JP2005023202A - 潤滑剤,該潤滑剤の製造方法,及び転動装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた耐焼付き性及び耐摩耗性を転動装置に付与する潤滑剤及びその製造方法を提供する。また、耐焼付き性及び耐摩耗性に優れる転動装置を提供する。
【解決手段】基油と超微粒子とを含有する潤滑剤について,超微粒子を基油中で合成することによって製造した潤滑剤。そして、この潤滑剤Gを深溝玉軸受1の空隙部内に充填した。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、優れた耐焼付き性及び耐摩耗性を転動装置に付与する潤滑剤及びその製造方法に関する。また、本発明は、耐焼付き性及び耐摩耗性に優れる転動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
転がり接触する転動部材の摺動面は、高面圧,高速で転がり滑り運動をしているため、潤滑の点で過酷な条件となっている。このような条件下においては、前記転動部材の表面同士の接触がしばしば起きていることが知られており、はなはだしい場合には摩耗,焼付きが生じる。
【0003】
このような摩耗,焼付きを防止し、転動部材に耐荷重性能や極圧性能を付与する方法としては、潤滑油やグリースといった潤滑剤に極圧剤を添加する方法が一般的である。極圧剤としては、硫黄系極圧剤,リン系極圧剤,硫黄−リン系有機化合物,モリブデン化合物(例えば、ジアルキルジチオカルバミン酸モリブデン(Mo−DTC)やジアルキルジチオリン酸モリブデン(Mo−DTP)),亜鉛化合物(例えば、ジアルキルジチオリン酸亜鉛(Zn−DTP))等が知られている。これらの中でも有機系極圧剤は優れた極圧性能を示すことから、近年においては極圧剤の主流となっている。
【0004】
また、特開平7−118683号公報には、平均粒径0.1μm以下の超微粒子を潤滑油に含有させてなる潤滑剤が開示されている。この潤滑剤を転がり軸受に使用すると、金属表面間に形成される油膜中に超微粒子が入り込み、金属表面が直接接触することが抑制されるので、転がり軸受の耐焼付き性及び耐摩耗性が向上する。
【0005】
【特許文献1】
特開平7−118683号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述の有機系極圧剤は、使用条件によっては耐焼付き性と耐摩耗性との両立が難しく、また、耐焼付き性又は耐摩耗性に優れる極圧剤は金属や他の有機物との反応性を有するため、腐食性を有するという問題や潤滑剤の劣化を促進させるという問題が生じる場合があった。
【0007】
また、特開平7−118683号公報に記載の潤滑剤は、気相や液相において製造された平均粒径0.1μm以下の超微粒子を潤滑油に添加したものであるが、この超微粒子は個々の粒子は微細であるものの、潤滑剤中で二次凝集を起こして粗大化しやすいので、油膜中に入り込んで金属表面の直接接触を防止する前述の効果が十分ではない場合があった。さらに、水等の溶媒が潤滑剤中に残存しているため、十分な潤滑性が得られないおそれもあった。
【0008】
そこで、本発明は上記のような従来技術が有する問題点を解決し、優れた耐焼付き性及び耐摩耗性を転動装置に付与する潤滑剤及びその製造方法を提供することを課題とする。また、耐焼付き性及び耐摩耗性に優れる転動装置を提供することを併せて課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明は次のような構成からなる。すなわち、本発明に係る請求項1の潤滑剤は、基油と超微粒子とを含有する潤滑剤において、前記超微粒子は前記基油中で合成されたものであることを特徴とする。
また、本発明に係る請求項2の潤滑剤は、請求項1に記載の潤滑剤において、前記超微粒子は無機化合物で構成されていることを特徴とする。
【0010】
さらに、本発明に係る請求項3の潤滑剤は、請求項1又は請求項2に記載の潤滑剤において、前記超微粒子の平均の一次粒径は200nm以下であり、アスペクト比は3以下であることを特徴とする。
さらに、本発明に係る請求項4の潤滑剤の製造方法は、基油と超微粒子とを含有する潤滑剤を製造するに際して、前記基油と界面活性剤と水とにより形成された油中水滴型エマルジョンを反応場として、原料物質に触媒を作用させて前記超微粒子を合成することを特徴とする。
【0011】
さらに、本発明に係る請求項5の潤滑剤の製造方法は、請求項4に記載の潤滑剤の製造方法において、前記界面活性剤は、アニオン系界面活性剤,カチオン系界面活性剤,両性界面活性剤,及び非イオン系界面活性剤のうちの少なくとも1種であることを特徴とする。
さらに、本発明に係る請求項6の潤滑剤の製造方法は、請求項4又は請求項5に記載の潤滑剤の製造方法において、前記水は、脱イオン水及び蒸留水の少なくとも一方であることを特徴とする。
【0012】
さらに、本発明に係る請求項7の潤滑剤の製造方法は、請求項4〜6のいずれかに記載の潤滑剤の製造方法において、前記原料物質は、アルカリ金属塩及び金属アルコキシドの少なくとも一方であることを特徴とする。
さらに、本発明に係る請求項8の潤滑剤の製造方法は、請求項4〜7のいずれかに記載の潤滑剤の製造方法において、前記触媒はアルカリ触媒又は酸触媒であることを特徴とする。
【0013】
さらに、本発明に係る請求項9の潤滑剤の製造方法は、請求項4〜8のいずれかに記載の潤滑剤の製造方法において、前記水の量Wと前記界面活性剤の量Sとの比W/Sが0.01〜50であり、前記触媒の量Cと前記界面活性剤の量Sとの比C/Sが0.001〜10であり、且つ、反応温度が0〜100℃であることを特徴とする。
【0014】
さらに、本発明に係る請求項10の転動装置は、外面に軌道面を有する内方部材と、該内方部材の軌道面に対向する軌道面を有し前記内方部材の外方に配置された外方部材と、前記両軌道面間に転動自在に配設された複数の転動体と、を備える転動装置において、前記両軌道面と前記転動体との潤滑が、請求項1〜3のいずれかに記載の潤滑剤により行われていることを特徴とする。
【0015】
本発明においては、超微粒子を基油中で直接合成したので、超微粒子が凝集して粗大化することなく潤滑剤中に均一に分散して安定的に存在することとなる。よって、金属表面間に形成される油膜中に超微粒子が入り込みやすいので、金属表面の直接接触が抑制されて、転動装置の耐焼付き性及び耐摩耗性が良好となる。また、水等の溶媒の悪影響が最小限に抑えられるため、転動装置に優れた耐焼付き性及び耐摩耗を付与することができる。さらに、超微粒子は金属や他の有機物との反応性に乏しいため、金属を腐食させたり潤滑剤の劣化を促進することがほとんどない。
【0016】
なお、本発明は、種々の転動装置に適用することができる。例えば、転がり軸受,ボールねじ,リニアガイド装置,直動ベアリング等である。
ここで、本発明における前記内方部材とは、転動装置が転がり軸受の場合には内輪、同じくボールねじの場合にはねじ軸、同じくリニアガイド装置の場合には案内レール、同じく直動ベアリングの場合には軸をそれぞれ意味する。また、前記外方部材とは、転動装置が転がり軸受の場合には外輪、同じくボールねじの場合にはナット、同じくリニアガイド装置の場合にはスライダ、同じく直動ベアリングの場合には外筒をそれぞれ意味する。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明に係る潤滑剤,その製造方法,及び転動装置の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
超微粒子は、基油に界面活性剤と水とを添加することによって形成された油中水滴型エマルジョン(W/Oエマルジョン)を反応場として、超微粒子の原料物質に触媒を作用させることにより合成する。
【0018】
〔基油について〕
本発明の潤滑剤の基油としては、鉱物系潤滑油や合成潤滑油を使用することができる。鉱物系潤滑油の種類は特に限定されるものではないが、パラフィン系鉱物油,ナフテン系鉱物油,及びそれらの混合油を使用できる。また、合成潤滑油の種類も特に限定されるものではないが、合成炭化水素油,エーテル油,エステル油,及びフッ素油等が使用できる。
【0019】
具体的には、合成炭化水素油としてはポリα−オレフィン油等を、エーテル油としてはジアルキルジフェニルエーテル油,アルキルトリフェニルエーテル油,アルキルテトラフェニルエーテル油等を、エステル油としてはジエステル油,ネオペンチル型ポリオールエステル油,又はこれらのコンプレックスエステル油,芳香族エステル油等を使用することができる。これらの基油は単独で用いてもよいし、複数を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0020】
前述の基油の中でも、高温,高速条件での潤滑性能及び寿命を考慮すると、合成潤滑油が好ましく、特にエステル油,エーテル油が好ましい。さらに、コスト面から、エステル油,エーテル油が好ましい。基油の動粘度については、40℃において10〜400mm/sであることが好ましく、20〜250mm/sであることがより好ましい。
【0021】
〔界面活性剤及び水について〕
W/Oエマルジョンの形成に用いる界面活性剤としては、アニオン系界面活性剤,カチオン系界面活性剤,両性界面活性剤,及び非イオン系界面活性剤のうちの少なくとも1種を用いることができるが、基油中における安定性から非イオン系界面活性剤が好ましい。
【0022】
非イオン系界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類,ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類,ソルビタン脂肪酸エステル類,ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類,脂肪酸モノグリセライド類,ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類,ポリオキシエチレンアルキルアミン類,ポリグリセリン脂肪酸エステル類等があげられる。これらの中では、ソルビタン脂肪酸エステル類,ポリオキシエチレンアルキルエーテル類,及びポリグリセリン脂肪酸エステル類が好ましく、さらにソルビタンモノオレート,ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル,及びテトラグリセリンモノステアレートが特に好ましい。
【0023】
また、W/Oエマルジョンの形成に用いる水としては、脱イオン水や蒸留水のような不純物が極めて少ないものが好ましい。脱イオン水は、水をイオン交換樹脂に接触させる方法等によって製造することができる。
【0024】
〔超微粒子について〕
超微粒子の平均の一次粒径は200nm以下が好ましく、100nm以下がより好ましい。また、アスペクト比は3以下が好ましく、2以下がより好ましい。平均の一次粒径又はアスペクト比が前述の臨界値を超えると、十分な耐焼付き性及び耐摩耗性が得られないおそれがある。
【0025】
また、超微粒子は、例えば周期表の1〜6族及び12〜15族の中から選ばれる元素の酸化物のような無機化合物で構成されていることが好ましい。具体例としては、LiO,NaO,KO,BeO,MgO,CaO,Y,TiO,ZrO,MoO,WO,ZnO,Al,SiO,SnO,Sb等があげられる。
【0026】
これらの中では、合成の際の反応速度の制御が容易で、超微粒子の粒径の制御が容易であることから、TiO,ZnO,及びSiOが特に好ましい。反応速度が速すぎると、小さい粒径の超微粒子を製造することの困難性が高まり、反応が遅すぎると、所定の粒径となるまでに長時間を要することとなる。
【0027】
〔超微粒子の原料物質及び触媒について〕
超微粒子の原料物質としては、アルカリ金属塩,金属アルコキシド,及びハロゲン化物(例えばクロロシラン)が使用可能であるが、反応生成物による潤滑剤への影響を考えると、アルカリ金属塩及び金属アルコキシドの少なくとも一方を用いることが好ましい。特に、炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルコキシ基を有する金属アルコキシドが、反応性に優れるため好ましい。
触媒としては、アルカリ触媒や酸触媒を用いることができるが、単分散で球状の超微粒子を合成することができることから、アンモニア,有機アミン類等のアルカリ触媒が好ましい。
【0028】
〔超微粒子の合成における反応条件について〕
合成に使用する水,界面活性剤,及び触媒の量は特に限定されるものではないが、安定したW/Oエマルジョンを形成するためには、水の量Wと界面活性剤の量Sとの比W/S(モル比)を0.01〜50とし、触媒の量Cと界面活性剤の量Sとの比C/S(モル比)を0.001〜10とすることが好ましい。
【0029】
また、超微粒子の合成における反応温度は、安定したW/Oエマルジョンを形成するためには、0〜100℃とすることが好ましい。
そして、水の量Wと界面活性剤の量Sとの比W/Sを1〜10とし、触媒の量Cと界面活性剤の量Sとの比C/Sを0.01〜3とし、さらに、反応温度を10〜80℃とすれば、超微粒子の平均の一次粒径を200nm以下に制御することが容易となる。
【0030】
なお、本発明の潤滑剤は、潤滑油でもよいしグリースでもよいが、グリースの場合は増ちょう剤を用いてグリース状とする必要がある。増ちょう剤の種類は特に限定されるものではないが、例えば、金属石けん(金属はアルミニウム,バリウム,カルシウム,リチウム,ナトリウム等)や金属複合石けん(金属はリチウム,カルシウム,アルミニウム等)があげられる。また、ウレア化合物(ジウレア,トリウレア,テトラウレア,ポリウレア等)、無機系化合物(シリカゲル,ベントナイト等)、ウレタン化合物、ウレア・ウレタン化合物、ナトリウムテレフタラメート化合物等も使用できる。
【0031】
また、グリースには、その各種性能をさらに向上させるため、所望により種々の添加剤を添加してもよい。添加剤としては、グリースに一般的に使用されるものが問題なく使用可能であり、例えば酸化防止剤,防錆剤,極圧剤,油性向上剤,金属不活性化剤等を単独又は2種以上混合して用いることができる。
酸化防止剤の具体例としては、アミン系酸化防止剤,フェノール系酸化防止剤,硫黄系酸化防止剤,ジチオリン酸亜鉛等があげられる。また、防錆剤の具体例としては、石油スルフォン酸やカルシウムスルフォネート等があげられ、極圧剤の具体例としては、リン系極圧剤,ジチオリン酸亜鉛,有機モリブデン等があげられる。さらに、油性向上剤の具体例としては、脂肪酸や動植物油等があげられ、金属不活性化剤の具体例としては、ベンソトリアゾール等があげられる。なお、これら添加剤の添加量は、本発明の目的を損なわない程度であれば特に限定されるものではない。
【0032】
以下に、さらに具体的な実施例を示して本発明を説明する。
〔実施例1〜4〕
ポリオールエステル油(40℃における動粘度は33mm/s)に界面活性剤(ソルビタンモノオレート)と蒸留水とアルカリ触媒(アンモニア)とを所定量加えて混合した後、テトラエトキシシランを混合した。そして、密閉容器中、50℃で150時間振とうして、表1に示すような性状のシリカの超微粒子を含有する潤滑剤(潤滑油)を製造した。
なお、使用した蒸留水の量Wとソルビタンモノオレートの量Sとの比W/S(モル比)は3、アンモニアの量Cとソルビタンモノオレートの量Sとの比C/S(モル比)は1、テトラエトキシシランの量Mと蒸留水の量Wとの比M/W(モル比)は4とした。
【0033】
〔実施例5〜8〕
ポリオールエステル油(40℃における動粘度は33mm/s)に界面活性剤(ポリオキシエチレン(5)ノニルフェニルエーテル)と蒸留水とアルカリ触媒(アンモニア)とを所定量加えて混合した後、テトラブトキシシランを混合した。そして、密閉容器中、30℃で250時間振とうして、表2に示すような性状のシリカの超微粒子を含有する潤滑剤(潤滑油)を製造した。
なお、使用した蒸留水の量Wとポリオキシエチレン(5)ノニルフェニルエーテルの量Sとの比W/S(モル比)は3、アンモニアの量Cとポリオキシエチレン(5)ノニルフェニルエーテルの量Sとの比C/S(モル比)は1、テトラブトキシシランの量Mと蒸留水の量Wとの比M/W(モル比)は4とした。
【0034】
〔実施例9〜11〕
実施例2〜4の潤滑油に増ちょう剤である12−ヒドロキシステアリン酸リチウムを添加して、表3に示すような潤滑剤(リチウム石けんグリース)を調整した。
【0035】
〔比較例1〕
気相法により合成された平均の一次粒径が12nmであるシリカの超微粒子(日本アエロジル株式会社製AEROSIL200)を、ポリオールエステル油(40℃における動粘度は33mm/s)に加えて混合し、シリカの超微粒子を含有する潤滑剤(潤滑油)を製造した(表2を参照)。
潤滑剤中のシリカの超微粒子を後述する方法で観察したところ、超微粒子が二次凝集を起こしており、凝集体の長径は500nm以上であった。
【0036】
〔比較例2〕
ポリオールエステル油(40℃における動粘度は33mm/s)に12−ヒドロキシステアリン酸リチウムを添加して、シリカの超微粒子を含有しない潤滑剤(リチウム石けんグリース)を製造した(表3を参照)。
【0037】
【表1】
Figure 2005023202
【0038】
【表2】
Figure 2005023202
【0039】
【表3】
Figure 2005023202
【0040】
次に、表1〜3に記載の13種の潤滑剤(実施例1〜11及び比較例1,2)について、含有されるシリカの超微粒子の粒径及びアスペクト比を、以下のような方法により測定した。まず、潤滑剤をヘキサンで希釈した後、コロジオン膜を貼り付けた銅メッシュに塗布し乾燥させた。そして、この銅メッシュを透過型電子顕微鏡(日本電子株式会社製のJEM−1200EX II)にセットし、超微粒子を観察した。100個の超微粒子について、一次粒径及びアスペクト比を測定し、その平均値を算出した。結果を表1〜3に示す。
【0041】
次に、表1〜3に記載の13種の潤滑剤について、その耐摩耗性及び耐焼付き性を評価した。まず、耐摩耗性は、ASTM D 2596に規定された高速四球摩擦試験機に類似の試験機を用いて評価した。すなわち、潤滑剤をカップに満たし、1/2インチの鋼球(材質はSUJ2)を用いて、最大ヘルツ圧1.5GPa,すべり速度0.8m/sの条件で5分間すべり摩擦試験を行い、試験後の鋼球の摩耗痕の面積を測定した。
【0042】
摩擦試験は1種の潤滑剤につき5回行って、その平均値(平均摩耗面積)を算出した。その結果を表1〜3に示す。なお、表1〜3に記載の平均摩耗面積は、潤滑油(実施例1〜8)については比較例1の平均摩耗面積、グリース(実施例9〜11)については比較例2の平均摩耗面積をそれぞれ1とした場合の相対値で示してある。
【0043】
耐焼付き性は、潤滑剤が潤滑油である場合とグリースである場合とで、試験方法が異なる。まず、潤滑剤が潤滑油である場合は、ASTM D 2596に規定された高速四球摩擦試験機に類似の試験機を用いて評価した。すなわち、潤滑油をカップに満たし、1/2インチの鋼球(材質はSUJ2)を用いて、最大ヘルツ圧2.0GPa,すべり速度2.5m/sの条件で1分間慣らし運転を行った。慣らし運転が終了したらカップ中の潤滑油を1秒間で抜き取り、前記条件で試験を続行し、焼付きが生じるまでの時間(焼付き寿命)を測定した。その結果を表1,2に示す。なお、表1,2に記載の焼付き寿命は、比較例1の焼付き寿命を1とした場合の相対値で示してある。
【0044】
次に、潤滑剤がグリースである場合は、図1に示すような転がり軸受に封入した上、ASTM D 1741に規定された軸受寿命試験機に類似の試験機(図2を参照)を用いて評価した。すなわち、呼び番号6306VVの転がり軸受(内径30mm,外径72mm,幅19mm)の内部にグリース5gを封入し、前記試験機に装着した。そして、温度80℃,ラジアル荷重686N,アキシアル荷重490Nという条件下、8000min−1の回転速度で回転させ、モータが過負荷により停止するまでの時間、又は、軸受温度が90℃を超えるまでの時間を測定した。試験は1種のグリースにつき10回行い、その平均値を焼付き寿命とした。その結果を表3に示す。なお、表3に記載の焼付き寿命は、比較例2の焼付き寿命を1とした場合の相対値で示してある。
【0045】
ここで、耐焼付き性の試験に使用した転がり軸受の構成を、図1を参照しながら説明する。この深溝玉軸受1は、内輪10と、外輪11と、内輪10と外輪11との間に転動自在に配設された複数の玉13と、内輪10と外輪11との間に複数の玉13を保持する保持器12と、接触形のゴムシール14,14と、で構成されている。そして、内輪10と外輪11との間に形成され玉13が内設された空隙部内にはグリースGが充填され、シール14,14によって軸受内部に密封されている。
【0046】
次に、各試験結果について考察する。まず、潤滑油については、実施例1〜8のいずれもが、比較例1と比べて摩耗面積が小さく且つ焼付き寿命が優れていた。このことから、実施例1〜8の潤滑油は、優れた耐摩耗性及び耐焼付き性を転動装置に付与する性能を有していると言える。
また、グリースについては、実施例9〜11のいずれもが、比較例2と比べて摩耗面積が小さく且つ焼付き寿命が優れていた。このことから、実施例9〜11のグリースは、優れた耐摩耗性及び耐焼付き性を転動装置に付与する性能を有していると言える。
なお、本実施形態は本発明の一例を示したものであって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
【0047】
例えば、本実施形態においては、転動装置の例として深溝玉軸受をあげて説明したが、本発明は、他の種類の様々な転がり軸受に対して適用することができる。例えば、アンギュラ玉軸受,自動調心玉軸受,円筒ころ軸受,円すいころ軸受,針状ころ軸受,自動調心ころ軸受等のラジアル形の転がり軸受や、スラスト玉軸受,スラストころ軸受等のスラスト形の転がり軸受である。
さらに、本発明は、転がり軸受に限らず、他の種類の様々な転動装置に対して適用することができる。例えば、ボールねじ,リニアガイド装置,直動ベアリング等である。
【0048】
【発明の効果】
以上のように、本発明の潤滑剤は、基油中で合成された超微粒子を含有しているので、優れた耐焼付き性及び耐摩耗性を転動装置に付与することができる。
また、本発明の潤滑剤の製造方法は、超微粒子を基油中で合成するので、優れた耐焼付き性及び耐摩耗性を転動装置に付与する潤滑剤を製造することができる。
さらに、本発明の転動装置は、基油中で合成された超微粒子を含有する潤滑剤で潤滑を行っているので、耐焼付き性及び耐摩耗性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る転動装置の一実施形態である深溝玉軸受の構成を示す縦断面図である。
【図2】耐焼付き性を評価する軸受寿命試験機の断面図である。
【符号の説明】
1 深溝玉軸受
10 内輪
11 外輪
13 玉
G グリース

Claims (10)

  1. 基油と超微粒子とを含有する潤滑剤において、前記超微粒子は前記基油中で合成されたものであることを特徴とする潤滑剤。
  2. 前記超微粒子は無機化合物で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の潤滑剤。
  3. 前記超微粒子の平均の一次粒径は200nm以下であり、アスペクト比は3以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の潤滑剤。
  4. 基油と超微粒子とを含有する潤滑剤を製造するに際して、前記基油と界面活性剤と水とにより形成された油中水滴型エマルジョンを反応場として、原料物質に触媒を作用させて前記超微粒子を合成することを特徴とする潤滑剤の製造方法。
  5. 前記界面活性剤は、アニオン系界面活性剤,カチオン系界面活性剤,両性界面活性剤,及び非イオン系界面活性剤のうちの少なくとも1種であることを特徴とする請求項4に記載の潤滑剤の製造方法。
  6. 前記水は、脱イオン水及び蒸留水の少なくとも一方であることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の潤滑剤の製造方法。
  7. 前記原料物質は、アルカリ金属塩及び金属アルコキシドの少なくとも一方であることを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載の潤滑剤の製造方法。
  8. 前記触媒はアルカリ触媒又は酸触媒であることを特徴とする請求項4〜7のいずれかに記載の潤滑剤の製造方法。
  9. 前記水の量Wと前記界面活性剤の量Sとの比W/Sが0.01〜50であり、前記触媒の量Cと前記界面活性剤の量Sとの比C/Sが0.001〜10であり、且つ、反応温度が0〜100℃であることを特徴とする請求項4〜8のいずれかに記載の潤滑剤の製造方法。
  10. 外面に軌道面を有する内方部材と、該内方部材の軌道面に対向する軌道面を有し前記内方部材の外方に配置された外方部材と、前記両軌道面間に転動自在に配設された複数の転動体と、を備える転動装置において、前記両軌道面と前記転動体との潤滑が、請求項1〜3のいずれかに記載の潤滑剤により行われていることを特徴とする転動装置。
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