JP2005029664A - シリコ−ンゴム組成物 - Google Patents

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Daichi Todoroki
大地 轟
Tsutomu Nakamura
中村  勉
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Abstract

【課題】経時的な可塑化戻りが少なく貯蔵安定性に優れ、ロール等に対する粘着が少なく作業性に優れたシリコーンゴム組成物、および、その製造方法を提供する。
【解決手段】(A)一分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサン、
(B)式:RO(SiR O)
[式中、Rは同一または異なり、非置換または置換の一価炭化水素基であり、Rは同一または異なり、アルキル基または水素原子であり、mは1〜50の正数である]
で表されるオルガノポリシロキサンまたはオルガノシラン、
(C)比表面積が50m/g以上の補強性シリカ、
(D)比表面積が1m/g以上の炭酸カルシウム
[但し、(D)成分と(C)成分の配合比は、重量換算で、1:2〜1:200である]、および、
(E)硬化剤
を含有してなるシリコーンゴム組成物、および、その製造方法。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ロール等に対する粘着が少なく作業性に優れ、経時的な可塑化戻りが少なく貯蔵安定性に優れた、シリコーンゴムを得ることができるシリコーンゴム組成物およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
シリコーンゴムは、優れた耐候性、電気特性、低圧縮永久歪み性、耐熱性、耐寒性等の特性を有しているため、電気機器、自動車、建築、医療、食品等を初めとする様々な分野で広く使用されている。例えば、リモートコントローラ、タイプライター、ワードプロセッサ、コンピュータ末端、楽器等のゴム接点として使用されるラバーコンタクト;建築用ガスケット;複写機用ロール、現像ロール、転写ロール、帯電ロール、給紙ロール等の各種ロール;オーディオ装置等の防振ゴム;コンピュータに使用されるコンパクトディスク用パッキン等の用途が挙げられる。現在、シリコーンゴムに対する需要は益々高まっており、優れた特性を有するシリコーンゴムの開発が望まれている。シリコーンゴムは、一般的に、高重合度のオルガノポリシロキサンと補強性充填剤とを含有してなる組成物として用いられる。該組成物は、例えば、ダウミキサー、2本ロールミル等の混合装置を用いて、原料ポリマー、補強性充填剤(補強性シリカ等)、各種分散剤等を混合することにより調製される。
【0003】
しかし、オルガノポリシロキサンに補強性シリカが配合されたシリコーンゴム組成物は、経時的な可塑化戻りを起こすことが知られている。この可塑化戻りを防止する方法としては、低粘度の分子鎖末端に水酸基を有するオルガノポリシロキサンと充填剤とを混合し、硫酸、スルホン酸等を添加して上記のオルガノシロキサンを縮重合させることにより高分子量化する方法(特許文献1)、および、低粘度の分子鎖末端に水酸基を有するポリオルガノシロキサンをアルカリ性の触媒存在下で縮重合させる方法(特許文献2)が提案されている。しかし、これらの方法では、水分または充填剤の影響により、重合度をコントロールすることが困難である。さらに、縮重合をさせる際に生成する低分子シロキサンの量が多くなる問題や、触媒の残留により耐熱性が悪化する問題がある。
【0004】
シリコーンゴム組成物のもう一つの重要な特性として、ロール等に対する粘着性が挙げられる。この粘着性が高いと、2本ロールミルでの作業性が悪化する問題や、カレンダー成型が困難になる等の問題が生じる。そこで、シリカ充填剤の配合量を多くすることにより、可塑化戻りの悪化を防止しながら、未硬化シリコーンゴムのロール等に対する粘着を防止する方法として、シリコーンゴム組成物の一成分にテトラフルオロエチレンを添加する方法が記載されているが、ミル収縮が増大する問題がある(特許文献3)。
【0005】
その他にも、引き裂き強度の優れたシリコーンゴム組成物として、塩基性物質を含有してなるシリコーンゴム組成物、具体的には、オルガノポリシロキサン、シリカ微粉末および塩基性化合物を混合下で加熱したもの、オルガノハイドロジェンポリシロキサンならびに白金系化合物からなるシリコーンゴム組成物(特許文献4)が提案されているが、可塑化戻りが起きる問題や、着色が生じる問題がある。また、架橋性ジオルガノシロキサン100重量部に対して炭酸カルシウム20〜250重量部を混合下で加熱し、優れた機械的耐久性を含有してなるシリコーンゴム組成物(特許文献5)が提案されているが、炭酸カルシウムの配合量に対してシリカの配合量が少なすぎるため、ロール加工性等の作業性に劣っている。さらに、合成ゴムやプラスチックとの共存下での熱履歴による劣化が著しく改善されたシリコーンゴム組成物として、炭酸カルシウムをシリコーンゴムコンパウンド100重量部に対して0.1〜10重量部含有してなるシリコーンゴム組成物(特許文献6)が提案されているが、加熱処理をしていないため、作業性については従来どおりである。
【0006】
このように、シリコーンゴム組成物に求められる諸特性を満たした上で、さらに、経時的な可塑化戻りが少なく、作業性にも優れたシリコーンゴム組成物は未だ見出されていなかった。
【0007】
【特許文献1】
特開昭59−176325号公報
【特許文献2】
特開昭59−176326号公報
【特許文献3】
特開昭52−11250号公報
【特許文献4】
特開昭63−207854号公報
【特許文献5】
特開2001−164111号公報
【特許文献6】
特開昭57−195150号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、経時的な可塑化戻りが少なく貯蔵安定性に優れ、ロール等に対する粘着が少なく作業性に優れたシリコーンゴム組成物およびその製造方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、
(A)下記平均組成式(1):
SiO(4−n)/2 (1)
[式中、Rは同一または異なり、非置換または置換の一価炭化水素基であり、nは1.95〜2.04の正数である]
で表される、一分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサン 100重量部、
(B)下記一般式(2):
O(SiR O) (2)
[式中、Rは同一または異なり、非置換または置換の一価炭化水素基であり、Rは同一または異なり、アルキル基または水素原子であり、mは1〜50の正数である]
で表されるオルガノポリシロキサンまたはオルガノシラン 0〜50重量部、
(C)比表面積が50m/g以上の補強性シリカ 10〜100重量部、
(D)比表面積が1m/g以上の炭酸カルシウム 0.05〜50重量部
[但し、(D)成分と(C)成分の配合比は、重量換算で、1:2〜1:200である]、および、
(E)硬化剤 有効量
を含有してなるシリコーンゴム組成物を提供する。
さらに、本発明は、前記(A)、(C)および(D)成分を混合下で加熱した後、前記(E)成分を配合する前記シリコーンゴム組成物の製造方法を提供する。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明についてより詳細に説明する。なお、本明細書中において、比表面積は、BET法により測定された値である。
【0011】
[(A)オルガノポリシロキサン]
(A)成分のオルガノポリシロキサンは、上記平均組成式(1)で表される。上記式(1)中、Rは、通常、炭素原子数1〜20、好ましくは1〜12、より好ましくは1〜8の1価炭化水素基である。Rで表される1価炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基等のアリ−ル基、β−フェニルプロピル基等のアラルキル基、または、これらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部もしくは全部がハロゲン原子、シアノ基等で置換されたクロロメチル基、トリフルオロプロピル基、シアノエチル基等が挙げられ、メチル基、ビニル基、フェニル基およびトリフルオロプロピル基が好ましく、メチル基およびビニル基がより好ましい。中でも、ロール作業性の点から、分子中のRで表される1価炭化水素基のうち、50モル%以上がメチル基であることが好ましく、80モル%以上がメチル基であることが特に好ましい。
【0012】
上記式(1)中、nは1.95〜2.04、好ましくは1.98〜2.02の正数である。このnが1.95〜2.04の範囲でないと、得られる硬化物が十分なゴム弾性を示さないことがある。
【0013】
また、(A)成分のオルガノポリシロキサンは、一分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有することが必要であり、上記式(1)中、Rの0.001〜10モル%、特に0.01〜5モル%がアルケニル基であることが好ましい。該アルケニル基としては、好ましくはビニル基およびアリル基であり、特に好ましくはビニル基である。重合度は、100以上であることが好ましく、3,000〜100,000の範囲であることがより好ましく、4,000〜20,000の範囲であることが特に好ましい。
上記オルガノポリシロキサンとしては、この条件を満たしていれば特に限定されないが、分子鎖両末端がトリメチルシリル基、ジメチルビニルシリル基、ジメチルヒドロキシシリル基、メチルジビニルシリル基、トリビニルシリル基等で封鎖されたものが好ましく、少なくとも1つのビニル基を有しているシリル基で封鎖されたものが特に好ましい。
【0014】
これらのオルガノポリシロキサンは、1種単独で用いても、重合度や分子構造の異なる2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0015】
[(B)オルガノポリシロキサンまたはオルガノシラン]
(B)成分のオルガノポリシロキサンまたはオルガノシランは、上記一般式(2)で表される。式中、Rは、通常、炭素原子数1〜20、好ましくは1〜12、より好ましくは1〜8の1価炭化水素基である。
【0016】
上記式(2)中、Rで表される1価炭化水素基としては、例えば、上記のRで表される1価炭化水素基の例示と同じもの等が挙げられ、メチル基、ビニル基およびトリフルオロプロピル基が好ましく、メチル基およびビニル基がより好ましい。中でも、(A)成分のオルガノポリシロキサンとの相溶性の点から、上記式(1)のRで表される一価炭化水素基と同一であることが特に好ましい。
【0017】
上記式(2)中、Rで表されるアルキル基は、通常、炭素原子数1〜4、好ましくは1または2のものであり、具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられる。Rとしては、好ましくは、水素原子、メチル基、エチル基であり、特に好ましくは水素原子である。
【0018】
上記式(2)中、m(即ち、重合度)は、1〜50の正数であることが必要であり、好ましくは1〜30、特に好ましくは2〜25の正数である。mの値が50を超えると、(C)成分の補強性シリカを処理する処理剤としての効果が少なくなる。
【0019】
これらのオルガノポリシロキサンまたはオルガノシランは、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0020】
(B)成分は必要に応じて配合される成分であるが、該(B)成分は、(C)成分および(D)成分の分散性を高め、可塑化戻りの抑制上有効であるため、配合することが好ましい。該(B)成分の配合量は、(A)成分100重量部に対して、0〜50重量部であり、好ましくは0.1〜50重量部、特に好ましくは0.5〜20重量部である。この配合量が50重量部を超えると、得られるシリコーンゴム組成物が粘着性を持つものとなる。
【0021】
[(C)補強性シリカ]
(C)成分の補強性シリカは、得られるシリコーンゴムに優れた機械的特性を付与する成分として作用する。該補強性シリカは沈降シリカでもヒュームドシリカでもよいが、本発明では沈降シリカが好ましい。該補強性シリカの比表面積は、50m/g以上であることが必要であり、好ましくは100〜400m/gである。この比表面積が50m/g未満であると、補強効果が不十分となる。
【0022】
該補強性シリカは、必要に応じて、オルガノポリシロキサン、オルガノポリシラザン、クロロシラン、アルコキシシラン等で表面処理されたものを用いてもよい。これらの補強性シリカは、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0023】
(C)成分の配合量は、(A)成分100重量部に対して、10〜100重量部であり、好ましくは10〜80重量部、特に好ましくは20〜70重量部である。この配合量が10〜100重量部の範囲を満たさないと、得られるシリコーンゴム組成物の加工性が低下するだけでなく、そのシリコーンゴム組成物を硬化して得られる硬化シリコーンゴムの、引張り強度、引き裂き強度等の機械的特性が不十分なものとなる。
【0024】
[(D)炭酸カルシウム]
(D)成分の炭酸カルシウムは、比表面積が1m/g以上のものである。(D)成分は、上記(B)成分および(C)成分と共に可塑化戻りを抑制し、さらに、シリコーンゴム組成物のロール等への粘着性を抑制する作用を有する。この炭酸カルシウムとしては、粉末状のものが好ましい。その比表面積は、好ましくは5m/g以上、より好ましくは10m/g以上であり、上限は特に限定されないが、好ましくは100m/g、より好ましくは50m/gである。この比表面積が1m/g未満であると、補強効果およびロール粘着性抑制効果が不十分となる。また、その粉末の平均粒径は、好ましくは10μm以下、より好ましくは0.01〜5μm、特に好ましくは0.02〜3μmである。この平均粒径が10μm以下であると、得られるシリコーンゴム組成物は、特にロール作業性に優れたものとなる。上記炭酸カルシウムは、表面が未処理のものであっても、その表面が脂肪酸、ロジン酸等で処理されたものであってもよいが、表面処理されたものが好ましく、脂肪酸で表面処理されたものが特に好ましい。
【0025】
(D)成分の配合量は、(A)成分100重量部に対して、0.05〜50重量部であり、好ましくは0.1〜20重量部、より好ましくは0.5〜10重量部、特に好ましくは1〜5重量部である。この配合量が0.05〜50重量部の範囲を満たさないと、得られるシリコーンゴム組成物の加工性が低下し、さらに、そのシリコーンゴム組成物を硬化して得られる硬化シリコーンゴムの引張り強度、引き裂き強度等の機械的特性が不十分なものとなる。
【0026】
さらに、本発明では(D)成分の炭酸カルシウムの配合量を(C)成分の補強性シリカに対して特定量とすることが必要である。その特定量とは、(D)成分と(C)成分との配合比が、重量換算で、1:2〜1:200であることであり、好ましくは1:3〜1:100、より好ましくは1:5〜1:50、特に好ましくは1:8〜1:40である。この1:2〜1:200の比率を満たさないと、得られるシリコーンゴム組成物のロール加工性等の作業性が低下し、そのシリコーンゴム組成物を硬化して得られる硬化シリコーンゴムは、十分な引張り強度、引き裂き強度等の機械的強度を有し難い。
【0027】
[(E)硬化剤]
(E)成分は硬化剤であり、その具体例としては、例えば、有機過酸化物、付加系硬化剤(付加架橋剤および触媒)等が好ましく、特に有機過酸化物が好ましい。
【0028】
前記有機過酸化物としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、パラメチルベンゾイルパーオキサイド、オルトメチルベンゾイルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジクミルパーオキサイド、クミル−t−ブチルパーオキサイド等の塩素原子を含まない有機過酸化物が用いられ、特に、常圧熱気加硫用としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、パラメチルベンゾイルパーオキサイド、オルトメチルベンゾイルパーオキサイド等のアシル系有機過酸化物が好適に用いられる。これらの有機過酸化物は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0029】
この有機過酸化物の配合量は、有効量でよいが、通常、(A)成分100重量部に対して、0.1〜10重量部が好ましく、0.3〜5重量部が特に好ましい。この配合量が0.1重量部未満であると、シリコーンゴム組成物の加熱による硬化を試みても架橋が不十分なものとなり、10重量部を超えても該組成物の硬化速度は向上しない。
【0030】
[その他の任意成分]
上述した成分に加え、必要に応じて、石英粉末、結晶性シリカ等の非補強性シリカ、アセチレンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック、着色剤、ベンガラ、酸化セリウム等の耐熱性向上剤、白金、酸化チタン、トリアゾール化合物等の難燃性向上剤、受酸剤、アルミナ、窒化ホウ素等の熱伝導率向上剤、離型剤、カーボンファンクショナルシラン等を添加してもよい。
【0031】
本発明のシリコーンゴム組成物は、上記成分を、2本ロールミル、バンバリーミキサー、ダウミキサー(ニーダー)等の混合装置を用いて均一に混合することにより得ることができるが、(A)、(C)および(D)成分、必要により(B)成分を混合下で加熱した後、(E)成分を配合することが望ましい。加熱温度は、好ましくは80〜250℃、より好ましくは100〜200℃、特に好ましくは140〜180℃である。前記加熱時間は、通常30分〜5時間であり、特に1〜2時間であることが好ましい。
【0032】
このようにして得られたシリコ−ンゴム組成物は、硬化させることにより、ゴム状の弾性体(硬化シリコーンゴム)を得ることができる。本発明者らは、本発明に係るシリコーンゴム組成物を硬化して得られる硬化シリコーンゴムが優れた反発弾性を有することを見出した。
【0033】
その硬化方法は、硬化剤の分解、ヒドロシリル化反応の促進およびシリコ−ンゴムの加硫に十分な熱をかける方法であればよい。硬化温度は硬化方法にもよるが、通常80〜400℃である。また、その成型方法も特に制限されず、例えば、押し出し成型による連続加硫、プレス、インジェクション等を用いることができる。さらに、必要に応じて150〜250℃で1〜10時間程度、二次加硫してもよい。
【0034】
【実施例】
以下、実施例と比較例を用いて、本発明を具体的に説明するが、これらは本発明を何ら限定するものではない。
【0035】
[実施例1]
(A)ジメチルシロキサン単位99.825モル%、メチルビニルシロキサン単位0.15モル%、および、ジメチルビニルシロキサン単位0.025モル%からなり、平均重合度が約6000であるオルガノポリシロキサン100重量部、(B)分子鎖両末端にシラノール基を有し、平均重合度が15であり、25℃における粘度が0.00003m/sであるジメチルポリシロキサン4.4重量部、(C)沈降シリカ(商品名:NIPSIL−LP、日本シリカ(株)製、比表面積:201m/g、平均粒径:8.2μm)40重量部、(D)表面を脂肪酸系(即ち、脂肪酸ナトリウム)で処理してある炭酸カルシウム粉末(商品名:カルファインN−40、丸尾カルシウム(株)製、比表面積:35m/g、一次粒子径:0.04μm、平均粒径:0.1μm)3重量部を添加し、180℃で2時間、ニーダーにより混合下で加熱した後、ベースコンパウンド(1)を調製した。
【0036】
上記ベースコンパウンド(1)100重量部に対して、(E)硬化剤として2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン2重量部を添加し、二本ロールで均一に混合した後、165℃、9.8MPaの条件で10分間プレスキュアーを行った。さらに、200℃で4時間、二次加硫を行うことにより、試験シートおよび圧縮永久歪み測定用、反発弾性測定用の試験片を作成した。その試験シートおよび試験片を用いて、諸特性について以下の測定方法に従って測定を行った。その結果を表1に示す。
【0037】
[測定方法]
(1.硬度)
上記試験シートを用いて、JIS−K6249に準じた方法で測定した。
(2.引張り強度)
上記試験シートを用いて、JIS−K6249に準じた方法で測定した。
(3.伸び)
上記試験シートを用いて、JIS−K6249に準じた方法で測定した。
(4.引き裂き強度)
上記試験シートを用いて、JIS−K6249に準じた方法で測定した。
(5.圧縮永久歪み)
上記圧縮永久歪み測定用試験片を用いて、JIS−K6249に準じた方法で測定した。
(6.反発弾性)
上記反発弾性測定用試験片を用いて、JIS−K6255に準じた方法で測定した。
(7.可塑化戻り)
上記ベースコンパウンド(1)を120℃の条件下で16時間放置し、冷却した後、6インチ2本ロールミルに投入し、可塑化戻りの様子を観察した。可塑化戻りとして、このコンパウンドの表面が滑らかになるまでの時間を測定した。なお、その時間が短いほど可塑化戻りは良好であることを意味する。
(8.粘着性)
上記ベースコンパウンド(1)を2本ロールミルで練る時の粘着性を評価した。評価基準としては、このコンパウンドとロールとの間に粘着性がなく作業性のよいものを○、悪いもの×とした。
【0038】
[実施例2]
実施例1で用いた沈降シリカの配合量を40重量部から37重量部に変更した以外は同様にしてベースコンパウンド(2)を調製し、その特性および該ベースコンパウンドを加工して得られた試験シートおよび試験片の特性について測定を行った。その結果を表1に示す。
【0039】
[実施例3]
実施例1で用いた炭酸カルシウム粉末の配合量を3重量部から1重量部に変更した以外は同様にしてベースコンパウンド(3)を調製し、その特性および該ベースコンパウンドを加工して得られた試験シートおよび試験片の特性について測定を行った。その結果を表1に示す。
【0040】
[比較例1]
実施例1で用いた炭酸カルシウム粉末を添加しなかった以外は同様にしてベースコンパウンド(C1)を調製し、その特性および該ベースコンパウンドを加工して得られた試験シートおよび試験片の特性について測定を行った。その結果を表1に示す。
【0041】
[比較例2]
実施例1で用いた炭酸カルシウム粉末の代わりに、ステアリン酸亜鉛を0.17重量部添加した以外は同様にしてベースコンパウンド(C2)を調製し、その特性および該ベースコンパウンドを加工して得られた試験シートおよび試験片の特性について測定を行った。その結果を表1に示す。
【0042】
[比較例3]
実施例1で加熱処理を行わなかった以外は同様にして、ベースコンパウンド(C3)を調製したところ、得られたベースコンパウンドはボソボソであった。該コンパウンドを用いた場合、ロール作業性は著しく悪いものであった(ロールになかなか巻きつかなかった)。このベースコンパウンドについては、硬化させての物性測定は行わなかった。
【0043】
[比較例4]
実施例1で用いた炭酸カルシウムの配合量を3重量部から40重量部に変更し、沈降シリカを配合しなかった以外は同様にしてベースコンパウンド(C4)を調製した。該コンパウンドを用いた場合、ロール粘着性は著しく高く、ロール作業性は著しく悪いものであった。このベースコンパウンドについては、硬化させての物性測定は行わなかった。
【0044】
[比較例5]
実施例1で用いた炭酸カルシウムの配合量を3重量部から25重量部に変更した以外は同様にしてベースコンパウンド(C5)を調製し、その特性および該ベースコンパウンドを加工して得られた試験シートおよび試験片の特性について測定を行った。その結果を表1に示す。
【0045】
【表1】
Figure 2005029664
【0046】
[評価]
実施例1〜3は、本発明の条件に合うシリコーンゴム組成物であり、その可塑化戻りに優れ、ロール等に対する粘着性も認められない。さらに、該シリコーンゴム組成物を硬化させて得られる硬化シリコーンゴムは、反発弾性に優れたものである。
【0047】
比較例1は、本発明の組成物の一成分である炭酸カルシウム粉末を所定量配合しなかった場合に得られるシリコーンゴム組成物であり、ロール等に対する粘着性が認められるといった問題を有する。さらに、該シリコーンゴム組成物を硬化させて得られる硬化シリコーンゴムは、反発弾性に劣るものである。
【0048】
比較例2は、本発明の組成物の一成分である炭酸カルシウム粉末の代わりに、ステアリン酸亜鉛を配合した場合に得られるシリコーンゴム組成物であり、可塑化戻りに劣るものである。
【0049】
比較例3は、本発明の組成物を調製する際に加熱処理を行わなかったものであり、比較例4は、本発明の組成物の一成分である補強性シリカを添加しなかったものであるが、得られたベースコンパウンドはどちらの場合においてもロール作業性、ロール粘着性等に劣るものである。
【0050】
比較例5は、本発明の組成物の(C)成分と(D)成分の配合比が、本発明の条件を満たさなかった場合に得られるシリコーンゴム組成物であり、可塑化戻りに劣り、ロール等に対する粘着性が認められるという問題を有する。さらに、該シリコーンゴム組成物を硬化させて得られる硬化シリコーンゴムは、引張り強度、伸び、圧縮永久歪み、反発弾性等に劣るものである。
【0051】
【発明の効果】
本発明のシリコーンゴム組成物は、シリコーンゴム組成物に求められる諸特性を満たした上で、経時的な可塑化戻りが少なく貯蔵安定性に優れ、ロールに対する粘着性が小さく作業性に優れたものである。また、本発明の製造方法により、該シリコーンゴム組成物を製造することが可能となる。
さらに、このシリコーンゴム組成物を硬化して得られる硬化シリコーンゴムは反発弾性に優れたものとなる。
上記特性により、電気機器、自動車、建築、医療、食品等を初めとする様々な分野への応用が期待される。

Claims (5)

  1. (A)下記平均組成式(1):
    SiO(4−n)/2 (1)
    [式中、Rは同一または異なり、非置換または置換の一価炭化水素基であり、nは1.95〜2.04の正数である]
    で表される、一分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサン 100重量部、
    (B)下記一般式(2):
    O(SiR O) (2)
    [式中、Rは同一または異なり、非置換または置換の一価炭化水素基であり、Rは同一または異なり、アルキル基または水素原子であり、mは1〜50の正数である]
    で表されるオルガノポリシロキサンまたはオルガノシラン 0〜50重量部、
    (C)比表面積が50m/g以上の補強性シリカ 10〜100重量部、
    (D)比表面積が1m/g以上の炭酸カルシウム 0.05〜50重量部
    [但し、(D)成分と(C)成分の配合比は、重量換算で、1:2〜1:200である]、および、
    (E)硬化剤 有効量
    を含有してなるシリコーンゴム組成物。
  2. 前記(C)成分の補強性シリカが、沈降シリカである請求項1に記載のシリコーンゴム組成物。
  3. 前記(D)成分の炭酸カルシウムが、表面処理された炭酸カルシウムである請求項1または2に記載のシリコーンゴム組成物。
  4. 前記(E)成分の硬化剤が、有機過酸化物である請求項1〜3のいずれか一項に記載のシリコーンゴム組成物。
  5. 請求項1に記載の(A)、(C)および(D)成分を混合下で加熱した後、請求項1に記載の(E)成分を配合する請求項1〜4のいずれか一項に記載のシリコーンゴム組成物の製造方法。
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