JP2005025172A - 光学ベンチの製造方法、光学ベンチ、光学モジュール、配線パターンおよび溝が形成されるシリコンウェハ基板、およびウェハ - Google Patents

光学ベンチの製造方法、光学ベンチ、光学モジュール、配線パターンおよび溝が形成されるシリコンウェハ基板、およびウェハ Download PDF

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Abstract

【課題】 光学部品が搭載される溝を形成する溝加工および配線が形成される光学ベンチにおいて、製造プロセスの効率を飛躍的に高め、歩留まりの向上と工程時間の短縮を図る。
【解決手段】 光学部品が搭載される光学ベンチにおいて、シリコンウェハを材料とするSi基板11と、このSi基板11上に設けられ、光学部品を搭載するための溝12と、光学部品や駆動部品を駆動するための金属被膜の配線13とを備え、この金属被膜の配線13は、溝12を湿式処理を用いたマイクロマシニングにより形成する溝工程の前に、無電解メッキ工程により形成される。
【選択図】 図1

Description

本発明は、例えば光学部品を搭載するための基板、およびその製造方法等に関し、より詳しくは、配線形成とともに所定の溝加工が施された基板、およびその製造方法等に関する。
近年、光通信技術の進展に伴い、例えばネットワークに用いられる種々の部品、デバイス、およびそれらを用いた光学モジュールのニーズが高まっており、活発な研究開発が行われている。特に、光ファイバ、レンズ、レーザダイオード等の部品を適宜組み合わせたモジュールは、その基本コンポーネントとして多用されている。
このような光素子モジュールの従来技術として、例えば、Si基板上に溝を設け、その溝に球状のレンズを位置決めして固定し、また、Si基板上に所定の配線が形成される光素子モジュールが開示されている(例えば、特許文献1参照)。このようなモジュールとしては幾つかの形態が存在するが、中でも、3次元加工技術であるマイクロマシニング(MEMS)によりSiウェハに対して溝を形成し、これにファイバやレンズを埋め込み固定する方式が量産性に優れた方法として注目されている。このMEMSにより形成された光モジュール用の基板は、シリコンオプティカルベンチ(ベンチ、光学ベンチ)と呼ばれ、一つのキーデバイスとなっている。
このシリコンウェハを材料とする光学ベンチは、ウェハ単体の処理によって形成できることから量産性が高いが、レーザダイオード等の配線を伴う部品を搭載する場合には、プロセス上の困難さが伴う。即ち、配線は、一般にスパッタ等によって金属の薄膜として形成され、これをフォトリソグラフィなどによりパターニングすることで作製されるが、エッチングによるSi溝加工は、水酸化カリウム(KOH)等の強アルカリを用いて行われるため、先に配線形成を行った場合、配線材の金属が侵食されてしまう。レジスト等の保護膜も強アルカリに対して十分な耐性を有していないことから、完全に保護することは困難である。従って、実際には、溝加工後に配線形成が行われている。
図6は、従来のベンチ作製プロセスの概略フローを示した図である。まず、ステップ301にて準備されたSiウェハに、レジストが塗布され(ステップ302)、マスクをかぶせて溝部分のパターニングがなされる(ステップ303)。そして、フッ酸エッチングにより二酸化ケイ素の膜を取り除く(ステップ304)。その後、残されたSiOをマスクとして強アルカリを用いたウェット異方性エッチングであるKOH深溝加工が施され(ステップ305)、Siウェハ上に光学部品を取り付けるための溝が深くエッチング形成される。
この溝加工が行われた場合、溝の外周縁がアンダーカット状にエッチングされ、そのために酸化膜がバリ状に残る。この残った酸化膜はレジストを塗布する際のレジスト流動に悪影響を及ぼすことから、フッ酸処理によって酸化膜が除去される(ステップ306)。その結果、Siウェハ面上の酸化膜は全て除去され、配線加工のために再度、酸化膜が形成される(ステップ307)。その後、Tiスパッタ(ステップ308)、Ptスパッタ(ステップ309)、Auスパッタ(ステップ310)が行われ、レジスト塗布(ステップ311)、パターニング(ステップ312)を経て、Au/Pt/Tiエッチングがなされ(ステップ313)、溝加工がなされたSiウェハ上に配線が形成される。尚、この例では、Au/Pt/Tiの三層スパッタ薄膜で配線が形成されており、Pt/TiはSi上へのAuの接着層となるものである。但し、実際には、この導体配線以外にTaNなどの抵抗膜、およびAu−Sn膜などの高温ハンダランド等が必要に応じて適宜形成され、また、パターニングされる。
特開2002−162542号公報(第3〜4頁、図10))
しかしながら、図6に示すようなベンチ作製プロセスでは、前述のように、Siウェハ上に溝が存在する状態で配線パターニングのためのレジスト塗布、露光等の工程を行う必要がある。そのために、塗布性が極めて低下するとともに、アライメントの精度が低下し、歩留まりの低下、および配線精度の低下を招いていた。例えば、通常、歩留まりは50%に満たない状況であり、また、配線精度は±5〜10μm程度の公差が必要とされていた。
また、配線加工のために、表面に酸化膜が形成されたいわゆる酸化膜付のウェハが使用されるが、溝加工を行った場合、前述のように、溝の外周縁がアンダーカット状にエッチングされ、そのために酸化膜がバリ状に残ってしまう。この残った酸化膜はレジストを塗布する際のレジスト流動に悪影響を及ぼすため、図6のステップ306にて述べたように、フッ酸処理によって除去する必要がある。従って、フッ酸処理によってウェハ面上の酸化膜は全て除去されるため、配線加工のために、図6のステップ307にて述べたように、再度酸化膜を形成する必要がある。これは、例えば1100℃程度の高温の熱処理を要するため、プロセス効率の低下要因になっている。また、この再酸化によって、例えばエッヂ部に微小なバリが生じるおそれがある。更に、配線膜の形成は全てスパッタ等の薄膜プロセスによって行われており、量産効率の面で必ずしも十分ではなかった。
本発明は、以上のような技術的課題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、溝加工および配線が形成される基板において、製造プロセスの効率を飛躍的に高め、歩留まりの向上と工程時間の短縮を図ることにある。
また他の目的は、光学ベンチにおいて、配線の精度を向上させることにある。
かかる目的のもと、本発明では、メッキによって配線形成を行うと共に、この配線加工は、溝加工前に、ウェハ表面に酸化膜の付いた状態で行われる。即ち、本発明は、光学部品が搭載される光学ベンチの製造方法であって、基板上に無電解メッキによる金属被膜の配線パターンを形成するメッキ工程と、このメッキ工程により配線パターンが形成された基板に対して湿式処理により溝加工を施す溝加工工程とを含む。
ここで、このメッキ工程は、無電解メッキにより配線パターンを形成することを特徴とすれば、例えば、反応速度を低めに設定することができ、残留歪みが小さく均一性の高い膜が得られる点から好ましい。これにより、スパッタ膜等におけるミクロポーラスな膜とは異なる稠密な膜質が得られることから、孔食等の膜の損傷は生じない。従って、耐アルカリ性を含めた金属の持つ本来の耐食性を発現させることができる。また、このメッキ工程は、複数のメッキ工程を含み、この複数のメッキ工程のうち少なくとも1つの工程は、配線パターン上にマスクレスで無電解メッキ処理を施すことを特徴とすれば、例えば、同一のパターンで堆積できる後続の層について、積層膜の場合に比べてエッチング作業が行い易く、寸法精度を高めることができる点から優れている。
更に、この溝加工工程は、シリコンウェハを材料とする基板に対して湿式処理を用いたマイクロマシニングにより溝を形成することを特徴とすることができる。より詳しくは、この溝加工工程は、メッキ工程により配線パターンが形成された基板に対して溝部分の酸化膜を除去し、強アルカリ溶液にこの基板を浸漬することにより酸化膜が除去された部分に対して溝を形成することを特徴とすれば、例えば、ウェハ表面に予め形成されている酸化膜をマスクとして溝部分を形成することが可能となる。
また、メッキ工程により形成された配線パターン上に保護膜をコーティングする保護膜形成工程と、溝加工工程を経た後、保護膜を除去する保護膜除去工程とを更に含むことを特徴とすれば、強アルカリによるSi基板の溝加工の際に、配線に対して更に頑健な耐性を得ることができる点で好ましい。特にこの保護膜形成工程としては、ニッケルを含む金属の保護膜を形成したものであれば、強アルカリ耐性の面から優れている。ただし、この保護膜を形成しなくとも本発明の目的は達成可能である。
一方、本発明が適用される光学ベンチは、光学部品を搭載するための溝が形成された基板と、この基板上に設けられ、強アルカリ溶液に対して耐食性を有するメッキにより形成された金属被膜の配線パターンとを含む。ここで、この配線パターンは、例えば金メッキとニッケルリンメッキの2層膜で、特にニッケルリンメッキを含むことを特徴とすれば、成膜性、導電性、耐食性等の点から電極用配線として好ましい。また、このニッケルリンメッキは、リン濃度が10%以上であることを特徴とすれば、例えば非磁性により近くなり、例えば光学モジュールにおけるレーザダイオード用配線などの高周波配線用途に適する。更に、リン濃度を12%以上とすると、実質的に非磁性状態にすることができる点から特に優れている。
他の観点から把えると、本発明が適用される光学モジュールは、溝が形成されると共に、強アルカリ溶液に対して耐食性を有するメッキによる配線パターンが形成される光学ベンチと、この光学ベンチの溝に位置決めされて搭載される光学部品と、この光学ベンチ上に設けられ、配線パターンを介して駆動される駆動部品とを含む。
また、本発明が適用される、配線パターンおよび溝が形成されるシリコンウェハ基板は、シリコンウェハ基板と、このシリコンウェハ基板上に形成される配線パターンと、このシリコンウェハ基板上に形成される深溝とを備え、深溝の内部は、自然酸化膜以外の酸化膜が形成されていないことを特徴としている。この深溝の内部としては、例えば高温処理による強制的な酸化工程を経た場合には、例えば数ミクロンオーダの酸化膜が形成されるが、自然酸化膜であれば、せいぜいナノオーダ程度の酸化膜の形成に留まる。強制的な酸化工程を経ていない場合には、例えばエッヂ部分にバリ等が残らない点で優れている。また、この配線パターンは、強アルカリ溶液に対して耐食性を有する無電解メッキによって形成され、またはニッケルリン膜を含むことを特徴とすることができる。
一方、本発明にて、これらの基板の実際に使用される形態としては、ダイシング等によりシリコンベンチ等の個片のデバイスチップに切り出した状態のものや、各個片に切り出す前のウェハ状態のものとがある。即ち、本発明は、光学ベンチである個片のチップを複数備え個片のチップを切り出す前のウェハであって、この個片のチップは、強アルカリ溶液に対して耐食性を有するメッキにより形成された金属被膜の配線パターンと、光学部品を搭載するための溝とを個々に備えていることを特徴としている。
ここで、この個片のチップに形成される配線パターンは、無電解メッキによるメッキ工程により形成され、個片のチップに形成される溝は、この配線パターンが形成された基板を強アルカリ溶液に浸漬して湿式処理により溝加工を施す溝加工工程により形成されることを特徴とすることができる。また、この個片のチップに溝を形成する溝加工工程は、溝を形成する領域に対して酸化膜を除去した後に、強アルカリ溶液に基板を浸漬することを特徴とすることができる。
このように、本発明によれば、溝加工および配線が形成される基板において、製造プロセスの効率を飛躍的に高めることができ、歩留まりの向上と工程時間の短縮を図ることが可能となる。
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいて、本発明を詳細に説明する。
図1(a),(b)は、本実施の形態が適用される光学ベンチの構成を示した図である。図1(a)は光学ベンチの上面図であり、図1(b)は光学ベンチの側面図である。本実施の形態が適用される光学ベンチ(シリコンオプティカルベンチ)10は、シリコンウェハであるSi基板11に、例えばレンズ等の光学部品を位置決めした状態で搭載するための深溝である溝12が形成される。また、Si基板11上には、所定の形状からなる配線13が形成される。本実施の形態では、この配線13がメッキによって形成される点に特徴がある。更に、本実施の形態では、後述する製造工程において、配線13をSi基板11上に形成した後に、溝12を形成している。その結果、本実施の形態では、溝12が形成された後に再酸化の処理がなされておらず、溝12に酸化膜(SiO)が形成されていない点に更なる特徴がある。即ち、例えば1100℃程度の高温にて強制的に再酸化される従来の技術では、溝12の部分に2〜3ミクロン程度(数ミクロンオーダ)の酸化膜が形成されるが、本実施の形態では、かかる酸化膜は形成されていない。但し、強制的に再酸化されない本実施の形態においても、溝12の部分には、単原子オーダとしてナノメートル(nm)オーダ程度の自然酸化による酸化膜は形成され得る。
図2は、光学ベンチ10に配線13が形成された断面構造を示した図である。ここでは、酸化膜付きのSi基板11上に、接着層となるニッケル膜/クロム膜(Ni/Cr膜)21が、スパッタにより連続成膜されている。この上に、無電解メッキにより堆積された例えばリン濃度13%のニッケルリン膜(Ni-P膜)22が形成されている。このNi-P膜22の上に、無電解メッキにより0.5μm程度の厚さで成膜された金膜(Au膜)23が設けられ、配線13が作製されている。この配線13の寸法精度は、±3μm以内である。尚、図2に示す例では、金メッキであるAu膜23が形成された後、配線13に対し、溝12の形成に用いられるKOHに対する保護膜として、厚さ2μm程度のニッケル保護膜(Ni保護膜)24が、無電解メッキによってオーバーコートされている。但し、このNi保護膜24は必ずしも形成されなくともよい。
従来のスパッタ等の薄膜にて配線13を形成した場合においては、膜中にミクロな空孔やピンホールが存在し、このために、KOHなどのエッチング液に浸された時に孔食等の腐食反応が生じるため、耐久性が低下していた。本実施の形態では、これを緻密なメッキ膜に置き換えることにより、この腐食反応を大幅に低減し、金属が本来有する耐食性を発現させることができる。これにより、配線13形成後の溝12の加工が可能になる。
この配線13に用いられるメッキ材料としては、一般に電極配線用として無電解メッキで使用される、Au膜23およびNi-P膜22の2層膜が、成膜性、導電性、および耐食性の面で適している。特に、ニッケルリン中のリン濃度が高いほど非磁性に近くなるため、例えば光学モジュールにおけるレーザダイオード用配線などの高周波配線用途に優れている。具体的には、リン濃度10%以上が好ましく、特に12%以上で実質的に非磁性状態とすることができる。
また、前述のように、無電解ニッケル、金メッキによって緻密でかつ均質な配線膜が得られるため、それ自体で強アルカリエッチングによるSiの溝加工に耐え得るが、この上に保護膜であるNi保護膜24を設けることにより、更にロバスト(頑健)な耐性を確保している。保護膜の材料としては種々のものがあるが、この場合も強アルカリ耐性の面から無電解メッキニッケル膜のオーバーコートが適する。尚、前述のように、このNi保護膜24は必ずしも形成されなくともよい。
次に、本実施の形態が適用される光学ベンチ10の製造方法について説明する。
図3および図4は、光学ベンチ10の製造工程を説明するための図である。まず、表面に酸化膜が形成されているSi基板11を準備した後、図3(a)に示すように、CrスパッタとNiスパッタが実行され、接着層となるNi/Cr膜21が形成される。このNi/Cr膜21の形成工程では、例えば、Ni膜とCr膜とを0.1μmずつ、スパッタにより連続成膜している。次に、図3(b)に示すように、無電解メッキにより、例えば3μm程度の厚さにNi-P膜22が形成される。次いで、図3(c)に示すように、レジスト31が塗布される。その後、図3(d)に示すようにマスクを用いてパターニング(パターン形成)が行われる。そして、図3(e)に示すように、塩酸によりNi-P膜22およびNi/Cr膜21をエッチングして、配線13の基本パターンを形成する。その後、レジスト31は剥離される。
次に、レジスト31が剥離されたNi-P膜22の上に、図3(f)に示されるように、この基本パターン上に無電解メッキによりAu膜23が、例えば0.5μm程度、成膜されて、配線13が作製される。このAu無電解メッキ工程では、パターン上にマスクレスで無電解メッキがなされる。このように、本実施の形態では、これらのメッキ方法として、無電解メッキを使用し、反応速度を低めに設定することにより、残留歪が小さくかつ均一性の高い膜が得られ、応力集中による腐食の加速が実質的に生じにくくしている。また、無電解メッキを用いて膜を積層堆積する場合、一層目のみをエッチングしてパターニングしておくことで、後続の層はその上に同一パターンで堆積していくことができる。その結果、積層膜の場合に比べエッチング作業が行い易くなり、また寸法精度を高めることができ、プロセス効率を向上させることができる。
図4を用いて製造工程を更に説明すると、前述のようにして配線13を作製した後、KOH等の強アルカリを用いた深溝の形成工程に入る前に、図4(g)に示されるように、配線13を保護するためのNi無電解メッキ処理が行われ、例えば厚さ2μm程度のNi保護膜24をオーバーコートする工程を含めることができる。その後、酸化膜(SiO)除去を目的として、図4(h)に示すようにレジスト32の塗布とパターニングが実行される。次いで、図4(i)に示すようなフッ酸エッチング工程にて、溝12が形成されるパターンに合わせて、Si基板11上に当初から形成されている酸化膜がフッ酸を用いて除去される。その後、レジスト32が除去された後、図4(j)に示すように、強アルカリであるKOHを用いた異方性エッチングが行われ、レンズ搭載用の溝12が形成される。このとき、KOHによって配線13の表面に若干のスポット状の腐食が生じたが、その度合いはごく軽微であり、実用上、支障を来たすものではなかった。そして最後に、図4(k)に示すように、硫酸/硫酸第二鉄溶液中に浸漬してNi保護膜24が除去され、光学ベンチ10が完成される。このNi保護膜24を除去した後の配線膜方面には、発明者等による検討では、腐食は全く発生していなかった。また、Ni保護膜24除去時の硫酸/硫酸第二鉄溶液浸漬によるSiの侵食も生じなかった。更に、配線の精度は、±3μm以内にすることが可能となった。このように、本実施の形態では、配線13の加工は溝12の加工前、即ち、Si基板11のウェハ表面に酸化膜の付いた状態で行われることから、従来、必要であった高温の酸化処理が不要であり、工程時間を著しく短縮することが可能となった。
尚、この図4(j)に示すKOHの加工工程では、例えば、水酸化カリウム水溶液濃度を40wt%程度(60℃)、エッチング時間を33時間程度とすることで、例えば0.8mm程度の溝12を形成することができる。また、ある程度の荒れが加工面に生じることを許せば、アルカリ系のエッチング液としては、KOHの他に、例えばTMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)などを用いることも可能である。
また、前述のように、図4(k)に示したNi保護膜24の除去は、Si基板11およびAu膜23に損傷を与えないエッチング液、例えば硫酸系のエッチング液を用いて行われる。所定の抵抗膜や高温ハンダランド等が設けられた場合も、それらを併せて同様に保護膜を形成、除去することができる。ただしこれら抵抗膜等は、溝12加工後に印刷によって形成することも可能である。
尚、図3および図4に示す製造工程では、図3(f)に示すAu無電解メッキ工程によりAu膜23を形成した後、図4(g)に示すNi無電解メッキ工程にて、KOHに対する保護膜となる厚さ2μm程度のNi保護膜24を形成し、図4(k)に示すNi保護膜除去工程にて、Ni保護膜24を除去するように構成した。しかしながら、かかるNi保護膜24の形成工程を除外し、図4(g)および図4(k)に示す工程を除いた場合でも、良好な結果を得ることができる。
図5(a),(b)は、本実施の形態が適用される光学モジュールの一例を示した図である。図5に示す光学モジュール50は、光学ベンチ10における溝12内に、光学部品として、例えば石英製結合レンズであるレンズ51が搭載されている。また、光学ベンチ10の配線13の上に、駆動部品であるレーザダイオード52が実装されている。図5に示す光学モジュール50の実装例では、配線13の上にレーザダイオード52が所定位置に実装された後、レンズ51が位置決めされる。その後、レンズ51は、接着剤等を用いてSi基板11に固定される。本実施の形態では、上述した作業工程によって光学ベンチ10が作製されることから、配線13の精度が±3μm以内と高く、その結果として、光学モジュール50における組み立て整合性を向上させることが可能となる。尚、光学モジュール50に搭載される他の光学部品/駆動部品としては、ファイバ、ミラー、フィルタ、スイッチ等がある。
図7は、本実施の形態における光学ベンチ10を切り出す前のウェハ状態を模式的に示した図である。図7に示すように、ウェハ60には、切り出す前の個片のチップ61(光学ベンチ10)が、複数、配列して設けられている。ユーザへの提供形態としては、前述のようなチップ61の状態の光学ベンチデバイスに加えて、加工を終えたウェハ60の状態で提供される場合がある。かかる場合には、ウェハ60を取得したユーザ側にて、使用前に個片チップ61に切り出される。
以上、詳述したように、本実施の形態によれば、まず、配線13をスパッタや薄膜ではなくメッキ工程で生成することで、量産性を高めることができ、コスト的に高いメリットを得ることができる。また、それに加えて、配線13加工後に溝12の加工を施すため、プロセス作業性が高まり歩留まりを向上させることができる。すなわち、図6に示すフローの従来プロセスでは、歩留まりは50%以下であったが、図3および図4に示す本実施の形態におけるプロセスでは、歩留まりを75%以上に向上させることができた。更に、Ni保護膜24を形成せず、図4(g)および図4(k)に示す工程を除いた実施形態では、歩留まりを80%以上とすることが可能となった。このように、本実施の形態による製造プロセスでは、スパッタをメッキに置き換えたこと、および高温酸化処理が不要になったことから、工程時間は大幅に短縮され、ウェハ一枚の処理に要する時間は約3/5に、また、Ni保護膜24を形成しない実施形態では、約1/2に減少させることが可能となる。また、以上のようにして形成された、本実施の形態による光学ベンチ10は、溝12の部分に、ナノオーダである自然酸化膜以外には、厚い酸化膜が生じていない。また、溝12の角部分にSiOのバリが発生しないことから、従来のようにバリが残ったり、また、バリ除去のための特別な工程を不要とすることができる。
図8および図9は、本実施の形態により形成された光学ベンチ10の状態を説明するための図である。図8は、スパッタや蒸着によって配線を形成する従来の方法による結果物の状態例を示している。形成される配線71の金属膜中に、ミクロな空孔やピンホール等の欠陥72が存在している。このような配線71をKOHなどの強アルカリのエッチング液に浸漬すると、孔食等が発生してしまう。一方、図9は、本実施の形態により形成された光学ベンチ10の状態例が示されている。本実施の形態では配線13の形成をメッキにより行うため、配線金属膜中にミクロな空孔やピンホール等は存在せず、バルク金属に近い膜質が得られる。その結果、金属固有の高い耐食性を発現でき、KOHなどの強アルカリのエッチング液に浸漬した場合でも孔食等の問題は発生しない。これにより、強アルカリを用いた湿式処理での深溝形成前の配線形成が可能になり、光学ベンチ製造工程を簡略化することができる。
本発明は、光学部品を搭載するための光学ベンチ、シリコンウェハ基板、個片のチップが配列されたウェハへの適用の他、これらの製造方法等に活用できる。
(a),(b)は、本実施の形態が適用される光学ベンチの構成を示した図である。 光学ベンチに配線が形成された断面構造を示した図である。 光学ベンチの製造工程を説明するための図である。 光学ベンチの製造工程を説明するための図である。 本実施の形態が適用される光学モジュールの一例を示した図である。 従来のベンチ作製プロセスの概略フローを示した図である。 本実施の形態における光学ベンチを切り出す前のウェハ状態を模式的に示した図である。 スパッタの蒸着によって配線を形成する従来の方法による結果物の状態例を示した図である。 本実施の形態により形成された光学ベンチの状態例を示した図である。
符号の説明
10…光学ベンチ(シリコンオプティカルベンチ)、11…Si基板、12…溝、13…配線、21…ニッケル膜/クロム膜(Ni/Cr膜)、22…ニッケルリン膜(Ni-P膜)、23…金膜(Au膜)、24…ニッケル保護膜(Ni保護膜)、31…レジスト、32…レジスト、50…光学モジュール、51…レンズ、52…レーザダイオード、60…ウェハ、61…チップ

Claims (20)

  1. 光学部品が搭載される光学ベンチの製造方法であって、
    基板上に無電解メッキによる金属被膜の配線パターンを形成するメッキ工程と、
    前記メッキ工程により前記配線パターンが形成された前記基板に対して湿式処理により溝加工を施す溝加工工程と
    を含む光学ベンチの製造方法。
  2. 前記メッキ工程は、無電解メッキにより前記配線パターンを形成することを特徴とする請求項1記載の光学ベンチの製造方法。
  3. 前記メッキ工程は、複数のメッキ工程を含み、当該複数のメッキ工程のうち少なくとも1つの工程は、前記配線パターン上にマスクレスで無電解メッキ処理を施すことを特徴とする請求項1記載の光学ベンチの製造方法。
  4. 前記溝加工工程は、シリコンウェハを材料とする前記基板に対して湿式処理を用いたマイクロマシニングにより溝を形成することを特徴とする請求項1記載の光学ベンチの製造方法。
  5. 前記溝加工工程は、前記メッキ工程により前記配線パターンが形成された基板に対して溝部分の酸化膜を除去し、強アルカリ溶液に当該基板を浸漬することにより当該酸化膜が除去された部分に対して溝を形成することを特徴とする請求項1記載の光学ベンチの製造方法。
  6. 前記メッキ工程により形成された前記配線パターン上に保護膜をコーティングする保護膜形成工程と、
    前記溝加工工程を経た後、前記保護膜を除去する保護膜除去工程とを更に含む請求項1記載の光学ベンチの製造方法。
  7. 前記保護膜形成工程は、ニッケルを含む金属の保護膜を形成することを特徴とする請求項6記載の光学ベンチの製造方法。
  8. 光学部品を搭載するための溝が形成された基板と
    前記基板上に設けられ、強アルカリ溶液に対して耐食性を有するメッキにより形成された金属被膜の配線パターンと
    を含む光学ベンチ。
  9. 前記配線パターンは、ニッケルリンメッキを含むことを特徴とする請求項8記載の光学ベンチ。
  10. 前記配線パターンにおけるニッケルリンメッキは、リン濃度が10%以上であることを特徴とする請求項8記載の光学ベンチ。
  11. 前記配線パターンは、金メッキを含むことを特徴とする請求項8記載の光学ベンチ。
  12. 溝が形成されると共に、強アルカリ溶液に対して耐食性を有するメッキによる配線パターンが形成される光学ベンチと、
    前記光学ベンチの前記溝に位置決めされて搭載される光学部品と
    を含む光学モジュール。
  13. 前記光学ベンチ上に設けられ、前記配線パターンを介して駆動される駆動部品を更に含む請求項12記載の光学モジュール。
  14. シリコンウェハ基板と、
    前記シリコンウェハ基板上に形成される配線パターンと、
    前記シリコンウェハ基板上に形成される深溝とを備え、
    前記深溝の内部は、自然酸化膜以外の酸化膜が形成されていないことを特徴とする配線パターンおよび溝が形成されるシリコンウェハ基板。
  15. 前記深溝の内部は、数ミクロンオーダの前記酸化膜が形成されていないことを特徴とする請求項14記載のシリコンウェハ基板。
  16. 前記配線パターンは、強アルカリ溶液に対して耐食性を有する無電解メッキによって形成されたことを特徴とする請求項14記載のシリコンウェハ基板。
  17. 前記配線パターンは、ニッケルリン膜を含むことを特徴とする請求項14記載のシリコンウェハ基板。
  18. 光学ベンチである個片のチップを複数備え当該個片のチップを切り出す前のウェハであって、
    前記個片のチップは、
    強アルカリ溶液に対して耐食性を有するメッキにより形成された金属被膜の配線パターンと、
    光学部品を搭載するための溝と
    を個々に備えていることを特徴とするウェハ。
  19. 前記個片のチップに形成される前記配線パターンは、無電解メッキによるメッキ工程により形成され、
    前記個片のチップに形成される前記溝は、当該配線パターンが形成された基板を強アルカリ溶液に浸漬して湿式処理により溝加工を施す溝加工工程により形成されることを特徴とする請求項18記載のウェハ。
  20. 前記個片のチップに前記溝を形成する前記溝加工工程は、当該溝を形成する領域に対して酸化膜を除去した後に、前記強アルカリ溶液に前記基板を浸漬することを特徴とする請求項19記載のウェハ。
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