝撃試験片(本発明材)と
、比較のためのTIGアークによるチル化および再加熱
処理を行なわないFC20鋳鉄の同形状の熱衝撃試験片
(比較材)とについて、加熱−冷却サイクルの繰返しに
よる熱衝撃性試験を行なった。なおこの試験にあける加
熱はプロパン−酸系バーナにより昇温速度11.5℃/
Sec、加熱温度450’Cとし、また冷却は水温1
8℃の冷却水による水冷とした。
、比較のためのTIGアークによるチル化および再加熱
処理を行なわないFC20鋳鉄の同形状の熱衝撃試験片
(比較材)とについて、加熱−冷却サイクルの繰返しに
よる熱衝撃性試験を行なった。なおこの試験にあける加
熱はプロパン−酸系バーナにより昇温速度11.5℃/
Sec、加熱温度450’Cとし、また冷却は水温1
8℃の冷却水による水冷とした。
この熱衝撃試験においては、耐熱衝撃性が低い場合、加
熱−冷却による円周方向の膨張−収縮の繰返し熱応力に
よって中心部の小孔5から亀裂が発生して、ざらにその
亀裂が拡大する。この試験結果を第7図に示す。第7図
から明らかなようにこの発明による処理を行なわなかっ
たFC20鋳鉄の比較材の場合と比較し、本発明材では
亀裂発生に至るまでの熱衝撃繰返し故が格段に多く、し
たがって耐熱衝撃性が著しく優れていることが判る。
熱−冷却による円周方向の膨張−収縮の繰返し熱応力に
よって中心部の小孔5から亀裂が発生して、ざらにその
亀裂が拡大する。この試験結果を第7図に示す。第7図
から明らかなようにこの発明による処理を行なわなかっ
たFC20鋳鉄の比較材の場合と比較し、本発明材では
亀裂発生に至るまでの熱衝撃繰返し故が格段に多く、し
たがって耐熱衝撃性が著しく優れていることが判る。
実施例 2
ピストン材料として、JIS Fe12の普通鋳鉄に脱
酸剤としてセリウム(Ce)を0.02%添加したもの
を溶解し、砂型鋳造法により第1図に示すような形状の
直接噴射型ディーゼル機関用ピストンの粗形材を鋳造し
た。このピストン粗形材の直径は120m、噴口部内径
は45mである。
酸剤としてセリウム(Ce)を0.02%添加したもの
を溶解し、砂型鋳造法により第1図に示すような形状の
直接噴射型ディーゼル機関用ピストンの粗形材を鋳造し
た。このピストン粗形材の直径は120m、噴口部内径
は45mである。
次いでピストン粗形材の噴口部内面のホットスポット部
に対して、平均電流210AとしたTIGアーク法によ
り急速溶融−急速再凝固によるチル化処理を施した。そ
の後、高周波誘導加熱装置を用い、チル部に対して10
50″CXl0分間の加熱後、10℃/分の冷却速度の
冷却を行ない、ざらに機械加工によって外径115m、
噴口部径48mのピストンに仕上げた。このピストンは
、噴口部の縁部は径で58Mnまで、噴口部内は奥行き
で頂面から8#の位置まで、実施例1の第5図に示すよ
うな徴細黒鉛分散層が形成されていることが確認された
。
に対して、平均電流210AとしたTIGアーク法によ
り急速溶融−急速再凝固によるチル化処理を施した。そ
の後、高周波誘導加熱装置を用い、チル部に対して10
50″CXl0分間の加熱後、10℃/分の冷却速度の
冷却を行ない、ざらに機械加工によって外径115m、
噴口部径48mのピストンに仕上げた。このピストンは
、噴口部の縁部は径で58Mnまで、噴口部内は奥行き
で頂面から8#の位置まで、実施例1の第5図に示すよ
うな徴細黒鉛分散層が形成されていることが確認された
。
以上のようにして得られたピストンを3.51の直接噴
射式ディーゼル機関に装着し、[3500rpm×全負
荷×20分」と[アイドリング×10分]のサイクルの
繰返しによる耐久試験に供した。その結果、500時間
までピストンに何らトラブルが発生しないことが確認さ
れた。一方、比較のため前)ホのような処理を施さない
同寸法の[C25鋳鉄製ピストンについて、同一の耐久
試験を行なったところ、300〜400時間で噴口部の
ホットスポット部に熱亀裂が多数観察された。このよう
な結果から、こ発明によるピストンでは耐熱衝撃・耐熱
疲労性が優れていることが判る。
射式ディーゼル機関に装着し、[3500rpm×全負
荷×20分」と[アイドリング×10分]のサイクルの
繰返しによる耐久試験に供した。その結果、500時間
までピストンに何らトラブルが発生しないことが確認さ
れた。一方、比較のため前)ホのような処理を施さない
同寸法の[C25鋳鉄製ピストンについて、同一の耐久
試験を行なったところ、300〜400時間で噴口部の
ホットスポット部に熱亀裂が多数観察された。このよう
な結果から、こ発明によるピストンでは耐熱衝撃・耐熱
疲労性が優れていることが判る。
発明の効果
この発明の鋳鉄製ピストンは、ピストンヘッド部のうち
特にホットスポット部の如く耐熱衝撃性、耐熱疲労性が
要求される部位にフェライト相をマトリックスとする徴
細黒鉛分散層が形成されているため、その部位の耐熱衝
撃性、耐熱疲労性が著しく改善されており、したがって
ピストン使用時の熱応力によってホットスポット部に亀
裂が生じるおそれが極めて少なく、ピストンの長寿命化
を図ることができるとともに、燃焼室の高温化ひいては
高出力化を図ることができる。またこの発明のピストン
は特に耐熱衝撃性や耐熱疲労性が要求される部分のみを
強化したものであって、ピストンの母材としては安価な
普通鋳鉄等を用いることができ、したがってピストンの
原材料コストを安価にすることができるとともに、加工
性や鋳造性を損なったりするおそれも少ない等の効果が
得られる。またこの発明の製造方法によれば、上述のよ
うに優れた長所を有する鋳鉄製ピストンを簡単かつ容易
に得ることができる。
特にホットスポット部の如く耐熱衝撃性、耐熱疲労性が
要求される部位にフェライト相をマトリックスとする徴
細黒鉛分散層が形成されているため、その部位の耐熱衝
撃性、耐熱疲労性が著しく改善されており、したがって
ピストン使用時の熱応力によってホットスポット部に亀
裂が生じるおそれが極めて少なく、ピストンの長寿命化
を図ることができるとともに、燃焼室の高温化ひいては
高出力化を図ることができる。またこの発明のピストン
は特に耐熱衝撃性や耐熱疲労性が要求される部分のみを
強化したものであって、ピストンの母材としては安価な
普通鋳鉄等を用いることができ、したがってピストンの
原材料コストを安価にすることができるとともに、加工
性や鋳造性を損なったりするおそれも少ない等の効果が
得られる。またこの発明の製造方法によれば、上述のよ
うに優れた長所を有する鋳鉄製ピストンを簡単かつ容易
に得ることができる。
第1図から第3図まではそれぞれこの発明が適用される
ディーゼル機関用ピストンの一例を示す縦断面図、第4
図(A)、(B)は実施例における熱衝撃試験片を示す
図で、その(A>は縦断面図、(B)は平面図、第5図
は実施例にあける本発明材の徴細黒鉛分散層の金属断面
組織写真、第6図は比較材の金属断面組織写真、第7図
は熱衝撃試験結果を示す図である。 1・・・ピストン、 2・・・ピストンヘッド部、 4
・・・ホットスポット部(徴細黒鉛分散層を形成する部
分)。
ディーゼル機関用ピストンの一例を示す縦断面図、第4
図(A)、(B)は実施例における熱衝撃試験片を示す
図で、その(A>は縦断面図、(B)は平面図、第5図
は実施例にあける本発明材の徴細黒鉛分散層の金属断面
組織写真、第6図は比較材の金属断面組織写真、第7図
は熱衝撃試験結果を示す図である。 1・・・ピストン、 2・・・ピストンヘッド部、 4
・・・ホットスポット部(徴細黒鉛分散層を形成する部
分)。
Claims (2)
- (1)鋳鉄製ピストンのピストンヘッド部における耐熱
衝撃・耐熱疲労性が要求される部位に、フェライト相を
マトリックスとしかつそのフェライトマトリックス中に
平均粒径20μm以下の微細塊状黒鉛が分散晶出してい
る微細黒鉛分散層が、表面から少なくとも0.2mm以
上の深さにわたって形成されていることを特徴とする鋳
鉄製内燃機関用ピストン。 - (2)鋳鉄を原料としてピストン粗形材を鋳造した後、
そのピストン粗形材のピストンヘッド部における耐熱衝
撃・耐熱疲労性が要求される部位の表面に高密度エネル
ギを照射して急速溶融−急速再凝固させることによりチ
ル化層を形成し、次いでこのチル化層を800〜110
0℃で1分間〜3時間加熱した後、50℃/分以下の冷
却速度で冷却して、フェライト相をマトリックスとしか
つ平均粒径20μm以下の微細塊状黒鉛が分散晶出して
いる徴細黒鉛分散層を前記部位に表面から0.2mm以
上の深さにわたって形成することを特徴とする鋳鉄製内
燃機関用ピストンの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP61008554A JPS62167846A (ja) | 1986-01-18 | 1986-01-18 | 鋳鉄製内燃機関用ピストンおよびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP61008554A JPS62167846A (ja) | 1986-01-18 | 1986-01-18 | 鋳鉄製内燃機関用ピストンおよびその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS62167846A true JPS62167846A (ja) | 1987-07-24 |
Family
ID=11696333
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP61008554A Pending JPS62167846A (ja) | 1986-01-18 | 1986-01-18 | 鋳鉄製内燃機関用ピストンおよびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS62167846A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009503320A (ja) * | 2005-07-26 | 2009-01-29 | フェデラル−モーグル ニュルンベルグ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング | 内燃機関用ピストンの製造方法及び内燃機関用ピストン |
CN107159872A (zh) * | 2017-04-01 | 2017-09-15 | 山东滨州华创金属有限公司 | 人工控制铝合金铸件凝固过程中局部成分优化的方法 |
-
1986
- 1986-01-18 JP JP61008554A patent/JPS62167846A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009503320A (ja) * | 2005-07-26 | 2009-01-29 | フェデラル−モーグル ニュルンベルグ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング | 内燃機関用ピストンの製造方法及び内燃機関用ピストン |
CN107159872A (zh) * | 2017-04-01 | 2017-09-15 | 山东滨州华创金属有限公司 | 人工控制铝合金铸件凝固过程中局部成分优化的方法 |
CN107159872B (zh) * | 2017-04-01 | 2018-12-21 | 山东滨州华创金属有限公司 | 人工控制铝合金铸件凝固过程中局部成分优化的方法 |
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