JP2004232016A - 真空成膜装置用部品およびそれを用いた真空成膜装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】真空成膜工程において真空成膜装置用部品に付着した付着膜の剥離によるパーティクルの発生を効果的かつ確実に防止し、成膜製品へのパーティクルの混入を防止することにより、高集積化された半導体素子等の高精度な成膜製品を歩留り良く製造し、製造コストを低減することが可能な真空成膜装置用部品およびそれを用いた真空成膜装置を提供する。
【解決手段】真空成膜装置を構成する部品であって、部品本体を構成する基材の表面に溶射皮膜が形成されており、この溶射皮膜の表面粗さが中心線平均粗さ(Ra)基準で30μm以上80μm以下であることを特徴とする真空成膜装置用部品。
【選択図】 図1
【解決手段】真空成膜装置を構成する部品であって、部品本体を構成する基材の表面に溶射皮膜が形成されており、この溶射皮膜の表面粗さが中心線平均粗さ(Ra)基準で30μm以上80μm以下であることを特徴とする真空成膜装置用部品。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スパッタリング装置やCVD装置等の真空成膜装置用部品およびそれを用いた真空成膜装置に係り、特に成膜工程における成膜製品の製造コストを低減し、製造歩留りを向上させることが可能な真空成膜装置用部品およびそれを用いた真空成膜装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体部品や液晶部品等の製造工程においては、スパッタリング法やCVD法の真空成膜方法を利用して各種の配線膜や電極を形成している。具体的には、半導体基板やガラス基板等の被成膜基板上に、スパッタリング法やCVD法等によりAl、Ti、Mo、W、Mo−W合金等の導電性金属やWSi等の導電性金属化合物の薄膜を形成し、配線膜や電極膜として利用している。
【0003】
ところで、上記した配線膜等の形成に使用されるスパッタリング装置やCVD装置等の真空成膜装置では、Si基板やガラス基板上への成膜工程中に、装置内に配置されている各種部品(真空成膜装置用部品)にも成膜材料が付着して堆積することが避けられない。このように真空成膜装置用部品の表面に付着し、堆積した成膜材料(以下、付着膜)は、真空成膜工程中に部品から剥離することにより、付着膜のパーティクル(微小剥離片)を発生する要因となっている。こうした付着膜のパーティクルが成膜基板上の膜中に混入すると、配線形成後にショートやオープン等の配線不良を引起すため、成膜製品の製造歩留りが低下する。
【0004】
従来、パーティクルの発生を防止する方法として、付着膜の剥離を防止するという観点から、真空成膜装置用部品の基材表面をブラスト処理法によって表面処理したり、溶射法またはアークイオンプレーティング法等により基材の表面に皮膜を施工する等の手法が一般的に採用されている。部品の表面にコーティングする材料は、被処理材料の物性により最適な材料が選択される。
【0005】
従来の真空成膜装置としては、真空成膜装置用部品の表面に形成された溶射膜の局部山頂の平均間隔および硬度について規定したものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
また、真空成膜装置の放電部に接する部品の表面の十点平均粗さについて規定したものもある(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−247957号公報(明細書段落番号[0012]〜[0025])
【0008】
【特許文献2】
特開平11−345780号公報(明細書段落番号[0007])
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、最近の半導体素子においては、1Gビットもの高集積度を達成するために、配線幅を0.3μm、さらには0.2μm以下というように、極めて狭小化することが求められている。このように狭小化された配線においては、例えば直径0.2μm程度の極微小な粒子(微小パーティクル)が混入しても配線不良を引起す原因となる。一方、配線幅の狭小化は当然ながら配線密度の高密度化を目的としたものであるため、このような高密度配線を有する半導体素子等の製造歩留りを高めるためには、さらに真空成膜装置の構成部品からのパーティクルの発生量を低減する必要があった。
【0010】
また、配線の狭小化に伴い、配線材料として主に銅を主成分とするCu配線が実用化されてきている。それに伴い、バリア材、コンタクト材として、W、Ta及びその窒化物などに代表される、高いストレス耐性を有する材料を用いた高ストレス膜が使用される。
【0011】
しかしながら、上記のようなWやTa等の材料を使用した高ストレス膜は、真空成膜装置用部品に付着した付着膜が容易に剥離する性質を有するため、真空成膜装置用部品の耐用期間が短い。そのため、真空成膜装置用部品一個あたりの成膜処理数が少なく、真空成膜装置の生産性能を向上することが困難であった。従って、従来の真空成膜装置は、真空成膜装置用部品のクリーニングや交換に係るコストが高く、成膜コストを低減する上での障害となっていた。
【0012】
また、WやTaを使用した高ストレス膜は、被成膜基板への付着力が弱く、そのため高ストレス膜の基材への密着性を向上するために成膜時に被成膜基板の温度を高温にして成膜するケースが多い。その場合、真空成膜装置内の温度も500℃前後と比較的高温になる。このため、真空成膜装置用部品の表面に形成される皮膜は、耐高温性と、高ストレス膜の応力を緩和する性能とを併せ持つことが要求される。
【0013】
しかしながら、従来の真空成膜装置用部品に形成される皮膜は、上述のような高温および高ストレスのような極めて過酷な条件に対しては、皮膜に付着した付着膜からのパーティクルの発生を防止する対策が十分に実施できず、高集積化された半導体素子などの製造歩留りを高めることが困難であった。
【0014】
さらに、現在バリアメタル工程において、Tiおよびその窒化物が一般的に使用されているが、半導体素子の高集積化に伴う配線の精細化により、従来よりもさらに真空成膜工程におけるパーティクルの発生をさらに確実に防止することが急務となっている。
【0015】
本発明は、真空成膜工程において真空成膜装置用部品に付着した付着膜の剥離によるパーティクルの発生を効果的かつ確実に防止し、成膜製品へのパーティクルの混入を防止することにより、高集積化された半導体素子等の高精度な成膜製品を歩留り良く製造し、製造コストを低減することが可能な真空成膜装置用部品およびそれを用いた真空成膜装置を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、真空成膜装置用部品に付着した付着膜の剥離による微小パーティクルの発生を極力抑制するために種々の検討を行った結果、真空成膜装置用部品表面の皮膜表面の粗さ(表面粗さ)を調整することにより、真空成膜装置用部品からのパーティクルの発生を効果的に防止することに成功した。
【0017】
すなわち、真空成膜装置用部品の表面に、中心線平均粗さRa基準で30μm以上80μm以下の表面粗さを有する粗面皮膜を形成することにより、真空成膜工程における真空成膜装置用部品の表面に付着した付着膜からのパーティクルの発生を効果的に防止することが可能であることを見出した。
【0018】
この表面粗さの範囲は、従来、真空成膜装置用部品に付着した付着膜からのパーティクルの発生を防止するためには不利とされていたが、本発明者らの知見によれば、真空成膜装置の構成部品からのパーティクルの発生を効果的に防止することが可能である。特に、W、Ta、Ti、TaN、WN、TiN等の高融点金属または高融点金属化合物といった高ストレスの付着膜に有効であることが見出された。
【0019】
さらに、真空成膜装置用部品の基材の表面に下地として第1層皮膜を成膜し、この第1層皮膜の表面をブラスト処理により、その表面粗さを調整し、さらに第1層皮膜の表面に第2層皮膜を成膜して、第2層皮膜の表面をブラスト処理によりその表面粗さを調整することにより、皮膜の表面粗さが調整され、パーティクルの発生がさらに効果的に抑制されるとの知見を得た。特に、樹脂ブラスト(樹脂製メディアを用いたブラスト処理)を行うと目的とする表面粗さを得易いことも見出した。
【0020】
また、真空成膜装置用部品の溶射皮膜の表面粗さを表す指標として、振幅分布曲線の上下への偏りを示すゆがみ値Rskを−5.0μm以上+5.0μm以下の範囲に制御することにより、パーティクルの発生をさらに効果的に防止するとの知見を得た。
【0021】
ここで、ゆがみ値Rskとは真空成膜装置用部品に成膜した皮膜の表面のゆがみを示す値であり、振幅分布曲線と呼ばれる粗さ曲線の最も高い山頂と最も低い谷底との間を等間隔に分割し、2本の平行線内の領域に存在するデータの数(n)と全データ(N)との比を横軸に、粗さ曲線の高さ方向(Y)を縦軸にとってプロットしたものに対して、上下方向の偏りを表すものであり下式によって表現される。このゆがみ値(Rsk)が+(プラス)のときは凸部が多いことを表し、また、−(マイナス)のときは凹部が多いことを表している。
【0022】
【数1】
【0023】
ここで、第2層溶射皮膜表面の表面粗さRaが30μm未満である場合、パーティクルの発生数が従来の真空成膜装置用部品と同程度となってパーティクルの防止効果が少ない。また、表面粗さRaが80μmを超えた値であると、真空成膜装置用部品の表面皮膜の異常突起と、周辺部品との間で異常放電が頻発し、皮膜の剥れが発生しやすい。従って、第2層溶射皮膜表面の表面粗さRaは、30μm以上80μm以下の範囲に規定される。
【0024】
また、第2層皮膜表面の表面粗さRaは、45μm以上60μm以下の範囲であることがさらに好ましい。
【0025】
なお、本発明では溶射皮膜を2層のみならず、3層以上の多層構造にすることも可能である。溶射皮膜を3層以上の多層構造にする場合は、その最表面皮膜の表面粗さRaを30μm以上80μm以下の範囲にすることが好ましい。
【0026】
一方、ゆがみ値Rskが−5.0μm未満である場合、皮膜表面に凹みが多く、皮膜の密着力が低下し、不安定な堆積皮膜となることが知られていることから、パーティクルの低減効果が低くなる。また、ゆがみ値Rskが+5.0μmを超えた値になると、皮膜表面に凸部が多くなることから、皮膜の異常突起による異常放電の可能性が高くなるため好ましくない。
【0027】
よって、ゆがみ値Rskの範囲は−5.0μm以上5.0μm以下の範囲に規定される。
【0028】
より好ましくは、振幅分布曲線の上下への偏りを示すゆがみ値Rskを−5.0μm以上−2.0μm以下、もしくは+2.0μm以上+5.0μm以下の範囲に制御することにより、さらにパーティクル防止効果を向上することが可能である。
【0029】
また、溶射皮膜の材質は、Ti、Zr、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Pt、Ag、Fe、Ni、Mn、Sn、Zn、Co、Al、Siから選択される少なくとも1種の元素を含むCu合金、または、Ti、Zr、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Pt、Ag、Fe、Ni、Mn、Sn、Zn、Co、Al、Siから選択された1種の元素またはその合金から構成されることが好ましい。これら元素または合金は、真空成膜装置にて成膜する膜材質(成膜材)との密着性、熱膨張率が近い、膜の硬さ(柔軟性)等により適宜選択される。また、これら元素または合金を多層化すると、より成膜材との密着性、熱膨張率、膜の硬さ(柔軟性)等制御し易くなる。合金組成に関しても密着性、熱膨張率、膜の硬さ(柔軟性)等に応じて組成比を調整するものとする。
【0030】
また、溶射皮膜の膜厚は単層または多層の場合は総膜厚で100μm以上であることが好ましい。膜厚(多層化の場合は総層膜厚)が100μm未満では目的とする表面粗さが得難かったり、上記密着性等の特性を制御し難いといった不具合が生じるおそれがある。
【0031】
本発明に係る真空成膜装置は、上記条件の皮膜を以下のような成膜方法により成膜する。
【0032】
一般に、表面粗さの粗い皮膜を溶射により基材に成膜しようとする場合、溶射速度を減少させる必要がある。しかしながら、溶射速度を低くすると、皮膜と基材との密着力が低下するという問題があった。
【0033】
そこで本発明の真空成膜装置は、下地層として第1層皮膜を溶射したのち第2層皮膜を溶射することで、溶射層と真空成膜装置の構成部品との密着性の改善を図った。このときの第1層皮膜の表面粗さRaは、第2層皮膜との密着性を考慮に入れた場合、5.0μm以上30μm以下の範囲とすることが適当であり、7.0μm以上15μm以下の範囲とすることが更に好ましい。
【0034】
また、第2層皮膜の表面粗さは、溶射後の皮膜への表面ダメージが少ない樹脂ブラスト材(樹脂製メディア)によるブラスト処理を実施することにより調整した。ブラストメディアを樹脂製とすることにより、ブラストメディアが溶射表面に残存しても、熱処理によりブラストメディアの除去が可能であるので、ブラストメディアの残存による真空成膜装置の構成部品の皮膜からのパーティクル発生がない。
【0035】
また、ブラストメディアを樹脂製とすることにより、例えばセラミックス製のブラストメディアとした場合に比較して粗さの微調整が可能であり、皮膜表面の粗さを上記規定の粗さに調整することが容易である。
【0036】
本発明に係る真空成膜装置用部品およびそれを用いた真空成膜装置によれば、真空成膜装置用部品の表面に皮膜を形成し、この皮膜の表面粗さおよびゆがみ値を調整することにより、真空成膜装置用部品に付着した付着膜の剥離によるパーティクルの発生を効果的に防止するため、成膜製品の製造コストを低減し、製造歩留りを向上することが可能である。
【0037】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の真空成膜装置の実施形態について、下記の実施例および比較例を参照して具体的に説明する。
【0038】
図1に、本発明の真空成膜装置の一実施形態であるスパッタリング装置の構成を示す。このスパッタリング装置10は、スパッタリングターゲット固定板1、アースシールド2、上部防着板3、下部防着板4およびプラテンリング5から構成される真空容器に、スパッタリングターゲット6と被成膜材料7が対向して配置されて構成される。アースシールド2、上部防着板3、下部防着板4およびプラテンリング5には、溶射等の成膜方法により皮膜8が形成される。
【0039】
なお、本実施例ではスパッタリング装置を用いて説明するが、本発明の真空成膜装置用部品および真空成膜装置は、スパッタリング装置以外に真空蒸着装置(イオンプレーティングやレーザーアブレーション等を含む)、CVD装置等をも含むものであり、スパッタリング装置と同様の効果が得られるものである。
【0040】
【実施例1】
図1に示すようなスパッタリング装置10のアースシールド2、上部防着板3、下部防着板4およびプラテンリング5(部品基材全てSUS304製)について、ブラスト処理により部品表面の下地処理をした後、第1層皮膜としてプラズマ溶射法で膜厚100μm、表面粗さ(Ra):8.2μmのAl溶射膜を形成した。さらに第2層皮膜としてアーク溶射法で膜厚250μmのTi溶射膜を形成し、その後、第2層皮膜の表面にブラスト圧4.5kg/cm2で樹脂ブラスト処理を施し、第2層皮膜の表面の表面粗さRaおよびゆがみ値Rskをそれぞれ計測したところ、Ra=45μm、Rsk=+2.5μmであった。
【0041】
なお、各部品の膜厚は、膜厚計測器(alpha−step2000)により測定し、表面粗さおよびゆがみ値に関しては、粗さ測定器(Taylor Hobson社製)を用いて、それぞれ測定した。
【0042】
上記製法により作製した真空成膜装置用部品により作製されたスパッタリング装置(ULVAC製SH−550)に直径127mmのTiスパッタリングターゲット6を装着して、スパッタ圧3×10− 5(Pa)、Ar流量10sccm(cm3/s)、N2流量30sccmの条件でTiN薄膜のマグネトロンスパッタリングを行った。
【0043】
この真空成膜装置の耐用時間(1ライフ)あたりの投入電力量を120kWhとし、径0.2μm以上のパーティクルの発生数をパーティクルカウンター(WM−3)で測定し、被成膜材料7を成膜した初期10ロットでの1ロット平均パーティクル数と、真空成膜装置の1ライフにおける1ロットあたりのパーティクル数の平均値を算出した。
【0044】
表1に試験結果を示す。すなわち、実施例1の真空成膜装置は、第2層の表面粗さRaおよびゆがみ値Rskがそれぞれ45μmおよび+2.5μmと本発明に規定する範囲内の表面粗さおよびゆがみ値であり、異常放電回数が7回と少なく抑制されている。また、初期10ロットでの1ロット平均パーティクル数が16、1ライフ平均パーティクル数が5であることから、真空成膜装置用部品からのパーティクルの発生が効果的に抑制されることが明白であり、良好な品質のTiN成膜材料を得ることが可能であることが判明した。
【0045】
【実施例2】
実施例1と同様に、図1に示すようなスパッタリング装置10のアースシールド2、上部防着板3、下部防着板4およびプラテンリング5(部品基材全てSUS304製)について、ブラストによる部品表面の下地処理をした後、第1層皮膜としてアーク溶射法で膜厚150μm、表面粗さRa:15.2μmのCuAl合金溶射膜(90wt%Cu−10wt%Al合金)を形成した。さらに第2層皮膜としてアーク溶射法で膜厚250μmのCuAl溶射膜を形成し、その後、第2層皮膜表面にブラスト圧4.5kg/cm2で樹脂ブラスト処理を施し、実施例1と同様の計測装置を用いて表面粗さRaおよびゆがみ値Rskを計測したところ、それぞれ75μm、+3.9μmであった。
【0046】
上記製法により作製した真空成膜装置用部品により作製されたスパッタリング装置(ULVAC製SH−550)に直径127mmのTiスパッタリングターゲット6を装着して、スパッタ圧3×10− 5(Pa)、Ar流量10sccm(cm3/s)、N2流量30sccmの条件でTiN薄膜のマグネトロンスパッタリングを行った。
【0047】
この真空成膜装置の耐用時間(1ライフ)あたりの投入電力量を120kWhとし、径0.2μm以上のパーティクルの発生数をパーティクルカウンター(WM−3)で測定し、被成膜材料7を成膜した初期10ロットでの1ロット平均パーティクル数と、真空成膜装置の1ライフにおける1ロットあたりのパーティクル数の平均値を算出した。
【0048】
表1に試験結果を示す。すなわち、実施例2の真空成膜装置は、表面粗さRaおよびゆがみ値Rskがそれぞれ75μm、+3.9μmと本発明に規定する表面粗さおよびゆがみ値の範囲内であり、異常放電回数が15回と少なく抑制されている。また、初期10ロットでの1ロット平均パーティクル数が23、1ライフ平均パーティクル数が15であることから、真空成膜装置用部品からのパーティクルの発生が効果的に防止されることが明白であり、良好な品質のTaN成膜材料を得ることが可能であることが判明した。
【0049】
【実施例3】
実施例1と同様に、図1に示すようなスパッタリング装置10のアースシールド2、上部防着板3、下部防着板4およびプラテンリング5(部品基材全てSUS304製)について、ブラストによる部品表面の下地処理をした後、第1層皮膜としてアーク溶射法で膜厚:450μm、表面粗さRa:18.4μmのAl溶射膜を形成した。さらに第2層皮膜としてアーク溶射法で膜厚100μmのW溶射膜を形成し、その後、第2層皮膜表面にブラスト圧4.5kg/cm2で樹脂ブラスト処理を施し、表面粗さRaおよびゆがみ値Rskを計測したところ、それぞれ50μm、−2.5μmであった。
【0050】
これら各部品を使用して、マグネトロンスパッタリング装置を構成した。
【0051】
上記製法により作製した真空成膜装置用部品により作製されたスパッタリング装置(ULVAC製SH−550)に直径127mmのTiスパッタリングターゲット6を装着して、スパッタ圧3×10− 5(Pa)、Ar流量10sccm(cm3/s)、N2流量30sccmの条件でTiN薄膜のマグネトロンスパッタリングを行った。
【0052】
この真空成膜装置の耐用時間(1ライフ)あたりの投入電力量を120kWhとし、径0.2μm以上のパーティクルの発生数をパーティクルカウンター(WM−3)で測定し、被成膜材料7を成膜した初期10ロットでの1ロット平均パーティクル数と、真空成膜装置の1ライフにおける1ロットあたりのパーティクル数の平均値を算出した。
【0053】
表1に試験結果を示す。すなわち表面粗さRaおよびゆがみ値Rskをそれぞれ50μm、−2.5μmと本発明に規定する範囲内とした実施例3の真空成膜装置は、異常放電回数が11回と少なく抑制されており、また、初期10ロットでの1ロット平均パーティクル数が25、真空成膜装置の1ライフにおける1ロット平均パーティクル数が21と、真空成膜装置用部品からのパーティクルの発生が効果的に抑制されており、良好な品質のW成膜材料を得ることが可能であることが判明した。
【0054】
【実施例4】
実施例1と同様に、図1に示すようなスパッタリング装置10のアースシールド2、上部防着板3、下部防着板4およびプラテンリング5(部品基材全てSUS304製)について、ブラストによる部品表面の下地処理をした後、第1層皮膜としてアーク溶射法で膜厚150μm、表面粗さRa:25.3μmのNiAl合金溶射膜(80wt%Ni−20wt%Al合金)を形成した。さらに第2層皮膜としてアーク溶射法で膜厚200μmのTi溶射膜を形成し、その後、第2層皮膜表面にブラスト圧4.5kg/cm2で樹脂ブラスト処理を施し、実施例1と同様の計測装置により表面粗さRaおよびゆがみ値Rskを計測したところ、それぞれ49μm、+6.4μmであった。
【0055】
上記製法により作製した真空成膜装置用部品により作製されたスパッタリング装置(ULVAC製SH−550)に直径127mmのTiスパッタリングターゲット6を装着して、スパッタ圧3×10− 5(Pa)、Ar流量10sccm(cm3/s)、N2流量30sccmの条件でTiN薄膜のマグネトロンスパッタリングを行った。
【0056】
この真空成膜装置の耐用時間(1ライフ)あたりの投入電力量を120kWhとし、径0.2μm以上のパーティクルの発生数をパーティクルカウンター(WM−3)で測定し、被成膜材料7を成膜した初期10ロットでの1ロット平均パーティクル数と、真空成膜装置の1ライフにおける1ロットあたりのパーティクル数の平均値を算出した。
【0057】
表1に試験結果を示す。実施例4の真空成膜装置は、表面粗さRaおよびゆがみ値Rskがそれぞれ49μm、+6.4μmと、ゆがみ値Rskの値が本発明の規定外であり、異常放電回数が24回とやや多いものの、初期10ロットでの1ロット平均パーティクル数が12、真空成膜装置の1ライフにおける1ロット平均パーティクル数が7と、真空成膜装置用部品からのパーティクルの発生が効果的に抑制されて徐々に減少する傾向が見られ、真空成膜装置の構成部品の表面を粗面化する効果が適正に現われたものと判断された。すなわち、第2層皮膜形成後に第2層の表面を樹脂ブラストにより表面粗さおよびゆがみ値を制御することにより、良好な品質のTiN成膜材料を得ることが可能であることが判明した。
【0058】
【実施例5】
実施例1と同様に、図1に示すようなスパッタリング装置10のアースシールド2、上部防着板3、下部防着板4およびプラテンリング5(部品基材全てSUS304製)について、ブラスト処理による部品表面の下地処理をした後、第1層皮膜としてアーク溶射法で膜厚300μm、表面粗さRa:24μmのAl溶射膜を形成した。さらに第2層皮膜としてアーク溶射法で膜厚100μm、表面粗さRa:45μmのTi溶射膜を形成した。さらに第3層皮膜として膜厚100μmのCr溶射膜を形成し、その後、第3層皮膜の表面にブラスト圧4.5kg/cm2で樹脂ブラスト処理を施し、表面粗さRaおよびゆがみ値Rskを実施例1と同様の計測方法により計測したところ、それぞれ40μm、−1.1μmであった。
【0059】
上記製法により作製した真空成膜装置用部品により作製されたスパッタリング装置(ULVAC製SH−550)に直径127mmのTiスパッタリングターゲット6を装着して、スパッタ圧3×10− 5(Pa)、Ar流量10sccm(cm3/s)、N2流量30sccmの条件でTiN薄膜のマグネトロンスパッタリングを行った。
【0060】
この真空成膜装置の耐用時間(1ライフ)あたりの投入電力量を120kWhとし、径0.2μm以上のパーティクルの発生数をパーティクルカウンター(WM−3)で測定し、被成膜材料7を成膜した初期10ロットでの1ロット平均パーティクル数と、真空成膜装置の1ライフにおける1ロットあたりのパーティクル数の平均値を算出した。
【0061】
その結果、表1に示すように、異常放電回数が24回とやや多いものの、初期10ロットでの1ロット平均パーティクル数が28、真空成膜装置の1ライフにおける1ロット平均パーティクル数が23と、成膜回数を重ねると真空成膜装置用部品からのパーティクルの発生がやや減少する傾向が見られ、粗面化の効果が適正に現われている。これは、第3層皮膜形成後の樹脂ブラストにより、表面形態が調整されたためと考察され、良好な品質のCrN成膜材料を得ることが可能であることが判明した。
【0062】
【実施例6】
実施例1と同様に、図1に示すようなスパッタリング装置10のアースシールド2、上部防着板3、下部防着板4およびプラテンリング5(部品基材全てSUS304製)について、ブラスト処理による部品表面の下地処理をした後、第1層皮膜としてアーク溶射法で膜厚200μm、表面粗さRa:28μmのCuAl合金溶射膜(80wt%Cu−20wt%Al合金)を形成した。さらに第2層皮膜としてアーク溶射法で膜厚150μm、表面粗さRa:55μmのAlCu合金溶射膜(60wt%Al−40wt%Cu合金)を形成した。さらに第3層皮膜としてアーク溶射法で膜厚250μmのAl溶射膜を形成し、その後、第3層皮膜の表面にブラスト圧4.5kg/cm2で樹脂ブラスト処理を施し、表面粗さRaおよびゆがみ値Rskを実施例1と同様の計測方法により計測したところ、それぞれ79μm、+4.2μmであった。
【0063】
上記製法により作製した真空成膜装置用部品により作製されたスパッタリング装置(ULVAC製SH−550)に直径127mmのTiスパッタリングターゲット6を装着して、スパッタ圧3×10− 5(Pa)、Ar流量10sccm(cm3/s)、N2流量30sccmの条件でTiN薄膜のマグネトロンスパッタリングを行った。
【0064】
この真空成膜装置の耐用時間(1ライフ)あたりの投入電力量を120kWhとし、径0.2μm以上のパーティクルの発生数をパーティクルカウンター(WM−3)で測定し、被成膜材料7を成膜した初期10ロットでの1ロット平均パーティクル数と、真空成膜装置の1ライフにおける1ロットあたりのパーティクル数の平均値を算出した。
【0065】
その結果、表1に示すように、異常放電回数が28回とやや多いものの、初期10ロットでの1ロット平均パーティクル数が18、真空成膜装置の1ライフにおける1ロット平均パーティクル数が20と、成膜回数を重ねると真空成膜装置用部品からのパーティクルの発生が減少する傾向が見られ、粗面化の効果が適正に現われている。これは、第2層皮膜形成後の樹脂ブラストにより、表面形態が調整されたためと考察され、良好な品質のTiN成膜材料を得ることが可能であることが判明した。
【0066】
【比較例1】
続いて、比較例として、実施例1と同様に、図1に示すようなスパッタリング装置10のアースシールド2、上部防着板3、下部防着板4およびプラテンリング5(部品基材全てSUS304製)について、ブラストによる部品表面の下地処理をした後、第1層皮膜としてアーク溶射法で膜厚120μm、表面粗さRa:24.1μmのCuAl合金溶射膜(90wt%Cu−10wt%Al合金)を形成した。さらに第2層皮膜としてアーク溶射法で膜厚200μmのCuAl合金溶射膜(60wt%Cu−40wt%Al合金)を形成し、その後、第2層皮膜に特に手を加えず、表面粗さRaおよびゆがみ値Rskを計測したところ、それぞれ71μm、+10.2μmであった。
【0067】
上記製法により作製した真空成膜装置用部品により作製されたスパッタリング装置(ULVAC製SH−550)に直径127mmのTiスパッタリングターゲット6を装着して、スパッタ圧3×10− 5(Pa)、Ar流量10sccm(cm3/s)、N2流量30sccmの条件でTiN薄膜のマグネトロンスパッタリングを行った。
【0068】
この真空成膜装置の耐用時間(1ライフ)あたりの投入電力量を120kWhとし、径0.2μm以上のパーティクルの発生数をパーティクルカウンター(WM−3)で測定し、被成膜材料7を成膜した初期10ロットでの1ロット平均パーティクル数と、真空成膜装置の1ライフにおける1ロットあたりのパーティクル数の平均値を算出した。
【0069】
その結果、表1に示すように、ゆがみ値Rskの値が+10.2μmと本発明の規定の範囲外であり、異常放電回数が45回と多く、また、初期10ロットでの1ロット平均パーティクル数が52、1ライフ平均パーティクル数が40と、成膜回数を重ねてもパーティクルの顕著な減少が見られない結果となった。これは、第2層皮膜溶射後の樹脂ブラスト処理を行わなかったためと考察された。
【0070】
【比較例2】
実施例1と同様に、図1に示すようなスパッタリング装置10のアースシールド2、上部防着板3、下部防着板4およびプラテンリング5(部品基材全てSUS304製)について、ブラストによる部品表面の下地処理をした後、第1層皮膜としてプラズマ溶射法で膜厚100μm、表面粗さRa:9.2μmのAl溶射膜を形成した。さらに第2層皮膜としてプラズマ溶射法で膜厚300μmのTi溶射膜を形成し、その後、第2層皮膜表面にブラスト圧4.5kg/cm2で樹脂ブラスト処理を施し、表面粗さRaおよびゆがみ値Rskを計測したところ、それぞれ25μm、−3.6μmであった。
【0071】
上記製法により作製した真空成膜装置用部品により作製されたスパッタリング装置(ULVAC製SH−550)に直径127mmのTiスパッタリングターゲット6を装着して、スパッタ圧3×10− 5(Pa)、Ar流量10sccm(cm3/s)、N2流量30sccmの条件でTiN薄膜のマグネトロンスパッタリングを行った。
【0072】
この真空成膜装置の耐用時間(1ライフ)あたりの投入電力量を120kWhとし、径0.2μm以上のパーティクルの発生数をパーティクルカウンター(WM−3)で測定し、被成膜材料7を成膜した初期10ロットでの1ロット平均パーティクル数と、真空成膜装置の1ライフにおける1ロットあたりのパーティクル数の平均値を算出した。
【0073】
その結果、表1に示すように、ほぼ同等の条件とした実施例1の真空成膜装置に比べて、初期10ロットおよび真空成膜装置の1ライフにおける1ロットあたりのパーティクル数がやや多い結果となった。これは、第2層皮膜の表面粗さRaが低い(表面粗さRaが5μmより小さい)為に、パーティクルの防止効果が低減されたためと考察された。
【0074】
【比較例3】
実施例1と同様に、図1に示すようなスパッタリング装置10のアースシールド2、上部防着板3、下部防着板4およびプラテンリング5(部品基材全てSUS304製)について、ブラストによる部品表面の下地処理をした後、第1層皮膜としてアーク溶射法で膜厚100μm、表面粗さRa:23.7μmのCuAl合金溶射膜(90wt%Cu−10wt%Al合金)を形成した。さらに第2層皮膜としてプラズマ溶射法で膜厚150μmのW溶射膜を形成し、その後、第2層皮膜に特に手を加えず、表面粗さRaおよびゆがみ値Rskを計測したところ、それぞれ20μm、−5.6μmであった。
【0075】
上記製法により作製した真空成膜装置用部品により作製されたスパッタリング装置(ULVAC製SH−550)に直径127mmのTiスパッタリングターゲット6を装着して、スパッタ圧3×10− 5(Pa)、Ar流量10sccm(cm3/s)、N2流量30sccmの条件でTiN薄膜のマグネトロンスパッタリングを行った。
【0076】
この真空成膜装置の耐用時間(1ライフ)あたりの投入電力量を120kWhとし、径0.2μm以上のパーティクルの発生数をパーティクルカウンター(WM−3)で測定し、被成膜材料7を成膜した初期10ロットでの1ロット平均パーティクル数と、真空成膜装置の1ライフにおける1ロットあたりのパーティクル数の平均値を算出した。
【0077】
その結果、表1に示すように、ゆがみ値Rskの値が本発明の規定外であり、異常放電回数が54回と多く、また、初期10ロットでの1ロット平均パーティクル数が22であるのに対して、真空成膜装置の1ライフにおける1ロットあたりのパーティクル数の平均値が84であり、成膜回数を重ねるとパーティクルが増加する傾向を示した。これは、第2層皮膜溶射後の樹脂ブラスト処理を行わなかったために、凹み部での不安定な堆積膜が多くなったためと考察された。
【0078】
【比較例4】
実施例1と同様に、図1に示すようなスパッタリング装置10のアースシールド2、上部防着板3、下部防着板4およびプラテンリング5(部品基材全てSUS304製)について、ブラストによる部品表面の下地処理をした後、第1層皮膜としてアーク溶射法で膜厚200μm、表面粗さRa:19.8μmのCuAl合金溶射膜(70wt%Cu−30wt%合金)を形成した。さらに第2層皮膜としてアーク溶射法で膜厚400μmのAl溶射膜を形成し、その後、第2層皮膜にブラスト処理をせずに、表面粗さRaおよびゆがみ値Rskを計測したところ、それぞれ120μm、+15.3μmであった。
【0079】
上記製法により作製した真空成膜装置用部品により作製されたスパッタリング装置(ULVAC製SH−550)に直径127mmのTiスパッタリングターゲット6を装着して、スパッタ圧3×10− 5(Pa)、Ar流量10sccm(cm3/s)、N2流量30sccmの条件でTiN薄膜のマグネトロンスパッタリングを行った。
【0080】
この真空成膜装置の耐用時間(1ライフ)あたりの投入電力量を120kWhとし、径0.2μm以上のパーティクルの発生数をパーティクルカウンター(WM−3)で測定し、被成膜材料7を成膜した初期10ロットでの1ロット平均パーティクル数と、真空成膜装置の1ライフにおける1ロットあたりのパーティクル数の平均値を算出した。
【0081】
その結果、表1に示すように、表面粗さRa、ゆがみ値Rskの値が本発明の規定の範囲外であり、異常放電回数が123回と非常に多く、また、初期10ロットでの1ロット平均パーティクル数が96回で、真空成膜装置の1ライフでの1ロットあたりのパーティクル数が62回であり、成膜工程を重ねてもパーティクル数が低下しない傾向を示した。第2層皮膜溶射後の樹脂ブラスト処理を行わなかったために、皮膜表面に凸部が非常に多いためと考察された。
【0082】
【比較例5】
実施例1と同様に、図1に示すようなスパッタリング装置10のアースシールド2、上部防着板3、下部防着板4およびプラテンリング5(部品基材全てSUS304製)について、ブラストによる部品表面の下地処理をした後、第1層皮膜としてプラズマ溶射法で膜厚200μm、表面粗さRa:8.6μmのAl溶射膜を形成した。さらに第2層皮膜としてアーク溶射法で膜厚300μmのAl溶射膜を形成し、その後、第2層皮膜表面にブラスト圧10.5kg/cm2で樹脂ブラストを施し、表面粗さRa、ゆがみ値Rskを計測したところ、それぞれ57μm、−7.3μmであった。
【0083】
上記製法により作製した真空成膜装置用部品により作製されたスパッタリング装置(ULVAC製SH−550)に直径127mmのTiスパッタリングターゲット6を装着して、スパッタ圧3×10− 5(Pa)、Ar流量10sccm(cm3/s)、N2流量30sccmの条件でTiN薄膜のマグネトロンスパッタリングを行った。
【0084】
この真空成膜装置の耐用時間(1ライフ)あたりの投入電力量を120kWhとし、径0.2μm以上のパーティクルの発生数をパーティクルカウンター(WM−3)で測定し、被成膜材料7を成膜した初期10ロットでの1ロット平均パーティクル数と、真空成膜装置の1ライフにおける1ロットあたりのパーティクル数の平均値を算出した。
【0085】
その結果、表1に示すように、ゆがみ値Rskの値が本発明の規定する範囲外であり、異常放電回数が22回と多く、また、初期10ロットでの1ロット平均パーティクル数が32で、真空成膜装置の1ライフでの1ロットあたりのパーティクル数が46であり、成膜工程を重ねることによりパーティクル数が増加する傾向を示した。これは、第2層皮膜溶射後の樹脂ブラスト処理が強すぎたために、凹み部での不安定堆積膜が多くなったためと考察された
【0086】
【比較例6】
実施例1と同様に、図1に示すようなスパッタリング装置10のアースシールド2、上部防着板3、下部防着板4およびプラテンリング5(部品基材全てSUS304製)について、ブラストによる下地処理後、第1層皮膜としてアーク溶射法で膜厚:250μm、表面粗さRa:28.6μmのCuAl合金溶射膜(90wt%Cu−10wt%Al合金)を形成した。この後、第2層皮膜は形成せずにゆがみ値Rskを計測したところ、+3.5μmであった。
【0087】
これら各部品を使用して、マグネトロンスパッタリング装置を構成した。
【0088】
上記製法により作製した真空成膜装置用部品により作製されたスパッタリング装置(ULVAC製SH−550)に直径127mmのTiスパッタリングターゲット6を装着して、スパッタ圧3×10− 5(Pa)、Ar流量10sccm(cm3/s)、N2流量30sccmの条件でTiN薄膜のマグネトロンスパッタリングを行った。
【0089】
この真空成膜装置の耐用時間(1ライフ)あたりの投入電力量を120kWhとし、径0.2μm以上のパーティクルの発生数をパーティクルカウンター(WM−3)で測定し、被成膜材料を成膜した初期10ロットでの1ロット平均パーティクル数と、真空成膜装置の1ライフにおける1ロットあたりのパーティクル数の平均値を算出した。
【0090】
その結果、表1に示すように、初期10ロットでの1ロット平均パーティクル数は17と比較的低く推移しているものの、真空成膜装置の1ライフにおける1ロットあたりのパーティクル数の平均値が79であり、成膜回数を重ねると、ある時点で急激にパーティクル数が多くなる傾向を示した。これは、TaN膜の付着によるストレスによって溶射膜の剥離が生じたためと考察された。
【0091】
【比較例7】
実施例1と同様に、図1に示すようなスパッタリング装置10のアースシールド2、上部防着板3、下部防着板4およびプラテンリング5(部品基材全てSUS304製)について、ブラスト処理による部品表面の下地処理をした後、第1層皮膜としてプラズマ溶射法で膜厚150μm、表面粗さRa:4.2μmのAl溶射膜を形成した。第2層皮膜としてアーク溶射法で膜厚200μmのTi溶射膜を形成しようとしたが、第1層皮膜の表面粗さRaが+4.2μmと低いために、第2層皮膜であるTi膜が剥離し、第2層の成膜不可能となった。
【0092】
【表1】
【0093】
上記実施例1〜実施例6の真空成膜装置と比較例1〜比較例7の真空成膜装置のデータについてさらに比較検討すると、実施例1〜実施例6の真空成膜装置は、異常放電回数が7回〜28回と総じて少なく抑制されるのに対して、比較例1、比較例3および比較例4の真空成膜装置は、異常放電回数がそれぞれ45回、54回、123回であった。
【0094】
一方、比較例1〜比較例7のデータのうち、第2層皮膜の表面にブラスト処理した比較例2の真空成膜装置は、比較的に良好な品質の成膜材料が得られている。また、成膜材および溶射材を同一材料にて真空成膜した実施例2と比較例1との初期10ロットでの1ロット平均パーティクル数がついて比較すると、実施例2が16であるのに対して、比較例1が52と多い傾向を示す。すなわち、同一の成膜材を用いて被成膜部材に皮膜を施工した実施例と比較例とを比較すると、実施例の真空成膜装置は、皮膜の表面ブラスト処理して粗さを調整することによりパーティクルの発生が効果的に防止されており、ブラスト処理により真空成膜装置を構成する部品の皮膜表面の粗さを調整することの効果が証明された。
【0095】
一方、実施例1〜実施例6および比較例1〜比較例7の真空成膜装置1ライフにおける1ロット平均のパーティクル数は、実施例1〜実施例6の真空成膜装置が5〜23であるのに対して、比較例1〜比較例7の真空成膜装置の場合、比較例2が11であるのを除いて、40〜84と、実施例の真空成膜装置に比較して成膜工程を重ねても減少しない傾向を示す。すなわち、本発明の真空成膜装置は、パーティクルの発生を従来より長い使用期間にわたって効果的に防止するので、成膜製品を製造する際の製品歩留りを向上することが可能である。
【0096】
また、真空成膜装置用部品の皮膜を1層構造とした比較例6の真空成膜装置のパーティクル数は、成膜回数を重ねると増大する傾向がさらに顕著である。すなわち、真空成膜装置用部品に皮膜を2層以上積層して多層構造とすることによりパーティクルを防止する効果をさらに向上することが可能であることが明白となった。
【0097】
すなわち、本発明の真空成膜装置およびそれを用いた真空成膜装置によれば、成膜工程中に真空成膜装置用部品に付着した付着膜の剥離を安定かつ有効に防止することが可能となる。従って、成膜工程におけるパーティクルの発生量が大幅に低減されるため、配線膜等の不良発生原因となる膜中へのパーティクルの混入を抑制することが可能となり、成膜製品の製造歩留りの向上を図ることができる。また、真空成膜装置のクリーニングおよび部品交換の回数を減らすことができるため、成膜コストの削減が可能となる。
【0098】
また、真空成膜装置用部品の表面に少なくとも2層以上の皮膜を形成することにより、さらに効果的に成膜部材の製造コストを低減し、製造歩留りを向上することが可能である。
【0099】
【発明の効果】
本発明に係る真空成膜装置およびそれを用いた真空成膜装置によれば、真空成膜装置の構成部品に溶射皮膜を形成し、皮膜の表面粗さおよびゆがみ値を調整することにより、真空成膜装置の構成部品に付着した付着膜の剥離によるパーティクルの発生を効果的に防止するため、成膜製品の製造コストを低減し、製造歩留りを向上することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る真空成膜装置用部品を使用した真空成膜装置の一実施形態であるスパッタリング装置の要部構成を示す断面図。
【符号の説明】
1 スパッタリングターゲット固定板
2 アースシールド
3 上部防着板
4 下部防着板
5 プラテンリング
6 スパッタリングターゲット
7 被成膜材料
8 皮膜
10 スパッタリング装置
【発明の属する技術分野】
本発明は、スパッタリング装置やCVD装置等の真空成膜装置用部品およびそれを用いた真空成膜装置に係り、特に成膜工程における成膜製品の製造コストを低減し、製造歩留りを向上させることが可能な真空成膜装置用部品およびそれを用いた真空成膜装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体部品や液晶部品等の製造工程においては、スパッタリング法やCVD法の真空成膜方法を利用して各種の配線膜や電極を形成している。具体的には、半導体基板やガラス基板等の被成膜基板上に、スパッタリング法やCVD法等によりAl、Ti、Mo、W、Mo−W合金等の導電性金属やWSi等の導電性金属化合物の薄膜を形成し、配線膜や電極膜として利用している。
【0003】
ところで、上記した配線膜等の形成に使用されるスパッタリング装置やCVD装置等の真空成膜装置では、Si基板やガラス基板上への成膜工程中に、装置内に配置されている各種部品(真空成膜装置用部品)にも成膜材料が付着して堆積することが避けられない。このように真空成膜装置用部品の表面に付着し、堆積した成膜材料(以下、付着膜)は、真空成膜工程中に部品から剥離することにより、付着膜のパーティクル(微小剥離片)を発生する要因となっている。こうした付着膜のパーティクルが成膜基板上の膜中に混入すると、配線形成後にショートやオープン等の配線不良を引起すため、成膜製品の製造歩留りが低下する。
【0004】
従来、パーティクルの発生を防止する方法として、付着膜の剥離を防止するという観点から、真空成膜装置用部品の基材表面をブラスト処理法によって表面処理したり、溶射法またはアークイオンプレーティング法等により基材の表面に皮膜を施工する等の手法が一般的に採用されている。部品の表面にコーティングする材料は、被処理材料の物性により最適な材料が選択される。
【0005】
従来の真空成膜装置としては、真空成膜装置用部品の表面に形成された溶射膜の局部山頂の平均間隔および硬度について規定したものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
また、真空成膜装置の放電部に接する部品の表面の十点平均粗さについて規定したものもある(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−247957号公報(明細書段落番号[0012]〜[0025])
【0008】
【特許文献2】
特開平11−345780号公報(明細書段落番号[0007])
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、最近の半導体素子においては、1Gビットもの高集積度を達成するために、配線幅を0.3μm、さらには0.2μm以下というように、極めて狭小化することが求められている。このように狭小化された配線においては、例えば直径0.2μm程度の極微小な粒子(微小パーティクル)が混入しても配線不良を引起す原因となる。一方、配線幅の狭小化は当然ながら配線密度の高密度化を目的としたものであるため、このような高密度配線を有する半導体素子等の製造歩留りを高めるためには、さらに真空成膜装置の構成部品からのパーティクルの発生量を低減する必要があった。
【0010】
また、配線の狭小化に伴い、配線材料として主に銅を主成分とするCu配線が実用化されてきている。それに伴い、バリア材、コンタクト材として、W、Ta及びその窒化物などに代表される、高いストレス耐性を有する材料を用いた高ストレス膜が使用される。
【0011】
しかしながら、上記のようなWやTa等の材料を使用した高ストレス膜は、真空成膜装置用部品に付着した付着膜が容易に剥離する性質を有するため、真空成膜装置用部品の耐用期間が短い。そのため、真空成膜装置用部品一個あたりの成膜処理数が少なく、真空成膜装置の生産性能を向上することが困難であった。従って、従来の真空成膜装置は、真空成膜装置用部品のクリーニングや交換に係るコストが高く、成膜コストを低減する上での障害となっていた。
【0012】
また、WやTaを使用した高ストレス膜は、被成膜基板への付着力が弱く、そのため高ストレス膜の基材への密着性を向上するために成膜時に被成膜基板の温度を高温にして成膜するケースが多い。その場合、真空成膜装置内の温度も500℃前後と比較的高温になる。このため、真空成膜装置用部品の表面に形成される皮膜は、耐高温性と、高ストレス膜の応力を緩和する性能とを併せ持つことが要求される。
【0013】
しかしながら、従来の真空成膜装置用部品に形成される皮膜は、上述のような高温および高ストレスのような極めて過酷な条件に対しては、皮膜に付着した付着膜からのパーティクルの発生を防止する対策が十分に実施できず、高集積化された半導体素子などの製造歩留りを高めることが困難であった。
【0014】
さらに、現在バリアメタル工程において、Tiおよびその窒化物が一般的に使用されているが、半導体素子の高集積化に伴う配線の精細化により、従来よりもさらに真空成膜工程におけるパーティクルの発生をさらに確実に防止することが急務となっている。
【0015】
本発明は、真空成膜工程において真空成膜装置用部品に付着した付着膜の剥離によるパーティクルの発生を効果的かつ確実に防止し、成膜製品へのパーティクルの混入を防止することにより、高集積化された半導体素子等の高精度な成膜製品を歩留り良く製造し、製造コストを低減することが可能な真空成膜装置用部品およびそれを用いた真空成膜装置を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、真空成膜装置用部品に付着した付着膜の剥離による微小パーティクルの発生を極力抑制するために種々の検討を行った結果、真空成膜装置用部品表面の皮膜表面の粗さ(表面粗さ)を調整することにより、真空成膜装置用部品からのパーティクルの発生を効果的に防止することに成功した。
【0017】
すなわち、真空成膜装置用部品の表面に、中心線平均粗さRa基準で30μm以上80μm以下の表面粗さを有する粗面皮膜を形成することにより、真空成膜工程における真空成膜装置用部品の表面に付着した付着膜からのパーティクルの発生を効果的に防止することが可能であることを見出した。
【0018】
この表面粗さの範囲は、従来、真空成膜装置用部品に付着した付着膜からのパーティクルの発生を防止するためには不利とされていたが、本発明者らの知見によれば、真空成膜装置の構成部品からのパーティクルの発生を効果的に防止することが可能である。特に、W、Ta、Ti、TaN、WN、TiN等の高融点金属または高融点金属化合物といった高ストレスの付着膜に有効であることが見出された。
【0019】
さらに、真空成膜装置用部品の基材の表面に下地として第1層皮膜を成膜し、この第1層皮膜の表面をブラスト処理により、その表面粗さを調整し、さらに第1層皮膜の表面に第2層皮膜を成膜して、第2層皮膜の表面をブラスト処理によりその表面粗さを調整することにより、皮膜の表面粗さが調整され、パーティクルの発生がさらに効果的に抑制されるとの知見を得た。特に、樹脂ブラスト(樹脂製メディアを用いたブラスト処理)を行うと目的とする表面粗さを得易いことも見出した。
【0020】
また、真空成膜装置用部品の溶射皮膜の表面粗さを表す指標として、振幅分布曲線の上下への偏りを示すゆがみ値Rskを−5.0μm以上+5.0μm以下の範囲に制御することにより、パーティクルの発生をさらに効果的に防止するとの知見を得た。
【0021】
ここで、ゆがみ値Rskとは真空成膜装置用部品に成膜した皮膜の表面のゆがみを示す値であり、振幅分布曲線と呼ばれる粗さ曲線の最も高い山頂と最も低い谷底との間を等間隔に分割し、2本の平行線内の領域に存在するデータの数(n)と全データ(N)との比を横軸に、粗さ曲線の高さ方向(Y)を縦軸にとってプロットしたものに対して、上下方向の偏りを表すものであり下式によって表現される。このゆがみ値(Rsk)が+(プラス)のときは凸部が多いことを表し、また、−(マイナス)のときは凹部が多いことを表している。
【0022】
【数1】
【0023】
ここで、第2層溶射皮膜表面の表面粗さRaが30μm未満である場合、パーティクルの発生数が従来の真空成膜装置用部品と同程度となってパーティクルの防止効果が少ない。また、表面粗さRaが80μmを超えた値であると、真空成膜装置用部品の表面皮膜の異常突起と、周辺部品との間で異常放電が頻発し、皮膜の剥れが発生しやすい。従って、第2層溶射皮膜表面の表面粗さRaは、30μm以上80μm以下の範囲に規定される。
【0024】
また、第2層皮膜表面の表面粗さRaは、45μm以上60μm以下の範囲であることがさらに好ましい。
【0025】
なお、本発明では溶射皮膜を2層のみならず、3層以上の多層構造にすることも可能である。溶射皮膜を3層以上の多層構造にする場合は、その最表面皮膜の表面粗さRaを30μm以上80μm以下の範囲にすることが好ましい。
【0026】
一方、ゆがみ値Rskが−5.0μm未満である場合、皮膜表面に凹みが多く、皮膜の密着力が低下し、不安定な堆積皮膜となることが知られていることから、パーティクルの低減効果が低くなる。また、ゆがみ値Rskが+5.0μmを超えた値になると、皮膜表面に凸部が多くなることから、皮膜の異常突起による異常放電の可能性が高くなるため好ましくない。
【0027】
よって、ゆがみ値Rskの範囲は−5.0μm以上5.0μm以下の範囲に規定される。
【0028】
より好ましくは、振幅分布曲線の上下への偏りを示すゆがみ値Rskを−5.0μm以上−2.0μm以下、もしくは+2.0μm以上+5.0μm以下の範囲に制御することにより、さらにパーティクル防止効果を向上することが可能である。
【0029】
また、溶射皮膜の材質は、Ti、Zr、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Pt、Ag、Fe、Ni、Mn、Sn、Zn、Co、Al、Siから選択される少なくとも1種の元素を含むCu合金、または、Ti、Zr、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Pt、Ag、Fe、Ni、Mn、Sn、Zn、Co、Al、Siから選択された1種の元素またはその合金から構成されることが好ましい。これら元素または合金は、真空成膜装置にて成膜する膜材質(成膜材)との密着性、熱膨張率が近い、膜の硬さ(柔軟性)等により適宜選択される。また、これら元素または合金を多層化すると、より成膜材との密着性、熱膨張率、膜の硬さ(柔軟性)等制御し易くなる。合金組成に関しても密着性、熱膨張率、膜の硬さ(柔軟性)等に応じて組成比を調整するものとする。
【0030】
また、溶射皮膜の膜厚は単層または多層の場合は総膜厚で100μm以上であることが好ましい。膜厚(多層化の場合は総層膜厚)が100μm未満では目的とする表面粗さが得難かったり、上記密着性等の特性を制御し難いといった不具合が生じるおそれがある。
【0031】
本発明に係る真空成膜装置は、上記条件の皮膜を以下のような成膜方法により成膜する。
【0032】
一般に、表面粗さの粗い皮膜を溶射により基材に成膜しようとする場合、溶射速度を減少させる必要がある。しかしながら、溶射速度を低くすると、皮膜と基材との密着力が低下するという問題があった。
【0033】
そこで本発明の真空成膜装置は、下地層として第1層皮膜を溶射したのち第2層皮膜を溶射することで、溶射層と真空成膜装置の構成部品との密着性の改善を図った。このときの第1層皮膜の表面粗さRaは、第2層皮膜との密着性を考慮に入れた場合、5.0μm以上30μm以下の範囲とすることが適当であり、7.0μm以上15μm以下の範囲とすることが更に好ましい。
【0034】
また、第2層皮膜の表面粗さは、溶射後の皮膜への表面ダメージが少ない樹脂ブラスト材(樹脂製メディア)によるブラスト処理を実施することにより調整した。ブラストメディアを樹脂製とすることにより、ブラストメディアが溶射表面に残存しても、熱処理によりブラストメディアの除去が可能であるので、ブラストメディアの残存による真空成膜装置の構成部品の皮膜からのパーティクル発生がない。
【0035】
また、ブラストメディアを樹脂製とすることにより、例えばセラミックス製のブラストメディアとした場合に比較して粗さの微調整が可能であり、皮膜表面の粗さを上記規定の粗さに調整することが容易である。
【0036】
本発明に係る真空成膜装置用部品およびそれを用いた真空成膜装置によれば、真空成膜装置用部品の表面に皮膜を形成し、この皮膜の表面粗さおよびゆがみ値を調整することにより、真空成膜装置用部品に付着した付着膜の剥離によるパーティクルの発生を効果的に防止するため、成膜製品の製造コストを低減し、製造歩留りを向上することが可能である。
【0037】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の真空成膜装置の実施形態について、下記の実施例および比較例を参照して具体的に説明する。
【0038】
図1に、本発明の真空成膜装置の一実施形態であるスパッタリング装置の構成を示す。このスパッタリング装置10は、スパッタリングターゲット固定板1、アースシールド2、上部防着板3、下部防着板4およびプラテンリング5から構成される真空容器に、スパッタリングターゲット6と被成膜材料7が対向して配置されて構成される。アースシールド2、上部防着板3、下部防着板4およびプラテンリング5には、溶射等の成膜方法により皮膜8が形成される。
【0039】
なお、本実施例ではスパッタリング装置を用いて説明するが、本発明の真空成膜装置用部品および真空成膜装置は、スパッタリング装置以外に真空蒸着装置(イオンプレーティングやレーザーアブレーション等を含む)、CVD装置等をも含むものであり、スパッタリング装置と同様の効果が得られるものである。
【0040】
【実施例1】
図1に示すようなスパッタリング装置10のアースシールド2、上部防着板3、下部防着板4およびプラテンリング5(部品基材全てSUS304製)について、ブラスト処理により部品表面の下地処理をした後、第1層皮膜としてプラズマ溶射法で膜厚100μm、表面粗さ(Ra):8.2μmのAl溶射膜を形成した。さらに第2層皮膜としてアーク溶射法で膜厚250μmのTi溶射膜を形成し、その後、第2層皮膜の表面にブラスト圧4.5kg/cm2で樹脂ブラスト処理を施し、第2層皮膜の表面の表面粗さRaおよびゆがみ値Rskをそれぞれ計測したところ、Ra=45μm、Rsk=+2.5μmであった。
【0041】
なお、各部品の膜厚は、膜厚計測器(alpha−step2000)により測定し、表面粗さおよびゆがみ値に関しては、粗さ測定器(Taylor Hobson社製)を用いて、それぞれ測定した。
【0042】
上記製法により作製した真空成膜装置用部品により作製されたスパッタリング装置(ULVAC製SH−550)に直径127mmのTiスパッタリングターゲット6を装着して、スパッタ圧3×10− 5(Pa)、Ar流量10sccm(cm3/s)、N2流量30sccmの条件でTiN薄膜のマグネトロンスパッタリングを行った。
【0043】
この真空成膜装置の耐用時間(1ライフ)あたりの投入電力量を120kWhとし、径0.2μm以上のパーティクルの発生数をパーティクルカウンター(WM−3)で測定し、被成膜材料7を成膜した初期10ロットでの1ロット平均パーティクル数と、真空成膜装置の1ライフにおける1ロットあたりのパーティクル数の平均値を算出した。
【0044】
表1に試験結果を示す。すなわち、実施例1の真空成膜装置は、第2層の表面粗さRaおよびゆがみ値Rskがそれぞれ45μmおよび+2.5μmと本発明に規定する範囲内の表面粗さおよびゆがみ値であり、異常放電回数が7回と少なく抑制されている。また、初期10ロットでの1ロット平均パーティクル数が16、1ライフ平均パーティクル数が5であることから、真空成膜装置用部品からのパーティクルの発生が効果的に抑制されることが明白であり、良好な品質のTiN成膜材料を得ることが可能であることが判明した。
【0045】
【実施例2】
実施例1と同様に、図1に示すようなスパッタリング装置10のアースシールド2、上部防着板3、下部防着板4およびプラテンリング5(部品基材全てSUS304製)について、ブラストによる部品表面の下地処理をした後、第1層皮膜としてアーク溶射法で膜厚150μm、表面粗さRa:15.2μmのCuAl合金溶射膜(90wt%Cu−10wt%Al合金)を形成した。さらに第2層皮膜としてアーク溶射法で膜厚250μmのCuAl溶射膜を形成し、その後、第2層皮膜表面にブラスト圧4.5kg/cm2で樹脂ブラスト処理を施し、実施例1と同様の計測装置を用いて表面粗さRaおよびゆがみ値Rskを計測したところ、それぞれ75μm、+3.9μmであった。
【0046】
上記製法により作製した真空成膜装置用部品により作製されたスパッタリング装置(ULVAC製SH−550)に直径127mmのTiスパッタリングターゲット6を装着して、スパッタ圧3×10− 5(Pa)、Ar流量10sccm(cm3/s)、N2流量30sccmの条件でTiN薄膜のマグネトロンスパッタリングを行った。
【0047】
この真空成膜装置の耐用時間(1ライフ)あたりの投入電力量を120kWhとし、径0.2μm以上のパーティクルの発生数をパーティクルカウンター(WM−3)で測定し、被成膜材料7を成膜した初期10ロットでの1ロット平均パーティクル数と、真空成膜装置の1ライフにおける1ロットあたりのパーティクル数の平均値を算出した。
【0048】
表1に試験結果を示す。すなわち、実施例2の真空成膜装置は、表面粗さRaおよびゆがみ値Rskがそれぞれ75μm、+3.9μmと本発明に規定する表面粗さおよびゆがみ値の範囲内であり、異常放電回数が15回と少なく抑制されている。また、初期10ロットでの1ロット平均パーティクル数が23、1ライフ平均パーティクル数が15であることから、真空成膜装置用部品からのパーティクルの発生が効果的に防止されることが明白であり、良好な品質のTaN成膜材料を得ることが可能であることが判明した。
【0049】
【実施例3】
実施例1と同様に、図1に示すようなスパッタリング装置10のアースシールド2、上部防着板3、下部防着板4およびプラテンリング5(部品基材全てSUS304製)について、ブラストによる部品表面の下地処理をした後、第1層皮膜としてアーク溶射法で膜厚:450μm、表面粗さRa:18.4μmのAl溶射膜を形成した。さらに第2層皮膜としてアーク溶射法で膜厚100μmのW溶射膜を形成し、その後、第2層皮膜表面にブラスト圧4.5kg/cm2で樹脂ブラスト処理を施し、表面粗さRaおよびゆがみ値Rskを計測したところ、それぞれ50μm、−2.5μmであった。
【0050】
これら各部品を使用して、マグネトロンスパッタリング装置を構成した。
【0051】
上記製法により作製した真空成膜装置用部品により作製されたスパッタリング装置(ULVAC製SH−550)に直径127mmのTiスパッタリングターゲット6を装着して、スパッタ圧3×10− 5(Pa)、Ar流量10sccm(cm3/s)、N2流量30sccmの条件でTiN薄膜のマグネトロンスパッタリングを行った。
【0052】
この真空成膜装置の耐用時間(1ライフ)あたりの投入電力量を120kWhとし、径0.2μm以上のパーティクルの発生数をパーティクルカウンター(WM−3)で測定し、被成膜材料7を成膜した初期10ロットでの1ロット平均パーティクル数と、真空成膜装置の1ライフにおける1ロットあたりのパーティクル数の平均値を算出した。
【0053】
表1に試験結果を示す。すなわち表面粗さRaおよびゆがみ値Rskをそれぞれ50μm、−2.5μmと本発明に規定する範囲内とした実施例3の真空成膜装置は、異常放電回数が11回と少なく抑制されており、また、初期10ロットでの1ロット平均パーティクル数が25、真空成膜装置の1ライフにおける1ロット平均パーティクル数が21と、真空成膜装置用部品からのパーティクルの発生が効果的に抑制されており、良好な品質のW成膜材料を得ることが可能であることが判明した。
【0054】
【実施例4】
実施例1と同様に、図1に示すようなスパッタリング装置10のアースシールド2、上部防着板3、下部防着板4およびプラテンリング5(部品基材全てSUS304製)について、ブラストによる部品表面の下地処理をした後、第1層皮膜としてアーク溶射法で膜厚150μm、表面粗さRa:25.3μmのNiAl合金溶射膜(80wt%Ni−20wt%Al合金)を形成した。さらに第2層皮膜としてアーク溶射法で膜厚200μmのTi溶射膜を形成し、その後、第2層皮膜表面にブラスト圧4.5kg/cm2で樹脂ブラスト処理を施し、実施例1と同様の計測装置により表面粗さRaおよびゆがみ値Rskを計測したところ、それぞれ49μm、+6.4μmであった。
【0055】
上記製法により作製した真空成膜装置用部品により作製されたスパッタリング装置(ULVAC製SH−550)に直径127mmのTiスパッタリングターゲット6を装着して、スパッタ圧3×10− 5(Pa)、Ar流量10sccm(cm3/s)、N2流量30sccmの条件でTiN薄膜のマグネトロンスパッタリングを行った。
【0056】
この真空成膜装置の耐用時間(1ライフ)あたりの投入電力量を120kWhとし、径0.2μm以上のパーティクルの発生数をパーティクルカウンター(WM−3)で測定し、被成膜材料7を成膜した初期10ロットでの1ロット平均パーティクル数と、真空成膜装置の1ライフにおける1ロットあたりのパーティクル数の平均値を算出した。
【0057】
表1に試験結果を示す。実施例4の真空成膜装置は、表面粗さRaおよびゆがみ値Rskがそれぞれ49μm、+6.4μmと、ゆがみ値Rskの値が本発明の規定外であり、異常放電回数が24回とやや多いものの、初期10ロットでの1ロット平均パーティクル数が12、真空成膜装置の1ライフにおける1ロット平均パーティクル数が7と、真空成膜装置用部品からのパーティクルの発生が効果的に抑制されて徐々に減少する傾向が見られ、真空成膜装置の構成部品の表面を粗面化する効果が適正に現われたものと判断された。すなわち、第2層皮膜形成後に第2層の表面を樹脂ブラストにより表面粗さおよびゆがみ値を制御することにより、良好な品質のTiN成膜材料を得ることが可能であることが判明した。
【0058】
【実施例5】
実施例1と同様に、図1に示すようなスパッタリング装置10のアースシールド2、上部防着板3、下部防着板4およびプラテンリング5(部品基材全てSUS304製)について、ブラスト処理による部品表面の下地処理をした後、第1層皮膜としてアーク溶射法で膜厚300μm、表面粗さRa:24μmのAl溶射膜を形成した。さらに第2層皮膜としてアーク溶射法で膜厚100μm、表面粗さRa:45μmのTi溶射膜を形成した。さらに第3層皮膜として膜厚100μmのCr溶射膜を形成し、その後、第3層皮膜の表面にブラスト圧4.5kg/cm2で樹脂ブラスト処理を施し、表面粗さRaおよびゆがみ値Rskを実施例1と同様の計測方法により計測したところ、それぞれ40μm、−1.1μmであった。
【0059】
上記製法により作製した真空成膜装置用部品により作製されたスパッタリング装置(ULVAC製SH−550)に直径127mmのTiスパッタリングターゲット6を装着して、スパッタ圧3×10− 5(Pa)、Ar流量10sccm(cm3/s)、N2流量30sccmの条件でTiN薄膜のマグネトロンスパッタリングを行った。
【0060】
この真空成膜装置の耐用時間(1ライフ)あたりの投入電力量を120kWhとし、径0.2μm以上のパーティクルの発生数をパーティクルカウンター(WM−3)で測定し、被成膜材料7を成膜した初期10ロットでの1ロット平均パーティクル数と、真空成膜装置の1ライフにおける1ロットあたりのパーティクル数の平均値を算出した。
【0061】
その結果、表1に示すように、異常放電回数が24回とやや多いものの、初期10ロットでの1ロット平均パーティクル数が28、真空成膜装置の1ライフにおける1ロット平均パーティクル数が23と、成膜回数を重ねると真空成膜装置用部品からのパーティクルの発生がやや減少する傾向が見られ、粗面化の効果が適正に現われている。これは、第3層皮膜形成後の樹脂ブラストにより、表面形態が調整されたためと考察され、良好な品質のCrN成膜材料を得ることが可能であることが判明した。
【0062】
【実施例6】
実施例1と同様に、図1に示すようなスパッタリング装置10のアースシールド2、上部防着板3、下部防着板4およびプラテンリング5(部品基材全てSUS304製)について、ブラスト処理による部品表面の下地処理をした後、第1層皮膜としてアーク溶射法で膜厚200μm、表面粗さRa:28μmのCuAl合金溶射膜(80wt%Cu−20wt%Al合金)を形成した。さらに第2層皮膜としてアーク溶射法で膜厚150μm、表面粗さRa:55μmのAlCu合金溶射膜(60wt%Al−40wt%Cu合金)を形成した。さらに第3層皮膜としてアーク溶射法で膜厚250μmのAl溶射膜を形成し、その後、第3層皮膜の表面にブラスト圧4.5kg/cm2で樹脂ブラスト処理を施し、表面粗さRaおよびゆがみ値Rskを実施例1と同様の計測方法により計測したところ、それぞれ79μm、+4.2μmであった。
【0063】
上記製法により作製した真空成膜装置用部品により作製されたスパッタリング装置(ULVAC製SH−550)に直径127mmのTiスパッタリングターゲット6を装着して、スパッタ圧3×10− 5(Pa)、Ar流量10sccm(cm3/s)、N2流量30sccmの条件でTiN薄膜のマグネトロンスパッタリングを行った。
【0064】
この真空成膜装置の耐用時間(1ライフ)あたりの投入電力量を120kWhとし、径0.2μm以上のパーティクルの発生数をパーティクルカウンター(WM−3)で測定し、被成膜材料7を成膜した初期10ロットでの1ロット平均パーティクル数と、真空成膜装置の1ライフにおける1ロットあたりのパーティクル数の平均値を算出した。
【0065】
その結果、表1に示すように、異常放電回数が28回とやや多いものの、初期10ロットでの1ロット平均パーティクル数が18、真空成膜装置の1ライフにおける1ロット平均パーティクル数が20と、成膜回数を重ねると真空成膜装置用部品からのパーティクルの発生が減少する傾向が見られ、粗面化の効果が適正に現われている。これは、第2層皮膜形成後の樹脂ブラストにより、表面形態が調整されたためと考察され、良好な品質のTiN成膜材料を得ることが可能であることが判明した。
【0066】
【比較例1】
続いて、比較例として、実施例1と同様に、図1に示すようなスパッタリング装置10のアースシールド2、上部防着板3、下部防着板4およびプラテンリング5(部品基材全てSUS304製)について、ブラストによる部品表面の下地処理をした後、第1層皮膜としてアーク溶射法で膜厚120μm、表面粗さRa:24.1μmのCuAl合金溶射膜(90wt%Cu−10wt%Al合金)を形成した。さらに第2層皮膜としてアーク溶射法で膜厚200μmのCuAl合金溶射膜(60wt%Cu−40wt%Al合金)を形成し、その後、第2層皮膜に特に手を加えず、表面粗さRaおよびゆがみ値Rskを計測したところ、それぞれ71μm、+10.2μmであった。
【0067】
上記製法により作製した真空成膜装置用部品により作製されたスパッタリング装置(ULVAC製SH−550)に直径127mmのTiスパッタリングターゲット6を装着して、スパッタ圧3×10− 5(Pa)、Ar流量10sccm(cm3/s)、N2流量30sccmの条件でTiN薄膜のマグネトロンスパッタリングを行った。
【0068】
この真空成膜装置の耐用時間(1ライフ)あたりの投入電力量を120kWhとし、径0.2μm以上のパーティクルの発生数をパーティクルカウンター(WM−3)で測定し、被成膜材料7を成膜した初期10ロットでの1ロット平均パーティクル数と、真空成膜装置の1ライフにおける1ロットあたりのパーティクル数の平均値を算出した。
【0069】
その結果、表1に示すように、ゆがみ値Rskの値が+10.2μmと本発明の規定の範囲外であり、異常放電回数が45回と多く、また、初期10ロットでの1ロット平均パーティクル数が52、1ライフ平均パーティクル数が40と、成膜回数を重ねてもパーティクルの顕著な減少が見られない結果となった。これは、第2層皮膜溶射後の樹脂ブラスト処理を行わなかったためと考察された。
【0070】
【比較例2】
実施例1と同様に、図1に示すようなスパッタリング装置10のアースシールド2、上部防着板3、下部防着板4およびプラテンリング5(部品基材全てSUS304製)について、ブラストによる部品表面の下地処理をした後、第1層皮膜としてプラズマ溶射法で膜厚100μm、表面粗さRa:9.2μmのAl溶射膜を形成した。さらに第2層皮膜としてプラズマ溶射法で膜厚300μmのTi溶射膜を形成し、その後、第2層皮膜表面にブラスト圧4.5kg/cm2で樹脂ブラスト処理を施し、表面粗さRaおよびゆがみ値Rskを計測したところ、それぞれ25μm、−3.6μmであった。
【0071】
上記製法により作製した真空成膜装置用部品により作製されたスパッタリング装置(ULVAC製SH−550)に直径127mmのTiスパッタリングターゲット6を装着して、スパッタ圧3×10− 5(Pa)、Ar流量10sccm(cm3/s)、N2流量30sccmの条件でTiN薄膜のマグネトロンスパッタリングを行った。
【0072】
この真空成膜装置の耐用時間(1ライフ)あたりの投入電力量を120kWhとし、径0.2μm以上のパーティクルの発生数をパーティクルカウンター(WM−3)で測定し、被成膜材料7を成膜した初期10ロットでの1ロット平均パーティクル数と、真空成膜装置の1ライフにおける1ロットあたりのパーティクル数の平均値を算出した。
【0073】
その結果、表1に示すように、ほぼ同等の条件とした実施例1の真空成膜装置に比べて、初期10ロットおよび真空成膜装置の1ライフにおける1ロットあたりのパーティクル数がやや多い結果となった。これは、第2層皮膜の表面粗さRaが低い(表面粗さRaが5μmより小さい)為に、パーティクルの防止効果が低減されたためと考察された。
【0074】
【比較例3】
実施例1と同様に、図1に示すようなスパッタリング装置10のアースシールド2、上部防着板3、下部防着板4およびプラテンリング5(部品基材全てSUS304製)について、ブラストによる部品表面の下地処理をした後、第1層皮膜としてアーク溶射法で膜厚100μm、表面粗さRa:23.7μmのCuAl合金溶射膜(90wt%Cu−10wt%Al合金)を形成した。さらに第2層皮膜としてプラズマ溶射法で膜厚150μmのW溶射膜を形成し、その後、第2層皮膜に特に手を加えず、表面粗さRaおよびゆがみ値Rskを計測したところ、それぞれ20μm、−5.6μmであった。
【0075】
上記製法により作製した真空成膜装置用部品により作製されたスパッタリング装置(ULVAC製SH−550)に直径127mmのTiスパッタリングターゲット6を装着して、スパッタ圧3×10− 5(Pa)、Ar流量10sccm(cm3/s)、N2流量30sccmの条件でTiN薄膜のマグネトロンスパッタリングを行った。
【0076】
この真空成膜装置の耐用時間(1ライフ)あたりの投入電力量を120kWhとし、径0.2μm以上のパーティクルの発生数をパーティクルカウンター(WM−3)で測定し、被成膜材料7を成膜した初期10ロットでの1ロット平均パーティクル数と、真空成膜装置の1ライフにおける1ロットあたりのパーティクル数の平均値を算出した。
【0077】
その結果、表1に示すように、ゆがみ値Rskの値が本発明の規定外であり、異常放電回数が54回と多く、また、初期10ロットでの1ロット平均パーティクル数が22であるのに対して、真空成膜装置の1ライフにおける1ロットあたりのパーティクル数の平均値が84であり、成膜回数を重ねるとパーティクルが増加する傾向を示した。これは、第2層皮膜溶射後の樹脂ブラスト処理を行わなかったために、凹み部での不安定な堆積膜が多くなったためと考察された。
【0078】
【比較例4】
実施例1と同様に、図1に示すようなスパッタリング装置10のアースシールド2、上部防着板3、下部防着板4およびプラテンリング5(部品基材全てSUS304製)について、ブラストによる部品表面の下地処理をした後、第1層皮膜としてアーク溶射法で膜厚200μm、表面粗さRa:19.8μmのCuAl合金溶射膜(70wt%Cu−30wt%合金)を形成した。さらに第2層皮膜としてアーク溶射法で膜厚400μmのAl溶射膜を形成し、その後、第2層皮膜にブラスト処理をせずに、表面粗さRaおよびゆがみ値Rskを計測したところ、それぞれ120μm、+15.3μmであった。
【0079】
上記製法により作製した真空成膜装置用部品により作製されたスパッタリング装置(ULVAC製SH−550)に直径127mmのTiスパッタリングターゲット6を装着して、スパッタ圧3×10− 5(Pa)、Ar流量10sccm(cm3/s)、N2流量30sccmの条件でTiN薄膜のマグネトロンスパッタリングを行った。
【0080】
この真空成膜装置の耐用時間(1ライフ)あたりの投入電力量を120kWhとし、径0.2μm以上のパーティクルの発生数をパーティクルカウンター(WM−3)で測定し、被成膜材料7を成膜した初期10ロットでの1ロット平均パーティクル数と、真空成膜装置の1ライフにおける1ロットあたりのパーティクル数の平均値を算出した。
【0081】
その結果、表1に示すように、表面粗さRa、ゆがみ値Rskの値が本発明の規定の範囲外であり、異常放電回数が123回と非常に多く、また、初期10ロットでの1ロット平均パーティクル数が96回で、真空成膜装置の1ライフでの1ロットあたりのパーティクル数が62回であり、成膜工程を重ねてもパーティクル数が低下しない傾向を示した。第2層皮膜溶射後の樹脂ブラスト処理を行わなかったために、皮膜表面に凸部が非常に多いためと考察された。
【0082】
【比較例5】
実施例1と同様に、図1に示すようなスパッタリング装置10のアースシールド2、上部防着板3、下部防着板4およびプラテンリング5(部品基材全てSUS304製)について、ブラストによる部品表面の下地処理をした後、第1層皮膜としてプラズマ溶射法で膜厚200μm、表面粗さRa:8.6μmのAl溶射膜を形成した。さらに第2層皮膜としてアーク溶射法で膜厚300μmのAl溶射膜を形成し、その後、第2層皮膜表面にブラスト圧10.5kg/cm2で樹脂ブラストを施し、表面粗さRa、ゆがみ値Rskを計測したところ、それぞれ57μm、−7.3μmであった。
【0083】
上記製法により作製した真空成膜装置用部品により作製されたスパッタリング装置(ULVAC製SH−550)に直径127mmのTiスパッタリングターゲット6を装着して、スパッタ圧3×10− 5(Pa)、Ar流量10sccm(cm3/s)、N2流量30sccmの条件でTiN薄膜のマグネトロンスパッタリングを行った。
【0084】
この真空成膜装置の耐用時間(1ライフ)あたりの投入電力量を120kWhとし、径0.2μm以上のパーティクルの発生数をパーティクルカウンター(WM−3)で測定し、被成膜材料7を成膜した初期10ロットでの1ロット平均パーティクル数と、真空成膜装置の1ライフにおける1ロットあたりのパーティクル数の平均値を算出した。
【0085】
その結果、表1に示すように、ゆがみ値Rskの値が本発明の規定する範囲外であり、異常放電回数が22回と多く、また、初期10ロットでの1ロット平均パーティクル数が32で、真空成膜装置の1ライフでの1ロットあたりのパーティクル数が46であり、成膜工程を重ねることによりパーティクル数が増加する傾向を示した。これは、第2層皮膜溶射後の樹脂ブラスト処理が強すぎたために、凹み部での不安定堆積膜が多くなったためと考察された
【0086】
【比較例6】
実施例1と同様に、図1に示すようなスパッタリング装置10のアースシールド2、上部防着板3、下部防着板4およびプラテンリング5(部品基材全てSUS304製)について、ブラストによる下地処理後、第1層皮膜としてアーク溶射法で膜厚:250μm、表面粗さRa:28.6μmのCuAl合金溶射膜(90wt%Cu−10wt%Al合金)を形成した。この後、第2層皮膜は形成せずにゆがみ値Rskを計測したところ、+3.5μmであった。
【0087】
これら各部品を使用して、マグネトロンスパッタリング装置を構成した。
【0088】
上記製法により作製した真空成膜装置用部品により作製されたスパッタリング装置(ULVAC製SH−550)に直径127mmのTiスパッタリングターゲット6を装着して、スパッタ圧3×10− 5(Pa)、Ar流量10sccm(cm3/s)、N2流量30sccmの条件でTiN薄膜のマグネトロンスパッタリングを行った。
【0089】
この真空成膜装置の耐用時間(1ライフ)あたりの投入電力量を120kWhとし、径0.2μm以上のパーティクルの発生数をパーティクルカウンター(WM−3)で測定し、被成膜材料を成膜した初期10ロットでの1ロット平均パーティクル数と、真空成膜装置の1ライフにおける1ロットあたりのパーティクル数の平均値を算出した。
【0090】
その結果、表1に示すように、初期10ロットでの1ロット平均パーティクル数は17と比較的低く推移しているものの、真空成膜装置の1ライフにおける1ロットあたりのパーティクル数の平均値が79であり、成膜回数を重ねると、ある時点で急激にパーティクル数が多くなる傾向を示した。これは、TaN膜の付着によるストレスによって溶射膜の剥離が生じたためと考察された。
【0091】
【比較例7】
実施例1と同様に、図1に示すようなスパッタリング装置10のアースシールド2、上部防着板3、下部防着板4およびプラテンリング5(部品基材全てSUS304製)について、ブラスト処理による部品表面の下地処理をした後、第1層皮膜としてプラズマ溶射法で膜厚150μm、表面粗さRa:4.2μmのAl溶射膜を形成した。第2層皮膜としてアーク溶射法で膜厚200μmのTi溶射膜を形成しようとしたが、第1層皮膜の表面粗さRaが+4.2μmと低いために、第2層皮膜であるTi膜が剥離し、第2層の成膜不可能となった。
【0092】
【表1】
【0093】
上記実施例1〜実施例6の真空成膜装置と比較例1〜比較例7の真空成膜装置のデータについてさらに比較検討すると、実施例1〜実施例6の真空成膜装置は、異常放電回数が7回〜28回と総じて少なく抑制されるのに対して、比較例1、比較例3および比較例4の真空成膜装置は、異常放電回数がそれぞれ45回、54回、123回であった。
【0094】
一方、比較例1〜比較例7のデータのうち、第2層皮膜の表面にブラスト処理した比較例2の真空成膜装置は、比較的に良好な品質の成膜材料が得られている。また、成膜材および溶射材を同一材料にて真空成膜した実施例2と比較例1との初期10ロットでの1ロット平均パーティクル数がついて比較すると、実施例2が16であるのに対して、比較例1が52と多い傾向を示す。すなわち、同一の成膜材を用いて被成膜部材に皮膜を施工した実施例と比較例とを比較すると、実施例の真空成膜装置は、皮膜の表面ブラスト処理して粗さを調整することによりパーティクルの発生が効果的に防止されており、ブラスト処理により真空成膜装置を構成する部品の皮膜表面の粗さを調整することの効果が証明された。
【0095】
一方、実施例1〜実施例6および比較例1〜比較例7の真空成膜装置1ライフにおける1ロット平均のパーティクル数は、実施例1〜実施例6の真空成膜装置が5〜23であるのに対して、比較例1〜比較例7の真空成膜装置の場合、比較例2が11であるのを除いて、40〜84と、実施例の真空成膜装置に比較して成膜工程を重ねても減少しない傾向を示す。すなわち、本発明の真空成膜装置は、パーティクルの発生を従来より長い使用期間にわたって効果的に防止するので、成膜製品を製造する際の製品歩留りを向上することが可能である。
【0096】
また、真空成膜装置用部品の皮膜を1層構造とした比較例6の真空成膜装置のパーティクル数は、成膜回数を重ねると増大する傾向がさらに顕著である。すなわち、真空成膜装置用部品に皮膜を2層以上積層して多層構造とすることによりパーティクルを防止する効果をさらに向上することが可能であることが明白となった。
【0097】
すなわち、本発明の真空成膜装置およびそれを用いた真空成膜装置によれば、成膜工程中に真空成膜装置用部品に付着した付着膜の剥離を安定かつ有効に防止することが可能となる。従って、成膜工程におけるパーティクルの発生量が大幅に低減されるため、配線膜等の不良発生原因となる膜中へのパーティクルの混入を抑制することが可能となり、成膜製品の製造歩留りの向上を図ることができる。また、真空成膜装置のクリーニングおよび部品交換の回数を減らすことができるため、成膜コストの削減が可能となる。
【0098】
また、真空成膜装置用部品の表面に少なくとも2層以上の皮膜を形成することにより、さらに効果的に成膜部材の製造コストを低減し、製造歩留りを向上することが可能である。
【0099】
【発明の効果】
本発明に係る真空成膜装置およびそれを用いた真空成膜装置によれば、真空成膜装置の構成部品に溶射皮膜を形成し、皮膜の表面粗さおよびゆがみ値を調整することにより、真空成膜装置の構成部品に付着した付着膜の剥離によるパーティクルの発生を効果的に防止するため、成膜製品の製造コストを低減し、製造歩留りを向上することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る真空成膜装置用部品を使用した真空成膜装置の一実施形態であるスパッタリング装置の要部構成を示す断面図。
【符号の説明】
1 スパッタリングターゲット固定板
2 アースシールド
3 上部防着板
4 下部防着板
5 プラテンリング
6 スパッタリングターゲット
7 被成膜材料
8 皮膜
10 スパッタリング装置
Claims (9)
- 真空成膜装置を構成する部品であって、部品本体を構成する基材の表面に溶射皮膜が形成されており、この溶射皮膜の表面粗さが中心線平均粗さ(Ra)基準で30μm以上80μm以下であることを特徴とする真空成膜装置用部品。
- 前記溶射皮膜の表面のゆがみ値(Rsk)が−5.0μm以上+5.0μm以下であることを特徴とする請求項1記載の真空成膜装置用部品。
- 前記溶射皮膜が、Ti、Zr、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Pt、Ag、Fe、Ni、Mn、Sn、Zn、Co、Al、Siから選択される少なくとも1種の元素を含むCu合金から成ることを特徴とする請求項1または請求項2記載の真空成膜装置用部品。
- 前記溶射皮膜が、Ti、Zr、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Pt、Ag、Fe、Ni、Mn、Sn、Zn、Co、Al、Siから選択された1種の元素またはその合金から成ることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の真空成膜装置用部品。
- 前記溶射皮膜は、少なくとも2層以上に積層された多層構造の皮膜であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の真空成膜装置用部品。
- 前記部品の表面に、表面粗さが中心線平均粗さ(Ra)基準で10μm以上30μm以下の第1層溶射皮膜が形成されており、この第1層溶射皮膜の表面に第2層溶射皮膜が形成されており、この第2層溶射皮膜の表面粗さが中心線平均粗さ(Ra)基準で30μm以上80μm以下であることを特徴とする請求項5に記載の真空成膜装置用部品。
- 前記溶射皮膜表面のゆがみ値(Rsk)が−5.0μm以上−2.0μm以下または+2.0μm以上+5.0μm以下であることを特徴とする請求項2記載の真空成膜装置用部品。
- 請求項1ないし請求項7のいずれかに記載された真空成膜装置用部品を用いたことを特徴とする真空成膜装置。
- 高融点金属または高融点金属化合物を成膜するための装置であることを特徴とする請求項8記載の真空成膜装置。
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