JP2005023166A - 自己修復性樹脂組成物、この樹脂組成物を用いた照明装置用部品及び照明装置 - Google Patents
自己修復性樹脂組成物、この樹脂組成物を用いた照明装置用部品及び照明装置 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】本発明は、加熱下での使用に耐え得る樹脂組成物において、樹脂成分の高分子鎖が切断されて経時的に劣化した場合でも、高分子鎖を再結合させて自己修復を行い劣化を防止する樹脂組成物を提供する。
【解決手段】耐熱性を有するエンジニアリングプラスチック成分又は熱硬化性樹脂成分を全成分に対して50質量%以上有する樹脂成分並びに前記樹脂成分の高分子鎖が切断されることによる経時的な劣化に対し、切断された高分子鎖の再結合反応に対する触媒及び高分子鎖に対して反応性を有し、高分子鎖を間接的に再結合することができる化合物から選ばれた少なくとも1種を含有することを特徴とする自己修復性樹脂組成物。
【選択図】 図1
【解決手段】耐熱性を有するエンジニアリングプラスチック成分又は熱硬化性樹脂成分を全成分に対して50質量%以上有する樹脂成分並びに前記樹脂成分の高分子鎖が切断されることによる経時的な劣化に対し、切断された高分子鎖の再結合反応に対する触媒及び高分子鎖に対して反応性を有し、高分子鎖を間接的に再結合することができる化合物から選ばれた少なくとも1種を含有することを特徴とする自己修復性樹脂組成物。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、樹脂成分の経時的な劣化に対する自己修復性樹脂組成物、この樹脂組成物を樹脂材料とした照明装置用部品及び照明装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、樹脂材料を硬化させて得た成形品は熱エネルギー、光エネルギー、力学的負荷等により樹脂成分の高分子鎖が切断して低分子化するため、経時的に劣化し、強度低下や変色等の不具合が生じる。
【0003】
この高分子鎖の切断は不可逆的に起こるものであり、特に、照明用のカバー等の照明装置用部品に用いられるポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等は、80℃以上の加熱下で使用される等、使用環境が苛酷であるため、優れた対候性が要求され、劣化を十分に防止する必要があった。
【0004】
従来、樹脂材料を用いた成形品は、樹脂組成物に酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤等を添加することで、樹脂成分の高分子鎖が切断するのに優先してこれらの添加剤にエネルギーを集中させて高分子鎖の切断による劣化を防止していた(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
また、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤等を添加せずに、材料が劣化した場合に、それを積極的に修復し元の状態を回復させるといった能動的自己修復により劣化を防止することができるポリフェニレンエーテル樹脂材料も知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−198910号公報
【特許文献2】
特開2001−81304号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤等は、優先して劣化因子と反応することで高分子鎖の切断を抑制するものであり、添加した薬剤が無くなると高分子鎖の切断が始まるため、劣化を遅延させる効果しかなく、劣化に対する根本的な解決にはなっていなかった。
【0008】
また、自己修復を行うことで劣化を防止するポリフェニレンエーテルは、劣化の抑制に効果のあるものであるが、ポリフェニレンエーテルは、例えば、80℃程度の加熱下において、紫外線照射等による耐光性が低く、変色が大きくなってしまうため、照明装置等の加熱下で使用される樹脂材料としては好ましくなかった。
【0009】
さらに、樹脂組成物には難燃剤を添加する場合があるが、この難燃剤も化合物の結合が切断されて劣化することが知られており、難燃剤の劣化に伴いブリードアウトした成分やアウトガス成分が生じ、不具合が生じる場合があった。
【0010】
そこで、本発明は、加熱下での使用に耐え得る樹脂組成物において、樹脂成分の高分子鎖が切断されて経時的に劣化した場合でも、高分子鎖を再結合させて自己修復を行い劣化を防止することができる樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、耐熱性を有するエンジニアリングプラスチック成分又は熱硬化性樹脂成分を全成分の50質量%以上有する樹脂成分並びに前記樹脂成分の高分子鎖が切断されることによる経時的な劣化に対し、切断された高分子鎖の再結合反応に対する触媒及び高分子鎖に対して反応性を有し、高分子鎖を間接的に再結合することができる化合物から選ばれた少なくとも1種を含有することを特徴とする自己修復性樹脂組成物である。
【0012】
「耐熱性を有する」とは、80℃以上、好ましくは100℃以上の雰囲気において変形又は変色しない樹脂材料であることを意味している。
【0013】
この発明によれば、80℃以上、好ましくは100℃以上の使用に耐え得る樹脂組成物を用いた成形品において、樹脂成分の高分子鎖が切断されることにより経時的に劣化しても、切断された高分子鎖を再結合し、樹脂成分が低分子化することを防ぐことができる。
【0014】
ここで、本発明に用いる樹脂成分としては、その成形品が80〜300℃の加熱下において使用することができるものであればよく、その加熱下での使用において変色しにくく、機械的強度が低下しにくい性質を有するものを用いることができる。
【0015】
このような樹脂成分としては、耐熱性を有するエンジニアリングプラスチック及び熱硬化性樹脂を挙げることができ、エンジニアリングプラスチックとしては、例えば、ポリエステル樹脂を挙げることができ、また、熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等を挙げることができる。これらは例えば、照明装置用の部品として好適に使用することができるものである。
【0016】
以下、本発明の樹脂組成物として好ましい樹脂成分、触媒及び高分子鎖を間接的に再結合することができる化合物と、その樹脂成分の低分子化防止について推定される再結合の機構について説明する。
【0017】
本発明に用いるポリエステル樹脂としては、熱硬化性ポリエステル樹脂及び熱可塑性ポリエステル樹脂のいずれも用いることができるが、照明装置用の部品として用いる場合には熱可塑性ポリエステル樹脂であることが好ましい。
【0018】
ポリエステル樹脂は、ジカルボン酸成分とジオール成分とを重合させることにより得られるものであり、熱可塑性ポリエステル樹脂のジカルボン酸成分としてはテレフタル酸又はナフタレンジカルボン酸が好ましく、ジオール成分としてはエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール及びネオペンチルグリコールから選ばれた少なくとも1種のジオールであることが好ましい。
【0019】
このような熱可塑性ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート 、ポリブチレンナフタレート等が挙げられる。
【0020】
また、エポキシ樹脂としては、グリシジルエーテル型、グリシジルエステル型、グリシジルアミン型等の照明装置用の部品として通常用いられるエポキシ樹脂が挙げられ、グリシジルエーテル型のエポキシ樹脂としては、ビスフェノール型、ビフェニル型、ナフタレン型等が挙げられる。この中でも、特に、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂であることが好ましい。
【0021】
また、シリコーン樹脂としては、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン等のクロロシランを水と反応させて加水分解、脱水縮合を行うことにより製造され、通常使用されているオルガノポリシロキサンを骨格に持つポリマーが挙げられる。
【0022】
次に、本発明に用いる触媒は、高分子鎖の切断による樹脂組成物の劣化に対し、切断された高分子鎖の再結合反応を触媒する機能を有するものである。
【0023】
ここで、高分子鎖の再結合反応とは、切断された高分子鎖と他の高分子鎖とが結合することであり、切断された高分子鎖同士を直接的又は間接的に結合する場合の他、切断された高分子鎖と未だ切断されていない高分子鎖とを直接的又は間接的に結合する場合も含まれ、再結合反応は、in−situ重合により行われるものであってもよい。
【0024】
この再結合反応における高分子鎖を間接的に結合する場合とは、結合される2つの高分子鎖のそれぞれと結合することができる官能基を有した有機化合物が高分子鎖の間に入って結合し高分子鎖同士を結合することを意味し、これにより2つの高分子鎖はこの有機化合物を介して結合されることとなる。
【0025】
この有機化合物としては、2つの高分子鎖と結合することができるものであればよく、再結合反応により一つの官能基が2つの結合部位を有する場合と、二つの官能基がそれぞれ一つの結合部位を有する場合とがあり、二つの官能基を有する二官能性の有機化合物であることが、再結合反応を効率良く行うことができる観点から好ましいものである。
【0026】
本発明に用いる二官能性の有機化合物は、切断された高分子鎖と他の高分子鎖とを結合する働きを有するものであり、高分子鎖の切断により現れた官能基に対する反応性の官能基を2個有していることを特徴とするものである。本発明の樹脂組成物がこの有機化合物を有する場合は、切断された高分子鎖同志が、この二官能性の有機化合物を介して再結合される。
【0027】
ポリエステル樹脂の場合に用いられる触媒としては、有機チタン化合物等が挙げられ、有機チタン化合物としては、例えば、チタン(IV)テトラブトキシドモノマー等を用いることができ、また、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等を用いることもできる。
【0028】
再結合反応は、ポリエステル樹脂組成物の硬化物中において、カルボキシル基及び水酸基をエステル化させて高分子鎖を結合させる働きを有するこれらの触媒が、高分子鎖が切断されて生じたカルボキシル基と水酸基とを結合させる場合の他、水酸基及びカルボキシル基から選ばれた少なくとも1種の官能基を有する二官能性の有機化合物の水酸基又はカルボキシル基と切断された高分子鎖のカルボキシル基又は水酸基とをエステル化することにより行われる。
【0029】
ここで用いる二官能性の有機化合物としては、2個の水酸基を有する化合物、2個のカルボキシル基を有する化合物及び1個の水酸基と1個のカルボキシル基とを有する化合物が挙げられ、例えば、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1.6−ヘキサンジオール、ヒドロキノン、ビスフェノールA等のジオールであることが好ましい。
【0030】
この反応においては、高分子鎖のカルボキシル基又は水酸基が二官能性有機化合物の水酸基又はカルボキシル基とエステル化反応により結合し、二官能性有機化合物の官能基がそれぞれ高分子鎖と結合することで低分子化を防止することができるものである。
【0031】
エポキシ樹脂については、まず、エポキシ樹脂がビスフェノール型エポキシ樹脂等のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂である場合には、エポキシ樹脂を間接的に再結合することができる化合物として、二官能性の有機化合物であるエピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、エピフルオロヒドリン等を樹脂組成物の構成成分として用いるものである。
【0032】
このときの再結合反応は、このエピクロルヒドリン等がエポキシ樹脂のエーテル結合が切断されて生じた水酸基と反応してグリシジルエーテル化し、次いで、この新しく形成されたグリシジル基に他の高分子鎖中のビスフェノールが付加することで行われる。この場合には、再結合反応に対する触媒は必ずしも必要ではない。
【0033】
また、エポキシ樹脂が開環メタセシス重合(ROMP)により重合されたエポキシ樹脂の場合には、触媒としてルテニウム系ROMP触媒を用いることができる。ルテニウム系ROMP触媒としては、例えば、ベンジリデンビス−(トリシクロヘキシルホスフィン)−ジクロロルテニウム、1,3−(ビス(メシチル)−2−イミダゾリジニリデン)ジクロロ−(フェニルメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム、1,3−(ビス(メシチル)−2−イミダゾリジニリデン)ジクロロ−(o−イソプロポキシフェニルメチレン)ルテニウム等が挙げられる。
【0034】
この開環メタセシス重合による再結合反応は、触媒の他に、高分子鎖を間接的に再結合することができる化合物としてジシクロペンタジエン単量体を添加することが好ましく、この添加したジシクロペンタジエン単量体の切断された高分子鎖に対する開環メタセシス反応により行われ、効率良く低分子化を防止することができる。
【0035】
シリコーン樹脂の場合に用いられる触媒としては、シリコーンの架橋反応を行うために通常用いられる硬化触媒を用いることができ、具体的には、チタンエチルアセテート等の金属キレート化合物、ジブチルスズジラウレート、トリフェニルスズ、トリブチルスズ等の有機スズ、オクチル酸亜鉛、オクチル酸鉄等の金属脂肪酸塩、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩等が挙げられる。
【0036】
再結合反応は、シリコーン樹脂組成物の硬化物中において、シラノール基を脱水縮合させて結合させる働きを有するこれらの触媒が、高分子鎖が切断されて生じたシラノール基を脱水縮合させて行うものである。
【0037】
また、この触媒の他に、間接的に再結合することができる化合物として、シラン又はシロキサンを用いることもでき、この場合、高分子鎖中のシラノール基とシランが結合することによりポリシロキサン結合が再生される。
【0038】
また、シリコーン樹脂として、脂環式エポキシ基を有する次の化合物(I)
【化1】
を導入した変性シリコーンを用いた場合には、触媒として250nm付近に吸収極大を持つの光カチオン触媒、具体的には、ヨードニウム塩、スルホニウム塩等のオニウム塩等を用いることができる。
【0039】
再結合反応は、カチオン触媒の存在下紫外線照射により、変性シリコーン中の化合物(I)に相当するエポキシ基同志が開裂してエーテル結合を形成し、この開裂した2個のエポキシ基がさらに他のエポキシ基とエーテル結合を形成し、この反応が次々に起こって架橋構造を形成していく光硬化反応である。
【0040】
また、本発明に用いる難燃剤は、本発明の樹脂組成物へ添加することにより難燃性を付与することができるものであれば公知の難燃剤のいずれをも用いることができ、このような難燃剤としては、ハロゲン系難燃剤、りん系難燃剤、金属酸化物、無機系難燃剤やポリマー系難燃剤を挙げることができる。
【0041】
本発明において用いられる臭素系難燃剤としては、前記した公知の難燃剤の中でも、ポリマー系難燃剤、特に臭素化ビスフェノールA骨格を有する臭素化ポリカーボネート樹脂又は臭素化エポキシ樹脂が好ましく、これらを併用することもできる。ここで、臭素化ビスフェノールA骨格としては、テトラブロモビスフェノールA骨格が好ましい。
【0042】
本発明における難燃剤において、臭素化ビスフェノールA骨格を有する難燃剤が好ましい難燃剤であることは次の理由による。
【0043】
樹脂組成物中に含まれるポリマー系難燃剤は、樹脂成分と同様に劣化するものであり、外部刺激によって経時的に分子鎖の切断が起こって低分子化し、この低分子化した分子がブリードアウト成分やアウトガス成分として外部へ悪影響を与えることがある。
【0044】
例えば、照明装置である電球型蛍光灯等を用いた場合に、そのフィルムコンデンサーに、従来の樹脂組成物としてテトラブロモビスフェノールA骨格を有する難燃剤を添加したエポキシ樹脂を用いた場合には、難燃剤が劣化するとジブロモフェノールやトリブロモフェノールの臭素含有有機化合物が発生する。発生した臭素含有有機化合物は、封止ゴムを通して電解コンデンサーに侵入、電解コンデンサーの電解液中で電気化学反応を起こして臭素イオンとなり、この臭素イオンが電解コンデンサーのアルミニウム電極を腐食させる原因となっていた。
【0045】
また、アウトガス成分により照明装置のグローブ等が曇って、光の透過が妨げられることによって、照明装置本来の機能を発揮することができなくなる場合もあった。
【0046】
ところが、例えば、本発明のポリエステル樹脂組成物では、テトラビスフェノールA骨格を有する難燃剤が劣化して発生したジブロモフェノールやトリブロモフェノールは、フェノール性の水酸基を有しているため、本発明の触媒又は高分子鎖を間接的に再結合することができる化合物により樹脂成分である高分子鎖と結合して成形品中に留まる。
【0047】
これは切断された高分子鎖が再結合する際に水酸基が関与するものであれば、例えば、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等についても同様の機構により低分子化した化合物が成形品中に留まることとなる。
【0048】
すなわち、本発明における高分子鎖の再結合反応が、難燃剤の劣化により生じた低分子化合物に対しても作用して、ブリードアウト成分やアウトガス成分が外部へ放出されるのを抑制するため、これを原因とする悪影響を低減することができるものである。
【0049】
本発明で用いる難燃剤の配合量は、本発明の樹脂組成物の特性を変化させない範囲の適当量を添加すればよく、5〜30質量%の範囲で添加することが好ましく、それに加えて臭素含有量が樹脂組成物の0.1〜20質量%、好ましくは2〜10質量%であることが好ましい。20質量%を超えると周囲へ悪影響を及ぼす可能性が高まる。
【0050】
また、本発明の樹脂組成物には、樹脂の特性に影響がない程度に、充填剤を添加することもでき、充填剤としては、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、長石系鉱物、クレー、ホワイトカーボン、カーボンブラック、ガラスビーズ等の粒状若しくは無定形の充填剤、カオリンクレー、タルク等の板状の充填剤、ガラスフレーク、マイカ、グラファイト等の燐片状の充填剤又はガラス繊維、炭素繊維、ウォラストナイト、チタン酸カリウム等の繊維状の充填剤が挙げられる。
【0051】
さらに、本発明の樹脂組成物には、目的に応じて、顔料や染料、紫外線吸収剤、光安定剤、滑剤、可塑剤、難燃剤および帯電防止剤等の添加剤を添加することもできる。
【0052】
本発明の自己修復性樹脂組成物の製造方法は、特に制限されず、公知の製造方法にしたがって行えばよく、例えば、重合あるいは溶融混練により得ることができる。
【0053】
重合法では、層状化合物と水を含有する分散体を調製し、樹脂成分の重合性プレポリマーと前記分散体を混合し、重合性プレポリマーを重合する工程を包含する方法によって得られる。
【0054】
溶融混練法は種々の一般的な混練機を用いて樹脂成分と層状化合物を溶融混練する方法を挙げることができる。混練機の例としては、一軸押出機、二軸押出機、ロール、バンバリーミキサー、ニーダー等が挙げられ、特に、剪断効率の高い混練機が好ましい。混練する順番は特に限定されず、樹脂成分と層状化合物は上記の混練機に一括投入して溶融混練してもよいし又はあらかじめ溶融状態にした樹脂成分に層状化合物を添加混練してもよい。
【0055】
本発明の照明装置用部品は、本発明の樹脂組成物を用いたものであり、既に述べたフィルムコンデンサー等の電子部品の他、プリント基板、仕切り板、カバー、蛍光ランプ用の口金、ハロゲンランプ用の口金等が挙げられる。この照明装置用の部品は、本発明の樹脂組成物を使用したことに特徴があって、それ以外の構成及びその製造方法は従来の照明装置用の部品と同様である。
【0056】
また、本発明の照明装置は、これらの照明装置用部品を構成要素として含んだ照明装置であって、それ以外の構成及びその製造方法は従来の照明装置と同様である。
【0057】
【実施例】
(実施例1)窒素置換されたグローブボックス内で、ポリブチレンテレフタレート(ポリプラスチック株式会社製、商品名:C7000) 99.4質量%、チタン(IV)テトラブトキシドモノマー(和光純薬工業製、試薬特級)0.1質量%、ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート(和光純薬工業製、試薬特級)0.5質量%の割合で、良く混合してポリブチレンテレフタレート樹脂組成物を得た。
【0058】
(実施例2)ポリブチレンテレフタレートを98.9質量%、ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを1.0質量%の割合とした以外は、実施例1と同様にしてポリブチレンテレフタレート樹脂組成物を得た。
【0059】
(実施例3)ポリブチレンテレフタレートを96.9質量%、ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを3.0質量%の割合とした以外は、実施例1と同様にしてポリブチレンテレフタレート樹脂組成物を得た。
【0060】
(実施例4)ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートに替えて、1,4−ブチレングリコール(和光純薬工業製、試薬特級)1.0質量%を用いた以外は実施例2と同様にしてポリブチレンテレフタレート樹脂組成物を得た。
【0061】
(試験例1)実施例1〜4で得られた樹脂組成物及び何も添加していないポリブチレンテレフタレート樹脂を、それぞれミニテストプレス機(東洋精機株式会社製)で1/32インチの厚みの板とし230℃でプレス成形を行った。成形後打ち抜き加工して、JIS K 7113−2号に準ずるダンベル試験片を得た。このダンベル試験片を150℃の雰囲気下、400W水銀灯を500時間照射し劣化させ、その間の引張強度の経時変化を調べた。引張強度は25℃において、オートグラフAGS−20KNG(株式会社島津製作所製、商品名)を用いて測定した。
【0062】
なお、何も添加していない樹脂を比較例1とし、この結果を図1に示した。
【0063】
この結果から、触媒を添加していないポリエステル樹脂は時間が経つと共に劣化が進行して強度が低下するが、触媒及び架橋剤を添加したポリエステル樹脂のは、最初は強度の低下が見られるが、時間が経つにつれて上昇に転じ、時間が経つほどに強度が高まることが確認できた(図1参照)。
【0064】
なお、図1においては、チタン(IV)テトラブトキシドモノマーとしてTTBM、ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートとしてBHT、1,4−ブチレングリコールとして1,4−BGとの略称を用いた。
【0065】
(試験例2)また、実施例1で得られた樹脂組成物及び比較例1の樹脂については、引張強度の試験と同様に試験片の劣化を行い、平均分子量の経時変化を調べた。平均分子量の測定は、次の方法で測定した。嶋津製作所製の高速液体クロマトグラフィー(LC−10A)と視外可視分光光度型(SPD−10A)からなるGPCシステムを用いて、カラムは昭和電工製のShodexK−806M、移動相はクロロホルム 流速0.8mL/min、カラムオーブン内温度は40℃、単分散ポリスチレンを検量線として使用した。サンプルのポリエステル濃度は0.005g/10mLクロロホルム溶液である。この結果を図2に示した。
【0066】
この結果から、触媒を添加していないポリエステル樹脂は時間が経つと共に劣化が進行して高分子鎖が切断され平均分子量が低下するが、触媒及び架橋剤を添加したポリエステル樹脂は、時間が経つにつれて平均分子量が増加し、再結合反応が進行していることがわかった。
【0067】
なお、本発明ではサンプルの取り扱いには試験誤差を最小にするために十分な注意を払い、サンプルの調整及びサンプルの分析の為の処理はすべて窒素置換されたグローブボックス内で行った。
【0068】
試験片は、実施例等の試験に共する時以外は窒素置換されたデシケータ内に保管し、試験終了後のサンプルは速やかに窒素で置換されたグローブボックス内に移動させ、分子量の測定用サンプルを調整した。
【0069】
(実施例5)窒素置換されたグローブボックス内で、ポリブチレンテレフタレート(ポリプラスチック株式会社製、商品名:C7000)99.4質量%、チタン(IV)テトラブトキシドモノマー(和光純薬工業製、試薬特級)0.1質量%、ビスヒドロキシブチルテレフタレート(和光純薬工業製、試薬特級)0.5質量%、テトラブロモビスフェノールA(TBA)系難燃剤(帝人化成製、商品名:ファイアガード8500)の割合で、良く混合してポリブチレンテレフタレート組成物を得た。
【0070】
(実施例6)実施例5で製造したポリブチレンテレフタレート組成物を用いて電球型蛍光ランプのカバー及び仕切り板を成形し、これらを用いて図4に示した電球型蛍光ランプを製造した。
【0071】
図4は、本発明の照明装置の一例である電球型蛍光ランプの一部切り欠き図面である。この電球型蛍光ランプは、蛍光ランプ1、点灯回路2、カバー3、口金4、グローブ5、仕切り板6、平滑コンデンサ7から構成されるものであり、点灯回路2は、配線基板2aとこれに実装された回路部品2bからなるものである。
【0072】
同様にして、触媒及び架橋剤を添加していないポリブチレンテレフタレートを用いて電球型蛍光灯を製造した。
【0073】
これらの電球型蛍光灯を、150℃雰囲気下、400W水銀灯の照射を行ったところ、本発明の触媒及び難燃剤を添加している樹脂組成物を用いた電球型蛍光灯の方がアウトガスが少なく、グローブの曇りを低減することが確認できた。また、黄変も少なく使用中の外観が向上した。
【0074】
なお、本発明の樹脂組成物は、触媒又は架橋剤を添加することによって分子量の低下を抑制できるので、寿命を向かえて廃棄された樹脂材料を回収し、再資源化するといったリサイクル化に適している、すなわち、廃棄された樹脂物品であっても分子量の低下は少なく、粉砕処理後、ペレット化しても樹脂特性が劣化することなく、リサイクル材料として好適である。
【0075】
【発明の効果】
請求項1の発明は、樹脂組成物中に樹脂成分の高分子鎖が切断する樹脂の劣化に対し、一旦切断された高分子鎖が再結合し、樹脂の低分子化を防ぐことができるため、成型品の劣化を防止し、強度の低下を抑えることができるものである。
【0076】
請求項2の発明は、二官能性の有機化合物を用いて行うことにより、再結合反応をより効果的に行い、好ましい態様で請求項1の効果を奏することができるものである。
【0077】
請求項3の発明は、成形品に要求される難燃性を付加するために樹脂組成物中に難燃剤を添加した場合、難燃剤の劣化により外部へ及ぼす悪影響を抑えると同時に請求項1の効果を奏することができるものである。
【0078】
請求項4の発明は、樹脂組成物中に触媒が適当量配合されることにより、より効果的に請求項1の効果を奏することができるものである。
【0079】
請求項5の発明は、樹脂成分として、照明装置用の部品に適した樹脂を用いることにより、80℃以上の環境下で使用される照明装置用部品として、経時的な劣化に対する強度低下を防止することができ、難燃剤の劣化により外部へ及ぼす悪影響を抑えることができるものである。
【0080】
請求項6の発明は、樹脂成分としてポリエステル樹脂、触媒として有機チタン化合物を用いることで、より好ましい態様で請求項5の効果を奏することができるものである。
【0081】
請求項7の発明は、さらに、二官能性の有機化合物を用いることで再結合反応をより効果的に行い、好ましい態様で請求項5又は6の効果を奏することができるものである。
【0082】
請求項8の発明は、難燃剤として劣化によるアウトガス成分を発生しやすいテトラブロモビスフェノールA骨格を有するポリマー系難燃剤を用いることで、十分な難燃性を付与することができ、さらに、発生するガス成分の外部への拡散も効果的に抑制することができるものである。
【0083】
請求項9の発明は、請求項1乃至8の自己修復性樹脂組成物を用いて照明装置用部品とすることで、部品の経時的な劣化による強度低下を防止することができ、これを照明装置に適用した場合に、難燃剤の劣化により生じるグローブの曇りやコンデンサーのアルミニウム電極の腐食等を防止することができるため、照明装置を快適に使用することができ、製品寿命も長くすることができるものである。
【0084】
請求項10の発明は、請求項9記載の照明装置用部品を用いて照明装置とすることで、部品の経時的な劣化による強度低下を防止することができ、難燃剤の劣化により生じるグローブの曇りやコンデンサーのアルミニウム電極の腐食等を防止することができるため、照明装置を快適に使用することができ、製品寿命を長くすることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】試験例1における、本発明及び従来の樹脂組成物の引張強度に関する試験結果である。
【図2】試験例2における、従来の樹脂組成物の経時的変化に伴う樹脂成分の平均分子量の変化を示した図である。
【図3】試験例2における、本発明の樹脂組成物の経時的変化に伴う樹脂成分の平均分子量の変化を示した図である。
【図4】本発明の照明装置の一例である電球型蛍光ランプを示した図である。
【符号の説明】
1…蛍光ランプ、2…点灯回路、2a…配線基板、2b…回路部品、3…カバー、4…口金、5…グローブ、6…仕切り板、7…平滑コンデンサ
【発明の属する技術分野】本発明は、樹脂成分の経時的な劣化に対する自己修復性樹脂組成物、この樹脂組成物を樹脂材料とした照明装置用部品及び照明装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、樹脂材料を硬化させて得た成形品は熱エネルギー、光エネルギー、力学的負荷等により樹脂成分の高分子鎖が切断して低分子化するため、経時的に劣化し、強度低下や変色等の不具合が生じる。
【0003】
この高分子鎖の切断は不可逆的に起こるものであり、特に、照明用のカバー等の照明装置用部品に用いられるポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等は、80℃以上の加熱下で使用される等、使用環境が苛酷であるため、優れた対候性が要求され、劣化を十分に防止する必要があった。
【0004】
従来、樹脂材料を用いた成形品は、樹脂組成物に酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤等を添加することで、樹脂成分の高分子鎖が切断するのに優先してこれらの添加剤にエネルギーを集中させて高分子鎖の切断による劣化を防止していた(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
また、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤等を添加せずに、材料が劣化した場合に、それを積極的に修復し元の状態を回復させるといった能動的自己修復により劣化を防止することができるポリフェニレンエーテル樹脂材料も知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−198910号公報
【特許文献2】
特開2001−81304号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤等は、優先して劣化因子と反応することで高分子鎖の切断を抑制するものであり、添加した薬剤が無くなると高分子鎖の切断が始まるため、劣化を遅延させる効果しかなく、劣化に対する根本的な解決にはなっていなかった。
【0008】
また、自己修復を行うことで劣化を防止するポリフェニレンエーテルは、劣化の抑制に効果のあるものであるが、ポリフェニレンエーテルは、例えば、80℃程度の加熱下において、紫外線照射等による耐光性が低く、変色が大きくなってしまうため、照明装置等の加熱下で使用される樹脂材料としては好ましくなかった。
【0009】
さらに、樹脂組成物には難燃剤を添加する場合があるが、この難燃剤も化合物の結合が切断されて劣化することが知られており、難燃剤の劣化に伴いブリードアウトした成分やアウトガス成分が生じ、不具合が生じる場合があった。
【0010】
そこで、本発明は、加熱下での使用に耐え得る樹脂組成物において、樹脂成分の高分子鎖が切断されて経時的に劣化した場合でも、高分子鎖を再結合させて自己修復を行い劣化を防止することができる樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、耐熱性を有するエンジニアリングプラスチック成分又は熱硬化性樹脂成分を全成分の50質量%以上有する樹脂成分並びに前記樹脂成分の高分子鎖が切断されることによる経時的な劣化に対し、切断された高分子鎖の再結合反応に対する触媒及び高分子鎖に対して反応性を有し、高分子鎖を間接的に再結合することができる化合物から選ばれた少なくとも1種を含有することを特徴とする自己修復性樹脂組成物である。
【0012】
「耐熱性を有する」とは、80℃以上、好ましくは100℃以上の雰囲気において変形又は変色しない樹脂材料であることを意味している。
【0013】
この発明によれば、80℃以上、好ましくは100℃以上の使用に耐え得る樹脂組成物を用いた成形品において、樹脂成分の高分子鎖が切断されることにより経時的に劣化しても、切断された高分子鎖を再結合し、樹脂成分が低分子化することを防ぐことができる。
【0014】
ここで、本発明に用いる樹脂成分としては、その成形品が80〜300℃の加熱下において使用することができるものであればよく、その加熱下での使用において変色しにくく、機械的強度が低下しにくい性質を有するものを用いることができる。
【0015】
このような樹脂成分としては、耐熱性を有するエンジニアリングプラスチック及び熱硬化性樹脂を挙げることができ、エンジニアリングプラスチックとしては、例えば、ポリエステル樹脂を挙げることができ、また、熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等を挙げることができる。これらは例えば、照明装置用の部品として好適に使用することができるものである。
【0016】
以下、本発明の樹脂組成物として好ましい樹脂成分、触媒及び高分子鎖を間接的に再結合することができる化合物と、その樹脂成分の低分子化防止について推定される再結合の機構について説明する。
【0017】
本発明に用いるポリエステル樹脂としては、熱硬化性ポリエステル樹脂及び熱可塑性ポリエステル樹脂のいずれも用いることができるが、照明装置用の部品として用いる場合には熱可塑性ポリエステル樹脂であることが好ましい。
【0018】
ポリエステル樹脂は、ジカルボン酸成分とジオール成分とを重合させることにより得られるものであり、熱可塑性ポリエステル樹脂のジカルボン酸成分としてはテレフタル酸又はナフタレンジカルボン酸が好ましく、ジオール成分としてはエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール及びネオペンチルグリコールから選ばれた少なくとも1種のジオールであることが好ましい。
【0019】
このような熱可塑性ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート 、ポリブチレンナフタレート等が挙げられる。
【0020】
また、エポキシ樹脂としては、グリシジルエーテル型、グリシジルエステル型、グリシジルアミン型等の照明装置用の部品として通常用いられるエポキシ樹脂が挙げられ、グリシジルエーテル型のエポキシ樹脂としては、ビスフェノール型、ビフェニル型、ナフタレン型等が挙げられる。この中でも、特に、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂であることが好ましい。
【0021】
また、シリコーン樹脂としては、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン等のクロロシランを水と反応させて加水分解、脱水縮合を行うことにより製造され、通常使用されているオルガノポリシロキサンを骨格に持つポリマーが挙げられる。
【0022】
次に、本発明に用いる触媒は、高分子鎖の切断による樹脂組成物の劣化に対し、切断された高分子鎖の再結合反応を触媒する機能を有するものである。
【0023】
ここで、高分子鎖の再結合反応とは、切断された高分子鎖と他の高分子鎖とが結合することであり、切断された高分子鎖同士を直接的又は間接的に結合する場合の他、切断された高分子鎖と未だ切断されていない高分子鎖とを直接的又は間接的に結合する場合も含まれ、再結合反応は、in−situ重合により行われるものであってもよい。
【0024】
この再結合反応における高分子鎖を間接的に結合する場合とは、結合される2つの高分子鎖のそれぞれと結合することができる官能基を有した有機化合物が高分子鎖の間に入って結合し高分子鎖同士を結合することを意味し、これにより2つの高分子鎖はこの有機化合物を介して結合されることとなる。
【0025】
この有機化合物としては、2つの高分子鎖と結合することができるものであればよく、再結合反応により一つの官能基が2つの結合部位を有する場合と、二つの官能基がそれぞれ一つの結合部位を有する場合とがあり、二つの官能基を有する二官能性の有機化合物であることが、再結合反応を効率良く行うことができる観点から好ましいものである。
【0026】
本発明に用いる二官能性の有機化合物は、切断された高分子鎖と他の高分子鎖とを結合する働きを有するものであり、高分子鎖の切断により現れた官能基に対する反応性の官能基を2個有していることを特徴とするものである。本発明の樹脂組成物がこの有機化合物を有する場合は、切断された高分子鎖同志が、この二官能性の有機化合物を介して再結合される。
【0027】
ポリエステル樹脂の場合に用いられる触媒としては、有機チタン化合物等が挙げられ、有機チタン化合物としては、例えば、チタン(IV)テトラブトキシドモノマー等を用いることができ、また、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等を用いることもできる。
【0028】
再結合反応は、ポリエステル樹脂組成物の硬化物中において、カルボキシル基及び水酸基をエステル化させて高分子鎖を結合させる働きを有するこれらの触媒が、高分子鎖が切断されて生じたカルボキシル基と水酸基とを結合させる場合の他、水酸基及びカルボキシル基から選ばれた少なくとも1種の官能基を有する二官能性の有機化合物の水酸基又はカルボキシル基と切断された高分子鎖のカルボキシル基又は水酸基とをエステル化することにより行われる。
【0029】
ここで用いる二官能性の有機化合物としては、2個の水酸基を有する化合物、2個のカルボキシル基を有する化合物及び1個の水酸基と1個のカルボキシル基とを有する化合物が挙げられ、例えば、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1.6−ヘキサンジオール、ヒドロキノン、ビスフェノールA等のジオールであることが好ましい。
【0030】
この反応においては、高分子鎖のカルボキシル基又は水酸基が二官能性有機化合物の水酸基又はカルボキシル基とエステル化反応により結合し、二官能性有機化合物の官能基がそれぞれ高分子鎖と結合することで低分子化を防止することができるものである。
【0031】
エポキシ樹脂については、まず、エポキシ樹脂がビスフェノール型エポキシ樹脂等のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂である場合には、エポキシ樹脂を間接的に再結合することができる化合物として、二官能性の有機化合物であるエピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、エピフルオロヒドリン等を樹脂組成物の構成成分として用いるものである。
【0032】
このときの再結合反応は、このエピクロルヒドリン等がエポキシ樹脂のエーテル結合が切断されて生じた水酸基と反応してグリシジルエーテル化し、次いで、この新しく形成されたグリシジル基に他の高分子鎖中のビスフェノールが付加することで行われる。この場合には、再結合反応に対する触媒は必ずしも必要ではない。
【0033】
また、エポキシ樹脂が開環メタセシス重合(ROMP)により重合されたエポキシ樹脂の場合には、触媒としてルテニウム系ROMP触媒を用いることができる。ルテニウム系ROMP触媒としては、例えば、ベンジリデンビス−(トリシクロヘキシルホスフィン)−ジクロロルテニウム、1,3−(ビス(メシチル)−2−イミダゾリジニリデン)ジクロロ−(フェニルメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム、1,3−(ビス(メシチル)−2−イミダゾリジニリデン)ジクロロ−(o−イソプロポキシフェニルメチレン)ルテニウム等が挙げられる。
【0034】
この開環メタセシス重合による再結合反応は、触媒の他に、高分子鎖を間接的に再結合することができる化合物としてジシクロペンタジエン単量体を添加することが好ましく、この添加したジシクロペンタジエン単量体の切断された高分子鎖に対する開環メタセシス反応により行われ、効率良く低分子化を防止することができる。
【0035】
シリコーン樹脂の場合に用いられる触媒としては、シリコーンの架橋反応を行うために通常用いられる硬化触媒を用いることができ、具体的には、チタンエチルアセテート等の金属キレート化合物、ジブチルスズジラウレート、トリフェニルスズ、トリブチルスズ等の有機スズ、オクチル酸亜鉛、オクチル酸鉄等の金属脂肪酸塩、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩等が挙げられる。
【0036】
再結合反応は、シリコーン樹脂組成物の硬化物中において、シラノール基を脱水縮合させて結合させる働きを有するこれらの触媒が、高分子鎖が切断されて生じたシラノール基を脱水縮合させて行うものである。
【0037】
また、この触媒の他に、間接的に再結合することができる化合物として、シラン又はシロキサンを用いることもでき、この場合、高分子鎖中のシラノール基とシランが結合することによりポリシロキサン結合が再生される。
【0038】
また、シリコーン樹脂として、脂環式エポキシ基を有する次の化合物(I)
【化1】
を導入した変性シリコーンを用いた場合には、触媒として250nm付近に吸収極大を持つの光カチオン触媒、具体的には、ヨードニウム塩、スルホニウム塩等のオニウム塩等を用いることができる。
【0039】
再結合反応は、カチオン触媒の存在下紫外線照射により、変性シリコーン中の化合物(I)に相当するエポキシ基同志が開裂してエーテル結合を形成し、この開裂した2個のエポキシ基がさらに他のエポキシ基とエーテル結合を形成し、この反応が次々に起こって架橋構造を形成していく光硬化反応である。
【0040】
また、本発明に用いる難燃剤は、本発明の樹脂組成物へ添加することにより難燃性を付与することができるものであれば公知の難燃剤のいずれをも用いることができ、このような難燃剤としては、ハロゲン系難燃剤、りん系難燃剤、金属酸化物、無機系難燃剤やポリマー系難燃剤を挙げることができる。
【0041】
本発明において用いられる臭素系難燃剤としては、前記した公知の難燃剤の中でも、ポリマー系難燃剤、特に臭素化ビスフェノールA骨格を有する臭素化ポリカーボネート樹脂又は臭素化エポキシ樹脂が好ましく、これらを併用することもできる。ここで、臭素化ビスフェノールA骨格としては、テトラブロモビスフェノールA骨格が好ましい。
【0042】
本発明における難燃剤において、臭素化ビスフェノールA骨格を有する難燃剤が好ましい難燃剤であることは次の理由による。
【0043】
樹脂組成物中に含まれるポリマー系難燃剤は、樹脂成分と同様に劣化するものであり、外部刺激によって経時的に分子鎖の切断が起こって低分子化し、この低分子化した分子がブリードアウト成分やアウトガス成分として外部へ悪影響を与えることがある。
【0044】
例えば、照明装置である電球型蛍光灯等を用いた場合に、そのフィルムコンデンサーに、従来の樹脂組成物としてテトラブロモビスフェノールA骨格を有する難燃剤を添加したエポキシ樹脂を用いた場合には、難燃剤が劣化するとジブロモフェノールやトリブロモフェノールの臭素含有有機化合物が発生する。発生した臭素含有有機化合物は、封止ゴムを通して電解コンデンサーに侵入、電解コンデンサーの電解液中で電気化学反応を起こして臭素イオンとなり、この臭素イオンが電解コンデンサーのアルミニウム電極を腐食させる原因となっていた。
【0045】
また、アウトガス成分により照明装置のグローブ等が曇って、光の透過が妨げられることによって、照明装置本来の機能を発揮することができなくなる場合もあった。
【0046】
ところが、例えば、本発明のポリエステル樹脂組成物では、テトラビスフェノールA骨格を有する難燃剤が劣化して発生したジブロモフェノールやトリブロモフェノールは、フェノール性の水酸基を有しているため、本発明の触媒又は高分子鎖を間接的に再結合することができる化合物により樹脂成分である高分子鎖と結合して成形品中に留まる。
【0047】
これは切断された高分子鎖が再結合する際に水酸基が関与するものであれば、例えば、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等についても同様の機構により低分子化した化合物が成形品中に留まることとなる。
【0048】
すなわち、本発明における高分子鎖の再結合反応が、難燃剤の劣化により生じた低分子化合物に対しても作用して、ブリードアウト成分やアウトガス成分が外部へ放出されるのを抑制するため、これを原因とする悪影響を低減することができるものである。
【0049】
本発明で用いる難燃剤の配合量は、本発明の樹脂組成物の特性を変化させない範囲の適当量を添加すればよく、5〜30質量%の範囲で添加することが好ましく、それに加えて臭素含有量が樹脂組成物の0.1〜20質量%、好ましくは2〜10質量%であることが好ましい。20質量%を超えると周囲へ悪影響を及ぼす可能性が高まる。
【0050】
また、本発明の樹脂組成物には、樹脂の特性に影響がない程度に、充填剤を添加することもでき、充填剤としては、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、長石系鉱物、クレー、ホワイトカーボン、カーボンブラック、ガラスビーズ等の粒状若しくは無定形の充填剤、カオリンクレー、タルク等の板状の充填剤、ガラスフレーク、マイカ、グラファイト等の燐片状の充填剤又はガラス繊維、炭素繊維、ウォラストナイト、チタン酸カリウム等の繊維状の充填剤が挙げられる。
【0051】
さらに、本発明の樹脂組成物には、目的に応じて、顔料や染料、紫外線吸収剤、光安定剤、滑剤、可塑剤、難燃剤および帯電防止剤等の添加剤を添加することもできる。
【0052】
本発明の自己修復性樹脂組成物の製造方法は、特に制限されず、公知の製造方法にしたがって行えばよく、例えば、重合あるいは溶融混練により得ることができる。
【0053】
重合法では、層状化合物と水を含有する分散体を調製し、樹脂成分の重合性プレポリマーと前記分散体を混合し、重合性プレポリマーを重合する工程を包含する方法によって得られる。
【0054】
溶融混練法は種々の一般的な混練機を用いて樹脂成分と層状化合物を溶融混練する方法を挙げることができる。混練機の例としては、一軸押出機、二軸押出機、ロール、バンバリーミキサー、ニーダー等が挙げられ、特に、剪断効率の高い混練機が好ましい。混練する順番は特に限定されず、樹脂成分と層状化合物は上記の混練機に一括投入して溶融混練してもよいし又はあらかじめ溶融状態にした樹脂成分に層状化合物を添加混練してもよい。
【0055】
本発明の照明装置用部品は、本発明の樹脂組成物を用いたものであり、既に述べたフィルムコンデンサー等の電子部品の他、プリント基板、仕切り板、カバー、蛍光ランプ用の口金、ハロゲンランプ用の口金等が挙げられる。この照明装置用の部品は、本発明の樹脂組成物を使用したことに特徴があって、それ以外の構成及びその製造方法は従来の照明装置用の部品と同様である。
【0056】
また、本発明の照明装置は、これらの照明装置用部品を構成要素として含んだ照明装置であって、それ以外の構成及びその製造方法は従来の照明装置と同様である。
【0057】
【実施例】
(実施例1)窒素置換されたグローブボックス内で、ポリブチレンテレフタレート(ポリプラスチック株式会社製、商品名:C7000) 99.4質量%、チタン(IV)テトラブトキシドモノマー(和光純薬工業製、試薬特級)0.1質量%、ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート(和光純薬工業製、試薬特級)0.5質量%の割合で、良く混合してポリブチレンテレフタレート樹脂組成物を得た。
【0058】
(実施例2)ポリブチレンテレフタレートを98.9質量%、ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを1.0質量%の割合とした以外は、実施例1と同様にしてポリブチレンテレフタレート樹脂組成物を得た。
【0059】
(実施例3)ポリブチレンテレフタレートを96.9質量%、ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを3.0質量%の割合とした以外は、実施例1と同様にしてポリブチレンテレフタレート樹脂組成物を得た。
【0060】
(実施例4)ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートに替えて、1,4−ブチレングリコール(和光純薬工業製、試薬特級)1.0質量%を用いた以外は実施例2と同様にしてポリブチレンテレフタレート樹脂組成物を得た。
【0061】
(試験例1)実施例1〜4で得られた樹脂組成物及び何も添加していないポリブチレンテレフタレート樹脂を、それぞれミニテストプレス機(東洋精機株式会社製)で1/32インチの厚みの板とし230℃でプレス成形を行った。成形後打ち抜き加工して、JIS K 7113−2号に準ずるダンベル試験片を得た。このダンベル試験片を150℃の雰囲気下、400W水銀灯を500時間照射し劣化させ、その間の引張強度の経時変化を調べた。引張強度は25℃において、オートグラフAGS−20KNG(株式会社島津製作所製、商品名)を用いて測定した。
【0062】
なお、何も添加していない樹脂を比較例1とし、この結果を図1に示した。
【0063】
この結果から、触媒を添加していないポリエステル樹脂は時間が経つと共に劣化が進行して強度が低下するが、触媒及び架橋剤を添加したポリエステル樹脂のは、最初は強度の低下が見られるが、時間が経つにつれて上昇に転じ、時間が経つほどに強度が高まることが確認できた(図1参照)。
【0064】
なお、図1においては、チタン(IV)テトラブトキシドモノマーとしてTTBM、ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートとしてBHT、1,4−ブチレングリコールとして1,4−BGとの略称を用いた。
【0065】
(試験例2)また、実施例1で得られた樹脂組成物及び比較例1の樹脂については、引張強度の試験と同様に試験片の劣化を行い、平均分子量の経時変化を調べた。平均分子量の測定は、次の方法で測定した。嶋津製作所製の高速液体クロマトグラフィー(LC−10A)と視外可視分光光度型(SPD−10A)からなるGPCシステムを用いて、カラムは昭和電工製のShodexK−806M、移動相はクロロホルム 流速0.8mL/min、カラムオーブン内温度は40℃、単分散ポリスチレンを検量線として使用した。サンプルのポリエステル濃度は0.005g/10mLクロロホルム溶液である。この結果を図2に示した。
【0066】
この結果から、触媒を添加していないポリエステル樹脂は時間が経つと共に劣化が進行して高分子鎖が切断され平均分子量が低下するが、触媒及び架橋剤を添加したポリエステル樹脂は、時間が経つにつれて平均分子量が増加し、再結合反応が進行していることがわかった。
【0067】
なお、本発明ではサンプルの取り扱いには試験誤差を最小にするために十分な注意を払い、サンプルの調整及びサンプルの分析の為の処理はすべて窒素置換されたグローブボックス内で行った。
【0068】
試験片は、実施例等の試験に共する時以外は窒素置換されたデシケータ内に保管し、試験終了後のサンプルは速やかに窒素で置換されたグローブボックス内に移動させ、分子量の測定用サンプルを調整した。
【0069】
(実施例5)窒素置換されたグローブボックス内で、ポリブチレンテレフタレート(ポリプラスチック株式会社製、商品名:C7000)99.4質量%、チタン(IV)テトラブトキシドモノマー(和光純薬工業製、試薬特級)0.1質量%、ビスヒドロキシブチルテレフタレート(和光純薬工業製、試薬特級)0.5質量%、テトラブロモビスフェノールA(TBA)系難燃剤(帝人化成製、商品名:ファイアガード8500)の割合で、良く混合してポリブチレンテレフタレート組成物を得た。
【0070】
(実施例6)実施例5で製造したポリブチレンテレフタレート組成物を用いて電球型蛍光ランプのカバー及び仕切り板を成形し、これらを用いて図4に示した電球型蛍光ランプを製造した。
【0071】
図4は、本発明の照明装置の一例である電球型蛍光ランプの一部切り欠き図面である。この電球型蛍光ランプは、蛍光ランプ1、点灯回路2、カバー3、口金4、グローブ5、仕切り板6、平滑コンデンサ7から構成されるものであり、点灯回路2は、配線基板2aとこれに実装された回路部品2bからなるものである。
【0072】
同様にして、触媒及び架橋剤を添加していないポリブチレンテレフタレートを用いて電球型蛍光灯を製造した。
【0073】
これらの電球型蛍光灯を、150℃雰囲気下、400W水銀灯の照射を行ったところ、本発明の触媒及び難燃剤を添加している樹脂組成物を用いた電球型蛍光灯の方がアウトガスが少なく、グローブの曇りを低減することが確認できた。また、黄変も少なく使用中の外観が向上した。
【0074】
なお、本発明の樹脂組成物は、触媒又は架橋剤を添加することによって分子量の低下を抑制できるので、寿命を向かえて廃棄された樹脂材料を回収し、再資源化するといったリサイクル化に適している、すなわち、廃棄された樹脂物品であっても分子量の低下は少なく、粉砕処理後、ペレット化しても樹脂特性が劣化することなく、リサイクル材料として好適である。
【0075】
【発明の効果】
請求項1の発明は、樹脂組成物中に樹脂成分の高分子鎖が切断する樹脂の劣化に対し、一旦切断された高分子鎖が再結合し、樹脂の低分子化を防ぐことができるため、成型品の劣化を防止し、強度の低下を抑えることができるものである。
【0076】
請求項2の発明は、二官能性の有機化合物を用いて行うことにより、再結合反応をより効果的に行い、好ましい態様で請求項1の効果を奏することができるものである。
【0077】
請求項3の発明は、成形品に要求される難燃性を付加するために樹脂組成物中に難燃剤を添加した場合、難燃剤の劣化により外部へ及ぼす悪影響を抑えると同時に請求項1の効果を奏することができるものである。
【0078】
請求項4の発明は、樹脂組成物中に触媒が適当量配合されることにより、より効果的に請求項1の効果を奏することができるものである。
【0079】
請求項5の発明は、樹脂成分として、照明装置用の部品に適した樹脂を用いることにより、80℃以上の環境下で使用される照明装置用部品として、経時的な劣化に対する強度低下を防止することができ、難燃剤の劣化により外部へ及ぼす悪影響を抑えることができるものである。
【0080】
請求項6の発明は、樹脂成分としてポリエステル樹脂、触媒として有機チタン化合物を用いることで、より好ましい態様で請求項5の効果を奏することができるものである。
【0081】
請求項7の発明は、さらに、二官能性の有機化合物を用いることで再結合反応をより効果的に行い、好ましい態様で請求項5又は6の効果を奏することができるものである。
【0082】
請求項8の発明は、難燃剤として劣化によるアウトガス成分を発生しやすいテトラブロモビスフェノールA骨格を有するポリマー系難燃剤を用いることで、十分な難燃性を付与することができ、さらに、発生するガス成分の外部への拡散も効果的に抑制することができるものである。
【0083】
請求項9の発明は、請求項1乃至8の自己修復性樹脂組成物を用いて照明装置用部品とすることで、部品の経時的な劣化による強度低下を防止することができ、これを照明装置に適用した場合に、難燃剤の劣化により生じるグローブの曇りやコンデンサーのアルミニウム電極の腐食等を防止することができるため、照明装置を快適に使用することができ、製品寿命も長くすることができるものである。
【0084】
請求項10の発明は、請求項9記載の照明装置用部品を用いて照明装置とすることで、部品の経時的な劣化による強度低下を防止することができ、難燃剤の劣化により生じるグローブの曇りやコンデンサーのアルミニウム電極の腐食等を防止することができるため、照明装置を快適に使用することができ、製品寿命を長くすることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】試験例1における、本発明及び従来の樹脂組成物の引張強度に関する試験結果である。
【図2】試験例2における、従来の樹脂組成物の経時的変化に伴う樹脂成分の平均分子量の変化を示した図である。
【図3】試験例2における、本発明の樹脂組成物の経時的変化に伴う樹脂成分の平均分子量の変化を示した図である。
【図4】本発明の照明装置の一例である電球型蛍光ランプを示した図である。
【符号の説明】
1…蛍光ランプ、2…点灯回路、2a…配線基板、2b…回路部品、3…カバー、4…口金、5…グローブ、6…仕切り板、7…平滑コンデンサ
Claims (10)
- 耐熱性を有するエンジニアリングプラスチック成分又は熱硬化性樹脂成分を全成分に対して50質量%以上有する樹脂成分並びに前記樹脂成分の高分子鎖が切断されることによる経時的な劣化に対し、切断された高分子鎖の再結合反応に対する触媒及び高分子鎖に対して反応性を有し、高分子鎖を間接的に再結合することができる化合物から選ばれた少なくとも1種を含有することを特徴とする自己修復性樹脂組成物。
- 前記高分子鎖を再結合することができる有機化合物が二官能性の有機化合物であることを特徴とする請求項1記載の自己修復性樹脂組成物。
- 難燃剤を含有することを特徴とする請求項1又は2記載の自己修復性樹脂組成物。
- 前記触媒が0.01〜5質量%の割合で配合されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の自己修復性樹脂組成物。
- 前記樹脂成分がポリエステル樹脂、エポキシ樹脂又はシリコーン樹脂であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の自己修復性樹脂組成物。
- 前記樹脂成分がポリエステル樹脂であり、前記触媒が有機チタン化合物であることを特徴とする請求項5記載の自己修復性樹脂組成物。
- 前記二官能性の有機化合物が、1,4−ブチレングリコール、ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート、フタル酸ジメチルであることを特徴とする請求項5又は6記載の自己修復性樹脂組成物。
- 前記難燃剤が、テトラブロモビスフェノールA骨格を有するポリマー系難燃剤であることを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項記載の自己修復性樹脂組成物。
- 請求項1乃至8のいずれか1項記載の自己修復性樹脂組成物を用いた照明装置用部品。
- 請求項9記載の照明装置用部品を用いて構成した照明装置。
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