JP2005029702A - 水溶性防汚・防カビ塗料 - Google Patents

水溶性防汚・防カビ塗料 Download PDF

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Abstract

【課題】タイルやモルタル等のセラミックス素材などに対し密着性が良好で抗菌・防カビ効果の持続性に優れた塗膜を簡便にかつ均一に形成することができ、さらに表面に付着したカビを簡単に脱離させることができる水溶性防汚・防カビ塗料を提供する。
【解決手段】全アニオン量が700mgCaCO3/リットル以下の脱イオン水に、下記一般式(I)で表されるシランカップリング剤(式中、Xは有機材料と反応性もしくは相溶性のある基、R1〜R3はOH基又は加水分解してシラノールを生成しうる基)を0.001〜10重量%、及び有機系のイミダゾール系化合物およびビグアナイド化合物等の抗菌・防カビ剤を0.01〜5重量%配合して得られる水溶性防汚・防カビ塗料をセラミック面等に塗布する。
【化1】
Figure 2005029702

【選択図】 なし

Description

本発明は、水溶性防汚・防カビ塗料に関し、詳しくは、トイレ、キッチン、風呂場、食器等の汚れおよびカビを防止しうる、セラミックスに好適に用いられる水溶性防汚・防カビ塗料に関する。
従来の防カビ塗料は、有機系の防カビ剤を塗料に混合したものやカビ防止効果が持続する銀、銅、亜鉛イオンを不溶性の無機物粉体に担持させたものなどが知られている。
有機系の成分を用いた塗料には、二酸化珪素、2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾールおよび2.3.5.6−テトラクロロ−4−(メチルスルホニル)ピリジンとメチルメトキシシロキサンをイソプロピルアルコールなどに溶解して有機系の抗菌剤の劣化を抑制し耐久性を高くしたものなどがある(特開2002−235017)。
前記の抗菌・防カビ塗料は、水に不溶で抗菌作用の異なる2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾールおよび2.3.5.6−テトラクロロ−4−(メチルスルホニル)ピリジンの2種類を用いて抗菌スペクトルの範囲を広げ、二酸化珪素とメチルメトキシシロキサンを用いて表面硬度を高め抗菌・防カビ剤の耐久性を良くしたものである。
しかし、この塗料は、水溶性ではなく、揮発性の高いアルコールを用いて溶解しているので塗料を均等にコートするためには大掛かりな装置が必要となったり、既成のものにコートするには熟練した技術が必要となるなど、経済的に不利となる。
また、無機系の成分を用いた塗料には、銀塩とリン酸塩や銀塩とリン酸塩とカルシウム塩からなる混合物もしくは化合物より選ばれた無機成分を、ケイ酸塩ガラスと共に加熱溶解後粉砕して透明な有機系の塗料に混合分散したものがある(特開平7−62272)
エマルジョン化したアクリル系やウレタン系の塗料に抗菌・防カビ剤を溶解または分散させたものや溶剤に溶解したアクリル系やウレタン系の塗料に抗菌・防カビ剤を溶解または分散させた塗料は簡便にコートすることが難しい。また、水溶性、溶剤系の塗料を均等にコートするためには大掛かりな装置が必要となったり、既成のものにコートするには熟練した技術が必要となるなど、経済的に不利となる。
これらのことからトイレ、キッチン、風呂場のタイル等のセラミックス製品等に発生するカビを防止し、かつ、付着したカビを簡単に脱離できるようにするために、撥水性を有しセラミックス等の表面に簡便にコートでき、そして耐久性のある防汚・防カビ用のコーティング剤の出現が待たれていた。
特開2002−235017 特開平7−62272 特公平6−19080 特開平6−192596 特願2001−387226
本発明は、撥水効果をもつシランカップリング剤を用いた塗料に有機系の抗菌・防カビ剤を相溶あるいは反応させてカビの原因となる汚れを防止すると共にカビの増殖をも防止する効果を合わせもつ水溶性防汚・防カビ塗料であって、タイルやモルタル等のセラミックス素材などに対し密着性が良好で抗菌・防カビ効果の持続性に優れた塗膜を簡便にかつ均一に形成することができ、さらに、その表面に付着したカビを簡単に脱離させることができる、水溶性防汚・防カビ塗料を提供することを課題とする。
湿度の高い風呂場などには、石鹸カス、垢が多くあり、これらが栄養源となってカビが多く繁殖する。そして、トイレ、窓ガラス、壁などにもカビの発生が見られるが、それは、水しぶきや結露した水滴に空気中の埃や塵が付着し栄養源となりカビが繁殖する。
つまり、湿度の高い場所で、基材にカビの栄養源となる汚れが付着するとカビ繁殖の原因となる。
高温多湿の中でカビの繁殖を防止するには、水しぶきや結露などの水分をタイルなどのセラミックス面に付着させず、かつ栄養分となる汚れを付着させないことが必要である。
さらに、カビの増殖を防ぐためには、抗菌・防カビ剤などを用いればよい。
これらの水分や汚れをセラミックスなどの表面に付着させにくくするには、水分や汚れとセラミックス間の界面張力を小さくする必要がある。つまり、汚れが付いた状態より汚れが離れているほうが自由エネルギーが低くて安定であるような状態にすればよい。すなわち、カビの発生を防止するには、水分や汚れが付かないように基質を撥水性にすればよい。
したがって、セラミックスなどの表面に、該表面より撥水性の大きい物質をコートすることにより、カビの発生源となる水分や汚れの付着を防止してカビの発生を防ぐことができる。
また、風呂場やトイレのタイルなどには、タワシや硬い雑巾などで掃除をすると目に見えない無数の小さなキズが発生し、その部分に水分が残存し、空気中の埃や塵などに含まれる栄養分が付着してカビの原因となる。
無数の小さなキズが原因となるカビの繁殖を防止するには、これらの小さな傷をコーティングして埋めればよい。
一般的に、シリコーン、フッ素系高分子などの極性の低い官能基をもつ物質ほど撥水効果が大きくなる。
そして、シランカップリング剤はセラミックス等に塗布すると、化学結合を起こして撥水性の被膜が表面に形成される。
本発明者は、鋭意検討した結果、シランカップリング剤を脱イオン水に配合して作成した水溶性塗料に有機系のイミダゾール系化合物およびビグアナイド化合物などの抗菌・防カビ剤を相溶、反応させた水溶性抗菌・防カビ塗料を用いれば、セラミックス等の表面との密着性及び耐久性に優れているのみならず、有機系のイミダゾール系化合物およびビグアナイド化合物などの定着が格段に良くなり、抗菌・カビ防止効果が持続する耐久性の良い塗膜を、該表面に簡便に且つ均一に形成することができることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の(1)〜(5)に示す水溶性防汚・防カビ塗料に関する。
(1)全アニオン量が700mgCaCO3/リットル以下の脱イオン水に、下記一般式(I)で表されるシランカップリング剤を0.001〜10重量%、及び有機系抗菌・防カビ剤を0.01〜5重量%配合してなることを特徴とする、水溶性防汚・防カビ塗料。
Figure 2005029702
(式中、Xは有機材料と反応性もしくは相溶性のある基を表す。R1、R2、R3は、各々独立してOH基又は加水分解してシラノールを生成しうる基であり、相互に同一でも異なっていてもよい。)
(2)前記一般式(I)中のXが、アミノ基であることを特徴とする、(1)記載の水溶性防汚・防カビ塗料。
(3)前記有機系抗菌・防カビ剤が、有機系のイミダゾール系化合物およびビグアナイド化合物からなる群から選択されることを特徴とする、(1)又は(2)記載の水溶性防汚・防カビ塗料。
(4)陽イオン界面活性剤または非イオン界面活性剤を0.005〜3.5重量%含有する、(1)〜(3)のいずれかに記載の水溶性防汚・防カビ塗料。
(5)セラミックス用塗料であることを特徴とする、(1)〜(4)のいずれかに記載の水溶性防汚・防カビ塗料。
本発明の水溶性防汚・防カビ塗料は、撥水効果をもつシランカップリング剤を用いた塗料に有機系の抗菌・防カビ剤を相溶あるいは反応させてカビの原因となる汚れを防止すると共にカビの増殖をも防止する効果を合わせもつ塗料である。よって、タイルやモルタル等のセラミックス素材などに対し密着性が良好で抗菌・防カビ効果の持続性に優れた塗膜を簡便にかつ均一に形成することができ、さらに、その表面に付着したカビを簡単に脱離させることができる。
本発明の水溶性防汚・防カビ塗料は、シランカップリング剤を脱イオン水に配合し、その中に有機系のイミダゾール系化合物およびビグアナイド化合物などの抗菌・防カビ剤を相溶、反応させたことを特徴とする。すなわち、本発明の水溶性防汚・防カビ塗料は、基材である水にシランカップリング剤を溶解させ有機系のイミダゾール系化合物およびビグアナイド系化合物などの抗菌・防カビ剤を相溶あるいは反応させたものである。
(1)脱イオン水
本発明の水溶性防汚・防カビ塗料に用いられる基材である水は、全アニオン量が700mgCaCO3/リットル以下の脱イオン水である。
すなわち、シランカップリング剤を混合する前の水(他の任意成分をすべて溶解した後)の全アニオン量が700mgCaCO3/リットル以下、好ましくは、600mgCaCO3/リットル以下、さらに好ましくは580mgCaCO3/リットル以下とする。
水中でシラノール基は、懸濁している無機物(金属・セラミックス)及びその化合物や溶解している無機物(金属・セラミックス)及びその化合物等と結合する。そして、水中で塩を構成している無機イオン、例えばCa2+、Na+、K+、Mg2+、Fe2+、Fe3+などと結合する。そして、シラノール基は弱酸性で陽イオン交換能をもつため、水中に遊離している陰イオンが存在するとシラノール基と反応する。
したがって、シランカップリング剤を溶解する水は、ろ過およびイオン交換等の方法を用いて水中の無機物の懸濁物および水中に溶解している無機イオン、遊離している陰イオンを除去したものを用いる必要がある。すなわち、全カチオン及び遊離している陰イオンを一定範囲以下に除去した脱イオン水を用いる必要がある。
中性の水中においてカチオンは全て塩を構成している。したがって、カチオンの量を測定するにはアニオンの量を測定すればよい。そして、過マンガン酸カリウムにより酸化滴定すると塩構成アニオンと水中に遊離している陰イオン(遊離炭酸・ケイ酸等)も測定することができる。すなわち、全アニオン(塩構成アニオン+遊離している陰イオン)を測定することにより全カチオン及び遊離している陰イオンの測定ができる。したがって、ここでいう全アニオンとは、全カチオン(塩構成カチオン)+遊離している陰イオンのことをいう。
本発明においては、測定した全アニオン量の単位として、過マンガン酸カリウム消費量をCaCO3の量に換算した「mgCaCO3/リットル」を用いた。よって、過マンガン酸カリウムによる方法以外の方法により全カチオン及び遊離している陰イオンの量を測定して求めた数値であっても、それをCaCO3の量に換算すれば本発明の全アニオン量(mgCaCO3/リットル)を求めることができる。なお、イオン除去方法は、ろ過や、陽イオン交換樹脂、陰イオン交換樹脂等を用いたイオン交換等、従来公知のいずれの方法を用いてもよい。
また、水中に有機物が存在すると上記一般式(I)中のX基と反応または相溶するため、有機物を除去した水を用いるのが好ましい。さらに、水中に有機物等が存在すると過マンガン酸カリウムを消費するので、過マンガン酸カリウム消費量の測定は、水中の有機物を取り除いた後に測定する必要がある。なお、有機物の除去も、ろ過やイオン交換等の方法で行うことができる。
(2)シランカップリング剤
本発明で用いられるシランカップリング剤は、下記一般式(I)で表されるものである。
Figure 2005029702
ここで、式(I)中、Xは有機材料と反応性もしくは相溶性のある基を表す。R1、R2、R3は、各々独立してOH基又は加水分解してシラノールを生成しうる基の中から選ばれ、相互に同一でも異なっていてもよい。
X基の具体例としては、アミノ基、アミノアルキル基、ビニル基、エポキシ基、グリシドキシ基、アクリル基、メタクリル基、メルカプト基等、及びこれらの基を含有するアルキル基などの有機基が挙げられる。特に好ましくは、アミノ基である。
1、R2、R3基の具体例としては、OH基の他、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アリルオキシ基、ハロゲン基等が挙げられる。好ましくは、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、あるいは塩素等のハロゲン基である。
かかるシランカップリング剤としては、具体的には、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ν−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ν−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、ν−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3,4−エポキシシクロへキシルエチルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(βアミノエチル)γ―アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(βアミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(βアミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。
アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(βアミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(βアミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(βアミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミノ基を含有するシランカップリング剤は、通常、加水分解速度が速く、触媒も不要である。そして、アミノ基との相互作用により、水溶液中で安定にゲル化するまでに時間がかかる。したがって、長期保存して使用する場合には、アミノ基を含有するシランカップリング剤を用いるのが好ましい。ただし、あまり長く保存するとアミノ基が酸化されてNO2基やN2基となり赤や黄色に呈色するため、長期保存して使用する場合には、酸化防止剤等を併用するのが好ましい。
かかるシランカップリング剤は、所望により当業技術者により容易に合成できる。また、各種市販品を使用することもでき、例えば商品名「KBM403」、「KBM603」、「KBM6123」(いずれも信越化学工業株式会社製)などが入手可能である。
シランカップリング剤はセラミックス等の素材に塗布すると、素材と化学結合し、撥水性の被膜が表面に形成される。すなわち、シランカップリング剤を水に溶解すると加水分解してシラノール基となり、定温で乾燥中に重合が起こって鎖状のポリシロキサンの被膜を素材表面に形成する。よって、セラミックス等の表面には、撥水性のポリシロキサンの被膜が形成される。
したがって、セラミックスの容器に入れた水の中にシランカップリング剤を入れても、セラミックスの表面に鎖状のポリシロキサンの被膜を形成することができる。
シランカップリング剤とセラミックスとの反応については明確でない部分も多いが、シランカップリング剤のアルコキシシリル基(Si−OR)は、水に溶解するとただちに加水分解されシラノ−ル基となってセラミックスと結合し、Si−O−M(セラミックス)結合が形成されると考えられる。そして、セラミックス表面では、シラノール基が定温で乾燥中に重合反応を起こし、鎖状のポリシロキサンの被膜を形成する。その表面を覆ったポリシロキサンの膜とセラミックスとはカップリング反応によるもので、単にセラミックスにポリマーが密着するのとは異なり、密着性に非常に優れた塗膜を形成することができる。そして、このポリシロキサンの被膜が、意外にも、セラミックスへの汚れの付着防止、及び汚れの除去に関し格段に優れた効果を発揮する。
尚、上記式で表されるシランカップリング剤はポリマーと配合してメタリック塗料組成物(特公平6−19080)や撥水型防汚塗料組成物(特開平6−192596)として使われており、また本発明者はシランカップリング剤単体を用いた防汚塗料(出願番号特願2001−387226)も開発したが、有機系の抗菌・防カビ剤をシランカップリング剤の溶液に混合させて水溶性にした防汚・防カビ塗料の事例はない。
本発明の水溶性防汚・防カビ塗料中におけるシランカップリング剤の配合割合(濃度)は、脱イオン水全量に対し、0.001〜10重量%、好ましくは0.005〜8重量%、より好ましくは0.01〜6重量%、特に好ましくは0.01〜5重量%である。
一般的にシラノ−ル基は水溶液中では非常に不安定で、経時変化によりシラノ−ル基の縮合反応が起こり、ゲル化する。シラノ−ル基がゲル化してポリシロキサンとなると、セラミックス面とのSi−O−M結合が困難となり防汚・防カビ被膜の形成が容易にできなくなる。そして、水に溶解しているシラノ−ル基の濃度が高いほど縮合反応は起こりやすくなる。一方、水に溶解するシランカップリング剤の量が少ないと、逆にシラノ−ル基の濃度が低くなりすぎ、ポリシロキサンの防汚・防カビ被膜の形成が難しくなる。これらのことから、水に溶解するシランカップリング剤の量は、脱イオン水全体に対し上記範囲とするのがよい。
(3)抗菌・防カビ剤
一般的に、シランカップリング剤のもつR基がSiやFeなどの無機物と反応し、X基が有機物と相溶あるいは反応する。したがって、有機材料と反応性あるいは相溶性のある基すなわち上記一般式(I)中のX基に有機系の抗菌・防カビ剤を反応あるいは相溶させ、タイルなどのSi基をもつセラミックスに上記一般式(I)中のR基を反応させればセラミックスとの密着性が良くかつ有機系の抗菌・防カビ剤の定着性が良い水溶性防汚・防カビ塗料が得られる。
そのような抗菌・防カビ剤の物質としては、例えば、2−(4−チアゾリル)ベンツイミダゾ−ル、2−メトキシカルボニルアミノベンツイミダゾ−ル、2−ベンズイミダゾールカルバミン酸メチル、1−(ブチルカルバモイル)−2−ベンズイミダゾールカルバミン酸メチルなどのイミダゾール系化合物、グルコン酸クロルヘキシジン、塩酸ポリヘキサメチレンビグアナイド等のビグアナイド系化合物、N−ハロアルキル化合物、イマザリル硫酸塩、イミダゾリンジオン誘導体、塩素化脂肪族化合物、チアゾール誘導体、トリアジン誘導体、チアジアジン系化合物、トリアゾール誘導体、ハロアリルスルホン系化合物、フェノール誘導体、有機硫黄系化合物、有機窒素化合物、有機窒素炭化水素、有機窒素系ハロゲン、有機砒素系化合物、有機ヨウ素系化合物、ヨードプロパギル系化合物、ピリジン系化合物、8−オキシキノリン系化合物、ベンゾチアゾール系化合物、イソチアゾリン系化合物、有機スズ系化合物、第4級アンモニウム塩系、アニリド系化合物、アダマンタン系化合物、ジチオカルバメート系化合物、有機ブロム系化合物、アパタイト銀系化合物等のN−置換アミド類が挙げられる。
これらのうちで、特に好ましいものは、イミダゾール系化合物及びビグアナイド系化合物である。
抗菌・防カビ剤の配合割合(濃度)は、シランカップリング剤の配合割合にもよるが、脱イオン水の重量に対し0.01〜5重量%配合すればよい。好ましくは、0.05〜2重量%、さらに好ましくは0.1〜1重量%である。抗菌・防かび剤の割合が上記範囲未満では抗菌・防カビ効果が十分ではなく、上記範囲を超えると溶液のゲル化が発生するという欠点を生じる場合がある。
(4)その他の任意成分
本発明の水溶性防汚・防カビ塗料をセラミックスに塗るときに、はじきやく均等に塗りずらい場合には、濡れ性を大きくして塗りやすくするのが好ましい。濡れ性を大きくするには界面活性剤が有効であり、その種類等には特に制限はないが、陰イオン界面活性剤、両性界面活性剤を用いると陰イオンとシラノール基が反応する場合があるため、通常は陽イオン界面活性剤または非イオン界面活性剤を用いるのが好ましい。
陽イオン界面活性剤としては、モノアルキルアミン塩、ジアルキルアミン塩、トリアルキルアミン塩、塩化(又は臭化、ヨウ化)アルキルトリメチルアンモニウム、塩化アルキルベンザルコニウム等が挙げられる。非イオン界面活性剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレングリコール、脂肪酸ポリエチレングリコール、脂肪酸ポリオキシエチレンソルビタン、脂肪酸アルカノールアミド等が挙げられる。
一般的に界面活性剤は、臨界ミセル濃度以上の濃度で初めて界面活性剤としての本当の性質が表れるが、本発明の水溶性防汚・防カビ塗料においては、セラミックス面に均等に塗ることができればよい。しかし、一方で、界面活性剤を大量に入れすぎるとヌリムラの原因となる場合がある。したがって、陽イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤の濃度は、水溶性防汚・防カビ塗料全量に対して0.005〜3.5重量%、好ましくは、0.01〜2重量%程度とするのが好ましい。
また、これらの防汚・防カビ塗料には、腐敗防止や加水分解促進等のため、メチルパラベンやアルコール、あるいはシランカップリング剤と反応あるいは相溶しない腐敗防止剤や酸化防止剤等を、必要に応じて含有させることができる。
アルコールを使用する場合は、メタノール、エタノール、IPA等の低級アルコールを1〜10重量%程度用いるのが好ましい。
そして、臭いつきや色つきの防汚・防カビ塗料を作るには、シランカップリング剤と反応あるいは相溶しない有機系の染料や香料を必要に応じて含有させることができる。
(5)水溶性防汚・防カビ塗料の製造方法
本発明の水溶性防汚・防カビ塗料は、上記脱イオン水にシランカップリング剤及び抗菌・防カビ剤を、必要に応じて界面活性剤等の他の任意成分とともに配合し溶解することにより得られる。全ての材料が脱イオン水に溶解、分散すれば配合の順番は特に制限されない。ゲル化防止等の観点から、他の任意成分を配合した後にシランカップリング剤を配合するのも好ましいが、脱イオン水の中に抗菌・防カビ剤、シランカップリング剤、界面活性剤の順に入れるのがより好ましい。
シランカップリング剤が脱イオン水中に容易に分散しないような場合は、メタノール、エタノール等の低級アルコールにシランカップリング剤を溶解後に脱イオン水と配合するとよい。また、抗菌・防カビ剤には、水溶性と非水溶性のものがあるが、非水溶性の抗菌・防カビ剤で界面活性剤などを用いても分散できないものは、同様にエタノールなどのアルコールを用いて溶解させてから脱イオン水に配合すればよい。
さらに、脱イオン水にシランカップリング剤を添加後、または、メタノール、エタノール等の低級アルコールにシランカップリング剤を溶解後に脱イオン水を添加した後、必要に応じて酢酸、塩酸、Sn等の加水分解触媒を添加して、攪拌、超音波振動等を加えてシランカップリング剤溶液を調製するのがより好ましい。
(6)用途
本発明の水溶性防汚・防カビ塗料は、セラミックス等の素材の表面に塗布し、乾燥させることにより簡便に防汚・防カビ塗膜を形成することができる。
本発明の水溶性防汚・防カビ塗料に用いられるシランカップリング剤のSi−OH基は、セラミックスばかりでなく、Al、Si、Feなどの金属や無機物とも反応するため、この防汚・防カビ塗料は、鉄板・ステンレス・アルミ・ガラス繊維を含有しているFRP樹脂板等の各種物質にも撥水性の防汚・防カビ塗膜を形成することができる。
すなわち、塗布しうる基体としては、最も好ましいものはセラミックスであるが、これに限られず、金属、金属酸化物、プラスチックス、ゴム類などの無機質及び有機質材料を挙げることができる。セラミックスの例としては、ガラス、陶磁器、焼結炭化ケイ素、焼結窒化ケイ素、焼結炭化ホウ素、焼結窒化ホウ素などを挙げることができる。
金属の例としては、鉄、アルミニウム、亜鉛、マグネシウム、金、銀、クロム、ゲルマニウム、モリブデン、ニッケル、鉛、白金、ケイ素、チタン、トリウム、タングステンのような単体金属や、炭素鋼、ニッケル鋼、クロム鋼、クロムモリブデン鋼、ステンレス鋼、アルミニウム合金、黄銅、青銅のような合金を挙げることができる。
金属酸化物の例としては、アルミナ、シリカ、マグネシア、トリア、ジルコニア、三二酸化鉄、四三酸化鉄、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化亜鉛、酸化鉛などを挙げることができる。
その他、花崗岩、大理石などの鉱石類、煉瓦、コンクリート等の窯業製品なども所望に応じ用いることができる。
シランカップリング剤による処理の方法は、通常、湿式処理または乾式処理がある。本発明の水溶性防汚・防カビ塗料の塗布方法は、いずれの方法によるものであってもよく、素材表面に塗膜を形成するのに慣用されている種々の方法の中から任意に選ぶことができる。
このようにして形成される防汚・防カビ塗膜は、セラミックス等の素材との密着性及び耐久性に優れるだけでなく、抗菌・防カビ効果の持続性が良く、汚れの付着防止効果が高く、付着した汚れも簡単に脱離することができる。
シランカップリング剤を水に溶解すると、水溶液中でシラノール基の縮合反応が起こってゲル化しやすいため、脱イオン水にシランカップリング剤を配合した後は、早めに塗布するのが好ましい。
シランカップリング剤のなかには、加水分解しにくいものもあるので、そのような場合は酢酸や酢酸とアルコールの混合物を0.1〜2重量%程度混合させて加水分解速度を速めることもできる。なお、エポキシ基を含有するシランカップリング剤は、水単独または水とアルコールでは加水分解が進まない場合があるので、そのときは触媒を用いるとよい。
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。
陽イオン交換樹脂および陰イオン交換樹脂を用いて精製した水にCaCO3、NaCl、KCl、MgSO4、FeSO4の塩構成物、および遊離酸としてSiO2を混合した、全アニオンがそれぞれ51.3、102.7、302.5、558.9、750(単位はいずれも「mgCaCO3/リットル」)の脱イオン水を作成した。
この水にN−β(アミノエチル)γ―アミノプロピルトリエトキシシラン(商品名「KBM603」:信越化学株式会社製)を溶解して0.001%、0.005%、0.01%、0.1%、1.0%、3.0%、5.0%、6.0%(いずれも重量%;以下同様)の溶液を作成した。次に、その溶液を60℃に保った恒温槽の中に入れ、24時間経過後の溶液のゲル化の状態を目視により確認した。この結果を表1に示す。なお、表中の記号は、◎:ゲル化なし △:ゲル化少しあり ×:ゲル化多い、を示す。
Figure 2005029702
全アニオンが700mgCaCO3/リットルを超える脱イオン水にシランカップリング剤N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン(KBM603:信越化学株式会社製)を6.0%混合させると、ゲル化することが分かる。
実施例1で作成した脱イオン水に酢酸を1.2重量%混合した溶液に、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(KBM403:信越化学株式会社製)を溶解して0.001%、0.005%、0.01%、0.1%、1.0%、3.0%、5.0%、6.0%の溶液を作成した。次に、その溶液を60℃に保った恒温槽の中に入れ、24時間経過後の溶液の状態を目視により確認した。この結果を表2に示す。なお、表中の記号は、◎:ゲル化なし △:ゲル化少しあり ×:ゲル化多い、を示す。
Figure 2005029702
全アニオンが700mgCaCO3/リットルを超える脱イオン水にγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(KBM403:信越化学株式会社製)を6.0%混合させると、ゲル化することが分かる。
実施例1で作成した脱イオン水にシランカップリング剤(KBM6123:信越化学株式会社製)を溶解して0.001%、0.005%、0.01%、0.1%、1.0%、3.0%、5.0%、6.0%の溶液を作成した。次に、その溶液を60℃に保った恒温槽の中に入れ、24時間経過後の溶液の状態を目視により確認した。この結果を表3に示す。なお、表中の記号は、◎:ゲル化なし △:ゲル化少しあり ×:ゲル化多い、を示す。
Figure 2005029702
全アニオンが700mgCaCO3/リットルを超える脱イオン水にシランカップリング剤(KBM6123:信越化学株式会社製)を6.0%混合させると、ゲル化することが分かる。
実施例3で用いた全アニオン51.3mgCaCO3/リットルの水にシランカップリング剤としてKBM603(信越化学株式会社製)を溶解して0.001%、0.005%、5.0%、6.0%の溶液を作成した。この溶液にイミダゾール系化合物の防カビ剤・アモルデンMP−686(1−{2−(2,4−ジクロロフェニル)−2−(プロペニルオキシ)エチル}−1H・イミダゾールと塩化ベンザルコニウムとの混合物;大和化学工業(株)製)を0.001%、0.005%、0.01%、0.1%、1.0%、3.0%、5.0%、6.0%混合溶解させた溶液を作成しゲル化の状態を見た。結果を表4に示す。なお、表中の記号は、◎:ゲル化なし ○:ゲル化ほとんどなし △:ゲル化少しあり ×:ゲル化多い、を示す。
Figure 2005029702
シランカップリング剤(KBM603:信越化学株式会社製)を混合させたゲル化していない溶液にイミダゾール化合物系の防カビ剤・アモルデンMP−686(大和化学(株)製)を6.0%混合させると、ゲル化することが分かる。
実施例3で用いた全アニオン51.3mgCaCO3/リットルの水にシランカップリング剤としてKBM603(信越化学株式会社製)を溶解して0.001%、0.005%、5.0%、6.0%の溶液を作成した。この溶液にビグアナイド化合物の防カビ剤・アモルデンCHB−200(ポリヘキサメチレンビグアニジン塩酸塩;大和化学工業(株)製)を0.001%、0.005%、0.01%、0.1%、1.0%、3.0%、5.0%、6.0%混合溶解させた溶液を作成しゲル化の状態を見た。結果を表5に示す。なお、表中の記号は、◎:ゲル化なし ○:ゲル化ほとんどなし △:ゲル化少しあり ×:ゲル化多い、を示す。
Figure 2005029702
シランカップリング剤(KBM603:信越化学株式会社製)を混合させたゲル化していない溶液にビグアナイド化合物系の防カビ剤・アモルデンCHB−200(大和化学工業(株)製)を6.0%混合させると、ゲル化することが分かる。
実施例4で作成した全アニオン51.3mgCaCO3/リットルの水にシランカップリング剤としてKBM603(信越化学株式会社製)を0.005%、溶解した溶液にイミダゾール系化合物の防カビ剤・アモルデンMP−686(大和化学工業(株)製)を0.001%、0.005%、0.01%、0.1%、1.0%、3.0%、5.0%、6.0%混合させた溶液を作成した。
3×3cmのタイルを28枚用意し、何も塗布しない未処理のタイル1枚(以下サンプル1という)、0.01%に希釈したイミダゾール系化合物を直接塗布したタイル3枚(以下サンプル2という)、上記で作成したシランカップリング剤「KBM603」(信越化学(株))にイミダゾール系化合物を混合させた防カビ剤濃度0.001%溶液(以下サンプル3という)、防カビ剤濃度0.005%溶液(以下サンプル4という)、防カビ剤濃度0.01%溶液(以下サンプル5という)、防カビ剤濃度0.1%溶液(以下サンプル6という)、防カビ剤濃度1.0%溶液(以下サンプル7という)、防カビ剤濃度3.0%溶液(以下サンプル8という)、防カビ剤濃度5.0%溶液(以下サンプル9という)、防カビ剤濃度6.0%溶液(以下サンプル10という)をおのおの塗布したタイルを各3枚用意した。
一つは、処理した状態、一つは、水道水を用いて24時間流水洗浄、そして、一つは、流水中でスポンジを用いて180回洗浄した。
水分保持のために滅菌シャーレの上に素寒天を20ml分注し、固化後、前記で作成したタイルを貼り付けた。
そして、Aspergillus FERM S-1、Penicillium citrinnum FERM S-5、Cladosporium cladosporioides FERM S-8 、Chaetomium globosum FERM S-11の混合物質(以下供試カビ(1)という)ならびにAlternaria altenate IFO 31188(以下供試カビ(2)という)の胞子懸濁液を含む寒天培地を前記のタイルの上にスポイトを用いて各々一滴滴下した。
次に、28℃に保たれた恒温槽の中に7日間保持しカビの発育の状況を確認した。その結果を表6に示す。なお、表中の記号は、○:タイル上にカビなし △:タイル上にカビ少しあり ×:タイル上にカビ多い、を示す。
Figure 2005029702
0.01%に希釈したイミダゾール系化合物を直接塗布したタイルは、流水や流水中でスポンジを用いて洗浄するとカビ防止効果がなくなるが、シランカップリング剤を混合させた溶液にイミダゾール系化合物を0.01〜5.0%混合させた溶液を用いて塗布したタイルは流水や流水中でスポンジを用いて洗浄してもカビ防止効果が持続し、防カビ剤の定着性が向上することが分かる。
シランカップリング剤を混合させた溶液にイミダゾール系化合物を0.001〜0.005%混合させた溶液を用いてタイルに塗布したものは防カビ効果が小さく、6.0%混合させた溶液はゲル化が起こり、この溶液を用いて塗布したタイルは流水や流水中でスポンジを用いて洗浄するとカビ防止効果がなくなることが分かる。
実施例4で作成した全アニオン51.3mgCaCO3/リットルの水にシランカップリング剤としてKBM603(信越化学株式会社製)を0.005%、溶解した溶液にイミダゾール系化合物の防カビ剤・アモルデンMP−686(大和化学工業(株)製)を0.001%、0.005%、0.01%、0.1%、1.0%、3.0%、5.0%、6.0%混合させた溶液を作成した。
3×3cmのモルタルの板を28枚用意し、何も塗布しない未処理のモルタルの板1枚(以下サンプル1という)、0.005%に希釈したイミダゾール系化合物を直接塗布したモルタルの板3枚(以下サンプル2という)、上記で作成したシランカップリング剤KBM603(信越化学(株))にイミダゾール系化合物を混合させた防カビ剤濃度0.001%溶液(以下サンプル3という)、防カビ剤濃度0.005%溶液(以下サンプル4という)、防カビ剤濃度0.01%溶液(以下サンプル5という)、防カビ剤濃度0.1%溶液(以下サンプル6という)、防カビ剤濃度1.0%溶液(以下サンプル7という)、防カビ剤濃度3.0%溶液(以下サンプル8という)、防カビ剤濃度5.0%溶液(以下サンプル9という)、防カビ剤濃度6.0%溶液(以下サンプル10という)をおのおの塗布したモルタルの板を各3枚用意した。
一つは、処理した状態、一つは、水道水を用いて24時間流水洗浄、そして、一つは、流水中でスポンジを用いて180回洗浄した。
次に、水分保持のために滅菌シャーレの上に素寒天を20ml分注し、固化後、前記で作成したモルタルの板を貼り付けた。
そして、Aspergillus FERM S-1、Penicillium citrinnum FERM S-5、Cladosporium cladosporioides FERM S-8 、Chaetomium globosum FERM S-11の混合物質(供試カビ(1))ならびにAlternaria altenate IFO 31188(供試カビ(2))の胞子懸濁液を含む寒天培地を前記のモルタルの板の上にスポイトを用いて各々一滴滴下した。
次に、28℃に保たれた恒温槽の中に7日間保持しカビの発育の状況を確認した。その結果を表7に示す。なお、表中の記号は、○:モルタル板上にカビなし △:モルタル板上にカビ少しあり ×:モルタル板上にカビ多い、を示す。
Figure 2005029702
0.005%に希釈したイミダゾール系化合物を直接塗布したモルタルの板は、流水や流水中でスポンジを用いて洗浄するとカビ防止効果がなくなるが、シランカップリング剤を混合させた溶液にイミダゾール系化合物を混合させた溶液を用いて塗布したモルタルの板は流水や流水中でスポンジを用いて洗浄してもカビ防止効果が持続し、防カビ剤の定着性が向上することが分かる。
シランカップリング剤を混合させた溶液にイミダゾール系化合物を0.001〜0.005%混合させた溶液を用いてタイルに塗布したものは防カビ効果が小さく、シランカップリング剤を混合させた溶液にイミダゾール系化合物を6.0%混合させた溶液はゲル化が起こり、この溶液を用いて塗布したモルタルの板は流水や流水中でスポンジを用いて洗浄するとカビ防止効果がなくなることが分かる。
本発明の水溶性防汚・防カビ塗料は、素材の表面に塗布し、乾燥させることにより簡便に撥水性の防汚・防カビ塗膜を形成することができる。かかる素材としては、トイレ、キッチン、風呂場等のタイルなどに用いられるセラミックスが最も好適であるが、セラミックスに限らず、鉄板・ステンレス・アルミ・ガラス繊維を含有しているFRP樹脂板等の各種物質にも防汚・防カビ塗膜を形成することができる。

Claims (5)

  1. 全アニオン量が700mgCaCO3/リットル以下の脱イオン水に、下記一般式(I)で表されるシランカップリング剤を0.001〜10重量%、及び有機系抗菌・防カビ剤を0.01〜5重量%配合してなることを特徴とする、水溶性防汚・防カビ塗料。
    Figure 2005029702

    (式中、Xは有機材料と反応性もしくは相溶性のある基を表す。R1、R2、R3は、各々独立してOH基又は加水分解してシラノールを生成しうる基であり、相互に同一でも異なっていてもよい。)
  2. 前記一般式(I)中のXが、アミノ基であることを特徴とする、請求項1記載の水溶性防汚・防カビ塗料。
  3. 前記有機系抗菌・防カビ剤が、有機系のイミダゾール系化合物およびビグアナイド化合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1又は2記載の水溶性防汚・防カビ塗料。
  4. 陽イオン界面活性剤または非イオン界面活性剤を0.005〜3.5重量%含有する、請求項1〜3のいずれかに記載の水溶性防汚・防カビ塗料。
  5. セラミックス用塗料であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の水溶性防汚・防カビ塗料。
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JP2006257205A (ja) * 2005-03-16 2006-09-28 Dainichiseika Color & Chem Mfg Co Ltd シュリンクラベルまたはストレッチラベル用防黴インキ
CN113817409A (zh) * 2021-10-28 2021-12-21 广东电网有限责任公司 一种防苔涂料及其制备方法
JP2022104606A (ja) * 2020-12-28 2022-07-08 株式会社キャスティングイン 抗菌性コーティング剤

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