JP2005029626A - インクジェット記録用水系インク - Google Patents

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Abstract

【課題】高印字濃度並びに専用紙に印字したときに光沢性を付与しうるインクジェット記録用水系インクの提供。
【解決手段】マゼンタ顔料を含む水不溶性ビニルポリマー粒子の水分散体を含有しており、次式(1):顔料の重量吸光度/前記水分散体の平均粒径 (1)、から求められる数値が100以上のものであるインクジェット記録用水系インク。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録用水系インクに関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方式は、非常に微細なノズルからインク液滴を記録部材に直接吐出し、付着させて文字や画像を得る記録方式である。この方式は、その装置が低騒音で操作性がよいという利点を有するのみならず、カラー化が容易であり、また記録部材として普通紙を使用することができるという利点がある。
【0003】
水溶性染料を使用した場合、耐水性、耐光性が不足するために、顔料を水難溶性ポリマーでカプセル化したポリマー粒子を含有する分散体(例えば、特許文献1参照)や、油溶性染料を水難溶性ポリマーでカプセル化し、ポリマー粒子を水中に分散させたインク(例えば、特許文献2及び特許文献3参照)が提案されている。
【0004】
専用紙で光沢性を得るために、着色剤の量を減らしたり、着色剤の粒径を小さくしたり、分散に用いるポリマーの量を増やしたりした上で、より親水的なポリマーを使用することが行なわれている。しかしながら、これらの手法によると、普通紙に印字した場合はインクが紙面中に浸透するために印字濃度が低下する。更にインクの粘度も上昇するので、例えば、インクジェット記録用水性インクに用いる場合には、吐出不良を起こすおそれがあることから、インク中への染料又は顔料含有ポリマー粒子の配合量が制限される。
【0005】
一方、普通紙に対するカラー画像品位の向上も検討されている。例えば、着色剤を含有するインクとポリアリルアミンを含有する2液を印字する方法が知られている(例えば、特許文献4及び特許文献5参照)。
【0006】
また、ブラックインクがアニオン染料を含み、イエローインクにカチオン染料と多価沈殿剤を含むインクを使用するインクセット(例えば、特許文献6参照)、ブラックインクにはアニオン顔料を含み、カラーインクにはカチオンを供給する成分を使用するインクセット(例えば、特許文献7参照)、第一のインクに含有される水性媒質と第二のインクに含有される水性媒質との間で接触が起こると水相分離を誘発するインクセット(例えば、特許文献8参照)、pHが低下することによりゲル化するインクを2色以上含むインクセット(例えば、特許文献9参照)等といった方法でカラー画像品位を向上させる提案がなされている。
【0007】
しかし、これらは普通紙での印字濃度を高めることを主な目的としたものであり、専用紙での光沢性が不足する問題が生じる。このように、普通紙での印字濃度を高め、かつ専用紙での光沢性を得ることができるインクの開発は十分には達成されていないのが現状である。
【0008】
【特許文献1】
特開2000−191967号公報
【特許文献2】
特開平09−241565号公報、
【特許文献3】
特開平09−157565号公報
【特許文献4】
特開平07−266689号公報
【特許文献5】
特開平08−267903号公報
【特許文献6】
特開平06−57192号公報
【特許文献7】
特開平11−123741号公報
【特許文献8】
特開平10−36724号公報
【特許文献9】
特開2002−363459号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、普通紙での高印字濃度及び専用紙に印字したときの光沢性を付与することができ、更に耐光性、耐水性、耐擦過性及び保存安定性に優れたインクジェット記録用水系インクを提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
専用紙に印字したときの光沢性を向上させるためには、マゼンタ顔料の平均粒径を小さくし、微粒化すればよいが、顔料の平均粒径が小さくなるに従い、結晶化度は低減するため、重量吸光度が低下し、印字濃度に影響を与える。また、顔料を含む水不溶性ビニルポリマー粒子の水分散体の平均粒子径を小さくすれば、光沢性を向上させることができる。
【0011】
一方、普通紙の印字濃度を増加させるには、顔料の重量吸光度を増加させればよく、重量吸光度を増加させる方法として、マゼンタ顔料の純度を高めるか、マゼンタ顔料の結晶化度を低減させないで微粒化することが考えられる。これは、マゼンタ顔料の微粒化を行う際、顔料の結晶化度が下がる微粒化方法である場合、重量吸光度が低下するためである。
【0012】
そこで本発明者等は、以上の知見を元に研究を重ねた結果、普通紙の高印字濃度と専用紙に印字したときの光沢性を達成する手段を見出し、本発明を完成したものである。
【0013】
即ち本発明は、課題の解決手段として、マゼンタ顔料を含む水不溶性ビニルポリマー粒子の水分散体を含有しており、次式(1):顔料の重量吸光度/前記水分散体の平均粒径 (1)、から求められる数値が100以上のものであるインクジェット記録用水系インクを提供する。
【0014】
本発明において、重量吸光度及び平均粒径は、実施例に記載の方法により測定されるものである。
【0015】
本発明のインクジェット記録用水系インクにおいて「水系」とは、インクに含有された溶媒中、水が最大割合を占めていることを意味するものであり、水100%でも良いし、前記要件を満たすものであれば、水と1種又は2種以上の有機溶媒との混合物も含まれる。
【0016】
【発明の実施の形態】
〔マゼンタ顔料〕
マゼンタ顔料として、キナクリドン顔料、ジスアゾ顔料、フタロシアニン顔料、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、チオインジゴ顔料、アンソラキノン顔料、キノフタロン顔料等が挙げられるが、耐水性、耐光性、発色性の点からキナクリドン系顔料を使用することが好ましい。
【0017】
具体的な例としては、C.I.ピグメントレッド122、202、206、207、209;C.I.ピグメントバイオレット19、42等が挙げられるが、キナクリドン骨格を持つ顔料であればその固溶体を含めて使用することができる。
【0018】
マゼンタ顔料として、親水性基が直接又は他の原子団を介して顔料に結合している自己分散型顔料も好ましい。自己分散型顔料としては、例えば、特開2002−220557号公報、特開2002−201388号公報等に記載されているもの等が挙げられる。
【0019】
マゼンタ顔料の重量吸光度を増加させるための微粒化を行う方法としては、顔料を高速のサンドミルでミリングする方法、顔料と水溶性の無機塩と水溶性溶媒をニーダーで強く練り込むソルトミリング、顔料と樹脂を2本ロールやバンバリーミキサー等で強く練り込む方法等が挙げられるが、顔料の結晶化度を低減させない微粒化方法としては、ソルトミリング又はそれと同等の処理を行うことが好ましい。
【0020】
顔料の平均一次粒径は、30〜100nmが好ましく、40〜80nmがより好ましい。平均一次粒径は、顔料のTEM写真の二次元形状において、任意の10個の顔料の長径の平均として求めることができる。
【0021】
マゼンタ顔料は、重量吸光度を増加させるため、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、更に好ましくは97%以上の純度のものを用いる。
【0022】
マゼンタ顔料の重量吸光度は、後述する測定方法において、10,000以上が好ましく、11,000以上が更に好ましい。
【0023】
〔水不溶性ビニルポリマー〕
本発明で用いられる水不溶性ビニルポリマーは、塩生成基を中和させた後の水不溶性ビニルポリマーの25℃での水に対する溶解度が、水系インクの低粘度化の観点から10重量%以下が好ましく、5重量%以下がより好ましく、1重量%以下であることが更に好ましい。
【0024】
水不溶性ビニルポリマーとしては、(A)マクロマー、(B)ノニオン性の親水性モノマー、(C)塩生成基含有モノマー、並びに(D)(A)マクロマー、(B)ノニオン性の親水性モノマー及び(C)塩生成基含有モノマーと共重合可能な疎水性モノマーを重合させてなるものが好ましい。なお、本発明の課題を解決できる範囲内で、他のモノマーを用いることができる。
【0025】
マクロマー(A)としては、数平均分子量500 〜100,000、好ましくは1,000〜10,000 の重合可能な不飽和基を有するマクロマーが挙げられる。マクロマー(A)の数平均分子量は、溶媒として1mmol/L のドデシルメチルアミン含有クロロホルムを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより、標準物質としてポリスチレンを用いて測定される。
【0026】
マクロマー(A)としては、シリコーンマクロマー及びスチレン系マクロマーが挙げられ、これらは単独で用いてもよく、併用してもよい。
【0027】
シリコーンマクロマーの中では、一般式(V):
X(Y)Si(R3−r(Z) (V)
(式中、Xは重合可能な不飽和基、Yは2価の結合基、Rはそれぞれ独立して水素原子、低級アルキル基、アリール基又はアルコキシ基、Zは500 以上の数平均分子量を有する1価のシロキサンポリマーの残基、qは0又は1、rは1〜3の整数を示す)
で表されるシリコーンマクロマーが、インクジェットプリンターのヘッドの焦げ付きを防止する観点から好ましい。
【0028】
一般式(V)で表されるシリコーンマクロマーにおいて、Xは重合可能な不飽和基であるが、その代表例としては、CH=CH−、CH=C(CH)−等の炭素数2〜6の1価の不飽和炭化水素基が挙げられる。
【0029】
Yは、2価の結合基であるが、その代表例としては、−COO−、−COO(CH−(aは1〜5の整数を示す)、フェニレン基等の2価の結合基が挙げられる。これらの中では−COOC−が好ましい。
【0030】
は、それぞれ独立して水素原子、低級アルキル基、アリール基又はアルコキシ基であるが、その具体例としては、水素原子;メチル基、エチル基等の炭素数1〜5の低級アルキル基;フェニル基等の炭素数6〜20のアリール基;メトキシ基等の炭素数1〜20のアルコキシ基等が挙げられる。これらの中では、メチル基が好ましい。
【0031】
Zは、好ましくは500 以上の数平均分子量を有する1価のシロキサンポリマーの残基であるが、好ましいZとしては、数平均分子量500〜5000のジメチルシロキサンポリマーの1価の残基が挙げられる。
【0032】
qは0又は1であるが、好ましくは1である。rは1〜3の整数であるが、より好ましくは1である。
【0033】
シリコーンマクロマーの代表例としては、下記の一般式(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)で表されるシリコーンマクロマー等が挙げられる。
【0034】
Figure 2005029626
〔式中の各記号の意味は次のとおり;
:水素原子又はメチル基
:それぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜5の低級アルキル基
b:5〜60の数
Ph:フェニレン基
E:−[Si(R−O]−Si(R基(Rは前記と同じ。cは5〜65の数を示す)〕
これらの中では、一般式(VI)で表されるシリコーンマクロマーが好ましく、特に次の一般式(X):
Figure 2005029626
(式中、dは8〜40の数を示す)
で表されるシリコーンマクロマーが好ましい。その具体例として、FM−0711〔チッソ(株)製、商品名〕等が挙げられる。
【0035】
スチレン系マクロマーは、ビニルポリマーに顔料を十分に含有させる観点から、好適に使用しうるものである。
【0036】
スチレン系マクロマーとしては、片末端に重合性官能基を有するスチレン単独重合体又はスチレンと他のモノマーとの共重合体が挙げられる。これらの中では、片末端に重合性官能基としてアクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を有するものが好ましい。
【0037】
スチレンと他のモノマーとの共重合体におけるスチレン含量は、顔料が十分に水不溶性ビニルポリマーに含有されるようにする観点から、好ましくは60重量%以上、より好ましくは70重量%以上である。他のモノマーとしては、例えば、アクリロニトリル等が挙げられる。
【0038】
商業的に入手しうるスチレン系マクロマーとしては、東亜合成(株)製のAS−6、AS−6S,AN−6、AN−6S, HS−6、HS−6S等が挙げられる。
【0039】
ノニオン性の親水性モノマー(B)としては、下記一般式で示されるものが好ましく、オキシアルキレン単位としてオキシエチレン単位、オキシプロピレン単位、オキシテトラメチレン単位を構成単位として有するモノマーが好ましく、pは、好ましくは2〜25である。
【0040】
CH=CRCOO(AO)
〔式中、AOは、炭素数2〜4のオキシアルキレン単位(但し、p個のオキシアルキレン単位は、同一でも異なっていてもよい。)オキシアルキレン単位が異なる場合は、ブロック付加、ランダム付加、及び交互付加のいずれでもよい。Rは水素原子又はメチル基、pは1〜50の数、Rは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数1〜9のアルキル基で置換されていてもよいフェニル基を示す。〕
ノニオン性の親水性モノマーとしては、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エチレングリコール・プロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール・プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オクトキシポリ(エチレングリコール・プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ステアロキシポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ステアロキシポリ(エチレングリコール・プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリ(エチレングリコール・プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、プロピレングリコール・テトラメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール・テトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、プロピレングリコール・ポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール・ブチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0041】
商業的に入手しうるノニオン性の親水性モノマー(B)の具体例としては、新中村化学(株)製のNKエステル M−20G, 40G, 90G, 230G, 日本油脂(株)のブレンマーPEシリーズ、 PME−100, 200, 400, 1000,PP−1000, PP−500, PP−800, AP−150, AP−400, AP−550, AP−800, 50PEP−300, 70PEP−350B, AEP シリーズ,30PPT−800, 50PPT−800, 70PPT−800, APTシリーズ,10PPB−500B, 10APB−500B, 50POEP−800B, 50AOEP−800B, ASEPシリーズ,PNEPシリーズ, PNPEシリーズ, 43ANEP−500, 70ANEP−550等が挙げられる。
【0042】
塩生成基含有モノマー(C)としては、アニオン性モノマー及びカチオン性モノマーが挙げられる。
【0043】
アニオン性モノマーとしては、不飽和カルボン酸モノマー、不飽和スルホン酸モノマー、不飽和リン酸モノマー等が挙げられる。
【0044】
不飽和カルボン酸モノマーとしては、(メタ)アクリル酸〔(メタ)アクリル酸は、アクリル酸、メタクリル酸又はそれらの混合物を意味する〕、スチレンカルボン酸、マレイン酸系モノマー〔無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、マレイン酸モノアミド、又はそれらのうちの2種類以上の混合物〕、イタコン酸等が挙げられる。
【0045】
不飽和スルホン酸モノマーとしては、2−(メタ)アクリロイルオキシエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2− アルキル(炭素数1〜4)プロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸等が挙げられる。これらの中では、不飽和カルボン酸モノマーが好ましく、中でもアクリル酸及びメタクリル酸が好ましい。
【0046】
不飽和リン酸モノマーとしては、ビニルホスホン酸、ビニルホスフェート、ビス(メタクリロキシエチル)ホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、ジブチル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート、ジブチル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート等が挙げられる。これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0047】
カチオン性モノマーとしては、不飽和3級アミン含有モノマー、不飽和アンモニウム塩含有モノマー等が挙げられる。
【0048】
カチオン性モノマーとしては、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−(N’,N’−ジメチルアミノプロピル)(メタ)アクリルアミド、ビニルピロリドン、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムメチルサルフェート、メタクリロイルオキシエチルジメチルエチルアンモニウムエチルサルフェート等が挙げられる。これらの中では、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0049】
疎水性モノマー(D)としては、アルキル(メタ)アクリレート、芳香環含有モノマー等が挙げられる。これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。疎水性モノマー(D)には、耐水性及び耐擦過性の観点から、芳香環含有モノマーより選ばれた1種以上が含有されていることが好ましい。
【0050】
アルキル(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、(イソ)プロピル(メタ)アクリレート、(イソ又はターシャリー)ブチル(メタ)アクリレート、(イソ)アミル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、(イソ)オクチル(メタ)アクリレート、(イソ)デシル(メタ)アクリレート、(イソ)ドデシル(メタ)アクリレート、(イソ)ステアリル(メタ)アクリレート等のエステル部分が炭素数1〜18のアルキル基である(メタ)アクリル酸エステル類が挙げられる。これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0051】
なお、前記(イソ又はターシャリー)及び(イソ)は、これらの基が存在している場合とそうでない場合の双方を意味し、これらの基が存在していない場合には、ノルマルを示す。
【0052】
芳香環含有モノマーは、耐水性の観点から、スチレン、ビニルナフタレン、α―メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、4−ビニルビフェニル、1,1−ジフェニルエチレン、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−メタクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、2−アクリロイロキシエチルフタル酸及びネオペンチルグリコールアクリル酸安息香酸エステルからなる群より選ばれた1種以上が好ましい。これらの中ではスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン及びビニルナフタレンからなる群より選ばれた1種以上が、耐水性及び耐擦過性の観点からより好ましい。
【0053】
水不溶性ビニルポリマーにおけるマクロマー(A)の含量(原料基準)は、バブルジェット(登録商標)のインクジェットプリンターにおいて、ヒーター面の焦げ付きを抑制する観点及び分散安定性の観点から、好ましくは0〜30重量%、より好ましくは1〜25重量%、更に好ましくは5〜20重量%である。
【0054】
水不溶性ビニルポリマーにおけるノニオン性の親水性モノマー(B)の含量(原料基準)は、吐出安定性及び印字濃度の観点から、好ましくは0〜40重量%、より好ましくは5〜35重量%、更に好ましくは10〜30重量%である。
水不溶性ビニルポリマーにおける塩生成基含有モノマー(C)の含量(原料基準)は、得られる分散体の分散安定性の観点から、好ましくは1〜50重量%、より好ましくは2〜45重量%、更に好ましくは3〜40重量%である。
水不溶性ビニルポリマーにおける疎水性モノマー(D)の含量(原料基準)は、印字濃度及び分散安定性の観点から、好ましくは5〜93重量%、より好ましくは10〜80重量%、更に好ましくは15〜75重量%である。
【0055】
水不溶性ビニルポリマーがアニオン性ポリマーであるためには、塩生成基含有モノマー(C)として、アニオン性モノマーが用いられていることが好ましい。
【0056】
水不溶性ビニルポリマーがカチオン性ポリマーであるためには、塩生成基含有モノマー(C)として、カチオン性モノマーが用いられていることが好ましい。
【0057】
水不溶性ビニルポリマーの重量平均分子量は、顔料の分散安定性及びインク粘度への影響を考慮して、好ましくは3,000〜300,000、より好ましくは3,500〜250,000、更に好ましくは4,000〜200,000である。水不溶性ビニルポリマーの重量平均分子量は、前記水溶性ポリマーと同様の方法を用いて測定したときの値である。
【0058】
水不溶性ビニルポリマーは、中和されていることが好ましい。中和度は、分散安定性が良好であればよく、特に限定がない。通常、水不溶性ポリマーを構成している塩生成基含有モノマー(C)中の塩生成基1モルあたり、中和剤を20〜200 モル%添加することが好ましい。
【0059】
中和の際に用いられる中和剤としては、水不溶性ビニルポリマーの塩生成基の種類に応じて適宜選択すればよい。例えば、水不溶性ビニルポリマーにカチオン性モノマーを用いた場合は、中和剤として酢酸、メトキシ酢酸、プロピオン酸、乳酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、グリセリン酸等を用いることができる。また、水不溶性ビニルポリマーにアニオン性モノマーが用いられている場合には、中和剤として、トリメチルアミン、トリエチルアミン等の3級アミン類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、アンモニア等を用いることができる。
【0060】
水不溶性ビニルポリマーは、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の重合法により、上記したマクロマー(A)、ノニオン性の親水性モノマー(B)、塩生成基含有モノマー(C)及び疎水性モノマー(D)を重合させることによって製造される。これらの重合法の中では、溶液重合法が好ましい。
【0061】
溶液重合法に用いられる溶媒は、極性有機溶媒であることが好ましい。極性有機溶媒が水混和性有機溶媒である場合には、水と混合して用いることもできる。
【0062】
極性有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、(イソ)プロパノール等の炭素数1〜3の脂肪族アルコール;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;酢酸エチル等のエステル類等が挙げられる。これらの中では、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン又はこれらと水との混合液が好ましい。
【0063】
重合の際には、ラジカル重合開始剤を用いることができる。ラジカル重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビスブチレート、2,2’−アゾビス(2− メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)等のアゾ化合物、t−ブチルペルオキシオクトエート、ジ−t− ブチルペルオキシド、ジベンゾイルオキシド等の有機過酸化物が挙げられる。
【0064】
重合開始剤の量は、モノマー混合物100 重量部あたり、好ましくは0.001 〜5重量部、より好ましくは0.01〜2重量部である。
【0065】
重合の際には、更に重合連鎖移動剤を添加してもよい。重合連鎖移動剤の具体例としては、オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、メルカプトエタノール等のメルカプタン類;ジメチルキサントゲンジスルフィド、ジイソプロピルキサントゲンジスルフィド等のキサントゲンジスルフィド類;テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド等のチウラムジスルフィド類;四塩化炭素、臭化エチレン等のハロゲン化炭化水素類;ペンタフェニルエタン等の炭化水素類;アクロレイン、メタクロレイン、アリルアルコール、2−エチルヘキシルチオグリコレート、ターピノーレン、α−テルピネン、γ−テルピネン、ジテルペン、α−メチルスチレンダイマー、9,10−ジヒドロアントラセン、1,4−ジヒドロナフタレン、インデン、1,4−シクロヘキサジエン等の不飽和環状炭化水素化合物;2,5−ジヒドロフラン等の不飽和ヘテロ環状化合物等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を組合せて用いることができる。
【0066】
モノマーの重合条件は、使用するラジカル重合開始剤、モノマー及び溶媒の種類等によって異なるので一概には決定することができない。通常、重合温度は30〜100℃、好ましくは50〜80℃であり、重合時間は1〜20時間である。重合雰囲気は、窒素ガス等の不活性ガスであることが好ましい。
【0067】
重合反応の終了後、反応溶液から再沈澱、溶媒留去等の公知の方法によってポリマーを単離することができる。また、得られたポリマーは、再沈澱を繰り返したり、膜分離、クロマトグラフ法、抽出法等により、未反応のモノマー等を除去することにより、精製することができる。
【0068】
塩生成基を中和させた後の水不溶性ビニルポリマーの25℃での水に対する溶解度は、水系インクの低粘度化の観点から10重量%以下が好ましく、5重量%以下がより好ましく、1重量%以下であることが更に好ましい。
【0069】
〔マゼンタ顔料を含む水不溶性ビニルポリマー粒子の水分散体〕
マゼンタ顔料を含む水不溶性ビニルポリマー粒子の水分散体は、例えば、水不溶性ビニルポリマーを有機溶媒に溶解させ、得られた溶液に顔料、水、中和剤及び必要に応じ界面活性剤を加えて混練し、ペーストとした後、該ペーストを必要に応じて水で希釈し、有機溶媒を留去して水系にすることによって得ることができる。
【0070】
顔料の量は、普通紙に印字した際の印字濃度及びポリマー粒子中に含有させやすさの観点から、水不溶性ビニルポリマー100 重量部に対して20〜1200重量部、好ましくは50〜900 重量部であることが望ましい。
【0071】
顔料を含有する水不溶性ビニルポリマー粒子の平均粒径は、ノズルの目詰まり防止及び保存安定性の観点から、好ましくは0.01〜0.50μm、より好ましくは0.02〜0.30μm、更に好ましくは0.04〜0.20μmである。平均粒径は実施例に示す「保存前の平均粒径」に相当し、実施例に示す方法で測定される。
【0072】
〔インクジェット記録用水系インク〕
本発明のインクジェット記録用水系インクは、マゼンタ顔料を含む水不溶性ビニルポリマー粒子の水分散体を含有するものである。
【0073】
マゼンタ顔料を含む水不溶性ビニルポリマー粒子は、少なくともマゼンタ顔料と水不溶性ビニルポリマーにより粒子が形成されているものであれば粒子形態は特に制限されるものではなく、例えば、水不溶性ビニルポリマーにマゼンタ顔料が内包された粒子形態、水不溶性ビニルポリマーにマゼンタ顔料が均一に分散された粒子形態、水不溶性ビニルポリマーにマゼンタ顔料が内包されているが、粒子表面に一部のマゼンタ顔料が露出された粒子形態等が含まれる。
【0074】
本発明において、次式(1):顔料の重量吸光度/前記水分散体の平均粒径 (1)、から求められる数値は、専用紙の光沢度を向上させ、普通紙の印字濃度を増加させるために、100以上であり、好ましくは105以上、より好ましくは110以上である。
【0075】
上記したとおり、顔料の重量吸光度を高めて普通紙の印字濃度を増加させるため、微粒化された及び/又は純度の高いマゼンタ顔料を用い、専用紙の光沢度を向上させるため、顔料を含む水不溶性ビニルポリマーの水分散体を用いることにより、式(1)から求められる数値を100以上にすることができたものである。
【0076】
本発明のインクジェット記録用水系インクにおいては、アニオン性の着色インク又はカチオン性の着色インクが用いられているが、アニオン性の着色インクは、マゼンタ顔料を含有させたアニオン性の水不溶性ビニルポリマーを含有する着色インク、カチオン性の着色インクは、マゼンタ顔料を含有させたカチオン性の水不溶性ビニルポリマーを含有する着色インクであることが好ましい。
【0077】
インクジェット記録用水系インクにおけるマゼンタ顔料を含む水不溶性ビニルポリマー粒子の含有量(固形分)は、分散安定性が良好なインクジェット記録用水系インクを得る観点から、好ましくは0.5 〜30重量%、より好ましくは1〜20重量%、更に好ましくは2〜15重量%となるように調整することが望ましい。
【0078】
本発明に用いられる水系インクには、更に、各種添加剤、例えば、多価アルコール類用の湿潤剤、分散剤、消泡剤、防黴剤及び/又はキレート剤、pH調整剤等を適量で添加することができ、水の含有量は40〜90質量%が好ましい。
湿潤剤としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、炭素数4〜8のアルキルジオール類、ポリエチレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリセリンモノn−ブチルエーテル等の多価アルコール及びそのエーテル、アセテート類、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン等の含窒素化合物等が挙げられる。水系インク中における湿潤剤の量は、好ましくは0.1〜50重量%、より好ましくは0.1〜30重量%である。
【0079】
分散剤としては、アニオン系、ノニオン系、カチオン系、両性系の分散剤を用いることができる。
【0080】
本発明に用いられるアニオン性の着色インクのpH(20℃)は、7以上11以下が好ましく、8〜11がより好ましい。また、カチオン性の着色インクのpH(20℃) は、3以上7未満が好ましく、3〜6がより好ましい。
【0081】
アニオン性の着色インクに酸を添加してpHを調整することにより、カチオン性の着色インクとして用いたり、カチオン性の着色インクにアルカリを添加してpHを調整することにより、アニオン性の着色インクとして用いることもできる。
【0082】
本発明のインクジェット記録用水系インクは、マゼンタ顔料を含む水不溶性ビニルポリマー粒子の水分散体を含有するものであり、低粘度化でき、吐出性がよく、また、耐水性及び耐擦過性に優れた印字物を得ることができるので好ましい。
【0083】
【実施例】
製造例1〜3
反応容器内に、メチルエチルケトン20重量部及び重合連鎖移動剤(2−メルカプトエタノール)0.03重量部、表1に示す各モノマー(重量部表示)のそれぞれの10重量%の量ずつを入れて混合し、窒素ガス置換を十分に行い、混合溶液を得た。
【0084】
一方、滴下ロートに、表1に示す各モノマー(重量部表示)の残りの90重量%の量を仕込み、重合連鎖移動剤(2−メルカプトエタノール)0.27重量部、メチルエチルケトン60重量部及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1.2重量部を入れて混合し、十分に窒素ガス置換を行い、混合溶液を得た。
【0085】
窒素雰囲気下、反応容器内の混合溶液を攪拌しながら65℃まで昇温し、滴下ロート中の混合溶液を3時間かけて徐々に滴下した。滴下終了から65℃で2時間経過後、2,2’−アゾビス(2,4− ジメチルバレロニトリル)0.3重量部をメチルエチルケトン5重量部に溶解した溶液を加え、更に65℃で2時間、70℃で2時間熟成させ、ポリマー溶液を得た。
【0086】
得られたポリマー溶液の一部を、減圧下、105 ℃で2時間乾燥させ、溶媒を除去することによって単離した。標準物質としてポリスチレン、溶媒として60mmol/Lのリン酸及び50mmol/L のリチウムブロマイド含有ジメチルホルムアミドを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより重量平均分子量を測定した。その結果を表1に示す。
【0087】
なお、表1に示す化合物の詳細は、以下のとおりである。
・ポリプロピレングリコールモノメタクリレート:アルドリッチジャパン(株)製、数平均分子量:375
・ポリエチレングリコールモノメタクリレート(EO9モル付加):新中村化学(株)製、商 品名:NKエステルM−90G
・スチレンマクロマー:東亜合成(株)製、商品名:AS−6S 、数平均分子量:6000、重合性官能基:メタクロイルオキシ基
【0088】
【表1】
Figure 2005029626
【0089】
製造例4
粗製キナクリドン顔料(大日本インキ化学製、C.I.ピグメント・レッド122):300部、塩化ナトリウム3000部、ジエチレングリコール:200部(和光純薬製)をステンレス5Lニーダーに入れ、80℃で5時間混練した。混練物を取り出し、3.0Lの温水に投入し、撹拌した。約1時間撹拌を行なった後にろ過を行った。その後、同様に水洗を5回行い、塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除去した50%顔料を得た。真空乾燥機で乾燥の後、目的の顔料を得た。顔料の平均一次粒径は約70nmであった。
【0090】
製造例5
製造例4において、粗製キナクリドン顔料(大日本インキ化学製、C.I.ピグメント・レッド122)の代わりに、粗製キナクリドン顔料(大日本インキ化学製、C.I.ピグメント・バイオレット19)を用いた以外は製造例4と同様にして、顔料を得た。顔料の平均一次粒径は約70nmであった。
【0091】
実施例1
製造例1で得られたポリマー溶液を減圧乾燥させて得られたポリマー6重量部をメチルエチルケトン45重量部に溶かし、その中に中和剤(5N水酸化ナトリウム水溶液)を所定量加えて塩生成基を中和し、更に製造例4で得られたキナクリドン顔料18重量部を加え、3本ロールミルで1時間混練した。
【0092】
得られた混練物に、イオン交換水120重量部を加え、攪拌した後、減圧下で60℃でメチルエチルケトンを除去し、更に一部の水を除去することにより、固形分濃度が20重量%の顔料含有ビニルポリマー粒子の水分散体を得た。
【0093】
得られた顔料含有ビニルポリマー粒子の水分散体を、表2に示す組成になるように添加剤と混合し、得られた混合液を0.5μmのフィルター(アセチルセルロース膜、外径:2.5cm 、富士写真フイルム(株)製)を取り付けた容量25mlの針なしシリンジ(テルモ(株)製)で濾過し、粗大粒子を除去し、表2に示す水系インクを得た。
【0094】
実施例2
実施例1において、製造例1で得られたポリマーの代わりに、製造例2で得られたポリマーを用いた以外は実施例1と同様にして、表2に示す水系インクを得た。
【0095】
実施例3
実施例1において、製造例1で得られたポリマーの代わりに、製造例3で得られたポリマーを用いた以外は実施例1と同様にして、表2に示す水系インクを得た。
【0096】
実施例4
実施例1において、製造例4で得られたキナクリドン顔料の代わりに、製造例5で得られたキナクリドン顔料を用いた以外は実施例1と同様にして、表2に示す水系インクを得た。
【0097】
比較例1
実施例1において、製造例4で得られたキナクリドン顔料の代わりに、キナクリドン顔料(クラリアント製、ホスタパーム・レッド・E)を用いた以外は実施例1と同様にして、表2に示す水系インクを得た。顔料の平均一次粒径は約110nmであった。
【0098】
比較例2
実施例1において、水不溶性ビニルポリマーの中和度を変えた以外は同様にして、表2に示す水系インクを得た。
【0099】
次に、各実施例及び各比較例で得られたインクの重量吸光度及び平均粒径を以下の方法に従って調べた。その結果を表2に示す。
(1)重量吸光度及び平均粒径
・重量吸光度測定
2000倍に希釈したインク希釈液の吸光度を測定し、ピークトップの強度を測定し、重量吸光度を次式:
〔重量吸光度〕=〔吸光度〕×〔希釈倍率〕/〔インク中の顔料含有率〕
に従って求めた。
【0100】
・粒径測定
レーザー粒子解析システム(大塚電子(株)製、ELS−8000)を用い、インクに含まれている着色剤を含有するポリマー粒子の平均粒径を測定した。
測定した重量吸光度及び平均粒径から、式(1)の〔重量吸光度/平均粒径〕を求めた。
【0101】
(2)印字濃度
市販のインクジェットプリンター(エプソン(株)製、型番:EM−900C)を用いて、市販の普通紙(上質普通紙、エプソン(株)製、商品名:KA4250NP)にベタ印字し〔印字条件=用紙種類:普通紙、モード設定:速い〕、25℃で1時間放置後、印字濃度をマクベス濃度計(マクベス社製、品番:RD914)で測定し、以下の評価基準に基づいて評価した。
【0102】
〔評価基準〕
◎:印字濃度が1.20以上。
○:印字濃度が1.10以上1.20未満。
△:印字濃度が1.00以上1.10未満。
×:印字濃度が1.00未満。
【0103】
(3)光沢性
前記プリンターを用い、市販の市販の専用紙(MC光沢紙、エプソン(株)製、商品名:KA420MK)にベタ印字し、25℃で1時間放置後、60°の光沢を光沢計(日本電飾(株)製、商品名:HANDY GLOSSMETER 、品番:PG−1)で測定し、以下の基準に基づいて評価した。
【0104】
〔評価基準〕
◎:光沢が50以上。
○:光沢が45以上50未満。
△:光沢が40以上45未満。
×:光沢が40未満。
【0105】
(4)耐光性
前記印字濃度を測定したベタ印字物に、キセノンフェードメーター(ATLAS 社製、商品名) で10000 カウント照射し続けた後、再びマクベス濃度計RD914 で照射前における測定と同じ印字箇所の印字濃度を測定した。照射前の印字濃度に対する照射後の印字濃度の残存率を次式:
残存率(%)=〔照射後の印字濃度〕/〔照射前の印字濃度〕×100
に従って求め、以下の評価基準に基づいて耐光性を評価した。
【0106】
〔評価基準〕
◎:残存率が95%以上。
○:残存率が80%以上95%未満。
△:残存率が60%以上80%未満。
×:残存率が60%未満。
【0107】
(5)耐水性
前記プリンターを用い、前記市販の普通紙にベタ印字し、25℃で1時間乾燥させた試料の特定の印字箇所の印字濃度を測定後、静水中に垂直に10秒間浸漬し、そのまま垂直に引き上げた。25℃で24時間自然乾燥させた後、浸漬前と同じ箇所の印字濃度を測定し、浸漬前の印字濃度に対する浸漬後の印字濃度の残存率を次式:
残存率(%)=〔浸漬後の印字濃度〕/〔浸漬前の印字濃度〕×100
に従って求め、以下の評価基準に基づいて耐水性を評価した。
【0108】
〔評価基準〕
◎:残存率が95%以上。
○:残存率が80%以上95%未満。
△:残存率が60%以上80%未満。
×:残存率が60%未満。
【0109】
(6)耐擦過性
前記プリンターを用い、前記市販の普通紙にベタ印字し、25℃で24時間乾燥させた後、指で強く印字面を擦った。その印字のとれ具合を以下の評価基準に基づいて評価した。
【0110】
〔評価基準〕
◎:印字は全くとれない。
○:ほとんど印字はとれず、周りが汚れない。
△:少し印字が擦りとられ、周りが少し汚れ、指も少し汚れる。
×:かなり印字が擦りとられ、周りがかなりひどく汚れ、指も相当汚れる
(7)分散安定性
インクを密閉容器に入れ、60℃の恒温槽に1ヵ月保存後、前記レーザー粒子解析システムを用いて平均粒径(以下、「保存後の平均粒径」という)を測定した。分散安定性の指標として、分散安定度を次式:
分散安定度(%)=〔保存後の平均粒径〕/〔平均粒径〕×100
に従って求め、以下の評価基準に基づいて評価した。
【0111】
〔評価基準〕
◎:分散安定度が95%以上105%未満。
○:分散安定度が90%以上95%未満、又は105 %以上110 %未満。
△:分散安定度が70%以上90%未満、又は110 %以上130 %未満。
×:分散安定度が70%未満又は130 %以上。
【0112】
【表2】
Figure 2005029626
【0113】
表2に示された結果から、各実施例で得られた水系インクは、いずれも、普通紙に高印字濃度を形成し、専用紙に印字したときに高い光沢性を付与できることがわかる。また、各実施例で得られた水系インクは、耐光性、耐水性、耐擦過性、保存安定性に優れた印字物を与えるものであることがわかる。
【0114】
【発明の効果】
本発明のインクジェット記録用水系インクは、普通紙で高印字濃度が得られ、専用紙に印字したときに光沢性を付与することができる。

Claims (6)

  1. マゼンタ顔料を含む水不溶性ビニルポリマー粒子の水分散体を含有しており、次式(1):顔料の重量吸光度/前記水分散体の平均粒径 (1)、から求められる数値が100以上のものであるインクジェット記録用水系インク。
  2. 水不溶性ビニルポリマーが、(A)マクロマー、(B)ノニオン性の親水性モノマー、(C)塩生成基含有モノマー、並びに(D)(A)、(B)及び(C)と共重合可能な疎水性モノマーを重合させてなるものである請求項1記載のインクジェット記録用水系インク。
  3. (A)マクロマーが、少なくとも片末端に重合性官能基を有するスチレン系マクロマーである請求項1又は2記載のインクジェット記録用水系インク。
  4. (D)疎水性モノマーが、芳香環含有モノマーである請求項2又は3記載のインクジェット記録用水系インク。
  5. 芳香環含有モノマーが、スチレン、α―メチルスチレン、ビニルトルエン及びビニルナフタレンから選ばれた1種以上である請求項4記載のインクジェット記録用水系インク。
  6. マゼンタ顔料がキナクリドン系顔料である請求項1〜5のいずれかに記載のインクジェット記録用水系インク。
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