JP2005029294A - 固形物投入装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】固形物投入装置20において、第1及び第2のホッパ14,16をチューブホース28で連結し、各センサを配設した狭窄機構60,60…を複数設けて制御装置34で制御することにより、錠剤40に損傷を与えずに効率よく投入できる。又、振動手段74及び除電器78を設けているので、静電気によるチューブホース28への錠剤40の付着を防止できる。更に、品種切り替えの際には、チューブホース28を交換して制御装置34で昇降部材72,72…を操作して間隔を自動的に調整するだけですむ上、錠剤40のクロスコンタミネーションの発生や落下による破損を確実に防止できる。
【選択図】 図3
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は固形物投入装置に係り、特に医薬品及び食品としての錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤等の固形物を上方から下方へ投入する固形物投入装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
医薬品や食品を製造する過程において、上方の容器に貯留された、材料又は製品としての、錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤等の固形物を、下方の容器へ供給する際に、重力落下によって投入する方法が一般的である。しかしながら、落下距離が長い場合には、固形物が容器の底、壁、又は固形物同士と勢いよく衝突するので、その衝撃により固形物の表面に割れ・欠け等の損傷が発生する。固形物の損傷、特に割れ・欠けは医薬品の品質として重大な欠陥項目である。
【0003】
そのため、従来より上記容器への投入時において、固形物へ加わる衝撃を緩和するために数々の試みがなされている。特に、特許文献1で開示されている固形物の投入装置においては、容器内の中央に設けられた中心軸の外周面に、軸線回りに旋回する螺旋状に突出させた羽根が設けられている案内部材と、羽根の全外周端縁で羽根の上面に突出するように設けられた側壁とで構成されており、固形物が前記装置の上方から供給されると、固形物自体の自重により案内部材の羽根を伝って、中心軸に対して螺旋状に旋回しつつ容器の底部近傍まで案内されて落下する。これにより、落下衝撃による固形物表面上への割れ・欠けの発生を減少させることができる。
【0004】
【特許文献1】
特開平9−118411号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1の固形物の投入装置では落下衝撃による固形物表面上の割れ・欠け等の損傷に対してある程度の効果は見られるが、その発生率は決して低いものではない。
【0006】
また、錠剤やカプセル剤には表面に印刷加工を施したものも存在し、投入時に固形物表面が羽根表面に直接接触しながら転落又は滑落していくので、摩擦により固形物表面上の印刷が剥がれる、いわゆる印刷欠けが発生する。これは、品質上の欠陥であるので不良品として扱われる。さらに、その剥がれた印刷が他の固形物に転写されたり付着する、いわゆる印刷転写が発生する。これも、品質上の欠陥であるので不良品として扱われる。これら不良品は、製品内に混入すると製品の品質上の重大な欠陥となるので、全て廃棄しなければならず、全体の製造効率が低下してしまう。
【0007】
さらに、ロット及び品種の切り替えが多い製造ラインの場合、案内部材及び側壁の形状が螺旋状という複雑な構造をしているため、ロット及び品種の切り替えの際の清掃に多大な時間を要する上、装置の隙間等に前回生産時の固形物が残存して、クロスコンタミネーションという品質管理の上で深刻な問題が発生する虞がある。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、固形物を上方から下方へ投入する際に、固形物表面に対して損傷を与えずに、効率よく確実に投入することができる極めて優れた固形物投入装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1は前記目的を達成するために、上方の容器に貯留された固形物を、チューブホースを介して下方の容器に投入するとともに、該チューブホースを狭窄変形させる狭窄機構が前記チューブホースの長手方向に所定の間隔をもって複数配置された固形物投入装置であって、前記狭窄機構は、前記チューブホースの外周を包囲する2枚の弾性板と、該2枚の弾性板の両端部に連結され、該両端部を互いに離れる方向に引っ張ることにより、前記2枚の弾性板で前記チューブホースを狭窄変形させる引張手段と、前記引張手段の動作を制御する開閉制御手段と、を有することを特徴とする。
【0010】
ここで、上方の容器にはタンク、コンテナ、ホッパを含み、下方の容器には製造ラインのドラム、ホッパ、コンテナを含むものとする。また、貯留とは一次的に溜めることも含むものとする。
【0011】
本発明の請求項1によれば、固形物投入装置において、上方の容器及び下方の容器は軟性のチューブホースで連結され、そのチューブホースの長手方向に連なるように複数の狭窄機構が設けられる。各狭窄機構間の間隔は、投入する固形物の落下強度の限界値よりも短い距離で設定される。狭窄機構は、伸縮自在の2枚の弾性板と、2枚の弾性板の両端部を互いに離れる方向に引っ張る引張手段で構成される。2枚の弾性板は、チューブホースの外周を包囲するように配置され、両端と先端とが連結した状態で設けられている。引張手段で2枚の弾性板の引っ張りを解除すると、2枚の弾性板が拡張してリング状を形成するので、狭窄機構はチューブホースを狭窄しない開成状態となる。また、引張手段で2枚の弾性板を引っ張ると、2枚の弾性板が一文字状を形成するので、狭窄機構はチューブホースを狭窄した閉成状態となる。引張手段ではチューブホースを2方向から均等な力で2枚の弾性板を引っ張るので、狭窄機構によるチューブホースのねじれやずれを防止することができる。
【0012】
また、固形物投入装置において、開閉制御手段により各狭窄機構の開閉が制御される。開閉制御手段は第1の制御及び第2の制御を有しており、固形物投入装置は第1及び/又は第2の制御を作動させて、固形物の投入が行われる。
【0013】
第1の制御では、全ての狭窄機構を閉成してから各狭窄機構を一定間隔をおいて上から順に開成するように各狭窄機構が制御される。段階的な落下を繰り返す段階落下輸送が行われるので、1回の重力落下で落下する距離を短くすることができ、落下時の衝撃による固形物表面の割れ・欠け等の損傷を防止することができる。また、固形物がチューブホースに充満した後は棒状を形成して落下するので、固形物表面の割れ・欠け等の損傷が発生し難くできる。一方、第2の制御では、第1の制御で段階的に一定量の固形物を落下させた後、一定量の固形物を一定間隔で落下させる間欠落下輸送を行うように各狭窄機構が制御される。これにより、固形物を追加投入する際に、間隔が空いてチューブホースに空洞が形成されることがないので、その落下衝撃による固形物表面への損傷を防止できる。さらに、投入する距離が極めて長距離の場合には、固形物自体の積圧によって生じる、下層の固形物表面への損傷の防止にも極めて有効である。
【0014】
本発明の請求項2は前記目的を達成するために、請求項1の狭窄機構は、前記2枚の弾性板の両端部と前記引張手段とを連結する連結板を備え、該連結板は、前記2枚の弾性板の動作を制限する制限部材を有していることを特徴とする。これにより、狭窄機構の開閉時に2枚の弾性板の動作を安定して行えるため、引張手段による狭窄機構の開閉を確実に行うことができる。
【0015】
本発明の請求項3は前記目的を達成するために、請求項1又は2の狭窄機構は、前記引張手段であるシリンダ装置の内部の圧力を測定する圧力センサと、前記ロッドの位置を測定する位置センサと、を備え、各圧力センサ同士及び各位置センサ同士の値の差が一定誤差範囲内になるように、前記シリンダ装置を制御するシリンダ制御手段を有することを特徴とする。
【0016】
本発明の請求項3によれば、狭窄機構の引張手段であるシリンダ装置が正常に動作しないと2枚の弾性板が均等に拡縮しないので、狭窄機構は確実に開閉できない上、狭窄機構を閉成したときにはチューブホースのねじれやよれが発生するので、そのねじれやよれによってチューブホースに損傷を与える可能性がある。また、チューブホース内を通過する固形物を弾性板によって挟み込むと、固形物の投入を確実に行えないばかりでなく、固形物の物性や挟み込む圧力によっては固形物を破損したり、チューブホースに損傷を与える可能性がある。
【0017】
そこで、各シリンダ装置に、各シリンダ装置内のエア圧を測定する圧力センサと、各ロッドの作動位置を感知する位置センサとを設けて、各センサの測定値をシリンダ制御手段で制御することにより、各シリンダ装置の作動を管理することができる。即ち、狭窄機構が正常に開閉しなかったり、弾性板で固形物を挟み込んでしまった場合には、各圧力センサ同士及び各位置センサ同士の測定値に誤差が発生するので、シリンダ制御手段により固形物投入を一時停止させて、発生した要因を解消した後に投入を再開させる。これにより、チューブホースに余計な負担をかけずに固形物投入を確実に行うことができるとともに、弾性板の挟み込みによって破損された固形物の混入を防止することができる。
【0018】
本発明の請求項4は前記目的を達成するために、請求項1〜3の何れか1の狭窄機構は、前記2枚の弾性板及び前記チューブホースへ光又は超音波を照射して受信するセンサを備え、前記センサの測定値を基に前記狭窄機構の開閉を制御する狭窄制御手段を有することを特徴とする。
【0019】
請求項4によれば、2枚の弾性板及びチューブホースに対して、光又は超音波を発信して受信することにより、その状態を監視するセンサを設けて、狭窄制御手段でセンサの測定値に基づいて狭窄機構の開閉を制御している。これにより、固形物をチューブホースを介して2枚の弾性板で挟み込んだ場合や、弾性板が損傷した場合には、センサの測定値に変化が生じる。すると、狭窄制御手段によって固形物投入装置における固形物の投入を一時停止させ、発生した要因を解消した後に投入を再開させる。これにより、弾性板の挟み込みによって破損した固形物の混入を防止するとともに、より確実な固形物の投入を行うことができる。
【0020】
請求項5は前記目的を達成するために、請求項1〜4の何れか1の固形物投入装置は、前記チューブホースを振動させる振動手段を備えたことを特徴とする。
【0021】
請求項5及び6によれば、固形物投入装置において、狭窄機構の開閉を行うとチューブホースと接触するので、チューブホースに静電気が発生して投入される固形物がチューブホース内面に付着する可能性がある。そこで、請求項5のように、チューブホースを振動させる振動手段を設けることにより、振動手段からの振動でチューブホースに付着した固形物を表面から剥離させることができる。また、請求項6のようにチューブホースの内部及び/又は外部に除電器を設けて、チューブホースに対してイオンエアを吹き付けることにより、チューブホースで帯電して発生した静電気を除去することができるので、静電気による固形物の付着を確実に防止することができる。
【0022】
請求項7は前記目的を達成するために、請求項1〜6の何れか1の固形物投入装置は、投入する固形物の強度に応じて前記狭窄機構を上下方向に移動させる昇降部材を備え、各昇降部材の動作を制御して間隔を調整する間隔調整手段を有することを特徴とする。
【0023】
請求項7によれば、固形物投入装置を用いて投入される固形物は、その物性により落下強度は異なる。したがって、様々な品種を扱う場合には各狭窄機構の間隔を固形物の強度に応じて調整する必要がある。そこで、各狭窄機構を上下方向に移動させて固定する昇降部材を設けて、投入される固形物の強度に応じて各狭窄機構間の距離を自動的に調整する間隔調整手段を有することにより、様々な固形物に対する投入を簡単且つ短時間で切り替えて行うことができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下添付図面に従って、本発明に係わる固形物投入方法及び装置における好ましい実施の形態について詳説する。
【0025】
図1は、本発明の実施の形態である固形物投入装置20を備えた医薬品製造ライン10の全体構成図である。
【0026】
図1に示すように、医薬品製造ライン10は天井部10Aと地上部10Bに分かれており、天井部10Aには搬送コンテナ12及び第1のホッパ14が、地上部10Bには第2のホッパ16、製造装置18、固形物投入装置20、及び制御装置34が設けられる。
【0027】
搬送コンテナ12とは、投入される固形物である多量の医薬品錠剤(以下錠剤とする)を収納できる容器であり、付属する足場で医薬品製造ライン10の天井部10Aの上を自由に移動させて、任意の場所に固定することができる。天井部10Aの床には第1のホッパ14が設置され、その上方に開閉可能なバルブ13が配設されている。搬送コンテナ12の下部とバルブ13とを接続してバルブ13を開成させると、第1のホッパ14へと固形物が供給される。
【0028】
地上部10Bに設けられている製造装置18は、錠剤に対して加工を施して製品化するための装置であり、上部には第2のホッパ16が配設されている。第2のホッパ16は、製造装置18へ供給する錠剤を一定量貯留するためのものである。
【0029】
第1のホッパ14と第2のホッパ16との間には、固形物投入装置20が設けられる。固形物投入装置20は、主にチューブホース28と、複数の狭窄機構60,60…と、2本の支持棒44,44と、制御装置34とで構成される。
【0030】
チューブホース28は、第1のホッパ14と第2のホッパ16とを連結して固形物の落下経路を形成し、その連結部には振動手段74,74が各々に設けられている。各振動手段74,74は所定の時間内に所定の間隔で振動し、その振動によりチューブホース28が振動する。チューブホース28には、その両端は第1のホッパ14及び第2のホッパ16に脱着可能な状態に装着されており、医薬品への使用に衛生上問題のない、交換可能なものを使用している。内面滑り性が良く、狭窄機構60の開閉機能を妨げない程度の軟性を有するように、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、弗化エチレン、塩化ビニル等の樹脂材料を用いることが好ましい。
【0031】
チューブホース28の両側には、2本の支持棒44,44が並列して天井部10Aと地上部10Bとの間で固定される。2本の支持棒44,44には、複数の昇降部材72,72…が設けられる。昇降部材72は、支持棒44を介して上下方向にスライドして支持棒44上の任意の位置で固定できる構造をしている。各昇降部材72,72…は支持棒44及び制御管32を介して制御装置34と接続し、間隔調整手段により各昇降部材72,72…の配置が制御される。昇降部材72の上方及び下方には、2つの除電器78,78が設けられる。除電器78ではチューブホース28の帯電状況を検知し、その帯電状況に応じた量のイオンエアをチューブホース28の外面に対して自動的に吹き付ける。
【0032】
2本の支持棒44,44の相対する位置関係にある昇降部材72,72を介して、複数の狭窄機構60,60…がチューブホース28の長手方向に所定の間隔をもって配置されている。図2は、狭窄機構60を上面から見た拡大図であり、図2(A)は開成した状態を、図2(B)は閉成した状態を示している。図2に示すように、狭窄機構60は、アルミ等の軽量で剛性のある外壁62に覆われており、外壁62の内部には2枚の弾性板63,63、引張手段であるシリンダ装置66,66、及び挟み込みセンサ76,76が配置される。
【0033】
弾性板63は、開閉時に錠剤に対して衝撃を与えないようにシリコンゴム等の軟質のものが用いられる。上方から見て2枚の弾性板63,63は、引っ張ると一文字状を形成して、緩めると半楕円状を形成する構造である。弾性板63の両端部には連結板65,65が付属している。その両端部を各シリンダ装置66,66に付属する各ロッド68,68の先端に固定することにより、2枚の弾性板63,63及び各ロッド68,68が連結される。各連結板65,65は、弾性板63を緩めたときに外側方向へ曲折する構造をしている。
【0034】
シリンダ装置66は、主にシリンダ67及びロッド68で構成される。シリンダ67には、前部供給口69a及び後部供給口69bを有し、各配管69c,69cを介して電磁弁70と連結している。電磁弁70には、図示しない加圧エアを供給する供給管及びシリンダ67内のエアを排気する排気管とが接続されており、制御装置34で電磁弁70を制御してシリンダ67への加圧エアの供給方向を切り替えることにより、ロッド68が伸縮する。電磁弁70には図示しない圧力センサが内蔵されており、シリンダ67内のエア圧を常に測定して、その測定値を制御装置34へ送信する。また、シリンダ67の内部には図示しない位置センサが内蔵されており、伸縮するロッド68の位置を常に測定して、その測定値を制御装置34へ送信する。
【0035】
挟み込みセンサ76は、2枚の弾性板63,63及びチューブホース28を中心に相対する位置にある外壁62内面に設けられる。挟み込みセンサ76から2枚の弾性板63,63へ超音波を発振して受信することにより、2枚の弾性板63,63及びチューブホース28の厚みが測定されて、その測定値を接続する制御装置34へ送信する。
【0036】
制御装置34は、2つの制御管32,32及び2つの支持棒44,44を介して各狭窄機構60,60…及び各昇降部材72,72…と接続し、固形物投入装置20における開閉制御手段、シリンダ制御手段、狭窄制御手段、及び間隔調整手段を備えている。また、制御装置34では各シリンダ装置66,66…への加圧エア供給も行われ、2つの制御管32,32及び2つの支持棒44,44を介して各シリンダ装置66,66…に接続する。
【0037】
次に、上記の如く構成された本発明の実施の形態である固形物投入装置20の作用について説明する。
【0038】
図3は、固形物投入装置20の一部を拡大した透明斜視図である。上部の狭窄機構60は開成した状態、下部の狭窄機構60は閉成した状態を示している。
【0039】
図2及び3に示すように、狭窄機構60において、制御装置34によって2つのシリンダ装置66,66の各電磁弁70,70が切り替えられると、加圧エアが各シリンダ67,67の前部供給口69aへ供給されるとともに、後部供給口69bからエアが排気される。これにより、ロッド68が伸張するので、各弾性板63,63の連結板65,65…が曲折し、各弾性板63,63が拡張してリング状を形成する。すると、狭窄機構60は、図2(A)及び図3の上方に示すような開成状態となる。なお、各連結板65,65は、拡張する際にチューブホース28側に折れ込まないように各弾性板63,63を方向規制しているため、拡縮部64とチューブホース28とは接触しない状態となり、チューブホース28は円筒状になって落下経路を形成することができる。
【0040】
一方、制御装置34によって2つのシリンダ装置66,66の各電磁弁70,70が切り替えられると、加圧エアが各シリンダ67,67の後部供給口69bへ供給されて、前部供給口69aからエアが排気される。これにより、各ロッド68,68が収縮して、連結している各連結板65,65…が一直線状になって各弾性板63,63を伸張して一文字状を形成するので、間にあるチューブホースが狭窄保持される。こうして、狭窄機構60は図2(B)及び図3の下方に示すような閉成状態となる。なお、各連結板65,65では、ロッド68が伸張した際に各弾性板63,63がチューブホース28側へ曲折することがないように動作が制限されているため、チューブホース28は2枚の弾性板63,63によってよじれることなく確実に狭窄され、チューブホース28内における錠剤40の落下を停止させることができる。また、閉成時に2つのシリンダ装置66,66を用いて両方向から均等な力で弾性板63,63を伸縮させるので、挟みこんだチューブホース28によじれやずれが生じさせないため、狭窄機構60の開閉の際にチューブホース28が破損することを防止できる。
【0041】
ところで、シリンダ装置66において、ロッド68が正常に伸縮しなかったり、弾性板が破損した等の異常が発生した場合には、狭窄機構60の開閉が正常に行われないので、固形物投入装置において固形物の投入を確実に行うことができない。また、狭窄機構60を閉成したときに、チューブホース28の内部を通過する固形物を拡縮部64で挟み込んでしまうと、錠剤40の投入が正確に行われないばかりでなく、狭窄機構60の狭窄力や錠剤40の物性によっては錠剤40を破損する虞がある。
【0042】
そこで、各シリンダ装置66,66…に圧力センサ及び位置センサを設けて、接続する制御装置34でシリンダ内部のエア圧及びロッドの位置を常に監視するシリンダ制御手段を備えることにより、ロッド68の伸縮に異常が発生した場合には各測定値に差異が発生するので、制御装置34で異常が発生したと判断されて固形物投入装置20全体の作動を自動的に一時停止させる。狭窄機構60での異常が解消されると、制御装置34による一時停止は解除されるので、錠剤40の投入が再開される。また、外壁62内面に挟み込みセンサ76を設けて、接続する制御装置34で常に監視する狭窄制御手段を備えることにより、2枚の弾性板63,63で錠剤40を狭窄したり弾性板63が破損した場合には、閉成時の2枚の弾性板及びチューブホース28の厚みが変化して測定値に差異が発生するので、制御装置34で異常が発生したと判断され固形物投入装置20全体の作動を一時停止させる。そして、狭窄機構60での異常が解消されると、制御装置34による一時停止は解除されて、錠剤40の投入を再開することができる。このように、固形物投入装置20において、各狭窄機構60,60…を常に監視してその作動及び開閉を制御する作業制御機構及び狭窄制御手段を備えることにより、狭窄機構60の誤作動や異常によって錠剤40に損傷を与えることなく、極めて効率よく錠剤40の投入を行うことができる。
【0043】
狭窄機構60は、固形物投入装置20に上下方向に移動可能な1組の昇降部材72,72を介して各支持棒44,44に支持されており、各狭窄機構60,60…の間隔は投入される錠剤40の落下強度よりも短い距離で配置されている。医薬品製造ライン10で多品種の固形物を扱う場合には、投入される固形物の物性に応じて各狭窄機構60,60…の間隔を調整する必要がある。そこで、各昇降部材72,72…と制御装置34と接続させて、投入される錠剤40の強度等の情報を制御装置34へ入力する。すると、制御装置34により各昇降部材72,72…を各支持棒44,44上で自動的にスライドさせて位置を調整して固定することにより、各狭窄機構60,60…は投入される固形物の強度に応じた間隔に位置決めされる。このように、各昇降部材72,72…及び制御装置34を用いて、各狭窄機構60,60…の間隔を自動的に調整する間隔調整手段を備えることにより、様々な種類の固形物に対して損傷を与えることなく効率よく投入を行うことができる上、品種切り替え時の各狭窄機構60,60…の間隔を調整する作業にかかる手間を省くことができる。
【0044】
固形物投入装置20において、第1のホッパ14から第2のホッパ16へ錠剤40を投入する作業は、第1の制御又は第2の制御を有する開閉制御手段を備えた制御装置34で、各狭窄機構60,60…の開閉を制御することにより行われる。
【0045】
図4は、固形物投入装置20における投入作業開始前の状態である。図4に示すように、制御装置34により固形物投入装置20の全ての狭窄機構60, 60…を閉成させる。そして、第1のホッパ14に搬送コンテナ12を設置してバルブ13を開成すると、搬送コンテナ12に貯留されている多量の錠剤40が重力により、第1のホッパ14を経て固形物投入装置20における最上段の狭窄機構60の上部まで供給される。なお、搬送コンテナ12から最上段の狭窄機構60までの投入の際に加わる、錠剤40への落下衝撃及び蓄積による積圧は錠剤40の表面に損傷を与えない距離であるので、問題はない。
【0046】
上記の作業が終了すると、制御装置34の投入制御手段が作動し、第1の制御又は第2の制御によって各狭窄機構60,60…が制御されて、錠剤40の投入が開始される。
【0047】
第1の制御では、先ず最初に最上段の狭窄機構60を開成する。すると、上部に蓄積した錠剤40が重力により落下して、2段目の狭窄機構60の上部で停止する。落下する距離は錠剤40の落下強度に応じた距離よりも短く設定されているので、落下衝撃による錠剤40の表面への損傷を防止することができる。一定時間経過後、即ち錠剤40の落下移動が終わった後、2段目の狭窄機構60を開成すると、3段目の狭窄機構60の上部で停止する。各狭窄機構60, 60…の開成のタイミングを一定時間おくことにより、落下させる際に錠剤40に加わる落下速度を低減させることができる。上述した作業を上から下へ順番に行って最下段の狭窄機構60を開成させると、第2のホッパ16に錠剤40が投入されて製造装置18に錠剤40が供給され、固形物投入装置20は図5に示す状態となる。
【0048】
このように、錠剤40を上方から下方へ投入する際、各狭窄機構60, 60…を上から順番に開成させる第1の制御によって投入作業を制御することにより、固形物投入装置20において段階的に錠剤40を落下させる段階落下輸送を行うことができる。これにより、投入時の落下による衝撃を最小限に抑えられるので、投入時の落下衝撃による錠剤40の表面に対する割れ・欠け等の損傷の発生を防止できる。また、従来のように錠剤40を転落又は滑落させて落下速度を低減する方法ではないので、錠剤40の表面は錠剤40か滑り性の良い軟性のチューブホース28との接触だけですみ、投入時の接触による錠剤40の表面の印刷欠けや印刷転写の発生を大幅に低減することができる。さらに、チューブホース28を使い捨て可能なものにすれば、ロット及び品種の切り替えや定期的なメンテナンスの際に必要であった清掃作業がチューブホース28を交換するだけですむので、ロット及び品種の切り替え作業や清掃作業にかかる時間とコストを大幅に削減することができる。加えて、ロット及び品種の切り替え時で発生する、クロスコンタミネーションという深刻な問題をも確実に防止することができる。したがって、本発明の固形物投入装置20を使用することにより、医薬品等を扱う上で不良発生率が低く、且つ衛生的に極めて優れた錠剤40の投入を行うことができる。
【0049】
ところで、設置している搬送コンテナ12が空になり、搬送コンテナ12を交換して再び錠剤40の投入を開始する場合には、錠剤40の落下強度に応じた長さよりも長い空洞が固形物投入装置20に形成される可能性がある。そのまま追加投入してしまうと、落下した衝撃により錠剤40表面に損傷が生じる虞がある。また、投入する距離が極めて長距離になると、錠剤40自体の積圧により下層にある錠剤40の表面に損傷を与えるという可能性もある。
【0050】
そこで、制御装置34で開閉制御手段で上下の各狭窄機構60,60…を段階的に開閉する第2の制御を行うことにより、固形物投入装置20では段階的に一定量の錠剤40を落下させた後に最上部の狭窄機構60を閉成し、落下流路内にある錠剤40を閉成させて落下を停止させている狭窄機構60を開成してから、2段目のピンチバルブを閉成させる。この動作を繰り返し行って第2のホッパへ錠剤40を供給する。そして、一定間隔を空けて最上部の狭窄機構60を開成し、一定量の錠剤40の投入を再び開始すると、固形物投入装置20は図6に示すようになる。これにより、第2の制御により錠剤40を一定間隔で一定量ずつ輸送する間欠落下輸送が行われるので、錠剤40に対して落下衝撃や蓄積による積圧を与えずに固形物の投入を行うことができる。
【0051】
さらに、投入装置本体22で段階落下輸送と間欠落下輸送を組み合わせて行うことにより、投入時に発生する錠剤40の不良率を大幅に低減できるので、医薬品製造ライン10全体における生産効率の向上と生産コストの削減を効果的に行うことができる。
【0052】
このように各狭窄機構60,60…を開閉させて錠剤40の投入を行うと、狭窄機構60の拡縮部64とチューブホース28とが接触するので、その摩擦により静電気が発生する。チューブホース28に静電気が発生すると、内部を通過する錠剤40がチューブホース28の内面に付着してしまう。これは、錠剤40の投入をスムーズに行えないだけでなく、閉成時に拡縮部で錠剤を挟み込む可能性が増す。そこで、各昇降部材72,72…に除電器78,78…を設けて、チューブホース28の外面に対してイオンエアを吹き付けることにより、チューブホース28の帯電が除去されるので、静電気の発生を防止することができる。また、第1及び第2のホッパ14,16とチューブホース28との連結部に振動手段74,74を設けることにより、チューブホース28に対して振動が加わり、その振動により付着した錠剤40をチューブホース28から剥離させることができる。さらに、除電器78,78…と振動手段74,74を組み合わせることにより、より効果的に錠剤40の付着を防止することができる。
【0053】
なお、上述した固形物投入装置20において、各部材及び装置の個数、形状、材質等は特に限定するものではない。
【0054】
各除電器78,78…は各昇降部材72,72…に2つずつ設けられていたが特に限定するものではなく、もう1本の支持棒をチューブホースに並設して、その支持棒の上下方向に連なるように配置してもよい。
【0055】
また、振動手段74は、第1及び第2のホッパ14,16とチューブホース28との連結部に設けられていたが、特に限定するものではない。各狭窄機構60,60…のシリンダ装置66,66…に併設して振動させ、2枚の弾性板63,63を介してチューブホース28を振動させてもよい。
【0056】
さらに、本発明の実施の形態では、制御装置34の第1及び第2の制御により段階落下輸送及び/又は間欠落下輸送を行って錠剤40を投入していたが、錠剤40の表面や印刷に損傷を与えないように、落下経路に交互に弛緩動作と収縮動作を発生させて蠕動運動を行ってもよい。蠕動運動とは、上記した段階落下輸送及び間欠落下輸送のように狭窄機構60を完全に閉じたり開けたりするのではなく、狭窄機構60の開閉量を制御装置34で制御するようにしてチューブホース28に流路断面が広い弛緩部分と流路断面が狭い収縮部分とを交互に形成し、時間とともに弛緩部分が収縮部分に変わり、収縮部分が弛緩部分に変わるようにすることである。これにより、チューブホース28には蠕動運動が生じ、一定量の錠剤40を第1のホッパ14から徐々に下方へ移行させるので、落下時の衝撃による錠剤40表面の割れ・欠け等の損傷を防止することができる。
【0057】
また、本発明において、投入の第1ステップとして段階落下輸送を行って、落下流路に錠剤40が充満した後、第2ステップとして落下経路を蠕動運動させる蠕動落下輸送を行うことが好ましい。この蠕動運動輸送は、弛緩と収縮の波動が上方から下方に移動するようにしてもよいが、錠剤40の落下を停止させない程度に波動を下方から上方に移動させるようにするとよい。これにより、多数の錠剤40が棒状になって落下する落下速度を遅くすることができるので、錠剤40表面の割れ・欠け等の損傷を一層低減することができる。
【0058】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の固形物投入方法及び装置によれば、固形物を上方から下方へ投入する場合において、上方の容器と下方の容器とをチューブホースで連結し、チューブホースに連なるように狭窄機構を複数設けて、開閉制御手段で制御することにより、固形物に対して損傷を与えることなく固形物投入を行うことができる。
【0059】
また、シリンダ制御手段、狭窄制御手段、振動手段、及び除電器を備えることにより、固形物の投入を確実に行うことができる。
【0060】
さらに、ロットや品種の切り替えの場合には、チューブホースを交換して間隔調整手段で狭窄機構の間隔を自動的に調整するだけでよいので、切り替えにかかる時間及びコストを大幅に削減できる上、クロスコンタミネーションの発生を確実に防止することができる。
【0061】
これらにより、設備コストをかけずに、不良率の低い極めて衛生的な固形物の投入を確実に行うことができるので、安全で効率のよい食品及び医薬品の製造を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態である固形物投入装置を備えた医薬品製造ラインの全体構成図
【図2】本発明の実施の形態の固形物投入装置に設けられた狭窄機構を説明する説明図
【図3】本発明の実施の形態である固形物投入装置の拡大斜視図
【図4】本発明の実施の形態における投入作業開始前の状態の説明図
【図5】本発明の実施の形態における第1の制御による投入作業中の状態の説明図
【図6】本発明の実施の形態における第2の制御による投入作業中の状態の説明図
【符号の説明】
10…医薬品製造ライン、12…搬送コンテナ、13…バルブ、14…第1のホッパ、16…第2のホッパ、18…製造装置、20…固形物投入装置、28…チューブホース、32…制御管、34…制御装置、40…錠剤、42…固形物投入装置、44…支持棒、60…狭窄機構、62…外壁、63…弾性板、65…連結板、66…シリンダ装置、67…シリンダ、68…ロッド、69a…前部供給口、69b…後部供給口、70…電磁弁、71…エア配管、72…昇降部材、74…振動手段、76…挟み込みセンサ、78…除電器
Claims (7)
- 上方の容器に貯留された固形物を、チューブホースを介して下方の容器に投入するとともに、該チューブホースを狭窄変形させる狭窄機構が前記チューブホースの長手方向に所定の間隔をもって複数配置された固形物投入装置であって、
前記狭窄機構は、
前記チューブホースの外周を包囲する2枚の弾性板と、
該2枚の弾性板の両端部に連結され、該両端部を互いに離れる方向に引っ張ることにより、前記2枚の弾性板で前記チューブホースを狭窄変形させる引張手段と、
前記引張手段の動作を制御する開閉制御手段と、
を有することを特徴とする固形物投入装置。 - 前記狭窄機構は、
前記2枚の弾性板の両端部と前記引張手段とを連結する連結板を備え、該連結板は、前記2枚の弾性板の動作を制限する制限部材を有していることを特徴とする請求項1の固形物投入装置。 - 前記狭窄機構は、
前記引張手段であるシリンダ装置の内部の圧力を測定する圧力センサと、前記ロッドの位置を測定する位置センサと、を備え、
各圧力センサ同士及び各位置センサ同士の値の差が一定誤差範囲内になるように、前記シリンダ装置を制御するシリンダ制御手段を有することを特徴とする請求項1又は2の固形物投入装置。 - 前記狭窄機構は、
前記2枚の弾性板及び前記チューブホースへ光又は超音波を照射して受信するセンサを備え、前記センサの測定値を基に前記狭窄機構の開閉を制御する狭窄制御手段を有することを特徴とする請求項1〜3の何れか1の固形物投入装置。 - 前記固形物投入装置は、
前記チューブホースを振動させる振動手段を備えたことを特徴とする請求項1〜4の何れか1の固形物投入装置。 - 前記固形物投入装置は、
前記チューブホース内側及び/又は外側から前記チューブホースに対して除電を行う除電器を備えたことを特徴とする請求項1〜5の何れか1の固形投入装置。 - 前記固形物投入装置は、
投入する固形物の強度に応じて前記狭窄機構を上下方向に移動させる昇降部材を備え、各昇降部材の動作を制御して間隔を調整する間隔調整手段を有することを特徴とする請求項1〜6の何れか1の固形物投入装置。
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