JP2005024513A - 酸化物半導体を使った酸素センサ - Google Patents

酸化物半導体を使った酸素センサ Download PDF

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Abstract

【課題】酸素分圧の対数に対する出力の関係が従来のものより広範囲の酸素分圧において
、ほぼ直線である出力が得られる酸化物半導体を使った酸素センサを提供する。
【解決手段】酸化物半導体であるガス検出材料に直列に基準抵抗を接続した回路を複数個
並列に接続した並列回路を有し、それに一定電圧を負荷したときの、複数個の基準抵抗の
電位差の和又は平均あるいは複数個のガス検出材料の電位差の和又は平均をセンサ出力と
する酸化物半導体を使った酸素センサ。
【効果】燃焼機関の燃焼最適化のための空燃比フィードバック制御システムに使われる酸
素センサ装置を提供できる。
【選択図】図7

Description

本発明は、雰囲気ガスの酸素分圧に応じて抵抗値が変化する酸化物半導体からなるガス
検出部分を有している酸素センサに関するものであり、更に詳しくは、排ガスの浄化率向
上や燃費向上のための、自動車等の排ガスの空燃比を制御するための空燃比フィードバッ
ク制御システムに使われる酸素分圧を測定する酸素センサに関するものである。ここで、
空燃比とは空気と燃料の比であり、酸素分圧と空燃比とは1 対1の関係が成り立つ。本発
明は、小型で構造が簡単な酸化物半導体を使った酸素センサの技術分野において、広範囲
の酸素分圧で感度が良好な酸化物半導体を使った酸素センサを提供すること、また、自動
車等の排ガス浄化用触媒の劣化を検知するための自動車等の排ガス触媒劣化検知システム
に使用される酸素センサを提供すること、更に、ボイラー等の燃焼効率最適化のための空
燃比フィードバック制御システムに使われる酸素センサを提供すること、を可能にするも
のとして有用である。
従来、一般に、自動車用の酸素ガスセンサとしては、例えば、先行技術文献に記載され
ているように、主として、固体電解質のものが用いられてきた(例えば、特許文献1参照
)。このタイプのセンサは、基準極と測定極の酸素分圧の違いを起電力として測定するも
のであり、必ず基準極が必要であるため、構造が複雑であり、小型化が困難であるという
問題点があった。この問題点を克服するために、例えば、先行技術文献に記載されている
ような、基準極を必要としない抵抗型酸素ガスセンサが開発されている(特許文献2参照
)。この抵抗型酸素ガスセンサの測定原理を簡単に説明すると、まず、雰囲気の酸素分圧
が変化したときに、酸化物半導体の酸素空孔濃度が変化する。酸化物半導体の抵抗率ある
いは電気伝導度は、酸素空孔濃度と1対1の対応関係があり、酸素空孔濃度の変化に伴い
、酸化物半導体の抵抗率が変化する。そこで、その抵抗率を測定することにより、雰囲気
の酸素分圧を知ることができる。
酸化物半導体を使った酸素センサの場合、出力を電圧とするには、ガス検出材料である
酸化物半導体に直列に基準抵抗を接続し、それに一定電圧を負荷し、酸化物半導体あるい
は基準抵抗における電位差を出力として用いる。ここで、基準抵抗とは一定の値を持つ抵
抗を持つもの、あるいは、ガス検出材料の抵抗の温度依存性に類似し、酸素分圧依存性の
ない温度補償材料のことである。この回路図を図1に示す。一定電圧をE、ガス検出部分
である酸化物半導体の抵抗をRg1、基準抵抗をRs1とすると、Rg1、Rs1は、次のように
表記される。
g1=rg1×exp(Ea,g1/RT)×P1/n1 (1)
s1=rs1×exp(Ea,s1/RT) (2)
ここで、rg1、及びrs1は、それぞれガス検出材料、及び基準抵抗の固有の抵抗を示し
、Ea,g1、及びEa,s1は、それぞれガス検出材料、及び基準抵抗の活性化エネルギーを示
す。Pは酸素分圧、n1 はガス検出材料固有の値であり、酸化セリウムでは約6である。
基準抵抗が一定抵抗の場合、Ea,s1は0である。ここで、ガス検出材料、基準抵抗での電
位差をそれぞれVg1、Vs1とすると、
g1=Rg1/(Rs1+Rg1)×E (3)
s1=Rs1/(Rs1+Rg1)×E (4)
となり、Vg1あるいはVs1がセンサ出力である。この出力が酸素分圧の対数とほぼ直線関
係が得られるのはn1 =6の場合、せいぜい酸素分圧の10桁ほどの範囲であり、それよ
り広範囲では、直線から大きくずれる。したがって、酸素分圧の10桁ほどの範囲以外で
は、このような回路をもつ酸化物半導体を使った酸素センサでは測定できないという問題
点があった。
特開昭55−137334号公報 特開昭62−174644号公報
このような状況の中で、本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、酸素分圧の対数に対す
る出力の関係が従来のものより広範囲の酸素分圧において、ほぼ直線である出力を得るこ
とを目標として鋭意研究を重ねた結果、ガス検出材料に直列に基準抵抗を接続した回路を
複数個並列に接続し、それに一定電圧を負荷し、複数個の基準抵抗の電位差の和あるいは
複数個のガス検出材料の電位差の和をセンサ出力とすることにより所期の目的を達成し得
ることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、ガス検出材料に直列に基準抵抗を接続した回路を複数個並列に接続し、それ
に一定電圧を負荷し、複数個の基準抵抗の電位差の和あるいは複数個のガス検出材料の電
位差の和をセンサ出力とすることにより、酸素分圧の対数に対する出力の関係が従来のも
のより広範囲の酸素分圧において、ほぼ直線である出力が得られる酸化物半導体を使った
酸素センサを提供することを目的とするものである。更に、本発明は、燃焼機関の燃焼最
適化のための空燃比フィードバック制御システムに使われる酸素センサ装置を提供するこ
とを目的とするものである。
上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。
(1)酸化物半導体を使った酸素センサであって、
(a)ガス検出材料である酸化物半導体と基準抵抗とが直列に接続された回路を複数個並
列に接続した並列回路を有する、
(b)上記並列回路に一定電圧を負荷したときの、複数個の基準抵抗の電位差の和又は平
均、あるいは複数個のガス検出材料の電位差の和又は平均をセンサ出力とする、
ことを特徴とした酸化物半導体を使った酸素センサ。
(2)複数個の基準抵抗の電位差の和又は平均、あるいは複数個のガス検出材料の電位差
の和又は平均を求めるための電圧加算回路を有する前記(1)記載の酸化物半導体を使っ
た酸素センサ。
(3)電圧加算回路の出力である電圧を測定するための回路を有する前記(2)記載の酸
化物半導体を使った酸素センサ。
(4)一定電圧を負荷するための定電圧電源を有する前記(1)から(3)のいずれかに
記載の酸化物半導体を使った酸素センサ。
(5)ヒータを有することを特徴とする前記(1)から(4)のいずれかに記載の酸化物
半導体を使った酸素センサ。
(6)ガス検出材料である酸化物半導体が、酸化セリウム、酸化チタン、酸化ガリウムあ
るいは酸化スズ、又は、それらの酸化物を含む複合酸化物であることを特徴とする前記(
1)から(5)のいずれかに記載の酸化物半導体を使った酸素センサ。
(7)基準抵抗が、抵抗値の温度依存性が酸化物半導体と類似し、かつ、抵抗値の酸素濃
度依存性がない温度補償材であることを特徴とする前記(1)から(6)のいずれかに記
載の酸化物半導体を使った酸素センサ。
(8)温度補償材が、酸素イオン伝導体であることを特徴とする前記(7)記載の酸化物
半導体を使った酸素センサ。
(9)酸化物半導体の形状が厚膜であることを特徴とする前記(1)から(8)のいずれ
かに記載の酸化物半導体を使った酸素センサ。
(10)前記(1)から(9)のいずれかに記載の酸化物半導体を使った酸素センサを構
成要素として含むことを特徴とする酸素センサ装置。
(11)前記(1)から(9)のいずれかに記載の酸化物半導体を使った酸素センサを構
成要素として含むことを特徴とする燃焼機関の空燃比を制御するための空燃比フィードバ
ック制御システム。
(12)自動車等の排ガスの空燃比を制御する、前記(11)記載の空燃比フィードバッ
ク制御システム。
次に、本発明について更に詳細に説明する。
本発明は、ガス検出材料である酸化物半導体と基準抵抗が直列に接続された回路が複数
個並列に接続された並列回路を有し、その並列回路に一定電圧を負荷したときの、複数個
の基準抵抗の電位差の和又は平均、あるいは複数個のガス検出材料の電位差の和又は平均
をセンサ出力としたことを特徴とする酸化物半導体を使った酸素センサである。ガス検出
材料である酸化物半導体と基準抵抗が直列に接続された回路が複数個並列に接続され、そ
の並列回路に一定電圧を負荷したときの、複数個の基準抵抗の電位差の和又は平均を出力
とする酸化物半導体を使った酸素センサの回路を図2に示す。図2で、Rsnはn番目の基
準抵抗を、Rgnはn番目のガス検出材料を示す。一定電圧Eを負荷し、基準抵抗での電位
差をVsnとすると、
sn=Rsn/(Rsn+Rgn)×E (5)
と表すことができる。センサ出力をVoutputとすると、VoutputはVsnの和又は平均
Figure 2005024513
である。また、Rgnでの電位差をVgnとすると、VoutputはVgnの和又は平均の値
Figure 2005024513
を用いることも可能である。
複数個の基準抵抗の電位差の和又は平均、あるいは複数個のガス検出材料の電位差の和
又は平均を求めるための回路に制限はないが、例えば、図3に示すような回路がある。こ
の回路では、
Figure 2005024513
となる。ここで、Rf =Rmk(k=1,2,・・・・,n)ならば、電位差の和が得られ
、Rmk=nRf (k=1,2,・・・・,n)ならば、電位差の平均が得られる。図3の
右側のオペアンプは接地から見て正の出力にするためのものであり、出力が接地から見て
負の電圧でも可能であれば省略できる。図3に示す回路は電圧加算アンプの原理的なもの
であり、現実の回路はもう少し複雑である。
ガス検出材料は測定したい雰囲気に保持しなければならないが、基準抵抗は測定したい
雰囲気に保持する必要はない。例えば、自動車のエンジンからの排ガスの酸素分圧を調べ
る場合、ガス検出材料は、排ガス中に保持しなければならないが、基準抵抗は、排ガス中
あるいは排ガスの外のどちらでもよい。ただし、基準抵抗が温度補償材料の場合、ガス検
出材料のすぐ近くにそれがあれば精度がよくなるので、排ガス中に保持したほうが良い。
ガス検出材料の酸化物半導体としては、好適には、例えば、酸化セリウム、酸化チタン
、酸化ガリウムなどが列挙できるが、これらに限定されない。また、基準抵抗としては、
固定の抵抗値を有する抵抗でも可能であるし、温度補償材料でも可能である。温度補償材
料としては、例えば、イオン伝導体、ガラスシールされた酸化物半導体などが挙げられる
が、これらに限定されない。また、ガス検出材料の形態は、バルク体、厚膜、薄膜など種
々の形態が可能であるが、厚膜、薄膜の場合、基板が必要となる。基板材料としては、絶
縁体である酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、石英などが例示されるが、これらに制
限されるものではない。
基準抵抗についても、形態を限定しない。基準抵抗が固定の抵抗値を有するものの場合
、ガス検出材料に隣接して設置する必要がなく、設置場所は任意である。基準抵抗が温度
補償材料の場合、ガス検出材料と隣接して温度補償材料を設けることが好ましい。
ガス検出材料や温度補償材料には電極材料を使用することがあるが、電極材料としては
、Pt、Au、Pdなどの貴金属及び導電性酸化物などが挙げられる。センサの作製方法
は任意である。
ヒータ付の酸化物半導体を使った酸素センサの場合、例えば、基板にセラミックヒータ
、シリコンマイクロヒータなどを取り付ける。ただし、ヒータの取り付け位置、ヒータの
形状、ヒータの特性については、特に限定するものではない。
本発明の酸化物半導体を使った酸素センサは、表示部を備えた酸素センサ装置に用いる
ことが可能である。この装置は、本発明の酸化物半導体を使った酸素センサと、出力であ
るVoutputを酸素分圧に変換する回路と、その酸素分圧を表示する表示部とを基本的構成
要素として任意に設計することが可能である。
本発明に係る自動車用空燃比フィードバック制御システムは、例えば、本発明の酸化物
半導体を使った酸素センサと、エンジンに流入する空気の流量を測定する流量計と、エン
ジンに燃料を入れる燃料噴射器と、酸素センサや流量計からの信号を受け取り、計算を行
い、燃料噴射器の燃料噴射量を制御するコントロール回路とを基本的構成要素として含む
ものが例示されるが、これらに制限されない。
また、本発明に係る燃焼機関の燃焼効率最適化のための空燃比フィードバック制御シス
テムは、例えば、本発明の酸化物半導体を使った酸素センサと、燃焼機関に流入する空気
の流量を測定する流量計と、燃焼機関内に入れる燃料を制御する燃料制御器と、酸素セン
サや流量計からの信号を受け取り、計算を行い、燃料制御器に出力信号を送る電子制御ユ
ニットとを基本的構成要素として含むものが例示されるが、これらに制限されない。
更に、本発明に係る自動車排ガス触媒劣化検知システムは、本発明の酸化物半導体を使
った酸素センサと、酸素センサからの信号を読み取り計算し触媒が劣化したかどうかを判
断する電子制御ユニットと、電子制御ユニットからの信号を受けとり、触媒が劣化したか
どうかを示す表示部とを基本的構成要素として含むものが例示されるが、これらに制限さ
れない。
従来技術での酸素分圧と出力電圧の関係を計算により求め、図4に示す。回路図は図1
と同じである。また、センサは一定温度に保たれているとする。この場合、式(1)での
(Ea,g1/RT)の項は考えなくてよい。従って、ガス検出材料の抵抗を
g1=rg1×P1/n1 (7)
とし、P: 酸素分圧(atm)、rg1=1(MΩ)、n1 =6とした。また、基準抵抗を
s1=2(kΩ)とし、
s1=Rs1/(Rs1+Rg1)×E (8)
より、出力を求めた。ここで、E=10(V)とした。図4から明らかのように、log
(P/atm)が−11から−21までは、ほぼ直線が得られたが、それ以外の範囲では
、この直線から多きくずれ、しかも傾きが小さくなった。
次に、本発明での計算例を図5に示す。回路図は図2に示す場合であり、ここで、ガス
検出材料を2つ用いた。抵抗値は
g1=rg1×P1/n1 (9)
g2=rg2×P1/n2 (10)
とし、P:酸素分圧(atm)、rg1=rg2=1(MΩ)、n1 =n2 =6とした。また
、基準抵抗をそれぞれRs1=2(kΩ)、Rs2=200(kΩ)とし、 Vs1=Rs1/(
s1+Rg1)×E (11)
s2=Rs2/(Rs2+Rg2)×E (12)
output=(Vs1+Vs2)/2 (13)
より、出力を求めた。ここで、E=10(V)とした。図5から明らかなように、log
(P/atm)が0から−21までほぼ直線が得られ、広範囲で測定できることがわかる
。もっと広範囲の酸素分圧を測定したい場合は、更にガス検出材料と基準抵抗を直列につ
ないだ回路を図2に示すように接続し、ガス検出材料と基準抵抗の抵抗値を最適化すれば
、測定可能となる。以上の結果は、センサを一定温度に保持した場合である。
次に、センサを一定温度でなく、温度が変動する雰囲気で使用した場合を考える。ガス
検出材料の抵抗Rg1とRg2の活性化エネルギーをEa,g1とEa,g2とすると、
g1=rg1×exp(Ea,g1/RT)×P1/n1 (14)
g2=rg2×exp(Ea,g2/RT)×P1/n2 (15)
となる。ここで、基準抵抗Rs1とRs2も、それぞれRg1やRg2と同じ活性化エネルギーを
持つとすると、
s1=rs1×(Ea,g1/RT) (16)
s2=rs2×(Ea,g2/RT) (17)
となる。したがって、Rg1、Rg2、Rs1、Rs2を式(11)と(12)に代入して計算す
ると、
s1=rs1/(rs1+rg1×P1/n1)×E (18)
s2=rs2/(rs2+rg2×P1/n2)×E (19)
となり、式(18)及び(19)には温度の項が含まれない。つまり、Vs1及びVs2は温
度依存性がないことになる。以上のように、基準抵抗がガス検出材料と同じ温度依存性で
あれば、センサの温度を一定に保たなくても出力は変動しない。
本発明は、ガス検出材料に直列に基準抵抗を接続した回路を複数個並列に接続した並列
回路を有し、それに一定電圧を負荷したときの、複数個の基準抵抗の電位差の和又は平均
あるいは複数個のガス検出材料の電位差の和又は平均をセンサ出力とすることを特徴とす
る酸素センサに係るものであり、本発明により、1)酸素分圧の対数に対する出力の関係
が従来のものより広範囲の酸素分圧において、ほぼ直線である出力が得られる酸化物半導
体を使った酸素センサが提供できる、2)燃焼機関の燃焼最適化のための空燃比フィード
バック制御システムに使われる酸素センサ装置を提供できる、3)λ=1近傍で出力のギ
ャップがある、4)λ>1あるいはλ<1において、λの値を知ることができる、5)小
型で構造が簡単な酸素センサを提供できる、という格別の効果が奏される。
次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によっ
て何ら限定されるものではない。
図6に示すようなガス検出材料の厚膜を作製した。作製方法を以下に示す。まず、Pt
ペーストをアルミナ基板上にスクリーン印刷法により印刷し、1200℃で1h焼成させ
、電極を作製した。次に、酸化セリウムのペーストを電極上にスクリーン印刷法により印
刷し、500℃で5hの仮焼後、1100℃で2hで焼成させ、センサ素子部を得た。こ
のセンサ素子部の図6の電極A,B,Cがそれぞれ図7のA,B,Cとなるように回路を
作製した。素子部基準抵抗Rs1とRs2はそれぞれ200kΩと2kΩとした。また、一定
電圧Eは10Vとした。ガス検出材料部分を800℃に加熱し、酸素分圧を10-17 から
1atmまで変化させ、Vs1とVs2をそれぞれ求めた。その結果を図8に示す。また、V
s1とVs2の平均も併せて示す。Vs1は、酸素分圧が10-4から1atmまでは、傾きが大
きいが、10-15 atm以下では傾きがほとんどなかった。また、Vs2では逆に10-4
ら1atmまで、傾きはほとんどなく、10-15 atm以下では傾きが大きかった。この
ことから、Vs1、Vs2単独では酸素分圧の狭い範囲しか感度のいい部分はなかった。一方
、(Vs1+Vs2)/2は1atmから10-17 atmまで傾きが大きく、かつ広範囲で直
線関係が得られた。このことから、Vs1とVs2の加算あるいは平均した値を出力とする酸
素センサは広範囲な酸素分圧を検出できることが確認できた。
実施例1と同条件で作製したガス検出材を850℃に加熱し、図7の回路を用いて、実
施例1と同様にして測定した結果を図9に示す。Rs1とRs2は実施例1と同条件のそれぞ
れ200kΩと2kΩである。図9から明らかなように、温度を変えても広範囲な酸素分
圧を検出できることが確認できた。
実施例1と同条件で作製したガス検出材料を800℃に加熱し、図7の回路及びVs1
s2の電圧を平均するための電圧加算アンプを用いて、電圧加算アンプの出力をセンサ出
力Voutputとして求めた。その結果を図10に示す。図10から明らかなように、広範囲
の酸素分圧でほぼ直線関係が得られた。このことから、本発明により、広範囲の酸素分圧
で感度が良好な酸化物半導体を使った酸素センサを作ることが可能であることが示された
メタンガスの燃焼反応から、空燃比λと酸素分圧Pの関係を求めた。なお、Rg1=Rg2
=1×P1/6 (MΩ)が成り立っている場合とした。Rs1=200(kΩ)、Rs2=2(
kΩ)とした場合、式(11)、(12)、(13)を使って計算すると空燃比と酸素セ
ンサの出力は図11のようになる。この場合、λ=1での出力の変化は大きいが、λ>1
又はλ<1の範囲では、λに対するセンサの出力の依存性は小さい。しかし、Rs1=2(
MΩ)、Rs2=100(Ω)とした場合、λ=1での出力の変化は少し小さくなるが、λ
>1又はλ<1の範囲では、λに対するセンサの出力の依存性は大きくなる。このように
、基準抵抗の大きさを最適化すれば、λ>1又はλ<1の範囲でもセンサのλに対する出
力の依存性を大きくすることは可能であり、λ>1又はλ<1の範囲において、λの値を
求めることが可能となることがわかる。
以上詳述したように、本発明は、ガス検出材料に直列に基準抵抗を接続した回路を複数
個並列に接続した並列回路を有し、それに一定電圧を負荷したときの、複数個の基準抵抗
の電位差の和又は平均あるいは複数個のガス検出材料の電位差の和又は平均をセンサ出力
とすることを特徴とする酸素センサに係るものであり、本発明により、1)酸素分圧の対
数に対する出力の関係が従来のものより広範囲の酸素分圧において、ほぼ直線である出力
が得られる酸化物半導体を使った酸素センサが提供できる、2)燃焼機関の燃焼最適化の
ための空燃比フィードバック制御システムに使われる酸素センサ装置を提供できる、3)
λ=1近傍で出力のギャップがある、4)λ>1あるいはλ<1において、λの値を知る
ことができる、5)小型で構造が簡単な酸素センサを提供できる。
従来技術による酸化物半導体を使った酸素センサの回路図である。 本発明における、酸素センサの回路図であり、ガス検出材料である酸化物半導体と基準抵抗が直列に接続された回路が複数個並列に接続され、その並列回路に一定電圧を負荷したときの、複数個の基準抵抗の電位差の和又は平均を出力とする酸化物半導体を使った酸素センサの回路である。 複数個の基準抵抗の電位差の和又は平均、あるいは複数個のガス検出材料の電位差の和又は平均を求めるための回路の一例である。 従来技術による酸素分圧と出力電圧の関係を計算により求めた結果である。図1に示す回路図において、rg1=1(MΩ)、n1 =6、Rs1=2(kΩ)、E=10(V)ととし、式(8)よりVs1を求めた。 本発明での酸素分圧と出力電圧の関係を計算により求めた結果である。図2に示す回路図においてガス検出材料を2つ用いて、P: 酸素分圧(atm)、rg1=rg2=1(MΩ)、n1 =n2 =6、Rs1=2(kΩ)、Rs2=200(kΩ)、E=10(V)として、式(11),(12),(13)を用いてVoutputを求めた。 ガス検出材料の配置の一例である。A、B、Cは電極であり、図7のA、B、Cとそれぞれ対応する。1:基板、2:Pt電極、3:ガス検出材料(CeO2 )の厚膜である。 実施例1で用いた回路図を示す。A、B、Cは電極であり、図6のA、B、Cとそれぞれ対応する。 ガス検出材料部分を800℃に加熱した場合の、抵抗Rs1、Rs2での電位差Vs1、Vs2及びVs1とVs2の平均(Vs1+Vs2)/2を示す。 ガス検出材料部分を850℃に加熱した場合の、抵抗Rs1、Rs2での電位差Vs1、Vs2及びVs1とVs2の平均(Vs1+Vs2)/2を示す。 ガス検出材料を800℃に加熱し、図7の回路及びVs1とVs2の電圧を平均するための電圧加算アンプを用いて、電圧加算アンプの出力をセンサ出力Voutputとして求めた結果を示す。 メタンガスの燃焼反応から、空燃比λと酸素分圧Pの関係を求め、空燃比と酸素センサの出力の関係を計算した結果を示す。

Claims (12)

  1. 酸化物半導体を使った酸素センサであって、
    (1)ガス検出材料である酸化物半導体と基準抵抗とが直列に接続された回路を複数個並
    列に接続した並列回路を有する、
    (2)上記並列回路に一定電圧を負荷したときの、複数個の基準抵抗の電位差の和又は平
    均、あるいは複数個のガス検出材料の電位差の和又は平均をセンサ出力とする、
    ことを特徴とした酸化物半導体を使った酸素センサ。
  2. 複数個の基準抵抗の電位差の和又は平均、あるいは複数個のガス検出材料の電位差の和
    又は平均を求めるための電圧加算回路を有する請求項1記載の酸化物半導体を使った酸素
    センサ。
  3. 電圧加算回路の出力である電圧を測定するための回路を有する請求項2記載の酸化物半
    導体を使った酸素センサ。
  4. 一定電圧を負荷するための定電圧電源を有する請求項1から3のいずれかに記載の酸化
    物半導体を使った酸素センサ。
  5. ヒータを有することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の酸化物半導体を使
    った酸素センサ。
  6. ガス検出材料である酸化物半導体が、酸化セリウム、酸化チタン、酸化ガリウムあるい
    は酸化スズ、又は、それらの酸化物を含む複合酸化物であることを特徴とする請求項1か
    ら5のいずれかに記載の酸化物半導体を使った酸素センサ。
  7. 基準抵抗が、抵抗値の温度依存性が酸化物半導体と類似し、かつ、抵抗値の酸素濃度依
    存性がない温度補償材であることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の酸化物
    半導体を使った酸素センサ。
  8. 温度補償材が、酸素イオン伝導体であることを特徴とする請求項7記載の酸化物半導体
    を使った酸素センサ。
  9. 酸化物半導体の形状が厚膜であることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の
    酸化物半導体を使った酸素センサ。
  10. 請求項1から9のいずれかに記載の酸化物半導体を使った酸素センサを構成要素として
    含むことを特徴とする酸素センサ装置。
  11. 請求項1から9のいずれかに記載の酸化物半導体を使った酸素センサを構成要素として
    含むことを特徴とする燃焼機関の空燃比を制御するための空燃比フィードバック制御シス
    テム。
  12. 自動車等の排ガスの空燃比を制御する、請求項11記載の空燃比フィードバック制御シ
    ステム。
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