JP2005029474A - 新規ハロゲン化ヌクレオチド化合物およびその塩 - Google Patents
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Abstract
【課題】DNAへの取り込み効率が高い、新規なハロゲン化ヌクレオチド化合物を提供する。
【解決手段】これまで知られていたハロゲン化ヌクレオチドの問題点を解析したところ、その原子半径が大きいためであると考えられるので、ハロゲン原子の原子半径が比較的小さい、塩素原子を導入し、新規な化合物である5−クロロ−2’−デオキシシチジン−5’−三リン酸およびその塩を開発した。その結果、DNAへの取り込み効率が大幅に向上した。
【選択図】 なし
【解決手段】これまで知られていたハロゲン化ヌクレオチドの問題点を解析したところ、その原子半径が大きいためであると考えられるので、ハロゲン原子の原子半径が比較的小さい、塩素原子を導入し、新規な化合物である5−クロロ−2’−デオキシシチジン−5’−三リン酸およびその塩を開発した。その結果、DNAへの取り込み効率が大幅に向上した。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なハロゲン化ヌクレオチド化合物である5−クロロ−2’−デオキシシチジン−5’−三リン酸およびその塩に関するものである。
【従来の技術】
ハロゲン化ヌクレオチドは、DNAマイクロアレイなどの分野で使われるDNA検出用標識化合物の製造においての合成中間体であり、またそれ自身も標識化合物となりうる重要な化合物である。これまでにも、ハロゲン化ヌクレオチドとして、5−ヨード−2’−デオキシシチジン−5’−三リン酸、5−ブロモ−2’−デオキシシチジン−5’−三リン酸などが知られている。
このDNAマイクロアレイの分野のなかでは、ハロゲン化ヌクレオチドを標識化合物として用いる方法が存在する。(例えば、特許文献1参照)
【特許文献1】
特開2002−328114号公報
また、このハロゲン化ヌクレオチドは、ヌクレオシドをハロゲン化し、その後に、三リン酸化することにより、作る方法が一般的である。(例えば、非特許文献1及び非特許文献2参照)
【非特許文献1】
ドラッグ デベロップメント リサーチ, 1994年31号 p206−219
【非特許文献2】
テトラへドロン レターズ, 1988年29号 p 4525−452
【発明が解決しようとする課題】
この分析法では、DNAを標識する方法として、DNAを構成する元素以外の元素で標識する必要がある。
その元素の一つとして、ハロゲン原子を標識元素とするヌクレオチドが求められていた。
これまでにこのハロゲン化ヌクレオチドとしては、5−ハロゲン化デオキシシチジン、即ち5−ヨード−2’−デオキシシチジン−5’−三リン酸、5−ブロモ−2’−デオキシシチジン−5’−三リン酸などが知られている。しかし、これらの5−ハロゲン化デオキシシチジンは、ヨウ素、臭素原子などの原子半径が大きいため、ハロゲン化ヌクレオチドのDNAへの取り込み反応において、取り込まれにくく、DNA伸長反応において反応速度が遅くなったり、取り込みが停止したりする等の問題点があった。
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者が鋭意検討した結果、ハロゲン化ヌクレオチドのハロゲン部分を別元素に置き換えることにより、これまでよりも取り込み効率が良くかつ質量分析検出型DNAマイクロアレイ用の新たな標識化合物となりうる新規なハロゲン化ヌクレオチドの発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記一般式(1)
【化3】
を有するハロゲン化ヌクレオチド化合物を要旨とする。
また、本発明は、下記一般式(2)
【化4】
(式中、X1〜X4の少なくとも1つがナトリウム、カリウム、リチウム、ルビジウム、セシウム、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム、バリウム、アンモニウム、トリエチルアンモニウムのいずれかであって、残りが水素である)を有するハロゲン化ヌクレオチド化合物の塩を要旨とする。
【発明の実施の形態】
本発明のハロゲン化ヌクレオチド化合物は公知の方法で作ることができるが、好ましくは2’−デオキシシチジンの5位を選択塩素化した後に、5’位を三リン酸化する。
本発明のハロゲン化ヌクレオチド化合物である5−ハロゲン化ヌクレオチドは、DNAへ取り込ませた後に、DNAマイクロアレイなどに使用することにより、DNAマイクロアレイの新規な標識化合物として用いることができる。
また、本発明の5−ハロゲン化ヌクレオチドのDNAへの取り込みは、従来の5−ヨード−2’−デオキシシチジン−5’−三リン酸や5−ブロモ−2’−デオキシシチジン−5’−三リン酸などに比べ取り込み効率は非常によい。
また、本発明のハロゲン化ヌクレオチド化合物の塩は、前記一般式(2)を有する化合物である。この一般式(2)において、X1〜X4の少なくとも1つがナトリウム、カリウム、リチウム、ルビジウム、セシウム、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム、バリウム、アンモニウム、トリエチルアンモニウムのいずれかであって、残りが水素である。
【実施例】
以下の実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。使用した薬品で、特に断りのないものは、1級品を用いた。
実施例1 5−クロロ−−2’−デオキシシチジンの合成(ハロゲン化ヌクレオチド前駆体の合成方法)
室温下、攪拌子を入れた50mlの2口ナスフラスコにd−シチジン・1水和物(シグマ社製)を2.57g、ジメチルホルムアミド(関東化学社製、脱水規格)30ml、安息香酸クロライド(和光純薬社製)を加え均一になるまで攪拌した。ジメチルホルムアミド10mlに溶解したm−クロロ過安息香酸2.40g溶液をシリンジで10分かけて滴下した。滴下終了後20分攪拌し、反応液を100mlの氷浴に入れた。得られた反応液を攪拌し、不溶物を吸引濾過にて濾別、引き続き水5mlで洗浄した。得られた、水溶液をジエチルエーテル100mlで3回洗浄し、水層を減圧下にて濃縮した。得られた濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(関東化学社製 Silicagel 60N 63−210μm 100g、溶離液クロロホルム/メタノール=95/5〜85/15)にて分離し、濃縮乾燥後目的物を得た。収量2.16g。収率77%。
実施例2 5−クロロ−2’−デオキシシチジン−5’−三リン酸4ナトリウム塩の合成(新規ハロゲン化ヌクレオチドの合成方法)
50mlの2口フラスコに、上記で合成した5−クロロ−2’−デオキシシチジン134.0mg、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,8−ナフタレンジアミン(アルドリッチ社製)228.8mg、トリメチルリン酸(アルドリッチ社製)10.03g、オキシ塩化リン(アルドリッチ社製)119.7mg、水9.1mgを加え、氷零下2時間撹拌した。引き続き、別途調整した1Mジ(トリブチルアンモニウム)ピロホスフェートジメチルホルムアミド溶液)4.02g、トリブチルアミン538.1mgを加え1時間撹拌し、0.2M トリエチルアンモニウム重炭酸塩水溶液20.08gを加え反応を停止した。得られた反応溶液を、イオン交換樹脂(Sephadex−DEAE)に通し、水→0.6Mトリエチルアンモニウム重炭酸塩によるグラジエント溶出を行い、目的物を分取し、分画分を凍結乾燥法により濃縮した。得られた濃縮物は、アセトン10ml、メタノール10mlに希釈し、過塩素酸ナトリウムのアセトン溶液(10g/l)25mlを加え、沈殿物を濾取した。得られた結晶を、室温下減圧乾燥を行った。収量142.1mg。収率47%で5−クロロ−2’−デオキシシチジン−5’−三リン酸4ナトリウム塩が得られた。
1H−NMR(D2O):2.31ppm(1H,m), 2.41ppm(1H,m), 3.12ppm(3H,m), 3.10ppm(1H), 4.02ppm(1H), 6.0ppm(t,1H), 8.17ppm(s, 1H)
31P−NMR(D2O、H3PO4基準):−9.9ppm、−20.7ppm
LC−MS(negative charge):m/z 500
実施例3
実施例2で得られた、5−クロロ−2’−デオキシシチジン−5’−三リン酸4ナトリウム塩100mgを強酸性イオン交換樹脂(DOWEX 50W;ダウケミカル社製)に通液し、紫外光検出器監視下で目的成分を回収した。得られた溶液を、凍結乾燥法により、濃縮を行い5−クロロ−2’−デオキシシチジン−5’−三リン酸、38mgを得た。収率45%。
実施例4 ハロゲン化ヌクレオチドのDNAへの取り込み効率測定試験
本発明で得られるハロゲン化ヌクレオチドのDNAへの取り込み効率が向上したことを証明するために本試験を行った。
今回新規に合成したハロゲン化ヌクレオチドについては、DNAに取り込み効率を測定するために、濃度勾配ポリメラーゼ チェイン リアクション(以下PCRと称す。)試験を行うことにより、DNAへの取り込み効率を比較した。
PCRの条件は、下記の通りである。
略号は、以下の通りである。
d−CTP:2’−デオキシシチジン三リン酸
d−ATP:2’−デオキシアデノシン三リン酸
d−GTP:2’−デオキシグアノシン三リン酸
d−TTP:2’−デオキシチミジン三リン酸
使用DNA: Kanamycin耐性pUCタイプベクター(1159bp)
PCR溶液組成:d−CTPに対する、標識化合物の重量比率を0/10,1/3,1/1,3/1,10/0と変化させ、取り込み確認を行った。比較対照用にd−NTP(d−ATP, d−GTP, d−CTP, d−TTPの等モル混合物。それぞれが2.5mMの溶液)を使って、取り込み試験を行った。
上記条件下で展開したゲルをエチジウムブロマイド溶液に10分間浸した後、UVにて移動度を観察した。
図1は、ハロゲン化ヌクレオチドのDNAへの取り込みの様子を示したものである。図1は、標識化合物としてI−d−CTPとCl−d−CTPを用いた時の、それぞれのDNAの増幅を観察したものであるが、I−d−CTPは、その濃度が濃くなるに従って、DNAへの増幅度合いが減少し、I−d−CTP100%の時は、全く増幅が見られなかったのに対して、Cl−d−CTPの場合、100%においてもDNAへの増幅が認められた。即ち、このことから本発明でのハロゲン化ヌクレオチド化合物のDNAへの取り込み効率が向上していることが示せた。
以上の結果より、本発明のハロゲン化ヌクレオチド化合物は、DNAへの取り込み効率が向上していることが示せた。
【発明の効果】
本発明により、DNAへの取り込み効率の高い新規なハロゲン化ヌクレオチドを提供することができる。また、本発明のハロゲン化ヌクレオチド化合物は、質量分析器を検出とするようなDNAマイクロアレイ用の新たな標識化合物として非常に有用なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】ハロゲン化ヌクレオチドのDNAへの取り込みの様子を示した写真である。
本発明は、新規なハロゲン化ヌクレオチド化合物である5−クロロ−2’−デオキシシチジン−5’−三リン酸およびその塩に関するものである。
【従来の技術】
ハロゲン化ヌクレオチドは、DNAマイクロアレイなどの分野で使われるDNA検出用標識化合物の製造においての合成中間体であり、またそれ自身も標識化合物となりうる重要な化合物である。これまでにも、ハロゲン化ヌクレオチドとして、5−ヨード−2’−デオキシシチジン−5’−三リン酸、5−ブロモ−2’−デオキシシチジン−5’−三リン酸などが知られている。
このDNAマイクロアレイの分野のなかでは、ハロゲン化ヌクレオチドを標識化合物として用いる方法が存在する。(例えば、特許文献1参照)
【特許文献1】
特開2002−328114号公報
また、このハロゲン化ヌクレオチドは、ヌクレオシドをハロゲン化し、その後に、三リン酸化することにより、作る方法が一般的である。(例えば、非特許文献1及び非特許文献2参照)
【非特許文献1】
ドラッグ デベロップメント リサーチ, 1994年31号 p206−219
【非特許文献2】
テトラへドロン レターズ, 1988年29号 p 4525−452
【発明が解決しようとする課題】
この分析法では、DNAを標識する方法として、DNAを構成する元素以外の元素で標識する必要がある。
その元素の一つとして、ハロゲン原子を標識元素とするヌクレオチドが求められていた。
これまでにこのハロゲン化ヌクレオチドとしては、5−ハロゲン化デオキシシチジン、即ち5−ヨード−2’−デオキシシチジン−5’−三リン酸、5−ブロモ−2’−デオキシシチジン−5’−三リン酸などが知られている。しかし、これらの5−ハロゲン化デオキシシチジンは、ヨウ素、臭素原子などの原子半径が大きいため、ハロゲン化ヌクレオチドのDNAへの取り込み反応において、取り込まれにくく、DNA伸長反応において反応速度が遅くなったり、取り込みが停止したりする等の問題点があった。
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者が鋭意検討した結果、ハロゲン化ヌクレオチドのハロゲン部分を別元素に置き換えることにより、これまでよりも取り込み効率が良くかつ質量分析検出型DNAマイクロアレイ用の新たな標識化合物となりうる新規なハロゲン化ヌクレオチドの発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記一般式(1)
【化3】
を有するハロゲン化ヌクレオチド化合物を要旨とする。
また、本発明は、下記一般式(2)
【化4】
(式中、X1〜X4の少なくとも1つがナトリウム、カリウム、リチウム、ルビジウム、セシウム、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム、バリウム、アンモニウム、トリエチルアンモニウムのいずれかであって、残りが水素である)を有するハロゲン化ヌクレオチド化合物の塩を要旨とする。
【発明の実施の形態】
本発明のハロゲン化ヌクレオチド化合物は公知の方法で作ることができるが、好ましくは2’−デオキシシチジンの5位を選択塩素化した後に、5’位を三リン酸化する。
本発明のハロゲン化ヌクレオチド化合物である5−ハロゲン化ヌクレオチドは、DNAへ取り込ませた後に、DNAマイクロアレイなどに使用することにより、DNAマイクロアレイの新規な標識化合物として用いることができる。
また、本発明の5−ハロゲン化ヌクレオチドのDNAへの取り込みは、従来の5−ヨード−2’−デオキシシチジン−5’−三リン酸や5−ブロモ−2’−デオキシシチジン−5’−三リン酸などに比べ取り込み効率は非常によい。
また、本発明のハロゲン化ヌクレオチド化合物の塩は、前記一般式(2)を有する化合物である。この一般式(2)において、X1〜X4の少なくとも1つがナトリウム、カリウム、リチウム、ルビジウム、セシウム、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム、バリウム、アンモニウム、トリエチルアンモニウムのいずれかであって、残りが水素である。
【実施例】
以下の実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。使用した薬品で、特に断りのないものは、1級品を用いた。
実施例1 5−クロロ−−2’−デオキシシチジンの合成(ハロゲン化ヌクレオチド前駆体の合成方法)
室温下、攪拌子を入れた50mlの2口ナスフラスコにd−シチジン・1水和物(シグマ社製)を2.57g、ジメチルホルムアミド(関東化学社製、脱水規格)30ml、安息香酸クロライド(和光純薬社製)を加え均一になるまで攪拌した。ジメチルホルムアミド10mlに溶解したm−クロロ過安息香酸2.40g溶液をシリンジで10分かけて滴下した。滴下終了後20分攪拌し、反応液を100mlの氷浴に入れた。得られた反応液を攪拌し、不溶物を吸引濾過にて濾別、引き続き水5mlで洗浄した。得られた、水溶液をジエチルエーテル100mlで3回洗浄し、水層を減圧下にて濃縮した。得られた濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(関東化学社製 Silicagel 60N 63−210μm 100g、溶離液クロロホルム/メタノール=95/5〜85/15)にて分離し、濃縮乾燥後目的物を得た。収量2.16g。収率77%。
実施例2 5−クロロ−2’−デオキシシチジン−5’−三リン酸4ナトリウム塩の合成(新規ハロゲン化ヌクレオチドの合成方法)
50mlの2口フラスコに、上記で合成した5−クロロ−2’−デオキシシチジン134.0mg、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,8−ナフタレンジアミン(アルドリッチ社製)228.8mg、トリメチルリン酸(アルドリッチ社製)10.03g、オキシ塩化リン(アルドリッチ社製)119.7mg、水9.1mgを加え、氷零下2時間撹拌した。引き続き、別途調整した1Mジ(トリブチルアンモニウム)ピロホスフェートジメチルホルムアミド溶液)4.02g、トリブチルアミン538.1mgを加え1時間撹拌し、0.2M トリエチルアンモニウム重炭酸塩水溶液20.08gを加え反応を停止した。得られた反応溶液を、イオン交換樹脂(Sephadex−DEAE)に通し、水→0.6Mトリエチルアンモニウム重炭酸塩によるグラジエント溶出を行い、目的物を分取し、分画分を凍結乾燥法により濃縮した。得られた濃縮物は、アセトン10ml、メタノール10mlに希釈し、過塩素酸ナトリウムのアセトン溶液(10g/l)25mlを加え、沈殿物を濾取した。得られた結晶を、室温下減圧乾燥を行った。収量142.1mg。収率47%で5−クロロ−2’−デオキシシチジン−5’−三リン酸4ナトリウム塩が得られた。
1H−NMR(D2O):2.31ppm(1H,m), 2.41ppm(1H,m), 3.12ppm(3H,m), 3.10ppm(1H), 4.02ppm(1H), 6.0ppm(t,1H), 8.17ppm(s, 1H)
31P−NMR(D2O、H3PO4基準):−9.9ppm、−20.7ppm
LC−MS(negative charge):m/z 500
実施例3
実施例2で得られた、5−クロロ−2’−デオキシシチジン−5’−三リン酸4ナトリウム塩100mgを強酸性イオン交換樹脂(DOWEX 50W;ダウケミカル社製)に通液し、紫外光検出器監視下で目的成分を回収した。得られた溶液を、凍結乾燥法により、濃縮を行い5−クロロ−2’−デオキシシチジン−5’−三リン酸、38mgを得た。収率45%。
実施例4 ハロゲン化ヌクレオチドのDNAへの取り込み効率測定試験
本発明で得られるハロゲン化ヌクレオチドのDNAへの取り込み効率が向上したことを証明するために本試験を行った。
今回新規に合成したハロゲン化ヌクレオチドについては、DNAに取り込み効率を測定するために、濃度勾配ポリメラーゼ チェイン リアクション(以下PCRと称す。)試験を行うことにより、DNAへの取り込み効率を比較した。
PCRの条件は、下記の通りである。
略号は、以下の通りである。
d−CTP:2’−デオキシシチジン三リン酸
d−ATP:2’−デオキシアデノシン三リン酸
d−GTP:2’−デオキシグアノシン三リン酸
d−TTP:2’−デオキシチミジン三リン酸
使用DNA: Kanamycin耐性pUCタイプベクター(1159bp)
PCR溶液組成:d−CTPに対する、標識化合物の重量比率を0/10,1/3,1/1,3/1,10/0と変化させ、取り込み確認を行った。比較対照用にd−NTP(d−ATP, d−GTP, d−CTP, d−TTPの等モル混合物。それぞれが2.5mMの溶液)を使って、取り込み試験を行った。
上記条件下で展開したゲルをエチジウムブロマイド溶液に10分間浸した後、UVにて移動度を観察した。
図1は、ハロゲン化ヌクレオチドのDNAへの取り込みの様子を示したものである。図1は、標識化合物としてI−d−CTPとCl−d−CTPを用いた時の、それぞれのDNAの増幅を観察したものであるが、I−d−CTPは、その濃度が濃くなるに従って、DNAへの増幅度合いが減少し、I−d−CTP100%の時は、全く増幅が見られなかったのに対して、Cl−d−CTPの場合、100%においてもDNAへの増幅が認められた。即ち、このことから本発明でのハロゲン化ヌクレオチド化合物のDNAへの取り込み効率が向上していることが示せた。
以上の結果より、本発明のハロゲン化ヌクレオチド化合物は、DNAへの取り込み効率が向上していることが示せた。
【発明の効果】
本発明により、DNAへの取り込み効率の高い新規なハロゲン化ヌクレオチドを提供することができる。また、本発明のハロゲン化ヌクレオチド化合物は、質量分析器を検出とするようなDNAマイクロアレイ用の新たな標識化合物として非常に有用なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】ハロゲン化ヌクレオチドのDNAへの取り込みの様子を示した写真である。
Claims (2)
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JP2003192763A JP2005029474A (ja) | 2003-07-07 | 2003-07-07 | 新規ハロゲン化ヌクレオチド化合物およびその塩 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008537676A (ja) * | 2005-03-24 | 2008-09-25 | ゾラゲン・バイオテクノロジーズ・エルエルピー | 核酸の検出 |
-
2003
- 2003-07-07 JP JP2003192763A patent/JP2005029474A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2008537676A (ja) * | 2005-03-24 | 2008-09-25 | ゾラゲン・バイオテクノロジーズ・エルエルピー | 核酸の検出 |
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