JP2005028586A - 液晶ポリマー積層体に含まれる、金属層と液晶ポリマー層との分離方法 - Google Patents

液晶ポリマー積層体に含まれる、金属層と液晶ポリマー層との分離方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2005028586A
JP2005028586A JP2003192750A JP2003192750A JP2005028586A JP 2005028586 A JP2005028586 A JP 2005028586A JP 2003192750 A JP2003192750 A JP 2003192750A JP 2003192750 A JP2003192750 A JP 2003192750A JP 2005028586 A JP2005028586 A JP 2005028586A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
liquid crystal
crystal polymer
laminate
temperature
layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2003192750A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroaki Kumada
浩明 熊田
Takanari Yamaguchi
登造 山口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Chemical Co Ltd filed Critical Sumitomo Chemical Co Ltd
Priority to JP2003192750A priority Critical patent/JP2005028586A/ja
Publication of JP2005028586A publication Critical patent/JP2005028586A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02WCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO WASTEWATER TREATMENT OR WASTE MANAGEMENT
    • Y02W30/00Technologies for solid waste management
    • Y02W30/50Reuse, recycling or recovery technologies
    • Y02W30/62Plastics recycling; Rubber recycling

Landscapes

  • Processing Of Solid Wastes (AREA)
  • Separation, Recovery Or Treatment Of Waste Materials Containing Plastics (AREA)

Abstract

【課題】液晶ポリマー積層体に含まれる、液晶ポリマー層と金属層とを分離する方法を提供すること。
【解決手段】金属層を一層以上と、液晶ポリマー層を二層以上とを含む積層体であって、かつ各液晶ポリマー層における線膨張係数の比が、TD方向の線膨張係数の絶対値をMD方向の線膨張係数の絶対値で除した値を基準として1.5以上であり、かつ各液晶ポリマー層のMD方向が、互いに0〜45度の角度の範囲内にある液晶ポリマー積層体に対し、下記の(イ)および(ロ)からなる群より選ばれる一以上の操作を行なうことを特徴とする、金属層と液晶ポリマー層との分離方法。
(イ)加熱開始から300分以内に、液晶ポリマーの流動開始温度以上に液晶ポリマー積層体を加熱する操作
(ロ)液晶ポリマー積層体の温度より100℃以上低い温度の冷媒に、液晶ポリマー積層体を接触させる操作
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶ポリマー積層に含まれる、液晶ポリマー層と金属層とを分離する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶ポリマー層と金属層とを含む液晶ポリマー積層体は、電気、電子分野のプリント配線板等に使用されている(特許文献1)。
しかし該液晶ポリマー積層体は、その使用後にはそのまま焼却されるか廃棄されていて、該液晶ポリマー積層体の構成材料である液晶ポリマーは回収されていないのが実情である。
【0003】
【特許文献1】
特開平8−323923号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
限られた資源を有効に活用するという観点から、液晶ポリマー積層体から液晶ポリマーをも回収することができる、液晶ポリマー層と金属層とを分離する簡便な方法が求められている。
本発明の目的は、液晶ポリマー積層体に含まれる、液晶ポリマー層と金属層とを分離する方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、液晶ポリマー層と金属層とを含む液晶ポリマー積層体に対し、一定の加熱操作または一定の冷却操作を加えることにより、該液晶ポリマー積層体に含まれる液晶ポリマーをも分離回収できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち本発明は、
[1]一層以上の金属層と、一層の液晶ポリマー層とからなる積層体であって、該液晶ポリマー層における線膨張係数の比が、TD方向の線膨張係数の絶対値をMD方向の線膨張係数の絶対値で除した値を基準として1.5以上である液晶ポリマー積層体に対し、下記の(イ)および(ロ)からなる群より選ばれる一以上の操作を行なうことを特徴とする、金属層と液晶ポリマー層との分離方法を提供するものであり、
(イ)加熱開始から300分以内に、液晶ポリマーの流動開始温度以上に液晶ポリマー積層体を加熱する操作
(ロ)冷却開始から60分以内に、冷却開始前の液晶ポリマーの温度を基準として、該温度より100℃以上低い温度に液晶ポリマー積層体を冷却する操作
[2]一層以上の金属層と、二層以上の液晶ポリマー層とを含む積層体であって、各液晶ポリマー層における線膨張係数の比が、TD方向の線膨張係数の絶対値をMD方向の線膨張係数の絶対値で除した値を基準として1.5以上であり、かつ各液晶ポリマー層のMD方向が、互いに0〜45度の角度の範囲内にある液晶ポリマー積層体に対し、下記の(イ)および(ロ)からなる群より選ばれる一以上の操作を行なうことを特徴とする、金属層と液晶ポリマー層との分離方法を提供するものであり、
(イ)加熱開始から300分以内に、最も低い流動開始温度を有する液晶ポリマーの流動開始温度以上に液晶ポリマー積層体を加熱する操作
(ロ)冷却開始から60分以内に、冷却開始前の液晶ポリマーの温度を基準として、該温度より100℃以上低い温度に液晶ポリマー積層体を冷却する操作
[3]液晶ポリマー層のうち少なくとも二層が、それぞれ異なる流動開始温度を有する液晶ポリマーからなり、かつ、
操作(イ)を、上記異なる流動開始温度を有する液晶ポリマーのうち、最も低い流動開始温度を有する液晶ポリマーの流動開始温度以上、次に低い流動開始温度を有する液晶ポリマーの流動開始温度未満の温度範囲内で実施することを特徴とする上記[2]に記載の金属層と液晶ポリマー層との分離方法を提供するものであり、
[4]上記操作後、液晶ポリマー積層体に対し、金属層と液晶ポリマー層とを剥離させる外力を加えることを特徴とする、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の金属層と液晶ポリマー層との分離方法を提供するものであり、
[5]上記[1]〜[4]のいずれかに記載の方法による、液晶ポリマー積層体から液晶ポリマーを回収する方法を提供するものであり、
[6]上記[5]に記載の方法により回収された液晶ポリマーを提供するものであり、
[7]一層以上の金属層と、二層以上の液晶ポリマー層とを含む積層体であって、各液晶ポリマー層における線膨張係数の比が、TD方向の線膨張係数の絶対値をMD方向の線膨張係数の絶対値で除した値を基準として、1.5以上であり、かつ各液晶ポリマー層のMD方向が、互いに0〜45度の角度の範囲内にある液晶ポリマー積層体を提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明は、液晶ポリマー積層体に含まれる金属層と液晶ポリマー層とを分離する方法を与えるものである。
係る液晶ポリマー積層体に含まれる液晶ポリマー層における線膨張係数の比は、そのTD方向(液晶ポリマー層面においてMD方向に対し垂直の方向)の線膨張係数の絶対値を、MD方向(液晶ポリマー層面において線膨張係数が最も小さい方向)の線膨張係数の絶対値で除した値を基準として、1.5以上のものである。
この値が1.5未満の場合には、加熱操作および冷却操作からなる群より選ばれる一種以上の操作では液晶ポリマー層と金属層とは分離し難い傾向がある。
この値は1.5〜30の範囲にあることが好ましく、1.5〜10の範囲にあればより好ましく、2〜5の範囲にあればさらに好ましい。
【0008】
本発明で使用する液晶ポリマー積層体には、液晶ポリマー層を一層含む液晶ポリマー積層体と、液晶ポリマー層を二層以上含む液晶ポリマー積層体とがあるが、後者の二層以上の液晶ポリマー層を含むものについては、それぞれの液晶ポリマー層面に沿ったMD方向が、互いに0〜45度の角度の範囲内にあることが必要である。
この角度の範囲は0〜20度の範囲内であればより好ましく、0〜5度の範囲内であればさらに好ましい。
それぞれの液晶ポリマー層面に沿ったMD方向が互いに45度の角度の範囲を超える場合には、液晶ポリマー層同士の異方性が相殺され、加熱操作および冷却操作からなる群より選ばれる一種以上の操作では液晶ポリマー層と金属層とは分離し難い傾向がある。
なお、上記の角度とは、液晶ポリマー積層体に含まれる各液晶ポリマー層面に沿ったそれぞれのMD方向に平行な直線同士がなす角度をいう。
【0009】
上記の液晶ポリマー積層体に含まれる液晶ポリマー層と金属層とを分離するためには、液晶ポリマー積層体を加熱する操作および冷却する操作からなる群より選ばれる1種以上の操作が必要である。
最初に液晶ポリマー積層体を加熱する操作について説明する。
本発明においては液晶ポリマー積層体の温度を、液晶ポリマーの流動開始温度(FT)以上にすることが必要である。
液晶ポリマーの流動開始温度未満の温度では、液晶ポリマー積層体に含まれる、液晶ポリマー層および金属層は互いに容易には分離しない。
液晶ポリマー積層体が二以上の液晶ポリマー層を含む場合には、該液晶ポリマー層に含まれる液晶ポリマーのうち、最も低い流動開始温度を有する液晶ポリマーの流動開始温度以上に液晶ポリマー積層体を加熱することが必要である。
液晶ポリマー積層体が二以上の液晶ポリマー層を含む場合、該二以上の液晶ポリマー層のうち、少なくとも二層がそれぞれ同じ流動開始温度を有する液晶ポリマーからなるものであってもよく、または少なくとも二層がそれぞれ異なる流動開始温度を有する液晶ポリマーからなるものであってもよい。該二以上の液晶ポリマー層の構成の具体例としては、例えば、全ての液晶ポリマー層がそれぞれ同じ液晶ポリマーからなる場合、数層の液晶ポリマー層が同じ液晶ポリマーからなり、それ以外の液晶ポリマー層が該液晶ポリマーとは異なる流動開始温度を有する液晶ポリマーからなる場合、全ての液晶ポリマ−層がそれぞれ異なる流動開始温度を有する液晶ポリマーからなる場合等が挙げられる。
【0010】
液晶ポリマー積層体の温度は、好ましくは液晶ポリマーの流動開始温度以上、該流動開始温度より50℃高い温度以下の温度範囲である。該温度範囲内で液晶ポリマー積層体を静置したまま加熱した場合、該液晶ポリマー積層体中に含まれる液晶ポリマー層は、その原形をほぼ保つ。このため、液晶ポリマー積層体の温度を該温度範囲内に保持することにより、液晶ポリマー層の原形をほぼ保ったまま、液晶ポリマーが融けて流れてしまうことなく液晶ポリマー積層体に含まれる液晶ポリマー層と金属層とを相互に分離することができる。
なお、流動開始温度とは、毛細管型レオメーターで測定され、4℃/分の昇温速度で加熱溶融された樹脂を、荷重100kgf/cmのもとで、内径1mm、長さ10mmのノズルから押し出した時に、該溶融粘度が48,000ポイズを示す温度(℃)をいう。
【0011】
液晶ポリマー積層体の温度が上記の温度に達するまでの時間は、加熱開始から300分以下の範囲である。
この時間は加熱開始から30分以下の範囲であれば好ましい。この時間は短ければより好ましい。
【0012】
液晶ポリマー積層体を上記の温度に加熱するための装置としては、例えば、具体的には液晶ポリマー積層体を循環熱風オーブン、減圧加熱オーブン等の装置、赤外線ヒーターにより加熱する装置等が挙げられる。液晶ポリマー積層体を加熱する際には、液晶ポリマー積層体と酸素とを触れさせない条件下で加熱することが好ましい。
【0013】
液晶ポリマー積層体が二層以上の液晶ポリマー層を含むものであって、該液晶ポリマー層のうち少なくとも二層がそれぞれ異なる流動開始温度を有する液晶ポリマーからなる態様の場合には、上記の操作の中でも、該液晶ポリマー積層体を、上記液晶ポリマーのうち最も低い流動開始温度を有する液晶ポリマーの流動開始温度以上、次に低い流動開始温度を有する液晶ポリマーの流動開始温度未満の温度範囲内において液晶ポリマー積層体を加熱することが好ましい。
この温度範囲において液晶ポリマー積層体を加熱することにより、最も低い流動開始温度を有する液晶ポリマー以外の液晶ポリマーからなる液晶ポリマー層と、該液晶ポリマー層に接する金属層とを分離せずに残すことが可能となる。
この操作により、異なる流動開始温度を有する液晶ポリマー同士が混在することを避けることができる。
なお、この場合の液晶ポリマー積層体を加熱する際の装置や加熱時間等は、先に説明したものと同様のものを例示することができる。
【0014】
続いて、上記の最も低い流動開始温度を有する液晶ポリマーを回収した後の、残りの液晶ポリマー積層体の部分に対して上記と同様の操作を行なうことにより、残りの液晶ポリマー積層体の部分に含まれる、最も低い流動開始温度を有する液晶ポリマー以外の液晶ポリマーからなる液晶ポリマー層と、該層に接する金属層とを分離せずに残すことが可能となる。この操作は繰り返すことができる。
【0015】
液晶ポリマー積層体に含まれる液晶ポリマー層と金属層とを分離するためには、液晶ポリマー積層体を加熱する操作および冷却する操作からなる群より選ばれる1種以上の操作が必要であるが、次に液晶ポリマー積層体を冷却する操作について説明する。
【0016】
液晶ポリマー積層体を冷却する際には、上記液晶ポリマー積層体の温度を、冷却開始から60分以内に、冷却開始前の液晶ポリマーの温度を基準として、該温度より100℃以上低い温度にすることが必要である。
冷却開始前と冷却後との液晶ポリマー積層体の温度差が100℃未満の場合には、液晶ポリマー積層体に含まれる、液晶ポリマー層および金属層は互いに容易には分離しない。
液晶ポリマー積層体の温度は、冷却開始前の液晶ポリマーの温度を基準として、該温度より200℃以上低い温度とすることが好ましく、300℃以上低い温度であればさらに好ましい。
【0017】
液晶ポリマー積層体を、上記の温度まで冷却するまでの時間は、冷却開始から60分以下の範囲である。
この時間は冷却開始から30分以下の範囲であれば好ましく、冷却開始から10分以下の範囲であればなお好ましい。
【0018】
液晶ポリマー積層体を上記の温度に冷却する操作としては、例えば、液晶ポリマー積層体と冷媒とを接触させる操作等が挙げられる。かかる冷媒としては、例えば、水、液体窒素、ドライアイスとアルコールの混合物等が挙げられる。
【0019】
液晶ポリマー積層体に含まれる液晶ポリマー層と金属層との分離を促進するために、上記の加熱操作および冷却操作からなる群より選ばれる一種以上の操作後に、液晶ポリマー層と金属層とを剥離させる外力を加えることが好ましい。この様な操作としては、例えば、液晶ポリマー層と金属層とが互いに離れる方向に、液晶ポリマー積層体に対し外力を与える操作が挙げられ、具体的には、例えば、液晶ポリマー積層体に対し振動、衝撃等を与える操作、送風等の気体を作用させる操作、流水にさらす等の液体を作用させる操作等を挙げることができる。
【0020】
なお、液晶ポリマー積層体に含まれる液晶ポリマー層および金属層との分離を促進するためには、上記の外力を加える操作に換えて、または上記の外力を加える操作に加えて、さらにハロゲン系有機溶剤を用いる操作を行なうことが好ましい。
ハロゲン系有機溶剤を用いる操作とは、液晶ポリマー積層体に含まれる液晶ポリマー層にハロゲン系有機溶剤を接触させる操作をいい、該操作により液晶ポリマー層および金属層との分離を促進することができる。
液晶ポリマー層にハロゲン系有機溶剤を接触させる操作としては、例えば、液晶ポリマー積層体をハロゲン系有機溶剤に含浸させる操作、液晶ポリマー積層体にハロゲン系有機溶剤を注ぐ操作等が挙げられる。
【0021】
通常、液晶ポリマー層にハロゲン系有機溶剤を接触させる時間は1〜30分の範囲である。1分未満ではハロゲン系有機溶剤を接触させる効果が十分でなく、30分を超える場合は液晶ポリマーが溶解し、液晶ポリマーの回収が煩雑となり好ましくない。
【0022】
通常、液晶ポリマー層にハロゲン系有機溶剤を接触させる際の温度は80〜150℃の範囲である。80℃未満の温度ではハロゲン系有機溶剤を接触させる効果が十分でなく、逆に150℃を超える温度では液晶ポリマーが溶解してしまい、異なる液晶ポリマーを用いた場合、各液晶ポリマー毎の分別回収が困難となる。
本発明に使用するハロゲン系有機溶剤としては、例えば、ペンタフルオロフェノール、3,5−トリフルオロメチルフェノール、フルオロ酢酸、クロロフェノール等を挙げることができる。ハロゲン系有機溶剤は二種以上を併用してもよい。
【0023】
上記に説明した通り、液晶ポリマー積層体に対し、加熱操作および冷却操作からなる群より選ばれる一種以上の操作を行なうことにより、液晶ポリマー積層体に含まれる液晶ポリマー層と金属層とを相互に分離することができ、液晶ポリマー積層体から液晶ポリマーと金属とを分離回収することができるが、次に液晶ポリマー層に使用する液晶ポリマーについて説明する。
【0024】
該液晶ポリマーは、サーモトロピック液晶ポリマーと呼ばれる、溶融時に光学的異方性を示すポリマーである。この様な液晶ポリマーとしては、例えば、ポリマー主鎖に脂肪族炭素を含まない全芳香族ポリエステル、ポリマー主鎖に脂肪族炭素を含む芳香族ポリエステル等の液晶ポリエステル類、ポリエステルイミド等の液晶イミド類、ポリエステルアミド等の液晶アミド類や、それらを含有する樹脂組成物等が挙げられる。好ましくは液晶ポリエステル類やそれを含有する樹脂組成物であり、さらに好ましくは全芳香族液晶ポリエステルやそれを含有する樹脂組成物である。
【0025】
液晶ポリエステル等に代表される液晶ポリマーを具体的に例示すると、例えば、
(1)芳香族ジカルボン酸と芳香族ジオールと芳香族ヒドロキシカルボン酸との組み合わせからなるもの
(2)異種の芳香族ヒドロキシカルボン酸の組み合わせからなるもの
(3)芳香族ジカルボン酸と芳香族ジオールとの組み合わせからなるもの
(4)ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルに芳香族ヒドロキシカルボン酸を反応させて得られるもの
等が挙げられる。これらは通常、400℃以下の温度で異方性溶融体を形成するものである。上記(1)〜(3)のそれぞれの組み合わせからなる液晶ポリエステルは、全芳香族液晶ポリエステルであれば好ましい。なお、これらの芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオール及び芳香族ヒドロキシカルボン酸の換わりに、それらのエステル形成性誘導体を使用することもできる。さらに、これらの芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオール及び芳香族ヒドロキシカルボン酸の換わりに、芳香核がハロゲン原子、アルキル基、アリール基等で置換されたものを使用することもできる。
【0026】
耐熱性、機械的特性、加工性のバランスから特に好ましい液晶ポリエステルは
Figure 2005028586
なるモノマーに由来する繰り返し構造単位を含むものであり、さらに好ましくは該繰り返し構造単位を少なくとも全体の30モル%以上含むものである。具体的には繰り返し構造単位の組み合わせが下記(I)〜(VI)のいずれかのものが好ましい。下記の液晶ポリエステルには芳香族環にハロゲン基、アルキル基、アリール基が置換したものを用いることができる。
【0027】
Figure 2005028586
【0028】
Figure 2005028586
【0029】
Figure 2005028586
【0030】
Figure 2005028586
【0031】
Figure 2005028586
【0032】
Figure 2005028586
【0033】
該液晶ポリエステル(I)〜(VI)の製法については、例えば特公昭47−47870号公報、特公昭63−3888号公報、特公昭63−3891号公報、特公昭56−18016号公報、特開平2−51523号公報等に記載されている。これらの中で好ましくは(I)、(II)または(IV)の組み合わせであり、さらに好ましくは(I)または(II)の組み合わせが挙げられる。
【0034】
特に高い耐熱性が要求される分野には液晶ポリエステルが、下記の繰り返し単位(a’)が30〜80モル%、繰り返し単位(b’)が0〜10モル%、繰り返し単位(c’)が10〜25モル%、繰り返し単位(d’)が10〜35モル%からなる液晶ポリエステルが好ましく使用される。
【0035】
Figure 2005028586
(式中、Arは2価の芳香族基である。上記(a’)〜(d’)の芳香族環にはハロゲン基、アルキル基、アリール基が置換したものを用いることができる。)
繰り返し単位(d’)は上述のジオールが好ましく、特に高い耐熱性が要求される用途には全芳香族のジオールが好ましい。
【0036】
本発明においては液晶ポリマー層として、通常液晶ポリマーからなるフィルムを使用するが、この様な液晶ポリマーからなるフィルムを安定的に得るという成形性の観点から、該液晶ポリマーは液晶ポリエステル(A)を連続相とし、液晶ポリエステルと反応性を有する官能基を有する共重合体(B)を分散層とする液晶ポリエステル樹脂組成物を用いることがさらに好ましい。
【0037】
このような液晶ポリエステル(A)と官能基を有する共重合体(B)との液晶ポリエステル樹脂組成物においては、機構の詳細は不明ではあるが、該組成物の成分(A)と成分(B)との間で反応が生起し、成分(A)が連続相を形成するとともに成分(B)が微細分散し、そのために得られる組成物の機械物性が向上するものと考えられる。
【0038】
上記の液晶ポリエステル樹脂組成物に用いられる該共重合体(B)は、液晶ポリエステルと反応性を有する官能基を有する共重合体である。このような液晶ポリエステルと反応性を有する官能基としては、液晶ポリエステルと反応性を有するものであれば特に限定はなく、例えば、具体的にはオキサゾリル基やエポキシ基、アミノ基等が挙げられる。好ましくは、エポキシ基である。
エポキシ基等は他の官能基の一部として存在していてもよく、そのような例としては例えばグリシジル基が挙げられる。
【0039】
共重合体(B)において、このような液晶ポリエステルと反応性を有する官能基を共重合体中に導入する方法としては特に限定されるものではなく、公知の方法で行うことができる。例えば共重合体の合成段階で、該官能基を有する単量体を共重合により導入することも可能であるし、共重合体に該官能基を有する単量体をグラフト共重合することも可能である。
【0040】
液晶ポリエステルと反応性を有する官能基を有する単量体としては、グリシジル基を含有する単量体が好ましく使用される。グリシジル基を含有する単量体としては、例えば下記一般式
Figure 2005028586
(式中、Rは、エチレン系不飽和結合を有する炭素数2〜13の炭化水素基を表し、Xは、−C(O)O−、−CH−O−または
Figure 2005028586
を表す。)
で示される不飽和カルボン酸グリシジルエステル、不飽和グリシジルエーテルが好ましく用いられる。
【0041】
ここで、不飽和カルボン酸グリシジルエステルとしては、例えばグリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、イタコン酸ジグリシジルエステル、ブテントリカルボン酸トリグリシジルエステル、p−スチレンカルボン酸グリシジルエステル等を挙げることができる。
【0042】
また不飽和グリシジルエーテルとしては、例えばビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、2−メチルアリルグリシジルエーテル、メタクリルグリシジルエーテル、スチレン−p−グリシジルエーテル等が例示される。
【0043】
共重合体(B)においては、不飽和カルボン酸グリシジルエステル単位および/または不飽和グリシジルエーテル単位を0.1〜30重量%含有することが好ましい。
【0044】
該共重合体(B)は、通常の方法、例えばフリーラジカル開始剤による塊状重合、乳化重合、溶液重合等によって製造することができる。なお、代表的な重合方法は、特開昭48−11388号公報、特開昭61−127709号公報等に記載された方法であり、フリーラジカルを生成する重合開始剤の存在下、圧力500kg/cm以上、温度40〜300℃の条件により製造することができる。
【0045】
該共重合体(B)のメルトマスフローレート(以下、MFRということがある。JIS K7210、190℃、2.16kg荷重)は、好ましくは0.5〜100g/10分の範囲であり、さらに好ましくは2〜50g/10分の範囲である。MFRが100g/10分を越えると組成物にした時の機械的物性が低下する傾向があり、0.5g/10分未満の場合では液晶ポリエステル(A)との相溶性が低下する傾向がある。
【0046】
また、該共重合体(B)は、その結晶の融解熱量が3J/g未満であることが好ましい。
【0047】
かかる液晶ポリエステル樹脂組成物の一実施態様は、液晶ポリエステル(A)75.0〜99.9重量%、好ましくは87.0〜99重量%、さらに好ましくは90〜98重量%、および液晶性芳香族ポリエステルと反応性を有する官能基を有する共重合体(B)25.0〜0.1重量%、好ましくは23.0〜1.0重量%、さらに好ましくは10〜2重量%を含有する樹脂組成物である。
該組成物における、該組成物中の成分(A)が75.0重量%未満であると、液晶ポリエステル樹脂組成物の機械的性質が低下する傾向がある。また成分(A)が99.9重量%を超えると該組成物を用いたフィルム成形加工性が低下する傾向がある。
【0048】
かかる液晶性芳香族ポリエステル樹脂組成物を製造する方法としては公知の方法を用いることができる。たとえば、溶液状態で各成分を混合し、溶剤を蒸発させるか、溶剤中に沈殿させる方法が挙げられる。工業的見地からみると溶融状態で各成分を混練する方法が好ましい。溶融混練には一般に使用されている一軸または二軸の押出機、各種のニーダー等の混練装置を用いることができる。特に二軸の高混練機が好ましい。
【0049】
本発明に使用する液晶ポリエステル樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で必要に応じて、熱安定剤、難燃剤等の各種添加剤を製造工程中あるいはその後の加工工程において添加することができる。
【0050】
本発明の液晶ポリマー積層体は、通常液晶ポリマーからなるフィルムを金属層と積層することにより得ることができる。該フィルムは上記液晶ポリエステル樹脂組成物に代表される液晶ポリマーを用いて得られるが、該フィルムを成形する方法としては、例えば、Tダイやインフレーションダイスを用いた成形方法等を挙げることができる。
【0051】
液晶ポリマーからなるフィルムの厚みに特に制限は無く、金属層の厚みや最終的に要求される液晶ポリマー積層体の厚みによって適宜定められるが、通常は0.5μm〜2mmの範囲のものであり、好ましくは5μm〜500μmである。
【0052】
本発明で使用する液晶ポリマーからなるフィルムは、該フィルム面のMD方向およびTD方向のそれぞれにおいて異なる線膨張係数を示すものである。
該線膨張係数は該フィルム面のMD方向またはTD方向のいずれかがマイナスであることが好ましく、該フィルム面のMD方向およびTD方向のいずれもがマイナスであればなお好ましい。
【0053】
上記の液晶ポリマーからなるフィルムを用いて、液晶ポリマー積層体を製造することができるが、本発明において液晶ポリマー積層体を製造する際に液晶ポリマーからなるフィルムを2枚以上使用する場合、例えば、2枚以上の液晶ポリマーからなるフィルムを重ねて一つの液晶ポリマー層とする場合や、2枚以上の液晶ポリマーからなるフィルムの間に金属箔を挟んで積層する場合等には、液晶ポリマー積層体に含まれるそれぞれの液晶ポリマーからなるフィルム面に沿ったMD方向が互いに0〜45度の角度の範囲内となるように各フィルムを積層することが必要である。
【0054】
上記の液晶ポリマー積層体は液晶ポリマー層および金属層を含むものであるが、次に金属層について説明する。
本発明の該金属は、金、銀、銅、鉄等の導体金属からなるものであり、通常は銅が用いられる。該金属からなる金属層の厚みは、通常は5〜50μmである。
液晶ポリマー層と金属層とを積層する方法としては、具体的には、例えば液晶ポリマーからなるフィルムと金属箔等とを重ねて熱融着する方法、液晶ポリマーからなるフィルムと金属箔とを接着剤を用いて接着する方法、液晶ポリマーからなるフィルムに対し、スパッタリング法、蒸着法、メッキ法等の金属箔を形成する方法等が挙げられる。金属層と液晶ポリマー層とを積層する方法は二種以上を組み合わせることもできる。
これらの中でも、液晶ポリマー層と金属層との分離が容易である熱融着による方法が好ましい。
【0055】
上記の液晶ポリマーからなるフィルムと金属箔等とを熱融着する方法としては、具体的には、例えば熱プレスや熱ロール等を用いて熱融着させる方法等が挙げられる。
液晶ポリマー積層体の製造の際、一つの層の上に各層を一層づつ積層していく段階的な製造方法により液晶ポリマー積層体を製造することができる。また、熱プレスや熱ロール等の方法により、各層を一度に積層する製造方法によっても液晶ポリマー積層体を製造することができる。また、液晶ポリマー積層体製造の際には、液晶ポリマーからなるフィルム同士を複数枚重ねて金属箔等と熱圧着してもよい。
【0056】
上記の液晶ポリマー積層体は、通常は液晶ポリマー層と金属層とが積層されたものであるが、液晶ポリマー層および金属層の他に、液晶ポリマー層以外の絶縁層を含んでもよい。
上記液晶ポリマー層以外の絶縁層としては、例えば、セラミック基板等の無機絶縁層類、ビスマレイミドとシアネートとの混合樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂絶縁層類、アラミド系熱可塑性樹脂等の熱可塑性樹脂絶縁層類等が挙げられる。さらに、液晶ポリマー積層体は、エポキシ樹脂をガラスクロスに含浸させたプリプレグと銅箔とを熱圧着して硬化させたプリント配線基板等を液晶ポリマー積層体の層として含んでもよい。
【0057】
上記の製造方法により得られた液晶ポリマー積層体を用いて、本方法の発明により液晶ポリマー層と金属層を分離することができ、また該液晶ポリマー積層体から液晶ポリマーと金属とを回収することができる。また、液晶ポリマー積層体が、2種以上の異なる流動開始温度を有する液晶ポリマーを含む場合であっても、各液晶ポリマー毎に回収することができる。
この様にして回収された液晶ポリマーは再度成形材料として活用することができる。
【0058】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明する。
【0059】
(1)物性測定法
得られた液晶ポリマーからなるフィルムに関し、以下の要領で測定を行った。
(i)引き剥がし強度
JIS K6854に準拠し、測定した。
(ii)誘電率、誘電正接測定
IPC−TM−650に準拠し、25℃、1GHzで樹脂層単体について測定した。
(iii)半田耐熱性
260℃に加熱した半田浴上に銅張り積層板を浮かべ、10秒後半田に接触していた面を観察し、剥がれ、膨れ等の外観変化を観察した。
(iv)厚み測定
Mitutoyo社製ライトマチック318を用いて10cm×10cmに試験片を切出し5点測定した結果を平均して求めた。
(v)線膨張率
ASTM D696に従い、セイコー電子株式会社製熱分析装置TMA120を用いて測定し、以下の式によって算出した。
α1=ΔL/L ・ΔT
ここで、α1:熱線膨張係数(/℃)
ΔL:試験片の変化長
:試験前の試験片長
ΔT:温度差(℃)
なお、試験片は幅4mm、長さ20mmに切出したものを用いた。サンプルに掛かる荷重は試験片の厚み1μm当たり0.16gとし、昇温速度10℃/分とし、50℃〜200℃の範囲で求めた。
【0060】
合成例
(1)成分(A)の液晶ポリエステル
(i)p−ヒドロキシ安息香酸8.04kg(60モル)、テレフタル酸2.49kg(15モル)、イソフタル酸0.83kg(5モル)および4,4’−ジヒドロキシジフェニル3.72kg(20モル)および無水酢酸11.22kg(110モル)を櫛型撹拌翼をもつ重合槽に仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら昇温し330℃で1時間重合させた。この間に副生する酢酸ガスを冷却管で液化し回収、除去しながら、強力な撹拌下で重合させた。その後、系を徐々に冷却し、200℃で得られたポリマーを系外へ取出した。この得られたポリマーを細川ミクロン株式会社製のハンマーミルで粉砕し、2.5mm以下の粒子とした。これを更にロータリーキルン中で窒素ガス雰囲気下に280℃で3時間処理することによって、流動開始温度が324℃の粒子状の下記の繰り返し構造単位からなる全芳香族ポリエステルを得た。
以下該液晶ポリエステルをA−1と略記する。このポリマーは加圧下で340℃以上で光学異方性を示した。液晶ポリエステルA−1の繰り返し構造単位およびその比率は、次の通りである。
【0061】
Figure 2005028586
【0062】
(ii)p―ヒドロキシ安息香酸16.3Kg(122モル)と6―ヒドロキシ−2−ナフトエ酸8.5Kg(45モル)および無水酢酸18.8Kg(184モル)を櫛型攪拌翼付きの重合槽に仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら昇温し、320℃で1時間、そしてさらに2.0torrの減圧下に320℃で1時間重合させた。この間に、副生する酢酸を系外へ留出し続けた。その後、系を徐々に冷却し、180℃で得られたポリマーを系外へ取り出した。
この得られたポリマーを細川ミクロン株式会社製のハンマーミルで粉砕し、2.5mm以下の粒子とした。これを更にロータリーキルン中で窒素ガス雰囲気下に240℃で5時間処理することによって、流動開始温度が270℃の粒子状の下記繰り返し単位からなる全芳香族ポリエステルを得た。以下該熱可塑性樹脂をA―2と略記する。
該熱可塑性樹脂は偏光顕微鏡で観察した際、加圧下で280℃以上の温度で光学異方性を示した。A−2の繰り返し構造単位およびその比率は次の通りである。
【0063】
Figure 2005028586
【0064】
(2)成分(B)の共重合体
特開昭61−127709号公報の実施例5に記載の方法に準じて、アクリル酸メチル/エチレン/グリシジルメタクリレート=59.0/38.7/2.3(重量比)、ムーニー粘度=15、結晶の融解熱量<1J/gのゴムを得た。以下該ゴムをB−1と略称することがある。
ここでムーニー粘度は、JIS K6300に準じて100℃、ラージローターを用いて測定した値である。
また結晶の融解熱量は、DSCを使用し、試料を−150℃から100℃まで20℃/分で昇温して求めた。
【0065】
(3)成膜
(i)A−1 80重量%、B−1 20重量%を日本製鋼株式会社製TEX−30型二軸押出機を用いてシリンダー設定温度350℃、スクリュー回転数200rpmで溶融混練を行って組成物を得た。該組成物の流動開始温度は327℃であった。また、該組成物は338℃以上で光学的異方性を示した。
この組成物のペレットを円筒ダイを備えた60mmφの単軸押出機に供給して、シリンダー設定温度350℃、回転数90rpmで溶融混練し、直径50mm、リップ間隔1.0mm、ダイ設定温度346℃の円筒ダイから上方へ溶融樹脂を押出し、その際この筒状フィルムの中空部へ乾燥空気を圧入して筒状フィルムを膨張させ、次に冷却させたのちニップロールに通してフィルムを得た。
この際フィルムのブロー比を1.8、ドローダウン比は11.2であり、フィルムの実測平均厚みは50μmであった。以下、該フィルムをH―1と略記することがある。
H−1の1GHzにおける誘電率は3.05、誘電正接は0.019であった。
H−1の線膨張率を測定したところMD方向では−2.4×10−5、TD方向では6.9×10−5であった。H−1フィルム層の層面に沿ったTD方向の線膨張係数の絶対値を、該層面に沿ったMD方向の線膨張係数の絶対値で除した値は2.9であった。
【0066】
(ii)A−2 95重量%、B−1 5重量%を日本製鋼株式会社製TEX−30型二軸押出機を用いてシリンダー設定温度300℃、スクリュー回転数200rpmで溶融混練を行って組成物を得た。該組成物の流動開始温度は295℃であった。また、該組成物は265℃以上で光学的異方性を示した。
この組成物のペレットを円筒ダイを備えた60mmφの単軸押出機に供給して、シリンダー設定温度300℃、回転数90rpmで溶融混練し、直径50mm、リップ間隔1.0mm、ダイ設定温度305℃の円筒ダイから上方へ溶融樹脂を押出し、その際この筒状フィルムの中空部へ乾燥空気を圧入して筒状フィルムを膨張させ、次に冷却させたのちニップロールに通してフィルムを得た。
この際フィルムのブロー比は2.1、ドローダウン比は6.0であり、フィルムの実測平均厚みは80μmであった。以下該フィルムをH―2と略称することがある。H−2の1GHzにおける誘電率は2.95、誘電正接は0.005であった。
H−2の線膨張率を測定したところMD方向では−2.5×10−5、TD方向では6.8×10−5であった。H−2フィルム層の層面に沿ったTD方向の線膨張係数の絶対値を、該層面に沿ったMD方向の線膨張係数の絶対値で除した値は2.7であった。
【0067】
(4)液晶ポリマー積層体の製造例
(i)液晶ポリマーからなるフィルムH−1を、該フィルム面のMD方向を揃えて6枚積層し、その両面に銅箔を積層し圧力35kgf/cm、温度325℃で7分間熱プレスし銅張り板を得た。得られた銅張り板にマスキングを施し、エッチングした後、水洗乾燥し回路基板を得た。この回路基板の両面にH−1を6枚ずつフィルム面のMD方向を揃えて重ね合わせ、さらにその外側に銅箔を設置し圧力35kgf/cm、温度325℃で6分間熱プレスにより熱圧着することにより、全層において銅層が4層ある液晶ポリマー積層体を作成した。該液晶ポリマー積層体をL−1と略称する場合がある。最外層の銅箔と液晶ポリマー層との間の引き剥がし強度測定したところ0.65kgf/cmと良好な値であった。また本試験片を縦2cm横2cmに切出し、半田耐熱試験を実施し、銅箔の接着状況を観察したが膨れ等の外観悪化は認められなかった。
【0068】
(ii)液晶ポリマーからなるフィルムH−1を縦10cm横10cmのサイズに切出し、該フィルム面のMD方向を揃えて6枚重ね合わせ両面に銅箔を積層し、圧力40kgf/cm、温度330℃で6分間熱プレスにより熱圧着し両面銅張り板を作成した。得られた銅張り板にマスキングを施し、エッチングした後、水洗乾燥しプリント基板を得た。得られたプリント基板の両面にさらに液晶ポリマーからなるフィルムH−2を該フィルム面のMD方向を揃えて4枚重ね合わせ、さらにその外側に銅箔を設置し圧力40kgf/cm、温度300℃で6分間熱プレスすることにより、全層において銅層が4層ある液晶ポリマー積層体を作成した。該液晶ポリマー積層体をL−2と略称する場合がある。最外層の銅箔とH−2層との間の引き剥がし強度測定したところ0.75kgf/cmであった。
【0069】
(iii)310℃に設定した熱プレス機を用いて、A−2をプレスし、得られたシートを数回折りたたんではプレス(面圧50kg/cm)を繰り返すベーカリー法を用いて、厚み300μmのフィルムを得た。このフィルムを240℃に設定した別のプレス機で20分間、面圧20kg/cmで処理したフィルムをJ―1と略称することがある。
J−1の線膨張率を測定したところMD方向では 3.2×10−5、TD4.3×10−5であった。J−1フィルム層の層面に沿ったTD方向の線膨張係数の絶対値を、該層面に沿ったMD方向の線膨張係数の絶対値で除した値は1.3であった。1GHzにおける誘電率は2.90、誘電正接は0.004であった。
J−1の両面に銅箔を積層し圧力35kgf/cm、温度295℃で10分間、240℃で10分間熱熱処理し銅張り板を得た。得られた銅張り板にマスキングを施し、エッチングした後、水洗乾燥し回路基板を得た。この回路基板の両面にJ−1を1枚ずつ重ね合わせ、さらにその外側に銅箔を設置し圧力35kgf/cm2、温度295℃で6分間熱プレスすることにより、全層において銅層が4層ある積層板を作成した。該液晶ポリマー積層体をL−3と略称する場合がある。最外層の銅箔とJ−1層との間の引き剥がし強度測定したところ0.65kgf/cmであった。
【0070】
実施例1
上記の製造例で得た液晶ポリマー積層体L−1を350℃で10分間加熱したところ、L−1に含まれる銅箔からなる金属層と液晶ポリマー層とを容易に手を使って分離することができた。この操作により、銅箔と液晶ポリマーとを回収することができた。
【0071】
実施例2
液晶ポリマー積層体L−1を5cm×5cmに切出し、200℃に設定したオーブン中で3分間加熱した後、液体窒素中に投入したところ、2分程度で、フィルムのMD端面側から自発的に分離が始まり、L−1に含まれる銅箔からなる金属層と液晶ポリマー層とがそれぞれ分離した。この操作により、銅箔と液晶ポリマーとを回収することができた。
【0072】
実施例3
液晶ポリマー積層体L−2を5cm×5cmに切出し、320℃に設定したオーブン中で5分間加熱し取り出したところ、H―2フィルムおよびH―2フィルムに熱圧着した銅箔を手を使って容易に分離することができた。この操作により、銅箔と液晶ポリマーとを回収することができた。また、H―1フィルムおよびH―1に熱圧着した銅箔とは分離することができなかった。さらに、H―1フィルムを含む液晶ポリマー積層体の残りの部分を365℃に設定したオーブンで7分間加熱することにより、H―1フィルムおよびH−1フィルムに熱圧着した銅箔とを手を使って容易に分離することができた。この操作により、銅箔と液晶ポリマーとを回収することができた。
【0073】
比較例1
液晶ポリマー積層体L−3を5cm×5cmに切出し、320℃に設定したオーブン中で5分間加熱し取り出したが、銅箔と、J−1フィルムとの分離は困難であった。
【0074】
比較例2
液晶ポリマー積層体L−3を、200℃に設定したオーブン中で3分間加熱した後、液体窒素中に投入したが、銅箔とJ−1フィルムとの分離は困難であった。
【0075】
【発明の効果】
本発明により、液晶ポリマー積層に含まれる、液晶ポリマー層と金属層とを分離することができ、液晶ポリマー積層体から、液晶ポリマーと金属とを回収することができる。

Claims (7)

  1. 一層以上の金属層と、一層の液晶ポリマー層とからなる積層体であって、該液晶ポリマー層における線膨張係数の比が、TD方向の線膨張係数の絶対値をMD方向の線膨張係数の絶対値で除した値を基準として1.5以上である液晶ポリマー積層体に対し、下記の(イ)および(ロ)からなる群より選ばれる一以上の操作を行なうことを特徴とする、金属層と液晶ポリマー層との分離方法。
    (イ)加熱開始から300分以内に、液晶ポリマーの流動開始温度以上に液晶ポリマー積層体を加熱する操作
    (ロ)冷却開始から60分以内に、冷却開始前の液晶ポリマーの温度を基準として、該温度より100℃以上低い温度に液晶ポリマー積層体を冷却する操作
  2. 一層以上の金属層と、二層以上の液晶ポリマー層とを含む積層体であって、各液晶ポリマー層における線膨張係数の比が、TD方向の線膨張係数の絶対値をMD方向の線膨張係数の絶対値で除した値を基準として1.5以上であり、かつ各液晶ポリマー層のMD方向が、互いに0〜45度の角度の範囲内にある液晶ポリマー積層体に対し、下記の(イ)および(ロ)からなる群より選ばれる一以上の操作を行なうことを特徴とする、金属層と液晶ポリマー層との分離方法。
    (イ)加熱開始から300分以内に、最も低い流動開始温度を有する液晶ポリマーの流動開始温度以上に液晶ポリマー積層体を加熱する操作
    (ロ)冷却開始から60分以内に、冷却開始前の液晶ポリマーの温度を基準として、該温度より100℃以上低い温度に液晶ポリマー積層体を冷却する操作
  3. 液晶ポリマー層のうち少なくとも二層が、それぞれ異なる流動開始温度を有する液晶ポリマーからなり、かつ、
    操作(イ)を、上記異なる流動開始温度を有する液晶ポリマーのうち、最も低い流動開始温度を有する液晶ポリマーの流動開始温度以上、次に低い流動開始温度を有する液晶ポリマーの流動開始温度未満の温度範囲内で実施することを特徴とする請求項2に記載の金属層と液晶ポリマー層との分離方法。
  4. 上記操作後、液晶ポリマー積層体に対し、金属層と液晶ポリマー層とを剥離させる外力を加えることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の金属層と液晶ポリマー層との分離方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の金属層と液晶ポリマー層との分離方法を含むことを特徴とする、液晶ポリマー積層体から液晶ポリマーを回収する方法。
  6. 請求項5に記載の方法により回収された液晶ポリマー。
  7. 一層以上の金属層と、二層以上の液晶ポリマー層とを含む積層体であって、各液晶ポリマー層における線膨張係数の比が、TD方向の線膨張係数の絶対値をMD方向の線膨張係数の絶対値で除した値を基準として、1.5以上であり、かつ各液晶ポリマー層のMD方向が、互いに0〜45度の角度の範囲内にある液晶ポリマー積層体。
JP2003192750A 2003-07-07 2003-07-07 液晶ポリマー積層体に含まれる、金属層と液晶ポリマー層との分離方法 Pending JP2005028586A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003192750A JP2005028586A (ja) 2003-07-07 2003-07-07 液晶ポリマー積層体に含まれる、金属層と液晶ポリマー層との分離方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003192750A JP2005028586A (ja) 2003-07-07 2003-07-07 液晶ポリマー積層体に含まれる、金属層と液晶ポリマー層との分離方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005028586A true JP2005028586A (ja) 2005-02-03

Family

ID=34204447

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003192750A Pending JP2005028586A (ja) 2003-07-07 2003-07-07 液晶ポリマー積層体に含まれる、金属層と液晶ポリマー層との分離方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2005028586A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011122229A (ja) * 2009-12-14 2011-06-23 Astec Irie Co Ltd めっき付きプラスチック部品の処理方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011122229A (ja) * 2009-12-14 2011-06-23 Astec Irie Co Ltd めっき付きプラスチック部品の処理方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6124004A (en) Laminate of liquid crystal polyester resin composition
TW200422345A (en) Aromatic liquid crystal polyester and film thereof
WO1992005953A1 (en) Composite metal plate
JP2005539382A (ja) 液晶ポリマ複合物、その製造方法、およびそれから形成された物品
JP7550789B2 (ja) 回路基板用lcpフィルムの製造方法
JP4269675B2 (ja) 芳香族液晶ポリエステルおよびそのフィルム
KR20110107129A (ko) 열경화성 수지, 이를 포함한 수지 조성물, 및 이를 이용하여 제조된 인쇄회로기판
KR20100014136A (ko) 적층품 및 이의 제조 방법, 및 이를 사용한 회로 기판
JP6930046B1 (ja) 回路基板用lcpフィルムの製造方法、及び回路基板用tダイ溶融押出lcpフィルム
US5759674A (en) Laminate of liquid crystal polyester resin composition film and metallic foil, and printed-wiring board using the same
TWI705088B (zh) 芳香族聚酯、芳香族聚酯液狀組成物、芳香族聚酯薄膜之製造方法及芳香族聚酯薄膜
WO2022065270A1 (ja) 回路基板用絶縁材料、及び金属箔張積層板
JP4946066B2 (ja) 芳香族液晶ポリエステル及びそれから得られるフィルム
JPH10258491A (ja) 積層体、積層体の製造方法および多層基板
JP6316733B2 (ja) 積層体
JP7529450B2 (ja) 樹脂フィルム、その製造方法、金属張積層板及びプリント配線板
JP2714440B2 (ja) 精密細線回路用基板の製造方法
JP2005028586A (ja) 液晶ポリマー積層体に含まれる、金属層と液晶ポリマー層との分離方法
JP3358495B2 (ja) 積層材料及び該材料から形成されるプリント配線用基板
WO2022065285A1 (ja) 回路基板用絶縁材料及びその製造方法、並びに金属箔張積層板
JP2002064030A (ja) フィルムコンデンサー
JP3146972B2 (ja) 液晶ポリエステル樹脂組成物フィルムと金属箔との積層体およびそれを使用するプリント配線用基板
JP3949216B2 (ja) 積層体の製造方法
WO2004058501A1 (ja) アラミド積層体の製造方法
WO2008041619A1 (fr) Polyester totalement aromatique