JP2005024588A - 光ディスク原盤露光装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡単な構成で光ディスク原盤の回転時の振れ回り振動により生じる露光位置の送り方向振動を抑制して隣接するトラックの溝間隔を高精度に露光する。
【解決手段】計測手段7は、光ディスク原盤1を搭載して回転する回転機構部4が回転しているときの振れ回り振動により基台17に伝達される露光位置可変手段5の送り方向の加速度を計測する。サーボ制御手段36は、計測した加速度から基台17に伝達した送り方向振動伝達力を打消す方向の信号を生成して、振動伝達力の作用方向が、露光位置可変手段5の送り方向と同一方向になるように基台17に固定された加振器6を駆動制御して、光ディスク原盤1を露光するときの露光位置の送り精度を高める。
【選択図】 図1
【解決手段】計測手段7は、光ディスク原盤1を搭載して回転する回転機構部4が回転しているときの振れ回り振動により基台17に伝達される露光位置可変手段5の送り方向の加速度を計測する。サーボ制御手段36は、計測した加速度から基台17に伝達した送り方向振動伝達力を打消す方向の信号を生成して、振動伝達力の作用方向が、露光位置可変手段5の送り方向と同一方向になるように基台17に固定された加振器6を駆動制御して、光ディスク原盤1を露光するときの露光位置の送り精度を高める。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、光ディスク原盤露光装置、特に光ディスク原盤の回転時の振れ回り振動により生じる露光位置の送り方向振動を抑制して隣接するトラックの溝間隔を高精度に露光することに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】特開平10−293928号公報
【特許文献2】特開平10−261245号公報
【特許文献3】特開平8−329476号公報
【特許文献4】特開平9−190651号公報
光ディスク原盤の表面に形成されたレジスト膜にトラックの溝を露光するとき、隣接するトラックの溝間隔を高精度に露光する必要がある。この隣接するトラックの溝間隔を高精度に露光する露光装置が各種開示されている。
【0003】
特許文献1に示された光ディスク原盤露光装置は、ディスク原盤を露光するヘッドの装置本体に対する位置と、ディスク原盤を支持するターンテーブルの装置本体に対する位置の差分をレーザ測長計で計測し、計測した差分と、ターンテーブルの位置とあらかじめ設定されたヘッドの目標位置に対応する差分とからディスク原盤を露光するヘッドの位置を装置本体に固定した微小移動手段により微調整して、ターンテーブルに対するヘッドの位置を所定の位置に制御するようにしている。
【0004】
特許文献2に示された光ディスク原盤露光装置は、記録ヘッドを搭載しているスライダー送り系に設けたレーザ干渉計又はレーザホロスケールで送りスライダーの微量な送りムラを検出し、音響光学光偏向器によりレーザ光を偏向して光学的に送りむらを補正するようにしている。
【0005】
特許文献3に示された光ディスク原盤露光装置は、露光用光学系が設けられたスライダの摩擦駆動による微少振動及び送り系の機械的共振周波数が低いことによる送りサーボゲイン不足によるスライダの微少振動をなくすために、対物レンズを取り付けた第1微動テーブルの位置を微調整する圧電素子を第2微動テーブルに設けて、スライダの振動と同じ距離だけ第1微動テーブルを振動方向と逆向きに移動させることにより、スライダの振動を抑制するようにしている。
【0006】
特許文献4に示された光ディスク原盤露光装置は、ディスク原盤を保持するターンテーブルの半径方向に、非接触に変位センサーを配置し、予めターンテーブルの各回転位置での振れ量を計測し各回転角位置ごとの振れ量を平均した平均値をメモリに蓄積しておき、露光時には測定した振れ量から各回転角の位置に対応する平均値を減算して非同期振れ量のみを出力し、この出力値で露光光の照射位置を補正して、ターンテーブルの非同期振れによる影響を受けないようにしている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
通常、ディスク原盤は外径に対して数10μm程度の偏心、言い換えれば、数10μm程度の偏重心にてターンテーブル上に搭載される。このため回転時に働く遠心力により回転部が振れ回り振動を発生するので、特許文献1に示すように、ターンテーブルの位置をレーザ測長計で測定しようとしても、ターンテーブル側面のレーザ照射位置が回転角とともに変わってしまう。したがってディスク原盤を露光するヘッドの位置と、ディスク原盤を支持するターンテーブルの位置の差分を計測しても正確な送り方向の差分が計測できず、その信号にもとづいて微小移動手段を動作させてしまうと正確な補正動作ができず、逆にピッチ変動を発生して露光品質が劣化してしまう可能性がある。
【0008】
また、光ディスク原盤上に形成される記録溝のピッチ精度は、ターンテーブルとヘッドを移動する移動台の相対的な振れにて決定されるため、特許文献2や特許文献3に示すように、送りスライダーの微量な送りムラや振動だけを検出して送り補正を行ったり、特許文献4に示すように、ターンテーブルの振れ量だけで露光位置を補正しても補正精度が悪くなってしまい、露光品質が劣化してしまう。
【0009】
さらに、特許文献1〜特許文献3に示された光ディスク原盤露光装置は、送り方向の補正機構としてヘッド先端又はヘッド筐体にピエゾアクチュエータを取り付ける構成のため、構造が複雑で組立調整が困難である。また、機械剛性が低下し、送り系のサーボゲインを高く設定できないので制御上好ましくなかった。
【0010】
この発明はかかる短所を改善し、簡単な構成で光ディスク原盤の回転時の振れ回り振動により生じる露光位置の送り方向振動を抑制して、隣接するトラックの溝間隔を高精度に露光することができる光ディスク原盤露光装置を提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この発明の光ディスク原盤露光装置は、露光手段と、基台に設けられた回転機構部と露光位置可変手段とを有し、露光手段は露光光学系から導かれた照射ビームを回転機構部に搭載して回転する光ディスク原盤に集光し、露光位置可変手段は、露光光学系の集光手段を搭載し、搭載した集光手段を回転機構部に搭載した光ディスク原盤の半径方向に移動する光ディスク原盤露光装置において、加速度計測手段と加振器及び制御手段を有し、加速度計測手段は、回転機構部の回転中心と露光位置可変手段の送り方向とで形成する平面に沿って基台の上面に設けられ、回転機構部が回転しているときの振れ回り振動により基台に伝達される露光位置可変手段の送り方向の加速度を計測し、加振器は、振動伝達力作用点が、回転機構部が回転しているときの基台に対する露光位置可変手段の送り方向の振動伝達力の作用点と同一平面上にあり、振動伝達力の作用方向が、露光位置可変手段の送り方向と同一方向になるように基台に固定され、制御手段は、加速度計測手段から出力する送り方向の加速度信号を入力して基台に伝達した送り方向振動伝達力を打消す方向の信号を生成し、加振器を駆動制御することを特徴とする。
【0012】
この発明の第2の光ディスク原盤露光装置は、露光手段と、基台に設けられた回転機構部と露光位置可変手段とを有し、露光手段は露光光学系から導かれた照射ビームを回転機構部に搭載して回転する光ディスク原盤に集光し、露光位置可変手段は、露光光学系の集光手段を搭載し、搭載した集光手段を回転機構部に搭載した光ディスク原盤の半径方向に移動する光ディスク原盤露光装置において、偏差表示器と加速度計測手段と加振器及び制御手段を有し、偏差表示器は、露光位置可変手段の送り偏差信号を表示し、加速度計測手段は、回転機構部の回転中心と露光位置可変手段の送り方向とで形成する平面に沿って基台の上面に設けられ、回転機構部が回転しているときの振れ回り振動により基台に伝達される露光位置可変手段の送り方向の加速度を計測し、加振器は、振動伝達力作用点が、回転機構部が回転しているときの基台に対する露光位置可変手段の送り方向の振動伝達力の作用点と同一平面上にあり、振動伝達力の作用方向が、露光位置可変手段の送り方向と同一方向になるように基台に固定され、制御手段は、加速度計測手段から出力する送り方向の加速度信号を入力し、偏差表示器に表示された送り偏差信号を参照して入力した送り方向の加速度信号を逆位相にして基台に伝達した送り方向振動伝達力を打消す方向の信号を生成し、加振器を駆動制御することを特徴とする。
【0013】
前記加振器の振動伝達力作用点が、回転機構部の回転中心と回転機構部が回転しているときの基台に対する露光位置可変手段の送り方向の振動伝達力の作用点を結ぶ直線上になるように、加振器を基台に固定して、加振器の取付け調整を容易にするとともに露光位置可変手段の送り制御の精度をより高める。
【0014】
この発明の第3の光ディスク原盤露光装置は、露光手段と、基台に設けられた回転機構部と露光位置可変手段とを有し、露光手段は露光光学系から導かれた照射ビームを回転機構部に搭載して回転する光ディスク原盤に集光し、露光位置可変手段は、露光光学系の集光手段を搭載し、搭載した集光手段を回転機構部に搭載した光ディスク原盤の半径方向に移動する光ディスク原盤露光装置において、振動伝達力計測手段と加振器及び制御手段を有し、振動伝達力計測手段は、回転機構部の回転中心と露光位置可変手段の送り方向とで形成する平面に沿って設けられ、露光位置可変手段の送り方向の位置を検出する位置検出手段の可動部に伝達する振動伝達力を計測し、加振器は、振動伝達力作用点が、回転機構部が回転しているときの基台に対する露光位置可変手段の送り方向の振動伝達力の作用点と同一平面上にあり、振動伝達力の作用方向が、露光位置可変手段の送り方向と同一方向になり、かつ振動伝達力作用点が、回転機構部の回転中心と回転機構部が回転しているときの基台に対する露光位置可変手段の送り方向の振動伝達力の作用点を結ぶ直線上になるように基台に固定され、制御手段は、振動伝達力計測手段から出力する振動伝達力を入力して基台に伝達した送り方向振動伝達力を打消す方向の信号を生成し、加振器を駆動制御することを特徴とする。
【0015】
この発明の第4の光ディスク原盤露光装置は、露光手段と、基台に設けられた回転機構部と露光位置可変手段とを有し、露光手段は露光光学系から導かれた照射ビームを回転機構部に搭載して回転する光ディスク原盤に集光し、露光位置可変手段は、露光光学系の集光手段を搭載し、搭載した集光手段を回転機構部に搭載した光ディスク原盤の半径方向に移動する光ディスク原盤露光装置において、加速度計測手段と振動伝達力計測手段と加振器及び制御手段を有し、加速度計測手段は、回転機構部の回転中心と前記露光位置可変手段の送り方向とで形成する平面に沿って基台の上面に設けられ、回転機構部が回転しているときの振れ回り振動により基台に伝達される露光位置可変手段の送り方向の加速度を計測し、振動伝達力計測手段は、回転機構部の回転中心と露光位置可変手段の送り方向とで形成する平面に沿って設けられ、露光位置可変手段の送り方向の位置を検出する位置検出手段の可動部に伝達する振動伝達力を計測し、加振器は、振動伝達力作用点が、回転機構部が回転しているときの基台に対する露光位置可変手段の送り方向の振動伝達力の作用点と同一平面上にあり、振動伝達力の作用方向が、露光位置可変手段の送り方向と同一方向になり、かつ振動伝達力作用点が、回転機構部の回転中心と回転機構部が回転しているときの基台に対する露光位置可変手段の送り方向の振動伝達力の作用点を結ぶ直線上になるように基台に固定され、制御手段は、加速度計測手段から出力する送り方向の加速度信号と振動伝達力計測手段で出力する振動伝達力の信号を入力し、入力した送り方向の加速度信号と振動伝達力の信号の和信号により基台に伝達した送り方向振動伝達力を打消す方向の信号を生成し、加振器を駆動制御することを特徴とする。
【0016】
前記加振器を、コイル移動型又は磁石移動型のボイスコイルモータで構成し、固有角周波数ωcと使用回転角周波数ωとをω/ωcが21/2の近傍になるように可動部を保持する支持ばねのばね定数を設定し、加振の伝達効率を高める。
【0017】
【発明の実施の形態】
図1,図2はこの発明の光ディスク原盤露光装置の構成を示し、図1は側面図、図2は平面図である。図に示すように、光ディスク原盤1を露光する光ディスク原盤露光装置2は、露光手段3と回転機構部4と露光位置可変手段5と加振器6と計測手段7及び駆動制御装置8を有する。露光手段3は光源9と露光光学系10と折返しミラー11及び例えば開口数NAが0.9以上の対物レンズを搭載したボイスコイルアクチュエータで構成された集光手段12を有する。
【0018】
回転機構部4は、光ディスク原盤1を吸着して保持するターンテーブル13と外部より供給される圧縮空気によりスラストとラジアル方向に静圧浮上して回転自在なスピンドル14とAC同期モータ15及びモータ15の回転角度を検出する光学式ロータリーエンコーダ16を有し、例えば空気圧等を利用した除振機構の上に設けた基台17の所定の取付部18にモータ15が固定されている。
【0019】
露光位置可変手段5は、外部から供給される圧縮空気により静圧浮上するスライダ19と移動台20及び位置検出手段21を有する。スライダ19のガイド22は、図2に示すように、基台17の回転機構部4の回転中心を通るX軸を中心にして回転機構部4から一定位置に固定されている。移動台20は、一方の端部がスライダ19の上面に固定され、回転機構部4と対向する他方の端部の上部には露光手段3の折返しミラー11が固定され、折返しミラー11の下部に、折返しミラー11から導かれる照射ビームを集光する集光手段12が固定されている。位置検出手段21は、例えばスライダ19の下部に取付けたスケール23と基台17に取付けられた投光部と受光部24で構成された光学式リニアエンコーダからなり、スライダ19の移動量すなわち集光手段12の送り方向に位置を計測する。
【0020】
加振器6は、図2の平面図に示すように、動作軸25が集光手段12の送り方向であるX軸と平行で、振動伝達力作用点Bが回転機構部4が回転するときの基台17への送り方向振動伝達力の作用点Aと同一平面上で距離Lだけ離れた基台17の上面の固定されている。このように加振器6の振動伝達力作用点Bと回転機構部4が回転するときの基台17への送り方向振動伝達力の作用点Aを同一平面上に設けることにより、基台17に対してピッチング方向振動(紙面の回転方向振動)を誘起する振動伝達力を加えないように構成している。すなわち基台17のピッチング方向振動は光ディスク原盤1を露光して形成するトラックピッチ精度に影響を及ぼすから、この影響を避けるためである。
【0021】
この加振器6は、図3の断面図に示すように、加振方向に磁極構成されたリング状の永久磁石26に、中心が円筒状に形成された中空フランジ状の継鉄27とリング状の継鉄28が同軸で固定され、これらが筐体29の内周面に固定されている。中空フランジ状の継鉄27の円筒部には可動部30が摺動自在に配置され、可動部30の外周部に巻き回した駆動コイル31が中空フランジ状の継鉄27とリング状の継鉄28により形成される磁気ギャップに配置されている。この可動部30の両端部は、外周部を筐体29に固定した支持ばね32の中心穴に固定して支持され、コイル移動型のボイスコイルアクチュエータを構成している。そして駆動コイル31に通電することにより、可動部30は中心軸である動作軸25の方向に移動する。この加振器6の可動部30の質量は光ディスク原盤1の質量と同じに構成している。
【0022】
計測手段7は加速度センサ等からなり、回転機構部4の回転中心を含みかつ集光手段12の送り方向であるX軸上の基台17の上面に設けられ、回転機構部4が回転しているときの振れ回り振動により基台17に伝達されるスライダ19すなわち集光手段12の送り方向の加速度を計測する。
【0023】
駆動制御装置8はコントローラ33とスライダコントローラ34とスピンドルコントローラ35及びサーボ制御手段36を有する。コントローラ33は装置全体の動作を制御する。スライダコントローラ34は、露光位置可変手段5に設けた位置検出手段21からの位置検出信号を入力してスライダ19の例えばDCリニアモータ等の駆動部を制御する。スピンドルコントローラ35は回転機構部4の光学式ロータリーエンコーダ16からの出力、すなわち一周を数千等分割したA相とB相パルス及び一周に1回発生するZ相パルスを入力してモータ15の回転を制御する。また、スピンドルコントローラ35に入力した光学式ロータリーエンコーダ16のZ相出力は、送り動作と回転動作の協調を図るためにスライダコントローラ34に送られる。
【0024】
サーボ制御手段36は、増幅器37とローパスフィルタ38と補償回路39とゲイン調整器40とスイッチ回路41及び駆動回路42を有し、計測手段7で計測した集光手段12の送り方向の加速度量の計測信号を増幅器37で増幅し、ローパスフィルタ38を介して補償回路39に出力する。補償回路39は入力した信号の開ループ周波数特性におけるゲイン余有(10dB以上)と位相余有(45度以上)を調整してゲイン調整器40を介してスイッチ回路41に出力する。スイッチ回路41はコントローラ33からのオン信号により導通し、ゲイン調整器40の出力信号を駆動回路42に送る。駆動回路42は入力した信号により加振器6を駆動する。
【0025】
この光ディスク原盤露光装置1で光ディスク原盤2を露光するとき、回転数(角速度)を一定としたスライダー19すなわち集光手段12と回転機構部4の協調送り動作であるCAV回転送り駆動と、線速度を一定とした協調送り動作であるCLV送り駆動がある。
【0026】
CLV送り駆動の場合、スライダ19で移動する集光手段12の位置すなわち露光する半径位置にしたがって下記(1)式に示すように回転機構部4の回転数を変化させる必要がある。
N=60×V/(2×π×r)) (1)
ここでNは回転数(rpm)、Vは線速度(m/s)、rは半径位置(m)である。
回転送り動作が開始される前にコントローラ33からサーボ制御手段36にオン信号が送出され、スイッチ回路41をオンにしてサーボ制御を開始して加振器6を駆動する。このとき基台17に加わる外乱振動の送り方向すなわちX軸方向成分に対して計測手段7の出力が見かけ上は零になるように加振器6を駆動制御する。この状態でコントローラ33から回転送り動作開始指令がスピンドルコントローラ35とスライダコントローラ34に出力されると、ターンテーブル13上に偏重心が数十μm程度で吸着固定された光ディスク原盤1が回転を開始する。この回転により回転機構部4の回転部全体が振れ回り振動を発生して基台17に伝達する。この基台17に伝達した振れ回り振動により計測手段7に送り方向の正弦波状の振動加速度が加わる。CLV送り駆動の場合、露光する半径位置が外周ほど周波数が下がっていく正弦波状の振動加速度が加わる。この振動加速度を計測手段7で計測し、計測した加速度信号をサーボ制御手段36に出力する。サーボ制御手段36は、計測手段7から出力される加速度信号が見かけ上は零になるように加振器6を駆動制御する。すなわちサーボ制御手段36は計測手段7で計測している振れ回り振動の加速度と逆相に振動を基台17に加えるように加振器7を駆動制御する。このように計測手段7から出力される加速度信号が見かけ上は零になるように加振器6を駆動制御することにより、光ディスク原盤2を露光するときの送り精度を高めて露光品質を向上させることができる。
【0027】
ここで加振器6の計算モデル61と駆動回路モデル62を図4に示す。この加振器6の入力電圧に対する伝達力の関係は下記(2)式の伝達関数G(s)で示される。
G(s)=Kf・(K+C・s)/{(ms2+Cs+K)・(R0+RC+LCs)}・・・(2)
ここでKfは加振器推力定数、mは可動部質量、Kは支持バネ定数、Cは減衰係数、R0は駆動回路出力抵抗、RCは加振器コイル抵抗、LCは加振器コイルインダクタンスを示す。
サーボ制御手段36は、この伝達関数G(s)と増幅器37とローパスフィルタ38と補償回路39とゲイン調整器40及び駆動回路42の伝達関数を掛け算して得られる伝達関数にて構成する。
【0028】
また、加振器6の可動部30に加える力Pに対する振動伝達力Ptの比Pt/Pである伝達率Taは、使用回転角周波数をω、加振器6の固有角周波数をωcとすると下記(3)式で表せる。
Ta={1+(2・ζ・ω/p)2}1/2/[{1−(ω/p)2}2+(2・ζ・ω/p)2]1/2・・(3)
ここで、ζ=C/2・(m・K)1/2、p=(K/m)1/2=ωcである。
加振器6の固有角周波数ωcを使用回転角周波数ωに対してω/ωcが21/2の近傍になるように支持ばね32のばね定数を定めれば、可動部30の加振による伝達効率を大きくすることができ、小さい加振器6で基台17の振動を打ち消すことができる。
【0029】
次に、CAV回転送り駆動の場合について説明する。この場合、光ディスク原盤露光装置2には、図5の側面図に示すように、スライダコントローラ34から出力される送り偏差信号を表示する偏差表示器43を有し、サーボ制御手段36には増幅器37とローパスフィルタ38と調整可変抵抗等の手動調整手段を有する振幅調整器44とスイッチ回路41及び駆動回路42を有する。
【0030】
CAV回転送り駆動を開始する前にコントローラ33からサーボ制御手段36にオン信号が送出され、スイッチ回路41をオンにしてサーボ制御を開始して加振器6を駆動する。このとき基台17に加わる外乱振動の送り方向すなわちX軸方向成分に対して計測手段7の出力が見かけ上は零になるように加振器6を駆動制御する。この状態で光ディスク原盤1をターンテーブル13に搭載してCAV回転送り駆動を開始し、光ディスク原盤1を、例えば内周側から露光する場合、まず、スライダ19により集光手段12を所望の内径位置へ移動した後、ターンテーブル13上にある偏重心が数十μm程度で吸着固定された光ディスク原盤1を所定の一定回転数で回転させる。このときコントローラ39からスライダコントローラ34に出力している送り動作指令をオフにしてスライダ19の送り動作を一時停止する。光ディスク原盤1が一定回転数で回転を開始すると、回転機構部4の回転部全体が振れ回り振動を発生して基台17に伝達する。このとき基台17は伝達した振れ回り振動により回転部の回転周波数と同じ周波数で振動する。この基台17の振動加速度を計測手段7で計測し、計測した加速度信号をサーボ制御手段36に出力する。
【0031】
このときの各信号について図6の波形図を参照して説明する。図6において、右方向と左方向は図5の側面図における方向を示している。計測手段7で計測して出力した信号を増幅器37で増幅すると、図6(a)に示す正弦波状の加速度信号が出力される。この加速度信号を、例えば、カットオフ周波数数がkHz程度のローパスフィルタ38を通して制御に必要な周波数成分のみを取り出すと、図6(b)に示すように、高周波成分が取り除かれた正弦波状の加速度信号になる。このとき露光位置可変手段5に設けた位置検出手段21の受光部24は基台17に固定されているため、スライダ19の送り制御は回転振動方向と逆方向に影響を受けるので、スライダコントローラ34から偏差表示器3に出力されて表示された送り偏差信号は、図6(d)に示すように、図6(b)に示す加速度信号と逆位相となる。そこで偏差表示器3に表示された送り偏差信号を参照してサーボ制御手段36の振幅調整器44の手動調整手段を操作してローパスフィルタ38から出力される加速度信号の位相を逆位相にして、図6(c)に示すように、基台17の送り方向振動を打ち消す振動信号に変換する。この振幅調整器44を調整した振動信号を駆動回路42から出力して加振器7を駆動制御して、基台17の送り方向振動を打ち消す。振幅調整器44を調整して加振器7を所定の振動周期で加振した状態でコントローラ33からスライダコントローラ34に送り動作開始指令を出力してスライダ19の送り動作を開始し、光ディスク原盤2に露光を行う。
【0032】
このように回転機構部4の回転数が一定なCAV回転送り駆動の場合、偏差表示器3に表示された送り偏差信号を参照して加振器7を駆動制御して基台17の送り方向振動を打ち消すようにしたから、光ディスク原盤1を露光する集光手段12の送り精度を高めて露光品質を向上することができる。
【0033】
この回転機構部4の回転により生じる振れ回り振動は、光ディスク原盤1をターンテーブル13に搭載するたびに偏重心が異なるので、その都度、露光動作開始前に振幅調整器44を調整して加振器7の加振状態を可変すれば良い。また、この場合も加振器6の動作軸25を集光手段12の送り方向であるX軸、すなわち回転機構部4が回転するときの基台17への送り方向振動伝達力の作用点Aと同一平面上でかつ同一直線上になるように設けることにより、加振器6の取付け調整を容易にすることができるとともに送り制御の精度をより高めることができる。
【0034】
前記説明では加振器6を集光手段12の送り方向であるX軸から距離Lだけ離した位置に設けた場合について説明したが、図7の平面図に示すように、加振器6の動作軸25を集光手段12の送り方向であるX軸、すなわち回転機構部4が回転するときの基台17への送り方向振動伝達力の作用点Aと同一平面上でかつ同一直線上になるように設けることにより、加振器6の取付け調整を容易にすることができるとともに送り制御の精度をより高めることができる。
【0035】
すなわち回転機構部4の回転により基台17に伝達する振れ回り振動を加振器6で打ち消すとき、加振器6の動作軸25が回転機構部4から基台17への送り方向振動伝達力の作用点Aに生じる振動伝達力と厳密に平行でないと、基台17に対してヨーイング方向(紙面直角方向)の振動を誘起する伝達力成分が発生し、この伝達力成分が光ディスク原盤1を露光して形成するトラックピッチの円周方向の精度に影響を及ぼしてしまう。このため加振器6の動作軸25を回転機構部4から基台17への送り方向振動伝達力と厳密に平行にする必要があり、加振器6を集光手段12の送り方向であるX軸に設け、距離Lを零にすることにより基台17に対するヨーイング方向の振動を誘起する伝達力成分の影響を小さくすることができる。
【0036】
また、前記各説明では振動加速度を計測する計測手段7を基台17の上面に設けた場合について説明したが、露光位置可変手段5の位置検出手段21の部分で振動伝達力を計測するようにしても良い。この場合は、図8の側面図と図9の平面図に示すように、回転機構部4の回転中心を通り、集光手段12の送り方向であるX軸に沿ったスライダ19の下部に位置検出手段21である光学式リニアエンコーダのスケール23を設け、受光部24を取り付けた取付台45を、ロードセル等の計測手段7aと基台17に固定された固定ブロック47に取り付けられ計測手段7aに予圧を与える固定治具46を介して基台17に固定する。加振器6は動作軸25を集光手段12の送り方向であるX軸、すなわち回転機構部4が回転するときの基台17への送り方向振動伝達力の作用点Aと同一平面上でかつ同一直線上になるように基台17に固定されている。
【0037】
光ディスク原盤1をターンテーブル13に搭載して露光を行うとき、回転機構部4の回転によって生じる送り方向伝達力によって基台17が加振され、基台17を伝達媒体としてその振動が計測手段7aを介して受光部24に伝わる。このとき、受光部24と取付台45の合計質量と伝達された振動加速度の積で表される振動伝達力が計測手段7aの出力として発生する。この計測手段7aから出力する振動伝達力をサーボ制御手段36に入力する。サーボ制御手段36は入力した振動伝達力が零になるように加振器6の加振動作を制御する。したがって光ディスク原盤1をターンテーブル13に偏重心の状態で搭載して回転したことによりスライダ19へ与える振動を抑制することができ、スライダ19の送り精度すなわち集光手段12の送り精度を高めることができる。
【0038】
また、図10の側面図に示すように、基台17の上面に振動加速度を計測する計測手段7を設け、位置検出手段21の部分に振動伝達力を計測する計測手段7aを設けても良い。この場合、サーボ制御手段36に計測手段7の出力信号を増幅して高周波成分を除去する増幅器37とローパスフィルタ38とともに、計測手段7aの出力信号を増幅して高周波成分を除去する増幅器48とローパスフィルタ40を設け、ローパスフィルタ40の出力信号をスイッチ回路50を介して加算器50に送りローパスフィルタ38の出力信号と加算して補償回路39に出力するように構成している。
【0039】
この光ディスク原盤露光装置2で光ディスク原盤1を露光するとき、露光動作開始前に、コントローラ33からサーボ制御手段36のスイッチ回路41のオン信号を出力し、スイッチ回路41を導通させて振動加速度を計測する計測手段7からの出力信号を処理するループを動作させる。引き続いてコントローラ33からスイッチ回路50のオン信号を出力し、スイッチ回路50を導通させて振動伝達力を計測する計測手段7aの出力信号を処理するループも動作させる。このように露光動作開始前に振動加速度を計測する計測手段7からの出力信号を処理するループと振動伝達力を計測する計測手段7aの出力信号を処理するループを動作させて加振器6を駆動制御してスライダ19の送り方向の振動成分を打ち消すことにより、基台17に対する外部からの振動伝達の影響を除去することができる。
【0040】
この状態でコントローラ33からスピンドルコントローラ35とスライダコントローラ34に送り回転駆動開始指令が出力されて回転機構部4が回転を開始すると、サーボ制御手段36は、回転機構部4の回転により生じた振れ回り振動により基台17に伝達した送り方向振動成分を計測手段7からの出力信号に基づき打ち消し、基台17を伝達媒体とすることに起因する振動位相と大きさにゆがみを生じた位置検出手段21への送り方向伝達力を計測手段7aの出力信号に基づき打ち消すように加振器6を駆動制御する。このように基台17を伝達媒体とすることに起因する振動位相と大きさにゆがみを生じた位置検出手段21への送り方向伝達力を打ち消すことにより、回転機構部4とスライダ19の相対振動の影響を除去することもでき、スライダ19による集光手段12の送り動作を高精度に制御することができる。
【0041】
前記説明ではスライダ19の送り方向の振動加速度を計測する計測手段7や送り方向の振動伝達力を計測する計測手段7aの出力を、見かけ上、零に収束する相対的なフィードバック系でサーボ制御手段36を構成することにより、サーボ制御手段36の全ての要素で線形特性を確保することができ、制御特性を向上することができる。
【0042】
また、スライダ19の送り方向の振動加速度や振動伝達力を打ち消す加振器6としてボイスコイルアクチュエータを構成した場合について説明したが、図11の断面図に示すように、可動部30の加振方向両端保持部を例えばバイモルフ型圧電素子52で軸芯が一致するように筐体29の内周面に固定し、バイモルフ型圧電素子52に通電して可動部30を動作軸25の方向に加振させるようにしても良い。この場合、支持ばねを使用しないので、ボイスコイルアクチュエータで構成した加振器6より伝達効率は低下するが、構成部品が少なく構造を簡単化することができる。
【0043】
【発明の効果】
この発明は以上説明したように、光ディスク原盤を搭載して回転する回転機構部が回転しているときの振れ回り振動により基台に伝達される露光位置可変手段の送り方向の加速度を計測し、計測した加速度から基台に伝達した送り方向振動伝達力を打消す方向の信号を生成して、振動伝達力作用点が、回転機構部が回転しているときの基台に対する露光位置可変手段の送り方向の振動伝達力の作用点と同一平面上にあり、振動伝達力の作用方向が、露光位置可変手段の送り方向と同一方向になるように基台に固定された加振器を駆動制御することにより、光ディスク原盤を露光するときの露光位置の送り精度を高めることができ、露光品質を向上することができる。
【0044】
また、露光位置可変手段の送り偏差信号を表示し、光ディスク原盤を搭載して回転する回転機構部が回転しているときの振れ回り振動により基台に伝達される露光位置可変手段の送り方向の加速度を計測し、表示された送り偏差信号を参照して計測した送り方向の加速度信号を逆位相にして基台に伝達した送り方向振動伝達力を打消す方向の信号を生成し、加振器を駆動制御することにより、光ディスク原盤を露光するときの露光位置の送り精度を高めることができ、露光品質を向上することができる。
【0045】
この回転機構部が回転しているときの振れ回り振動により基台に伝達される振動を打ち消す加振器を、振動伝達力作用点が、回転機構部の回転中心と回転機構部が回転しているときの基台に対する露光位置可変手段の送り方向の振動伝達力の作用点を結ぶ直線上になるように、基台に固定することにより、加振器の取付け調整を容易にすることができるとともに露光位置可変手段の送り制御の精度をより高めることができる。
【0046】
また、露光位置可変手段の送り方向の位置を検出する位置検出手段の可動部に伝達する振動伝達力を計測し、計測した振動伝達力により基台に伝達した送り方向振動伝達力を打消す方向の信号を生成して加振器を駆動制御して、回転機構部が回転しているときの振れ回り振動により基台に伝達される振動を、見かけ上、零にすることにより、露光位置可変手段の送り制御の精度を高めることができる。
【0047】
さらに、光ディスク原盤を搭載して回転する回転機構部が回転しているときの振れ回り振動により基台に伝達される露光位置可変手段の送り方向の加速度と露光位置可変手段の送り方向の位置を検出する位置検出手段の可動部に伝達する振動伝達力の和信号により基台に伝達した送り方向振動伝達力を打消す方向の信号を生成して加振器を駆動制御することにより、振動伝達経路の違いに起因する送り方向の振動成分及び外乱振動の送り方向成分を抑圧でき、露光位置可変手段の送り制御の精度をより高めることができ、露光品質を向上することができる。
【0048】
また、加振器を、コイル移動型又は磁石移動型のボイスコイルモータで構成し、固有角周波数ωcと使用回転角周波数ωとをω/ωcが21/2の近傍になるように可動部を保持する支持ばねのばね定数を設定することにより、加振の伝達効率を高めて送り方向の振動成分や外乱振動の送り方向成分を抑圧でき、露光位置可変手段の送り制御の精度をより高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の光ディスク原盤露光装置の構成を示す側面図である。
【図2】この発明の光ディスク原盤露光装置の構成を示す平面図である。
【図3】加振器の構成を示す断面図である。
【図4】加振器の計算モデルと駆動回路モデルの模式図である。
【図5】第2の光ディスク原盤露光装置の構成を示す側面図である。
【図6】第2の光ディスク原盤露光装置における振動抑制処理を示す波形図である。
【図7】加振器の他の配置を示す平面図である。
【図8】第3の光ディスク原盤露光装置の構成を示す側面図である。
【図9】第3の光ディスク原盤露光装置の構成を示す平面図である。
【図10】第4の光ディスク原盤露光装置の構成を示す側面図である。
【図11】加振器の他の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1;光ディスク原盤、2;光ディスク原盤露光装置、3;露光手段、
4;回転機構部、5;露光位置可変手段、6;加振器、7,7a;計測手段、
8;駆動制御装置、9;光源、10;露光光学系、11;折返しミラー、
12;集光手段、13;ターンテーブル、14;スピンドル、
15;AC同期モータ、16;光学式ロータリーエンコーダ、17;基台、
18;取付部、19;スライダ、20;移動台、21;位置検出手段、
22;ガイド、23;スケール、24;受光部、25;加振器の動作軸、
26;永久磁石、27;中空フランジ状の継鉄、28;リング状の継鉄、
29;筐体、30;可動部、31;駆動コイル、32;支持ばね、
33;コントローラ、34;スライダコントローラ、
35;スピンドルコントローラ、36;サーボ制御手段、
37;増幅器、38;ローパスフィルタ、39;補償回路、
40;ゲイン調整器、41;スイッチ回路、42;駆動回路、
43;偏差表示器、44;振幅調整器。
【発明の属する技術分野】
この発明は、光ディスク原盤露光装置、特に光ディスク原盤の回転時の振れ回り振動により生じる露光位置の送り方向振動を抑制して隣接するトラックの溝間隔を高精度に露光することに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】特開平10−293928号公報
【特許文献2】特開平10−261245号公報
【特許文献3】特開平8−329476号公報
【特許文献4】特開平9−190651号公報
光ディスク原盤の表面に形成されたレジスト膜にトラックの溝を露光するとき、隣接するトラックの溝間隔を高精度に露光する必要がある。この隣接するトラックの溝間隔を高精度に露光する露光装置が各種開示されている。
【0003】
特許文献1に示された光ディスク原盤露光装置は、ディスク原盤を露光するヘッドの装置本体に対する位置と、ディスク原盤を支持するターンテーブルの装置本体に対する位置の差分をレーザ測長計で計測し、計測した差分と、ターンテーブルの位置とあらかじめ設定されたヘッドの目標位置に対応する差分とからディスク原盤を露光するヘッドの位置を装置本体に固定した微小移動手段により微調整して、ターンテーブルに対するヘッドの位置を所定の位置に制御するようにしている。
【0004】
特許文献2に示された光ディスク原盤露光装置は、記録ヘッドを搭載しているスライダー送り系に設けたレーザ干渉計又はレーザホロスケールで送りスライダーの微量な送りムラを検出し、音響光学光偏向器によりレーザ光を偏向して光学的に送りむらを補正するようにしている。
【0005】
特許文献3に示された光ディスク原盤露光装置は、露光用光学系が設けられたスライダの摩擦駆動による微少振動及び送り系の機械的共振周波数が低いことによる送りサーボゲイン不足によるスライダの微少振動をなくすために、対物レンズを取り付けた第1微動テーブルの位置を微調整する圧電素子を第2微動テーブルに設けて、スライダの振動と同じ距離だけ第1微動テーブルを振動方向と逆向きに移動させることにより、スライダの振動を抑制するようにしている。
【0006】
特許文献4に示された光ディスク原盤露光装置は、ディスク原盤を保持するターンテーブルの半径方向に、非接触に変位センサーを配置し、予めターンテーブルの各回転位置での振れ量を計測し各回転角位置ごとの振れ量を平均した平均値をメモリに蓄積しておき、露光時には測定した振れ量から各回転角の位置に対応する平均値を減算して非同期振れ量のみを出力し、この出力値で露光光の照射位置を補正して、ターンテーブルの非同期振れによる影響を受けないようにしている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
通常、ディスク原盤は外径に対して数10μm程度の偏心、言い換えれば、数10μm程度の偏重心にてターンテーブル上に搭載される。このため回転時に働く遠心力により回転部が振れ回り振動を発生するので、特許文献1に示すように、ターンテーブルの位置をレーザ測長計で測定しようとしても、ターンテーブル側面のレーザ照射位置が回転角とともに変わってしまう。したがってディスク原盤を露光するヘッドの位置と、ディスク原盤を支持するターンテーブルの位置の差分を計測しても正確な送り方向の差分が計測できず、その信号にもとづいて微小移動手段を動作させてしまうと正確な補正動作ができず、逆にピッチ変動を発生して露光品質が劣化してしまう可能性がある。
【0008】
また、光ディスク原盤上に形成される記録溝のピッチ精度は、ターンテーブルとヘッドを移動する移動台の相対的な振れにて決定されるため、特許文献2や特許文献3に示すように、送りスライダーの微量な送りムラや振動だけを検出して送り補正を行ったり、特許文献4に示すように、ターンテーブルの振れ量だけで露光位置を補正しても補正精度が悪くなってしまい、露光品質が劣化してしまう。
【0009】
さらに、特許文献1〜特許文献3に示された光ディスク原盤露光装置は、送り方向の補正機構としてヘッド先端又はヘッド筐体にピエゾアクチュエータを取り付ける構成のため、構造が複雑で組立調整が困難である。また、機械剛性が低下し、送り系のサーボゲインを高く設定できないので制御上好ましくなかった。
【0010】
この発明はかかる短所を改善し、簡単な構成で光ディスク原盤の回転時の振れ回り振動により生じる露光位置の送り方向振動を抑制して、隣接するトラックの溝間隔を高精度に露光することができる光ディスク原盤露光装置を提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この発明の光ディスク原盤露光装置は、露光手段と、基台に設けられた回転機構部と露光位置可変手段とを有し、露光手段は露光光学系から導かれた照射ビームを回転機構部に搭載して回転する光ディスク原盤に集光し、露光位置可変手段は、露光光学系の集光手段を搭載し、搭載した集光手段を回転機構部に搭載した光ディスク原盤の半径方向に移動する光ディスク原盤露光装置において、加速度計測手段と加振器及び制御手段を有し、加速度計測手段は、回転機構部の回転中心と露光位置可変手段の送り方向とで形成する平面に沿って基台の上面に設けられ、回転機構部が回転しているときの振れ回り振動により基台に伝達される露光位置可変手段の送り方向の加速度を計測し、加振器は、振動伝達力作用点が、回転機構部が回転しているときの基台に対する露光位置可変手段の送り方向の振動伝達力の作用点と同一平面上にあり、振動伝達力の作用方向が、露光位置可変手段の送り方向と同一方向になるように基台に固定され、制御手段は、加速度計測手段から出力する送り方向の加速度信号を入力して基台に伝達した送り方向振動伝達力を打消す方向の信号を生成し、加振器を駆動制御することを特徴とする。
【0012】
この発明の第2の光ディスク原盤露光装置は、露光手段と、基台に設けられた回転機構部と露光位置可変手段とを有し、露光手段は露光光学系から導かれた照射ビームを回転機構部に搭載して回転する光ディスク原盤に集光し、露光位置可変手段は、露光光学系の集光手段を搭載し、搭載した集光手段を回転機構部に搭載した光ディスク原盤の半径方向に移動する光ディスク原盤露光装置において、偏差表示器と加速度計測手段と加振器及び制御手段を有し、偏差表示器は、露光位置可変手段の送り偏差信号を表示し、加速度計測手段は、回転機構部の回転中心と露光位置可変手段の送り方向とで形成する平面に沿って基台の上面に設けられ、回転機構部が回転しているときの振れ回り振動により基台に伝達される露光位置可変手段の送り方向の加速度を計測し、加振器は、振動伝達力作用点が、回転機構部が回転しているときの基台に対する露光位置可変手段の送り方向の振動伝達力の作用点と同一平面上にあり、振動伝達力の作用方向が、露光位置可変手段の送り方向と同一方向になるように基台に固定され、制御手段は、加速度計測手段から出力する送り方向の加速度信号を入力し、偏差表示器に表示された送り偏差信号を参照して入力した送り方向の加速度信号を逆位相にして基台に伝達した送り方向振動伝達力を打消す方向の信号を生成し、加振器を駆動制御することを特徴とする。
【0013】
前記加振器の振動伝達力作用点が、回転機構部の回転中心と回転機構部が回転しているときの基台に対する露光位置可変手段の送り方向の振動伝達力の作用点を結ぶ直線上になるように、加振器を基台に固定して、加振器の取付け調整を容易にするとともに露光位置可変手段の送り制御の精度をより高める。
【0014】
この発明の第3の光ディスク原盤露光装置は、露光手段と、基台に設けられた回転機構部と露光位置可変手段とを有し、露光手段は露光光学系から導かれた照射ビームを回転機構部に搭載して回転する光ディスク原盤に集光し、露光位置可変手段は、露光光学系の集光手段を搭載し、搭載した集光手段を回転機構部に搭載した光ディスク原盤の半径方向に移動する光ディスク原盤露光装置において、振動伝達力計測手段と加振器及び制御手段を有し、振動伝達力計測手段は、回転機構部の回転中心と露光位置可変手段の送り方向とで形成する平面に沿って設けられ、露光位置可変手段の送り方向の位置を検出する位置検出手段の可動部に伝達する振動伝達力を計測し、加振器は、振動伝達力作用点が、回転機構部が回転しているときの基台に対する露光位置可変手段の送り方向の振動伝達力の作用点と同一平面上にあり、振動伝達力の作用方向が、露光位置可変手段の送り方向と同一方向になり、かつ振動伝達力作用点が、回転機構部の回転中心と回転機構部が回転しているときの基台に対する露光位置可変手段の送り方向の振動伝達力の作用点を結ぶ直線上になるように基台に固定され、制御手段は、振動伝達力計測手段から出力する振動伝達力を入力して基台に伝達した送り方向振動伝達力を打消す方向の信号を生成し、加振器を駆動制御することを特徴とする。
【0015】
この発明の第4の光ディスク原盤露光装置は、露光手段と、基台に設けられた回転機構部と露光位置可変手段とを有し、露光手段は露光光学系から導かれた照射ビームを回転機構部に搭載して回転する光ディスク原盤に集光し、露光位置可変手段は、露光光学系の集光手段を搭載し、搭載した集光手段を回転機構部に搭載した光ディスク原盤の半径方向に移動する光ディスク原盤露光装置において、加速度計測手段と振動伝達力計測手段と加振器及び制御手段を有し、加速度計測手段は、回転機構部の回転中心と前記露光位置可変手段の送り方向とで形成する平面に沿って基台の上面に設けられ、回転機構部が回転しているときの振れ回り振動により基台に伝達される露光位置可変手段の送り方向の加速度を計測し、振動伝達力計測手段は、回転機構部の回転中心と露光位置可変手段の送り方向とで形成する平面に沿って設けられ、露光位置可変手段の送り方向の位置を検出する位置検出手段の可動部に伝達する振動伝達力を計測し、加振器は、振動伝達力作用点が、回転機構部が回転しているときの基台に対する露光位置可変手段の送り方向の振動伝達力の作用点と同一平面上にあり、振動伝達力の作用方向が、露光位置可変手段の送り方向と同一方向になり、かつ振動伝達力作用点が、回転機構部の回転中心と回転機構部が回転しているときの基台に対する露光位置可変手段の送り方向の振動伝達力の作用点を結ぶ直線上になるように基台に固定され、制御手段は、加速度計測手段から出力する送り方向の加速度信号と振動伝達力計測手段で出力する振動伝達力の信号を入力し、入力した送り方向の加速度信号と振動伝達力の信号の和信号により基台に伝達した送り方向振動伝達力を打消す方向の信号を生成し、加振器を駆動制御することを特徴とする。
【0016】
前記加振器を、コイル移動型又は磁石移動型のボイスコイルモータで構成し、固有角周波数ωcと使用回転角周波数ωとをω/ωcが21/2の近傍になるように可動部を保持する支持ばねのばね定数を設定し、加振の伝達効率を高める。
【0017】
【発明の実施の形態】
図1,図2はこの発明の光ディスク原盤露光装置の構成を示し、図1は側面図、図2は平面図である。図に示すように、光ディスク原盤1を露光する光ディスク原盤露光装置2は、露光手段3と回転機構部4と露光位置可変手段5と加振器6と計測手段7及び駆動制御装置8を有する。露光手段3は光源9と露光光学系10と折返しミラー11及び例えば開口数NAが0.9以上の対物レンズを搭載したボイスコイルアクチュエータで構成された集光手段12を有する。
【0018】
回転機構部4は、光ディスク原盤1を吸着して保持するターンテーブル13と外部より供給される圧縮空気によりスラストとラジアル方向に静圧浮上して回転自在なスピンドル14とAC同期モータ15及びモータ15の回転角度を検出する光学式ロータリーエンコーダ16を有し、例えば空気圧等を利用した除振機構の上に設けた基台17の所定の取付部18にモータ15が固定されている。
【0019】
露光位置可変手段5は、外部から供給される圧縮空気により静圧浮上するスライダ19と移動台20及び位置検出手段21を有する。スライダ19のガイド22は、図2に示すように、基台17の回転機構部4の回転中心を通るX軸を中心にして回転機構部4から一定位置に固定されている。移動台20は、一方の端部がスライダ19の上面に固定され、回転機構部4と対向する他方の端部の上部には露光手段3の折返しミラー11が固定され、折返しミラー11の下部に、折返しミラー11から導かれる照射ビームを集光する集光手段12が固定されている。位置検出手段21は、例えばスライダ19の下部に取付けたスケール23と基台17に取付けられた投光部と受光部24で構成された光学式リニアエンコーダからなり、スライダ19の移動量すなわち集光手段12の送り方向に位置を計測する。
【0020】
加振器6は、図2の平面図に示すように、動作軸25が集光手段12の送り方向であるX軸と平行で、振動伝達力作用点Bが回転機構部4が回転するときの基台17への送り方向振動伝達力の作用点Aと同一平面上で距離Lだけ離れた基台17の上面の固定されている。このように加振器6の振動伝達力作用点Bと回転機構部4が回転するときの基台17への送り方向振動伝達力の作用点Aを同一平面上に設けることにより、基台17に対してピッチング方向振動(紙面の回転方向振動)を誘起する振動伝達力を加えないように構成している。すなわち基台17のピッチング方向振動は光ディスク原盤1を露光して形成するトラックピッチ精度に影響を及ぼすから、この影響を避けるためである。
【0021】
この加振器6は、図3の断面図に示すように、加振方向に磁極構成されたリング状の永久磁石26に、中心が円筒状に形成された中空フランジ状の継鉄27とリング状の継鉄28が同軸で固定され、これらが筐体29の内周面に固定されている。中空フランジ状の継鉄27の円筒部には可動部30が摺動自在に配置され、可動部30の外周部に巻き回した駆動コイル31が中空フランジ状の継鉄27とリング状の継鉄28により形成される磁気ギャップに配置されている。この可動部30の両端部は、外周部を筐体29に固定した支持ばね32の中心穴に固定して支持され、コイル移動型のボイスコイルアクチュエータを構成している。そして駆動コイル31に通電することにより、可動部30は中心軸である動作軸25の方向に移動する。この加振器6の可動部30の質量は光ディスク原盤1の質量と同じに構成している。
【0022】
計測手段7は加速度センサ等からなり、回転機構部4の回転中心を含みかつ集光手段12の送り方向であるX軸上の基台17の上面に設けられ、回転機構部4が回転しているときの振れ回り振動により基台17に伝達されるスライダ19すなわち集光手段12の送り方向の加速度を計測する。
【0023】
駆動制御装置8はコントローラ33とスライダコントローラ34とスピンドルコントローラ35及びサーボ制御手段36を有する。コントローラ33は装置全体の動作を制御する。スライダコントローラ34は、露光位置可変手段5に設けた位置検出手段21からの位置検出信号を入力してスライダ19の例えばDCリニアモータ等の駆動部を制御する。スピンドルコントローラ35は回転機構部4の光学式ロータリーエンコーダ16からの出力、すなわち一周を数千等分割したA相とB相パルス及び一周に1回発生するZ相パルスを入力してモータ15の回転を制御する。また、スピンドルコントローラ35に入力した光学式ロータリーエンコーダ16のZ相出力は、送り動作と回転動作の協調を図るためにスライダコントローラ34に送られる。
【0024】
サーボ制御手段36は、増幅器37とローパスフィルタ38と補償回路39とゲイン調整器40とスイッチ回路41及び駆動回路42を有し、計測手段7で計測した集光手段12の送り方向の加速度量の計測信号を増幅器37で増幅し、ローパスフィルタ38を介して補償回路39に出力する。補償回路39は入力した信号の開ループ周波数特性におけるゲイン余有(10dB以上)と位相余有(45度以上)を調整してゲイン調整器40を介してスイッチ回路41に出力する。スイッチ回路41はコントローラ33からのオン信号により導通し、ゲイン調整器40の出力信号を駆動回路42に送る。駆動回路42は入力した信号により加振器6を駆動する。
【0025】
この光ディスク原盤露光装置1で光ディスク原盤2を露光するとき、回転数(角速度)を一定としたスライダー19すなわち集光手段12と回転機構部4の協調送り動作であるCAV回転送り駆動と、線速度を一定とした協調送り動作であるCLV送り駆動がある。
【0026】
CLV送り駆動の場合、スライダ19で移動する集光手段12の位置すなわち露光する半径位置にしたがって下記(1)式に示すように回転機構部4の回転数を変化させる必要がある。
N=60×V/(2×π×r)) (1)
ここでNは回転数(rpm)、Vは線速度(m/s)、rは半径位置(m)である。
回転送り動作が開始される前にコントローラ33からサーボ制御手段36にオン信号が送出され、スイッチ回路41をオンにしてサーボ制御を開始して加振器6を駆動する。このとき基台17に加わる外乱振動の送り方向すなわちX軸方向成分に対して計測手段7の出力が見かけ上は零になるように加振器6を駆動制御する。この状態でコントローラ33から回転送り動作開始指令がスピンドルコントローラ35とスライダコントローラ34に出力されると、ターンテーブル13上に偏重心が数十μm程度で吸着固定された光ディスク原盤1が回転を開始する。この回転により回転機構部4の回転部全体が振れ回り振動を発生して基台17に伝達する。この基台17に伝達した振れ回り振動により計測手段7に送り方向の正弦波状の振動加速度が加わる。CLV送り駆動の場合、露光する半径位置が外周ほど周波数が下がっていく正弦波状の振動加速度が加わる。この振動加速度を計測手段7で計測し、計測した加速度信号をサーボ制御手段36に出力する。サーボ制御手段36は、計測手段7から出力される加速度信号が見かけ上は零になるように加振器6を駆動制御する。すなわちサーボ制御手段36は計測手段7で計測している振れ回り振動の加速度と逆相に振動を基台17に加えるように加振器7を駆動制御する。このように計測手段7から出力される加速度信号が見かけ上は零になるように加振器6を駆動制御することにより、光ディスク原盤2を露光するときの送り精度を高めて露光品質を向上させることができる。
【0027】
ここで加振器6の計算モデル61と駆動回路モデル62を図4に示す。この加振器6の入力電圧に対する伝達力の関係は下記(2)式の伝達関数G(s)で示される。
G(s)=Kf・(K+C・s)/{(ms2+Cs+K)・(R0+RC+LCs)}・・・(2)
ここでKfは加振器推力定数、mは可動部質量、Kは支持バネ定数、Cは減衰係数、R0は駆動回路出力抵抗、RCは加振器コイル抵抗、LCは加振器コイルインダクタンスを示す。
サーボ制御手段36は、この伝達関数G(s)と増幅器37とローパスフィルタ38と補償回路39とゲイン調整器40及び駆動回路42の伝達関数を掛け算して得られる伝達関数にて構成する。
【0028】
また、加振器6の可動部30に加える力Pに対する振動伝達力Ptの比Pt/Pである伝達率Taは、使用回転角周波数をω、加振器6の固有角周波数をωcとすると下記(3)式で表せる。
Ta={1+(2・ζ・ω/p)2}1/2/[{1−(ω/p)2}2+(2・ζ・ω/p)2]1/2・・(3)
ここで、ζ=C/2・(m・K)1/2、p=(K/m)1/2=ωcである。
加振器6の固有角周波数ωcを使用回転角周波数ωに対してω/ωcが21/2の近傍になるように支持ばね32のばね定数を定めれば、可動部30の加振による伝達効率を大きくすることができ、小さい加振器6で基台17の振動を打ち消すことができる。
【0029】
次に、CAV回転送り駆動の場合について説明する。この場合、光ディスク原盤露光装置2には、図5の側面図に示すように、スライダコントローラ34から出力される送り偏差信号を表示する偏差表示器43を有し、サーボ制御手段36には増幅器37とローパスフィルタ38と調整可変抵抗等の手動調整手段を有する振幅調整器44とスイッチ回路41及び駆動回路42を有する。
【0030】
CAV回転送り駆動を開始する前にコントローラ33からサーボ制御手段36にオン信号が送出され、スイッチ回路41をオンにしてサーボ制御を開始して加振器6を駆動する。このとき基台17に加わる外乱振動の送り方向すなわちX軸方向成分に対して計測手段7の出力が見かけ上は零になるように加振器6を駆動制御する。この状態で光ディスク原盤1をターンテーブル13に搭載してCAV回転送り駆動を開始し、光ディスク原盤1を、例えば内周側から露光する場合、まず、スライダ19により集光手段12を所望の内径位置へ移動した後、ターンテーブル13上にある偏重心が数十μm程度で吸着固定された光ディスク原盤1を所定の一定回転数で回転させる。このときコントローラ39からスライダコントローラ34に出力している送り動作指令をオフにしてスライダ19の送り動作を一時停止する。光ディスク原盤1が一定回転数で回転を開始すると、回転機構部4の回転部全体が振れ回り振動を発生して基台17に伝達する。このとき基台17は伝達した振れ回り振動により回転部の回転周波数と同じ周波数で振動する。この基台17の振動加速度を計測手段7で計測し、計測した加速度信号をサーボ制御手段36に出力する。
【0031】
このときの各信号について図6の波形図を参照して説明する。図6において、右方向と左方向は図5の側面図における方向を示している。計測手段7で計測して出力した信号を増幅器37で増幅すると、図6(a)に示す正弦波状の加速度信号が出力される。この加速度信号を、例えば、カットオフ周波数数がkHz程度のローパスフィルタ38を通して制御に必要な周波数成分のみを取り出すと、図6(b)に示すように、高周波成分が取り除かれた正弦波状の加速度信号になる。このとき露光位置可変手段5に設けた位置検出手段21の受光部24は基台17に固定されているため、スライダ19の送り制御は回転振動方向と逆方向に影響を受けるので、スライダコントローラ34から偏差表示器3に出力されて表示された送り偏差信号は、図6(d)に示すように、図6(b)に示す加速度信号と逆位相となる。そこで偏差表示器3に表示された送り偏差信号を参照してサーボ制御手段36の振幅調整器44の手動調整手段を操作してローパスフィルタ38から出力される加速度信号の位相を逆位相にして、図6(c)に示すように、基台17の送り方向振動を打ち消す振動信号に変換する。この振幅調整器44を調整した振動信号を駆動回路42から出力して加振器7を駆動制御して、基台17の送り方向振動を打ち消す。振幅調整器44を調整して加振器7を所定の振動周期で加振した状態でコントローラ33からスライダコントローラ34に送り動作開始指令を出力してスライダ19の送り動作を開始し、光ディスク原盤2に露光を行う。
【0032】
このように回転機構部4の回転数が一定なCAV回転送り駆動の場合、偏差表示器3に表示された送り偏差信号を参照して加振器7を駆動制御して基台17の送り方向振動を打ち消すようにしたから、光ディスク原盤1を露光する集光手段12の送り精度を高めて露光品質を向上することができる。
【0033】
この回転機構部4の回転により生じる振れ回り振動は、光ディスク原盤1をターンテーブル13に搭載するたびに偏重心が異なるので、その都度、露光動作開始前に振幅調整器44を調整して加振器7の加振状態を可変すれば良い。また、この場合も加振器6の動作軸25を集光手段12の送り方向であるX軸、すなわち回転機構部4が回転するときの基台17への送り方向振動伝達力の作用点Aと同一平面上でかつ同一直線上になるように設けることにより、加振器6の取付け調整を容易にすることができるとともに送り制御の精度をより高めることができる。
【0034】
前記説明では加振器6を集光手段12の送り方向であるX軸から距離Lだけ離した位置に設けた場合について説明したが、図7の平面図に示すように、加振器6の動作軸25を集光手段12の送り方向であるX軸、すなわち回転機構部4が回転するときの基台17への送り方向振動伝達力の作用点Aと同一平面上でかつ同一直線上になるように設けることにより、加振器6の取付け調整を容易にすることができるとともに送り制御の精度をより高めることができる。
【0035】
すなわち回転機構部4の回転により基台17に伝達する振れ回り振動を加振器6で打ち消すとき、加振器6の動作軸25が回転機構部4から基台17への送り方向振動伝達力の作用点Aに生じる振動伝達力と厳密に平行でないと、基台17に対してヨーイング方向(紙面直角方向)の振動を誘起する伝達力成分が発生し、この伝達力成分が光ディスク原盤1を露光して形成するトラックピッチの円周方向の精度に影響を及ぼしてしまう。このため加振器6の動作軸25を回転機構部4から基台17への送り方向振動伝達力と厳密に平行にする必要があり、加振器6を集光手段12の送り方向であるX軸に設け、距離Lを零にすることにより基台17に対するヨーイング方向の振動を誘起する伝達力成分の影響を小さくすることができる。
【0036】
また、前記各説明では振動加速度を計測する計測手段7を基台17の上面に設けた場合について説明したが、露光位置可変手段5の位置検出手段21の部分で振動伝達力を計測するようにしても良い。この場合は、図8の側面図と図9の平面図に示すように、回転機構部4の回転中心を通り、集光手段12の送り方向であるX軸に沿ったスライダ19の下部に位置検出手段21である光学式リニアエンコーダのスケール23を設け、受光部24を取り付けた取付台45を、ロードセル等の計測手段7aと基台17に固定された固定ブロック47に取り付けられ計測手段7aに予圧を与える固定治具46を介して基台17に固定する。加振器6は動作軸25を集光手段12の送り方向であるX軸、すなわち回転機構部4が回転するときの基台17への送り方向振動伝達力の作用点Aと同一平面上でかつ同一直線上になるように基台17に固定されている。
【0037】
光ディスク原盤1をターンテーブル13に搭載して露光を行うとき、回転機構部4の回転によって生じる送り方向伝達力によって基台17が加振され、基台17を伝達媒体としてその振動が計測手段7aを介して受光部24に伝わる。このとき、受光部24と取付台45の合計質量と伝達された振動加速度の積で表される振動伝達力が計測手段7aの出力として発生する。この計測手段7aから出力する振動伝達力をサーボ制御手段36に入力する。サーボ制御手段36は入力した振動伝達力が零になるように加振器6の加振動作を制御する。したがって光ディスク原盤1をターンテーブル13に偏重心の状態で搭載して回転したことによりスライダ19へ与える振動を抑制することができ、スライダ19の送り精度すなわち集光手段12の送り精度を高めることができる。
【0038】
また、図10の側面図に示すように、基台17の上面に振動加速度を計測する計測手段7を設け、位置検出手段21の部分に振動伝達力を計測する計測手段7aを設けても良い。この場合、サーボ制御手段36に計測手段7の出力信号を増幅して高周波成分を除去する増幅器37とローパスフィルタ38とともに、計測手段7aの出力信号を増幅して高周波成分を除去する増幅器48とローパスフィルタ40を設け、ローパスフィルタ40の出力信号をスイッチ回路50を介して加算器50に送りローパスフィルタ38の出力信号と加算して補償回路39に出力するように構成している。
【0039】
この光ディスク原盤露光装置2で光ディスク原盤1を露光するとき、露光動作開始前に、コントローラ33からサーボ制御手段36のスイッチ回路41のオン信号を出力し、スイッチ回路41を導通させて振動加速度を計測する計測手段7からの出力信号を処理するループを動作させる。引き続いてコントローラ33からスイッチ回路50のオン信号を出力し、スイッチ回路50を導通させて振動伝達力を計測する計測手段7aの出力信号を処理するループも動作させる。このように露光動作開始前に振動加速度を計測する計測手段7からの出力信号を処理するループと振動伝達力を計測する計測手段7aの出力信号を処理するループを動作させて加振器6を駆動制御してスライダ19の送り方向の振動成分を打ち消すことにより、基台17に対する外部からの振動伝達の影響を除去することができる。
【0040】
この状態でコントローラ33からスピンドルコントローラ35とスライダコントローラ34に送り回転駆動開始指令が出力されて回転機構部4が回転を開始すると、サーボ制御手段36は、回転機構部4の回転により生じた振れ回り振動により基台17に伝達した送り方向振動成分を計測手段7からの出力信号に基づき打ち消し、基台17を伝達媒体とすることに起因する振動位相と大きさにゆがみを生じた位置検出手段21への送り方向伝達力を計測手段7aの出力信号に基づき打ち消すように加振器6を駆動制御する。このように基台17を伝達媒体とすることに起因する振動位相と大きさにゆがみを生じた位置検出手段21への送り方向伝達力を打ち消すことにより、回転機構部4とスライダ19の相対振動の影響を除去することもでき、スライダ19による集光手段12の送り動作を高精度に制御することができる。
【0041】
前記説明ではスライダ19の送り方向の振動加速度を計測する計測手段7や送り方向の振動伝達力を計測する計測手段7aの出力を、見かけ上、零に収束する相対的なフィードバック系でサーボ制御手段36を構成することにより、サーボ制御手段36の全ての要素で線形特性を確保することができ、制御特性を向上することができる。
【0042】
また、スライダ19の送り方向の振動加速度や振動伝達力を打ち消す加振器6としてボイスコイルアクチュエータを構成した場合について説明したが、図11の断面図に示すように、可動部30の加振方向両端保持部を例えばバイモルフ型圧電素子52で軸芯が一致するように筐体29の内周面に固定し、バイモルフ型圧電素子52に通電して可動部30を動作軸25の方向に加振させるようにしても良い。この場合、支持ばねを使用しないので、ボイスコイルアクチュエータで構成した加振器6より伝達効率は低下するが、構成部品が少なく構造を簡単化することができる。
【0043】
【発明の効果】
この発明は以上説明したように、光ディスク原盤を搭載して回転する回転機構部が回転しているときの振れ回り振動により基台に伝達される露光位置可変手段の送り方向の加速度を計測し、計測した加速度から基台に伝達した送り方向振動伝達力を打消す方向の信号を生成して、振動伝達力作用点が、回転機構部が回転しているときの基台に対する露光位置可変手段の送り方向の振動伝達力の作用点と同一平面上にあり、振動伝達力の作用方向が、露光位置可変手段の送り方向と同一方向になるように基台に固定された加振器を駆動制御することにより、光ディスク原盤を露光するときの露光位置の送り精度を高めることができ、露光品質を向上することができる。
【0044】
また、露光位置可変手段の送り偏差信号を表示し、光ディスク原盤を搭載して回転する回転機構部が回転しているときの振れ回り振動により基台に伝達される露光位置可変手段の送り方向の加速度を計測し、表示された送り偏差信号を参照して計測した送り方向の加速度信号を逆位相にして基台に伝達した送り方向振動伝達力を打消す方向の信号を生成し、加振器を駆動制御することにより、光ディスク原盤を露光するときの露光位置の送り精度を高めることができ、露光品質を向上することができる。
【0045】
この回転機構部が回転しているときの振れ回り振動により基台に伝達される振動を打ち消す加振器を、振動伝達力作用点が、回転機構部の回転中心と回転機構部が回転しているときの基台に対する露光位置可変手段の送り方向の振動伝達力の作用点を結ぶ直線上になるように、基台に固定することにより、加振器の取付け調整を容易にすることができるとともに露光位置可変手段の送り制御の精度をより高めることができる。
【0046】
また、露光位置可変手段の送り方向の位置を検出する位置検出手段の可動部に伝達する振動伝達力を計測し、計測した振動伝達力により基台に伝達した送り方向振動伝達力を打消す方向の信号を生成して加振器を駆動制御して、回転機構部が回転しているときの振れ回り振動により基台に伝達される振動を、見かけ上、零にすることにより、露光位置可変手段の送り制御の精度を高めることができる。
【0047】
さらに、光ディスク原盤を搭載して回転する回転機構部が回転しているときの振れ回り振動により基台に伝達される露光位置可変手段の送り方向の加速度と露光位置可変手段の送り方向の位置を検出する位置検出手段の可動部に伝達する振動伝達力の和信号により基台に伝達した送り方向振動伝達力を打消す方向の信号を生成して加振器を駆動制御することにより、振動伝達経路の違いに起因する送り方向の振動成分及び外乱振動の送り方向成分を抑圧でき、露光位置可変手段の送り制御の精度をより高めることができ、露光品質を向上することができる。
【0048】
また、加振器を、コイル移動型又は磁石移動型のボイスコイルモータで構成し、固有角周波数ωcと使用回転角周波数ωとをω/ωcが21/2の近傍になるように可動部を保持する支持ばねのばね定数を設定することにより、加振の伝達効率を高めて送り方向の振動成分や外乱振動の送り方向成分を抑圧でき、露光位置可変手段の送り制御の精度をより高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の光ディスク原盤露光装置の構成を示す側面図である。
【図2】この発明の光ディスク原盤露光装置の構成を示す平面図である。
【図3】加振器の構成を示す断面図である。
【図4】加振器の計算モデルと駆動回路モデルの模式図である。
【図5】第2の光ディスク原盤露光装置の構成を示す側面図である。
【図6】第2の光ディスク原盤露光装置における振動抑制処理を示す波形図である。
【図7】加振器の他の配置を示す平面図である。
【図8】第3の光ディスク原盤露光装置の構成を示す側面図である。
【図9】第3の光ディスク原盤露光装置の構成を示す平面図である。
【図10】第4の光ディスク原盤露光装置の構成を示す側面図である。
【図11】加振器の他の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1;光ディスク原盤、2;光ディスク原盤露光装置、3;露光手段、
4;回転機構部、5;露光位置可変手段、6;加振器、7,7a;計測手段、
8;駆動制御装置、9;光源、10;露光光学系、11;折返しミラー、
12;集光手段、13;ターンテーブル、14;スピンドル、
15;AC同期モータ、16;光学式ロータリーエンコーダ、17;基台、
18;取付部、19;スライダ、20;移動台、21;位置検出手段、
22;ガイド、23;スケール、24;受光部、25;加振器の動作軸、
26;永久磁石、27;中空フランジ状の継鉄、28;リング状の継鉄、
29;筐体、30;可動部、31;駆動コイル、32;支持ばね、
33;コントローラ、34;スライダコントローラ、
35;スピンドルコントローラ、36;サーボ制御手段、
37;増幅器、38;ローパスフィルタ、39;補償回路、
40;ゲイン調整器、41;スイッチ回路、42;駆動回路、
43;偏差表示器、44;振幅調整器。
Claims (6)
- 露光手段と、基台に設けられた回転機構部と露光位置可変手段とを有し、露光手段は露光光学系から導かれた照射ビームを回転機構部に搭載して回転する光ディスク原盤に集光し、露光位置可変手段は、露光光学系の集光手段を搭載し、搭載した集光手段を回転機構部に搭載した光ディスク原盤の半径方向に移動する光ディスク原盤露光装置において、
加速度計測手段と加振器及び制御手段を有し、
前記加速度計測手段は、前記回転機構部の回転中心と前記露光位置可変手段の送り方向とで形成する平面に沿って基台の上面に設けられ、前記回転機構部が回転しているときの振れ回り振動により基台に伝達される前記露光位置可変手段の送り方向の加速度を計測し、
前記加振器は、振動伝達力作用点が、前記回転機構部が回転しているときの基台に対する前記露光位置可変手段の送り方向の振動伝達力の作用点と同一平面上にあり、振動伝達力の作用方向が、前記露光位置可変手段の送り方向と同一方向になるように基台に固定され、
前記制御手段は、前記加速度計測手段から出力する送り方向の加速度信号を入力して基台に伝達した送り方向振動伝達力を打消す方向の信号を生成し、前記加振器を駆動制御することを特徴とする光ディスク原盤露光装置。 - 露光手段と、基台に設けられた回転機構部と露光位置可変手段とを有し、露光手段は露光光学系から導かれた照射ビームを回転機構部に搭載して回転する光ディスク原盤に集光し、露光位置可変手段は、露光光学系の集光手段を搭載し、搭載した集光手段を回転機構部に搭載した光ディスク原盤の半径方向に移動する光ディスク原盤露光装置において、
偏差表示器と加速度計測手段と加振器及び制御手段を有し、
前記偏差表示器は、前記露光位置可変手段の送り偏差信号を表示し、
前記加速度計測手段は、前記回転機構部の回転中心と前記露光位置可変手段の送り方向とで形成する平面に沿って基台の上面に設けられ、前記回転機構部が回転しているときの振れ回り振動により基台に伝達される前記露光位置可変手段の送り方向の加速度を計測し、
前記加振器は、振動伝達力作用点が、前記回転機構部が回転しているときの基台に対する前記露光位置可変手段の送り方向の振動伝達力の作用点と同一平面上にあり、振動伝達力の作用方向が、前記露光位置可変手段の送り方向と同一方向になるように基台に固定され、
前記制御手段は、前記加速度計測手段から出力する送り方向の加速度信号を入力し、前記偏差表示器に表示された送り偏差信号を参照して入力した送り方向の加速度信号を逆位相にして基台に伝達した送り方向振動伝達力を打消す方向の信号を生成し、前記加振器を駆動制御することを特徴とする光ディスク原盤露光装置。 - 前記加振器の振動伝達力作用点が、前記回転機構部の回転中心と前記回転機構部が回転しているときの基台に対する前記露光位置可変手段の送り方向の振動伝達力の作用点を結ぶ直線上になるように、前記加振器を基台に固定した請求項1又は2記載の光ディスク原盤露光装置。
- 露光手段と、基台に設けられた回転機構部と露光位置可変手段とを有し、露光手段は露光光学系から導かれた照射ビームを回転機構部に搭載して回転する光ディスク原盤に集光し、露光位置可変手段は、露光光学系の集光手段を搭載し、搭載した集光手段を回転機構部に搭載した光ディスク原盤の半径方向に移動する光ディスク原盤露光装置において、
振動伝達力計測手段と加振器及び制御手段を有し、
前記振動伝達力計測手段は、前記回転機構部の回転中心と前記露光位置可変手段の送り方向とで形成する平面に沿って設けられ、前記露光位置可変手段の送り方向の位置を検出する位置検出手段の可動部に伝達する振動伝達力を計測し、
前記加振器は、振動伝達力作用点が、前記回転機構部が回転しているときの基台に対する前記露光位置可変手段の送り方向の振動伝達力の作用点と同一平面上にあり、振動伝達力の作用方向が、前記露光位置可変手段の送り方向と同一方向になり、かつ振動伝達力作用点が、前記回転機構部の回転中心と前記回転機構部が回転しているときの基台に対する前記露光位置可変手段の送り方向の振動伝達力の作用点を結ぶ直線上になるように基台に固定され、
前記制御手段は、前記振動伝達力計測手段から出力する振動伝達力を入力して基台に伝達した送り方向振動伝達力を打消す方向の信号を生成し、前記加振器を駆動制御することを特徴とする光ディスク原盤露光装置。 - 露光手段と、基台に設けられた回転機構部と露光位置可変手段とを有し、露光手段は露光光学系から導かれた照射ビームを回転機構部に搭載して回転する光ディスク原盤に集光し、露光位置可変手段は、露光光学系の集光手段を搭載し、搭載した集光手段を回転機構部に搭載した光ディスク原盤の半径方向に移動する光ディスク原盤露光装置において、
加速度計測手段と振動伝達力計測手段と加振器及び制御手段を有し、
前記加速度計測手段は、前記回転機構部の回転中心と前記露光位置可変手段の送り方向とで形成する平面に沿って基台の上面に設けられ、前記回転機構部が回転しているときの振れ回り振動により基台に伝達される前記露光位置可変手段の送り方向の加速度を計測し、
前記振動伝達力計測手段は、前記回転機構部の回転中心と前記露光位置可変手段の送り方向とで形成する平面に沿って設けられ、前記露光位置可変手段の送り方向の位置を検出する位置検出手段の可動部に伝達する振動伝達力を計測し、
前記加振器は、振動伝達力作用点が、前記回転機構部が回転しているときの基台に対する前記露光位置可変手段の送り方向の振動伝達力の作用点と同一平面上にあり、振動伝達力の作用方向が、前記露光位置可変手段の送り方向と同一方向になり、かつ振動伝達力作用点が、前記回転機構部の回転中心と前記回転機構部が回転しているときの基台に対する前記露光位置可変手段の送り方向の振動伝達力の作用点を結ぶ直線上になるように基台に固定され、
前記制御手段は、前記加速度計測手段から出力する送り方向の加速度信号と前記振動伝達力計測手段で出力する振動伝達力の信号を入力し、入力した送り方向の加速度信号と振動伝達力の信号の和信号により基台に伝達した送り方向振動伝達力を打消す方向の信号を生成し、前記加振器を駆動制御することを特徴とする光ディスク原盤露光装置。 - 前記加振器を、コイル移動型又は磁石移動型のボイスコイルモータで構成し、固有角周波数ωcと使用回転角周波数ωとをω/ωcが21/2の近傍になるように可動部を保持する支持ばねのばね定数を設定した請求項1乃至5のいずれかに記載の光ディスク原盤露光装置。
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US7522510B2 (en) | 2004-07-22 | 2009-04-21 | Ricoh Company, Ltd. | Electron beam applying apparatus and drawing apparatus |
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2003
- 2003-06-30 JP JP2003186678A patent/JP2005024588A/ja active Pending
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