JP2005023478A - 難燃性繊維及び成形体 - Google Patents

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Yutaka Nozokido
豊 莅戸
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Abstract

【課題】有害物質の発生等、環境及び人体に対する悪影響が極めて低く、優れた難燃性と優れた耐候性を兼ね備え、紡糸性及び繊維強度を損なわせることのない難燃性繊維、及び該繊維によって得られる繊維成形体を提供する。
【解決手段】熱可塑性樹脂に対して、特定の構造を有するヒンダードアミン誘導体と特定の構造を有するホスファゼン化合物とを特定比率にて配合して得られた特定繊度の繊維、及びそれを用いた繊維成形体である。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、難燃性と耐候性に優れた難燃性繊維、及びそれを用いた繊維成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】
昨今、火災発生の防止あるいは火災発生時の安全性確保等の観点から、様々な物品に難燃性の付与が求められている。熱可塑性樹脂からなる繊維や該繊維からなる不織布等の繊維成形体(以下、「繊維等」ということがある)の場合も例外ではない。特に、自動車内装材、インテリア資材、フィルター資材等の用途に用いられている繊維等の多くは、難燃剤を配合したり、表面を難燃剤で処理したりして難燃性を付与させる試みがなされている。難燃剤には、ハロゲン化合物、重金属化合物、金属水酸化物及びリン化合物等があり、それらは単独でまたは二種以上を混合して用いられている。
中でも、塩素系または臭素系のハロゲン化合物、及びこれらと酸化アンチモン等とを組合わせた物が広く用いられ、特に、臭素系ハロゲン化合物と三酸化アンチモンとからなる難燃剤組成物は、優れた難燃効果を有するため幅広い用途に使用されている。しかし、近年、環境問題に対する意識が高まり、ハロゲン化合物が燃焼時に有害なガス(ハロゲン化水素)を発生させる点や、ダイオキシン発生の一因となる可能性を有している点が問題視されてきた。また、酸化アンチモンのような重金属化合物は、発癌性物質となる可能性が指摘されており、人体に触れるような場所での使用は健康上望ましくない。
【0003】
また、自動車内装材、インテリア資材、フィルター資材等の用途では、長期間に亘って使用されることが多いため、熱劣化または紫外線劣化に起因する物理的強度の低下も防止する必要がある。劣化防止方法としては、該用途に用いられる繊維等に耐候剤を配合するという手法が一般的であるが、上記ハロゲン化合物や酸化アンチモンから発生する酸性基は、耐候剤の活性を奪うため、前記難燃剤組成物を用いた繊維等は耐候性が向上せず、長期間の使用に耐えられないという問題を有している。そのため、耐候性を阻害させることがなく、重金属を含有せず、燃焼時または加工時に有害物質を発生させない難燃剤が強く望まれている。
【0004】
これらの問題を解決するため、ハロゲン化合物や酸化アンチモン以外の難燃剤が検討されているが、これらに匹敵する優れた難燃効果を有する難燃剤を見出し得ないのが現状であった。金属水酸化物やリン化合物等も、難燃剤として使用可能ではあるが、繊維等に対して所望の難燃効果を付与するためには、その使用量が前記難燃剤組成物の使用量に比べ著しく増す傾向にある。熱可塑性樹脂に難燃剤を配合した組成物を用いて紡糸を行ない繊維等を得る際に、難燃剤の使用量が多いと、得られる繊維等の機械的強度が低下するだけではなく、製造自体が困難になるという欠点を有する。また、経済性も悪い。
【0005】
燃焼時または加工時に有害物質を発生させない難燃剤として、特定の構造を有するヒンダードアミン誘導体を使用することが開示されている(例えば、特許文献1〜4参照)。しかし、該ヒンダードアミン誘導体も、前記難燃剤組成物に比べ難燃性が劣るため、前述同様の欠点を有している。
更に、難燃性を高めるため、該ヒンダードアミン誘導体とアリールフォスファイト等のリン化合物とを併用することが開示されている(例えば、特許文献3、4参照)。しかし、前述同様、充分な難燃性を有するものにはなり得なかった。アリールホスファイトは、充分な難燃性を得るために多量に使用すると、繊維等に必要な強度が発現しなくなる上、アリールホスファイトは沸点が低いため、紡糸時の温度条件下で揮発して曳糸性低下を招くという問題や、得られた繊維等からアリールホスファイトのブリードアウトが起こりやすく、品質を悪化させたり、難燃性の持続性を低下させるという問題を有している。
【0006】
また、アリールフォスファイト等のリン酸エステルには、製造時に用いた触媒残渣が含まれている事が多く、オレフィン樹脂に用いて繊維等を製造すると、この残渣がオレフィン樹脂の分解を促進させてしまうので、繊維等の強度が低下するといった問題を有している。また、独特の臭気により製造時の作業環境を悪化させるのみならず、得られた繊維等が臭気を帯びるという問題を有している。
【0007】
特定の環状ホスファゼン化合物を難燃剤として使用することが開示されている(例えば、特許文献5参照)。該環状ホスファゼン化合物は、取り扱いが容易で環境問題を起すことがなく、熱安定性や耐加水分解性に優れているが、単独使用では、前記難燃剤組成物に比べ難燃性が劣るので、前述同様の欠点を有している。このため、該環状ホスファゼン化合物を配合して充分な難燃性を持たせるためには、10重量%以上の量を配合することを必要とされる。多量の難燃剤を配合した熱可塑性樹脂組成物の用途は、加熱圧縮成形品等に限定され、繊維等のような極めて細いものの成形は困難であるという問題点を有している。繊維等に難燃性を付与する方法としては、該環状ホスファゼン化合物からなる溶液中に繊維等を浸漬させるという方法が採用できる。しかし、この方法では、単に繊維等の表面に該環状ホスファゼン化合物を付着させただけであり、後加工や後処理及び継続使用により該環状ホスファゼン化合物が剥がれ落ちるので、難燃性の持続性が極端に悪い。
【0008】
【特許文献1】
特表2002−507238号公報
【特許文献2】
特開2001−254225号公報
【特許文献3】
特開2002−115118号公報
【特許文献4】
特開2001−348724号公報
【特許文献5】
特開2001−192392号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、有害物質の発生等、環境及び人体に対する悪影響が極めて低く、優れた難燃性と優れた耐候性を兼ね備え、紡糸性及び繊維強度を損なわせることのない難燃性繊維、及び該繊維によって得られる繊維成形体を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、熱可塑性樹脂に対して、特定の構造を有するヒンダードアミン誘導体と特定の構造を有するホスファゼン化合物とを特定比率にて配合して得られた特定繊度の繊維、及びそれを用いた繊維成形体によって、前記課題が解決できることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0011】
本発明は以下によって構成される。
(1)下記一般式(I)で示される環状ホスファゼン誘導体及び下記一般式(II)で示される鎖状ホスファゼン誘導体から選ばれる少なくとも1種のホスファゼン誘導体、下記一般式(III)で示される基を有するヒンダードアミン誘導体、及び熱可塑性樹脂からなる繊維であって、該繊維が該ホスファゼン誘導体を0.25〜5.0重量%、該ヒンダードアミン誘導体を0.025〜3.0重量%含有し、該繊維の繊度が100dtexより大きく5000dtex以下であることを特徴とする難燃性繊維。
【化4】
Figure 2005023478
【化5】
Figure 2005023478
【化6】
Figure 2005023478
【0012】
(2)熱可塑性樹脂が、ポリオレフィン及びオレフィンを主成分とする共重合体から選ばれた樹脂である前記(1)項記載の難燃性繊維。
【0013】
(3)繊維が複合繊維である前記(1)または(2)項記載の難燃性繊維。
【0014】
(4)前記(1)〜(3)項のいずれか1項記載の繊維を用いた繊維成形体。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の難燃性繊維について詳細に説明する。本発明において、主成分とは最も多い成分を言う。また、本発明においては、モノフィラメント、マルチフィラメントの他、フラットヤーンをも含めて繊維と言う。
本発明の難燃性繊維には、特定の構造を有するヒンダードアミン誘導体と特定の構造を有するホスファゼン誘導体とが特定比率にて配合されている。
【0016】
本発明の難燃性繊維に用いられるホスファゼン誘導体は、下記の一般式(I)で表される環状ホスファゼン誘導体及び下記一般式(II)で表される鎖状ホスファゼン誘導体から選ばれた少なくとも1種である。
【化7】
Figure 2005023478
【化8】
Figure 2005023478
前記一般式(I)及び(II)で示されるホスファゼン誘導体は、定義された範囲内のものであれば、格別の制限はない。尚、置換基Qとしてのアルコキシ基、アリールオキシ基及びアミノ基の例としては、次のようなものを挙げることができる。
【0017】
前記アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、iso−ブトキシ基等を挙げることができるが、その炭素数は1〜8が好ましい。
前記アリールオキシ基としては、例えば、非置換または、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、tert−ブチル基、tert−オクチル基、メトキシ基、エトキシ基、2,3−ジメチル基、2,4−ジメチル基、2,5−ジメチル基、2,6−ジメチル基、3,5−ジメチル基、フェニル基等で置換されたフェニルオキシ基等を挙げることができる。更に、前記アリールとして、ナフチル等を挙げることもできる。
【0018】
前記アミノ基としては、NH基、メチルアミノ基、エチルアミノ基等の直鎖もしくは分岐鎖を有するモノアルキルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等の直鎖もしくは分岐鎖を有するジアルキルアミノ基等を挙げることができる。
また、ホスファゼン誘導体は、Qの位置に、製造工程において未反応物として残るハロゲンを有する副生物を含有している場合があるが、本発明は有害なガスの発生が極端に少ない難燃性繊維を目的としているため、該ホスファゼン誘導体中の全ハロゲン含有量を0.05重量%以下にすることが望ましい。
【0019】
本発明の難燃性繊維に用いられる前記一般式(I)で示される環状ホスファゼン誘導体の具体例としては、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(メトキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(エトキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(n−プロポキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(iso−プロポキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(n−ブトキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(iso−ブトキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(フェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(p−トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(m−トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(o−トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(p−アニシルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(m−アニシルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(o−アニシルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(4−エチルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(4−n−プロピルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(4−iso−プロピルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(4−tert−ブチルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(4−tert−オクチルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(2,3−ジメチルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(2,4−ジメチルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(2,5−ジメチルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(2,6−ジメチルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサアミノシクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(4−フェニルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(メトキシ)−1,3,5−トリス(フェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(エトキシ)−1,3,5−トリス(フェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(n−プロポキシ)−1,3,5−トリス(フェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(iso−プロポキシ)−1,3,5−トリス(フェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(n−ブトキシ)−1,3,5−トリス(フェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(iso−ブトキシ)−1,3,5−トリス(フェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(メトキシ)−1,3,5−トリス(p−トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(メトキシ)−1,3,5−トリス(m−トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(メトキシ)−1,3,5−トリス(o−トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(メトキシ)−1,3,5−トリス(p−アニシルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(メトキシ)−1,3,5−トリス(m−アニシルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(メトキシ)−1,3,5−トリス(o−アニシルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(エトキシ)−1,3,5−トリス(p−トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(エトキシ)−1,3,5−トリス(m−トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(エトキシ)−1,3,5−トリス(o−トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(エトキシ)−1,3,5−トリス(p−アニシルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(エトキシ)−1,3,5−トリス(m−アニシルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(エトキシ)−1,3,5−トリス(o−アニシルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(n−プロポキシ)−1,3,5−トリス(p−トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(n−プロポキシ)−1,3,5−トリス(m−トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(n−プロポキシ)−1,3,5−トリス(o−トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(n−プロポキシ)−1,3,5−トリス(p−アニシルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(n−プロポキシ)−1,3,5−トリス(m−アニシルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(n−プロポキシ)−1,3,5−トリス(o−アニシルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(iso−プロポキシ)−1,3,5−トリス(p−トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(n−ブトキシ)−1,3,5−トリス(p−トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(iso−ブトキシ)−1,3,5−トリス(p−トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(メトキシ)−1,3,5−トリス(4−tert−ブチルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(メトキシ)−1,3,5−トリス(4−tert−オクチルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(n−プロポキシ)−1,3,5−トリス(4−tert−ブチルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(n−プロポキシ)−1,3,5−トリス(4−tert−オクチルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(メトキシ)−1,3,5−トリス(4−フェニルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(エトキシ)−1,3,5−トリス(4−フェニルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(n−プロポキシ)−1,3,5−トリス(4−フェニルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(iso−プロポキシ)−1,3,5−トリス(4−フェニルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(n−ブトキシ)−1,3,5−トリス(4−フェニルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(iso−ブトキシ)−1,3,5−トリス(4−フェニルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,1−ジアミノ−3,3,5,5−テトラキス(メトキシ)シクロトリホスファゼン、1,1−ジアミノ−3,3,5,5−テトラキス(エトキシ)シクロトリホスファゼン、1,1−ジアミノ−3,3,5,5−テトラキス(n−プロポキシ)シクロトリホスファゼン、1,1−ジアミノ−3,3,5,5−テトラキス(iso−プロポキシ)シクロトリホスファゼン、1,1−ジアミノ−3,3,5,5−テトラキス(n−ブトキシ)シクロトリホスファゼン、1,1−ジアミノ−3,3,5,5−テトラキス(iso−ブトキシ)シクロトリホスファゼン、1,1−ジアミノ−3,3,5,5−テトラキス(フェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,1−ジアミノ−3,3,5,5−テトラキス(p−トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,1−ジアミノ−3,3,5,5−テトラキス(m−トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,1−ジアミノ−3,3,5,5−テトラキス(o−トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,1−ジアミノ−3,3,5,5−テトラキス(p−アニシルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,1−ジアミノ−3,3,5,5−テトラキス(m−アニシルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,1−ジアミノ−3,3,5,5−テトラキス(o−アニシルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,1−ジアミノ−3,3,5,5−テトラキス(4−フェニルフェノキシ)シクロトリホスファゼン等が挙げられる。
【0020】
本発明の難燃性繊維に用いられる前記一般式(II)で示される鎖状ホスファゼン誘導体の具体例としては、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(メトキシ)トリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(エトキシ)トリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(n−プロポキシ)トリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(iso−プロポキシ)トリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(n−ブトキシ)トリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(iso−ブトキシ)トリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(フェノキシ)トリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(p−トリルオキシ)トリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(m−トリルオキシ)トリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(o−トリルオキシ)トリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(p−アニシルオキシ)トリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(m−アニシルオキシ)トリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(o−アニシルオキシ)トリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(4−エチルフェノキシ)トリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(4−n−プロピルフェノキシ)トリホスファゼン、1,1,3,3,5,5 −ヘキサ(4−iso−プロピルフェノキシ)トリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(4−tert−ブチルフェノキシ)トリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(4−tert−オクチルフェノキシ)トリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(2,3−ジメチルフェノキシ)トリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(2,4−ジメチルフェノキシ)トリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(2,5−ジメチルフェノキシ)トリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(2,6−ジメチルフェノキシ)トリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサアミノトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(4−フェニルフェノキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(メトキシ)−1,3,5−トリス(フェノキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(エトキシ)−1,3,5−トリス(フェノキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(n−プロポキシ)−1,3,5−トリス(フェノキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(iso−プロポキシ)−1,3,5−トリス(フェノキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(n−ブトキシ)−1,3,5−トリス(フェノキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(iso−ブトキシ)−1,3,5−トリス(フェノキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(メトキシ)−1,3,5−トリス(p−トリルオキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(メトキシ)−1,3,5−トリス(m−トリルオキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(メトキシ)−1,3,5−トリス(o−トリルオキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(メトキシ)−1,3,5−トリス(p−アニシルオキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(メトキシ)−1,3,5−トリス(m−アニシルオキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(メトキシ)−1,3,5−トリス(o−アニシルオキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(エトキシ)−1,3,5−トリス(p−トリルオキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(エトキシ)−1,3,5−トリス(m−トリルオキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(エトキシ)−1,3,5−トリス(o−トリルオキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(エトキシ)−1,3,5−トリス(p−アニシルオキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(エトキシ)−1,3,5−トリス(m−アニシルオキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(エトキシ)−1,3,5−トリス(o−アニシルオキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(n−プロポキシ)−1,3,5−トリス(p−トリルオキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(n−プロポキシ)−1,3,5−トリス(m−トリルオキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(n−プロポキシ)−1,3,5−トリス(o−トリルオキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(n−プロポキシ)−1,3,5−トリス(p−アニシルオキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(n−プロポキシ)−1,3,5−トリス(m−アニシルオキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(n−プロポキシ)−1,3,5−トリス(o−アニシルオキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(iso−プロポキシ)−1,3,5−トリス(p−トリルオキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(n−ブトキシ)−1,3,5−トリス(p−トリルオキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス (iso−ブトキシ)−1,3,5−トリス(p−トリルオキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(メトキシ)−1,3,5−トリス(4−tert−ブチルフェノキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(メトキシ)−1,3,5−トリス(4−tert−オクチルフェノキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(n−プロポキシ)−1,3,5−トリス(4−tert−ブチルフェノキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(n−プロポキシ)−1,3,5−トリス(4−tert−オクチルフェノキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(メトキシ)−1,3,5−トリス(4−フェニルフェノキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(エトキシ)−1,3,5−トリス(4−フェニルフェノキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(n−プロポキシ)−1,3,5−トリス(4−フェニルフェノキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(iso−プロポキシ)−1,3,5−トリス(4−フェニルフェノキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(n−ブトキシ)−1,3,5−トリス(4−フェニルフェノキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(iso−ブトキシ)−1,3,5−トリス(4−フェニルフェノキシ)トリホスファゼン、1,1−ジアミノ−3,3,5,5−テトラキス(メトキシ)トリホスファゼン、1,1−ジアミノ−3,3,5,5−テトラキス(エトキシ)トリホスファゼン、1,1−ジアミノ−3,3,5,5−テトラキス(n−プロポキシ)トリホスファゼン、1,1−ジアミノ−3,3,5,5−テトラキス(iso−プロポキシ)トリホスファゼン、1,1−ジアミノ−3,3,5,5−テトラキス(n−ブトキシ)トリホスファゼン、1,1−ジアミノ−3,3,5,5−テトラキス(iso−ブトキシ)トリホスファゼン、1,1−ジアミノ−3,3,5,5−テトラキス(フェノキシ)トリホスファゼン、1,1−ジアミノ−3,3,5,5−テトラキス(p−トリルオキシ)トリホスファゼン、1,1−ジアミノ−3,3,5,5−テトラキス(m−トリルオキシ)トリホスファゼン、1,1−ジアミノ−3,3,5,5−テトラキス(o−トリルオキシ)トリホスファゼン、1,1−ジアミノ−3,3,5,5−テトラキス(p−アニシルオキシ)トリホスファゼン、1,1−ジアミノ−3,3,5,5−テトラキス(m−アニシルオキシ)トリホスファゼン、1,1−ジアミノ−3,3,5,5−テトラキス(o−アニシルオキシ)トリホスファゼン、1,1−ジアミノ−3,3,5,5−テトラキス(4−フェニルフェノキシ)トリホスファゼン等が挙げられる。
【0021】
本発明の難燃性繊維においては、前記環状ホスファゼン誘導体及び前記鎖状ホスファゼン誘導体のいずれか1種を用いても、2種以上を混合して用いても良いが、環状ホスファゼン誘導体を選択することが好ましい。
【0022】
本発明の難燃性繊維に用いられるヒンダードアミン誘導体は、下記一般式(III)で表される基を含むものである。
【化9】
Figure 2005023478
【0023】
本発明の難燃性繊維に用いられるヒンダードアミン誘導体は、耐候性を有するヒンダードアミン部と難燃性を有するsym−トリアジン部を併せ持つ構造を有している。該構造を有するヒンダードアミン誘導体は、前記ホスファゼン誘導体との相性が良く、併用することで非常に優れた相乗効果が得られる。中でも、下記一般式(V)で表される基を有するヒンダードアミン誘導体が好ましく、下記一般式(VI)で表されるヒンダードアミン誘導体が更に好ましい。
【化10】
Figure 2005023478
【化11】
Figure 2005023478
ここで、R同士が架橋反応を起こすこともあるが、該反応物が存在していてもなんら差し支えない。
【0024】
前記一般式(VI)の式中、T、T、Tが前記一般式(V)の基であるもの、もしくはT、T、Tが前記一般式(V)の基であるものが望ましく、具体的には、N,N’,N”−トリス{2,4−ビス[(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)n−ブチルアミノ]−sym−トリアジン−6−イル}−3,3’−エチレンジイミノジプロピルアミン、N,N’,N”−トリス{2,4−ビス[(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)n−ブチルアミノ]−sym−トリアジン−6−イル}−3,3’−エチレンジイミノジプロピルアミン、N,N’,N”−トリス{2,4−ビス[(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)n−ブチルアミノ]−sym−トリアジン−6−イル}−3,3’−エチレンジイミノジプロピルアミン、N,N’,N”−トリス{2,4−ビス[(1−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)n−ブチルアミノ]−sym−トリアジン−6−イル}−3,3’−エチレンジイミノジプロピルアミン等を例示することができる。
本発明の難燃性繊維に用いられるヒンダードアミン誘導体は、前記ヒンダードアミン誘導体のいずれか1種を用いても、2種以上を混合体として用いても良い。
【0025】
本発明の難燃性繊維には、前記ホスファゼン誘導体が、0.25〜5.0重量%、好ましくは0.5〜3.0重量%の範囲で配合されていることが望ましく、前記ヒンダードアミン誘導体が、0.025〜3.0重量%、好ましくは0.05〜2.0重量%の範囲で配合されていることが望ましい。前記ホスファゼン誘導体と前記ヒンダードアミン誘導体(以下、これらを難燃剤成分という)の各添加量が前記範囲未満であると、得られる繊維に充分な難燃性を与えることができず、他方、前記範囲を超えるとコスト高となる。
また、難燃剤成分の総添加量が増すに従い、紡糸時に糸切れが発生しやすくなったり、繊維の物理的強度が低下してしまうので、繊維中の該総添加量は、1〜8重量%の範囲で使用することが好ましく、1〜4.5重量%が更に好ましい。この範囲であると、繊維の曳糸性も良好で、得られた繊維の物性にも悪影響を与えない。
【0026】
本発明の難燃性繊維に用いられる熱可塑性樹脂としては、繊維形成性を有するものであればなんら差し支えなく、具体的にはポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン、ナイロン等のポリアミド、ポリウレタン、ポリスチレン、アクリル等を例示できる。中でも、難燃剤成分の揮発を抑えるために紡糸温度を比較的低温で実施できる点、難燃性が得やすい点等の理由から、ポリオレフィン及びオレフィンを主成分とする共重合体が好ましい。特に、本発明の難燃剤成分は、ポリオレフィンの分解を促進させる触媒残渣を有していないか極端に少ないので、ポリオレフィンの難燃化に最適である。
【0027】
ポリオレフィンとしては、入手の容易さ、取り扱いの容易さから、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(L−LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体がより好ましい。また、これらを主成分とした変性体、スチレンやゴムモノマーとの共重合体であっても構わない。これらの熱可塑性樹脂は、単独で用いても2種以上の混合体として用いてもいずれでもよい。
【0028】
本発明の難燃性繊維には、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要に応じて、慣用の添加物をさらに配合してもよい。添加物としては、酸化防止剤、光安定剤、金属不活性剤、紫外線吸収剤、中和剤、造核剤、滑剤、抗菌剤、帯電防止剤、顔料、可塑剤、親水剤、各種充填剤、導電性粉末、他の難燃剤等を挙げることができる。
【0029】
本発明の難燃性繊維は、その製造方法に特に限定されるものではなく一般的な紡糸・延伸法が用いられ、フラットヤーン成形法、モノフィラメント成形法、マルチフィラメント成形法が例示される。
【0030】
本発明の難燃性繊維は、その断面構造には特に限定はなく、融点の異なる複数の熱可塑性樹脂を用いた複合構造であっても良い。特に、融点の低い熱可塑性樹脂が繊維表面の少なくとも一部を繊維長さ方向に連続して形成する複合構造の難燃性繊維は、繊維成形体を得る際に熱接着性が向上し、繊維成形体の物理的強度を良好に保つことができる。複合断面は、鞘芯型、偏心型、並列型及び放射状に交互に配列された放射型等の構造の何れでも良く、中空構造をとっていても差し支えないが、融点の低い熱可塑性樹脂を鞘側に用いた鞘芯型や該樹脂を片側に持つ並列型は、繊維間の熱接着性に優れた効果を発揮する。また、種類の異なる熱可塑性樹脂が放射状に交互に配列された放射型等の構造を有しているものは、相溶性の低い熱可塑性樹脂の組み合わせを選ぶことで、分割性を有する難燃性繊維とする事が出来る。
【0031】
本発明の難燃性繊維が複合構造を有する場合、何れか一方にのみ難燃剤成分が配合されていてもよく、難燃剤成分の配合比率及び配合量の異なる組み合わせとしても良い。例えば、複合構造が鞘芯型である難燃性繊維において、鞘側に耐候性を有する前記ヒンダードアミン誘導体を配合し、芯側に難燃性の優れる前記ホスファゼン誘導体を配合してもよいが、難燃剤成分のブリードアウトを抑制できる点から、芯側にのみ難燃剤成分を配合することが望ましい。
【0032】
本発明の難燃性繊維の繊度は、100dtexより大きく5000dtex以下、好ましくは200〜2000dtexの範囲であると紡糸工程での曳糸性が良好となり、均一性の良好な繊維等を得ることができる。得られる繊維は繊維成形体の材料として好適である。
【0033】
本発明の難燃性繊維は、長繊維の状態で巻き取られても良いが、紡糸、延伸後に、必要に応じたクリンプ処理による捲縮加工を施して所定の長さに切断されていても良い。
【0034】
本発明の繊維成形体は、本発明の難燃性繊維が用いられていればどのような形態を有するものであっても良い。例えば、本発明の難燃性繊維のみを使用した織物、編物、ネット、不織布マット等であっても良く、本発明の効果を著しく阻害しない範囲内であれば、本発明の難燃性繊維と必要に応じて他の繊維等とを混綿、混紡もしくは混繊したものを使用した織物、編物、不織布等であっても良い。また、該繊維成形体は難燃性繊維を使用した布帛と、他の布帛等との積層体であっても良い。
【0035】
前記他の繊維の具体的として、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン、アクリル等の合成繊維、綿、羊毛、麻等の天然繊維、レーヨン、キュプラ、アセテート等の再生繊維、半合成繊維、ポリ乳酸繊維、ポリブチレンサクシネート繊維等の生分解性繊維、パルプ、グラスファイバー、炭素繊維等を挙げることができる。
【0036】
本発明の繊維成形体は、公知の方法により作製することが出来る。
一例として、本発明の難燃性繊維を紡績糸や連続糸等としたものを用いて編織加工により繊維成形体を得る方法や、クリンプ処理による捲縮加工を施して所定の長さに切断された難燃性繊維をエアレイド法により積層し、加熱ロールまたは加熱空気等で熱処理して不織布マットを得る方法を挙げることができる。特に、本発明の難燃性繊維は難燃剤成分を内部に含有しているため、溶液に浸漬させる等の方法により難燃剤成分を繊維表面に付着させた難燃性繊維に比べ、難燃剤成分の脱落を極端に抑えることができる。
【0037】
また、繊維成形体がネットの場合は、難燃性繊維をタテ糸及び/またはヨコ糸としてネット状に製織し、次いで繊維交点を熱接着して得られる。ネットの目合いは特に限定はなく用途によって適宜選択可能であるが、通常0.4〜5mmが使用される。尚、本発明の難燃性繊維をタテ糸またはヨコ糸としてネットに用いる場合、この難燃性繊維と交差する糸は熱接着性の点から、難燃性繊維の樹脂と同系の熱可塑性樹脂からなる繊維が好適である。繊維交点を熱接着する方法としては、遠赤外線照射装置、熱風式加熱装置、熱ロール等の公知の設備を用いる方法が挙げられる。
【0038】
前記の積層体の例としては、前述の難燃繊維をネット状に製織し、次に該ネットの片面または両面へフィルター用不織布を熱ロールや熱風式過熱装置による熱ラミネート方式で貼り合せたエアフィルター材や、該ネットの片面または両面へフィルムを接着剤/溶剤によるドライラミネート方式で貼り合せた積層体が挙げられる。
【0039】
本発明の難燃性繊維もしくは本発明の繊維成形体は、優れた難燃性と優れた耐候性を有しているので、ネット、マット等の産業資材、スクリーン、ブラインド等のインテリア資材、エアーフィルターや濾過材等のフィルター材、衣類等に極めて有用である。
【0040】
【実施例】
以下、本発明を実施例及び比較例により更に詳細に説明する。ここでは、本発明の難燃性繊維の効果を、実施形態のうちの一つであるモノフィラメントにより説明するが、他の実施形態も同様に可能であり、本発明はモノフィラメントに限定されるものではない。
尚、実施各例、比較各例に使用する用語と評価方法は以下の通りである。
【0041】
(a)メルトフローレート(MFR):JIS K 7210 熱可塑性プラスチックの流れ試験方法に記載の操作A法(手動測定法)に準拠し測定した。試験条件14(温度230℃、荷重21.18N)で測定した。
【0042】
(b)融点:示差走査熱量計DSC200(商品名、セイコー電子工業(株)製)を用い、JIS K 7122に準拠して測定した。
【0043】
(c)繊度:JIS L 1095 一般紡績糸試験方法に記載の繊度測定方法に準拠して測定した。
【0044】
(d)繊維の引張強さ:JIS L 1095 一般紡績糸試験方法に準拠して測定した。
【0045】
(e)ネット交点強度
ネットからタテ糸及びヨコ糸の交点部分を切り出し、繊維の交点が外れるときの強度を測定した。チャック間200mm、クロスヘッドスピード200mm/分、n=5の平均を交点強度とした。
【0046】
(f)難燃性評価
FMVSS302法に準じて水平燃焼速度を測定した。数値は、繊維成形体(ネットまたは積層体)のMD方向とTD方向の平均値(MD、TD共にn=5)である。数値の小さい方が難燃性に優れていることを示す。この水平燃焼速度の値を基に、下記基準により評価した。
◎:非常に優れている(水平燃焼速度:0mm/分)。
○:優れている(水平燃焼速度:0mm/分を超え50mm/分未満)。
△:難燃性はあるが、実用性に乏しい(水平燃焼速度:50mm/分以上 150mm/分未満)。
×:難燃性がないか、著しく弱い(水平燃焼速度:150mm/分以上)。
【0047】
(g)耐候性評価
繊維成形体(ネット)をサンシャイン・スーパーロングライフ・ウェザーメーター WEL−SUN−HCH型(商品名、スガ試験機(株)製)機内にセットし促進暴露試験を行った。試験条件はブラックパネル温度63℃、スプレー水噴霧12分/60分である。次に任意の所定時間毎に取り出し、タテ糸及びヨコ糸の引張強さを測定する。投入前の引張強さに対し70%以上を呈する時間を計測し、下記基準により評価した。
◎:非常に優れている(2000時間以上)。
○:優れている(500時間以上2000時間未満)。
△:実用性に乏しい(200時間以上500時間未満)。
×:著しく弱い(200時間未満)。
【0048】
以下に、実施例及び比較例で用いられた材料の略号と内容を示す。
PP−1:ポリプロピレン単独重合体、チッソポリプロ CS6102(商品名)、融点165℃、MFR=5(230℃)、チッソ(株)製。
PP−2:プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体、チッソポリプロ CS3650(商品名)、融点128℃、MFR=16(230℃)、チッソ(株)製。
不織布 :ポリオレフィン系スパンボンド不織布 EB7120(商品名)、目付:22g/m、チッソ(株)製。
難燃剤A:環状ホスファゼン難燃剤、KEMIDANT 302S(商品名)、(1,1,3,3,5,5−ヘキサ(アリールオキシ)シクロトリホスファゼン)、ケミプロ化成(株)製。
難燃剤B:ヒンダードアミン難燃剤、FLAMESTAB NOR 116(商品名)(一般式(VI)で表される化合物)、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製。
難燃剤C:三酸化アンチモン。
難燃剤D:ハロゲン系難燃剤、GLC DE−83R(商品名)、グレートレイクスケミカル日本(株)製。
難燃剤E:リン酸エステル系難燃剤、FP−500(商品名)、旭電化工業(株)製。
難燃剤F:ヒンダードアミン光安定剤、Chimassorb 944 FL(商品名)、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製。
【0049】
実施例1
40mmφ押出機2台及び口径1.5mmの鞘芯型複合口金を使用して、芯側成分としてPP−1が95.5重量%、難燃剤Aが3重量%及び難燃剤Bが1.5重量%からなる第1成分と、鞘側成分としてPP−2が95.5重量%、難燃剤Aが3重量%及び難燃剤Bが1.5重量%からなる第2成分とを、前記2台の押出機の各々のホッパーに投入して、220℃の温度で紡糸し、第1成分と第2成分との重量比率が60/40の鞘芯型複合未延伸糸を得た。これを湿式加熱延伸装置により6倍に延伸し鞘芯型複合繊維を製造した。得られた繊維について、繊度、引張強さを測定した。その結果を表1に示す。
上記の鞘芯型複合繊維をタテ糸及びヨコ糸に使用して、織密度がタテ7本/25mm、ヨコ5本/25mmのネット状物に製織した後、155℃の熱風加熱槽にて50秒間加熱し繊維交点を熱接着してネットを得た。得られたネットの交点強度、耐候性及び難燃性の評価結果を表1に示す。
【0050】
実施例2〜4
表1に示した繊維組成とした以外は、実施例1に準拠した製造方法により、各複合繊維及びネットを得、繊維の繊度と引張強さ、ネットの交点強度、耐候性及び難燃性を評価した。その結果を表1に示す。
【0051】
実施例5
実施例1に準拠した製造方法により得られたネットと、不織布(商品名:EB7120)を重ねあわせ、更にその外側を金網で挟んで、150℃のオーブン中で3分間加熱し、ネットと不織布からなる積層体を得た。得られた積層体の難燃性等の評価結果を表1に示す。尚、積層体仕様の表記は外層−1/内層/外装−2とする。
【0052】
実施例6〜9
表1に示した繊維組成とした以外は、実施例5に準拠した製造方法により、各複合繊維と不織布からなる積層体を得た。繊維の繊度と引張強さ、ネットの交点強度、積層体の難燃性を評価した。その結果を表1に示す。
【0053】
比較例1〜5
表2に示した繊維組成とした以外は、実施例5に準拠した製造方法により、各複合繊維と不織布からなる積層体を得た。繊維の繊度と引張強さ、ネットの交点強度と耐候性、積層体の難燃性を評価した。その結果を表2に示す。
【0054】
表1及び表2から、本発明の難燃性繊維及びそれを用いた繊維成形体は、酸化アンチモンやハロゲン系難燃剤を用いることなく、優れた耐候性と難燃性を示すことが明らかである。
【0055】
【発明の効果】
本発明の難燃性繊維及びそれを用いた繊維成形体は、その製造時、火災発生時及び焼却廃棄時において発生する人体並びに環境に有害な物質を極端に低減させることが可能である。また、本発明の難燃性繊維を構成する難燃剤成分である特定の構造を有するヒンダードアミン誘導体と特定の構造を有するホスファゼン誘導体とは、互いに相性がよく、その相乗効果により少量で優れた難燃性を発揮できるため、生産性に優れ、コストも低減でき、物理的強度の低下を著しく低減できる。更に、ヒンダードアミン誘導体の働きにより耐候性にも優れているため、長期間に渡って物理的強度を維持することが可能である。
このように本発明の難燃性繊維及びそれを用いた繊維成形体は、難燃性が高く、環境への悪影響が少なく、かつ長期間の使用に適しており、産業資材、自動車内装材、インテリア資材、フィルター資材等様々な製品に広く好適に用いることができる。
【0056】
【表1】
Figure 2005023478
【0057】
【表2】
Figure 2005023478

Claims (4)

  1. 下記一般式(I)で示される環状ホスファゼン誘導体及び下記一般式(II)で示される鎖状ホスファゼン誘導体から選ばれる少なくとも1種のホスファゼン誘導体、下記一般式(III)で示される基を有するヒンダードアミン誘導体、及び熱可塑性樹脂からなる繊維であって、該繊維が該ホスファゼン誘導体を0.25〜5.0重量%、該ヒンダードアミン誘導体を0.025〜3.0重量%含有し、該繊維の繊度が100dtexより大きく5000dtex以下であることを特徴とする難燃性繊維。
    Figure 2005023478
    Figure 2005023478
    Figure 2005023478
  2. 熱可塑性樹脂が、ポリオレフィン及びオレフィンを主成分とする共重合体から選ばれた樹脂である請求項1記載の難燃性繊維。
  3. 繊維が複合繊維である請求項1または請求項2記載の難燃性繊維。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項記載の繊維を用いた繊維成形体。
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