JPWO2007097446A1 - オリゴ核酸のキャッピング法 - Google Patents

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Abstract

本発明の目的は、いわゆるキャッピング工程において、5’位水酸基を効率的にアシル化する方法を提供することにある。次の一般式(2)で表されるオリゴ核酸誘導体の各リボースの5’位水酸基をアシル基で保護するキャッピング工程において、アシル化剤として次の一般式(11a)で表されるフェノキシ酢酸誘導体無水物を、アシル化反応の活性化剤として次の一般式(11b)又は(11c)で表されるピリジン誘導体を用いることを特徴とする、次の一般式(12)で表されるオリゴ核酸誘導体の製造方法。

Description

本発明は、オリゴ核酸の固相合成法におけるキャッピング工程に関するものである。
オリゴ核酸を製造する方法として、固相合成法が一般に知られている(非特許文献1)。
固相合成法は、固相担体に担持されたオリゴ核酸誘導体とホスホロアミダイト化合物とをカップリングさせることによって、所望の鎖長のオリゴ核酸を製造する方法であるが、全ての固相担体に担持されたオリゴ核酸誘導体に対してホスホロアミダイト化合物が完全に反応するとは限らない。そこで、高純度のオリゴ核酸を固相合成法で製造するため、固相担体に担持された未反応であるオリゴ核酸誘導体の5’位水酸基を保護し、上記カップリング反応に関与しないようにする工程、いわゆるキャッピング工程を経由する必要がある。
キャッピング工程では、オリゴ核酸誘導体の5’位水酸基を保護するためのアシル化剤として酸無水物(例えば、無水酢酸、フェノキシ酢酸無水物)を、アシル化反応の活性化剤として、例えば、4−ジメチルアミノピリジン(以下、「4−DMAP」という。)やN−メチルイミダゾール(以下、「NMI」という。)が一般に使用される。
しかし、アシル化反応の活性化剤として4−DMAPを使用した場合には、核酸塩基であるグアニンと4−DMAPとが反応し、グアニンが2,6−ジアミノプリン(以下、「2,6−DAP」という。)へ変換されることが報告されている(非特許文献2)。
Agrawalら,Methods in Molecular Biology:Protocols for Oligonucleotides and Analogs; Humana Press:Totowa,Vol.20,63(1993) J.Scottら,Nucleic Acids Research,Vol.17,NO.20,8333(1987)
一方、NMIは、現在最も一般的に使用されているアシル化反応の活性化剤であるが、次の一般式(2)で表されるオリゴ核酸誘導体につき、フェノキシ酢酸無水物と、NMIとを用いて、本発明者が、キャッピング工程を実施したところ、後述する試験例に示すように、満足できる効率で5’位水酸基にフェノキシアセチルが導入されず、その結果、高純度のオリゴ核酸を獲得するために、精製が煩雑になるという問題を見出した。
本発明の目的は、主として、いわゆるキャッピング工程において、リボースの5’位水酸基を効率的にアシル化する方法を提供することにある。
本発明者は、鋭意検討した結果、次の一般式(2)で表されるオリゴ核酸誘導体のリボースの5’位水酸基をアシル基で保護するキャッピング工程において、アシル化剤として次の一般式(11a)で表されるフェノキシ酢酸誘導体無水物を、アシル化反応の活性化剤として次の一般式(11b)又は(11c)で表されるピリジン誘導体を用いることによって、次の一般式(12)で表されるオリゴ核酸誘導体を効率的に製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
Figure 2007097446
式(2)、(11a)、(11b)、(11c)及び(12)中、各Bxは、それぞれ独立して、保護基を有していてもよい核酸塩基又はその修飾体を表す。nは、1〜200の範囲内にある整数を表す。 nは、10〜100の範囲内にある整数が好ましく、また、より好ましくは、15〜50の範囲内にある整数である。各Qは、それぞれ独立して、O又はSを表す。R51、R52、R53は、それぞれ同一又は異なって、H、アルキル又はハロゲンを表す。R6a、R6b、R7a、R7b、R7c、R7dは、それぞれ同一又は異なって、アルキルを表す。R6c、R6dは、それぞれ同一又は異なって、H又はアルキルを表す。
各WGは、電子吸引性基を表す。各Rは、それぞれ独立して、H、ハロゲン、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルケニルオキシ、アルケニルチオ、アルケニルアミノ、ジアルケニルアミノ、アルキニルオキシ、アルキニルチオ、アルキニルアミノ、ジアルキニルアミノ、アルコキシアルキルオキシ又は次の一般式(3)で表される置換基を表す。
Figure 2007097446
式(3)中、WGは、電子吸引性基を表す。

Eは、アシル又は次の一般式(4)で表される置換基を表す。
Figure 2007097446
式(4)中、Eは、単結合又は次の一般式(5)で表される置換基を表す。
Figure 2007097446
式(5)中、Q、WGは、前記と同義である。

Tは、H、アシルオキシ、ハロゲン、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルケニルオキシ、アルケニルチオ、アルケニルアミノ、ジアルケニルアミノ、アルキニルオキシ、アルキニルチオ、アルキニルアミノ、ジアルキニルアミノ、アルコキシアルキルオキシ、上記一般式(3)で表される置換基又は上記一般式(4)で表される置換基を表す。但し、E又はTのどちらか一方は、置換基(4)である。

Bxに係る「核酸塩基」としては、核酸の合成に使用されるものであれば特に制限されず、例えば、シトシン、ウラシル、チミン等のピリミジン塩基、アデニン、グアニン等のプリン塩基を挙げることができる。
Bxに係る「核酸塩基」は、保護されていてもよく、なかでもアミノ基を有する核酸塩基、例えば、アデニン、グアニン、シトシンは、アミノ基が保護されているのが好ましい。 かかる「アミノ基の保護基」としては、核酸の保護基として使用されるものであれば特に制限されず、具体的には、例えば、ベンゾイル、4−メトキシベンゾイル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、フェニルアセチル、フェノキシアセチル、4−tert−ブチルフェノキシアセチル、4−イソプロピルフェノキシアセチル、(ジメチルアミノ)メチレン等を挙げることができる。とりわけ、グアニンのアミノ基の保護基としては、フェノキシアセチル、4−tert−ブチルフェノキシアセチル、4−イソプロピルフェノキシアセチルが好ましい。
の「修飾体」とは、核酸塩基が任意の置換基で置換されている基であり、かかる置換基としては、例えば、ハロゲン、アシル、アルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、ヒドロキシ、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシ、シアノ、ニトロを挙げることができ、これらが任意の位置に1〜3個置換されている。
の修飾体に係る「ハロゲン」としては、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素を挙げることができる。
の修飾体に係る「アシル」としては、例えば、直鎖状又は分枝鎖状の炭素数1〜6のアルカノイル、炭素数7〜13のアロイルを挙げることができる。具体的には、例えば、ホルミル、アセチル、n−プロピオニル、イソプロピオニル、n−ブチリル、イソブチリル、tert−ブチリル、バレリル、ヘキサノイル、ベンゾイル、ナフトイル、レブリニル等を挙げることができる。
の修飾体に係る「アルキル」としては、例えば、直鎖状又は分枝鎖状の炭素数1〜5のアルキルを挙げることができる。具体的には、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチル等を挙げることができる。当該アルキルは置換されていてもよく、かかる置換基としては、例えば、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、シアノ、ニトロを挙げることができ、これらが任意の位置に1〜3個置換されていてもよい。
の修飾体における「アリールアルキル」、「アルコキシアルキル」、「モノアルキルアミノ」及び「ジアルキルアミノ」の「アルキル」部分は、上記の「アルキル」と同じものを挙げることができる。
の修飾体に係る「アルコキシ」としては、例えば、直鎖状又は分枝鎖状の炭素数1〜4のアルコキシを挙げることができる。具体的には、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ等を挙げることができる。なかでも炭素数1〜3のものが好ましく、とりわけメトキシが好ましい。
の修飾体に係る「アルコキシアルキル」の「アルコキシ」部分は、上記の「アルコキシ」と同じものを挙げることができる。
の修飾体に係る「アリールアルキル」の「アリール」部分としては、例えば、炭素数6〜12のアリールを挙げることができる。具体的には、例えば、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、ビフェニル等を挙げることができる。当該アリールは置換されていてもよく、かかる置換基としては、例えば、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、シアノ、ニトロを挙げることができ、これらが任意の位置に1〜3個置換されていてもよい。
の修飾体に係る「アルキル」、「アリール」の置換基である「ハロゲン」、「アルキル」及び「アルコキシ」としては、各々上記と同じものを挙げることができる。

WG、WGに係る「電子吸引性基」としては、例えば、シアノ、ニトロ、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、ハロゲンを挙げることができる。なかでも、シアノが好ましい。
WG、WGの「電子吸引性基」に係る「ハロゲン」としては、上記Bの修飾体に係る「ハロゲン」と同じものを挙げることができる。
WG、WGに係る「アルキルスルホニル」の「アルキル」部分は、上記Bの修飾体に係る「アルキル」と同じものを挙げることができる。
WG、WGに係る「アリールスルホニル」の「アリール」部分は、上記Bの修飾体に係る「アリールアルキル」の「アリール」部分と同じものを挙げることができる。

に係る「ハロゲン」、「アルコキシ」、「アルキルアミノ」又は「ジアルキルアミノ」は、前記Bの修飾体に係るそれらと同じものを挙げることができる。
に係る「アルコキシアルキルオキシ」、「アルキルチオ」の「アルキル」部分としては、前記Bの修飾体に係る「アルキル」と同じものを挙げることができる。
に係る「アルコキシアルキルオキシ」の「アルコキシ」としては、前記Bの修飾体に係る「アルコキシ」と同じものを挙げることができる。
に係る「アルケニルオキシ」、「アルケニルチオ」、「アルケニルアミノ」、「ジアルケニルアミノ」の「アルケニル」部分としては、例えば、直鎖状又は分枝鎖状の炭素数2〜6のアルケニルを挙げることができる。具体的には、例えば、ビニル、アリル、1−プロペニル、イソプロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、1−ペンテニル、1−ヘキセニル等を挙げることができる。
に係る「アルキニルオキシ」、「アルキニルチオ」、「アルキニルアミノ」、「ジアルキニルアミノ」の「アルキニル」部分としては、例えば、直鎖状又は分枝鎖状の炭素数2〜4のアルキニルを挙げることができる。具体的には、例えば、エチニル、2−プロピニル、1−ブチニル等を挙げることができる。

51、R52、R53、R6a、R6b、R6c、R6d、R7a、R7b、R7c、R7dに係る「アルキル」は、上記Bの修飾体に係る「アルキル」と同じものを挙げることができる。
51、R52、R53に係る「ハロゲン」は、上記Bの修飾体に係る「ハロゲン」と同じものを挙げることができる。

Eに係る「アシル」としては、前記Bの修飾体に係る「アシル」と同じものを挙げることができる。
Tの「アシルオキシ」に係る「アシル」部分は、前記Bの修飾体に係る「アシル」と同じものを挙げることができる。
Tに係る「ハロゲン」、「アルコキシ」、「アルキルアミノ」及び「ジアルキルアミノ」としては、前記Bの修飾体に係るそれらと同じものを挙げることができる。
Tに係る「アルコキシアルキルオキシ」及び「アルキルチオ」の「アルキル」部分としては、前記Bの修飾体に係る「アルキル」と同じものを挙げることができる。
Tに係る「アルコキシアルキルオキシ」の「アルコキシ」部分としては、前記Bの修飾体に係る「アルコキシ」と同じものを挙げることができる。
Tに係る「アルケニルオキシ」、「アルケニルチオ」、「アルケニルアミノ」、「ジアルケニルアミノ」の「アルケニル」部分としては、前記Rに係る「アルケニル」と同じものを挙げることができる。
Tに係る「アルキニルオキシ」、「アルキニルチオ」、「アルキニルアミノ」、「ジアルキニルアミノ」の「アルキニル」部分としては、前記Rに係る「アルキニル」と同じものを挙げることができる。
Tに係る「アルキルアミノ」、「アルケニルアミノ」、「アルキニルアミノ」は保護されていてもよく、かかる保護基はアミノ基の保護基として使用されるものであれば特に制限されず、例えば、トリフルオロアセチル、ベンゾイル、4−メトキシベンゾイル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、フェニルアセチル、フェノキシアセチル、4−tert−ブチルフェノキシアセチル、4−イソプロピルフェノキシアセチル、(ジメチルアミノ)メチレンを挙げることができる。特に、トリフルオロアセチルが好ましい。

リボースの5’位水酸基をキャッピングするための「アシル化剤」としては、例えば、上記式(11a)で表されるフェノキシ酢酸誘導体無水物を挙げることができる。例えば、フェノキシ酢酸無水物、4−イソプロピルフェノキシ酢酸無水物、4−tert−ブチルフェノキシ酢酸無水物、4−クロロフェノキシ酢酸無水物を挙げることができる。
上記アシル化剤による「アシル化反応の活性化剤」としては、例えば、ピリジン誘導体(11b)及び(11c)を挙げることができる。例えば、2−ジメチルアミノピリジン(2−DMAP)、2,6−ジ−tert−ブチル−4−ジメチルアミノピリジン、2,6−ジメチル−4−ジメチルアミノピリジンを挙げることができる。

また、本発明として、次の一般式(2)で表されるオリゴ核酸誘導体のリボースの5’位水酸基をアシル基で保護するキャッピング工程において、アシル化剤として次の一般式(11a)で表されるフェノキシ酢酸誘導体無水物を、アシル化反応の活性化剤として次の一般式(11b)又は(11c)で表されるピリジン誘導体を用いることによって、次の一般式(12)で表されるオリゴ核酸誘導体を製造する工程を含む、次の一般式(A)で表されるオリゴ核酸(以下、「オリゴ核酸(A)」という。)の製造方法を挙げることができる。
Figure 2007097446
式(2)、(11a)、(11b)、(11c)及び(12)中、各Bx、各Q、各R、各WGは、それぞれ独立して、前記と同義である。E、n、R6a、R6b、R6c、R6d、R7a、R7b、R7c、R7d、R51、R52、R53、Tは、前記と同義である。

Figure 2007097446
式(A)中、各Q、各Rは、それぞれ独立して、前記と同義である。n、Zは、前記と同義である。各Bは、それぞれ独立して、核酸塩基又はその修飾体を表す。

Bで表される核酸塩基としては特に限定されるものではなく、例えば、シトシン、ウラシル、チミン等のピリミジン塩基、アデニン、グアニン等のプリン塩基を挙げることができる。
Bの「修飾体」とは、核酸塩基が任意の置換基で置換されている基であり、Bの「修飾体」に係る置換基としては、例えば、ハロゲン、アシル、アルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、ヒドロキシ、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシ、シアノ、ニトロを挙げることができ、これらが任意の位置に1〜3個置換されている。
Bの修飾体に係る「ハロゲン」、「アシル」、「アルキル」、「アリールアルキル」、「アルコキシ」、「アルコキシアルキル」、「アミノ」、「モノアルキルアミノ」、「ジアルキルアミノ」としては、各々前記Bの修飾体に係るそれらと同じものを挙げることができる。
Rに係る「ハロゲン」、「アルコキシ」、「アルキルアミノ」及び「ジアルキルアミノ」としては、前記Bの修飾体に係るそれらと同じものを挙げることができる。
Rに係る「アルコキシアルキルオキシ」及び「アルキルチオ」の「アルキル」部分としては、前記Bの修飾体に係る「アルキル」と同じものを挙げることができる。
Rに係る「アルコキシアルキルオキシ」の「アルコキシ」部分としては、前記Bの修飾体に係る「アルコキシ」と同じものを挙げることができる。
Rに係る「アルケニルオキシ」、「アルケニルチオ」、「アルケニルアミノ」、「ジアルケニルアミノ」の「アルケニル」部分としては、前記Rに係る「アルケニル」と同じものを挙げることができる。
Rに係る「アルキニルオキシ」、「アルキニルチオ」、「アルキニルアミノ」、「ジアルキニルアミノ」の「アルキニル」部分としては、前記Rに係る「アルキニル」と同じものを挙げることができる。
Rに係る「アルキルアミノ」、「アルケニルアミノ」、「アルキニルアミノ」は保護されていてもよく、かかる保護基はアミノ基の保護基として使用されるものであれば特に制限されず、例えば、トリフルオロアセチル、ベンゾイル、4−メトキシベンゾイル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、フェニルアセチル、フェノキシアセチル、4−tert−ブチルフェノキシアセチル、4−イソプロピルフェノキシアセチル、(ジメチルアミノ)メチレンを挙げることができる。特に、トリフルオロアセチルが好ましい。
以下、本発明を詳細に説明する。
以下に示す製法において、原料が反応に影響を及ぼす置換基(例えば、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシ)を有する場合は、原料をあらかじめ公知の方法に従い、適当な保護基で保護した後に反応を行う。保護基は、最終的に、接触還元、アルカリ処理、酸処理などの公知の方法に従い保護基を脱離することができる。
I.オリゴ核酸(A)の製造方法
オリゴ核酸(A)の製造方法について、以下に詳述する。
Figure 2007097446
式(A)中、各B、各Q、各Rは、それぞれ独立して、前記と同義である。n、Zは、前記と同義である。

オリゴ核酸(A)の製法は、公知の方法に従い行うことができるが、例えば、次に示す工程A〜工程Hの操作を実施することにより、段階的に3’から5’の方向へ核酸モノマー化合物を縮合することにより行うことができる。
下記工程に使用されている化合物及び試薬は、オリゴ核酸の合成に一般的に使用されているものであれば特に限定されない。また、既存の核酸合成試薬を用いた場合と同様、すべての工程をマニュアル又は市販のDNA自動合成機を用いて製造することができる。自動合成機で行うことにより操作法の簡便化、また合成の正確性の点から自動合成機を用いる方法が望ましい。
(1)工程A:
次の一般式(1)で表される(オリゴ)核酸誘導体に酸を作用させることによって、5’位の水酸基の保護基を脱離して、次の一般式(2)で表される(オリゴ)核酸誘導体を製造する工程。
Figure 2007097446
式(1)及び(2)中、n、E、Tは前記と同義である。各Bx、各Q、各R、各WGは、それぞれ独立して、前記と同義である。 Rは、次の一般式(10)で表される置換基を表す。
Figure 2007097446
式(10)中、R11、R12、R13は、同一又は異なって、水素又はアルコキシを表す。
11、R12、R13に係る「アルコキシ」としては、前記Bの修飾体に係る「アルコキシ」と同じものを挙げることができる。
本工程は、固相担体に担持されている次の一般式(6a)、(6b)で表される核酸誘導体(n=1である核酸誘導体(1))、又は、工程A〜工程Dの操作を行うことにより製造される固相担体に担持されているオリゴ核酸誘導体(n=2〜100であるオリゴ核酸誘導体(1))(以下、「固相担体に担持されているオリゴ核酸誘導体」という。)に酸を作用させることにより実施することができる。
Figure 2007097446
式(6a)及び(6b)中、B、Rは、前記と同義である。R2L、R4Lは、前記置換基(4)を表す。Rは、アシルオキシを表す。R4aは、H、アシルオキシ、ハロゲン、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルケニルオキシ、アルケニルチオ、アルケニルアミノ、ジアルケニルアミノ、アルキニルオキシ、アルキニルチオ、アルキニルアミノ、ジアルキニルアミノ、アルコキシアルキルオキシ又は前記置換基(3)を表す。

、R4aの「アシルオキシ」に係る「アシル」部分としては、例えば、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、ベンゾイル、4−メトキシベンゾイル、フェニルアセチル、フェノキシアセチル、4−tert−ブチルフェノキシアセチル、4−イソプロピルフェノキシアセチルを挙げることができる。
4aに係る「ハロゲン」、「アルコキシ」、「アルキルアミノ」及び「ジアルキルアミノ」としては、前記Bxの修飾体に係るそれらと同じものを挙げることができる。
4aに係る「アルコキシアルキルオキシ」及び「アルキルチオ」の「アルキル」部分としては、前記Bxの修飾体に係る「アルキル」と同じものを挙げることができる。
4aに係る「アルコキシアルキルオキシ」の「アルコキシ」部分としては、前記Bxの修飾体に係る「アルコキシ」と同じものを挙げることができる。
4aに係る「アルケニルオキシ」、「アルケニルチオ」、「アルケニルアミノ」、「ジアルケニルアミノ」の「アルケニル」部分としては、前記Rに係る「アルケニル」と同じものを挙げることができる。
4aに係る「アルキニルオキシ」、「アルキニルチオ」、「アルキニルアミノ」、「ジアルキニルアミノ」の「アルキニル」部分としては、前記Rに係る「アルキニル」と同じものを挙げることができる。
4aに係る「アミノ」、「アルキルアミノ」、「アルケニルアミノ」、「アルキニルアミノ」は保護されていてもよく、かかる保護基はアミノ基の保護基として使用されるものであれば特に制限されず、例えば、トリフルオロアセチル、ベンゾイル、4−メトキシベンゾイル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、フェニルアセチル、フェノキシアセチル、4−tert−ブチルフェノキシアセチル、4−イソプロピルフェノキシアセチル、(ジメチルアミノ)メチレンを挙げることができる。特に、トリフルオロアセチルが好ましい。
「固相担体」としては、例えば、定孔ガラス(controlled pore glass;CPG)、オキサリル化−定孔ガラス(例えば、Alulら,Nucleic Acids Research,Vol.19,1527(1991)を参照)、TentaGel支持体−アミノポリエチレングリコール誘導体化支持体(例えば、Wrightら,Tetrahedron Letters,Vol.34,3373(1993)を参照)、Poros−ポリスチレン/ジビニルベンゼンのコポリマーを挙げることができる。
「リンカー」としては、例えば、3−アミノプロピル、スクシニル、2,2’−ジエタノールスルホニル、ロングチェーンアルキルアミノ(LCAA)を挙げることができる。
核酸誘導体(6a)、核酸誘導体(6b)は、公知の方法に従い製造される又は市販品として入手できる固相担体に担持されている核酸誘導体であり、好ましい態様としては、例えば、次の一般式(7)、(8)で表される核酸化合物を挙げることができる。
Figure 2007097446
式(7)及び(8)中、B、Q、R、R、WGは、前記と同義である。

が置換基(3)である核酸化合物(7)、(8)は、後述するホスホロアミダイト化合物(B)から公知の方法に従い製造することができる。

本工程に使用しうる「酸」としては、例えば、トリフルオロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸を挙げることができる。本工程に使用しうる酸は、1〜5%の濃度になるように適当な溶媒で希釈して使用することもできる。溶媒としては、反応に関与しなければ特に限定されないが、ジクロロメタン、アセトニトリル、水又はこれら任意の混合溶媒を挙げることができる。上記反応における反応温度は、20℃〜50℃が好ましい。反応時間は、(オリゴ)核酸誘導体(1)の種類、使用する酸の種類、反応温度等によって異なるが、通常1分〜1時間が適当である。使用する試薬の量は固相担体に担持されている(オリゴ)核酸誘導体に対して0.8〜100倍モル量が適当であり、好ましくは1〜10倍モル量である。
(2)工程B:
工程Aにおいて製造される(オリゴ)核酸誘導体(2)に、活性化剤を用いて核酸モノマー化合物を縮合させ、次の一般式(9)で表されるオリゴ核酸誘導体を製造する工程。
Figure 2007097446
式(2)及び(9)中、各B、各Q、各R、各WGは、それぞれ独立して、前記と同義である。E、n、R、Tは、前記と同義である。

本工程は、固相担体に担持されているオリゴ核酸誘導体に核酸モノマー化合物と活性化剤とを作用させることにより実施することができる。

「核酸モノマー化合物」としては、次の一般式(B)で表されるホスホロアミダイト化合物(以下、「ホスホロアミダイト化合物(B)」という。)又は次の一般式(C)で表される核酸化合物を挙げることができる。
Figure 2007097446
式(B)及び(C)中、B、Bzは、それぞれ保護基を有していてもよい核酸塩基又はその修飾体を表す。R、R4aは、前記と同義である。
2a、R2bは、同一若しくは異なって、アルキルを表すか、又は、R2a、R2bが隣接する窒素原子と一緒になって形成する、5〜6員の飽和アミノ環基を表す。かかる飽和アミノ環基は、窒素原子の他に環構成原子として酸素原子又は硫黄原子を1個有していてもよい。WG、WGは、それぞれ、電子吸引性基を表す。
Bzに係る「核酸塩基」としては、核酸の合成に使用されるものであれば特に制限されず、例えば、シトシン、ウラシル等のピリミジン塩基、アデニン、グアニン等のプリン塩基を挙げることができる。
に係る「核酸塩基」としては、核酸の合成に使用されるものであれば特に制限されず、例えば、シトシン、ウラシル、チミン等のピリミジン塩基、アデニン、グアニン等のプリン塩基を挙げることができる。
Bz、Bに係る「核酸塩基」は、保護されていてもよく、なかでもアミノ基を有する核酸塩基、例えば、アデニン、グアニン、シトシンは、アミノ基が保護されているのが好ましい。かかる「アミノ基の保護基」としては、前記Bの修飾体に係る「アミノ基の保護基」と同じものを挙げることができる。
Bz、Bの「修飾体」とは、核酸塩基が任意の置換基で置換されている基であり、かかる置換基としては、例えば、ハロゲン、アシル、アルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、ヒドロキシ、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシ、シアノ、ニトロを挙げることができ、これらが任意の位置に1〜3個置換されている。
Bz、Bの修飾体に係る「ハロゲン」、「アシル」、「アルキル」、「アリールアルキル」、「アルコキシ」、「アルコキシアルキル」、「モノアルキルアミノ」、「ジアルキルアミノ」としては、各々前記Bxのそれらと同じものを挙げることができる。

2a、R2bに係る「アルキル」としては、前記Bの修飾体に係る「アルキル」と同じものを挙げることができる。
2a、R2bに係る「5〜6員の飽和アミノ環基」としては、例えば、ピロリジン−1−イル、ピペリジン−1−イル、モルホリン−1−イル、チオモルホリン−1−イルを挙げることができる。
「活性化剤」としては、例えば、1H−テトラゾール、5−エチルチオテトラゾール、5−ベンジルメルカプト−1H−テトラゾール、4,5−ジクロロイミダゾール、4,5−ジシアノイミダゾール、ベンゾトリアゾールトリフラート、イミダゾールトリフラート、ピリジニウムトリフラート、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、2,4,6−コリジン/N−メチルイミダゾールを挙げることができる。
反応溶媒としては、反応に関与しなければ特に限定されないが、例えば、アセトニトリル、テトラヒドロフラン(以下、「THF」という。)を挙げることができる。上記反応における反応温度は、20℃〜50℃が好ましい。反応時間は、オリゴ核酸誘導体(2)の種類、使用する活性化剤の種類、反応温度等によって異なるが、通常1分〜1時間が適当である。使用する試薬の量は固相担体に担持されているオリゴ核酸誘導体に対して1〜100倍モル量が適当であり、好ましくは1〜10倍モル量である。
ホスホロアミダイト化合物(B)は、2’位の水酸基に中性条件下において脱離可能なエーテル型保護基を有するホスホロアミダイト化合物である。また、2’位の水酸基に導入された基が直鎖状の置換基であり、3’位の水酸基に結合するリン原子の周りにおける立体が混み合っていないため、従来から使用されているホスホロアミダイト化合物と比較して、オリゴRNAを合成する際、非常に短時間に縮合反応が進行し、縮合収率がよいという特徴を有する。
(3)工程C:
工程Bにおいて未反応である(オリゴ)核酸誘導体(2)のリボースの5’位水酸基をアシル基で保護するキャッピング工程において、アシル化剤として次の一般式(11a)で表されるフェノキシ酢酸誘導体無水物を、アシル化反応の活性化剤として次の一般式(11b)又は(11c)で表されるピリジン誘導体を用いることによって、次の一般式(12)で表される(オリゴ)核酸誘導体を製造する工程。

Figure 2007097446
式(2)、(11a)、(11b)、(11c)及び(12)中、各B、各Q、各R、各WGは、それぞれ独立して、前記と同義である。E、n、R6a、R6b、R6c、R6d、R7a、R7b、R7c、R7d、R51、R52、R53、Tは、前記と同義である。

本工程は、工程Bにおいて未反応である(オリゴ)核酸誘導体(2)の5’位水酸基を保護する反応であり、固相担体に担持されている未反応であるオリゴ核酸誘導体(2)にフェノキシ酢酸誘導体無水物(11a)とアシル化反応の活性化剤(11b)又は(11c)と塩基とを作用させることにより実施することができる。
アシル化剤は、0.05〜1Mの濃度になるように適当な溶媒で希釈して使用することもできる。アシル化剤の使用量の使用量としては、固相担体に担持されているオリゴ核酸誘導体(2)の種類等によって異なるが、固相担体に担持されているオリゴ核酸誘導体(2)のモル量に対して0.8〜100倍モル量が適当であり、好ましくは10〜30倍モル量である。
アシル化反応の活性化剤の使用量としては、フェノキシ酢酸誘導体無水物(11a)のモル量に対して、0.8〜50倍モル量が適当であり、好ましくは1〜10倍モル量である。
また、必要であれば、本工程における副生成物であるフェノキシ酢酸誘導体を捕捉するために、フェノキシ酢酸誘導体の捕捉剤として、例えば、ピリジン、2,6−ルチジン,2,4,6−コリジン又はこれら任意の混合物を添加することができる。とりわけ、2,6−ルチジンが好ましい。塩基の使用量としては、固相担体に担持されているオリゴ核酸誘導体(2)の種類、フェノキシ酢酸誘導体無水物(11a)等によって異なるが、フェノキシ酢酸誘導体無水物(11a)のモル量に対して、0.8〜100倍モル量が適当であり、好ましくは1〜20倍モル量である。
反応に使用する溶媒としては、反応に関与しなければ特に限定されないが、ジクロロメタン、アセトニトリル、THF又はこれら任意の混合溶媒を挙げることができる。上記工程における反応温度は、20℃〜50℃が好ましい。反応時間は、オリゴ核酸誘導体(2)の種類、使用するアシル化剤の種類、使用するアシル化反応の活性化剤、塩基、反応温度等によって異なるが、通常1分〜30分が適当である。
(4)工程D:
工程Bにおいて製造されるオリゴ核酸誘導体(9)に酸化剤を作用させることによって亜リン酸基をリン酸基又はチオリン酸基に変換する工程。
Figure 2007097446
式(9)及び(13)中、各B、各Q、各R、各WGは、それぞれ独立して、前記と同義である。E、n、R、Tは、前記と同義である。

本工程は、3価のリンから5価のリンに酸化剤を使用して変換する反応であり、固相担体に担持されているオリゴ核酸誘導体に酸化剤を作用させることにより実施することができる。
「リンを酸素で酸化する場合には、「酸化剤」として、例えば、ヨウ素、tert−ブチルヒドロペルオキシドを使用することができる。該酸化剤は、0.05〜2Mの濃度になるように適当な溶媒で希釈して使用することができる。反応に使用する溶媒としては、反応に関与しなければ特に限定されないが、ピリジン、THF、水又はこれら任意の混合溶媒を挙げることができる。例えば、ヨウ素/水/ピリジン―THFあるいはヨウ素/ピリジン―酢酸や過酸化剤(t−ブチルヒドロパーオキシド/メチレンクロリドなど)を用いることができる。
また、リンを硫黄で酸化する場合には、「酸化剤」として、例えば、硫黄、Beaucage試薬(3H−1,2−ベンゾジチオール−3−オン−1,1−ジオキシド)、3−アミノ−1,2,4−ジチアゾール−5−チオン(ADTT)を使用することができる。該酸化剤は、0.05〜2Mの濃度になるように適当な溶媒で希釈して使用することができる。反応に使用する溶媒としては、反応に関与しなければ特に限定されないが、例えば、ジクロロメタン、アセトニトリル、ピリジン又はこれら任意の混合溶媒が挙げられる。
反応温度は、20℃〜50℃が好ましい。反応時間は、オリゴ核酸誘導体(9)の種類、使用する酸化剤の種類、反応温度等によって異なるが、通常1分〜30分が適当である。使用する試薬の量は固相担体に担持されているオリゴ核酸誘導体に対して1〜100倍モル量が適当であり、好ましくは10〜50倍モル量である。
(5)工程E:
工程Dにおいて製造されるオリゴ核酸誘導体(13)を固相担体から切り出し、各核酸塩基部及び各リン酸基の保護基を脱離する工程。
Figure 2007097446
式(13)及び(14)中、各B、各B、各Q、各R、各WGは、それぞれ独立して、前記と同義である。E、n、R、R、T、Zは、前記と同義である。

切り出し工程は、所望の鎖長のオリゴRNAを切り出し剤によって、固相担体及びリンカーから外す反応であり、所望の鎖長のオリゴ核酸誘導体が担持された固体担体に切り出し剤を添加することにより実施することができる。本工程において、核酸塩基部の保護基を脱離することができる。
「切り出し剤」としては、例えば、濃アンモニア水、メチルアミンを挙げることができる。本工程に使用しうる「切り出し剤」は、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトニトリル、THF又はこれら任意の混合溶媒で希釈して使用することもできる。なかでも、エタノールが好ましい。
反応温度は、15℃〜75℃が適当であり、好ましくは15℃〜30℃であり、より好ましくは18℃〜25℃である。脱保護反応時間は、10分〜30時間が適当であり、好ましくは30分〜24時間であり、より好ましくは1〜4時間である。脱保護に使用される溶液中の水酸化アンモニウムの濃度は、20〜30重量%が適当であり、好ましくは25〜30重量%であり、より好ましくは28〜30重量%である。使用する試薬の量は、固相担体に担持されているオリゴ核酸誘導体(13)に対して1〜100倍モル量が適当であり、好ましくは10〜50倍モル量である。
(6)工程F:
工程Eにおいて製造されるオリゴ核酸誘導体(14)に、各リボースの2’位水酸基の保護基を脱離するための試薬を作用させることによって、次の一般式(15)で表されるオリゴ核酸誘導体を製造する工程。
Figure 2007097446
式(14)及び(15)中、各B、各Q、各R、各Rは、それぞれ独立して、前記と同義である。n、R、Zは、前記と同義である。

本工程は、オリゴ核酸誘導体(14)に2’位の水酸基の保護基を脱離する試薬を作用させることにより実施することができる。2’位の水酸基の保護基を脱離する工程は、「2’位の水酸基の保護基を脱離する試薬」として、例えば、テトラブチルアンモニウムフロリド、トリエチルアミントリハイドロフロリドを作用させることにより行うことができる。使用する「2’位の水酸基の保護基を脱離する試薬」の量は除去される保護基に対して1〜500倍モル量が適当であり、好ましくは5〜10倍モル量である。使用する溶媒としては、反応に関与しなければ特に限定されないが、例えば、THF、N−メチルピロリドン、ピリジン、ジメチルスルホキシド又はこれら任意の混合溶媒を挙げることができる。反応溶媒の使用量は、「2’位の水酸基の保護基を脱離する試薬」に対して、0.8〜100倍モル量が適当であり、好ましくは1〜10倍モル量である。反応温度は、20℃〜80℃が好ましい。反応時間は、オリゴ核酸誘導体(14)の種類、使用する2’位の水酸基の保護基を脱離する試薬の種類、反応温度等によって異なるが、通常1時間〜100時間が適当である。
また、必要であれば、本工程における副生成物であるアクリロニトリルを捕捉するために、アクリロニトリルの捕捉剤として、例えば、ニトロアルカン、アルキルアミン、アミジン、チオール、チオール誘導体又はこれら任意の混合物を添加することができる。「ニトロアルカン」としては、直鎖状の炭素数1〜6のニトロアルカンを挙げることができる。具体的には、例えば、ニトロメタン等を挙げることができる。例えば、「アルキルアミン」としては、例えば、直鎖状の炭素数1〜6のアルキルアミンを挙げることができる。具体的には、例えば、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、n−ブチルアミン、n−ペンチルアミン、n−ヘキシルアミンを挙げることができる。「アミジン」としては、例えば、ベンズアミジン、ホルムアミジンを挙げることができる。「チオール」としては、例えば、直鎖状の炭素数1〜6のチオールを挙げることができる。具体的には、例えば、メタンチオール、エタンチオール、1−プロパンチオール、1−ブタンチオール、1−ペンタンチオール、1−ヘキサンチオールを挙げることができる。「チオール誘導体」としては、例えば、同一又は異なる直鎖状の炭素数1〜6のアルキルチオール基を有するアルコール又はエーテルを挙げることができる。具体的には、例えば、2−メルカプトエタノール、4−メルカプト−1−ブタノール、6−メルカプト−1−ヘキサノール、メルカプトメチルエーテル、2−メルカプトエチルエーテル、3−メルカプトプロピルエーテル、4−メルカプトブチルエーテル、5−メルカプトペンチルエーテル、6−メルカプトヘキシルエーテルを挙げることができる。
「アクリロニトリルの捕捉剤」の使用量としては、オリゴ核酸誘導体(14)の種類等によって異なるが、オリゴ核酸誘導体(14)の各リボースの2’位水酸基を保護している2−シアノエトキシメチルに対して、0.8〜500倍モル量が適当であり、好ましくは1〜10倍モル量である。
(7)工程G:
オリゴ核酸誘導体(15)の5’位の水酸基を脱離する工程。
Figure 2007097446
式(15)及び(A)中、各B、各Q、各Rは、それぞれ独立して、前記と同義である。n、R、Zは、前記と同義である。

本工程は、最終的にオリゴ核酸誘導体(15)の5’位水酸基の保護基を脱離する反応であり、固体担体から切り出されたオリゴRNAに酸を作用させることにより実施することができる。
本工程において使用しうる「酸」としては、例えば、トリクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、酢酸を挙げることができる。本工程に使用しうる酸は、適当な溶媒で希釈して使用することもできる。溶媒としては、反応に関与しなければ特に限定されないが、ジクロロメタン、アセトニトリル、水、pHが2〜5の緩衝液又はこれら任意の混合溶媒を挙げることができる。緩衝液としては、例えば、酢酸緩衝液を挙げることができる。上記反応における反応温度は、20℃〜50℃が好ましい。反応時間は、オリゴ核酸誘導体(15)の種類、使用する酸の種類、反応温度等によって異なるが、通常1分〜1時間が適当である。使用する試薬の量は固相担体に担持されているオリゴ核酸誘導体に対して0.8〜100倍モル量が適当であり、好ましくは1〜10倍モル量である。
(8)工程H:
工程Gにおいて製造されるオリゴ核酸(A)を分離精製する工程。

「分離精製工程」とは、上記反応混合物から通常の分離精製手段、例えば、抽出、濃縮、中和、濾過、遠心分離、再結晶、CからC18の逆相カラムクロマトグラフィー、CからC18逆相カートリッジカラム、陽イオン交換カラムクロマトグラフィー、陰イオン交換カラムクロマトグラフィー、ゲルろ過カラムクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、透析、限界ろ過などの手段を単独若しくは組み合わせて用いることにより、所望のオリゴRNAを単離精製する工程である。
「溶出溶媒」としては、例えば、アセトニトリル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、水の単独溶媒もしくは任意の比率の混合溶媒を挙げることができる。この場合添加物として、例えば、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、酢酸アンモニウム、酢酸トリエチルアンモニウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、トリス塩酸、エチレンジアミン四酢酸を1mM〜2Mの濃度で添加し、溶液のpHを1〜9の範囲で調整することもできる。
工程A〜工程Dの操作を繰り返すことにより、所望の鎖長のオリゴ核酸(A)を製造することができる。
また、上記オリゴ核酸の製造方法の工程Bにおいて、核酸モノマー化合物として少なくとも1回はホスホロアミダイト化合物(B)を用いることによって、各Rのうち少なくとも1つが水酸基であるオリゴ核酸(A)を製造することができる。さらに、上記オリゴ核酸の製造方法の工程Bにおいて、核酸モノマー化合物として、全てホスホロアミダイト化合物(B)を用いることによって、各Rが全てOHであるオリゴ核酸(A)を製造することができる。

II.ホスホロアミダイト化合物(B)の製法
ホスホロアミダイト化合物(B)は、次のようにして製造することができる。
以下に示す製法において、原料が反応に影響を及ぼす置換基(例えば、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシ)を有する場合は、原料をあらかじめ公知の方法に従い、適当な保護基で保護した後に反応を行うことが一般的である。保護基は、反応後に、接触還元、アルカリ処理、酸処理などの公知の方法に従い保護基を脱離することができる。
ホスホロアミダイト化合物(B)は、公知化合物又は容易に製造可能な中間体から、例えば、次の工程a〜工程hの操作を実施することにより製造することができる。

以下、詳細に説明する。
(1)工程a:
次の一般式(16)で表されるリボ核酸誘導体にアルキル化試薬を作用させることによって、中性条件下において脱離するエーテル型保護基を2’位の水酸基に導入する、次の一般式(17)で表されるリボ核酸誘導体を製造する工程。
Figure 2007097446
式(16)、(17)及び(17’)中、Bz、R、WGは、前記と同義である。
「アルキル化試薬」として、例えば、次の一般式(18)で表されるエーテル化合物を挙げることができる。
Figure 2007097446
式(18)中、Lは、ハロゲン、アリールチオ基、アルキルスルホキシド基又はアルキルチオ基を表す。WGは、前記と同義である。
Lに係る「ハロゲン」、「アリールチオ基」の「アリール」、「アルキルスルホキシド基」及び「アルキルチオ基」の「アルキル」としては、前記Bの修飾体に係るそれらと同じものを挙げることができる。
エーテル化合物(18)の具体例としては、次の1.〜2.の化合物を挙げることができる。
1.クロロメチル 2−シアノエチルエーテル
2.2−シアノエチル メチルチオメチルエーテル
エーテル化合物(18)は、中性条件下において脱離可能なエーテル型置換基を、2’位の水酸基に塩基性条件下において導入することができる新規なアルキル化試薬であり、ホスホロアミダイト化合物(B)を製造するための試薬として有用である。
エーテル化合物(18)は、次に示す工程1〜工程4を実施することにより製造することができる。

工程1:
次の一般式(19)で表されるアルコール化合物をアルキルチオメチル化し、次の一般式(20)で表される化合物を製造する工程。
Figure 2007097446
式(19)及び(20)中、WGは、前記と同義である。Rは、アルキル又はアリールを表す。
化合物(20)は、Lがアルキルチオ基であるエーテル化合物(18)である。
に係る「アルキル」としては、前記Bの修飾体に係る「アルキル」と同じものを挙げることができる。
がメチルである場合、アルキルチオメチル化試薬としては、例えば、ジメチルスルホキシド、無水酢酸及び酢酸の混合溶液を挙げることができる。「ジメチルスルホキシド」の使用量は、化合物(19)のモル量に対して、10〜200倍モル量が適当であり、好ましくは20〜100倍モル量である。「酢酸」の使用量は、化合物(19)のモル量に対して、10〜150倍モル量が適当であり、好ましくは20〜100倍モル量である。「無水酢酸」の使用量は、化合物(19)のモル量に対して、10〜150倍モル量が適当であり、好ましくは20〜100倍モル量である。反応温度は、0℃〜100℃が適当である。反応時間は、使用する原料の種類、反応温度等によって異なるが、通常1〜48時間が適当である。

工程2:
化合物(20)をハロゲン化し、次の一般式(21)で表される化合物を製造する工程。
Figure 2007097446
式(20)及び(21)中、WG、Rは、前記と同義である。Xは、ハロゲンを表す。
化合物(21)は、エーテル化合物(18)におけるLがハロゲンである化合物である。
に係る「ハロゲン」としては、前記Bの修飾体に係る「ハロゲン」と同じものを挙げることができる。
本工程は、公知の方法(例えば、T.Bennecheら、Synthesis 762(1983))により実施することができる。使用する溶媒は、反応に関与しなければ特に限定されないが、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン系炭化水素を挙げることができる。ハロゲン化試薬としては、例えば、塩化スルフリル、オキシ塩化リンを挙げることができる。「ハロゲン化試薬」の使用量は、化合物(20)のモル量に対して、0.8〜20倍モル量が適当であり、好ましくは1〜10倍モル量である。反応温度は、0℃〜100℃が適当である。反応時間は、使用する原料の種類、反応温度等によって異なるが、通常30分〜24時間が適当である。

工程3:
化合物(21)をアリールチオ化し、次の一般式(22)で表される化合物を製造する工程。
Figure 2007097446
式(21)及び(22)中、WG、Xは、前記と同義である。R3aは、アリールを表す。
化合物(22)は、エーテル化合物(18)におけるLがアリールチオ基である化合物である。
3aに係る「アリール」としては、前記Bの修飾体に係る「アリール」と同じものを挙げることができる。
本工程は、公知の方法により実施することができる。使用する溶媒は、反応に関与しなければ特に限定されないが、例えば、ジクロロメタン、アセトニトリルを挙げることができる。アリールチオ化試薬としては、例えば、チオフェノール、4−メチルベンゼンチオールを挙げることができる。「アリールチオ化試薬」の使用量は、化合物(21)のモル量に対して、0.8〜20倍モル量が適当であり、好ましくは1〜5倍モル量である。反応温度は、0℃〜100℃が適当である。反応時間は、使用する原料の種類、反応温度等によって異なるが、通常1〜48時間が適当である。

工程4:
化合物(20)を酸化し、次の一般式(23)で表される化合物を製造する工程。
Figure 2007097446
式(20)及び(23)中、WG、Rは、前記と同義である。
化合物(23)は、エーテル化合物(18)におけるLがアルキルスルホキシド基である化合物である。
に係る「アルキル」としては、ホスホロアミダイト化合物(B)における「アルキル」と同じものを挙げることができる。
本工程は、公知の方法により実施することができる。使用する溶媒は、反応に関与しなければ特に限定されないが、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、メタノールを挙げることができる。酸化剤としては、例えば、メタクロロ過安息香酸、メタ過ヨウ素酸塩、過酸化水素を挙げることができる。「酸化剤」の使用量は、化合物(20)のモル量に対して、0.8〜10倍モル量が適当であり、好ましくは1〜2倍モル量である。反応温度は、0℃〜100℃が適当である。反応時間は、使用する原料の種類、反応温度等によって異なるが、通常1〜48時間が適当である。
「アルキル化試薬」として、化合物(21)を使用する場合、以下のように実施することができる。
本工程は、公知の方法に従い、市販品として入手可能又は文献記載の方法に従い合成可能である化合物(16)にアルキル化試薬と塩基とを作用させることにより実施することができる。使用する溶媒は、反応に関与しなければ特に限定されないが、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン系炭化水素を挙げることができる。「アルキル化試薬」の使用量は、化合物(16)のモル量に対して、0.8〜20倍モル量が適当であり、好ましくは1〜10倍モル量である。本工程において、必要に応じて、化合物(16)に金属試薬と塩基を作用させ製造される中間体を経由した後、アルキル化試薬を作用させることもできる。かかる「金属試薬」として、例えば、二塩化ジブチルスズを挙げることができる。「金属試薬」の使用量は、化合物(16)のモル量に対して、0.8〜20倍モル量が適当であり、好ましくは1〜10倍モル量である。「塩基」としては、ピリジン、2,6−ジメチルピリジン、2,4,6−トリメチルピリジン、N−メチルイミダゾール、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセンなどの有機塩基を挙げることができる。「塩基」の使用量は、化合物(16)のモル量に対して、0.8〜20倍モル量が適当であり、好ましくは1〜10倍モル量である。反応温度は、0℃〜120℃が適当である。反応時間は、使用する原料の種類、反応温度等によって異なるが、通常30分〜24時間が適当である。
「アルキル化試薬」として、化合物(20)又は化合物(22)を使用する場合、以下のように実施することができる。
本工程は、公知の方法(例えば、M.Matteucci,Tetrahedron Letters,Vol.31,2385(1990))に従い、市販品として入手可能又は文献記載の方法に従い合成可能である化合物(16)に、アルキル化試薬と酸と硫黄原子に対するハロゲン化剤とを作用させることにより実施することができる。「アルキル化試薬」の使用量は、化合物(16)のモル量に対して、0.8〜5倍モル量が適当であり、好ましくは1〜3倍モル量である。「酸」としては、例えば、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸銀、トリメチルシリルトリフルオロメタンスルホネートを挙げることができる。「酸」の使用量は、化合物(16)のモル量に対して、0.01〜20倍モル量が適当であり、好ましくは0.02〜10倍モル量である。使用する溶媒は、反応に関与しなければ特に限定されないが、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、THF、アセトニトリル又はこれら任意の混合溶媒を挙げることができる。本工程において使用する「硫黄原子に対するハロゲン化剤」として、例えば、N−ブロモスクシンイミド(NBS)、N−ヨードスクシンイミド(NIS)を挙げることができる。「硫黄原子に対するハロゲン化剤」の使用量は、化合物(16)のモル量に対して、0.8〜10倍モル量が適当であり、好ましくは1〜5倍モル量である。反応温度は、−78℃〜30℃が適当である。反応時間は、使用する原料の種類、反応温度等によって異なるが、通常5分〜5時間が適当である。
「アルキル化試薬」として、化合物(23)を使用する場合、以下のように実施することができる。
本工程は、公知の方法に従い、市販品として入手可能又は文献記載の方法に従い合成可能である化合物(16)に、アルキル化試薬と酸無水物と塩基とを作用させることにより実施することができる。「アルキル化試薬」の使用量は、化合物(16)のモル量に対して、0.8〜5倍モル量が適当であり、好ましくは1〜3倍モル量である。「酸無水物」としては、例えば、トリフルオロメタンスルホン酸無水物、無水酢酸を挙げることができる。「酸無水物」の使用量は、化合物(16)のモル量に対して、0.01〜20倍モル量が適当であり、好ましくは0.02〜10倍モル量である。塩基としては、例えば、テトラメチルウレア、コリジンを挙げることができる。「塩基」の使用量は、化合物(16)のモル量に対して、0.01〜20倍モル量が適当であり、好ましくは0.02〜10倍モル量である。使用する溶媒は、反応に関与しなければ特に限定されないが、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン又はこれら任意の混合溶媒を挙げることができる。反応温度は、−78℃〜30℃が適当である。反応時間は、使用する原料の種類、反応温度等によって異なるが、通常5分〜24時間が適当である。
(2)工程b:
工程aにおいて製造されるリボ核酸誘導体(17)を単離精製する工程。
本工程は、工程aにおいて製造される混合物から通常の分離精製手段、例えば、薄層クロマトグラフィー、シリガゲルクロマトグラフィーなどの手段を用いることにより単離精製することができる。
(3)工程c:
工程bとは別に、次の一般式(24)で表されるリボ核酸誘導体にアルキル化試薬を作用させることによって、中性条件下において脱離するエーテル型保護基を2’位の水酸基に導入した、次の一般式(25)で表されるリボ核酸誘導体を製造する工程。
Figure 2007097446
式(24)及び(25)中、Bz、WGは、前記と同義である。
Aは、次の一般式(26a)又は(26b)で表されるケイ素置換基を表す。
Figure 2007097446
式(26a)及び(26b)中、Rは、アルキルを表す。
に係る「アルキル」としては、ホスホロアミダイト化合物(B)における「アルキル」と同じものを挙げることができる。
「アルキル化試薬」としては、前記と同じものを挙げることができる。
「アルキル化試薬」として、化合物(21)を使用する場合、以下のように実施することができる。
本工程は、公知の方法に従い、市販品として入手可能又は文献記載の方法に従い合成可能である化合物(24)にアルキル化試薬と塩基とを作用させることにより実施することができる。使用する溶媒は、反応に関与しなければ特に限定されないが、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン系炭化水素を挙げることができる。「アルキル化試薬」の使用量は、化合物(24)のモル量に対して、0.8〜20倍モル量が適当であり、好ましくは1〜10倍モル量である。本工程において、必要に応じて、化合物(24)に金属試薬と塩基を作用させ製造される中間体を経由した後、アルキル化試薬を作用させることもできる。かかる「金属試薬」として、例えば、二塩化ジブチルスズ、tert−ブチルマグネシウムクロリドを挙げることができる。「金属試薬」の使用量は、化合物(24)のモル量に対して、0.8〜20倍モル量が適当であり、好ましくは1〜10倍モル量である。「塩基」としては、ピリジン、2,6−ジメチルピリジン、2,4,6−トリメチルピリジン、N−メチルイミダゾール、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセンなどの有機塩基を挙げることができる。「塩基」の使用量は、化合物(24)のモル量に対して、0.8〜20倍モル量が適当であり、好ましくは1〜10倍モル量である。反応温度は、0℃〜120℃が適当である。反応時間は、使用する原料の種類、反応温度等によって異なるが、通常30分〜24時間が適当である。
「アルキル化試薬」として、化合物(20)又は化合物(22)を使用する場合、以下のように実施することができる。
本工程は、公知の方法(例えば、M.Matteucci,Tetrahedron Letters,Vol.31,2385(1990))に従い、市販品として入手可能又は文献記載の方法に従い合成可能である化合物(24)に、アルキル化試薬と酸と硫黄原子に対するハロゲン化剤とを作用させることにより実施することができる。「アルキル化試薬」の使用量は、化合物(24)のモル量に対して、0.8〜5倍モル量が適当であり、好ましくは1〜3倍モル量である。「酸」としては、例えば、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸銀、トリメチルシリルトリフルオロメタンスルホネートを挙げることができる。「酸」の使用量は、化合物(24)のモル量に対して、0.01〜20倍モル量が適当であり、好ましくは0.02〜10倍モル量である。使用する溶媒は、反応に関与しなければ特に限定されないが、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、THF、アセトニトリル又はこれら任意の混合溶媒を挙げることができる。本工程において使用する「硫黄原子に対するハロゲン化剤」として、例えば、N−ブロモスクシンイミド(NBS)、N−ヨードスクシンイミド(NIS)を挙げることができる。「硫黄原子に対するハロゲン化剤」の使用量は、化合物(24)のモル量に対して、0.8〜10倍モル量が適当であり、好ましくは1〜5倍モル量である。反応温度は、−78℃〜30℃が適当である。反応時間は、使用する原料の種類、反応温度等によって異なるが、通常5分〜5時間が適当である。
「アルキル化試薬」として、化合物(23)を使用する場合、以下のように実施することができる。
本工程は、公知の方法に従い、市販品として入手可能又は文献記載の方法に従い合成可能である化合物(24)に、アルキル化試薬と酸無水物と塩基とを作用させることにより実施することができる。「アルキル化試薬」の使用量は、化合物(24)のモル量に対して、0.8〜5倍モル量が適当であり、好ましくは1〜3倍モル量である。「酸無水物」としては、例えば、トリフルオロメタンスルホン酸無水物、無水酢酸を挙げることができる。「酸無水物」の使用量は、化合物(24)のモル量に対して、0.01〜20倍モル量が適当であり、好ましくは0.02〜10倍モル量である。塩基としては、例えば、テトラメチルウレア、コリジンを挙げることができる。「塩基」の使用量は、化合物(24)のモル量に対して、0.01〜20倍モル量が適当であり、好ましくは0.02〜10倍モル量である。使用する溶媒は、反応に関与しなければ特に限定されないが、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン又はこれら任意の混合溶媒を挙げることができる。反応温度は、−78℃〜30℃が適当である。反応時間は、使用する原料の種類、反応温度等によって異なるが、通常5分〜24時間が適当である。
(4)工程d:
工程a〜工程cとは別に、リボ核酸誘導体(24)にジメチルスルホキシドと酢酸と無水酢酸とを作用させることによって、次の一般式(27)で表されるリボ核酸誘導体を製造する工程。
Figure 2007097446
式(24)及び(27)中、A、Bzは、前記と同義である。
本工程は、公知の方法に従い、市販品として入手可能又は文献記載の方法に従い合成可能であるリボ核酸誘導体(24)に、ジメチルスルホキシドと酢酸と無水酢酸とを作用させることにより実施することができる。
「ジメチルスルホキシド」の使用量は、化合物(24)のモル量に対して、10〜200倍モル量が適当であり、好ましくは20〜100倍モル量である。「酢酸」の使用量は、化合物(24)のモル量に対して、10〜150倍モル量が適当であり、好ましくは20〜100倍モル量である。「無水酢酸」の使用量は、化合物(24)のモル量に対して、10〜150倍モル量が適当であり、好ましくは20〜100倍モル量である。反応温度は、10℃〜50℃が適当である。反応時間は、使用する原料の種類、反応温度等によって異なるが、通常30分〜24時間が適当である。
(5)工程e:
工程dにおいて製造されるリボ核酸誘導体(27)に次の一般式(28)で表されるアルコール化合物と酸と硫黄原子に対するハロゲン化剤とを作用させることによって、中性条件下において脱離するエーテル型保護基を2’位の水酸基に導入した、次の一般式(25)で表されるリボ核酸誘導体を製造する工程。
Figure 2007097446
式(25)、(27)及び(28)中、A、Bz、WGは、前記と同義である。

本工程は、公知の方法に従い、リボ核酸誘導体(27)に、アルコール化合物(28)と酸と硫黄原子に対するハロゲン化剤とを作用させることにより実施することができる。
使用する溶媒は、反応に関与しなければ特に限定されないが、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、THF、アセトニトリル又はこれら任意の混合溶媒を挙げることができる。「アルコール化合物(28)」の使用量は、化合物(27)のモル量に対して、0.8〜20倍モル量が適当であり、好ましくは1〜10倍モル量である。「酸」としては、例えば、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸銀、トリメチルシリルトリフルオロメタンスルホネートを挙げることができる。「硫黄原子に対するハロゲン化剤」としては、例えば、N−ブロモスクシンイミド(NBS)、N−ヨードスクシンイミド(NIS)を挙げることができる。「硫黄原子に対するハロゲン化剤」の使用量は、化合物(27)のモル量に対して、0.1〜20倍モル量が適当であり、好ましくは0.2〜10倍モル量である。反応温度は、−100℃〜20℃が適当である。反応時間は、使用する原料の種類、反応温度等によって異なるが、通常5分〜12時間が適当である。
(6)工程f:
工程c又は工程eにおいて製造されるリボ核酸誘導体(25)の3’位と5’位の水酸基の保護基を脱離する反応を行うことによって、次の一般式(29)で表されるリボ核酸誘導体を製造する工程。
Figure 2007097446
式(25)及び(29)中、A、Bz、WGは、前記と同義である。

本工程は、化合物(25)を有機溶媒に溶解し、フッ素化剤単独又はフッ素化剤と酸(例えば、酢酸、塩酸、硫酸)とを任意の混合比の混合試薬として反応させることにより実施することができる。本工程に使用しうる「フッ素化剤」としては、例えば、フッ化アンモニウム、テトラブチルアンモニウムフロリド(以下、「TBAF」という。)、トリエチルアミントリヒドロフロリド、フッ化水素ピリジンを挙げることができる。「フッ素化剤」の使用量としては、化合物(25)のモル量に対して、0.1〜20倍モル量が適当であり、好ましくは0.2〜10倍モル量である。反応温度は、0℃〜120℃が適当である。反応時間は、使用する原料の種類、反応温度等によって異なるが、通常30分〜24時間が適当である。
混合試薬におけるフッ素化剤と酸との混合比は、1:0.1〜1:2が適当であり、好ましくは1:1〜1:1.2である。
(7)工程g:
工程fにおいて製造されるリボ核酸誘導体(29)の5’位の水酸基に酸性条件下において脱離する保護基(R)を導入する、リボ核酸誘導体(17)を製造する工程。
Figure 2007097446
式(17)、(29)及び(30)中、Bz、R、WGは、前記と同義である。Xは、ハロゲンを表す。

に係る「ハロゲン」としては、前記Bの修飾体に係る「ハロゲン」と同じものを挙げることができる。
本工程は、公知の方法に従い、化合物(29)にR(30)を作用させることにより実施することができる。Rの使用量は、化合物(29)のモル量に対して、0.8〜20倍モル量が適当であり、好ましくは1〜10倍モル量である。使用する溶媒は、反応に関与しなければ特に限定されないが、例えば、アセトニトリル、THFを挙げることができる。「塩基」としては、ピリジン、2,6−ジメチルピリジン、2,4,6−トリメチルピリジン、N−メチルイミダゾール、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセンなどの有機塩基を挙げることができる。「塩基」の使用量は、化合物(29)のモル量に対して、0.8〜20倍モル量が適当であり、好ましくは1〜10倍モル量である。反応温度は、0℃〜120℃が適当である。反応時間は、使用する原料の種類、反応温度等によって異なるが、通常30分〜24時間が適当である。
(8)工程h:
工程b又は工程fにおいて製造されるリボ核酸誘導体(17)にホスホロアミダイト化試薬と、必要に応じて活性化剤とを作用させることによって、3’位の水酸基がホスホロアミダイト化されたホスホロアミダイト化合物(B)を製造する工程。
Figure 2007097446
式(17)及び(A)中、Bz、R、R2a、R2b、WG、WGは、前記と同義である。

「ホスホロアミダイト化試薬」としては、例えば、次の一般式(31a)、(31b)で表される化合物を挙げることができる。
Figure 2007097446
式(31a)及び(31b)中、R2a、R2b、WGは、前記と同義である。Xは、ハロゲンを表す。

に係る「ハロゲン」としては、前記Bの修飾体に係る「ハロゲン」と同じものを挙げることができる。
本工程は、化合物(17)にホスホロアミダイト試薬を作用させて、3’位の水酸基をホスホロアミダイト化する反応であり、公知の方法に従い実施することができる。必要に応じて、活性化剤を使用することもできる。使用する溶媒は、反応に関与しなければ特に限定されないが、例えば、アセトニトリル、THFを挙げることができる。
「ホスホロアミダイト化試薬」の使用量は、化合物(17)のモル量に対して、0.8〜20倍モル量が適当であり、好ましくは1〜10倍モル量である。「活性化剤」としては、例えば、1H−テトラゾール、5−エチルチオテトラゾール、5−ベンジルメルカプト−1H−テトラゾール、4,5−ジクロロイミダゾール、4,5−ジシアノイミダゾール、ベンゾトリアゾールトリフラート、イミダゾールトリフラート、ピリジニウムトリフラート、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、2,4,6−コリジン/N−メチルイミダゾールを挙げることができる。「活性化剤」の使用量は、化合物(17)のモル量に対して、0.8〜20倍モル量が適当であり、好ましくは1〜10倍モル量である。反応温度は、0℃〜120℃が適当である。反応時間は、使用する原料の種類、反応温度等によって異なるが、通常30分〜24時間が適当である。

このようにして、製造されるホスホロアミダイト化合物(B)は、それ自体公知の手段、例えば、濃縮、液性変換、転溶、溶媒抽出、結晶化、再結晶、分留、クロマトグラフィー等により分離精製することができる。
以下に参考例及び試験例を揚げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらのみに限定されない。
参考例1 クロロメチル 2−シアノエチルエーテル
工程1 メチルチオメチル 2−シアノエチルエーテルの製造
3−ヒドロキシプロピオニトリル32g(450mmol)をジメチルスルホキシド450mlに溶解し、無水酢酸324mL、酢酸231mLを加え室温で24時間攪拌した。炭酸水素ナトリウム990gを水4.5Lに溶解したものを調製し、これに反応液を一時間かけて滴下した。そのまま一時間攪拌し、反応液を酢酸エチルにて抽出し、無水硫酸マグネシウムにて乾燥、溶媒留去し得られた油状物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、無色油状物のメチルチオメチル 2−シアノエチルエーテルを41g得た(収率70%)。

H−NMR(CDCl): 2.18(s,3H);2.66(t,2H,J=6.3Hz);3.77(t,2H,J=6.3Hz);4.69(s,2H)

工程2 クロロメチル 2−シアノエチルエーテルの製造
工程1で得られたメチルチオメチル 2−シアノエチルエーテル3.3g(25mmol)を70mLの塩化メチレンに溶解させ、氷冷下2mL(25mmol)の塩化スルフリルを滴下し、さらに室温にて一時間反応させた。反応後、溶媒を留去し真空中にて蒸留し、目的化合物を無色油状物として2.5g得た(収率85%)。

沸点:84−85℃(0.3Torr)

H−NMR(CDCl): 2.72(t,2H,J=6.3Hz);3.92(t,2H,J=6.3Hz);5.52(s,2H)
参考例2 5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−2’−O−(2−シアノエトキシメチル)ウリジン 3’−O−(2−シアノエチル N,N−ジイソプロピルホスホロアミダイト)
工程1 5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−2’−O−(2−シアノエトキシメチル)ウリジンの製造
5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)ウリジン546mg(1mmol)を1,2−ジクロロエタン4mLに溶解し、ジイソプロピルエチルアミン452mg(3.5mmol)を加え、ついで365mg(1.2mmol)の二塩化ジブチルスズを加えた後、室温で一時間反応した。その後80℃にしクロロメチル 2−シアノエチルエーテル155.4mg(1.3mmol)を滴下、そのまま30分間攪拌した。反応終了後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液に反応液を加え塩化メチレンにて抽出を行い無水硫酸マグネシウムにて乾燥、溶媒留去し、得られた混合物を30gのシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−2’−O−(2−シアノエトキシメチル)ウリジンを得た(197mg;収率34%)。

H−NMR(CDCl): 2.47(d,1H,J=7.8Hz);2.69(t,2H,J=6.3Hz);3.55(dd,1H,11.3,2.2Hz);3.62(dd,1H,11.3,2.2Hz);3.83(s,6H);3.87(t,2H,J=6.3Hz);4.07−4.08(m,1H);4.32(dd,1H,J=5.3,1.9Hz);4.54(q,1H,J=5.3Hz);4.94,5.11(2d,2H,J=6.9Hz);5.32(d,1H,J=8.2Hz);6.00(d,1H,J=1.9Hz);6.85−6.88(m,4H);7.29−7.41(m,9H);8.02(d,1H,J=8.2Hz);8.53(br.s,1H)

ESI−Mass:652[M+Na]

工程2 5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−2’−O−(2−シアノエトキシメチル)ウリジン 3’−O−(2−シアノエチル N,N−ジイソプロピルホスホロアミダイト)の製造
工程1で得られた5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−2’−O−(2−シアノエトキシメチル)ウリジン209mg(0.332mmol)、テトラゾール23mg(0.332mmol)をアセトニトリル2mLに溶解し150mgの(0.498mmol)の2−シアノエチル N,N,N’,N’−テトライソプロピルホスホロジアミダイトを滴下し、45℃で1.5時間反応させた。反応後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え酢酸エチルにて抽出し、無水硫酸マグネシウムにて乾燥、溶媒留去し得られた混合物を20gのシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、目的化合物を得た(200mg;収率73%)。

ESI−Mass:852[M+Na]
参考例3 2’−O−(2−シアノエトキシメチル)ウリジン
工程1 3’,5’−O−(テトライソプロピルジシロキサン−1,3−ジイル)−2’−O−(2−シアノエトキシメチル)ウリジンの製造
3’,5’−O−(テトライソプロピルジシロキサン−1,3−ジイル)ウリジン150mg(0.3mmol)をアルゴン雰囲気下THF7mLに溶解し、メチルチオメチル 2−シアノエチルエーテル54mg(0.4mmol)、モレキュラーシーブス4A100mgを加え、10分攪拌した。0℃にしトリフルオロメタンスルホン酸10mg(0.06mmol)のTHF2mL溶液を加え攪拌した後、N−ヨードスクシンイミド92mg(0.4mmol)を加え、1時間攪拌した。反応液をセライトろ過し、塩化メチレンにて洗浄した後、有機相を1Mのチオ硫酸水素ナトリウム水溶液にて洗浄、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液にて洗浄し、無水硫酸マグネシウムにて乾燥、溶媒留去した。得られた残渣を薄層クロマトグラフィーにて精製し、3’,5’−O−(テトライソプロピルジシロキサン−1,3−ジイル)−2’−O−(2−シアノエトキシメチル)ウリジンを得た(150mg;収率85%)。

H−NMR(CDCl): 0.97−1.12(m,28H);2.68−2.73(m,2H);3.78−3.86(m,1H);3.96−4.05(m,2H);4.12−4.30(m,4H);5.0−5.04(m,2H);5.70(d,1H,J=8.2Hz);5.75(s,1H);7.90(d,1H,J=8.2Hz);9.62(br.s,1H)

ESI−Mass:570[M+H]

工程2 2’−O−(2−シアノエトキシメチル)ウリジンの製造
工程1で得られた3’,5’−O−(テトライソプロピルジシロキサン−1,3−ジイル)−2’−O−(2−シアノエトキシメチル)ウリジン200mg(0.35mmol)をメタノール2mLに溶解し、フッ化アンモニウム65mg(1.76mmol)を加え50℃にて5時間加熱攪拌した。放冷後アセトニトリルを加え攪拌し、ろ過濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、目的化合物を得た(108mg;収率94%)。

H−NMR(CDOD): 2.72−2.76(t,2H,J=6.2Hz);3.68−3.92(m,4H);4.00−4.03(m,1H);4.26−4.32(m,2H);4.81−4.95(m,2H);5.71(d,1H, J=8.1Hz);6.00(d,1H,J=3.3Hz);8.10(d,1H,J=8.1Hz)

ESI−Mass:350[M+Na]
参考例4 5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−2’−O−(2−シアノエトキシメチル)ウリジンの製造
2’−O−(2−シアノエトキシメチル)ウリジン14g(43mmol)をピリジンで共沸し真空ポンプで30分乾燥した。THF300mLに溶解し、アルゴン雰囲気下ピリジン68g(856mmol)、モレキュラーシーブス4A20gを加え10分攪拌した。これに4,4’−ジメトキシトリチルクロライド19.6g(57.8mmol)を3回に分けて1時間ごとに加え、さらに1時間攪拌した。メタノール10mLを加え2分攪拌した後、セライトろ過し酢酸エチルにて洗浄した。ろ液を濃縮後、残渣を酢酸エチルに溶解し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と分液した。有機相を飽和塩化ナトリウム水溶液にて洗浄、無水硫酸マグネシウムにて乾燥後溶媒留去した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにて精製し、目的化合物を得た(26.5g;収率98%)。
参考例5 −アセチル−5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−2’−O−(2−シアノエトキシメチル)シチジン 3’−O−(2−シアノエチル N,N−ジイソプロピルホスホロアミダイト)
工程1 −アセチル−5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−2’−O−(2−シアノエトキシメチル)シチジンの製造
−アセチル−5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)シチジン588mg(1mmol)を1,2−ジクロロエタン4mLに溶解し、ジイソプロピルエチルアミン452mg(3.5mmol)を加え、ついで365mg(1.2mmol)の二塩化ジブチルスズを加えた後、室温で一時間反応した。その後80℃にしクロロメチル 2−シアノエチルエーテル155.4mg(1.3mmol)を滴下、そのまま60分間攪拌した。反応終了後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液に反応液を加え塩化メチレンにて抽出を行い無水硫酸マグネシウムにて乾燥、溶媒留去し、得られた混合物を30gのシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、N−アセチル−5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−2’−O−(2−シアノエトキシメチル)シチジンを得た(219mg;収率35%)。

H−NMR(CDCl): 2.19(s,3H);2.56(d,1H,J=8.8Hz);2.65(t,2H,J=6.2Hz);3.55(dd,1H,10.5,2.5Hz);3.63(dd,1H,10.5,2.5Hz);3.82(s,6H);3.86(t,2H,J=6.2Hz);4.09−4.14(m,1H);4.28(d,1H,J=5.1Hz);4.44−4.49(m,1H);4.97,5.24(2d,2H,J=6.9Hz);5.96(s,1H);6.86−6.88(m,4H);7.09(d,1H,J=6.9Hz);7.26−7.42(m,9H);8.48(d,1H,J=6.9Hz);8.59(br.s,1H)

ESI−Mass:693[M+Na]

工程2 −アセチル−5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−2’−O−(2−シアノエトキシメチル)シチジン 3’−O−(2−シアノエチル N,N−ジイソプロピルホスホロアミダイト)の製造
工程1で得られたN−アセチル−5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−2’−O−(2−シアノエトキシメチル) シチジン205mg(0.306mmol)を塩化メチレン2mLに溶解し、ジイソプロピルエチルアミン105mg(0.812mmol)を加え2−シアノエチルN,N−ジイソプロピルクロロホスホロアミダイト116mg(0.49mmol)を滴下し、室温で1時間反応させた。反応後、溶媒を留去し得られた混合物を20gのシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、目的化合物を得た(242mg;収率91%)。

ESI−Mass:871[M+H]
参考例6 −アセチル−2’−O−(2−シアノエトキシメチル)シチジン
工程1 −アセチル−3’,5’−O−(テトライソプロピルジシロキサン−1,3−ジイル)−2’−O−(2−シアノエトキシメチル)シチジンの製造
−アセチル−3’,5’−O−(テトライソプロピルジシロキサン−1,3−ジイル)シチジン1.00g(1.89mmol)とメチルチオメチル 2−シアノエチルエーテル500mg(3.79mmol)を混合し、トルエン10mLとTHF10mLの混合溶媒に溶解した。ついでトリフルオロメタンスルホン酸銀975mg(3.79mmol)を加え、モレキュラーシーブス4Aを加え、乾燥した。氷冷下、N−ブロモスクシンイミド370mg(2.08mmol)を加え、反応容器を遮光し、10分間撹拌した。さらにN−ブロモスクシンイミド70mg(0.39mmol)を追加し、25分間撹拌した。反応終了後、塩化メチレンを加えて希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液にて洗浄を行い、無水硫酸ナトリウムにて乾燥、溶媒留去し、得られた混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、N−アセチル−3’,5’−O−(テトライソプロピルジシロキサン−1,3−ジイル)−2’−O−(2−シアノエトキシメチル)シチジンを得た。(936mg;収率81%)。

H−NMR(CDCl): 0.90−1.11(m,28H);2.28(s,3H);2.62−2.79(m,2H);3.78−3.89(m,1H);3.96−4.04(m,2H);4.19−4.23(m,3H);4.30(d,1H,J=13.6Hz);5.00(d,1H,J=6.8Hz);5.09(d,1H,J=6.8Hz);5.77(s,1H);7.44(d,1H,J=7.5Hz);8.30(d,1H,J=7.5Hz);10.13(s,1H)

ESI−Mass:611[M+H]

工程2 −アセチル−2’−O−(2−シアノエトキシメチル)シチジンの製造
工程1で得られたN−アセチル−3’,5’−O−(テトライソプロピルジシロキサン−1,3−ジイル)−2’−O−(2−シアノエトキシメチル)シチジン500mg(0.819mmol)をTHF2.5mLとメタノール2.5mLの混合溶媒に溶解し、フッ化アンモニウム150mg(4.10mmol)を加え、50℃で4時間反応させた。反応終了後、アセトニトリルにて希釈、濾過し、溶媒を留去し得られた混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、目的化合物を得た(210mg;収率70%)。

H−NMR(DO): 2.13(s,3H);2.66−2.71(m,2H);3.72−3.78(m,3H);3.90(dd,1H,13.0,2.6Hz);4.06−4.11(m,1H);4.20(dd,1H,J=7.1,5.2Hz);4.29(dd,1H,J=5.1,2.9Hz);4.83(d,1H,J=7.2Hz);4.94(d,1H,J=7.2Hz);5.95(d,1H,J=2.9Hz);7.25(d,1H,J=7.6Hz);8.25(d,1H,J=7.6Hz)

ESI−Mass:391[M+Na]
参考例7 −アセチル−5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−2’−O−(2−シアノエトキシメチル)シチジンの製造
2’−O−(2−シアノエトキシメチル)シチジン9.9g(26.8mmol)をピリジンで共沸し真空ポンプで30分乾燥した。THF190mLに溶解し、アルゴン雰囲気下ピリジン43g(538mmol)、モレキュラーシーブス4A20gを加え10分攪拌した。これに4,4’−ジメトキシトリチルクロライド11.8g(34.9mmol)を3回に分けて1時間ごとに加え、さらに1時間攪拌した。メタノール2mLを加え2分攪拌した後、セライトろ過し酢酸エチルにて洗浄した。ろ液をエバポレーターで濃縮後残渣を酢酸エチルに溶解し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と分液した。有機相を飽和塩化ナトリウム水溶液にて洗浄、無水硫酸マグネシウムにて乾燥後溶媒留去した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにて精製し、目的化合物を得た(15g;収率83%)。
参考例8 −アセチル−5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−2’−O−(2−シアノエトキシメチル)グアノシン 3’−O−(2−シアノエチル N,N−ジイソプロピルホスホロアミダイト)
工程1 −アセチル−5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−2’−O−(2−シアノエトキシメチル)グアノシンの製造
−アセチル−5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)グアノシン627mg(1mmol)を1,2−ジクロロエタン4mLに溶解し、ジイソプロピルエチルアミン452mg(3.5mmol)を加え、ついで365mg(1.2mmol)の二塩化ジブチルスズを加えた後、室温で一時間反応した。その後80℃にしクロロメチル 2−シアノエチルエーテル155.4mg(1.3mmol)を滴下、そのまま60分間攪拌した。反応終了後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液に反応液を加え塩化メチレンにて抽出を行い無水硫酸マグネシウムにて乾燥、溶媒留去し、得られた混合物を30gのシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、N−アセチル−5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−2’−O−(2−シアノエトキシメチル)グアノシンを得た(450mg;収率63%)。

H−NMR(CDCl): 1.92(s,3H);2.47−2.51(m,2H);2.68(br.s,1H);3.30(dd,1H,10.7,3.8Hz);3.47(dd,1H,10.7,3.8Hz);3.55−3.60(m,1H);3.65−3.70(m,1H);3.74,3.75(2s,6H);4.22−4.23(m,1H);4.55−4.58(m,1H);4.78,4.83(2d,2H,J=7.0Hz);5.01(t,1H,J=5.1Hz);5.99(d,1H,J=5.1Hz);6.76−6.79(m,4H);7.17−7.44(m,9H);7.88(s,1H);8.36(br.s,1H);12.06(br.s,1H)

工程2 −アセチル−5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−2’−O−(2−シアノエトキシメチル)グアノシン 3’−O−(2−シアノエチル N,N−ジイソプロピルホスホロアミダイト)の製造
工程1で得られたN−アセチル−5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−2’−O−(2−シアノエトキシメチル)グアノシン400mg(0.563mmol)を塩化メチレン2mLに溶解し、ジイソプロピルエチルアミン181mg(1.4mmol)を加え2−シアノエチルN,N−ジイソプロピルクロロホスホロアミダイト161mg(0.68mmol)を滴下し、室温で1時間反応させた。反応後、溶媒を留去し得られた混合物を20gのシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、目的化合物を得た(471mg;収率92%)。
参考例9 −アセチル−5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−2’−O−(2−シアノエトキシメチル)アデノシン 3’−O−(2−シアノエチル N,N−ジイソプロピルホスホロアミダイト)
工程1 −アセチル−5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−2’−O−(2−シアノエトキシメチル)アデノシンの製造
−アセチル−5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)アデノシン22.0g(36.0mmol)を1,2−ジクロロエタン170mLに溶解し、ジイソプロピルエチルアミン16.3g(126mmol)を加え、ついで12.1g(39.7mmol)の二塩化ジブチルスズを加えた後、室温で一時間反応した。その後80℃にし15分間撹拌後、クロロメチル 2−シアノエチルエーテル4.30g(36.0mmol)を滴下、そのまま30分間撹拌した。反応終了後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液に反応液を加え塩化メチレンにて抽出を行い無水硫酸マグネシウムにて乾燥、溶媒留去し、得られた混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、N−アセチル−5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−2’−O−(2−シアノエトキシメチル)アデノシンを得た。(7.47g;収率33%)

H−NMR(CDCl): 2.51(t,2H,J=6.2Hz);2.58(d,1H,J=5.5Hz);2.61(s,3H);3.45(dd,1H,J=10.7,4.0Hz);3.54(dd,1H,J=10.7,3.2Hz);3.62−3.79(m,2H);3.79(s,6H);4.25(br.q,1H,J〜4.6Hz);4.59(q,1H,J=5.2Hz);4.87−4.94(m,3H);6.23(d,1H,J=4.4Hz);6.80−6.83(m,4H);7.22−7.32(m,7H);7.40−7.43(m,2H);8.20(s,1H);8.61(br.s,1H);8.62(s,1H)

ESI−Mass:695[M+H]

工程2 −アセチル−5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−2’−O−(2−シアノエトキシメチル)アデノシン 3’−O−(2−シアノエチル N,N−ジイソプロピルホスホロアミダイト)の製造
工程1で得られたN−アセチル−5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−2’−O−(2−シアノエトキシメチル)アデノシン10.0g(14.4mmol)を塩化メチレン75mLに溶解し、ジイソプロピルエチルアミン4.7g(36mmol)を加え2−シアノエチルN,N−ジイソプロピルクロロホスホロアミダイト4.82g(20.3mmol)を滴下し、室温で1時間反応させた。反応後、溶媒を30mL程度残して留去し得られた反応混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、目的化合物を得た(12.0g;収率93%)。

ESI−Mass:895[M+H]
参考例10 −アセチル−2’−O−(2−シアノエトキシメチル)アデノシン
工程1 −アセチル−3’,5’−O−(テトライソプロピルジシロキサン−1,3−ジイル)−2’−O−(2−シアノエトキシメチル)アデノシンの製造
N−ヨードスクシンイミド245mg(1.09mmol)とトリフルオロメタンスルホン酸銀280mg(1.09mmol)を塩化メチレン8mLに懸濁させ、モレキュラーシーブス4Aを加え、乾燥した。ここに、N−アセチル−3’,5’−O−(テトライソプロピルジシロキサン−1,3−ジイル)アデノシン400mg(0.73mmol)とメチルチオメチル 2−シアノエチルエーテル145mg(1.11mmol)を塩化メチレン4mLに溶解し、氷冷下で加えた。そのまま3時間撹拌した。反応終了後、塩化メチレンを加えて希釈し、チオ硫酸ナトリウム水溶液と飽和炭酸水素ナトリウム水溶液にて洗浄を行い、無水硫酸マグネシウムにて乾燥、溶媒留去し、得られた混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、N−アセチル−3’,5’−O−(テトライソプロピルジシロキサン−1,3−ジイル)−2’−O−(2−シアノエトキシメチル)アデノシンを得た。(201mg;収率45%)

H−NMR(CDCl): 0.98−1.11(m,28H);2.62(s,3H);2.69(td,2H,6.5,J=1.5Hz);3.81−3.89(m,1H);4.02−4.09(m,2H);4.17(d,1H,J=9.4Hz);4.28(d,1H,J=13.4Hz);4.50(d,1H,J=4.5Hz);4.67(dd,1H,J=8.8,4.5Hz);5.02(d,1H,J=7.0Hz);5.08(d,1H,J=7.0Hz);6.10(s,1H);8.34(s,1H);8.66(s,1H);8.67(s,1H)

ESI−Mass:636[M+H]

工程2 −アセチル−2’−O−(2−シアノエトキシメチル)アデノシンの製造
工程1で得られたN−アセチル−3’,5’−O−(テトライソプロピルジシロキサン−1,3−ジイル)−2’−O−(2−シアノエトキシメチル)アデノシン300mg(0.47mmol)を、酢酸0.1mLと0.5MTBAFのTHF溶液2mLの混合溶液に溶解し、室温で2時間撹拌した。反応終了後、得られた反応混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、目的化合物を得た。(160mg;収率86%)。

H−NMR(DMSO−d6): 2.25(s,3H);2.53−2.68(m,2H);3.41−3.46(m,1H);3.56−3.64(m,2H);3.69−3.73(m,1H);4.00−4.01(m,1H);4.36−4.37(m,1H);4.72−4.78(m,3H);5.20(bt,2H);5.41(d,1H,J=5.2Hz);6.17(d,1H,J=5.7Hz);8.66(s,1H);8.72(s,1H);10.72(s,1H)

ESI−Mass:415[M+Na]
参考例11 −アセチル−5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−2’−O−(2−シアノエトキシメチル)アデノシンの製造
−アセチル−2’−O−(2−シアノエトキシメチル)アデノシン9.50g(24.2mmol)を脱水ピリジン100mLに溶解し、濃縮して乾燥した後、アルゴン雰囲気下、脱水ピリジン100mLに溶解した。氷冷下、4,4’−ジメトキシトリチルクロリド10.7g(31.2mmol)を加え、室温で1時間20分反応した。反応終了後、塩化メチレンにて希釈し、水にて洗浄を行い無水硫酸ナトリウムにて乾燥、溶媒留去し、得られた混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、目的化合物を得た。(13.8g;収率82%)
参考例12 −フェノキシアセチル−5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−2’−O−(2−シアノエトキシメチル)グアノシン 3’−O−(2−シアノエチル N,N−ジイソプロピルホスホロアミダイト)
工程1 −フェノキシアセチル−5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−2’−O−(2−シアノエトキシメチル)グアノシンの製造
−フェノキシアセチル−5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)グアノシン720mg(1mmol)を1,2−ジクロロエタン4mLに溶解し、ジイソプロピルエチルアミン452mg(3.5mmol)を加え、ついで365mg(1.2mmol)の二塩化ジブチルスズを加えた後、室温で一時間反応した。その後80℃にしクロロメチル 2−シアノエチルエーテル155.4mg(1.3mmol)を滴下、そのまま60分間攪拌した。反応終了後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液に反応液を加え塩化メチレンにて抽出を行い無水硫酸マグネシウムにて乾燥、溶媒留去し、得られた混合物を30gのシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、N−フェノキシアセチル−5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−2’−O−(2−シアノエトキシメチル)グアノシンを得た(384mg;収率48%)。

H−NMR(CDCl): 2.47−2.51(m,2H);2.58(br.s,1H);3.42(dd,1H,10.1,3.8Hz);3.46(dd,1H,10.1,3.8Hz);3.53−3.57(m,1H);3.69−3.73(m,1H);3.77(s,6H);4.24−4.26(m,1H);4.48−4.50(m,1H);4.61−4.65(m,2H);4.83,4.87(2d,2H,J=7.0Hz);4.88(t,1H,J=5.7Hz);6.05(d,1H,J=5.7Hz);6.80−6.82(m,4H);6.92−6.96(m,3H);7.07−7.11(m,2H);7.20−7.42(m,9H);7.84(s,1H);8.99(s,1H);11.81(br.s,1H)

ESI−Mass:825[M+Na]

工程2 −フェノキシアセチル−5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−2’−O−(2−シアノエトキシメチル)グアノシン 3’−O−(2−シアノエチル N,N−ジイソプロピルホスホロアミダイトの製造
工程1で得られたN−フェノキシアセチル−5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−2’−O−(2−シアノエトキシメチル)グアノシン320mg(0.399mmol)を塩化メチレン4mLに溶解し、ジイソプロピルエチルアミン128.8mg(0.996mmol)を加え2−シアノエチル N,N−ジイソプロピルクロロホスホロアミダイト141.5mg(0.598mmol)を滴下し、室温で1時間反応させた。反応後、溶媒を留去し得られた混合物を30gのシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、目的化合物を得た(316mg;収率79%)。

ESI−Mass:1003[M+H]
参考例13 −フェノキシアセチル−2’−O−(2−シアノエトキシメチル)グアノシン
工程1 −フェノキシアセチル−3’,5’−O−(テトライソプロピルジシロキサン−1,3−ジイル)−2’−O−(2−シアノエトキシメチル)グアノシンの製造
−フェノキシアセチル−3’,5’−O−(テトライソプロピルジシロキサン−1,3−ジイル)グアノシン2.0g(3.0mmol)をTHF16mLに溶解し、メチルチオメチル 2−シアノエチルエーテル0.99g(7.6mmol)、モレキュラーシーブス4A1.0gを加え、アルゴン雰囲気下−45℃で10分攪拌した。トリフルオロメタンスルホン酸0.68g(4.5mmol)のTHF5mL溶液を加え攪拌した後、N−ヨードスクシンイミド1.02g(4.5mmol)を加え、15分攪拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、ろ過後酢酸エチルにて抽出、有機相を1Mのチオ硫酸水素ナトリウム水溶液にて洗浄、水、次いで飽和塩化ナトリウム水溶液にて洗浄し、無水硫酸マグネシウムにて乾燥、溶媒留去した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにて精製し、N−フェノキシアセチル−3’,5’−O−(テトライソプロピルジシロキサン−1,3−ジイル)−2’−O−(2−シアノエトキシメチル)グアノシンを得た(2.0g;収率89%)。

H−NMR(CDCl): 0.99−1.11(m,28H);2.59−2.77(m,2H);3.82−4.05(m,3H);4.15(d,1H,J=9.3Hz);4.25−4.35(m,2H);4.52−4.56(dd,1H,J=9.3,4.3Hz);5.00,5.07(2d,2H,J=7.2Hz);5.95(s,1H)6.99−7.12(m,3H);7.35−7.40(m,2H);8.09(s,1H);9.38(br.s,1H);11.85(br.s,1H)

ESI−Mass:766[M+Na]

工程2 −フェノキシアセチル−2’−O−(2−シアノエトキシメチル)グアノシンの製造
1MTBAF/THF溶液2.83mL(2.83mmol)に酢酸0.14mL(0.14mmol)を加えた溶液を調整する。工程1で得られたN−フェノキシアセチル−3’,5’−O−(テトライソプロピルジシロキサン−1,3−ジイル)−2’−O−(2−シアノエトキシメチル)グアノシン1.0g(1.35mmol)をTHF2.83mLに溶解し、上で調整した溶液を加えアルゴン雰囲気下室温で1時間攪拌した。反応液を減圧下濃縮後、塩化メチレンに溶解しシリカゲルクロマトグラフィーにのせ精製し、目的化合物を得た。(0.67g;収率99%)。

H−NMR(DMSO−d6): 2.59−2.66(m,2H);3.41−3.63(m,4H);3.98(m,1H);4.32(m,1H);4.58−4.62(t,1H,J=5.3Hz);4.71−4.78(dd,2H,J=13.1,6.8Hz);4.87(s,2H);5.12(s,1H)5.37(s,1H);5.97(d,1H,J=6.1Hz)6.96−6.99(m,3H);7.28−7.34(m,2H);8.30(s,1H);11.78(br.s,2H)

ESI−Mass:500[M−H]
参考例14 −フェノキシアセチル−5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−2’−O−(2−シアノエトキシメチル)グアノシンの製造
−フェノキシアセチル−2’−O−(2−シアノエトキシメチル)グアノシン660mg(1.32mmol)をピリジンで共沸し真空ポンプで30分乾燥した。THF9mLに溶解し、アルゴン雰囲気下ピリジン2.1g(26.4mmol)、モレキュラーシーブス4A600mgを加え10分攪拌した。これに4,4’−ジメトキシトリチルクロライド540mg(1.58mmol)を3回に分けて1時間ごとに加え、さらに1時間攪拌した。メタノール2mLを加え2分攪拌した後、セライトろ過し酢酸エチルにて洗浄した。ろ液をエバポレーターで濃縮後残渣を酢酸エチルに溶解し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と分液した。有機相を飽和塩化ナトリウム水溶液にて洗浄、無水硫酸マグネシウムにて乾燥後溶媒留去した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにて精製し、目的化合物を得た(800mg;収率75%)。
参考例15 −アセチル−3’,5’−O−(テトライソプロピルジシロキサン−1,3−ジイル)−2’−O−(2−シアノエトキシメチル)アデノシン
工程1 −アセチル−3’,5’−O−(テトライソプロピルジシロキサン−1,3−ジイル)−2’−O−メチルチオメチルアデノシンの製造
−アセチル−3’,5’−O−(テトライソプロピルジシロキサン−1,3−ジイル)アデノシン2.00g(3.62mmol)をジメチルスルホキシド25mLに溶解し、無水酢酸17.5mL、酢酸12.5mLを加え室温で14時間撹拌した。反応終了後、水200mLに反応液を加え、酢酸エチルにて抽出を行い、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液にて洗浄を行い、無水硫酸ナトリウムにて乾燥、溶媒留去し、得られた混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、N−アセチル−3’,5’−O−(テトライソプロピルジシロキサン−1,3−ジイル)−2’−O−メチルチオメチルアデノシンを得た。(1.36g;収率61%)

H−NMR(CDCl): 0.96−1.11(m,28H);2.20(s,3H);2.61(s,3H);4.03(dd,1H,J=13.4,2.4Hz);4.18(d,1H,J=9.1Hz);4.27(d,1H,J=13.4Hz);4.63−4.71(m,2H);5.00(d,1H,J=11.5Hz);5.07(d,1H,J=11.5Hz);6.09(s,1H);8.31(s,1H);8.65(s,1H);8.69(s,1H)

ESI−Mass:635[M+Na]

工程2 −アセチル−3’,5’−O−(テトライソプロピルジシロキサン−1,3−ジイル)−2’−O−(2−シアノエトキシメチル)アデノシンの製造
工程1で得られたN−アセチル−3’,5’−O−(テトライソプロピルジシロキサン−1,3−ジイル)−2’−O−メチルチオメチルアデノシン1.00g(1.63mmol)を、THF25mLに溶解した。3−ヒドロキシプロピオニトリル5.88g(82.7mmol)を加え、モレキュラーシーブス4Aを加えて乾燥し、−45℃に冷却した。N−ヨードスクシンイミド440mg(1.96mmol)を加え、ついでトリフルオロメタンスルホン酸490mg(3.26mmol)を加えた後、−45℃で15分間撹拌した。反応終了後、冷却したままトリエチルアミンを加えて中和し、塩化メチレンにて希釈、チオ硫酸ナトリウム水溶液と飽和炭酸水素ナトリウム水溶液にて洗浄を行い、無水硫酸ナトリウムにて乾燥、溶媒留去し、得られた混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、目的化合物を得た。(722mg;収率71%)。

試験例1 キャッピング工程において使用するアシル化反応の活性化剤及びフェノキシ酢酸誘導体の捕捉剤の効果1

市販の5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)チミジンを担持したCPG固相担体(333mg,15μmol)をグラスフィルター付きカラムに入れ、核酸自動合成機(ExpediteTM:アプライドバイオシステムズ社)を使用して、オリゴ核酸(アデニリル−[3’→5’]−シチジリル−[3’→5’]−ウリジリル−[3’→5’]−グアニリル−[3’→5’]−アデニリル−[3’→5’]−シチジリル−[3’→5’]−ウリジリル−[3’→5’]−グアニリル−[3’→5’]−アデニリル−[3’→5’]−シチジリル−[3’→5’]−ウリジリル−[3’→5’]−グアニリル−[3’→5’]−アデニリル−[3’→5’]−シチジリル−[3’→5’]−ウリジリル−[3’→5’]−グアニリル−[3’→5’]−アデニリル−[3’→5’]−シチジリル−[3’→5’]−ウリジリル−[3’→5’]−グアニリル−[3’→5’]−チミジン)の合成を行った。
核酸モノマー化合物として、N−アセチル−5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−2’−O−(2−シアノエトキシメチル)アデノシン 3’−O−(2−シアノエチル N,N−ジイソプロピルホスオロアミダイト)、N−アセチル−5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−2’−O−(2−シアノエトキシメチル)シチジン 3’−O−(2−シアノエチル N,N−ジイソプロピルホスオロアミダイト)、5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−2’−O−(2−シアノエトキシメチル)ウリジン 3’−O−(2−シアノエチル N,N−ジイソプロピルホスオロアミダイト)、N−フェノキシアセチル−5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−2’−O−(2−シアノエトキシメチル)グアノシン 3’−O−(2−シアノエチル N,N−ジイソプロピルホスオロアミダイト)を、縮合触媒としてベンジルメルカプトテトラゾールを、酸化剤としてヨウ素溶液を、キャッピング工程に使用する試薬として次の表1に記載の4種類の試薬を使用し、核酸モノマー化合物を20回縮合させた。

Figure 2007097446
上記条件で製造した各オリゴ核酸に対し、切り出し剤としてアンモニア水:エタノール=3:1を使用して、40℃で4時間かけてCPG固相担体からの切り出し及び各リン酸部位、塩基部位の保護基の脱離反応を行った。各反応混合物をろ過後、ろ液を減圧下、濃縮後、ニトロメタン1%を含む1MTBAFのTHF溶液を用いて室温下、3時間反応させ、2’位の水酸基の保護基の脱離反応を行った。上記各条件において製造したオリゴ核酸を未精製のまま一部取り出し、HPLC分析を行った。

図1は、上記1の試薬を使用して製造した未精製のオリゴ核酸について、図2は、上記2の試薬を使用して製造した未精製のオリゴ核酸について、図3は、上記3の試薬を使用して製造した未精製のオリゴ核酸について、図4は、上記4の試薬を使用して製造した未精製のオリゴ核酸について、それぞれ下記測定条件によりHPLC分析を行った結果である。

測定条件:
HPLC装置
送液ユニット:LC−10AT VP(島津製作所社製)
検出器:SPD−10AVP (島津製作所社製)
陰イオン交換HPLCカラム
DNAPac PA−100<4mmφ x 250 mm>(DIONEX社製)
カラム温度:50℃
移動相
グラジエント:リニアグラジエント20分(B液:5−25%)
A液:10%アセトニトリルを含む25mM トリス−塩酸緩衝液
B液:10%アセトニトリル、700mM 過塩素酸ナトリウムを含む25mM トリス−塩酸緩衝液
移動相の流量:1ml/分
紫外線可視分光器検出波長:260nm

次に、各反応溶液をエタノール中に滴下し、沈殿を生成させた後、母液と沈殿を遠心分離した。デカンテーションによって母液を除去し、沈殿を陰イオン交換カラム(DEAE)にて不要ピークを除去後、溶出溶媒(1.0M塩化ナトリウム水溶液を含む10mMリン酸緩衝液)を用いて精製した。溶液を透析処理後、目的化合物を得た。滅菌水でおよそ20 OD/ml程度に希釈したサンプル200μlに対し、nuclease P1(0.5units)を添加し、37°Cで48時間反応させた後、alkaline phosphatase(5units)と緩衝液(1mM MgCl,0.1mM ZnCl,1mM スペルミジンを含む50mM Tris−HCl緩衝液,pH 9.3)を37°Cで24時間反応させて酵素分解を行った。それぞれについて酵素分解したものを下記測定条件によりHPLC分析を行った(図5,6,7参照)。

図5は、上記2の試薬を使用して製造したオリゴ核酸の酵素分解生成物について、図6は、上記3の試薬を使用して製造したオリゴ核酸の酵素分解生成物について、図7は、上記4の試薬を使用して製造した製造したオリゴ核酸の酵素分解生成物について、それぞれ下記測定条件によりHPLC分析を行った結果である。

測定条件:
HPLC装置
送液ユニット:LC−10AS(島津製作所社製)
検出器:SPD−6AV(島津製作所社製)
逆相HPLCカラム
Develosil ODS−UG−5 reverse−phase column <4.6mmφ x 250 mm>(野村化学社製)
カラム温度:40℃
移動相
グラジエント:アイソクラティック20分
50mM リン酸二水素カリウム水溶液(pH3.0):メタノール=20:1
移動相の流量:1ml/分
紫外線可視分光器検出波長:260nm

図1〜4の結果から、アシル化反応を促進するための活性化剤として2−DMAPを使用した場合、NMIや4−DMAPを使用した場合と比較してキャッピング効率が良好であることが明らかである。また、フェノキシ酢酸誘導体の捕捉剤としてピリジンを使用するよりも2,6−ルチジンを使用したほうが、キャッピング効率が優れていることも確認された。

図5〜7の結果から、アシル化反応の活性化剤としてNMIや4−DMAPを使用した場合、少量ではあるが、保持時間が約8.5分のところに見られるグアノシン由来の2,6−ジアミノプリン体の生成が確認できた。一方、アシル化反応の活性化剤として2−DMAPを使用した場合、顕著に2,6−ジアミノプリン体の生成が低減され、さらに、塩基をピリジンから2,6−ルチジンに変更することによって、2,6−ジアミノプリン体の生成が確認できなかった。

試験例2 キャッピング工程において使用するアシル化反応の活性化剤及びフェノキシ酢酸誘導体の捕捉剤の効果2

市販の5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)チミジンを担持したCPG固相担体(333mg,15μmol)をグラスフィルター付きカラムに入れ、核酸自動合成機(ExpediteTM:アプライドバイオシステムズ社)を使用して、オリゴ核酸(シチジリル−[3’→5’]−ウリジリル−[3’→5’]−ウリジリル−[3’→5’]−アデニリル−[3’→5’]−シチジリル−[3’→5’]−グアニリル−[3’→5’]−シチジリル−[3’→5’]−ウリジリル−[3’→5’]−グアニリル−[3’→5’]−アデニリル−[3’→5’]−グアニリル−[3’→5’]−ウリジリル−[3’→5’]−アデニリル−[3’→5’]−シチジリル−[3’→5’]−ウリジリル−[3’→5’]−ウリジリル−[3’→5’]−シチジリル−[3’→5’]−グアニリル−[3’→5’]−アデニリル−[3’→5’]−チミジル−[3’→5’]−チミジン)の合成を行った。
核酸モノマー化合物として、N−アセチル−5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−2’−O−(2−シアノエトキシメチル)アデノシン 3’−O−(2−シアノエチル N,N−ジイソプロピルホスオロアミダイト)、N−アセチル−5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−2’−O−(2−シアノエトキシメチル)シチジン 3’−O−(2−シアノエチル N,N−ジイソプロピルホスオロアミダイト)、5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−2’−O−(2−シアノエトキシメチル)ウリジン 3’−O−(2−シアノエチル N,N−ジイソプロピルホスオロアミダイト)、N−フェノキシアセチル−5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−2’−O−(2−シアノエトキシメチル)グアノシン 3’−O−(2−シアノエチル N,N−ジイソプロピルホスオロアミダイト)を、縮合触媒としてベンジルメルカプトテトラゾールを、酸化剤としてヨウ素溶液を、キャッピング工程に使用する試薬として下記表2に記載の3種類の試薬を使用し、核酸モノマー化合物を20回縮合させた。

上記条件で製造した各オリゴRNAに対し、切り出し剤としてアンモニア水:エタノール=3:1を用いて、40℃で4時間かけてCPG固相担体からの切り出し及び各リン酸部位、塩基部位の保護基の脱離反応を行った。各反応混合物をろ過後、ろ液を減圧下、濃縮後、ニトロメタン1%を含む1MのTBAF THF溶液を用いて室温下、3時間反応させ、2’位水酸基の保護基の脱離反応を行った。次に、各反応溶液をエタノール中に滴下し、沈殿を生成させた後、母液と沈殿を遠心分離した。デカンテーションによって母液を除去し、沈殿を陰イオン交換カラム(DEAE)にて不要ピークを除去後、溶出溶媒(1.0M 塩化ナトリウム水溶液を含む10mM リン酸緩衝液)を用いて精製した。溶液を透析処理後、目的化合物を得た。上記各試薬を使用した場合におけるオリゴ核酸の収量及び収率を以下に示す。

Figure 2007097446
得られた化合物が目的化合物であることは、MALDI−TOF−MSにより、確認した。それぞれ、計算値:6607.06 [M+H]に対して、各々実測値が、6607.69 [M+H]、6609.97 [M+H]、6607.91 [M+H]であった。

以上から、キャッピング工程において、アシル化反応の活性化剤として2−DMAPを、フェノキシ酢酸誘導体の捕捉剤として2,6−ルチジンを使用することにより、オリゴ核酸の単離収率が格段に向上することが明らかとなった。
本発明のキャッピング工程によれば、オリゴ核酸誘導体(2)に対して、十分満足できる効率でリボース5’位水酸基がアシル基で保護されたオリゴ核酸誘導体(12)を製造することができる。
また、本発明のキャッピング工程によれば、アシル化反応の活性化剤として4−DMAPを使用する場合のように、副生成物である2,6−DAPを生じない。
以上のとおり、本発明のキャッピング工程によれば、高純度でかつ簡便なオリゴ核酸の製造が可能である。
図1は、HPLC分析により得られたクロマトグラムを表す。図中、縦軸は、時間(分)を示し、横軸は、吸収強度を示す。 図2は、HPLC分析により得られたクロマトグラムを表す。図中、縦軸は、時間(分)を示し、横軸は、吸収強度を示す。 図3は、HPLC分析により得られたクロマトグラムを表す。図中、縦軸は、時間(分)を示し、横軸は、吸収強度を示す。 図4は、HPLC分析により得られたクロマトグラムを表す。図中、縦軸は、時間(分)を示し、横軸は、吸収強度を示す。 図1は、HPLC分析により得られたクロマトグラムを表す。図中、縦軸は、時間(分)を示し、横軸は、吸収強度を示す。 図2は、HPLC分析により得られたクロマトグラムを表す。図中、縦軸は、時間(分)を示し、横軸は、吸収強度を示す。 図3は、HPLC分析により得られたクロマトグラムを表す。図中、縦軸は、時間(分)を示し、横軸は、吸収強度を示す。

Claims (17)

  1. 次の一般式(2)で表されるオリゴ核酸誘導体のリボースの5’位水酸基をアシル基で保護するキャッピング工程において、アシル化剤として次の一般式(11a)で表されるフェノキシ酢酸誘導体無水物を、アシル化反応の活性化剤として次の一般式(11b)又は(11c)で表されるピリジン誘導体を用いることを特徴とする、次の一般式(12)で表されるオリゴ核酸誘導体の製造方法。
    Figure 2007097446
    式(2)、(11a)、(11b)、(11c)及び(12)中、各Bxは、それぞれ独立して、保護基を有していてもよい核酸塩基又はその修飾体を表す。nは、1〜200の範囲内にある整数を表す。各Qは、それぞれ独立して、O又はSを表す。各WGは、電子吸引性基を表す。R51、R52、R53は、それぞれ同一又は異なって、H、アルキル又はハロゲンを表す。R6a、R6b、R7a、R7b、R7c、R7dは、それぞれ同一又は異なって、アルキルを表す。R6c、R6dは、それぞれ同一又は異なって、H又はアルキルを表す。
    各Rは、それぞれ独立して、H、ハロゲン、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルケニルオキシ、アルケニルチオ、アルケニルアミノ、ジアルケニルアミノ、アルキニルオキシ、アルキニルチオ、アルキニルアミノ、ジアルキニルアミノ、アルコキシアルキルオキシ又は次の一般式(3)で表される置換基を表す。
    Figure 2007097446
    式(3)中、WGは、電子吸引性基を表す。
    Eは、アシル又は次の一般式(4)で表される置換基を表す。
    Figure 2007097446
    式(4)中、Eは、単結合又は次の一般式(5)で表される置換基を表す。
    Figure 2007097446
    式(5)中、Q、WGは、前記と同義である。
    Tは、H、アシルオキシ、ハロゲン、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルケニルオキシ、アルケニルチオ、アルケニルアミノ、ジアルケニルアミノ、アルキニルオキシ、アルキニルチオ、アルキニルアミノ、ジアルキニルアミノ、アルコキシアルキルオキシ、上記一般式(3)で表される置換基又は上記一般式(4)で表される置換基を表す。但し、E又はTのどちらか一方は、置換基(4)である。
  2. ピリジン誘導体(11b)が2−ジメチルアミノピリジンである、請求項1に記載のオリゴ核酸誘導体の製造方法。
  3. フェノキシ酢酸誘導体無水物(11a)がフェノキシ酢酸無水物である、請求項1に記載のオリゴ核酸誘導体の製造方法。
  4. WGがシアノである、請求項1に記載のオリゴ核酸誘導体の製造方法。
  5. さらに、ピリジン又は2,6−ルチジンを用いることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のオリゴ核酸誘導体の製造方法。
  6. 下記工程を含む、次の一般式(A)で表されるオリゴ核酸の製造方法。
    Figure 2007097446
    式(A)中、各Bは、それぞれ独立して、核酸塩基又はその修飾体を表す。nは、1〜200の範囲内にある整数を表す。各Qは、それぞれ独立して、O又はSを表す。各Rは、それぞれ独立して、H、水酸基、ハロゲン、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルケニルオキシ、アルケニルチオ、アルケニルアミノ、ジアルケニルアミノ、アルキニルオキシ、アルキニルチオ、アルキニルアミノ、ジアルキニルアミノ又はアルコキシアルキルオキシを表す。Zは、H、リン酸基又はチオリン酸基を表す。
    工程:
    次の一般式(2)で表されるオリゴ核酸誘導体のリボースの5’位水酸基をアシル基で保護するキャッピング工程において、アシル化剤として次の一般式(11a)で表されるフェノキシ酢酸誘導体無水物を、アシル化反応の活性化剤として次の一般式(11b)又は(11c)で表されるピリジン誘導体を用いることを特徴とする、次の一般式(12)で表されるオリゴ核酸誘導体を製造する工程。
    Figure 2007097446
    式(2)、(11a)、(11b)、(11c)及び(12)中、各Qは、それぞれ独立して、前記と同義である。nは前記と同義である。各Bxは、それぞれ独立して、保護基を有していてもよい核酸塩基又はその修飾体を表す。各WGは、電子吸引性基を表す。R51、R52、R53は、それぞれ同一又は異なって、H、アルキル又はハロゲンを表す。R6a、R6b、R7a、R7b、R7c、R7dは、それぞれ同一又は異なって、アルキルを表す。R6c、R6dは、それぞれ同一又は異なって、H又はアルキルを表す。
    各Rは、それぞれ独立して、H、ハロゲン、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルケニルオキシ、アルケニルチオ、アルケニルアミノ、ジアルケニルアミノ、アルキニルオキシ、アルキニルチオ、アルキニルアミノ、ジアルキニルアミノ、アルコキシアルキルオキシ又は次の一般式(3)で表される置換基を表す。
    Figure 2007097446
    式(3)中、WGは、電子吸引性基を表す。

    Eは、アシル又は次の一般式(4)で表される置換基を表す。
    Figure 2007097446
    式(4)中、Eは、単結合又は次の一般式(5)で表される置換基を表す。
    Figure 2007097446
    式(5)中、Q、WGは、前記と同義である。

    Tは、H、アシルオキシ、ハロゲン、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルケニルオキシ、アルケニルチオ、アルケニルアミノ、ジアルケニルアミノ、アルキニルオキシ、アルキニルチオ、アルキニルアミノ、ジアルキニルアミノ、アルコキシアルキルオキシ、上記一般式(3)で表される置換基又は上記一般式(4)で表される置換基を表す。但し、E又はTのどちらか一方は、置換基(4)である。
  7. ピリジン誘導体(11b)が2−ジメチルアミノピリジンである、請求項6に記載のオリゴ核酸の製造方法。
  8. フェノキシ酢酸誘導体無水物(11a)がフェノキシ酢酸無水物である、請求項6に記載のオリゴ核酸の製造方法。
  9. WGがシアノである、請求項6に記載のオリゴ核酸の製造方法。
  10. さらに、ピリジン又は2,6−ルチジンを用いることを特徴とする、請求項6〜9のいずれかに記載のオリゴ核酸の製造方法。
  11. 下記工程A〜Hを含む、次の一般式(A)で表されるオリゴ核酸の製造方法。
    Figure 2007097446
    式(A)中、各Bは、それぞれ独立して、核酸塩基又はその修飾体を表す。nは、1〜200の範囲内にある整数を表す。各Qは、それぞれ独立して、O又はSを表す。各Rは、それぞれ独立して、H、水酸基、ハロゲン、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルケニルオキシ、アルケニルチオ、アルケニルアミノ、ジアルケニルアミノ、アルキニルオキシ、アルキニルチオ、アルキニルアミノ、ジアルキニルアミノ又はアルコキシアルキルオキシを表す。Zは、H、リン酸基又はチオリン酸基を表す。
    工程A:
    次の一般式(1)で表されるオリゴ核酸誘導体に酸を作用させることによって、5’位の水酸基の保護基を脱離して、次の一般式(2)で表されるオリゴ核酸誘導体を製造する工程、
    Figure 2007097446
    式(1)及び(2)中、各Qは、それぞれ独立して、前記と同義である。nは前記と同義である。各Bxは、それぞれ独立して、保護基を有していてもよい核酸塩基又はその修飾体を表す。Rは、次の一般式(10)で表される置換基を表す。
    Figure 2007097446
    式(10)中、R11、R12、R13は、同一又は異なって、水素又はアルコキシを表す。
    各WGは、電子吸引性基を表す。各Rは、それぞれ独立して、H、ハロゲン、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルケニルオキシ、アルケニルチオ、アルケニルアミノ、ジアルケニルアミノ、アルキニルオキシ、アルキニルチオ、アルキニルアミノ、ジアルキニルアミノ、アルコキシアルキルオキシ又は次の一般式(3)で表される置換基を表す。
    Figure 2007097446
    式(3)中、WGは、電子吸引性基を表す。
    Eは、アシル又は次の一般式(4)で表される置換基を表す。
    Figure 2007097446
    式(4)中、Eは、単結合又は次の一般式(5)で表される置換基を表す。
    Figure 2007097446
    式(5)中、Q、WGは、前記と同義である。
    Tは、H、アシルオキシ、ハロゲン、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルケニルオキシ、アルケニルチオ、アルケニルアミノ、ジアルケニルアミノ、アルキニルオキシ、アルキニルチオ、アルキニルアミノ、ジアルキニルアミノ、アルコキシアルキルオキシ、上記一般式(3)で表される置換基又は上記一般式(4)で表される置換基を表す。但し、E又はTのどちらか一方は、置換基(4)である。
    工程B:
    工程Aにおいて製造されるオリゴ核酸誘導体(2)に、活性化剤を用いて核酸モノマー化合物を縮合させ、次の一般式(9)で表されるオリゴ核酸誘導体を製造する工程、
    Figure 2007097446
    式(2)及び(9)中、各B、各Q、各R、各WGは、それぞれ独立して、前記と同義である。E、n、R、Tは、前記と同義である。
    工程C:
    工程Bにおいて未反応であるオリゴ核酸誘導体(2)のリボースの5’位水酸基をアシル基で保護するキャッピング工程において、アシル化剤として次の一般式(11a)で表されるフェノキシ酢酸誘導体無水物を、アシル化反応の活性化剤として次の一般式(11b)又は(11c)で表されるピリジン誘導体を用いることを特徴とする、次の一般式(12)で表されるオリゴ核酸誘導体を製造する工程、
    Figure 2007097446
    式(2)、(11a)、(11b)、(11c)及び(12)中、各B、各Q、各R、各WGは、それぞれ独立して、前記と同義である。E、n、Tは、前記と同義である。R51、R52、R53は、それぞれ同一又は異なって、H、アルキル又はハロゲンを表す。R6a、R6b、R7a、R7b、R7c、R7dは、それぞれ同一又は異なって、アルキルを表す。R6c、R6dは、それぞれ同一又は異なって、H又はアルキルを表す。
    工程D:
    工程Bにおいて製造されるオリゴ核酸誘導体(9)に酸化剤を作用させることによって亜リン酸基をリン酸基又はチオリン酸基に変換する工程、
    Figure 2007097446
    式(9)及び(13)中、各B、各Q、各R、各WGは、それぞれ独立して、前記と同義である。E、n、R、Tは、前記と同義である。
    工程E:
    工程Dにおいて製造されるオリゴ核酸誘導体(13)を固相担体から切り出し、各核酸塩基部及び各リン酸基の保護基を脱離する工程、
    Figure 2007097446
    式(13)及び(14)中、各B、各B、各Q、各R、各WG、Zは、それぞれ独立して、前記と同義である。E、n、R、R、T、Zは、前記と同義である。
    工程F:
    工程Eにおいて製造されるオリゴ核酸誘導体(14)に、各リボースの2’位水酸基の保護基を脱離するための試薬を作用させることによって、次の一般式(15)で表されるオリゴ核酸誘導体を製造する工程、
    Figure 2007097446
    式(14)及び(15)中、各B、各Q、各R、各Rは、それぞれ独立して、前記と同義である。n、R、Zは、前記と同義である。
    工程G:
    工程Fにおいて製造されるオリゴ核酸誘導体(15)の5’位の水酸基を脱離する工程、
    Figure 2007097446
    式(15)及び(A)中、各B、各Q、各Rは、それぞれ独立して、前記と同義である。n、R、Zは、前記と同義である。工程H:
    工程Gにおいて製造されるオリゴ核酸(A)を分離精製する工程。
  12. 工程Bにおいて、少なくとも1つは、核酸モノマー化合物として次の一般式(B)で表される化合物を用いることを特徴とする、請求項11に記載のオリゴ核酸の製法。
    Figure 2007097446
    式(B)中、Bzは、保護基を有していてもよい核酸塩基又はその修飾体を表す。
    は、次の一般式(10)で表される置換基を表す。
    Figure 2007097446
    式(10)中、R11、R12、R13は、同一又は異なって、水素又はアルコキシを表す。
    2a、R2bは、同一若しくは異なって、アルキルを表すか、又は、R2a、R2bが隣接する窒素原子と一緒になって形成する、5〜6員の飽和アミノ環基を表す。かかる飽和アミノ環基は、窒素原子の他に環構成原子として酸素原子又は硫黄原子を1個有していてもよい。WG、WGは、同一又は異なって、電子吸引性基を表す。
  13. 工程A〜Dを繰り返すことにより所望の鎖長のオリゴ核酸を製造する、請求項11又は12のいずれかに記載のオリゴ核酸の製法。
  14. ピリジン誘導体(11b)が2−ジメチルアミノピリジンである、請求項11〜13のいずれかに記載のオリゴ核酸の製造方法。
  15. フェノキシ酢酸誘導体無水物(11a)がフェノキシ酢酸無水物である、請求項11〜13のいずれかに記載のオリゴ核酸の製造方法。
  16. WGがシアノである、請求項11〜13のいずれかに記載のオリゴ核酸の製造方法。
  17. さらに、ピリジン又は2,6−ルチジンを用いることを特徴とする、請求項11〜16のいずれかに記載のオリゴ核酸の製造方法。
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