JP2005029631A - 油性ボールペン用インキ組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】筆記性が良好でボテ、泣き、筆記後の滲み等が無く、公文書としても使用でき、環境にやさしい油性ボールペンインキを提供することを目的とする。
【手段】基油となる溶剤として植物油或いは植物油誘導体、着色剤として顔料及び溶剤に可溶な樹脂、曳糸性付与剤として分子量10万以上のアクリル共重合体を用いた油性ボールペンインキ組成物である。更に好ましくは、植物油及び植物油誘導体が15wt%以上含有される油性ボールペンインキ組成物である。
【手段】基油となる溶剤として植物油或いは植物油誘導体、着色剤として顔料及び溶剤に可溶な樹脂、曳糸性付与剤として分子量10万以上のアクリル共重合体を用いた油性ボールペンインキ組成物である。更に好ましくは、植物油及び植物油誘導体が15wt%以上含有される油性ボールペンインキ組成物である。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は油性ボールペン用インキ組成物に関し、従来使用されている油性ボールペンインキより、安全な溶剤を用い更に筆記性が良好でボテ、泣き、滲み等が無い油性ボールペンインキに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
油性ボールペンには先端にボールを保持するステンレス製又は、銅合金製チップを一端に圧入してなるインキ収納管に、基材となる溶剤、筆跡を残すための着色剤、滲みや粘度を調製するための樹脂、ペン先の余剰インキが紙面をよごしてしまう、いわゆるボテ泣きを防止するために、インキに弾性要素を与える曳糸性付与剤等、以上からなる油性インキを収納してなるボールペンレフィール軸筒を内蔵する簡易な構造のものが用いられている。またインキの粘度が水性ボールペンの粘度と比較して、非常に高く、滑らかであり、複写伝票などの高筆圧筆記においても優れた耐久性を持つ。
このため油性ボールペンは安価で便利である。
しかし、油性ボールペンの欠点として以下の欠点が挙げられる。
一般的に、油性ボールペンインキに用いられている着色剤としては発色の良い染料と、耐光堅牢性の良い染料を併用している。しかし、発色の良い染料は耐光堅牢性が弱くそれだけでは公文書に用いることはできない。また、耐光堅牢性の良い染料は発色性が弱く、それだけでは油性ボールペンインキの着色剤としては用いることはできない。また、染料の骨格内に重金属であるクロムを含んでいるためにクロムが排出され環境問題が生じてしまう恐れもある。よって、いまだ満足できる性能が得られていない。
【0003】
そこで、この欠点を解消すべく着色剤として顔料を用いたものが出願されている。例えば、特許文献1及び特許文献2では主溶剤としてアルコール類或いはグリコール類及びグリコールモノエーテル類のものが用いられている。具体的には、2−フェノキシエタノールやベンジルアルコールなどの従来の油性ボールペンインキに使用されている溶媒やジエチレングリコールやグリセリンなどの水溶性有機溶剤である。しかしながら、これらの溶媒を主溶媒に用いた場合には経時的に安定ではなく、ボールペンにした場合、チップ先端部分にインキが固まり書けなくなってしまう場合も考えられる。
また、これらの主溶媒をインキに用いると経時的に吸水することによりインキの物性が大きく変化し粘度低下によるインキの垂れ下がりや、チップの腐蝕などの問題が生じた。
よって、顔料を使用し、優れた油性ボールペンインキ組成物は得られていない。
【0004】
【特許文献1】
特開平2000−212496公報
【特許文献2】
特開平2001−123102公報
【0005】
一方、近年印刷インキ業界においては、揮発性有機成分(VOC)の観点から植物油、特に大豆油を用いたインキが環境対応インキとして使用されてきている。一般的な大豆油インキは、アメリカ大豆油協会の承認を得てSOYシールを貼ることができるインキとして知られている。
従来技術として特許文献3や特許文献4などが上げられる。
しかし、この環境対応インキはオフセット印刷や枚葉印刷等の印刷に適したインキであり、このまま或いは希釈しただけではボールペンインキとしては使用できないのが現状である。
【0006】
【特許文献3】
特開2000−290576号公報
【特許文献4】
特開2001−279147号公報
【0007】
また、植物油等を用いたボールペンインキは古くから知られている(特許文献5)。しかし、これらは溶剤として乾燥し難い植物油、着色剤として染料を用いているために筆記後に筆跡がにじむという問題が生じていた。
【0008】
【特許文献5】
特開昭49−62229号公報
【0009】
また、従来技術として特許文献6がある。しかし、これらには曳糸性を与える曳糸性付与剤が付与されておらず、ボテ泣きが発生してしまう問題が生じていた。
【0010】
【特許文献6】
特開昭50−90424号公報
【0011】
これらの観点から曳糸性付与剤は重要である。油性ボールペンに付与される曳糸性付与剤としては、従来技術として特許文献7,特許文献8にあるように、曳糸性付与剤として平均分子量が大きいポリビニルピロリドンを用いている。しかしながら、本目的である溶剤として植物油あるいは植物油誘導体を用いた場合、ポリビニルピロリドンは溶解せず使用することが出来ない。
【0012】
【特許文献7】
特開平8−157765号公報
【特許文献8】
特開2001−139866号公報
【0013】
また、従来技術の曳糸性付与剤としてアクリル共重合体を用いた例として特許文献9,特許文献10があげられる。これらは、色材に染料を用いていたり、カルボキシル基をアミンで中和しなければならず、本発明とは異なる。
【0014】
【特許文献9】
特開昭53−59537号公報
【特許文献10】
特開平11−335614号公報
【0015】
従来技術として特許文献11があげられる。これは、基材として通常のボールペンインキに使用されているグリコールエーテルやアルコール類が35〜80重量%が好ましいとされ、植物油は添加剤として0.1〜7重量%程度の配合とされ、本発明とは異なる。
よって、満足とする植物油を基油として用いた油性ボールペンインキ組成物は得られていない。
【0016】
【特許文献11】
特開2001−214112号公報
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、環境にやさしい植物油または植物油誘導体を基油として用い、かつボテ泣き、滲み等がない良好な筆記線が得られる油性ボールペンインキ組成物を提供することである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨は、基油となる溶剤として植物油或いは植物油誘導体、着色剤として顔料及び溶剤に可溶な樹脂、曳糸性付与剤からなる油性ボールペンインキ組成物において、曳糸性付与剤として分子量10万以上のアクリル共重合体を用いた油性ボールペンインキ組成物である。
そして、本発明で使用する植物油及び植物油誘導体は大豆油及び大豆油誘導体で有ることが好ましく、植物油及び植物油誘導体が15wt%以上含有される油性ボールペンインキ組成物であることが好ましい。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明について詳細に述べる。
本発明における油性ボールペンインキ組成物に使用される溶剤は植物油または、植物油誘導体である。具体的には、植物油として、ククイナッツ油、サフラー油、大豆油、月見草油、ひまわり油、ブドウ種子油、ローズヒップ油などの乾性油や、アルモンド油、ごま油、トウモロコシ油、ナタネ油、綿実油などの半乾性油や、アボガド油、オリブ油、サザンカ油、ひまし油、ツバキ油、ラッカセイ油などの不乾性油などが挙げられる。これらの溶剤は単独で用いても2種以上組合わせて用いても良い。また、植物油誘導体として、オレイン酸、リノール酸、ウンデシレン酸等の不飽和脂肪酸や、ラウリルアルコール、ベヘニルアルコール等のアルコール類や、オレイン酸エチルや、リノール酸エチルなどのエステル類が挙げられる。これらの溶剤は単独で用いても2種以上組合わせて用いても良い。また、植物油と植物油誘導体を2種以上組み合わせて用いても良い。
【0020】
本発明における油性ボールペンインキ組成物に使用される顔料は広範囲のものを用いることができる。好適な顔料の例としては、フタロシアニンブルー、ベンジンイエロー、カーボンブラック等一般の着色剤用顔料を用いることができる。また、他に顔料を植物油又は植物油誘導体に分散した分散顔料ベースを用いる事も出来る。
本発明における油性ボールペンインキ組成物に使用される樹脂は溶剤に溶解及び相溶なものであれば広範囲のものを用いることができる。これらは、インキの滲み防止、粘度調製の為に重要である。具体的には、スーパーエステルA−100(荒川化学工業(株)社製)、ハリエスターDS−90(ハリマ化成(株)社製)、ハリエスターNL(ハリマ化成(株)社製)、ハリエスターP(ハリマ化成(株)社製)などの変性ロジンエステル樹脂、AGRIMER ALIOLC、ANTARON V−216、ANTARON V220(共にアイエスピー・ジャパン(株)社製)などのアルキル化ピロリドン、LIR410、UC−1(共に(株)クラレ)などの分子量1万以下程度の液状ゴム、その他オリゴマーエステルや吹き込みひまし油等の重合植物油などが挙げられる。
【0021】
本発明における油性ボールペンインキ組成物に使用されるアクリル共重合体は一種類また複数のモノマーを任意の重合方法で重合したポリマーである。
モノマーの種類としては以下のものがあげられる。
エチルアクリレート、メチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレート、ミリスチルアクリレート、セチルアクリレート、ステアリルアクリレート、2−ヒドロキシアクリレートのようなアクリル酸エステル類、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、iso−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ミリスチルメタクリレート、セチルメタクリレート、ステアリルメタクリレートのようなメタクリル酸エステル類があげられる。
また、これらに加えて更にスチレンやアクリルニトリルなどのアクリル酸エステルモノマーやメタクリル酸エステルモノマー以外のモノマーも任意に配合できる。これらの分子量は10万以上が好ましく、10万以下では充分な曳糸性が発揮されない。
【0022】
本発明で使用するインキ組成物の製造方法は以下の通りである。着色材顔料とする場合または顔料と染料の併用とする場合は、インキ成分を公知の分散機、たとえばロールミル、ボールミル、ビーズミル、サンドミル、などで分散処理を行なう。このようにしてインキ中間体を得ることが出来る。顔料を分散した分散顔料ベースを用いる場合この工程は必要ない。この後に添加剤、樹脂の順に添加しインキ成分を撹拌混合して溶解させることでインキを得ることが出来る。必要に応じて混合時に加熱をしたり、混合物を得た後、ろ過や遠心処理することにより粗大粒子を除去し、最終的にインキを得ることが出来る。
【0023】
【実施例】
次に実施例をもって本発明を具体的に説明する。
以下の各実施例及び比較例で述べる組成よりなる油性ボールペン用インキ組成物を作成する。
【0024】
実施例1
FUJI ASL Black7614 75重量部
(カーボンブラック40wt%大豆油分散液 富士色素(株)社製)
ANTARON V−216 17重量部
(アルキルピロリドン アイエスピー・ジャパン(株)社製)
共重合体A 2重量部
(”iso−BMA/SMA コポリマー” 分子量43万)
ノクラック6C 1重量部
(酸化防止剤 大内新興化学工業(株)社製)
大豆油 5重量部
【0025】
実施例2
FUJI ASL Black 7614 75重量部
スーパーエステルA−100 6.5重量部
(変性ロジンエステル 荒川工業(株)社製)
共重合体B 3重量部
(”t−BMA/SMA コポリマー” 分子量10.0万)
ノクラック200 1重量部
(酸化防止剤 大内新興化学工業(株)社製)
大豆油 14.5重量部
【0026】
実施例3
FUJI ASL Black 8001 72重量部
(カーボンブラック35wt%大豆油分散液 富士色素(株)社製)
ハリエスターDS−90 11.8重量部
(変性ロジン樹脂 ハリマ化成(株)社製)
共重合体C 1重量部
(”t−BMA/SMA/2−HEMA コポリマー” 分子量12万)
ノクラック224 1重量部
(酸化防止剤 大内新興化学工業(株)社製)
大豆油 14.2重量部
【0027】
実施例4
FUJI ASL Black 7614 68重量部
antaron v−216 23重量部
uc−1 2.7重量部
(液状ポリイソプレンゴム 分子量2万5000 (株)クラレ社製)
共重合体D 0.9重量部
(”t−BMA/SMA/ラクトン変性HEA コポリマー” 分子量20万)
ノクラック224 1重量部
大豆油 1重量部
【0028】
比較例1
FUJI ASL Black 7614 75重量部
ANTARON V−216 24重量部
ノクラック6C 1重量部
【0029】
比較例2
FUJI ASL Black 7614 75重量部
スーパーエステルA−100 24重量部
ノクラック200 1重量部
【0030】
比較例3
FUJI ASL Black 7614 75重量部
ANTARON V−216 19重量部
共重合体E 1重量部
(”t−BMA/SMA/2−HEMA コポリマー” 分子量7.5万)
UC−1 3重量部
ノクラック224 1重量部
大豆油 2重量部
【0031】
比較例4
OIL Black HBB 20重量部
(油溶性染料 オリエント化学工業(株)社製)
スーパーエステルA−100 30重量部
ノクラック224 1重量部
大豆油 51重量部
【0032】
実施例1〜4及び比較例1〜4で得られた油性ボールペンインキ組成物をそれぞれボールペンレフィールに搭載し、得られたボールペンのボテ泣き、滲み、経時安定性を以下の方法により調べ、その結果を表に示した。
ボテ泣き性
S012757 5.1,5.2の条件にて画線を0〜200mまで実施し、余剰インキが紙面に貯まっておちるボテやチップ先端に余剰インキが付着して汚れる泣きの状態をそれぞれ5本づつ観察し評価した。
滲み性
ボテ泣き性試験にて画線した試験片を室温にて1週間放置し、筆記線の滲み程度を評価した。
【0033】
【表1】
【0034】
共重合体A ⇒ ”iso−BMA/SMA コポリマー” 分子量43万
共重合体B ⇒ ”t−BMA/SMA コポリマー” 分子量10.0万
共重合体C ⇒ ”t−BMA/SMA/2−HEMA コポリマー” 分子量12万
共重合体D ⇒ ”t−BMA/SMA/ラクトン変性HEA コポリマー” 分子量20万
共重合体E ⇒ ”t−BMA/SMA/2−HEMA コポリマー” 分子量7.5万
【0035】
【表2】
【0036】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明は上記の組成を有することによって筆記性が良好でボテ、泣き、滲み等が無く環境にやさしい油性ボールペンインキを提供することが出来た。
【発明の属する技術分野】
本発明は油性ボールペン用インキ組成物に関し、従来使用されている油性ボールペンインキより、安全な溶剤を用い更に筆記性が良好でボテ、泣き、滲み等が無い油性ボールペンインキに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
油性ボールペンには先端にボールを保持するステンレス製又は、銅合金製チップを一端に圧入してなるインキ収納管に、基材となる溶剤、筆跡を残すための着色剤、滲みや粘度を調製するための樹脂、ペン先の余剰インキが紙面をよごしてしまう、いわゆるボテ泣きを防止するために、インキに弾性要素を与える曳糸性付与剤等、以上からなる油性インキを収納してなるボールペンレフィール軸筒を内蔵する簡易な構造のものが用いられている。またインキの粘度が水性ボールペンの粘度と比較して、非常に高く、滑らかであり、複写伝票などの高筆圧筆記においても優れた耐久性を持つ。
このため油性ボールペンは安価で便利である。
しかし、油性ボールペンの欠点として以下の欠点が挙げられる。
一般的に、油性ボールペンインキに用いられている着色剤としては発色の良い染料と、耐光堅牢性の良い染料を併用している。しかし、発色の良い染料は耐光堅牢性が弱くそれだけでは公文書に用いることはできない。また、耐光堅牢性の良い染料は発色性が弱く、それだけでは油性ボールペンインキの着色剤としては用いることはできない。また、染料の骨格内に重金属であるクロムを含んでいるためにクロムが排出され環境問題が生じてしまう恐れもある。よって、いまだ満足できる性能が得られていない。
【0003】
そこで、この欠点を解消すべく着色剤として顔料を用いたものが出願されている。例えば、特許文献1及び特許文献2では主溶剤としてアルコール類或いはグリコール類及びグリコールモノエーテル類のものが用いられている。具体的には、2−フェノキシエタノールやベンジルアルコールなどの従来の油性ボールペンインキに使用されている溶媒やジエチレングリコールやグリセリンなどの水溶性有機溶剤である。しかしながら、これらの溶媒を主溶媒に用いた場合には経時的に安定ではなく、ボールペンにした場合、チップ先端部分にインキが固まり書けなくなってしまう場合も考えられる。
また、これらの主溶媒をインキに用いると経時的に吸水することによりインキの物性が大きく変化し粘度低下によるインキの垂れ下がりや、チップの腐蝕などの問題が生じた。
よって、顔料を使用し、優れた油性ボールペンインキ組成物は得られていない。
【0004】
【特許文献1】
特開平2000−212496公報
【特許文献2】
特開平2001−123102公報
【0005】
一方、近年印刷インキ業界においては、揮発性有機成分(VOC)の観点から植物油、特に大豆油を用いたインキが環境対応インキとして使用されてきている。一般的な大豆油インキは、アメリカ大豆油協会の承認を得てSOYシールを貼ることができるインキとして知られている。
従来技術として特許文献3や特許文献4などが上げられる。
しかし、この環境対応インキはオフセット印刷や枚葉印刷等の印刷に適したインキであり、このまま或いは希釈しただけではボールペンインキとしては使用できないのが現状である。
【0006】
【特許文献3】
特開2000−290576号公報
【特許文献4】
特開2001−279147号公報
【0007】
また、植物油等を用いたボールペンインキは古くから知られている(特許文献5)。しかし、これらは溶剤として乾燥し難い植物油、着色剤として染料を用いているために筆記後に筆跡がにじむという問題が生じていた。
【0008】
【特許文献5】
特開昭49−62229号公報
【0009】
また、従来技術として特許文献6がある。しかし、これらには曳糸性を与える曳糸性付与剤が付与されておらず、ボテ泣きが発生してしまう問題が生じていた。
【0010】
【特許文献6】
特開昭50−90424号公報
【0011】
これらの観点から曳糸性付与剤は重要である。油性ボールペンに付与される曳糸性付与剤としては、従来技術として特許文献7,特許文献8にあるように、曳糸性付与剤として平均分子量が大きいポリビニルピロリドンを用いている。しかしながら、本目的である溶剤として植物油あるいは植物油誘導体を用いた場合、ポリビニルピロリドンは溶解せず使用することが出来ない。
【0012】
【特許文献7】
特開平8−157765号公報
【特許文献8】
特開2001−139866号公報
【0013】
また、従来技術の曳糸性付与剤としてアクリル共重合体を用いた例として特許文献9,特許文献10があげられる。これらは、色材に染料を用いていたり、カルボキシル基をアミンで中和しなければならず、本発明とは異なる。
【0014】
【特許文献9】
特開昭53−59537号公報
【特許文献10】
特開平11−335614号公報
【0015】
従来技術として特許文献11があげられる。これは、基材として通常のボールペンインキに使用されているグリコールエーテルやアルコール類が35〜80重量%が好ましいとされ、植物油は添加剤として0.1〜7重量%程度の配合とされ、本発明とは異なる。
よって、満足とする植物油を基油として用いた油性ボールペンインキ組成物は得られていない。
【0016】
【特許文献11】
特開2001−214112号公報
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、環境にやさしい植物油または植物油誘導体を基油として用い、かつボテ泣き、滲み等がない良好な筆記線が得られる油性ボールペンインキ組成物を提供することである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨は、基油となる溶剤として植物油或いは植物油誘導体、着色剤として顔料及び溶剤に可溶な樹脂、曳糸性付与剤からなる油性ボールペンインキ組成物において、曳糸性付与剤として分子量10万以上のアクリル共重合体を用いた油性ボールペンインキ組成物である。
そして、本発明で使用する植物油及び植物油誘導体は大豆油及び大豆油誘導体で有ることが好ましく、植物油及び植物油誘導体が15wt%以上含有される油性ボールペンインキ組成物であることが好ましい。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明について詳細に述べる。
本発明における油性ボールペンインキ組成物に使用される溶剤は植物油または、植物油誘導体である。具体的には、植物油として、ククイナッツ油、サフラー油、大豆油、月見草油、ひまわり油、ブドウ種子油、ローズヒップ油などの乾性油や、アルモンド油、ごま油、トウモロコシ油、ナタネ油、綿実油などの半乾性油や、アボガド油、オリブ油、サザンカ油、ひまし油、ツバキ油、ラッカセイ油などの不乾性油などが挙げられる。これらの溶剤は単独で用いても2種以上組合わせて用いても良い。また、植物油誘導体として、オレイン酸、リノール酸、ウンデシレン酸等の不飽和脂肪酸や、ラウリルアルコール、ベヘニルアルコール等のアルコール類や、オレイン酸エチルや、リノール酸エチルなどのエステル類が挙げられる。これらの溶剤は単独で用いても2種以上組合わせて用いても良い。また、植物油と植物油誘導体を2種以上組み合わせて用いても良い。
【0020】
本発明における油性ボールペンインキ組成物に使用される顔料は広範囲のものを用いることができる。好適な顔料の例としては、フタロシアニンブルー、ベンジンイエロー、カーボンブラック等一般の着色剤用顔料を用いることができる。また、他に顔料を植物油又は植物油誘導体に分散した分散顔料ベースを用いる事も出来る。
本発明における油性ボールペンインキ組成物に使用される樹脂は溶剤に溶解及び相溶なものであれば広範囲のものを用いることができる。これらは、インキの滲み防止、粘度調製の為に重要である。具体的には、スーパーエステルA−100(荒川化学工業(株)社製)、ハリエスターDS−90(ハリマ化成(株)社製)、ハリエスターNL(ハリマ化成(株)社製)、ハリエスターP(ハリマ化成(株)社製)などの変性ロジンエステル樹脂、AGRIMER ALIOLC、ANTARON V−216、ANTARON V220(共にアイエスピー・ジャパン(株)社製)などのアルキル化ピロリドン、LIR410、UC−1(共に(株)クラレ)などの分子量1万以下程度の液状ゴム、その他オリゴマーエステルや吹き込みひまし油等の重合植物油などが挙げられる。
【0021】
本発明における油性ボールペンインキ組成物に使用されるアクリル共重合体は一種類また複数のモノマーを任意の重合方法で重合したポリマーである。
モノマーの種類としては以下のものがあげられる。
エチルアクリレート、メチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレート、ミリスチルアクリレート、セチルアクリレート、ステアリルアクリレート、2−ヒドロキシアクリレートのようなアクリル酸エステル類、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、iso−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ミリスチルメタクリレート、セチルメタクリレート、ステアリルメタクリレートのようなメタクリル酸エステル類があげられる。
また、これらに加えて更にスチレンやアクリルニトリルなどのアクリル酸エステルモノマーやメタクリル酸エステルモノマー以外のモノマーも任意に配合できる。これらの分子量は10万以上が好ましく、10万以下では充分な曳糸性が発揮されない。
【0022】
本発明で使用するインキ組成物の製造方法は以下の通りである。着色材顔料とする場合または顔料と染料の併用とする場合は、インキ成分を公知の分散機、たとえばロールミル、ボールミル、ビーズミル、サンドミル、などで分散処理を行なう。このようにしてインキ中間体を得ることが出来る。顔料を分散した分散顔料ベースを用いる場合この工程は必要ない。この後に添加剤、樹脂の順に添加しインキ成分を撹拌混合して溶解させることでインキを得ることが出来る。必要に応じて混合時に加熱をしたり、混合物を得た後、ろ過や遠心処理することにより粗大粒子を除去し、最終的にインキを得ることが出来る。
【0023】
【実施例】
次に実施例をもって本発明を具体的に説明する。
以下の各実施例及び比較例で述べる組成よりなる油性ボールペン用インキ組成物を作成する。
【0024】
実施例1
FUJI ASL Black7614 75重量部
(カーボンブラック40wt%大豆油分散液 富士色素(株)社製)
ANTARON V−216 17重量部
(アルキルピロリドン アイエスピー・ジャパン(株)社製)
共重合体A 2重量部
(”iso−BMA/SMA コポリマー” 分子量43万)
ノクラック6C 1重量部
(酸化防止剤 大内新興化学工業(株)社製)
大豆油 5重量部
【0025】
実施例2
FUJI ASL Black 7614 75重量部
スーパーエステルA−100 6.5重量部
(変性ロジンエステル 荒川工業(株)社製)
共重合体B 3重量部
(”t−BMA/SMA コポリマー” 分子量10.0万)
ノクラック200 1重量部
(酸化防止剤 大内新興化学工業(株)社製)
大豆油 14.5重量部
【0026】
実施例3
FUJI ASL Black 8001 72重量部
(カーボンブラック35wt%大豆油分散液 富士色素(株)社製)
ハリエスターDS−90 11.8重量部
(変性ロジン樹脂 ハリマ化成(株)社製)
共重合体C 1重量部
(”t−BMA/SMA/2−HEMA コポリマー” 分子量12万)
ノクラック224 1重量部
(酸化防止剤 大内新興化学工業(株)社製)
大豆油 14.2重量部
【0027】
実施例4
FUJI ASL Black 7614 68重量部
antaron v−216 23重量部
uc−1 2.7重量部
(液状ポリイソプレンゴム 分子量2万5000 (株)クラレ社製)
共重合体D 0.9重量部
(”t−BMA/SMA/ラクトン変性HEA コポリマー” 分子量20万)
ノクラック224 1重量部
大豆油 1重量部
【0028】
比較例1
FUJI ASL Black 7614 75重量部
ANTARON V−216 24重量部
ノクラック6C 1重量部
【0029】
比較例2
FUJI ASL Black 7614 75重量部
スーパーエステルA−100 24重量部
ノクラック200 1重量部
【0030】
比較例3
FUJI ASL Black 7614 75重量部
ANTARON V−216 19重量部
共重合体E 1重量部
(”t−BMA/SMA/2−HEMA コポリマー” 分子量7.5万)
UC−1 3重量部
ノクラック224 1重量部
大豆油 2重量部
【0031】
比較例4
OIL Black HBB 20重量部
(油溶性染料 オリエント化学工業(株)社製)
スーパーエステルA−100 30重量部
ノクラック224 1重量部
大豆油 51重量部
【0032】
実施例1〜4及び比較例1〜4で得られた油性ボールペンインキ組成物をそれぞれボールペンレフィールに搭載し、得られたボールペンのボテ泣き、滲み、経時安定性を以下の方法により調べ、その結果を表に示した。
ボテ泣き性
S012757 5.1,5.2の条件にて画線を0〜200mまで実施し、余剰インキが紙面に貯まっておちるボテやチップ先端に余剰インキが付着して汚れる泣きの状態をそれぞれ5本づつ観察し評価した。
滲み性
ボテ泣き性試験にて画線した試験片を室温にて1週間放置し、筆記線の滲み程度を評価した。
【0033】
【表1】
【0034】
共重合体A ⇒ ”iso−BMA/SMA コポリマー” 分子量43万
共重合体B ⇒ ”t−BMA/SMA コポリマー” 分子量10.0万
共重合体C ⇒ ”t−BMA/SMA/2−HEMA コポリマー” 分子量12万
共重合体D ⇒ ”t−BMA/SMA/ラクトン変性HEA コポリマー” 分子量20万
共重合体E ⇒ ”t−BMA/SMA/2−HEMA コポリマー” 分子量7.5万
【0035】
【表2】
【0036】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明は上記の組成を有することによって筆記性が良好でボテ、泣き、滲み等が無く環境にやさしい油性ボールペンインキを提供することが出来た。
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---|---|---|---|
JP2003194175A JP2005029631A (ja) | 2003-07-09 | 2003-07-09 | 油性ボールペン用インキ組成物 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009270061A (ja) * | 2008-05-09 | 2009-11-19 | Riso Kagaku Corp | 非水系顔料インクおよび非水系顔料インクセット |
JP2010248462A (ja) * | 2009-03-25 | 2010-11-04 | Riso Kagaku Corp | 非水系顔料インク |
JP2011042699A (ja) * | 2009-08-19 | 2011-03-03 | Riso Kagaku Corp | 非水系顔料インク |
-
2003
- 2003-07-09 JP JP2003194175A patent/JP2005029631A/ja active Pending
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JP2009270061A (ja) * | 2008-05-09 | 2009-11-19 | Riso Kagaku Corp | 非水系顔料インクおよび非水系顔料インクセット |
JP2010248462A (ja) * | 2009-03-25 | 2010-11-04 | Riso Kagaku Corp | 非水系顔料インク |
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