JP2005023951A - フリーストップヒンジ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】フリーストップヒンジ装置の部品点数を少なくして、組立てを簡単にし、低コストにする。
【解決手段】折畳型携帯電話機の操作部筐体に固定される軸受体1には、軸方向に平行な2本の溝部3が内面に形成されている。軸受体1の内部には、表示部筐体に固定される回転軸6と摩擦バネ2が挿入される。摩擦バネ2は、略円筒状で、軸受体1の内面に押し付けられる突起部4を有し、回転軸6に固定される。軸受体1と摩擦バネ2は、互いに摩擦しながら回転するので、摩擦力により任意の角度で保持できる。筐体が全開すると、軸受体1の溝部3と摩擦バネ2の突起部4が噛み合って、安定に保持される。筐体に一定以上の力を加えると係合が解除されて、フリーストップ状態になる。さらに力を加え続けると折り畳まれる。全閉状態でも、軸受体1の溝部3と摩擦バネ2の突起部4が噛み合って、安定に保持される。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フリーストップヒンジ装置に関し、特に、折畳型携帯電話機の表示部筐体と操作部筐体とを連結するフリーストップヒンジ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の折畳型携帯電話機は、図19に示すように、送話部と操作キーを有する操作部筐体と、受話部と表示部を有する表示部筐体とからなり、表示部筐体と操作部筐体は、ヒンジによって連結されている。ヒンジは、軸方向に並んだ円筒状の軸受部を備えている。一方の軸受部は、操作部筐体に連結され、他方の軸受部は、表示部筐体に連結されている。各種のヒンジのうち、摩擦力により表示部筐体と操作部筐体を任意の角度で保持できる摩擦ヒンジでは、軸受部内に摩擦受部材が固定されている。摩擦受部材と摩擦部材は、互いに摩擦しながら回転する。
【0003】
摩擦ヒンジでは、摩擦受部材と摩擦部材とが、バネの弾性力により面接触している。筐体が折り畳まれたり開かれたりする際、摩擦受部材と摩擦部材との摩擦により、抵抗を受ける。摩擦受部材と摩擦部材との摺動面には、凹凸が形成されている。筐体が所定の角度開くと、凹凸が噛み合って停止する。筐体に一定以上の力を加えると、凹凸の噛み合いが解除されてフリーストップ状態になる。さらに力を加え続けると筐体が折り畳まれる。折畳状態でも凹凸が噛み合って、安定に保持される。
【0004】
具体例としては、特許文献1に開示された「ヒンジ」がある。これは、回転方向の摩擦部の接触長さを大きくし、表示部筐体と操作部筐体の回転方向へ、バネの圧力を効率的に作用させることができるヒンジである。図20に示すように、ヒンジの軸受体は、表示部筐体に取り付けられる。軸受体には、耐磨耗性の内面を有する摺動子係止部が形成されている。ヒンジの軸は、操作部筐体に取り付けられる。軸は、軸受体の内部に、回転自在で抜けないように挿入されている。軸の外周部には、バネ収容穴が有る。バネ収容穴は、軸心と直角に交差し、回転時に、摺動子係止部を含む軌道を通過する。バネが、バネ収容穴内へ挿入されている。固い材質の摺動子が、バネの弾性力で、バネ収容穴から周方向へ押し出され、軸受体の内面との間で摩擦力を発生し、回転に抵抗を与える。
【0005】
特許文献2に開示された「トルクヒンジ装置」は、筺体の開閉時に、抵抗トルクが発生し、ロック感も得られるヒンジ装置である。図21に示すように、本体部筐体に、周方向に沿って設けられた溝部を有する軸部と、溝部に設けられたリング状の弾性部材とを設ける。液晶部筺体に、軸受溝と窪み部とを有する軸受部を設ける。軸部の溝部表面と弾性部材の内径面とを固着させる。弾性部材の外径面に、緩やかな曲面状の凹凸を形成する。凹凸と噛み合うように、軸受部の表面に窪み部を形成する。
【0006】
特許文献3に開示された「通信機器用トルクヒンジ」は、通信機器の筐体を一定角度で停止させるヒンジであり、簡単な構成で小形軽量にしたものである。図21に示すように、筒状のカバーケースの内壁に、筒状で中央部の径を細くして中溝を設けたスプリングを入れる。スプリングの中に摩擦軸を入れる。摩擦軸の外面に、中曲がりしたスプリングの内面が押し付けられて、回転時の抵抗トルクが発生する。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−289238号公報
【特許文献2】
特開平8−116185号公報
【特許文献3】
特開2002−89538号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の摩擦ヒンジ装置は、部品点数が多く、組立てが困難であり、コストもかかるという問題があった。
【0009】
本発明は、上記従来の問題を解決して、摩擦ヒンジ装置の部品点数を少なくして、組立てを簡単にし、低コストにすることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明では、フリーストップヒンジ装置を、軸と平行な複数の溝部が内面に形成された軸受体と、軸受体の内部に挿入された回転軸と、回転軸に固定され、軸と平行で軸受体の内面に押し付けられる突起部を有し、軸と平行なスリット部を有する略円筒状の摩擦バネとを具備する構成とした。このように構成したことにより、摩擦ヒンジ装置の部品点数を少なくして、組立てを簡単にすることができる。
【0011】
また、フリーストップヒンジ装置を、軸と平行な複数の溝部が内面に形成された軸受体と、軸受体の内部に挿入された回転軸と、回転軸に固定され、軸と平行で前記軸受体の内面に押し付けられる突起部を有する円筒状の摩擦バネとを具備する構成とした。このように構成したことにより、スリット部の無いスリーブ状の摩擦バネを利用しても、摩擦ヒンジ装置の部品点数を少なくして、組立てを簡単にすることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図18を参照しながら詳細に説明する。
【0013】
(第1の実施の形態)
本発明の第1実施の形態は、軸に平行で、スリット部から略180°離れた位置に直線状の1つの突起部を有する略円筒状の摩擦バネにより、軸と軸受体との間に摩擦力を発生させるフリーストップヒンジ装置である。
【0014】
図1は、本発明の第1の実施の形態におけるフリーストップヒンジ装置の軸受体の分解状態の前面斜視図である。図2は、分解状態の裏面斜視図である。図3は、組立状態の前面斜視図である。図4は、組立状態の裏面斜視図である。図5は、筐体組込状態の縦断面図である。図6は、筐体組込状態の垂直横断面図である。図7は、筐体組込状態の水平横断面図である。図8は、フリーストップヒンジ装置を装着した携帯電話機の斜視図である。
【0015】
図1〜図8において、軸受体1は、操作部筐体に固定される軸受である。摩擦バネ2は、スリット部で切れている円筒状の板バネ(スプリングピン)であり、表示部筐体に固定される回転軸に取り付けられ、突起部を軸受体に押し付ける力を発生させるバネ部材である。溝部3は、表示部筐体と操作部筐体が全開状態と全閉状態のときに、摩擦バネの突起部と係合する、軸に平行な溝である。溝部3は、軸回りの角度で略180°隔てて2本設けてある。突起部4は、軸受体との間で摩擦力を発生するとともに、表示部筐体と操作部筐体が全開状態と全閉状態のときに、軸受体の溝部と係合する、軸に平行でスリット部から略180°離れた位置にある直線状の1つの突起である。
【0016】
スリット部5は、板バネを円筒状にして摩擦バネを形成したときの切れ目である。回転軸6は、操作部筐体に固定される軸であると共に、軸受体1を回転可能に抜けない様に取り付ける機能も持つ。表示部筐体7は、携帯電話機の表示部がある筐体である。操作部筐体8は、携帯電話機の操作キーがある筐体である。フリーストップヒンジ装置9は、軸受体1〜回転軸6を組み立てたヒンジ装置である。切欠部10は、摩擦バネを回転軸に取り付けて固定するための位置合わせ部であり、摩擦バネ2のスリット部から略±90°離れた位置に4カ所ある。切欠部10の位置は、数10°ずれていてもかまわないので、状況に応じて適宜決定すればよい。
【0017】
上記のように構成された本発明の第1の実施の形態におけるフリーストップヒンジ装置の機能と動作を、図1〜図8を参照しながら説明する。最初に、フリーストップヒンジ装置の機能の概略を説明する。図8に示す携帯電話機の表示部筐体7に固定される回転軸6に、摩擦バネ2が嵌合される。摩擦バネ2の外側に、軸受体1が挿し被される。軸受体1は、携帯電話機の操作部筐体に固定される。摩擦バネ2の突起部4は、携帯電話機の筐体の全開状態と全閉状態において、軸受体1の溝部3と係合する。携帯電話機の筐体の半開状態では、摩擦バネ2の突起部4は、軸受体1の内壁にバネの弾性力で当接して、摩擦力により抵抗トルクを発生する。
【0018】
次に、軸受体1の機能を説明する。軸受体1は、操作部筐体8に固定される。軸受体1には、軸方向に平行な2本の溝部3が内面に形成されている。溝部3は、軸回りの角度で略180°隔てて2本設けてある。略180°とは、筐体の開き角度に応じて、160°〜180°程度の角度にするという意味である。1本の溝は、表示部筐体7と操作部筐体8が全開状態のときに、摩擦バネ2の突起部4と係合する。もう1本の溝は、表示部筐体7と操作部筐体8が全閉状態のときに、摩擦バネ2の突起部4と係合する。軸受体1の内部には、摩擦バネ2と回転軸6が挿入され、摩擦バネ2の突起部4が軸受体1の内面に当接して、摩擦力による抵抗トルクで両筐体の半開状態を保持する。
【0019】
第3に、摩擦バネ2の組立方法と機能を説明する。摩擦バネ2は、略円筒状で、軸受体1の内面に押し付けられる突起部4を有し、回転軸6に固定される。突起部4は、軸に平行な直線状である。摩擦バネ2は、1枚の板バネを略円筒状に加工したものである。摩擦バネ2のスリット部より略・・・・離れた位置にある4カ所の切欠部10を、回転軸6に固定するための位置合わせ部として、回転軸6に摩擦バネ2を、回転不能に抜けない様に取り付け、軸受体1に挿入する。軸受体1を操作部筐体8に固定し、回転軸6を表示部筐体7に固定する。回転軸6に摩擦バネ2を取り付けた状態では、摩擦バネ2の突起部4の外周は、軸受体1の内周より僅かに大きい。摩擦バネ2の突起部4を軸受体1の溝部3に合わせて軸受体1に抵抗無く挿入することができる。表示部筐体7に固定された回転軸6が回転すると同期して摩擦バネ2が回転し突起部4が撓むことによる弾性力で、摩擦バネ2の突起部4が軸受体1の内面を強く押し、摩擦力による抵抗トルクを発生する。摩擦バネ2が回転軸6に固定されている切欠部10と突起部4との位置関係により、抵抗トルクの大きさが変わる。したがって、突起部4の位置は、切欠部10の中間にある場合が、バランスがよくて最適である。突起部4の位置は、切欠部10の中間から数10ーずれていても動作に支障はない。
【0020】
第4に、フリーストップヒンジ装置の動作を説明する。摩擦バネ2の突起部4は、摩擦バネ2の弾性力により、軸受体1の内面に押し付けられる。軸受体1と摩擦バネ2は、互いに摩擦しながら回転するので、摩擦力により、表示部筐体7と操作部筐体8を任意の角度で保持できる。表示部筐体7と操作部筐体8が全開すると、軸受体1の溝部3と摩擦バネ2の突起部4が噛み合って、安定に保持される。表示部筐体7と操作部筐体8が限界まで開ききって、両筐体の端部が互いに当接している状態では、突起部4が溝部3の途中まで嵌り込むようになっているので、筐体を開く方向にトルクが働き、開き状態を安定に保持できる。表示部筐体7と操作部筐体8に一定以上の力を加えると、溝部3と突起部4の係合が解除されてフリーストップ状態になる。さらに力を加え続けると、表示部筐体7と操作部筐体8が折り畳まれる。全閉状態でも、軸受体1の溝部3と摩擦バネ2の突起部4が噛み合って、安定に保持される。突起部4が溝部3の途中まで嵌り込んで、筐体を閉じる方向にトルクが働き、閉じ状態を安定に保持する。
【0021】
上記のように、本発明の第1の実施の形態では、フリーストップヒンジ装置を、軸に平行で、スリット部から略180°離れた位置に直線状の1つの突起部を有する略円筒状の摩擦バネにより、軸と軸受体との間に摩擦力を発生させる構成としたので、フリーストップヒンジ装置の部品点数を少なくして、組立てを簡単にし、低コストにできる。
【0022】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態は、軸に平行で、スリット部から略90°離れた位置に直線状の1つの突起部を有するほぼ円筒状の摩擦バネにより、軸と軸受体との間に摩擦力を発生させるフリーストップヒンジ装置である。
【0023】
図9は、本発明の第2の実施の形態におけるフリーストップヒンジ装置の軸受体の分解状態の前面斜視図である。図10は、分解状態の裏面斜視図である。図11は、筐体組込状態の縦断面図である。図12は、筐体組込状態の垂直横断面図である。図13は、筐体組込状態の水平横断面図である。
【0024】
図9〜図13において、摩擦バネ2は、円筒状の板バネ(スプリングピン)であり、表示部筐体に固定される回転軸に取り付けられ、突起部を軸受体に押し付ける力を発生させるバネ部材である。突起部の位置と取付方法が、第1の実施の形態における摩擦バネと異なる。突起部4は、軸受体との間で摩擦力を発生するとともに、表示部筐体と操作部筐体が全開状態と全閉状態のときに、軸受体の溝部と係合する1つの突起であり、スリット部から軸回り角度で略90°離れた位置にあり、軸に平行な直線状の突起である。切欠部10は、摩擦バネを回転軸に取り付けて固定するための位置合わせ部であり、摩擦バネ2のスリット部から略180°離れた位置にある。切欠部10の位置は、180°の位置が最適であるが、数10°ずれていてもかまわない。摩擦バネ2を、スリット部と切欠部で、回転軸の段差に固定する。スリット部も回転軸の固定に利用している。突起部4の位置は、スリット部又は切欠部より90°離れた真ん中が、バランスが良くて最適であるが、スリット部又は切欠部から60°〜120°程度の範囲にあればよい。その他の部分は、第1の実施の形態と同じである。
【0025】
上記のように構成された本発明の第2の実施の形態におけるフリーストップヒンジ装置の機能と動作を、図9〜図13を参照しながら説明する。第1の実施の形態と同じ部分については、詳しい説明を省略する。軸受体1は、第1の実施の形態と同じである。摩擦バネ2は、略円筒状で、軸受体1の内面に押し付けられる1つの突起部4を有している。突起部4は、軸に平行な直線状であり、スリット部5から軸回り角度で略90°離れた位置にある。摩擦バネ2の突起部4は、摩擦バネ2の弾性力により、軸受体1の内面に押し付けられる。軸受体1と摩擦バネ2は、互いに摩擦しながら回転するので、摩擦力により、表示部筐体7と操作部筐体8を任意の角度で保持できる。
【0026】
表示部筐体7と操作部筐体8が全開すると、軸受体1の溝部3と摩擦バネ2の突起部4が噛み合って、安定に保持される。表示部筐体7と操作部筐体8が限界まで開ききって、互いに当接している状態では、突起部4が溝部3の途中まで嵌り込むようにするので、筐体を開く方向にトルクが働き、開き状態を安定に保持できる。表示部筐体7と操作部筐体8に一定以上の力を加えると、溝部3と突起部4の係合が解除されてフリーストップ状態になる。さらに力を加え続けると、表示部筐体7と操作部筐体8が折り畳まれる。全閉状態でも、軸受体1の溝部3と摩擦バネ2の突起部4が噛み合って、安定に保持される。突起部4が溝部3の途中まで嵌り込むことで、筐体を閉じる方向にトルクが働き、閉じ状態を安定に保持する。
【0027】
上記のように、本発明の第2の実施の形態では、フリーストップヒンジ装置を、軸に平行で、スリット部から略90°離れた位置に直線状の1つの突起部を有する略円筒状の摩擦バネにより、軸と軸受体との間に摩擦力を発生させる構成としたので、摩擦バネを適当な強さにでき、筐体の開閉操作を滑らかにすることができる。
【0028】
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態は、軸に平行で互いに略180°離れ、スリット部から略90°離れた位置にある直線状の2つの突起部を有する略円筒状の摩擦バネにより、軸と軸受体との間に摩擦力を発生させるフリーストップヒンジ装置である。
【0029】
図14は、本発明の第3の実施の形態におけるフリーストップヒンジ装置の軸受体の分解状態の前面斜視図である。図15は、分解状態の裏面斜視図である。図16は、筐体組込状態の縦断面図である。図17は、筐体組込状態の垂直横断面図である。図18は、筐体組込状態の水平横断面図である。
【0030】
図14〜図18において、摩擦バネ2は、円筒状の板バネ(スプリングピン)であり、表示部筐体に固定される回転軸に取り付けられ、突起部を軸受体に押し付ける力を発生させるバネ部材である。突起部の位置と数が、第1、2の実施の形態における摩擦バネと異なる。突起部の回転軸への取付方法は、第2の実施の形態と同じである。突起部4は、軸受体との間で摩擦力を発生するとともに、表示部筐体と操作部筐体が全開状態と全閉状態のときに、軸受体の溝部と係合する、軸に平行で互いに略180°離れ、スリット部から略90°離れた位置にある直線状の2つの突起である。その他の部分は、第1の実施の形態と同じである。
【0031】
上記のように構成された本発明の第3の実施の形態におけるフリーストップヒンジ装置の機能と動作を、図14〜図18を参照しながら説明する。第1、2の実施の形態と同じ部分については、詳しい説明を省略する。軸受体1は、第1の実施の形態と同じである。軸受体1には、軸方向に平行な2本の溝部3が内面に形成されている。溝部3は、軸回り角度で略180°隔てて2本設けてある。摩擦バネ2は、略円筒状で、軸受体1の内面に押し付けられる2つの突起部4を有する。突起部4は、軸に平行で互いに略180°離れ、スリット部から略90°離れた位置にある2つの直線状の突起である。軸受体1の2本の溝部3は、表示部筐体7と操作部筐体8が全開状態のときと全閉状態のときに、摩擦バネ2の2つの突起部4と係合する。折畳型携帯電話の開閉角度は、180°よりも若干狭い155°〜170°程度であり、略180°以下の角度範囲を反転運動する。単純には、2つの突起部4の間隔を180°にすることもある。この場合は、溝部3も突起部4と略同じ間隔に設定される。突起部4の間隔を例えば165°に設定した場合は、溝部3の幅を突起部4の幅よりも大きくして、溝部3の端に突起部4が係合するような仕組みにする。
【0032】
摩擦バネ2の2つの突起部4は、摩擦バネ2の弾性力により、軸受体1の内面に押し付けられる。軸受体1と摩擦バネ2は、互いに摩擦しながら回転するので、摩擦力により、表示部筐体7と操作部筐体8を任意の角度で保持できる。2つの突起部4があるので、半開状態を安定に保持でき、耐久性も高まる。表示部筐体7と操作部筐体8が全開すると、軸受体1の溝部3と摩擦バネ2の突起部4が噛み合って、安定に保持される。表示部筐体7と操作部筐体8が限界まで開ききって、互いに当接している状態では、突起部4が溝部3の途中まで嵌り込むようになっているので、筐体を開く方向にトルクが働き、開き状態を安定に保持できる。
【0033】
表示部筐体7と操作部筐体8に一定以上の力を加えると、溝部3と突起部4の係合が解除されて、フリーストップ状態になる。さらに力を加え続けると、表示部筐体7と操作部筐体8が折り畳まれる。全閉状態でも、軸受体1の溝部3と摩擦バネ2の突起部4が噛み合って、安定に保持される。突起部4が溝部3の途中まで嵌り込むことで、筐体を閉じる方向にトルクが働き、閉じ状態を安定に保持する。2本の溝部3と2つの突起部4とが係合するので、第1、2の実施の形態の場合より安定に保持できる。
【0034】
上記のように、本発明の第3の実施の形態では、フリーストップヒンジ装置を、軸に平行で互いに略180°離れ、スリット部から略90°離れた位置にある直線状の2つの突起部を有する略円筒状の摩擦バネにより、軸と軸受体との間に摩擦力を発生させる構成としたので、筐体の開閉状態を、2つの突起部で確実に保持できる。
【0035】
第1〜第3の実施の形態では、軸受体1の溝部3を2本とする例を説明したが、中間位置で保持するための溝部を設けてもよい。摩擦バネ2の突起部4を3つ以上にすることも可能である。軸受体1を表示部筐体7に固定し、回転軸6を操作部筐体8に固定してもよい。軸受体側を溝とし、摩擦バネ側を突起としたが、軸受体側を突起とし、摩擦バネ側を溝にしてもよい。さらに、摩擦バネ2を、スリットの無いスリーブ状のものとしてもよい。スリット部が無いスリーブ状の摩擦バネとする場合は、摩擦バネを予め湾曲させて回転軸に組み付ける。第1の実施の形態の摩擦バネをスリーブ状のものとした場合は、スリット部が元々無いので、切欠部で回転軸に固定しなければならないため、第2の実施の形態の摩擦バネをスリーブ状のものとした場合と同じ形態になる。第3の実施の形態の摩擦バネをスリーブ状のものとした場合は、2つの突起部が略180°離れ、それぞれ切欠部から略90°離れて配置されることになる。
【0036】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明では、フリーストップヒンジ装置を、軸と平行な複数の溝部が内面に形成された軸受体と、軸受体の内部に挿入された回転軸と、回転軸に固定され、軸と平行で軸受体の内面に押し付けられる突起部を有する略円筒状の摩擦バネとを具備する構成としたので、フリーストップヒンジ装置を、軸受体と回転軸と摩擦バネとの3点で構成でき、部品点数を少なくして、組立てを簡単にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態におけるフリーストップヒンジ装置の分解状態の前面斜視図、
【図2】本発明の第1の実施の形態におけるフリーストップヒンジ装置の分解状態の裏面斜視図、
【図3】本発明の第1の実施の形態におけるフリーストップヒンジ装置の組立状態の前面斜視図、
【図4】本発明の第1の実施の形態におけるフリーストップヒンジ装置の組立状態の裏面斜視図、
【図5】本発明の第1の実施の形態におけるフリーストップヒンジ装置の筐体組込状態の縦断面図、
【図6】本発明の第1の実施の形態におけるフリーストップヒンジ装置の筐体組込状態の垂直横断面図、
【図7】本発明の第1の実施の形態におけるフリーストップヒンジ装置の筐体組込状態の水平横断面図、
【図8】本発明の第1の実施の形態におけるフリーストップヒンジ装置を装着した携帯電話機の斜視図、
【図9】本発明の第2の実施の形態におけるフリーストップヒンジ装置の分解状態の前面斜視図、
【図10】本発明の第2の実施の形態におけるフリーストップヒンジ装置の分解状態の裏面斜視図、
【図11】本発明の第2の実施の形態におけるフリーストップヒンジ装置の筐体組込状態の縦断面図、
【図12】本発明の第2の実施の形態におけるフリーストップヒンジ装置の筐体組込状態の垂直横断面図、
【図13】本発明の第2の実施の形態におけるフリーストップヒンジ装置の筐体組込状態の水平横断面図、
【図14】本発明の第3の実施の形態におけるフリーストップヒンジ装置の分解状態の前面斜視図、
【図15】本発明の第3の実施の形態におけるフリーストップヒンジ装置の分解状態の裏面斜視図、
【図16】本発明の第3の実施の形態におけるフリーストップヒンジ装置の筐体組込状態の縦断面図、
【図17】本発明の第3の実施の形態におけるフリーストップヒンジ装置の筐体組込状態の垂直横断面図、
【図18】本発明の第3の実施の形態におけるフリーストップヒンジ装置の筐体組込状態の水平横断面図、
【図19】従来の摩擦ヒンジ装置を備えた折畳型携帯電話機の斜視図、
【図20】従来の摩擦ヒンジ装置(例1)の斜視図と断面図、
【図21】従来の摩擦ヒンジ装置(例2)の断面図、
【図22】従来の摩擦ヒンジ装置(例3)の分解斜視図である。
【符号の説明】
1 軸受体
2 摩擦バネ
3 溝部
4 突起部
5 スリット部
6 回転軸
7 表示部筐体
8 操作部筐体
9 フリーストップヒンジ装置
10 切欠部

Claims (9)

  1. 軸と平行な複数の溝部が内面に形成された軸受体と、前記軸受体の内部に挿入された回転軸と、前記回転軸に固定され、軸と平行で前記軸受体の内面に押し付けられる突起部を有し、軸と平行なスリット部を有する略円筒状の摩擦バネとを具備することを特徴とするフリーストップヒンジ装置。
  2. 軸と平行な複数の溝部が内面に形成された軸受体と、前記軸受体の内部に挿入された回転軸と、前記回転軸に固定され、軸と平行で前記軸受体の内面に押し付けられる突起部を有する円筒状の摩擦バネとを具備することを特徴とするフリーストップヒンジ装置。
  3. 前記スリット部は、前記回転軸と前記摩擦バネとの固定部より軸回り角度で略90°離れた位置に設けられており、前記突起部は、前記スリット部より軸回り角度で略180°離れた位置に1つ設けられていることを特徴とする請求項1記載のフリーストップヒンジ装置。
  4. 前記スリット部を、前記摩擦バネを前記回転軸に固定する第1の固定部とし、前記スリット部より軸回り角度で略180°離れた位置に第2の固定部を設け、前記突起部は、前記各固定部より軸回り角度で略90°離れた位置に1つ設けられていることを特徴とする請求項1記載のフリーストップヒンジ装置。
  5. 前記スリット部を、前記摩擦バネを前記回転軸に固定する第1の固定部とし、前記スリット部より軸回り角度で略180°離れた位置に第2の固定部を設け、前記突起部は、前記各固定部より軸回り角度で略90°離れた位置に2つ設けられていることを特徴とする請求項1記載のフリーストップヒンジ装置。
  6. 軸回り角度で互いに略180°離れた位置に2つの固定部を設け、前記突起部は、前記固定部より軸回り角度で略90°離れた位置に1つ設けられていることを特徴とする請求項2記載のフリーストップヒンジ装置。
  7. 軸回り角度で互いに略180°離れた位置に2つの固定部を設け、前記突起部は、前記固定部より軸回り角度で略90°離れた位置に2つ設けられていることを特徴とする請求項2記載のフリーストップヒンジ装置。
  8. 前記溝部は、軸回り角度で互いに略180°離れた位置に2つ設けられていることを特徴とする請求項1または2記載のフリーストップヒンジ装置。
  9. 軸と平行な複数の突起部が内面に形成された軸受体と、前記軸受体の内部に挿入された回転軸と、前記回転軸に固定され、軸と平行で前記軸受体の突起部と係合する溝部を有する円筒状の摩擦バネとを具備することを特徴とするフリーストップヒンジ装置。
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